JP3236684B2 - 曲げ特性及び鉄損特性の優れた方向性けい素鋼板 - Google Patents

曲げ特性及び鉄損特性の優れた方向性けい素鋼板

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、変圧器その他の電気
機器の鉄心などの用途に用いて好適な方向性けい素鋼板
に関し、特に曲げ特性が良好でしかも歪取り焼鈍に伴う
鉄損劣化が少ない方向性けい素鋼板を提案しようとする
ものである。
【0002】
【従来の技術】方向性けい素鋼板に求められる特性とし
ては、鋼板自体としての良好な磁気特性ばかりでなく、
鉄心加工で重ねられる鋼板相互の良好な絶縁性を確保す
るための鋼板表面被膜における絶縁性や加工時の耐はく
離性といった被膜特性、さらには曲げ特性がある。かか
る鋼板の曲げ特性を改善するためには、仕上焼鈍時に成
生するフォルステライト被膜を含む成分組成を改善する
ことが重要と考えられる。
【0003】フォルステライト被膜の改善に関して、仕
上焼鈍に先立って鋼板表面に塗布する焼鈍分離剤に、主
成分であるMgO に加えてTiO2等のTi化合物を含有させる
技術が数多く開示されている。例えば特公昭51-12451号
公報には、Mg化合物 100重量部に対しTi化合物が2〜40
重量部となるように配合することにより、また特公昭49
-29409号公報には、重質低活性微粒MgO 100 部に対し2
〜20重量部TiO2を混合することにより、いずれもフォル
ステライト被膜の均一性と密着性が向上することが開示
されている。さらに特開昭50-145315 公報には、焼鈍分
離剤に用いるTiO2を微細粒とすることによりTi化合物か
らなる黒点状付着物を消滅させる技術、特開昭54-12892
8 号公報においてはMgO にTiO2及びSiO2、さらには硼素
化合物を複合含有させてフォルステライト被膜の張力を
強化する方法、特開平1-168817号公報には、MgO にTiO
2と硫酸アンチモンと窒化マンガン又は窒化フェロマン
ガンとを複合混入させて鉄損を改善する技術へと発展し
てきている。
【0004】このように焼鈍分離剤中にTi化合物を含有
させる技術は、優れた被膜特性を得るための有力な方法
ではあるが、特開平2-93021号公報にも記述があるよう
に、歪取り焼鈍に伴って鉄損が劣化するという重大な問
題がある。
【0005】ここに方向性けい素鋼板が用いられている
トランス鉄心のうち約半数は巻コアと呼ばれる小型の内
鉄型鉄心である。この巻コアは、製作途中の変形工程に
おいて機械的な外力を受けて歪を生じ、その結果磁気特
性が劣化するので、この加工による歪を回復させる目的
で、歪取り焼鈍を通常 800℃前後で行うことが不可避で
ある。しかるに前記した如く焼鈍分離剤中にTi化合物を
含有させると、歪取り焼鈍でTiの炭化物、あるいはTiの
セレン化物、硫化物が、地鉄表層の加工歪が導入された
部分に優先的に析出し、磁壁の移動が部分的に阻止され
るために鉄損が劣化することが知られている。そのため
巻コア用の素材鋼板としては歪取り焼鈍を施しても鉄損
の劣化が小さいことが望まれていた。
【0006】かかる焼鈍分離剤にTi化合物を含有させる
と歪取り焼鈍後の鉄損が劣化するという問題に対して上
掲特開平2-93021 号公報においては、仕上焼鈍後の炭素
量を0.0015wt%以下に低減させることにより、析出する
Tiの炭化物を低減するという解決策を提案している。し
かしながらこの技術は、MgO 中ヘの二酸化炭素の吸収を
抑えることが実操業では困難なこと、Ti炭化物以外のTi
の硫化物、Tiのセレン化物等の析出物については低減す
ることが原理的に不可能なことから、歪取り焼鈍での鉄
損劣化を完全に抑えることはできない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたとおり、従
来既知の技術は、被膜特性と磁気特性とを両立させるこ
とのみに注意が払われていて、製品鋼板の曲げ特性改善
に関する従来技術は知られていなかった。
【0008】曲げ特性の評価は、例えばJIS C2550 に記
載されているような繰り返し曲げ試験によるが、曲げ特
性の悪い方向性けい素鋼板ではせん断時や製品曲げ加工
時に割れが発生するために、曲げ特性の良好な方向性け
い素鋼板が望まれている。そこでこの発明は、歪取り焼
鈍に伴う鉄損劣化がなく、曲げ特性の良好なけい素鋼板
を提案することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】発明者らは、被膜特性の
良好な、Ti化合物を含有させた焼鈍分離剤を用いても歪
取り焼鈍により鉄損の劣化を来すことがなく、しかも曲
げ特性に優れる鋼板を得べく種々実験、検討を重ねた結
果、フォルステライト被膜を含めた鋼板のTi濃度(wt
%)が、N濃度(wt%)に対して所定範囲内にある方向
性けい素鋼板は、鉄損劣化がなく、曲げ特性も良好であ
ることを見出した。この発明は、上記の知見に立脚する
ものである。
【0010】すなわちこの発明は、けい素鋼表面上に、
Tiを含むフォルステライト被膜を形成してなる方向性け
い素鋼板において、このフォルステライト被膜を含めた
鋼板のTi濃度(wt%)が、N濃度(wt%)に対して1.2
〜2.0 倍の範囲であることを特徴とする曲げ特性及び鉄
損特性の優れた方向性けい素鋼板である。
【0011】以下この発明を導いた実験について述べ
る。C:0.04 wt%(以下単に%で示す)、Si:3.3%、M
n:0.075%、Se:0.020%、N:0.0040%、Sb:0.025%を
含み、残部実質的にFeの組成になるけい素鋼素材を、14
20℃で20分加熱した後、熱間圧延を施して板厚2.0 mmに
仕上げた。次いで950℃で30秒の熱延板焼鈍を行い、冷
間圧延にて板厚0.6 mmにし、続いて1000℃で2分の中間
焼鈍後30℃/秒で急冷し、さらに冷間圧延にて板厚0.22
mmの最終板厚に仕上げた。
【0012】その後脱炭焼鈍を 840℃で2分間、湿潤水
素雰囲気中にて行い、続いてMgO 100 重量部に対してTi
O2を2〜10重量部添加した焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布
形成した後、二次再結晶焼鈍を、最初は窒素中で、900
℃からは水素雰囲気に切り替えて20℃/時の昇温速度で
1050℃に昇温し、さらにN2:10〜100vol%、水素:90〜
0 vol%の雰囲気で1180℃まで昇温して行い、続いて12
00℃で純化焼鈍を、水素雰囲気中で5時間行った。この
純化焼鈍後、りん酸マグネシウムを主体とする絶縁コー
ティングを施した。
【0013】かくして得られた製品板に 800℃、3時間
の歪取り焼鈍を施して、歪取り焼鈍前後の鉄損(W17/50)
を比較した。さらに製品板の地鉄内部のTi量、フォルス
テライト被膜を含めた鋼板のTi量及びN量を湿式分析に
て求めた。
【0014】かかる実験データを整理して、図1に、フ
ォルステライト被膜を含めた鋼板のTi濃度とN濃度との
比Ti/Nが、鋼板の曲げ特性に及ぼす影響について、ま
た図2には、上記Ti/Nが地鉄中のTi量に及ぼす影響に
ついて、さらに図3には、製品板地鉄中のTi量と歪取り
焼鈍前後の鉄損変化量との関係についてそれぞれ示す。
【0015】これらの実験結果(図1〜3)から、フォ
ルステライト被膜を含めた製品鋼板のTi濃度とN濃度と
の比Ti/Nが1.2 以上であれば、曲げ特性が良く、2.0
以下であれば地鉄中のTi量が10 ppm以下となり、歪取り
焼鈍での鉄損変化を0.02 W/kg 以下にできることが明ら
かになった。
【0016】以上の結果から、曲げ特性が良く、歪取り
焼鈍による鉄損劣化が僅少なのは、製品鋼板のTi濃度と
N濃度との比Ti/Nが1.2 〜2.0 の範囲である。
【0017】
【作用】この発明の範囲を外れる鋼板、すなわちフォル
ステライト被膜を含めた製品鋼板のTi濃度とN濃度との
比Ti/Nが1.2 に満たない鋼板の曲げ特性が劣る理由
を、図4及び図5を用いて説明する。図4は鋼板断面の
模式図であり、図5はフォルステライト被膜を含めた製
品鋼板のTi濃度とN濃度との比Ti/Nが、フォルステラ
イト被膜中のTi濃度とN濃度との比に及ぼす影響につい
て調べた結果を示すグラフである。
【0018】図5に示すとおり、フォルステライト被膜
を含めた製品鋼板のTi濃度とN濃度との比Ti/Nが1.2
未満であるときは、フォルステライト被膜中のTi/Nも
およそ1.2 未満である。この鋼板のフォルステライト被
膜直下の地鉄を調べると、Si 3N4 の析出物が見られる。
そして曲げ試験での破面を調査するとSi3N4 が析出して
いる。一般にSi3N4 はぜい化析出物として知られてい
る。このことより、フォルステライト被膜を含めた製品
鋼板のTi濃度とN濃度との比Ti/Nが1.2 未満であると
きは、図4に示したとおり、フォルステライト被膜中に
TiN として固定されないNが存在し、焼鈍工程中に地鉄
へSi3N4 として析出するから、曲げ特性が劣るものと考
えられる。これに対してTi/Nが1.2 以上であれば、N
はフォルストライト被膜中にTiN として固定され、地鉄
にSi3N4 として析出しないため、曲げ特性が良くなると
考えられる。
【0019】次にフォルステライト被膜を含めた製品鋼
板のTi濃度とN濃度との比Ti/Nが2.0 を超える鋼板
が、歪取り焼鈍時に鉄損が劣化する理由を図5及び図6
の鋼板断面図を用いて説明する。図5に示すとおり、フ
ォルステライト被膜を含めた製品鋼板のTi濃度とN濃度
との比Ti/Nが2.0 を超える場合は、フォルステライト
被膜中のTi/Nもおよそ2.0 超となる。この鋼板の地鉄
中Tiは10 ppm超となる。そのため、歪取り焼鈍により鉄
損が劣化するのである。すなわち、Ti/Nが2.0 を超え
るとフォルストライト中のTi/Nが大きくなりすぎ、図
6に示したようにフォルステライト被膜中にNで固定さ
れないTiが存在し、焼鈍工程でこのTiが地鉄へ侵入し
て、地鉄Ti量が10 ppm超となるから、歪取り焼鈍時に鉄
損が劣化すると考えられる。
【0020】この発明のけい素鋼の成分組成について
は、方向性けい素鋼板として通常用いられている範囲の
ものを用いることができ、例えばC:0.02〜0.10%、S
i:2.0〜4.0 %、Mn:0.02〜0.20%を含み、かつS及び
Seのうち少なくとも一方を単独または合計量で0.010 〜
0.040 %を含む組成が好ましい。その他必要に応じてA
l:0.010 〜0.065 %、N:0.0010〜0.0150%、Sb:0.0
1〜0.20%、Cu:0.02〜0.20%、Mo:0.01〜0.05%、S
n:0.02〜0.20%、Ni:0.02〜0.20%を含むことができ
る。
【0021】Cは、0.02%に満たないと良好な一次再結
晶組織を得られず、0.10%を超えると脱炭不良となり磁
気特性が悪化するので0.03〜0.10%程度が好ましい。Si
は、製品の電気抵抗を高め、渦電流損を低減させる上で
必要な成分であり、2.0 %に満たないと最終仕上焼鈍中
にα−γ変態によって結晶方位が損なわれ、4.0 %を超
えると冷延性に問題があるために、 2.0〜4.0 %程度が
好ましい。Mn とSeおよびSはインヒビターとして機能
するもので、Mn量が0.02%未満又はS、Seの単独もしく
は合計量が0.010 %未満であるとインヒビター機能が不
十分であり、Mn量が0.20%を超え又はS、Seの単独もし
くは合計が0.040 %を超えるとスラブ加熱温度に要する
温度が高すぎて実用的でないので、Mnは0.02〜0.20%、
S又はSeは単独あるいは合計として0.010 〜0.040 %と
するのが好ましい。
【0022】その他インヒビター構成成分として公知で
あるAlN を利用することができ、良好な鉄損を得るため
にはAlは0.010 〜0.065 %、Nは0.0010〜0.0150%の範
囲が好ましい。これを超える量では、AlN の粗大化を招
き抑制力を失い、これ未満ではAlN の量が不足である。
【0023】さらに磁束密度を向上させるためにSb、Cu
を低下させることが可能である。Sbは0.20%を超えると
脱炭性が悪くなり、0.01%に満たないと効果がないので
0.01〜0.20%が好ましい。Cuは0.20%を超えると酸洗性
が悪化し0.01%に満たないと効果がないので0.01〜0.20
%が好ましい。
【0024】表面性状を改善するためにMoを添加でき
る。0.05%を超えると脱炭性が悪くなり、0.01%に満た
ないと効果がないので0.01〜0.05%が好ましい。
【0025】鉄損を向上させるためにSn、Niを添加する
ことができる。Snは0.30%を超えると良好な一次再結晶
組織が得られず、0.01%未満では効果がないので0.01〜
0.30%が好ましい。Niは0.20%を超えると熱間強度が低
下し、0.01%未満では効果がないので0.01〜0.20%が好
ましい。
【0026】この発明の対象としている方向性けい素鋼
板の製造においては、従来用いられている製鋼法で得ら
れた溶鋼を連続鋳造法あるいは造塊法で鋳造し、必要に
応じて分塊圧延工程を挟んでスラブを得、続いて熱間圧
延をし、必要に応じて熱延板焼鈍を行った後、1回ない
しは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延により最終板厚
の冷延板を得る。
【0027】この最終冷延後に脱炭焼鈍を行った後、鋼
板表面に焼鈍分離剤を塗布する。この際、焼鈍分離剤と
してTi酸化物又は加熱によりTi酸化物になるTi化合物を
MgO:100 重量部に対するTiO2換算で1.0 〜40重量部の
範囲で含有させることが好ましい。Ti酸化物又は加熱に
よりTi酸化物になるTi化合物としては、例えばTiO2、Ti
O3・H2O 、 TiO・(OH)2 、Ti(OH)4 などが挙げられる。
【0028】次いで二次再結晶焼鈍を行い、続いて純化
焼鈍を、1150〜1250℃の範囲で行う。この発明の、フォ
ルステライト被膜を含めた鋼板のTi濃度(wt%)が、N
濃度(wt%)に対して1.2 〜2.0 倍の範囲である鋼板を
得るためには、かかる二次再結晶焼鈍ないしは純化焼鈍
時の雰囲気を調整することが好適であり、その他の手法
としては、焼鈍分離剤中のTi化合物量を、上記の範囲内
で調整することや、溶鋼段階でN濃度を調整する方法が
ある。その後絶縁コーティング好ましくは張力をも付与
する絶縁コーティングを施して製品とする。
【0029】
【実施例】
実施例1 C:0.044 %、Si:3.23%、Mn:0.075 %、Se:0.021
%、Sb:0.026 %を含み残部実質的にFeの組成からなる
けい素鋼スラブを、1420℃で30分間加熱後、熱間圧延を
施して板厚2.0 mmの熱延板とした。次いで1000℃で1分
間焼鈍した後、冷間圧延にて板厚0.60mmとし、975 ℃、
2分間の中間焼鈍を行った後、冷間圧延を施して最終板
厚0.22mmに仕上げた。次いで 820℃2分間の脱炭焼鈍を
行い、MgO 100 重量部に対して表1に示す重量部になる
TiO2を含有させた焼鈍分離剤を鋼板表面に塗布した後、
850 ℃、50時間窒素雰囲気中で二次再結晶焼鈍を行っ
た。続いて表1で示した雰囲気と時間で1200℃にて純化
焼鈍を行った。純化焼鈍後、コロイド状SiO2、りん酸マ
グネシウム及び無水クロム酸からなる絶縁コーティング
を施した。その後鋼板をトロイド状に塑性加工し、さら
に直線状に伸ばした後、 800℃で3時間の歪取り焼鈍を
行った。コーティング後と歪取り焼鈍後の鉄損及び曲げ
特性について調べた結果を表1に併記する。なお、曲げ
特性は、JIS C2550 に記載されている繰り返し曲げ試験
により、割れが生じた回数が3回以上のものを良好、そ
れ未満のものを悪いと判定した。
【0030】
【表1】
【0031】表1から明らかなように、純化焼鈍時のN2
+H2雰囲気を調整して、製品のTi/N(フォルステライ
ト被膜を含めた鋼板のTi濃度とN濃度との比)が1.2 〜
2.0の範囲にある実施例は、曲げ特性が良好で、鉄損特
性も歪取り焼鈍により劣化しない。
【0032】実施例2 C:0.071 %、Si:3.34%、Mn:0.069 %、S:0.021
%、Al:0.025 %、N:0.0083%、Cu:0.12%、Sb:0.
029 %を含み残部実質的のFeの組成からなるけい素鋼ス
ラブを1430℃で30分間加熱後、熱間圧延を施して板厚2.
2 mmの熱延板とした。次いで1000℃、1分間の熱延板焼
鈍をした後、冷間圧延で板厚1.5 mmとし、1100℃、2分
間の中間焼鈍を行い、30℃/秒の速度にて冷却した後、
冷間圧延を施して最終板厚0.22mmに仕上げた。次いで 8
20℃、2分間の脱炭焼鈍を行い、MgO 100 重量部に対し
て表2に示す重量部になるTiO2を含有させた焼鈍分離剤
を鋼板表面に塗布し、その後 850℃、20時間窒素雰囲気
中で保定し引続いて水素75vol%、窒素25 vol%の雰囲
気中で12℃/hの速度で1150℃まで昇温する二次再結晶
焼鈍を行った。続いて表2で示した雰囲気と時間で1200
℃にて純化焼鈍を行った。純化焼鈍後コロイド状SiO2
りん酸マグネシウム、無水クロム酸からなる絶縁コーテ
ィングを施した。その後鋼板をトロイド状に塑性加工
し、さらに直線状に伸ばした後、800 ℃で3時間の歪取
り焼鈍を行った。コーティング後と歪取り焼鈍後の鉄損
及び曲げ特性について調べた結果を表2に併記した。
【0033】
【表2】
【0034】表2から明らかなように、純化焼鈍時のN2
+H2雰囲気を調整して、製品のTi/N(フォルステライ
ト被膜を含めた鋼板のTi濃度とN濃度との比)が1.2 〜
2.0の範囲にある実施例は、曲げ特性が良好で、鉄損特
性も歪取り焼鈍により劣化しない。
【0035】
【発明の効果】この発明の方向性けい素鋼は、フォルス
テライト被膜を含めた鋼板のTi濃度(wt%)が、N濃度
(wt%)に対して1.2 〜2.0 倍の範囲であることから、
歪取り焼鈍に伴う鉄損劣化がなく、しかも曲げ特性が良
好であり、せん断時や製品曲げ加工時に割れが発生する
ことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】フォルステライト被膜を含めた鋼板のTi濃度と
N濃度との比Ti/Nが、鋼板の曲げ特性に及ぼす影響を
示すグラフである。
【図2】Ti/Nが地鉄中のTi量に及ぼす影響を示すグラ
フである。
【図3】製品板地鉄中のTi量と歪取り焼鈍前後の鉄損変
化量との関係を示すグラフである。
【図4】鋼板断面の模式図である。
【図5】フォルステライト被膜を含めた製品鋼板のTi濃
度とN濃度との比Ti/Nが、フォルステライト被膜中の
Ti濃度とN濃度との比に及ぼす影響を示すグラフであ
る。
【図6】鋼板断面の模式図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−81628(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 22/00 - 22/86 C21D 1/70 C22C 38/00 - 38/60

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 けい素鋼表面上に、Tiを含むフォルステ
    ライト被膜を形成してなる方向性けい素鋼板において、
    このフォルステライト被膜を含めた鋼板のTi濃度(wt
    %)が、N濃度(wt%)に対して1.2 〜2.0 倍の範囲で
    あることを特徴とする曲げ特性及び鉄損特性の優れた方
    向性けい素鋼板。
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