JP7127308B2 - 無方向性電磁鋼板 - Google Patents
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Description
質量%で、
C:0.0030%以下、
Si:2.00%~4.00%、
Al:0.10%~3.00%、
Mn:0.10%~2.00%、
S:0.0030%以下、
Mg、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn及びCdからなる群から選択された一種以上:総計で0.0015%~0.0100%、
Nb:0.0020%以下、
Si含有量(質量%)を[Si]、Al含有量(質量%)を[Al]、Mn含有量(質量%)を[Mn]としたときに式1で表されるパラメータQ:2.00以上、
Sn:0.00%~0.40%、
Cu:0.0%~1.0%、
Cr:0.0%~10.0%、かつ
残部:Fe及び不純物、
で表される化学組成を有し、
Mg、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn及びCdからなる群から選択された一種以上の硫化物又は酸硫化物もしくはその両方に含まれるSの総質量が、無方向性電磁鋼板に含まれるSの総質量の40%以上であり、
{100}結晶方位強度が4.7以上であり、
厚さが0.15mm~0.30mmであり、
平均結晶粒径が65μm~100μmであることを特徴とする無方向性電磁鋼板。
Q=[Si]+2[Al]-[Mn] (式1)
前記化学組成において、
Sn:0.02%~0.40%、若しくは
Cu:0.1%~1.0%、
又はこれらの両方が満たされることを特徴とする(1)に記載の無方向性電磁鋼板。
前記化学組成において、
Cr:0.2%~10.0%
が満たされることを特徴とする(1)又は(2)に記載の無方向性電磁鋼板。
Q=[Si]+2[Al]-[Mn] (式1)
Cは、鉄損を高めたり、磁気時効を引き起こしたりする。従って、C含有量は低ければ低いほどよい。このような現象は、C含有量が0.0030%超で顕著である。このため、C含有量は0.0030%以下とする。C含有量の低減は、板面内の全方向における磁気特性の均一な向上にも寄与する。
Siは、電気抵抗を増大させて、渦電流損を減少させ、鉄損を低減したり、降伏比を増大させて、鉄心への打ち抜き加工性を向上したりする。Si含有量が2.00%未満では、これらの作用効果を十分に得られない。従って、Si含有量は2.00%以上とする。一方、Si含有量が4.00%超では、磁束密度が低下したり、硬度の過度な上昇により打ち抜き加工性が低下したり、冷間圧延が困難になったりする。従って、Si含有量は4.00%以下とする。
Alは、電気抵抗を増大させて、渦電流損を減少させ、鉄損を低減する。Alは、飽和磁束密度に対する磁束密度B50の相対的な大きさの向上にも寄与する。ここで、磁束密度B50とは、5000A/mの磁場における磁束密度である。Al含有量が0.10%未満では、これらの作用効果を十分に得られない。従って、Al含有量は0.10%以上とする。一方、Al含有量が3.00%超では、磁束密度が低下したり、降伏比を低下させて、打ち抜き加工性を低下させたりする。従って、Al含有量は3.00%以下とする。
Mnは、電気抵抗を増大させて、渦電流損を減少させ、鉄損を低減する。Mnが含まれると、一次再結晶で得られる集合組織が、板面に平行な面が{100}面の結晶(以下、「{100}結晶」ということがある)が発達したものになりやすい。{100}結晶は、板面内の全方向における磁気特性の均一な向上に好適な結晶である。また、Mn含有量が高いほど、MnSの析出温度が高くなり、析出してくるMnSが大きなものとなる。このため、Mn含有量が高いほど、仕上げ焼鈍における再結晶及び結晶粒の成長を阻害する粒径が100nm程度の微細なMnSが析出しにくい。Mn含有量が0.10%未満では、これらの作用効果を十分に得られない。従って、Mn含有量は0.10%以上とする。一方、Mn含有量が2.00%超では、仕上げ焼鈍において結晶粒が十分に成長せず、鉄損が増大する。従って、Mn含有量は2.00%以下とする。
Sは、必須元素ではなく、例えば鋼中に不純物として含有される。Sは、微細なMnSの析出により、仕上げ焼鈍における再結晶及び結晶粒の成長を阻害する。従って、S含有量は低ければ低いほどよい。このような再結晶及び結晶粒成長の阻害による鉄損の増加および磁束密度の低下は、S含有量が0.0030%超で顕著である。このため、S含有量は0.0030%以下とする。
Mg、Ca、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn及びCdは、溶鋼の鋳造又は急速凝固時に溶鋼中のSと反応して硫化物若しくは酸硫化物又はこれらの両方の析出物を生成する。以下、Mg、Ca、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn及びCdを総称して「粗大析出物生成元素」ということがある。粗大析出物生成元素の析出物の粒径は1μm~2μm程度であり、MnS、TiN、AlN等の微細析出物の粒径(100nm程度)よりはるかに大きい。このため、これら微細析出物は粗大析出物生成元素の析出物に付着し、仕上げ焼鈍における再結晶及び結晶粒の成長を阻害しにくくなる。粗大析出物生成元素の含有量が総計で0.0015%未満では、これらの作用効果を十分に得られない。従って、粗大析出物生成元素の含有量は総計で0.0015%以上とする。一方、粗大析出物生成元素の含有量が総計で0.0100%超では、硫化物若しくは酸硫化物又はこれらの両方の総量が過剰となり、仕上げ焼鈍における再結晶及び結晶粒の成長が阻害される。従って、粗大析出物生成元素の含有量は総計で0.0100%以下とする。
Nbは、必須元素ではなく、例えば鋼中に不純物として含有される。Nbは、微細なNb炭窒化物として析出される。前述したように、MnS、TiN、AlN等の微細析出物は、Mg、Ca、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn及びCdの粗大析出物に付着されることにより、仕上げ焼鈍における再結晶及び結晶粒の成長を阻害しにくくできる。しかしながら、Nb炭窒化物は微細析出物ではあるが、MnS、TiN、AlN等の微細析出物とは異なり、単独で析出して仕上げ焼鈍等における再結晶及び結晶粒の成長を阻害する。従って、Nb含有量は低ければ低いほどよい。このような再結晶及び結晶粒成長の阻害による鉄損の増加および磁束密度の低下は、Nb含有量が0.0020%超で顕著である。このため、Nb含有量は0.0020%以下とする。尚、Nb含有量は0.0003%未満としても、再結晶及び結晶粒成長の阻害による鉄損の増加および磁束密度の低下に対する影響度低減は飽和傾向となる。また、Nb含有量を0.0003%未満とするには、高純度の材料を選定するなど、コストが増大してしまう。従って、Nb含有量は0.0003%以上とすることが好ましい。
式1で表されるパラメータQが2.00未満では、フェライト-オーステナイト変態(α-γ変態)が生じ得るため、溶鋼の鋳造又は急速凝固に際し、一旦生成した柱状晶がα-γ変態により壊されたり、平均結晶粒径が小さくなったりする。また、仕上げ焼鈍時にα-γ変態が生じることもある。このため、パラメータQが2.00未満では、所望の磁気特性が得られない。従って、パラメータQは2.00以上とする。
Sn及びCuは、磁気特性の向上に好適な結晶を一次再結晶で発達させる。このため、Sn若しくはCu又はこれらの両方が含まれると、板面内の全方向における磁気特性の均一な向上に好適な{100}結晶が発達した集合組織が一次再結晶で得られやすい。Snは、仕上げ焼鈍時の鋼板の表面の酸化及び窒化を抑制したり、結晶粒の大きさのばらつきを抑制したりする。従って、Sn若しくはCu又はこれらの両方が含有されていてもよい。これらの作用効果を十分に得るために、好ましくは、Sn:0.02%以上若しくはCu:0.1%以上又はこれらの両方とする。一方、Snが0.40%超では、上記作用効果が飽和して徒にコストが高くなったり、仕上げ焼鈍において結晶粒の成長が抑制されたりする。従って、Sn含有量は0.40%以下とする。Cu含有量が1.0%超では、鋼板が脆化し、熱間圧延及び冷間圧延が困難になったり、仕上げ焼鈍の焼鈍ラインの通板が困難になったりする。従って、Cu含有量は1.0%以下とする。
Crは、高周波鉄損を低減する。高周波鉄損の低減は回転機の高速回転化に寄与し、高速回転化は回転機の小型化及び高効率化に寄与する。Crは、電気抵抗を増大させて、渦電流損を減少させ、高周波鉄損等の鉄損を低減する。Crは、応力感受性を低下させ、鉄心を形成する際に導入される圧縮応力に伴う磁気特性の低下及び高速回転時に作用する圧縮応力に伴う磁気特性の低下の軽減にも寄与する。従って、Crが含有されていてもよい。これらの作用効果を十分に得るために、好ましくは、Cr:0.2%以上とする。一方、Cr含有量が10.0%超では、磁束密度が低下したり、コストが高くなったりする。従って、Cr含有量は10.0%以下とする。
また、割合RSは、スラブ等の鋼塊における柱状晶の割合、Mg、Ca、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn又はCdの添加量、添加方法等を制御することにより、当業者であれば所望の値以上(40%以上)とすることが出来る。
以上より、第2の製造方法においては、製品板の{100}結晶方位強度は、急速凝固後の柱状晶の割合、冷間圧延の圧下率、鋼帯の平均結晶粒径等を制御することにより、当業者であれば、所望の値以上(3.0以上)とすることが出来る。
また、割合RSは、急速凝固後の柱状晶の割合、Mg、Ca、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn又はCdの添加量、添加方法等を制御することにより、当業者であれば所望の値以上(40%以上)とすることが出来る。
第1の試験では、表1に示す化学組成を有する溶鋼を鋳造してスラブを作製し、このスラブの熱間圧延を行って鋼帯を得た。表1中の空欄は、当該元素の含有量が検出限界未満であったことを示し、残部はFe及び不純物である。表1中の下線は、その数値が本発明の範囲から外れていることを示す。このとき、試料によってMg、Ca、Sr、Ba、Ce、Zn又はCdの添加量、添加方法を変化させ、さらに鋳造の際に鋳片の2表面間の温度差を調整して鋼帯の出発素材であるスラブの柱状晶の割合並びに熱間圧延の開始温度及び巻取温度を調整して鋼帯の平均結晶粒径を変化させた。次いで、鋼帯の冷間圧延及び仕上げ焼鈍を行って種々の無方向性電磁鋼板を作製した。このとき、圧下率及び板厚を試料によって調整した。そして、各無方向性電磁鋼板の、粗大析出物生成元素の硫化物又は酸硫化物もしくはその両方に含まれるSの総質量の当該無方向性電磁鋼板に含まれるSの総質量に対する割合RS、{100}結晶方位強度I、厚さt及び平均結晶粒径rを測定した。この結果を表2に示す。表2中の下線は、その数値が本発明の範囲から外れていることを示す。
W0=28×[0.45+0.55×{0.5×(t/0.20)+0.5×(t/0.20)2}] (式2)
第2の試験では、質量%で、C:0.0018%、Si:3.39%、Al:0.66%、Mn:0.32%、S:0.0003%、Nb:0.0013%及びPr:0.0048%を含有し、残部がFe及び不純物からなる溶鋼を鋳造してスラブを作製し、このスラブの熱間圧延を行って、厚さが1.4mmの鋼帯を得た。鋳造の際に鋳片の2表面間の温度差を調整して鋼帯の出発素材であるスラブの柱状晶の割合並びに熱間圧延の開始温度及び巻取温度を調整して鋼帯の平均結晶粒径を変化させた。表4に、2表面間の温度差、柱状晶の割合及び鋼帯の平均結晶粒径を示す。次いで、78.6%の圧下率で冷間圧延を行って、厚さが0.30mmの鋼板を得た。その後、950℃で30秒間の連続仕上げ焼鈍を行って、無方向性電磁鋼板を得た。そして、各無方向性電磁鋼板の、粗大析出物生成元素の硫化物又は酸硫化物もしくはその両方に含まれるSの総質量の当該無方向性電磁鋼板に含まれるSの総質量に対する割合RS、{100}結晶方位強度I、厚さt及び平均結晶粒径rを測定した。この結果も表4に示す。表4中の下線は、その数値が本発明の範囲から外れていることを示す。
第3の試験では、表6に示す化学組成を有する溶鋼を鋳造してスラブを作製し、このスラブの熱間圧延を行って、厚さが1.2mmの鋼帯を得た。残部はFe及び不純物であり、表6中の下線は、その数値が本発明の範囲から外れていることを示す。鋳造の際に鋳片の2表面間の温度差を調整して鋼帯の出発素材であるスラブの柱状晶の割合並びに熱間圧延の開始温度及び巻取温度を調整して鋼帯の平均結晶粒径を変化させた。2表面間の温度差は53℃~64℃とした。表7に、柱状晶の割合及び鋼帯の平均結晶粒径を示す。次いで、79.2%の圧下率で冷間圧延を行って、厚さが0.25mmの鋼板を得た。その後、920℃で45秒間の連続仕上げ焼鈍を行って、無方向性電磁鋼板を得た。そして、各無方向性電磁鋼板の、粗大析出物生成元素の硫化物又は酸硫化物もしくはその両方に含まれるSの総質量の当該無方向性電磁鋼板に含まれるSの総質量に対する割合RS、{100}結晶方位強度I、厚さt及び平均結晶粒径rを測定した。この結果も表7に示す。表7中の下線は、その数値が本発明の範囲から外れていることを示す。
第4の試験では、表9に示す化学組成を有する溶鋼を鋳造してスラブを作製し、このスラブの熱間圧延を行って、表10に示す厚さの鋼帯を得た。表9中の空欄は、当該元素の含有量が検出限界未満であったことを示し、残部はFe及び不純物である。鋳造の際に鋳片の2表面間の温度差を調整して鋼帯出発素材であるスラブの柱状晶の割合並びに熱間圧延の開始温度及び巻取温度を調整して鋼帯の平均結晶粒径を変化させた。2表面間の温度差は49℃~76℃とした。表10に、柱状晶の割合及び鋼帯の平均結晶粒径も示す。次いで、表10に示す圧下率で冷間圧延を行って、厚さが0.20mmの鋼板を得た。その後、930℃で40秒間の連続仕上げ焼鈍を行って、無方向性電磁鋼板を得た。そして、各無方向性電磁鋼板の、粗大析出物生成元素の硫化物又は酸硫化物もしくはその両方に含まれるSの総質量の当該無方向性電磁鋼板に含まれるSの総質量に対する割合RS、{100}結晶方位強度I、厚さt及び平均結晶粒径rを測定した。この結果も表10に示す。表10中の下線は、その数値が本発明の範囲から外れていることを示す。
第5の試験では、質量%で、C:0.0016%、Si:3.01%、Al:0.32%、Mn:1.51%、S:0.0017%、Nb:0.0008%及びSr:0.0043%を含有し、残部がFe及び不純物からなる溶鋼を鋳造してスラブを作製し、このスラブの熱間圧延を行って、厚さが0.8mmの鋼帯を得た。鋳造の際に鋳片の2表面間の温度差を61℃として鋼帯の出発素材であるスラブの柱状晶の割合を90%とし、熱間圧延の開始温度及び巻取温度を調整して鋼帯の平均結晶粒径を0.17mmとした。次いで、81.3%の圧下率で冷間圧延を行って、厚さが0.15mmの鋼板を得た。その後、970℃で20秒間の連続仕上げ焼鈍を行って、無方向性電磁鋼板を得た。仕上げ焼鈍では、通板張力及び950℃から700℃までの冷却速度を変化させた。表12に通板張力及び冷却速度を示す。そして、各無方向性電磁鋼板の、粗大析出物生成元素の硫化物又は酸硫化物もしくはその両方に含まれるSの総質量の当該無方向性電磁鋼板に含まれるSの総質量に対する割合RS、{100}結晶方位強度I、厚さt及び平均結晶粒径rを測定した。この結果も表12に示す。
第6の試験では、表14に示す化学組成を有する溶鋼を双ロール法により急速凝固させて鋼帯を得た。表14中の空欄は、当該元素の含有量が検出限界未満であったことを示し、残部はFe及び不純物である。表14中の下線は、その数値が本発明の範囲から外れていることを示す。このとき、試料によってMg、Ca、Sr、Ba、La、Zn又はCdの添加量、添加方法を変化させ、さらに注入温度を調整して鋼帯の柱状晶の割合及び鋼帯の平均結晶粒径を変化させた。次いで、鋼帯の冷間圧延及び仕上げ焼鈍を行って種々の無方向性電磁鋼板を作製した。このとき、圧下率及び板厚を試料によって調整した。そして、各無方向性電磁鋼板の、粗大析出物生成元素の硫化物又は酸硫化物もしくはその両方に含まれるSの総質量の当該無方向性電磁鋼板に含まれるSの総質量に対する割合RS、{100}結晶方位強度I、厚さt及び平均結晶粒径rを測定した。この結果を表15に示す。表15中の下線は、その数値が本発明の範囲から外れていることを示す。
W0=28×[0.45+0.55×{0.5×(t/0.20)+0.5×(t/0.20)2}] (式2)
第7の試験では、質量%で、C:0.0018%、Si:3.39%、Al:0.66%、Mn:0.32%、S:0.0003%、Nb:0.0013%及びNd:0.0048%を含有し、残部がFe及び不純物からなる溶鋼を双ロール法により急速凝固させて、厚さが1.4mmの鋼帯を得た。このとき、注入温度を調整して鋼帯の柱状晶の割合及び鋼帯の平均結晶粒径を変化させた。表17に、注入温度と凝固温度との差、柱状晶の割合及び鋼帯の平均結晶粒径を示す。次いで、78.6%の圧下率で冷間圧延を行って、厚さが0.30mmの鋼板を得た。その後、950℃で30秒間の連続仕上げ焼鈍を行って、無方向性電磁鋼板を得た。そして、各無方向性電磁鋼板の、粗大析出物生成元素の硫化物又は酸硫化物もしくはその両方に含まれるSの総質量の当該無方向性電磁鋼板に含まれるSの総質量に対する割合RS、{100}結晶方位強度I、厚さt及び平均結晶粒径rを測定した。この結果も表17に示す。表17中の下線は、その数値が本発明の範囲から外れていることを示す。
第8の試験では、表19に示す化学組成を有する溶鋼を双ロール法により急速凝固させて、厚さが1.2mmの鋼帯を得た。残部はFe及び不純物であり、表19中の下線は、その数値が本発明の範囲から外れていることを示す。このとき、注入温度を調整して鋼帯の柱状晶の割合及び鋼帯の平均結晶粒径を変化させた。注入温度は凝固温度よりも29℃~35℃高くした。表20に、柱状晶の割合及び鋼帯の平均結晶粒径を示す。次いで、79.2%の圧下率で冷間圧延を行って、厚さが0.25mmの鋼板を得た。その後、920℃で45秒間の連続仕上げ焼鈍を行って、無方向性電磁鋼板を得た。そして、各無方向性電磁鋼板の、粗大析出物生成元素の硫化物又は酸硫化物もしくはその両方に含まれるSの総質量の当該無方向性電磁鋼板に含まれるSの総質量に対する割合RS、{100}結晶方位強度I、厚さt及び平均結晶粒径rを測定した。この結果も表20に示す。表20中の下線は、その数値が本発明の範囲から外れていることを示す。
第9の試験では、表22に示す化学組成を有する溶鋼を双ロール法により急速凝固させて、表23に示す厚さの鋼帯を得た。表22中の空欄は、当該元素の含有量が検出限界未満であったことを示し、残部はFe及び不純物である。このとき、注入温度を調整して鋼帯の柱状晶の割合及び鋼帯の平均結晶粒径を変化させた。注入温度は凝固温度よりも28℃~37℃高くした。表23に、柱状晶の割合及び鋼帯の平均結晶粒径も示す。次いで、表23に示す圧下率で冷間圧延を行って、厚さが0.20mmの鋼板を得た。その後、930℃で40秒間の連続仕上げ焼鈍を行って、無方向性電磁鋼板を得た。そして、各無方向性電磁鋼板の、粗大析出物生成元素の硫化物又は酸硫化物もしくはその両方に含まれるSの総質量の当該無方向性電磁鋼板に含まれるSの総質量に対する割合RS、{100}結晶方位強度I、厚さt及び平均結晶粒径rを測定した。この結果も表23に示す。表23中の下線は、その数値が本発明の範囲から外れていることを示す。
第10の試験では、質量%で、C:0.0016%、Si:3.01%、Al:0.32%、Mn:1.51%、S:0.0017%、Nb:0.0008%及びSr:0.0043%を含有し、残部がFe及び不純物からなる溶鋼を双ロール法により急速凝固させて、厚さが0.8mmの鋼帯を得た。このとき、注入温度を凝固温度よりも32℃高くして鋼帯の柱状晶の割合を90%、鋼帯の平均結晶粒径を0.17mmとした。次いで、81.3%の圧下率で冷間圧延を行って、厚さが0.15mmの鋼板を得た。その後、970℃で20秒間の連続仕上げ焼鈍を行って、無方向性電磁鋼板を得た。仕上げ焼鈍では、通板張力及び950℃から700℃までの冷却速度を変化させた。表25に通板張力及び冷却速度を示す。そして、各無方向性電磁鋼板の、粗大析出物生成元素の硫化物又は酸硫化物もしくはその両方に含まれるSの総質量の当該無方向性電磁鋼板に含まれるSの総質量に対する割合RS、{100}結晶方位強度I、厚さt及び平均結晶粒径rを測定した。この結果も表25に示す。
Claims (3)
- 質量%で、
C:0.0030%以下、
Si:2.00%~4.00%、
Al:0.10%~3.00%、
Mn:0.10%~2.00%、
S:0.0030%以下、
Mg、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn及びCdからなる群から選択された一種以上:総計で0.0015%~0.0100%、
Nb:0.0020%以下、
Si含有量(質量%)を[Si]、Al含有量(質量%)を[Al]、Mn含有量(質量%)を[Mn]としたときに式1で表されるパラメータQ:2.00以上、
Sn:0.00%~0.40%、
Cu:0.0%~1.0%、
Cr:0.0%~10.0%、かつ
残部:Fe及び不純物、
で表される化学組成を有し、
Mg、Sr、Ba、Ce、La、Nd、Pr、Zn及びCdからなる群から選択された一種以上の硫化物又は酸硫化物もしくはその両方に含まれるSの総質量が、無方向性電磁鋼板に含まれるSの総質量の40%以上であり、
{100}結晶方位強度が4.7以上であり、
厚さが0.15mm~0.30mmであり、
平均結晶粒径が65μm~100μmであることを特徴とする無方向性電磁鋼板。
Q=[Si]+2[Al]-[Mn] (式1) - 前記化学組成において、
Sn:0.02%~0.40%、若しくは
Cu:0.1%~1.0%、
又はこれらの両方が満たされることを特徴とする請求項1に記載の無方向性電磁鋼板。 - 前記化学組成において、
Cr:0.2%~10.0%
が満たされることを特徴とする請求項1又は2に記載の無方向性電磁鋼板。
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