JP3392664B2 - 極めて低い鉄損をもつ一方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

極めて低い鉄損をもつ一方向性電磁鋼板の製造方法

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JP3392664B2
JP3392664B2 JP29088596A JP29088596A JP3392664B2 JP 3392664 B2 JP3392664 B2 JP 3392664B2 JP 29088596 A JP29088596 A JP 29088596A JP 29088596 A JP29088596 A JP 29088596A JP 3392664 B2 JP3392664 B2 JP 3392664B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2.5〜4.0%
のSiを含み、結晶粒の{110}<001>方位の集
積度、すなわち磁束密度が高く、かつ結晶粒径が従来に
なく微細なことにより、極めて低い鉄損をもつ一方向性
電磁鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、一方向性電磁鋼板の磁気特性は
鉄損特性と励磁特性の両方で評価される。励磁特性を高
めることは設計磁束密度を高める機器の小型化に有効で
ある。一方、鉄損特性を少なくすることは、電気機器と
して使用する際、熱エネルギーとして失われるものを少
なくし、消費電力を節約できる点で有効である。さら
に、製品の結晶粒の<100>軸を圧延方向に揃えるこ
とは、磁化特性を高め、鉄損特性も低くすることがで
き、近年特にこの面で多くの研究が重ねられ、様々な製
造技術が開発された。
【0003】この結果、現在工業生産されている代表的
な一方向性電磁鋼板の製造技術として、次のような3つ
の代表的な技術を挙げることができる。第一の技術とし
て、特公昭30−3651号公報に開示された、MnS
をインヒビターとして機能させる、2回冷延工程による
製造技術がある。この製造方法は、二次再結晶の粒径が
小さいので、比較的鉄損は良好であるが、高い磁束密度
が得られないという問題があった。
【0004】これに対して、高い磁束密度を得るため
に、第二の技術として、特公昭40−15644号公報
が開示された技術がある。これは、AlN+MnSをイ
ンヒビターとして機能させ、最終冷延工程における圧延
率が80%を超える強圧下とする製造技術である。この
方法により二次再結晶粒の{110}<001>方位の
集積度が高く、B8が1.870(T)以上の高磁束密
度を有する方向性電磁鋼板が得られる。
【0005】さらに第三の技術として、特公昭51−1
3469号公報に開示された、MnSまたはMnSe+
Sbをインヒビターとして機能させる、2回冷延工程に
よる製造技術が開発された。
【0006】さて、一般に鉄損は大きく分けて履歴損と
渦電流損の二つからなる。履歴損に影響を与える物理的
な要因として、上述の結晶方位の他に材料の純度や内部
歪みがある。また渦電流損に影響を与える物理的な要因
として、鋼板の電気抵抗(Si等の成分量)、板厚、磁
区の大きさ(結晶粒度)や鋼板に及ぼす張力などがあ
る。通常の方向性電磁鋼板では渦電流損が全鉄損の3/
4以上を占めるため履歴損より渦電流損を下げる方が全
鉄損を下げる上でより効果的である。
【0007】このため、上記第二の技術による製造方法
では、二次結晶粒の{110}<001>方位の集積度
が高く、B8が1.870(T)以上の高磁束密度を有
する方向性電磁鋼板が得られたとしても、二次再結晶粒
径が10mmオーダと大きくなるため、渦電流損に影響す
る磁区幅が大きかった。これを改善するために、特公昭
57−2252号公報に開示されている鋼板にレーザー
処理を施す方法、さらに特公昭58−2569号公報に
開示されている鋼板に機械的な歪みを加える方法など、
磁区を細分化する様々な方法が開示されている。
【0008】そこで、微細な二次再結晶粒径を持つこと
により、従来よりも低い鉄損を有する一方向性電磁鋼板
の製造方法を提供するものが開示されている。例えば、
特公平6−51887号には、冷間圧延された鋼板に1
00℃/秒以上の加熱速度で675℃以上の温度へ超急
速焼きなまし処理を施し、該ストリップを脱炭素処理
し、最終高温焼きなまし処理を施して二次成長を行い、
それによって前記ストリップが低減した寸法の二次粒子
および応力除去焼きなまし処理後も有意の変化なしに持
続する改善された鉄損をもつことを特徴とする方法が開
示されている。
【0009】しかし、確かにある程度小さな二次再結晶
粒は得られるのではあるが、二次再結晶が非常に不安定
になり、細粒が混入することにより二次再結晶率が低下
し、その結果磁束密度の減少、鉄損の劣化が起こりうる
場合があることが判明した。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】この様な技術の状況の
なかで本発明は、微細な粒径を有する二次再結晶が不安
定となる点を解消し、その二次再結晶率を高めることに
より、高磁束密度でかつ低鉄損を得るための一方向性電
磁鋼板の製造方法を提供すること目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく検討を重ねた結果、 (1)重量で、C:0.10%以下、Si:2.5〜
4.0%、Mn:0.02〜0.30%、SおよびSe
のうちの1種又は2種の合計:0.001〜0.040
%、酸可溶性Al:0.010〜0.065%、N:
0.0030〜0.0200%を基本成分とし、残余は
Feおよび不可避的不純物よりなるホットストリップに
ホットストリップ焼鈍を施し、最終冷延の圧下率を80
〜90%とする1回乃至中間焼鈍を含む2回以上の冷間
圧延、脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍を含む工程によって一方
向性電磁鋼板を製造する方法において、熱間圧延により
得られた上記ホットストリップ中のAlN量をN as
AlNにして25ppm 以下に制御するとともに、ホッ
トストリップ焼鈍の冷却過程で600〜200℃の間を
100℃/秒以下で冷却し、上記最終冷延後のストリッ
プを700℃以上の温度域へ80℃/秒以上の加熱速度
で急速加熱する急速加熱処理を施すことにより、微細な
結晶粒径をもつ二次再結晶を安定化させ、極めて低い鉄
損を持つ一方向性電磁鋼板が得られることを見い出し
た。さらに、以下の処理を施すことにより、より改善さ
れた鉄損を持つ一方向性電磁鋼板が得られることを見い
出した。すなわち、 ()上記の冷間圧延する工程で、少なくとも一回以上
の途中板厚段階においてストリップに100℃以上の温
度範囲で1分以上の時間保持する熱処理を与えること。 ()上記の急速加熱処理が脱炭焼鈍の昇温過程として
行われること.これにより、工程数を少なくすることが
でき、より安価に一方向性電磁鋼板を製造することが可
能となる。さらに、 ()上記夫々の、或いは組み合わせた方法により得ら
れた一方向性電磁鋼板、或いはさらに絶縁皮膜を塗布し
た一方向性電磁鋼板に、磁区を細分化するための処理を
施すことにより、さらに改善された極めて低い鉄損を持
つ一方向性電磁鋼板が得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明をさらに詳細に説明
する。一方向性電磁鋼板は、その製造工程の最終焼鈍中
に二次再結晶を充分に起こさせ、所謂ゴス集合組織を得
ることにより製造できる。このゴス集合組織を得るため
には、一次再結晶粒の成長粗大化を抑制し、{110}
<001>方位の再結晶粒のみを或る温度範囲で選択的
に成長させる。すなわち、二次再結晶させる様な素地を
作ってやる事が必要である。
【0013】しかし、二次再結晶が不安定になると上記
{110}<001>方位以外の0.1mmオーダの細粒
が成長し、二次再結晶の選択的な粒成長を妨げる。この
細粒の混入している面積部分を除いた率を二次再結晶率
として定義する。本発明では、この二次再結晶率を二次
再結晶の安定性の指標として用いる。つまり、二次再結
晶率が100%のときには、非常に二次再結晶が安定で
あることを示す。
【0014】急速加熱の効果としては、特公平6−51
887号公報に述べられているように、急速加熱により
後の集合組織が、通常加熱と比較して一次再結晶後の
{110}<001>方位粒が増加し、これが二次再結
晶の核となり、ある程度小さな二次再結晶粒が得られ
る。さらに、上記公報には、該公報記載の製造方法にお
いて達成させるメカニズムとして、最終脱炭素焼きなま
し工程前の一次再結晶組成に変化と高温焼きなまし処理
工程前の一次再結晶組織の変化との二つの変化を包含す
る、と述べられている。しかし、この製造方法のみでは
一次再結晶組織の制御が不十分であり、特に二次再結晶
において必要なインヒビターを最適な分散状態(数10
0オングストロームの粒径)にする必要があることが判
った。
【0015】この二次再結晶を安定させるため、本発明
者らはホットストリップでのAlNの析出状態に着眼し
た。ホットストリップで析出するAlNは非常に粗大な
もので、後の二次再結晶に必要とする最適な分散状態の
インヒビターがホットストリップ焼鈍後に得られない。
そこで、ホットストリップでのAlN量を規制すること
により、最適なAlNの分散状態が後の工程(ホットス
トリップ焼鈍)で得られ、急速加熱による{110}<
001>方位粒の増加などの集合組織変化と旨くバラン
スが取れることを考えた。ホットストリップでのAlN
析出を抑制する方法としては熱延巻取り温度を下げるこ
と、成分中のAl量を下げることなどが挙げられる。
【0016】図1にホットストリップのNasAlNと
一次再結晶の昇温速度による二次再結晶率の関係を示
す。急速加熱になるとホットストリップのAlNが従来
加熱に比べて低くする必要があることが判る。
【0017】さらに、図2にホットストリップのNas
AlNと一次再結晶の昇温速度による磁気特性の関係を
示す。急速加熱になるとホットストリップのAlNが従
来加熱に比べて低くする必要があることが伺える。
【0018】また、本発明者らは、冷間圧延前の固溶
C,N量を減少させることにより、圧延中の転位運動の
変形機構を変化させ{111}方位粒を増加させること
を考えた。そこで、冷間圧延前の工程であるホットスト
リップ焼鈍の冷却に着眼して、その条件の最適化を行う
ため、種々の検討を行った。その結果、ホットストリッ
プ焼鈍の冷却過程で600〜200℃の問を100℃/
秒以下で冷却すれば、10mm以下の結晶粒径を持った微
細な二次再結晶が安定化することがわかった。
【0019】また、本発明者らは、上記方法に加え鉄損
特性を改善させる場合には、冷間圧延条件も重要である
ことを見出した。すなわち、冷間圧延工程の途中板厚段
階で所定の温度で熱処理することにより、侵入型固溶元
素が冷延により形成された転位に固着され、変形機構に
変化を及ぼし冷延集合組織を変え、{110}<001
>方位が板面内方向に2゜に近づいた数mm以下の微細な
二次再結晶粒が得られることを見いだした。これにより
後の鋼板表面に皮膜を付与した際の鉄損値の向上代が大
きく、低鉄損を得ることが可能となる。Nozawaらによる
と(IEEE.Trans-Mag.Vol.Mag-14,No.4(1978)PP.25
2)、二次再結晶方位が板面内方向に2゜のときに鉄損
低減効果が一番大きいとしている。本発明においても同
様な効果が得られているものと考える。
【0020】これにより、二次再結晶した鋼板表面のフ
ォルステライトや、絶縁皮膜などにより皮膜張力を付与
することにより、大きな鉄損の向上率があり、最終的に
改善された極めて低い鉄損値を得ることができる。
【0021】次に本発明において、鋼組成および製造条
件を前記のように限定した理由を、詳細に説明する。ま
ず本発明鋼成分の限定理由は下記の通りである。
【0022】Cについての上限0.10%は、これ以上
多くなると脱炭所要時間が長くなり、経済的に不利とな
るので限定した。Siは鉄損を良くするために下限を
2.5%とするが、多すぎると冷間圧延の際に割れ易く
加工が困難となるので上限を4.0%とする。
【0023】さらに、一方向性電磁鋼板を製造するため
に、通常のインヒビター成分として以下の成分元素を添
加する。Mn,SおよびSeは、インヒビターとして硫
化マンガンおよびMnSe形成により補助的インヒビタ
ーとして作用させるために、Mn:0.02〜0.30
%、SおよびSeのうちから選んだ1種又は2種の合
計:0.001〜0.040%が必要である。Mnは硫
化マンガン、MnSeの適正な分散状態を得るため、
0.02〜0.30%に限定した。SおよびSeのうち
から選んだ1種又は2種の合計は、硫化マンガン、Mn
Seの適正な分散状態を得るため、0.001〜0.0
40%に限定した。
【0024】さらに、インヒビターとして窒化アルミニ
ウムを利用するため、酸可溶性AlとNを添加する。酸
可溶性Alは窒化アルミニウムの適正な分散状態を得る
ため0.010〜0.065%に限定した。Nも、窒化
アルミニウムの適正な分散状態を得るため0.0030
〜0.0200%に限定した。
【0025】その他、上記の硫化マンガン、MnSe、
窒化アルミニウム等のインヒビターをさらに微細分散に
析出させるため、重量でSb,Sn,Cu,Biおよび
Moから選ばれる1種又は2種以上を0.003〜0.
50%添加しても良い。上記範囲外では、適正な析出物
の分散状態が得られない。
【0026】次に、上記の溶鋼を通常の鋳塊鋳造法また
は連続鋳造法、熱間圧延によりホットストリップを得
る。なお、このホットストリップを得る際、ストリップ
鋳造法も本発明に適用することが可能である。このホッ
トストリップを得る際、AlN量を抑制し、のちのホッ
トストリップ焼鈍において有効なインヒビターを得る必
要がある。この時、NasAlNにして25ppm 以下に
抑える必要がある。上限値を25ppm としたのは、これ
超えると熱延で析出するAlNは粗大に成りやすいの
で、有効なインヒビターが得られないからである。この
AlNを抑制する方策としては、熱延での巻取り温度を
低めに狙って制御する方法や、仕上圧延終了から巻取に
かけての冷却速度を出来るだけ速く制御する方法などが
ある。また、この時の硫化物系についてはSasMn
S,Cu2Sにして100ppm 以上の析出量を得ること
が望ましい。
【0027】さらに、インヒビターとしてAlN等の窒
化物を析出するために950〜1200℃で30秒〜3
0分のホットストリップ焼鈍を行う。本焼鈍の冷却過程
では600〜200℃の間を100℃/秒以下の冷却速
度で冷却することが必要である。冷却温度範囲の上限6
00℃、下限200℃は、これ以外の温度域では炭化物
の生成が起こらないので限定した。また冷却速度の上限
100℃/秒は、これ以上では固溶C,N量が過剰にな
り、のちの二次再結晶が不安定になるのでこのように限
定した。
【0028】次に、1回乃至中間焼鈍を含む2回以上の
冷間圧延により最終製品厚のストリップを得る。このと
きの最終圧下率は高いゴス集積度をもつ製品を得るた
め、圧下率80〜95%が必要となる。下限を80%と
したのは、これ未満では必要なゴス核が得られないため
であり、また、上限95%はこれ超えると二次再結晶が
不安定になるからである。
【0029】この時の冷間圧延方法として、磁気特性を
一層向上させるため熱処理を与えることも可能である。
冷間圧延中に複数回のパスにより各板厚段階を経て最終
板厚となるが、その少なくとも、一回以上の途中板厚段
階においてストリップに100℃以上の温度範囲で1分
以上の時間保持する熱効果を与えることが必要である
温度の下限100℃、保持時間の下限1分はこれ未満で
は固溶C等が転位に固着されず、後の一次再結晶集合組
織を変化させ、{110}<001>が圧延方向に揃っ
た微細な二次再結晶が十分に発達されにくいので限定し
た。なお、これらの冷間圧延は従来のリバース圧延(例
えばゼンジミアー圧延機による圧延)の他に、一方向圧
延(タンデム圧延)による方法でも良い。
【0030】最終製品厚まで圧延されたストリップは、
700℃以上の温度域へ80℃/秒以上の加熱速度で急
速加熱する急速加熱処理を実施する。この際の加熱速度
の下限を80℃/秒以上としたのは、これ未満では二次
再結晶の核となる一次再結晶後での{110}<001
>方位粒が減少し、微細な二次再結晶粒が得られないの
で限定した。また、急速加熱する下限温度700℃は、
これ未満では再結晶が開始されないので限定した。さら
に、加熱された到達温度域で、微細な析出物の粗大化を
防止するため、最高温度に到達後0.1秒以内に50℃
/秒以上の冷却速度で800℃未満の温度域へ冷却を施
すことが好ましい。なお、以上の処理は、皮膜形成等の
問題から、出来るだけ還元雰囲気中で実施することが望
ましい。また、上記の急速加熱処理の一つとして、ロー
ル間に通電する通電ロール方法が挙げられる。ここで、
加熱された側のロールで上記冷却処理が施されることも
可能である。その他の加熱処理方法として誘導加熱方法
なども考えられる。
【0031】上記の急速加熱処理は、次に施される脱炭
焼鈍前に行われても、或いは脱炭焼鈍の加熱段階として
脱炭焼鈍工程に組み込むことも可能であるが、後者の方
が工程数を少なくするので好ましい。
【0032】この後は、湿水素雰囲気中で脱炭焼鈍を行
う、このとき製品での磁気特性を劣化させないため炭素
は0.005%以下に低減されなければならない。ここ
で、熱延でのスラブ加熱温度が低く、AlNのみをイン
ヒビターとして利用する場合は、アンモニア雰囲気中で
窒化処理を施すこともある。さらに、MgO等の焼鈍分
離剤を塗布して、二次再結晶と純化のため1100℃以
上の仕上げ焼鈍を行うことで、極めて低い鉄損特性を有
する一方向性電磁鋼板が製造される。
【0033】以上のようにして製造された一方向性電磁
鋼板のフォルステライトなどの皮膜の上に、さらに絶縁
皮膜を塗布することにより極めて低い鉄損特性を有する
一方向性電磁鋼板が製造することも可能である。この磁
気特性は、後の歪み取り焼鈍を施しても、変化しない低
鉄損を保持している。
【0034】以上の製造方法による一方向性電磁鋼板
は、結晶粒径が10mm以下で高い二次再結晶率を有する
ため、磁束密度が高く且つ極めて低い鉄損を有してい
る。なお、得られた製品にさらに鉄損を良好にするた
め、上記一方向性電磁鋼板、或いは絶縁皮膜処理が施さ
れた一方向性電磁鋼板に、磁区を細分化するための処理
を施すことも可能である。次に本発明の実施例を挙げて
説明する。
【0035】
【実施例1】表に示す成分組成を含む溶鋼を鋳造し、
スラブ加熱後、熱間圧延を行い、2.3mmの熱延鋼板を
得た。この熱延時の仕上圧延終了1050℃から巻取ま
での温度を500℃に制御することにより、NasAl
Nを11ppm とした。これを1100℃で5分間焼鈍を
行い、冷却過程で600〜200℃の間を1℃/秒で冷
却した。また、同じ熱延板を150℃/秒で冷却した。
さらに酸洗したのち、冷間圧延により板厚0.27mmに
した。圧延された鋼板を二対の直接通電加熱ロールによ
り250℃/秒の加熱速度で851℃まで加熱し、直
接、湿潤水素中で脱炭焼鈍した。以上二通りの脱炭焼鈍
板にMgO粉を塗布した後、1200℃に10時間、水
素ガス雰囲気中で高温焼鈍を行った。
【0036】表に、得られた製品の磁気特性、二次再
結晶率と平均二次再結晶粒径を示す。製品の磁気特性
は、ホットストリップ焼鈍の冷却過程での600〜20
0℃の冷却速度が100℃/秒以下で、二次再結晶率が
良好な、極めて低い鉄損を有する一方向性電磁鋼板が得
られている。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【実施例2】表に示す化学成分を含む溶鋼を鋳造し、
スラブ加熱後、2.4mm厚にまで熱間圧延した。このと
きの熱延板中のNasAlNは15ppm であった。熱延
板に1100℃で1分間焼鈍を施し、1.60mm厚まで
冷延した。さらに1100℃で1分間焼鈍を施した。冷
却過程で600〜200℃の問を4℃/秒で冷却した。
この後、圧延中に鋼板温度を200℃で2分の処理を施
して圧延した場合と、30℃の常温で圧延した場合の2
種の冷間圧延方法により最終板厚0.23mmにまで圧延
した。
【0040】圧延された鋼板を二対の直接通電加熱ロー
ルにより290℃/秒の加熱速度で845℃まで加熱し
た。この直後、同じ845℃の均一温度、湿潤水素中で
脱炭焼鈍した。次にMgO粉を塗布した後、1200℃
に10時間、水素ガス雰囲気中で高温焼鈍を行った。
【0041】表に、得られた製品の磁気特性を示す。
本発明により、改善された鉄損特性に優れた一方向性電
磁鋼板が得られている。さらに得られた鋼板に片面4g
/m2の絶縁皮膜を塗布し、4mmの照射間隔で磁区制御
を施した。その結果も表に示す。本発明により、さら
に改善された極めて鉄損特性に優れた一方向性電磁鋼板
が得られている。
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、ホットストリップ中の
AlNを抑制し、ストリップを急速加熱処理することに
より、微細な結晶粒径を有する二次再結晶が安定化し、
二次再結晶率が高まる。これにより磁束密度の高く、極
めて低い鉄損特性を有する一方向性電磁鋼板を製造する
ことができるので、産業上に貢献するところが極めて大
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ホットストリップ中のAlN量と二次再結晶率
の関係を、最終冷間圧延後の加熱処理における加熱速度
をパラメータとして示す図。
【図2】ホットストリップ中のAlN量と製品の磁気特
性の関係を、最終冷間圧延後の加熱処理における加熱速
度をパラメータとして示す図。
フロントページの続き (72)発明者 立花 伸夫 兵庫県姫路市広畑区富士町1番地 新日 本製鐵株式会社 広畑製鐵所内 (56)参考文献 特開 平1−290716(JP,A) 特開 平1−316421(JP,A) 特開 平7−138643(JP,A) 特開 平6−128646(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 8/12 C22C 38/00 303 C22C 38/06 H01F 1/16

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量で、 C :0.10%以下、 Si:2.5〜4.0%、 Mn:0.02〜0.30%、 SおよびSeのうちの1種又は2種の合計:0.001
    〜0.040%、 酸可溶性Al:0.010〜0.065%、 N :0.0030〜0.0200% を基本成分とし、残余はFeおよび不可避的不純物より
    なるホットストリップにホットストリップ焼鈍を施し、
    最終冷延の圧下率を80〜90%とする1回乃至中間焼
    鈍を含む2回以上の冷間圧延、脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍
    を含む工程によって一方向性電磁鋼板を製造する方法に
    おいて、熱間圧延により得られた上記ホットストリップ
    中のAlN量をN as AlNにして25ppm 以下に
    制御するとともに、ホットストリップ焼鈍の冷却過程で
    600〜200℃の間を100℃/秒以下で冷却し、上
    記最終冷延後のストリップを700℃以上の温度域へ8
    0℃/秒以上の加熱速度で急速加熱する急速加熱処理を
    施すことを特徴とする極めて低い鉄損をもつ一方向性電
    磁鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 重量で、 C :0.10%以下、 Si:2.5〜4.0%、 Mn:0.02〜0.30%、 SおよびSeのうちの1種又は2種の合計:0.001
    〜0.040%、 酸可溶性Al:0.010〜0.065%、 N :0.0030〜0.0200% を基本成分とし、残余はFeおよび不可避的不純物より
    なるホットストリップにホットストリップ焼鈍を施し、
    最終冷延の圧下率を80〜90%とする1回乃至中間焼
    鈍を含む2回以上の冷間圧延、脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍
    を含む工程によって一方向性電磁鋼板を製造する方法に
    おいて、熱間圧延により得られた上記ホットストリップ
    中のAlN量をN as AlNにして25ppm 以下に
    制御するとともに、冷間圧延の工程で、少なくとも一回
    以上の途中板厚段階においてストリップに100℃以上
    の温度範囲で1分以上の時間保持する熱処理を与え、上
    記最終冷延後のストリップを700℃以上の温度域へ8
    0℃/秒以上の加熱速度で急速加熱する急速加熱処理を
    施すことを特徴とする極めて低い鉄損をもつ一方向性電
    磁鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 急速加熱処理が脱炭焼鈍の昇温過程とし
    て行われる請求項1または2記載の極めて低い鉄損をも
    つ一方向性電磁鋼板製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至のいずれかに記載の製造
    方法で得た一方向性電磁鋼板に、磁区を細分化するため
    の処理を施すことを特徴とする極めて低い鉄損をもつ一
    方向性電磁鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至のいずれかに記載の製造
    方法で得た一方向性電磁鋼板に、絶縁皮膜を施し、さら
    に磁区を細分化するための処理をすることを特徴とする
    極めて低い鉄損をもつ一方向性電磁鋼板の製造方法。
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