JP3271655B2 - けい素鋼板の製造方法およびけい素鋼板 - Google Patents
けい素鋼板の製造方法およびけい素鋼板Info
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、保磁力の低いけい
素鋼板の製造方法、及び保磁力の低いけい素鋼板に関す
るものである。
素鋼板の製造方法、及び保磁力の低いけい素鋼板に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】変電器の鉄芯などに用いられる方向性け
い素鋼板は、特公昭46-23820号公報等に示されるよう
に、従来、2次再結晶のために、AlNやMnSなどの
析出物をインヒビタとして利用して製造されている。
い素鋼板は、特公昭46-23820号公報等に示されるよう
に、従来、2次再結晶のために、AlNやMnSなどの
析出物をインヒビタとして利用して製造されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこのよう
な方向性けい素鋼板は、AlNやMnSなどの多量のイ
ンヒビタの固溶のための高温のスラブ加熱工程、最終焼
鈍までの脱炭焼鈍工程および2次再結晶を完全に完了さ
せ、磁気特性に影響をあたえる不純物を純化するための
高温長時間焼鈍工程を必須としており、経済的な観点か
ら問題を有していた。
な方向性けい素鋼板は、AlNやMnSなどの多量のイ
ンヒビタの固溶のための高温のスラブ加熱工程、最終焼
鈍までの脱炭焼鈍工程および2次再結晶を完全に完了さ
せ、磁気特性に影響をあたえる不純物を純化するための
高温長時間焼鈍工程を必須としており、経済的な観点か
ら問題を有していた。
【0004】本発明はこのような問題点を解決するため
になされたもので、脱炭焼鈍および高温長時間の焼鈍を
施さずに、保磁力の低いけい素鋼板を提供することを目
的とする。
になされたもので、脱炭焼鈍および高温長時間の焼鈍を
施さずに、保磁力の低いけい素鋼板を提供することを目
的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の第1の手段は、(a) 重量%で、C:0.01%以下、S
i:2.5 %以上7%以下、Mn:0.005 %以上0.12%以
下、P:0.02%以下、S:0.002 %以上0.005 %以下、
sol.Al:0.003 %以上0.008 %以下、N:0.003 %以
上0.01%以下を含み、不純物としてのTi+Nbが0.00
3 %以下であり、かつ酸不可溶Al量(insol.Al量)が下
式を満たす熱延鋼板を準備する工程、 insol.Al量× t ≦8.0 ここで、 insol.Al 量(単位:ppm )、t:最終冷間圧
延板の板厚(mm) (b) 前記熱延鋼板を脱スケール後、焼鈍温度700 ℃〜95
0 ℃、保持時間30sec 以上の中間焼鈍を含む3回の冷間
圧延により冷間圧延鋼板とする工程、(c) 前記冷間圧延
鋼板を、窒素50vol.%以上含む還元性雰囲気において、
1℃/sec以上の昇温速度で700 ℃以上1000℃以下の所定
温度まで加熱し、該温度に30秒以上保持する1段目の焼
鈍工程、(d) 引き続き前記冷間圧延鋼板を、窒素50vol.
%以上含む還元性雰囲気において、700 ℃以上1000℃以
下の所定温度に3時間以上保持する2段目の焼鈍工程、
(e) さらに、窒素を含まない還元性雰囲気もしくは酸素
分圧が0.5Pa 以下で実質的に窒素を含まない非酸化性雰
囲気または酸素分圧が0.5Pa 以下の真空中において、90
0 ℃以上1300℃以下の範囲の所定温度で30秒以上の保持
を行う3段目の焼鈍工程を含むけい素鋼板の製造方法で
ある。
の第1の手段は、(a) 重量%で、C:0.01%以下、S
i:2.5 %以上7%以下、Mn:0.005 %以上0.12%以
下、P:0.02%以下、S:0.002 %以上0.005 %以下、
sol.Al:0.003 %以上0.008 %以下、N:0.003 %以
上0.01%以下を含み、不純物としてのTi+Nbが0.00
3 %以下であり、かつ酸不可溶Al量(insol.Al量)が下
式を満たす熱延鋼板を準備する工程、 insol.Al量× t ≦8.0 ここで、 insol.Al 量(単位:ppm )、t:最終冷間圧
延板の板厚(mm) (b) 前記熱延鋼板を脱スケール後、焼鈍温度700 ℃〜95
0 ℃、保持時間30sec 以上の中間焼鈍を含む3回の冷間
圧延により冷間圧延鋼板とする工程、(c) 前記冷間圧延
鋼板を、窒素50vol.%以上含む還元性雰囲気において、
1℃/sec以上の昇温速度で700 ℃以上1000℃以下の所定
温度まで加熱し、該温度に30秒以上保持する1段目の焼
鈍工程、(d) 引き続き前記冷間圧延鋼板を、窒素50vol.
%以上含む還元性雰囲気において、700 ℃以上1000℃以
下の所定温度に3時間以上保持する2段目の焼鈍工程、
(e) さらに、窒素を含まない還元性雰囲気もしくは酸素
分圧が0.5Pa 以下で実質的に窒素を含まない非酸化性雰
囲気または酸素分圧が0.5Pa 以下の真空中において、90
0 ℃以上1300℃以下の範囲の所定温度で30秒以上の保持
を行う3段目の焼鈍工程を含むけい素鋼板の製造方法で
ある。
【0006】前記課題を解決するための第2の手段は、
前記第1の手段中における中間焼鈍の内、少なくとも1
回の中間焼鈍の雰囲気を窒素50vol.%以上含む非酸化性
雰囲気とすることを特徴とするけい素鋼板の製造方法で
ある。
前記第1の手段中における中間焼鈍の内、少なくとも1
回の中間焼鈍の雰囲気を窒素50vol.%以上含む非酸化性
雰囲気とすることを特徴とするけい素鋼板の製造方法で
ある。
【0007】前記課題を解決するための第3の手段は、
前記第1の手段中における(b) に記載の工程を、(b'-1)
前記熱延鋼板を脱スケール後、圧下率70〜90%の一次冷
間圧延を施して冷間圧延鋼板とする工程、(b'-2)前記冷
間圧延鋼板を、窒素50vol.%以上を含む非酸化性雰囲気
下、焼鈍温度700 ℃〜950 ℃、保持時間0.5 〜5分、昇
温速度1℃/sec 以上の条件で一次焼鈍を実施する工
程、(b'-3)前記焼鈍板に圧下率50〜90%の2次冷間圧延
を実施し、冷間圧延鋼板とする工程、に代えたけい素鋼
板の製造方法である。
前記第1の手段中における(b) に記載の工程を、(b'-1)
前記熱延鋼板を脱スケール後、圧下率70〜90%の一次冷
間圧延を施して冷間圧延鋼板とする工程、(b'-2)前記冷
間圧延鋼板を、窒素50vol.%以上を含む非酸化性雰囲気
下、焼鈍温度700 ℃〜950 ℃、保持時間0.5 〜5分、昇
温速度1℃/sec 以上の条件で一次焼鈍を実施する工
程、(b'-3)前記焼鈍板に圧下率50〜90%の2次冷間圧延
を実施し、冷間圧延鋼板とする工程、に代えたけい素鋼
板の製造方法である。
【0008】前記課題を解決するための第4の手段は、
前記第1の手段中における(b) に記載の工程を、(b''-
1) 前記熱延鋼板を少なくとも50Vol.%以上の窒素を含
む還元性雰囲気で焼鈍温度700 ℃〜950 ℃、保持時間2
分以上の熱延板焼鈍を施す工程、(b''-2) 前記熱延焼鈍
板を、冷間圧延率80% 以上の冷間圧延により冷間圧延鋼
板とする工程、に代えたけい素鋼板の製造方法である。
前記第1の手段中における(b) に記載の工程を、(b''-
1) 前記熱延鋼板を少なくとも50Vol.%以上の窒素を含
む還元性雰囲気で焼鈍温度700 ℃〜950 ℃、保持時間2
分以上の熱延板焼鈍を施す工程、(b''-2) 前記熱延焼鈍
板を、冷間圧延率80% 以上の冷間圧延により冷間圧延鋼
板とする工程、に代えたけい素鋼板の製造方法である。
【0009】前記課題を解決するための第5の手段は、
前記第1ないし第5の手段のうち、いずれかの手段によ
って製造されるけい素鋼板である。
前記第1ないし第5の手段のうち、いずれかの手段によ
って製造されるけい素鋼板である。
【0010】〔発明に至った経緯〕磁性材料であるけい
素鋼板に要求される磁気特性のなかでも特に重要視され
る鉄損値は、板厚が薄くなるほど向上すると考えられて
いるものの、従来のけい素鋼板では、インヒビタの問題
で0.2mm 以下の極薄材の製造が困難であるとされてき
た。このような問題に対して、発明者らはインヒビタと
表面エネルギーを併用した極薄方向性けい素鋼板の製造
方法を発明し、特願平8ー89846号等として出願し
ている。
素鋼板に要求される磁気特性のなかでも特に重要視され
る鉄損値は、板厚が薄くなるほど向上すると考えられて
いるものの、従来のけい素鋼板では、インヒビタの問題
で0.2mm 以下の極薄材の製造が困難であるとされてき
た。このような問題に対して、発明者らはインヒビタと
表面エネルギーを併用した極薄方向性けい素鋼板の製造
方法を発明し、特願平8ー89846号等として出願し
ている。
【0011】しかしながら、更に研究を進めた結果、特
願平8ー89846号として出願した発明は、その明細
書に記載したごとく従来技術に比して優れた効果を有す
るものの、溶解ロットごとの磁気特性とくに保磁力のば
らつきおよびその絶対値が大きく、この結果、鉄損値が
高くなってしまうという問題があることが判明した。ま
た、板厚が0.2mm を超えると保磁力が増加するため、板
厚の厚い低鉄損材料を製造できないといった問題がある
ことが判明した。
願平8ー89846号として出願した発明は、その明細
書に記載したごとく従来技術に比して優れた効果を有す
るものの、溶解ロットごとの磁気特性とくに保磁力のば
らつきおよびその絶対値が大きく、この結果、鉄損値が
高くなってしまうという問題があることが判明した。ま
た、板厚が0.2mm を超えると保磁力が増加するため、板
厚の厚い低鉄損材料を製造できないといった問題がある
ことが判明した。
【0012】そこで、これらの問題点を解決すべく更に
研究を進め、板厚が0.1 mmの材料について様々な検討を
おこなった結果、下記の様な知見を得た。 1)保磁力の高い材料は酸不可溶アルミ量が多いこと 2)保磁力の高い材料では、焼鈍後100-300 ミクロン程
度の貫通粒が残留していること 3)残留した結晶粒の結晶粒界には1ミクロン程度のア
ルミナが多く観察されること 4)バッチ焼鈍まま材では、最終磁気特性の差違に対応
したミクロ組織および磁気特性の違いが認められないこ
と このような知見に基づき、溶解時のアルミ量および添加
のタイミングをパラメータとして 酸不可溶アルミ量を
変化させ、酸不可溶アルミ量と磁気特性の関係を検討し
た結果、0.1mm 材では、酸不可溶アルミ量が80ppm 以下
の場合に100 %2次再結晶粒で被覆することができ、そ
の結果、焼鈍後の保磁力が改善されることを見出した。
研究を進め、板厚が0.1 mmの材料について様々な検討を
おこなった結果、下記の様な知見を得た。 1)保磁力の高い材料は酸不可溶アルミ量が多いこと 2)保磁力の高い材料では、焼鈍後100-300 ミクロン程
度の貫通粒が残留していること 3)残留した結晶粒の結晶粒界には1ミクロン程度のア
ルミナが多く観察されること 4)バッチ焼鈍まま材では、最終磁気特性の差違に対応
したミクロ組織および磁気特性の違いが認められないこ
と このような知見に基づき、溶解時のアルミ量および添加
のタイミングをパラメータとして 酸不可溶アルミ量を
変化させ、酸不可溶アルミ量と磁気特性の関係を検討し
た結果、0.1mm 材では、酸不可溶アルミ量が80ppm 以下
の場合に100 %2次再結晶粒で被覆することができ、そ
の結果、焼鈍後の保磁力が改善されることを見出した。
【0013】さらにこのような材料について、種々の板
厚で2次再結晶性を検討した結果、板厚と酸不可溶アル
ミ量と磁気特性の間に関係があることがわかり、最終冷
間圧延板の板厚t(mm)と熱間圧延板の鋼中の酸不可溶ア
ルミ量insol Al(ppm) が insol Al× t ≦8.0 を満足する場合、保磁力が10.0A/m 以下の優れた値とな
ることが判明した。これは、板厚が大きい場合、表面エ
ネルギは板厚の増大にともなって、その影響は小さくな
るものの、アルミナのような微細な介在物によるピン留
めを減らすとと、充分異常粒成長の駆動力として働くも
のと考えられる。
厚で2次再結晶性を検討した結果、板厚と酸不可溶アル
ミ量と磁気特性の間に関係があることがわかり、最終冷
間圧延板の板厚t(mm)と熱間圧延板の鋼中の酸不可溶ア
ルミ量insol Al(ppm) が insol Al× t ≦8.0 を満足する場合、保磁力が10.0A/m 以下の優れた値とな
ることが判明した。これは、板厚が大きい場合、表面エ
ネルギは板厚の増大にともなって、その影響は小さくな
るものの、アルミナのような微細な介在物によるピン留
めを減らすとと、充分異常粒成長の駆動力として働くも
のと考えられる。
【0014】〔化学成分の限定理由〕以下に、本発明に
おいて、熱延鋼板の化学成分を限定した理由について説
明する。
おいて、熱延鋼板の化学成分を限定した理由について説
明する。
【0015】C:インヒビタ法では、Cによる組織およ
び集合組織制御を行なうが、前述した本発明ではそうし
たことを行わないため、積極的なCの添加を行う必要は
ない。むしろ、Cは0.01wt%をこえると磁気特性や加工
性を著しく低下させる。このため、Cは0.01wt%以下、
好ましくは0.005wt %以下とする。
び集合組織制御を行なうが、前述した本発明ではそうし
たことを行わないため、積極的なCの添加を行う必要は
ない。むしろ、Cは0.01wt%をこえると磁気特性や加工
性を著しく低下させる。このため、Cは0.01wt%以下、
好ましくは0.005wt %以下とする。
【0016】Si:Siは、磁気特性や相変態を通じた
組織および集合組織制御を行うために極めて重要であ
る。Siが2.5 wt%を下回ると、最終焼鈍の3段目の焼
鈍において、高温における相変態にともなう組織および
集合組織の変化が著しく、所定の特性を有する鋼板を製
造することが困難となる。また、Siが7wt%よりも高
い場合には加工性が著しく低下する。従って、Siは2.
5 wt%以上7wt%以下とする。ただし加工性の点からS
iのより好ましい範囲を述べると4wt%以下である。
組織および集合組織制御を行うために極めて重要であ
る。Siが2.5 wt%を下回ると、最終焼鈍の3段目の焼
鈍において、高温における相変態にともなう組織および
集合組織の変化が著しく、所定の特性を有する鋼板を製
造することが困難となる。また、Siが7wt%よりも高
い場合には加工性が著しく低下する。従って、Siは2.
5 wt%以上7wt%以下とする。ただし加工性の点からS
iのより好ましい範囲を述べると4wt%以下である。
【0017】Mn:Mnは、MnSの形成のために極め
て重要である。このMnSはAlNインヒビタの析出の
核となり、またAlNの固溶を遅らせる働きを有する。
ただし、0.12wt%を越えて過剰に含まれる場合は、その
完全固溶のために1250℃以上の著しい高温でのスラブ加
熱が必要となる。一方、0.005 wt%未満では、このよう
な働きは認められず、2次再結晶が不完全となる。この
ため、Mnは0.005 wt%以上0.12wt%以下である必要が
ある。
て重要である。このMnSはAlNインヒビタの析出の
核となり、またAlNの固溶を遅らせる働きを有する。
ただし、0.12wt%を越えて過剰に含まれる場合は、その
完全固溶のために1250℃以上の著しい高温でのスラブ加
熱が必要となる。一方、0.005 wt%未満では、このよう
な働きは認められず、2次再結晶が不完全となる。この
ため、Mnは0.005 wt%以上0.12wt%以下である必要が
ある。
【0018】P:Pは粒成長速度および、加工性を低下
させるために有害である。このため、0.02wt%以下とす
る。
させるために有害である。このため、0.02wt%以下とす
る。
【0019】S:Sは、MnSの形成のためにMnと同
様に極めて重要である。このためには、Sは0.002wt %
以上含有されなければならない。一方、0.005 wt%を越
えて含有された場合には、著しく粒成長速度を低下させ
るため、3段目の焼鈍において所定の時間内で2次再結
晶を完了させることが困難となる。従って、Sは0.002w
t %以上0.005wt %以下とする。
様に極めて重要である。このためには、Sは0.002wt %
以上含有されなければならない。一方、0.005 wt%を越
えて含有された場合には、著しく粒成長速度を低下させ
るため、3段目の焼鈍において所定の時間内で2次再結
晶を完了させることが困難となる。従って、Sは0.002w
t %以上0.005wt %以下とする。
【0020】sol.Al:sol.Alは、インヒビタとなる
AlN形成のために極めて重要である。sol.Alが、0.
003 wt%未満の場合は、インヒビタとしてのAlNが不
足しマトリックス粒の粗大化が生じてしまうために、2
次再結晶が困難となる。一方0.008 wt%をこえると、焼
鈍中の吸窒のためにインヒビタとしてのAlNが多くな
りすぎるうえに、不適当な分布となり、その結果とし
て、2次再結晶が生じないか、または部分的に2次再結
晶粒が形成されるものの極めて低い被覆率となる。さら
に、このようなAlは、高温での粒成長性を著しく低下
させるため、3段目の焼鈍において所定の時間内で2次
再結晶を完了させることが困難となる。従って、鋼中の
sol.Alは0.003 wt%以上0.008 wt%以下とする。
AlN形成のために極めて重要である。sol.Alが、0.
003 wt%未満の場合は、インヒビタとしてのAlNが不
足しマトリックス粒の粗大化が生じてしまうために、2
次再結晶が困難となる。一方0.008 wt%をこえると、焼
鈍中の吸窒のためにインヒビタとしてのAlNが多くな
りすぎるうえに、不適当な分布となり、その結果とし
て、2次再結晶が生じないか、または部分的に2次再結
晶粒が形成されるものの極めて低い被覆率となる。さら
に、このようなAlは、高温での粒成長性を著しく低下
させるため、3段目の焼鈍において所定の時間内で2次
再結晶を完了させることが困難となる。従って、鋼中の
sol.Alは0.003 wt%以上0.008 wt%以下とする。
【0021】N:NもインヒビタとなるAlN形成のた
めに極めて重要である。Nが0.003wt%未満では、吸窒
が始まるまでのインヒビタとしてのAlN量が少なすぎ
るためにマトリックス粒が粗大化し、その結果2次再結
晶が困難となる。一方、0.01wt%をこえるとスラブ加熱
中に析出したAlNが、熱間圧延の再加熱時にも一部未
固溶のまま残留する。これらは熱延中に粗大化し、その
結果、AlNの分布形態が変化し、2次再結晶が生じに
くくなる。このため、Nは0.003 wt%以上0.01wt%以下
必要である。
めに極めて重要である。Nが0.003wt%未満では、吸窒
が始まるまでのインヒビタとしてのAlN量が少なすぎ
るためにマトリックス粒が粗大化し、その結果2次再結
晶が困難となる。一方、0.01wt%をこえるとスラブ加熱
中に析出したAlNが、熱間圧延の再加熱時にも一部未
固溶のまま残留する。これらは熱延中に粗大化し、その
結果、AlNの分布形態が変化し、2次再結晶が生じに
くくなる。このため、Nは0.003 wt%以上0.01wt%以下
必要である。
【0022】Ti、Nb:鋼中に不純物として含まれる
Ti、Nbは、極めて安定な窒化物を形成するため、A
lNによる2次再結晶挙動を阻害する。このような影響
を避けるために、Ti+Nb量を0.003 wt%以下とす
る。
Ti、Nbは、極めて安定な窒化物を形成するため、A
lNによる2次再結晶挙動を阻害する。このような影響
を避けるために、Ti+Nb量を0.003 wt%以下とす
る。
【0023】酸不可溶アルミ:鋼中に介在物として存在
するアルミナは、本発明のような高シリコン低アルミ系
では、脱酸用に添加された結果、その一部が残留するも
のではなく、添加元素として添加した金属アルミの一部
が酸化物になったものである。このようなアルミナは、
1 ー2 ミクロン程度の微細な酸化物を形成するため、表
面エネルギのような極めて小さい駆動力で異常粒成長を
引き起こす場合には、著しい影響を与える。また、この
ような表面エネルギによる異常粒成長の駆動力は、板厚
に反比例して低下するため、板厚が大きい場合には、よ
りピン留め力が小さくないと表面エネルギによる異常粒
成長が進展しない。ここで、最終冷間圧延板の板厚t(m
m)と熱間圧延板の鋼中の酸不可溶アルミ量insol Al(pp
m) とすると、 insol Al× t ≦8.0 を満足する場合、細粒のない保磁力が10.0A/m 以下の優
れた特性を有するけい素鋼を得ることができた。従っ
て、酸不可溶アルミは上記の範囲である必要がある。な
お、本方法では、0.4mm をこえる最終冷間圧延板厚では
良好な集合組織を得ることができにくくなり、その結果
バッチ焼鈍時に充分な2次再結晶性を得ることができに
くくなる。よって、最終冷間圧延板厚は0.4mm 以下とす
ることが好ましい。
するアルミナは、本発明のような高シリコン低アルミ系
では、脱酸用に添加された結果、その一部が残留するも
のではなく、添加元素として添加した金属アルミの一部
が酸化物になったものである。このようなアルミナは、
1 ー2 ミクロン程度の微細な酸化物を形成するため、表
面エネルギのような極めて小さい駆動力で異常粒成長を
引き起こす場合には、著しい影響を与える。また、この
ような表面エネルギによる異常粒成長の駆動力は、板厚
に反比例して低下するため、板厚が大きい場合には、よ
りピン留め力が小さくないと表面エネルギによる異常粒
成長が進展しない。ここで、最終冷間圧延板の板厚t(m
m)と熱間圧延板の鋼中の酸不可溶アルミ量insol Al(pp
m) とすると、 insol Al× t ≦8.0 を満足する場合、細粒のない保磁力が10.0A/m 以下の優
れた特性を有するけい素鋼を得ることができた。従っ
て、酸不可溶アルミは上記の範囲である必要がある。な
お、本方法では、0.4mm をこえる最終冷間圧延板厚では
良好な集合組織を得ることができにくくなり、その結果
バッチ焼鈍時に充分な2次再結晶性を得ることができに
くくなる。よって、最終冷間圧延板厚は0.4mm 以下とす
ることが好ましい。
【0024】〔製造方法の限定理由〕続いて製造方法に
ついて述べる。
ついて述べる。
【0025】1)冷間圧延 (イ)第1の方法(請求項1および請求項2)において
は、1回または2回の中間焼鈍をはさむ3回の冷間圧延
とする。冷間圧延は常法に従って行われるが、3回未満
では、次に述べる第2の方法によらない限り、最終焼鈍
の際の結晶粒の選択的粒成長による2次再結晶粒の成長
に好ましい集合組織が適切に形成されず、最終焼鈍後に
十分成長した2次再結晶粒が得られない。またおのおの
の冷間圧延での圧延率は20%以上が好ましい。
は、1回または2回の中間焼鈍をはさむ3回の冷間圧延
とする。冷間圧延は常法に従って行われるが、3回未満
では、次に述べる第2の方法によらない限り、最終焼鈍
の際の結晶粒の選択的粒成長による2次再結晶粒の成長
に好ましい集合組織が適切に形成されず、最終焼鈍後に
十分成長した2次再結晶粒が得られない。またおのおの
の冷間圧延での圧延率は20%以上が好ましい。
【0026】中間焼鈍の条件として、軟化を完全におこ
させるために、再結晶温度である700 ℃以上、結晶粒の
粗大化による冷間圧延鋼板の形状不良を避けるため1000
℃以下とする。また、保持時間は再結晶を十分に生じさ
せるため30秒以上必要である。さらに、これらの中間焼
鈍においては、焼鈍過程における析出物の粗大化を避け
るために、0.5 ℃/sec以上の加熱速度、10分以内の保持
時間とすることが好ましい。
させるために、再結晶温度である700 ℃以上、結晶粒の
粗大化による冷間圧延鋼板の形状不良を避けるため1000
℃以下とする。また、保持時間は再結晶を十分に生じさ
せるため30秒以上必要である。さらに、これらの中間焼
鈍においては、焼鈍過程における析出物の粗大化を避け
るために、0.5 ℃/sec以上の加熱速度、10分以内の保持
時間とすることが好ましい。
【0027】焼鈍雰囲気は常法でよい。ただし極端な酸
化を防止するため非酸化性の雰囲気とする。具体的には
Ar, Heなどの不活性ガスおよび窒素、水素などの単独ま
たは混合雰囲気とする。酸素分圧はとくに規定しない。
極端な酸化が防止されればよい。さらに、少なくとも1
回の中間焼鈍の雰囲気を窒素50vol.%以上含む非酸化性
雰囲気にすると磁気特性が向上する。理由は定かではな
いが、インヒビタの形成現象と関係すると思われる。し
たがって、より好ましくは少なくとも1回の中間焼鈍の
雰囲気を窒素50vol.%以上含む非酸化性雰囲気とする。
化を防止するため非酸化性の雰囲気とする。具体的には
Ar, Heなどの不活性ガスおよび窒素、水素などの単独ま
たは混合雰囲気とする。酸素分圧はとくに規定しない。
極端な酸化が防止されればよい。さらに、少なくとも1
回の中間焼鈍の雰囲気を窒素50vol.%以上含む非酸化性
雰囲気にすると磁気特性が向上する。理由は定かではな
いが、インヒビタの形成現象と関係すると思われる。し
たがって、より好ましくは少なくとも1回の中間焼鈍の
雰囲気を窒素50vol.%以上含む非酸化性雰囲気とする。
【0028】(ロ)第2の方法(請求項3)では、中間
焼鈍を含む2回の冷間圧延とする。2回の冷間圧延で済
ませる場合には、冷間圧延を特定の圧下率で行い、かつ
窒素を特定量含む特定条件で中間焼鈍を行わなければな
らない。
焼鈍を含む2回の冷間圧延とする。2回の冷間圧延で済
ませる場合には、冷間圧延を特定の圧下率で行い、かつ
窒素を特定量含む特定条件で中間焼鈍を行わなければな
らない。
【0029】最終焼鈍時に2次再結晶するGoss粒は、元
来熱延鋼板の表層直下にある板厚の約10%の層の熱間圧
延時に形成されたGoss組織が冷間圧延と中間焼鈍の過程
を経て継承されるものである。
来熱延鋼板の表層直下にある板厚の約10%の層の熱間圧
延時に形成されたGoss組織が冷間圧延と中間焼鈍の過程
を経て継承されるものである。
【0030】圧下率が90%を超えると、冷間圧延により
強い変形を受け圧延方向に{110 }方位がそろった組織
が著しく発達する。このような{110 }方位を有する加
工組織は粗大粒1次再結晶粒を形成する。そのため最終
焼鈍の1次再結晶に粗大粒Goss以外の面方位を有する結
晶粒が再結晶し2次再結晶粒のための駆動力が低下す
る。その結果鋼板全面をGoss粒で覆うことが出来なくな
り高い磁気特性を得られない。さらに安定して高い磁気
特性を有する鋼板を得るためには、{110 }方位を有す
る加工組織を発達させないという観点から2次冷間圧延
に関しては圧下率を80%以下とすることが望ましい。
強い変形を受け圧延方向に{110 }方位がそろった組織
が著しく発達する。このような{110 }方位を有する加
工組織は粗大粒1次再結晶粒を形成する。そのため最終
焼鈍の1次再結晶に粗大粒Goss以外の面方位を有する結
晶粒が再結晶し2次再結晶粒のための駆動力が低下す
る。その結果鋼板全面をGoss粒で覆うことが出来なくな
り高い磁気特性を得られない。さらに安定して高い磁気
特性を有する鋼板を得るためには、{110 }方位を有す
る加工組織を発達させないという観点から2次冷間圧延
に関しては圧下率を80%以下とすることが望ましい。
【0031】1次冷間圧延の圧下率が70%未満であると
熱延鋼板の板厚中央部にある、熱間圧延時に形成された
{100 }{011 }を有する伸張した結晶粒が変形される
ことなくそのまま継承される。その結果、圧下率が90%
を超えた時と同様に、最終焼鈍時にGoss粒以外の粗大粒
が形成され、Goss粒の2次再結晶を阻害する。
熱延鋼板の板厚中央部にある、熱間圧延時に形成された
{100 }{011 }を有する伸張した結晶粒が変形される
ことなくそのまま継承される。その結果、圧下率が90%
を超えた時と同様に、最終焼鈍時にGoss粒以外の粗大粒
が形成され、Goss粒の2次再結晶を阻害する。
【0032】2次冷間圧延の圧下率が50%未満である
と、歪エネルギーの蓄積が少ないために1次再結晶の核
生成サイトが減少する。その結果、最終焼鈍時の1次再
結晶粒が大きくなり、Goss粒の2次再結晶駆動力となる
粒界エネルギーが減少する。さらに安定して2次再結晶
を発現させるためには、細粒化という観点から圧下率を
60%以上とすることが望ましい。
と、歪エネルギーの蓄積が少ないために1次再結晶の核
生成サイトが減少する。その結果、最終焼鈍時の1次再
結晶粒が大きくなり、Goss粒の2次再結晶駆動力となる
粒界エネルギーが減少する。さらに安定して2次再結晶
を発現させるためには、細粒化という観点から圧下率を
60%以上とすることが望ましい。
【0033】以上の理由から、1次冷間圧延の圧下率を
70〜90%、2次冷間圧延のそれを50〜90%と規定する。
2次冷間圧延の圧下率のより好ましい範囲は60〜80%で
ある。
70〜90%、2次冷間圧延のそれを50〜90%と規定する。
2次冷間圧延の圧下率のより好ましい範囲は60〜80%で
ある。
【0034】中間焼鈍は50vol.%以上の窒素を含む非酸
化性雰囲気で行なう。雰囲気を窒素雰囲気とすることに
よって、鋼板の窒化と脱窒が同時におこり、その結果Al
N が微細化される。窒素が50vol.%未満であると鋼板の
窒化よりも脱窒が進み、AlNが適正量より減少し、十分
な2次再結晶が進展しない。酸素分圧はとくに規定しな
い。著しい酸化が防止されればそれで足りる。
化性雰囲気で行なう。雰囲気を窒素雰囲気とすることに
よって、鋼板の窒化と脱窒が同時におこり、その結果Al
N が微細化される。窒素が50vol.%未満であると鋼板の
窒化よりも脱窒が進み、AlNが適正量より減少し、十分
な2次再結晶が進展しない。酸素分圧はとくに規定しな
い。著しい酸化が防止されればそれで足りる。
【0035】また焼鈍過程における析出物の粗大化を避
けるために、1℃/sec以上の昇温速度で5分以内の保
持とする。ただし0.5 分未満の保持では十分な効果が得
られず、2次再結晶の進展にばらつきが生じる。このた
め昇温速度を1℃/sec 、保持時間を0.5 〜5分と規定
する。
けるために、1℃/sec以上の昇温速度で5分以内の保
持とする。ただし0.5 分未満の保持では十分な効果が得
られず、2次再結晶の進展にばらつきが生じる。このた
め昇温速度を1℃/sec 、保持時間を0.5 〜5分と規定
する。
【0036】さらに焼鈍温度を700 〜950 ℃と規定す
る。焼鈍温度が700 ℃未満では再結晶に伴う軟化および
析出物の形態制御、集合組織制御が不十分となる。一方
950 ℃を超えると析出物の粗大化が始まり、正常粒成長
が進展し再結晶粒も板厚に較べ大きくなる。このため最
終焼鈍時の2次再結晶粒成長が抑制される。
る。焼鈍温度が700 ℃未満では再結晶に伴う軟化および
析出物の形態制御、集合組織制御が不十分となる。一方
950 ℃を超えると析出物の粗大化が始まり、正常粒成長
が進展し再結晶粒も板厚に較べ大きくなる。このため最
終焼鈍時の2次再結晶粒成長が抑制される。
【0037】(ハ)第3の方法(請求項4)では、熱延
板焼鈍を行った後、1回の冷間圧延を行う。
板焼鈍を行った後、1回の冷間圧延を行う。
【0038】熱延板焼鈍は、焼鈍時の吸窒によってイン
ヒビタ量を適正化するために極めて重要である。このた
め、焼鈍雰囲気は、鋼中から窒素が著しく脱離せず、雰
囲気より十分にNが供給されるような窒素を含む還元性
雰囲気とする。ただし、鋼板の酸化を防ぐため、1vol.
%以上の水素を含むことが好ましい。また、窒素が50vo
l.%未満では、鋼中からの窒素の脱離が顕著となる。こ
のため、窒素の比率は50vol.%以上とする。
ヒビタ量を適正化するために極めて重要である。このた
め、焼鈍雰囲気は、鋼中から窒素が著しく脱離せず、雰
囲気より十分にNが供給されるような窒素を含む還元性
雰囲気とする。ただし、鋼板の酸化を防ぐため、1vol.
%以上の水素を含むことが好ましい。また、窒素が50vo
l.%未満では、鋼中からの窒素の脱離が顕著となる。こ
のため、窒素の比率は50vol.%以上とする。
【0039】さらに、保持温度は、吸Nが有効に生じる
ために、700 ℃以上が必要である。ただし、950 ℃をこ
えると、熱延板の組織変化が著しくなり、その結果、望
ましい集合組織を得ることができなくなり、最終焼鈍後
に十分成長した2次再結晶粒が得られない。したがっ
て、700 ℃以上950 ℃以下が望ましい。
ために、700 ℃以上が必要である。ただし、950 ℃をこ
えると、熱延板の組織変化が著しくなり、その結果、望
ましい集合組織を得ることができなくなり、最終焼鈍後
に十分成長した2次再結晶粒が得られない。したがっ
て、700 ℃以上950 ℃以下が望ましい。
【0040】さらにまた、保持時間は、2次再結晶を安
定的に発現させる吸Nが生じるために2分以上必要であ
る。このため保持時間を2分以上とする。ただし10時間
超では効果が飽和するため、経済面からは10時間以内と
することが好ましい。
定的に発現させる吸Nが生じるために2分以上必要であ
る。このため保持時間を2分以上とする。ただし10時間
超では効果が飽和するため、経済面からは10時間以内と
することが好ましい。
【0041】冷間圧延は、中間焼鈍をはさまない1回の
冷間圧延とする。冷間圧延は常法に従って行われるが冷
間圧延率が80%未満では最終焼鈍の際の結晶粒の選択的
粒成長による2次再結晶粒の成長に好ましい集合組織が
適切に形成されず、最終焼鈍後に十分成長した2次再結
晶粒が得られない。よって、80%以上の冷間圧下率とす
る。
冷間圧延とする。冷間圧延は常法に従って行われるが冷
間圧延率が80%未満では最終焼鈍の際の結晶粒の選択的
粒成長による2次再結晶粒の成長に好ましい集合組織が
適切に形成されず、最終焼鈍後に十分成長した2次再結
晶粒が得られない。よって、80%以上の冷間圧下率とす
る。
【0042】2)冷間圧延後の焼鈍 安定した2次再結晶を発現させ、なおかつこの2次再結
晶粒の被覆率が90%以上となるためには、インヒビタと
なるAlNの焼鈍中の最適な形態、分量を制御しなくて
はならない。これを実現するのが、冷間圧延後の3回の
焼鈍である。
晶粒の被覆率が90%以上となるためには、インヒビタと
なるAlNの焼鈍中の最適な形態、分量を制御しなくて
はならない。これを実現するのが、冷間圧延後の3回の
焼鈍である。
【0043】○1段目の焼鈍:1段目の焼鈍は、材料の
再結晶と、析出物の形態の調整の為に行う。焼鈍温度
が、700 ℃未満では、材料が完全に再結晶せず、その結
果、引き続く2段焼鈍での2次再結晶が不安定となる。
一方、1000℃超の場合には、正常粒成長している結晶粒
が粗大化し始め、引き続く2段焼鈍での2次再結晶が生
じない。このため焼鈍温度は700 〜1000℃とする。
再結晶と、析出物の形態の調整の為に行う。焼鈍温度
が、700 ℃未満では、材料が完全に再結晶せず、その結
果、引き続く2段焼鈍での2次再結晶が不安定となる。
一方、1000℃超の場合には、正常粒成長している結晶粒
が粗大化し始め、引き続く2段焼鈍での2次再結晶が生
じない。このため焼鈍温度は700 〜1000℃とする。
【0044】また、昇温速度が1℃/sec未満の場合、
{110 }<001> 面方位以外の面方位の粒成長を十分に抑
止することができず、その結果、{110 }<001> 面方位
の2次再結晶を選択的に起こすことが難しくなる。その
ため昇温速度を1℃/sec以上とする。
{110 }<001> 面方位以外の面方位の粒成長を十分に抑
止することができず、その結果、{110 }<001> 面方位
の2次再結晶を選択的に起こすことが難しくなる。その
ため昇温速度を1℃/sec以上とする。
【0045】さらに、焼鈍雰囲気は、鋼中から窒素が著
しく脱離せず、雰囲気より十分にNが供給されるような
窒素を含む還元性雰囲気とする。ただし、鋼板の酸化を
防ぐため、1vol.%以上の水素を含むことが好ましい。
また、窒素が50vol.%未満では、鋼中からの窒素の脱離
が顕著となる。このため、窒素の比率は50vol.%以上と
する。
しく脱離せず、雰囲気より十分にNが供給されるような
窒素を含む還元性雰囲気とする。ただし、鋼板の酸化を
防ぐため、1vol.%以上の水素を含むことが好ましい。
また、窒素が50vol.%未満では、鋼中からの窒素の脱離
が顕著となる。このため、窒素の比率は50vol.%以上と
する。
【0046】さらにまた、保持時間は、引き続く2段焼
鈍での2次再結晶を安定的に発現させるために30秒以上
必要である。したがって保持時間を30秒以上とする。た
だし30分超では効果が飽和するため、経済面からは30分
以内とすることが好ましい。
鈍での2次再結晶を安定的に発現させるために30秒以上
必要である。したがって保持時間を30秒以上とする。た
だし30分超では効果が飽和するため、経済面からは30分
以内とすることが好ましい。
【0047】○2段目の焼鈍:2段目の焼鈍は、2次再
結晶の発現と進展のために重要である。
結晶の発現と進展のために重要である。
【0048】加熱保持温度が、1000℃をこえると、正常
粒成長している結晶粒が粗大化し、その結果2次再結晶
を生じない。一方、700 ℃未満では、2次再結晶の核と
なる粗大粒の粒成長速度が著しく遅いため、極めて長時
間保持しても2次再結晶が進展しない。そのため加熱保
持温度を700 ℃以上1000℃以下とする。
粒成長している結晶粒が粗大化し、その結果2次再結晶
を生じない。一方、700 ℃未満では、2次再結晶の核と
なる粗大粒の粒成長速度が著しく遅いため、極めて長時
間保持しても2次再結晶が進展しない。そのため加熱保
持温度を700 ℃以上1000℃以下とする。
【0049】昇温速度はとくに規定しない。工業的に可
能な速度で十分である。また、焼鈍雰囲気は、1段目の
焼鈍条件と同様に鋼中から窒素が著しく脱離せず、雰囲
気より十分にNが供給されるような窒素を含む還元性ガ
ス雰囲気とする。ただし、鋼板の酸化を防ぐため、1vo
l.%以上の水素を含むことが好ましい。また、窒素が50
vol.%未満では、鋼中からの窒素の脱離が顕著となる。
このため、窒素の比率を50vol.%以上とする。
能な速度で十分である。また、焼鈍雰囲気は、1段目の
焼鈍条件と同様に鋼中から窒素が著しく脱離せず、雰囲
気より十分にNが供給されるような窒素を含む還元性ガ
ス雰囲気とする。ただし、鋼板の酸化を防ぐため、1vo
l.%以上の水素を含むことが好ましい。また、窒素が50
vol.%未満では、鋼中からの窒素の脱離が顕著となる。
このため、窒素の比率を50vol.%以上とする。
【0050】保持時間は2次再結晶を行なわせるために
十分な時間が必要であり、3時間以上とする。一方20時
間をこえても、2次再結晶粒の被覆率において殆ど変化
が見られないため、経済面から20時間以内とすることが
好ましい。
十分な時間が必要であり、3時間以上とする。一方20時
間をこえても、2次再結晶粒の被覆率において殆ど変化
が見られないため、経済面から20時間以内とすることが
好ましい。
【0051】○3段目の焼鈍:3段目の焼鈍は、2次再
結晶粒で鋼板表面を90%以上被覆するために必要な焼鈍
である。2段目までの焼鈍では、2次再結晶粒の被覆率
は、最大でも80%程度であり、残りの20%程度は、2次
再結晶粒に食い残された板厚程度の粒径の領域となる。
このような、細粒部は、貫通粒となっているため、結晶
粒の曲率に反比例する粒界エネルギが不十分であり、長
時間焼鈍しても殆ど2次再結晶粒に蚕食されず、磁気特
性的にも不充分である。
結晶粒で鋼板表面を90%以上被覆するために必要な焼鈍
である。2段目までの焼鈍では、2次再結晶粒の被覆率
は、最大でも80%程度であり、残りの20%程度は、2次
再結晶粒に食い残された板厚程度の粒径の領域となる。
このような、細粒部は、貫通粒となっているため、結晶
粒の曲率に反比例する粒界エネルギが不十分であり、長
時間焼鈍しても殆ど2次再結晶粒に蚕食されず、磁気特
性的にも不充分である。
【0052】このため、3段目の焼鈍においては、非酸
化囲気中で焼鈍を施すことによって{110 }面が優先的
に成長する表面エネルギを2次再結晶の駆動力として用
い細粒部を2次再結晶粒に蚕食させることを狙いとす
る。ただし、この場合、加熱温度は表面エネルギを働か
せるために、900 ℃以上が必要である。また、1300℃以
上に加熱した場合には、鋼板のクリープ等によって安定
して鋼板を焼鈍することが困難である。また、いずれの
温度においても保持時間は30秒以上必要であり、一方30
分でその効果が飽和する。従って、加熱の温度範囲は90
0 ℃以上1300℃以下、保持時間は30秒以上、好ましくは
30分以下とする。
化囲気中で焼鈍を施すことによって{110 }面が優先的
に成長する表面エネルギを2次再結晶の駆動力として用
い細粒部を2次再結晶粒に蚕食させることを狙いとす
る。ただし、この場合、加熱温度は表面エネルギを働か
せるために、900 ℃以上が必要である。また、1300℃以
上に加熱した場合には、鋼板のクリープ等によって安定
して鋼板を焼鈍することが困難である。また、いずれの
温度においても保持時間は30秒以上必要であり、一方30
分でその効果が飽和する。従って、加熱の温度範囲は90
0 ℃以上1300℃以下、保持時間は30秒以上、好ましくは
30分以下とする。
【0053】また、その雰囲気は、還元性雰囲気もしく
は酸素分圧が0.5Pa 以下で実質的に窒素を含まない非酸
化雰囲気または酸素分圧が0.5Pa 以下の真空中とする。
窒素が雰囲気に含まれると、鋼中に窒素が残留して磁気
特性を劣化させるためである。
は酸素分圧が0.5Pa 以下で実質的に窒素を含まない非酸
化雰囲気または酸素分圧が0.5Pa 以下の真空中とする。
窒素が雰囲気に含まれると、鋼中に窒素が残留して磁気
特性を劣化させるためである。
【0054】
【発明の効果】本発明によって、板厚0.5 mm以下の保磁
力の低い磁気特性を有するけい素鋼板の製造を行うこと
が可能となった。本発明によるけい素鋼板は、その保磁
力が低いという性質を利用して、低保磁力の要求される
磁性材料に広く使用することができる。
力の低い磁気特性を有するけい素鋼板の製造を行うこと
が可能となった。本発明によるけい素鋼板は、その保磁
力が低いという性質を利用して、低保磁力の要求される
磁性材料に広く使用することができる。
【0055】
【実施例】表1に示される鋼種を真空溶解し、30mmまで
スラブ圧延を行った後に、1150℃加熱にて表2に示す板
厚まで熱間圧延を施した。つづいて、これを酸洗してか
ら、表2に示す工程で0.1 〜0.6 mmの冷間圧延板を準備
した。表2において備考欄に1回圧延法と記載したI、
Jのプロセスにおいては、100 N2 の雰囲気中で、900
℃で2分間の熱延板焼鈍を施した。
スラブ圧延を行った後に、1150℃加熱にて表2に示す板
厚まで熱間圧延を施した。つづいて、これを酸洗してか
ら、表2に示す工程で0.1 〜0.6 mmの冷間圧延板を準備
した。表2において備考欄に1回圧延法と記載したI、
Jのプロセスにおいては、100 N2 の雰囲気中で、900
℃で2分間の熱延板焼鈍を施した。
【0056】さらに、この冷間圧延板を以下の3段の焼
鈍を施した。 1 段目の焼鈍:900 ℃×2分、昇温速度 3℃/sec、95%
N2-5%H2 2 段目の焼鈍:900 ℃×15hr、95%N2-5%H2 3 段目の焼鈍:1200℃x10 分、昇温速度 3℃/sec、100
%H2 なお、このような3 段の焼鈍は、この方法以外にも、特
願平08ー89646号に示しているような2段の焼鈍
を施してもなんら問題がない。
鈍を施した。 1 段目の焼鈍:900 ℃×2分、昇温速度 3℃/sec、95%
N2-5%H2 2 段目の焼鈍:900 ℃×15hr、95%N2-5%H2 3 段目の焼鈍:1200℃x10 分、昇温速度 3℃/sec、100
%H2 なお、このような3 段の焼鈍は、この方法以外にも、特
願平08ー89646号に示しているような2段の焼鈍
を施してもなんら問題がない。
【0057】この結果を、表3に示す。表3において、
insol Al×tの値が8.0 を超えると保磁力が10.0 A/m以
下とはならないことがわかる。また、insol Al×tの値
が8.0 以下の場合は、本発明の条件を満足する1〜3回
冷間圧延法のいずれにおいても、保磁力は、10.0 A/m以
上となり良好な結果が得られている。
insol Al×tの値が8.0 を超えると保磁力が10.0 A/m以
下とはならないことがわかる。また、insol Al×tの値
が8.0 以下の場合は、本発明の条件を満足する1〜3回
冷間圧延法のいずれにおいても、保磁力は、10.0 A/m以
上となり良好な結果が得られている。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−197126(JP,A) 特開 平6−207219(JP,A) 特開 平9−157746(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 8/12 C22C 38/00 303 C22C 38/02
Claims (5)
- 【請求項1】 (a) 重量%で、C:0.01%以下、Si:
2.5 %以上7%以下、Mn:0.005 %以上0.12%以下、
P:0.02%以下、S:0.002 %以上0.005 %以下、sol.
Al:0.003 %以上0.008 %以下、N:0.003 %以上0.
01%以下を含み、不純物としてのTi+Nbが0.003 %
以下であり、かつ酸不可溶Al量(insol.Al量)が下式を
満たす熱延鋼板を準備する工程、 insol.Al量× t ≦8.0 ここで、 insol.Al 量(単位:ppm )、t:最終冷間圧
延板の板厚(mm) (b) 前記熱延鋼板を脱スケール後、焼鈍温度700 ℃〜95
0 ℃、保持時間30sec 以上の中間焼鈍を含む3回の冷間
圧延により冷間圧延鋼板とする工程、(c) 前記冷間圧延
鋼板を、窒素を50vol.%以上含む還元性雰囲気におい
て、1℃/sec以上の昇温速度で700 ℃以上1000℃以下の
所定温度まで加熱し、該温度に30秒以上保持する1段目
の焼鈍工程、(d) 引き続き前記冷間圧延鋼板を、窒素50
vol.%以上含む還元性雰囲気において、700 ℃以上1000
℃以下の所定温度に3時間以上保持する2段目の焼鈍工
程、(e) さらに、窒素を含まない還元性雰囲気もしくは
酸素分圧が0.5Pa 以下で実質的に窒素を含まない非酸化
性雰囲気または酸素分圧が0.5Pa 以下の真空中におい
て、900 ℃以上1300℃以下の範囲の所定温度で30秒以上
の保持を行う3段目の焼鈍工程、を含むけい素鋼板の製
造方法。 - 【請求項2】 中間焼鈍の内、少なくとも1回の中間焼
鈍の雰囲気を窒素50vol.%以上含む非酸化性雰囲気とす
ることを特徴とする請求項1記載のけい素鋼板の製造方
法。 - 【請求項3】 請求項1に記載のけい素鋼板の製造方法
のうち、(b) に記載の工程を、(b'-1)前記熱延鋼板を脱
スケール後、圧下率70〜90%の一次冷間圧延を施して冷
間圧延鋼板とする工程、(b'-2)前記冷間圧延鋼板を、窒
素を50vol.%以上を含む非酸化性雰囲気下、焼鈍温度70
0 ℃〜950 ℃、保持時間0.5 〜5分、昇温速度1℃/se
c 以上の条件で一次焼鈍を実施する工程、(b'-3)前記焼
鈍板に圧下率50〜90%の2次冷間圧延を実施し、冷間圧
延鋼板とする工程、に代えたけい素鋼板の製造方法。 - 【請求項4】 請求項1に記載のけい素鋼板の製造方法
のうち、(b) に記載の工程を、(b''-1) 前記熱延鋼板を
少なくとも50Vol.%以上の窒素を含む還元性雰囲気で焼
鈍温度700 ℃〜950 ℃、保持時間2分以上の熱延板焼鈍
を施す工程、(b''-2) 前記熱延焼鈍板を、冷間圧延率80
% 以上の冷間圧延により冷間圧延鋼板とする工程、に代
えたけい素鋼板の製造方法。 - 【請求項5】 請求項1ないし請求項4のいずれか1項
に記載の製法によって製造されるけい素鋼板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27790496A JP3271655B2 (ja) | 1996-10-21 | 1996-10-21 | けい素鋼板の製造方法およびけい素鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27790496A JP3271655B2 (ja) | 1996-10-21 | 1996-10-21 | けい素鋼板の製造方法およびけい素鋼板 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH10121137A JPH10121137A (ja) | 1998-05-12 |
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