JPH1112702A - 磁気異方性が小さく打抜き後の寸法精度に優れた電磁鋼板 - Google Patents

磁気異方性が小さく打抜き後の寸法精度に優れた電磁鋼板

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JPH1112702A
JPH1112702A JP9187822A JP18782297A JPH1112702A JP H1112702 A JPH1112702 A JP H1112702A JP 9187822 A JP9187822 A JP 9187822A JP 18782297 A JP18782297 A JP 18782297A JP H1112702 A JPH1112702 A JP H1112702A
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JP9187822A
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Noriyuki Honjo
法之 本庄
Taisei Nakayama
大成 中山
Hiroyoshi Yashiki
裕義 屋鋪
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
    • H01F1/12Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials
    • H01F1/14Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials metals or alloys
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    • H01F1/14766Fe-Si based alloys
    • H01F1/14775Fe-Si based alloys in the form of sheets

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気異方性が小さく、打抜き後の寸法精度に
優れた電磁鋼板を提供する。 【解決手段】 C:0.01%以下、Si:3.5%以
下、Mn:0.15〜2.0%、S:0.015〜0.
035%、Al:2.0%以下を含み、かつMn(%)
/S(%)≧10を満足させ、残部がFeおよび不可避
的不純物からなり、圧延方向と平行に垂直切断した切断
面におけるMnおよびSを含む介在物のうち、1個の粒
子の最大粒子径を最小粒子径で除した値が1〜10で、
かつ最大粒子径が1μm以上50μm以下のものの個数
を1〜50個/mm2とした鋼板は、MnおよびSを含
む析出物の形状異方性が小さいため、打抜き方向の違い
による破断面率の差が生じ難く、打抜き方向による残留
歪の差が小さくなり、打抜き後の寸法精度に優れる。し
かも、MnおよびSを含む析出物によって集合組織が抑
制され、磁気異方性を小さくでき、小型モータ等の精密
な加工寸法精度や多方向の励磁条件下で均一な磁気特性
を要求される用途に好適となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電動機やトランス
に使用される磁気異方性が小さく、打抜き後の寸法精度
に優れた電磁鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】電磁鋼板は、小型モータ等の回転機器に
おいて多方向の励磁条件下で利用される場合が多く、磁
気異方性の大きな鋼板を使用した場合、トルク変動によ
る振動が発生し、静粛性および効率に悪影響を与えるた
め、鋼板の各方向で均一な磁気特性を示す磁気異方性の
小さい材料が要求される。
【0003】近年、モータの分野では、材料コストの削
減および消費エネルギーの低減を目的として、モータの
小型高効率化が進んでいる。このモータの小型高効率化
の実現のためには、モータの構造も従来に比較して小型
かつ複雑化し、従来よりも更に精密な加工が要求され、
材料である電磁鋼板にも高い打抜き後の寸法精度が要求
されるようになってきている。
【0004】磁気異方性を小さくする従来技術として
は、C:0.040%以下、Si:4.0%以下、M
n:0.05〜0.50%、Al:1.0%以下、残部
がFeおよび不可避的不純物よりなる熱延鋼帯に中間焼
鈍を挟む2回の冷間圧延を施し、その後仕上焼鈍を施す
電磁鋼板の製造方法において、中間焼鈍後の鋼板の結晶
粒径が5〜20μmの範囲内となるように中間焼鈍条件
を制御し、かつ中間焼鈍後の二次冷間圧延を圧下率6〜
15%の範囲内で施して最終板厚に仕上げ、次いでA3
変態点以下の温度で仕上焼鈍を施す方法(特開昭59−
70722号公報)、C:0.02%以下、Si:0.
1〜4.5%を含有する組成の熱延鋼板に、中間焼鈍を
挟む2回の冷間圧延を施して電磁鋼板を製造するに当た
り、中間焼鈍後の二次冷間圧延を、圧下率:1〜15%
でかつ圧延速度:500m/min以上の条件下に行う
方法(特開昭61−264131号公報)、C:0.0
10%以下、Si+Al:1.5%以下、Mn:1.0
%以下、P:0.200%以下を含有し、残部がFeお
よび不可避的不純物よりなる熱延鋼板をそのまま、ある
いは650〜850℃で30秒以上の熱延板焼鈍を施し
た後、圧下率40〜60%の一回の冷間圧延により最終
板厚しと、引続いて仕上焼鈍を行う方法(特開昭63−
210238号公報)等の最終冷間圧延の圧下率を低く
することによって集合組織を制御する方法が提案されて
いる。
【0005】また、Si:4.0%以下、Al:1.0
%以下、残部がFeおよび不可避的不純物よりなるスラ
ブを熱間圧延後の板厚t1が最終板厚t2に応じて、t
1≧t2/0.15となるように熱間圧延し、かつ熱間
圧延後の巻取温度を700℃以上950℃以下の範囲の
温度として自己焼鈍させることにより熱延鋼帯中の結晶
を粒度番号4以下とし、さらに冷間圧延において圧下率
85%以上の強圧延を施したの地、焼鈍によって結晶粒
成長を行う方法(特開昭59−123715号公報)等
の最終冷間圧延の圧下率を高くすることによって集合組
織を制御する方法、さらに、Ni等の合金元素を添加す
ることによって集合組織を制御する方法等が提案されて
いる。
【0006】また、打抜き性、打抜き後の寸法精度を改
善する従来技術としては、C:0.08%以下、Si:
0.5%以下、Mn:0.1〜1.0%、Al:0.3
%以下、P:0.02〜0.1%、S:0.04%以下
を含有する鋼スラブを熱間圧延し、次いで1回または中
間焼鈍を挟んで2回の冷間圧延を施して最終板厚とし、
最終仕上焼鈍炉における炉内鋼板張力:0.3〜1.5
kg/mm2の下に焼鈍温度:550〜700℃、焼鈍
時間:0.5〜8.0minの範囲において、平均粒径
が15μm以下の完全再結晶組織とする軽焼鈍を行う方
法(特開昭60−106915号公報)、C:0.10
%以下、Si:0.3%以下、Mn:0.30%未満、
P:0.08%未満、S:0.05%以下、Al:0.
002%以下を含む鋼片を、熱間圧延し、冷間圧延した
後、連続焼鈍炉で400℃以上再結晶温度未満の温度に
て加熱し、0.35kg/mm2以上の張力をかけて通
板し、回復焼鈍する方法(特開昭62−21849号公
報)、C:0.005%以下、Si:1.0%以下、M
n:0.1〜0.5%、P:0.2%以下、S:0.0
1%未満、Al:0.5%以下、残部Feおよび不可避
的不純物からなり、最終仕上焼鈍後の再結晶率αが50
〜80%である電磁鋼板(特開平2−277747号公
報)等の最終仕上焼鈍後の再結晶率または結晶粒径を制
御する方法が提案されている。
【0007】また、C:0.015〜0.040%、S
i:0.3%以下およびMn:0.1〜1.0%を含有
する熱延鋼板に、冷間圧延を施した後、750〜950
℃において5秒〜5分間の再結晶焼鈍を施し、再結晶焼
鈍の冷却過程につき、700℃までを10℃/sec以
下の冷却速度で冷却し、引続き常温まで10〜50℃/
secの冷却速度で冷却した後、250〜450℃で5
〜30秒間の時効処理を施し、さらに10〜55℃にお
いて時効処理を施す方法(特開平4−323320号公
報)、C:0.015〜0.050%、Si:0.3%
以下、Mn:0.1〜1.0%およびAl:0.1〜
0.6%を含有する熱延鋼板に、冷間圧延を施した後、
750〜950℃において5秒〜5分間の再結晶焼鈍を
施し、再結晶焼鈍の冷却過程につき、700℃までを1
0℃/sec以下の冷却速度で冷却し、引続き常温まで
10〜50℃/secの冷却速度で冷却した後、250
〜450℃で5〜30秒間の時効処理を施し、さらに1
0〜55℃において時効処理を施す方法(特開平4−3
23321号公報)等の再結晶焼鈍後に仕上時効処理を
施す方法が提案されている。
【0008】さらに、C:0.03〜0.10%、S
i:2.0%以下、Mn:0.2〜2.0%、P:0.
15%以下、S:0.05%以下、Al:0.10%以
下、N:0.08%以下、残部Feおよび不可避的不純
物よりなるスラブ、あるいはC:0.03〜0.10
%、Si:2.0%以下、Mn:0.2〜2.0%、
P:0.15%以下、S:0.05%以下、Al:0.
10%以下、N:0.08%以下に加え、B:Nとの重
量比B/Nで0.7以上あるいはCr:0.1〜1.0
%のいずれか1種あるいは両者を含み、残部Feおよび
不可避的不純物よりなるスラブを、熱間圧延し、冷間圧
延して所定の板厚とした後、AC1変態点以上AC3変態点
以下の温度に加熱し、次いで急速冷却して混合変態組織
とし、2.5〜15%の圧下率で調質圧延する方法(特
開昭58−34134号公報)等の再結晶焼鈍後に仕上
調質圧延を施す方法が提案されている。
【0009】さらにまた、C:0.010%以下、S
i:1.0%以下、Mn:0.25〜0.50%、P:
0.035〜0.100%、S:0.015〜0.03
5%、Al:0.005%以下、残部:Feおよび不可
避的不純物からなると共に、Mn含有量とS含有量との
比率が、Mn(%)/S(%)≧10を満足する成分組
成の熱延コイルを冷間圧延し、その後、再結晶温度以上
でAC3変態点以下の温度域にて焼鈍する方法(特公平5
−82454号公報)等のMnSを多量に分散析出させ
て快削性を改善する方法、また、Mn、Pを添加する方
法等が提案されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記特開昭59−70
722号公報、特開昭61−264131号公報ならび
に特開昭63−210238号公報に開示の最終冷間圧
延における圧下率を低くすることにより集合組織を制御
する方法は、冷間圧延を1回とした場合、一般的な電磁
鋼板の板厚0.5mmを得るために熱間圧延後の板厚を
薄くすることが必要となり、熱間圧延の能率が低下す
る。また、冷間圧延を2回以上とした場合は、中間焼鈍
を施す必要が生じるなど、工程が増加してその分製造コ
ストが高くなるという問題点を有している。
【0011】また、特開昭59−123715号公報に
開示の最終冷間圧延における圧下率を高くすることによ
り集合組織を制御する方法は、磁気異方性が小さくなる
が、磁束密度が悪化する傾向にあるという欠点を有して
いる。さらに、Ni等の合金元素を添加する方法は、合
金元素の添加によって製造コストが高くなるという問題
点を有している。
【0012】さらに、特開昭60−106915号公
報、特公昭62−21849号公報ならびに特開平2−
277747号公報等に開示の最終仕上焼鈍後の再結晶
率または結晶粒径を制御する方法は、未再結晶組織を残
留させるかあるいは再結晶組織の結晶粒径を小さく規定
するため、磁気特性が悪化するという問題点を有してい
る。
【0013】さらにまた、特開平4−323320号公
報に開示の再結晶焼鈍後に仕上時効処理を施す方法は、
磁気時効を完全に避けることは不可能なため、磁気特性
が劣化するという問題点を有している。
【0014】また、特開昭58−34134号公報に開
示の再結晶焼鈍後に仕上調質圧延を施す方法は、仕上調
質圧延による残留応力を均一に分散させることが困難で
あるため、残留応力によって打抜き後の寸法精度が悪化
すると共に、仕上調質圧延の歪の影響により磁気特性が
劣化するという問題点を有している。
【0015】さらに、特公平5−82454号公報に開
示のMnSを多く分散析出させて快削性を改善する方法
は、打抜き性、磁気特性ならびに製造コスト面では良好
な結果が得られる。しかしながら、この方法は、形状異
方性の大きいMnSを利用するため、切断方向によりM
nSの快削効果に差が生じ、打抜き後の寸法精度の点で
は十分とはいえなかった。また、Mn、Pを添加する方
法は、合金元素の添加によって製造コストが高くなると
いう問題点を有している。
【0016】本発明の目的は、上記従来技術の欠点を解
消し、磁気異方性が小さく、打抜き後の寸法精度に優れ
た電磁鋼板を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の電磁鋼板は、
C:0.01%以下、Si:3.5%以下、Mn:0.
15〜2.0%、S:0.015〜0.035%、A
l:2.0%以下を含み、かつMn(%)/S(%)≧
10を満足させ、残部がFeおよび不可避的不純物から
なり、圧延方向と平行に垂直切断した切断面におけるM
nおよびSを含む介在物のうち、1個の粒子の最大粒子
径を最小粒子径で除した値が1〜10で、かつ最大粒子
径が1μm以上50μm以下のものの個数が1〜50個
/mm2である鋼板である。
【0018】上記化学成分を満足させ、圧延方向と平行
に垂直切断した切断面におけるMnおよびSを含む介在
物のうち、1個の粒子の最大粒子径を最小粒子径で除し
た値が1〜10で、かつ最大粒子径が1μm以上50μ
m以下のものの個数が1〜50個/mm2である鋼板
は、MnおよびSを含む析出物の形状異方性が小さいた
めに、打抜き方向の違いによる破断面率の差が生じ難
く、打抜き方向による残留歪の差が小さくなるため打抜
き後の寸法精度に優れ、しかも、MnおよびSを含む析
出物によって集合組織が制御され、磁気異方性を小さく
でき、小型モータ用等の精密な加工寸法精度や多方向の
励磁条件下で均一な磁気特性を要求される電磁鋼板とし
て適している。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に本発明において化学成分な
らびに析出物について限定した理由について説明する。
Cは、磁気時効を起こし、磁気特性を劣化させる有害な
元素であるため、低いほど好ましいが、磁気特性の劣化
が顕著化しはじめる0.01%を上限とした。
【0020】Siは、固有抵抗を増加させ、鉄損低下に
有効に寄与する元素であるが、3.5%を超えると冷間
圧延が困難となるため、3.5%以下とした。
【0021】Mnは、本発明においてSと共にMnおよ
びSを含む析出物によって集合組織を制御し、磁気異方
性を小さくするため、0.15%以上必要であるが、
2.0%を超えると鋼板の再結晶温度を高め、焼鈍によ
る磁気特性の改善が困難となるので、0.15〜2.0
%とした。
【0022】Sは、本発明においてMnと共にSおよび
Mnを含む析出物によって集合組織を制御し、磁気異方
性を小さくするため、0.015%以上必要であるが、
0.035%を超えると鋼中の硫化物を増加させて磁気
特性を劣化させるので、0.015〜0.035%とし
た。
【0023】Mn(%)/S(%)の値は、10未満と
なると鋼中に微細な硫化物が増加し、磁気特性を劣化さ
せるので、10以上とした。
【0024】Alは、必要に応じて添加することによっ
て磁気特性を改善する元素であるが、2.0%を超える
と熱間圧延が困難となるので、2.0%以下とした。
【0025】圧延方向と平行に垂直切断した切断面にお
けるMnおよびSを含む介在物のうち、1個の粒子の最
大粒子径を最小粒子径で除した値が1〜10で、かつ最
大粒子径が1μm以上50μm以下のものの個数が1〜
50個/mm2としたのは、1個の粒子の最大粒子径を
最小粒子径で除した値が1未満は計算上あり得ない。ま
た、10を超えると介在物の形状異方性が大きいため、
打抜き方向による破断面率の差が大きくなり、寸法精度
が悪化することなるので、1〜10とした。また、1個
の粒子の最大粒子径を最小粒子径で除した値が1〜10
で、かつ最大粒子径が1μm以上50μm以下のものの
個数が1個/mm2未満では、打抜き後の寸法精度が悪
化すると共に、磁気異方性が大きくなり、50個/mm
2を超えると著しく鉄損を劣化させるので、1〜50個
/mm2とした。
【0026】上記圧延方向と平行に垂直切断した切断面
におけるMnおよびSを含む介在物のうち、1個の粒子
の最大粒子径を最小粒子径で除した値が1〜10で、か
つ最大粒子径が1μm以上50μm以下のものの個数を
1〜50個/mm2とするには、前記化学成分のスラブ
を、好ましくは1200℃以下の温度で加熱後通常の方
法で熱間圧延して巻取り後、必要に応じて熱延板焼鈍を
施し、熱延板焼鈍の前または後で酸洗を行い、1回の冷
間圧延または中間焼鈍を含む2回の冷間圧延を行い、仕
上焼鈍することによって得ることができる。スラブの加
熱温度を1200℃以下とした理由は、スラブ中に析出
したMnSの再固溶をできるだけ抑制するためである。
【0027】
【実施例】
実施例1 C:0.002%±0.001%、Si:1.0%±
0.01%、Mn:0.28±0.05%、S:0.0
23%±0.005%、Al:0.3%±0.05%を
含み、Mn/S:10.2〜17.3、残部Feおよび
不可避的不純物からなる77種のスラブを、熱間圧延と
冷間圧延によって仕上板厚0.50mmの板材とし、つ
いで仕上焼鈍温度850℃で連続焼鈍により再結晶焼鈍
したのち、両面にアクリル樹脂エマルジョン、クロム酸
マグネシウム、ほう酸よりなる膜厚0.4μmの絶縁皮
膜をロールコータ方式により形成させた。得られた各電
磁鋼板の圧延方向と平行に垂直切断した切断面における
MnおよびSを含む析出物のうち、1個の粒子の最大粒
子径を最小粒子径で除した値が1〜10で、かつ最大粒
子径が1μm以上50μm以下のものの単位面積当たり
の個数、磁気特性(鉄損W)、打抜き後の寸法精度なら
びに磁気異方性の調査を実施した。その結果を図1〜図
3に示す。なお、圧延方向と平行に垂直切断した切断面
におけるMnおよびSを含む析出物のうち、1個の粒子
の最大粒子径を最小粒子径で除した値が1〜10で、か
つ最大粒子径が1μm以上50μm以下のものの単位面
積(mm2)当たりの個数は、JIS G 0555に
規定の鋼の非金属介在物の顕微鏡試験方法に準じて測定
した。磁気特性の評価は、各電磁鋼板から試験片を採取
し、JIS C2550に規定の電磁鋼板試験方法に準
じて25cmエプスタイン試験器を用いて評価した。打
抜き後の寸法精度の評価は、外径35mmの円形打抜き
試験を行い、圧延方向と平行な直径D(0°)と圧延方
向に対し90°をなす直径D(90°)との差D(0
°)−D(90°)で評価し、20μm以下を良好、2
0μm超を不良とした。磁気異方性の評価は、圧延方向
の鉄損W15/50の値W(0°)と圧延方向に対し4
5°方向の鉄損W15/50の値W(45°)との比W
(45°)/W(0°)を使用し、1.05以下を良
好、1.05超を不良とした。
【0028】図1、図3に示すとおり、圧延方向と平行
に垂直切断した切断面におけるMnおよびSを含む析出
物のうち、1個の粒子の最大粒子径を最小粒子径で除し
た値が1〜10で、かつ最大粒子径が1μm以上50μ
m以下のものの単位面積(mm2)当たりの個数が0の
場合は、図1に示す打抜き後の寸法精度に大きなバラツ
キが生じ、打抜き後の寸法精度不良が発生し、また、図
3に示す磁気異方性にも大きなバラツキが生じ、磁気特
性不良が発生した。一方、図2に示すとおり、圧延方向
と平行に垂直切断した切断面におけるMnおよびSを含
む析出物のうち、1個の粒子の最大粒子径を最小粒子径
で除した値が1〜10で、かつ最大粒子径が1μm以上
50μm以下のものの単位面積(mm2)当たりの個数
が50個を超えた場合は、鉄損値が大きくバラツキ、鉄
損不良が多く発生した。
【0029】実施例2 表1に示す鋼No.1〜5の本発明鋼と鋼No.6〜1
2の比較鋼の各スラブを、熱間圧延と冷間圧延によって
仕上板厚0.50mmの板材とし、ついで仕上焼鈍温度
780〜1100℃で連続焼鈍により再結晶焼鈍したの
ち、両面にアクリル樹脂エマルジョン、クロム酸マグネ
シウム、ほう酸よりなる膜厚0.4μmの絶縁皮膜をロ
ールコータ方式により形成させた。得られた各電磁鋼板
の圧延方向と平行に垂直切断した切断面におけるMnお
よびSを含む析出物のうち、1個の粒子の最大粒子径を
最小粒子径で除した値が1〜10で、かつ最大粒子径が
1μm以上50μm以下のものの単位面積当たりの個
数、磁気特性(鉄損W)、打抜き性、打抜き後の寸法精
度ならびに磁気異方性の調査を実施した。その結果を表
2に示す。なお、圧延方向と平行に垂直切断した切断面
におけるMnおよびSを含む析出物のうち、1個の粒子
の最大粒子径を最小粒子径で除した値が1〜10で、か
つ最大粒子径が1μm以上50μm以下のものの単位面
積当たりの個数は、JIS G 0555に規定の鋼の
非金属介在物の顕微鏡試験方法に準じて測定した。磁気
特性の評価は、各電磁鋼板から試験片を採取し、JIS
C2550に規定の電磁鋼板試験方法に準じて25c
mエプスタイン試験器を用いて鉄損W15/50(w/
kg)で評価した。打抜き後の寸法精度の評価は、外径
35mmの円形打抜き試験を行い、圧延方向と平行な直
径D(0°)と圧延方向に対し90°をなす直径D(9
0°)との差D(0°)−D(90°)で評価した。磁
気異方性の評価は、圧延方向の鉄損W15/50の値W
(0°)と圧延方向に対し45°方向の鉄損W15/5
0の値W(45°)との比W(45°)/W(0°)を
使用した。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】表1、表2に示すとおり、鋼No.1〜5
の本発明鋼は、いずれもMn、Sを含有する析出物の個
数が10以上であり、鉄損、打抜き後の寸法精度、磁気
異方性のいずれもが良好である。これに対し、Cの含有
量が本発明の上限値を超える鋼No.6の比較鋼は、磁
気時効により鉄損値が高い。Mn、Sの含有量が本発明
の下限値未満の鋼No.7の比較鋼は、Mn、Sを含有
する析出物の個数が本発明の下限値1個以下で、鉄損値
が高く、打抜き後の寸法精度が悪く、しかも磁気異方性
が大きい。Sの含有量が本発明の上限値を超える鋼N
o.8の比較鋼は、鉄損値が高い。Mn/Sの値が本発
明の下限値10以下の鋼No.9の比較鋼は、鉄損値が
高い。Siの含有量が本発明の上限値を超える鋼No.
10の比較鋼は、熱間圧延が不能であった。Mnの含有
量が本発明の上限値を超える鋼No.11の比較鋼は、
鋼No.10の比較鋼と同様に熱間圧延が不能であっ
た。Alの含有量が本発明の上限値を超える鋼No.1
2の比較鋼は、熱間圧延が不能であった。
【0033】
【発明の効果】本発明の電磁鋼板は、C:0.01%以
下、Si:3.5%以下、Mn:0.15〜2.0%、
S:0.015〜0.035%、Al:2.0%以下を
含み、かつMn(%)/S(%)≧10を満足させ、残
部がFeおよび不可避的不純物からなり、圧延方向と平
行に垂直切断した切断面におけるMnおよびSを含む介
在物のうち、1個の粒子の最大粒子径を最小粒子径で除
した値が1〜10で、かつ最大粒子径が1μm以上50
μm以下のものの個数を1〜50個/mm2とすること
によって、鉄損、打抜き後の寸法精度、磁気異方性のい
ずれもが良好となり、小型モータ用等の精密な加工寸法
精度や多方向の励磁条件下で均一な磁気特性を要求され
る用途に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における圧延方向と平行に垂直切断し
た切断面におけるMnおよびSを含む介在物のうち、1
個の粒子の最大粒子径を最小粒子径で除した値が1〜1
0で、かつ最大粒子径が1μm以上50μm以下のもの
の個数と打抜き後の寸法精度D(0°)−D(90°)
(μm)との関係を示すグラフである。
【図2】実施例1における圧延方向と平行に垂直切断し
た切断面におけるMnおよびSを含む介在物のうち、1
個の粒子の最大粒子径を最小粒子径で除した値が1〜1
0で、かつ最大粒子径が1μm以上50μm以下のもの
の個数と鉄損W15/50との関係を示すグラフであ
る。
【図3】実施例1における圧延方向と平行に垂直切断し
た切断面におけるMnおよびSを含む介在物のうち、1
個の粒子の最大粒子径を最小粒子径で除した値が1〜1
0で、かつ最大粒子径が1μm以上50μm以下のもの
の個数と磁気異方性D(45°)/D(0°)との関係
を示すグラフである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.01%以下、Si:3.5%以
    下、Mn:0.15〜2.0%、S:0.015〜0.
    035%、Al:2.0%以下を含み、かつMn(%)
    /S(%)≧10を満足させ、残部がFeおよび不可避
    的不純物からなり、圧延方向と平行に垂直切断した切断
    面におけるMnおよびSを含む介在物のうち、1個の粒
    子の最大粒子径を最小粒子径で除した値が1〜10で、
    かつ最大粒子径が1μm以上50μm以下のものの個数
    が1〜50個/mm2であることを特徴とする磁気異方
    性が小さく、打抜き後の寸法精度に優れた電磁鋼板。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7939682B2 (en) 2005-08-17 2011-05-10 Idemitsu Kosan Co., Ltd. Fluorine-containing adamantane derivative, fluorine-containing adamantane derivative having polymerizable group, and resin composition containing same
US8177920B2 (en) 2004-11-30 2012-05-15 Jfe Steel Corporation Grain-oriented electrical steel sheet and process for producing the same

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8177920B2 (en) 2004-11-30 2012-05-15 Jfe Steel Corporation Grain-oriented electrical steel sheet and process for producing the same
US7939682B2 (en) 2005-08-17 2011-05-10 Idemitsu Kosan Co., Ltd. Fluorine-containing adamantane derivative, fluorine-containing adamantane derivative having polymerizable group, and resin composition containing same

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