JP4206538B2 - 方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、方向性電磁鋼板に係り、とくに長手方向に均質で、かつ良好な電磁特性を有する方向性電磁鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
方向性電磁鋼板は、主として変圧器の積層鉄心または巻鉄心や、その他の電気機器の鉄心材料として使用されている。そのため、磁気特性として磁束密度が高く、鉄損値が低いことが重要となる。磁気特性を高めるためには、2次再結晶を利用して、磁化容易軸である<001 >軸が圧延方向に高度に揃った、{110 }<001 >方位(いわゆるゴス方位)の結晶方位を成長させることが重要である。
【0003】
このため、方向性電磁鋼板の一般的な製造方法では、スラブを高温に加熱後、熱間圧延して熱延板とし、ついでこの熱延板を1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延によって最終板厚とし、脱炭焼鈍後、焼鈍分離剤を塗布してから、2次再結晶および純化を目的として最終仕上焼鈍を行うという、複雑な工程が採られている。
【0004】
このような2次再結晶を効率よく促進させるためには、まずゴス方位以外の1次再結晶粒の成長を抑制する、インヒビターと呼ばれる析出分散相を均一かつ適正な大きさで鋼中に分散析出させることが重要となる。インヒビターの代表的なものとして、MnS 、MnSe、AlN 、BN等が挙げられる。
インヒビターを、均一かつ適正な大きさに分散析出させるために、従来から熱間圧延前のスラブ加熱時にインヒビターを一旦完全に固溶させたのち、熱間圧延時に析出させる方法が行われてきた。
【0005】
一方、工場で製造される方向性電磁鋼板は、磁気特性が優れているとともに、鋼板の長手方向における磁気特性のばらつきが少なく、均質であることが要求される。
このような要求に対し、例えば、特公平6-13734 号公報には、Mo、Sbを含みさらにS、Seのいずれか1種または2種を含有する珪素鋼スラブを、1250℃以上の高温加熱を施す際に、スラブの長手方向に対し、10〜100 ℃の範囲において、熱延時の被圧延材の先端側を低く、後端側に向かって高くなる連続的な温度勾配を設けるとともに、スラブ上、下面の相対する位置での温度差を70℃以上に抑制する一方向性珪素鋼用スラブの加熱方法が提案され、この方法によれば、コイル長手方向における特性差の大幅な軽減が図れるとしている。
【0006】
また、特開平4-301035号公報には、熱間圧延工程における仕上圧延温度の調整を、熱間圧延仕上圧延機前段までの冷却手段によって行う長手方向の磁気特性が均一な方向性珪素鋼板の製造方法が提案されている。この方法では、スラブの高温加熱を前提として、仕上前段までの制御冷却により、固溶したインヒビターの、コイル長手方向における均一析出により、磁気特性の均一化を図ることを意図している。
【0007】
しかしながら、特公平6-13734 号公報、特開平4-301035号公報に記載された技術では、鋼板長手方向の特性は均一化するが、インヒビターを十分に固溶させるためにスラブの高温加熱を必要としている。
インヒビターを十分に固溶させるためのスラブ加熱温度は、1400℃程度であり、普通鋼の加熱温度にくらべ約200 ℃も高い。このような高温加熱は、エネルギーコストが高いうえ、表面欠陥が発生し易いという問題を有している。さらに、最近では省エネルギーの観点からも方向性電磁鋼板の製造においてスラブ加熱の低温化が指向されている。
【0008】
例えば、特開昭57-207114 号公報には、スラブ加熱温度の低温化と、素材の極低炭素化(C:0.002 〜0.010 %)とを組合せた電磁鋼板の製造方法が開示されている。この技術は、スラブ加熱温度が低い場合には、凝固から熱延までの間にオーステナイト相を経由しない方がその後の2次再結晶に有利であるとの考えに基づく技術である。しかし、このようにC量が極端に低いと、2次再結晶が不安定となるという問題があった。
【0009】
このような問題に対し、例えば、特開昭62-40315号公報には、スラブ加熱時に固溶しえない量のAl、Nを含有させ、途中工程での窒化によりインヒビターを適正状態に制御する方法が開示されている。また、特開平8-32928 号公報には、脱炭焼鈍工程における均熱前段での滞留時間をa、均熱後段での滞留時間をbとした場合、b≦a/3とするとともに、均熱後段での雰囲気中のPH2O /PH2を0.02以下とすることにより、仕上焼鈍時の窒化を促進し磁気特性を向上させる方法が開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した、特開昭57-207114 号公報、特開昭62-40315号公報、特開平8-32928 号公報に記載された技術では、途中工程で窒化を施す必要があり、新たな設備を必要としコストが増大するという問題に加えて、窒化の制御が困難であるという問題があった。また、これらの技術では、鋼板長手方向の磁気特性が必ずしも安定して均質化できないという問題もあった。
【0011】
本発明は、上記した従来技術の問題を解決し、スラブ加熱温度が普通鋼並に低温とすることができ、しかも鋼板長手方向の磁気特性が均質な方向性電磁鋼板を、途中工程での窒化を施さずに、工業的に安定して製造できる方向性電磁鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、スラブ加熱温度を普通鋼並に低温としても、鋼板の磁気特性を高く保持でき、しかも鋼板長手方向に均質とするために、種々の要因について検討した。本発明者らは、熱延板焼鈍以降の製造工程でインヒビターの抑制力を制御することにより、2次再結晶を好適なものとすることが可能であるはずであるが、実際問題として、熱延板焼鈍以降の製造工程で鋼板長手方向の製造条件を動的に制御することは、とくに連続焼鈍炉では困難であることに想到した。
【0013】
そこで、鋼板長手方向に均質な磁気特性を得るためには、熱間圧延の仕上圧延における鋼板長手方向の温度分布が重要であることに注目した。
従来の熱間圧延では、仕上圧延機入側における板温度(FET)はシートバーの先端部が高く、後端部ほど低いといった、図2に示すような温度分布を示すのが通常である。このようなシートバーの長手方向の温度分布をさらに多数のシートバーについて調査し、シートバー長手方向におけるFETの最高温度と最低温度との差、ΔFETを求め、図3にその分布を示す。図3から、通常の熱間圧延では、ΔFETは50〜90℃の範囲内となることがわかる。
【0014】
そこで、本発明者らは、このようなシートバー長手方向の温度分布の存在は、仕上圧延中のインヒビターの析出状態に大きく影響し、とくにスラブ低温加熱の場合に磁気特性のばらつきを大きくするものと考え、方向性電磁鋼板の鉄損W17/50 とFETとの関係について調査した。
その結果、スラブ低温加熱という条件下において、鋼板の磁気特性が良好でしかも鋼板長手方向で均質とするためには、(イ)AlおよびN含有量を適正範囲内に調整すること、(ロ)高温加熱材に比べSおよびSe含有量を低減すること、さらに(ハ)仕上圧延機入側の被圧延材温度(FET)のばらつきを適正温度範囲内とすること、を組合せることが重要であるという知見を得た。さらに、FETのばらつきの許容温度範囲は、通常の熱間圧延操業では達成できないほどの狭い範囲であり、スラブ加熱を調整してスラブ長手方向における最先端側と最後端側の温度差を適正温度範囲内とすることに加えて、さらに被圧延材の長手方向でのFETを仕上圧延前に制御冷却等により、適正温度範囲内に調整することが必要であるという新規な知見を得た。
【0015】
まず、本発明者らが行った実験結果について説明する。
C:0.04〜0.06%、Si:3.0 〜3.2 %、Mn:0.07〜0.09%、Al:0.008 〜0.012 %、N:0.004 〜0.007 %、SおよびSeの合計が0.0050〜0.0080%、Sb:0.014 〜0.016 %の範囲で含有する方向性電磁鋼スラブ(N数=30)を、1000〜1240℃に均一加熱したのち、熱間圧延により2.2mm 厚の熱延板とした。ついで、これら熱延板に1000℃×60sec の熱延板焼鈍を施し、酸洗および冷間圧延を順次施して0.34mm厚の冷延板とした。これら冷延板を脱脂したのち、均熱温度が700 〜950 ℃とする脱炭焼鈍を行い、MgO を主体とする焼鈍分離剤を塗布して仕上焼鈍を行った。このようにして得た製品板について、鉄損W17/50 を測定した。なお、FETは鉄損測定用試験片の採取箇所の値を用いた。
【0016】
鉄損W17/50 とFETの関係を図1に示す。
低鉄損となるFETには1000℃を中心とした好適範囲があり、この範囲は40℃という狭い範囲であり、この好適範囲を両側に外れると鉄損はいずれも高くなり、磁気特性は劣化する。FETが、好適範囲より高い温度側となると、インヒビターであるAlN の抑制効果が大きすぎ、また、反対に低い温度側となると、AlN が粗大析出するため、磁気特性が劣化するものと考えられる。
【0017】
このように、スラブ加熱温度を低温とする製造条件下においても、熱間圧延の仕上圧延機入側において、シートバー(被圧延材)のFETを好適範囲内に調整することにより、良好な磁気特性と、鋼板長手方向の磁気特性のばらつきが少ない方向性電磁鋼板を製造できるという知見を得た。
本発明は、上記した知見に基づいて完成されたものである。
【0018】
すなわち、本発明は、重量%で、C:0.02〜0.15%、Si:2.0 〜4.5 %、Mn:0.03〜2.5 %、Al:0.005 〜0.050 %、N:0.003 〜0.013 %を含み、さらにSおよびSeのうちの1種または2種:0.02%以下、およびSb:0.003 〜0.3 %、Sn:0.003 〜0.3 %、Ge:0.003 〜0.3 %、Bi:0.003 〜0.3 %のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、あるいはさらにCu:0.003 〜0.3 %、Cr:0.003 〜0.6 %のうちの1種または2種を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる方向性電磁鋼スラブを、1280℃以下の温度に加熱し、熱間粗圧延および仕上圧延により熱延板としたのち、該熱延板に熱延板焼鈍を施し、ついで冷間圧延により最終板厚の冷延板とし、該冷延板に湿水素中で脱炭焼鈍を施し、ついでMgO を主体とする焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍を行う方向性電磁鋼板の製造方法において、前記方向性電磁鋼スラブを加熱するに際し、該方向性電磁鋼スラブの温度を、スラブの熱間圧延での長手方向最先端部の温度と最後端部の温度との差が50〜150 ℃の範囲となり、かつ長手方向最後端部の温度が最先端部の温度より高くなるように調整することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法である。
【0020】
また、本発明では、重量%で、C:0.02〜0.15%、Si:2.0 〜4.5 %、Mn:0.03〜2.5 %、Al:0.005 〜0.050 %、N:0.003 〜0.013 %を含み、さらにSおよびSeのうちの1種または2種:0.02%以下、およびSb:0.003 〜0.3 %、Sn:0.003 〜0.3 %、Ge:0.003 〜0.3 %、Bi:0.003 〜0.3 %のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、あるいはさらにCu:0.003 〜0.3 %、Cr:0.003 〜0.6 %のうちの1種または2種を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる方向性電磁鋼スラブを、1280℃以下の温度に加熱し、熱間粗圧延および仕上圧延により熱延板とし、該熱延板に熱延板焼鈍を施し、ついで冷間圧延により最終板厚の冷延板としたのち、該冷延板に湿水素中で脱炭焼鈍を施し、ついでMgO を主体とする焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍を行う方向性電磁鋼板の製造方法において、前記方向性電磁鋼スラブを加熱するに際し、該方向性電磁鋼スラブの温度を、スラブの熱間圧延での長手方向最先端部の温度と最後端部の温度との差が50〜150 ℃の範囲になり、かつ長手方向最後端部の温度が最先端部の温度より高くなるように調整し、さらに、前記仕上圧延を施すに際し、仕上圧延機の入側における被圧延材の温度が、長手方向における最高温度と最低温度との差が40℃以内となるように調整することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の方向性電磁鋼板の製造方法の限定理由について説明する。
まず、本発明で使用する方向性電磁鋼スラブの成分組成範囲の限定理由について述べる。
C:0.02〜0.15%
Cは、熱間圧延組織を改善し2次再結晶を進行させるのに有用であり、このため少なくとも0.02%以上の含有を必要とする。Cが0.02%未満では、熱間圧延中のγ変態量が少なく熱間圧延組織が不安定となりやすい。熱間圧延組織が不均一となった部分では2次再結晶が不完全となり磁気特性が劣化する。また、Cが0.15%を超えると、脱炭焼鈍に長時間を要し、生産性が低下する。このようなことから、Cは0.02〜0.15%の範囲に限定した。
【0022】
Si:2.0 〜4.5 %
Siは、鋼の比抵抗を増加させ、鉄損を低減するのに有用であり、このためには2.0 %以上の含有を必要とする。しかし、4.5 %を超えると、加工性が劣化する。このため、Siは2.0 〜4.5 %の範囲に限定した。
Mn:0.03〜2.5 %
Mnは、Se、Sと結合しMnSe、MnS を形成し、インヒビターとして作用するほか、熱間圧延時の脆化防止に寄与し熱間加工性を向上させるとともに、Siと同様に鋼の比抵抗を増加させる。このためには、0.03%以上の含有が必要であるが、2.5 %を超える含有は、γ変態を誘起して磁気特性を劣化させる。このようなことから、Mnは0.03〜2.5 %の範囲に限定した。
【0023】
Al:0.005 〜0.050 %
Alは、Nと結合しAlN を形成し、インヒビターとして作用する。このためには、0.005 %以上の含有を必要とする。一方、0.050 %を超える含有は、本発明におけるようなスラブ加熱温度が低温の場合には、AlN の固溶が困難となり、熱間圧延中にAlN の粗大化が生じ、熱延板焼鈍の昇温過程でのAlN の微細析出が阻害される。このため、Al含有量を低減しAlN の溶解度積を低下させる必要がある。このようなことから、Alは0.005 〜0.050 %の範囲に限定した。
【0024】
N:0.003 〜0.013 %
Nは、Alと同様、AlN の構成成分であり、インヒビターとして作用する。このためには、0.003 %以上の含有を必要とする。一方、0.013 %を超える含有は、鋼中ガス化し、製品表面にふくれなどの表面欠陥を発生しやすい。このため、Nは0.003 〜0.013 %の範囲に限定した。
【0025】
SおよびSeのうちの1種または2種:0.02%以下
S、Seは、MnS 、MnSeを作り、インヒビターとして作用する。本発明におけるようなスラブ加熱温度が低温の場合には、AlN の不均一析出核となるこれら硫化物、セレン化物を減少させ、AlN を均一析出させるために、S、Se含有量を低めに調整する必要がある。このようなことから、本発明では、SおよびSeのうちの1種または2種を合計で0.02%以下に限定した。
【0026】
Sb:0.003 〜0.3 %、Sn:0.003 〜0.3 %、Ge:0.003 〜0.3 %、Bi:0.003 〜0.3 %のうちから選ばれた1種または2種以上
Sb、Sn、Ge、Biは、いずれも粒界偏析型元素であり、粒界に偏析して2次再結晶を安定化する作用を有しており、Sb、Sn、Ge、Biの内から選ばれた1種または2種以上を含有する。Sb、Sn、Ge、Biがいずれも0.003 %未満では、粒界偏析量が少なく十分な2次再結晶を安定化効果が期待できない。一方、Sb、Sn、Ge、Biがいずれも0.3 %を超えると、粒界偏析量が多くなり、脱炭焼鈍時に酸素量の低下、脱炭量の低下などを生じやすい。このため、Sb、Sn、Ge、Biは、いずれも0.003 〜0.3 %の範囲とするのが好ましい。
【0027】
Cu:0.003 〜0.3 %、Cr:0.003 〜0.6 %のうちから選ばれた1種または2種 Cu、Crは、脱炭焼鈍時に鋼板表面の酸化層を安定化する作用を有しており、必要に応じ添加できる。このような作用は、いずれも0.003 %以上の含有で認められるが、Cuでは0.3 %を超える含有、Crでは0.6 %を超える含有は鋼板表面の酸化層の安定性が低下する。このため、Cuは0.003 〜0.3 %、Crは0.003 〜0.6 %の範囲とするのが好ましい。
【0028】
本発明では、上記した成分以外の残部はFeおよび不可避的不純物からなる。
つぎに、本発明の製造工程について説明する。
上記した範囲の組成を有する溶鋼を、通常公知の転炉等の溶製方法により溶製したのち、連続鋳造法により方向性電磁鋼スラブとしても、あるいは造塊法で鋼塊としたのち分塊圧延によりスラブとしてもよい。ついで、これら方向性電磁鋼スラブは、1280℃以下の温度、好ましくは1250℃未満、に加熱される。
【0029】
本発明では、方向性電磁鋼スラブを加熱するに際し、スラブの温度を、スラブの熱間圧延での長手方向最先端部(LE部)と最後端部(TE部)の温度差が50〜150 ℃の範囲になるように調整する。
本発明では、スラブの加熱は、最後端部(TE部)が最も高い温度となるようにスラブ長手方向に温度勾配を付与する。通常、熱間圧延では、仕上圧延機入側でのシートバーの温度は、先端ほど高く後端ほど低くなる傾向がある。このため、シートバーでの長手方向での温度差を少なくする目的で、スラブにおける熱間圧延での長手方向最先端部(LE部)から最後端部(TE部)にわたり、連続的に温度勾配を付与する。温度勾配の付与は、例えば、加熱炉の各ゾーンの温度制御装置を利用して、各ゾーンの設定温度をLE部とTE部の温度差が50〜150 ℃の範囲になるように調整することにより達成できる。
【0030】
また、加熱炉出側で制御冷却を施して、上記温度範囲となるように調整してももよい。
加熱されたスラブのLE部とTE部の温度差が50℃未満では、LE部とTE部のFET差を解消するには不十分であり、長手方向で抑制力にばらつきが生じ、製品鋼板長手方向の磁気特性ばらつきをもたらす。一方、加熱されたスラブのLE部とTE部の温度差が150 ℃を超えると、LE部よりもTE部の温度が高くなりすぎ、やはり製品鋼板長手方向の磁気特性ばらつきをもたらす。このため、スラブのLE部とTE部の温度差は50〜 150℃の範囲に調整する。なお、好ましくは、スラブのLE部とTE部の温度差は100 〜150 ℃の範囲である。
【0031】
スラブは、所定の温度に加熱されたのち、熱間粗圧延および仕上圧延を施され熱延板とされる。
本発明では、熱間粗圧延後のシートバーに制御冷却等を施し、シートバー(被圧延材)の長手方向温度を調整したのち仕上圧延を施す。仕上圧延機の入側における被圧延材の温度(FET)は、長手方向における最高温度と最低温度との差が40℃以内となるように調整されるのが好ましい。
【0032】
本発明では、FETの調整をスラブ加熱条件の調整と組合せて実施してもよい。FETの調整とスラブ加熱条件の調整とを組み合わせるほうが、FETの調整が容易であり、FETの長手方向でのばらつきも少なく、磁気特性の均一性という観点からはより好ましい。
被圧延材の長手方向における最高温度と最低温度との差が40℃を超えると、AlN の析出状態が大きく変化し長手方向の磁気特性のばらつきが顕著となる。このため、仕上圧延機入側における、被圧延材の長手方向における最高温度と最低温度との差を40℃以下とするのが好ましい。
【0033】
ついで、熱延板は、インヒビター微細析出のため熱延板焼鈍を施される。熱延板焼鈍は、 800〜1100℃の範囲とするのが磁気特性の観点からは好ましい。
熱延板は、熱延板焼鈍を施されたのち、酸洗され、ついで冷間圧延により最終板厚の冷延板とされる。
冷間圧延に使用される圧延機は、タンデム圧延機でもゼンジミア圧延機でもよい。冷間圧延をタンデム圧延機で行う場合には、望ましくは100 ℃以上の温度で圧延を行うのが好ましい。もちろん、ゼンジミア圧延機で冷間圧延を行う場合にも、温間圧延とするのが磁気特性の面から望ましい。
【0034】
ついで、冷延板は、湿水素中で脱炭焼鈍を施され、ついでMgO を主体とする焼鈍分離剤を塗布されたのち、仕上焼鈍を施され、製品板とされる。なお、脱炭焼鈍条件、仕上焼鈍条件は通常公知の条件として何ら問題はない。
【0035】
【実施例】
表1に示す組成の溶鋼を転炉で溶製し、連続鋳造法で方向性電磁鋼スラブとした。ついで、これらスラブに、表2に示す、▲1▼均一加熱、または▲2▼スラブ最先端部を低く、最後端部を高くなる温度勾配を付与する加熱、2種類の各条件で加熱し、熱間圧延を施し2.4 〜2.6mm 厚の熱延板とした。なお、スラブ加熱における温度勾配は、加熱炉の各ゾーンの制御装置を調整することにより行った。また、1部のスラブについては、加熱炉出側で制御冷却を行った。また、1部のシートバーについて、仕上圧延機入側で制御冷却を施し、被圧延材の長手方向のFETを調整した。
【0036】
ついで、熱延板に1000℃×60sec の熱延板焼鈍と、酸洗を施したのち、冷間圧延を施し、最終厚さ0.34mmの冷延板とした。なお、冷間圧延は、2パス目以降から最終圧延パス前までの板温度を210 ℃以上とした状態で行った。
ついで、冷延板を脱脂したのち、脱炭焼鈍を行い、MgO を主体とする焼鈍分離剤を板表面に塗布し、コイル状に巻き取り、仕上焼鈍を行った。仕上焼鈍は、室温〜850 ℃の範囲を窒素ガス雰囲気とし、850 〜1150℃の範囲を25vol %N2-75vol%H2混合ガス雰囲気として、500 〜1180℃の温度範囲を25℃/hで昇温し、1180℃で5h 保持する条件とした。
【0037】
得られた鋼板の磁気特性(鉄損:W17/50 )を表2に示す。なお、鉄損は同一コイル内の最大値、およびばらつきを求めた。
【0038】
【表1】
Figure 0004206538
【0039】
【表2】
Figure 0004206538
【0040】
【表3】
Figure 0004206538
【0041】
本発明例は、鉄損:W17/50 が1.11〜1.20 W/kg と優れた磁気特性を示し、さらにコイル内のばらつきも0.01〜0.05の範囲で、長手方向での鉄損ばらつきの少ない鋼板となっている。一方、本発明の範囲を外れる比較例では、成分が本発明の範囲を外れる場合には、磁性が大幅に劣化し、成分が本発明の範囲内でも、長手方向の温度差制御が本発明の範囲を外れる場合には、鉄損:W17/50 が1.17〜1.33 W/kg と高く、しかもコイル内のばらつきも0.10〜0.23と大きい。なお、スラブの最先端部と最後端部の温度差を50〜150 ℃に調整し、かつ仕上圧延機入側温度を40℃以下とすることにより、コイル内の鉄損のばらつきはより少なくなる。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、スラブ加熱温度が普通鋼並に低温としても鋼板長手方向の磁気特性が均質な方向性電磁鋼板を工業的に安定して製造でき、産業上格段の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】仕上圧延機入側温度と鉄損の関係を示すグラフである。
【図2】熱延コイル長手方向における仕上圧延機入側温度の変化の1例を示すグラフである。
【図3】従来の熱間圧延コイルの長手方向における仕上圧延機入側温度(FET)の最高温度と最低温度の差のばらつきを示すグラフである。

Claims (2)

  1. 重量%で、
    C:0.02〜0.15%、 Si:2.0 〜4.5 %、
    Mn:0.03〜2.5 %、 Al:0.005 〜0.050 %、
    N:0.003 〜0.013 %
    を含み、さらに
    SおよびSeのうちの1種または2種:0.02%以下、および
    Sb:0.003 〜0.3 %、Sn:0.003 〜0.3 %、Ge:0.003 〜0.3 %、Bi:0.003 〜0.3 %のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、あるいはさらにCu:0.003 〜0.3 %、Cr:0.003 〜0.6 %のうちの1種または2種を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる方向性電磁鋼スラブを、1280℃以下の温度に加熱し、熱間粗圧延および仕上圧延により熱延板とし、該熱延板に熱延板焼鈍を施し、ついで冷間圧延により最終板厚の冷延板としたのち、該冷延板に湿水素中で脱炭焼鈍を施し、ついでMgO を主体とする焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍を行う方向性電磁鋼板の製造方法において、
    前記方向性電磁鋼スラブを加熱するに際し、該方向性電磁鋼スラブの温度を、スラブの熱間圧延での長手方向最先端部の温度と最後端部の温度との差が50〜150 ℃の範囲となり、かつ長手方向最後端部の温度が最先端部の温度より高くなるように調整することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 重量%で、
    C:0.02〜0.15%、 Si:2.0 〜4.5 %、
    Mn:0.03〜2.5 %、 Al:0.005 〜0.050 %、
    N:0.003 〜0.013 %
    を含み、さらに
    SおよびSeのうちの1種または2種:0.02%以下、および
    Sb:0.003 〜0.3 %、Sn:0.003 〜0.3 %、Ge:0.003 〜0.3 %、Bi:0.003 〜0.3 %のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、あるいはさらにCu:0.003 〜0.3 %、Cr:0.003 〜0.6 %のうちの1種または2種を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる方向性電磁鋼スラブを、1280℃以下の温度に加熱し、熱間粗圧延および仕上圧延により熱延板とし、該熱延板に熱延板焼鈍を施し、ついで冷間圧延により最終板厚の冷延板とし、該冷延板に湿水素中で脱炭焼鈍を施し、ついでMgO を主体とする焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍を行う方向性電磁鋼板の製造方法において、
    前記方向性電磁鋼スラブを加熱するに際し、該方向性電磁鋼スラブの温度を、スラブの熱間圧延での長手方向最先端部の温度と最後端部の温度との差が50〜150 ℃の範囲になり、かつ長手方向最後端部の温度が最先端部の温度より高くなるように調整し、さらに、前記仕上圧延を施すに際し、仕上圧延機の入側における被圧延材の温度が、長手方向における最高温度と最低温度との差が40℃以内となるように調整することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
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