JP3357578B2 - 極めて鉄損の低い方向性電磁鋼板及びその製造方法 - Google Patents
極めて鉄損の低い方向性電磁鋼板及びその製造方法Info
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Description
の鉄心に利用される方向性電磁鋼板のなかでも、特に鉄
損が極めて低い方向性電磁鋼板の製造方法に関する。
〔001〕方位や(100)〔001〕方位に配向した
方向性電磁鋼板は、優れた軟磁気特性を有することから
商用周波数域での各種鉄心材料として広く用いられてい
る。このとき、電磁鋼板に要求される特性としては、一
般に50Hzの周波数で1.7 T に磁化させた場合の損失であ
るW17/50(W/kg)で表されることろの鉄損が低いことが重
要である。その理由は、発電機や変圧器の鉄心の鉄損
が、W17/50の値が低い材料を用いることにより大幅に低
減できることからであり、鉄損の低い材料の開発が年々
強く求められてきている所以である。一般に、材料の鉄
損を低減するには、渦電流損を低下させるのに有効であ
る電気抵抗を高めるべく、Siの含有量を増やす方法、鋼
板板厚を低減する方法、結晶粒径を低減する方法、更に
結晶方位の集積度を高めて磁束密度を向上させる方法が
知られている。これらの鉄損低減方法のうち、Si含有量
を増加させる方法、鋼板板厚を低減する方法及び結晶粒
径を低減する方法を検討したが、Si含有量を増加させる
方法についてはSiを過度に含有させると圧延性や加工性
を劣化させるので好ましくなく、鉄損低減に限界があ
り、また、鋼板板厚を低減する方法も極端な製造コスト
の増大をもたらすので、もはや鉄損低減は限界に達しつ
つある。
これまでもよく研究されてきており、例えば、特公昭4
6−23820号公報には、鋼中にAlを添加し、熱間圧
延後1000〜1200℃の高温の熱延板焼鈍とそれに伴う急冷
処理によって微細なAlN を析出させてから、80〜95%の
高圧下率を施す技術が開示され、これによってB10に
して1.95T の極めて高い磁束密度の値を得ている。この
方法は、微細に分散したAlN が一次再結晶粒の成長を抑
制するインヒビターとしての強い作用を有することを利
用し、結晶方位の優れた核のみを二次再結晶させること
により方位の優れた製品の結晶組織を得るものである。
しかしながら、この方法では一般に結晶粒径が粗大化
し、低い鉄損の値を得ることが難しく、また熱延板焼鈍
において完全にAlN を固溶させることは困難であるので
安定して高磁束密度の製品を得ることは困難であった。
また、特開平2−115319号公報には偏析型インヒ
ビターとしてSbを更に含有させ、特殊な最終仕上げ焼鈍
方法を施すことで高い磁束密度の製品を得る方法が開示
されているが、未だ十分な結晶方位集積度とはいい難
く、しかも集積度の高い製品を得べくSbの含有量を増加
させた場合には、二次再結晶そのものが不十分となり、
鉄損特性の大幅な劣化を招く結果となった。これとは別
に特公昭58−43445号公報には、0.0006〜0.0080
%のBと0.0100%以下のNを含有する鋼を用いて、脱炭
焼鈍を工夫することによりB8で1.89T の磁束密度が得
られる技術が開示されている。この方法は比較的安定し
た磁気特性の製品が得られるので工業的には好ましい方
法であるといえるが、磁束密度が低く鉄損もさほど良好
とはいえないので工業化されることはなかった。さらに
特公昭54−32412号公報にはインヒビターとして
S又はSeのグループとAs, Bi, P, Sn, Cu, Niのグルー
プとを複合して用いる技術が開示されており、比較的安
定して高磁束密度が得られてはいるが、鉄損特性が悪い
という問題を有していた。これらの技術とは別に、特開
平2−30718号公報には冷間圧延後に鋼板表面に溝
を形成することにより製品板表面にも溝を設け鉄損を低
減する方法が開示されているが、この方法は同時に磁束
密度も低下させ、ヒステリシス損の増加による鉄損の劣
化分が必然的に生じるので大幅な鉄損の低減効果は得ら
れない。また、特開平5−345921号公報にはAlN,
MnSをインヒビターとして、CuとSnを含有する方向性電
磁鋼板の製造においてSi/C含有量比が高くなるに従い
Niを所定量含有させる技術が開示されている。また特開
平2−30740では、SnとNiの組み合わせでSn:0.03
〜0.25%でかつNi:0.35〜2.0 %で優れた磁気特性が得
られるとしている。しかしながらこれらの方法はいずれ
も、製品の結晶方位の十分な集積はなされておらず、満
足のいく鉄損値とは云えなかった。
磁鋼板の鉄損を低減するには、安定して結晶方位の集積
度を高めることが必要で、これにより、優れた鉄損値を
安定して得ることができる。かかる技術に関連した従来
法においては、結晶方位の集積度を高めた場合、必然的
に結晶粒径が増加するために鉄損値の劣化及び不安定化
を招き、逆に結晶粒の細粒化を図ると結晶方位の集積度
が低下し磁束密度の低下を招くという、二律背反状態の
ため、極めて高い結晶方位の集積度でかつ低鉄損の材料
を安定して製造することはできなかったが、これを抜本
的に解決することをこの発明が解決すべき課題とするも
のである。すなわち、この発明はAlN をインヒビターと
する方向性電磁鋼板の製造法においてB8の値にして極め
て高い値を得、かつ本質的に内在する製品の結晶粒径の
粗大化という不安定性を解消した、極めて鉄損の低い方
向性電磁鋼板及びその製造方法技術を提案することを目
的とする。
解消すべく、発明者らは低鉄損を得るための集合組織及
び結晶組織の改善の方策としてNiを添加しかつ、Ni添加
量に応じてSb添加量を所定の範囲で変化させる方法を新
規に創案した。これは、インヒビターであるAlN の他に
Ni添加とSb添加により一次再結晶粒の成長に対し極めて
強い抑制力の効果を得ることが可能であること、さらに
NiとSbの含有とを組み合わせることで、これまでにない
一次再結晶集合組織の改善が認められるとともに、二次
再結晶粒が微細化しかつ(110)〔001〕方位から
圧延方向の平均面内ずれ角が極めて少なくなるという新
規知見に基づくものであり、かかる新規知見の作用効果
を有効に活用してこの発明を完成させたものである。
晶粒について、結晶方位の(110)〔001〕方位か
ら圧延方向の平均面内ずれ角が4度以内、かつ圧延方向
と直交する方向に隣接する結晶粒径8mm以上の粒同士の
平均面内角度差が7度以内であり、粒径8mm以上の結晶
粒径の面積比率が75%以上、かつ全結晶粒の平均結晶粒
径が25mm以下であり、鋼板の成分組成について、Siを1.
5 〜7.0 wt%含み、かつインヒビター補助成分としてM
n, Cu, Ge, Bi, V, Nb, Cr, Te及びMoを単独あるいは
2種以上の合計で0.005 〜2.5 wt%、Niを0.01〜1.5 wt
%、Sbを0.01〜0.15wt%及びBを0 〜0.0050wt%含有
し、不純物としてCを0.003 wt%以下、S及びSeを合計
して0.003wt%以下、Nを0.003 wt%以下、Alを0.002 w
t%以下、Tiを0.003 wt%以下、Pを0.30wt%以下に低
減し、残部は鉄と不可避的不純物とからなり、更にSb含
有量X(wt%)とNi含有量Y(wt%)とが下式の関係を
満足することを特徴とする極めて鉄損の低い方向性電磁
鋼板、 X≧0.01かつY≧0.01で0.3 −7.5 X<Y<1−10X (第1発明)であり、C:0.035 〜0.100 wt%、Si:1.
5 〜7.0 wt%、SもしくはSe:0.005 〜0.04wt%、Al:
0.010 〜0.04wt%、N:0.0010〜0.0150、Sb:0.01〜0.
15wt%を含み、かつMn, Cu, Ge, Bi, V, Nb, Cr, Te及
びMoを単独あるいは2種以上の合計で0.005 〜2.5 wt%
含有し、更にNiを0.01〜1.5 wt%、B:0 〜0.0050 wt
%含有し、不純物としてTiを0.003 wt%以下、Pを0.30
wt%以下に低減し、残部は鉄及び不可避的不純物からな
るスラブを1300℃以上に加熱した後、熱間圧延し、熱延
板焼鈍を施した後、1回又は中間焼鈍を挟む2回以上の
冷間圧延を施して最終製品厚の冷延鋼板としたのち、脱
炭・一次再結晶焼鈍を施し、鋼板表面にMgO を主成分と
する焼鈍分離剤を塗布してから、二次再結晶焼鈍及び純
化焼鈍を施す一連の工程からなる方向性珪素鋼板の製造
方法において、スラブ中のSb含有量X(wt%)とNi含有
量Y(wt%)の間に下式の関係を満足させ、更に二次再
結晶焼鈍の500 ℃〜900 ℃の温度範囲を平均昇温速度25
℃/h以下で昇温することを特徴とする極めて鉄損の低い
方向性電磁鋼板の製造方法(第2発明)であり、 X≧0.01かつY≧0.01で0.3 −7.5 X<Y<1−10X 第1発明において、鋼板表面に50〜1000μm の幅で10〜
50μm の深さで圧延方向に交わる方向に溝が存在するこ
とを特徴とする極めて鉄損の低い方向性電磁鋼板(第3
発明)であり、鋼板表面に鏡面処理もしくは結晶方位強
調処理を施してなり、その表面上に間接的あるいは直接
的に上塗コーティングを被成してなることを特徴とする
極めて鉄損の低い方向性電磁鋼板(第4発明)であり、
さらに最終冷間圧延以降において鋼板表面に溝を形成さ
せる磁区細分化処理を施すことを特徴とする極めて鉄損
の低い方向性電磁鋼板の製造方法(第5発明)である。
験について述べる。 (実験1)3.2 wt%(以下、単に「%」と示す。)Si,
0.06%Mn,0.05%C,0.015 %Se,0.021 %Al,0.0090
%Nを含み、かつSbを0.005 〜0.15%、Niを0.005 〜1.
5%の範囲で種々に変更した成分組成になる厚み230 mm
の方向性電磁鋼の各スラブを、1410℃に加熱し、熱間圧
延によって2.4 mmの厚みの熱延コイルとし、990 ℃の温
度で熱間圧延を終了した後、600 ℃で巻取った。これら
の熱延コイルは速度6℃/sで1000℃まで昇温した後30秒
間保持する熱延板焼鈍を施し、17℃/sで室温まで冷却
後、酸洗し冷間圧延によって1.8 mmの厚みに圧延し、次
いで露点60℃、50%N2 と50%H2 の雰囲気中で1050
℃、70秒間保持する中間焼鈍を施した。これらのコイル
は酸洗後、170 ℃の温度での冷間圧延を施し最終厚みで
ある0.22mmとした後、脱脂処理を施し、次いで鋼板表面
に幅180 μm で圧延直角方向に延びる溝を圧延方向に4.
5 mmの間隔で形成した後、850 ℃で2分間の露点60℃、
50%N2 と50%H2 の雰囲気で脱炭焼鈍を施した。その
後、4%のTiO2を含有するMgO を焼鈍分離剤として鋼板
表面に塗布しコイル状に巻き取ってから、最終仕上げ焼
鈍として750 ℃まではN2 雰囲気で30℃/hの昇温速度で
昇温し、引き続き750 ℃で20時間の保定処理を行った
後、更に15℃/hの昇温速度で750 ℃から800 ℃まではN
2 雰囲気で、800 〜1050℃までは25%のN2 と75%のH
2 の混合雰囲気で、1050〜1150℃まではH2 雰囲気で加
熱し、さらにH2 雰囲気中で1150℃で5時間の均熱を行
い、降温は800 ℃までH2 中で強制冷却を行い、800 ℃
以下をN2 中で冷却する熱サイクルと雰囲気を採用し
た。最終仕上げ焼鈍後は未反応焼鈍分離剤を除去した
後、50%のコロイダルシリカとリン酸マグネシウムから
なる張力コートを塗布し製品とした。各製品より圧延方
向に沿ってエプスタインサイズの試験片を切り出し800
℃で3時間の歪取焼鈍を施した後、1.7 T の磁束密度に
おける鉄損の値W17/50及び磁束密度B8を測定した。これ
らの結果を図1,2に示す。
の分布、(110)〔001〕からの結晶方位の平均ず
れ角α及び鋼中成分の分析値を求めた。結晶粒径は円相
当径で求め、分布は面積比率で表記し、方位の面内ずれ
角は2.5 mmピッチで300 mm四方の結晶方位を測定し(粒
界部分の異常値は除く)面内ずれ角の平均値αを求め
た。これらの結果を鉄損特性と併せて図3〜4及び表1
に示す。
ある一定の範囲で磁気特性(W17/50)が非常に良好とな
った。この原因を調査するため、Sbの偏析について脱炭
焼鈍板で調査を行った結果、Sbの偏析はNiの偏析増加と
共に強くなっていくことが明らかになった。すなわち、
NiとSbが共偏析することにより磁気特性上最も好ましい
結果が得られることを新規に見つけることができた。こ
れを利用することにより、Sbの添加量が少なくて済むこ
とを新たに見いだした。
気特性が逆に劣化する現象が観察された。このようなSb
が適正な値以上に偏析すると磁気特性の劣化が起こる現
象を解析するため、製品及び脱炭焼鈍板の調査をさらに
行った。この結果、磁気特性が劣る原因は、製品中に炭
素が残っているためであることが明らかになった。すな
わち、過剰にSb及びNiが脱炭焼鈍板の粒界に偏析する
と、脱炭焼鈍時に炭素の脱炭反応を阻害し、製品中に有
害な炭素が残留するためである。この発明で示される範
囲以上にNi及びSbを添加すると、通常の脱炭焼鈍でCを
0.003 wt%以下に下げる事は極めて困難である事も判明
した。図1、図2より、磁気特性を良好にするためにNi
とSbの添加量の間にある一定の関係があることが明らか
になった。すなわち、Sb含有量X(wt%)とNi含有量Y
(wt%)の間に下式の関係を満足したときに磁気特性が
良好になることが判明した。 X≧0.01かつY≧0.01で0.3 −7.5 X<Y<1−10X
な磁気特性を有する製品板の二次再結晶粒径には特殊な
分布があることが明らかになった。すなわち図3より結
晶方位の(110)〔001〕方位から圧延方向の平均
面内ずれ角が4度以内が必要であること、また図4より
4°以内であっても圧延直角方向に隣接する結晶粒径8
mm以上の粒同士の面内角度差が7度以内であり、粒径8
mm以上の結晶粒の面積比率が75%以上、全結晶粒の平均
結晶粒径が25mm以下であるときに極めて鉄損が低くなる
ことが明らかとなった。そして、NiとSbを含有すること
でこれらの粒径分布に入ってくることが明らかになっ
た。
に最終仕上げ焼鈍における昇温速度に特に留意する必要
が生じてくる。この理由は、NiとSbを複合添加した際、
最終仕上げ焼鈍中にSbの偏析量の変化と一次再結晶粒の
成長、及び集合組織の変化が徐々に起こった後、二次再
結晶が開始するためであると考えられる。このための適
正条件を求めた実験を下記に述べる。
0.075 %, P:0.002 %, S:0.001 %, Cu:0.05%,
Se:0.023 %, Al:0.024 %, N:0.0095%の成分で示
される方向性電磁鋼スラブ(厚み250 mm)を、1390℃に
加熱し、890 ℃の温度で熱間圧延を終了後500 ℃で巻取
り、2.3 mmの厚みの熱延コイルとした。これらの熱延コ
イルは昇温速度8℃/sで890 ℃まで昇温した後60秒間保
持する熱延板焼鈍を施し、15℃/sで冷却後、酸洗し冷間
圧延によって1.8 mmの厚みに圧延し、露点50℃、50%N
2と50%H2 の雰囲気中で1070℃、50秒間保持する中間
焼鈍を施した。これらのコイルは酸洗後、200 ℃の温度
での冷間圧延を施し最終厚みである0.22mmとした後、脱
脂処理を施し鋼板表面に幅100 μm 、深さ20μm で圧延
方向に直交する方向に延びる溝を圧延方向に5mmの間隔
で形成した後、850 ℃で2分間の脱炭焼鈍を施した。そ
の後、MgO を主成分とした焼鈍分離剤を塗布しコイル状
に巻き取った後、表2に示す条件で各コイルに最終仕上
げ焼鈍を施した。なお、室温から900℃まではN2 単身
で、900 ℃以上は50%N2 +50%H2 で1200℃まで、12
00℃の均熱と1200℃から800 ℃までの降温の際にはH2
雰囲気で、それ以降はN2 ガスの雰囲気とした。
除去した後、50%のコロイダルシリカとリン酸マグネシ
ウムからなる張力コートを塗布し製品とした。各製品よ
り圧延方向に沿ってエプスタインサイズの試験片を切り
出し800 ℃で3時間の歪取焼鈍を施した後、1.7 T の磁
束密度における鉄損の値W17/50及び磁束密度B8を測定し
た。さらに鋼板のマクロエッチを行い結晶粒径の分布、
(110)〔001〕からの結晶方位の平均ずれ角及び
鋼中成分の分析値を求めた。結晶粒径は円相当径で求
め、分布は面積比率で表記し、方位の面内ずれ角は2.5
mmピッチで300 mm四方の結晶方位を測定し(粒界部分の
異常値は除く)、面内ずれ角の平均値αを求めた。これ
らの結果を鉄損特性と併せて表2に示す。
ことにより磁束密度B8はあまり変化しないものの、2次
再結晶粒のサイズが変化し、鉄損値W17/50の値も変化し
ている。また、昇温中に保定処理を行い500 〜900 ℃の
滞在時間を16時間以上として平均昇温速度を25℃/h以下
にしたものも特性が極めて良好であった。これに対し90
0 ℃を超える温度で昇温速度を変化させた試料は、二次
粒径がそれほど大きく変化していない。特性の良好な試
料は、おそらく低温(500〜900 ℃) において徐熱処理を
行っているため、1次再結晶粒の成長が抑制された結
果、ゴス方位の選択が緩やかに起こり、より先鋭性の優
れたゴス方位粒が大量に残るためであると考えられる。
かかる推論を確認するため、試料Bにおいて二次再結晶
焼鈍中にサンプルを引き出し、集合組織変化と一次粒成
長挙動とを観察した。その結果、500 ℃〜900 ℃の平均
昇温速度が25℃/h以下であると、ゴス強度が下がらずに
一次粒成長が起ることが明らかとなった。またこの現象
は、SbとNiを複合添加した素材で非常に顕著であること
が判明した。このため、SbとNiを複合添加した素材にお
いては、500 ℃から900 ℃の平均昇温速度を低下するこ
とが、非常に重要なことが判明した。
は、鋼板表面にレーザーやプラズマジェットを照射して
磁区細分化する方法が公知であり、有効でこの発明にも
適用できる。なかでも、鋼板表面に溝を設ける方法は歪
取焼鈍に耐えるのでより有効な方法となる。その場合に
は、鋼板表面に50〜1000μm の幅で10〜50μm の深さで
圧延方向に交わる方向に溝を設けることが鉄損低減に有
効である。さらに、従来より知られている方法として、
鋼板表面を鏡面化すること、及び磁気特性上より有利な
結晶面を裸出すべく結晶方位強調処理を鋼板表面に施す
ことも鉄損低減に有効である。これらの場合は鋼板表面
にフォルステライト系の被膜が存在しないので、めっき
等を介し、又は直接上塗りコーティングを塗布すること
になる。さらに、こうした手段は各々併用を妨げるもの
ではない。
実に得るための優れた方法としては、冷間圧延工程にお
いて表層脱珪層の形成処理を施すこと、及び最終冷間圧
延前の焼鈍において鋼板表層部に脱炭層を形成させる雰
囲気処理と固溶C富化のための急速冷却処理を施すこと
が有効である。表層脱珪層形成処理は、これにより最終
仕上げ焼鈍の鋼板表層の1次再結晶粒を成長させ、方位
の劣る粒の2次再結晶の発現を抑制するのに有効で、こ
の場合0.5 μm 以上の表層脱珪層の形成がなされること
が望ましい。また、最終冷間圧延前の焼鈍において、鋼
板表層部に脱炭層を形成させる雰囲気処理は鋼板表層の
方位の優れた結晶粒の核生成を促進させるためで、この
場合、鋼板表層部に1/20〜1/5 板厚の程度の脱炭層を形
成させることが望ましい。さらに、最終冷間圧延前の冷
却において、急冷処理を行うことにより鋼中の固溶C濃
度を高めることは、上記良好な2次再結晶方位の核生成
頻度を高めるのに有効である。この場合、急冷し低温で
保持し微細なカーバイドを析出させる方法はさらに優れ
た効果をもたらす。
て、冷間圧延工程において窒化処理を行う製造方法もこ
の発明に適用することも可能である。
造方法について、この発明の効果を得るために必要な要
件とその範囲及び作用について詳述する。まず、この発
明の方向性電磁鋼板の構成要件について述べる。この発
明の電磁鋼板の鋼は2次再結晶後の多結晶で構成されて
おり、ヒステリシス損を低減するためには、結晶方位の
(110)〔001〕方位からの面内方向の面積平均の
ずれ角αが4度以内である極めて集積度の優れているも
のであることが必要である。ここで、αが4度を超える
場合はヒステリシス損の増大により鉄損の劣化を招く。
積が等価な円相当径として8mm以上の結晶粒の面積比率
が75%以上、全結晶粒の平均粒径が25mm以下であること
が必要である。これによって結晶粒分布が粗大粒と微細
粒に2極化し、良好な磁気特性が安定して得られるよう
になる。ここで8mm以上の径の結晶粒の面積比率が75%
未満である場合、良好な方位の2次再結晶粒の比率が低
下し、鉄損の劣化を招く。また、平均粒径が25mmを超え
る場合には、微細な結晶粒の個数が減少し、鉄損の劣化
を招く。また、隣接する結晶粒径8mm以上の平均面内角
度差が7度を超えると磁束の流れが不均一になり変圧器
などでの実機特性が劣化する。
る。Siは電気抵抗を高め鋼板の渦電流損を低減するため
に必要な成分であり、このためには1.5 %以上の含有を
必要とする。しかしながら、7.0 %を超えた場合、ロー
ル圧延加工が困難となるので1.5 〜7.0 %の範囲とす
る。
Mn, Cu, Ge, Bi, V, Nb, Cr, Te,Moを単独あるいは2
種以上含有させることができる。これらの含有量は単独
あるいは2種以上の合計で0.005 〜2.5 wt%である。こ
れらの成分量が0.005 %に満たないと、実質的にインヒ
ビターとして機能せず2.5 %を超えるとインヒビターが
粗大化しすぎること、圧延性が極度に劣化するために上
記の範囲とする。
つで、鋼中に存在することにより結晶粒界に偏析して、
正常粒成長に対する抑制効果を有する。この結果、製品
の結晶粒の粗大化と方位集積度の向上とをもたらす。こ
の作用のためにはSbを0.01%以上含有させることが必要
であるが、0.15%を超える場合、脱炭が極度に困難とな
るため0.01〜0.15%の範囲とする。Niはこの発明の特徴
をなすもののひとつで、Sbの偏析効果を増加させると共
に鋼の熱間圧延中の均一な結晶組織化をもたらし、2次
再結晶粒の方位の集積度を高め、同時に粗大粒と微細粒
との2極化を得て鉄損特性を安定化させるための成分
で、この作用を得るためには0.01%以上鋼中に含有させ
ることが必要である。また、0.01%以上の含有により、
鋼組織の均一化や純化や被膜形成を促進する作用をも有
する。一方、1.5 %を超える含有では、飽和磁束密度の
低下を招く。
(Y%)を調節することが、この発明の重要な要件のひ
とつである。すなわち、Sb含有量X(wt%)とNi含有量
Y(wt%)との間に次式の関係 X≧0.01かつY≧0.01で0.3 −7.5 X<Y<1−10X をみたすことが重要である。この関係を満足しない場
合、すなわち、この範囲より下まわる場合には、Sbの偏
析効果が低くなりすぎ磁気特性の改善作用が十分でな
く、この範囲より上まわる場合は、最終製品板でCが0.
0030%以下を達成するのが困難となる。
0.0050%以下の範囲で含有させることも可能である。B
は微細粒を形成させやすい成分であるので適宜含有させ
て微細粒頻度を調節することも可能であり、この目的の
ためにはBを0.0003〜0.0050%含有させることが、より
好ましい。
る。Pは電気抵抗を高め、有益な成分であるが、0.30%
を超えた場合、硬度が固くなり過ぎ板破断を発生しやす
くなる。次に鋼中の不純物であるが、下記のものはいず
れも鋼中の存在してヒステリシス損を増加させ鉄損を劣
化させるので低減することが必要である。すなわち、C
とTiは各0.003 %以下、S及びSeを合計して0.003 %以
下、OとAlは各0.002 %以下、Nは0.003 %以下とする
ことが必要である。
ルステライト質被膜に被覆され、かつその上に公知の上
塗り張力コーティングを被成した状態でもよいし、鋼板
表面を鏡面化し、その上の張力被膜を被成した状態でも
よい。また、(110)〔001〕結晶方位が選択的に
残存するNaCl電解などの鋼板表面処理により粒方位の選
別処理を行って磁気特性に有利な結晶方位を強調させた
状態とし、その上に直接あるいはめっき等を間に介在さ
せるなどにより間接的に張力被膜を被成させてもよい。
これらは鋼板表面のコーティングによって付与される張
力効果をより良く発揮するための手段である。
設けてもよい。このためには、50〜1000μm の幅で10〜
50μm の深さで圧延方向に交わる方向に溝が存在するこ
とが目的に適する。この条件からはずれた場合、溝によ
る磁区細分化効果が得難くなり鉄損の向上効果が小さ
い。また、溝による磁区細分化効果、鏡面化効果及び結
晶方位強調効果は同等ではないので両者あるいは3者を
併用することは低鉄損を得るためにはより好ましい手段
である。
知の、レーザーやプラズマジェットなどにより生成する
微小歪みを鋼板内部に局所的に存在させることも可能で
ある。
について述べる。まず、出発材である鋼スラブの成分組
成範囲について説明する。Siは電気抵抗を増加させ鉄損
を低減するために必須の成分であり、このために1.5 %
以上含有させることが必要であるが、7.0 %を超えると
加工性が劣化し製造や、製品の加工が極めて困難になる
ので1.5 〜7.0 %の範囲とする。Cは、熱間圧延、冷間
圧延中の組織の均一微細化のみならず、ゴス方位粒の発
達に有用な成分であり、少なくとも0.035 %含有させる
ことが望ましい。しかしながら0.10%を越えて含有させ
ると、かえってゴス方位に乱れが生じるのでその上限は
0.10%程度が望ましい。
誘起するためのインヒビター成分の含有が必要で、イン
ヒビター成分としてAl及びNを含有させることが必要で
ある。このうちAlは0.010 〜0.040 %含有させることが
必要である。ここでAlの含有量が0.010 %未満の場合、
熱延板焼鈍の昇温過程において析出するAlN の量が不足
し、インヒビターとしての機能を果たさない。逆に0.04
0 %を超える場合には析出する複合インヒビターが粗大
化して抑制力の劣化をもたらす。したがってAlの含有量
は0.010 〜0.040 %とする。
スラブ段階において0.0010%以上存在すれば、冷間圧延
工程途中においても窒化により鋼中への添加が可能であ
るので0.0010%以上含有すれば十分である。しかし、0.
0150%を超えて含有させた場合、熱間圧延中においてふ
くれを生じ欠陥の原因となるので0.0010〜0.0150%の範
囲とする。
が、この発明のひとつの特徴をなす。Sbは結晶粒界に偏
析してインヒビターとしての機能を発現するが、このた
めには0.01%以上の含有が必要である。しかし、0.15%
を超える場合、脱炭焼鈍における脱炭が不十分となるの
で0.15%までとする。
n, Cu, Ge, Bi, V, Nb, Cr, Te, Moを単独あるいは2
種以上の合計で0.005 〜2.5 wt%を含有させることが必
要である。これらの成分は析出物を形成したり、結晶粒
界界面や析出物の界面に偏析して抑制力強化のための補
助的機能を果たす。また、MnやCuは固有の添加で電気抵
抗を高める作用があり、この点からも鉄損を低減する効
果を有する。こうした作用を有するためには、これらの
成分を単独あるいは2種以上の合計で0.005 %以上含有
させることが必要であるが、2.5 %を超えた場合には鋼
板の脆化や脱炭不良をもたらすので、0.005 〜2.5 %の
範囲で含有させる。
u2Se等をAlN と複合微細析出させるために必要で、この
目的のためには単独もしくは複合で0.005 %以上含有さ
せることが必要であるが、0.04%を超えると析出物の粗
大化を招くので、0.005 〜0.04%の範囲で含有させる。
は微細粒の発現に有効で、そのために0.0003%以上含有
させることが有効である。しかし、0.0050%を超えると
この効果は飽和するので、このためには0.0003〜0.0050
%含有させる。さらにPを0.30%以下の範囲で含有させ
ることは電気抵抗を高め鉄損を低減する作用があるので
許容される。しかし、0.30%を超えた場合鋼板の硬度が
過剰に増加し冷間圧延工程において板破断を起こしやす
くなるので、0.30%以下の範囲とする。
含有量(X%)に応じてNi(Y%)を調節することが、
この発明の重要な要件のひとつである。すなわち、Sb含
有量X(wt%)とNi含有量Y(wt%)の間に下式の関係 X≧0.01かつY≧0.01で0.3 −7.5 X<Y<1−10X の含有量を満足する範囲が適合し、この範囲より下まわ
る場合には、Sbの偏析効果が低くなりすぎ磁気特性の改
善作用が十分でなく、この範囲より上まわる場合は、最
終製品板でCが0.0030%以下の達成が困難になる。
00℃以上に加熱され、熱間圧延された後、1回もしくは
中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延によって最終板厚と
された後、脱炭焼鈍及びそれに続く最終仕上げ焼鈍に供
される。
間の制御することが望ましい。ここで熱間圧延の終了温
度が850℃未満の場合には熱間圧延中に表面欠陥疵の増
加を招く。しかしながら、1100℃を超える場合には硫化
物やセレン化物が熱間圧延中に粗大に析出してインヒビ
ターの抑制力が低下し鉄損の劣化を招く。したがって熱
間圧延の終了温度は850 〜1100℃の間に制御するのが好
ましい。
の粗大析出を抑制するために、急速冷却し700 ℃未満で
巻き取ることが好ましい。このようにして製造された熱
延板は1回又は2回以上の冷間圧延を伴う冷間圧延工程
で最終板厚とされる。このとき、通常、冷間圧延の前に
熱延組織の改善のための熱延板焼鈍を施すが、この発明
の技術は熱延焼鈍を伴わない製造方法にも、当然適用で
きる。
温で行い熱間圧延及び冷間圧延で導入した歪みを利用し
て再結晶を行う。また、焼鈍後の冷却において、急速冷
却し鋼中の固溶C量を高める処理は2次再結晶の核生成
頻度を高める効果があるので好ましく、この時、急速冷
却と低温保持によって、微細カーバイドを鋼中に析出さ
せる処理はこの効果をより促進するのでさらに有利に適
合する。
などを有利に適用できる。冷間圧延後は脱炭焼鈍を施す
が、その前に製品の磁区を細分化し鉄損を低減するため
に、鋼板表面に溝を設ける処理を施すことも可能であ
る。また、冷間圧延後から2次再結晶前までにかけて、
微細結晶粒を生成するための点状の局所的熱処理や化学
的処理を人工的に行うこともできる。
焼鈍を行う。脱炭焼鈍後の鋼板は焼鈍分離剤を塗布した
後コイル状に巻いて最終仕上げ焼鈍に供する。この時、
鋼板表面に被膜を形成するか否かによって公知の各種焼
鈍分離剤を選択することが可能である。すなわち、鋼板
表面にフォルステライト質の被膜を形成するためにはMg
O を主成分とした焼鈍分離剤が用いられるし、鋼板表面
を鏡面化したい場合には、多くの場合Al2O3 系の焼鈍分
離剤を用いる。また、この他の公知の焼鈍分離剤を適用
することが可能であることはいうまでもない。
気の焼鈍によってなされる。すなわち、H2 ガスは最終
仕上げ焼鈍の昇温時に鋼板表層の結晶粒を粒成長させる
作用があり、このため方位の劣る2〜8mmのサイズの2
次再結晶粒の発達を抑制し、方位集積度を高めて鉄損を
低減することができ、さらに、H2 ガスは鋼中のS,S
e、OやNなどの不純物を除去する作用も有する。
昇温速度を25℃/h以下と極めて低く制御することが特に
重要で、25℃/hより昇温速度が大きくなると粒径は大き
いが方位が劣った二次粒が生成し鉄損が劣化する。500
℃から900 ℃の範囲の低温度保持処理を行うことが最も
好ましく、この場合昇温速度は500 ℃から900 ℃に達す
る時間を用いて算出する。
分離剤を除去し、必要に応じてさらに絶縁コーティング
を塗布焼き付け平坦化焼鈍を施して製品とされる。この
時、絶縁コーティングとして張力コーティングを用いる
ことが鉄損の鋼板にはより適合する。最終焼鈍以降の鋼
板には、公知の磁区細分化処理、即ちプラズマジェット
やレーザー照射を線状領域に施したり、突起ロールによ
る線状のへこみ領域を設けたりする処理を施し鉄損を低
減することもできる。また、最終仕上げ焼鈍時被膜を形
成させない場合には、その後鋼板をさらに鏡面化処理し
たり、NaCl電解などで粒方位選別処理を施したりし、さ
らに以降の工程において、張力コーティングを施し製品
とする方法が最も製品の鉄損を低減するのに有効であ
る。
ブを1435℃に加熱した後、1230℃で45mmのシートバーと
したのち仕上げ圧延終了温度890 ℃で2.2 mmの板厚と
し、冷却水を噴射させて冷却し600 ℃でコイル状に巻き
取り熱延鋼板とした。この鋼板を1100℃まで10℃/sの昇
温速度で昇温し、30秒間の均熱時間の熱延板焼鈍を施し
た後、ミスト冷却し酸洗し、1.5 mm厚に冷間圧延した。
その後、露点50℃のH2雰囲気中で1080℃で50秒間の中
間焼鈍を施し、約0.01%だけC含有量を低減し、固溶C
増加のため水ミストの噴射によって30℃/sの急冷処理を
施した。その後、220 ℃の鋼板温度での温間圧延により
0.22mmの最終板厚とした。この後、脱脂処理を施し、突
起ロールによって深さ20μm 、幅150 μm 圧延方向から
85度方向に溝を圧延方向の間隔5mmで設け、850 ℃で2
分間の脱炭焼鈍を施した。さらに、MgO にTiO2を3%添
加した焼鈍分離剤を鋼板に塗布し、最終仕上げ焼鈍とし
て、900 ℃までN2 中で18℃/hの昇温速度(500 ℃〜90
0 ℃の温度範囲の平均昇温速度:20℃)、900 ℃から10
50℃まで25%N2 と75%H2 の混合雰囲気中で26℃/hの
昇温速度、その後H2 中で25℃/hの速度で1150℃まで昇
温し、1150℃で6時間保持した後降温した。この時600
℃までH2 中で降温し600 ℃からN2 の雰囲気とした。
最終仕上げ焼鈍後は未反応の焼鈍分離剤を除去した後、
50%コロイダルシリカを含有するリン酸マグネシウムを
張力コーティングとして塗布したのち800 ℃で焼き付け
て、製品とした。これらの製品の成分を表4に磁気特性
及び二次粒分布を表5に示す。表4、表5に示されるよ
うにこの発明の成分範囲と平均粒径、結晶粒分布、方位
集積度ならびに不純物含有量の方向性電磁鋼板は極めて
優れた鉄損特性を有する。
される成分からなる鋼スラブを1380℃に加熱した後、熱
間圧延によって2.1 mmの厚みの熱延コイルとする際、熱
延仕上げ終了温度を920 ℃の温度で熱間圧延を終了した
後、大量のコイル冷却水を噴射して50℃/sの速度で冷却
し、600 ℃で巻き取った。この熱延コイルは次いで速度
12℃/sで1000℃まで昇温した後30秒間保持する熱延板焼
鈍を施し、その後、酸洗し冷間圧延によって1.9 mmの厚
みに圧延してから露点40℃、35%N2 と65%H2 の雰囲
気中で1120℃、50秒間保持する中間焼鈍を施した。これ
らのコイルは酸洗後、180 ℃の温度での冷間圧延を施し
最終厚みである0.19mmとした後、脱脂処理を施し鋼板表
面に幅200 μm ,深さ26μm で圧延直角方向に溝を圧延
方向に7mmの間隔で形成した後、850 ℃で2分間の脱炭
焼鈍を施した。その後、被膜形成抑制のため3%のSb2O
3 と32%のCaO と25%のAl2O3 と40%のMgO からなる混
合粉末を焼鈍分離剤として鋼板表面に塗布しコイル状に
巻き取った後、最終仕上げ焼鈍として500 ℃から900 ℃
までをN2 雰囲気で15℃/hの昇温速度で、900 〜1050℃
までは25%のN2 と75%のH2 の混合雰囲気で20℃/hの
昇温温度で、1050〜1200℃まで及び1200℃で5時間の均
熱までH2 雰囲気で、昇温速度20℃/hの昇温で、降温は
800 ℃までH2 中で強制冷却を行い、800 ℃以下をN2
中で冷却する熱サイクルと雰囲気を採用した。最終仕上
げ焼鈍後は焼鈍分離剤を除去した後NaCl電解で鋼板表面
に粒方位選別処理を行い、(110)面方位を強調する
処理を施した。その後、下層部としてリン酸アルミニウ
ム、上層部として50%のコロイダルシリカとリン酸マグ
ネシウムからなる2層張力コートを塗布し製品とした。
各製品より圧延方向に沿ってエプスタインサイズの試験
片を切り出し800 ℃で3時間の歪取り焼鈍を施した後、
1.7 T の磁束密度における鉄損の値W17/50及び磁束密度
B8を測定した。さらに鋼板のマクロエッチを行い結晶粒
径の分布、(110)〔001〕からの結晶方位の平均
ずれ角α及び鋼中成分の分析値を求めた。結晶粒径は円
相当径で求め、分布は面積比率で表記し、方位の面内ず
れ角は2.5 mmピッチで300 mm四方の結晶方位を測定し
(粒界部分の異常値は除く)面内ずれ角の平均値αを求
めた2これらの結果を鉄損特性と併せて表6に示す。
Mnを0.07%、Alを0.025 %、Pを0.08%、Sを0.015
%、Sbを0.068 %、Niを0.15%、Bを0.0010%かつNを
0.0075%含有し残部Feと不可避的不純物とからなる鋼ス
ラブ4本を1430℃に加熱して、シートバー厚35mmで粗圧
延し、仕上げ熱延終了温度を960 ℃とし、1.8 mmの板厚
とした後、ジェット水を噴射し65℃/sの速度で急冷し57
0 ℃でコイル状に巻き取り熱延鋼板とした。熱延板焼鈍
はN2 雰囲気中で1100℃30秒したのち30℃/sで冷却した
後350℃で30秒間保持し、カーバイドの析出処理を行っ
た。この後各鋼板はゼンジマー圧延機によって150 〜23
0 ℃での一定温度の温間圧延を施し、0.26mmの最終板厚
まで圧延した。この後脱脂処理を施し、850 ℃で2分間
の脱炭焼鈍を施し、0.08%のBを含有するMgO に7.5 %
のTiO2と3%のSnO2を添加した焼鈍分離剤を塗布し、コ
イル状に巻き取った。これらのコイルは最終仕上げ焼鈍
として表7に示す昇温速度と焼鈍雰囲気を850 ℃までを
N2 雰囲気で、1180℃までを25%のN2 と75%のH2 の
混合雰囲気中で、さらに1180℃の均熱中はH2 中で5時
間保持した後降温した。この後、これらのコイルは未反
応焼鈍分離剤を除去した後50%コロイダルシリカを含有
する張力コーティングを塗布焼き付けた後、プラズマジ
ェットを6mmピッチで板幅方向に線状に照射し製品とし
た。これらの製品の磁気特性を表7に示す。表7に示さ
れるように、仕上げ焼鈍中の昇温速度をこの発明の範囲
内に制御した製品については極めて低い鉄損値が得られ
ている。
磁鋼板及びこの製造方法に従えば、極めて優れた鉄損特
性を有する高磁束密度方向性電磁鋼板の製造方法が可能
になる。
有量と磁気特性(W17/50) との関係を示した図である。
量と磁気特性(B8)との関係を示した図である。
延方向からの平均ずれ角と磁気特性(W17/50) との関係
を示した図である。
延方向からの平均ずれ角が4度以内のもので、8mm以上
の隣接する二次再結晶粒の(110)〔001〕方位の
平均面内角度差と磁気特性(W17/50) との関係を示した
図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 鋼板の結晶粒について、結晶方位の(1
10)〔001〕方位から圧延方向の平均面内ずれ角が
4度以内、かつ圧延方向と直交する方向に隣接する結晶
粒径8mm以上の粒同士の平均面内角度差が7度以内であ
り、粒径8mm以上の結晶粒径の面積比率が75%以上、か
つ全結晶粒の平均結晶粒径が25mm以下であり、 鋼板の成分組成について、Siを1.5 〜7.0 wt%含み、か
つインヒビター補助成分としてMn, Cu, Ge, Bi, V, N
b, Cr, Te及びMoを単独あるいは2種以上の合計で0.005
〜2.5 wt%、Niを0.01〜1.5 wt%、Sbを0.01〜0.15 wt
%及びBを0 〜0.0050wt%含有し、不純物としてCを
0.003 wt%以下、S及びSeを合計して0.003 wt%以下、
Nを0.003 wt%以下、Alを0.002 wt%以下、Tiを0.003
wt%以下、Pを0.30wt%以下に低減し、残部は鉄と不可
避的不純物とからなり、更にSb含有量X(wt%)とNi含
有量Y(wt%)とが下式の関係を満足することを特徴と
する極めて鉄損の低い方向性電磁鋼板。 X≧0.01かつY≧0.01で0.3 −7.5 X<Y<1−10X - 【請求項2】 鋼板表面に50〜1000μm の幅で10〜50μ
m の深さで圧延方向に交わる方向に溝が存在することを
特徴とする請求項1記載の極めて鉄損の低い方向性電磁
鋼板。 - 【請求項3】 鋼板表面に鏡面処理もしくは結晶方位強
調処理を施してなり、その表面上に間接的あるいは直接
的に上塗コーティングを被成してなることを特徴とする
請求項1又は2に記載の極めて鉄損の低い方向性電磁鋼
板。 - 【請求項4】 C:0.035 〜0.100 wt%、Si:1.5 〜7.
0 wt%、SもしくはSe:0.005 〜0.04wt%、Al:0.010
〜0.04wt%、N:0.0010〜0.0150、Sb:0.01〜0.15wt%
を含み、かつMn, Cu, Ge, Bi, V, Nb, Cr, Te及びMoを
単独あるいは2種以上の合計で0.005 〜2.5 wt%含有
し、更にNiを0.01〜1.5 wt%、B:0 〜0.0050 wt %含
有し、不純物としてTiを0.003 wt%以下、Pを0.30wt%
以下に低減し、残部は鉄及び不可避的不純物からなるス
ラブを1300℃以上に加熱した後、熱間圧延し、熱延板焼
鈍を施した後、1回又は中間焼鈍を挟む2回以上の冷間
圧延を施して最終製品厚の冷延鋼板としたのち、脱炭・
一次再結晶焼鈍を施し、鋼板表面にMgO を主成分とする
焼鈍分離剤を塗布してから、二次再結晶焼鈍及び純化焼
鈍を施す一連の工程からなる方向性珪素鋼板の製造方法
において、 スラブ中のSb含有量X(wt%)とNi含有量Y(wt%)の
間に下式の関係を満足させ、更に二次再結晶焼鈍の500
℃〜900 ℃の温度範囲を平均昇温速度25℃/h以下で昇温
することを特徴とする極めて鉄損の低い方向性電磁鋼板
の製造方法。 X≧0.01かつY≧0.01で0.3 −7.5 X<Y<1−10X - 【請求項5】 最終冷間圧延以降において鋼板表面に溝
を形成させる磁区細分化処理を施すことを特徴とする請
求項4に記載の極めて鉄損の低い方向性電磁鋼板の製造
方法。
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