JP3357602B2 - 磁気特性に優れる方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
磁気特性に優れる方向性電磁鋼板の製造方法Info
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Description
の電気機器の鉄心に用いて好適な方向性電磁鋼板の製造
方法に関するものである。
て使用される方向性電磁鋼板には、高磁束密度かつ低鉄
損であることが最も重要な特性として要求される。今日
まで方向性電磁鋼板の低鉄損化を実現するために様々な
手段が講じられてきたが、そのなかでも結晶方位を、ゴ
ス方位と呼ばれる{110}〈001〉方位に高度に集
積させることは、最も重要視されてきた開発目標のひと
つである。というのは、鉄結晶の磁化容易軸方向である
結晶方位〈001〉が圧延方向に高度に集積することに
より、圧延方向への磁化に要する磁化力が小さくなり、
保磁力が低下するためにヒステリシス損が低下し、よっ
て鉄損を低下させることができるからである。
は、方向性電磁鋼板の重要な要求特性である磁化した際
の騒音が小さいことも大いに向上する。すなわち、変圧
器から生じる騒音の原因として、鉄心素材の磁歪振動や
電磁振動があることが知られているが、結晶方位のゴス
方位への集積度が向上することにより、この磁歪振動の
原因となる90°磁区の生成が抑制されると同時に、励磁
電流が低下して電磁振動が抑制され、これらの結果とし
て、騒音が低減される。
晶方位〈001〉を圧延方向へ集積させることは最も重
要な課題であるといえる。ここで、結晶方位の集積度の
指標としては、B8(磁化力800A/mにおける磁束密度)が
用いられる場合が多く、そのため、方向性電磁鋼板の開
発はB8の向上を大きな目標として推進されている。ま
た、鉄損特性の指標としては、励磁磁束密度1.7 T 、励
磁周波数50Hzの場合のエネルギー損失であるW17/50が代
表的に使用される。
積させた結晶粒組織は、最終仕上げ焼鈍中の二次再結晶
と呼ばれる現象を通じて形成される。この二次再結晶に
よりゴス方位の結晶粒を優先的に巨大成長させて集積度
を高め、所望の磁気特性を有する製品を得ている。
させるためには、一次再結晶粒の成長を選択的に抑制す
るインヒビターと呼ばれる析出分散相を、鋼中に均一か
つ適正なサイズで形成することが重要である。このイン
ヒビターの存在により一次再結晶粒の正常粒成長が抑制
され、仕上げ焼鈍中に高温まで細かい一次再結晶粒の状
態が保たれるとともに、良好な方位の結晶粒の成長に対
する選択性が高まるため、ゴス方位結晶粒の集積度が高
まり、高磁束密度が実現される。一般に、インヒビター
が強力で正常粒成長抑制力が強いほど、高い方位集積度
が得られると考えられている。
nSe, Cu2-xS, Cu2-xSe, AlN 等、鋼への溶解度の小さい
物質が用いられる。例えば、特公昭33-4710 号公報や、
特公昭40-15644号公報には、素材中にAlを含有させ、最
終冷延圧下率を81〜95%の高圧下とするとともに最終冷
延前に焼鈍を施すことによって、強力なインヒビターで
あるAlN を析出させる技術が開示されている。
Sn, As, Bi, Sb, B,Pb, Mo, Te,V, Ge等を付加的に
添加することは、二次再結晶粒の方位集積度の向上に対
して有効であることが知られている。
で、元素の周期律表で5B族元素に分類されるP,As, S
b, Biは、結晶粒界に偏析することで、主インヒビター
であるMnS, MnSe, Cu2-xS, Cu2-xSe, AlN 等と共同して
正常粒成長抑制力を強化し、磁気特性を高めることが知
られている。そして、これらの成分の中でも、特にBiは
鉄に対する溶解度が低いことから、粒界偏析効果による
正常粒成長抑制力強化成分として有望視されている。
は、特公昭51-29496号公報や特公昭54-32412号公報に開
示されている技術などが公知である。また、特公昭62-5
6924号公報や特再平2-813673号公報、特公平7-62176 号
公報には、AlN, MnSe, MnS等とBiを複合的に鋼中に添加
する方法が開示されている。これらの技術は、確かにBi
による抑制力強化作用を利用してはいるが、Biを添加し
た素材に対する最適な製造条件を確立するには至ってお
らず、高い磁気特性を有する方向性電磁鋼板を安定的に
得るには不十分であった。
88172 号公報、特開平6-88173 号公報、特開平6-88174
号公報等には、Al系のインヒビターにBiを付加させるこ
とにより、磁束密度の大幅な向上が可能であると述べら
れているが、Biの添加の効果自体は従来より公知である
ばかりでなく、磁気特性向上効果を安定的に引き出すに
は至っていない。
る技術について、例えば特開平6-158169号公報に開示が
ある。しかし、この特開平6-158169号公報に開示の技術
においてBiは、低S, Se含有材を低温でスラブ加熱し、
一次再結晶組織及び被膜改善のために脱炭焼鈍後段を還
元性の雰囲気とする製造方法における、二次再結晶を安
定化させるための成分としてしか位置づけられてない。
また、この特開平6-158169号公報に開示の技術では被膜
の改善を意図して脱炭焼鈍後段雰囲気の規定がなされて
いるのみであるから、Bi添加材の二次再結晶を安定化さ
せるための脱炭焼鈍方法としては不十分である。
特性の向上に対してBiの添加は非常に有望な方法である
と考えられているものの、その一方で、Biの添加は、種
々の要因により鋼板の二次再結晶不良を生じやすく、よ
って高い磁気特性を安定的に得ることが困難であるとい
う問題点を残していた。この発明は、Biを添加した方向
性電磁鋼板の二次再結晶を安定させ、透磁率と鉄損に優
れる方向性電磁鋼板を製造することを目的とする。
解決すべく、鋭意研究を行った結果、Biを含有させた材
料では、熱延などの上工程の製造条件のみならず、脱炭
焼鈍条件の適正化が重要であり、特に、かかるBiを含有
させた方向性電磁鋼板素材に対して、脱炭焼鈍の雰囲気
を適正に制御することにより磁気特性の高位安定化が可
能であることを見出し、この発明に至った。
%, sol.Al:0.015 〜0.035 wt%, N:0.0050〜0.010 wt% を含み、かつ、 Bi:0.001 〜0.07wt% を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる
けい素鋼スラブを1300℃以上の温度に加熱したのち、熱
間圧延し、次いで焼鈍処理と冷間圧延処理とを組み合わ
せて最終板厚にしたのち、脱炭焼鈍を施し、次いで最終
仕上げ焼鈍を施す一連の工程からなる方向性電磁鋼板の
製造方法において、熱間圧延終了直後から5秒後までの
熱延板の平均冷却速度を30℃/秒〜120 ℃/秒に制御す
るとともに、脱炭焼鈍の均熱温度を800 ℃から900 ℃の
範囲とし、均熱過程における雰囲気中の水素分圧に対す
る水蒸気分圧の比: PH2O /PH2を0.45〜0.70とすること
を特徴とする磁気特性に優れる方向性電磁鋼板の製造方
法である。またこの発明では、さらに、けい素鋼スラブ
中にインヒビター成分として、 Sb:0.001 〜0.10wt%, As:0.001 〜0.10wt%, Mo:0.001 〜0.20wt%, Cu:0.01〜0.30wt%, P:0.010 〜0.030 wt%, Sn:0.005 〜0.20wt%, Ge:0.005 〜0.20wt%, B:0.0010〜0.010 wt%, V:0.005 〜0.10wt%, Nb:0.005 〜0.10wt%および Te:0.005 〜0.10wt% のうちから選んだ1種または2種以上を含有させること
ができる。
程における PH2O /PH2を均熱過程における PH2O /PH2よ
り低くすること、・脱炭焼鈍の昇温過程における雰囲気
中の PH2O /PH2を、脱炭焼鈍の均熱過程における雰囲気
中の PH2O /PH2との関係で、下記の式(1) X2−0.25≦X1≦X2−0.05‥‥‥‥‥(1) ここに、X1:昇温過程における雰囲気中の PH2O /PH2 X2:均熱過程における雰囲気中の PH2O /PH2 に適合する範囲内とすること、及び・脱炭焼鈍の均熱過
程に引き続き、脱炭焼鈍の後段部を設け、この後段部の
温度を 820〜920 ℃、後段部の雰囲気中の PH2O /PH2を
0.15以下、この後段部の滞留時間を5〜200 秒とするこ
とが、より好ましい。
を示す。 (実験1) 主要成分として、C:0.06wt%, Si:3.2 wt%, Mn:0.
07wt%, Se:0.02wt%, S:0.005 wt%, Al:0.022 wt
%, N:0.0085wt%含有し、かつBiを0.035 wt%含有
し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼塊を
1400℃に加熱し、30分間保持したのち、熱間圧延を施し
て2.5 mmの板厚とした。この際、熱間圧延終了直後から
5秒後までの熱延板の平均冷却速度を20℃/秒及び40℃
/秒の二種類とした。続いて1000℃で30秒の熱延板焼鈍
を施し、酸洗後、一次冷間圧延を施して1.6 mm厚の鋼板
とした。続いて1100℃で1分間の中間焼鈍を施し、これ
を酸洗してから、二次冷間圧延により0.23mmの最終板厚
とした。続いて、均熱温度850 ℃,100 秒の脱炭焼鈍を
行った。このとき、均熱過程の雰囲気中の水素分圧に対
する水蒸気分圧の比(酸化ポテンシャル) PH2O /PH2を
0.30〜0.80の範囲で種々に変化させ、昇温過程の PH2O
/PH2も均熱過程と同じ値とした。これらの材料にMgO を
主成分とする焼鈍分離剤を塗布してから、最高到達温度
1200℃,5時間の仕上げ焼鈍を施した。以上の工程によ
り得られた仕上げ焼鈍板から試験片(幅30mm,長さ280
mm) 8枚を採取し、エプスタイン試験法により磁束密度
B8を測定した。
と磁束密度B8との関係を示す。この図から、熱延終了直
後の冷却速度を高くし、さらに脱炭焼鈍雰囲気の PH2O
/PH2を0.45〜0.7 の範囲に制御することでB8≧1.965 T
の高いB8が得られることが明らかになった。一方、 P
H2O /PH2が0.45〜0.7 の範囲内であっても、熱延終了直
後の冷却速度が低い場合、得られるB8が低く、その値も
安定していない。
熱延終了直後(5秒間)の冷却速度を60℃/秒とし、脱
炭焼鈍の均熱過程の PH2O /PH2を0.35〜0.80の範囲で種
々に変化させ、かつ、脱炭焼鈍の昇温過程の雰囲気を均
熱過程とは独立に制御して、この昇温過程における P
H2O /PH2を0.20〜0.75の範囲で変化させた。ここに、昇
温過程は板温度255 ℃〜765 ℃に相当する炉内領域と
し、この領域での平均の PH2O /PH2を測定して昇温過程
の PH2O /PH2とした。
の関係を均熱過程の PH2O /PH2=0.40、0.50及び0.60の
場合について示す。実験1と同様に均熱過程の PH2O /P
H2が0.5 もしくは0.6 の場合に高い磁束密度が得られて
いるが、同時に昇温過程の P H2O /PH2を均熱過程の P
H2O /PH2よりも低くすることにより、さらにB8が向上し
ている。
と仕上げ焼鈍後のB8の関係を示す。図3から、脱炭焼鈍
の昇温過程の PH2O /PH2を均熱過程の PH2O /PH2よりも
0.05〜0.25程度低くすることでB8が1.97 Tを超える極め
て高い磁束密度が得られていることが分かる。
H2O /PH2を均熱過程の PH2O /PH2よりも低い一定範囲の
値とすることにより、さらに優れた磁気特性が得られる
ことが明らかになった。
焼鈍の均熱温度と製品の磁気特性の関係を調べた。この
実験で、熱延終了直後(5秒間)の平均冷却速度は60℃
/秒とした。図4には、脱炭焼鈍の昇温過程の PH2O /P
H2を0.40、均熱過程の PH2O /PH2を0.60とし、均熱温度
を750 ℃〜950 ℃としたときの磁束密度B8の変化を示
す。脱炭焼鈍の均熱温度を800 ℃〜900 ℃とすることに
より、安定した高い磁束密度が得られている。
終了後の冷却速度と製品の磁気特性の関係を調べた。熱
延終了直後から5秒間の平均冷却速度と磁束密度B8の関
係を図5に示す。この実験では、脱炭焼鈍での昇温過程
の PH2O /PH2を0.40、均熱過程の PH2O/PH2を0.60と
し、均熱温度を850 ℃とした。図5から、熱延終了直後
の冷却速度を30〜120 ℃/秒に制御することにより、安
定して高い磁束密度が得られることが分かる。熱延直後
の冷却速度が120 ℃/sを超えた場合、熱延板の形状不良
が顕著になった。
のBi添加量と製品の磁気特性の関係を調べた。このと
き、脱炭焼鈍の均熱過程の PH2O /PH2=0.55、昇温過程
の PH2O /PH2=0.35とした。図6に素材Bi量と磁束密度
B8の関係を示す。図6からBi添加量0.001〜0.07wt%の
範囲で磁束密度の向上効果が顕著であることが分かる。
熱温度850 ℃)において、脱炭焼鈍の均熱過程の PH2O
/PH2を0.60又は0.30、引き続く脱炭焼鈍後段(20秒)の
PH2O /PH2を0.05又は均熱過程と同じ値とし、この領域
の温度を 770℃〜970 ℃の範囲で変化させた。図7に脱
炭焼鈍の後段温度とB8の関係を示す。脱炭焼鈍後段の温
度を 820℃〜920 ℃の範囲内とし、この領域の PH2O /P
H2を0.05とすることにより、このような脱炭焼鈍後段の
処理を施さない場合に比べてB8が向上している。ただ
し、脱炭焼鈍の均熱過程の PH2O /PH2が0.30程度である
場合は後段の処理の有無に拘わらず、B8は低いレベルに
ある。この実験より、脱炭焼鈍の均熱過程の PH2O /PH2
を0.45〜0.70の範囲内とすると同時に、後段に還元性の
雰囲気帯を設けることにより、昇温過程の雰囲気を低酸
化性側に制御するのと同等に磁束密度が向上することが
明らかになった。
て、熱延時の冷却条件とともに脱炭焼鈍の雰囲気と温度
を適正に制御することにより、高い磁束密度が得られる
ことが判明し、この発明に至った。
を前記の範囲に限定した理由について説明する。まず、
この発明の方向性電磁鋼板の製造に用いる素材の成分組
成範囲の限定理由について説明する。
て熱延組織を改善するのに有用な成分であるとともに、
ゴス方位結晶粒の発生に有用な成分であり、かかる作用
を十分に発揮させるためには0.03wt%以上の含有を必要
とするが、0.10wt%を超える含有量では脱炭焼鈍での脱
炭が十分行われず、製品の磁気特性を劣化させるので、
Cは0.03〜0.10wt%の範囲に限定した。 (Si:2.0 〜5.0 wt%)Siは、電気抵抗を高めて鉄損を
低下させるとともに、鉄のBCC 組織を安定化させて高温
の熱処理を可能とするために必要な成分であり、そのた
めには少なくとも2.0 wt%を必要とするが、5.0 wt%を
超える含有量では冷間圧延が困難となるので、2.0 〜5.
0 wt%に限定した。
の改善に有効に寄与するだけでなく、SやSeが混在して
いる場合には、MnS やMnSe等の析出物を形成し抑制剤
(インヒビター)としての機能を発揮する。Mnの含有量
が0.04wt%より少ないと上記の効果が不十分であり、一
方、0.15wt%を超えるとMnSe等の析出物の粒径が粗大化
してインヒビターとしての効果が失われるため、Mnは0.
04〜0.15wt%の範囲に限定した。 (S及び/又はSe:0.01〜0.03wt%)Se又はSは、Mnや
Cuと結合してMnSe,MnS, Cu2-xSe,Cu2-x S を形成し、
鋼中の分散第二相としてインヒビターの作用を発揮する
有用成分である。これらSe,Sの合計の含有量が0.01wt
%に満たないとその添加効果に乏しく、一方、0.04wt%
を超える場合はスラブ加熱時の固溶が不完全となるだけ
でなく、製品表面の欠陥の原因ともなるため、単独添加
または複合添加いずれの場合も0.01〜0.03wt%の範囲に
限定した。
ーの作用をする有用成分であるが、添加量が0.015 wt%
に満たないと十分に析出量が確保できず、一方、0.035
wt%を超えて添加するとAlN が粗大に析出してインヒビ
ターとしての作用が失われるため、sol.Alとして 0.015
〜0.035 wt%の範囲に限定した。(N:0.0050〜0.010
wt%)NもAlと同様にAlN を形成するために必要な成分
である。添加量が0.0050wt%を下回るとAlN の析出が不
十分であり、0.010 wt%を超えて添加するとスラブ加熱
時にふくれ等を生じるため、0.0050〜0.010 wt%の範囲
に限定した。
界の移動度を低下させることにより正常粒成長を抑制
し、磁束密度を向上させる作用がある。このような効果
はSb, As等と類似であるが、Biは鉄に対する溶解度が特
に低く、かつ融点が271 ℃と非常に低いため、Sb, Asと
比較して粒界に偏析する作用が高いと考えられる。この
ために正常粒成長抑制力の付与効果が高く、方位集積度
向上に有効に作用すると考えられる。またBiは、Sb等と
同様に、粒界偏析型の抑制力強化成分であるために、Mn
Se, MnS あるいは AlN+(MnSe, MnS) のようなインヒビ
ター系を用いた方向性電磁鋼板の磁気特性を一律に向上
させる効果を有すると考えられる。ここに、Biの添加含
有量に関しては、0.001 wt%に満たないと、上記の粒界
偏析による正常粒成長抑制効果が発揮されないため、添
加量を0.001 wt%以上とした。また、Biは鉄に対する溶
解度が非常に低いため、0.07wt%を超えて添加させるこ
とが難しいので、添加量の上限を0.07wt%とした。
他にも抑制力の補強のために、Sb,As, Mo, Cu, P,Sn,
Ge, B,Te, V, Nb等を単独もしくは複合的に添加す
ることは磁気特性をさらに向上させるために有効であ
る。Sb, Asは、Biと同様に粒界に偏析して抑制力を高め
る効果を有しており、いずれも0.001 〜0.10wt%の範囲
で添加することが望ましい。Moは二次粒の核をゴス方位
に先鋭化させる効果を有し、0.001 〜0.20wt%の範囲で
その効果が顕著である。CuはMnと同様、SeやSと結合し
て、析出物を形成し抑制力を高める成分であり、その効
果は0.01〜0.30wt%の範囲で顕著である。PはSbと同
様、粒界に偏析して抑制力を高める成分であるが、0.01
0 wt%未満では添加効果に乏しく、一方0.030 wt%を超
えると磁気特性、表面性状を不安定化させるので、0.01
0 〜0.030 wt%とすることが好ましい。Sn, Geは、二次
再結晶粒の生成頻度を高めることによって鉄損の低減に
有効に作用する成分であり、いずれも0.005 〜0.20wt%
の範囲で含有させることがよい。また、B,Te,V,Nb
は鋼中でBN,MnTe, VN, NbN, NbC等の析出物を形成する
ことによって正常粒成長抑制力をさらに高める働きがあ
り、Bにあっては0.0010〜0.010 wt%の範囲で、また、
V,Nb,Teはそれぞれ0.005 〜0.10wt%の範囲で添加さ
せることが望ましい。
N,Al,P,Te等は各機能を果たした後、Cは主として
脱炭焼鈍において、またS,Se,N,Al,Pは仕上げ焼
鈍後半の純化焼鈍において除去されるので、製品の地鉄
中には不純物として残存することはほとんどない。
説明する。この発明では、Biを含有する方向性電磁板ス
ラブ素材を熱間圧延する場合に、圧延終了後から5秒間
の平均冷却速度を30〜120 ℃/秒の範囲とし、脱炭焼鈍
の均熱温度を800 ℃〜900 ℃の範囲に限定するととも
に、脱炭焼鈍の均熱過程の P H2O /PH2を0.45〜0.70と
し、さらに望ましくは脱炭焼鈍の昇温過程の PH2O /PH2
を均熱過程の PH2O /PH2よりも低い一定範囲の値に制御
するか、もしくは脱炭焼鈍の後段に還元性の雰囲気帯を
設けることにより、安定して磁気特性に優れた製品を得
ようとするものであるが、上記の熱延直後の冷却速度と
脱炭焼鈍に関する限定範囲は、先に説明した図1〜7に
示した実験結果に基づいている。
り、所望の効果が得られる理由は必ずしも明らかでない
が、以下のように推察される。まず、熱延条件に関して
は、熱延時の冷却速度が十分でない場合、熱延板内部で
Biが均一に分散せず、このため素材の抑制力の劣化や不
均一化が起こるため、磁気特性が不安定になると考えら
れる。このため、熱延直後(5秒間)の平均冷却速度は
30℃/秒以上が必要である。一方、熱延直後から5秒間
の冷却速度が120 ℃/秒を超えると鋼帯の形状不良が生
じやすいため、上限を120 ℃/秒とする。
る。Biを添加した材料の二次再結晶は、仕上げ焼鈍中の
雰囲気の影響を受けやすいことが発明者らの研究により
明らかになっているが、脱炭焼鈍の均熱過程の PH2O /P
H2を通常よりも高く保つことにより、脱炭焼鈍板のサブ
スケール(表面酸化層)が十分に形成され、板厚表層部
のBiの酸化が抑制されるため、二次再結晶が安定になる
と考えられる。一方、 PH2O /PH2が高くなりすぎるとサ
ブスケールが不均一化するため、再びBiの酸化を促進す
ると予想される。このような理由から、均熱過程の P
H2O /PH2を0.45〜0.70とする必要があると考えられる。
脱炭焼鈍板の一次粒径に影響を与えると考えられ、この
均熱温度を、800 ℃から900 ℃の範囲とすることによ
り、鋼中の炭素が十分に除去されるとともに、脱炭焼鈍
板の一次粒径が二次再結晶にとって適正な値となること
から、安定して高い磁束密度が得られると考えられる。
そして、脱炭焼鈍時の均熱温度が800 ℃に満たない場
合、また、900 ℃を超える場合には、鋼中に残留する炭
素が多くなるとともに、一次粒径が過小又は過大となっ
て理想的な二次再結晶組織が得られず、製品の磁気特性
が劣化する。このような理由から、脱炭焼鈍時の均熱温
度を800 〜900 ℃の範囲にする必要があると考えられ
る。
均熱過程の PH2O /PH2よりも低くし、さらには均熱過程
の PH2O /PH2よりも一定値だけ低い値とすることで、脱
炭焼鈍板のサブスケールの均一性が向上し、前述の表層
Biの酸化抑制効果が高まることで磁束密度が向上すると
考えられる。このような効果を得るために、昇温過程の
PH2O /PH2を均熱過程の PH2O /PH2よりも低くし、さら
に望ましくは昇温過程における雰囲気中の PH2O /PH2を
X1、均熱過程における雰囲気中の PH2O /PH2をX2とする
とき、X2−0.25≦X1≦X2−0.05を満足する範囲内に制御
するのがよい。なお、昇温過程の雰囲気の PH2O /PH2の
評価方法としては、例えば、均熱温度(摂氏)の30%〜
90%程度の温度域に相当する領域の PH2O /PH2の平均値
をとればよい。
し、 PH2O /PH2を0.15以下の還元性の雰囲気とすること
によってもB8が向上する理由は、脱炭焼鈍板最表面の酸
化層が還元されることによっても脱炭焼鈍板のサブスケ
ールの級密性が向上するからであると考えられ、このた
めに、脱炭焼鈍後段の温度を 820〜920 ℃、雰囲気の P
H2O /PH2を0.15以下とするのがよいと推定される。この
ような処理の時間が5秒を下回った場合、脱炭焼鈍板最
表面の還元が十分に行われず、また200 秒を超えた場合
は、酸化性雰囲気での処理時間を十分に確保することが
難しいため、5〜200 秒の範囲に限定した。また、脱炭
焼鈍の後段部を還元性雰囲気とするとともに、昇温過程
の雰囲気のPH2O /PH2を均熱過程のそれよりも低くする
(最も望ましくは PH2O /PH2を0.05〜0.25だけ低くす
る)ことは、昇温過程の適正化によるサブスケールの均
一化とサブスケール表面の還元処理の相乗効果によっ
て、よりいっそう緻密性を向上させ、二次再結晶をさら
に理想的な状態に近づける作用を有する。
略した場合であっても十分に磁性向上に作用するため、
熱延板焼鈍や中間焼鈍工程の有無は特に限定されない。
したがって、この発明では、熱延板焼鈍を施してから中
間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延により最終板厚にする
場合、熱延板焼鈍を施さずに中間焼鈍を含む2回以上の
冷間圧延により最終板厚にする場合,熱延板焼鈍を施し
てから1回の冷間圧延により最終板厚にする場合等、い
ずれの場合も行うことができる。
直後の平均冷却速度及び脱炭焼鈍の温度・雰囲気を適正
に制御すること以外は、従来公知の条件に従って処理す
ればよい。また、以上の製造条件により生産された方向
性電磁鋼板に対して、特公昭57-2252 号公報に開示され
ているレーザー光や特開昭62-96617号公報に開示されて
いるプラズマ炎などによって線状の歪を導入する方法、
あるいは、特公昭3-69968号公報に開示されている仕上
げ焼鈍以前に圧延方向とほぼ直交する方向の線状の刻み
目を導入することは、鉄損を低滅するうえで極めて有用
である。また、本発明に対して、化学研磨や電解研磨に
よる仕上げ焼鈍板表面の鏡面化、もしくは仕上げ焼鈍中
のサーマルエッチングによる鏡面化を組み合わせること
によって極めて鉄損の低い材料が得られ、更に、前記の
磁区細分化処理を組み合わせることにより、よりいっそ
うの低鉄損化を図ることが可能である。
0.020 wt%, N:0.0075wt%,Sb:0.030 wt%,Mo:0.
020 wt%,Se:0.020 wt%,S:0.005 wt%を含み、か
つBiを0.035 wt%含有し、残部はFeおよび不可避的不純
物の組成になるけい素鋼スラブを1400℃,60分間誘導加
熱により加熱した後、熱間圧延によって板厚2.5 mmの熱
延板とした。このとき熱間圧延の最終パス終了直後から
5秒間の平均冷却速度を60℃/秒とした。この後、950
℃で1分間の熱延板焼鈍を施し、次いで酸洗、一次冷間
圧延を施して厚さ1.6 mmとした後、1050℃,1分間の中
間焼鈍を施してから、酸洗後、二次冷間圧延により0.23
mmの最終板厚とした。この後、昇温過程(板温度255 ℃
〜765 ℃の領域)の平均の PH2O /PH2を0.25,0.35,0.
45の3水準、均熱過程の PH2O /PH2を0.40,0.55,0.75
の3水準、均熱温度を 850℃、均熱時間を100 秒とする
脱炭焼鈍を行った。この後、MgO を主成分とする焼鈍分
離剤を塗布してから最高到達温度1200℃×5時間の仕上
げ焼鈍を施した。続いて、コロイダルシリカを主成分と
する絶縁張力コーティングを施して製品とした。また、
この製品に対して、プラズマ炎によって圧延方向となす
角度90°の線状の歪領域を、圧延方向に対して5mm間隔
にて導入した。以上のようにして得られた製品からエプ
スタイン試験片 500 g相当を切り出し、エプスタイン試
験法により磁束密度B8と鉄損W17/50を測定した。表1に
得られた製品の磁気特性を示す。この発明に適合する条
件にて製造された方向性電磁鋼板において極めて磁束密
度B8の高い製品が得られていることが分かる。
0.05wt%, Al:0.025wt%, N:0.0075wt%, Sb:0.030
wt%,Mo:0.020 wt%,Se:0.015 wt%,S:0.010 w
t%を含み、かつ、Biを0wt%,0.020 wt%及び0.050 w
t%の3水準で含有し、残部はFeおよび不可避的不純物
の組成になるけい素スラブを1400℃,60分間誘導加熱に
より加熱した後、熱間圧延によって板厚2.5 mmの熱延板
とした。このとき熱間圧延の最終パス終了直後から5秒
間の冷却速度を25℃/秒,60℃/秒の2水準とした。こ
の後、950 ℃, 1分間の熱延板焼鈍を施してから、酸洗
処理し、一次冷間圧延して、厚さ1.5 mmとした後、1050
℃, 1分間の中間焼鈍を施してから酸洗し、二次冷間圧
延により0.23mmの最終板厚とした。この後、レジストエ
ッチングにより、圧延方向となす角度90°、圧延方向の
間隔3.0 mm ,幅100μm , 深さ25μm の溝を形成した。
続いて、昇温過程の PH2O /PH2=0.60、均熱過程の P
H2O /PH2=0.60にて、850 ℃,100 秒間の脱炭焼鈍を施
し、この後、MgO を主成分とする焼鈍分離剤を塗布して
から最高到達温度1200℃×5時間の仕上げ焼鈍を施した
のち、コロイダルシリカを主成分とする絶縁コーティン
グを施して製品とした。以上の工程により得られた製品
からエプスタイン試験片500 g 相当を切り出し、エプス
タイン試験法により磁束密度B8と鉄損W17/50を測定し
た。表2に得られた製品の磁気特性を示す。この発明に
適合する条件にて製造された方向性電磁鋼板において、
極めて優れた磁気特性の製品が安定的に得られている。
0.05wt%,Al:0.025wt%, N:0.0075wt%, Sb:0.030
wt%, Mo:0.020 wt%,Se:0.015 wt%,S:0.010 w
t%を含み、かつ、Bi:0wt%もしくは0.020 wt%を含
有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になるけい
素鋼スラブを1400℃,60分間誘導加熱により加熱した
後、熱間圧延によって板厚2.7 mmの熱延板とした。この
とき熱間圧延の最終パス終了直後から5秒間の冷却速度
を80℃/秒とした。続いて 950℃,1分の熱延板焼鈍
後、酸洗処理してから一次冷間圧延により1.8 mmの厚さ
とした。この後、950 ℃,100 秒間の中間焼鈍後、酸洗
処理し、続いて冷間圧延により0.23mmの最終板厚とし
た。この後、昇温過程(板温度 250〜740 ℃の領域)で
の平均の PH2O /PH2=0.40、昇温過程の PH2O /PH2=0.
40もしくは0.60にて、820℃,120 秒の脱炭焼鈍を施し
た。続いて、Al203 を主成分とする焼鈍分離剤を塗布し
てから、最高到達温度1200℃×5時間の仕上げ焼鈍を施
した。この後、NaCl浴による電解研磨により、鋼板表面
を鏡面化処理してから鋼板表面にTiN を蒸着させて鋼板
に張力を付与させたのち、コロイダルシリカを主成分と
する絶縁コーティングを施して、さらにプラズマ炎によ
って圧延方向となす角度85°の線状の歪領域を、圧延方
向に対して5mm間隔にて導入して製品とした。以上のよ
うにして得られた製品からエプスタイン試験片500 g 相
当を切り出し、エプスタイン試験法により磁束密度B8と
鉄損W17/50を測定した。表3に得られた製品の磁気特性
を示す。この発明に適合する条件にて製造された方向性
電磁鋼板において極めて優れた磁気特性の製品が安定的
に得られている。
0.10wt%, Al:0.025wt%, N:0.0085wt%,Sb:0.040
wt%,Mo:0.020 wt%,Se:0.022 wt%を含み、か
つ、Biを0wt%又は0.030 wt%含有し、残部はFeおよび
不可避的不純物の組成になるけい素鋼スラブを1400℃,
60分間誘導加熱により加熱した後、熱間圧延によって板
厚2.6 mmの熱延板とした。このとき熱間圧延の最終パス
終了直後から5秒間の冷却速度を70℃/秒とした。この
後、熱延板焼鈍を施さずに、酸洗処理し、一次冷間圧延
して厚さ1.7 mmとした後、1100℃,1分間の中間焼鈍を
施し、続いて酸洗後、二次冷間圧延して、厚さ0.22mmの
製品板厚とした。続いて、レジストエッチングにより、
圧延方向となす角度90°、圧延方向の間隔3.0 mm,幅10
0 μm ,深さ25μm の溝を形成したのち、820 ℃,120
秒間の脱炭焼鈍を施した。この際、昇温過程(板温度 2
50〜740 ℃の領域)の平均の PH2O /PH2=0.40、均熱過
程の PH2O /PH2=0.40もしくは0.60とした。この後、Mg
O を主成分とする焼鈍分離剤を塗布してから最高到達温
度1200℃×5時間の仕上げ焼鈍を施したのち、コロイダ
ルシリカを主成分とする絶縁コーティングを施して製品
とした。以上の工程により得られた製品からエプスタイ
ン試験片500 g 相当を切り出し、エプスタイン試験法に
より磁束密度B8と鉄損W17/50を測定した。表4に得られ
た製品の磁気特性を示す。この発明に適合する条件にて
製造された方向性電磁鋼板において極めて優れた磁気特
性の製品が安定的に得られている。
0.10wt%, Al:0.025wt%,N:0.0085wt%, Sb:0.040
wt%,Mo:0.020 wt%, Se:0.022 wt%を含み、か
つ、Biを0wt%,0.030 wt%含有し、残部はFeおよび不
可避的不純物の組成になるけい素鋼スラブを1400℃,60
分間誘導加熱により加熱した後、熱間圧延によって板厚
2.2 mmの熱延板とした。このとき熱間圧延の最終パス終
了直後から5秒間の冷却速度を70℃/秒とした。この
後、1000℃,1分間の熱延板焼鈍を施した後、酸洗処理
し、冷間圧延により、厚さ0.35mmの製品板厚とした。続
いて、850 ℃,100 秒間の脱炭焼鈍を施した。このと
き、昇温過程(板温度 255〜765℃の領域)の平均の P
H2O /PH2=0.45、均熱過程の PH2O /PH2=0.40もしくは
0.60とした。この後、MgO を主成分とする焼鈍分離剤を
塗布してから最高到達温度1200℃×5時間の仕上げ焼鈍
を施したのち、コロイダルシリカを主成分とする絶縁コ
ーティングを施して製品とした。以上の工程により得ら
れた製品からエプスタイン試験片500 g 相当を切り出
し、エプスタイン試験法により磁束密度B8と鉄損W17/50
を測定した。表5に得られた製品の磁気特性を示す。こ
の発明に適合する条件にて製造された方向性電磁鋼板に
おいて極めて優れた磁気特性の製品が安定的に得られて
いる。
0.023 wt%,N:0.0080wt%,Sb:0.040 wt%,Mo:0.
015 wt%,Se:0.018 wt%を含み、かつ、Biを0wt%又
は0.020 wt%含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の
組成になるけい素鋼スラブを1400℃,60分間誘導加熱に
より加熱した後、熱間圧延によって板厚2.5 mmの熱延板
とした。このとき熱間圧延の最終パス終了直後から5秒
間の乎均冷却速度を50℃/秒とした。この後、950 ℃で
1分間の熱延板焼鈍を施し、次いで酸洗、一次冷間圧延
を施し、厚さ1.6 mmとした後、1000℃,1分間の中間焼
鈍を施してから、酸洗後、二次冷間圧延により0.23mmの
最終板厚とした。この後の脱炭焼鈍において、均熱過程
の温度を 850℃,時間を100 秒、 PH2O /PH2を0.40, 0.
60, 0.75の各条件とし、均熱過程に引き続く脱炭焼鈍後
段(50秒)の雰囲気の PH2O /PH2を0.05, 0.10, 0.20又
は均熱過程と同じの各条件とし、昇温過程のPH2O /PH2
を均熱過程と同じか、もしくは均熱過程の PH2O /PH2よ
り0.10だけ低い値とした。この後、MgO を主成分とする
焼鈍分離剤を塗布してから最高到達温度1200℃×5時間
の仕上げ焼鈍を施した。続いて、コロイダルシリカを主
成分とする絶縁張力コーティングを施したのち、プラズ
マ炎によって圧延方向となす角度90°の線状の歪領域
を、圧延方向に対して5mm間隔にて導入し製品とした。
以上のようにして得られた製品からエプスタイン試験片
500 g 相当を切り出し、エプスタイン試験法により磁束
密度B8と鉄損W17/50を測定した。表6に得られた製品の
磁気特性を示す。この発明に適合する条件にて製造され
た方向性電磁鋼板において極めて磁束密度B8の高い製品
が得られており、請求項4に適合する条件(6I、6
J、6K、6L)では、特に優れた磁気特性が得られて
いる。
れる方向性電磁鋼板を安定して製造することが可能であ
る。
ある。
最終仕上げ焼鈍後のB8との関係を示す図である。
鈍後のB8のとの関係示す図である。
図である。
B8との関係を示す図である。
る。
Claims (5)
- 【請求項1】 C:0.03〜0.10wt%, Si:2.0 〜5.0 wt%, Mn:0.04〜0.15wt%, S及びSeのうちから選んだ1種又は2種:0.01〜0.03wt
%, sol.Al:0.015 〜0.035 wt%, N:0.0050〜0.010 wt% を含み、かつ、 Bi:0.001 〜0.07wt% を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる
けい素鋼スラブを1300℃以上の温度に加熱したのち、熱
間圧延し、次いで焼鈍処理と冷間圧延処理とを組み合わ
せて最終板厚にしたのち、脱炭焼鈍を施し、次いで最終
仕上げ焼鈍を施す一連の工程からなる方向性電磁鋼板の
製造方法において、 熱間圧延終了直後から5秒後までの熱延板の平均冷却速
度を30℃/秒〜120 ℃/秒に制御するとともに、脱炭焼
鈍の均熱温度を 800℃から 900℃の範囲とし、均熱過程
における雰囲気中の水素分圧に対する水蒸気分圧の比:
PH2O /PH2を0.45〜0.70とすることを特徴とする磁気特
性に優れる方向性電磁鋼板の製造方法。 - 【請求項2】 けい素鋼スラブが、さらに Sb:0.001 〜0.10wt%, As:0.001 〜0.10wt%, Mo:0.001 〜0.20wt%, Cu:0.01〜0.30wt%, P:0.010 〜0.030 wt%, Sn:0.005 〜0.20wt%, Ge:0.005 〜0.20wt%, B:0.0010〜0.010 wt%, V:0.005 〜0.10wt%, Nb:0.005 〜0.10wt%および Te:0.005 〜0.10wt% のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成に
なることを特徴とする請求項1記載の磁気特性に優れる
方向性電磁鋼板の製造方法。 - 【請求項3】 脱炭焼鈍の昇温過程における PH2O /PH2
を均熱過程における PH2O /PH2より低くすることを特徴
とする請求項1または2記載の磁気特性に優れる方向性
電磁鋼板の製造方法。 - 【請求項4】 脱炭焼鈍の昇温過程における雰囲気中の
PH2O /PH2を、脱炭焼鈍の均熱過程における雰囲気中の
PH2O /PH2との関係で、下記の式(1) に適合する範囲内
とすることを特徴とする請求項1または2記載の磁気特
性に優れる方向性電磁鋼板の製造方法。 X2−0.25≦X1≦X2−0.05‥‥‥‥‥(1) ここに、X1:昇温過程における雰囲気中の PH2O /PH2 X2:均熱過程における雰囲気中の PH2O /PH2 - 【請求項5】 脱炭焼鈍の均熱過程に引き続き、脱炭焼
鈍の後段部を設け、この後段部の温度を 820〜920 ℃、
後段部の雰囲気中の PH2O /PH2を0.15以下、この後段部
の滞留時間を5〜200 秒とすることを特徴とする請求項
1〜4のいずれかに記載の磁気特性に優れる方向性電磁
鋼板の製造方法。
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DE102011107304A1 (de) * | 2011-07-06 | 2013-01-10 | Thyssenkrupp Electrical Steel Gmbh | Verfahren zum Herstellen eines kornorientierten, für elektrotechnische Anwendungen bestimmten Elektrostahlflachprodukts |
CN103834856B (zh) * | 2012-11-26 | 2016-06-29 | 宝山钢铁股份有限公司 | 取向硅钢及其制造方法 |
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