JPH06330174A - 低鉄損方向性けい素鋼板の製造方法 - Google Patents

低鉄損方向性けい素鋼板の製造方法

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JPH06330174A
JPH06330174A JP5124141A JP12414193A JPH06330174A JP H06330174 A JPH06330174 A JP H06330174A JP 5124141 A JP5124141 A JP 5124141A JP 12414193 A JP12414193 A JP 12414193A JP H06330174 A JPH06330174 A JP H06330174A
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JP
Japan
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cold rolling
silicon steel
iron loss
steel sheet
final
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JP5124141A
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Hiroshi Yano
浩史 矢埜
Katsuo Iwamoto
勝生 岩本
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 一方向性けい素鋼板の製造に際し、(1) スラ
ブ組成を、C:0.05〜0.10%, Si:2.5 〜4.5 %, Mn:
0.02〜0.15%,S及びSeのうちから選んだ一種又は二
種:0.005 〜0.10%, P:0.015 〜0.07%, Al:0.005
〜0.10%及びN:0.01%以下を含有し、残部Fe及び不可
避的不純物とすると共に、(2) 最終冷間圧延工程におけ
る冷延パスを50〜150 ℃の温度範囲で行い、かつ該最終
冷延工程におけるパス間で少なくとも1回、 150〜500
℃の温度範囲に30秒以上、3時間以下保持する熱処理を
施す。 【効果】 低鉄損の一方向性けい素鋼板を、工業的に安
定して得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、安定した磁気特性を
有する、一方向性けい素鋼板の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】一方向性けい素鋼板は、主に変圧器その
他の電気機器の鉄心として使用され、磁気特性として磁
化特性及び鉄損特性に優れていることが要求される。そ
して、けい素鋼板の製造技術の進歩によって、磁化特
性、すなわちB8 値で代表される磁束密度が1.91Tを超
える優れたものが得られるようになり、変圧器などの機
器の小型化と騒音の低減に寄与している。また鉄損特性
としては、板厚0.23mmの一方向性けい素鋼板において、
鉄損W17/50 値が 0.90 W/kg以下すなわち磁束密度:1.
7 T、周波数:50Hzで磁化した場合の鉄損が材料1kg当
たり0.90W以下の優れた材料も得られるようになった。
【0003】かかる優れた磁気特性を有する材料を得る
ための基本的な要件は、最終焼鈍過程において、(11
0)〔001〕方位の2次再結晶粒を十分発達させるこ
とである。そのためには2次再結晶過程で(110)
〔001〕方位以外の好ましくない結晶方位を有する結
晶粒の成長を強く抑制するインヒビターの存在と、先鋭
に揃った(110)〔001〕方位の2次再結晶粒が十
分に発達するのに好適な最終焼鈍前の集合組織形成が必
要であることが知られている。
【0004】上記の要請を考慮に入れた磁気特性とくに
鉄損特性に優れた一方向性けい素鋼板製造の手段として
は、 Si含有量を高める、 二次再結晶粒を微細化する、 不純物の含有量を低減する、 二次再結晶粒の方位を〈100〉に揃える などの方法が挙げられる。そのうちSi含有量を高める方
法は、冷間圧延性が著しく損なわれることから工業的な
生産方法としては適合しない。
【0005】この点、二次再結晶粒を微細化する方法、
中でも冷間圧延に工夫を加えて低鉄損を達成する方法に
ついては、特に多くの方法が開示されている。代表的な
ものとしては、特公昭50-26493号公報に開示されている
圧延時の温度を50〜350 ℃とする方法、特公昭54-13846
号公報や特公昭56−3892号公報に開示されている冷延パ
ス間で50〜350 ℃の温度範囲の熱効果を与える方法及び
特開昭52−202024号公報に開示されている熱延板焼鈍時
における急冷と冷延パス間における50〜500 ℃での保持
とを組合せた方法などがある。これらの技術に共通して
言えることは、圧延時の熱処理によってC,Nを圧延時
に導入された転位に固着させる時効処理の効果を利用し
ていることである。
【0006】しかし、これらの時効効果を利用した方法
では、冷延前における炭素、窒素の存在形態をコントロ
ールする必要があるなど、依然として良好な鉄損を有す
る一方向性けい素鋼板を安定して製造するためには、解
決すべき問題点が多い。
【0007】また、これらの時効処理では、パス毎に与
える方が、1回の時効処理に比べて一層の時効処理効果
が得られるとしている。しかしながら、時効処理回数の
増加は、表面劣化の原因となるだけでなく、磁性の不安
定化を招く。また時効処理回数の増加は生産性を低下さ
せることから、その工程化は実際問題として難しい。さ
らに時効処理後の圧延においても、従来技術では、時効
効果を与えた後の圧延時の板温に加工発熱による板温上
昇を考慮していないことから、形状不良、磁性不良の原
因となっていた。しかも、圧延時に板温を 150℃以上に
保持、制御することは極めて困難であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、上
記した従来技術の問題を克服し、鉄損の優れた一方向性
けい素鋼板を安定して得ることができる製造方法を提案
するところにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】さて、発明者らは、一方
向性けい素鋼板の磁束密度を低下させず、かつ不安定に
せずに、2次粒を安定に微細化して効果的に鉄損を低減
させる方法について検討した結果、粒界偏析型インヒビ
ターとして作用するPの活用下に、パス間時効温度と圧
延温度に工夫を加えることによって、2次再結晶に適し
た集合組織が発達するだけでなく、インヒビターの抑制
力が向上して、所期した目的が有利に達成されることの
知見を得た。この発明は、上記の知見に立脚するもので
ある。
【0010】すなわちこの発明は、含けい素鋼スラブ
を、熱間圧延したのち、1回又は中間焼鈍を挟む2回以
上の冷間圧延を施して最終板厚とし、しかるのち脱炭焼
鈍ついで仕上げ焼鈍を施す一連の工程からなる一方向性
けい素鋼板の製造方法において、(1) スラブの成分組成
を、C:0.05〜0.10wt%(以下単に%で示す), Si:2.
5〜4.5 %, Mn:0.02〜0.15%, S及びSeのうちから選
んだ一種又は二種:0.005〜0.10%, P:0.015 〜0.07
%, Al:0.005 〜0.10%及びN:0.01%以下を含有し、
残部Fe及び不可避的不純物とすると共に、(2) 最終冷間
圧延工程における冷延パスを50〜150 ℃の温度範囲で行
い、かつ該最終冷延工程におけるパス間で少なくとも1
回、 150〜500 ℃の温度範囲に30秒以上、3時間以下保
持する熱処理を施すことを特徴とする磁気特性の優れた
一方向性けい素鋼板の製造方法(第1発明)である。
【0011】またこの発明は、上記の第1発明におい
て、含けい素鋼スラブの成分組成が、さらにSb:0.005
〜0.20%及びSn:0.01〜0.50%のうちから選んだ1種又
は2種を含有してなる一方向性けい素鋼板の製造方法
(第2発明)である。
【0012】
【作用】この発明は、Pが、一次再結晶後の集合組織に
おける(110)〔001〕方位の強度を増大し、粒界
偏析インヒビターとして作用すること、また2次粒の微
細化に十分な効果を発揮すること、さらに被膜形成を安
定化し、鉄損低減に極めて有効であることを新たに見出
し、完成されたものである。しかも、磁束密度向上のた
めにSbを添加した一方向性けい素鋼板において鉄損値の
低減に、また2次粒微細化のためにSnを添加した一方向
性けい素鋼板において、Sn添加に伴う磁束密度の低下抑
制に、Pの添加が有効であることも併せて知見された。
【0013】また、上記素材から安定して優れた鉄損値
を得るためには、最終冷延工程におけるパス間で少なく
とも1回、 150〜500 ℃の温度範囲に30秒以上、3時間
以下保持する熱処理を施し、かつ冷間圧延は50〜150 ℃
の温度範囲で行うことが有効であることが判明した。こ
こに、最終冷延工程において上記の条件下で処理を施す
ことによって、鉄損が向上する理由は、まだ明確に解明
されたわけではないけれども、以下のとおりと考えられ
る。
【0014】通常、パス間の熱処理は静的な時効処理で
あり、侵入型固溶元素たとえば固溶CやN等が冷延によ
り形成された欠陥部に散集し、コットレル雰囲気を形成
する。このコットレル雰囲気による転位の固着作用が変
形機構に変化を及ぼして、最終板厚での冷延集合組織
(texture)を変え、その結果、一次再結晶粒の集合組織
に変化を来し、ひいては製品における結晶粒の微細化及
び方向性が向上して鉄損値が改善されるものと考えられ
る。
【0015】この点、この発明に従うP含有一方向性け
い素鋼板では、中間焼鈍後の冷却時に含有するC及びN
のほとんどが、P添加に伴い炭化物又は窒化物として析
出するために、固溶C,Nは極めて少なくなる。従っ
て、かような素材における冷延パス間の熱処理という静
的時効による鉄損改善効果は、Pを含まない素材に比べ
て小さくなるため、熱効果は1回で十分発揮されるもの
と考えられる。
【0016】また、Pの添加に伴い、冷延時の変形組織
が変わり、冷延時における冷延温度が変形組織に大きな
影響を与えるようになるため、冷延温度の制御も併せて
必要になるものと考えられる。かつして、この発明に従
い冷間圧延を施すことにより、良好な鉄損を有する一方
向性けい素鋼板の安定した製造が可能となったのであ
る。
【0017】
【作用】この発明において、素材の成分組成を前記の範
囲に限定した理由は次のとおりである。 C:0.05〜0.10% Cは、鋼片を熱間圧延中に(α+γ)域を通過させ、熱
延集合組織の改善を効果的に図るために添加されるもの
であるが、この効果はC量が0.05〜0.10%の範囲でとり
わけ有効であり、これによってスラブ中心温度の上限を
1380℃まで高めることができるので、上記の範囲に限定
した。
【0018】Si:2.5 〜4.5 % Siは、鋼板の比抵抗を高めることによって鉄損を低減す
る有用元素であるが、4.5 %を上回ると冷延性が損なわ
れ、一方 2.5%を下回ると鉄損改善効果が弱まる上、α
−γ変態による結晶方位のランダム化により十分な特性
が得られなくなるので、 2.5〜4.5 %の範囲とした。
【0019】また、Mn,S,Se,Al,Nはいずれも、イ
ンヒビター形成元素として添加され、最終焼鈍において
1次再結晶粒の成長を抑制し、(110)〔001〕方
位の2次再結晶粒を先鋭に発達させるに有用な成分であ
る。 Mn:0.02〜0.15% Mn量が、0.02%に満たないと熱間脆性による割れのおそ
れが生じ、一方0.15%を超えるとMnやMnSeの解離固溶温
度が高くなりすぎるので、0.02〜0.15%の範囲に限定し
た。
【0020】S及び/又はSe:0.005 〜0.10% S及び/又はSe含有量が、 0.005%に満たなかったり、
0.10%を超えると、2次再結晶が不安定となり、目的と
する優れた磁気特性が得られなくなるので、単独使用又
は併用いずれの場合においても、含有量は0.005 〜0.10
%の範囲に限定した。
【0021】Al:0.005 〜0.10%、N:0.01%以下 Alは、インヒビターとして機能するためには少なくとも
0.005%を必要とし、一方0.10%を超えるとインヒビタ
ーとして働くAlN析出物が粗大化し、安定した2次再結
晶が望めなくなるので、 0.005〜0.10%の範囲に限定し
た。また、AlをAlNの形でインヒビターとして作用させ
るためには、これにバランスするN量が必要であるの
で、0.01%以下で含有させるものとした。なお、インヒ
ビターとしてはこの他に、As,Pb,Bi,Cu,Mo等の粒界
偏析型元素が知られているが、これらの添加によってこ
の発明の効果が損なわれることはない。
【0022】P:0.015 〜0.07% 最後にP量は、 0.015%未満では一次再結晶集合組織に
おける(110)〔001〕強度の増大に効果がなく、
一方0.07%を超えると2次再結晶しなくなるので、Pは
0.015 〜0.07%の範囲で含有させるものとした。
【0023】以上、基本成分について説明したが、この
発明ではさらに磁束密度や鉄損の改善元素としてSbやSn
を以下の範囲で含有させることができる。 Sb:0.005 〜0.20% Sbは、磁束密度の向上に有効に寄与するが、 0.005%未
満ではその効果に乏しく、一方 0.2%を超えるとかえっ
て磁束密度の低下を招くので、 0.005〜0.20%の範囲で
含有させるものとした。
【0024】Sn:0.01〜0.50% Snは、2次粒の微細化による鉄損の改善に有効に寄与す
るが、含有量が0.01%に満たないと2次粒細粒化効果が
認められず、一方0.50%を超えると磁気特性が劣化する
ので、0.01〜0.50%の範囲で含有させるものとした。
【0025】さて、上記のような好適成分組成に調整し
た溶鋼は、連続鋳造や造塊−分塊法によってスラブとす
る。このとき、スラブ厚は特に限定されないが、一般に
150〜350mm 程度が好適である。
【0026】ついで、上記スラブを加熱した後、熱間圧
延により熱延板とするが、スラブ加熱条件及び熱間圧延
条件は、特に限定する必要はなく公知の方法でよい。例
えば、スラブ加熱については1350℃以上とし、また熱間
圧延条件としては、1200℃以上で粗圧延を終了し、その
後仕上げ圧延を行うことが望ましい。その後、上記熱延
板は、1回又は中間焼鈍を挟む2回以上の冷延圧延によ
って、最終製品板厚とする。
【0027】さて、この発明では上記の冷間圧延工程
中、特に最終冷延工程途中のパス間で少なくとも1回 1
50〜500 ℃,30秒〜3時間の熱処理を施し、かつ熱処理
後の冷間圧延において圧延温度を50℃以上 150℃以下に
制限することが、良好な鉄損を安定して得る上で重要で
ある。というのは、冷間圧延パス間の熱処理温度が 150
℃に満たないと鉄損の向上効果に乏しく、一方 500℃を
超えると磁束密度の劣化を招くからである。また冷間圧
延パス間の熱処理時間は、高温ほど短くて良いが、30秒
未満では鉄損の向上効果に乏しく、一方低温ほど長時間
を必要とするが、3時間を超えると磁束密度が劣化す
る。
【0028】なお熱処理方法としては、コイル全体を保
熱炉にて保熱する方式、圧延時の巻取り位置にてバーナ
ー等で加熱する方式、連続焼鈍ラインを通板させる方式
などいずれでも構わない。熱処理時の板厚は特に限定し
ないけれども、あまりに最終板厚に近い場合には効果は
小さく、逆に中間焼鈍直後でも効果は小さいので、好適
には総圧下量の30〜70%の板厚の時に熱処理を施すこと
が望ましい。
【0029】さらに圧延温度が、50℃未満では鉄損向上
の効果に乏しく、一方 150℃を超えると仕上げ焼鈍時に
2次再結晶が生じ難くなって異常粒が発生し、磁気特性
が悪化するので、冷延温度は50〜150 ℃とする必要があ
る。なお、最終冷間圧延時の圧下率は60〜90%程度が好
適である。かくして得られた方向性けい素鋼冷延板に、
さらに脱炭焼鈍を施したのち、焼鈍分離剤を塗布してか
ら最終焼鈍を施し、その後、絶縁コーティングを塗布し
て製品とする。
【0030】
【実施例】
実施例1 表1に示す2種類の組成になる一方向性けい素鋼スラブ
(200mm 厚)を、1380℃で1時間加熱後、2.0 mm厚の熱
延板とした。ついで 980℃で30秒間の焼鈍後、1.5 mm厚
まで冷間圧延し、さらに 950℃で2分間の中間焼鈍を施
したのち、0.70mmまで冷間圧延し、さらにコイル全体で
の保熱炉による 300℃,1時間の熱処理を施し、平均板
温がそれぞれ、室温,50℃,100 ℃,150 ℃,200 ℃,
250 ℃,300 ℃に達した後に、圧延を開始し、最終板
厚:0.23mmに仕上げた。その後 820℃で2分間の脱炭焼
鈍を行ったのち、 MgOを塗布してから、1200℃,5時間
の仕上げ焼鈍を施した。かくして得られた製品の鉄損特
性について調べた結果を、冷延温度との関係で図1に示
す。
【0031】
【表1】
【0032】図1から明らかなように、成分組成がこの
発明の適正範囲を満足する発明例では、圧延温度が50〜
150 ℃の範囲において、鉄損値が格段に低減し、また同
一処理試料間の特性バラツキも小さくなった。これに対
し、成分組成が適正範囲を逸脱した比較例においては、
圧延温度 200℃で良好な鉄損値の一方向性けい素鋼板が
得られたが、それでも発明例よりも鉄損低減効果は小さ
く、また発明例より圧延温度が高いため加熱、温度制御
に手間がかかる不利も生じた。
【0033】実施例2 実施例1と同じ組成になるけい素鋼板スラブを、1400℃
で30分間加熱後、2.2mm厚の熱延板とした。ついで1000
℃,1分間の焼鈍後、1.6 mm厚まで冷延したのち、1100
℃,2分間の中間焼鈍を施した。ついで加工発熱による
板温上昇を50〜150 ℃に抑制しつつ、冷間圧延にて板
厚:0.75mmとしたのち、 100℃〜600 ℃,2分の連続焼
鈍を施し、完全に板温が室温まで下がってから、加工発
熱による板温上昇を50〜150 ℃に抑制しつつ、最終板
厚:0.23mmに仕上げた。またこの時、250 ℃,2分の焼
鈍を冷間圧延パスごとに施した冷延板も作製した。つい
で、 800℃の湿水素中で脱炭焼鈍を施したのち、 MgOを
主体とする分離剤を塗布してから、1200℃で10時間の最
終仕上げ焼鈍を施し、その後絶縁コーティングを塗布し
て、一方向性けい素鋼板を得た。かくして得られた製品
の鉄損特性について調べた結果を、表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】同表より明らかなように、鋼種Aをこの発
明の冷延条件で処理した場合には、良好な鉄損値が得ら
れた。また発明例では、1回の時効処理で、従来法に従
いパス間毎に時効処理を施した場合と、ほぼ同等の効果
が得られた。
【0036】実施例3 表3に示す種々の組成になる一方向性けい素鋼スラブ
を、1380℃で1時間加熱処理後、熱間圧延によって2.0
mm厚の熱延板とした。ついで、これらのコイルを1000℃
で30秒焼鈍後、1.5 mm厚まで冷間圧延したのち、 950℃
にて2分間の中間焼鈍を施した。ついで、加工発熱によ
る板温上昇を50〜150 ℃に抑制しつつ、冷間圧延にて板
厚:0.75mmとしたのち、 300℃, 2分の連続焼鈍を施
し、完全に板温が室温まで下がるのを待って、加工発熱
による板温上昇を50〜150 ℃に抑制しつつ、最終板厚:
0.23mmに仕上げた。ついで、 800℃の湿水素中で脱炭焼
鈍を施したのち、 MgOを主体とする分離剤を塗布してか
ら、1200℃,15時間の最終焼鈍を施し、その後絶縁コー
ティングを塗布して一方向性けい素鋼板を得た。かくし
て得られた製品の磁気特性について調べた結果を、表3
に併記する。
【0037】
【表3】
【0038】同表より明らかなように、組成範囲がこの
発明を満足するものはいずれも、優れた磁気特性が得ら
れている。
【0039】
【発明の効果】かくしてこの発明により、低鉄損の一方
向性けい素鋼板を安定して得ることができる製造方法が
確立され、その工業的意義は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】製品板の鉄損特性に及ぼす冷延温度の影響を示
したグラフである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 含けい素鋼スラブを、熱間圧延したの
    ち、1回又は中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施し
    て最終板厚とし、しかるのち脱炭焼鈍ついで仕上げ焼鈍
    を施す一連の工程からなる一方向性けい素鋼板の製造方
    法において、(1) スラブの成分組成を、C:0.05〜0.10
    wt%, Si:2.5 〜4.5 wt%, Mn:0.02〜0.15wt%, S及
    びSeのうちから選んだ一種又は二種:0.005 〜0.10wt
    %, P:0.015 〜0.07wt%, Al:0.005 〜0.10wt%及び
    N:0.01wt%以下を含有し、残部Fe及び不可避的不純物
    とすると共に、(2) 最終冷間圧延工程における冷延パス
    を50〜150 ℃の温度範囲で行い、かつ該最終冷延工程に
    おけるパス間で少なくとも1回、 150〜500 ℃の温度範
    囲に30秒以上、3時間以下保持する熱処理を施すことを
    特徴とする磁気特性の優れた一方向性けい素鋼板の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、含けい素鋼スラブの
    成分組成が、さらにSb:0.005 〜0.20wt%及びSn:0.01
    〜0.50wt%のうちから選んだ1種又は2種を含有してな
    る一方向性けい素鋼板の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011510166A (ja) * 2007-12-28 2011-03-31 ポスコ 磁気特性に優れた方向性電気鋼板及びその製造方法
CN102634729A (zh) * 2012-04-01 2012-08-15 首钢总公司 一种低铁损高磁感高牌号无取向硅钢的制备方法

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