JP2005146253A - 硬化性多環式化合物、及びその製造方法 - Google Patents

硬化性多環式化合物、及びその製造方法 Download PDF

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JP2005146253A JP2004180123A JP2004180123A JP2005146253A JP 2005146253 A JP2005146253 A JP 2005146253A JP 2004180123 A JP2004180123 A JP 2004180123A JP 2004180123 A JP2004180123 A JP 2004180123A JP 2005146253 A JP2005146253 A JP 2005146253A
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Abstract

【課題】採用できる技術の豊富化のため、耐光性、耐熱性等に優れ工業的に有用な多環式炭化水素骨格を分子内に有する新規な硬化性化合物を提供すること。
【解決手段】下記式(1)
【化1】
Figure 2005146253

{式中、Aは多環式炭化水素化合物から誘導される2〜6価の基;Rは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基、またはフッ素原子;nは0〜2の整数;mは2〜4の整数;Yは下記式(2)または(3)
【化2】
Figure 2005146253

【化3】
Figure 2005146253

(式中、R、R、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または炭素数1〜4のアルキル基;Rはメチル基又はエチル基;p、qは0〜4の整数)で表される基である。}
で表される硬化性多環式化合物。

Description

本発明は、封止剤や接着剤等の原料として有用な新規硬化性多環式化合物、その製造法、同化合物を用いて製造する硬化性組成物、同硬化性組成物を用いる発光ダイオード用封止剤、同封止剤で封止された発光ダイオードに関する。前記硬化性多環式化合物は、硬化反応を生じる官能基としてオキセタニル基もしくはエポキシ基を有する。
多環式炭化水素化合物は非芳香族性を示し、かつ分子が剛直で、特異な構造を有するため、様々の分野で注目されている。例えば、光学特性、耐熱性に優れたプラスチックレンズ用モノマーとしてアダマンタンジカルボン酸ジアリル(特許文献1)やアダマンタンジ(メタ)アクリレート誘導体(特許文献2)が知られている。
また、密着性、耐光性、耐薬品性、硬度に優れたコーティング組成物用モノマー或いは塗料用モノマーとして、(メタ)アクリル基を有する特定のアダマンタン化合物が知られている(特許文献3、特許文献4)。
一方、近年における化合物半導体を用いて製造した半導体発光素子である発光ダイオード(以下、LEDと称す)の進展はめざましい。発光材料としては、赤色〜橙色のアルミニウム・インジウム・ガリウム・リン(AllnGaP)、青色のガリウムナイトライト(GaN)が開発された。さらに、365nm、370nm等の400nm以下の近紫外LEDも実現されている。
また、例えば蛍光体を青色LEDまたは近紫外LEDと組み合わせることにより、白色LEDも達成されている。
LEDは、寿命が長い、温度安定性が高い、調光が容易である、駆動電圧が低い等の優れた利点がある。特に発光効率が高く、信頼性に優れた点が高く評価され、ディスプレー、表示板、車載照明、信号灯、携帯電話、ビデオカメラなどへの応用が積極的に図られている。またそのパッケージ形状としては、砲弾型ランプ以外に、表面実装タイプなど各種用途に適したパッケージ形状が開発されている。特に白色LEDに関しては、照明用途への展開が図られており、従来の白熱電球、ハロゲンランプ、蛍光ランプなどの代替光源として非常に期待されている。しかし、広く普及させるためには、さらなる高輝度化および光源効率の向上が必要である。
通常、LEDは内部に収納した半導体素子を保護するために、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の透明な封止剤で封止されている。封止剤用材料の中で、特にエポキシ樹脂は、密着性が高く、操作性良好、安価といった実用に適した材料であるので、LEDの封止用に広く用いられている。しかしながら、上に示したようにLEDの発光波長の短波長化に伴い、封止剤に高い耐光性が求められている。更に、高輝度化に伴い、素子発熱に耐えることのできる高い耐熱性も封止剤に特に強く求められている。
ビスフェノールA型グリシジルエーテル等を封止剤の成分として用いる従来のエポキシ樹脂は、上記短波長化や発熱に起因して樹脂の劣化が起り易い。その結果樹脂が黄変してLEDの輝度低下ならびに色調変化を生じる問題がある。
この課題を解決するために、いくつかの検討がなされている。例えば、脂環式エポキシを水添ビスフェノールA型グリシジルエーテルに添加することにより、いくらか耐光性を向上させている(特許文献5)。しかし、この樹脂は十分実用的な耐候性を備えておらず、さらに耐熱性が低下して変色を生じる。また、前記樹脂にさらにリン系酸化防止剤を添加することが行われた。この場合は、熱による変色を抑制する効果は認められたが、耐光性が低下した。
多環式エポキシ化合物といえば、従来1−アダマンチルグリシジルエーテルのようにエポキシ基を一つのみ有するエポキシ化合物を製造した例はあるが、二個以上のエポキシ基を持つエポキシ化合物を高収率、高純度で製造した例は未だない。
1−アダマンチルグリシジルエーテルの従来の製造方法としては、触媒量の四塩化スズにより、1−アダマンタノールとエピクロロヒドリンを反応させ、その後、水酸化ナトリウムにより1−アダマンチルグリシジルエーテルを得る方法が知られている(非特許文献1)。
この方法は、収率61%とまずまずの収率である。しかし、この製造方法においては、触媒としてルイス酸である四塩化スズを使用している。触媒の安定性の問題から使用できる溶媒はハロゲン化物のように低極性溶媒に限られるため、該化合物の製造に際しては、出発原料を1−アダマンタノールから低極性溶媒に対して極めて溶解性の低い、水酸基が二個以上置換したアダマンタンポリオールに変更したときの反応性は定かではない。また、ルイス酸のような酸存在下ではエピクロロヒドリン自身が重合し、この重合物が不純物として残存する恐れがある。また、一般的にアルコールからグリシジルエーテルを得る方法として、アルコールとアルカリ金属等とを反応させてアルコラートを合成し、これにエピクロロヒドリンやエピブロモヒドリンを接触させる方法が考えられる。しかし、水酸基が二個以上置換した多環式ヒドロキシ化合物でこの方法が実施された例はない。
特開昭63−100537号公報 特開昭63−307844号公報 特開2000−327950号公報 特開2000−327994号公報 特開2003−73452号公報 ザ ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー ユーエスエスアール,1991年,第27巻No.6,p.1089−1092(The Journal of Organic Chemistry USSR ,Vol.27, No.6, pp.1089-1092, 1991
多環式炭化水素化合物を硬化させて得られる硬化体は、何れも分子内に多環式炭化水素骨格を有するため、優れた光学特性および耐熱性を示す。しかしながら、このような物性が要求される用途分野においても、更にそれぞれの用途毎に異なるその他の物性が要求される。このような多様な要求に応えるためには、多環式炭化水素骨格を有する新規な硬化性化合物の開発が不可欠である。
別言すれば、多環式炭化水素骨格を有する硬化性化合物を硬化させて樹脂を得る方法は、得られる樹脂に優れた光学物性や耐熱性を付与する有効な手段と成り得る。しかし、現在知られているこのような硬化性化合物は限られており、その結果用途も限られているのが現状である。
本発明は、採用できる技術の豊富化のため、工業的に有用な多環式炭化水素骨格を分子内に有する新規な硬化性化合物を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意検討を行なった。その結果多環式炭化水素化合物に重合可能な官能基としてオキセタニル基及び/またはエポキシ基を導入した新規な硬化性多環式炭化水素化合物が上記目的を達成できる化合物であることを知得した。
これらの化合物は硬化させることにより光学特性、耐熱性および耐光性が高い硬化体を与える。更に、これらの化合物が硬化したときにその体積収縮が小さいため、光学特性や高耐熱性等が要求される接着剤や半導体レーザーの封止剤として好適に使用できることを見出した。
本発明はこれらの発見に基づいて完成するに至ったものである。
本発明は、以下に記載するものである。
〔1〕 下記式(1)
Figure 2005146253
{式中、Aは多環式炭化水素化合物から誘導される2〜6価の基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基、またはフッ素原子であり、nは0〜2の整数であり、mは2〜4の整数であり、Yは下記式(2)
Figure 2005146253
(式中、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、Rはメチル基もしくはエチル基であり、pは0〜4の整数である。)
で表される基または下記式(3)
Figure 2005146253
(式中、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、qは0〜4の整数である。)
で表される基である。}
で表される硬化性多環式化合物。
〔2〕 式(1)が、下記式(4)
Figure 2005146253

{式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基、またはフッ素原子であり、aは0〜2の整数であり、bは0〜2の整数であり、Yは下記式(2)
Figure 2005146253
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、Rはメチル基又はエチル基であり、pは0〜4の整数である)
で表される基または、下記式(3)
Figure 2005146253

(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、qは0〜4の整数である。)で示される基である。}
である〔1〕記載の硬化性多環式化合物。
〔3〕 一般式(6)、又は(7)
Figure 2005146253
{式中、A、R、R、R、n、及びpは前記式(1)におけるものと同様であり、sは1〜3の整数である。}
Figure 2005146253
{式中、A、R、R、R、n、及びqは前記式(1)におけるものと同様であり、s'は1〜3の整数である。}
で示される硬化性多環式化合物。
〔4〕 〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の硬化性多環式化合物、及び硬化剤を含有してなることを特徴とする硬化性組成物。
〔5〕 〔4〕に記載の硬化性組成物からなる発光ダイオード用封止剤。
〔6〕 〔5〕に記載の封止剤で封止された発光ダイオード。
〔7〕 下記工程(a)〜(c)を含むことを特徴とする下記式(8)
Figure 2005146253
{式中、Aは多環式炭化水素化合物から誘導される2〜6価の基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基またはフッ素原子であり、nは0〜2の整数であり、mは2〜4の整数であり、Zは前記式(3)
Figure 2005146253
(式中、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、qは0〜4の整数である。)
で表される基である。}
で表される多環式エポキシ化合物の製造方法。
(a) 下記式(9)
Figure 2005146253
{式中、A、R、n及びmは、それぞれ前記式(8)におけるものと同義であり、R、Rは、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基であり、rは0〜4の整数である。}
で表される多環式ヒドロキシ化合物とアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はこれら金属を含む有機金属化合物とを反応させてアルコラートを得る工程、
(b) 前記工程(a)で得られたアルコラートと下記式(10)
Figure 2005146253
{式中、Xはハロゲン原子又はスルホニルオキシ基である。}
で示されるアリル基含有化合物とを反応させて下記式(11)
Figure 2005146253
〔式中、A、R、n及びmは、それぞれ前記式(8)におけるものと同義であり、Wは下記式(12)
Figure 2005146253
{式中、R、R、及びqは、それぞれ前記式(3)におけるものと同義である。}
で示される基である。〕
で表される多環式アリル化合物を得る工程、及び
(c) 前記工程(b)で得られた多環式アリル化合物を酸化する工程。
〔8〕 下記式(11)
Figure 2005146253
{式中、Aは多環式炭化水素化合物から誘導される2〜6価の基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基、またはフッ素原子であり、nは0〜2の整数であり、mは2〜4の整数であり、Wは下記式(12)
Figure 2005146253
(式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、qは0〜4の整数である。)
で示される基である。}
で表される多環式アリル化合物。
ここで、上記の一般式で示される各化合物において、R〜R、A、Y、X、Z、Wの各基は、分子内でこれらが複数結合している場合、それぞれが同一の基であっても良いし、異なる基であっても良い。
従来、接着剤や封止剤の原料には、オキセタニル基やエポキシ基を有する水添ビスフェノールA型などの脂肪族系の硬化性化合物や、オキセタニル基やエポキシ基を有するビスフェノールA型やノボラック型などの芳香族系の硬化性化合物が使用されている。前者から得られる硬化体は耐熱性が低い問題がある。後者から得られる硬化体は、耐光性が低い問題がある。後者から得られる硬化体は、特に短波長領域における透明性が低いため、紫外線の照射により経時により着色したり、機械的な物性が低下する。さらには硬化体の屈折率が低い等の問題がある。
これに対し、本発明の硬化性多環式化合物から得られる硬化体は、これらの問題が少ない。
本発明の硬化性多環式化合物は、光学物性、耐熱性、耐光性に優れた硬化体を与え、しかも硬化時の体積収縮が小さい特徴を有する。したがって、該化合物は各種プラスチック基板原料、コーティング材原料、接着剤原料、封止剤原料等に好適に使用できる。
本発明の硬化性組成物の硬化体は、耐光性、耐熱性等に優れ、発光ダイオードに対する密着性が高い。このため、本発明の硬化性組成物は近紫外LED、白色LED等の短波長LED等の封止剤として好適である。
本発明の硬化性多環式化合物は、前記式(1)で表されるように、多環式炭化水素骨格の炭素原子に基−Yで示されるオキセタニル基及び/またはエポキシ基が結合している。基−Yはエーテル結合を有する化学構造をしているので、通常の化学反応を利用して該化合物を容易に製造出来る。
前記式(1)中のAは、多環式炭化水素化合物から誘導される2〜6価の基である。基Aとしては、アダマンタン、ノルボルナン、ビシクロオクタン、ビシクロノナン、テトラヒドロジシクロペンタジエン、1−エチルアダマンタン、1−エチルノルボルナン、1−エチルビシクロオクタン、1−エチルビシクロノナン、1−エチルテトラヒドロジシクロペンタジエン、5,7−ジメチルアダマンタン、1,4−ジメチルノルボルナン、1,5−ジメチルビシクロオクタン、1,5−ジメチルビシクロノナン、1,5−ジメチルテトラヒドロジシクロペンタジエン、1−フルオロアダマンタン、1−フルオロノルボルナン、1−フルオロビシクロオクタン、1−フルオロビシクロノナン、1−フルオロテトラヒドロジシクロペンタジエン、1−トリフルオロメチルアダマンタン、1−トリフルオロメチルノルボルナン、1−トリフルオロメチルビシクロオクタン、1−トリフルオロメチルビシクロノナン、1−トリフルオロメチルテトラヒドロジシクロペンタジエン、1,3−ジフルオロアダマンタン、1,4−ジフルオロノルボルナン、1,5−ジフルオロビシクロオクタン、1,5−ジフルオロビシクロノナン、1,5−ジフルオロテトラヒドロジシクロペンタジエン等から誘導される2〜6価の基が挙げられる。
特に、剛直な骨格を有するアダマンタンから誘導される2〜6価の基が好ましい。なお、ここで多環式炭化水素化合物から誘導される2〜6価の基とは、多環式炭化水素化合物の水素原子の2〜6個が多環式炭化水素骨格から脱離して、この部分が結合手(遊離原子価)となったものを意味する。結合手の骨格上の位置は特に限定されない。
前記式(1)中のRは、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基、またはフッ素原子を意味する。当該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等を挙げることができる。パーフルオロアルキル基としては、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロブチル基等を挙げることができる。これらの中でも、式(1)の化合物の合成し易さの点からRはメチル基が好ましい。また、式(1)の化合物の分子内に存在するRの数を表すnは0〜2の整数である。式(1)の化合物の合成のし易さ、及びこれを硬化させて得られる硬化体の耐熱性の良さから、nは2が好ましい。
nが2の場合、2つのRは同一でも、互いに異なっていてもよい。合成のし易さから、2つのRは同一であることが好ましい。
nが1又は2のとき、Rの結合位置は、オキセタニル基もしくはエポキシ基が結合している位置以外の位置であれば特に制限がない。
前記式(1)中のYは、前記式(2)もしくは(3)で示される基を示す。なお、前記式(2)におけるRおよびR、並びに前記式(3)におけるRおよびRは、それぞれ独立して水素原子、フッ素原子または炭素数1〜4のアルキル基である。当該炭素数1〜4のアルキル基は、前記置換基Rと同義である。
また、Rは、メチル基またはエチル基である。
pおよびqは0〜4の整数である。式(1)の化合物を合成する際の合成の容易さ、耐熱性の良さからp、qは0または1の整数が好ましく、0がより好ましい。また、結合する基−Yの数を表すmは2〜4の整数である。得られる硬化体の耐熱性の高さ、及び可とう性の高さの観点から、mは2または3が好ましく、mは2がより好ましい。基−Yの結合位置は少なくとも2個の基−Yが橋頭位の炭素に結合していることが好ましく、mが3又は4のとき、残りの基−Yの結合位置は特に制限がない。
前記式(2)において、Rはメチル基またはエチル基である。
前記式(1)で示される硬化性多環式化合物の好適な具体的としては、1,3−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]アダマンタン、2,5−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ノルボルナン、2,6−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ビシクロオクタン、2,7−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ビシクロノナン、2,7−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]テトラヒドロジシクロペンタジエン、5,7−ジメチル−1,3−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]アダマンタン、1,4−ジメチル−2,5−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ノルボルナン、1,5−ジメチル−2,6−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ビシクロオクタン、1,5−ジメチル−2,7−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ビシクロノナン、1,5−ジメチル−2,7−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]テトラヒドロジシクロペンタジエン、1,3,5−トリス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]アダマンタン、2,3,5−トリス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ノルボルナン、2,4,6−トリス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ビシクロオクタン、2,4,7−トリス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ビシクロノナン、2,5,7−トリス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]テトラヒドロジシクロペンタジエン、1,3−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル]アダマンタン、2,5−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル]ノルボルナン、2,6−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル]ビシクロオクタン、2,7−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル]ビシクロノナン、2,7−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル]テトラヒドロジシクロペンタジエン、1,3,5−トリス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル]アダマンタン、2,3,5−トリス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル]ノルボルナン、2,4,6−トリス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル]ビシクロオクタン、2,4,7−トリス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル]ビシクロノナン、2,5,7−トリス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル]テトラヒドロジシクロペンタジエン等のオキセタニル基を有する多環式炭化水素化合物を挙げることができる。
更に、1,3−ビス(グリシジルオキシ)アダマンタン、2,5−ビス(グリシジルオキシ)ノルボルナン、2,6−ビス(グリシジルオキシ)ビシクロオクタン、2,7−ビス(グリシジルオキシ)ビシクロノナン、2,7−ビス(グリシジルオキシ)テトラヒドロジシクロペンタジエン、5,7−ジメチル−1,3−ビス(グリシジルオキシ)アダマンタン、1,4−ジメチル−2,5−ビス(グリシジルオキシ)ノルボルナン、1,5−ジメチル−2,6−ビス(グリシジルオキシ)ビシクロオクタン、1,5−ジメチル−2,7−ビス(グリシジルオキシ)ビシクロノナン、1,5−ジメチル−2,7−ビス(グリシジルオキシ)テトラヒドロジシクロペンタジエン、1,3,5−トリス(グリシジルオキシ)アダマンタン、2,3,5−トリス(グリシジルオキシ)ノルボルナン、2,4,6−トリス(グリシジルオキシ)ビシクロオクタン、2,4,7−トリス(グリシジルオキシ)ビシクロノナン、2,5,7−トリス(グリシジルオキシ)テトラヒドロジシクロペンタジエン、1,3−ビス(グリシジルオキシメチル)アダマンタン、2,5−ビス(グリシジルオキシメチル)ノルボルナン、2,6−ビス(グリシジルオキシメチル)ビシクロオクタン、2,7−ビス(グリシジルオキシメチル)ビシクロノナン、2,7−ビス(グリシジルオキシメチル)テトラヒドロジシクロペンタジエン、1,3,5−トリス(グリシジルオキシメチル)アダマンタン、2,3,5−トリス(グリシジルオキシメチル)ノルボルナン、2,4,6−トリス(グリシジルオキシメチル)ビシクロオクタン、2,4,7−トリス(グリシジルオキシメチル)ビシクロノナン、2,5,7−トリス(グリシジルオキシメチル)テトラヒドロジシクロペンタジエン等のエポキシ基を有する多環式炭化水素化合物を挙げることができる。
これらのなかでも、製造が容易であること及び高い耐熱性の硬化体が得られることから、特に1,3−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]アダマンタン、2,5−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ノルボルナン、2,6−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ビシクロオクタン、2,7−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ビシクロノナン、2,7−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]テトラヒドロジシクロペンタジエン、1,3,5−トリス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]アダマンタン、2,3,5−トリス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ノルボルナン、2,4,6−トリス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ビシクロオクタン、2,4,7−トリス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ビシクロノナン、2,5,7−トリス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]テトラヒドロジシクロペンタジエン等のオキセタニル基を有する多環式炭化水素化合物、1,3−ビス(グリシジルオキシ)アダマンタン、2,5−ビス(グリシジルオキシ)ノルボルナン、2,6−ビス(グリシジルオキシ)ビシクロオクタン、2,7−ビス(グリシジルオキシ)ビシクロノナン、2,7−ビス(グリシジルオキシ)テトラヒドロジシクロペンタジエン、1,3,5−トリス(グリシジルオキシ)アダマンタン、2,3,5−トリス(グリシジルオキシ)ノルボルナン、2,4,6−トリス(グリシジルオキシ)ビシクロオクタン、2,4,7−トリス(グリシジルオキシ)ビシクロノナン、2,5,7−トリス(グリシジルオキシ)テトラヒドロジシクロペンタジエン等のエポキシ基を有する多環式炭化水素化合物が好ましい。
式(1)で示される本発明硬化性多環式化合物のうちでも、下記式(4)で示される、アダマンタン骨格を有し、且つオキセタニル基又はエポキシ基を有する化合物は合成の容易さ、物性の良好さ等の点で特に好ましい化合物である。
Figure 2005146253

式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基、またはフッ素原子であり、aは0〜2の整数であり、bは0〜2の整数である。
Yは下記式(2)
Figure 2005146253
で表される基または、下記式(3)
Figure 2005146253
で示される基である。なお、式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または炭素数1〜4のアルキル基である。Rは、メチル基またはエチル基である。p、qは0〜4の整数である。
前記式(4)で示される硬化性アダマンタン化合物の中でもp及びqが全て0である硬化性アダマンタン化合物が合成の容易さ、物性の良好さ等の点で好適である。好適な化合物を具体的に例示すれば、1,3−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]アダマンタン、5,7−ジメチル−1,3−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]アダマンタン、1,3,5−トリス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]アダマンタン等のオキセタニル基を有するアダマンタン化合物、1,3−ビス(グリシジルオキシ)アダマンタン、5,7−ジメチル−1,3−ビス(グリシジルオキシ)アダマンタン、1,3,5−トリス(グリシジルオキシ)アダマンタン等のエポキシ基を有するアダマンタン化合物を挙げることができる。
これらのなかでも、得られる硬化体の耐熱性が高く、かつ製造が容易であることから、特に1,3−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]アダマンタン、1,3,5−トリス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]アダマンタン等のオキセタニル基を有するアダマンタン化合物、1,3−ビス(グリシジルオキシ)アダマンタン、1,3,5−トリス(グリシジルオキシメチル)アダマンタン等のエポキシ基を有するアダマンタン化合物を挙げることができる。
本発明の硬化性多環式化合物の製造方法は特に制限されないが、次の方法により好適に製造することができる。
(第1の製造方法)
第1の製造方法は、
(a) 下記式(9)
Figure 2005146253
{式中、A、R、n及びmは、それぞれ前記式(8)におけるものと同義であり、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、rは0〜4の整数である。}
で表される、少なくとも2つの水酸基を有する多環式ヒドロキシ化合物を金属アルコラート化し、次いで脱離基を有するオキセタン化合物あるいはエポキシ化合物と反応させることにより本発明の硬化性多環式化合物を得ることができる。
ここで、脱離基は求核試薬、特に本発明の場合はアルコラートアニオンと反応してアニオンとして脱離する基であれば特に限定されない。一般的には、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のようなハロゲン原子、ベンゼンスルホニルオキシ基、p-トルエンスルホニルオキシ基、p−臭化ベンゼンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等のスルホニルオキシ基が使用できる。
上記式(9)で表される原料化合物を具体的に例示すると、1,3−アダマンタンジオール、2,5−ノルボルナンジオール、2,6−ビシクロオクタンジオール、2,7−ビシクロノナンジオール、2,7−テトラヒドロジシクロペンタジエンジオール、5−エチル−1,3−アダマンタンジオール、1−エチル−2,5−ノルボルナンジオール、1−エチル−2,6−ビシクロオクタンジオール、1−エチル−2,7−ビシクロノナンジオール、1−エチル−2,7−テトラヒドロジシクロペンタジエンジオール、5,7−ジメチル−1,3−アダマンタンジオール、1,4−ジメチル−2,5−ノルボルナンジオール、1,5−ジメチル−2,6−ビシクロオクタンジオール、1,5−ジメチル−2,7−ビシクロノナンジオール、1,5−ジメチル−2,7−テトラヒドロジシクロペンタジエンジオール、1,3,5−アダマンタントリオール、1,3,6−アダマンタントリオール、2,3,5−ノルボルナントリオール、2,4,6−ビシクロオクタントリオール、2,4,7−ビシクロノナントリオール、2,5,7−テトラヒドロジシクロペンタジエントリオール、7−エチル−1,3,5−アダマンタントリオール、1−エチル−2,3,5−ノルボルナントリオール、1−エチル−2,4,6−ビシクロオクタントリオール、1−エチル−2,4,7−ビシクロノナントリオール、1−エチル−2,5,7−テトラヒドロジシクロペンタジエントリオール、1,3,5,7−アダマンタンテトラオール、1,2,3,5−ノルボルナンテトラオール、1,2,4,6−ビシクロオクタンテトラオール、1,2,4,7−ビシクロノナンテトラオール、1,2,5,7−テトラヒドロジシクロペンタジエンテトラオール、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)アダマンタン、2,5−ビス(ヒドロキシメチル)ノルボルナン、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ビシクロオクタン、2,7−ビス(ヒドロキシメチル)ビシクロノナン、2,7−ビス(ヒドロキシメチル)テトラヒドロジシクロペンタジエン、1,3,5−トリス(ヒドロキシメチル)アダマンタン、1,3−ビス(ヒドロキシパーフルオロメチル)アダマンタン、2,5−ビス(ヒドロキシパーフルオロメチル)ノルボルナン、2,6−ビス(ヒドロキシパーフルオロメチル)ビシクロオクタン、2,7−ビス(ヒドロキシパーフルオロメチル)ビシクロノナン、2,7−ビス(ヒドロキシパーフルオロメチル)テトラヒドロジシクロペンタジエン等が挙げられる。
これらの式(9)で示される多環式ヒドロキシ化合物は、前記式(9)においてAがアダマンタンから誘導される基である場合は、アダマンタンあるいはアルキルアダマンタンを酸化する方法により簡単に製造することができる。
或いはハロゲン化アダマンタンを加水分解することにより式(9)の化合物を容易に得ることができる。
上記酸化する方法としては、特開昭42−16621号公報および特開平2−104553号公報に開示されているクロム酸酸化法、特開2000−219646号公報および特開2001−26563号公報に開示されているルテニウム化合物および次亜塩素酸塩を用いた酸化法、特開平8−38909号公報又は特開平9−327626号公報および特開平10−286467号公報に開示されているヒドロキシフタルイミドを触媒とした酸化法等が採用できる。
上記加水分解する方法としては特開平2−196744号公報および特開平3−118342号公報に開示されている臭素化アダマンタンの加水分解法等が採用できる。
前記式(9)においてAがノルボルナン、ビシクロオクタン、ビシクロノナンまたはテトラヒドロジシクロペンタジエンから誘導される基である場合は、Stand und Entwicklungstendenzen in der Chemie der Epoxydharze,Kunststoffe,Nos.3&4,1967に記載されているように、ノルボルネン、ビシクロオクテン、ビシクロノネン、ジシクロペンタジエンを原料として、水の酸性触媒的付加によって、アルコール体を合成することができる。
また、pが1〜4の場合にはアダマンタン等の多環式炭化水素化合物に、Journal of Medicinal Chemistry,Vol.18,No.7(1975)に記載されているように、95%濃硫酸中、三フッ化ホウ素エーテル錯体、発煙硫酸を反応させ、ジカルボキシル化した後、これを水素化リチウムアルミニウムのような還元剤で還元する方法がある。
或いは、Izvestia Akademii Nauk,Seriya Khimicheskaya,No.7,pp1612−1615(1992)に記載されているように、濃硫酸中でアダマンタン等の多環式炭化水素化合物に塩化ビニル、無水硫酸、濃硝酸を反応させることにより、ジメチルカルボキシル化し、次いでこれを水素化リチウムアルミニウムのような還元剤で還元すること等により容易に得ることができる。
上記の式(9)の多環式ヒドロキシ化合物の金属アルコラートと反応させる、脱離基を有するオキセタン化合物としては、例えば、3−アルキル−3−ヒドロキシメチルオキセタンのp−トルエンスルホン酸エステル等が挙げられる。該化合物の合成法については、スペイン特許第2073995号公報に開示されている。具体的には、3−アルキル−3−ヒドロキシメチルオキセタンにRSOCl(式中、Rはp−トリル基等を示す)で表されるスルホニルクロリド化合物を適当な塩基性化合物、例えばピリジン等の存在下、有機溶媒中で0℃〜室温(25℃)で反応させることにより容易に合成することができる。
また、脱離基を有するエポキシ化合物としては、例えば、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン等が挙げられる。
上記式(9)で示される多環式ヒドロキシ化合物のアルコラートは、溶媒中、塩基性化合物と反応させることによって製造できる。塩基性化合物としては、通常、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はこれら金属を含む有機金属化合物(以下、アルカリ金属等とも略する)が使用される。アルカリ金属等としては、ナトリウム等のアルカリ金属;水素化ナトリウム等のアルカリ金属水素化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ度類金属;メチルリチウム、ブチルリチウム等の有機金属化合物等が挙げられる。
上記塩基性化合物の使用量は式(9)中のmの数に応じて適宜決定すればよい。通常は、前記式(9)で示される多環式ヒドロキシ化合物に含まれる水酸基1モルに対して0.5〜5.0モル、特に1.0〜1.5モルを使用するのが好ましい。
上記反応に用いる溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。
これら溶媒の使用量は特に制限はないが、あまり少ないと反応性が低下し、あまり多いと経済的観点から好ましくないため、使用する多環式ヒドロキシ化合物の水酸基1モルに対して1〜500倍モル、好ましくは2〜300倍モル用いればよい。
反応温度は特に制限されないが、塩基性化合物としてアルカリ金属、またはアルカリ金属水素化物を使用する場合は0〜80℃、アルカリ金属水酸化物を使用する場合は30〜130℃が好ましい。また、反応時間は反応温度により異なるが、通常は1〜10時間程度である。
多環式ヒドロキシ化合物をアルコラート化した後、続いて脱離基を有するオキセタン化合物または脱離基を有するエポキシ化合物を添加することにより、本発明の硬化性多環式化合物を得ることが出来る。このとき脱離基を有するオキセタン化合物または脱離基を有するエポキシ化合物の使用量は製造しようとする式(9)で示される多環式化合物のmの数に応じて適宜決定すればよい。通常は前記式(9)で示される多環式ヒドロキシ化合物に含まれる水酸基1モルに対して0.5〜5.0モル、特に1.0〜1.5モルが好ましい。
上記反応の反応温度は特に制限されないが、0〜130℃が好ましい。また、必要に応じてオートクレーブ等の加圧装置を用いて反応を行ってもよい。また、反応時間は反応温度により異なるが、通常は1〜48時間程度である。なお、反応速度向上のため、よう化カリウム等の添加剤を使用してもよい。
前記反応後、反応液を塩酸等の酸で中和し、次いで適宜精製処理を行うことにより、本発明の硬化性多環式化合物(1)を得ることが出来る。
(第2の製造方法)
また、一般式(1)に示される硬化性多環式化合物において、Yが前記式(3)で示される基である多環式エポキシ化合物は、前記一般式(9)で示される多環式ヒドロキシ化合物をアルコラート化した後、続いて脱離基を有するアリル化合物を反応させ、次いで酸化剤を作用させることにより、得ることが出来る。
この第2の製造方法を更に詳しく説明する。この方法では、下記式(8)で示される多環式エポキシ化合物を製造する。
Figure 2005146253

前記式(8)において、A、R,n及びmは前記した一般式(1)におけるものと同義である。
また、前記式(8)におけるZは前記式(3)で示した下記の基である。
Figure 2005146253
式(8)の化合物の製造方法は、下記(a)〜(c)の工程を含んで成る。この製造方法は、工程(a)及び(b)で製造される新規な多環式アリル化合物を中間体とすることにより、目的化合物(8)を簡便に高収率かつ高純度で得ることが可能となる。以下、工程(a)〜(c)について詳しく説明する。
本発明の製造方法では、先ず始めに工程(a)で、下記式(9)で表される多環式ヒドロキシ化合物と、塩基性化合物、好適にはアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はこれら金属を含む有機金属化合物とを反応させてアルコラートを得る。
この方法は前記第1の製造方法で説明した方法に準じて行えばよい。
Figure 2005146253

なお、上記式(9)中のA、R、n及びmは、それぞれ前記式(8)におけるものと同義であり、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、rは0〜4の整数である。
本製造方法では、工程(b)において前記工程(a)で得られた多環式ヒドロキシ化合物のアルコラートと下記式(10)で示されるアリル基含有化合物とを反応させて下記式(11)で示される多環式アリル化合物を得る。
Figure 2005146253
Figure 2005146253
なお、上記式(10)において、Xはハロゲン原子又はスルホニルオキシ基である。また、上記式(11)において、A、R、n及びmは、それぞれ前記式(8)におけるものと同義であり、Wは下記式(12)で示される基である。
Figure 2005146253
{式中、R、R、及びqは、それぞれ前記式(3)におけるものと同義である。}
上記式(10)で示されるアリル基含有化合物は、試薬あるいは入手容易な工業原料が何ら制限なく使用できる。これらを具体的に例示すると、塩化ビニル、臭化ビニル、ヨウ化ビニル、塩化アリル、臭化アリル、ヨウ化アリル、ベンゼンスルホン酸アリル、トリフルオロメタンスルホン酸アリル、トルエンスルホン酸アリル、臭化ベンゼンスルホン酸アリル、メタンスルホン酸アリル等が挙げられる。入手しやすさ、操作性、反応性などを考慮すると、塩化アリル、臭化アリル、ヨウ化アリルが好適に使用される。
これらのアリル基含有化合物の使用量としては、アルコラートの原料である多環式ヒドロキシ化合物(9)に含まれる水酸基1モルに対して1モルあればよいが、残存する塩基性化合物の阻害などを考慮すると、特に1.0〜5.0モル、さらに好適には1.05モル〜3.0モルとなる量を使用するのが好ましい。多環式ヒドロキシ化合物(9)のアルコラートとアリル基含有化合物(10)を接触させる方法としては、発熱などを考慮して、アリル基含有化合物を多環式ヒドロキシ化合物のアルコラートに滴下するか、逆にアリル基含有化合物(10)に多環式炭化水素ヒドロキシ化合物(9)のアルコラートを滴下する方法が好ましい。即ち、何れか一方を他方に滴下する方法が好ましい。滴下時の温度は特に制限はないが、あまり高いと不純物が多く生成し、あまり低いと反応速度が低下する。通常−40℃〜100℃、好ましくは−30℃〜90℃で滴下することが好ましい。この反応の反応時間は、反応温度により異なるが、通常は滴下終了から0.5〜10時間程度である。
このようにして得られた多環式アリル化合物は水洗した後、溶媒留去等の操作を経て、液体状態で得られる。この粗多環式アリル化合物はそのまま使用してもよいが、蒸留、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどにより精製することが好ましい。
得られた多環式アリル化合物は、目的物である多環式エポキシ化合物の直接的な原料となる化合物(中間体)である。中間体と目的物との相違は式(8)における基−Zが基−Wに変わっただけ(より具体的には基Zのエポキシ基がビニル基に変わっただけ)である。したがって、上記多環式アリル化合物における、A、R、R、R、m、n、及びqには前記式(8)と同じである。
式(11)で示される多環式アリル化合物のうち好適な化合物を具体的に例示すると、1,3−ビス(2−プロペニルオキシ)アダマンタン、2,5−ビス(2−プロペニルオキシ)ノルボルナン、2,6−ビス(2−プロペニルオキシ)ビシクロオクタン、2,7−ビス(2−プロペニルオキシ)ビシクロノナン、2,7−ビス(2−プロペニルオキシ)テトラヒドロジシクロペンタジエン、5,7−ジメチル−1,3−ビス(2−プロペニルオキシ)アダマンタン、1,4−ジメチル−2,5−ビス(2−プロペニルオキシ)ノルボルナン、1,5−ジメチル−2,6−ビス(2−プロペニルオキシ)ビシクロオクタン、1,5−ジメチル−2,7−ビス(2−プロペニルオキシ)ビシクロノナン、1,5−ジメチル−2,7−ビス(2−プロペニルオキシ)テトラヒドロジシクロペンタジエン、1,3,5−トリス(2−プロペニルオキシ)アダマンタン、2,3,5−トリス(2−プロペニルオキシ)ノルボルナン、2,4,6−トリス(2−プロペニルオキシ)ビシクロオクタン、2,4,7−トリス(2−プロペニルオキシ)ビシクロノナン、2,5,7−トリス(2−プロペニルオキシ)テトラヒドロジシクロペンタジエン、1,3−ビス(2−プロペニルオキシメチル)アダマンタン、2,5−ビス(2−プロペニルオキシメチル)ノルボルナン、2,6−ビス(2−プロペニルオキシメチル)ビシクロオクタン、2,7−ビス(2−プロペニルオキシメチル)ビシクロノナン、2,7−ビス(2−プロペニルオキシメチル)テトラヒドロジシクロペンタジエン、1,3,5−トリス(2−プロペニルオキシメチル)アダマンタン、2,3,5−トリス(2−プロペニルオキシメチル)ノルボルナン、2,4,6−トリス(2−プロペニルオキシメチル)ビシクロオクタン、2,4,7−トリス(2−プロペニルオキシメチル)ビシクロノナン、2,5,7−トリス(2−プロペニルオキシメチル)テトラヒドロジシクロペンタジエン等を挙げることができる。
本発明方法においては、工程(c)で上記多環式アリル化合物を酸化し、基−Wのビニル基をエポキシ基に転化させて基−Zとすることにより目的の多環式エポキシ化合物を得る。
酸化方法としては、溶媒中、過酢酸、過安息香酸、m−クロロ過安息香酸等の過酸やジメチルジオキシラン等の過酸化物のような有機過酸化物を用いて酸化する方法や、酸素酸化、クロム酸酸化がある。反応率や触媒の使用有無の観点から、有機過酸化物が簡便であり、これらの中でも、入手の容易さ、安全上の観点からm−クロロ過安息香酸が特に好ましい。使用する有機過酸化物の使用量としては多環式アリル化合物に含まれるアリル基1モルに対して1モルあればよいが、通常は1モル〜5モル、好ましくは1.05モル〜3.0モルあればよい。上記反応に用いる溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化物溶媒;ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。これら溶媒の使用量は特に制限はないが、あまり少ないと反応性が低下し、あまり多いと不経済であるため、使用する多環式アリル化合物の質量の1〜500倍、好ましくは2〜300倍の質量の溶媒を用いればよい。この反応の反応温度は、特に制限はないが、あまり温度が高いと不純物が増加し、あまり温度が低いと反応速度が低下する。通常−10℃〜100℃、好ましくは0℃〜60℃である。この反応の反応時間は、反応温度や加える有機過酸化物量により異なるが、通常は5〜100時間程度である。
このようにして得られた多環式エポキシ化合物(8)は水洗、溶媒留去を経て得られる。得られた粗多環式エポキシ化合物はそのままでも純度が高いが、蒸留、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどにより精製することにより、さらに高純度の多環式エポキシ化合物が得られる。
本発明の硬化性多環式化合物(1)は、多環式炭化水素骨格を有しているため優れた光学特性及び耐熱性を有する硬化体を与える。更に、本発明の硬化性多環式化合物(1)はオキセタン基もしくはエポキシ基が多環式炭化水素骨格に導入されているので、重合時の体積収縮が小さいという特徴を有する。このため、発光ダイオード用封止剤の用途に、特に好ましい。
特開2003−73452号公報には、ビスフェノールAあるいは水添ビスフェノールAとエピクロロヒドリンを反応させてビスフェノールA型エポキシ樹脂や水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂を製造する場合、得られる樹脂中に残留する塩素分が50000ppmになることが記載されている。
硬化性多環式化合物がハロゲン分子またはハロゲンイオンを多量に含有する場合、これを硬化させて得られる樹脂は耐熱性、耐光性が極度に低下する。
従って、ハロゲン分子またはハロゲンイオンを多量に含有する硬化性多環式化合物を封止剤などの用途に使用すると、樹脂の劣化が起り、安定に使用できない。
本発明の硬化性多環式化合物は、製造条件を選択し、精製をすることにより、不純物として含まれるハロゲン分子またはハロゲンイオンの含有量を100〜2000ppmに、好適には200〜2000ppmに低減できる。従って、本発明の硬化性多環式化合物は封止剤等の耐熱性、耐候性を要求される用途に適する。
本発明の硬化性多環式化合物の不純物として含まれるハロゲン分子またはハロゲンイオンの分析方法は、公知の方法を採用できる。ISO4583の可けん化塩素定量法による有機塩素含量の定量方法や、ISO4573の方法により無機塩素含量の定量方法等が挙げられる。
本発明の硬化性多環式化合物は、各種プラスチック基板原料、コーティング材原料、接着剤原料、封止剤原料等に好適に使用することができる。該硬化性多環式化合物は単独重合することにより、上記の特性を生かした硬化物を与える。
本発明の硬化性多環式化合物は、本発明の硬化性多環式化合物と反応可能な他の硬化性化合物(以下、共反応剤と称す)と混合して硬化性混合物とし、これを共重合させて硬化体を得ても良い。
該共反応剤は、本発明の硬化性多環式化合物と反応可能なものであれば特に限定されず、目的とする硬化体の用途に応じて必要な物性を与える共反応剤を適宜選択して使用すれば良い。このような目的で使用できる共反応剤としてはオキセタン化合物、エポキシ化合物、カチオン重合性モノマーを挙げることが出来る。具体的に例示すれば、キシリレンジオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン等のオキセタン化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のビスフェノールA型エポキシ化合物;ビスフェノールFジグリシジルエーテル等のビスフェノールF型エポキシ化合物、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル等の水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、シリコーン系エポキシ化合物等のエポキシ化合物;イソブチルビニルエーテル、N−ビニルカルバゾール、p−メトキシスチレン、イソブテン等のカチオン重合性モノマーを挙げることが出来る。これらの共反応剤は1種又は2種以上を混合して使用できる。
硬化性混合物の組成も目的に応じて適宜決定すればよいが、本発明の硬化性多環式化合物を用いることによる物性改良を目的とする場合は、硬化性混合物の総質量を基準として、該硬化性多環式化合物を10〜98質量%、特に20〜95質量%(残部が共反応剤となる。)配合することが好ましい。
(硬化剤)
該硬化性多環式化合物、或いはこれと共反応剤とを混合した硬化性混合物を硬化させて硬化体を得る方法は特に制限されず、公知の方法を採用することができる。
該硬化性多環式化合物又は硬化性混合物は、充填剤、カップリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、帯電防止剤、染料、顔料、香料等の各種添加剤や安定剤を必要に応じて混合して、硬化体とすることができる。これらの配合量は、常法に従う。
オキセタニル基を有する硬化性多環式化合物は、硬化剤を必要に応じて使用して、カチオン重合により硬化させることが出来る。
また、エポキシ基を有する硬化性多環式化合物は、硬化剤を必要に応じて使用して、カチオン重合、又はアニオン重合等により硬化させることが出来る。
ここで、硬化剤とは、オキセタニル基またはエポキシ基と化学反応する官能基を有する化合物であって、オキセタニル基またはエポキシ基を有する化合物と反応して硬化体を形成する化合物を意味する。
硬化剤としては、通常のオキセタニル化合物またはエポキシ化合物の硬化に使用されるものが制限無く使用でき、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ノボラック樹脂等のフェノール誘導体;無水フタル酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸、3−メチルテトラヒドロ無水フタル酸等の酸無水物;m−フェニレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等のアミン化合物;ポリアミド等が挙げられる。これらの中でも酸無水物が特に好ましい。
硬化剤の好ましい使用量は、該硬化性多環式化合物のオキセタニル基またはエポキシ基1モル当たり、オキセタニル基またはエポキシ基と反応する硬化剤の官能基が0.6〜1.5モルとなる量であり、さらに好ましくは、0.8〜1.2モルである。オキセタニル基またはエポキシ基に対する該硬化剤の官能基の割合が、0.6未満あるいは1.4を越える場合は、得られる硬化体の強度、耐水性が低下し易い。
カチオン重合開始剤としては、通常のオキセタニル基またはエポキシ基を有する化合物の硬化に使用されるものが制限無く使用できる。例えばトリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、クロルスルホン酸等のプロトン酸;三フッ化ホウ素、四塩化スズ、塩化鉄、五フッ化リン、五フッ化ヒ素、五フッ化アンチモン等のルイス酸とプロトン酸、水、アルコール等のカチオン源との組み合わせから選ばれる開始剤;ヨウ素等のカチオン生成物;ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート等のジアリールヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート等のトリアリールスルホニウム塩等の光カチオン開始剤等が挙げられる。カチオン開始剤の好ましい使用量は、硬化性多環式化合物のオキセタニル基またはエポキシ基1モル当たり、0.01〜10モルであり、さらに好ましくは、0.2〜5モルである。
アニオン重合開始剤としては、通常のエポキシ化合物の硬化に使用されるものが何ら制限無く使用できる。例えばジブチルメチルアミン、ジウンデシルメチルアミン等の第3級アミン等が挙げられる。アニオン重合開始剤の好ましい使用量は、本発明の硬化性多環式化合物のエポキシ基1モル当たり、エポキシ基と反応する重合開始剤の官能基が0.01〜10モルとなる量であり、さらに好ましくは、0.2〜5モルである。
上記硬化剤には、上記成分以外の成分を含んでいても良い。特にすばやく硬化体を得るという観点から、硬化促進剤を含有することが好ましい。硬化促進剤は特に硬化剤と組み合わせて用いることが有効であり、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、ベンジルジメチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7等の3級アミン、またはこれらの有機酸塩、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール、またはこれらの有機酸塩、オクチル酸スズ等の有機酸金属塩、3フッ化ホウ素アミン塩、4級りん酸塩等が挙げられる。これらのなかでも、耐光性の点から、テトラブチルフォスフォニウムジエチルフォスフォロジチオエート等の4級リン酸塩が好適である。硬化促進剤の好ましい使用量は、硬化性多環式化合物100質量部当たり、0.1〜5質量部である。
本発明において、上記硬化性組成物として特に好ましいのは、後述するように硬化性多環式化合物として、前記式(4)で表される同化合物において、Yで示される基が式(3)で表される基である化合物(エポキシ含有アダマンタン化合物)を用いたものである。以下、このエポキシ含有アダマンタン化合物を用いた硬化性組成物の具体的態様について説明する。
この硬化性組成物には、密着性、電気特性、製造作業性等を向上させるために、エポキシ基含有アダマンタン化合物以外のエポキシ化合物(他のエポキシ化合物)を添加してもよい。当該他のエポキシ化合物としては、公知のものを特に制限なく用いることができる。好適に使用できる他のエポキシ化合物を例示すれば、ビスフェノールAグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAグリシジルエーテル、ビスフェノールCグリシジルエーテル、テトラグリシジルベンゾフェノン、ジグリシジルビスフェノールF、トリグリシジル−p−アミノフェノール、ノボラック型エポキシ等のフェノール型グリシジルエーテル類;ジグリシジルシクロヘキサン1,3−ジカルボキシレート、水添ビスフェノールAグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAグリシジルエーテル等の脂環式グリシジルエーテル類;ビニルシクロヘキセンジオキシド、7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−イルメチル−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボキシレート等の脂環式エポキシ類;フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ジグリシジル−p−オキシ安息香酸等のグリシジルエステル類等を挙げることができる。
これら他のエポキシ化合物の中でも、耐光性の良い点から脂環式のエポキシ化合物が好ましい。例示すれば、水添ビスフェノールAグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAグリシジルエーテル等の脂環式グリシジルエーテル類;ビニルシクロヘキセンジオキシド、7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−イルメチル−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボキシレート等の脂環式エポキシ類が挙げられる。特に、3,4−エポキシシクロヘキシル基を有する脂環式エポキシが好ましくい。例示すれば、7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−イルメチル−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボキシレートが挙げられる。
これら他のエポキシ化合物の含有量は特に限定されないが、耐光性、耐熱性の良さの観点からエポキシ基含有アダマンタン化合物100質量部に対して1〜1000質量部が好適である。
さらに、この硬化性組成物には、必要に応じて、ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサン等のシリコーン化合物、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム等の充填剤、界面活性剤、レベリング剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ヒンダードアミン、ヒンダードフェノール系等の耐光性、耐熱性の安定剤等を添加し、硬化後の特性を改良することもできる。これら添加剤の添加量は特に限定されないが、エポキシ基含有アダマンタン化合物及び他のエポキシ化合物の総量100質量部に対して1〜1000質量部、特に20〜500質量部が好ましい。
(硬化性組成物)
以下、特にLED素子の封止剤として優れた硬化性組成物につき説明する。
この硬化性組成物は、本発明の硬化性多環式化合物(後述するオリゴマーも含む)、好適にはエポキシ基含有アダマンタン化合物および硬化剤、さらには必要に応じて前記した各種任意成分を混合することにより得られる。その混合方法としては、硬化性多環式化合物がエポキシ基含有アダマンタン化合物の場合、一般には該エポキシ基含有アダマンタン化合物と硬化剤およびカチオン重合開始剤以外の任意成分とを均一混合した後、最後にカチオン重合開始剤を加え均一混合することが好ましい。
得られた組成物を予め減圧下に保って脱泡することより、得られる硬化体の透明性が高まる。
上記硬化性組成物は、耐光性、耐熱性等に優れるという特徴を有するため、LED素子の封止剤として好適に使用できる。硬化性組成物をLED素子の封止に使用する方法は、特に制限はない。一般には、あらかじめパッケージにLED素子をダイボンディングし、パッケージから延びる一対のリード線をLED素子に差し込むことによりプラスチック製型内にLED素子を固定し、パッケージに本発明の硬化性組成物を注入した後、熱または光照射により該組成物を硬化させて封止する方法が挙げられる。
組成物を熱硬化させる場合の加熱方法としては、組成物を加熱オーブン中に一定時間静置する方法、ベルトコンベヤー等に載置して加熱ゾーン(例えばヒーター板上)を通過させる方法等がある。該組成物をLEDの封止剤として使用し、これを硬化させる場合、加熱温度はLED素子がダメージを受けない範囲であれば特に制限はないが、20〜250℃が好ましく、80〜200℃がより好ましい。加熱時間は5分〜48時間が好ましい。また、光照射により硬化させる場合、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ等の公知の光源を用いることが出来る。その際の光源、光照射量、照射時間は、用いる硬化性組成物の組成に応じて適宜選択すればよい。
(オリゴマー)
互いに同一または異なっていてもよい2乃至4分子の本発明の硬化性多環式化合物が、下記に説明するように、重合又は縮合した構造を有する化合物(該化合物は2乃至4量体と見ることもできるので、以下、オリゴマーともいう。)も本発明の硬化性多環式化合物と同様に優れた硬化体を与える。これらのオリゴマーは各種プラスチック基板原料、コーティング材原料、接着剤原料、封止剤原料等に好適に使用することができる。
上記オリゴマーは、一般にモノマーを出発原料としてアルコールと付加重合して製造されるFusion法、Advanced法、あるいは二段反応法といわれる方法、または次のような方法により容易に製造することができる。即ち、下記式(9)
Figure 2005146253

{式中、A、R、n、及びmは、それぞれ前記式(8)におけるものと同義であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、rは0〜4の整数である。}
で表される、少なくとも2つの水酸基を有する多環式ヒドロキシ化合物(9)と塩基性化合物、脱離基を有するオキセタン化合物あるいはエポキシ化合物とを同時に反応させることにより得ることができる。
塩基性化合物としては、ナトリウム等のアルカリ金属;水素化ナトリウム等のアルカリ金属水素化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物等が挙げられる。上記塩基性化合物の使用量は特に制限されないが、前記式(9)で示される多環式炭化水素化合物に含まれる水酸基1モルに対して1.0〜5.0モル、特に1.5〜3.0モルとなる量を使用するのが好ましい。
脱離基を有するオキセタン化合物としては、3−アルキル−3−ヒドロキシメチルオキセタンのp−トルエンスルホン酸エステル等が例示できる。該化合物の合成法は、スペイン特許第2073995号公報に開示されている。
具体的には、3−アルキル−3−ヒドロキシメチルオキセタンにRSOCl(式中、Rはp−トリル基等を示す)で表されるスルホニルクロリド化合物を適当な塩基性化合物、例えばピリジン等の存在下、有機溶媒中0℃〜室温(25℃)で反応させることにより、該化合物を容易に合成することができる。
脱離基を有するエポキシ化合物としては、例えば、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン等が挙げられる。
上記反応に用いる溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。
上記反応における各化合物の仕込み方法は、前記式(9)の化合物、上記塩基性化合物および脱離基を有するオキセタン化合物または脱離基を有するエポキシ化合物、溶媒を同時に添加することにより行われる。
反応温度は特に制限されないが、0〜130℃が好ましい。また、必要に応じてオートクレーブ等の加圧装置を用いて反応を行ってもよい。
反応時間は反応温度により異なるが、通常は1〜48時間程度が好ましい。反応速度向上のため、よう化カリウム等の添加剤を使用してもよい。
反応終了後、反応液を塩酸等の酸で中和し、さらに精製処理を行うことにより、前記オリゴマーを得ることが出来る。
式(6)、(7)にこれらオリゴマーの一般式の例を示す。
Figure 2005146253
{式中、A、R、R、R、n、及びpは前記式(1)におけるものと同義であり、sは1〜3の整数である。}
Figure 2005146253
{式中、A、R、R、R、n、及びqは前記式(1)におけるものと同義であり、s'は1〜3の整数である。}
上記オリゴマーとして好適なものを例示すれば次のようなものを挙げることができる。
Figure 2005146253
Figure 2005146253
Figure 2005146253
Figure 2005146253
Figure 2005146253
Figure 2005146253
Figure 2005146253
Figure 2005146253
Figure 2005146253
Figure 2005146253
Figure 2005146253
(式中、sは1〜3の整数である。)

実施例
以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
〔1,3−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]アダマンタンの合成〕
窒素雰囲気下、1,3−アダマンタンジオール16.8g(0.1mol)、水素化ナトリウム5.3g(0.22mol)を含む脱水テトラヒドロフラン300mlを、還流温度で2時間攪拌した。これに3−エチル−3−p−トルエンスルホニルオキシメチルオキセタン56.4g(0.22mol)を滴下した。よう化カリウム36.5g(0.22mol)を加えて、混合物を還流温度で12時間攪拌した。その後、反応液にクロロホルム200mlを更に加え、これを水洗した後、クロロホルム層を硫酸マグネシウムで乾燥した。
溶媒を減圧留去して白色固体および油状物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、白色固体および油状物2.39g(収率は7.1%)を得た。この化合物について、MASS分析、H−NMR分析および元素分析を行った。得られた測定結果から、目的物である1,3−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]アダマンタンが確認された。測定結果を以下に示す。
MASS(EI):分子量336(M
H−NMR(TMS標準):δ1.1−2.0(m、20H)、2.6−4.1(m、12H).
元素分析:C2032として
計算値: C;71.39 H;9.59
実測値: C;71.76 H;9.63
ISO4583記載による可けん化塩素定量法およびISO4573記載による方法により、該化合物の無機塩素含量を測定した。結果は、有機塩素含量が210ppm、無機塩素含量が10ppm、合計塩素含量が220ppmであった。
実施例2
2,5−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ノルボルナンの合成
窒素雰囲気下、2,5−ノルボルナンジオール12.8g(0.1mol)、水素化ナトリウム5.3g(0.22mol)を含む脱水テトラヒドロフラン300mlを、還流温度で2時間攪拌した。これに3−エチル−3−p−トルエンスルホニルオキシメチルオキセタン56.4g(0.22mol)を滴下し、よう化カリウム36.5g(0.22mol)を加えて、還流温度で12時間攪拌した。反応混合物にクロロホルム200mlを加え、クロロホルム層を水洗した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して白色固体および油状物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、白色固体および油状物1.39g(収率は4.7%)を得た。この化合物について、MASS分析、H−NMR分析および元素分析を行った。得られた結果から、目的物である2,5−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ノルボルナンが確認された。測定結果を以下に示す。
MASS(EI):分子量296(M
H−NMR(TMS標準):δ1.1−2.0(m、16H)、2.6−4.1(m、12H).
元素分析:C1728として
計算値: C;68.89 H;9.52
実測値: C;68.81 H;9.62
ISO4583記載による可けん化塩素定量法およびISO4573記載による方法により、この化合物の無機塩素含量の定量を行った。結果は、有機塩素含量が230ppm、無機塩素含量が19ppm、合計塩素含量が249ppmであった。
実施例3
〔5,7−ジメチル−1,3−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]アダマンタンの合成〕
1,3−アダマンタンジオール16.8g(0.10mol)の代わりに5,7−ジメチル−1,3−アダマンタンジオール19.6g(0.10mol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、白色固体および油状物2.70g(収率は7.4%)を得た。この化合物について、MASS分析、H−NMR分析および元素分析を行った結果、目的物である5,7−ジメチル−1,3−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]アダマンタンが確認された。測定結果を以下に示す。
MASS(EI):分子量364(M
H−NMR:δ1.1−2.0(m、24H)、2.6−4.1(m、12H).
元素分析:C2236として
計算値: C;72.49 H;9.95
実測値: C;72.87 H;9.88
ISO4583記載による可けん化塩素定量法およびISO4573記載による方法により、この化合物の無機塩素含量の定量を行った。その結果、有機塩素含量が410ppm、無機塩素含量が28ppm、合計塩素含量が438ppmであった。
実施例4
〔1,3,5−トリス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]アダマンタンの合成〕
1,3−アダマンタンジオール16.8g(0.10mol)の代わりに1,3,5−アダマンタントリオール18.4g(0.10mol)を用い、水素化ナトリウムの量を7.9g(0.33mol)、3−エチル−3−p−トルエンスルホニルオキシメチルオキセタンの量を84.6g(0.33mol)とした以外は実施例1と同様に操作して、白色固体および油状物1.92g(収率は4.4%)を得た。
この化合物について、MASS分析、H−NMR分析および元素分析を行った結果、目的物である1,3,5−トリス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]アダマンタンが確認された。
測定結果を以下に示す。
MASS(EI):分子量436(M
H−NMR:δ1.1−2.0(m、32H)、2.6−4.1(m、18H).
元素分析:C2540として
計算値: C;68.78 H;9.23
実測値: C;68.56 H;9.54
ISO4583記載による可けん化塩素定量法およびISO4573記載による方法により、この化合物の無機塩素含量の定量を行った。その結果、有機塩素含量が360ppm、無機塩素含量が40ppm、合計塩素含量が400ppmであった。
実施例5
〔1,3−ビス(グリシジルオキシ)アダマンタンの合成〕
窒素雰囲気下、1,3−アダマンタンジオール16.8g(0.10mol)、水素化ナトリウム5.3g(0.22mol)を含む脱水テトラヒドロフラン300mlを、還流温度で2時間攪拌した。これにエピクロルヒドリン20.4g(0.22mol)を滴下し、さらに還流温度で12時間攪拌した。反応混合物にクロロホルム200mlを加え、クロロホルム層を水洗した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して油状物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、油状物1.79g(収率は6.4%)を得た。
この化合物について、MASS分析、H−NMR分析および元素分析を行った結果、目的物である1,3−ビス(グリシジルオキシ)アダマンタンが確認された。測定結果を以下に示す。
MASS(EI):分子量280(M
H−NMR:δ1.1−2.5(m、14H)、2.5−4.1(m、10H).
元素分析:C1624として
計算値: C;68.54 H;8.63
実測値: C;68.22 H;8.85
ISO4583記載による可けん化塩素定量法およびISO4573記載による方法により、この化合物の無機塩素含量の定量を行った。その結果、有機塩素含量が600ppm、無機塩素含量が10ppm、合計塩素含量が610ppmであった。
実施例6
〔2,5−ビス(グリシジルオキシ)ノルボルナンの合成〕
窒素雰囲気下、2,5−ノルボルナンジオール12.8g(0.10mol)、水素化ナトリウム5.3g(0.22mol)を含む脱水テトラヒドロフラン300mlを、還流温度で2時間攪拌した。これにエピクロルヒドリン20.4g(0.22mol)を滴下し、さらに還流温度で12時間攪拌した。反応混合物にクロロホルム200mlを加え、クロロホルム層を水洗した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して白色固体および油状物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、白色固体および油状物1.20g(収率は5.0%)を得た。この化合物について、MASS分析、H−NMR分析および元素分析を行った。測定結果から、目的物である2,5−ビス(グリシジルオキシ)ノルボルナンが確認された。測定結果を以下に示す。
MASS(EI):分子量240(M
H−NMR:δ1.1−2.0(m、10H)、2.7−4.1(m、10H).
元素分析:C1320として
計算値: C;64.98 H;8.39
実測値: C;64.92 H;8.40
ISO4583記載による可けん化塩素定量法およびISO4573記載による方法により、この化合物の無機塩素含量を定量した。結果は、有機塩素含量が530ppm、無機塩素含量が27ppm、合計塩素含量が557ppmであった。
実施例7
〔5,7−ジメチル−1,3−ビス(グリシジルオキシ)アダマンタンの合成〕
1,3−アダマンタンジオール16.8g(0.10mol)の代わりに5,7−ジメチル−1,3−アダマンタンジオール19.6g(0.10mol)を用いた以外は実施例5と同様に操作し、白色固体および油状物2.13g(収率は6.9%)を得た。この化合物について、MASS分析、H−NMR分析および元素分析を行った。その結果、目的物である5,7−ジメチル−1,3−ビス(グリシジルオキシ)アダマンタンが確認された。測定結果を以下に示す。
MASS(EI):分子量308(M
H−NMR:δ1.1−2.0(m、18H)、2.7−4.1(m、10H).
元素分析:C1828として
計算値: C;70.10 H;9.15
実測値: C;70.35 H;9.03
ISO4583記載による可けん化塩素定量法およびISO4573記載による方法により、この化合物の無機塩素含量を定量した。結果は、有機塩素含量が710ppm、無機塩素含量が12ppm、合計塩素含量が722ppmであった。
実施例8
〔1,3,5−トリス(グリシジルオキシ)アダマンタンの合成〕
実施例5において、1,3−アダマンタンジオール16.8g(0.10mol)の代わりに1,3,5−アダマンタントリオール18.4g(0.10mol)18.4gを用い、水素化ナトリウムの量を7.9g(0.33mol)、エピクロルヒドリンの量を30.5g(0.33mol)とした以外は実施例1と同様に操作して、白色固体および油状物1.5g(収率は4.2%)を得た。この化合物について、MASS分析、H−NMR分析および元素分析を行った。その結果、目的物である1,3,5−トリス(グリシジルオキシ)アダマンタンが確認された。測定結果を以下に示す。
MASS(EI):分子量352(M
H−NMR:δ1.1−2.0(m、13H)、2.7−4.1(m、15H).
元素分析:C1928として
計算値: C;64.75 H;8.01
実測値: C;65.11 H;8.23
ISO4583記載による可けん化塩素定量法およびISO4573記載による方法により、この化合物の無機塩素含量を定量した。結果は、有機塩素含量が550ppm、無機塩素含量が23ppm、合計塩素含量が573ppmであった。
実施例9
〔2,3,5−トリス(グリシジルオキシ)ノルボルナンの合成〕
実施例6において、2,5−ノルボルナンジオール12.8g(0.10mol)の代わりに2,3,5−ノルボルナントリオール14.4g(0.10mol)を用い、水素化ナトリウムの量を7.9g(0.33mol)、エピクロルヒドリンの量を30.5g(0.33mol)とした以外は実施例1と同様に操作して、白色固体および油状物1.6g(収率は5.0%)を得た。この化合物について、MASS分析、H−NMR分析および元素分析を行った。その結果、目的物である2,3,5−トリス(グリシジルオキシ)ノルボルナンが確認された。測定結果を以下に示す。
MASS(EI):分子量312(M
H−NMR:δ1.1−2.0(m、9H)、2.7−4.1(m、15H).
元素分析:C1624として
計算値: C;61.52 H;7.74
実測値: C;61.50 H;7.69
ISO4583記載による可けん化塩素定量法およびISO4573記載による方法により、この化合物の無機塩素含量を定量した。結果は、有機塩素含量が670ppm、無機塩素含量が34ppm、合計塩素含量が704ppmであった。
実施例10
〔1,3−ビス(グリシジルオキシメチル)アダマンタンの合成〕
窒素下、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)アダマンタン19.6g(0.10mol)、水素化ナトリウム5.3g(0.22mol)の脱水テトラヒドロフラン300ml液を、還流温度で2時間攪拌した。これにエピクロルヒドリン20.4g(0.22mol)を滴下し、さらに還流温度で12時間攪拌した。反応混合物にクロロホルム200mlを加え、水洗した後、クロロホルム層を硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して白色固体および油状物を得た。
これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、白色固体および油状物1.9g(収率は6.7%)を得た。
この化合物について、MASS分析、H−NMR分析および元素分析を行った。その結果、目的物である1,3−ビス(グリシジルオキシメチル)アダマンタンが確認された。測定結果を以下に示す。
MASS(EI):分子量308(M
H−NMR:δ1.1−2.0(m,14H)、2.5−4.1(m,14H)
元素分析:C1828として
計算値: C;70.10 H;9.15
実測値: C;70.36 H;9.32
ISO4583記載による可けん化塩素定量法およびISO4573記載による方法により、この化合物の無機塩素含量を定量した。結果は、有機塩素含量が800ppm、無機塩素含量が20ppm、合計塩素含量が820ppmであった。
実施例11
〔1,3−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]アダマンタンのオリゴマーの合成〕
窒素雰囲気下、1,3−アダマンタンジオール16.8g(0.1mol)、水素化ナトリウム5.3g(0.22mol)を含む脱水テトラヒドロフラン300mlに3−エチル−3−p−トルエンスルホニルオキシメチルオキセタン56.4g(0.22mol)を加え、還流温度で2時間攪拌した。さらによう化カリウム36.5g(0.22mol)を加えて、還流温度で12時間攪拌した。反応混合物にクロロホルム200mlを加え、クロロホルム層を水洗した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して白色固体および油状物を得た。
これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、白色固体および油状物5.39gを得た。この化合物について、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPCと称す)分析を行ったところ分子量660〜680付近(Mw/Mn=1.11)にピークを示した。この結果より、この化合物が1,3−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]アダマンタンの2量体であることが確認された。
ISO4583記載による可けん化塩素定量法およびISO4573記載による方法により、この化合物の無機塩素含量を定量した。結果は、有機塩素含量が220ppm、無機塩素含量が20ppm、合計塩素含量が240ppmであった。
実施例12
〔2,5−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ノルボルナンのオリゴマーの合成〕
窒素雰囲気下、2,5−ノルボルナンジオール12.8g(0.1mol)、水素化ナトリウム5.3g(0.22mol)を含む脱水テトラヒドロフラン300mlに3−エチル−3−p−トルエンスルホニルオキシメチルオキセタン56.4g(0.22mol)を加え、還流温度で2時間攪拌した。さらによう化カリウム36.5g(0.22mol)を加えて、還流温度で12時間攪拌した。反応混合物にクロロホルム200mlを加え、クロロホルム層を水洗した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して白色固体および油状物を得た。
これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、白色固体および油状物6.01gを得た。この化合物について、GPC分析を行ったところ分子量580〜600付近(Mw/Mn=1.12)にピークを示した。この結果より、2,5−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ノルボルナンの2量体であることが確認された。
ISO4583記載による可けん化塩素定量法およびISO4573記載による方法により、この化合物の無機塩素含量を定量した。結果は、有機塩素含量が300ppm、無機塩素含量が25ppm、合計塩素含量が325ppmであった。
実施例13
〔1,3−ビス(グリシジルオキシ)アダマンタンの合成〕
窒素雰囲気下、1,3−アダマンタンジオール70g(0.42mol)、水素化ナトリウム30g(1.25mol)を含有するジメチルホルムアミド400mlを、70℃で2時間攪拌した。これを室温に冷却し、臭化アリル151g(1.25mol)を4時間かけて滴下し、さらに室温で12時間攪拌した。水200mlを加え、塩化メチレン500mlで抽出した。有機層を水洗した後、塩化メチレンを溜去した。溶媒を減圧留去し、更に減圧蒸留して1,3−ビス(アリルオキシ)アダマンタンを69g(0.28mol、収率67%)を得た。
これを塩化メチレン400mlに溶解し、m−過クロロ安息香酸111g(0.64mol)を加え、室温で一晩攪拌した。過剰の過酸を亜硫酸ナトリウム水溶液を加えて分解し、析出したm−クロロ安息香酸を濾別した。有機層を水酸化ナトリウム水溶液、次いで水で洗浄した。塩化メチレンを溜去し、更に減圧蒸留して、1,3−ビス(グリシジルオキシ)アダマンタン35g(0.125mol、収率45%)を得た。
この化合物について、MASS,H−NMR分析をした結果、目的物である1,3−ビス(グリシジルオキシ)アダマンタンであることが確認された。測定結果を以下に示す。
MASS(EI):分子量280(M
H−NMR:1.47(s.2H)、1.65(s. 8H)、1.73(s. 2H)、2.30(s. 2H)、2.57(dd 2H)、2.76(dd. 2H)、3.06(m. 2H)、3.41(dd. 2H)、3.58(dd.2H)
ISO4583記載による可けん化塩素定量法およびISO4573記載による方法により、この化合物の無機塩素含量を定量した。結果は、有機塩素含量が130ppm、無機塩素含量が13ppm、合計塩素含量が143ppmであった。
実施例14
〔5,7−ジフルオロ−1,3−ビス(グリシジルオキシ)アダマンタンの合成〕
窒素雰囲気下、5,7−ジフルオロ−1,3−アダマンタンジオール5g(24mmol)、水素化ナトリウム1.8g(75mmol)ジメチルホルムアミド25ml、臭化アリル9g(75mmol)を用いて実施例13と同様にして反応させて、5,7−ジフルオロ−1,3−ビス(アリルオキシ)アダマンタン5.1g(18mmol)を得た。
これを塩化メチレン50mlに溶解し、m−過クロロ安息香酸7g(41mmol)を加え、実施例13と同様にして反応させた。
反応生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、5,7−ジフルオロ−1,3−ビス(グリシジルオキシ)アダマンタン4.7g(15mmol、収率63%)を得た。
MASS(EI):分子量316(M
H−NMR:1.0−2.5(m.12H)、2.5−4.1(m. 10H)
実施例15
〔5−ブチル−1,3−ビス(グリシジルオキシ)アダマンタンの合成〕
窒素雰囲気下、5−ブチル−1,3−アダマンタンジオール5g(22mmol)、水素化ナトリウム1.5g(62mmol)ジメチルホルムアミド25ml、臭化アリル7g(58mmol)を用いて実施例13と同様にして反応させて、5−ブチル−1,3−ビス(アリルオキシ)アダマンタンを5.3g(17mmol)を得た。
これを塩化メチレン50mlに溶解し、m−クロロ過安息香酸7g(41mmol)を加え、実施例13と同様にして反応させた。
反応生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、5−ブチル−1,3−ビス(グリシジルオキシ)アダマンタン4.7g(14mmol、収率64%)を得た。
MASS(EI):分子量336(M
H−NMR:0.7−2.5(m.22H)、2.5−4.1(m. 10H)

次に、本実施例および比較例で得られた硬化性多環式化合物を硬化させ、以下に示す評価方法により諸物性を測定した。
(1)耐光性試験
、キセノンウエザーメータ(スガイ試験器製、X25)を用いて、初期にほぼ無色透明であった試験片に紫外光を含む光を500時間照射した。照射後の、試験片の着色状態を目視で2段階に分けて評価した。
(A)少し黄変していた。
(B)強い黄変が見られた。
(2)耐熱性試験
初期にはほぼ無色透明であった試験片を、150℃オーブン中に、100時間静置した。静置後の、試験片の着色状態を目視で2段階に分けて評価した。
(A)少し黄変していた。
(B)強い黄変が見られた。
実施例16
実施例1で製造した1,3−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]アダマンタン36g(0.1mol)、硬化剤として3−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸16g(95mmol)を均一になるまで混合攪拌した。次いで、硬化触媒としてテトラブチルフォスフォニウムジエチルフォスフォロジチオエート0.16gを加えて混合した。この混合液を、2枚のガラス板の間に流し込み、120℃で3時間加熱し硬化させた。ガラス板同士の間隙は5mmであった。略透明な厚み5mmの平板(試験片1)が得られた。
この試験片1を用いて上記耐光性、耐熱性の評価を行った。結果を表1に示した。
実施例17〜30
実施例2〜15で製造した硬化性多環式化合物を用いて、実施例16と同様に操作して試験片2〜15を作製した。これらの試験片2〜15を用いて上記耐光性、耐熱性の評価を行った。結果を表1に示した。
実施例31
硬化性多環式化合物として実施例6で得られた2,5−ビス(グリシジルオキシ)ノルボルナンを同モル用い、硬化剤としてヘキサヒドロ無水フタル酸を用いた以外は実施例16と同様にして試験片16を製造した。その評価結果を表1に示した。
実施例32
硬化触媒としてトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェートを0.15g用いた以外は実施例16と同様にして試験片17を製造した。その評価結果を表1に示した。
実施例33
硬化性多環式化合物として実施例11で得られた1,3−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]アダマンタンの2量体を実施例16と同モル用い、硬化剤として3−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸を16g用いた以外は実施例16と同様に操作して試験片18を製造した。その評価結果を表1に示した。
実施例34
硬化性多環式化合物として実施例12で得られた2,5−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ノルボルナンの2量体を実施例16と同モル用い、硬化剤として3−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸を16g用いた以外は実施例16と同様に操作して試験片19を製造した。その評価結果を表1に示した。
比較例1
硬化性化合物としてビスフェノールAグリシジルエーテル34gを用いた以外は、実施例16と同様な方法により、ほぼ透明な厚み5mmの平板(試験片20)を得た。結果をまとめて表1に示した。
比較例2
硬化性化合物として水添ビスフェノールAグリシジルエーテル35.2gを用いた以外は、実施例16と同様な方法により、ほぼ透明な厚み5mmの平板(試験片21)を得た。結果をまとめて表1に示した。
Figure 2005146253
実施例35
〔1,3−ビス(グリシジルオキシ)アダマンタンの合成〕
200mlの3つ口フラスコに1,3−アダマンタンジオール5.04g(0.03mol)とN,N−ジメチルホルムアミド25mlを入れた。水素化ナトリウム(60質量%)/流動パラフィン3.6g(0.09mol)をヘキサンで5回洗浄した後、これを水冷下攪拌しながら、フラスコに加えた。70℃に温度を上昇させ、3時間攪拌した。その後、フラスコ内を5℃に冷却し、臭化アリル10.9g(0.09mol)をゆっくり滴下した。滴下後、5℃に保ちながら2時間攪拌した。その後、水10ml加えて反応を終了させた。
反応混合物にテトラヒドロフラン100mlを加えて抽出操作を行った。有機層を3回水洗した後、有機層からロータリーエバポレーターでテトラヒドロフランとN,N−ジメチルホルムアミドをできるだけ減圧留去した。得られた液体を0.1mmHg、105℃で蒸留し、無色透明の液体を得た。
MASS,H−NMR分析および元素分析を行った結果、この化合物は、1,3−ビス(2−プロペニルオキシ)アダマンタンであることが確認された。測定結果を以下に示す。
MASS(EI):分子量248(M
H−NMR(TMS標準):δ1.1−2.0(m、14H)、4.0−4.3(m、4H)、5.2−5.9(m、6H)
元素分析:C1624として
計算値: C;77.38 H;9.74
実測値: C;77.76 H;9.63。
次いで得られた1,3−ビス(2−プロペニルオキシ)アダマンタン5.96g{収率80.1%、ガスクロマトグラフィー純度96.0%、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下GPCと称す)純度99.5%}をジクロロメタン30mlに溶解させ、これに70%m−クロロ過安息香酸14.3g(0.058mol)加え、室温で16時間攪拌した。その後、反応液を25%亜硫酸ナトリウム水溶液30mlで洗浄し、さらに水洗を2回行った。反応液からジクロロメタンを留去して、粗1,3−ビス(グリシジルオキシ)アダマンタン6.70g{収率79.8%(アダマンタンジオールから)、ガスクロマトグラフィー純度96.1%、GPC純度99.7%、無色液体}を得た。得られた液体を0.1mmHg、140℃で蒸留し、無色透明液体の1,3−ビス(グリシジルオキシ)アダマンタン5.36g{収率63.8%(アダマンタンジオールから)、ガスクロマトグラフィー純度98.3%、GPC純度99.8%}を得た。
実施例36
実施例35で用いた臭化アリルに代えて、塩化アリル6.89g(0.09mol)を使用し、塩化アリルを滴下後、5℃のまま5時間攪拌した以外は実施例35と同様の操作を行った。その結果、蒸留精製後の無色透明液体の1,3−ビス(2−プロペニルオキシ)アダマンタンを5.36g(収率72.0%、ガスクロマトグラフィー純度95.9%、GPC純度99.4%)得た。蒸留精製前の粗1,3−ビス(グリシジルオキシ)アダマンタンの収量は5.99g{収率71.3%(アダマンタンジオール基準)、ガスクロマトグラフィー純度96.1%、GPC純度99.4%、無色液体}であった。蒸留精製後の無色透明液体の1,3−ビス(グリシジルオキシ)アダマンタンの収量は4.67g{収率55.6%(アダマンタンジオール基準)、ガスクロマトグラフィー純度98.5%、GPC純度99.8%}であった。
実施例37
実施例35で示した70%m−クロロ過安息香酸に代えて、9%過酢酸76.1g(0.09mol)を使用し、室温で20時間攪拌した以外は実施例35と同様の操作を行った。
その結果、蒸留精製後の無色透明液体の1,3−ビス(2−プロペニルオキシ)アダマンタンを6.03g(収率81.0%、ガスクロマトグラフィー純度95.7%、GPC純度99.5%)得た。蒸留精製前の粗1,3−ビス(グリシジルオキシ)アダマンタンの収量は6.04g{収率71.9%(アダマンタンジオールから)、ガスクロマトグラフィー純度96.5%、GPC純度99.4%、無色液体}、蒸留精製後の無色透明液体の1,3−ビス(グリシジルオキシ)アダマンタンの収量は4.84g{収率57.5%(アダマンタンジオールから)、ガスクロマトグラフィー純度98.6%、GPC純度99.7%}であった。
実施例38
〔2,5−ビス(グリシジルオキシ)ノルボルナンの合成〕
実施例35で用いた1,3−アダマンタンジオールに代えて、2,5−ノルボルナンジオール3.84g(0.03mol)を用いた以外は実施例35と同様の操作を行った。精製後の化合物をMASS,H−NMR分析および元素分析した。その結果、2,5−ビス(2−プロペニルオキシ)ノルボルナンが確認された。測定結果を以下に示す。
MASS(EI):分子量208(M
H−NMR(TMS標準):δ1.1−2.0(m、10H)、4.0−4.3(m、4H)、5.2−5.9(m、6H)
元素分析:C1320として
計算値: C;74.96 H;9.68
実測値: C;74.81 H;9.62。
次いで得られた2,5−ビス(2−プロペニルオキシ)ノルボルナン5.06g(収率81.1%、ガスクロマトグラフィー純度96.1%、GPC純度99.4%)を実施例35と同様に操作して酸化した。その結果、精製前の粗2,5−ビス(グリシジルオキシ)ノルボルナンを5.74g{収率79.7%(ノルボルナンジオール基準)、ガスクロマトグラフィー純度96.2%、GPC純度99.6%}得た。精製後の2,5−ビス(グリシジルオキシ)ノルボルナン収量は4.69g{収率65.1%(ノルボルナンジオール基準)、ガスクロマトグラフィー純度98.2%、GPC純度99.7%}であった。
実施例39
〔1,3,5−トリス(グリシジルオキシ)アダマンタンの合成〕
実施例35で用いた1,3−アダマンタンジオールに代えて、1,3,5−アダマンタントリオール5.52g(0.03mol)を使用した以外は実施例35と同様の操作を行った。精製後の化合物のMASS分析、H−NMR分析および元素分析を行った。分析結果から、1,3,5−トリス(2−プロペニルオキシ)アダマンタンが確認された。
分析結果を以下に示す。
MASS(EI):分子量304(M
H−NMR:δ1.1−2.0(m、13H)、4.0−4.3(m、6H)、5.2−5.9(m、9H)
元素分析:C1928として
計算値: C;74.96 H;9.27
実測値: C;74.56 H;9.54。
得られた1,3,5−トリス(2−プロペニルオキシ)アダマンタン6.39g(収率70.1%、ガスクロマトグラフィー純度96.2%、GPC純度99.5%)を実施例35と同様に操作して酸化した。その結果、精製前の粗1,3,5−トリス(グリシジルオキシ)アダマンタンの収量は7.09g{収率67.2%(アダマンタントリオールから)、ガスクロマトグラフィー純度96.5%、GPC純度99.5%}、精製後の1,3,5−トリス(グリシジルオキシ)アダマンタンの収量は5.29g{収率50.1%(アダマンタントリオールから)、ガスクロマトグラフィー純度98.5%、GPC純度99.8%}であった。
実施例40
〔2,3,5−トリス(グリシジルオキシ)ノルボルナンの合成〕
実施例35で用いた1,3−アダマンタンジオールに代えて、2,3,5−ノルボルナントリオール4.32g(0.03mol)を使用した以外は実施例35と同様の操作を行った。精製後の化合物のMASS分析、H−NMR分析および元素分析を行った。その結果、2,3,5−トリス(グリシジルオキシ)ノルボルナンが確認された。測定結果を以下に示す。
MASS(EI):分子量264(M
H−NMR:δ1.1−2.0(m、9H)、4.0−4.3(m、6H)、5.2−5.9(m、9H)
元素分析:C1624として
計算値: C;72.69 H;9.15
実測値: C;72.50 H;9.39。
得られた2,3,5−トリス(2−プロペニルオキシ)ノルボルナン5.33g(収率67.3%、ガスクロマトグラフィー純度96.4%、GPC純度99.5%)を実施例35と同様に操作して酸化し、精製前の粗2,3,5−トリス(グリシジルオキシ)ノルボルナンを5.63g{収率60.2%(ノルボルナントリオール基準)、ガスクロマトグラフィー純度96.5%、GPC純度99.6%}得た。精製後の2,3,5−トリス(グリシジルオキシ)ノルボルナンの収量は4.35g{収率46.5%(ノルボルナントリオール基準)、ガスクロマトグラフィー純度98.5%、GPC純度99.7%}であった。
比較例3
200mlの3つ口フラスコに1,3−アダマンタンジオール5.04g(0.03mol)、無水四塩化スズ0.2ml、四塩化炭素30mlを入れ、5℃に冷却しながら攪拌し、これにエピクロロヒドリン6.64g滴下した。滴下後、還流下5時間攪拌した。放冷した後、5%水酸化ナトリウム水溶液40mlを反応液に加えて反応を終了させた。反応混合物を3回水洗した後、溶媒を留去させて黄色粘性液体16.2g得た。この黄色粘性液体を2−プロパノール20mlに溶解させた。これに水酸化ナトリウム水溶液(水3gに水酸化ナトリウム3gを溶解)を室温で滴下し、その後3時間攪拌した。その後、水50ml、酢酸エチル50mlを加え抽出操作を行った。有機層を2回水洗後、溶媒を留去して、10.8gの黄色液体を得た。この粗体1,3−ビス(グリシジルオキシ)アダマンタンのガスクロマトグラフィー純度は54.4%、GPC純度は30.2%であり、高分子量化合物を多量に含有していた。
この粗体を減圧蒸留(0.1mmHg、オイルバス温度175℃)したが、1,3−ビス(グリシジルオキシ)アダマンタンは得られず、フラスコ内容物は硬化し、ゲル状となった。

Claims (8)

  1. 下記式(1)
    Figure 2005146253
    {式中、Aは多環式炭化水素化合物から誘導される2〜6価の基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基、またはフッ素原子であり、nは0〜2の整数であり、mは2〜4の整数であり、Yは下記式(2)
    Figure 2005146253
    (式中、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、Rはメチル基もしくはエチル基であり、pは0〜4の整数である。)
    で表される基または下記式(3)
    Figure 2005146253
    (式中、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、qは0〜4の整数である。)
    で表される基である。}
    で表される硬化性多環式化合物。
  2. 式(1)が、下記式(4)
    Figure 2005146253

    {式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基、またはフッ素原子であり、aは0〜2の整数であり、bは0〜2の整数であり、Yは下記式(2)
    Figure 2005146253

    (式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、Rはメチル基又エチル基であり、pは0〜4の整数である)
    で表される基または、下記式(3)
    Figure 2005146253

    (式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、qは0〜4の整数である。)で示される基である。}
    である請求の範囲第1項記載の硬化性多環式化合物。
  3. 一般式(6)、又は(7)
    Figure 2005146253

    {式中、A、R、R、R、n、及びpは前記式(1)におけるものと同義であり、sは1〜3の整数である。}
    Figure 2005146253

    {式中、A、R、R、R、n、及びqは前記式(1)におけるものと同義であり、s'は1〜3の整数である。}
    で示される硬化性多環式化合物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性多環式化合物、及び硬化剤を含有してなることを特徴とする硬化性組成物。
  5. 請求項4に記載の硬化性組成物からなる発光ダイオード用封止剤。
  6. 請求項5に記載の封止剤で封止された発光ダイオード。
  7. 下記工程(a)〜(c)を含むことを特徴とする下記式(8)
    Figure 2005146253

    {式中、Aは多環式炭化水素化合物から誘導される2〜6価の基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基、またはフッ素原子であり、nは0〜2の整数であり、mは2〜4の整数であり、Zは下記式(3)
    Figure 2005146253

    (式中、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、qは0〜4の整数である。)
    で表される基である。}
    で示され多環式エポキシ化合物の製造方法。
    (a) 下記式(9)
    Figure 2005146253
    {式中、A、R、n及びmは、それぞれ前記式(8)におけるものと同義であり、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基であり、rは0〜4の整数である。}
    で表される多環式ヒドロキシ化合物とアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はこれら金属を含む有機金属化合物とを反応させてアルコラートを得る工程、
    (b) 前記工程(a)で得られたアルコラートと下記式(10)
    Figure 2005146253


    {式中、Xはハロゲン原子又はスルホニルオキシ基である。}
    で示されるアリル基含有化合物とを反応させて下記式(11)
    Figure 2005146253

    〔式中、A、R、n及びmは、それぞれ前記式(8)におけるものと同義であり、Wは下記式(12)
    Figure 2005146253
    {式中、R、R、及びqは、それぞれ前記式(3)におけるものと同義である。}
    で示される基である。〕
    で表される多環式アリル化合物を得る工程、及び
    (c) 前記工程(b)で得られた多環式アリル化合物を酸化する工程。
  8. 下記式(11)
    Figure 2005146253
    {式中、Aは多環式炭化水素化合物から誘導される2〜6価の基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基、またはフッ素原子であり、nは0〜2の整数であり、mは2〜4の整数であり、Wは下記式(12)
    Figure 2005146253
    (式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、qは0〜4の整数である。)
    で示される基である。}
    で表される多環式アリル化合物。



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