JP2983129B2 - 極めて低い鉄損をもつ一方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
極めて低い鉄損をもつ一方向性電磁鋼板の製造方法Info
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Description
iを含み、低い鉄損をもつ一方向性電磁鋼板の製造方法
を提供するものである。
鉄損特性と励磁特性の両方で評価される。励磁特性を高
めることは設計磁束密度を高める機器の小型化に有効で
ある。一方鉄損特性を少なくすることは、電気機器とし
て使用する際、熱エネルギーとして失われるものを少な
くし、消費電力を節約できる点で有効である。たとえ
ば、特公昭54−13846号公報に開示されているよ
うに、冷間圧延中の鋼板温度を50〜350℃の温度範
囲で1分以上の時間保持する熱効果を与えることによ
り、磁気特性の非常に優れた一方向性電磁鋼板が得られ
る。しかし、この製造方法はある程度の鉄損の低減は図
れるのであるが、未だに二次再結晶マクロ粒径が10mm
オーダと大きく、鉄損に影響する因子である渦電流損を
減らすことができず、良好な鉄損値が得られていなかっ
た。これを改善するために、特公昭57−2252号公
報に開示されている鋼板にレーザ処理を施す方法、さら
に特公昭58−2569号公報に鋼板に機械的な歪みを
加える方法など、磁区を細分化する様々な方法が開示さ
れている。
は、常温圧延された鋼板に100℃/秒以上の加熱速度
で657℃以上の温度へ超急速焼きなまし処理を施し、
該ストリップを脱炭素処理し、最終高温焼きなまし処理
を施して二次成長を行い、それによって前記ストリップ
が低減した寸法の二次粒子及び応力除去焼きなまし処理
後も有意の変化なしに持続する改善された鉄損をもつこ
とを特徴とする方法が開示されている。しかし、この製
造方法により単に二次再結晶粒径を微細化するだけで
は、フォルステライト皮膜上に絶縁皮膜を塗布した際、
従来の磁区の細分化並みの鉄損特性を得ることは困難で
あった。
では、十分に低い鉄損をもつ一方向性電磁鋼板を得るこ
とは困難であり、本発明はそれを解決する製造方法を提
供するものである。
解決すべく検討を重ねた結果、重量でC:0.10%以
下、Si:2.5〜7.0%、ならびにMn,S,酸可
溶性Al,N,Cu,Sn,Sb,Cr,Bi,Seか
ら選ばれる1種又は2種以上のインヒビター成分を含
み、残余はFeおよび不可避的不純物よりなる一方向性
電磁鋼熱延板に熱延板焼鈍を施し、最終圧下率60%以
上の最終冷間圧延を含む、1回あるいは中間焼鈍をはさ
む2回以上の冷間圧延を実施し、脱炭焼鈍した後、最終
仕上焼鈍を施して一方向性電磁鋼板を製造する方法にお
いて、上記最終冷間圧延に際し、少なくとも1回以上の
途中板厚段階において鋼板に100℃以上の温度範囲で
1分以上の時間保持する熱処理を与え、かつ最終板厚ま
で圧延されたストリップを、脱炭焼鈍する直前に50℃
/秒以上の加熱速度で700℃以上の温度へ加熱処理す
ることにより、極めて低い鉄損をもつ一方向性電磁鋼板
の製造方法が得られることを見い出した。
電磁鋼板は、その製造工程の最終焼鈍中に二次再結晶を
十分に起こさせ、所謂ゴス集合組織を得ることにより製
造できる。このゴス集合組織を得るためには、一次再結
晶粒の成長粗大化を抑制し、圧延方向に揃った(11
0)〈001〉方位の再結晶粒のみをある温度範囲で選
択的に成長させる。つまり、二次再結晶させるような素
地を作ってやることが必要である。そのためには、素材
にMnS,AlN,Cu2 Sなどの微細な介在物が一次
再結晶粒の成長の抑制材(インヒビター)として、均一
に分散していなければならない。さらに、一次再結晶の
段階で、(110)面方位再結晶粒をできるだけ増やし
てやる必要がある。
ある程度大きな粒径の二次再結晶粒は圧延方向に揃った
(110)〈001〉方位をもつことができるのである
が、数mm以下の小さな粒径になると圧延方向から大きく
ずれた二次再結晶になるという問題点があった。この傾
向は特に、特開平1−290716号公報のような平均
二次再結晶粒径を低減することにより磁区幅を小さくし
て目標の低鉄損を得る方策をとる場合、どうしても(1
10)〈001〉方位が圧延方向からずれた微細な二次
再結晶粒の比率が多くなり、後の鋼板表面にフォルステ
ライトや絶縁皮膜などの皮膜を付与した際の鉄損値の向
上率が余り大きくならないという問題点があった。
おいても圧延方向に揃った(110)〈001〉方位を
得るため、一次再結晶組織の改善について検討を重ねた
結果、冷間圧延の圧延条件と脱炭焼鈍する直前あるいは
昇温段階の条件が、結晶粒径が小さな二次再結晶粒の方
位に大きな影響を及ぼすことを見い出した。すなわち、
冷延の途中板厚段階で所定の温度で熱処理することによ
り、侵入型固溶元素たとえば固溶Cなどが冷延により形
成された転位に固着され、変形機構に変化を及ぼし冷延
集合組織を変え、かつ脱炭焼鈍する直前に50℃/秒以
上の加熱速度で700℃以上の温度へ加熱処理すること
により、(110)〈001〉方位が圧延方向に揃った
数mm以下の微細な二次再結晶粒が得られることを見い出
した。これにより後の鋼板表面に皮膜を付与した際の鉄
損値の向上代が大きく、低鉄損を得ることが可能とな
る。
の(100)極点図を示す。(a)は従来の製造方法
で、常温圧延されたストリップに対して脱炭焼鈍するに
際し、昇温を300℃/秒の加熱速度で実施し、二次再
結晶させた場合の微細二次再結晶粒の方位、(b)は本
発明例で冷間圧延中に230℃で10分間の熱処理を施
し、最終製品まで冷間圧延した後、脱炭焼鈍での昇温を
300℃/秒の加熱速度で実施し、二次再結晶させた場
合の微細二次再結晶粒の方位である。本発明により微細
な二次再結晶粒でも圧延方向に揃った(110)〈00
1〉方位が得られている。これにより、二次再結晶した
鋼板表面のフォルステライトや、絶縁皮膜などにより皮
膜張力を付与することにより、大きな鉄損の向上率があ
り、極めて低い鉄損値を得ることができる。
前記のように限定した理由を、詳細に説明する。この鋼
成分の限定理由は下記のとおりである。Cについての上
限0.10%は、これ以上多くなると脱炭所要時間が長
くなり、経済的に不利となるので限定した。Siは鉄損
をよくするために下限を2.5%とするが、多すぎると
冷間圧延の際に割れ易く加工が困難となるので上限を
7.0%とする。
に、通常のインヒビター成分として以下の成分元素を添
加することが好ましい。インヒビターとしてMnSを利
用する場合は、MnとSを添加する。Mnは、MnSの
適当な分散状態を得るため、0.02〜0.15%が望
ましい。SはMnS,(Mn・Fe)Sを形成するため
に必要な元素で、適当な分散状態を得るため、0.00
1〜0.05%が望ましい。さらに、インヒビターとし
てAlNを利用する場合は、酸可溶性AlとNを添加す
る。酸可溶性Al,AlNの適正な分散状態を得るため
0.01〜0.04%が望ましい。Nも、AlNを得る
ため0.003〜0.02%が望ましい。その他、C
u,Sn,Sb,Cr,Biはインヒビターを強くする
目的で1.0%以下において少なくとも1種添加しても
よい。
は連続鋳造法、熱間圧延により中間厚のストリップを得
る。この時ストリップ鋳造法も本発明に適用することも
可能である。
とする場合は、AlNなどの析出のために950〜12
00℃で30秒〜30分の中間焼鈍を行うことが望まし
い。次に、1回ないし中間焼鈍を含む2回以上の圧延に
より最終製品厚のストリップを得る。中間焼鈍を含む2
回以上の圧延をする際の、1回目の圧延は圧下率5〜5
0%、中間焼鈍は950〜1200℃で30秒〜30分
の中間焼鈍を行うことが望ましい。次に最終圧下率は高
いゴス集積度をもつ製品を得るため、圧下率60%以上
が必要である。下限60%は、これ以下では必要なゴス
核が得られないからである。
向上させるため、冷間圧延中に複数回のパスにより各板
厚段階を経て最終板厚となるが、その少なくとも、1回
以上の途中板厚段階において鋼板に100℃以上の温度
範囲で1分以上の時間保持する熱効果を与える。温度の
下限100℃、均熱時間の下限1分はこれ以下では固溶
Cなどが転位に固着されず、後の一次再結晶集合組織を
変化させ、(110)〈001〉が圧延方向に揃った微
細な二次再結晶が十分に発達されにくいので限定した。
プに加熱処理を施す。まず、ストリップを50℃/秒以
上の加熱速度で700℃以上の温度へ急速加熱する。こ
の時の加熱速度の下限50℃/秒は、これ以下では二次
再結晶の核となる一次再結晶後での(110)〈00
1〉方位粒が減少し、微細な二次再結晶粒が得られない
ので限定した。また、下限700℃は、これ以下では再
結晶が開始されないので限定した。なお、この急速加熱
処理は皮膜形成などの問題から、できるだけ還元雰囲
気、あるいは非酸化雰囲気中で実施することが望まし
い。なお、上記の急速加熱処理は、次に施される脱炭焼
鈍前に行われても、脱炭焼鈍の加熱段階として脱炭焼鈍
工程に組み込むことも可能であるが、後者の方が、工程
数を少なくするので望ましい。この後は、湿水素雰囲気
中で脱炭焼鈍を行う、この時製品での磁気特性を劣化さ
せないため炭素は0.005%以下に低減されなければ
ならない。ここで、熱延のスラブ加熱温度が低く、Al
Nのみをインヒビターとして利用する場合は、アンモニ
ア雰囲気中で窒化処理を付加することもある。さらに、
MgOなどの焼鈍分離剤を塗布して、二次再結晶と純化
のため1100℃以上の仕上焼鈍を行うことで、フォル
ステライトなどの皮膜を鋼板表面に形成した微細な二次
再結晶粒を得る。
膜の上に、さらに絶縁皮膜を塗布することにより極めて
低い鉄損特性を有する一方向性電磁鋼板が製造される。
以上の磁気特性は、後の歪み取り焼鈍を施しても、変化
しない低鉄損を保持している。なお、得られた製品で、
さらに鉄損を良好にするため、上記一方向性電磁鋼板
に、磁区を細分化するための処理を施すことも可能であ
る。
まで熱間圧延させた熱延板に1100℃で1分間焼鈍を
施した。この後、圧延中に鋼板温度を200℃で2分焼
鈍を施して圧延した場合と、30℃の常温で圧延した場
合の2種の冷間圧延方法により最終板厚0.27mmにま
で圧延した。さらに、得られたストリップを脱炭焼鈍す
る際、加熱段階で10℃/秒、85℃/秒、300℃/
秒の3条件で加熱し、その後、湿潤水素中で脱炭焼鈍
し、MgO粉を塗布した後、1200℃に10時間、水
素ガス雰囲気中で高温焼鈍を行った。得られた鋼板の余
剰MgOを除去し、形成されたフォルステライト皮膜上
に、絶縁皮膜を塗布した。表2に、得られた製品の磁気
特性を示す。本発明により、鉄損特性に優れた一方向性
電磁鋼板が得られている。
鋼を鋳造し、スラブ加熱後、熱間圧延を行い、2.3mm
の熱延鋼板を得た。これを、1100℃で5分間焼鈍を
行い、さらに酸洗した後、圧延中に250℃の鋼板温度
で5分焼鈍を施して、冷間圧延を行い0.22mm厚にし
た。圧延された鋼板を二対の直接通電加熱ロールにより
290℃/秒の加熱速度で845℃まで加熱した。この
後、同じ845℃の均一温度、湿潤水素中で脱炭焼鈍し
た。次にMgO粉を塗布した後、1200℃に10時
間、水素ガス雰囲気中で高温焼鈍を行った。得られた鋼
板の余剰MgOを除去し、形成されたフォルステライト
皮膜上に、絶縁皮膜を塗布した。これにより得られた製
品の磁気特性は、B8 =1.94T、W17/50 =0.7
6w/kgの低い鉄損をもつ一方向性電磁鋼板が得られた。
鋼を鋳造し、スラブ加熱後、熱間圧延を行い、2.3mm
の熱延鋼板を得た。これを1000℃で4分間焼鈍を行
い、1.60mmまで圧延した。これを1120℃で5分
間焼鈍を行い、さらに酸洗した後、冷間圧延中に250
℃の鋼板温度で6分焼鈍を施して冷間圧延を行い、0.
22mm厚にした。圧延された鋼板を二対の直接通過加熱
ロールにより300℃/秒の加熱速度で840℃まで加
熱した。この後、同じ840℃の均一温度、湿潤水素中
で脱炭焼鈍した。次にMgO粉を塗布した後、1200
℃に10時間、水素ガス雰囲気中で高温焼鈍を行った。
得られた鋼板の余剰MgOを除去し、形成されたフォル
ステライト皮膜上に、絶縁皮膜を塗布した。これにより
得られた製品の磁気特性は、B8 =1.93T、W
17/50 =0.75w/kgの低い鉄損をもつ一方向性電磁鋼
板が得られた。
る一方向性電磁鋼板を製造することができるので、産業
上の貢献するところが極めて大である。
以下の二次再結晶粒方位の変化を示す極点図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量でC:0.10%以下、Si:2.
5〜7.0%、ならびにMn,S,酸可溶性Al,N,
Cu,Sn,Sb,Cr,Bi,Seから選ばれる1種
又は2種以上のインヒビター成分を含み、残余はFeお
よび不可避的不純物よりなる一方向性電磁鋼熱延板に熱
延板焼鈍を施し、最終圧下率60%以上の最終冷間圧延
を含む、1回あるいは中間焼鈍をはさむ2回以上の冷間
圧延を実施し、脱炭焼鈍した後、最終仕上焼鈍を施して
一方向性電磁鋼板を製造する方法において、上記最終冷
間圧延に際し、少なくとも1回以上の途中板厚段階にお
いて鋼板に100℃以上の温度範囲で1分以上の時間保
持する熱処理を与え、かつ最終板厚まで圧延されたスト
リップを脱炭焼鈍する直前に50℃/秒以上の加熱速度
で700℃以上の温度へ加熱処理することを特徴とする
極めて低い鉄損をもつ一方向性電磁鋼板の製造方法。 - 【請求項2】 急速加熱処理が脱炭焼鈍の加熱段階とし
て行われる請求項1記載の方法。
Priority Applications (5)
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1993
- 1993-08-24 JP JP5209576A patent/JP2983129B2/ja not_active Expired - Lifetime
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