JPH04224624A - 磁気特性に優れた電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

磁気特性に優れた電磁鋼板の製造方法

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JPH04224624A
JPH04224624A JP41438290A JP41438290A JPH04224624A JP H04224624 A JPH04224624 A JP H04224624A JP 41438290 A JP41438290 A JP 41438290A JP 41438290 A JP41438290 A JP 41438290A JP H04224624 A JPH04224624 A JP H04224624A
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JP
Japan
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steel sheet
plane
less
rolling
texture
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Application number
JP41438290A
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English (en)
Inventor
Tomoki Fukagawa
智機 深川
Yasuhiro Maehara
泰裕 前原
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、軟磁気特性に優れた面
内異方性の少ない無方向電磁鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電磁鋼板に対しては、機器の電力損失を
低減し小型化を図るため、低鉄損・高磁束密度化という
磁気特性の改善が従来から強く求められている。磁気特
性を改善するため、電気抵抗を高めたりあるいは粒径を
ある程度大きくするなどの方法が採用されているが、磁
気特性の飛躍的な向上を図るには、磁化容易軸である<
100> 軸を磁化の方向に揃えることが最も有効な方
法である。
【0003】この方法を利用したものが一方向性電磁鋼
板であり、これは圧延方向に<100> 軸が集積し、
圧延方向に磁界をかけて使用した場合には優れた磁気特
性を示す。この一方向性電磁鋼板はトランスのような一
方向にのみ磁化させて使用する機器に対しては極めて有
効な方法であるが、モーターのように板面内の全方向に
わたって磁化される機器、あるいはEIコアのような2
方向に磁化される機器に対しては、必ずしも有効な方法
とはいえない。
【0004】ところでモーターのような機器に対しては
、<100> 方位が板面内に無方向に分布した集合組
織であることが最も適している。このような集合組織を
形成するためには、板面垂直方向に<100> 軸が高
密度に集積していることが必要である。一方、EIコア
のような機器に対しては、(100)<001>方位あ
るいは(100)<011>方位のような面内の2方向
に<100> 軸が存在するような集合組織が最も適し
ている。このような集合組織を形成するためには、モー
ターの場合と同じように板面垂直方向に<100> 軸
が高密度に集積していることが必要である。
【0005】以上のような板面垂直方向に<100> 
軸が高密度で集積している電磁鋼板の製造方法として、
以下の方法が知られている。 (1) 凝固組織を用いる方法 ■溶湯急冷を利用する方法 高速回転する冷却ロールの表面に溶湯を吹き出し、0.
05〜0.5mm厚さ程度の薄板を直接製造する方法で
ある。この方法により6重量%程度のSiを含有する珪
素鋼薄帯を製造すると板面に垂直かもしくはそれから2
0〜30°傾いた方向に長軸を有する柱状粒組織となる
。 ■インゴット柱状晶の〔100 〕繊維組織を利用する
方法。特殊な鋳造方法によって製造した柱状晶インゴッ
トを{100 }面が圧延面となるように圧延し、10
00℃以上の温度で焼鈍する方法である。 (2) 表面エネルギーを利用する方法厚さ0.15m
m以下の薄珪素鋼板の場合、弱酸化性であって1000
℃以上の温度の雰囲気中で焼鈍する方法であり、結晶粒
は一度板厚程度の大きさに成長した後、板面垂直方向に
<100> 軸を有する結晶粒が表面エネルギーを駆動
力として優先成長する。 (3) 交叉圧延を利用する方法 微量のAl等を添加した珪素鋼を交叉圧延し、1150
℃で最終焼鈍を行うことにより、{100 }<001
> 方向の結晶粒を2次再結晶させる方法である。 (4) 特開昭53−31515 号公報の開示する方
法γ単相温度域からの冷却による方法であって、本質的
にCを含有しない鋼板をγ単相域へ昇温した後徐冷して
、その時のγ→α変態によって板面垂直方向に<100
> 軸を集積させる方法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように従来から板
面垂直方向に<100> 軸を集積させた電磁鋼板の製
造方法が種々開示されているが、これらの公知方法はか
かる電磁鋼板の製造法として万全ではなく、それぞれ何
らかの問題を有している。
【0007】すなわち前記の(1) −■の方法では、
<100> 軸の集積度が低くかつ板厚精度、占積率の
点で不充分である。また(1) −■、(2) および
(3) の方法で得られる組織は集積度を高めようとす
ると非常に大きな結晶粒組織となり、異常渦電流損が増
大してしまうとともに、(1) −■の方法では特殊な
鋳造方法によるインゴットを用い、(2) の方法では
0.15mm以下という薄い板にしか適用することがで
きず、さらに(3) の方法では交叉圧延という長尺の
薄板には適用できない圧延方法によっており、工業的に
は実用化が非常に困難である。さらに(4) の方法で
は、板面垂直方向の<100> 軸密度はランダム配向
の材料に比べて、高々3〜7倍程度であり、従って磁気
特性も不十分である。以上のように、従来の電磁鋼板の
製造法には様々な問題があり、これらの問題の解決が望
まれていたのである。
【0008】ここに、本発明の目的はこれらの問題を全
て解決することができる電磁鋼板の製造方法を提供する
ことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するため種々検討を重ねた結果、冷間圧延電磁鋼
板を弱酸化雰囲気中で焼鈍すると、まず弱脱炭反応が起
こり、γ相または (α+γ) 相からα相へ変態する
が、この際の板面に垂直方向に<100> 軸が強く配
向すること、およびこの結晶組織を強脱炭すれば板厚中
心に向ってこの方位が成長することを見い出した。
【0010】また、脱炭焼鈍前の熱間圧延および冷間圧
延は、板面垂直方向に<100> 軸が集積する度合に
対しては、ほとんど影響を与えない。しかし、板面に平
行な面内における<100> 軸の集積に対しては、こ
れらの圧延条件が大きく影響し、これを制御することに
より、{100 }面が板面に平行に集積し、<100
> 軸が面内に無方向に集積した集合組織を得ることが
できる。更に、このような高集積の{100 }集合組
織においては、その柱状晶が板厚の数倍以下の値となっ
た時に、渦電流損失が従来のものよりも格段に低下し、
かつ高磁束密度となることも判った。
【0011】本発明の無方向性電磁鋼板の製造方法はか
かる知見に基づき開発されたものであって、その要旨と
するところは、次の通りである。すなわち、本発明は、
重量%で、 C: 0.01wt%以下、  Si+Al: 0.2
 〜6.5 wt%、  Mn: 0.05〜5wt 
%、 P: 0.1 wt%以下、  S: 0.05wt%
以下、        N: 0.005 wt%以下
、 残部Feおよび不可避的不純物 より成る鋼組成を有し、好ましくは板厚0.05〜1m
mの電磁鋼板で、その平均結晶粒径が1mm以下かつ板
面垂直方向の<100> 軸密度が高く、板面内で<1
00> 軸が面内無方向か、または8方向に分かれた集
合組織を有する磁気特性に優れた電磁鋼板を製造するに
際し、あらかじめC:0.02〜1%に調整した鋼板を
用意し、該鋼板に対する熱間圧延を850 〜600 
℃の温度で終了し、かつ70%以上で冷間圧延する強加
工を行い、次いで脱炭によりC: 0.01%以下に調
整することから成る、磁気特性に優れた電磁鋼板の製造
方法である。
【0012】
【作用】以下、本発明を成分組成、製品板厚、結晶組織
、板面垂直方向の<100> 軸密度、冷間圧延鋼板製
造方法、最終焼鈍、表面コーティングの順で詳述し、そ
の作用を明らかにする。
【0013】図1は、本発明にかかる電磁鋼板の表面に
おける結晶配列の模式的的説明図であって、図からも分
かるように鋼板10の板面垂直方向には各結晶粒12の
<100> 軸20の密度が高く、一方板面内、つまり
板面に平行な面内では<100> 軸30、40が面内
無方向か、または8方向に分かれた集合組織が形成され
ている。かかる結晶配列をとることによって、面内異方
性の少ない無方向性電磁鋼板が得られる。
【0014】成分組成: 成分のなかではγ→α変態、
磁気特性に影響を与えるC、Si、Mn、Alが重要で
ある。
【0015】C: 最終焼鈍において脱炭にともなうγ
→α変態を利用した集合組織制御を行うために、最終焼
鈍前の段階で0.02wt%以上、好ましくは0.05
wt%以上の含有を必要とする。上限は脱炭時間を抑え
るために1wt%、好ましくは0.5wt %以下、さ
らに好ましくは0.3 wt%以下とする。最終焼鈍後
の段階では磁気特性を劣化させないために0.01wt
%以下、好ましくは0.005 wt%以下、より好ま
しくは0.003wt%以下とする。
【0016】Si+Al: 結晶磁気異方性定数および
電気抵抗低下による磁気特性の確保のために0.2 w
t%以上、好ましくは0.5 wt%以上、より好まし
くは1.5wt%以上の含有とする。上限は脆化および
磁束密度の低下を抑えるために6.5 wt%、好まし
くは5wt%、より好ましくは4wt%とする。γ→α
変態に対しては、SiおよびAlは後述するMnとは逆
に脱炭完了後実質的にα単相となる上限温度を上昇させ
る。
【0017】Mn: 電気抵抗を増大させ、渦電流損失
を低下させるためと、γ相温度域を拡大しγ→α変態利
用の集合組織制御を容易にするために0.05%以上添
加することが望まれる。添加する場合は0.5 wt%
以上が好ましく、0.8 wt%以上がより好ましいが
、いずれにしてもαおよびγ2相からα単相になる変態
温度が脱炭完了後850 ℃以上となる量を最大限とし
て添加する。これはMnを多量に添加すると、脱炭完了
後実質的にα単相となる上限温度が低下し、焼鈍温度を
極端に低くしなければならないためである。なお、Si
量が高い場合はMnを多量に添加しうるが、磁束密度を
低下させるため5wt%を超えないようにする。実質的
にα単相となるとはMnS 、AlN 等の微量な第二
相が存在しても良いことを意味する。
【0018】P: PはSiと同様、α安定化元素であ
ると同様に比抵抗を増大させるため、交流磁気特性の改
善には有効な元素である。しかし、一方でフェライト粒
界に偏析して鋼を脆化させる元素でもある。特にSiが
1.0 wt%を超える鋼においては、Pの脆化作用が
顕著となるので、含有量は0.1 wt%以下とする。
【0019】S: Sは磁気特性に対しては有害な元素
であるため、できる限り少ない方が望ましい。0.05
wt%以下であればSによる悪影響は比較的小さい。N
: NはCと同様に磁気時効に関与する元素であるたえ
、できるだけ少ないほうが望ましい。その含有量が0.
005 wt%以下であれば磁気時効に対する関与が小
さい。その他、Ni、Cr、Mo、Wについては合金成
分として含有してもかまわない。
【0020】製品板厚: 本発明では結晶組織的な面か
ら製品板厚に上限を設ける必要はない。しかし、製品板
厚が厚いと内部まで脱炭するのに長時間を要し、また渦
電流損失が増大するので5mm以下とし、好ましくは1
mm以下、より好ましくは0.5 mm以下である。下
限は十分に集積した{100 }集合組織とするため0
.05mmとし、好ましくは0.1mm以上、より好ま
しくは0.15mm以上である。
【0021】結晶組織: 板の表面から内部に向かって
伸びた柱状粒が板厚中心付近で衝突した組織を基本とす
るが、さらに粒成長を促進させて板厚方向に貫通した柱
状粒組織であってもよい。ただし、低鉄損とするため柱
状結晶粒の板面平行方向の平均直径は1mm以下とし、
好ましくは0.5 mm以下、より好ましくはは0.3
5mm以下である。
【0022】板面垂直方向の<100> 軸密度: 通
常、珪素鋼板における板面垂直方向への<100> 軸
の配向度を調べるには、X線回析測定によりX線の散乱
ベクトルが板面垂直方向に一致するような条件下で{2
00 }反射積分強度を求め、これを結晶方位配向性の
ない試料についての値の倍数で表示する。この値は下記
の場合を除いて実際の板面垂直方向の<100> 軸密
度とほぼ一致する。 (1) 結晶粒が0.1 mm以上の大きさで、X線の
照射領域に十分な個数の結晶粒がない場合。 (2) 板面垂直方向への<100> 軸の集積が非常
に強い場合これは一般に配向性のないものの10倍以上
の場合である。本発明においては、(1) 、(2) 
の例外を排除するため、板面垂直方向から±5°以内に
<100> 軸を持つ結晶粒の全体に対する比率を配向
性のない場合の比率で割った値を板面垂直方向の<10
0> 軸密度として定義する。この値は集積度が小さい
場合、X線による測定にほぼ一致する。
【0023】実験上ではSEM(Scanning E
lectron Microscope)による結晶粒
組織の観察に、ECP(Electron Chann
eling Pattern) による結晶方位解析を
併用して、200 〜300 個程度の結晶粒の方位を
調べ、板面垂直方向の<100> 軸密度を求めること
になる。
【0024】本発明にかかる珪素鋼板においては、前記
の如く板面から内部に向かって伸びた結晶組織をもつこ
とにより、板面垂直方向に<100> 軸が高密度で集
積するが、その場合の「<100> 軸密度が高い」と
は、十分な磁気特性が確保できる程度に十分集積度が高
いとの意味であって、具体的には、上で定義した値で表
わして5以上が好ましく、より好ましくは8以上、さら
に好ましくは15ないし20以上である。
【0025】冷間圧延鋼板の製造方法: 一般に、冷延
鋼板においては、冷間圧延の圧下率により、一次再結晶
集合組織が変化する。例えば、冷間圧延圧下率が65%
程度では{111 }<011> 、{111 }<1
12> が主方位、{110 }<001> が副方位
となる。冷延圧下率が70%程度では{554 }<2
25> が主に発達する。さらに圧下率を増して95%
程度にすると、{554 }<225> の他に{10
0 }<012> が現われる。この{100 }<0
12> 方位成分が{100 }面内8方位集合組織の
原因となる。ところが、このような高圧下率の圧延を冷
間圧延のみによって工業的規模で行うことは実質的に不
可能である。また、温間圧延も考えられるが、そのため
の設備コストがかかる。
【0026】よって、このような高圧下を現有設備で行
うには、高温で行うと再結晶により組織が変化するため
、本発明のように熱間圧延時の仕上げ圧延終了温度、熱
間圧延終了温度および巻取り温度を低温に限定し、さら
にその熱延鋼帯に圧下率70%以上、好ましくは圧下率
75〜85%の冷間圧延を施すことにより、実現できる
。冷間圧延における圧下率が70%未満となれば{10
0 }面内無方向集合組織を十分に発達させることがで
きない。
【0027】本発明におけると同様に熱間圧延と冷間圧
延を組み合わせることにより、実質的に強圧下を施した
と同じ状態にし、一次再結晶後に{100}<012>
 集合組織を強く集積させようとする試みは、特開昭6
0−125325号公報開示の方法があるが、この方法
では圧延時の負荷を考慮してSiおよびAlの合計含有
量を1.5 重量%以下としなければならず、低鉄損は
期待できない。
【0028】また、強圧下だけで{100 }<012
> 集合組織を集積させるには熱間圧延および冷間圧延
での圧下条件が厳しくならざるを得ず、圧延機の能力を
越える可能性がある。本発明はSi+Al量が好ましく
は1.5 重量%以上で、かつ熱間圧延温度範囲を特開
昭60−125325号の方法よりも高温にし、冷間圧
延の圧下率を低くしても{100 }<012> 集合
組織を高度に集積させる方法を提供するものである。
【0029】熱間圧延条件: かくして、本発明にあっ
ては圧延終了温度が600 〜850 ℃の範囲の条件
下で熱間圧延を行う。熱間圧延終了温度が850 ℃を
越えれば、熱間圧延時の動的再結晶や、水冷巻取りまで
の間の再結晶により、未再結晶組織の熱延鋼帯が得られ
なくなり、一方熱間圧延終了温度が600 ℃よりも低
温となれば圧延機の負荷がいたずらに大きくなって圧延
が困難となることから、熱間圧延終了温度は600 〜
850 ℃の範囲内に限定した。
【0030】最終焼鈍: 脱炭前にαとγの2相混合も
しくはγ単相であり、かつ脱炭完了後α単相となる温度
域で脱炭焼鈍を行う。これにより脱炭の行われていない
部分についてはα+γ2相域もしくはγ単相域の温度で
焼鈍が行われ、表面から脱炭が進行する間に表層より内
部に向かってγ→α変態が生じ、板面垂直方向に{10
0 }軸が強く集積した実質的にα単相の柱状粒組織が
得られる。
【0031】具体的には、焼鈍効率等を高めるため、次
のような焼鈍を行うのが好ましい。弱脱炭性でかつ非酸
化性もしくは弱酸化性の雰囲気中、例えば1Torr以
下の真空中もしくは露点が−20℃に満たない低い温度
のH2、He、Ne、Nr、Kr、Xe、Rn、N2の
1種または2種以上の雰囲気中で、800 ℃以上の温
度で焼鈍し、板表面から5〜100 μm の深さの領
域にα単相域を形成する。焼鈍時間は好ましくは1〜4
8時間程度である。この焼鈍を強脱炭性雰囲気あるいは
酸化性雰囲気で行った場合は脱炭は生じても板面垂直方
向に<100 >軸が集積しない。
【0032】次いで、強脱炭性の雰囲気、例えば露点−
20℃以上のH2中もしくは露点−20℃以上のH2に
不活性ガスまたはCO、CO2 を添加したガス中で、
650 〜900 ℃の温度で焼鈍し、板表層部に形成
したα単相域を板内部に向かって成長させる。焼鈍時間
は好ましくは5min 〜20h 程度である。強脱炭
性雰囲気での焼鈍を行わず、弱脱炭性雰囲気での焼鈍を
そのまま続けた場合は、板厚が厚いと長時間を要すると
いう問題がある。しかし脱炭に要する時間は板厚に強く
依存するため、板厚の薄い0.2 mm厚以下のもので
は弱脱炭性雰囲気での焼鈍を続けても、さほどの時間を
要しない。なお、強脱炭の工程はC添加時にα相とセメ
ンタイトとの混合相となる温度域で行ってもよい。換言
すれば脱炭のためだけだから低温でもかまわない。
【0033】表面コーティング: 表面には絶縁皮膜を
形成することが好ましく、この所望工程は最終焼鈍後に
実施してもよいし、弱脱炭性雰囲気中での焼鈍後に実施
してもよい。後者の場合は、表面コーティング後に強脱
炭性の雰囲気中で焼鈍を行うことになる。
【0034】
【実施例1】表1に鋼A〜Iの9種類の組成の真空溶製
インゴットを熱間鍛造し、各板を5mm厚まで熱間圧延
 (加熱温度1200℃、保持時間30分、終了温度8
00 ℃) した後、鋼A〜D、F、H〜Iを冷間圧延
 (圧下率90%) により、0.5 mm厚の板とし
た。鋼EおよびGは割れが激しく、冷間圧延できなかっ
た。しかるのち、各板に10−4Torrの真空中で8
00 〜1000℃、30分の弱脱炭を施し、引続きで
露点+20℃の100 %H2中で850 ℃、5分〜
5時間の強脱炭焼鈍を施した。最終焼鈍後のC量は全て
の試料について0.003 wt%以下となった。
【0035】そして、最終焼鈍を終えた各試料について
<100> 軸の配向性を調べるために、板厚の1/2
 の位置において、X線回析により積分強度を測定した
。また、磁気特性の面内異方性を調べるために圧延方向
、45°方向および90°方向について、5000A/
m の磁場での磁束密度B50、および1.5Tの磁束
密度での鉄損W15/50 を測定した。なお、励磁周
波数は50Hzとした。その結果を表2に示す。
【0036】鋼Aは、板面垂直方向の<100> 軸密
度の発達は大きいが、Si量が少ないために鉄損が大き
い。 鋼Bは、脱炭による、板面垂直方向の<100> 軸密
度の集積がほとんどないために、磁束密度が小さく、鉄
損が大きい。 鋼C、Dは本発明例であり、磁束密度、鉄損共に従来の
無方向性電磁鋼板の特性を上回っている。 鋼F、H、Iも本発明例であって、板面垂直方向の<1
00> 軸密度の集積が極めて大きく、良好な磁気特性
を示しており、面内異方性が小さい。
【0037】
【実施例2】鋼Fの化学組成の試料を用い、熱間圧延を
仕上げ温度、圧下率を変え、さらに冷間圧延を圧下率を
変えて本発明を実施した。さらに、昇温速度60/mi
n、10−4Torrの真空中で800 〜1000℃
で30分保持した後、引続き露点+20℃の100 %
H2中で850 ℃、5分〜5時間の強脱炭焼鈍を施し
た。最終焼鈍後のC量が全ての試料について0.003
 wt%以下となった。
【0038】そして、実施例1と同様に、最終焼鈍を終
えた各試料について<100> 軸の配向性を調べるた
めに、板厚の1/2 の位置において、X線回析により
積分強度を測定した。また、面内異方性を調べるために
圧延方向、45°方向および90°方向の5000A/
m における磁束密度および1.5Tにおける鉄損を測
定した。その結果を表3に示す。
【0039】鋼Lは熱間圧延、冷間圧延を通じての歪み
量が小さく、弱脱炭焼鈍の際の結晶粒径が大きいために
、<100> 軸の発達がやや不十分であるため、焼鈍
温度の低い鋼Mに比べても小さい。しかしながら、両者
共に面内異方性はかなり小さく、磁束密度、鉄損におい
て、従来の無方向性電磁鋼板の特性を上回っている。鋼
N、Oは熱間圧延、冷間圧延条件と共に、同じ条件の強
圧下であるが、鋼Nは焼鈍温度が低く、<100> 集
合組織が未発達であるのに対し、鋼Oはそれらが著しく
発達しており、面内異方性が小さいことわかる。鋼P、
Qは<100> 軸の発達が大きいにもかかわらず、B
50およびW15/50 の面内異方性が大きく、特定
方向の磁気特性のみがよい。鋼Rは熱間圧延における歪
量は小さいが、冷間圧延において96%と極めて大きい
圧下を行っており、<100> 軸密度の集積度は著し
く大きく面内異方性も小さい。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
は面内異方性の少ない磁気特性に優れた無方向性電磁鋼
板を提供する。すなわち、脱炭焼鈍により{100 }
集合組織を極めて発達させ、熱間圧延、冷間圧延条件の
抑制するだけで、モーターなどの回転機用として非常に
優れた特性の電磁鋼板を実現できる上、特別な技法を必
要とせず、実施し易く、実施コストが安い。したがって
、本発明は無方向性電磁鋼板の特性改善および工業的規
模での実施製造コスト低減を実現し、産業上多大の効果
を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
図1本発明にかかる無方向性電磁鋼板の表面における結
晶配列の模式的説明図である。
【符号の説明】
10 : 電磁鋼板 12 : 結晶粒 20 : <100> 軸 30 : <100> 軸 40 : <110> 軸

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  重量%で、 C: 0.01wt%以下、  Si+Al: 0.2
     〜6.5 wt%、  Mn: 0.05〜5wt 
    %、 P: 0.1 wt%以下、  S: 0.05wt%
    以下、        N: 0.005 wt%以下
    、 残部Feおよび不可避的不純物より成る鋼組成を有し、
    その平均結晶粒径が1mm以下かつ板面垂直方向の<1
    00> 軸密度が高く、板面内で<100> 軸が面内
    無方向か、または8方向に分かれた集合組織を有する磁
    気特性に優れた電磁鋼板を製造するに際し、あらかじめ
    C:0.02〜1%に調整した鋼板を用意し、該鋼板に
    対する熱間圧延を850 〜600 ℃の温度で終了し
    、かつ70%以上で冷間圧延する強加工を行い、次いで
    脱炭によりC: 0.01%以下に調整することから成
    る、磁気特性に優れた電磁鋼板の製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6500278B1 (en) 1999-05-27 2002-12-31 Japan Science And Technology Corporation Hot rolled electrical steel sheet excellent in magnetic characteristics and corrosion resistance and method for production thereof
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