JP2784687B2 - 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法Info
- Publication number
- JP2784687B2 JP2784687B2 JP2272459A JP27245990A JP2784687B2 JP 2784687 B2 JP2784687 B2 JP 2784687B2 JP 2272459 A JP2272459 A JP 2272459A JP 27245990 A JP27245990 A JP 27245990A JP 2784687 B2 JP2784687 B2 JP 2784687B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- rolling
- hot
- hot rolling
- grain
- temperature
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Manufacturing Of Steel Electrode Plates (AREA)
- Soft Magnetic Materials (AREA)
Description
の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法に関する。
器の鉄芯材料として使用され、励磁特性、鉄損特性等の
磁気特性に優れていることが要求される。
値)によって表される。鉄損特性は、周波数50Hzで1.7T
eslaまで鉄芯を磁化したときの鉄芯1kg当たりのエネル
ギーロスW17/50によって表される。一方向性電磁鋼板
の磁束密度は、鉄損特性の最大支配因子であり、一般的
に、磁束密度が高いほど鉄損特性が良好である(鉄損値
が低い)。また一般に、一方向性電磁鋼板の製造プロセ
スにおいて製品の磁束密度を高くすると、二次再結晶粒
が大きくなり鉄損特性が悪くなる場合がある。このよう
な、磁束密度が高く二次再結晶粒が大きな一方向性電磁
鋼板に対しては、磁区幅を細分化する磁区制御によって
二次再結晶粒の大きさに拘わりなく鉄損特性を良好なら
しめることができる。
再結晶を生成させ、鋼板面に{110}面を、圧延方向に
<001>軸を有する、所謂Goss組織を発達させることに
よって製造される。良好な磁気特性をもつ一方向性電磁
鋼板を得るためには、磁化容易軸である<001>軸を圧
延方向に高度に揃えることが必要である。
代表的なものとして、田口らによって特公昭40−15644
号公報に開示された技術或は今中らによって特公昭51−
13469号公報に開示された技術がある。前者においてはA
lNおよびMnSを、後者においてはMnS、MnSe、Sbを主なイ
ンヒビターとして機能させている。
ては、これらインヒビターとして機能する析出物の大き
さ、形態および分散状態を適正に制御することが不可欠
である。
階でMnSを一旦完全に固溶させた後、熱間圧延段階で析
出させる方法が採られている。二次再結晶においてイン
ヒビターとして機能するに必要な量のMnSを完全に固溶
させるためには、スラブを1400℃程度の高温に加熱しな
ければならない。このスラブ加熱温度は、普通鋼スラブ
の加熱温度よりも200℃以上も高く、このことに起因し
て以下のような問題がある。
する。
大し、ノロ掻きといった操業上困難な作業を余儀無くさ
れる。
メンテナンス・コストが上昇するのみならず、設備稼働
率を低下させ設備生産性を低くする。
通鋼並に低くすればよいのであるけれども、このこと
は、二次再結晶においてインヒビターとして機能するMn
Sの量を少なくするか或は全く用いないことを意味し、
必然的に二次再結晶の不安定化をもたらす。従って、ス
ラブ加熱温度を低くすることを実現するためには、MnS
以外の析出物によってインヒビターを強化し、仕上焼鈍
時に正常粒成長の抑制を十分にする必要がある。このよ
うなインヒビターとしては、硬化物のほか、窒化物、酸
化物および粒界析出元素等が考えられ、次のようなもの
が知られている。
界偏析元素を鋼中に含有させることによって、スラブ加
熱温度を1050〜1350℃とすることが開示されている。ま
た、特開昭52−24116号公報には、Alのほか、Zr、Ti、
B、Nb、Ta、V、Cr、Mo等の窒化物生成元素をスラブに
含有させることによって、スラブ加熱温度を1100〜1260
℃とすることが開示されている。さらに、特開昭57−15
8322号公報には、Mn含有量を低く、かつMn/Sを2.5以下
とすることによって、スラブ加熱温度を低くし、さらに
Cuの添加によって二次再結晶を安定化させることが開示
されている。一方、これらインヒビターの補強と組合せ
て金属組織の側から改良を加えた技術も開示された。即
ち、特開昭57−89433号公報には、Mnに加え、S、Se、S
b、Bi、Pb、B等の元素を加え、これにスラブの柱状晶
率と二次冷延圧下率を組合せることによって1100〜1250
℃の低温スラブ加熱化を実現している。さらに、特開昭
59−190324号公報には、S或はSeに加え、AlおよびBと
窒素を主体としてインヒビターを構成し、冷間圧延後の
一次再結晶焼鈍時にパルス焼鈍を材料に施すことによっ
て二次再結晶を安定化させる技術が開示されている。こ
のように、一方向性電磁鋼板の製造プロセスにおいて、
スラブ加熱温度を低くすべく、これまでに多大の努力が
払われてきた。
に、Mnを0.08〜0.45%、Sを0.007%以下とすることに
よって、低温スラブ加熱を可能にする技術を開示した。
この技術によって、高温スラブ加熱時の結晶粒粗大化に
起因する製品の線状二次再結晶不良の問題が解決され
た。
は、元来、製造コストの低減を目的とするものであるけ
れども、当然のことながら、良好な磁気特性をもつ製品
を安定して得ることができる製造プロセスでなければ工
業化はできない。他方、スラブ加熱温度を低くすると熱
間圧延温度が低下する等、熱間圧延条件の変更を伴う。
しかしながら、これまでのところ、熱間圧延条件を織り
込んだ低温スラブ加熱を前提とする一貫製造プロセス
は、検討さえも行なわれていなかった。
前提とする製造プロセスの場合、熱間圧延工程の冶金学
的な主たる役割は、 a)粗大結晶粒の再結晶による分断、 b)MnS、AlN等の微細析出或は析出抑制、 c)材料の剪断変形による{110}<001>方位粒の形
成、 の3点であった。
セスの場合、前記a)の機能は必要なく、b)に関して
は、本発明者等が特願平1−1778号に開示したように、
脱炭焼鈍後の金属組織を適切なものとすればよいので、
熱間圧延段階での析出物制御は必須ではない。従って、
従来の高温スラブ加熱を前提とする製造プロセスにおい
て必要であった熱間圧延条件の制約は、低温スラブ加熱
を前提とする製造プロセスの場合には少ないと言える。
スラブ加熱を前提とする製造プロセスにおいては実現不
可能であった、熱延板の金属組織を極限まで適切なもの
とする熱間圧延方法を検討した。たとえば、熱間圧延過
程の最終パス後の金属物理学現象に関しては、MnS、AlN
等の微細析出或は析出抑制が、従来の製造プロセスにお
いては最重要制御項目であり、他の現象はあまり顧みら
れなかった。
間圧延最終パス後の再結晶現象に着目し、この現象を利
用して熱延板の金属組織を制御し、低温スラブ加熱を前
提とする、80%超の圧下率を適用する最終強圧下冷間圧
延による製造プロセスにおいて、製品の磁気特性を良好
かつ安定なものとする製造方法を検討した。
えば、1300℃以上)スラブ加熱時の結晶粒の粗大成長に
起因する二次再結晶不良(圧延方向に連なった線状細粒
の発生)を防止するために、熱間圧延時、960〜1190℃
の温度域で1パス当たり30%以上の圧下率を適用する再
結晶化高圧下圧延を材料に施して、粗大結晶粒を分断す
る方法が、たとえば特公昭60−37172号公報に開示され
ている。確かに、この方法によって線状細粒の発生は減
少するけれども、この方法は高温スラブ加熱を前提とす
る製造プロセスにおけるものである。低温スラブ加熱
(1280℃未満)を前提とする製造プロセスの場合には、
前記高温スラブ加熱に起因する結晶粒の粗大化が起こら
ないから、粗大結晶粒を分断することを目的とする再結
晶化高圧下圧延は必要ではない。
る一方向性電磁鋼板の製造プロセスにおいて、スラブの
熱間圧延時に950〜1200℃の温度域で10%以上の圧下率
を適用して連続して圧延し、次いで3℃/s以上の冷却速
度で材料を冷却し、MnS、MnSeを均一微細に析出させる
ことによって、製品の磁気特性を向上させる方法が、た
とえば特開昭51−20716号公報に開示されている。
を抑制し、剪断変形によって形成される{110}<001>
方位粒が、引き続く再結晶によって減少するのを防止す
ることによって製品の磁気特性を向上させる方法が、た
とえば特公昭59−32526号公報、特公昭59−35415号公報
に開示されている。これらの方法においても、低温スラ
ブ加熱を前提とする、80%超の圧下率を適用する最終強
圧下冷間圧延による製造プロセスは、検討さえなされて
いない。また、C≦0.02重量%を含有する珪素鋼スラブ
の熱間圧延において、900℃以下の温度域での累積圧下
率を40%以上とすることによって、熱延板に歪を蓄積さ
せる低温大圧下圧延を材料に施し、引き続く熱延板焼鈍
での再結晶により超低炭素鋼特有の熱延再結晶の不足を
補う方法が、特公昭59−34212号公報に開示されている
けれども、この方法においては、低温熱間圧延は圧延機
の負荷が過大となり、また熱延板の形状(平坦さ)が不
良となり易く、さらに良好な磁気特性をもつ製品を安定
して得ることも容易でない。
下率を適用する最終強圧下冷間圧延による製造プロセス
によって、磁気特性に優れた一方向性電磁鋼板を安定し
て製造することができる方法を提供することを目的とす
る。
性Al:0.010〜0.060%、N:0.0030〜0.0130%、(S+0.4
05Se)≦0.014%、Mn:0.05〜0.8%を含有し、残部Feお
よび不可避的不純物からなるスラブを、1280℃未満の温
度に加熱し、熱間圧延し、次いで80%超の圧下率を適用
する1回の冷間圧延工程或は80%超の圧下率を適用する
最終冷間圧延を含む中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延
工程によって最終板厚とした後、脱炭焼鈍、仕上焼鈍を
施す一方向性電磁鋼板の製造方法において、熱間圧延終
了温度を900℃超1150℃未満とし、熱間圧延終了後少な
くとも1秒間800℃以上の温度域に保持し、700℃未満の
温度域で巻取ることを特徴とする磁気特性の優れた一方
向性電磁鋼板の製造方法。
率を50%以上としてなされるものである前項1記載の磁
気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法。
を20%以上としてなされるものである前項1または2記
載の磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法。
圧延の最終パス後の材料の再結晶現象に着目し、この現
象を利用して、低温スラブ加熱を前提とする、80%超の
圧下率を適用する最終強圧下冷間圧延による製造プロセ
スによって磁気特性に優れた一方向性電磁鋼板を安定し
て製造する方法を確立すべく研究を重ね、本発明を完成
するに至ったものである。
れている製鋼法によって得られる溶鋼を、連続鋳造して
直接にスラブとするか或は溶鋼を鋳型に注入、凝固させ
て鋼塊とし、これを分塊圧延してスラブとし、次いで熱
間圧延して熱延板とした後、必要に応じて焼鈍を施し
て、次いで80%超の圧下率を適用する1回の冷間圧延工
程或は80%超の圧下率を適用する最終冷間圧延工程を含
む中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延によって最終板厚
とした後、脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍を施すプロセスによ
って製造される。
結晶現象に注目して、種々の観点から広範囲に亘って研
究を進めた結果、仕上熱間圧延の最終パス後の材料の再
結晶現象と製品の磁気特性が密接に関係していることを
見出した。
説明する。
800℃以上の温度域に材料(鋼板)が保持される時間が
製品の磁束密度に与える影響を示すグラフである。
性Al:0.026%、N:0.0078%、S:0.007%、Mn:0.14%を含
有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる20〜60mm厚
さのスラブを、1100〜1280℃に加熱して熱間圧延し、6
パスで2.3mm厚さの熱延板とした。熱間圧延後材料を直
ちに水冷、熱間圧延後一定時間空冷後水冷、熱間圧延後
空冷等種々の冷却を材料に施し、550℃で冷却を終了し
た。550℃の温度に1時間保持した後、炉冷する巻取り
シミュレーションを行なった。次いで、この熱延板に、
1100℃の温度に30秒間保持した後900℃まで徐冷し、然
る後急冷する熱延板焼鈍を施し、次いで約88%の圧下率
を適用する最終強圧下冷間圧延を施して0.285mmの厚さ
の最終板厚とした。その後、冷延板を830〜1000℃の温
度域で脱炭焼鈍した後、MgOを主成分とする焼鈍分離剤
を塗布し、次いで最終仕上焼鈍を施した。
℃超、1150℃未満であり、かつ熱間圧延終了後少なくと
も1秒間800℃以上の温度域に熱延板を保持する場合
に、B8≧1.88Tの高い磁束密度をもつ製品が得られる。
た。
良好であった、熱間圧延終了温度が900℃超、1150℃未
満であり、かつ熱間圧延終了後少なくとも1秒間800℃
以上の温度域に熱延板を保持する場合における、仕上熱
間圧延の最終3パスの累積圧下率と製品の磁束密度の関
係を示すグラフである。第2図から明らかなように、仕
上熱間圧延の最終3パスの累積圧下率が50%以上の場合
に、B8≧1.90Tの高い磁束密度をもつ製品が得られる。
本発明者等は、この新しい知見をさらに詳細に検討し
た。
良好であった、熱間圧延終了温度が900℃超、1150℃未
満であり、かつ熱間圧延終了後少なくとも1秒間800℃
以上の温度域に熱延板を保持し、かつ仕上熱間圧延の最
終3パスの累積圧下率を50%以上とする場合における、
仕上熱間圧延の最終パスの圧下率と製品の磁束密度の関
係を示すグラフである。第3図から明らかなように、仕
上熱間圧延の最終パスの圧下率が20%以上の場合、B8≧
1.92Tの高い磁束密度をもつ製品が得られる。
材料(鋼板)を保持する時間、仕上熱間圧延の最終3パ
スの累積圧下率、仕上熱間圧延の最終パスの圧下率と製
品の磁束密度の間に、第1図、第2図および第3図に示
す関係が存在する理由については必ずしも明らかではな
いけれども、本発明者等は次のように推察している。
スラブ熱間圧延時に、材料表層での剪断変形によって形
成されると考えられており、熱延板での{110}<001>
方位粒を冷延再結晶後に富化するためには、熱延板の
{110}<001>方位粒を粗粒とし、かつ歪の少ない状態
にすることが有効であると考えられている。
延板の結晶粒は小さいが、歪が少ない状態になってお
り、これが熱間圧延焼鈍後にも継承され、{110}<001
>方位粒を冷間圧延、再結晶後に富化する点において、
粒径の点では不利であるけれども歪の点で有利であり、
結果的には脱炭焼鈍後の状態で{110}<001>方位粒に
影響を与えない。
{100}<025>、{100}<025>は、{110}<001>方
位二次再結晶粒の粒成長に影響を与える方位として知ら
れており、{111}<112>方位粒が多いほど、{100}
<025>方位粒が少ないほど、{110}<001>方位二次
再結晶粒の粒成長が容易になると考えられる。
率を適用する圧延を行うことによって、最終パス後に引
き続く再結晶における核生成サイトが増加して再結晶が
進み、結晶粒も微細化される。次いで、熱延板に焼鈍を
施すと、熱延板の状態で核化状態となっていた多数の粒
が再結晶粒となり、熱延板で微細な再結晶粒となってい
たものとともに鋼板全体を占め、結果的には微細な結晶
粒で占められた金属組織となる。
延、再結晶させると、冷間圧延前の粒径が小さいために
粒界近傍から{111}<112>方位の核が多発し、粒内か
ら核発生する{100}<025>方位の核が相対的に減少す
る。
後に引き続く再結晶によって、熱延板が低歪で、かつ多
数の再結晶粒が発生するから結晶粒径が小さい状態とな
り、この影響が引き続く熱延板焼鈍、冷間圧延、脱炭焼
鈍後にまで引き継がれ、脱炭焼鈍板の状態で、{110}
<001>方位粒に影響を与えることなく、{110}<001
>方位粒の粒成長に有利な{111}<112>方位粒を増加
させ、{110}<001>方位粒を成長を妨げる{100}<0
25>方位粒を減少させることに成功した。これにより、
良好な磁気特性をもつ製品を安定して得ることが可能と
なった。
由を詳細に説明する。
でないので0.020%以下とした。
で、4.5%以下とした。また、2.5%未満では素材の固有
抵抗が低すぎ、トランス鉄心材料として必要な低鉄損が
得られないので2.5%以上とした。望ましくは3.2%以上
である。
は(Al,Si)nitridesを確保するため、酸可溶性Alとし
て0.010%以上が必要である。酸可溶性Alが0.060%を超
えると熱延板のAlNが不適切となり二次再結晶が不安定
になるので0.060%以下とした。
ことが困難であり、これ未満にすることは経済的に好ま
しくないので0.0030%以上とし、また、0.0130%を超え
るとブリスターと呼ばれる“鋼板表面のふくれ”が発生
するので0.0130以下とした。
に選ぶことによって磁気特性を良好にすることが可能で
ある。しかしながらSやSeが高いと線状細粒と呼ばれる
二次再結晶不良部が発生する傾向があり、この二次再結
晶不良部の発生を予防するためには(S+0.405Se)≦
0.014%であることが望ましい。SあるいはSeが上記値
を超える場合には製造条件をいかに変更しても二次再結
晶不良部が発生する確率が高くなり好ましくない。また
最終仕上焼鈍で純化するのに要する時間が長くなりすぎ
て好ましくなく、このような観点からSあるいはSeは不
必要に増すことは意味がない。
延によって得られる熱延板の形状(平坦さ)、就中、ス
トリップの側縁部が波形状となり製品歩留りを低下させ
る問題を生じる。一方、Mn量が0.8%を超えると製品の
磁束密度を低下せしめる。
うという目的から1280℃未満と限定した。好ましくは12
00℃以下である。
る。本発明の特徴はこの熱延工程にある。つまり熱延終
了温度を900℃超、1150℃未満とし、熱延終了後少くと
も1秒間800℃以上の温度に保持し、巻取温度を700℃未
満とする。さらにこれに加えて、仕上熱間圧延の最終3
パスの累積圧下率を50%以上とすることが良好な磁気特
性を得る上で一層好ましい。さらに加えて、仕上熱間圧
延の最終パスの圧下率が20%以上であることが良好な磁
気特性を得る上で一層好ましい。
いづれも複数回のパスで行う粗圧延と仕上圧延よりな
る。粗圧延の方法については特に限定するものではな
く、通常の方法で行われる。本発明の特徴は粗圧延に引
き続く仕上圧延にある。仕上圧延は通常4〜10パスの高
速連続圧延で行われる。通常仕上圧延の圧下配分は前段
が圧下率が高く、後段に行くほど圧下率を下げて形状を
良好なものとしている。圧延速度は通常100〜3000m/min
となっており、パス間の時間は0.01〜100秒となってい
る。本発明で限定しているのは、熱延終了温度と熱延後
の冷却と巻取温度と仕上圧延の最終3パスの累積圧下率
とさらに加えて仕上圧延の最終パスの圧下率だけであ
り、その他の条件は特に限定するものではないが、前記
最終3パスのパス間時間を1000秒以上と異常に長くとる
とパス間の回復、再結晶で歪が解放され、累積歪の効果
が得られにくくなるので好ましくない。その他、仕上圧
延前段の数パスでの圧下率については、最終パスまで加
えた歪が残っていることが期待しにくいので特に限定せ
ず、最終3パスだけを重視すれば十分である。
後少なくとも1秒間800℃以上の温度に保持すると規定
したのは、第1図から明らかなようにこの範囲でB8≧1.
88(T)の良好な磁束密度B8をもつ製品が得られるため
である。なお、熱延終了鋼板が800℃以上に保持される
時間の上限値については得に限定するものではないが、
通常、熱延終了後巻取られるまでの時間が0.1〜1000秒
程度であり、1000秒以上鋼板をストリップ状で800℃以
上に保持することは設備の点で困難である。
却時のコイル内の熱履歴の差に起因して、コイル内にAl
N等の析出状態のバラツキ、表面脱炭状態のバラツキ、
金属組織のバラツキ等が生じ、製品の磁気特性にバラツ
キが生じて好ましくないので、700℃未満としなければ
ならない。
下率を50%以上とすると規定したのは、第2図より明ら
かなように、この範囲でB8≧1.90(T)の良好な磁束密
度B8をもつ製品が得られるためである。なお、前記最終
3パスの累積圧下率の上限については特に限定するもの
ではないが、工業的には99.9%以上の累積圧下を加える
ことは困難である。またさらに好ましくは前記最終パス
の圧下率を20%としたのは第3図から明らかなようにこ
の範囲において、B8≧1.92(T)の一層良好な磁束密度
B8をもつ製品が得られるためである。なお、前記最終パ
スの圧下率の上限は特に限定するものではないが、工業
的には90%以上の圧下を加えることは困難である。
で、圧下率80%超の最終冷延を含み、必要に応じて中間
焼鈍をはさむ2回以上の冷延を施す。最終冷延の圧下率
を80%超としたのは、圧下率を上記範囲とすることによ
って、脱炭板において尖鋭な{110}<001>方位粒と、
これに蚕食され易い対応方位粒({111}<112>方位粒
等)を適正量得ることができ、磁束密度を高める上で好
ましいためである。
布、仕上焼鈍を施されて最終製品となる。なお脱炭焼鈍
後の状態で、二次再結晶に必要なインヒビター強度が不
足している場合には、仕上焼鈍等においてインヒビター
を強化する処理が必要となる。インヒビター強化法の一
例としては、Alを含有する鋼において仕上焼鈍雰囲気ガ
スの窒素分圧を高めに設定する方法等が知られている。
引き続いてNH3ガス、プラズマ等を用いてストリップ状
で窒化処理を施す方法も有効である。
0.005重量%、酸可溶性Al:0.027重量%、N:0.0079重量
%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる40mm
厚のスラブを、1150℃の温度で加熱した後1070℃で熱延
を開始し、40→15→7→3.5→3→2.6→2.3(mm)なる
パススケジュールで熱延して2.3mm厚の熱延板とした。
この時熱延終了温度は913℃であり、引き続き0.2秒空
冷した後(911℃)に200℃/秒の冷速で550℃まで水冷
し550℃に1時間保持した後炉冷する巻取りシミュレー
ション、5秒空冷した後(860℃)に100℃/秒の冷速
で550℃まで水冷し、550℃に1時間保持した後炉冷する
巻取りシミュレーションを施した。この熱延板に、1080
℃に30秒保持し、次いで、900℃に30秒保持し、急冷す
る熱延板焼鈍を施し、次いで圧下率約88%で0.285mm厚
の冷延板とし、830℃で150秒保持する脱炭焼鈍を施し
た。得られた脱炭焼鈍板をN225%、H275%の雰囲気ガス
中にNH3ガスを混入させた雰囲気ガス中で750℃に30秒保
持して、鋼板に窒素を吸収させた。窒素吸収後の窒素は
0.0195重量%であった。次いでMgOを主成分とする焼鈍
分離剤を鋼板に塗布し、N225%、H275%の雰囲気ガス中
で10℃/時の速度で1200℃まで昇温し、引き続きH2100
%雰囲気ガス中で1200℃で20時間保持する最終仕上焼鈍
を行った。
0.007重量%、酸可溶性Al:0.034重量%、N:0.0083重量
%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる26mm
厚のスラブを、1150℃の温度で加熱した後6パスで熱延
して2.3mm厚の熱延板とした。この時圧下配分を26→15
→10→7→5→2.8→2.3(mm)とし、熱延開始温度を
1050℃、900℃の2条件とした。熱延終了後3秒空冷
した後に100℃/秒の冷速で550℃まで水冷し、550℃に
1時間保持した後炉冷する巻取りシミュレーションを施
し、引き続く最終仕上焼鈍までの工程条件は実施例1と
同じ条件で行った。
0.006重量%、酸可溶性Al:0.028重量%、N:0.0082重量
%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる40mm
厚のスラブを、1150℃の温度で加熱した後1050℃で熱延
を開始し、40→30→20→10→5→3→2(mm)とし、熱
延終了後2秒空冷後100℃/秒で550℃まで水冷し、55
0℃で1時間保持した後炉冷、2秒空冷後50℃/秒で7
50℃まで水冷し、750℃で1時間保持した後炉冷なる2
条件で冷却した。この熱延板に1080に30秒保持し、次い
で900℃に30秒保持し、急冷する熱延板焼鈍を施し、引
き続く最終仕上焼鈍までの工程条件は実施例1と同じ条
件で行った。
0.006重量%、酸可溶性Al:0.034重量%、N:0.0081重量
%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる40mm
厚のスラブを、1100℃の温度で加熱した後1050℃で熱延
を開始し、6パスで熱延して2.3mm厚の熱延板とした。
この時圧下配分を40→15→7→3.5→3→2.6→2.3(m
m)、40→26→18→12→6→3.2→2.3(mm)、40→2
8→20→16→9.2→4.6→2.3(mm)の3条件とした。熱延
後の冷却を実施例2と同じ条件で行った。この熱延板に
1050℃に30秒保持し、900℃に30秒保持する熱延板焼鈍
を施し、圧下率約85%で0.335mm厚の冷延板とし、引き
続き最終仕上焼鈍までの工程条件を実施例1と同じ条件
で行った。
と熱延終了後鋼板を800℃以上に保持する時間および熱
延後の巻取温度、さらに好ましくは熱延最終3パスの累
積圧下率、またさらに好ましくは熱延の最終パスの圧下
率を制御することにより、低Cの素材での低温スラブ加
熱を前提とする製造方法で良好な磁気特性を安定して得
ることができるので、一方向性電磁鋼板の製造方法とし
ての工業的効果は極めて大である。
板が保持された時間と製品の磁束密度との関係を表した
グラフであり、第2図は仕上熱延最終3パスの累積圧下
率と磁束密度との関係を表したグラフであり、第3図は
仕上熱延の最終パスの圧下率と磁束密度との関係を表し
たグラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】重量で、C≦0.020%、Si:2.5〜4.5%、酸
可溶性Al:0.010〜0.060%、N:0.0030〜0.0130%、(S
+0.405Se)≦0.014%、Mn:0.05〜0.8%を含有し、残部
Feおよび不可避的不純物からなるスラブを、1280℃未満
の温度に加熱し、熱間圧延し、次いで80%超の圧下率を
適用する1回の冷間圧延工程或は80%超の圧下率を適用
する最終冷間圧延を含む中間焼鈍を挟む2回以上の冷間
圧延工程によって最終板厚とした後、脱炭焼鈍、仕上焼
鈍を施す一方向性電磁鋼板の製造方法において、熱間圧
延終了温度を900℃超1150℃未満とし、熱間圧延終了後
少なくとも1秒間800℃以上の温度域に保持し、700℃未
満の温度域で巻取ることを特徴とする磁気特性の優れた
一方向性電磁鋼板の製造方法。 - 【請求項2】熱間圧延が、仕上熱間圧延の最終3パスの
圧下率を50%としてなされるものである請求項1記載の
磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法。 - 【請求項3】熱間圧延が、仕上熱間圧延の最終パスの圧
下率を20%以上としてなされるものである請求項1また
は2記載の磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2272459A JP2784687B2 (ja) | 1990-10-12 | 1990-10-12 | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2272459A JP2784687B2 (ja) | 1990-10-12 | 1990-10-12 | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04154914A JPH04154914A (ja) | 1992-05-27 |
JP2784687B2 true JP2784687B2 (ja) | 1998-08-06 |
Family
ID=17514210
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2272459A Expired - Lifetime JP2784687B2 (ja) | 1990-10-12 | 1990-10-12 | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2784687B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100289683B1 (ko) * | 1996-03-20 | 2001-05-15 | 에모또 간지 | 자기 특성이 우수한 일방향성 규소강판 제조방법 |
PL1752549T3 (pl) * | 2005-08-03 | 2017-08-31 | Thyssenkrupp Steel Europe Ag | Sposób wytwarzania taśmy elektrotechnicznej o zorientowanych ziarnach |
SI1752548T1 (sl) * | 2005-08-03 | 2016-09-30 | Thyssenkrupp Steel Europe Ag | Metoda za proizvodnjo magnetnega zrnato usmerjenega jeklenega traku |
JP4608467B2 (ja) * | 2006-07-11 | 2011-01-12 | 新日本製鐵株式会社 | 電磁鋼板の製造方法 |
-
1990
- 1990-10-12 JP JP2272459A patent/JP2784687B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04154914A (ja) | 1992-05-27 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2620438B2 (ja) | 磁束密度の高い一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
EP0477384A1 (en) | Process for producing unidirectional magnetic steel sheet excellent in magnetic characteristics | |
JP3008003B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP2784687B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP2607331B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH08269571A (ja) | 一方向性電磁鋼帯の製造方法 | |
JP3357603B2 (ja) | 極めて鉄損の低い高磁束密度方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP2787776B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP2521585B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP4206538B2 (ja) | 方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP2002105537A (ja) | 耳割れが少なくかつ被膜特性が良好な磁気特性に優れる高磁束密度方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH07118746A (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の安定製造方法 | |
JP3474594B2 (ja) | 磁気特性の優れた厚い板厚の一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP3390108B2 (ja) | 磁束密度の高い一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH07122095B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH0788531B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH05230534A (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP2948455B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の安定製造方法 | |
JP2883224B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
KR970007162B1 (ko) | 철손 특성이 우수한 저온 스라브 가열방식의 방향성 전기강판의 제조방법 | |
JPH06306474A (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP3485409B2 (ja) | 一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH04362133A (ja) | 磁気特性の優れた厚い板厚の一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH086139B2 (ja) | 磁気特性の優れた厚い板厚の一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH02263924A (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080529 Year of fee payment: 10 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090529 Year of fee payment: 11 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100529 Year of fee payment: 12 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100529 Year of fee payment: 12 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110529 Year of fee payment: 13 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term | ||
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110529 Year of fee payment: 13 |