JP2005126742A - 磁気特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

磁気特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 インヒビター成分を有しない鋼スラブを用いて、磁気特性に優れた方向性電磁鋼板を、工業的に安定してかつ安価に製造する。
【解決手段】 質量%で、C:0.08%以下、Si:4.5 %以下およびMn:0.5 %以下を含有し、かつS,Se, Oをそれぞれ 50ppm未満、Nを 60ppm未満、sol.Alを100ppm未満に抑制し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる、インヒビター成分を含有しない方向性電磁鋼板の製造方法において、
最終冷間圧延前の少なくとも1回の焼鈍について、その最高板温を 975℃以上、1075℃以下とし、かつ最高板温到達後、(最高板温−10℃)以下、(最高板温−50℃)以上の温度域に10秒以上、10分以下の時間保持する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、磁気特性に優れた方向性電磁鋼板を低コストで製造することができる方法に関するものである。
方向性電磁網板は、変圧器や発電機の鉄心材料として用いられる軟磁性材料であり、鉄の磁化容易軸である<001>方位が鋼板の圧延方向に高度に揃った結晶組織を有するものである。このような集合組織は、方向性電磁鋼板の製造工程中、仕上げ焼鈍の際にいわゆるゴス(Goss)方位と称される(110)〔001〕方位の結晶粒を優先的に巨大成長させる、二次再結晶を通じて形成される。
従来、このような方向性電磁鋼板は、Siを 4.5mass%以下で含有し、かつMnS, MnSe,AlNなどのインヒビター成分を含有する鋼スラブを、1300℃以上に加熱し、インヒビター成分を一旦固溶させたのち、熱間圧延し、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延によって最終板厚とし、ついで湿潤水素雰囲気中で一次再結晶焼鈍を施して一次再結晶および脱炭を行い、マグネシア(MgO)を主剤とする焼鈍分離剤を塗布してから、二次再結晶およびインヒビター成分の純化のために、1200℃で5h程度の仕上げ焼鈍を行うことによって製造されてきた(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
米国特許第1965559号明細書 特公昭40−15611号公報 特公昭51−13469号公報
上記した従来の方向性電磁鋼板では、MnS,AlN,MnSeなどの析出物(インヒビター成分)をスラブ段階で含有させ、1300℃を超える高温スラブ加熱により、これらのインヒビター成分を一旦固溶させ、その後の工程で微細に分散析出させることにより、二次再結晶を発現させる工程を採用していた。
このように、従来の方向性電磁鋼板の製造工程では、1300℃を超える高温でのスラブ加熱が不可欠であったため、その製造コストは極めて高いものにならざるを得なかった。
すなわち、スラブにインヒビター成分を含有させる従来の方向性電磁鋼板では、その製造工程において高温のスラブ加熱が必要であったため、近年の製造コスト低減の要求には応えることができなかった。
ところで、最近、発明者らは、ゴス方位粒の二次再結晶の本質は、一次再結晶組織の制御にあり、インヒビター成分の有無は、一次再結晶組織制御を通して間接的に二次再結晶に作用しているものであり、二次再結晶の発現そのものには直接的には無関係であることを見出した(例えば特許文献4)。
特開2000−129356号公報
その結果、高温でのスラブ加熱は不要となり、低コストで方向性電磁鋼板を製造することが可能となった。
本発明は、上記したインヒビター成分を含有しない方向性電磁鋼板(以下、インヒビターレス方向性電磁鋼板と呼ぶ)の製造技術の改良に係り、磁気特性に優れた方向性電磁鋼板を高温スラブ加熱の必要なしに低コストで得ることができる、方向性電磁鋼板の有利な製造方法を提案することを目的とする。
さて、インヒビターレス方向性電磁鋼板の製造においては、インヒビターを含有する方向性電磁鋼板の場合とは異なり、中途半端な量で存在する析出物が結晶粒成長抑制力として働くことが、むしろ二次再結晶粒のゴス方位への集積を劣化させ、磁気特性を劣化させることを新たに知見した。析出物による結晶粒成長抑制力は、析出物の量が一定であれば、析出物が微細であるほど大きくなる。
そこで、不可避的に鋼中に存在する不純物を、できるだけ粗大な析出物として鋼中に分散させることが肝要と推定される。
通常、インヒビターレス方向性電磁鋼板の製造においては、熱間圧延後、最終冷間圧延前に1回以上の焼鈍が施される。そこで、この最終冷間圧延前の焼鈍に着目して、焼鈍条件が磁気特性に及ぼす影響を調査した。
以下、本発明を由来するに至った実験結果について説明する。なお、成分に関する「%」表示は特に断らない限り質量%を意味するものとする。
C:0.03%、Si:3.0 %、Mn:0.10%、S:40 ppm、Se:2 ppm、O:10 ppm、N:25ppm およびsol.Al:20 ppmを含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼スラブを、熱間圧延により板厚:2.0 mmの熱延板とし、ついで図1のパターンAに示すヒートパターンの熱延板焼鈍を施した。その後、板厚:0.27mmまで冷間圧延し、 850℃, 100 秒の脱炭・一次再結晶焼鈍を施したのち、1200℃,10hの二次再結晶焼鈍を施して、製品とした。
図2に、上記のパターンAに従う熱延板焼鈍を施して得た製品の磁気特性(B8 )に及ぼす熱延板焼鈍温度(最高板温)の影響について調べた結果を示す。
同図から明らかなように、熱延板焼鈍の最適焼鈍温度は、 950℃から1050℃であった。焼鈍温度が高いほど、析出物はオストワルド成長し、粗大化する。一方、焼鈍温度の上昇に伴い、析出物の固溶量は増加し、固溶した析出物は、冷却過程で微細に析出する。この析出物の粗大化による磁気特性改善の効果と、微細析出量の増加に伴う磁気特性劣化の弊害のバランスにより、最適な焼鈍温度が決まると考えられる。
そこで、発明者らは、熱延板焼鈍の冷却過程における析出物の微細析出を抑制することにより、磁気特性をさらに改善できると考え、さまぎまな熱延板焼鈍ヒートパターンについて試行錯誤を繰り返した。
その結果、熱延板焼鈍温度(最高板温)を高めにし、かつ最高板温到達後、最高板温から10℃ないし50℃低い温度で保持することにより、優れた磁気特性が得られることを究明した。
前記の成分組成になる鋼スラブを、熱間圧延により板厚:2.0 mmの熱延板としたのち、図1のパターンBに示すヒートパターンで熱延板焼鈍を施し、ついで冷間圧延により板厚:0.27mmに仕上げ、 850℃,100 秒の脱炭焼鈍後、1200℃,10hの二次再結晶焼鈍を施して、製品とした。
上記のパターンBに従う熱延板焼鈍を施して得た製品の磁気特性(B8 )に及ぼす熱延板焼鈍温度(最高板温)の影響について調べた結果を、図2に示す。
同図に示したとおり、熱延板焼鈍温度を高めると共に、最高板温到達後、最高板温より幾分低い温度で短時間保持することにより、磁気特性が改善された。
先に述べたように、焼鈍温度の上昇は、析出物の成長を促進させる点では、磁気特性上有利であるが、微細析出量が増加する点では磁気特性に不利に働く。
この点、本発明の方法では、最高板温で一旦固溶した析出物が、最高板温から10℃ないし50℃低い温度で保持する間に、未固溶の析出物上に粗大析出するため、その微細析出が抑制されて磁気特性が向上するものと考えられる。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.質量%で、
C:0.08%以下、
Si:4.5 %以下および
Mn:0.5 %以下
を含有し、かつ
S,Se, Oをそれぞれ 50ppm未満、
Nを 60ppm未満、
sol.Alを100ppm未満
に抑制し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼スラブを、熱間圧延後、1回または複数回の焼鈍と冷間圧延を施して最終板厚に仕上げたのち、一次再結晶焼鈍ついで二次再結晶焼鈍を施すことからなる方向性電磁鋼板の製造方法において、
最終冷間圧延前の少なくとも1回の焼鈍について、その最高板温を 975℃以上、1075℃以下とし、かつ最高板温到達後、(最高板温−10℃)以下、(最高板温−50℃)以上の温度域に10秒以上、10分以下の時間保持することを特徴とする、磁気特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
2.前記鋼スラブが、さらに質量%で、
Ni:0.02%以上、0.5 %以下、
Cu:0.02%以上、0.5 %以下、
Sb:0.005 %以上、0.3 %以下および
Sn:0.005 %以上、0.3 %以下
のうちから選んだ一種または二種以上を含有することを特徴とする、上記1記載の磁気特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
3.前記鋼スラブが、さらに質量%で、
Cr:0.02%以上、0.5 %以下および
P:0.005 %以上、0.3 %以下
のうちから選んだ一種または二種を含有することを特徴とする、上記1または2記載の磁気特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
本発明によれば、インヒビター成分を有しない鋼スラブを用いて、磁気特性に優れた方向性電磁鋼板を、工業的に安定してかつ安価に製造することが可能となり、その工業的価値は極めて大きい。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の鋼スラブは、公知の方法、例えば製鋼−連続鋳造(あるいは造塊−分塊圧延)によって製造される。この際、スラブ組成については、以下のように限定される。なお、各成分の含有量の単位は、質量%である。
C:0.08%以下
Cは、一次再結晶集合組織を改善するために有用な元素であるが、0.08%を超えるとむしろ一次再結晶集合組織が劣化するので、C量は0.08%以下に限定した。磁気特性の観点から特に望ましい添加量は0.01〜0.06%の範囲である。なお、要求される磁気特性のレベルが高くない場合には、一次再結晶焼鈍における脱炭を省略あるいは簡略化するために、C量を0.01%以下としてもよい。
Si:4.5 %以下
Siは、電気抵抗を高めることによって鉄損を改善する有用元素であるが、含有量が4.5%を超えると冷間圧延が著しく困難になるので、Si量は 4.5%以下に限定した。特に鉄損の観点から望ましい添加量は 2.0〜4.0 %である。また、要求される鉄損レベルによっては、Siを添加しなくてもよい。
Mn:0.5 %以下
Mnは、製造時の熱間加工性を向上させる効果がある。そのためには、0.01%以上の添加が望ましい。しかしながら、0.5 %を超えてMnを含有した場合、一次再結晶集合組織が劣化し、磁気特性が劣化するので、Mn量は 0.5%以下に限定した。
S,Se, O:それぞれ 50ppm未満
S,SeおよびOが、それぞれ50 ppm以上存在すると、二次再結晶が困難となる。この理由は、粗大な酸化物や、スラブ加熱により粗大化したMnS, MnSeが一次再結晶組織を不均一にするためである。従って、S,SeおよびOの含有量はそれぞれ50ppm 未満に抑制するものとした。
N:60 ppm未満
Nもまた、SやSe,Oと同様、過剰に存在すると二次再結晶が困難となる。N含有量が60 ppm以上になると、二次再結晶し難くなり、磁気特性が劣化するので、N量は 60ppm未満に抑制するものとした。
sol.Alを100ppm未満
Alもまた、過剰に存在すると二次再結晶が困難となる。すなわち、sol.Alが 100 ppm以上になると、二次再結晶し難くなり、磁気特性が劣化するので、sol.Alは 100 ppm未満に抑制するものとした。
以上、必須成分および抑制成分ついて説明したが、本発明ではその他にも、磁気特性改善成分および被膜特性改善成分として、以下に述べる元素を適宜含有させることができる。
Ni:0.02%以上、0.5 %以下
Niは、熱延板組織の均一性を高めることにより、磁気特性を改善する働きがあり、そのためには、0.02%以上含有させることが望ましい。一方、Ni量が 0.5%を超えると、二次再結晶が困難となり、磁気特性が劣化するので、Niは 0.5%を上限として含有させることが望ましい。
Cu:0.02%以上、0.5 %以下
Cuは、二次再結晶焼鈍中の鋼板の窒化や酸化を抑制し、良好な結晶方位を有する結晶粒の二次再結晶を促進することにより、磁気特性を向上させる有用元素である。この目的のためには、Cuを0.02%以上含有させることが望ましいが、0.5 %を超えて含有させると熱間圧延性が劣化するので、Cu量は0.02%以上、0.5 %以下程度とするのが望ましい。
Sb:0.005 %以上、0.3 %以下
Sbは、Cuと同様、二次再結晶焼鈍中の鋼板の窒化や酸化を抑制し、良好な結晶方位を有する結晶粒の二次再結晶を促進することにより、磁気特性を向上させる有用元素である。この目的のためには、0.005 %以上含有させることが望ましいが、0.3 %を超えて含有させると冷間圧延性が劣化するので、Sb量は 0.005%以上、0.3 %以下程度とするのが望ましい。
Sn:0.005 %以上、0.3 %以下
Snも、CuやSbと同様、二次再結晶焼鈍中の鋼板の窒化や酸化を抑制し、良好な結晶方位を有する結晶粒の二次再結晶を促進することにより、磁気特性を向上させる有用元素である。この目的のためには、0.005 %以上含有させることが望ましいが、0.3 %を超えて含有させると冷間圧延性が劣化するので、Sn量は 0.005%以上、0.3 %以下程度とするのが望ましい。
Cr:0.02%以上、0.5 %以下
Crは、フォルステライト被膜の形成を安定化させる働きがあり、そのためには0.02%以上含有させることが望ましい。一方、Cr量が 0.5%を超えると、二次再結晶が困難となり、磁気特性が劣化するので、Crは 0.5%を上限として含有させることが望ましい。
P:0.005 %以上、0.3 %以下
Pは、Crと同様、フォルステライト被膜の形成を安定化させる働きがあり、そのためには 0.005%以上含有させることが望ましい。一方、P量が 0.2%を超えると、冷間圧延性が劣化するので、Pは 0.3%を上限として含有させることが望ましい。
次に、本発明の製造工程について説明する。
上記の好適成分組成に調整した溶鋼を、転炉、電気炉等を用いる公知の方法で精錬し、必要があれば真空処理などを施したのち、通常の造塊法や連続鋳造法を用いてスラブを製造する。また、直接鋳造法を用いて 100mm以下の厚さの薄鋳片を直接製造してもよい。
ついで、鋼スラブを、再加熱することなくあるいは再加熱した後、熱間圧延に供する。スラブを再加熱する場合には、再加熱温度は1000℃以上、1300℃以下程度とすることが望ましい。1300℃を超えるスラブ加熱は、スラブにインヒビターを含まない本発明では、無意味であり、コストアップとなるばかりであり、一方1000℃未満では、圧延荷重が高くなって、圧延が困難となるからである。
ついで、熱延板に、1回あるいは複数回の冷間圧延と焼鈍を施して、最終冷延板とする。
ここで、最終冷間圧延前の少なくとも1回の焼鈍について、最高板温を 975℃以上、1075℃以下とし、最高板温到達後、(最高板温−10℃)以下、(最高板温−50℃)℃以上の温度域に10秒以上、10分以下の時間保持する。上記した 975℃以上、1075℃以下の温度域では、析出物の一部が固溶する。そして、最高板温到達後、(最高板温−10℃)以下、(最高板温−50℃)℃以上の温度域に10秒以上、10分以下の時間保持することにより、固溶した析出物が、未固溶の析出物上に再析出し、粗大な析出物を形成され、その結果、磁気特性が改善されるのである。
ここに、保持時間が10秒未満では、最高板温到達時に固溶した析出物が、未固溶の析出物上に再析出するには短時間すぎて磁気特性の向上が望めず、一方10分超では、効果が飽和するばかりで、コスト高となる。また、最高板温が 975℃未満では、析出物の粗大化が起こらず、本発明で所期した効果が得られない。一方、1075℃超では、ほとんどの析出物は固溶し、析出サイトとなる析出物が存在しないため、最高板温より10〜50℃低い温度に保持しても析出せず、その後の冷却中に微細析出して、磁気特性を劣化させる。
なお、上記の保持処理は、(最高板温−10℃)以下、(最高板温−50℃)℃以上の温度域の一定温度に10秒以上、10分以下の時間保持するようにしても良いし、また上記の温度域を徐冷して、該温度域に10秒以上、10分以下の時間滞留するようにしても良い。
また、冷間圧延は、常温で行ってもよいし、常温より高い温度、例えば 250℃程度に鋼板温度を上げて圧延する温間圧延としてもよい。
ついで、最終冷間圧延板に一次再結晶焼鈍を施す。一次再結晶焼鈍の第一の目的は、圧延組織を有する冷間圧延板を一次再結晶させ、二次再結晶に最適な一次再結晶粒径に調整することである。そのためには、一次再給晶焼鈍の焼鈍温度は、 800℃以上、950 ℃未満とすることが望ましい。また、第二の目的は、脱炭である。製品に炭素が50 ppm以上含まれると、鉄損が劣化するので、この一次再結晶焼鈍で炭素を50 ppm未満まで低減することが望ましい。
上記の一次再結晶焼鈍後、必要に応じて鋼板の表面に焼鈍分離剤を塗布したのち、二次再結晶焼鈍を施す。二次再結晶焼鈍後の鋼板表面にフォルステライト被膜を形成するためには、焼鈍分離剤の主剤をマグネシア(MgO)とする必要があるが、フォルステライト被膜が必要のない場合には、焼鈍分離剤主剤として、アルミナ(Al2O3)、カルシア(CaO)など、二次再結晶焼鈍温度より高い融点を有する適当な酸化物を用いることができる。
ついで、二次再結晶焼鈍を行う。この二次再結晶焼鈍の目的は、二次再結晶の発現である。二次再結晶により、ゴス方位に集積した結晶粒となり、良好な磁気特性が得られる。また、二次再結晶焼鈍中にフォルステライト被膜を形成させることもできる。良好なフォルステライト被膜を形成させるためには、水素を含有する雰囲気が必要であるので、通常、水素を含有する雰囲気中にて、1200℃,10h程度の焼鈍が行われる。フォルステライト被膜形成の必要がない場合には、窒素、アルゴン、水素など、任意のガス中で、800 ℃以上、1250℃以下の温度で1〜500 h焼鈍して、二次再結晶を発現させる。
二次再結晶焼鈍の後、鋼板表面に絶縁被膜を塗布、焼き付けることもできる。絶縁被膜の種類は、特に限定されることはなく、従来公知のあらゆる絶縁被膜が適合する。たとえば、特開昭50-79442号公報や特開昭48-39338号公報に記載されているリン酸塩−クロム酸塩コロイダルシリカを含有する塗布液を鋼板に塗布し、800 ℃程度で焼き付ける方法が好適である。
また、平坦化焼鈍により、鋼板の形状を整えることも可能であり、平坦化焼鈍を絶縁被膜の焼き付けと兼ねることもできる。
C:0.07%、Si:3.5 %、Mn:0.05%、sol.Al:45 ppm、N:35 ppm、S:10 ppm、Se:1 ppmおよびO:10 ppmを含有し、残部はFeおよび不可避不純物の組成になる鋼スラブを、連続鋳造後、再加熱することなく熱間圧延に供して、板厚:2.0 mmの熱延板としたのち、図3(a), (b)に示すヒートパターンで、最高板温および最高板温より10〜50℃低い温度における保持時間および保持温度を表1,表2に示すように種々に変化させて焼鈍を行った。ついで、冷間圧延により板厚:0.30mmに仕上げたのち、 850℃, 100 秒の一次再結晶焼鈍を施した。ついで、MgOを主剤とした焼鈍分離剤を水スラリーとして一次再結晶板の表面に塗布し、乾燥後、1200℃,5hの二次再結晶焼鈍を施した。
上記の条件で得られた二次再結晶焼鈍板の表面に、リン酸塩−クロム酸塩−コロイダルシリカを質量比3:1:3で含有する塗布液を塗布し、800 ℃で焼き付けたのち、コイル幅中央部の磁気特性を調査した。磁気特性は 800℃で3時間の歪取焼鈍を行った後、800A/m で励磁したときの磁束密度B8 で評価した。
得られた結果を表1,表2に併記する。
Figure 2005126742
Figure 2005126742
表1,2から明らかなように、最終冷間圧延前に、最高板温が 975℃以上、1075℃以下で、最高板温到達後、(最高板温−10℃)以下、(最高板温−50℃)以上の温度域に10秒以上、10分以下の時間保持する焼鈍を施した場合には、良好な磁気特性が得られている。
表3に示す種々の成分組成になる鋼スラブを、連続鋳造後、1180℃に再加熱後、熱間圧延により板厚:2.5 mmの熱延板としたのち、 900℃, 30秒の熱延板焼鈍を施した。ついで、冷間圧延により板厚:1.8 mmの中間厚とした後、図4(a), (b)に示すヒートパターンで焼鈍した。(a)は従来のヒートパターン、(b)は本発明のヒートパターンである。
ついで、温間圧延(板温:250 ℃)により板厚:0.22mmに仕上げ、820 ℃,100 秒の一次再結晶焼鈍後、 900℃,50hの二次再結晶焼鈍を施した。ついで、 800℃,1分の平坦化焼鈍を施して、製品とした。
かくして得られた製品の磁気特性について調べた結果を表3に併記する。
なお、製品の磁気特性は、800 ℃で3時間の歪取焼鈍を行った後、800 A/m で励磁したときの磁束密度B8 で評価した。
Figure 2005126742
同表により明らかなように、本発明の範囲の成分組成を満足し、かつ最終冷間圧延前に、本発明の条件を満足するヒートパターンで焼鈍を施した場合はいずれも、良好な磁気特性が得られている。
従来法および本発明法に従うヒートパターンを比較して示した図である。 製品の磁気特性(B8 )に及ぼす熱延板焼鈍温度(最高板温)の影響を示した図である。 実施例1におけるヒートパターンを示した図である。 実施例2におけるヒートパターンを示した図である。

Claims (3)

  1. 質量%で、
    C:0.08%以下、
    Si:4.5 %以下および
    Mn:0.5 %以下
    を含有し、かつ
    S,Se, Oをそれぞれ 50ppm未満、
    Nを 60ppm未満、
    sol.Alを100ppm未満
    に抑制し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼スラブを、熱間圧延後、1回または複数回の焼鈍と冷間圧延を施して最終板厚に仕上げたのち、一次再結晶焼鈍ついで二次再結晶焼鈍を施すことからなる方向性電磁鋼板の製造方法において、
    最終冷間圧延前の少なくとも1回の焼鈍について、その最高板温を 975℃以上、1075℃以下とし、かつ最高板温到達後、(最高板温−10℃)以下、(最高板温−50℃)以上の温度域に10秒以上、10分以下の時間保持することを特徴とする、磁気特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 前記鋼スラブが、さらに質量%で、
    Ni:0.02%以上、0.5 %以下、
    Cu:0.02%以上、0.5 %以下、
    Sb:0.005 %以上、0.3 %以下および
    Sn:0.005 %以上、0.3 %以下
    のうちから選んだ一種または二種以上を含有することを特徴とする、請求項1記載の磁気特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 前記鋼スラブが、さらに質量%で、
    Cr:0.02%以上、0.5 %以下および
    P:0.005 %以上、0.3 %以下
    のうちから選んだ一種または二種を含有することを特徴とする、請求項1または2記載の磁気特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
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