JP4608467B2 - 電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、主にアクチュエーター、回転器もしくは変圧器の接合部の鉄芯として使用される電磁鋼板の製造方法に関する。
昨今の省エネルギーの要請では、特に自動車・航空機等の輸送・移動装置に搭載する電気機器は、電気機器自体のエネルギー効率を向上させることは勿論のこと、装置の重量を低減して消費エネルギーを減らすことも必然的に求められる。しかし、現在、機器に用いられる材料の圧延直角の磁束密度が低いために重量の低減に限界があった。そこで、圧延方向のみならず、圧延直角方向の磁気特性を改善すると、同一出力の電気機器でも重量を軽く出来るために圧延直角方向の磁気特性(磁束密度及び鉄損)も優れた電磁鋼板求められている。
電磁鋼板には大きく分けて2種類あり、一つは、方向性電磁鋼板であり、もう一つは無方向性電磁鋼板である。これらは、用途が異なり、製造方法(原理)も異なる。
方向性電磁鋼板は主として変圧器その他の電気機器の鉄芯材料として使用されているが、二次再結晶現象を活用して製造される、その集合組織はGoss集合組織({110}<001>)であり、鉄の磁化困難軸(<111>)を圧延面内に含むため、磁気特性は圧延方向は優れているが、その他の方向は劣っており、同一面上の複数の方向に磁化される機器には適していない。このため、昨今の省エネルギーの要請に応えるべく、磁化困難軸を圧延面内に含まない集合組織を有し圧延直角方向も優れた電磁鋼板の製造が求められていた。特に、現在の自動車、航空機等は、多数の回転電気機器を搭載しており、その磁性材料は、殆ど鉄を含有しているので重量が重くなる。このため、その移動物体の消費エネルギーを低減することは、各電機機器のエネルギー効率を向上させるだけでは不十分であり、機器の重量をも低減することが強く求められている。
一方、回転機器用の電磁鋼板としては、無方向性電磁鋼板が一般的であるが、この鋼板は、二次再結晶現象を用いず、一次再結晶現象のみを適用して生産され、集合組織は回転cube系、cube系を含まず、磁化困難方向(<111>)を板面に含むため、圧延直角方向の磁束密度は、低位である。このため、従来の電磁鋼板を用いては、移動・輸送機器搭載の回転機器の小型化及び効率向上には限界があった。
磁化困難軸を圧延面内に含まない集合組織を有する電磁鋼板の製造法としては、二方向性電磁鋼板を含み、特許文献1等に開示されている交叉冷間圧延を基本技術とする方法と、特許文献2等に開示されている界面エネルギー最小化法(コラムラー グレイン グロウス)が知られている。交叉冷間圧延は2回目の圧延方向が1回目の方向と直角のため、コイル状で製造する工業的製法で連続して製造出来ず、剪断と何らかの方法で接合する工程を付加せねばならないため、実用化に困難が伴う。また、界面エネルギー最小化法は、焼鈍の雰囲気の確保等コストが高くなりこれも実用化に困難が伴う。このため、圧延直角方向が優れた電磁鋼板の有用性は広く認められているものの、工業生産されていないのが実態である。
また、特許文献3では、窒化を用いた方法が提案されているが、この場合は、最終冷間圧延率が60%以上であり、また、一次再結晶焼鈍時の雰囲気調整に問題があり、優れた圧延直角方向の磁気特性が安定して得られない。
励磁特性は、磁場の強さ800A/mにおける磁束密度(B8値:T)によって表される。鉄損特性は、周波数50Hzで1.7Teslaまで鉄芯を磁化したときの鉄芯1kg当たりのエネルギーロス W17/50(W/kg)等によって表される。電磁鋼板の磁束密度は鉄損特性の最大支配因子であり、一般的に磁束密度が高いほど鉄損特性が良好である。
特開平01−139722号公報 特開平01−108345号公報 特開2004−10986号公報 Proceeding of the Twelfth International Conference on Texture of Materials (ICOTOM-12,1999),1009-1014. ISIJ,Vol.42(2002),440-449 Materials Science Forum, Vol .204-206(1996),143-154 (Journal of magnetism and magnetic materials 160(1996)123-124)
本発明は、1200℃以下の低温スラブ加熱を前提とし,成分(特にCとSi)、最終冷間圧延の圧下率を60%未満とし、一次再結晶焼鈍の雰囲気を規定し、更に一次再結晶粒径の制御により、脱炭焼鈍後の一次再結晶集合組織を改質して、一次再結晶から二次再結晶間の窒化処理で圧延直角方向の磁気特性も優れた二次再結晶集合組織を安定して製造することができる方法を提供することを目的とする。
本発明は、一次再結晶粒径を大きめに制御することにより一次再結晶集合組織が改善され、低い最終冷間圧延率域で、圧延直角方向の磁気特性が優れた電磁鋼板が製造できることに特徴がある。
また、本発明による電磁鋼板は、最終仕上焼鈍工程において二次再結晶を生成させ、鋼板面に{100}面を、圧延方向に<001>軸を、その直角方向に<010>軸を多く有する、所謂、回転Cube組織({HK0}<001>)を多く有するものである。
本発明の要旨とするところは下記のとおりである。
(1)質量%で、C≦0.020%、Si:2.5〜4.0%、酸可溶性Al:0.022〜0.035%、N:0.0050〜0.010%、0.005%≦(S+0.405Se)≦0.012%、Mn:0.05〜0.15%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるスラブを、1200℃未満の温度域に加熱し、熱間圧延し、熱延鋼帯を得て、この熱延鋼帯を焼鈍しもしくは焼鈍せず、引き続き1回もしくは中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延を行って最終板厚とするか、または、最終冷間圧延前に1回以上の熱処理を施し、25%以上60%未満の圧下率を適用する最終冷間圧延によって最終板厚とした後、800℃以上890℃以下の温度で、湿水素雰囲気PH2O/PH2:0.02〜0.33で一次再結晶焼鈍を施し、走行するストリップ状態で窒化して焼鈍分離剤を塗布し、その後仕上焼鈍を施すことにより、製品厚が0.50mm以下、一次再結晶平均粒径が20.0μm以上31.0μm以下とすることを特徴とする電磁鋼板の製造方法。
(2)熱間圧延仕上げ開始温度を900℃超1150℃未満とし、かつ仕上圧延の最終スタンドとその一つ前のスタンドでの加算圧下率が55%以上であることを特徴とする(1)記載の電磁鋼板の製造方法。
本発明は、従来交叉冷間圧延等の技術でしか製造できなかった圧延直角方向の磁気特性も優れた電磁鋼板を一方向性電磁鋼板製造と類似の方法での製造が可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者等は、従来、注目されていなかったC、Si含有量をα単相となるべく規定し、冷間圧延率、さらに仕上げ熱間圧延の後段最終2パス後の圧下率に着目し、ここで起る現象を利用して、低温スラブ加熱を前提とする、焼鈍を挟む二回の冷間圧延を施し25%以上60%未満の圧下率を適用する最終強圧下冷間圧延による製造プロセスによって製造され、製品厚が0.50mm以下である圧延直角方向の磁気特性も優れた電磁鋼板を安定して製造する方法を確立すべく研究を重ね、本発明を完成するに至ったものである。
本発明が対象とする電磁鋼板は、従来用いられている製鋼法によって得られる溶鋼を、連続鋳造して直接にスラブとするか或は溶鋼を鋳型に注入し、凝固させて鋼塊とし、これを分塊圧延してスラブとし、次いで熱間圧延して熱延板とした後、熱延板焼鈍を施し、最終の冷間圧延工程において60%未満の圧下率を適用し、中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延によって最終板厚の0.50mm以下とした後、一次再結晶焼鈍後、窒化を施し、MgO、Al23等を主成分とする焼鈍分離剤の塗布、仕上焼鈍(二次再結晶焼鈍)を施すプロセスによって製造される。
本発明者等は、熱間圧延における仕上圧延(以下単に仕上圧延という)の最終2パス後の材料の圧下率と最終冷間圧延率に注目して、種々の観点から広範囲に亙って研究を進めた結果、二次再結晶集合組織として回転cube集合組織({HK0}<001>)を有する電磁鋼板に適した一次再結晶集合組織を得てこれを二次再結晶させると圧延直角方向の磁気特性も優れた電磁鋼板が製造できる事を見いだした。
本発明の学術的理由について述べる。理由は必ずしも明らかではないが、本発明者等は次のように推察している。
原勢ら(非特許文献1)によると、珪素を3%程度含有するFe−Si合金の場合の二次再結晶は、成長する二次再結晶核の強度が必要でかつその対応方位のΣ9、Σ7が重要であると述べられている。
また、熊野らによる(非特許文献2)とΣ9とΣ5が重要であると述べられている。
Cube系の場合は、原勢らによるとΣ7であるとしているが、本発明者らの検討では、Cubeの場合もΣ7でなくΣ9とΣ5が重要であることが判明した。同一成分系の電磁鋼板でGoss二次再結晶集合組織はΣ9で、Cube二次再結晶集合組織はΣ7であることに必然性は無いと推擦される。そこでこれについて鋭意検討したところ、従来公知の一方向性電磁鋼板の製造方法において、C、Siを適切な量含有してα単相とし熱間圧延率と冷間圧延率を最適化すると、回転Cube系強度と、そのΣ9、Σ5の強度が強くなることを見いだした。さらに、この材料を窒化する後天的インヒビターを活用する方向性電磁鋼板製造と同じ方法で処理する(非特許文献3)と回転Cube方位({HK0}<001>,H,Kは任意の数)が二次再結晶することを見いだした。
本発明では、C含有量が少なく全工程でγ相を有することなくα単相であることが重要である。α単相となると、熱間圧延での後段の方のスタンドでの比較的高圧下率で回転Cube系の近似であるダイアゴナルキューブ({100}<011>)が熱延板に形成され、これが、回転CubeのΣ9方位が一次再結晶集合組織中に多く形成されるためと考えられる。
次に、一次再結晶平均粒径について述べる。本発明の基本冶金的概念は、一次再結晶集合組織を成分、熱間圧延の後段の圧延率、冷間圧延率、一次再結晶粒径の適切化で一次再結晶集合組織を制御し、それに応じた二次再結晶を、後天的インヒビター法で実現させるものである。このとき、一次再結晶粒径の増大と共にその集合組織は適切になるものの、あまり大きくなると二次再結晶が不安定になり、その限界は31.0μmで、また一次再結晶粒径が小さいと、二次再結晶開始温度が低下し優先成長性を確保するための二次再結晶進行の時間が短くなり、二次再結晶集合組織に一次再結晶集合組織が反映されなくなり、圧延直角方向の磁気特性が優れた電磁鋼板が製造できなくなり、最小値は、20.0μmである。この範囲以外では、圧延直角方向の磁気特性(例えば、B8,W17/50)が優れた電磁鋼板が得られない。
本発明で規定する鋼成分組成を以下に詳細に説明する。なお、成分組成はいずれも質量%である。
C:Cは最終製品に0.020%を超えて含有するとSi含有量とのバランスであるがγ相が形成されるので冷間圧延前結晶粒径が小さくなり、一次再結晶集合組織がGossの成長に適し、一方向性電磁鋼板となる。このためCはSiとのバランスで変態を有しない0.020%以下とすることが必須である.また、脱炭焼鈍の負荷低減のためにできるだけ含有量は少ないほうが良い。
Si:Siは鋼板の比抵抗を高め、鉄損の低減に寄与するため、多いほど好ましい。加えて、Si含有量が、2.0%未満ではCの含有に拘わらず、変態が生じて集合組織改質の効果がなく、また純化と二次再結晶のため行われる高温での仕上げ焼鈍において、α−γ変態による結晶方位のランダム化が生じ十分な磁気特性が得られない。一方、4.0%を超え、冷間圧延前粒径が大きくなると冷間圧延性が損なわれ、製造が困難となる。また、二次再結晶現象を活用しているので、製品での結晶粒径が大きく、Siが多いと製品の加工の際に、端面が欠け易く加工性が低下する。したがって、Si含有量は、2.5〜4.0%とする。好ましくは2.8〜3.5%の範囲とする。
Mn:Mnは不可避的に溶鋼に存在するものであるが、本発明では窒化処理によりインヒビターを形成するため、インヒビター元素としては必須でない。しかし、Mnは熱間脆性による熱間圧延時の割れを防止するのに有効な元素であり、その効果は0.05%未満では得られない。一方、0.15%を超えて添加すると、熱延加熱時にMnS,MnSeの固溶が不均一になり磁気特性の変動の要因となり品質が安定しないし、更に、一次再結晶焼鈍時にMnOを形成して二次再結晶後に厚いグラフ皮膜が形成され易すく、本発明で製造された電磁鋼板は、回転用として打ち抜き加工されるので好ましくない。したがって、Mn含有量は、0.05〜0.15%とする。好ましくは0.08〜0.15%の範囲とするのがよい。
Al:Alは、AlNを形成して二次再結晶のインヒビターとして作用する元素である。Al含有量が、0.022%未満であると抑制力の確保が十分ではなく二次再結晶である優先成長が確保できず、また、0.035%を超えると二次再結晶不良となるので、0.022〜0.035%とする。好ましい範囲は0.025〜0.031%である。
N:Nは、AlNを形成してインヒビターとして作用する元素である。本発明ではAlNは熱延加熱時にはほぼ完全に析出させるのでAlとのバランスで制限を受ける。N含有量が、0.005%未満では抑制力の確保が十分ではなく二次再結晶不良となり、一方、0.01%を超えるとブリスターなる欠陥(膨れ)が生じる。好ましい範囲は0.0060〜0.0090%である。
S、Se:高温度熱延加熱で完全固溶させる一方向性電磁鋼板の製造ではSとSeは、MnS,MnSeを形成してインヒビターとして作用する有力な元素である。しかし、本発明では完全固溶しない1200℃以下の比較的低温のスラブ加熱であるため,両元素の含有量は多くない方が良い。鋳造時の析出物分布がそのまま残存するので含有量が多いと熱延加熱時に温度不均一による析出状態の不均一性が生じ二次再結晶焼鈍後での磁性変動(所謂スキッドマーク)生じる。このため上限はS+0.405Se≦0.014%とする。ただし、少なすぎると二次再結晶が不安定になるので0.005%以上とする。
なお、本発明においては、インヒビター機能を確保・補強する元素として上記した元素のほかに、Sn、Sb、P、Cr、Cuも前記成分に併せて含有させることもできる。これらの成分の好適添加範囲はそれぞれ、0.02〜0.3%である。更に、Ni、Mo、Cd等の添加も本発明において有効であり、Niは0.03〜0.3%、Mo,Cdは0.005〜0.3%で効果がある。
次に、スラブ(再)加熱温度について述べる。
良く知られているように、従来の一方向性電磁鋼板の製造においてはスラブ(再)加熱温度は約1400℃と非常に高いが、これはインヒビターを固溶・溶解するためである。このような高温ではスラブ内での粒成長が生じて二次再結晶不良となり易くなるので、これを防止するため、炭素の添加量増大によるγ率向上、またはブレークダウン(スラブ再加熱前の圧下)による微細化が必須である。
これに対し、本発明は、高橋らの後天的インヒビター法による二次再結晶現象を用いる電磁鋼板の製造方法(非特許文献3)を基にしている。本発明では、Cを少なくし、一次再結晶集合組織を回転Cube組織({HK0}<001>)に改質するのが目的であるため、スラブ(再)加熱温度は1200℃未満とする。さらに、これより高いと、熱間圧延後にMnS、MnSe、AlN等のインヒビター物質が不均一に析出し(いわゆるスキッドマーク)、磁気特性が均一でなくなるので好ましくない。下限は、熱間圧延できれば良い温度で十分であるが実際的には1050℃以上である。
また、熱延鋼帯を得るためには、通常の連続式熱間圧延機でも良いし、可逆式のステッケル圧延機、または薄スラブ連続鋳造機と仕上げ熱間圧延機の組み合わせでも良い。この場合、熱延鋼帯での析出物が均一に分布させることに注意すべきである。また加熱方法は、従来から知られている、ガス加熱、電磁気作用を用いる誘導加熱、スラブの電気抵抗を用いる通電加熱等どれでも良い。
最終冷間圧延率については、25%以上60%未満である。冷間圧延率については、1回の冷間圧延、もしくは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延における最終の冷間圧延率は60%未満である。60%超えると、圧延直角方向の優れた磁気特性が安定して得られず、また、回転Goss方位({110}<UUW>、U,W:は任意)が主方位の一方向性電磁鋼板となり、60%未満では、回転Cube組織({HK0}<001>)方位が発達する。なお、2回以上の冷間圧延を施すときは、中間焼鈍を行うことで熱延板焼鈍を省略してもよい。これを超えると、集合組織制御が困難になり、下限(25%)より低いと生産性が低下すると共に圧延直角方向の磁気特性が劣化する。2回冷間圧延を行う主な理由は、製品厚を0.50mm以下とし、かつ最終冷間圧延率を60%未満に確保するためである。
熱間圧延条件は、冷間圧延率と共に、一次再結晶集合組織形成に大きな影響を与える。仕上げ開始温度について、1150℃より高いと、熱間圧延中に再結晶し、一次再結晶集合組織が適切にならない。また、900℃より低いことは、メタラジーの観点では、問題ないものの、2.5%以上のSiを有する鋼板は熱間圧延が困難にある。
熱間圧延の仕上げスタンドの圧下率は後段2スタンドの加算圧下率は出来るだけ高い方が圧延直角方向の磁気特性が良好である。加算圧下率が55%未満では圧延直角方向の磁気特性が余り向上しない。
一次再結晶焼鈍温度は、800℃未満であれば、再結晶が充分でない。また、890℃を超えるとインヒビターが存在しない状態では、平均粒径が、31μmを超え、更に好ましくない方位粒の異常粒成長が生じ二次再結晶が不良となる。
また、一次再結晶焼鈍時の雰囲気をPH2O/PH2で、0.02〜0.33としているのは、これより低いと一次再結晶焼鈍後の走行するストリップ状態での窒化が著しく困難になるためであり、これより高いと、表層の酸化層が厚くなり、MgOを焼鈍分離剤として用いる場合二次再結晶焼鈍時にフォルステライト皮膜が形成され易いためである。また、雰囲気が上述であれば、C含有量が通常の方向性電磁鋼板に比べて0.020%以下と少ないため磁気時効防止のために0.0030%以下とすべき脱炭に関しては、何ら問題ない。
また、窒化方法は、一次再結晶焼鈍後の二次再結晶焼鈍時に焼鈍分離剤に窒素源となるマンガンの窒化物、クロムの窒化物等を混合させる方法があるが、これでは窒化量が制御出来ず、品質にムラが生じるので走行するストリップ状態での均一な窒化法を用いることに限定する。窒化量は、二次再結晶するまでの粒成長を抑制する必要があるため、窒化後の鋼中全窒素量として0.015%以上とする。本発明では、上限はフォルステライトを主成分とするグラス皮膜形成させる必要がないため所謂窒素起因の表面欠陥の存在は無視できるので全窒素量の上限はない。しかし、0.030%を超えると磁気特性が劣化するし、純化に長時間が要する。
また、本発明製品は、打ち抜きにより加工されるので、打ち抜き性確保のためには、表面には、フォルステライトを主な物質とするグラス皮膜は出来るだけ形成させないことが望ましい。このため、仕上げ焼鈍時の焼鈍分離剤としてはAl23を適用できる。また、MgOを主成分とするときは、塩化物の添加によりグラス皮膜を形成させない方法が採られる(非特許文献4)。
製品厚は、0.50mm以下に限定する。これは、良好な鉄損を確保するためである。本技術で製造された電磁鋼板は、圧延直角方向の磁束密度が高いため、同一出力の電気機器でも重量を軽く出来るので、運輸機器への適用に適している。例えば、自動車、機関車、航空機等である。このため、更に、磁束密度のみでなく鉄損が低いことも求められるので、板厚の上限を規定する。また、本発明では、二次再結晶焼鈍の後半で脱窒素のための純化を行うので、製品板厚が厚いと純化(主に脱窒素)に時間を要し、純化が不十分となり鉄損が劣る。このように、鉄損絶対値と生産性の確保のために最大製品厚は0.50mm以下とし、一方、最小製品厚は、特に拘る必要は無いが、電磁鋼板の生産性の観点、磁気特性(特に鉄損)および積層工数減のために0.20mm以上が望ましい。
(実施例1)
表1に示す成分の溶鋼を通常の方法で連続鋳造しスラブを得て、1150℃と1250℃で再加熱後、連続熱間圧延機で1.8mmの熱間圧延鋼帯を得た。その後、
ケース(1):1120℃×30秒,その後930℃までに120秒保定し、750℃まで冷却後水冷するする2段の熱間圧延板焼鈍を行い、酸洗して冷間圧延率75%の最終冷間圧延で0.45mmの冷間圧延板を得た。
ケース(2):1.8mmの熱間圧延鋼帯を酸洗後1.0mmに冷間圧延後、ケース(1)と同じ熱処理を行い、その後、0.45mmとする最終冷間圧延を行った。
その後、夫々の冷間圧延板を810℃〜880℃で180秒、H2:75%、N2:25%、露点45℃(PH2O/PH2=0.14)で一次再結晶焼鈍を行い一次再結晶粒径を変更した。その後、総窒素含有量が、0.022〜0.025質量%となるように走行するストリップ状態でアンモニア雰囲気で窒化し、Al23とMgOを1対2の割合の焼鈍分離剤を塗布し、二次再結晶焼鈍を行った。この条件は、1200℃まで昇温速度15℃/時間、雰囲気H2:75%、N2:25%であった。その後、H2:100%雰囲気で1200℃で20時間の純化処理を行った。冷却後、軽酸洗と形状矯正処理を行い、クロム酸塩半有機絶縁コーティングを塗布した。その結果をも表1に示す。
Figure 0004608467
(実施例2)
表2に示す成分の溶鋼を通常の方法で連続鋳造しスラブを得て、1150℃と1270℃で再加熱後、連続熱間圧延機で1.8mmの熱間圧延鋼帯を得た。その後、
ケース(1):1120℃×30秒,その後930℃までに120秒保定し、750℃まで冷却後水冷するする2段の熱間圧延板焼鈍を行い、酸洗して冷間圧延率81%の最終冷間圧延で0.35mmの冷間圧延板を得た。
ケース(2):1.8mmの熱間圧延鋼帯を酸洗後、0.58mm,0.64mm,0.70mmに冷間圧延後、ケース(1)と同じ熱処理を行い、その後、0.35mmとする最終冷間圧延を行った。
その後、夫々の冷間圧延板を810℃〜880℃で150秒、H2:75%、N2:25%、露点45℃(PH2O/PH2=0.14)で一次再結晶焼鈍を行い一次再結晶粒径を変更した。その後、総窒素含有量が、0.022〜0.025質量%となるように走行するストリップ状態でアンモニア雰囲気で窒化し、Al23とMgOを1対1の割合の焼鈍分離剤を塗布し、二次再結晶焼鈍を行った。この条件は、1200℃まで昇温速度15℃/時間、雰囲気H2:75%、N2:25%であった。その後、H2:100%雰囲気で1200℃で20時間の純化処理を行った。冷却後、軽酸洗と形状矯正処理を行い、クロム酸塩半有機絶縁コーティングを塗布した。その結果をも表2に示す。
Figure 0004608467
(実施例3)
C:0.013%,Si:3.29%,Al:0.0278%,N:0.0081%、Mn:0.099%、S:0.0072%、Sn:0.05%、残部Feおよび不可避的不純物からなる溶鋼から通常の連続鋳造法でスラブを得、1150℃でスラブ加熱し、熱延の仕上げ温度を1000〜1050℃とし仕上げスタンドの最終2パスの圧下率を40%と40%として1.8mm厚とした熱延鋼帯を得、その後、酸洗し、1.0mmと0.67mmに冷間圧延し、その後1120℃で3分間の熱延板焼鈍を施し酸洗を行い、0.50mmと0.40mmに最終冷間圧延した。
その後、810℃〜880℃で150秒、H2:75%、N2:25%、露点45℃(PH2O/PH2=0.14)で一次再結晶焼鈍を行い一次再結晶粒径を変更した。その後、総窒素含有量が、0.022〜0.025質量%となるように走行するストリップ状態でアンモニア雰囲気で窒化し、Al23とMgOを1対1の割合の焼鈍分離剤を塗布し、二次再結晶焼鈍を行った。この条件は、1200℃まで昇温速度15℃/時間、雰囲気H2:75%、N2:25%であった。その後、H2:100%雰囲気で1200℃、20時間の純化処理を行った。冷却後、軽酸洗と形状矯正処理を行い、クロム酸塩半有機絶縁コーティングを塗布した。その結果をも図1に示す。請求範囲での磁束密度が圧延方向、圧延直角方向とも優れている。
一次再結晶粒径と磁束密度:B8(T)の関係を示す図。

Claims (2)

  1. 質量%で、C≦0.020%、Si:2.5〜4.0%、酸可溶性Al:0.022〜0.035%、N:0.0050〜0.010%、0.005%≦(S+0.405Se)≦0.012%、Mn:0.05〜0.15%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるスラブを、1200℃未満の温度域に加熱し、熱間圧延し、熱延鋼帯を得て、この熱延鋼帯を焼鈍しもしくは焼鈍せず、引き続き1回もしくは中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延を行って最終板厚とするか、または、最終冷間圧延前に1回以上の熱処理を施し、25%以上60%未満の圧下率を適用する最終冷間圧延によって最終板厚とした後、800℃以上890℃以下の温度で、湿水素雰囲気PH2O/PH2:0.02〜0.33で一次再結晶焼鈍を施し、走行するストリップ状態で窒化して焼鈍分離剤を塗布し、その後仕上焼鈍を施すことにより、製品厚が0.50mm以下、一次再結晶平均粒径が20.0μm以上31.0μm以下とすることを特徴とする電磁鋼板の製造方法。
  2. 熱間圧延仕上げ開始温度を900℃超1150℃未満とし、かつ仕上圧延の最終スタンドとその一つ前のスタンドでの加算圧下率が55%以上であることを特徴とする請求項1記載の電磁鋼板の製造方法。
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