JPH06256846A - 高磁束密度が安定して得られる方向性電磁薄鋼板の製造方法 - Google Patents

高磁束密度が安定して得られる方向性電磁薄鋼板の製造方法

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JPH06256846A
JPH06256846A JP4001193A JP4001193A JPH06256846A JP H06256846 A JPH06256846 A JP H06256846A JP 4001193 A JP4001193 A JP 4001193A JP 4001193 A JP4001193 A JP 4001193A JP H06256846 A JPH06256846 A JP H06256846A
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annealing
steel sheet
magnetic flux
flux density
thickness
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JP4001193A
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Hisashi Nakano
恒 中野
Katsuo Iwamoto
勝生 岩本
Takashi Obara
隆史 小原
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JFE Steel Corp
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 変圧器またはその他の電気機器用鉄心材とし
て用いられる、板厚が0.23mm以下の方向性電磁薄鋼板に
おける、磁束密度の向上を安定して図る方法を提案す
る。 【構成】 電磁鋼スラブを熱間圧延した後、中間焼鈍を
はさむ2回以上の冷間圧延を施して0.23mm以下の最終製
品板厚とし、しかるのち脱炭焼鈍を施し、次いで鋼板表
面にMgO を主成分とする焼鈍分離剤を塗布してから仕上
焼鈍を施す一連の工程によって方向性電磁薄鋼板を製造
するに当たり、中間焼鈍後の鋼板の表面から板厚の20%
の表層部におけるC量を0.015 〜0.025 wt%および残る
鋼板の中間層におけるC量を0.020 〜0.10wt%に調整す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、変圧器またはその他
の電気機器用鉄心材として用いられる方向性電磁鋼板、
中でも板厚が0.23mm以下の方向性電磁薄鋼板に関し、磁
束密度の向上を安定して図ろうとするものである。
【0002】
【従来の技術】方向性電磁鋼板に要求される特性として
は、磁化特性に優れていることおよび鉄損が低いことが
挙げられる。一方、最近の技術進歩に伴い、板厚が0.23
mmと薄い方向性電磁鋼板の製造が可能となり、その磁化
特性は、B8 値(磁化力800 A/mで磁化したときの磁
束密度)が1.90T以上の高磁束密度、そして鉄損W17/5
0 値(磁束密度1.7 T、周波数50Hzで磁化したときの鉄
損)が0.90W/kg以下の低鉄損が得られるに至ってお
り、変圧器の小型化、低騒音化および高変換効率化に大
きく寄与している。
【0003】さて、このように磁気特性の優れた方向性
電磁鋼板を得るためには、最終仕上焼鈍における2次再
結晶粒を十分に発達させ、(110)<001>方位に
先鋭化することが肝要である。この為、2次再結晶の過
程で(110)<001>方位粒、いわゆるゴス粒以外
の方位をもつ粒の成長を抑制する作用をもつインヒビタ
ーを存在させておくこと、ならびにゴス粒の成長に有利
な(111)<112>方位を中心とする集合組織を予
め形成しておくことが重要となる。
【0004】インヒビターには、一般にMnS ,MnSe,Al
N 等が用いられており、これらが微細に分散して析出す
ることが抑制力向上のために望ましい。また、粒界に偏
析し、粒成長の抑制効果を有するSb,As,Bi,Sn等を必
要に応じて添加し、抑制力向上の補助的作用を持たせる
ことも行われている。これに対してゴス粒の成長に有利
な(111)<112>方位を中心とする集合組織の形
成については、従来、熱間圧延および冷間圧延と、その
間に行われる焼鈍との各条件の好適化を図る方法が採用
され、またこの目的から中間焼鈍を挟む2回以上の冷間
圧延を施す方法が開発されている。このような中間焼鈍
の具体的役割は、焼鈍による冷延組織の微細再結晶
化、インヒビターの微細分散析出、弱脱炭によるC
量の調節等である。
【0005】上記のに掲げた“C量の調節”は、引続
き行われる冷間圧延後の集合組織に影響を及ぼし、磁気
特性、とりわけ磁束密度に大きな影響を及ぼすことから
重要である。そこで、発明者らはこの点に着目した、多
くの提案を行ってきた。
【0006】例えば、特開昭59−143022号公報では、中
間焼鈍工程の前半で鋼中のCを0.006 〜0.020 %まで脱
炭し、後半での脱炭を抑制することを提案し、また特開
昭61−106718号公報では、最終冷間圧延前にCを0.006
〜0.020 wt%まで脱炭する脱炭処理と、Cを0.005 〜0.
080 wt%浸炭する浸炭処理を施すことを提案し、併せて
中間焼鈍の前半で脱炭、後半で浸炭する方法も開示し
た。
【0007】また、発明者らは磁気特性がこのようなC
量のみならずCの鋼板板厚方向での濃度分布にも影響を
受けることを明らかにし、特開昭59−157224号公報に
て、板厚0.30mmの鋼板における、中間焼鈍後の板厚方向
の好適C濃度分布について提案した。すなわち、鋼板表
面から板厚の35%までのC量を0.01〜0.03wt%の範囲内
に、また残る中間層のC量を0.025 〜0.10wt%の範囲内
になるようにするものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、特開昭
59−157224号公報において、板厚0.30mmの鋼板における
板厚方向のC濃度分布に好適範囲が存在することを明ら
かにしたわけであるが、一方、その後の製造技術の進歩
は目覚ましく、現在では0.23mm以下の板厚を有する方向
性電磁鋼板が開発されるに至っている。そこで、発明者
らは、0.23mm厚以下の方向性電磁鋼板を開発する途上
で、このような薄手鋼板に、特開昭59−157224号公報で
開示した方法を適用した。その結果を、板厚0.30mmの鋼
板と比較して図1に示すように、板厚0.30mmの鋼板に比
べて磁束密度のばらつきが大きく、安定して高磁束密度
を得ることができなかった。
【0009】この発明は、このような不具合を招かず
に、板厚が0.23mm以下の方向性電磁薄鋼板において、常
に高磁束密度を安定して得るために必要となる、中間焼
鈍後の板厚方向のC濃度分布について、新たに提案する
ことを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明は、C:0.02〜
0.10wt%、Si:2.0 〜4.5 wt%、Mn:0.02〜0.15wt%、
酸化溶性Al:0.015 〜0.040 wt%およびN:0.004 〜0.
010 wt%を含み、さらにSおよびSeのいずれか1種また
は2種を合計で0.008 〜0.080 wt%含有する電磁鋼スラ
ブを熱間圧延した後、中間焼鈍をはさむ2回以上の冷間
圧延を施して0.23mm以下の最終製品板厚とし、しかるの
ち脱炭焼鈍を施し、次いで鋼板表面にMgO を主成分とす
る焼鈍分離剤を塗布してから仕上焼鈍を施す一連の工程
によって方向性電磁薄鋼板を製造するに当たり、中間焼
鈍後の鋼板の表面から板厚の20%の表層部におけるC量
を0.015 〜0.025 wt%および残る鋼板の中間層における
C量を0.020 〜0.10wt%に調整することを特徴とする安
定して磁束密度の高い方向性電磁薄鋼板の製造方法であ
る。
【0011】
【作用】次に、この発明を導くに到った実験結果につい
て説明する。発明者らは、上記した方向性電磁薄鋼板に
おける、磁束密度のばらつきをもたらす原因について鋭
意、実験および検討を重ねたところ、薄手材と厚手材と
では、脱炭焼鈍後の板厚方向のゴス粒の存在領域が異な
っていることを新たに知見した。
【0012】この知見の基礎となった実験結果を、図2
に示す。同図において、縦軸は鋼板表面から板中心に向
かう深さの板厚に対する割合および横軸は鋼板板厚であ
り、ゴス粒の核の存在領域を鋼板板厚との関係として表
したものである。なお、ゴス核の存在領域はエレクトロ
ン・チャンネリング・パターン(ECP)を用いて確定
した。図2から、鋼板板厚により、板厚方向における、
ゴス核の存在位置が異なることがわかる。すなわち、ゴ
ス粒は0.30mm厚材では35%深さ程度まで存在するのに対
して、0.23mm板厚材では20%程度の深さまでしか存在し
ない。
【0013】一方、これとは別に板厚0.23mmの脱炭焼鈍
後の鋼板の板厚方向のインヒビターの分布についても走
査型電子顕微鏡(SEM)観察により調査した。その結
果を図3に示すように、0.23mm厚の鋼板では板厚の20%
深さを境にして、それ以上ではインヒビターが急激に増
大することがわかる。これは、0.20、0.18、0.15および
0.12mm厚の鋼板についても同様である。
【0014】図2に示した、板厚0.23mm以下の薄手鋼板
では、脱炭焼鈍後のゴス粒が存在する、鋼板表面から板
厚の20%の表層部(以下、20%表層部と示す)が、図3
に示したように、インヒビターの存在を示す抑制力の谷
間となっているため、この領域に存在するゴス粒が優先
的に成長することによって、2次再結晶後に先鋭化され
た(110)<001>方位粒を得ることができると推
察される。発明者らは、この結果を基に、ゴス粒の存在
領域とC量濃度分布が互いに密接に関係していると考
え、深さとC濃度の関係を、次の実験により求めた。
【0015】すなわち、鋼板表層部のC濃度が図4に示
す(A)〜(C)のプロファイルを持つ種々の板厚の試
料を作製し、それぞれの試料についてB8 値を測定し
た。その結果を表1に示すように、0.23mm以下の薄手材
では20%表層部で、そのC濃度が低い場合に良好なB8
値が得られている。そこで、20%表層部のC濃度の好適
値を求めるべく0.23mm厚の鋼板に関して実験した結果を
図5に示す。図5より、好適C濃度は0.015 〜0.025 wt
%であることがわかる。
【0016】
【表1】
【0017】一方、20%表層部以外の領域、すなわち鋼
板の中間層についても好適C濃度を求める実験を、20%
表層部のC濃度を0.015 〜0.025 wt%として行った。そ
の結果を、図6に示すように、C:0.020 〜0.10wt%の
範囲で優れたB8 値が得られている。
【0018】以上の結果から、0.23mm以下の薄手材で高
いB8 値を得るためには、20%表層部のC量を0.015 〜
0.025 wt%の範囲に、それ以外の中間層のC量を0.020
〜0.10wt%の範囲に、それぞれ規制することが肝要であ
ることがわかる。なお、ゴス核の生成域とC濃度との関
係については未だ明らかではないが、Cの存在がゴス核
の成長を何らかの形で阻害するものと考えられる。
【0019】また、この発明の素材である電磁鋼スラグ
としては、前述の通りの各成分を含有することが必要と
される。以下にこれら成分の限定理由について説明す
る。 C:0.02〜0.10wt% Cは、熱間圧延および冷間圧延中の組織の均一微細化の
みならず、ゴス方位の発達に有用な成分であり、少なく
とも0.02wt%以上は含有することが好ましい。しかしな
がら、0.10wt%を超えて含有されるとかえってゴス方位
に乱れが生じるため、上限は0.10wt%程度が好ましい。
【0020】Si:2.0 〜4.5 wt% Siは、鋼板の比抵抗を高め鉄損の低減に有効に寄与する
が、4.5 wt%を上回ると冷延性が損なわれ、一方2.0 wt
%に満たないと比抵抗が低下するだけでなく、2次再結
晶および純化のために行われる最終高温焼鈍中に、α−
γ変態によって結晶方位のランダム化を生じ、十分な鉄
損改善効果が得られないので、Si量は2.0 〜4.5 wt%程
度するのが好ましい。
【0021】さらに、Mn,Al,N,S,Seはいずれもイ
ンヒビター成分として添加され、最終焼鈍において1次
再結晶粒の成分を抑制し、(110)<001>方位の
2次再結晶粒を先鋭に発達させるに必要な元素であり、
所定の成分範囲を外れれば充分なインヒビターの効果が
得られなくなるため、Mn:0.02〜0.15wt%、Al:0.015
〜0.040 wt%、N:0.004 〜0.010 wt%とし、S,Seの
いずれか1種または2種を合計で0.008 〜0.050 wt%の
範囲内とする必要がある。
【0022】上記の成分組成になる電磁鋼スラブは、ま
ず1350℃以上の高温に加熱後、公知の熱間圧延を施して
板厚1.5 〜5.0mm の熱延板とする。この熱延工程では、
最終的にインヒビターMnS 、MnSeおよびAlN の微細析出
物を充分に得るために、一旦はスラブ加熱時にMn、S、
Se、AlおよびNを充分に解離固溶させる必要がある。従
って、スラブ加熱温度はMn、S、Se、AlおよびNの成分
含有量に応じてこれらが充分に解離固溶できる適切な温
度に設定すべきであり、次いで熱延方法を適切に選択し
てインヒビターの析出分散を充分に促進させることが肝
要である。
【0023】次いで、熱延板に必要に応じてノルマライ
ジング焼鈍を施し、酸洗後、中間焼鈍を挟む2回以上の
冷間圧延を施して0.23mm以下の最終板厚に仕上げる。こ
の冷間圧延の間における中間焼鈍は、冷延組織を再結晶
させ、結晶組織の均一化を促進し、併せて鋼中のC濃度
を調節する目的で施す。そのためには、中間焼鈍温度は
750 ℃以上が必要であるが、1200℃を超えると、インヒ
ビターMnS 、MnSeおよびAlN の微細析出物が粗大化して
インヒビターとしての1次再結晶粒成長抑制効果が低下
するため、750 〜1200℃の温度範囲内に限定する必要が
ある。
【0024】
【実施例】実施例1 Cを0.072 wt%、0.075 wt%、0.082 wt%の3水準と
し、その他の成分として、それぞれSi:3.3 wt%、Mn:
0.07wt%、Al:0.02wt%、N:0.008 wt%、Se:0.016
wt%を含有する、210 mm厚の連鋳スラブを、それぞれ14
00℃で1時間加熱した後、2.2 mm厚に熱間圧延し、約60
0 〜700 ℃程度の温度で巻き取り、所定時間保持した後
炉冷した。保持時間は各C量の素材とも30分、1時間、
5時間、10時間の4種類とし、これにより多少の脱炭を
行った。次いでこれらの熱延コイルを1000℃×1分間焼
鈍後、冷間圧延を行って1.5 mm厚とし、しかるのち1000
℃×1分間の中間焼鈍を施した。その際焼鈍雰囲気を、
N2+H2混合雰囲気とし、露点を変えることによって、水
蒸気分圧P(H2O) と水素分圧P(H2)との比P(H2O) /P
(H2)を0.003 〜0.35の範囲で変化させ、これにより、20
%表層部の濃度分布を0.01〜0.05wt%の範囲で制御し
た。その後公知の方法で冷却を施し、最終冷延板の厚み
を0.23mmとした。
【0025】かくして得られた鋼板を820 ℃の湿水素中
で脱炭焼鈍し、MgO を主成分とする焼鈍分離剤を塗布し
た後、1200℃で10時間の仕上焼鈍を施し、然る後、絶縁
皮膜を塗布して製品とした。この製品の磁束密度を測定
した結果について、中間焼鈍後の鋼板の20%表層部にお
けるC濃度および残る中間層のC濃度の測定結果と併せ
て、表2に示す。同表から、この発明に従って得られた
製品は比較例に比べて磁束密度の高いことがわかる。
【0026】
【表2】
【0027】実施例2 Cを0.068 wt%、0.074 wt%、0.079 wt%の3水準と
し、その他の成分として、それぞれSi:3.2 wt%、Mn:
0.07wt%、Al:0.02wt%、N:0.008 wt%、Se:0.007
wt%、S:0.009 wt%を含有する、200 mm厚の連鋳スラ
ブを、それぞれ1400℃で1時間加熱した後、2.2 mm厚に
熱間圧延し、約600 〜700 ℃程度の温度で巻き取り、所
定時間保持した後炉冷した。保持時間は各C量の素材と
も30分、1時間、5時間、10時間の4種類とし、これに
より多少の脱炭を行った。次いでこれらの熱延コイルを
1000℃×1分間焼鈍後、冷間圧延を行って1.3 mm厚と
し、しかるのち1000℃×1分間の中間焼鈍を施した。そ
の際焼鈍雰囲気を、N2+H2混合雰囲気とし、露点を変え
ることによってP(H2O) /P(H2)を0.003 〜0.35の範囲
で変化させ、これにより、20%表層部の濃度分布を0.01
〜0.05wt%の範囲で制御した。その後公知の方法で冷却
を施し、最終冷延板の厚みを0.20mmとした。
【0028】かくして得られた鋼板を820 ℃の湿水素中
で脱炭焼鈍し、MgO を主成分とする焼鈍分離剤を塗布し
た後、1200℃で10時間の仕上焼鈍を施し、然る後、絶縁
皮膜を塗布して製品とした。この製品の磁束密度を測定
した結果について、中間焼鈍後の鋼板の20%表層部にお
けるC濃度および残る中間層のC濃度の測定結果と併せ
て、表3に示す。同表から、この発明に従って得られた
製品は比較例に比べて磁束密度の高いことがわかる。
【0029】
【表3】
【0030】実施例3 Cを0.073 wt%、0.078 wt%、0.083 wt%の3水準と
し、その他の成分として、それぞれSi:3.2 wt%、Mn:
0.07wt%、Al:0.02wt%、N:0.008 wt%、Se:0.008
wt%、S:0.008 wt%を含有する、200 mm厚の連鋳スラ
ブを、それぞれ1400℃で1時間加熱した後、2.2 mm厚に
熱間圧延し、約600 〜700 ℃程度の温度で巻き取り、所
定時間保持した後炉冷した。保持時間は各C量の素材と
も30分、1時間、5時間、10時間の4種類とし、これに
より多少の脱炭を行った。次いでこれらの熱延コイルを
1000℃×1分間焼鈍後、冷間圧延を行って1.2 mm厚と
し、しかるのち1000℃×1分間の中間焼鈍を施した。そ
の際焼鈍雰囲気を、N2+H2混合雰囲気とし、露点を変え
ることによってP(H2O) /P(H2)を0.003 〜0.35の範囲
で変化させ、これにより、20%表層部の濃度分布を0.01
〜0.05wt%の範囲で制御した。その後公知の方法で冷却
を施し、最終冷延板の厚みを0.18mmとした。
【0031】かくして得られた鋼板を820 ℃の湿水素中
で脱炭焼鈍し、MgO を主成分とする焼鈍分離剤を塗布し
た後、1200℃で10時間の仕上焼鈍を施し、然る後、絶縁
皮膜を塗布して製品とした。この製品の磁束密度を測定
した結果について、中間焼鈍後の鋼板の20%表層部にお
けるC濃度および残る中間層のC濃度の測定結果と併せ
て、表4に示す。同表から、この発明に従って得られた
製品は比較例に比べて磁束密度の高いことがわかる。
【0032】
【表4】
【0033】実施例4 Cを0.080 wt%、0.084 wt%、0.090 wt%の3水準と
し、その他の成分として、それぞれSi:3.2 wt%、Mn:
0.07wt%、Al:0.02wt%、N:0.008 wt%、Se:0.016
wt%を含有する、120 mm厚の連鋳スラブを、それぞれ14
00℃で1時間加熱した後、1.2 mm厚に熱間圧延し、約60
0 〜700 ℃程度の温度で巻き取り、所定時間保持した後
炉冷した。保持時間は各C量の素材とも30分、1時間、
5時間、10時間の4種類とし、これにより多少の脱炭を
行った。次いでこれらの熱延コイルを1000℃×1分間焼
鈍後、冷間圧延を行って0.8 mm厚とし、しかるのち1000
℃×1分間の中間焼鈍を施した。その際焼鈍雰囲気を、
N2+H2混合雰囲気とし、露点を変えることによってP(H
2O) /P(H2)を0.003 〜0.35の範囲で変化させ、これに
より、20%表層部の濃度分布を0.01〜0.05wt%の範囲で
制御した。その後公知の方法で冷却を施し、最終冷延板
の厚みを0.12mmとした。
【0034】かくして得られた鋼板を820 ℃の湿水素中
で脱炭焼鈍し、MgO を主成分とする焼鈍分離剤を塗布し
た後、1200℃で10時間の仕上焼鈍を施し、然る後、絶縁
皮膜を塗布して製品とした。この製品の磁束密度を測定
した結果について、中間焼鈍後の鋼板の20%表層部にお
けるC濃度および残る中間層のC濃度の測定結果と併せ
て、表5に示す。同表から、この発明に従って得られた
製品は比較例に比べて磁束密度の高いことがわかる。
【0035】
【表5】
【0036】
【発明の効果】この発明によれば、磁束密度が高く、し
かもばらつきの少ない、0.23mm以下の方向性電磁薄鋼板
を安定して製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】0.30mm厚材に比べて0.23mm厚材の方がB8 が低
くしかもばらつくことを示す説明図である。
【図2】鋼板板厚とゴス粒の核の存在領域の関係を示す
図である。
【図3】鋼板表面からの深さとインヒビターの存在領域
との関係を示す図である。
【図4】鋼板表層部におけるC濃度プロファイルを示す
図である。
【図5】鋼板の20%表層部のC濃度とB8 値との関係を
示す図である。
【図6】鋼板の20%表層部以外の中間層のC濃度とB8
値との関係を示す図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.02〜0.10wt%、Si:2.0 〜4.5 wt
    %、Mn:0.02〜0.15wt%、酸化溶性Al:0.015 〜0.040
    wt%およびN:0.004 〜0.010 wt%を含み、さらにSお
    よびSeのいずれか1種または2種を合計で0.008 〜0.08
    0 wt%含有する電磁鋼スラブを熱間圧延した後、中間焼
    鈍をはさむ2回以上の冷間圧延を施して0.23mm以下の最
    終製品板厚とし、しかるのち脱炭焼鈍を施し、次いで鋼
    板表面にMgO を主成分とする焼鈍分離剤を塗布してから
    仕上焼鈍を施す一連の工程によって方向性電磁薄鋼板を
    製造するに当たり、中間焼鈍後の鋼板の表面から板厚の
    20%の表層部におけるC量を0.015 〜0.025 wt%および
    残る鋼板の中間層におけるC量を0.020 〜0.10wt%に調
    整することを特徴とする高磁束密度が安定して得られる
    方向性電磁薄鋼板の製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100256342B1 (ko) * 1995-12-21 2000-05-15 이구택 자성 및 탈탄성이 우수한 방향성전기강판의 제조방법
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KR100345696B1 (ko) * 1997-08-04 2002-09-18 주식회사 포스코 슬라브저온가열에의한고자속밀도일방향성전기강판의제조방법
KR100340495B1 (ko) * 1997-06-27 2002-11-22 주식회사 포스코 저온슬라브가열방식의고자속밀도방향성전기강판의제조방법

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