JP3474594B2 - 磁気特性の優れた厚い板厚の一方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
磁気特性の優れた厚い板厚の一方向性電磁鋼板の製造方法Info
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Description
て使用される磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造
方法に関する。 【0002】 【従来の技術】一方向性電磁鋼板は、主にトランスその
他の電気機器の鉄心材料として使用されており、励磁特
性、鉄損特性等の磁気特性に優れていることが要求され
る。励磁特性を表す数値としては、磁場の強さ800A
/mにおける磁束密度B8 が通常使用される。また、鉄
損特性を表す数値としては、周波数50Hzで1.7テ
スラー(T)まで磁化したときの1kg当りの鉄損W
17/50 を使用している。磁束密度は、鉄損特性の最大支
配因子であり、一般的にいって磁束密度が高いほど鉄損
特性が良好になる。なお、一般的に磁束密度を高くする
と二次再結晶粒が大きくなり、鉄損特性が不良となる場
合がある。これに対しては、磁区制御により、二次再結
晶粒の粒径に拘らず、鉄損特性を改善することができ
る。 【0003】この一方向性電磁鋼板は、最終仕上焼鈍工
程で二次再結晶を起こさせ、鋼板面に{110}、圧延
方向に<001>軸をもったいわゆるゴス組織を発達さ
せることにより製造されている。良好な磁気特性を得る
ためには、磁化容易軸である<001>軸を圧延方向に
高度に揃えることが必要である。このような高磁束密度
一方向性電磁鋼板の製造技術として代表的なものに田口
悟等による特公昭40−15644号公報及び今中拓一
等による特公昭51−13469号公報記載の方法があ
る。前者においてはMnS及びAlNを、後者ではMn
S、MnSe、Sb等を主なインヒビターとして用いて
いる。従って現在の技術においてはこれらインヒビター
として機能する析出物の大きさ、形態及び分散状態を適
正制御することが不可欠である。MnSに関して言え
ば、現在の工程では熱延前のスラブ加熱時にMnSを一
旦完全固溶させた後、熱延時に析出させる方法がとられ
ている。二次再結晶に必要な量のMnSを完全固溶する
ためには1400℃程度の温度が必要である。これは普
通鋼のスラブ加熱温度に比べて200℃以上も高く、こ
の高温スラブ加熱処理には以下に述べるような不利な点
がある。 【0004】1)方向性電磁鋼専用の高温スラブ加熱炉
が必要である。 2)加熱炉のエネルギー原単位が高い。 3)溶融スケール量が増大し、いわゆるノロかき出し等
にみられるように操業上の悪影響が大きい。 このような問題点を回避するためには、スラブ加熱温度
を普通鋼並みに下げればよいわけであるが、このことは
同時にインヒビターとして有効なMnSの量を少なくす
るかあるいはまったく用いないことを意味し、必然的に
二次再結晶の不安定化をもたらす。このため低温スラブ
加熱化を実現するためには何らかの形でMnS以外の析
出物などによりインヒビターを強化し、仕上焼鈍時の正
常粒成長の抑制を十分にする必要がある。このようなイ
ンヒビターとしては硫化物の他、窒化物、酸化物及び粒
界析出元素等が考えられ、公知の技術として例えば次の
ようなものがあげられる。 【0005】特公昭54−24685号公報ではAs、
Bi、Sn、Sb等の粒界偏析元素を鋼中に含有するこ
とによりスラブ加熱温度を1050〜1350℃の範囲
にする方法が開示された。特開昭52−24116号公
報ではAlの他、Zr、Ti、B、Nb、Ta、V、C
r、Mo等の窒化物生成元素を含有することによりスラ
ブ加熱温度を1100〜1260℃の範囲にする方法が
開示された。また、特開昭57−158322号公報で
はMn含有量を下げ、Mn/Sの比率を2.5以下にす
ることにより低温スラブ加熱化を行い、さらにCuの添
加により二次再結晶を安定化する技術が開示された。一
方、これらインヒビターの補強と組み合わせて金属組織
の側から改良を加えた技術も開示された。すなわち特開
昭57−89433号公報ではMnに加え、S、Se、
Sb、Bi、Pb、Sn、B等の元素を加え、これにス
ラブの柱状晶率と二次冷延圧下率を組み合わせることに
より1100〜1250℃の低温スラブ加熱化を実現し
ている。さらに特開昭59−190324号公報ではS
あるいはSeに加え、Al及びBと窒素を主体としてイ
ンヒビターを構成し、これに冷延後の一次再結晶焼鈍時
にパルス焼鈍を施すことにより二次再結晶を安定化する
技術が公開された。このように方向性電磁鋼板製造にお
ける低温スラブ加熱化実現のためには、これまでに多大
な努力が続けられてきている。 【0006】さて、先に特開昭59−56522号公報
において、Mnを0.08〜0.45%、Sを0.00
7%以下にすることにより低温スラブ加熱化を可能にす
る技術が開示された。この方法により高温スラブ加熱時
のスラブ結晶粒粗大化に起因する製品の線状二次再結晶
不良発生の問題が解消された。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】ところで、近年タービ
ン発電機用鉄心材料等の用途に、現用の高級無方向性電
磁鋼板にかわって、方向性電磁鋼板を用いたいというニ
ーズが高まってきた。上記用途に関していえば、他の無
方向性電磁鋼板の用途と比較して、一方向の磁気特性が
重要とされるため、方向性電磁鋼板を用いたいというニ
ーズが高まってきたわけである。 【0008】しかし、通常の酸洗ラインや、タンデム冷
延ラインでは、通板できる板厚に制限があり、厚い板厚
の冷延素材を通板すると破断が生じる可能性がある。そ
こで、0.5mm厚等の厚手材を1回冷延で製造しよう
とすると、冷延素材の板厚に上限があるため、冷延率を
低くとる必要が生じる。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明に従い、重量で
C:0.021〜0.075%、Si:2.5〜4.5
%、酸可溶性Al:0.010〜0.060%、N:
0.0030〜0.0130%、S+0.405Se:
0.014%以下、Mn:0.05〜0.8%を含有
し、残部がFe及び不可避的不純物からなるスラブを1
280℃未満の温度で加熱し、熱延し、熱延板焼鈍し、
引き続き圧下率60〜79%の冷延を行い、次いで脱炭
焼鈍、最終仕上焼鈍を施して0.4〜1.0mm厚の厚
手一方向性電磁鋼板を製造する方法において、熱延板焼
鈍を850〜1200℃とし、冷延のパス間の鋼板の温
度を250℃以下とし、脱炭焼鈍完了後、最終仕上焼鈍
開始までの間での一次再結晶粒の平均粒径を18〜30
μmとし、熱延後最終仕上焼鈍の二次再結晶開始までの
間に鋼板に窒化処理を施すことにより、磁気特性の優れ
た厚い板厚の一方向性電磁鋼板が安定して得られる。 【0010】 【作用】本発明が対象としている一方向性電磁鋼板は、
従来用いられている製鋼法で得られた溶鋼を連続鋳造法
或いは造塊法で鋳造し、必要に応じて分塊工程を挟んで
スラブとし、引き続き熱間圧延して熱延板とし、次いで
熱延板焼鈍を施し、圧下率60〜79%の冷延、脱炭焼
鈍、最終仕上焼鈍を順次行うことによって製造される。 【0011】本発明者らは、冷延素材の板厚制限のた
め、圧下率を低める必要が生じ、80%未満の圧下率で
磁気特性を良好ならしめる方策を広範にわたって検討し
た。その結果、冷延のパス間で板温を不必要に上げない
ことが圧下率80%未満の低冷延率で良好な磁気特性を
得るのに有効であるという知見を得た。以下、実験結果
を基に詳細に説明する。 【0012】図1は冷延時のパス間での鋼板の温度が製
品の磁束密度に与える影響を表したグラフである。ここ
では、C:0.045重量%、Si:3.25重量%、
酸可溶性Al:0.030重量%、N:0.0075重
量%、S:0.007重量%、Mn:0.14重量%を
含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる40mm
厚のスラブを1150℃に加熱し、6パスで2.0mm
厚の熱延板とした。 【0013】しかる後、この熱延板を1050℃に12
0秒保持する熱延板焼鈍を施し、次いで圧下率75%で
冷延し、0.50mm厚の冷延板とした。この時、板厚
1.5mm、1.0mmの時に50℃×5分(均
熱)、100℃×5分(均熱)、150℃×5分
(均熱)、200℃×5分(均熱)、250℃×5
分(均熱)、300℃×5分(均熱)、350℃×
5分(均熱)、時効処理なし、なる8種類の時効処理
を施した8種類の冷延板を作成した。次いで830℃に
400秒保持し、860℃に20秒保持する脱炭焼鈍を
施した。しかる後、750℃に30秒保持する熱処理
中、雰囲気ガス中にNH3 ガスを混入させ、鋼板に窒素
吸収を生ぜしめた。この時鋼板のN量は0.0194〜
0.0232重量%であった。この鋼板の板厚全厚での
一次再結晶粒の平均粒径を光学顕微鏡と画像解析機を用
いて測定したところ22〜25μmであった。次いで、
この窒化処理後の板にMgOを主成分とする焼鈍分離剤
を塗布し、最終仕上焼鈍を行った。 【0014】図1から明らかなようにパス間の鋼板温度
が250℃以下で良好な磁束密度が得られている。図1
に示した如き関係が成立する理由については必ずしも明
らかではないが、本発明者らは次のように推察してい
る。従来から、冷延率は冷延再結晶集合組織の支配因子
として知られており、特に二次再結晶方位に対する支配
因子として{110}<001>、{111}<112
>方位粒の存在量が重要である。再結晶集合組織中のこ
の{110}<001>方位粒は、60〜70%の圧下
率の時最大となり、70%超の圧下率範囲では圧下率が
高まるにつれ、減少していく。一方、再結晶集合組織中
の{111}<112>の方位粒は、約90%までの圧
下率範囲で、圧下率が高まるにつれ、増加する傾向があ
る。他方、冷延でのパス間時効は、冷延時変形帯の形成
を助長し、変形帯から核生する{110}<001>方
位粒を再結晶集合組織中で増加させる傾向がある。この
パス間時効は、その反面再結晶集合組織中での{11
1}<112>方位粒の存在量を減少させる傾向があ
る。従って、{110}<001>方位粒と{111}
<112>方位粒の再結晶集合組織中の存在量の観点か
らすると、パス間時効を施すことは、冷延率を低めたの
と同じ影響を与えることになる。このため、通常80%
以上の高冷延率で得られる再結晶集合組織に、80%未
満の低冷延率のものをできるだけ近づけるためには、本
発明のようにパス間時効の影響を極力排除することが有
効と考えられる。 【0015】次に本発明の構成要件の限定理由について
述べる。先ず、スラブの成分と、スラブ加熱温度及び熱
延板焼鈍温度に関して限定理由を詳細に説明する。Cは
0.021重量%(以下単に%と略述)未満になると二
次再結晶が不安定になり、かつ二次再結晶した場合でも
B8 >1.80(T)が得がたいので0.021%以上
とした。一方、Cが多くなり過ぎると脱炭焼鈍時間が長
くなり経済的でないので0.075%以下とした。 【0016】Siは4.5%を超えると冷延時の割れが
著しくなるので4.5%以下とした。また2.5%未満
では素材の固有抵抗が低すぎ、トランス鉄心材料として
必要な低鉄損が得られないので2.5%以上とした。望
ましくは3.2以上である。Alは二次再結晶の安定化
に必要なAlNもしくは(Al、Si)nitride
sを確保するため、酸可溶性Alとして0.010%以
上が必要である。酸可溶性Alが0.060%を超える
と熱延板のAlNが不適切となり、二次再結晶が不安定
になるので0.060%以下とした。 【0017】Nについては通常の製鋼作業では0.00
30%未満にすることが困難であり、かつ経済的に好ま
しくないので0.0030%以上とし、一方、0.01
30%を超えるとブリスターと呼ばれる“鋼板表面のふ
くれ”が発生するので0.0130%以下とした。Mn
S、MnSeが鋼中に存在しても、製造工程の条件を適
正に選ぶことによって磁気特性を良好にすることが可能
である。しかしながらSやSeが高いと線状細粒と呼ば
れる二次再結晶不良部が発生する傾向があり、この二次
再結晶不良部の発生を予防するためには(S+0.40
5Se)≦0.014%であることが望ましい。Sある
いはSeが上記値を超える場合には製造条件をいかに変
更しても二次再結晶不良部が発生する確率が高くなり好
ましくない。また最終仕上焼鈍で純化するのに要する時
間が長くなりすぎて好ましくなく、この様な観点からS
あるいはSeを不必要に増すことは意味がない。 【0018】Mnの下限値は0.05%である。0.0
5%未満では、熱間圧延によって得られる熱延板の形状
(平坦さ)、就中、ストリップの側縁部が波形状となり
製品歩留りを低下させる問題が発生する。一方、Mn量
が0.8%を超えると製品の磁束密度を低下させ、好ま
しくないので、Mn量の上限を0.8%とした。この
他、インヒビター構成元素として知られているSn、S
b、Cr、Cu、Ni、B、Ti等を微量に含有するこ
とはさしつかえない。 【0019】スラブ加熱温度は、普通鋼並にしてコスト
ダウンを行うという目的から1280℃未満と限定し
た。好ましくは1200℃以下である。引き続く熱延工
程は、通常100〜400mm厚のスラブを加熱した
後、いづれも複数回のパスで行う粗熱延と仕上熱延より
成る。方法については特に限定するものではなく通常の
方法で行われる。 【0020】焼延板焼鈍温度の下限値は850℃であ
る。850℃未満では、スラブ加熱時のスラブ台となる
炉中のスキッドによる冷却効果により発生する固溶Nの
スラブ長手方向でのバラツキを解消できないため、成品
磁性に影響する脱炭焼鈍後の一次再結晶粒径がコイル長
手方向内で大きく変動する結果、製品コイル長手方向で
の磁性変動が発生し、工業的に好ましくない。一方、1
200℃を超える温度では、焼鈍炉の損傷等が激しくな
り、工業的に好ましくないため、上限を1200℃とし
た。冷却条件については、特に限定するものではない
が、過度の急冷は、固溶C、N量が多くなりすぎる等の
理由で好ましくない。 【0021】冷延板の板厚を0.4〜1.0mmと規定
したのは、厚手一方向性電磁鋼板を得る本発明の目的の
ためである。また、1.0mm超では、脱炭焼鈍に時間
がかかりすぎて好ましくない。この圧下率を60〜79
%と規定したのは、冷延素材として厚すぎるものは、酸
洗ラインや、冷延ラインの通板時破断を生じやすいので
必然的に冷延率を低める必要があるためである。この上
限値は冷延素材の板厚制限からきており、一方、下限値
は磁束密度を高位に保つ必要から規定した。冷延のパス
間での鋼板の温度は、250℃以下とした。この温度を
超えると、図1に示した如く、パス間時効の影響が顕著
にでるので、本発明の如き低冷延率の場合には、かえっ
て磁束密度が低下する結果となり好ましくない。 【0022】この冷延の方式については特に限定するも
のではない。タンデム方式、リバース方式どちらでもよ
い。パス間の温度を250℃以下にしておけば十分であ
る。パス回数についても特に限定するものではないが、
不必要に100回以上もパス回数をとることは意味がな
い。かかる冷延後の鋼板は通常の方法で脱炭焼鈍、焼鈍
分離剤塗布、最終仕上焼鈍が施されて最終製品となる。
ここで脱炭焼鈍完了後、最終仕上焼鈍開始までの間の一
次再結晶粒の平均粒径を18〜30μmとしたのは、こ
の値の範囲でB8 (T)≧1.90なる良好な磁束密度
が得られるからである。 【0023】そして、熱延後最終仕上焼鈍の二次再結晶
開始までの間に鋼板に窒化処理を施すと規定したのは、
本発明の如き低温スラブ加熱を前提とするプロセスで
は、二次再結晶に必要なインヒビター強度が不足がちに
なるからである。窒化の方法としては特に限定するもの
ではなく、脱炭焼鈍後ひき続き焼鈍雰囲気にNH3 ガス
を混入させ窒化する方法、プラズマを用いる方法、焼鈍
分離剤に窒化物を添加し、最終仕上焼鈍の昇温中に窒化
物が分解してできた窒素を鋼板に吸収させる方法、最終
仕上焼鈍の雰囲気のN2 分圧を高めとし、鋼板を窒化す
る方法等いずれの方法でもよい。窒化量については特に
限定するものではないが、1ppm以上は必要である。 【0024】 【実施例】以下実施例を説明する。 実施例1 C:0.038重量%、Si:3.13重量%、Mn:
0.18重量%、S:0.007重量%、酸可溶性A
l:0.028重量%、N:0.0075重量%を含有
し、残部Fe及び不可避的不純物からなる40mm厚の
スラブを1150℃の温度で加熱した後、通常の方法で
熱延し、厚さ2.0mmの熱延板とした。 【0025】次に、この熱延板に1050℃に120秒
保持する熱延板焼鈍を施した後、圧下率75%で冷延
し、0.50mm厚の冷延板とした。この時、1.2m
m厚の時に、時効処理なし、100℃×5分(均
熱)、300℃×5分(均熱)なる3種類の時効処理
を施した3種類の冷延板を作成した。次いで830℃に
300秒保持し、870℃に20秒保持する脱炭焼鈍を
施した。しかる後770℃に30秒保持する熱処理中、
雰囲気ガス中にNH3 ガスを混入させ、鋼板に窒素吸収
を生ぜしめた。この時鋼板のN量は、0.0198〜
0.0233重量%であった。また、この鋼板の板厚全
厚での一次再結晶粒の平均粒径を光学顕微鏡と画像解析
機を用いて測定したところ23〜25μmであった。次
いでこの窒化処理後の鋼板にMgOを主成分とする焼鈍
分離剤を塗布し、公知の方法で最終仕上焼鈍を行った。 【0026】実験条件と製品の磁気特性を表1に示す。 【0027】 【表1】【0028】実施例2 C:0.049重量%、Si:3.28重量%、Mn:
0.13重量%、S:0.007重量%、酸可溶性A
l:0.028重量%、N:0.0077重量%を含有
し、残部Fe及び不可避的不純物からなる40mm厚の
スラブを1150℃の温度で加熱した後、厚さ2.3m
mの熱延板とした。次いで、この熱延板に1000℃に
120秒保持する熱延板焼鈍を施した後、圧下率78%
で同一方向に冷延し、0.50mm厚の冷延板とした。
その際、1.5mmと1.0mm厚の時に、時効処理
なし、300℃×5分(均熱)なる2種類の時効処理
を施した2種類の冷延板を作成した。次いで、830℃
に300秒保持し、880℃に20秒保持する脱炭焼鈍
を施した。しかる後、750℃に30秒保持する熱処理
中、雰囲気ガス中にNH3 ガスを混入させ、鋼板に窒素
吸収を生ぜしめた。この時鋼板のN量は0.0207〜
0.0230重量%であった。また、この鋼板の板厚全
厚での一次再結晶粒の平均粒径を光学顕微鏡と画像解析
機を用いて測定したところ24〜26μmであった。次
いでこの窒化処理後の鋼板にMgOを主成分とする焼鈍
分離剤を塗布し、公知の方法で最終仕上焼鈍を行った。 【0029】実験条件と製品の磁気特性を表2に示す。 【0030】 【表2】 【0031】実施例3 C:0.040重量%、Si:3.18重量%、Mn:
0.10重量%、S:0.006重量%、酸可溶性A
l:0.033重量%、N:0.0073重量%を含有
し、残部Fe及び不可避的不純物からなる30mm厚の
スラブを1150℃の温度で加熱した後、厚さ2.3m
mの熱延板とした。次いで、この熱延板に950℃に1
20秒保持する熱延板焼鈍を施した後、圧下率78%で
冷延し、0.50mm厚の冷延板とした。この時、1.
8mm、1.2mm、0.8mm厚の時に、50℃×
5分(均熱)300℃×5分(均熱)なる2種類の時
効処理を施した2種類の冷延板を作成した。次いで83
5℃に400秒保持する脱炭焼鈍を施した。しかる後、
750℃に30秒保持する熱処理中、雰囲気ガス中にN
H3 ガスを混入させ、鋼板に窒素吸収を生ぜしめた。こ
の時鋼板のN量は、0.0203〜0.0228重量%
であった。また、この鋼板の板厚全厚での一次再結晶粒
の平均粒径を光学顕微鏡と画像解析機を用いて測定した
ところ、22〜23μmであった。次いで、この窒化処
理後の鋼板にMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布
し、公知の方法で最終仕上焼鈍を行った。 【0032】実験条件と製品の磁気特性を表3に示す。 【0033】 【表3】 【0034】実施例4 C:0.045重量%、Si:3.00重量%、Mn:
0.15重量%、S:0.007重量%、可溶性Al:
0.030重量%、N:0.0060重量%、Sn:
0.050重量%を含有し、残部Fe及び不可避的不純
物からなる鋼スラブを、スキッドの有る加熱炉にて加熱
した。この時、スキッド上でのスラブ温度は1100℃
であり、スキッド間でのスラブ温度は1160℃であっ
た。その後、粗圧延、仕上圧延を経て、厚さ2.3mm
の熱延板とし、連続焼鈍炉にて焼鈍した。この時の焼鈍
温度として、950℃×120秒、800℃×12
0秒なる2種類の処理を施した。次いで、圧下率78%
で時効処理の無い冷延を行い、0.5mm厚の冷延板と
した後、840℃に350秒保持する脱炭焼鈍を施し
た。しかる後に750℃に30秒保持する熱処理中、雰
囲気ガス中にNH3 ガスを混入させ、鋼板に窒素吸収を
生ぜしめた。この時の鋼板の窒素量は0.0220〜
0.0230重量%であった。また、この鋼板の板厚全
厚での一次再結晶粒の平均粒径を光学顕微鏡と画像解析
機を用いて測定した所、の熱延板焼鈍条件材のスラブ
加熱炉スキッド上相当部位では20〜21μmであり、
スキッド間相当部位では21〜22μmであった。一
方、の熱延板焼鈍条件材のスラブ加熱炉スキッド上相
当部位では16〜17μmであり、スキッド間相当部位
では21〜22μmであった。次いで、この窒化処理後
の鋼板にMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、公
知の方法で最終仕上焼鈍を行った。 【0035】実験条件と製品の磁気特性を表4に示す。 【0036】 【表4】 【0037】 【発明の効果】以上説明したように、本発明において、
熱延板焼鈍温度・冷延パス間の鋼板の温度・脱炭焼鈍完
了後、最終仕上焼鈍開始迄の間での一次再結晶粒の平均
粒径を制御し、鋼板に窒化処理を施すことにより、低冷
延率で良好な磁気特性を有する厚い板厚の一方向性電磁
鋼板を得ることができるので、その工業的効果は極めて
大である。
度に与える影響を表したグラフである。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 重量でC:0.021〜0.075%、
Si:2.5〜4.5%、酸可溶性Al:0.010〜
0.060%、N:0.0030〜0.0130%、S
+0.405Se:0.014%以下、Mn:0.05
〜0.8%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物か
らなるスラブを1280℃未満の温度で加熱し、熱延
し、熱延板焼鈍し引き続き圧下率60〜79%の冷延を
行い、次いで脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍を施して0.4〜
1.0mm厚の厚手一方向性電磁鋼板を製造する方法に
おいて、850〜1200℃で熱延板焼鈍を施し、冷延
のパス間の鋼板の温度を250℃以下とし、脱炭焼鈍完
了後、最終仕上焼鈍開始までの間での一次再結晶粒の平
均粒径を18〜30μmとし、熱延後最終仕上焼鈍の二
次再結晶開始までの間に鋼板に窒化処理を施すことを特
徴とする磁気特性の優れた厚い板厚の一方向性電磁鋼板
の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP32206492A JP3474594B2 (ja) | 1992-12-01 | 1992-12-01 | 磁気特性の優れた厚い板厚の一方向性電磁鋼板の製造方法 |
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