JPH0892644A - 磁気特性に優れる一方向性珪素鋼板の製造方法 - Google Patents

磁気特性に優れる一方向性珪素鋼板の製造方法

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JPH0892644A
JPH0892644A JP23548894A JP23548894A JPH0892644A JP H0892644 A JPH0892644 A JP H0892644A JP 23548894 A JP23548894 A JP 23548894A JP 23548894 A JP23548894 A JP 23548894A JP H0892644 A JPH0892644 A JP H0892644A
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hot
annealing
rolling
silicon steel
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Akio Fujita
明男 藤田
Mineo Muraki
峰男 村木
Yoshihiro Ozaki
芳宏 尾崎
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JFE Steel Corp
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Kawasaki Steel Corp
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    • Y02P10/20Recycling

Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁気特性に好適な二次再結晶組織の発達を促
し、もって磁気特性の優れた一方向性珪素鋼板の製造技
術を提供する。。 【構成】C:0.01〜0.10wt%、 Si:2.0 〜4.5 wt
%、Mn:0.02〜0.30wt%を含み、かつSe:0.005 〜0.06
wt%およびS:0.005 〜0.06wt%のうちから選ばれる1
種または2種を含有し、必要によりさらに、Al:0.005
〜0.10wt%、 N:0.004 〜0.015wt %を含み、残部は
実質的にFeからなるけい素鋼スラブを1280℃以上の温度
で加熱して、熱間圧延し、得られた熱延鋼板に熱延板焼
鈍を施し、次いで1回または中間焼鈍をはさむ2回以上
の冷間圧延を行い、さらに脱炭焼鈍ののち、仕上げ焼鈍
を行う工程を経て一方向性けい素鋼板を製造するに当た
り、前記熱間圧延の仕上げ圧延終了温度を850 〜1150℃
の範囲とし、かつ、熱間圧延終了後2秒以内に強制冷却
を開始する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、方向性珪素鋼板の製造
方法に係り、とくに低鉄損高磁束密度の一方向性珪素鋼
板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一方向性珪素鋼板は、主として変圧器そ
の他の電気機器の鉄心材料として使用されており、磁束
密度および鉄損値等の磁気特性に優れることが要求され
る。この一方向珪素鋼板を製造するために、従来一般に
採用されている方法は、厚さ100〜300mmのスラ
ブを1250℃以上の温度で加熱して、熱間圧延し、次
いで得られた熱延板を1回または中間焼鈍をはさむ2回
以上の冷間圧延によって最終板厚とし、さらに脱炭焼鈍
後、焼鈍分離剤を塗布してから二次再結晶および純化を
目的とした仕上げ焼鈍を行うのが一般的である。すなわ
ち、まず、スラブを高温加熱してインヒビター成分を完
全に固溶させたのち、熱間圧延、さらには、1回または
2回以上の冷間圧延および1回または2回以上の焼鈍に
よって得られる一次再結晶粒組織を制御し、しかるの
ち、仕上げ焼鈍でその一次再結晶粒を{110}〈00
1〉方位の結晶粒に二次再結晶させることにより必要な
磁気特性を確保するようにしたものである。
【0003】このような二次再結晶を効果的に促進させ
るためには、まず、一次再結晶の正常粒の成長を抑制す
るためのインヒビターと呼ばれる分散相を、鋼中に均一
かつ適正なサイズで分散するようにその析出状態を制御
し、かつ一次再結晶粒組織を板厚全体にわたって適当な
大きさの結晶粒でしかも均一な分布とすることが重要で
ある。かかるインヒビターの代表的なものとして、Mn
S、MnSe、AlNおよびVNのような硫化物や窒化
物等で、鋼中への溶解度が極めて小さい物質が用いられ
ている。また、Sb、Sn、As、Pb、Ce、Cuお
よびMo等の粒界偏析型元素もインヒビターとして利用
されている。いずれにしても、良好な二次再結晶組織を
得るためには、熱間圧延に於けるインヒビターの析出か
ら、それ以降の二次再結晶焼鈍に至までのインヒビター
の制御が重要な要件であり、より優れた磁気特性を確保
するためには、かかるインヒビター制御の重要性はます
ます大きくなってきたといえる。
【0004】ところで、インヒビター制御の観点から、
熱間圧延工程における仕上げ圧延から巻き取りまでの温
度履歴に着目した従来技術として、例えば、特公昭38
−14009号公報、特開昭56−33431号公報、
特開昭59−50118号公報、特開昭64−7302
3号公報、特開平5−295442号公報記載のものが
知られている。
【0005】上記特公昭38−14009号公報には、
C≦0.05wt%(以下、単に%と略す)、Mn≦0.
15%、Si:2.75〜3.5%を含む珪素鋼を79
0℃と950℃の間の温度で固溶化処理し炭素を固溶化
し、かつ粒子界炭化物の生成を防ぐために、かかる温度
から540℃以下の温度に烈しく急冷してから、粒子内
にレンズ状析出物が現出するに充分な時間:310〜4
80℃を保持し、このように処理した鋼をさらに急冷し
たのち、粒子一配向組織を現出するために、交互に冷間
圧延及び焼鈍を行うことにより鉄損を改善する方法が開
示されている。上記特開昭56−33431号公報に
は、鋼帯の巻き取り温度を700〜1000℃の範囲内
に制御する方法、および700〜1000℃で巻き取
り、その鋼帯を水槽等に浸漬して急冷することにより、
インヒビターとしてのAlNの析出分散状態を改善し、
二次再結晶を安定化させる方法が開示されている。上記
特開昭59−50118号公報には、インヒビターとし
てMnSeまたはMSを活用する一方向性電磁鋼の製造
プロセスにおいて、熱延鋼帯を仕上最終スタンドを離れ
てから下記の(1)、(2)式より算出される温度の範
囲まで7〜40℃/秒の冷却速度で冷却した後巻取り放
冷する方法および熱延鋼帯を仕上最終スタンドを離れて
から下記の(3)式より算出される温度以下に7〜30
℃/秒の冷却速度で冷却したのち巻取り、さらに該巻取
り鋼帯を水冷することにより、製品の帯状細粒発生を防
止し、磁気特性を改善する方法が開示されている。 (35×logV+515)℃ ・・・・・(1) (445×logV―570)℃ ・・・・・(2) (20×logV+555)℃ ・・・・・(3) ただしV:仕上げ最終スタンドを離れてから巻取るまで
の熱延鋼帯の冷却速度(℃/秒)である。上記特開昭6
4−73023号公報には、インヒビターとしてMnS
を活用する一方向性電磁鋼の製造プロセスにおいて、仕
上げ圧延完了後、巻き取りまでの平均冷却速度が10℃
/秒以上40℃/秒未満の場合は巻き取り温度を600
℃以上750℃以下とし、仕上げ圧延完了後巻き取りま
での平均冷却速度が40℃/秒以上80℃/秒未満の場
合は巻き取り温度を550℃以上750℃以下とするこ
とによって製品の鉄損を改善する方法が開示されてい
る。さらに、特開平2−295442号公報には、イン
ヒビターとしてAlN,MnSを活用する一方向性電磁
鋼の製造プロセスにおいて、仕上げ圧延完了後の850
℃以下600℃までの平均冷却速度TaとTi含有量の
関係がTa≧30℃/秒でTi≦0.003%の時 Ta≧−7/3Ti+100 0 .003≦Ti≦0.008%の時 Ta≦― 1 1/5Ti+206(ただしTa:℃/秒,
Ti:10-4%) とすることにより、Tiの含有許容量を広げる技術が開
示されている。すなわち、これら従来技術はいずれも、
熱間仕上終了後の冷却速度により組織改善、インヒビタ
ー析出制御を行う提案である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の従来技術に共通していることは良好なインヒビター析
出制御が実現されていないということである。すなわ
ち、熱間圧延後高温域に保持して良好な炭化物析出形態
を得る場合(特公昭38−14009号公報他)にはイ
ンヒビターの適切な析出制御ができていないために、磁
束密度と鉄損値の両方に優れた珪素鋼板の製造を困難に
していた。このように、上記既知技術においては、磁束
密度と鉄損の両方の磁気特性が共に優れた一方向性珪素
鋼板を製造することができないという問題を抱えてい
た。
【0007】そこで、本発明の目的は、上記磁気特性の
優れた一方向性珪素鋼板の製造技術を提供することにあ
る。本発明の他の目的は、磁気特性の向上に有効に寄与
する二次再結晶組織の発達を促し、もって低鉄損高磁束
密度の一方向性珪素鋼板の製造技術を確立することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】さて、発明者らは、上掲
の目的の実現に向けて、熱間圧延工程における各種要因
について詳細に検討した結果、意外にもこれまで全く顧
みられることのなかった要件、すなわち熱間仕上げ圧延
終了後の強制冷却開始までのタイミングが、二次再結晶
および磁気特性に大きな影響を及ぼすことを見いだし
た。すなわち、熱間仕上げ圧延終了後の強制冷却の開始
を早めることによって、製品の二次再結晶組織の発達を
促して配向性を向上させることによって、高磁束密度か
つ低鉄損を高次元で実現し得ることを見いだしたのであ
る。本発明は上記の知見に立脚するものであり、その要
旨構成は次のとおりである。
【0009】(1) C:0.01〜0.10wt%、 Si:2.0 〜
4.5 wt%、Mn:0.02〜0.30wt%を含み、かつSe:0.005
〜0.06wt%およびS:0.005 〜0.06wt%のうちから選ば
れる1種または2種を含有し、残部は実質的にFeからな
るけい素鋼スラブを1280℃以上の温度で加熱して、熱間
圧延し、得られた熱延鋼板に熱延板焼鈍を施し、次いで
1回または中間焼鈍をはさむ2回以上の冷間圧延を行
い、さらに脱炭焼鈍ののち、仕上げ焼鈍を行う工程を経
て一方向性けい素鋼板を製造するに当たり、前記熱間圧
延の仕上げ圧延終了温度を850 〜1150℃の範囲とし、か
つ、熱間圧延終了後2秒以内に強制冷却を開始すること
を特徴とするに磁気特性に優れる一方向性珪素鋼板の製
造方法。
【0010】(2) C:0.01〜0.10wt%、 Si:2.0 〜
4.5 wt%、Mn:0.02〜0.30wt%、 Al:0.005 〜0.10
wt%、N:0.004 〜0.015wt %を含み、かつSe:0.005
〜0.06wt%およびS:0.005 〜0.06wt%のうちから選ば
れる1種または2種を含有し、残部は実質的にFeからな
るけい素鋼スラブを1280℃以上の温度で加熱して、熱間
圧延し、得られた熱延鋼板に熱延板焼鈍を施し、次いで
1回または中間焼鈍をはさむ2回以上の冷間圧延を行
い、さらに脱炭焼鈍ののち、仕上げ焼鈍を行う工程を経
て一方向性けい素鋼板を製造するに当たり、前記熱間圧
延の仕上げ圧延終了温度を850 〜1150℃の範囲とし、か
つ、熱間圧延終了後2秒以内に強制冷却を開始すること
を特徴とするに磁気特性に優れる一方向性珪素鋼板の製
造方法。
【0011】
【作用】まず、本発明の基礎となった実験結果について
具体的に説明する。発明者らは、表1に示すような化学
組成の異なる鋼塊を用いて試験圧延機により熱間圧延を
行った。その際、熱間仕上げ圧延終了から強制冷却開始
までの時間を変化させ、磁束密度との関係を調べ、図1
に示すような関係を得た。これによると、熱間仕上げ圧
延終了から強制冷却開始までの時間が長くなるにつれて
磁束密度が劣化する傾向にあり、劣化し始める時間はい
ずれの鋼種においても2秒後以降であることが判明し
た。したがって、優れた磁束密度の製品を得るために
は、熱間仕上げ圧延終了から2秒以内に強制冷却を開始
すればよいことがわかった。しかし、熱間仕上げ圧延終
了温度が低すぎるものは2秒以内に強制冷却を開始して
も磁束密度は劣るということも判明した。また、これら
の磁束密度が劣る試料を調べたところ、いずれも二次再
結晶不良が原因であることが判明した。
【0012】
【表1】
【0013】このように、強制冷却開始までの時間を2
秒以内とすることにより、二次再結晶が改善される理由
は必ずしも明らかでないがおおよそ以下のような理由で
あると考えられる。すなわち、良好な二次再結晶組織を
得るためには、インヒビターの抑制力は一般に強いほど
好ましく、その析出形態を微細均一に分布させる必要が
ある。インヒビターを微細均一に分布させるためには、
これを熱間加工により誘起される転位上に析出させるこ
とが肝要である。ところが、比較的高温の領域では回復
速度が非常に速いため、転位上に析出する前に回復が進
行するため析出サイトが減少し、析出物が粗大化すると
考えられる。しかし、発明者らが新たに知見したよう
に、2秒以内に強制冷却を開始すると回復が進行する前
に転位が凍結されるため析出サイトは減少せず、析出物
は微細均一な分布をするのである。
【0014】次に、本発明において、製造条件を要旨構
成のとおりに限定した理由について説明する。
【0015】・加熱温度 スラブの加熱温度は、1280℃以上とする必要がある。加
熱温度が1280℃未満ではインヒビター成分が鋼中に完全
に固溶せず、その後の熱延でもはやインヒビター析出制
御は不可能となり、二次再結晶不良のため磁性劣化をも
たらすのである。したがって、加熱温度は、1280℃以
上、好ましくは1350〜1440℃とする必要があ
る。
【0016】・仕上げ圧延終了温度 熱間圧延によって、通常1.4〜3.5mm厚の熱延鋼
帯とする。この際に、熱間圧延における仕上げ圧延終了
温度は850〜1150℃の範囲とする必要がある。仕
上げ圧延終了温度が1150℃を超えるとインヒビター
が粗大折出して、磁性劣化をもたらし、一方この温度が
850℃未満では熱間圧延終了に引き続く再結晶が生じ
にくく、磁性劣化をもたらす。したがって、仕上げ圧延
終了温度は850〜1150℃の範囲とする。なお、好
ましくは950〜1050℃の範囲である。
【0017】・熱間圧延終了後の冷却 熱間仕上げ圧延終了後の強制冷却開始までのタイミング
は、本発明において特に重要な意味をもつ条件である。
上述したように、熱間圧延終了後、強制冷却を開始する
までの時間が2秒を超えて経過すると、二次再結晶が不
良となり、磁束密度が劣化する。したがって、熱間圧延
終了後2秒以内に強制冷却を開始する必要がある。なお
好ましい経過時間は1秒以内である。なお、熱間圧延後
の強制冷却は一般には水冷によるが、同様の冷却効果が
得られればよく、例えば、ミスト、ガス、固体接触等に
よる任意の冷却方法を用いることができるのは言うまで
もない。
【0018】本発明においては、上述した条件以外の、
スラブ加熱、熱間圧延、熱延板焼鈍、酸洗、中間焼鈍、
冷間圧延、脱炭焼鈍、焼鈍分離剤塗布および仕上げ焼鈍
などの各工程における製造条件はそれぞれ公知の方法に
したがって行えばよい。
【0019】次に、化学組成の限定理由について説明す
る。 C:0.01〜0.10wt% Cは、熱間圧延、冷間圧延中の組成の均一微細化のみな
らず、ゴス方位の発達に有用な元素であり、少なくとも
0.01wt%は含有する必要がある。しかしながら、
0.10wt%を超えて含有すると脱炭が困難となり、か
えってゴス方位に乱れが生じるので上限は0.10wt%
とする。なお、好ましいC含有量は0.04〜0.08
wt%である。
【0020】Si:2.0〜4.5wt% Siは、鋼板の比抵抗を高め、鉄損の低減に寄与する。
Si含有量が、2 .0wt%未満では鉄損低減効果が十分で
はなく、また純化と2次再結晶のため行われる高温での
仕上げ焼鈍において、α−γ変態による結晶方位のラン
ダム化が生じ十分な磁気特性が得られない。一方、4.
5wt%を超えると冷間圧延性が損なわれ、製造が困難と
なる。したがって、Si含有量は、2.0〜4.5wt%
とする。なお、好ましくは2.5〜3.5wt%の範囲と
するのがよい。
【0021】Mn:0.02〜0.30wt% Mnは、熱間脆性による熱間圧延時の割れを防止するの
に有効な元素であり、その効果は0.02wt%未満では
得られない。一方、0.30wt%を超えて添加するとM
nSe、MnSの解離固溶温度を高め、また、スラブ抽
出から粗圧延に至る時間規制の過程でインヒビターの粗
大化を生じさせる。したがって、Mn含有量は、0.0
2〜0.30wt%とする。なお、好ましくは0.04〜
0.12wt%の範囲とするのがよい。
【0022】Se:0.005〜0.06wt% Seは、MnSeを形成してインヒビターとして作用す
る有力な元素である。Se含有量が、0.005wt%未
満では抑制力の確保が十分ではなく、一方、0.06wt
%を超えるとその効果が損なわれる。したがって、単独
添加、複合添加いずれの場合とも0.005〜0.06
wt%とする。なお、好ましい範囲は0.005〜0.0
3wt%である。
【0023】S:0.005〜0.06wt% Sは、MnSを形成してインヒビターとして作用する有
力な元素である。S含有量が、0.005wt%未満では
抑制力の確保が十分ではなく、一方、0.06wt%を超
えるとその効果が損なわれるので、単独添加、複合添加
いずれの場合とも0.005〜0.06wt%とする。な
お、好ましい範囲は0.005〜0.03wt%である。
【0024】Al:0.005〜0.10wt% Alは、AlNを形成してインヒビターとして作用する
元素である。Al含有量が、0.005wt%未満では抑
制力の確保が十分ではなく、一方、0.10wt%を超え
るとその効果が損なわれるので、0.005〜0.10
wt%とする。なお、好ましい範囲は0.010〜0.0
40wt%である。
【0025】N:0.004〜0.015 wt % Nは、AlNを形成してインヒビターとして作用する元
素である。N含有量が、0.004wt%未満では抑制力
の確保が十分ではなく、一方、0.015wt%を超える
とその効果が損なわれるので、0.004〜0.015
wt%とする。なお、好ましい範囲は0.005〜0.0
12wt%である。
【0026】なお、本発明においては、インヒビター成
分として上記したS、Se、Alのほかに、Cu、S
n、Sb、Mo、TeおよびBi等も有利に作用するの
でそれぞれ前記成分に併せて含有させることもできる。
これらの成分の好適添加範囲はそれぞれ、Cu、Sn:
0.01〜0.15%、Sb、Mo、Te、Bi:0.
005〜0.1wt%である。また、これらの各インヒビ
ター成分についても、単独使用および複合使用のいずれ
もが可能である。
【0027】
【実施例】表2に示す化学組成を有し、残部は実質的に
Feよりなる厚み200mmのけい素スラブを加熱して
溶体化し、熱間粗圧延した後、7スタンドよりなる熱間
仕上げ圧延を行い、種々の時間を経過したのち水冷法に
より冷却を開始し、巻取った。この際の仕上げ圧延終了
時の鋼板温度も変更した。この熱延板に、熱延板焼鈍、
酸洗を施した後、中間板厚までの冷間圧延、中間焼鈍を
経たのち、最終板厚まで冷間圧延した。次いで、得られ
た冷延板を湿潤雰囲気で840℃、3分間の脱炭焼鈍を
施し、焼鈍分離材を塗布し、1200℃で15時間の高
温仕上げ焼鈍を施し成品とした。これらの各製造条件を
表3に示す。
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】このようにして得られた成品について、2
次再結晶率と磁気特性とを測定した。その結果を、表3
に合わせて示す。なお、ここで、二次再結晶率R
SRC は、 RSRC =(二次再結晶粒の面積の和/鋼板全体の表面
積)×100 で定義されるものである。
【0031】表3から、本発明の方法によれば、いずれ
も二次再結晶率は100%であり、優れた磁気特性(磁
束密度、鉄損)を示すことがわかる。これに対し、本発
明の範囲を外れた比較例では、二次再結晶率が低く、磁
気特性も劣っていることがわかる。
【0032】
【発明の効果】上述したように、本発明方法によれば、
従来の方法が抱えていた一方向性珪素鋼板の問題点が解
消される。また、本発明方法によれば、優れた磁気特性
を備えた一方向性珪素鋼板の製造が可能となる。さら
に、本発明方法によれば、良好な二次再結晶組織が得ら
れ、低鉄損高磁束密度の一方向性珪素鋼板の製造が可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁束密度と仕上げ圧延終了から冷却開始までの
時間との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 尾崎 芳宏 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社鉄鋼開発・生産本部鉄鋼研究所 内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.01〜0.10wt%、 Si:2.0 〜4.5
    wt%、 Mn:0.02〜0.30wt%を含み、かつSe:0.005 〜0.06wt%
    およびS:0.005 〜0.06wt%のうちから選ばれる1種ま
    たは2種を含有し、残部は実質的にFeからなるけい素鋼
    スラブを1280℃以上の温度で加熱して、熱間圧延し、得
    られた熱延鋼板に熱延板焼鈍を施し、次いで1回または
    中間焼鈍をはさむ2回以上の冷間圧延を行い、さらに脱
    炭焼鈍ののち、仕上げ焼鈍を行う工程を経て一方向性け
    い素鋼板を製造するに当たり、前記熱間圧延の仕上げ圧
    延終了温度を850 〜1150℃の範囲とし、かつ、熱間圧延
    終了後2秒以内に強制冷却を開始することを特徴とする
    に磁気特性に優れる一方向性珪素鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】C:0.01〜0.10wt%、 Si:2.0 〜4.5
    wt%、 Mn:0.02〜0.30wt%、 Al:0.005 〜0.10wt%、 N:0.004 〜0.015wt %を含み、かつSe:0.005 〜0.06
    wt%およびS:0.005 〜0.06wt%のうちから選ばれる1
    種または2種を含有し、残部は実質的にFeからなるけい
    素鋼スラブを1280℃以上の温度で加熱して、熱間圧延
    し、得られた熱延鋼板に熱延板焼鈍を施し、次いで1回
    または中間焼鈍をはさむ2回以上の冷間圧延を行い、さ
    らに脱炭焼鈍ののち、仕上げ焼鈍を行う工程を経て一方
    向性けい素鋼板を製造するに当たり、前記熱間圧延の仕
    上げ圧延終了温度を850 〜1150℃の範囲とし、かつ、熱
    間圧延終了後2秒以内に強制冷却を開始することを特徴
    とするに磁気特性に優れる一方向性珪素鋼板の製造方
    法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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