JP3443151B2 - 方向性珪素鋼板の製造方法 - Google Patents
方向性珪素鋼板の製造方法Info
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Description
方向性電磁鋼板と云う)に関するものである。 【0002】 【従来の技術】方向性電磁鋼板の製造においては熱延鋼
帯は必要に応じて焼鈍後1回または中間焼鈍を挟む2回
以上の冷間圧延を行い、所定の板厚とし、次いで一次再
結晶焼鈍を行った後焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍を施
すことで行われている。この一次再結晶焼鈍では脱炭も
行われているのが一般である。しかるに近年溶鋼の状態
で脱炭した素材を使い、一次再結晶焼鈍工程での脱炭を
省略した技術が数多く報告されている。例えば特開昭5
4−112317、特開昭55−073818、特開昭
57−114614、特開昭57−207114、特開
昭58−100627、特開昭61−91319、特開
昭62−83421、特開平1−119644、特開平
1−212721、特開平1−309923、特開平1
−309924、特開平2−30714、特開平2−1
41532、特開平3−111516、特開平3−28
7721、特開平5−9666号公報等数多く存在す
る。しかしながらこれらの技術で方向性電磁鋼板を安定
して製造するためには製造条件を厳密に制御する必要が
ある。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、方向性電磁
鋼板を安定して製造する方法を提供するものである。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、C:
0.0005〜0.004重量%(以下%と略記す
る)、Si:2.0〜4.5%、酸可溶性Al:0.0
10〜0.080%、N:0.001〜0.020%、
S:0.0020〜0.060%、Sn:0.01〜
0.3%の成分を含有し、残部Fe及び不可避的不純物
を含んだ珪素鋼スラブを1000℃から1200℃の温
度域で粗圧延を開始し、引き続き仕上圧延を行って熱延
鋼帯とした後、熱延板焼鈍を施すことなく、冷間圧延圧
下率15%以上80%以下の冷間圧延を行った後、70
0℃から1100℃の温度域で焼鈍を行った後、40%
以上95%以下の圧下率で所定の板厚とし、800℃か
ら1000℃の温度域で1秒以上200秒以内加熱後、
鋼板を走行せしめる状態で窒化処理をし、焼鈍分離剤を
塗布し、仕上焼鈍を施すことにある。この場合一次再結
晶焼鈍の少なくとも加熱後段の雰囲気のP H2 O /P H
2 を0.06以上4.0以下とした後、窒化処理を行う
ことで、所望の窒化が効率的に行われる。 【0005】即ち本発明においては窒化処理後の窒素含
有量は150ppm から1500ppmの範囲にあることが
磁気特性の優れた二次再結晶方位を発現させ、そのため
に、一次再結晶焼鈍鋼板の雰囲気をこのように制御する
ことが好ましい。またこのように窒化を行っても、仕上
焼鈍の雰囲気の窒素分圧が50%以下では形成された窒
化物がインヒビターとして有効に働かない場合があるの
で、該仕上焼鈍の昇温過程800℃以上で窒素分圧50
%以上とすることが好ましい。 【0006】以下本発明について詳細に説明する。一次
再結晶焼鈍工程では脱炭を行わないで一方向性電磁鋼板
を製造する方法として発明者らは特開昭57−1146
14号公報で開示した技術を開発したが、この方法では
磁束密度が比較的低いという欠点があった(実施例B8
=1.88)。また磁束密度が高い鋼板を製造する技術
として特開昭57−89439号公報(実施例B8 =
1.97)や、特開昭57−207114号公報(実施
例B8=1.94)も開発されたが、安定してこのよう
な高い磁束密度が得られない場合が存在した。その原因
について鋭意研究し、C:0.0005〜0.004
%、Si:2.0〜4.5%、酸可溶性Al:0.01
0〜0.080%、N:0.001〜0.020%、
S:0.0020〜0.060%、Sn:0.01〜
0.3%の成分を含有した珪素鋼スラブを1000℃か
ら1200℃の温度域で粗圧延を開始し、仕上圧延を行
って熱延鋼帯とした後熱延板焼鈍を施すことなく、冷間
圧延圧下率15%以上80%以下の冷間圧延を行った
後、700℃から1100℃の温度域で短時間焼鈍を行
った後40%以上95%以下の圧下率で所定の板厚と
し、800℃から1000℃の温度域で1秒以上200
秒以内加熱後鋼板を走行せしめる状態で窒化処理をし、
焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍を施すことにある。この
場合一次再結晶焼鈍の加熱後段の雰囲気のP H2 O /P
H2 を0.06以上4.0以下とした後、窒化処理を行
うことで、所望の窒化が効率的に行われる。 【0007】先に述べたように本発明においては窒化処
理後の窒素含有量は150ppm から1500ppm の範囲
にあることが磁気特性の優れた二次再結晶方位を発現さ
せそのため、一次再結晶焼鈍の加熱後段の雰囲気のP H
2 O /P H2 を0.06以上4.0以下とすることが好
ましい。窒素量の下限を150ppm としたのはこれ以下
の窒素量では時として二次再結晶が発現しない場合や、
発現しても磁気特性の著しく悪い結晶方位を持った二次
再結晶粒が発現するためであり、1500ppm以下とし
たのはこれ以上の窒素量としても二次再結晶は安定して
発現するが、これ以上の窒素量とするためには窒化に特
別の工夫が必要であるので1500ppmとしたものであ
る。また仕上焼鈍の雰囲気の窒素分圧が50%以下では
形成された窒化物がインヒビターとして有効に働かない
場合があるので該仕上焼鈍の昇温過程800℃以上で窒
素分圧50%以上とすることが好ましいことを発見し、
本発明を完成させた。 【0008】熱延板を直ちに冷延後700℃から110
0℃の温度域で焼鈍を行う(この熱処理を中間焼鈍と呼
ぶ)理由は先ず第1に再結晶させることで熱延組織を破
壊し、結晶粒を微細化することにある。この場合冷延率
を15%以上としたのはこれ以下の圧下率では、この短
時間焼鈍で再結晶粒が微細化しないためであり、80%
以下としたのはこれ以上の圧下率でも微細化効果は向上
するが、これ以上高い圧下率とすると、熱延板の厚みを
厚くしないと、2回目の冷間圧下率を高くとれない場合
があり、このような厚い熱延板を所定の厚みまで圧延す
ることは経済的でないので、上限を80%とした。 【0009】第2の理由はこの中間焼鈍でAlNの析出
を指向したものである。AlNは冷間圧延歪を付与する
ことで、この中間焼鈍で析出が促進される。中間焼鈍温
度を700℃以上としたのはこれ以下ではAlNの析出
効果も少なく、また再結晶も起き難く、1100℃以下
としたのは、これ以上高温では、再結晶粒が粗大化し
て、二次再結晶の発現に適した一次再結晶集合組織が形
成されなくなることと、AlNの析出効果が不十分とな
る。 【0010】本発明においてはこの中間焼鈍後再び、4
0%以上95%以下の冷延率で冷間圧延を行った後、一
次再結晶焼鈍を行う。冷延率を40%以上としたのはこ
れ以下の冷延率では、一次再結晶で(110)〔00
1〕に喰われ易い結晶方位の発達が不十分で、高い磁束
密度が得られないためであり、95%以下としたのはこ
れ以上の圧下率では、一次再結晶で核となる(110)
〔001〕方位粒の発達が不十分となり、高い磁束密度
が得られないためである。 【0011】方向性電磁鋼板の製造法で特開平2−77
525号公報で開示された先行技術がある。その先行技
術においては、脱炭焼鈍後鋼板を走行せしめる状態下で
窒化処理をし、焼鈍分離剤を塗布した後高温仕上焼鈍を
することを特徴としている。本発明における粗熱延開始
温度は1200℃以下であり、この条件もこの先行技術
と同一である。本発明とこの先行技術が構成上最も異な
る点は先ず第1に本発明は中間焼鈍を挟んだ2回冷延工
程であることであり、第2に鋼成分、第3に一次再結晶
焼鈍条件である。 【0012】先行発明においてはSnは添加されていな
いが、本発明においてはSnを0.01%から0.3%
の範囲で添加されており、Snを積極的に活用している
ところが成分で異なる第1の点である。またこの先行発
明ではSが0.012%以上含まれている場合は二次再
結晶不良になるので、Sは好ましくは0.007%以下
としている。しかるに本発明においてSは0.010%
以上でも良好な二次再結晶が発現し、0.04%程度ま
ではSは高いほど二次再結晶が安定する。本発明とこの
先行技術がSの作用効果の点で全く異なる。Sの範囲及
びその作用効果が異なる点が成分で異なる第2の点であ
る。 【0013】先行発明ではCは0.025%以下では二
次再結晶が不安定になり、かつ二次再結晶した場合でも
製品の磁束密度が1.8Tesla と低下するとしている。
本発明においては熱間圧延以前の状態ですでにCが0.
004%以下であるが、二次再結晶は安定であり、磁束
密度も1.8Tesla 以上の高い値を示す。一次再結晶前
のC量が異なる点が先行発明と成分で異なる第3の点で
ある。方向性珪素鋼板は一般に熱延工程ではα,γ2相
組織であり、2相組織であれば冷延前の結晶粒は微細化
される。Cが低くα単相であると、先行発明に述べてあ
るように二次再結晶が不安定となる。しかし本発明の如
く中間焼鈍を施せば、結晶粒が微細化できこの問題は解
決できる。更に焼鈍を施すことにより、二次再結晶核が
増加し、二次再結晶粒径が微細化する効果がある。 【0014】本発明のインヒビターとしては硫化物と窒
化物の双方及び固溶Snを活用するところが本発明と先
行発明で成分構成が異なってくる理由である。本発明で
は一次再結晶焼鈍前にCが0.004%以下、Sが0.
0020%以上でSnが0.01%から0.3%の範囲
で含有されている鋼板を800℃以上の温度で脱炭焼鈍
することなく一次再結晶焼鈍させた後窒化処理すること
にある。先行技術では一次再結晶焼鈍前にC:0.02
5%から0.075%以下含有されている鋼板を再結晶
させ、引き続き水蒸気を含んだ雰囲気中で800℃から
850℃の温度で120秒以上加熱して脱炭を行い、し
かる後に窒化処理を行っている。即ち本発明と先行発明
においては、鋼成分、一次再結晶焼鈍の目的が異なる。 【0015】本発明鋼では脱炭が不必要であるので、再
結晶焼鈍は非脱炭性雰囲気で完了させれば良い。この場
合、再結晶粒成長が完了するまでは、できるだけ還元性
の雰囲気とした後、引き続き窒化処理を連続的に行う
が、この窒化処理前の雰囲気のP H2 O /P H2 を0.
06以上4.0以下とすることで、二次再結晶が安定
し、かつ良好な磁気特性が得られる。即ちこのような雰
囲気制御を行うことで窒化処理後の窒素量を150ppm
>から1500ppm に容易に制御可能となる。この理由
は、このような雰囲気で熱処理することで、窒化し易い
表面性状となり、窒化が容易となるためである。 【0016】以上成分及び2回冷延、一次再結晶焼鈍の
各条件及び窒化処理後の窒素量を組み合わせることで、
本発明では二次再結晶を安定させ、かつ磁束密度を1.
8Tesla 以上確保できる。その冶金学的原理については
現時点では必ずしも明確ではない。現時点では実験事実
からその組み合わせ効果が生じる理由を以下の如く解釈
している。先ず成分について述べる。Snが0.01〜
0.3%含まれると(110)〔001〕方位の二次
再結晶核となる可能性のある結晶粒が増加し、二次再
結晶粒以外の結晶粒の成長を阻止する作用効果のあるこ
とが分かった。この場合,の効果はSnが0.01
%以上あれば顕著となり、Snが増すほどその効果が大
きくなることが分かった。従ってSnは多いほど良いが
上限を0.3%としたのはこれ以上の添加では一次再結
晶焼鈍後の窒化が阻害され結果としてインヒビターの強
度が弱まるためである。本発明における窒化処理後の窒
素含有量は分析値で150ppm から1500ppm あれ
ば、二次再結晶が安定し、良好な磁気特性が得られる。
従ってSnの添加量が0.3%を超えても、窒化処理後
150ppm 以上あればSnの添加量は0.3%以上あっ
ても良いのはいうまでもない。 【0017】次にSを0.002〜0.060%の範囲
に限定したのは、の効果が発現するためである。即ち
本発明素材成分においてはSが0.002%未満では二
次再結晶粒が発現し難くなったり、二次再結晶した場合
も(110)〔001〕から外れた二次再結晶粒の発現
が多くなることを見いだした。即ち本成分系においては
Sはの効果を与えると解釈される。そのメカニズムは
明瞭ではないが、Sが0.002%以上存在する場合は
固溶Sと微細なS系硫化物がの効果を発現するものと
解釈している。Sは0.06%でも効果があるが、Sが
多い場合熱延工程で割れが発生し易いので本発明では上
限を0.060%としたものである。 【0018】本発明において、Mn量は0.05〜0.
3%とすることが、二次再結晶の発現に好ましい。これ
は、Mn系硫化物の形成によるものであり、Mn量が
0.05%以下でもMn系硫化物は形成されるが、二次
再結晶の発現に対する効果が少なくなること、また逆に
0.3%を超えるとMn系硫化物のサイズが大きくなり
すぎて、磁束密度の高い二次再結晶粒が成長し難くなる
ためである。 【0019】次に先行発明と異なる一次再結晶焼鈍条件
を選択した冶金学的理由を述べる。先にも述べた如く、
先行技術では一次再結晶焼鈍工程において820℃から
860℃で120秒以上、脱炭性雰囲気下での加熱が必
要である。この場合加熱温度が900℃以上では、脱炭
に有害な層が鋼板表面に形成され、脱炭し難くなるの
で、加熱温度は900℃以下に抑えられている。この脱
炭焼鈍工程では鋼板表面部に内部酸化層が形成され、こ
の内部酸化層は仕上焼鈍工程で形態を変化させるが最終
製品まで残存し、磁気特性特に鉄損を劣化させる。しか
るに本発明鋼板では一次再結晶焼鈍では再結晶させるこ
とが主目的であるので、このような製品の鉄損に悪影響
を与える原因となる内部酸化の形成を抑える雰囲気で再
結晶温度以上で加熱すれば良いので良好な磁気特性を得
ることが容易となる。このため加熱温度の上限はなく、
加熱時間も短時間でも良い。 【0020】加熱温度は再結晶さえすれば良いので70
0℃以上であれば良いが、加熱温度を800℃以上とし
たのは、これ以下の温度で一次再結晶させた場合、加熱
時間が短いと一次再結晶粒径が小さいため、結果として
製品の磁束密度が低下する場合があるからである。 【0021】加熱温度の上限を1000℃以下としたの
はこれ以上の加熱温度でも良好な磁気特性が得られる
が、時として磁気特性が劣化する等安定して良好な特性
が得られない場合があることと、このような高温で加熱
することは不経済なためである。加熱時間は1秒以上と
したのは、これ以上の時間であれば良好な磁気と特性が
得られるためであり、上限を200秒以下としたのは、
これ以上の加熱時間でも良好な磁気特性が得られるが、
加熱時間が長すぎると引き続く窒化処理に不利な表面性
状となり、結果として製品の磁気特性が劣化する等安定
して良好な特性が得られない場合があることと、長時間
加熱することは不経済であるためである。この場合加熱
前段の雰囲気のP H2 O /P H2 は0.06以下とし、
しかる後に窒化処理開始前の雰囲気のP H2 O /P H2
を0.06以上4.0以下とすることが好ましい。 【0022】このような雰囲気で処理することで製品の
磁気特性が向上することと、引き続き窒化工程で窒化し
易くなるので、成分的に窒化され難い元素が添加されて
いる場合特に有効である。以上成分効果と一次再結晶焼
鈍の効果が相俟って、先行技術では不可能なC;0.0
05%以下の素材を出発材として二次再結晶が安定し、
かつ磁束密度が1.8Tesla 以上の方向性珪素鋼板の製
造が可能となったと考えている。以下本発明におけるそ
の他の成分、熱延条件、熱延以降の処理条件について述
べる。 【0023】Siは含有量が多いほど固有抵抗が増加し
て製品の渦流損を減少させるので、渦流損を減少させる
ためにはSiは多いほど良い。Siを2%以上と限定し
たのはこれ以下では渦流損が大きく好ましくないので下
限を2%としたものである。しかしSiは添加量が増す
ほど冷間圧延工程で割れ易くなる。この傾向はCが高い
ほど顕著となる。本発明鋼は冷間圧延工程ではCが既に
0.004%以下であるので、従来の素材と較べ割れ難
いが、Si4.5%以上では冷間圧延に特別の工夫が必
要で経済的に製造するという本発明の目的にそれるので
上限を4.5%とした。 【0024】Alは(Al,Si)Nを形成しインヒビ
ターとして働くが、酸可溶性Alとして0.01%以上
ないとその効果が発揮されないので下限を0.01%と
した。上限を0.08%としたのはこれ以上のAlが存
在するとインヒビターとして有効に働かなくなるためで
ある。Nは(Al,Si)Nを形成しインヒビターとし
て働くが、スラブの段階で0.01%以上ないとその効
果が発揮されないので下限を0.001%とした。上限
を0.02%としたのはこれ以上含まれるとブリスター
と呼ばれる表面傷が発生するためである。 【0025】粗熱延開始温度が1200℃以上となると
本発明成分では二次再結晶が不安定になり、二次再結晶
が安定して製品の磁束密度は1.80Tesla 以下になる
確率が増加し工業的な製造方法として採用できない。二
次再結晶が不安定となるのは、高温熱延では結晶粒径が
大きいため、熱延工程での再結晶が不十分なことに起因
し、二次再結晶しても磁束密度が低いのは、高温加熱に
起因して、一次再結晶結晶粒が小さくなり、その結果二
次再結晶温度が低下し方位の悪い二次再結晶粒が発現す
ることによる。粗熱延開始温度が1000℃以下でも良
好な磁気特性が得られるが、熱延に要するエネルギーが
多く必要で、かつ熱延時に鋼板表面に傷が入り易くなる
ので経済的でないため、粗熱延開始温度を1000℃以
上とした。 【0026】仕上焼鈍の雰囲気は従来の方向性電磁鋼板
の仕上焼鈍同様で良い。しかし仕上焼鈍昇温過程の窒素
を50%以上の雰囲気で焼鈍すると、安定して良好な磁
気特性が得られるので仕上焼鈍の昇温過程における80
0℃以上の領域で窒素50%以上の雰囲気で加熱するこ
とが好ましい。この場合800℃以上と限定したのは、
これ以下の温度では影響が少ないためである。窒素量は
100%でも良いが、全く水素を含まない場合雰囲気中
に酸素等が混入すると、鋼板が酸化される場合もあり、
好ましくないので数%の水素を混入させておくことが好
ましい。 【0027】ところで本発明鋼の窒素含有量は、先に説
明した如く熱延鋼帯の状態では0.01%以上、0.0
20%以下の範囲であれば良いが、仕上焼鈍前の状態で
は0.006%以上が望ましい。これは仕上焼鈍前の状
態で窒素が0.006%以下では二次再結晶が発現し難
くなる傾向が生じたり、二次再結晶が発現しても磁束密
度が著しく悪くなるためである。窒素含有量が低い場合
二次再結晶が発現し難くなるのは窒化物としてのインヒ
ビターが不足するため、いろいろの方位を持った結晶粒
が成長するためであり、二次再結晶が発現しても磁束密
度が低いのは、窒化物としてのインヒビターが不足する
ため、二次再結晶が低温で発現し、その場合の二次再結
晶方位は(110)〔001〕方位以外の二次再結晶粒
である確率が高くなるためである。 【0028】以下本発明の実施態様を述べる。C:0.
0005〜0.004%、Si:2.0〜4.5%、酸
可溶性Al:0.010〜0.080%、N:0.00
1〜0.020%、Sn:0.010〜0.3%、S:
0.002〜0.060%、残部Fe及び不可避的不純
物からなる溶鋼を通常の工程もしくは、連続鋳造してス
ラブとした後、1200℃から1000℃の温度域から
熱間圧延して熱延鋼板あるいは、熱延鋼帯とする。この
熱延鋼板あるいは、熱延鋼帯は、熱延板焼鈍を行うこと
なく、冷延率15%から80%の範囲で冷間圧延された
後、700℃〜1100℃の温度域での焼鈍が行われ
る。焼鈍された鋼板は、再び40%から95%の範囲で
冷間圧延される。冷間圧延後は800℃〜1000℃の
温度域で一次再結晶焼鈍される。 【0029】この焼鈍の後段でインヒビター強化のため
アンモニア含有雰囲気による窒化処理を行う。次いで再
結晶板は、焼鈍分離剤が塗布されて仕上焼鈍炉に入る。
仕上焼鈍の昇温速度は、通常の一方向性電磁鋼板のそれ
と同様である。仕上焼鈍の昇温時の雰囲気も通常の一方
向性電磁鋼板のそれと同様、中性あるいは還元性である
が、800℃を超える温度域では窒素分圧を50%以上
とすることが好ましい。なお、窒素分圧調整のためアル
ゴン、ヘリウム等の不活性ガスを混合することは何等差
し障りない。二次再結晶完了後、純化のため100%水
素で高温(約1200℃)保持される。仕上焼鈍終了
後、必要に応じてレーザービーム照射等の磁区細分化処
理を行う。 【0030】 【実施例】C:0.0030%、Si:3.25%、M
n:0.098%、P:0.026%、Al:0.02
7%、S:0.0072%、Cr:0.11%、Cu:
0.011%、Sn:0.08%、N:0.007%を
主成分としたスラブを1100℃の温度で2時間加熱
後、粗圧延、仕上圧延を経て厚さ3.3mmの熱延板とし
た(A)。比較のため厚み2.3mmの熱延板も試作した
(B)。材料Aは酸洗後直ちに2.3mmまで冷延(冷延
率30%)した後900℃で2分間加熱し水冷した。酸
洗後冷間圧延を行い厚さ0.30mmとした。次に表1に
示した温度、時間で一次再結晶後、冷却過程でN2 −H
2 −NH3 の雰囲気で連続的に窒化処理した。次にMg
Oを塗布し95%N2 −H2 の雰囲気で昇温速度15℃
/hrで1200℃まで加熱後、100%H2 雰囲気で2
0時間加熱後冷却した。次いで歪取り焼鈍を行い磁気特
性を測定した。結果を表1に示す。 【0031】材料Bは熱延後900℃で2分間加熱し水
冷した。酸洗後冷間圧延を行い、厚さ0.30mmとし
た。次に表1に示した温度、時間で一次再結晶後、冷却
過程でN2 −H2 −NH3 の雰囲気で連続的に窒化処理
した。次にMgOを塗布し95%N2 −H2 の雰囲気で
昇温速度15℃/hrで1200℃まで加熱後、100%
H2 雰囲気で20時間加熱後冷却した。次いで歪取り焼
鈍を行い磁気特性を測定した。結果を表1に示す。 【0032】表に示したように発明品は比較材と比べ鉄
損、磁束密度共に良好であった。鉄損が良好であったの
は比較材と比べて二次再結晶粒径が小さいためと考えら
れる。 【0033】 【表1】【0034】 【発明の効果】本発明により、スラブの状態で0.00
4%以下のCを含有した珪素鋼を素材として磁気特性の
優れた珪素鋼板が安価に容易に得られる技術が提供され
た。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 重量%で、 C :0.0005〜0.004%、 Si:2.0〜4.5%、 酸可溶性Al:0.010〜0.080%、 N :0.001〜0.020%、 S :0.0020〜0.060%、 Sn:0.01〜0.3%、 残部Fe及び不可避的不純物を含んだ珪素鋼スラブを1
000℃から1200℃の温度域で粗圧延を開始し、引
き続き仕上圧延を行って熱延鋼帯とした後、熱延板焼鈍
を施すことなく、冷間圧延圧下率15%以上80%以下
の冷間圧延を行った後、700℃から1100℃の温度
域で焼鈍を行った後、40%以上95%以下の圧下率で
所定の板厚とし、800℃から1000℃の温度域で1
秒以上200秒以内加熱後、一次再結晶焼鈍の少なくと
も加熱後段の雰囲気のP H 2 O /P H 2 を0.06以上
0.4以下とした後、鋼板を走行せしめる状態で窒化処
理をし、焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍を施すことを特
徴とする方向性珪素鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP00009794A JP3443151B2 (ja) | 1994-01-05 | 1994-01-05 | 方向性珪素鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP00009794A JP3443151B2 (ja) | 1994-01-05 | 1994-01-05 | 方向性珪素鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07197128A JPH07197128A (ja) | 1995-08-01 |
JP3443151B2 true JP3443151B2 (ja) | 2003-09-02 |
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ID=11464606
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP00009794A Expired - Fee Related JP3443151B2 (ja) | 1994-01-05 | 1994-01-05 | 方向性珪素鋼板の製造方法 |
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JP (1) | JP3443151B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
IT1290172B1 (it) * | 1996-12-24 | 1998-10-19 | Acciai Speciali Terni Spa | Procedimento per la produzione di lamierino magnetico a grano orientato, con elevate caratteristiche magnetiche. |
CN104561795A (zh) * | 2014-12-12 | 2015-04-29 | 武汉钢铁(集团)公司 | 一种b800≥1.94t的高磁感取向硅钢及生产方法 |
-
1994
- 1994-01-05 JP JP00009794A patent/JP3443151B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH07197128A (ja) | 1995-08-01 |
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