JP7415136B2 - 無方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、無方向性電磁鋼板の製造方法に関する。
無方向性電磁鋼板は、例えばモータの鉄心に使用され、無方向性電磁鋼板には、その板面に平行なすべての方向の平均(以下、「板面内の全周平均(全方向平均)」ということがある)において優れた磁気特性、例えば低鉄損及び高磁束密度が要求される。これまで種々の技術が提案されているが、板面内の全方向において十分な磁気特性を得ることは困難である。例えば、板面内のある特定の方向で十分な磁気特性が得られるとしても、他の方向では十分な磁気特性が得られないことがある。
特許第4029430号公報 特許第6319465号公報
本発明は前述の問題点を鑑み、全周平均(全方向平均)で優れた磁気特性を得ることができる無方向性電磁鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。この結果、全方向に対して優れた磁気特性を得ることができる無方向性電磁鋼板の製造には、α-γ変態系の化学組成を前提とし、熱間圧延時にオーステナイトからフェライトへの変態で組織を微細化し、さらに冷間圧延では従来よりも高い圧下率とし、その後の焼鈍で温度を所定の範囲内に制御して張出再結晶(以下、バルジング)を発生させることによって、通常は発達しにくい{100}結晶粒を発達させやすくすることが重要であることが明らかになった。また、冷間圧延の圧下率を高く設定することにより、焼鈍後にスキンパス圧延を行わなくても{100}結晶粒を発達させやすくすることができ、製造工程を一部省略できることもわかった。
本発明者らは、このような知見に基づいて更に鋭意検討を重ねた結果、以下に示す発明の諸態様に想到した。
(1)
質量%で、
C:0.010%以下、
Si:1.50%~4.00%、
sol.Al:0.0001%~1.0%、
S:0.010%以下、
N:0.010%以下、
Mn、Ni、Co、Pt、Pb、Cu、Auからなる群から選ばれる1種以上:総計で2.50%~5.00%、
Sn:0.000%~0.400%、
Sb:0.000%~0.400%、
P:0.000%~0.400%、及び
Mg、Ca、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn、及びCdからなる群から選ばれる1種以上:総計で0.0000%~0.0100%を含有し、
Mn含有量(質量%)を[Mn]、Ni含有量(質量%)を[Ni]、Co含有量(質量%)を[Co]、Pt含有量(質量%)を[Pt]、Pb含有量(質量%)を[Pb]、Cu含有量(質量%)を[Cu]、Au含有量(質量%)を[Au]、Si含有量(質量%)を[Si]、sol.Al含有量(質量%)を[sol.Al]としたときに、以下の(1)式を満たし、
残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有する鋼材に対して熱間圧延を行い、熱間圧延鋼板を得る工程と、
前記熱間圧延鋼板に対して冷間圧延を行い、板厚が0.15~0.35mmの冷間圧延鋼板を得る工程と、
前記冷間圧延の後に焼鈍を行う工程と、を有し、
前記熱間圧延時の仕上げ圧延の最終パスをAr1以上の温度で行い、前記冷間圧延は、93%~97%の圧下率で行うことを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
([Mn]+[Ni]+[Co]+[Pt]+[Pb]+[Cu]+[Au])-([Si]+[sol.Al])>0% ・・・(1)
(2)
前記鋼材は、質量%で、
Sn:0.020%~0.400%、
Sb:0.020%~0.400%、及び、
P:0.020%~0.400%からなる群から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする上記(1)に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
(3)
前記鋼材は、質量%で、Mg、Ca、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn、及びCdからなる群から選ばれる1種以上:総計で0.0005%~0.0100%を含有することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
(4)
前記焼鈍は、Ac1未満の温度で行うことを特徴とする上記(1)~(3)のいずれかに記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
本発明によれば、全周特性の優れた磁気特性を得ることができる無方向性電磁鋼板の製造方法を提供することができる。
以下、本発明に実施形態について詳細に説明する。
まず、本発明の実施形態に係る無方向性電磁鋼板及びその製造方法で用いられる鋼材の化学組成について説明する。以下の説明において、無方向性電磁鋼板又は鋼材に含まれる各元素の含有量の単位である「%」は、特に断りがない限り「質量%」を意味する。本実施形態に係る無方向性電磁鋼板及び鋼材は、フェライト-オーステナイト変態(以下、α-γ変態)が生じ得る化学組成であって、C:0.010%以下、Si:1.50%~4.00%、sol.Al:0.0001%~1.0%、S:0.010%以下、N:0.010%以下、Mn、Ni、Co、Pt、Pb、Cu、Auからなる群から選ばれる1種以上:総計で2.50%~5.00%、Sn:0.000%~0.400%、Sb:0.000%~0.400%、P:0.000%~0.400%、及びMg、Ca、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn、及びCdからなる群から選ばれる1種以上:総計で0.0000%~0.0100%を含有し、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有する。さらに、Mn、Ni、Co、Pt、Pb、Cu、Au、Siおよびsol.Alの含有量が後述する所定の条件を満たす。不純物としては、鉱石やスクラップ等の原材料に含まれるもの、製造工程において含まれるもの、が例示される。
(C:0.010%以下)
Cは、鉄損を高めたり、磁気時効を引き起こしたりする。従って、C含有量は低ければ低いほどよい。このような現象は、C含有量が0.010%超で顕著である。このため、C含有量は0.010%以下とする。C含有量の低減は、板面内の全方向における磁気特性の均一な向上にも寄与する。なお、C含有量の下限は特に限定しないが、精錬時の脱炭処理のコストを踏まえ、0.0005%以上とすることが好ましい。
(Si:1.50%~4.00%)
Siは、電気抵抗を増大させて、渦電流損を減少させ、鉄損を低減したり、降伏比を増大させて、鉄心への打ち抜き加工性を向上したりする。Si含有量が1.50%未満では、これらの作用効果を十分に得られない。従って、Si含有量は1.50%以上とする。一方、Si含有量が4.00%超では、磁束密度が低下したり、硬度の過度な上昇により打ち抜き加工性が低下したり、冷間圧延が困難になったりする。従って、Si含有量は4.00%以下とする。
(sol.Al:0.0001%~1.0%)
sol.Alは、電気抵抗を増大させて、渦電流損を減少させ、鉄損を低減する。sol.Alは、飽和磁束密度に対する磁束密度B50の相対的な大きさの向上にも寄与する。ここで、磁束密度B50とは、5000A/mの磁場における磁束密度である。sol.Al含有量が0.0001%未満では、これらの作用効果を十分に得られない。また、Alには製鋼での脱硫促進効果もある。従って、sol.Al含有量は0.0001%以上とする。一方、sol.Al含有量が1.0%超では、磁束密度が低下したり、降伏比を低下させて、打ち抜き加工性を低下させたりする。従って、sol.Al含有量は1.0%以下とする。
(S:0.010%以下)
Sは、必須元素ではなく、例えば鋼中に不純物として含有される。Sは、微細なMnSの析出により、焼鈍における再結晶及び結晶粒の成長を阻害する。従って、S含有量は低ければ低いほどよい。このような再結晶及び結晶粒成長の阻害による鉄損の増加および磁束密度の低下は、S含有量が0.010%超で顕著である。このため、S含有量は0.010%以下とする。なお、S含有量の下限は特に限定しないが、精錬時の脱硫処理のコストを踏まえ、0.0003%以上とすることが好ましい。
(N:0.010%以下)
NはCと同様に、磁気特性を劣化させるので、N含有量は低ければ低いほどよい。したがって、N含有量は0.010%以下とする。なお、N含有量の下限は特に限定しないが、精錬時の脱窒処理のコストを踏まえ、0.0010%以上とすることが好ましい。
(Mn、Ni、Co、Pt、Pb、Cu、Auからなる群から選ばれる1種以上:総計で2.50%~5.00%)
これらの元素は、α-γ変態を生じさせるために必要な元素であることから、これらの元素の少なくとも1種を総計で2.50%以上含有させる必要がある。一方で、総計で5.00%を超えると、コスト高となり、磁束密度が低下する場合もある。したがって、これらの元素の少なくとも1種を総計で5.00%以下とする。
また、α-γ変態が生じ得る条件として、さらに以下の条件を満たしているものとする。つまり、Mn含有量(質量%)を[Mn]、Ni含有量(質量%)を[Ni]、Co含有量(質量%)を[Co]、Pt含有量(質量%)を[Pt]、Pb含有量(質量%)を[Pb]、Cu含有量(質量%)を[Cu]、Au含有量(質量%)を[Au]、Si含有量(質量%)を[Si]、sol.Al含有量(質量%)を[sol.Al]としたときに、質量%で、以下の(1)式を満たすものとする。
([Mn]+[Ni]+[Co]+[Pt]+[Pb]+[Cu]+[Au])-([Si]+[sol.Al])>0% ・・・(1)
前述の(1)式を満たさない場合には、α-γ変態が生じないため、磁束密度が低くなる。
(Sn:0.000%~0.400%、Sb:0.000%~0.400%、P:0.000%~0.400%)
SnやSbは冷間圧延、再結晶後の集合組織を改善して、その磁束密度を向上させる。そのため、これらの元素を必要に応じて含有させてもよいが、過剰に含まれると鋼を脆化させる。したがって、Sn含有量、Sb含有量はいずれも0.400%以下とする。また、Pは再結晶後の鋼板の硬度を確保するために含有させてもよいが、過剰に含まれると鋼の脆化を招く。したがって、P含有量は0.400%以下とする。以上のように磁気特性等のさらなる効果を付与する場合には、0.020%~0.400%のSn、0.020%~0.400%のSb、及び0.020%~0.400%のPからなる群から選ばれる1種以上を含有することが好ましい。
(Mg、Ca、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn、及びCdからなる群から選ばれる1種以上:総計で0.0000%~0.0100%)
Mg、Ca、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn及びCdは、溶鋼の鋳造時に溶鋼中のSと反応して硫化物若しくは酸硫化物又はこれらの両方の析出物を生成する。以下、Mg、Ca、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn及びCdを総称して「粗大析出物生成元素」ということがある。粗大析出物生成元素の析出物の粒径は1μm~2μm程度であり、MnS、TiN、AlN等の微細析出物の粒径(100nm程度)よりはるかに大きい。このため、これら微細析出物は粗大析出物生成元素の析出物に付着し、焼鈍における再結晶及び結晶粒の成長を阻害しにくくなる。これらの作用効果を十分に得るためには、これらの元素の総計が0.0005%以上であることが好ましい。但し、これらの元素の総計が0.0100%を超えると、硫化物若しくは酸硫化物又はこれらの両方の総量が過剰となり、焼鈍における再結晶及び結晶粒の成長が阻害される。従って、粗大析出物生成元素の含有量は総計で0.0100%以下とする。
次に、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板の集合組織について説明する。製造方法の詳細については後述するが、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板はα-γ変態が生じ得る化学組成であり、冷間圧延での圧下率を通常よりも高い93~97%として組織を微細化することによって{100}結晶粒が成長した組織となる。これにより、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板は例えば{100}<011>方位の集積強度が5以上となり、圧延方向に対して45°方向の磁束密度B50が特に高くなる。このように特定の方向で磁束密度が高くなるが、全体的に全方向平均で高い磁束密度が得られる。{100}<011>方位の集積強度が5未満になると、磁束密度を低下させる{111}<112>方位の集積強度が高くなり、全体的に磁束密度が低下してしまう。
{100}<011>方位の集積強度は、X線回折法又は電子線後方散乱回折(electron backscatter diffraction:EBSD)法により測定することができる。X線及び電子線の試料からの反射角等が結晶方位毎に異なるため、ランダム方位試料を基準にしてこの反射強度等で結晶方位強度を求めることができる。
次に、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板の磁気特性について説明する。磁気特性を調べる際には、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板に対して、さらに800℃で2時間の条件で焼鈍を施した後に磁束密度を測定する。この無方向性電磁鋼板は、圧延方向となす角度のうち小さい方の角度が45°となる2つの方向において、磁気特性が最も優れる。一方、圧延方向となす角度が0°、90°の2つの方向において、磁気特性が最も劣る。ここで、当該45°は、理論的な値であり、実際の製造に際しては45°に一致させることが容易でない場合がある。したがって、理論的には、磁気特性が最も優れる方向が、圧延方向となす角度のうち小さい方の角度が45°となる2つの方向であれば、実際の無方向性電磁鋼板においては、当該45°は、(厳密に)45°に一致していないものも含むものとする。このことは、当該0°、90°においても同じである。また、理論的には、磁気特性が最も優れる2つの方向の磁気特性は同じになるが、実際の製造に際しては当該2つの方向の磁気特性を同じにすることが容易でない場合がある。したがって、理論的には、磁気特性が最も優れる2つの方向の磁気特性が同じであれば、当該同じは、(厳密に)同じでないものも含むものとする。このことは、磁気特性が最も劣る2つの方向においても同じである。尚、以上の角度は、時計回りおよび反時計回りの何れの向きの角度も正の値を有するものとして表記したものである。時計回りの方向を負の方向とし、反時計回りの方向を正の方向とする場合、前述した圧延方向となす角度のうち小さい方の角度が45°となる2つの方向は、前述した圧延方向となす角度のうち絶対値の小さい方の角度が45°、-45°となる2つの方向となる。また、前述した圧延方向となす角度のうち小さい方の角度が45°となる2つの方向は、圧延方向となす角度が45°、135°となる2つの方向とも表記できる。本実施形態において磁束密度を測定すると、圧延方向に対して45°方向の磁束密度B50が1.8T以上となる。なお、圧延方向に対して45°方向の磁束密度が高いものの、全周平均(全方向平均)でも高い磁束密度が得られる。
磁束密度の測定は、圧延方向に対して45°、0°方向等から55mm角の試料を切り出し,単板磁気測定装置を用いて行うことができる。
次に、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板の製造方法について説明する。本実施形態では、熱間圧延、冷間圧延、および焼鈍を行う。
まず、上述した鋼材を加熱し、熱間圧延を施す。鋼材は、例えば通常の連続鋳造によって製造されるスラブである。熱間圧延の粗圧延および仕上げ圧延はγ域(Ar1以上)の温度で行う。つまり、仕上げ圧延の仕上温度がAr1以上となるように熱間圧延を行う。これにより、その後の冷却によってオーステナイトからフェライトへ変態することにより組織は微細化する。微細化された状態でその後冷間圧延を施すと、張出再結晶(以下、バルジング)が発生しやすく、通常は成長しにくい{100}結晶粒を成長させやすくすることができる。
その後、熱間圧延板焼鈍は行わずに巻き取り、酸洗を経て、熱間圧延鋼板に対して冷間圧延を行う。ここで、圧下率が高いほどその後のバルジングによって{100}結晶粒が成長しやすくなるため、冷間圧延では圧下率を93%~97%とする。このような高い圧下率で冷間圧延を行うため、その後の焼鈍でバルジングが発生し、{100}結晶粒が成長しやすくなる。また、93%~97%という高い圧下率で冷間圧延を行うため、焼鈍後にスキンパス圧延を行わなくても成長しづらい{100}結晶粒を増えやすくすることができ、さらにスキンパス圧延のような冷間圧延の工程を省略でき、工程を簡略化することができる。
但し、圧下率が97%を超えると、熱間圧延鋼板の板厚を過剰に大きくする必要があるため、熱間圧延鋼板の巻取りが困難になる。また、圧下率が93%未満では、1回の冷間圧延ではバルジングの発生が不十分となり、その後、スキンパス圧延等の工程を追加する必要が生じてしまう。本実施形態のような93%~97%という高い圧下率は、例えばリバース圧延機を用いる、もしくはリバース圧延機とタンデム圧延機との両方を用いることによって実現できる。
冷間圧延が終了すると、続いて焼鈍を行う。本実施形態では、オーステナイトへ変態しない温度で焼鈍を行う。つまり、焼鈍の温度をAc1未満とすることが好ましい。このように焼鈍を行うことによってバルジングが生じ、{100}結晶粒が成長しやすくなる。また、焼鈍の時間は、5~60秒とすることが好ましい。
以上のように本実施形態に係る無方向性電磁鋼板を製造することができる。
次に、本発明の実施形態に係る無方向性電磁鋼板の製造方法について、実施例を示しながら具体的に説明する。以下に示す実施例は、本発明の実施形態に係る無方向性電磁鋼板の製造方法のあくまでも一例にすぎず、本発明に係る無方向性電磁鋼板の製造方法が下記の例に限定されるものではない。
(第1の実施例)
溶鋼を鋳造することにより、以下の表1に示す成分のインゴットを作製した。ここで、式左辺とは、前述の(1)式の左辺の値を表している。その後、作製したインゴットを1150℃まで加熱して熱間圧延を行い、板厚が表1に記載の値となるように圧延した。そして、仕上げ圧延終了後に水冷し熱間圧延鋼板を巻き取った。この時の仕上げ圧延の最終パスの段階での温度(仕上温度)は800℃であり、Ar1よりも高い温度であった。また、巻き取り時の巻取り温度は500℃とした。
次に、熱間圧延鋼板において酸洗によりスケールを除去し、表1に記載の圧下率で冷間圧延を行った。そして、無酸化雰囲気中でAc1よりも低い800℃まで加熱して焼鈍を行った。
さらに、磁気特性を調べるために、上記焼鈍の後に55mm角試料を採取し、800℃で2時間の歪取焼鈍を行い、磁束密度B50を測定した。測定試料は55mm角の試料を圧延方向に0°と45°の2種類の方向に採取した。そして、この2種類の試料を測定し、圧延方向に対して、45°方向の値を45°方向の磁束密度B50とし、圧延方向に対して、0°、45°、90°、135°の平均値を磁束密度B50の全周平均とした。
Figure 0007415136000001
表1中の下線は、本発明の範囲から外れた条件を示している。発明例であるNo.101~No.112は、45°方向及び全周平均共に磁束密度B50は良好な値であった。一方、比較例であるNo.113、No.114は冷間圧延の圧下率が低いため、バルジングを起こしにくく、磁気特性が悪かった。また、比較例であるNo.115は、磁気特性はよいものの、熱間圧延鋼板が8mmという厚さで熱間圧延での巻き取りや後工程での処理が非常に困難であった。また、比較例No.116は、熱間圧延後の厚みは薄かったが、鋼板が薄くなりすぎたため、途中で割れて試験を中断した。
(第2の実施例)
溶鋼を鋳造することにより、以下の表2に示す成分のインゴットを作製した。ここで、式左辺とは、前述の(1)式の左辺の値を表している。その後、作製したインゴットを1150℃まで加熱して熱間圧延を行い、板厚が3.0mmになるように圧延した。そして、仕上げ圧延終了後に水冷し熱間圧延鋼板を巻き取った。この時の仕上げ圧延の最終パスの段階での温度(仕上温度)は800℃であり、Ar1よりも高い温度であった。また、巻き取り時の巻取り温度は500℃とした。
次に、熱間圧延鋼板において酸洗によりスケールを除去し、95%の圧下率で板厚が0.15mmになるまで冷間圧延を行った。そして、無酸化雰囲気中でAc1よりも低い800℃まで加熱して焼鈍を行った。
さらに、磁気特性を調べるために、上記焼鈍の後に55mm角試料を採取し、800℃で2時間の歪取焼鈍を行い、磁束密度B50と鉄損W10/400を測定した。磁束密度B50に関しては第1の実施例と同様の手順で測定した。一方で鉄損W10/400は、最大磁束密度が1.0Tになるように400Hzの交流磁場をかけた時に試料に生じる全周平均のエネルギーロス(W/kg)として測定した。測定結果を表3に示す。
No.201~No.214は全て発明例であり、いずれも打ち抜き精度、浮上り量、磁気特性が良好であった。特に、No.202~No.204はNo.201、No.205~No.214よりも磁束密度B50が高く、No.205~No.214はNo.201~No.204よりも鉄損W10/400が低かった。

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C:0.010%以下、
    Si:1.50%~4.00%、
    sol.Al:0.0001%~1.0%、
    S:0.010%以下、
    N:0.010%以下、
    Mn、Ni、Co、Pt、Pb、Cu、Auからなる群から選ばれる1種以上:総計で2.50%~5.00%、
    Sn:0.000%~0.400%、
    Sb:0.000%~0.400%、
    P:0.000%~0.400%、及び
    Mg、Ca、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn、及びCdからなる群から選ばれる1種以上:総計で0.0000%~0.0100%を含有し、
    Mn含有量(質量%)を[Mn]、Ni含有量(質量%)を[Ni]、Co含有量(質量%)を[Co]、Pt含有量(質量%)を[Pt]、Pb含有量(質量%)を[Pb]、Cu含有量(質量%)を[Cu]、Au含有量(質量%)を[Au]、Si含有量(質量%)を[Si]、sol.Al含有量(質量%)を[sol.Al]としたときに、以下の(1)式を満たし、
    残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有する鋼材に対して熱間圧延を行い、熱間圧延鋼板を得る工程と、
    前記熱間圧延鋼板に対して冷間圧延を行い、板厚が0.15~0.35mmの冷間圧延鋼板を得る工程と、
    前記冷間圧延の後に焼鈍を行う工程と、を有し、
    前記熱間圧延時の仕上げ圧延の最終パスをAr1以上の温度で行い、前記冷間圧延は、93%~97%の圧下率で行うことを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
    ([Mn]+[Ni]+[Co]+[Pt]+[Pb]+[Cu]+[Au])-([Si]+[sol.Al])>0% ・・・(1)
  2. 前記鋼材は、質量%で、
    Sn:0.020%~0.400%、
    Sb:0.020%~0.400%、及び、
    P:0.020%~0.400%からなる群から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 前記鋼材は、質量%で、Mg、Ca、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn、及びCdからなる群から選ばれる1種以上:総計で0.0005%~0.0100%を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
  4. 前記焼鈍は、Ac1未満の温度で行うことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
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