JPH05230534A - 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法

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JPH05230534A
JPH05230534A JP4035395A JP3539592A JPH05230534A JP H05230534 A JPH05230534 A JP H05230534A JP 4035395 A JP4035395 A JP 4035395A JP 3539592 A JP3539592 A JP 3539592A JP H05230534 A JPH05230534 A JP H05230534A
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steel sheet
slab
hot
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JP4035395A
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Yasunari Yoshitomi
康成 吉冨
Katsuro Kuroki
克郎 黒木
Hiroaki Masui
浩昭 増井
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は電気機器の鉄心に用いられる一方向
性電磁鋼板の磁気特性の高位安定化を図ることを目的と
する。 【構成】 C、Si、Mn、酸可溶性Al、S+0.4
05Se、N:0.0030%未満及び必要に応じてS
n:0.01〜0.15%を含有し、残部Fe及び不可
避的不純物からなるスラブを1280℃未満の温度で加
熱し、熱延を行い、熱延板焼鈍を施すことなく、60〜
79%の圧下率での冷延、脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍を施
す一方向性電磁鋼板の製造において、酸可溶性Al量と
N量を所定の関係式で表される範囲内とし、熱延後最終
仕上焼鈍の二次再結晶開始までの間に窒化処理を施すこ
とを特徴とし、さらには冷延のパス間での鋼板の温度制
御または脱炭焼鈍完了後最終仕上焼鈍開始までの間の一
次再結晶粒の平均粒径制御を行うことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、トランス等の鉄心とし
て使用される磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一方向性電磁鋼板は、主にトランスその
他の電気機器の鉄心材料として使用されており、励磁特
性、鉄損特性等の磁気特性に優れていることが要求され
る。励磁特性を表す数値としては、通常磁場の強さ80
0A/mにおける磁束密度B8が使用される。また、鉄
損特性を表す数値としては、周波数50Hzで1.7テ
スラ(T)まで磁化した時の1kg当りの鉄損W17/50
を使用している。磁束密度は、鉄損特性の最大支配因子
であり、一般的にいって磁束密度が高いほど鉄損特性が
良好になる。なお、一般的に磁束密度を高くすると二次
再結晶粒が大きくなり、鉄損特性が不良となる場合があ
る。これに対しては、磁区制御により、二次再結晶粒の
粒径に拘らず、鉄損特性を改善することができる。
【0003】この一方向性電磁鋼板は、最終仕上焼鈍工
程で二次再結晶を起こさせ、鋼板面に{110}、圧延
方向に<001>軸を持った、いわゆるゴス組織を発達
させることにより製造されている。良好な磁気特性を得
るためには、磁化容易軸である<001>を圧延方向に
高度に揃えることが必要である。このような高磁束密度
一方向性電磁鋼板の製造技術として代表的なものに田口
悟等による特公昭40−15644号公報及び今中拓一
等による特公昭51−13469号公報記載の方法があ
る。前者においては主なインヒビターとしてMnSおよ
びAlNを、後者ではMnS、MnSe、Sb等を用い
ている。従って現在の技術においてはこれらのインヒビ
ターとして機能する析出物の大きさ、形態及び分散状態
を適正に制御することが不可欠である。MnSに関して
言えば、現在の工程では熱延前のスラブ加熱時にMnS
を一旦完全固溶させた後、熱延時に析出する方法がとら
れている。二次再結晶に必要な量のMnSを完全固溶す
るためには1400℃程度の温度が必要である。これは
普通鋼のスラブ加熱温度に比べて200℃以上も高く、
この高温スラブ加熱処理には以下に述べるような不利な
点がある。
【0004】1)方向性電磁鋼専用の高温スラブ加熱炉
が必要。 2)加熱炉のエネルギー原単位が高い。 3)溶融スケール量が増大し、いわゆるノロかき出し等
に見られるように操業上の悪影響が大きい。 このような問題点を回避するためにはスラブ加熱温度を
普通鋼並みに下げれば良いわけであるが、このことは同
時にインヒビターとして有効なMnSの量を少なくする
かあるいは全く用いないことを意味し、必然的に二次再
結晶の不安定化をもたらす。このため低温スラブ加熱化
を実現するためには何らかの形でMnS以外の析出物な
どによりインヒビターを強化し、仕上焼鈍時の正常粒成
長の抑制を充分にする必要がある。このようなインヒビ
ターとしては硫化物の他、窒化物、酸化物及び粒界析出
元素等が考えられ、公知の技術として、例えば次のよう
なものがあげられる。
【0005】特公昭54−24685号公報ではAs、
Bi、Sn、Sb等の粒界偏析元素を鋼中に含有するこ
とにより、スラブ加熱温度を1050〜1350℃の範
囲にする方法が開示され、特開昭52−24116号公
報ではAlの他、Zr、Ti、B、Nb、Ta、V、C
r、Mo等の窒化物生成元素を含有することによりスラ
ブ加熱温度を1100〜1260℃の範囲にする方法を
開示している。また、特開昭57−158322号公報
ではMn含有量を下げ、Mn/Sの比率を2.5以下に
することにより低温スラブ加熱化を行い、さらにCuの
添加により二次再結晶を安定化する技術を開示してい
る。これらインヒビターの補強と組み合わせて金属組織
の側から改良を加えた技術も開示された。すなわち特開
昭57−89433号公報ではMnに加えS、Se、S
b、Bi、Pb、Sn、B等の元素を加え、これにスラ
ブの柱状晶率と二次冷延圧下率を組み合わせることによ
り1100〜1250℃の低温スラブ加熱化を実現して
いる。さらに特開昭59−190324号公報ではSあ
るいはSeに加え、Al及びBと窒素を主体としてイン
ヒビターを構成し、これに冷延後の一次再結晶焼鈍時に
パルス焼鈍を施すことにより二次再結晶を安定化する技
術を公開している。このように方向性電磁鋼板製造にお
ける低温スラブ加熱化実現のためには、これまでに多大
な努力が続けられてきている。
【0006】さて、特開昭59−56522号公報にお
いてはMnを0.08〜0.45%、Sを0.007%
以下にすることにより低温スラブ加熱化を可能にする技
術が開示された。この方法により高温スラブ加熱時のス
ラブ結晶粒粗大化に起因する製品の線状二次再結晶不良
発生の問題が解消された。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】低温スラブ加熱による
方法は元来、製造コストの低減を目的としているもの
の、当然のことながら良好な磁気特性を安定して得る技
術でなければ、工業化できない。本発明者らは、製造コ
ストの低減と磁気特性の両立を図ることをさらに追求す
べく、低温スラブ加熱による方法において、熱延板焼鈍
の省略を目指してきた。
【0008】一方向性電磁鋼板の製造においては、通常
熱延後組織の不均一化、析出処理等を目的として熱延板
焼鈍が行われている。例えばAlNを主インヒビターと
する製造方法においては、特公昭46−23820号公
報に示すように熱延板焼鈍においてAlNの析出処理を
行ってインヒビターを制御する方法がとられている。通
常一方向性電磁鋼板は鋳造−熱延−焼鈍−冷延−脱炭焼
鈍−仕上焼鈍のような主工程を経て製造され、多量のエ
ネルギーを必要としており、加えて普通鋼製造プロセス
等と比較して製造コストも高くなっている。
【0009】近年多量のエネルギー消費をするこのよう
な製造工程に対する見直しが進められ、工程、エネルギ
ーの簡省略化の要請が強まってきた。このような要請に
応えるべく、AlNを主インヒビターとする製造方法に
おいて、熱延板焼鈍でのAlNの析出処理を、熱延後の
高温巻取で代替する方法(特公昭59−45730号公
報)が提案された。確かに、この方法によって熱延板焼
鈍を省略しても、磁気特性をある程度確保することはで
きるが、5〜20トンのコイル状で巻取られる通常の方
法においては、冷却過程でコイル内での場所的な熱履歴
の差が生じ、必然的にAlNの析出が不均一となり、最
終的な磁気特性はコイル内の場所によって変動し、歩留
りが低下する結果となる。
【0010】そこで本発明者らは、先に従来ほとんど注
目されていなかった仕上熱延最終パス後の再結晶現象に
着目し、この現象を利用して80%以上の強圧下1回冷
延による製造法において熱延板焼鈍を省略する方法(特
開平2−263923号公報、特開平2−263924
号公報参照)を提示した。これらの技術は、仕上熱延最
終3パスの強圧下及び熱延終了後の高温での保持により
熱延板を微細再結晶組織としたことに特徴があり、これ
らの技術により、1280℃未満の温度でのスラブ加熱
と、熱延板焼鈍の省略の両立が可能となった。
【0011】ところで、近年タービン発電機用鉄心材料
等の用途に、現用の高級無方向性電磁鋼板にかわって、
方向性電磁鋼板を用いたいというニーズが高まってき
た。上記用途に関していえば、他の無方向性電磁鋼板の
用途と比較して、一方向の磁気特性が重要とされるた
め、方向性電磁鋼板を用いたいというニーズが高まって
きたわけである。一方、方向性電磁鋼板の熱延後の製造
の主工程は、熱延板焼鈍−冷延−脱炭焼鈍−仕上焼鈍と
なっており、無方向性電磁鋼板の熱延後の主工程である
冷延−焼鈍と比較して複雑となっている。そのため、製
造コストからして、方向性電磁鋼板の方が無方向性電磁
鋼板よりかなり高いものとなる。
【0012】さらには、通常の酸洗ラインや、タンデム
冷延ラインでは、通板できる板厚に制限があり、厚い板
厚の冷延素材を通板すると破断が生じる可能性がある。
そこで、0.5mm厚等の厚手材を1回冷延で製造しよ
うとすると、冷延素材の板厚に上限があるため、冷延率
を低くとる必要が生じる。そこで本発明者らは、128
0℃未満の温度でのスラブ加熱と、熱延板焼鈍の省略
と、低圧下率での冷延を前提とする一方向性電磁鋼板の
製造方法において、良好な磁気特性を得る技術開発にと
りくんできた。そして、この技術開発の過程で、コイル
の長手方向に磁性の変動が生ずる現象を見出した。
【0013】本発明者らは、この磁性変動の原因を詳細
に検討した結果、この現象が低温スラブ加熱時のスラブ
内の温度差に起因することを突き止めた。その結果、前
記温度差による磁性変動を解消する手法を見出した。す
なわち、本発明はスラブの成分調整、さらには冷延時の
パス間の鋼板の温度制御、仕上焼鈍前の一次再結晶粒の
平均粒径の制御、Sn添加により、低温スラブ加熱及び
熱延板焼鈍省略、低冷延圧下率を前提とする製造プロセ
スでも、磁性変動のない優れた特性を有する一方向性電
磁鋼板を製造し得る方法を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは下記の通りである。すなわち、 (1) 重量%で、C:0.025〜0.075%、S
i:2.5〜4.5%、酸可溶性Al:0.010〜
0.060%、N:0.0030%未満、S+0.40
5Se:0.014%以下、Mn:0.05〜0.8%
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなるスラ
ブを1280℃未満の温度で加熱し、熱延し、次いで熱
延板焼鈍を施すことなく、圧下率60〜79%の冷延、
脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍を施して一方向性電磁鋼板を製
造する方法において、スラブの酸可溶性Al、Nの含有
量を重量%を単位としてAl(%)、N(%)とした
時、下記の式の範囲に制御し、 Al(%)−27/14N(%)>0.0100 熱延後、最終仕上焼鈍の二次再結晶開始までの間に鋼板
に窒化処理を施すことを特徴とする磁気特性の優れた一
方向性電磁鋼板の製造方法。
【0015】(2) 重量%で C:0.025〜0.075%、Si:2.5〜4.5
%、酸可溶性Al:0.010〜0.060%、N:
0.0030%未満、S+0.405Se:0.014
%以下、Mn:0.05〜0.8%、Sn:0.01〜
0.15%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物か
らなるスラブを1280℃未満の温度で加熱し、熱延
し、次いで熱延板焼鈍を施すことなく、圧下率60〜7
9%の冷延、脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍を施して一方向性
電磁鋼板を製造する方法において、スラブの酸可溶性A
l、Nの含有量を重量%を単位としてAl(%)、N
(%)とした時、下記の式の範囲に制御し、 Al(%)−27/14N(%)>0.0100 熱延後、最終仕上焼鈍の二次再結晶開始までの間に鋼板
に窒化処理を施すことを特徴とする磁気特性の優れた一
方向性電磁鋼板の製造方法。
【0016】(3) 冷延のパス間の鋼板の温度を20
0℃以下とすることを特徴とする前項1又は2記載の磁
気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法。
【0017】(4) 脱炭焼鈍完了後、最終仕上焼鈍開
始までの一次再結晶粒の平均粒径を18〜30μmとす
ることを特徴とする前項1、2又は3のいずれかに記載
の磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法。
【0018】
【作用】本発明が対象としている一方向性電磁鋼板は、
従来用いられている製鋼法で得られた溶鋼を連続鋳造法
あるいは造塊法で鋳造し、必要に応じて分塊工程をはさ
んでスラブとし、引き続き熱間圧延して熱延板とし、熱
延板焼鈍を施すことなく、次いで圧下率60〜79%の
冷延、脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍を順次行うことによって
製造される。
【0019】本発明者らは、熱延板焼鈍を省略した1回
冷延法で低温スラブ加熱材を製造した場合の磁性の変動
原因とその解消策について詳細に検討した。そしてその
結果、この現象がスラブ加熱時のスラブ内の温度差に基
づく、AlNの析出のバラツキに起因し、その磁性変動
の程度が、Al量、N量によって異なるという新知見を
得た。
【0020】そして、その課題の解決策として、N量
を低減することと、Al量、N量を両者の関係式で規定
される所定の範囲に抑えること、冷延のパス間での鋼
板温度を制御すること、脱炭焼鈍完了後最終仕上焼鈍
開始までの一次再結晶粒の平均粒径を制御すること、
必要に応じてSnを添加すること、が有効であることが
わかった。
【0021】以下これらの点について詳細に説明する。
本発明者らは、スラブ加熱時のAlNの固溶、析出に着
目した。本発明の前提としている1280℃未満の温度
では、本発明のAl、N、Siの成分範囲では、α相で
のAlNの完全固溶は保障されていない。一方、スラブ
加熱の方式は種々あるが、スラブを炉に装入後、プッシ
ャーで移動させながら出口から出す方式やスキッド上に
スラブを置き、スキッドを動かしてスラブを入口から出
口方向へ移動させる方式等が一般的に行われている。そ
してスラブの中でスキッドや炉の下面に接する部分は、
温度が低めとなることが多い。従って、このスラブ内の
温度差に起因するAlNの析出量、固溶N量の差が生じ
ることが考えられた。そして、熱延から脱炭焼鈍までの
工程で、スラブ加熱時に固溶していたNは、大部分Al
Nとして微細析出し、その程度がスラブ加熱時の固溶N
量に依存することが考えられた。実際、工場で実験を行
った際、磁気特性の変動が生じたコイルの、脱炭焼鈍後
の一次再結晶粒の平均粒径を光学顕微鏡と画像解析機を
用いて測定したところ、その平均粒径が変動しているこ
とが判明した。そして、そのバラツキの程度は、Al、
N量によって異なっていた。
【0022】そこで本発明者らは、変動するAlN量を
減らすことを考えた。そのためには、AlまたはN量を
減らすことが有効であるが、二次再結晶時のインヒビ
ターとしてのAlN量を確保する必要がある点、Nは
鋼板に窒化で導入することが可能であるが、Alは鋼板
に導入することが困難である点を考慮し、N量を減らす
ことを検討した。そして、N量を製鋼段階で減らすこと
は技術的に制約があるかもしくはコストアップにつなが
ることも考慮し、固溶するN量と強い相関があると予想
されるAlR (%)=Al(%)−27/14N(%)
〔Al(%):酸可溶性Alの重量%、N(%):Nの
重量%〕という量を定義し、N(%)、AlR (%)と
磁気特性の変動との関係を次の実験に基づいて調査し
た。
【0023】すなわち、重量で、C=0.045%、S
i=3.01%、酸可溶性Al=0.010〜0.05
7%、N=0.0003〜0.0118%、S=0.0
07%、Mn=0.14%を含有し、残部Fe及び不可
避的不純物からなる250mm厚のスラブを作成した。
そして1100℃、1200℃の2水準の温度で各
スラブを60分均熱後11パスの熱延で2.0mm厚と
し、約2秒後に水冷し、550℃まで冷却した後、巻取
り、550℃の温度に1時間保持した。
【0024】かかる熱延板に熱延板焼鈍を施すことなく
約75%の圧延を行って最終板厚0.50mmの冷延板
とした。この冷延板を830℃に300秒保持し、引き
続き875℃に20秒保持する脱炭焼鈍を施し、次いで
750℃に30秒保持する焼鈍時、焼鈍雰囲気中にNH
3 ガスを導入させ、鋼板に窒素を吸収せしめた。この窒
化処理後のN量は、0.0193〜0.0212重量%
であった。かかる窒化処理後の鋼板にMgOを主成分と
する焼鈍分離剤を塗布し、最終仕上焼鈍を行った。しか
る後、製品の磁束密度B8 を測定し、同一成分のスラブ
に対してとった2つのスラブ均熱条件でのB8 の差ΔB
8 〔スラブ加熱温度1100℃におけるB8 (T)−同
温度1200℃におけるB8 (T)〕を求め、図1に示
した。
【0025】図1から明らかなように、N(%)<0.
0030、AlR (%)>0.0100の範囲で、スラ
ブ加熱温度差に起因する製品の磁束密度の差ΔB
8 (T)が0.02T未満におさまっている。図1で示
された現象のメカニズムについて、本発明者らは、次の
ように考えている。
【0026】本実験では、加熱炉内でのスラブ内の温度
差により生じている現象を、スラブ加熱温度を変えてシ
ミュレートした。それによると、本発明のAl、Nの成
分範囲では1280℃未満のスラブ加熱温度条件の場
合、スラブの高温部と低温部でAlNの固溶、析出量に
差が生じる。すなわち、スラブ加熱時のスラブ高温部で
は固溶Nが多く、引き続く熱延及び脱炭焼鈍時に、この
固溶Nは、AlNの形で微細析出する。他方スラブ加熱
時のスラブ低温部では固溶Nが少なく、引き続く熱延及
び脱炭焼鈍時に微細に析出するAlN量は少ない。この
ようなAlNの析出の場所的不均一は、脱炭焼鈍時の一
次再結晶粒の粒成長の場所的不均一を生じさせる。つま
り、スラブ加熱時のスラブ内高温部に相当する部分で
は、脱炭焼鈍時微細なAlNが多いため、一次再結晶粒
の粒成長は抑制される。一方、スラブ加熱時のスラブ内
低温部に相当する部分では、脱炭焼鈍時微細なAlNが
少ないため、一次再結晶粒は粒成長しやすい。このた
め、脱炭焼鈍完了時、コイル内に、スラブ加熱時のスラ
ブ内の温度差に起因する一次再結晶粒径の場所的不均一
が生じる。本発明者らが、特開平2−182866号公
報で開示したように、この脱炭焼鈍完了時の一次再結晶
粒径は、製品の磁束密度と極めて強い相関がある。従っ
て、この一次再結晶粒径の場所的不均一は、製品での磁
束密度の場所的不均一を生ぜしめることとなる。それゆ
え、その磁束密度のバラツキの原因となっているスラブ
加熱時におけるスラブ内の固溶N量のバラツキを所定の
範囲に入れれば、製品の磁束密度のバラツキが低減され
るものと考えられる。
【0027】次に本発明の構成要件を限定した理由につ
いて述べる。先ず、スラブ成分とスラブ加熱温度に関し
て限定理由を詳細に説明する。Cは0.025重量%
(以下単に%と略述)未満になると二次再結晶が不安定
になり、かつ二次再結晶した場合でもB8 >1.80
(T)が得がたいので0.025%以上とした。一方、
Cが多くなり過ぎると脱炭焼鈍時間が長くなり経済的で
ないので0.075%以下とした。
【0028】Siは4.5%を超えると冷延時の割れが
著しくなるので4.5%以下とした。また、2.5%未
満では素材の固有抵抗が低すぎ、トランス鉄心材料とし
て必要な低鉄損が得られないので2.5%以上とした。
望ましくは3.2%以上である。Alは二次再結晶の安
定化に必要なAlNもしくは(Al、Si)Nを確保す
るため、酸可溶性Alとして0.010%以上が必要で
ある。酸可溶性Alが0.060%を超えると熱延板の
AlNが不適切となり二次再結晶が不安定となるので
0.060%以下とした。
【0029】N量については、図1に示した如く、0.
0030%未満にすることが必要である。そして、これ
がスラブ加熱時の温度偏差に起因する磁性の変動を低減
するのに有効である。N量の下限については特に限定す
るものではないが、製鋼段階でNを0.0001%以下
にすることは工業的には難しい。酸可溶性AlとN量は
図1に示した如く、AlR =Al−27/14N>0.
0100とすることが必要である。これも、スラブ加熱
時の温度偏差に起因する磁性の変動を低減するのに有効
である。AlR =Al−27/14Nの上限は、酸可溶
性AlとN量の規定から定まるものであるが、0.06
0%まで許容される。
【0030】MnS、MnSeが鋼中に存在しても、製
造工程の条件を適正に選ぶことによって磁気特性を良好
にすることは可能である。しかしながらSやSeが高い
と線状細粒と呼ばれる二次再結晶不良部が発生する傾向
がある。S当量=S+32/79Se=S+0.405
Seを定義して、これと二次再結晶不良率との関係を調
査した。この二次再結晶不良部の発生を予防するために
は(S+0.405Se)≦0.014%とすべきであ
る。SあるいはSeが上記値を超える場合には製造条件
をいかに変更しても二次再結晶不良部が発生する確率が
高くなると共に、最終仕上焼鈍で純化するのに要する時
間が長くなり過ぎて好ましくなく、この様な観点からS
あるいはSeを不必要に増すことは意味がない。
【0031】Mnの下限値は0.05%である。0.0
5%未満では、熱間圧延によって得られる熱延板の形状
(平坦さ)不良、ストリップの側縁部が波形状となり製
品歩留りを低下させる等の問題が発生する。一方、Mn
量が0.8%を超えると製品の磁束密度を低下させ好ま
しくないので、Mn量の上限を0.8%とした。Sn
は、粒界偏析元素として知られており、粒成長を抑制す
る元素である。一方、スラブ加熱時Snは完全固溶して
おり、通常考えられる数10℃の温度差を有する加熱時
のスラブ内でも、一様に固溶していると考えられる。従
って、温度差があるにも拘らず加熱時のスラブ内で均一
に分布しているSnは、脱炭焼鈍時の粒成長抑制効果に
ついても、場所的に均一に作用すると考えられる。この
ため、AlNの析出の場所的不均一に起因する脱炭焼鈍
時の粒成長の場所的不均一を、Snは希釈する効果があ
るものと考えられる。従って、本発明のN量、AlR
を制限する技術及び、後述する冷延のパス間での鋼板の
温度制御、一次再結晶粒径の制御に加え、Snを添加す
ることはさらに製品の磁気特性の場所的バラツキを低減
させるのに有効である。このSnの適正範囲を0.01
〜0.15%とした。この下限値未満では、粒成長抑制
効果が少な過ぎて好ましくない。一方、この上限値を超
えると鋼板の窒化が難しくなり、二次再結晶不良の原因
となるため好ましくない。
【0032】この他インヒビター構成元素として知られ
ているSb、Cu、Cr、Ni、B、Ti、Nb等を微
量に含有することは差し支えない。特に、B、Ti、N
b等窒化物構成元素は、スラブ内の温度差に起因するA
lNの析出の場所的不均一を低減するために積極的に添
加しても構わない。スラブ加熱温度は、普通鋼並にして
コストダウンを行うという目的から1280℃未満と限
定した。好ましくは1200℃以下である。
【0033】加熱されたスラブは、引き続き熱延されて
熱延板となる。この熱延方法については、特に限定され
るものではないが、熱延の終了温度を850〜1050
℃とし、熱延の最終パスの累積圧下率を40%以上とす
ることは、製品の磁性の場所的バラツキを低減し、かつ
磁性を向上させる上でさらに好ましい。熱延の最終パス
後、通常0.1〜100秒程度空冷された後、水冷さ
れ、300〜700℃の温度で巻取られ、徐冷される。
この冷却プロセスについては特に限定されるものではな
いが、熱延後1秒以上空冷することは、再結晶を進ま
せ、磁性を高位安定化する上で好ましい。この熱延板
は、熱延板焼鈍をすることなく、引き続き、圧下率60
〜79%の冷延を行い、最終冷延板となる。
【0034】この圧下率を60〜79%と規定したの
は、冷延板の板厚が0.5mm等と厚い場合、圧下率を
80%以上とすると、当然冷延素材(熱延板)が厚くな
りすぎ、酸洗ラインや冷延ラインの通板時破断を生じや
すく好ましくないためである。一方、下限値は、磁束密
度を高位に保つ必要から規定した。この冷延のパス間で
の鋼板の温度を200℃以下とすることは、本発明の如
き低冷延率の場合には、磁束密度を高位に保つ上で好ま
しい。このメカニズムについて、本発明者らは次のよう
に推察している。従来から、冷延率は、冷延再結晶集合
組織の支配因子として知られており、特に、二次再結晶
方位に対する支配因子として{110}<001>、
{111}<112>方位粒の存在量が重要である。再
結晶集合組織中のこの{110}<001>方位粒は、
60〜70%の圧下率の時最大となり、70%超の圧下
率範囲では圧下率が高まるにつれ、減少していく。一
方、再結晶集合組織中の{111}<112>の方位粒
は、約90%までの圧下率範囲で、圧下率が高まるにつ
れ、増加する傾向がある。他方、冷延でのパス間時効
は、冷延時変形帯の形成を助長し、変形帯から核生する
{110}<001>方位粒を再結晶集合組織中で増加
させる傾向がある。このパス間時効は、その反面再結晶
集合組織中での{111}<112>方位粒の存在量を
減少させる傾向がある。従って、{110}<001>
方位粒と{111}<112>方位粒の再結晶集合組織
中の存在量の観点からすると、パス間時効を施すこと
は、冷延率を低めたのと同じ影響を与えることになる。
このため、通常80%以上の高冷延率で得られる再結晶
集合組織に、80%未満の低冷延率のものをできるだけ
近づけるためには、本発明のようにパス間時効の影響を
極力排除することが有効と考えられる。
【0035】この冷延の方式については特に限定するも
のではない。タンデム方式、リバース方式どちらでもよ
い。パス間の温度を200℃以下にしておけば十分であ
る。パス回数についても特に限定するものではないが、
不必要に100回以上もパス回数をとることは意味がな
い。かかる冷延後の鋼板は、通常の方法で脱炭焼鈍、焼
鈍分離剤塗布、最終仕上焼鈍を施されて最終製品とな
る。ここで脱炭焼鈍完了後、最終仕上焼鈍開始までの間
の一次再結晶粒の平均粒径を18〜30μmに制御する
ことは、N、AlR 量の制御に加え、さらに好ましい。
その理由はこの平均粒径の範囲で良好な磁束密度が得ら
れやすく、かつ粒径変動に対する磁束密度の変化が少な
いからである。
【0036】そして、熱延後最終仕上焼鈍の二次再結晶
開始までの間に鋼板に窒化処理を施すと規定したのは、
本発明の如き低温スラブ加熱を前提とするプロセスで
は、二次再結晶に必要なインヒビター強度が不足がちに
なるからである。窒化の方法としては特に限定するもの
ではなく、脱炭焼鈍後引き続き焼鈍雰囲気にNH3 ガス
を混入させ窒化する方法、プラズマを用いる方法、焼鈍
分離剤に窒化物を添加し、最終仕上焼鈍の昇温中に窒化
物が分解してできた窒素を鋼板に吸収させる方法、最終
仕上焼鈍の雰囲気のN2 分圧を高めとし、鋼板を窒化す
る方法等何れの方法でも良い。窒化量については特に限
定するものではないが、1ppm以上は必要である。
【0037】
【実施例】以下実施例を説明する。 実施例1 C:0.051重量%、Si:3.10重量%、Mn:
0.14重量%、S:0.006重量%、酸可溶性A
l:0.034重量%を基本成分とし、N量を0.0
081重量%、0.0062重量%、0.0025
重量%、0.0013重量%なる4水準で添加し、残
部Fe及び不可避的不純物からなる4種類の250mm
厚スラブを作成した。この場合AlR (%)は、0.
0184重量%、0.0220重量%、0.029
2重量%、0.0315重量%であった。
【0038】かかるスラブをa:1180℃、b:11
10℃の2水準の温度で60分均熱した後、直ちに熱延
を開始し、5パスで40mm厚とした後、6パスで2.
3mm厚の熱延板とした。次いで、熱延終了後は1秒間
空冷後550℃まで水冷し、550℃に1時間保持した
後炉冷する巻取りシミュレーションを行った。
【0039】この熱延板を酸洗して圧下率約78%で
0.50mmの冷延板とし、820℃で300秒保持す
る脱炭焼鈍を施した。しかる後、750℃で30秒保持
する焼鈍を行い、焼鈍雰囲気中にNH3 ガスを混入さ
せ、鋼板に窒素を吸収せしめた。窒化後のこの鋼板のN
量は0.0198〜0.0214重量%であった。次い
で、この鋼板にMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布
し、N2 25%、H2 75%の雰囲気ガス中で15℃/
時の速度で1200℃まで昇温し、引き続きH2 100
%雰囲気ガス中で1200℃で20時間保持する最終仕
上焼鈍を行った。
【0040】実験条件と磁気特性の結果は表1に示す。
比較例(No.1〜4)は、スラブ加熱条件による磁気
特性(B8 )の差が大きいが、本発明(No.5〜8)
の場合は差が小さい。
【0041】
【表1】
【0042】実施例2 C:0.041重量%、Si:3.25重量%、Mn:
0.15重量%、S:0.007重量%、N:0.00
22重量%を基本成分とし、酸可溶性Alを、0.0
13重量%、0.019重量%、0.025重量
%、0.037重量%なる4水準のレベルで添加し、
残部Fe及び不可避的不純物からなる4種類の250m
m厚スラブを作成した。この場合AlR (%)は、
0.0088重量%、0.0148重量%、0.0
208重量%、0.0328重量%であった。
【0043】かかるスラブをa:1170℃、b:11
00℃の2水準の温度で60分均熱した後、直ちに熱延
を開始し、5パスで40mm厚とした後、6パスで2.
0mm厚の熱延板とした。次いで、この熱延板を最終仕
上焼鈍まで実施例1の条件で処理した。この場合、冷延
圧下率は75%であり、窒化後のN量は0.0195〜
0.0212重量%であった。
【0044】実験条件と製品の磁気特性を表2に示す。
比較例(No.1〜2)は、スラブ加熱条件による磁気
特性(B8 )の差が大きいが、本発明(No.3〜N
o.8)の場合は差が小さい。
【0045】
【表2】
【0046】実施例3 C:0.044重量%、Si:3.28重量%、Mn:
0.14重量%、S:0.007重量%、酸可溶性A
l:0.028重量%、N:0.0025重量%を含有
し(AlR :0.0232重量%)、残部Fe及び不可
避的不純物からなる40mm厚のスラブを、a:115
0℃、b:1100℃の温度で加熱した後、6パスで熱
延して2.3mmの熱延板とした。この時圧下配分を4
0→24→16→11→6.6→3.9→2.3(m
m)とした。
【0047】しかる後、この熱延板を酸洗し、次いで圧
下率78%で同一方向に冷延し、0.50mm厚の冷延
板とした。この際、1.5mmと1.0mm厚の時に、
時効処理なし、250℃×5分(均熱)なる時効処
理あり、の2種類の冷延板を作成した。次いで、820
℃に300秒保持し、870℃に20秒保持する脱炭焼
鈍を施した。しかる後、750℃に30秒保持する熱処
理中、雰囲気ガス中にNH3 ガスを混入させ、鋼板に窒
素吸収を生ぜしめた。この時鋼板のN量は0.0208
〜0.0221重量%であった。
【0048】次いでこの窒化処理後の鋼板にMgOを主
成分とする焼鈍分離剤を塗布し、公知の方法で最終仕上
焼鈍を行った。実験条件と製品の磁気特性を表3に示
す。時効処理を行った場合(No.3〜4)の方が、時
効処理を行わない場合(No.1〜2)に比較してスラ
ブ加熱条件による磁気特性(B8 )の差が大きい。
【0049】
【表3】
【0050】実施例4 C:0.041重量%、Si:3.15重量%、Mn:
0.14重量%、S:0.006重量%、酸可溶性A
l:0.036重量%、N:0.0020重量%を添加
し、残部Fe及び不可避的不純物からなるスラブを作成
した。この場合AlR (%)は、0.0321重量%で
あった。
【0051】かかるスラブをa:1150℃、b:10
90℃の2水準の温度で60分均熱した後、直ちに熱延
を開始し、5パスで40mm厚とした後、6パスで1.
8mm厚の熱延板とした。次いで、かかる熱延板を酸洗
して圧下率約78%で0.40mmの冷延板とし、8
00℃、820℃、840℃、850℃の各温度
で250秒保持する脱炭焼鈍を施した。しかる後、75
0℃で30秒保持する焼鈍を行い、焼鈍雰囲気中にNH
3 ガスを混入させ、鋼板に窒素吸収を生ぜしめた。窒化
後のこの鋼板のN量は0.0198〜0.0211重量
%であった。そしてこの鋼板の平均結晶粒径を、光学顕
微鏡と画像解析機を用いて測定した。
【0052】次いで、この鋼板にMgOを主成分とする
焼鈍分離剤を塗布し、N2 50%、H2 50%の雰囲気
ガス中で10℃/時の速度で1200℃まで昇温し、引
き続きH2 100%雰囲気ガス中で1200℃で20時
間保持する最終仕上焼鈍を行った。実験条件と製品の磁
気特性を表4に示す。
【0053】一次再結晶粒径を所定の範囲(18〜30
μm)に制御した場合(No.3〜6)には、制御しな
い場合(No.1〜2、No.7〜8)に比較して、ス
ラブ加熱条件による磁気特性(B8 )の差をさらに小さ
くすることが出来る。
【0054】
【表4】
【0055】実施例5 C:0.054重量%、Si:3.23重量%、Mn:
0.15重量%、S:0.007重量%、酸可溶性A
l:0.038重量%、N:0.0021重量%を基本
成分とし、Sn量を添加なし(<0.01重量%)、
0.05重量%、0.14重量%なる3水準で添加
し、残部Fe及び不可避的不純物からなる3種類の25
0mm厚のスラブを作成した。この場合AlR (%)
は、0.0340重量%であった。
【0056】かかるスラブをa:1160℃、b:10
80℃の2水準の温度で60分均熱した後、直ちに熱延
を開始し、5パスで40mm厚とした後、6パスで2.
3mm厚の熱延板とした。次いでこの熱延板を最終仕上
焼鈍まで実施例1の条件で処理した。ただし、脱炭焼鈍
条件については、800℃×250秒(均熱)、8
20℃×250秒(均熱)で行った。窒化後のN量は、
0.0184〜0.0201重量%であった。
【0057】実験条件と製品の磁気特性を表5に示す。
Sn無添加の場合(No.1〜4)に比較して、Snを
添加した場合(No.5〜12)の方がスラブ加熱条件
による磁気特性(B8 )の差をより小さくすることが出
来る。
【0058】
【表5】
【0059】〔実施例6〕C:0.038重量%、S
i:3.00重量%、Mn:0.16重量%、S:0.
007重量%、酸可溶性Al:0.029重量%、N:
0.0020重量%を含有し(AlR :0.0251重
量%)、残部Fe及び不可避的不純物からなる40mm
厚のスラブを、a:1150℃、b:1100℃の温度
で加熱した後、1050℃で熱延を開始し、40→23
→14→9→6→3.5→2.0(mm)なるパススケ
ジュールで熱延して熱延板とした。
【0060】しかる後、この熱延板を酸洗し、次いで圧
下率75%で冷延し、0.50mm厚の冷延板とした。
この時、1.2mm厚の時に時効処理なし、110
℃×2分(均熱)、300℃×2分(均熱)なる3種
類の時効処理を施した3種類の冷延板を作成した。次い
で820℃に300秒保持し、860℃に20秒保持す
る脱炭焼鈍を施した。しかる後770℃に30秒保持す
る熱処理中、雰囲気ガス中にNH3 ガスを混入させ、鋼
板に窒素吸収を生ぜしめた。この時鋼板のN量は、0.
0194〜0.0221重量%であった。また、この鋼
板の板厚全厚での一次再結晶粒の平均粒径を光学顕微鏡
と画像解析機を用いて測定したところ23〜25μmで
あった。
【0061】次いでこの窒化処理後の鋼板にMgOを主
成分とする焼鈍分離剤を塗布し、公知の方法で最終仕上
焼鈍を行った。実験条件と製品の磁気特性を表6に示
す。冷延板の時効温度を所定の範囲に制御した場合(N
o.3〜4)や時効処理なしの場合(No.1〜2)
は、時効温度が所定の範囲外の場合(No.5〜6)に
比較して、スラブ加熱条件による磁気特性(B8 )の差
を小さくすることが出来る。
【0062】
【表6】
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、本発明において
は、N量、AlR 量、(AlR =Al−27/14N)
を制御し、さらには冷延のパス間の鋼板温度を制御し、
さらには脱炭焼鈍完了後、最終仕上焼鈍開始までの間で
の一次再結晶粒の平均粒径を制御し、さらにはSn添加
することにより、熱延板焼鈍を省略して、良好な磁気特
性をスラブ加熱時のスラブの温度偏差に起因する場所的
バラツキなく安定して得ることができるので、その工業
的効果は極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】N量、AlR 量(AlR =Al−27/14
N)とスラブ加熱温度差起因の磁気特性差との関係を表
すグラフである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年2月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】すなわち、重量で、C=0.045%、S
i=3.01%、酸可溶性Al=0.010〜0.05
7%、N=0.0003〜0.0118%、S=0.0
07%、Mn=0.14%を含有し、残部Fe及び不可
避的不純物からなる250mm厚のスラブを作成した。
そして1100℃、1200℃の2水準の温度で各
スラブを60分均熱後11パスの熱延で2.0mm厚と
し、約2秒後に水冷し、550℃まで冷却した後、55
0℃の温度に1時間保持した。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正内容】
【0053】一次再結晶粒の平均粒径を所定の範囲(1
8〜30μm)に制御した場合(No.3〜6)には、
制御しない場合(No.1〜2、No.7〜8)に比較
して、スラブ加熱条件による磁気特性(B8 )の差をさ
らに小さくすることが出来る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C:0.025〜0.075%、 Si:2.5〜4.5%、 酸可溶性Al:0.010〜0.060%、 N:0.0030%未満、 S+0.405Se:0.014%以下、 Mn:0.05〜0.8% を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなるスラ
    ブを1280℃未満の温度で加熱し、熱延し、次いで熱
    延板焼鈍を施すことなく、圧下率60〜79%の冷延、
    脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍を施して一方向性電磁鋼板を製
    造する方法において、スラブの酸可溶性Al、Nの含有
    量を重量%を単位としてAl(%)、N(%)とした
    時、下記の式の範囲に制御し、 Al(%)−27/14N(%)>0.0100 熱延後、最終仕上焼鈍の二次再結晶開始までの間に鋼板
    に窒化処理を施すことを特徴とする磁気特性の優れた一
    方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 重量%で C:0.025〜0.075%、 Si:2.5〜4.5%、 酸可溶性Al:0.010〜0.060%、 N:0.0030%未満、 S+0.405Se:0.014%以下、 Mn:0.05〜0.8%、 Sn:0.01〜0.15% を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなるスラ
    ブを1280℃未満の温度で加熱し、熱延し、次いで熱
    延板焼鈍を施すことなく、圧下率60〜79%の冷延、
    脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍を施して一方向性電磁鋼板を製
    造する方法において、スラブの酸可溶性Al、Nの含有
    量を重量%を単位としてAl(%)、N(%)とした
    時、下記の式の範囲に制御し、 Al(%)−27/14N(%)>0.0100 熱延後、最終仕上焼鈍の二次再結晶開始までの間に鋼板
    に窒化処理を施すことを特徴とする磁気特性の優れた一
    方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 冷延のパス間の鋼板の温度を200℃以
    下とすることを特徴とする請求項1又は2記載の磁気特
    性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 脱炭焼鈍完了後、最終仕上焼鈍開始まで
    の一次再結晶粒の平均粒径を18〜30μmとすること
    を特徴とする請求項1、2又は3のいずれかに記載の磁
    気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5472521A (en) * 1933-10-19 1995-12-05 Nippon Steel Corporation Production method of grain oriented electrical steel sheet having excellent magnetic characteristics
JP2009503264A (ja) * 2005-08-03 2009-01-29 ティッセンクルップ スチール アクチェンゲゼルシャフト 方向性電磁鋼ストリップの製造方法
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