JP2011501739A - 表面修飾した固体無機/有機ハイブリッド - Google Patents

表面修飾した固体無機/有機ハイブリッド Download PDF

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Abstract

本発明は、表面修飾した固体有機金属ハイブリッドに関する。該固体は、例えば、活性医薬剤、化粧品における対象化合物およびマーカー、例えば造影剤等の対象分子の封入および方向付けに使用され得る。該固体は、薬剤における充填容量および生体適合性の観点から良好な結果を示す。

Description

本発明は、金属有機骨格(MOF)を有する結晶性多孔質固体に関し、また特に該固体を調製する方法にも関する。
本発明のMOF固体は、例えば、造影剤として、および/または医薬化合物を輸送するために使用され得る。本発明の固体は、化粧品分野における用途にも使用され得る。本発明の固体は、体内において医薬化合物を方向付け(ベクター化)しおよび/またはモニターするためにも使用され得る。本発明の固体は、例えば、結晶、粉末、粒子またはナノ粒子の形態であってよい。
角括弧の中の記号[X]は、実施例の最後の参考文献のリストを指す。
金属有機骨格構造体(MOF)は、金属イオンと、金属イオンに配位結合した有機リガンドとを含む無機−有機ハイブリッド構造体配位ポリマーである。これらの材料は、金属クラスタがスペーサリガンドを介して周期的に結合する一次元、二次元または三次元骨格に組織化される。これらの材料は、結晶構造を有し、通常は多孔質であり、ガス貯蔵、液体吸着、液体または気体分離、触媒などの多くの工業用途に使用される。
挙げることができる例としては、亜鉛系MOF材料を含む触媒系を含む反応プロセスが記載されている米国特許出願番号第10/039 733号[1]がある。この同じ材料は、米国特許出願番号第10/061 147号[2]においてガス貯蔵のためにも使用される。
加えて、同じトポロジーの骨格に基づくMOF材料は、「等網状」と呼ばれる。これらの空間的に組織化された骨格によって、より均一な多孔質を得ることを可能になった。したがって、米国特許出願番号第10/137 043号[3]には、ガス貯蔵に使用されるいくつかの亜鉛系IRMOF(等網状金属有機骨格構造体)材料が記載されている。
しかし、ナノ粒子、特に1000nmより小さいナノ粒子は、容易に凝集するそれらの性質およびダイサイズ(マイクロメートル)の結晶格子を組織化するこれらの材料の傾向から、合成するのが困難である。これは、また、特定の用途にとって好ましくない粒径の不均一性の問題をもたらす。
また、これらの材料の構造および構成要素のトポロジーは、先行技術においてあまり研究されてこなかった。加えて、前記構造は、吸着すべき分子に適する「特定用途向きの」孔径、柔構造または軟質構造、改善された比表面積および/または吸着能力などの具体的な特性を得るように常に制御されているわけではない。具体的には、これらの材料の構造組織および多孔性を制御することは困難である。
その構造組織を制御するのが困難である理由の1つは、骨格の相互浸透のリスクに関係がある。具体的には、材料の形成または重合中に、骨格が絡み合う恐れがある。相互浸透した骨格の数が増加すると、より孔が小さいより高密度な材料になり、不適切な不均質の多孔性を有する不均一な構造がもたらされる。
したがって、米国特許第5 648 508号[4]に記載されているように、「制御された」構造を得るために「モデリング」物質が使用された。リガンドは、これらの「モデリング」物質を空洞または孔に封入することによって金属の周囲で組織化する。しかし
、これらの物質は、MOF材料と強く相互作用し、骨格を損なわずにそれらを除去することは困難または不可能であるため、孔がかかる物質によって占領された固体となる。
しかし、これらの物質を使用すると、粒子の合成中に化学物質が添加され、プロセスがより複雑かつより高価になる。加えて、医学的用途では、このモデリングは適応性が劣ると思われる。
よって、適切かつ均一な多孔性、粒径および充填容量を有する各用途に適した材料を得るために、粒子の構造およびサイズを制御するという観点において、改善すべき多くの点が残っている。
その上、対象分子、特に治療効果を有する分子またはマーカーのための担体およびベクターの使用は、新規診断法または新規薬剤の開発の主要課題となってきた。具体的には、対象分子は、これらの分子の薬物動態および生体内分布に影響を及ぼし、該分子が導入される媒質に常に好ましいまたは適合できるとは限らない特徴を有する。該特徴は、例えば、不安定性、結晶化への強い傾向、難水溶性等の物理化学的特徴、および/または毒性、生分解性等の生物学的特徴である。
例として、多くの抗癌剤は、その高い細胞毒性活性によって限定される治療指数を有する。
治療指数は、活性成分の難溶解性および結晶化への強い傾向によっても限定され得る。このことは、活性成分の溶解および吸収の減速だけでなく、投与後のインシチュにおける結晶性粒子の形成による部分的または全体的な血管閉塞のリスクにもつながり得る。これは特に、強い自己会合への傾向を有する化学基を含有するブスルファン等の抗癌剤を、これらの分子の自発的結晶化につながる疎水性または極性相互作用によってアルキル化する場合に当てはまる。したがって、例えばそのような活性成分の方向付け中における、この結晶化現象を回避することが重要である。
活性成分の不安定性は、治療効能の問題も引き起こす。具体的には、いくつかの成分は、免疫系によって迅速に排除されるか、または細網内皮系の臓器(主として肝臓および脾臓)によって取り込まれる。これは特にブスルファンの場合に当てはまり、ブスルファンは、経口または静脈内投与から10〜30分以内に大部分が肝臓によって取り込まれ、治療が存在しない静脈閉塞性肝疾患の発症の原因となり得る。
記事Bone Marrow Transplant.2002,30(12),833−841[6]には、例えば、特にブスルファンが充填されたコロイドベクターが記載されている。残念なことに、ブスルファンの封入度が低く、リポソームの全重量に対して0.5重量%程度である。また、当該リポソーム系コロイドベクターは、自発的解離およびこれらの脂質構造の急速な代謝分解により、結晶媒体中での寿命が短い。これは、治療効果を弱め、任意選択では必要な治療投薬量と適合しないリポソーム分散体の容量を大きくする。
血漿内安定性のこの問題を克服するために、水不溶性ポリマーに基づく固体のコロイドベクターが開発された。それらは、生分解性ポリマーナノ粒子の形であり、それらが担持できる活性成分は、徐々に、拡散によって、かつ/またはナノ粒子が代謝分解するのに伴って徐々に放出される。これは、毒性のかつ/または不安定な製造物を担持するのに使用される、米国特許第4 329 332号[7]に記載されているポリ(アルキルシアノアクリレート)類のポリマーについて当てはまる。
しかし、これらのナノ粒子は、封入度が劣る。加えて、封入度は、ポリ(アルキルシア
ノアクリレート)ナノ粒子に封入される活性成分の性質に左右される。具体的には、水溶性が乏しく、かつ/または疎水性の結晶性活性成分の場合は、それらは、沈殿する傾向、およびこれらのナノ粒子を得るのに使用されるin situ重合プロセスの分散水相において結晶化する傾向を有する。これにより、当該活性成分の封入が困難になり、ポリ(アルキルシアノアクリレート)の封入度は、採用されるポリマーの質量の0.1重量%〜1重量%のオーダの低い封入度である。
さらに、そのようなベクターは、高度な反応性を有する活性成分、例えばブスルファンの封入に適さない。具体的には、これらのベクターが活性成分の存在下でin situ重合によって製造される限り、前記活性成分は、モノマー単位と反応して、ナノ粒子の製造に必要な十分な重合を妨げる危険性がある。
したがって、多くの分子は、それらの結晶化への傾向、溶媒へのそれらの低溶解性および/またはそれらの不安定性により封入するのが依然として困難または不可能である。
加えて、ブスルファンは、その封入に関して実際的な課題がある。肝臓を避ける隠匿性ベクターは、ブスルファンの可能な充填量が小さいため、満足できる封入目的を達成することができなかった。リポソームを用いて得られる最大充填量は、0.5重量%を超えない。
最近になって、J.Bouligand,et al.,Int.J.Pharm.,2004[8]に記載されているように、ポリ(アルキルシアノアクリレート)系生分解性ポリマーナノ粒子を使用すると、ブスルファンの封入度を約5重量%まで向上させることが可能になった。しかし、ナノ粒子の反復投与を通じて、例えば高投与量の化学療法においては、体内のポリマーの大きな蓄積が著しくなる恐れがある。
よって、免疫系および/またはいくつかの臓器、例えば肝臓による取り込みを免れ、それにより、これらの臓器内における化合物の蓄積を回避できる、改善された化合物が真に必要である。
活性成分を特定の標的に向けて方向付けすることができる化合物も真に必要である。
活性成分、例えば、その不安定性、その結晶化する強い傾向、その難溶解性、その両親媒性または親水性の性質等に関係して特に封入が難しい活性成分を輸送することができる新規化合物も真に必要である。加えて、特にナノ粒子の反復投与が想定されている場合、十分な充填容量を有する新規化合物が必要である。
さらに、活性成分の制御放出を提供し得る化合物が真に必要である。
本発明の目的は、正確には、以下の式(I):
式(I)
に対応する同一のまたは異なる単位の三次元の連続を有し、少なくとも1種の有機表面剤を含むように表面が修飾されている、表面修飾された多孔質結晶性MOF固体を提供することにより、上記の必要性および先行技術の欠点に対処することである。
(式中、
−Mは、Fe2+、Fe3+、Zn2+、Ti3+、Ti4+、Zr2+、Zr4+、Ca2+、Cu2+、Gd3+、Mg2+、Mn2+、Mn3+、Mn4+、Si4+、好ましくはFe2+、Fe3+、Zn2+およびTi4+からなる群から選択される金属イオンであり、
−m、k、lおよびpは、該単位の電荷の中立性を尊重するように選択される0以上の
数字であり、好ましくはm、k、lおよびpは、独立して0〜4であり、例えばmおよびpは独立して1、2もしくは3であるか、kおよびlは独立に0もしくは1であるかの少なく一方であり、
−Xは、OH-、Cl-、F-、I-、Br-、SO4 2-、NO3 -、ClO4 -、R1−(CO
O) -、R1−(SO3 -、R1−(PO3 -からなる群から選択される配位子であ
り、R1は、水素原子、直鎖または分枝鎖のC1〜C8アルキルであり、n=1〜6であり

−Lは、q個の基Aを有する基Rからなるスペーサー配位子であり、ここで、
・qは、1、2、3、4、5または6、例えば2〜4であり、
・Aの各存在は、独立して
であり、
ここで、*は、基Aの基Rとの結合点を表し、
#は、基Aの金属イオンMとの可能な結合点を表し、
A1およびRA2は、独立して水素原子、直鎖、分枝鎖または環式の任意選択で置換されているC1〜12アルキル、C2〜12アルケンまたはC2〜12アルキン基、あるいは、6〜5
0個の炭素原子からなる任意選択で分枝され、かつ/または置換されている単環式または多環式アリールであり、 ・Rは、
(i)C1〜12アルキル、C2〜12アルケンまたはC2〜12アルキン基、
(ii)6〜50個の炭素原子からなる縮合または非縮合の単環式または多環式アリー
ル基、
(iii)1〜50個の炭素原子からなる縮合または非縮合の単環式または多環式ヘテロアリール、
(iv)フェロセン、ポルフィリン、フタロシアニンおよびシッフ塩基RX1X2−C=N−RX3からなる群から選択される金属元素からなる有機基
を表し、
X1およびRX2は、独立して水素原子、直鎖、分枝鎖または環式の任意選択で置換されているC1〜12アルキル、C2〜12アルケンまたはC2〜12アルキン基、あるいは、6〜5
0個の炭素原子からなる任意選択で分枝され、かつ/または置換されている単環式または多環式アリールであり、
X3は、直鎖、分枝鎖または環式の任意選択で置換されているC1〜12アルキル、C2〜12アルケンまたはC2〜12アルキン基、あるいは、6〜50個の炭素原子からなる任意選
択で分枝され、かつ/または置換されている単環式または多環式アリールであり、
基Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケン、C2〜10アルキン、C3〜10シクロアルキル、C1〜10へテロアルキル、C1〜10ハロアルキル、C6〜10アリール、C3〜10ヘテロアリール、C5〜20複素環、C1〜10アルキルC6〜10アリール、C1〜10アルキルC3〜10
テロアリール、C1〜10アルコキシ、C6〜10アリールオキシ、C3〜10ヘテロアルコキシ
、C3〜10ヘテロアリールオキシ、C1〜10アルキルチオ、C6〜10アリールチオ、C1〜10ヘテロアルキルチオ、C3〜10ヘテロアリールチオ、F、Cl、Br、I、−NO2、−CN、−CF3、−CH2CF3、−CHCl2、−OH、−CH2OH、−CH2CH2OH、
−NH2、−CH2NH2、−NHCOH、−COOH、−CONH2、−SO3H、−CH2SO2CH3、−PO32、−B(ORG12または官能基−GRG1からなる群から独立に
選択される1個または複数の基R2で任意選択で置換されており、
ここでGは、−O−、−S−、−NRG2−、−C(=O)−、−S(=O)−、−SO2−、−C(=O)O−、−C(=O)NRG2−、−OC(=O)−、−NRG2C(=O
)−、−OC(=O)O−、−OC(=O)NRG2−、−NRG2C(=O)O−、−NRG2C(=O)NRG2−、−C(=S)−、−C(=S)S−、−SC(=S)−、−SC(=S)S−、−C(=NRG2)−、−C(=NRG2)O−、−C(=NRG2)NRG3−、−OC(=NRG2)−、−NRG2C(=NRG3)−、−NRG2SO2−、−NRG2SO2NRG3−、−NRG2C(=S)−、−SC(=S)NRG2−、−NRG2C(=S)S−、−NRG2C(=S)NRG2−、−SC(=NRG2)−、−C(=S)NRG2−、−OC(=S)NRG2−、−NRG2C(=S)O−、−SC(=O)NRG2−、−NRG2C(=O)S−、−C(=O)S−、−SC(=O)−、−SC(=O)S−、−C(=S)O−、−OC(=S)−、−OC(=S)O−または−SO2NRG2−であり、
G1、RG2およびRG3の各存在は、RG1の他の存在とは独立して水素原子;ハロゲン原子;あるいは直鎖、分枝鎖または環式の任意選択で置換されているC1〜12アルキル、C1〜12へテロアルキル、C2〜10アルケンまたはC2〜10アルキン基;あるいは基C6〜10
リール、C3〜10ヘテロアリール、C5〜10複素環、C1〜10アルキルC6〜10アリールまたはC1〜10アルキルC3〜10ヘテロアリールであり、ここで、該アリール、ヘテロアリールまたは複素環式基は、任意選択で置換されているか、あるいは、Gが−NRG2−、RG1およびRG2を表す場合、それらが結合した窒素原子と一緒になって、任意選択で置換されている複素環またはヘテロアリールを形成する。)
本発明の文脈において、式(I)の単位におけるMの種々の存在は、同一であっても異なっていてもよい。よって、以上および本文書に掲載されている「Mは、Fe2+、Fe3+、Zn2+、Ti3+、Ti4+、Zr2+、Zr4+、Ca2+、Cu2+、Gd3+、Mg2+、Mn2+、Mn3+、Mn4+、Si4 +からなる群から選択される金属イオンである」という表現は
、「Mの各存在は、独立してFe2+、Fe3+、Zn2+、Ti3+、Ti4+、Zr2+、Zr4+、Ca2+、Cu2+、Gd3+、Mg2+、Mn2+、Mn3+、Mn4+、Si4+からなる群から選択される金属イオンを表す」という表現と同等である。
いくつかの実施形態において、Mは、Fe2+、Fe3+、Ti3+、Ti4+、Zr2+またはZr4+を表す。
本発明の目的のために、用語「固体」は、任意の種類の結晶性物質を指す。該固体は、例えば、様々な形態、例えば、球状、層板状等の形態の、結晶、粉末または粒子の形態であってよい。粒子は、ナノ粒子の形態であってよい。
用語「ナノ粒子」は、サイズが1μmよりも小さい粒子を指す。特に、本発明の固体MOFナノ粒子は、1000ナノメートル未満、好ましくは500nm未満、より好ましくは250nm未満、最も特別には100nm未満の直径を有し得る。
用語「置換されている」は、例えば、所与の構造中の水素基の、先に定義された通りのR2基による置き換えを表す。複数の位置が置換され得る場合、置換基は各位置において
同じであっても異なっていてもよい。
本発明の目的のために、用語「スペーサー配位子」は、少なくとも2種の金属に配位された、これらの金属間に距離を設けることおよび空間または孔を形成することに関与する配位子(例えば、中性種およびイオンを含む)を指す。スペーサー配位子は、単座または2座であってよい、すなわち、金属との1または2個の結合点をおそらく含む、先に定義された通りの1〜6個の官能基Aからなり得る。金属との結合点は、式中、記号#によって表される。官能基Aの構造が2個の#を含む場合、これは、金属への配位が一方の、他方のまたは両方の結合点を介して行われ得ることを意味する。
本発明の目的のために、用語「アルキル」は、1〜12個の炭素原子、例えば1〜10個の炭素原子、例えば1〜8個の炭素原子、例えば1〜6個の炭素原子からなる、直鎖、分枝鎖または環式の、飽和または不飽和の任意選択で置換されている炭素ベース基を指す。
本発明の目的のために、用語「アルケン」は、少なくとも1個の炭素−炭素2重結合を含有する先に定義された通りのアルキル基を指す。
本発明の目的のために、用語「アルキン」は、少なくとも1個の炭素−炭素3重結合を含有する先に定義された通りのアルキル基を指す。
本発明の目的のために、用語「アリール」は、ヒュッケル(Hckel、注)下線部は原文ではユーウムラウト)の芳香族性規則を満足する少なくとも1個の環を含む芳香族系を指す。該アリールは、任意選択で置換されており、6〜50個の炭素原子、例えば6〜20個の炭素原子、例えば6〜10個の炭素原子からなり得る。
本発明の目的のために、用語「ヘテロアリール」は、少なくとも1個の5〜50員の芳香環を含む系を指し、そのうち芳香環の少なくとも1員は、硫黄、酸素、窒素およびホウ素からなる群から特に選択されるヘテロ原子である。該ヘテロアリールは、任意選択で置換されており、1〜50個の炭素原子、好ましくは1〜20個の炭素原子、好ましくは3〜10個の炭素原子からなり得る。
本発明の目的のために、用語「シクロアルキル」は、3〜20個の炭素原子、好ましくは3〜10個の炭素原子からなり得る、飽和または不飽和の任意選択で置換されている環式炭素ベース基を指す。
本発明の目的のために、用語「ハロアルキル」は、アルキル系が少なくとも1個のハロゲンを含む、先に定義された通りのアルキル基を指す。
本発明の目的のために、用語「へテロアルキル」は、アルキル系が、硫黄、酸素、窒素
およびホウ素からなる群から特に選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む、先に定義された通りのアルキル基を指す。
本発明の目的のために、用語「複素環」は、少なくとも1個のヘテロ原子を含み、2〜20個の炭素原子、好ましくは5〜20個の炭素原子、好ましくは5〜10個の炭素原子からなり得る、飽和または不飽和の任意選択で置換されている環式炭素ベース基を指す。該ヘテロ原子は、例えば、硫黄、酸素、窒素およびホウ素からなる群から選択され得る。
本発明の目的のために、用語「アルコキシ」、「アリールオキシ」、「ヘテロアルコキシ」および「ヘテロアリールオキシ」は、それぞれ、酸素原子と結合しているアルキル、アリール、へテロアルキルまたはヘテロアリール基を指す。
本発明の目的のために、用語「アルキルチオ」、「アリールチオ」、「ヘテロアルキルチオ」および「ヘテロアリールチオ」は、それぞれ、硫黄原子と結合しているアルキル、アリール、へテロアルキルまたはヘテロアリール基を指す。
用語「シッフ塩基」は、一般式RX1X2−C=N−RX3の2重結合C=Nを含有する官能基を指し、RX1、RX2およびRX3は先に定義された通りである。
用語「三次元構造」は、「金属有機ポリマー」とも特徴付けられる、MOF材料の分野で従来理解されている通りの式(I)の単位の三次元の連続または反復を指す。
別段の指定がない限り、MOF材料に関する次の種々の実施形態は、上述した本発明の使用および方法に等しく当てはまる。
本発明によれば、用語「表面剤」は、固体の表面を部分的または全体的に被覆し、材料の表面特性を変更することを可能にする、例えば、
−例えば細網内皮系によるその認識を回避するためにその生体内分布を変更する(「隠匿性(furtiveness)」)、および/または
−経口、眼内または経鼻投与中に、その好都合な生体接着特性を与える、および/または
−いくつかの病気の臓器/組織等を特異的に標的とすることを可能にする、
分子を指す。
本発明によれば、いくつかの表面剤を使用して、上述した特性を組み合わせることができる。
本発明によれば、上述した特性の少なくとも2つを組み合わせた表面剤が使用され得る。
本発明によれば、有機表面剤は、例えば、
−オリゴ糖、例えば、シクロデキストリン、
−多糖、例えば、キトサン、デキストラン、フコイダン、アルギネート、ペクチン、アミロース、デンプン、セルロースまたはキシラン、
−グリコサミノグリカン、例えば、ヒアルロン酸またはヘパリン、
−ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコールまたはポリエチレンイミン、
−プルロニックまたはレシチン等の界面活性剤、
−ビオチン等のビタミン、
−リポ酸等の補酵素、
−抗体または抗体フラグメント、
−アミノ酸またはペプチド
からなる群から選択され得る。
加えて、本発明のMOF固体の表面への表面剤の移植は、特異的な生物学的標的に対する、および/または材料の隠しに対する化合物の方向付けに関連する必要性を満足することを可能にする。これにより、材料の生体内分布を変更することができる。
本発明によれば、表面剤は、本発明の固体の表面に移植しても堆積させてもよく、例えば、表面上に吸着させるか、または共有結合を介して、水素結合を介して、ファン・デル・ワールス結合を介してもしくは静電相互作用を介して結合させてよい。表面剤は、固体の製造中にエンタングルメントによって組み込むこともできる。
表面剤は、例えば、固体の合成中または後に組み込まれるリン酸塩含有表面剤であってよい。
表面剤は、標的分子、すなわち、認識する分子または生物学的標的によって特異的に認識される分子であってもよい。本発明のMOF固体と標的分子との組合せは、このように本発明のナノ粒子を配向させることを可能にし、したがって、活性成分を、この生物学的標的、細胞、組織または臓器に向けて方向付けすることを可能にする。
好ましくは、本発明の固体は、ビオチン、アビジン、葉酸、リポ酸、アスコルビン酸、抗体または抗体フラグメント、ペプチド、タンパク質からなる群から選択され得る少なくとも1種の標的分子を有機表面剤として含み得る。
よって、有機表面剤は、ビオチン、キトサン、リポ酸、抗体または抗体フラグメントおよびペプチドからなる群から選択される標的分子であってよい。
例えば、表面におけるビオチンの存在は、例えば単純なインキュベーションによって配位子を容易にカップリングするために活用され得る。これを行うために、刊行物エス バルタザールら(S.Balthasar et al.),Biomaterials,Volume 26,Issue 15,May 2005,2723−2732[17]およびアール グレフら(R.Gref et al.),Biomaterials,Volume 24,Issue 24,November 2003,4529−4537[18]において記載されているプロトコールを使用することが可能である。
ビオチンの代わりに、別の配位子、例えば葉酸を使用してもよい。この配位子は、上述した刊行物[17]および[18]によって示される通り、癌の分野において若干の関心対象となっている。
この表面修飾法は、特にMOF固体がガスを含有する場合、MOF固体のコアを妨害せず、MOF固体の合成中または後に実施することができ、よって多様な可能な被覆を提供するという利点を有する。
正確な特異化、例えば生体接着、特異的認識等を満たすように表面剤として粒子(MOF)と相互作用することができる官能基を有するポリマーの混合物を使用することも可能である。
いくつかの病気の臓器/組織の特異標的化を可能にする表面剤の中でも、言及され得る例は、ビタミン(ビオチン、葉酸、リポ酸またはアスコルビン酸)、抗体または抗体フラグメント、ペプチドおよびタンパク質を含む。
本発明によれば、表面剤は、例えば、オリゴ糖、多糖、キトサン、デキストラン、ヒアルロン酸、ヘパリン、フコイダン、アルギネート、ペクチン、アミロース、シクロデキストリン、デンプン、セルロース、キシラン、ポリマーまたはコポリマー、例えばポリエチ
レングリコール(PEG)、プルロニック、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン等からなる群から選択され得る。
その上、本発明のMOF固体は、特定のトポロジーおよび分布を有する制御された結晶構造を有することができるという利点を有し、これにより、この材料に特定の特性を提供する。これらの特定の特性は、上記で言及された種々の形態の本発明のMOF固体において見られる。
本発明のMOF固体は、2価、3価または4価の金属原子からなり得る。金属原子は、8面体、5面体もしくは4面体形状を有し得、または材料の構造においてより高配位性(coordinance)のものでさえあり得る。
用語「配位性」および「配位数」は、結合中で共有される2個の電子が同じ原子に由来する結合の数を指す。電子供与性原子は正電荷を取得し、電子受容性原子は負電荷を取得する。
加えて、金属原子は、単離されてよく、または金属「クラスタ」にグループ化されてもよい。本発明のMOF固体は、例えば、多面体の2量体、3量体または4量体の多面体鎖から構築され得る。例えば、本発明のMOF固体は、8面体の2量体、3量体または4量体の8面体鎖から構築され得る。例えば、本発明のカルボン酸鉄MOF材料は、頂点もしくは辺を介して結合している8面体鎖または中心の酸素原子を介して結合している8面体3量体から構築され得る。
本発明の目的のために、用語「金属クラスタ」は、イオン共有結合を介して、アニオン、例えばO、OH、Cl等を直接的に介してまたは有機配位子を介してのいずれかで結合している少なくとも2個の金属を含有する原子の群を指す。
さらに、本発明のMOF固体は、配位子の組織化および金属または金属基との結合についての種々の可能性を鑑みると、種々の形態または「相」であってよい。
本発明の目的のために、用語「相」は、少なくとも1種の金属および規定の結晶構造を有する少なくとも1個の有機配位子を含むハイブリッド組成物を指す。
本発明の固体の結晶性空間的組織化は、この材料の特定の特徴および特性の基本であり、特に孔径を支配し、これは、材料の比表面積および吸着特徴だけでなく、材料の密度(この密度は比較的低い)、この材料中における金属の割合、材料の安定性、その構造の強剛性および柔軟性等にも影響を及ぼす。
特に、本発明のMOF固体は、等網状であってよく、すなわち、同じトポロジーの骨格からなってよい。
加えて、本発明の固体は、1種類のみの金属イオンまたは数種類の金属イオンのいずれかを含有する単位からなってよい。
例えば、本発明の固体は、3つの異なる単位の三次元の連続からなってよい。また例えば、本発明の固体は、2つの異なる単位の三次元の連続からなってもよい。
加えて、孔径は、適切なスペーサー配位子を選択することによって調整できる。
1実施形態において、本発明のMOF固体の式(I)の単位の配位子Lは、

からなる群から選択されるジ−、トリ−、テトラ−またはヘキサカルボン酸配位子であってよい。
(式中、
1は、OまたはSを表し、
sは、1〜4の整数を表し、
tの各存在は、独立して1〜4の整数を表し、
uは、1〜7の整数を表し、
L1およびRL2は、独立してH、ハロゲンまたはC1〜C6アルキル(好ましくはメチルまたはエチル)を表し、
L3の各存在は、独立してH、ハロゲン(好ましくは、F、ClまたはBr)、OH
、NH2、NO2またはC1〜C6アルキル(好ましくはメチルまたはエチル)を表す。
特に、本発明の式(I)の単位の配位子Lは、C22(CO2 -2(フマル酸)、C24(CO2 -2(スクシン酸)、C36(CO2 -2(グルタル酸)、C44(CO2 -2(ムコン酸)、C48(CO2 -2(アジピン酸)、C714(CO2 -2(アゼライン酸)
、C53S(CO2 -2(2,5−チオフェンジカルボン酸)、C64(CO2 -2(テレフタル酸)、C622(CO2 -2(2,5−ピラジンジカルボン酸)、C106(CO2 -2(ナフタレン−2,6−ジカルボン酸)、C128(CO2 -2(ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸)、C1282(CO2 -2(アゾベンゼンジカルボン酸)、C63
CO2 -3(ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸)、C63(CO2 -3(ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸)、C2415(CO2 -3(ベンゼン−1,3,5−トリ安
息香酸)、C62(CO2 -4(ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸)、C10
4(CO2 -4(ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸)、C104(CO2 -
4(ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸)、C126(CO2 -4(ビフェ
ニル−3,5,3’,5’−テトラカルボン酸)、および2−アミノテレフタル酸、2−ニトロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−ブロモテレフタル酸、2,5−ジヒドロキソテレフタル酸、テトラフルオロテレフタル酸、テトラメチルテレフタル酸、ジメチル−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、テトラメチル−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、ジカルボキシ−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,5−ピラジンジカルボン酸からなる群から選択される修飾類似体からなる群から選択されるジ、トリまたはテトラカルボン酸配位子であってよい。
本発明の式(I)の単位の配位子Lは2,5−ジペルフルオロテレフタル酸、アゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸、3,3’−ジクロロアゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸、3,3’−ジヒドロキソアゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸、3,3’−ジペルフルオロアゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸、3,5,3’,5’−アゾベンゼンテトラカルボン酸、2,5−ジメチルテトラフタレート、ペルフルオロスクシン酸、ペルフルオロムコン酸、ペルフルオログルタル酸、3,5,3’,5’−ペルフルオロ−4,4’−アゾベンゼンジカルボン酸、3,3’−ジペルフルオロアゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸を表してもよい。
以上に挙げられているカルボン酸配位子の大多数が市販されている。読者は、市販されていないカルボン酸配位子の調製については、実施例の節を参照することができる。
一実施形態において、配位子Lは、生物活性を有する。本発明のナノポーラスハイブリッド固体は、無機物部分、金属(鉄)、および有機物部分、すなわち2つ以上の錯化官能基(カルボン酸、ホスフェート、アミドなど)を有する配位子を有する。生物活性を有する有機配位子を含めることは、材料の分解速度の相関としての活性分子の制御放出を可能にするという利点を有する(これらは、MOF材料の分解中に放出される上記生物学的に活性な配位子である)。したがって、MOF材料そのものが「生物活性」であり、すなわち生物活性を有する構成要素を放出することが可能である。
加えて、MOF骨格の部分を形成するこれらの活性分子の放出を、本発明のMOF材料のナノ粒子に封入された他の活性成分の放出と組み合わせることができる。活性成分の封入のこの態様は、本書の以下の箇所に記載されている。
よって、本発明は、生物学的活性配位子からなり、相補的なまたは異なる活性を潜在的
に有する1種または複数の活性成分を封入するMOF固体、および併用療法へのそれらの使用にも関する。併用療法は、(i)MOF材料の孔に封入された活性成分および(ii)結晶性MOF材料の骨格に組み込まれた生物学的活性配位子を放出することによって実施される。
本発明の多孔質ハイブリッド固体を形成することができる錯化官能基からなる多くの生物学的に活性な有機分子が存在する。
例えば、有機分子は、アゼライン酸(HO2C(CH27CO2H、抗新生物作用を有する皮膚薬)、メプロバメート(抗痙攣薬、鎮静薬、筋弛緩薬、抗不安薬)、アミノサリチル酸(抗結核薬)、クロドロネート、パミドロンテート、アレンドロネートおよびエチドロネート(骨粗鬆症のための予防性糖類担持抗新生物薬)、アゾベンゼン(抗微生物作用、COX阻害薬)、ポルフィリンまたはアミノ酸(Lys、Arg、Asp、Cys、Glu、Glnなど)、ジベンゾフラン−4,6−ジカルボン酸(トランストリレチン阻害薬)、ジピコリン酸(ジヒドロジピコリン酸レダクターゼ阻害薬)、グルタミン酸、フマル酸、コハク酸、スベリン酸、アジピン酸、ニコチン酸、ニコチンアミド、プリン、ピリミジンなどであってよい。
例えば、アゾベンゼン類の抗菌または抗炎症活性(NSAID、COX阻害剤)について言及される。この点において、読者は、下記の参考文献を参照することができる:ジー
オロス(G.Oros),ティー ツェルハティ(T.Cserhati),イー フォーガクス(E.Forgacs),Chemosphere 52,2003,185[参考文献35]、エー エム バダウィ(A.M.Badawi),イー エム エス
アザム(E.M.S.Azzam),エス エム アイ モルシー(S.M.I.Morsy),Bioorg.Med.Chem.,14,2006,8661[参考文献36]およびダブリュー・ジェイ ツアイ(W−J.Tsai),ワイ・ジェイ シアノ(Y−J Shiao),エス・ジェイ リン(S−J Lin),ダブリュー・エフ チョウ(W−F Chiou),エル・シー リン(L−C Lin),ティー・エイチ ヤン(T−H Yang),シー・エム テン(C−M Teng),ティー・エス ウー(T−S Wu),エル・エム ヤン(L−M Yang),Bioorg.Med.Chem.Letters 16,2006,4440[参考文献37]。
よって、配位子Lは、C714(CO2 -2(アゼレート);アミノサリチル酸(カルボン、アミノおよびヒドロキソ基);クロドロネート、パミドロンテート、アレンドロネートおよびエチドロネート(ホスホネート基からなる);メプロバメート(カルバメート基からなる);カルボン酸、ホスホネートおよび/またはアミノ基からなるポルフィリン類;アミノ、カルボン酸、アミドおよび/またはイミン基からなるアミノ酸(Lys、Arg、Asp、Cys、Glu、Gln等);カルボン酸、ホスホネートおよび/またはアミノ基からなるアゾベンゼン類;ジベンゾフラン−4,6−ジカルボン酸、ジピコリン酸(カルボン酸基を有するピリジン型の混合配位子);グルタミン酸、フマル酸、スクシン酸、スベリン酸、アジピン酸およびニコチン酸、ニコチンアミド、プリン、ピリミジン等からなる群から選択される生物学的活性配位子であってよい。
鉄およびアゾベンゼン配位子に基づく多孔質ハイブリッド固体、ならびにその抗菌活性の実証、生理学的媒質中におけるその分解の研究および細胞上におけるその活性については、「実施例」の節に記載する。
本発明の式(I)の単位のアニオンXは、OH-、Cl-、Br-、F-、R−(COO) -、PF6 -、NO3 -、SO4 2-およびClO4 -からなる群から選択され得、Rおよびnは先に定義された通りである。
特に、本発明の式(I)の単位のアニオンXは、OH-、Cl-、F-、CH3−COO-
、PF6 -およびClO4 -からなる群、または上記の一覧から選択されるカルボン酸配位子から選択され得る。
1つの特定の実施形態において、アニオンXは、OH-、Cl-、F-およびR−(CO
O) -からなる群から選択され得、Rは、−CH3、−C63、−C64、−C104
たは−C6(CH34を表す。
1実施形態において、アニオンXは、ポジトロン放射型断層撮影(PET)等の画像技術に適した同位体形態であってよい。
陽電子射出断層撮影(PET)は、予め注入された放射活性体の分解に由来する陽電子によって生成された放出物により、器官の代謝活性の三次元測定を可能にする核医療映像法である。PETは、その挙動および生物学的特性が既知であるトレーサを注入して器官の機能の画像を得るシンチグラフィーの一般的原理に基づく。このトレーサは、それが消滅すると自ら2つの光子を生成する陽電子を放出する放射活性原子(炭素、フッ素、窒素、酸素など)で標識される。PETカメラのコリメータによるこれらの光子の軌跡の検出は、それらの放出の位置、および器官における各点のトレーサの濃度を突き止めることを可能にする。トレーサの高濃度領域をカラーで表示する画像の形で表されるのは、この定量情報である。
したがって、PETは、細胞の代謝活性の視覚化を可能にする。これは、解剖の画像に限定されるX線に基づくもの(放射線法またはCTスキャン)などの所謂構造的画像と対照的に、機能的画像と称する。結果として、陽電子射出断層撮影は、正常な生理機能の障害、例えば癌によって反映される特定の病原を検出することを可能にする診断ツールである。PETは、生物医学的研究、例えば、機能的磁気共鳴映像法で実施されるのと同様にして当該認知作用中に脳の活性領域の検出を可能にする脳画像にも使用される。
例えば、Xは18-を表し、18-はポジトロン放射体であるため、PET画像を含む用途に本発明のMOFナノ粒子を使用することを可能にする。
よって、式(I)の単位における1実施形態において、配位子Xの少なくとも1回の存在は18-である。
1実施形態において、配位子Lは、フルオロ配位子である、すなわち、少なくとも1個のF置換基を含む。例えば、配位子Lは、テトラフルオロテレフタル酸、ペルフルオロスクシネート、ペルフルオロムコネート、ペルフルオログルタレート、2,5−ジペルフルオロテレフタル酸、3,6−ペルフルオロ−1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、3,5,3’,5’−ペルフルオロ−4,4’−アゾベンゼンジカルボン酸または3,3’−ジペルフルオロアゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸配位子であってよい。
当業者に周知である標準的な放射線合成技術を介して、上記フルオロ配位子を18Fリッチにすることができる。
PET技術は、生組織の非常に詳細な画像を得ることを可能にする。フッ素−18放射性同位体(18F)(t1/2=110分)は、陽電子放射体である。放出された陽電子は、周囲の物質の電子によって瞬時に消滅し、検出されるのは、発生するガンマ線である。
したがって、本発明はまた、PET画像などの医療画像に使用できるマーカとしての本発明のMOFナノ粒子の使用に関する。
したがって、PETによって生組織を確認する方法であって、本発明のMOF固体ナノ粒子を個体に投与すること、およびPET画像によって組織を確認することを含む方法が提供される。特に、MOF固体は、先に挙げられているものなどの少なくとも1つの18
フルオロ配位子および/または対イオンとしての18Fを含む(すなわち、式(I)の単位におけるXの少なくとも1つの存在が18Fを表す)。
さらに、MOF固体(フルオロ配位子、または本発明のナノ粒子の孔もしくは表面におけるフルオロ分子の存在を介するMOF固体(アニオンX=F)のまさに骨格)におけるフッ素原子の存在は、超音波検査などの医療画像における用途にこれらのMOF固体粒子を使用することを想定することを可能にする。
したがって、本発明はまた、医療画像、特に超音波検査、エコーソノグラフィーまたは磁気共鳴映像法に使用できる造影剤の製造のための本発明のMOFナノ粒子の使用に関する。
超音波検査のための造影剤の開発は、超音波反射体を検査対象組織に導入することを想定する。理想的な反射体は、微小気泡であるため、気体を患者の静脈に注入することである。直径が数マイクロメートルの微小泡として処方されると、気体の投与が無害になる。しかし、循環すると、微小気泡は、動脈圧とラプラス圧の複合作用により、数秒以内に血液に溶解する。
これまで、その水への溶解度が極めて小さいペルフルオロ化合物の使用は、その静脈内での存続が、効率的な放射線検査を可能にするのに十分である注入可能な微小泡を処方することを可能にした。いくつかの造影剤、特に、C38、SF6またはC614に基づく造影剤が商業的に入手可能になった。これらの薬剤は、特に、心臓内縁部を確認すること、および構造的または機能的心臓異常を診断することを可能にする。それらはまた、血管の確認、ならびに潅流欠陥、腫瘍および他の病変の検出を容易にする。
フッ化炭素(フルオロカーボン)は、特別な化学的および生物学的不活性と、気体の高度な溶解能力、極端な疎水性および顕著な疎油性とを兼ね備える。それらの非常に低い水溶性は、超音波検査において造影剤として機能する注入可能微小泡を安定化させることを可能にする。
したがって、本発明のMOFナノ粒子は、表面改質されているか否か、およびペルフルオロ分子を含んでいるかどうかにかかわらず、エコーソノグラフィーまたは磁気共鳴映像法による診断に役立つことができる。
したがって、超音波検査、エコーソノグラフィーまたは磁気共鳴映像法による診断の方法であって、本発明のMOF固体ナノ粒子を個体に投与すること、および超音波検査、エコーソノグラフィーまたは磁気共鳴映像法によって組織を確認することを含む方法が提供される。特に、MOF固体は、先に挙げられているものなどの少なくとも1つのペルフルオロ分子を含む。
また、以下に記載するように、本発明のナノ粒子を形成するMOF固体の特定の構造特性は、特に柔軟性または孔径の観点から、MOF固体を、高度な充填能力、高度な選択性および高度な純度を有する吸着剤にする。したがって、MOF固体は、好ましいエネルギーコストおよびより長い放出時間で、フルオロ分子、例えばフッ化炭素を吸着することが可能である。
加えて、MOF固体(フルオロ配位子L、または本発明のナノ粒子の孔もしくは表面におけるフルオロ分子の存在を介するMOF固体(アニオンX=F)のまさに骨格)におけるフッ素原子の存在は、医療目的で酸素を運ぶためのMOF固体ナノ粒子の(例えば代用血液として)使用を想定することを可能にする。
本文において、用語「血液代替物」は、酸素を封入し、輸送し、(例えば外科的介入中または出血中に)酸素化することが必要な組織および臓器において酸素を放出するための材料を指す。
酸素を組織に運び、例えば外科手術の際の輸血依存を低減することができる即使用可能な無菌の注入可能な安定したマイクロメートル未満のフッ化炭素(FC)エマルジョンが現在存在する。
それ自体が赤血球に封入される水溶性のFe錯体、すなわちヘモグロビンとして酸素が自然に作られる。
輸血と比較した血液代替物の利点は、
−汚染が回避される、
−あらゆる種類の血液型に使用可能である、
−すべての患者に(エホバの証人にも)許容される、
−容易に輸送および貯蔵が可能であるため、緊急の場合に非常に有用である
ことを含む。
生物学的に非常に不活性な材料であるフッ化炭素に基づく血液代替物は、大量の気体を溶解させて酸素を組織に送達することが可能である。フッ化炭素は水に不溶であるため、a)安定でなければならず、2)迅速に排泄可能でなければならないエマルジョンの形で投与される。
Oxygent(登録商標)は、当該技術分野で今日までに開発されたエマルジョンの一つである。それは、1容量当たり60重量%の臭化ペルフルオロオクチル(C817
r)を含み、数%のC1021Brで分子拡散に対して安定化され、直径が約200nmのリン脂質液滴で乳化された組成物である。この製品は、患者に副作用をもたらし、さらに、安全性に問題があるため、2005年2月にFDAによって市販認可が拒否された。
したがって、本発明によれば、本発明のMOF固体の式(I)の単位の配位子Lは、

からなる群から選択されるジ−、トリ−、テトラ−またはヘキサカルボン酸配位子であってよい。
(式中、
sは、1〜4の整数を表し、
tの各存在は、独立して1〜4の整数を表し、
uは、1〜7の整数を表し、
L1およびRL2は、独立してH、ハロゲンまたはC1〜C6アルキル(好ましくはメチルまたはエチル)を表し、RL1またはRL2の少なくとも1回の存在は、Fを表し、
L3の各存在は、独立してH、ハロゲン(好ましくは、F、ClまたはBr)、OH
、NH2、NO2またはC1〜C6アルキル(好ましくはメチルまたはエチル)を表し、RL3の少なくとも1回の存在は、Fを表す。)
好ましくは、RL1およびRL2の各存在は、Fを表す。
好ましくは、RL3の各存在は、Fを表す。
例えば、Lは、HOOC−C816−COOHを表し得る。
以下に概説するように、これらのMOFの表面を、MOFに隠密性を付与するようにポリエチレングリコール(PEG)などの表面処理剤で改質することができる。
MOFの表面は、酸素の放出(MOF固体の孔からの酸素の遅延拡散)を制御するように、フッ化両親媒性物質によって安定化することもできる。読者は、本発明のMOF固体の表面の修飾を扱っている節を参照し、上述したフッ化両親媒性配位子の移植についての教示を適合させることができる。
したがって、酸素のインビボ放出のプロセスであって、本発明のMOF固体ナノ粒子を個体に投与することを含み、前記ナノ粒子は、その孔または表面に既に記載されているものなどの少なくとも1つのフッ化炭素またはフルオロ分子、および封入酸素を含むプロセスが提供される。
特に、本発明のMOF固体は、5%〜40%、好ましくは18%〜31%の、乾燥相における金属の百分率を含み得る。
質量百分率(m%)は、混合物または合金の組成、すなわち混合物における各構成要素の比率を表すための化学および金属学で使用される測定単位である。
1m%の成分=100gの混合物当たり1gの成分、または100kgの混合物当たり1kgの該成分。
本発明のMOF固体は、特に、350℃の温度まで熱安定性であるという利点を有する。
特に、本発明のMOF固体は、120℃〜350℃の熱安定性を有するという利点を特に有する。
特に、本発明のMOF固体は、4μm未満、好ましくは1000ナノメートル未満の粒子直径を有する微粒子形態であってよい。
特に、本発明のMOF固体は、ナノ粒子の形態であってよい。特に、本発明のMOF固体は、1000ナノメートル未満、好ましくは500nm未満、より好ましくは250nm未満、最も特別には100nm未満の粒子直径を有し得る。
特に、本発明のMOF固体は、0.4〜6nm、好ましくは0.5〜5.2nm、より好ましくは0.5〜3.4nmの孔径を有し得る。
特に、本発明のMOF固体は、5〜6000m2/g、好ましくは5〜4500m2/gの比表面積(BET)を有し得る。
特に、本発明のMOF固体は、0.05〜4cm2/g、好ましくは0.05〜2cm2/gの孔容積を有し得る。
本発明の文脈において、孔容積は、ガスおよび/または液体分子が出入り可能な容積を指す。
本発明者らは、式(I)の単位の三次元構造からなるMOF材料が、剛または柔構造の形態となり得ることを実証した。
本発明のMOFナノ粒子は、硬質の骨格を有し、孔が空のときにほとんど収縮しない頑丈な構造の形、または膨張および収縮して、孔の開度を吸着分子の性質の相関として変化させ得る柔構造の形をとることができる。
これらの吸着分子は、例えば、溶媒および/またはガスであり得る。
本発明の目的のために、用語「剛構造」は、膨張または収縮が極めて少ない、すなわち、最大10%の振幅を有する構造を指す。
よって、剛構造のMOF材料は、0〜10%の振幅で膨張または収縮し得る。
特に、本発明のMOF固体は、0〜10%の振幅で膨張または収縮する剛構造を有し得る。
剛構造は、例えば、8面体3量体または鎖に基づいて構築され得る。
例えば、本発明の剛構造のMOF固体は、5%〜40%、例えば18%〜31%の、乾燥相における金属の百分率を有し得る。
例えば、本発明の剛構造のMOF固体は、0.4〜6nm、例えば0.5〜5.2nm、例えば0.5〜3.4nmの孔径を有し得る。
例えば、本発明の剛構造のMOF固体は、0〜4cm3/g、例えば0.05〜2cm3/gの孔容積を有し得る。
本発明の目的のために、用語「柔構造」は、大振幅で、特に10%より大きい、例えば50%より大きい振幅で膨張または収縮する構造を指す。
特に、柔構造のMOF材料は、10%〜300%、好ましくは50%〜300%の振幅で膨張または収縮し得る。
柔構造は、例えば、8面体3量体または鎖に基づいて構築され得る。
特に、本発明のMOF固体は、10%より大きい、例えば50%〜300%の振幅で膨張または収縮する柔構造を有し得る。
例えば、本発明の柔構造のMOF固体は、5%〜40%、例えば18%〜31%の、乾燥相における金属の百分率を有し得る。
例えば、本発明の柔構造の固体は、0.4〜6nm、例えば0.5〜5.2nm、例えば0.5〜1.6nmの孔径を有し得る。
例えば、本発明の柔構造の固体は、0〜3cm3/g、例えば0〜2cm3/gの孔容積を有し得る。孔容積は、溶媒分子のための同等のアクセス可能な容積(開形態)を表す。
本発明は、剛または柔構造のMOF材料により実装できる。
加えて、本発明者らは、以下の「実施例」の節において(特に実施例10において)記載されている通り、柔軟性の振幅が、配位子および使用される溶媒の性質によって決まることを実験的に実証した。
「MIL」(「Mat注:原文はイーウムラウトriau Institut Lavoisier」の略)として既知の様々な相の様々なMOF材料が、Institut
Lavoisier,Versaillesにおいて、発明者により開発された。これらの構造に対する名称「MIL」の後に、発明者が様々な相を識別するために与えた任意の数字nが続く。
本発明者らは、本発明のいくつかの固体が、文献において従来遭遇するMOF材料と比較して、より多数の可能な相を有し得ることも実証した。例えば、本発明のカルボン酸鉄(III)固体、例えばMIL−53、MIL−69、MIL−88A、MIL−88B、MIL−88Bt、MIL−88C、MIL−88D、MIL−89、MIL−100、MIL−101、MIL−102について種々の層が得られた。これらの種々の層を、「実施例」の節において提示する。
これらの構造の結晶学的特徴は既知であり、多数の報告書の主題となってきた。その上、上述した「MIL」という名称は、当業者によく知られている。例えば、下記について言及される。
MIL−53:ホイットフィールド、ティー アール(Whitfield,T.R.);ワン、エックス(Wang,X.);リュー、エル(Liu,L.);ジェイコブソン、エー ジェイ(Jacobson,A.J.)Solid State Sci.2005,7,1096。
MIL−69:ティー ロワゾーら(T.Loiseau et al.),C.R.Chimie,8 765(2005)。
MIL−88A:(a)セールら(Serre et al.),“Role of
solvent−host interactions that lead to very large swelling of hybrid frameworks”,Science,2007,Vol.315,1828−1831;(b)スルブレら(Surble et al.),“A new isoreticular class of metal−organic frameworks with the MIL−88 topology”,Chem.Comm.,2006,284−286;(c)メロー・ドラズニークスら(Mellot−Draznieks et al.),“Very large swelling in hybrid frameworks:a combined computational and power diffraction study”,J.Am.Chem.Soc.,2005,Vol.127,16273−16278。水和MIL−88A固体の構造を、図40に表す。
MIL−88B、MIL−88CおよびMIL−88D:これらの構造型について、読者は、上記のMIL−88A型に関する刊行物、すなわち、(a)セールら(Serre
et al.),“Role of solvent−host interactions that lead to very large swelling of hybrid frameworks”,Science,2007,Vol.315,1828−1831;(b)スルブレら(Surble et al.),“A new
isoreticular class of metal−organic frameworks with the MIL−88 topology”,Chem.Comm.,2006,284−286を参照することができる。
MIL−89:シー セール(C.Serre),エフ ミランジェ(F.Millange),エス スルブレ(S.Surble),ジー フェレイ(G.Ferey)Angew.Chem.Int.Ed.2004,43,6286:A new route to the synthesis of trivalent transition metals porous carboxylates with trimeric SBU。MIL−89固体の構造を、図41に表す。
MIL−100:ホルカジャダら(Horcajada et al.),“Synthesis and catalytic properties of MIL−100(Fe),an iron(III)carboxylate with large
pores”,Chem.Comm.,2007,2820−2822。MIL−100固体の構造を、図35および36に表す。
MIL−101:フェレイら(Ferey et al.),“A chromium
terephthalate−based solid with unusually large pore volumes and surface area”,Science,2005,Vol.309,2040−2042。MIL−101固体の構造を、図37に表す。
MIL−102:エス スルブレ(S.Surble),エフ ミランジェ(F.Millange),シー セール(C.Serre),ティー デュラン(T.Duren),エム ラトロッシュ(M.Latroche),エス ブーレリー(S.Bourrelly),ピー エル ルウェリン(P.L.Llewellyn)およびジー フェレイ(G.Ferey)“MIL−102:A Chromium Carboxylate Metal Organic Framework with Gas Sorption Analysis”J.Am.Chem.Soc.128(2006),46,14890。MIL−102固体の構造を、図38に表す。
MIL−88B_4CH3、MIL−88B_CH3、MIL−88B_2CF3、MIL−88B_20H、MIL−88B_NO2、MIL−88B_NH2、MIL−88B_Cl、MIL−88B_Br、MIL−88B_4F:この構造型について、読者は、上記のMIL−88型に関する刊行物、すなわち、(a)セールら(Serre et al.),“Role of solvent−host interactions that lead to very large swelling of hybrid frameworks”,Science,2007,Vol.315,1828−1831;(b)スルブレら(Surble et al.),“A new isoreticular class of metal−organic frameworks with the MIL−88 topology”,Chem.Comm.,2006,284−286;(c)メロー・ドラズニークスら(Mellot−Draznieks et al.),“Very large swelling in
hybrid frameworks:a combined computational and power diffraction study”,J.Am.Chem.Soc.,2005,Vol.127,16273−16278を参照することができる。MIL−88B_4CH3固体の構造を、図39に表す。
特に、本発明のMOF固体は、
−柔構造のFe(OH)[C64(CO22]、例えばMIL−53
−柔構造のFe3OX[C22(CO223、例えばMIL−88A
−柔構造のFe3OX[C44(CO223、例えばMIL−89
−柔構造のFe3OX[C64(CO223、例えばMIL−88B
−柔構造のFe3OX[O2C−C6(CH34−CO23・nH2O、例えばMIL−88Bt
−剛構造のFe3OX[C64(CO223、例えばMIL−101
−剛構造のFe3OX[C63(CO233、例えばMIL−100
−柔構造のFe3OX[C106(CO223、例えばMIL−88C
−柔構造のFe3OX[C128(CO223、例えばMIL−88D
からなる群から選択される式の単位を有することができる。
ここで、Xは先に定義された通りである。
最も特別には、本発明のMOF固体は、
−剛構造のMIL−101(Fe)またはFe3O[C64−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
−剛構造のMIL−101−Cl(Fe)またはFe3O[Cl−C63−(CO22
3・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
−剛構造のMIL−101−NH2(Fe)またはFe3O[NH2−C63−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
−剛構造のMIL−101−2CF3(Fe)またはFe3O[(CF32−C62−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−88B−NO2(Fe)またはFe3O[C63NO2−(CO22
3・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−88B−2OH(Fe)またはFe3O[C62(OH)2−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−88B−NH2(Fe)またはFe3O[C63NH2−(CO22
3・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−88B−CH3(Fe)またはFe3O[C63CH3−(CO22
3・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−88B−Cl(Fe)またはFe3O[C63Cl−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−88B−4CH3(Fe)またはFe3O[C6(CH34−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−88B−4F(Fe)またはFe3O[C64−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−88B−Br(Fe)またはFe3O[C63Br−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−88B−2CF3(Fe)またはFe3O[(CF32−C62−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−88D 4CH3(Fe)またはFe3O[C124(CH34−(
CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−88D 2CH3(Fe)またはFe3O[C126(CH32−(
CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−88E(Pyr)(Fe)またはFe3O[C432−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−88F(チオ)(Fe)またはFe3O[C42S−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−53−2OH(Fe)またはFeO(OH)[C62(OH)2
(CO22]・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−53−NH2(Fe)またはFeO(OH)[C62−NH2−(CO22]・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−53−Cl(Fe)またはFeO(OH)[C62−Cl−(CO22]・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−53−Br(Fe)またはFeO(OH)[C62−Br−(CO22]・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−53−2CF3(Fe)またはFeO(OH)[C62(CF32
−(CO22]・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−53−CH3(Fe)またはFeO(OH)[C63CH3−(CO22]・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−53−2COOH(Fe)またはFeO(OH)[C63−(CO24]・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−88G(AzBz)(Fe)またはFe3O[C1282−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−88G 2Cl(AzBz−2Cl)(Fe)またはFe3O[C1262Cl2−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
からなる群から選択される式の単位を有し得る。
加えて、同じカルボン酸配位子Lおよび同じ鉄基材(鎖または3量体)から、本発明者らは、同じ一般式(I)であるが異なる構造のMOF材料を得ることができた。これは、例えば、固体MIL−88BおよびMIL−101の場合に当てはまる。具体的には、固体MIL−88BとMIL−101との間の差異は、配位子の8面体3量体との結合様式にあり、固体MIL−101においては、配位子Lは硬質の4面体の形態で組み立てられ、それに対し、固体MIL−88Bにおいては、配位子Lは3量体間に間隔をあけることが可能な3角両錐を形成する。
これらの種々の材料を、以下の「実施例」の節において提示する。これらの配位子の組み立て様式は、合成中に、例えばpHを調整することによって制御され得る。例えば、固体MIL−88は、以下の「実施例」の節において記載されている通り、固体MIL−101よりも酸性度の低い媒質中で得られる。
特に、本発明のMOF固体は、「実施例」の節において記載されている、MIL−53
、MIL−88、MIL−100、MIL−101、MIL−102からなる群から選択される相を有し得る。
特に、本発明のMOF固体は、常磁性または反磁性特性を有する少なくとも1種の金属からなってよい。好ましくは、本発明のMOF固体は、鉄、ガドリニウム、マンガン等からなる群から選択され得る1種または複数の同一のまたは異なる常磁性金属からなってよい。特に、本発明のMOF固体は、Fe2+、Fe3+、Gd3+、Mn2+、Mn3+からなる群から選択され得る1種または複数の同一のまたは異なる常磁性金属イオンからなってよい。
その上、本発明者らは、例えばカルボン酸鉄MOF固体について、画像における予想外の特性を実証した。よって、本発明のMOF固体は、画像において使用され得る。加えて、本発明は、造影剤としての本発明のMOF固体の使用にも関する。
具体的には、造影剤はその緩和能を特徴とする。この緩和能が大きいほど、造影剤の効果が大きくなる。緩和能は、磁場印加後に媒質の水のプロトンの緩和時間を変更する造影剤の能力に相当する。緩和能は、使用される金属の常磁性特性だけでなく、最も大きな寄与率をもたらす第1の内圏で、また外圏でも金属に配位する、水分子の量および可動性によっても決まる。これらの「配位圏」は、第1の圏の場合、金属中心と直ちに結合する原子を表し、外圏の場合、これは第1の圏の真上に位置する原子を表す。
本発明の固体の場合、この例の鉄(III)において、金属の磁化率の他に、本発明の固体の構造的特徴が、水を第1の配位圏の周囲に配位させて孔内で循環させ、これにより、水のプロトンの縦T1および横T2緩和時間に影響を与える。特に、固体の緩和能r2は、勾配エコー実験中におけるインビボでの使用に十分である。
例えば、本発明のMOF固体は、少なくとも18mMs-1、例えば少なくとも8.6mMs-1の横緩和能r2を有し得る。
その上、本発明者らが行った調査研究により、特定の等網状構造的組織化を有する本発明のMOF固体を良好な収率で得るための、柔軟で調節可能な合成法を開発することができた。加えて、該方法は、望ましい寸法ならびに均一な粒径および孔径のナノ粒子を得ることを可能にする。
よって、本発明は、本発明で定義される通りの固体を得るために、極性溶媒中で、
−金属Mの形態の少なくとも1種の金属無機前駆体、金属Mの塩または金属イオンMからなる配位錯体(ここで、Mは先に定義された通りである)を含む少なくとも1種の溶液、
−q個の基*−AHを有する基Rを含む少なくとも1個のリガンドL’
(ここで、
・q、AおよびRは、先に定義された通りであり、
・*は、基Aの基Rとの結合点を表す)
を混合することである、少なくとも1つの反応工程(i)からなる本発明で定義される通りの固体を調製する方法にも関する。
本発明によれば、本発明の固体を調製する方法は、該固体を、少なくとも1種の有機表面剤と結合する工程(iii)をさらに含み得る。
この結合する工程(iii)は、反応工程(i)中もしくは後、または対象分子を導入する工程(ii)の後に実施され得る。実施例を以下に提供する(実施例22、実施例23、実施例24)。
いくつかの表面修飾されたMOF固体を、「実施例」の節において説明する。これらの例は説明目的で示すものであり、限定的なものではないことを理解されたい。実施例において説明されるMOF固体の表面を修飾する方法は、本発明のすべてのMOF固体(すなわち、異なる配位子Lを用いるFe以外の金属Mに基づくMOF固体および/もしくは少なくとも1種の活性成分を任意選択で封入したMOF固体、対象化粧化合物ならびに/またはマーカー)に適用可能および/または適合可能である。例えば、これらの方法は、本特許出願において記載されているすべてのMOF固体の表面の修飾について困難なく実施され得る。
1実施形態において、配位子L’は、
からなる群から選択される2、3、4または6座配位子を表してよい。
3は、基−OH、基−OY(ここで、Yはアルカリ金属カチオンを表す)、ハロゲン
、または基−OR4、−O−C(=O)R4もしくは−NR44’(R4およびR4’はC1
〜12アルキル基である)からなる群から選択され、
1は、OまたはSを表し、
sは、1〜4の整数を表し、
tの各存在は、独立して1〜4の整数を表し、
uは、1〜7の整数を表し、
L1およびRL2は、独立してH、ハロゲンまたはC1〜C6アルキル(好ましくはメチルまたはエチル)を表し、
L3の各存在は、独立してH、ハロゲン(好ましくは、F、ClまたはBr)、OH
、NH2、NO2またはC1〜C6アルキル(好ましくはメチルまたはエチル)を表す。
1実施形態において、R3の各存在は、水素原子を表す。
1実施形態において、基RL1、RL2およびRL3の各存在は、水素原子を表す。
好ましくは、反応工程(i)において、使用される配位子L’は、C22(CO2H)2(フマル酸)、C24(CO2H)2(コハク酸)、C36(CO2H)2(グルタル酸)、C44(CO2H)2(ムコン酸)、C48(CO2H)2(アジピン酸)、C714(CO2H)2(アゼライン酸)、C53S(CO2H)2(2,5−チオフェンジカルボン酸)、
64(CO2H)2(テレフタル酸)、C622(CO2H)2(2,5−ピラジンジカ
ルボン酸)、C106(CO2H)2(ナフタレン−2,6−ジカルボン酸)、C128(CO2H)2(ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸)、C1282(CO2H)2(アゾベンゼンジカルボン酸)、C63(CO2H)3(ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸)、C63(CO2H)3(ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸)、C2415(CO2H)3
(ベンゼン−1,3,5−トリ安息香酸)、C62(CO2H)4(ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸)、C104(CO2H)4(ナフタレン−2,3,6,7−テト
ラカルボン酸)、C104(CO2H)4(ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン
酸)、C126(CO2H)4(ビフェニル−3,5,3’,5’−テトラカルボン酸)、
ならびに、2−アミノテレフタル酸、2−ニトロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−ブロモテレフタル酸、2,5−ジヒドロキソテレフタル酸、テトラフルオロテレフタル酸、テトラメチルテレフタル酸、ジメチル−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、テトラメチル−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、ジカルボキシ−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,5−ピラジンジカルボン酸からなる群から選択される修飾類似体からなる群から選択されるジ−、トリ−またはテトラカルボン酸であってよい。使用される配位子L’は、2,5−ジペルフルオロテレフタル酸、アゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸、3,3’−ジクロロアゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸、3,3’−ジヒドロキソアゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸、3,3’−ジペルフルオロアゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸、3,5,3’,5’−アゾベンゼンテトラカルボン酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、ペルフルオログルタル酸からなる群から選択してもよい。
プロセスの実施において、配位子L’は、カルボン酸の形をとるとは限らないことが理解されるであろう。既に示されているように、配位子L’は、1つまたは複数のカルボン酸官能基が−C(=O)−R3(R3は、−OY基(Yはアルカリ金属カチオンを表す)、ハロゲンまたは−OR4、−O−C(=O)R4もしくは−NR44’(R4およびR4’
基は独立してC1〜12アルキル基である)を表すことができる)の形である誘導形で存在
することができる。
MOF材料の合成は、好ましくは、例えば、熱水またはソルボサーマル条件下で例えば加熱することによってだけでなく、マイクロ波、超音波、破砕、超臨界流体が関与する方法等によっても供給され得るエネルギーの存在下で実施され得る。対応するプロトコールは、当業者に既知のプロトコールである。熱水またはソルボサーマル条件に使用され得るプロトコールの非限定的な例は、例えば、ケー バイラプサら(K.Byrapsa,et al.)“Handbook of hydrothermal technology”,ノイズ・パブリケーションズ社(Noyes Publications)[米国ニュージャージー州パークリッジ(Parkridge,New Jersey USA)所在],ウィリアム・アンドリュー・パブリッシング エル エル シー(William Andrew Publishing,LLC),[米国ニューヨーク州ノーウィッチ(Norwich NY USA)所在],2001[9]において記載されている。マイクロ波による合成について、使用され得るプロトコールの非限定的な例は、例えば、ジー トンプセットら(G.Tompsett,et al.)ChemPhysChem.2006,7,296[10];エス・イー パークら(S.−E.Park,et al.)Catal.Survey Asia 2004,8,91[11];シー エス カンディー(C.S.Cundy),Collect.Czech.Chem.Commun.1998,63,1699[12];またはエス エイチ ヤングら(S.H.Jhung,et al.)Bull.Kor.Chem.Soc.2005,26,880[13]において記載されている。ロール粉砕機の存在下での条件については、例えば、刊行物エー ピションら(A.Pichon et al.),Cryst.Eng.Comm.8,2006,211−214[14];ディー ブラーガら(D.Braga et al.),Angew.Chem.Int.Ed.45,2006,142−246[15];ディー ブラーガら(D.Braga et al.),Dalton Trans.2006,1249−1263[16]を参照することができる。
反応温度が0〜220℃の間の範囲となり得る熱水またはソルボサーマル条件は、温度が溶媒の沸点を下回る場合、概してガラス(またはプラスチック)容器内で実施される。温度がそれよりも高い場合または反応がフッ素の存在下で実施される場合、金属ボンベに挿入されたTeflon物体が使用される[9]。
使用される溶媒は、概して極性である。下記の溶媒が特に使用され得る:水、アルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジエチルホルムアミド、クロロホルム、シクロヘキサン、アセトン、シアノベンゼン、ジクロロメタン、ニトロベンゼン、エチレングリコール、ジメチルアセトアミド、またはこれらの溶媒の混合物。
混合物の化合物のより良好な溶解のために、合成中の任意の工程で1種または複数の共溶媒を添加してもよい。共溶媒は、特に、酢酸、ギ酸、安息香酸等のモノカルボン酸類であってよい。
共溶媒がモノカルボン酸である場合、この酸は、可溶化効果を有する他に、MOF固体の結晶成長を停止させることも可能にする。具体的には、カルボン酸官能基が鉄と配位し、鉄は、共溶媒分子上における第2の−COOH官能基の存在によって別の鉄原子ともはや結合できない。よって、結晶ネットワークの成長は減速し、次いで停止する。よって、酢酸、ギ酸、安息香酸等のモノカルボン酸共溶媒の添加は、得られるMOF固体粒子のサイズを減少させることを可能にする。このようにして、モノカルボン酸共溶媒の使用により、ナノ粒子(粒径<1μm)の生成を促進することができる。
概して、ナノ粒子のサイズの制御は、モノカルボン酸分子を添加することによって実施され得る。この分子は、上述した共溶媒の1つであり得る。分子は、モノカルボン酸有機表面剤であってもよい。有機表面剤の概念および本発明の文脈におけるそれらの使用について、以下で詳細に記載する。例えば、PEG−COOH等のモノカルボン酸有機表面剤を合成の過程で添加してよい。これは、
−MOFネットワークの結晶成長を停止させる(それにより、より小さいナノ粒子の生成を可能にする)
−PEG基を移植することによってナノ粒子の表面を修飾する(有機表面剤機能)
という2倍の機能を有する。
混合物のpHを変更するために、合成中に1種または複数の添加物を添加してもよい。これらの添加物は、鉱酸もしくは有機酸または鉱塩基もしくは有機塩基から選択される。特に、添加物は、HF、HCl、HNO3、H2SO4、NaOH、KOH、ルチジン、エ
チルアミン、メチルアミン、アンモニア、尿素、EDTA、トリプロピルアミン、ピリジン等からなる群から選択され得る。
好ましくは、反応工程(i)は、下記の反応条件:
−0℃〜220℃、好ましくは50〜150℃の反応温度で、
−0〜1000rpm(つまり1分間当たりの回転数)、好ましくは0〜500rpmの撹拌速度で、
−1分〜96時間、好ましくは1分〜15時間の反応時間で、
−0〜7、好ましくは1〜5のpHで
−前駆体、配位子またはそれらの混合物へ、酢酸、ギ酸および安息香酸からなる群から選択される少なくとも1種の共溶媒を添加して、
−水、アルコールR−OH(Rは直鎖または分枝鎖のC1〜C6アルキル基である)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジエチルホルムアミド、クロロホルム、シクロヘキサン、アセトン、シアノベンゼン、
ジクロロメタン、ニトロベンゼン、エチレングリコール、ジメチルアセトアミド、または混和性であっても非混和性であってもよいこれらの溶媒の混合物からなる群から選択される溶媒の存在下で、
−超臨界媒質中、例えば超臨界CO2中、
−マイクロ波下および/または超音波下、
−電気化学的電解条件下、
−ロール粉砕機を使用する条件下、
−ガス流中、
の少なくとも1つに従って実施され得る。
MOF材料の合成は、好ましくは、ナノ粒子の形成に有利に働く実験条件下で実施され得る。例えば、下記のパラメーターの制御は、本発明のMOF固体ナノ粒子を生成するために重要となり得る:
−反応温度、
−反応時間、
−配位子L’および金属無機前駆体の濃度、ならびに/または
−pH調節剤(酸、塩基)、鉱化剤、または結晶成長の停止を促進するための作用物質(モノカルボン酸)等、1種または複数の添加物の添加。
これらのパラメーターのそれぞれについて値の好ましい範囲は、ナノ粒子の合成が、水/ソルボサーマル経路によって実施されるか、超音波によって実施されるか、またはマイクロ波によって実施されるかに応じて変動し得る。例えば、より高い反応温度は概して、超音波処理経路(約0℃)よりも水/ソルボサーマル経路(約20〜150℃)に使用される。
実施例6Bにおいて記載されている通り、本発明者らは、上述した4つのパラメーターは、ナノ粒子(すなわち、直径1μmより小さい粒子)の生成だけでなく、良好な結晶化、十分な収率(例えば、25重量%超)を得ることおよび酸化鉄の不在にも影響を及ぼすことを実証した。
最適条件は、調製されたMOF固相のそれぞれについて、本発明者らが経験的に決定した。説明のための非限定的な目的で、動作条件の例を「実施例」の節に詳述する。本発明のMOF固体ナノ粒子は、望ましいナノ粒子のサイズおよび望ましい多分散性に従って、温度、反応時間および濃度範囲ならびに添加物の量を例において説明されている動作条件付近で変動させて得ることができるため、「実施例」において詳述されている動作条件は、いかようにも限定するものではないことを理解されたい。
概して、本発明のMOF固体をナノ粒子形態で調製する方法に従って、下記のパラメーターを使用することにより、MIL−88A相がナノ粒子の形態で得られる。
ソルボサーマル経路
−反応温度は、好ましくは20〜200℃の間、より特別には50〜100℃の間、最も特別には60〜70℃の間であり、
−反応時間は、30分〜72時間の間、より特別には30分〜12時間の間、最も特別には1〜4時間の間であり、
−配位子L’および金属無機前駆体の濃度は、1〜200mmol/Lの間、より特別には30〜100mmol/Lの間、最も特別には60〜70mmol/Lの間であり、
−モノカルボン酸、好ましくは酢酸が添加される。pH調節剤(酸、塩基)または鉱化剤等、他の添加物を添加してもよいことを理解されたい。
超音波処理経路
−反応温度は、好ましくは−5℃〜20℃の間、より特別には−5℃〜10℃の間、最
も特別には−5℃〜5℃の間であり、
−反応時間は、15分〜2時間の間、より特別には15分〜1時間の間、最も特別には15〜45分の間であり、
−配位子L’および金属無機前駆体の濃度は、10mol/l〜10-2mol/lの間、より特別には1〜10-2mol/lの間、最も特別には50〜200mol/lの間であり、
−モノカルボン酸、好ましくは酢酸が添加される。pH調節剤(酸、塩基)または鉱化剤等、他の添加物を添加してもよいことを理解されたい。
マイクロ波経路
−反応温度は、好ましくは30℃〜300℃の間、より特別には30℃〜150℃の間、最も特別には50℃〜120℃の間であり、
−反応時間は、1分〜3時間の間、より特別には10〜50分の間、最も特別には1〜30分の間であり、
−配位子L’および金属無機前駆体の濃度は、200mol/l〜10-2mol/lの間、より特別には100〜10-2mol/lの間、最も特別には10〜10-2mol/lの間であり、
−pH調節剤、好ましくは塩酸が添加される。pH調節剤(酸、塩基)、鉱化剤、または結晶成長の停止を促進するための作用物質(モノカルボン酸)等、他の添加物を添加してもよいことを理解されたい。
他の「MIL」相は、同様の動作条件下で、上述した温度、反応時間および濃度範囲を、先に言及した添加物等の添加物の任意選択の添加とともに使用することにより、ナノ粒子の形態で得ることができる。
本発明の調製方法は、限られた工程数で、望ましい構造、高純度および均質性の材料の、高収率での生成を可能にするという利点を有する。これにより、合成時間および製造コストが減少する。
加えて、この方法は、所与の構造の材料へのアクセスを可能にし、下記のパラメーターの1つまたは複数を変更することにより、粒径の制御を可能にする:合成時間、pH、添加物の添加、撹拌、溶媒の性質、マイクロ波経路の使用等。
その上、本発明者らは、本発明の固体の、特に柔軟性または孔径の観点における特定の構造的特徴が、該固体に、特に吸着能力、選択的吸着および純度の観点における特に有利な特性を与えることも実証した。よって、これらの材料は、分子、例えば医薬品分子の、好ましいエネルギーコストおよびより長い放出時間での選択的吸着を可能にする。このように、本発明者らが行った調査研究により、活性成分を吸着させ輸送するためのMOF材料の利点を実証することができた。
よって、本発明は、その孔内またはその表面に、医薬活性成分、化粧用途の化合物またはマーカーからなる群から選択される少なくとも1種の分子を含む、本発明のMOF固体の使用にも関する。
特に、本発明は、薬剤としての、医薬活性成分が充填された本発明のMOF固体の使用にも関する。医薬活性成分は、本発明の固体の孔内または表面上のいずれかに含有され得る。これが、本文書の残りにおいて「医薬活性成分が充填されたMOF固体」という表現で理解されるものである。
より一般的には、用語「成分Xが充填されたMOF固体」は、その孔内またはその表面に成分Xを含有する、本発明のMOF固体を指す。成分Xは、MOF固体の表面または孔
内に吸着されるか、または共有結合によって、水素結合によって、ファン・デル・ワールス結合によって、静電相互作用によって、結合することができる。この成分Xは、上記で示した通り、医薬活性成分であってよい。あるいは、成分Xは、生物学的活性を有する任意の分子、化粧用途の化合物またはマーカーであってよい。
具体的には、本発明のMOF固体は、大きな吸着能力を有するという利点を有する。加えて、該固体は、例えば、分子の不安定性、高反応性、難溶解性、結晶化する強い傾向、親水性または両親媒性の性質等のために、特に封入が難しい医薬品分子を効率的に吸着することができる。
例えば、本発明の固体には、下記の特徴の1つまたは複数を有する少なくとも1種の医薬活性成分を充填することができる:親水性、両親媒性、脂溶性、不安定、毒性、結晶化する強い傾向または実質的に不溶性。
用語「毒性」は、医学的または獣医学的用途におけるその使用を妨害しやすい毒性効果を有する医薬活性成分を指す。該成分は、例えば、ブスルファン、シスプラチン等のアルキル化剤またはロムスチン等のニトロソ尿素であり得る。代謝後、アルキル化剤は核酸と共有結合を形成する。これらの結合の形成は、
−DNA転写および複製障害、
−DNAにおける塩基置換、
−塩基除去およびDNA鎖開裂
をもたらし得る。
これらの成分の主な薬理活性は、DNAの合成期の間に現れる。その毒性効果は、骨髄抑制、生殖不能および非リンパ性白血病を含む。
シスプラチンは、鎖内のDNA架橋を引き起こし、低い骨髄毒性を有するが、強力な吐剤であり、腎毒性であり得る。
用語「結晶化する強い傾向」は、他の構造に含まれる代わりに、結晶格子において自己会合への傾向を有する医薬活性成分を指す。よって、そのような化合物は、粒子内に含まれるよりも、使用される封入過程中に結晶を形成する傾向がある。これにより、過程の終わりには、医薬活性成分が十分に充填されていない粒子とその結晶との混合物が得られる。これは、例えばブスルファンであり得る。高用量では、ブスルファンは深刻な副作用、すなわち静脈閉塞性肝疾患を有する。これはおそらく、この分子の結晶化する極めて強い傾向に起因する。結晶積層は、この活性成分のメチルスルホネート基間の強い双極子間相互作用によって支配される。
用語「実質的に不溶性」は、溶解性が水中において0.1mg/ml未満である医薬活性成分を指す。これは、例えばブスルファンであり得る。
用語「不安定」は、腐食し、結晶化し、かつ/または反応することができ、そうする間にその構造およびその活性を失う、医薬活性成分を指す。これの考えられる例は、ブスルファンである。
加えて、医薬活性成分は、生物学的活性を有する任意の分子、例えば薬剤、特に、抗癌剤、抗ウイルス剤、修飾または非修飾ヌクレオシド類似体、核酸、抗体、タンパク質、ビタミン等であってよい。
親水性活性成分の中でも、言及され得るのは、例えば、AZT、TP、CDV(シドフォビル)、5−フルオロウラシルおよびシタラビン(citarabine)である。
両親媒性活性成分の中でも、言及され得るのは、例えば、ブスルファン、塩化ドキソル
ビシンおよび塩化イミプラミンである。
脂溶性活性成分の中でも、言及され得るのは、例えば、タモキシフェン、ドセタキセル、パクリタキセル、イブプロフェン、リドカイン、ビタミンA(レチノール)、D(カルシフェロール)、E(トコフェロール)、K1(フィロキノン)およびK2(メナキノン)等の脂溶性ビタミンである。
特に、本発明の固体には、例えば、タキソテール、ブスルファン、アジドチミジン(AZT)、アジドチミジンホスフェート(azidothymidine phosphate)(AZTP)、シドフォビル、ゲムシタビンおよびタモキシフェンからなる群から選択される少なくとも1種の医薬活性成分を充填することができる。
1実施形態において、活性成分は、蛍光分子であってよい。例えば、活性成分は、ローダミン、フルオレセイン、ルシフェラーゼ、ピレンおよびその誘導体、またはアミノピロリジノ−7−ニトロベンゾフラザンであってよい。
1実施形態において、活性成分は、フルオロ分子、すなわち、少なくとも1個の置換基Fを含む分子であってよい。活性成分は、例えば、先に言及したフルオロ分子の1つであってよい。これらのフルオロ分子は、画像、特に、上述したPET技術等の蛍光画像において使用するのに適している。
よって、本発明は、PET画像等の医学画像において使用され得るマーカーとしての、1つまたは複数の本発明のフルオロ分子を封入したMOFナノ粒子の使用にも関する。
加えて、本発明の固体には、少なくとも1種の化粧用途の化合物を充填することができる。
用語「化粧用途の化合物」は、化粧品調製物、すなわち、人体の種々の表面部分、特に、表皮、産毛(pilous)および毛髪系、外部器官、歯ならびに粘膜と接触して置かれることを意図された調製物の製剤に、独占的にまたは主に、それらを浄化し、保護しもしくは芳香化し、人体を良好な状態に維持し、その外観を変更し、またはその臭気を矯正する目的で含まれる任意の活性物質を指す。用語「活性物質」は、化粧品調製物の効能を確実にする物質を指す。
化粧用途の化合物は、当業者に既知の任意の化粧品調製物の調製物、例えば、衛生用品(例えば、メイク落とし、練り歯磨き、脱臭剤、シャワー用ジェル、石けんまたはシャンプー)、ケア用品(例えば、シワ取りクリーム、デイクリーム、ナイトクリーム、保湿クリーム、芳香蒸留水、スクラブ、エマルジョン、美顔パック、リップクリームまたはトニック)、ヘアケア用品(例えば、ヘアコンディショナー、縮毛矯正剤、ジェル、オイル、ラッカー、パックまたは染料)、メイクアップ用品(例えば、コンシーラー、セルフ・タンニング製品、アイライナー、メイクアップパウダー、ファンデーション、コール、マスカラ、粉おしろい、皮膚漂白製品、口紅またはマニキュア)、香料(例えば、オー・デ・コロン、オー・ド・トワレまたは香水)、日焼け止め製品(例えば、日焼け後および日焼け止めクリーム、オイルおよびローション)、ヒゲ剃り用品および脱毛用品(例えば、ヒゲ剃り後、脱毛クリームまたはヒゲ剃りクリーム)または入浴およびシャワー用調製物(例えば、バブルバス、バスオイルまたはバスソルト)に含まれる活性物質であってよい。
本発明によれば、化粧用途の化合物は、例えば、
−酸化防止剤(例えば、クエン酸、ベータカロテン、ビタミンE、グリコール酸、グルタチオン、ビタミンC、ポリフェノール、リコペン、フラボノイド、タンニン、アントシアン、N−アセチルシステイン(フリーラジカル・スカベンジャー))
−ビタミン(例えば、ビタミンA、B3、B5、B6、B2、B1、B9、B8、B12、C、E、D、K、K1、K2)
−脂質調節剤(例えば、カフェインまたはテオフィリン)
−光保護剤(例えば、ベンゾフェノン−3(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)、ベンゾフェノン−4(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸)、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸)
−保湿剤(例えば、尿素、ヒアルロン酸またはソルビトール)
からなる群から選択され得る。
例えば、本発明の固体には、ベンゾフェノン、ビスナジン、サリチル酸、アスコルビン酸、ベンゾフェノンおよびその誘導体、カフェイン、尿素、ヒアルロン酸等からなる群から選択される少なくとも1種の化粧用途の化合物を充填することができる。
特に、本発明の固体には、乾燥固体の1〜200重量%、例えば乾燥固体の1〜70重量%、すなわち、乾燥固体1g当たりほぼ10〜700mgの充填容量で、医薬活性成分を充填することができる。
本発明の文脈において、充填容量は、分子を貯蔵するための容量または材料内に吸着される分子の量を指す。充填容量は、質量容量(グラム/グラム)もしくはモル濃度容量(モル/モル)として、または他の用語(モル/グラム、グラム/モル等)で表現され得る。
よって、本発明の固体は、特にブスルファンの場合、先行技術では決して達成しなかった予想外の充填容量を有するという利点を有する。具体的には、本発明の固体は、ブスルファン等の両親媒性分子の組み込みに特に好ましい、疎水性/親水性の内部微小環境を有する。
加えて、先行技術の別の問題は、親和性がない場合における、輸送された分子の迅速かつ制御されない放出に関するものである。本発明のMOF固体は、特に内部微小環境を利用してであるが、化合物の構造も利用して、より長い放出時間を可能にするという利点を有する。具体的には、MOF構造の硬質相および軟質の相が、分子の放出速度論に影響を及ぼす。特に、軟質の相は、例えばイブプロフェンおよび化合物MIL−53を用いて、化合物の時間をかけたより長い放出を可能にし得る。
本発明の固体は、例えば、スペーサー配位子上に、本発明のMOF固体と対象分子との間の相互作用を変更することができる官能基をさらに含み得る。これにより、対象分子の封入および放出を制御することが可能になり得る。本発明のMOF材料は、このように、輸送される対象分子の官能基として、封入の程度、分子の放出および/または固体の分解性を変更するように適合および配合(「設計」)され得る。
さらに、本発明のMOF固体に、以下の「実施例」の節において記載されている極めて積極的な毒性研究を施した。生分解性および分解性研究も依然として進行中のようである。
よって、活性成分を輸送するために使用される本発明のMOF固体は、先に言及した先行技術の問題、特に、毒性、不安定性、活性成分の結晶化する強い傾向、その制御放出等に関連する問題を克服することを可能にする。
加えて、本発明のMOF固体は、この材料にマーカーを組み込むことを可能にし、これも利点である。
よって、1つの特定の実施形態によれば、本発明の固体には、医薬活性成分および/または化粧用途の化合物および/またはマーカーであってよい、少なくとも1種の対象分子を充填することができる。対象分子は、本発明の固体の孔内または表面上のいずれかに含有され得る。
よって、本発明のMOF固体は、薬剤、化粧品組成物および/または医学画像において使用され得るマーカーの製造に使用できる。
よって、疾患に罹患している個体への、その孔内またはその表面に該疾患を治療することが知られている少なくとも1種の活性成分を含む本発明のMOF固体の投与を含む、該個体を治療する方法が提供される。
特に、本発明のMOF固体には、医学画像用マーカー、造影剤、トレーサー、放射性マーカー、蛍光マーカーおよびリン光マーカーからなる群から選択される少なくとも1種のマーカーを充填することができる。
例えば、本発明者らは、以下の「実施例」の節において、蛍光化合物、特にフルオレセインで標識したデキストランを使用する表面修飾について記載している。この修飾により、共焦点顕微鏡を使用する粒子の検出が可能になる。共焦点レーザー走査顕微鏡(CLSM)は、「光学的断面」として知られる極めて浅い被写界深度(約600nm)の画像を生成するという特性を有する光学顕微鏡である。レンズの焦点面を試料中の異なる深度レベルに位置付けることにより、一連の画像を生成することが可能であり、その中から目的物の三次元表示を得ることができる。少数の考えられる用途として、次のものが挙げられる:
i)細胞株との相互作用の研究、
ii)ムルダー ダブリュー ジェイら(Mulder W.J.et al.)による刊行物、Nanomed.2007 June,2(3),307−324[21]において示唆されている通り、固体粒子が、医学画像におけるその観察と適合する緩和能を有する場合、該固体粒子は多様な画像において使用され得る。
特に、本発明の固体には、蛍光化合物、酸化鉄、ガドリニウム錯体、例えば有機配位子との錯体の形態で構造内に直接存在しているガドリニウムイオン等からなる群から選択される少なくとも1種のマーカーを充填することができる。マーカーを充填するためのプロトコールは、当業者に既知である。使用され得る非限定的な例は、例えば、エー ケー グプタら(A.K.Gupta,et al.),Nanomed.2007 2(1),23−39[22];ピー キャラバン(P Caravan),Chem.Soc.Rev.,2006,35,512−523[23];またはヤン・ピン レンら(Yan−Ping Ren,et al.),Angew,Chem.Int.Ed.2003,42,No.5,532[24]において記載されている。
よって、本発明のMOF固体は、マーカーを製造し、輸送し、かつ/または方向付けするために使用され得る。
加えて、本発明の固体は、該固体に医薬活性成分が充填されている場合、薬剤を方向付けするために、および/または該固体がマーカーとして使用される場合、生物学的標的が関与する疾患(癌等)を検出しモニターするために使用され得る。
加えて、これらの2つの使用を合わせることにより、本発明の固体は、有利にも、薬剤の生体内分布を可視化することを可能にする。これは、特に治療的処置をモニターするためおよび薬剤の生体内分布を研究するために、非常に関心高い。
本発明の1つの特定の実施形態によれば、本発明の固体を調製する方法は、MOF固体
の孔内または表面上に、医薬活性成分および/または化粧用途の化合物および/またはマーカーであってよい少なくとも1種の対象分子を導入する工程(ii)をさらに含み得る。
前記導入工程は、対象分子が充填された固体を得るために、反応工程(i)中またはその後に実施され得る。
当業者に既知である任意の方法を、導入工程(ii)中に使用してよい。対象分子は、例えば、本発明のMOF材料に、
−該材料を対象分子の溶液に浸すことによる含浸を介して、
−対象分子の昇華、次いでガスを該材料に吸着させることによって、または
−該材料と対象分子とを機械的に混合することである回転式ロール粉砕を介して、
導入され得る。
非限定的な説明図として示されている添付の図面を参照しながら以下の実施例を読むと、当業者には他の利点も明らかになり得る。
実施例2に従って合成された材料MIL−53ナノのSEM(走査型電子顕微鏡)画像を示す。 実施例2に従って合成された材料MIL−89ナノのSEM(走査型電子顕微鏡)画像を示す。 実施例2に従って合成された材料MIL−88AナノのSEM画像を示す。 実施例2に従って合成された材料MIL−100ナノのSEM画像を示す。 実施例2に従って合成された材料MIL−88BtナノのSEM画像を示す。 実施例2に従って合成された材料MIL−88BナノのSEM画像を示す。 化合物MIL−53(Fe)の吸引の現象を上側に示し、様々な溶媒の存在下での固体MIL−53(Fe)のX線回折図を下側に示す。 固体MIL−88A、MIL−88B、MIL−88C、MIL−88DおよびMIL−89の吸引を示す。乾燥形(上側)と開放形(下側)の間の膨張幅が、図の下側に百分率で示される。 X線回折(λ−1.79Å)による固体MIL−88Aの膨張の可逆性の調査を上側に示し、溶媒の存在下での固体MIL−88AのX線回折図を下側に示す。 ハイブリッド相MIL−53(a)およびMIL−88(bおよびc)における柔軟性の説明図を示す。 撹拌せずに(図11a)または撹拌して(図11b)実施例6に従って合成された材料MIL−88AのSEM画像を示す。 合成(220℃で10分間)を介して得られた固体MIL−101(Cr)の電子顕微鏡画像を示す。 ヘマトキシリン−エオシンおよびプルースト染料による染色によって明示されたラット肝臓組織切片を示す。図13aは、制御試験に関し、図13bは、200mg/kgの材料MIL−88Aの注入の7日後に得られ、図13cは、200mg/kgの材料MIL−88Btの注入の7日後に得られたものである。 様々な化学種、すなわちジメチルホルムアミド(DMF)、H2Oおよびブスルファン(クロロホルムまたはアセトニトリル溶液から吸着された)を封入した固体MIL−53のX線粉末回折図を示す。乾燥形のX線回折図も示される(「空」)。 一滴の水の添加前(MIL88A)および添加後(MIL88A+H2O)の未改質材料MIL−88A;一滴の水の添加前(MIL88AQ100)および添加後(MIL88AQ100+H2O)の、7%キトサンで改質されたMIL−88A;一滴の水の添加前(MIL88AQ25)および添加後(MIL88AQ125+H2O)の、2%キトサンで改質されたMIL−88AのXRD図を示す。 未改質材料MIL−88A(MIL88A;緑色)、2%キトサンで改質された材料(MIL−88A−Q25、黒色)および7%キトサンで改質された材料(MIL−88A−Q100、赤色)の熱重量分析を示す。 デキストラン−フルオレセイン−ビオチンで表面改質された材料MIL−100(Fe)の共焦点顕微鏡画像を示す。 様々な形の固体MIL−53(下から上に、乾燥形、水和形、合成粗製物、MIL−53Bu1およびMIL−53Bu2)のX線回折図を示す。 水和化合物MIL−53(Fe)の(空気中の)熱重量分析(加熱速度5℃/分)を示す。 乾燥(下側)および水和(上側)固体MIL−88AのX線回折図を示す。 水和化合物MIL−88Aの(空気中の)熱重量分析(加熱速度5℃/分)を示す。 固体MIL−100(Fe)のX線回折図を示す。 固体MIL−100の77Kにおける窒素吸着など温線を示す(Po=1気圧)。 粗合成化合物MIL−100(Fe)の(空気中の)熱重量分析(加熱速度5℃/分)を示す。 固体MIL−101(Fe)のX線回折図(λCu=1.5406Å)を示す。 水和化合物MIL−101(Fe)の(空気中の)熱重量分析(加熱速度5℃/分)を示す。 硬質相MIL−68(左側)、MIL−100(右上側)およびMIL−101(右下側)を示す。 超音波処理法(酢酸の存在下または不在下で0℃)を介する合成時間(t(分))の関数としての粒径(P(nm))の変化を示す(実施例8)。 超音波処理法(合成開始の15分後に添加されるPEGの存在下または不在下で0℃)を介する合成1についての時間(t(分))の関数としての粒径(P(nm))の変化を示す(実施例25)。 超音波処理法(t=0の時点で添加されるPEGの存在下または不在下で0℃)を介する合成2についての時間(t(分))の関数としての粒径(P(nm))の変化を示す(実施例25)。 昇華による封入のための実験設定を示す(実施例21)。 ローダミン116過塩素酸塩(A)およびフルオレセイン(B)分子を示す。 8−ヒドロキシピレン−1,3,6−トリスルホン酸(C)および(R)−(−)−4−(3−アミノ−ピロリジノ)−7−ニトロベンゾフラザン(D)分子を示す。 時間t(日)の関数としてのフマル酸の固体MIL−88Aからの百分率(%)としての放出を示す。 固体MIL−100(Fe)の構造を示す。(a):八面体トリマーおよびトリメシン配位子;(b)超四面体;(c):3−D概略構造:(d):2つのタイプのメソ多孔性ケージ。 真空下での活性化後の固体MIL−100(Fe)の五角形および六角形の窓を示す。 上側:ハイブリッド超四面体および最終的に孔径の大きいハイブリッドゼオライト構造を形成するための八面体鉄トリマー、1,4−ベンゼンジカルボン酸からの固体MIL−101の構造。下側:多孔性骨格の概略図および2つのタイプのメソ多孔性ケージの図(それらは自由寸法で示される)。鉄八面体および炭素原子は、それぞれ緑色および黒色である。 MOF固体MIL−102(Fe)の構造を示す。左側:トンネルの軸(軸c)に沿う図;右側:トンネルに垂直な軸に沿う図(軸b、軸aに沿う同様の図)。鉄および炭素原子および水分子は、それぞれ緑色、黒色および赤色である。 MOF固体MIL−88B_4CH3(Fe)の構造。左側:トンネルの軸(軸c)に沿う図;右側:ケージの軸(軸aおよびb相当)に沿う図。鉄八面体および炭素原子は、それぞれオレンジ色および黒色である。 カルボン酸鉄MIL−88A(水和)の構造。左側:トンネルの軸(軸c)に沿う図;右側:トンネルに垂直の軸に沿う図(軸b、軸aに沿う同様の図)。鉄八面体、炭素原子および水分子は、それぞれ緑色、黒色および赤色である。 カルボン酸鉄MIL−89(Fe)の構造。左側:トンネルの軸(軸c)に沿う図;右側:トンネルに垂直の軸に沿う図(軸b、軸aに沿う同様の図)。鉄および炭素原子および水分子は、それぞれ灰色、黒色および白色である。
実施例
I.予備合成
実施例1:酢酸鉄(III)の合成、使用される前駆体および配位子の合成
a)合成A:酢酸鉄(III)
下記の実施例において記載される本発明のMOF材料の合成において使用される、酢酸鉄(III)の合成Aのために、刊行物シー ティー ジオブコウスキーら(C.T.Dziobkowski,et al.)Inorg.Chem.,1982,21,671[25]を参照することができる。
合成Aは次の通りである:6.72gの金属鉄粉末(リーデル・デ・ヘーン社(Riedel−de Haen)、99%)、64mlの脱イオン水および33.6mLの水中70%の過塩素酸(リーデル・デ・ヘーン社(Riedel−de Haen))を磁気撹拌で一緒に混合し、50℃で3時間加熱する。加熱を停止させた後、溶液を12時間撹拌する。残留鉄金属を沈降によって除去し、次いで容器を変える。20.6mlの過酸化水素水溶液(アルファ・エイサー社(Alfa Aesar)、35%)を撹拌しながら滴下添加し、混合物を0℃の氷浴中に維持する。19.7gの酢酸ナトリウム(アルドリッチ社(Aldrich)、99%)を、青色溶液に撹拌しながら添加し、その間、溶液を0〜5℃に維持する。溶液を、ガラス結晶皿(容積=0.5l)中、ドラフトチャンバー下で3日間蒸発させる。最後に、酢酸鉄の赤色結晶を濾過によって回収し、氷冷脱イオン水中で極めて手早く洗浄する。次いで、結晶を風乾させる。
b)合成B:2,5−ジペルフルオロ−1,4−ベンゼンジカルボン酸
合成は、キムら(Kim et al.),Chem.Commun.,2005,372−374によって記載されている操作プロトコールに従って実施する。
2,5−ジブロモ−1,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンの合成:
1,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(19g、88.7mmol、エー ビ
ー シー アール社(ABCR))、トリフルオロ酢酸(250ml、エス ディー エス社(SDS))および99%硫酸(60ml、アクロス社(Acros))を、コンデンサーおよび磁気棒が装備された1リットルの丸底フラスコに連続的に添加する。N−ブロモコハク酸イミド(47.4g、267mmol、アルドリッチ社(Aldrich))を、60℃で5時間かけて少量ずつ添加する。撹拌をこの温度で48時間続け、次いで媒質を氷(500ml)に注ぎ入れる。このようにして形成された沈殿物を濾過除去し、真空(133.322パスカル(1水銀柱ミリメートル))下で24時間乾燥させ、次いで、昇華により精製して、30g(91%)の白色固体を得る。
融点:65±0.2℃;1H NMR (200 MHz, CDCl3): 8.01 (2H, s); 19F NMR (188 MHz,
CDCl3): -64.1 (2 × CF3, s).
2,5−ビス(トリフルオロメチル)テレフタル酸の合成:
THF中の2,5−ジブロモ−1,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(16g、43mmol)の溶液(100ml、アクロス社(Acros))を、滴下漏斗および磁気棒が装備された1リットルの2口フラスコ内、THF(75ml)中のブチルリチウムBuLi(ヘキサン中2.5M、38.4ml、67.2mmol、アルドリッチ社(Aldrich))の−78℃溶液に滴下添加する。この温度で30分間撹拌後、細かく粉砕したカルダイス(cardice)(200g)を反応媒質に導入する。温度を室温に戻し、媒質を水酸化ナトリウム溶液(2M、3×100)で抽出する。水相を合わせ、2Mの塩酸溶液で酸性化する。このようにして形成された沈殿物を濾過除去し、真空(133.322パスカル(1水銀柱ミリメートル))下で24時間乾燥させて、11g(84%)の白色固体を得る。
融点:230℃で腐食;1H NMR (200 MHz, acetone-d6): 8.31 (2H, s, aromatic); 19F NMR (188 MHz, acetone-d6): -55.9 (2 × CF3, s).
c)合成C:2−メチルテレフタル酸
2−メチルテレフタル酸は、エル アンザロン(L.Anzalone),ジェイ エー ハーシュ(J.A.Hirsch),J.Org.Chem.,1985,50,2128−213によって記載されている合成法に従って得られる。
1)26mlのN−メチルピロリドン中の10gのCuCN(111.6mmol)および4.2mlの2,5−ジクロロトルエン(30.5mmol)を丸底フラスコに入れる。Cl原子をニトリル基で置換するために、混合物を24時間還流(200℃)させる。
加熱を停止させた後、50mlの20%NH4OH水溶液および35mlのトルエンを
反応媒質に添加する。混合物を撹拌し、室温に冷却したら、そこに100mlのエーテルおよび50mlの20%NH4OH溶液を添加する。このようにして得られた2つの層を
、エーテル(250ml)の連続添加により分離し、最後に遠心分離する(困難な分離)
。次いで、有機相を、10%NH4OH溶液(4×50ml、塩基性水相が青色着色を有
さなくなるまで)、次いでH2O、最後に10%HCl溶液および飽和NaCl溶液によ
り連続的に洗浄する。MgSO4で乾燥させ、紙に通して濾過し、溶媒を蒸発除去させた
後、2.9gの黄色生成物が得られる(収率67%)。
2)このようにして得られた2−メチルテレフタロニトリルを、次いで70mlの95%H2SO4に添加し、混合物を100℃で終夜維持し、加熱を停止させた後、そこに35mlのH2Oを添加し、室温になったら、30mlのH2Oに溶解した6.6gのNaNO2を添加する。全体を110℃で終夜維持する。最後に、200mlのH2Oを撹拌しながら添加し、ブフナー漏斗に通して濾過し、水で洗浄し、真空下、50℃で終夜乾燥させた後、2.13gの2−メチルテレフタル酸が帯白色粉末(収率58%)の形態で得られる。
d)合成D:3,5,3’,5’−テトラメチルビフェニル−4,4’−ジカルボン酸
この合成の反応スキームを以下に表す。
第1工程:
10.2gのテトラメチルベンジジン(98%、アルファ・エイサー社(Alfa Aesar))を、39mlの濃塩酸(37%、アルドリッチ社(Aldrich)により販売)に0℃で懸濁させる。亜硝酸ナトリウム溶液(50mlの水中6g)を添加することにより、ジアゾ化を実施した。0℃で15分間撹拌後、得られた紫色溶液にヨウ化カリウム溶液(200mlの水中70g)をゆっくり添加した。添加が完了したら、混合物を室温で2時間撹拌する。得られた黒色懸濁液を濾過して、黒色沈殿物を回収し、これを水で洗浄する。固体をジクロロメタン(DCM、98%、エス ディー エス社(SDS)により販売)に懸濁させ、飽和チオ硫酸ナトリウム溶液を添加すると、脱色が起きる。1時間撹拌後、有機相を沈降によって分離し、水相をDCMで抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、次いで蒸発させて、ジヨード中間体を帯灰色固体の形態で得る。シリカのカラム(エス ディー エス社(SDS)により販売)上での純ペンタンを用いる溶離により、モノヨードおよびジヨード化合物の混合物を得る。これらの化合物の混合物を、下記の工程でそのまま使用した。
第2工程:
7.2gの粗ヨード化合物を100mlのテトラヒドロフラン(THF、ナトリウム上で蒸留したもの)に溶解する。−78℃に冷却後、35mlのシクロヘキサン中n−ブチルリチウム(2.5M、アルドリッチ社(Aldrich)により販売)を添加する。溶液を室温に加温し、2時間後に白色懸濁液が現れる。これを再度−78℃に冷却し、12mlのクロロギ酸エチルを添加する。混合物を室温で放置すると、1時間後に透明黄色溶液が得られる。水とジクロロメタンとに分配し、続いてジクロロメタンにより抽出して、粗ジエステルを得る。この生成物を、1/9のEt2O/ペンタン混合物(前方比率:R
f=0.3)で溶離するシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製する。6.3gのジエステルが、無色固体(ベンジジンから出発し、収率42%)の形態で得られる。
得られたジエステルの特徴付け:1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ (ppm): 1.29 (t, J = 7.2 Hz, 6H), 2.29 (s, 13H); 4.31 (q, J = 7.2 Hz, 4H); 7.12 (s, 4H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ (ppm): 14.3 (CH3), 19.9 (CH3), 61.0 (CH2), 126.5 (CH), 133.2 (Cq), 135.5 (Cq), 141.4 (Cq), 169.8 (Cq).
第3工程:
最後に、5日間還流させながら、100mlの95%エタノール(エス ディー エス社(SDS)により販売)中の9.7gの水酸化カリウム(ヴィー ダブリュー アール社(VWR)により販売)でジエステルを鹸化する。溶液を真空下で濃縮し、生成物を水に溶解する。濃塩酸をpH1まで添加すると、白色沈殿物が形成される。これを濾過によって回収し、水で洗浄し、乾燥させる。このようにして、5.3gの2塩基酸が白色固体(定量的収率)の形態で得られる。
e)合成E:3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジカルボン酸
この合成の反応スキームを以下に表す。
12.1gのジメチルベンジジンから出発し、合成Dについて記載した手順と同じ手順を使用した。第1工程の後、18.4gの3,3’−ジメチル−4,4’−ジヨードビフェニルが得られる(収率:74%)。
得られたジヨード化合物の特徴付け:1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ (ppm): 2.54 (s, 6H), 7.10 (dd, J = 2.2 and 8.1 Hz, 2H), 7.46 (d, J = 2.2 Hz, 2H), 7.90 (d, J = 8.1 Hz, 2H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ (ppm): 28.3 (CH3), 100.3 (Cq), 126.0 (CH), 128.3 (CH), 139.4 (CH), 140.4 (Cq), 141.9 (Cq).
18.4gのジヨード化合物から出発し、第2および第3工程の後、6.9gの3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジカルボン酸が得られる。
得られた化合物の特徴付け:第2工程の後に得られたジエステルおよび第3工程の後に得られた2塩基酸は、文献(シオタニ アキノリ(Shiotani Akinori),Z.Naturforsch.1994,49,12,1731−1736)において記載されている分光学的特徴と同一の分光学的特徴を有する。
f)合成F:3,3’−ジクロロ−4,4’−アゾベンゼンジカルボン酸
15gのo−クロロ安息香酸(アルドリッチ社(Aldrich)、98%)および50gの水酸化ナトリウムを225mlの蒸留水に入れ、撹拌しながら50℃に加熱する。150mlの水に溶解した100gのグルコース(アルドリッチ社(Aldrich)、96%)の溶液を添加する。混合物を15分間撹拌し、次いで、室温で3時間、空気をスパージする。ジナトリウム塩を濾過によって回収し、エタノールで洗浄し、次いで、120mlの水に再度溶解する。塩酸(アルドリッチ社(Aldrich)ヴィー ダブリュー アール社(VWR)、37%)を添加して、1に等しいpHを得る。固体を濾過によって回収し、真空下、90℃で乾燥させる。
g)合成G:3,5,3’,5’−アゾベンゼンテトラカルボン酸
19gの5−ニトロイソフタル酸(アルドリッチ社(Aldrich)、98%)および50gの水酸化ナトリウムを250mlの蒸留水に入れ、撹拌しながら50℃に加熱する。150mlの水に溶解した100gのグルコース(アルドリッチ社(Aldrich)、96%)の溶液を添加する。混合物を15分間撹拌し、次いで、室温で3時間、空気をスパージする。得られたジナトリウム塩を濾過によって回収し、300mlの水に室温で溶解する。塩酸(ヴィー ダブリュー アール社(VWR)、37%)を添加して、1に等しいpHを得る。固体を濾過によって回収し、真空下、90℃で乾燥させる。
h)合成H:クロロテレフタル酸
6g(0.043mol)のクロロキシレン(アルドリッチ社(Aldrich)により販売、99%超)、16mlの硝酸(ヴィー ダブリュー アール社(VWR)により販売、70%)および60mlの蒸留水を、120mlのTeflon物体に導入する。この物体をパール社(Paar)の金属ボンベに入れ、170℃で12時間加熱する。生成物を濾過によって回収し、次いで、蒸留水で徹底的に洗浄する。75%の収率が得られる。
1H NMR (300 MHz, d6-DMSO): δ (ppm): 7.86 (d, J = 7.8 Hz), 7.93 (dd, J = 7.8; 1.2 Hz), 7.96 (d, J = 1.2 Hz).
II.本発明のナノ粒子および本発明のナノ粒子を調製する方法
実施例2:カルボン酸鉄ナノ粒子の合成
a)MIL−53nanoナノ粒子の合成
固体MIL−53nanoは、5mlのジメチルホルムアミド(DMF;フルカ社(Fluka)、98%)中の270mgのFeCl3・6H2O(1mmol;アルファ・エイサー社(Alfa Aesar)、98%)および166mgのテレフタル酸(1mmol;1,4−BDC;アルドリッチ社(Aldrich)、98%)から出発し、全体をPaarブランドの金属物体(オートクレーブ)に入れたTeflon物体に導入して、ナノ粒子の形態で得られた。全体を150℃で2または4時間加熱する。室温に冷却後、5000rpm(1分間当たりの回転数)における10分間の遠心分離により、固体を回収する。
次いで、200mgの固体を100mlの蒸留水に撹拌しながら15時間懸濁させて、孔内に存在する残留溶媒を除去する。次に、5000rpmにおける10分間の遠心分離により、固体を回収する。光散乱によって計測される粒径は、約350nmである。
本発明の材料MIL−53の走査電子顕微鏡法(SEM)画像が図1に提示されており、一方は大型(約5μm)、他方は小型(約350μm)という、2つの粒子の集合の存在を示す。大きい粒子はやや菱面体の明らかに再結晶したカルボン酸であり、他方で、小さい粒子の形態はやや球状であり、凝集塊の形態である。
b)MIL−89nanoナノ粒子の合成
MIL−89nanoの合成は、0.25mlの2M水酸化ナトリウム(アルファ・エイサー社(Alfa Aesar)、98%)を添加した5mlのエタノール(リーデル・デ・ヘーン社(Riedel−de Haen)、99.8%)の存在下、210mgの酢酸鉄(0.33mmol;上記した合成Aに従って研究室で合成したもの)および142mgのムコン酸(1mmol;フルカ社(Fluka)、97%)から出発し、全体をPaarブランドの金属物体(オートクレーブ)に入れたTeflon物体に導入して実施する。全体を100℃で12時間加熱する。
室温に冷却後、5000rpmにおける10分間の遠心分離により、生成物を回収する。次いで、200mgの固体を100mlの蒸留水に撹拌しながら15時間懸濁させて、孔内に存在する残留溶媒を除去する。次いで、5000rpmにおける10分間の遠心分離により、固体を回収する。
光散乱によって計測される粒径は、400nmである。ナノ粒子は、走査電子顕微鏡法によって計測された50〜100nmという極めて均質な粒径を有する、丸みを帯びたわずかに細長い形態を示す(図2)。よって、光散乱によって計測された400nmの目的物は、MIL−89nano粒子の凝集塊に相当することが明らかである。
c)MIL−88Ananoナノ粒子の合成
材料MIL−88Ananoを得るために、270mgのFeCl3・6H2O(1mmol;アルファ・エイサー社(Alfa Aesar)、98%)および112mgのフマル酸(1mmol;アクロス社(Acros)、99%)を、15mlのエタノール(リーデル・デ・ヘーン社(Riedel−de Haen)、99.8%)および1mlの酢酸(アルドリッチ社(Aldrich)、99.7%)中で混合する。溶液をガラスフラスコに入れ、65℃で2時間加熱する。5000rpmにおける10分間の遠心分離により、固体を回収する。
200mgの固体を100mlの蒸留水に撹拌しながら15時間懸濁させて、孔内に存在する残留溶媒を除去する。次いで、5000rpmにおける10分間の遠心分離により、固体を回収する。
光散乱によって計測される粒径は、250nmである。
走査電子顕微鏡法(図3)は、辺を有する細長い粒子を示す。これらは、2つの粒径、約500nmおよび150nmである。よって、光散乱によって計測されるサイズは、MIL−88Ananoの平均サイズに相当する。
d)MIL−100nanoナノ粒子の合成
MIL−100nanoの合成は、3mlの蒸留水中の270mgのFeCl3・6H2O(1mmol;アルファ・エイサー社(Alfa Aesar)、98%)および210mgの1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(1,3,5−BTC;1mmol;アルドリッチ社(Aldrich)、95%)から出発して実施する。全体をPaarブランドの金属物体(オートクレーブ)に入れたTeflon物体に導入する。全体を100℃で12時間加熱する。5000rpmにおける10分間の遠心分離により、生成物を回収する。
200mgの固体を100mlの蒸留水に還流撹拌しながら3時間懸濁させて、孔内に存在する残留酸を除去する。次いで、5000rpmにおける10分間の遠心分離により、固体を回収する。
光散乱によって計測される粒径は、535nmである。
走査電子顕微鏡法(図4)は、粒子の強い凝集を示す。これらの粒子は、やや球状であり、40〜60nmの近似サイズを有する。
e)MIL−101nanoナノ粒子の合成
固体MIL−101nanoを生成するために、270mgのFeCl3・6H2O(1mmol;アルファ・エイサー社(Alfa Aesar)、98%)および250mgの1,4−ベンゼンジカルボン酸(1.5mmol;1,4−BDC アルドリッチ社(Aldrich)、98%)を10mlのジメチルホルムアミド(フルカ社(Fluka)、98%)中で混合し、全体をパール社(Paar)のボンベに入れ、100℃で15時間加熱する。5000rpmにおける10分間の遠心分離により、固体を回収する。
孔内に存在する残留酸を除去するために、生成物を真空下200℃で1日間加熱する。該生成物は空気中または水の存在下において安定ではないため、真空下または不活性雰囲気下に保たなくてはならないことに留意すべきである。光散乱によって計測される粒径は、310nmである。
f)MIL−88Btnanoナノ粒子の合成
固体MIL−88Btnanoは、0.4mlの2M NaOH水溶液の存在下で、270mgのFeCl3・6H2O(1mmol;アルファ・エイサー社(Alfa Aesar)、98%)、222mgの1,4−ベンゼンテトラメチルジカルボン酸(1mmol;ケム・サービス社(Chem Service))および10mlのジメチルホルムアミド(フルカ社(Fluka)、98%)から合成する。全体をPaarブランドの金属物体(オートクレーブ)に入れたTeflon物体に導入し、次いで、100℃で2時間加熱する。室温に冷却(金属ボンベを冷水中で冷却)後、5000rpmにおける10分間の遠心分離により、生成物を回収する。
次いで、200mgの固体を100mlの蒸留水に撹拌しながら15時間懸濁させて、孔内に存在する残留溶媒を除去する。5000rpmにおける10分間の遠心分離により、固体を回収する。
光散乱による粒径計測は、50および140nmの2つのナノ粒子の集合を示す。
走査電子顕微鏡法(図5)は、粒子が約50nmのサイズを有する球状形態であることを示す。ごく一部の画分が約200nmのサイズを有する。小さい粒子の塊もその中に観察され得る。
g)MIL−88Bnanoナノ粒子の合成
固体MIL−88Bnanoは、5mlのメタノール(アルドリッチ社(Aldrich)、99%)に導入された240mgの酢酸鉄(0.33mmol、上記した合成Aに従って研究室で合成したもの)および166mgの1,4−ベンゼンジカルボン酸(1mmol;1,4−BDC アルドリッチ社(Aldrich)、98%)から合成する。全体をPaarブランドの金属物体(オートクレーブ)に入れたTeflon物体に導入し、100℃で2時間加熱する。室温に冷却(金属ボンベを冷水中で冷却)後、5000rpmにおける10分間の遠心分離により、生成物を回収する。
200mgの固体を100mlの蒸留水に撹拌しながら15時間懸濁させて、残留溶媒を除去する。次いで、5000rpmにおける10分間の遠心分離により、固体を回収する。
光散乱による粒径計測は、156および498nmのナノ粒子の2峰性分布を示す。
顕微鏡法によって観察される粒子形態は極めて不規則であり、平均サイズはほぼ300nmである(図6)。
光散乱による粒径測定は、マルバーン社(Malvern)Zetasizer NanoシリーズのNano−ZS機;Zen3600モデル;製造番号500180[英国(UK)所在]を用いて実施した。
走査電子顕微鏡法は、トプコン顕微鏡(株式会社アカシ(Akashi))EM002B超高分解能200kVを使用して実施した。
一方では、光散乱装置のレーザービームが赤色であることを鑑みると理想的ではないカルボン酸鉄粒子の橙色着色によって、他方では、粒子のある程度顕著な凝集形成する傾向によって、これら2つの技術で得られた値の間の差異が説明される。
h)MIL−102(Fe)またはFe 6 2 2 [C 10 2 −(CO 2 4 3 ・nH 2 O(X=F、Cl...)
非フルオロ固体MIL−102(Fe)の合成:
270mg(1mmol)のFeCl3・6H2O(アルファ・エイサー社(Alfa Aesar)、98%)および268mg(1mmol)の1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸を5mlの蒸留水に分散させる。混合物を、パール社(Paar)の金
属ボンベに入れた23mlのTeflon物体内、100℃で15時間放置する。濾過によって固体を回収する。
固体MIL−102(Fe)の特徴データ:
この化合物は、77Kでの窒素を用いて、低比表面積(ラングミュア表面積:101m2/g)を有する。
フルオロ固体MIL−102(Fe)の生成:
先に記載した手順に従って得られた式Fe62Cl2[C104(CO243・nH2Oの0.2gの非フルオロ固体MIL−102(Fe)を、100mlの蒸留水中の1gのフッ化ナトリウムNaFに接触させて置く。混合物を、125mlのTeflon物体内、室温で15時間撹拌する。濾過によって固体を回収し、蒸留水で5回洗浄して、微量のNaFを除去する。EDXによる半定量分析は、鉄1に対してフッ素0.17のフッ素含有量を示す。このようにして処理した固体は、Fe62F(OH)[C104(CO24
3・nH2O型の近似式を有する。
i)カルボン酸鉄ナノ粒子の分析データ
粒径は、0.5mg/mlの材料の水性懸濁液を使用するCoulter N4MD光散乱機(コールター・エレクトロニクス社(Coulter Electronics)[フランス(France)マルジャンシー(Margency)所在])を用いて計測する。
電位Zは、マルバーン社(Malvern)Zetasizer Nanoシリーズ機のNano−ZS機器、モデルZen3600で、0.1MのNaCl媒質中の0.5mg/ml水性懸濁液を使用して計測する。
粒径は、材料の0.5mg/ml水溶液を使用してZ電位機で計測する。
以下の表1は、得られた種々のMOF材料の特徴、特に、準弾性光散乱法または電子顕微鏡法によって推定されるナノ粒子のサイズ、孔径およびゼータ電位を提示する。
実施例3:官能化配位子に基づくMOF材料の合成
a)MIL−101−C1(Fe)またはFe3O[Cl−C63−(CO223・X・nH2O(X=F、C1、OH)
合成条件は次の通りである:0.27g(1mmol)のFeCl3・6H2Oおよび210mgのクロロ−1,4−ベンゼンジカルボン酸(1.0mmol、Cl−1,4−BDC、実施例1において記載されている合成Hに従って合成したもの)を10mlのDMF(ジメチルホルムアミド、フルカ社(Fluka)、98%)に分散させる。全体を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflon物体内、100℃で
12時間放置する。次いで、固体を濾過除去し、アセトンで洗浄する。
孔の排出条件の最適化は進行中である。
298Kにおける固体MIL−101(Fe)のメッシュ・パラメーター:a=8.90ナノメートル(89.0オングストローム)およびV=707立方ナノメートル(707000立方オングストローム)、空間群Fd−3m(227番)。
光散乱によって計測される単分散の粒径(多分散性指数、PDI=0.225)は、400nmである。
b)MIL−101−NH2(Fe)またはFe3O[NH2−C63−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
2.25g(0.92mmol)のFeCl3・6H2Oおよび0.75mgのアミノ−1,4−ベンゼンジカルボン酸(0.41mmol、NH2−1,4−BDC、アルドリ
ッチ社(Aldrich)、99%)を50mlのDMF(ジメチルホルムアミド、フルカ社(Fluka)、98%)に分散させる。全体を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflon物体内、110℃で24時間放置する。次いで、固体を濾過除去し、アセトンで洗浄する。
固体を、真空下、120℃で16時間加熱して、孔内に残っている酸を除去する。他方で、これらの孔の排出条件の最適化は依然として進行中である。
298Kにおける固体MIL−101(Fe)のメッシュ・パラメーター:a=8.90ナノメートル(89.0オングストローム)およびV=707立方ナノメートル(707000立方オングストローム)、空間群Fd−3m(227番)。
光散乱によって計測される単分散の粒径(PDI=0.086)は、391nmである。
c)MIL−101−2CF3(Fe)またはFe3O[(CF32−C62−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
135mg(0.5mmol)のFeCl3・6H2Oおよび151mgの2,5−ジペルフルオロ−1,4−ベンゼンジカルボン酸(0.5mmol、2CF3−1,4−BD
C、実施例1において記載されている合成Bに従って合成したもの)を5mlのDMF(フルカ社(Fluka)、98%)に分散させる。全体を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflon物体内、90℃で12時間放置する。次いで、10000rpmにおける10分間の遠心分離により、固体を回収する。
孔の排出条件の最適化は、進行中である。
298Kにおける固体MIL−101(Fe)のメッシュ・パラメーター:a=8.90ナノメートル(89.0オングストローム)およびV=707立方ナノメートル(707000立方オングストローム)、空間群Fd−3m(227番)。
光散乱によって計測される単分散の粒径(PDI=0.145)は、340nmである。
d)MIL−88B−NO2(Fe)またはFe3O[C63NO2−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
0.27gのFeCl3・6H2O(1mmol、アルファ・エイサー社(Alfa Aesar)、98%)および211mg(1mmol)の1,4−ニトロテレフタル酸(アクロス社(Acros)、99%)を5mlの蒸留水に分散させる。全体を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflon物体内、100℃で12時間放置する。濾過によって固体を回収する。
200mgの固体を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflon物体内、10mlの無水エタノールに100℃で12時間懸濁させて、孔内に残っている酸を除去する。次に、濾過によって固体を回収し、100℃で乾燥させる。
光散乱によって計測される単分散の粒径(PDI=0.005)は、345nmである。
e)MIL−88B−2OH(Fe)またはFe3O[C62(OH)2−(CO223
・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
354mgのFe(ClO43・xH2O(1mmol、アルドリッチ社(Aldri
ch)、99%)および198mg(1mmol)の1,4−ジヒドロキシテレフタル酸(対応するジエチルエステルの加水分解によって得られたもの、アルドリッチ社(Aldrich)、97%)を5mlのDMF(フルカ社(Fluka)、98%)に分散させる。全体を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflon物体内、85℃で12時間放置する。濾過によって固体を回収し、次いで、真空下、150℃で15時間焼成して、孔内に残っている酸を除去する。
光散乱によって計測されるわずかに多分散の粒径(PDI=0.305)は、213nmである。
f)MIL−88B−NH2(Fe)またはFe3O[C63NH2−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
0.27gのFeCl3・6H2O(1mmol、アルファ・エイサー社(Alfa Aesar)、98%)および180mg(1mmol)の1,4−アミノテレフタル酸(フルカ社(Fluka)、98%)を5mlの無水エタノールに分散させる。全体を、パール社(Paar)の金属ボンベ中の23mlのTeflon物体内、100℃で3日間放置する。濾過によって固体を回収し、次いで、200℃で2日間焼成して、孔内に残っている酸を除去する。
光散乱によって計測される単分散の粒径(PDI=0.268)は、102nmである。
g)MIL−88B−CH3(Fe)またはFe3O[C63CH3−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
354mgのFe(ClO43・xH2O(1mmol、アルドリッチ社(Aldri
ch)、99%)および180mg(1mmol)の1,4−メチルテレフタル酸(合成Cに従って調製したもの)を5mlのメタノール(フルカ社(Fluka)、99%)に分散させる。全体を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflo
n物体内、100℃で3日間放置する。濾過によって固体を回収する。
200mgの固体を、室温で撹拌しながら10mlのDMFに懸濁させて、残っている酸をDMFと交換し、次いで、真空下、150℃における12時間の蒸発により、該DMFを除去する。
光散乱によって計測される単分散の粒径(PDI=0.231)は、430nmである。
h)MIL−88B−Cl(Fe)またはFe3O[C63Cl−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
354mgのFe(ClO43・xH2O(1mmol、アルドリッチ社(Aldri
ch)、99%)および200mg(1mmol)の1,4−クロロテレフタル酸(実施例1において記載されている合成に従って調製したもの)を、0.1mlの5M HF(フッ化水素酸、エス ディー エス社(SDS)、50%)および0.1mlの1M HCl(塩酸、アルドリッチ社(Aldrich)、37%)を加えた10mlのDMFに分散させる。全体を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflon物体内、100℃で5日間放置する。濾過によって固体を回収し、次いで、真空下、150℃で焼成する。
光散乱によって計測される粒径は、255nmであり、1マイクロメートル(1ミクロン)超の第2の集合を伴う。
i)MIL−88B−4CH3(Fe)またはFe3O[C6(CH34−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
0.27gのFeCl3・6H2O(1mmol、アルファ・エイサー社(Alfa Aesar)、98%)および222mg(1mmol)の1,4−テトラメチルテレフタル酸(ケム・サービス社(Chem Service)、95%)を、0.4mlの2M
NaOH(アルファ・エイサー社(Alfa Aesar)、98%)を加えた10mlのDMF(フルカ社(Fluka)、98%)に分散させる。全体を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflon物体内、100℃で12時間放置する。濾過によって固体を回収する。
200mgの固体を、室温で撹拌しながら100mlの水に12時間懸濁させて、孔内に残っている酸を除去する。次いで、濾過によって固体を回収する。
光散乱によって計測される単分散の粒径(PDI=0.005)は、549nmである。
j)MIL−88B−4F(Fe)またはFe3O[C64−(CO223・X・nH2
O(X=F、Cl、OH)
270mgのFeCl3・6H2O(1mmol、アルファ・エイサー社(Alfa Aesar)、98%)および230mg(1mmol)の1,4−テトラフルオロテレフタル酸(アルドリッチ社(Aldrich)、98%)を10mlの蒸留水に分散させる。全体を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflon物体内、85℃で12時間放置する。濾過によって固体を回収する。
200mgの固体を、室温で撹拌しながら20mlの水に2時間懸濁させて、孔内に残っている酸を除去する。次いで、濾過によって固体を回収する。
光散乱によって計測されるわずかに多分散の粒径(PDI=0.289)は、399nmである。
k)MIL−88B−Br(Fe)またはFe3O[C63Br−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
270mgのFeCl3・6H2O(1mmol、アルファ・エイサー社(Alfa A
esar)、98%)、250mg(1mmol)の1,4−ブロモテレフタル酸(フルカ社(Fluka)、95%)を、0.2mlの5M HF(エス ディー エス社(SDS)、50%)を加えた10mlのDMF(フルカ社(Fluka)、98%)に分散させ、全体を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflon物体内、150℃で12時間放置する。濾過によって固体を回収し、次いで、真空下、150℃で15時間焼成して、孔内に残っている酸を除去する。
光散乱によって計測される単分散の粒径(PDI=0.005)は、1127nmである。
l)MIL−88B−2CF3(Fe)またはFe3O[(CF32−C62−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
135mgのFeCl3・6H2O(0.5mmol、アルファ・エイサー社(Alfa
Aesar)、98%)および151mg(0.5mmol)の2,5−ジペルフルオロ−1,4−テレフタル酸(実施例1において記載されている合成Bに従って合成したもの)を、0.2mlの2M NaOH(アルファ・エイサー社(Alfa Aesar)、98%)を加えた5mlのDMF(フルカ社(Fluka)、98%)に分散させる。全体を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflon物体内、100℃で16時間放置する。濾過によって固体を回収する。
光散乱によって計測される粒径は、1マイクロメートル(1ミクロン)超である。
m)MIL−88D 4CH3(Fe)またはFe3O[C124(CH34−(CO22
3・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
354mgのFe(ClO43・xH2O(1mmol、アルドリッチ社(Aldri
ch)、99%)および298mg(1mmol)のテトラメチルビフェニル−4,4’−ジカルボン酸(合成Dに従って調製したもの)を、0.2mlの2M NaOH(アルファ・エイサー社(Alfa Aesar)、98%)を加えた5mlのDMF(フルカ社(Fluka)、98%)に分散させる。混合物を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflon物体内、100℃で12時間放置する。濾過によって固体を回収する。
200mgの固体を、室温で2時間撹拌しながら10mlのDMFに懸濁させて、孔内に残っている酸を交換する。次いで、濾過によって固体を回収し、その後、真空下、150℃で15時間焼成して、孔内に残っているDMFを除去する。
乾燥構造は、窒素N2を組み込むには孔径が小さすぎるため、この化合物は、77Kで
窒素によりアクセス可能な(20m2/gより大きい)表面を有さない。
光散乱によって計測される粒径は、1マイクロメートル(1ミクロン)超(2032、PDI=0.005)である。
n)MIL−88D 2CH3(Fe)またはFe3O[C126(CH32−(CO22
3・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
270mgのFeCl3・6H2O(1mmol、アルファ・エイサー社(Alfa Aesar)、98%)および268mg(1mmol)のジメチルビフェニル−4,4’−ジカルボン酸(合成Eに従って調製したもの)を、0.25mlの5M HF(エス ディー エス社(SDS)、50%)を加えた5mlのDMF(フルカ社(Fluka)、98%)に分散させる。全体を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflon物体内、150℃で12時間放置する。濾過によって固体を回収し、次いで、真空下、150℃で15時間焼成して、孔内に残っている酸を除去する。
光散乱によって計測される単分散の粒径(PDI=0.005)は、458nmである。
o)MIL−88E(Pyr)(Fe)またはFe3O[C432−(CO223・X
・nH2O(X=F、Cl、OH)
270mgのFeCl3・6H2O(1mmol、アルファ・エイサー社(Alfa Aesar)、98%)および204mg(1mmol)の2,5−ピラジンジカルボン酸(アルドリッチ社(Aldrich)、98%)を、0.05mlの5M HF(エス ディー エス社(SDS)、50%)を加えた5mlのDMF(フルカ社(Fluka)、98%)に分散させる。全体を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflon物体内、100℃で3日間放置する。濾過によって固体を回収する。
光散乱によって計測される粒径は、1マイクロメートル(1ミクロン)超(2μm)である。
p)MIL−88F(チオ)(Fe)またはFe3O[C42S−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
354mgのFe(ClO43・xH2O(1mmol、アルドリッチ社(Aldri
ch)、99%)および258mg(1mmol)のチオフェンジカルボン酸(アルドリッチ社(Aldrich)、99%)を、0.1mlの5M HF(エス ディー エス社(SDS)、50%)を加えた2.5mlのDMF(フルカ社(Fluka)、98%)に分散させる。全体を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflon物体内、100℃で3日間放置する。濾過によって固体を回収する。
200mgの固体を、室温で12時間撹拌しながら100mlの水に懸濁させて、孔内に残っている酸を除去する。次いで、濾過によって固体を回収する。
光散乱によって計測される粒径は、449nmであり、1マイクロメートル(1ミクロン)超の第2の小集合を伴う。
q)MIL−53−2OH(Fe)またはFeO(OH)[C62(OH)2−(CO22]・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
354mgのFe(ClO43・xH2O(1mmol、アルドリッチ社(Aldri
ch)、99%)および297mg(1.5mmol)の1,4−ジヒドロキシテレフタル酸(実施例1において記載されている合成Cに従って調製したもの)を、0.2mlの5M HF(エス ディー エス社(SDS)、50%)および1mlの5M HClO4(アルドリッチ社(Aldrich)、70%)を加えた5mlのDMF(フルカ社(
Fluka)、98%)に分散させる。混合物を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflon物体内、150℃で3日間放置する。濾過によって固体を回収し、次いで、150℃で15時間焼成して、孔内に残っている酸を除去する。
光散乱によって計測される粒径は、1マイクロメートル(1ミクロン)超である。
r)MIL−53−NH2(Fe)またはFeO(OH)[C62−NH2−(CO22]・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
270mgのFeCl3・6H2O(1mmol、アルファ・エイサー社(Alfa Aesar)、98%)および180mg(1mmol)の1,4−アミノテレフタル酸(フルカ社(Fluka)、98%)を10mlの水に分散させる。混合物を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflon物体内、150℃で3日間放置する。濾過によって固体を回収する。
孔内の遊離酸を除去するために、200mgの固体を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflon物体内、15mlの無水エタノールに2日間懸濁させる。濾過によって固体を回収し、2回目の洗浄をする。最後に、濾過によって固体を回収し、150℃で乾燥させる。
光散乱によって計測される粒径は、2つの集合(PDI=0.296)、172nmの主要な集合および728nmの別の小集合を示す。
s)MIL−53−Cl(Fe)またはFeO(OH)[C62 Cl−(CO22]・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
354mgのFe(ClO43・xH2O(1mmol、アルドリッチ社(Aldri
ch)、99%)および200mg(1mmol)の1,4−クロロテレフタル酸(実施例1において記載されている合成に従って調製したもの)を5mlのDMFに分散させる。混合物を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflon物体内、12時間の加熱ランプを用いて、150℃で2日間放置する。濾過によって固体を回収し、次いで、150℃で3日間焼成する。
光散乱によって計測される粒径は、1マイクロメートル(1ミクロン)より大きい。
t)MIL−53−Br(Fe)またはFeO(OH)[C62Br−(CO22]・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
270mgのFeCl3・6H2O(1mmol、アルファ・エイサー社(Alfa Aesar)、98%)および250mg(1mmol)の1,4−ブロモテレフタル酸(フルカ社(Fluka)、95%)を、0.4mlの5M HF(エス ディー エス社(SDS)、50%)を加えた10mlのDMF(フルカ社(Fluka)、98%)に分散させる。混合物を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflon物体内、150℃で12時間放置する。濾過によって固体を回収し、次いで、真空下、150℃で15時間焼成して、孔内に残っている酸を除去する。
光散乱によって計測される粒径は、196nmであり、1マイクロメートル(1ミクロン)超の粒子が極めて少数存在する。
u)MIL−53−2CF3(Fe)またはFeO(OH)[C62(CF32−(CO22]・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
135mgのFeCl3・6H2O(0.5mmol、アルファ・エイサー社(Alfa
Aesar)、98%)および151mg(0.5mmol)の2,5−ジペルフルオロ−1,4−テレフタル酸(実施例1において記載されている合成Bに従って合成したもの)を5mlの水に分散させる。全体を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflon物体内、100℃で16時間放置する。濾過によって固体を回収する。
光散乱によって計測される粒径は、1マイクロメートル(1ミクロン)超である。
v)MIL−53−CH3(Fe)またはFeO(OH)[C63−CH3−(CO22]・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
177mg(0.5mmol、アルドリッチ社(Aldrich)、99%)の過塩素酸鉄および90mg(0.5mmol)の2−メチルテレフタル酸(実施例1において記載されている合成Cに従って調製したもの)および0.05mlのHF(5M)(0.25mmol)を、2.5mlのDMF(フルカ社(Fluka)、98%)に導入する。全体を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflon物体内、150℃で16時間放置する。濾過によって固体を回収し、200℃で72時間焼成して、孔内に残っているDMFを除去する。
光散乱によって計測される粒径は、1マイクロメートル(1ミクロン)超である。
w)MIL−53−2COOH(Fe)またはFeO(OH)[C63−(CO24]・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
354mg(1mmol、アルドリッチ社(Aldrich)、99%)の過塩素酸鉄および254mg(1mmol)の1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸(アルドリッチ社(Aldrich)、99%)を5mlの蒸留水に導入する。全体を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflon物体内、150℃で16時間放置する。濾過によって固体を回収する。
孔内に残っている酸を除去するために、200mgの固体を100mlの蒸留水に終夜懸濁させる。濾過によって固体を回収する。
光散乱によって計測される粒径は、1マイクロメートル(1ミクロン)超である。
実施例4:フルオロ配位子に基づくMOF材料の合成
a)MIL−53(HF)
固体MIL−53(HF)は、0.1mlの5Mフッ化水素酸(プロラボ社(Prolabo)、50%)を加えた5mlのジメチルホルムアミド(DMF;フルカ社(Fluka)、98%)中のFeCl3・6H2O(1mmol;アルファ・エイサー社(Alfa Aesar)、98%)およびテレフタル酸(1mmol;1,4−BDC;アルドリッチ社(Aldrich)、98%)から、全体を「パール社(Paar)のボンベ」型のオートクレーブに150℃で15時間入れて、そのナノ粒子形態で得られた。5000rpmにおける10分間の遠心分離により、固体を回収する。
次いで、200mgの固体を100mlの蒸留水に撹拌しながら15時間懸濁させて、残留溶媒を除去する。5000rpmにおける10分間の遠心分離により、固体を回収する。
最後に、光散乱によって粒径が計測され、625nmである。
b)MIL−100(HF)
固体MIL−100(HF)は、5mlの水および0.1mlの5Mフッ化水素酸(プロラボ社(Prolabo)、50%)中のFeCl3・6H2O(1mmol;アルファ・エイサー社(Alfa Aesar)、98%)およびトリメシン酸エチル(ethyl trimesate)(0.66mmol;1,3,5−BTC;アルドリッチ社(Aldrich)98%)から得られ、全体を「パール社(Paar)のボンベ」型のオートクレーブに130℃で15時間入れる。5000rpmにおける10分間の遠心分離により、固体を回収する。
次いで、200mgの固体を100mlの還流蒸留水に撹拌しながら3時間懸濁させて、残留酸を除去する。次いで、5000rpmにおける10分間の遠心分離により、固体を回収する。
最後に、光散乱によって粒径が計測され、1260nmである。
c)MIL−88Bx4F
固体MIL−88Bx4Fは、10mlの水中のFeCl3・6H2O(1mmol;アルファ・エイサー社(Alfa Aesar)、98%)およびテトラフルオロテレフタル酸(1mmol;4xF−BDC;アルドリッチ社(Aldrich)、98%)から得られ、全体を「パール社(Paar)のボンベ」型のオートクレーブに85℃で15時間入れる。5000rpmにおける10分間の遠心分離により、固体を回収する。
最後に、200mgの固体を100mlの蒸留水に撹拌しながら2時間懸濁させて、残留酸を除去する。次いで、5000rpmにおける10分間の遠心分離により、固体を回
収する。
光散乱によって粒径が計測され、850nmである。
例えば、実施例3(実施例3c:MIL101−2CF3、実施例3F=MIL88B−4F、実施例3L−MIL88B−2CF3、実施例3u=MIL53−2CF3)および実施例7(実施例7d=MIL88B−2CF3、実施例7f=MIL53−2CF3)において記載されている合成を参照することができる。
ハイブリッド固体は、これらの方法により、PET(ポジトロン放射型断層撮影)画像用のF18放射性同位体を使用して合成することもできる。
これらの合成は、ペルフルオロ基で修飾された配位子に基づく。18Fによる修飾には、
−18Fの短い平均半減期
−18Fに基づくフルオロ配位子を合成することの難しさ
−PET画像はたくさんのフッ素を必要としないため、対イオンとして結合する量で十分であること
を鑑みて、好ましくは18Fを用いるイオン交換法が使用される。
d)フッ素−18を有するMOF材料
フッ化物イオンを対アニオンとして含むMOFは、画像においても役立ち得る。
例えば、PET(ポジトロン放射型断層撮影)画像には、その好ましい放射物理的特徴のために、フッ素−18が間違いなく最適な放射性同位体である。PET技術は、生体組織の極めて詳細な画像を得ることを可能にする。フッ素−18放射性同位体(t1/2=110分)はポジトロン放射体であり、放射されるポジトロンは周囲物質の電子によって直ちに消滅し、これが検出される得られたガンマ線である。
フッ素−18は、シンクロトロン線で生成される。よって、F18放射性同位体を用いる多孔質ハイブリッド材料の合成の場合、その平均寿命が極めて短い(110分)ため、導入はシンクロトロン線の近くで行われなくてはならない。
F18を用いて多孔質ハイブリッド固体を得るためには2つの方法が考えられる。
方法1:
ハイブリッド固体は、HF(F18)またはF18フルオロ配位子の存在下、マイクロ波経路を介して合成時間を数分(3〜30分)に減少させて得られる。10000rpmにおける5分間の遠心分離により、ナノ粒子を回収する。
小粒子の多孔質ハイブリッド固体を得るためには、ハイドロ・ソルボサーマル経路を介して極めて短い合成時間を使用することが好ましい。よって、合成時間が30分を超えない場合には、ソルボサーマル経路を介して数個のカルボン酸鉄を合成することもできる。方法2:
ソルボサーマル経路またはマイクロ波経路を介して既に合成し、活性化させた0.1mmolの多孔質ハイブリッド固体ナノ粒子を、1mlのHF(F18)の0.01および0.001M溶液に懸濁させて、15分間撹拌しながら、OHアニオンのフッ素との交換を実施する。10000rpmにおける5分間の遠心分離により、フルオロ固体を回収する。
実施例5:生物活性配位子に基づくMOF材料の合成
生物学的活性を有する配位子の使用は、
−MOF材料の分解による活性化合物の放出
−併用療法用の他の活性分子の封入
について関心が高い。
抗菌活性、ならびにまた生理学的媒質中での分解および細胞に対する活性の試験は、とりわけ4,4’−アゾベンゼンジカルボン酸および3,3’−ジクロロ−4,4’−アゾベンゼンジカルボン酸を使用して、柔構造のMIL−88型の多孔質カルボン酸鉄に対して実施する。
次の合成において、本発明のMOF材料を調製するために、種々の生物活性分子、特に、アゾベンゼン、アゼライン酸およびニコチン酸を使用する。
式C65−N=N−C65のアゾベンゼン(AzBz)は、安定剤としてポリマー・マトリックスに組み込まれ得る。さらに、アゾ分子の剛構造により、アゾベンゼンは多くの材料において液晶メソゲンとして挙動することができる。その上、アゾベンゼンは光異性化(シスまたはトランス異性体)することができ、配位子(例えば薬剤)のタンパク質に対する親和性を光で調節するためのその使用をもたらす。具体的には、アゾベンゼンは、アゾベンゼンのシスまたはトランス異性体によるタンパク質−薬剤結合をさせ、または防止することにより、配位子とタンパク質との間の光スイッチとして作用し得る(該アゾベンゼンの1端は、例えば、標的タンパク質と結合している基によって置換されていてよく、それに対し、他端はタンパク質の配位子(薬剤)と結合している)。
アゼライン酸(HO2C−(CH27−CO2H)は、抗菌、角質溶解およびコメド溶解特性を有する飽和ジカルボン酸である。これは、特に座瘡および酒さの治療において使用される。
ニコチン酸(C54N−CO2H)は、ニコチンアミドを有するビタミンB3の2つの
形態のうちの1つである。ビタミンB3は、炭水化物、脂肪およびタンパク質の代謝に特に必要である。
e)MIL−88G(AzBz)(Fe)またはFe3O[C1282−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
118mgのFe(ClO43・xH2O(0.33mmol、アルドリッチ社(Al
drich)、99%)および90mg(0.33mmol)の4,4’−アゾベンゼンジカルボン酸(アメールニシャら(Ameerunisha et al.),J.Chem.Soc.Perkin Trans.2,1679,1995によって記載されている方法に従って合成したもの)を15mlのDMF(フルカ社(Fluka)、98%)に分散させる。全体を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflon物体内、150℃で3日間放置する。濾過によって固体を回収する。
200mgの固体を、室温で撹拌しながら10mlのDMFに2時間懸濁させて、孔内に残っている酸を交換する。次いで、濾過によって固体を回収し、その後、真空下、150℃で15時間焼成して、孔内に残っているDMFを除去する。
光散乱によって計測される粒径は、1マイクロメートル(1ミクロン)超である。
f)MIL−88G−2Cl(AzBz−2Cl)(Fe)またはFe3O[C1262
Cl2−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
177mgのFe(ClO43・xH2O(0.5mmol、アルドリッチ社(Ald
rich)、99%)および169mg(0.5mmol)のジクロロ−4,4’−アゾベンゼンジカルボン酸(実施例1において記載されている合成Fに従って調製したもの)を15mlのDMF(フルカ社(Fluka)、98%)に分散させる。全体を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflon物体内、150℃で12時間放置する。濾過によって固体を回収する。
200mgの固体を、室温で撹拌しながら10mlのDMFに2時間懸濁させて、孔内
に残っている酸を交換する。次いで、濾過によって固体を回収し、その後、真空下、150℃で15時間焼成して、孔内に残っているDMFを除去する。
光散乱によって計測される粒径は、1マイクロメートル(1ミクロン)超である。
g)鉄アゾベンゼン−3,3’,5,5’−テトラカルボン酸1
118mgのFe(ClO43・xH2O(0.3mmol、アルドリッチ社(Ald
rich)、99%)および119mg(0.3mmol)の3,3’,5,5’−アゾベンゼンテトラカルボン酸(実施例1において記載されている合成Gに従って調製したもの)を、0.1mlの5M HF(エス ディー エス社(SDS)、50%)を加えた15mlのDMF(フルカ社(Fluka)、98%)に分散させる。全体を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflon物体内、150℃で3日間放置する。濾過によって固体を回収し、アセトンで洗浄する。
得られた固体は硬質の立方構造を有する。
光散乱によって計測される粒径は、1マイクロメートル(1ミクロン)超である。
h)鉄アゾベンゼン−3,3’,5,5’−テトラカルボン酸2
118mgのFe(ClO43・xH2O(0.3mmol、アルドリッチ社(Ald
rich)、99%)および119mg(0.3mmol)の3,3’,5,5’−アゾベンゼンテトラカルボン酸(実施例1において記載されている合成Gに従って調製したもの)を、0.1mlの5M HF(エス ディー エス社(SDS)、50%)を加えた15mlの蒸留水に分散させる。全体を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflon物体内、150℃で3日間放置する。濾過によって固体を回収し、アセトンで洗浄する。
光散乱によって計測される粒径は、498nmであり、1100nmの第2の小集合を伴う。
i)アゼライン酸鉄1
270mgのFeCl3・6H2O(1mmol、アルドリッチ社(Aldrich)、99%)および188mg(1mmol)のアゼライン酸(アルドリッチ社(Aldrich)、99%)を5mlの蒸留水に分散させる。全体を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflon物体内、100℃で3日間放置する。濾過によって固体を回収し、アセトンで洗浄する。
200mgの固体を、50mlの無水エタノールに撹拌しながら5時間懸濁させて、固体を活性化させる。濾過によって固体を回収する。
光散乱によって計測される粒径は、1マイクロメートル(1ミクロン)超(1500nm)である。
j)ニコチン酸鉄1
水中での合成条件は次の通りである。
135mgのFeCl3・6H2O(1mmol、アルドリッチ社(Aldrich)、99%)および62mg(1mmol)のニコチン酸(アルドリッチ社(Aldrich)、99%)を、0.1mlの2M NaOHを加えた5mlの蒸留水に分散させる。全体を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflon物体内、100℃で16時間放置する。濾過によって固体を回収し、アセトンで洗浄する。
DMF中での合成条件は次の通りである。
135mgのFeCl3・6H2O(1mmol、アルドリッチ社(Aldrich)、99%)および62mg(1mmol)のニコチン酸(アルドリッチ社(Aldrich)、99%)を5mlのDMF(フルカ社(Fluka)、98%)に分散させる。全体
を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflon物体内、100℃で16時間放置する。濾過によって固体を回収し、アセトンで洗浄する。
光散乱によって計測される単分散の粒径(PDI=0.241)は、662nmである。
III.ナノ粒子を調製するための調節可能プロセス
実施例6:粒径の制御、様々なパラメータの影響
この例において、粒径の制御は、合成中に下記のパラメーターの1つまたは複数を変えることによって得ることができる。
−合成時間
−pH
−添加物(酢酸等の種類の1酸)の添加
−撹拌
−溶媒の性質
−マイクロ波合成
−超音波処理合成。
合成後、ナノ粒子を溶媒で洗浄し、遠心分離によって回収し、真空下、空気中または制御雰囲気下で、任意選択で加熱しながら乾燥させる。
次いで、相の構造および組成の決定を可能にする技術:X線、赤外分光法、X線熱回折、熱重量分析、元素分析、電子顕微鏡法、ゼータ電位の計測および粒径の計測の組合せにより、ナノ粒子を分析する。
−X線粉末図形は、0.02°の間隔および連続モードで4秒の計数時間を使用して、典型的には5と30°(2θ)との間の従来の高分解能X線回折計(θ−2θ)D5000
Siemens X’Pert MDP(λCu、Kα1、Kα2)で収集する。
−X線熱回折法は、空気中、θ−θモードのSiemens D−5000X線回折計において実施する。
−比表面積計測は、N2をガスとして使用する(BJH形式の多孔率算出)Microm
eritics ASAP2010吸着機を用いて得られる。
−赤外スペクトルは、Nicolet−Magma IR550分光計を用いて取得する。
−熱重量分析は、TA2050ブランド機を、25〜600℃の間で、2℃/分の加熱速度で用いて実施する。
−粒径およびゼータ電位計測は、マルバーン社(Malvern)Zetasizer NanoシリーズのNano−ZS機;Zen3600モデル;製造番号500180[英国(UK)所在]を用いて行う。
−走査電子顕微鏡法は、超高分解能200kVトプコンEM002B機(株式会社アカシ(Akashi))を用いて実施した。
a)合成時間の影響、MIL−53(Fe)ナノ粒子の合成への適用
5mlのジメチルホルムアミド(DMF;フルカ社(Fluka)、98%)中の、FeCl3・6H2O(1mmol;アルファ・エイサー社(Alfa Aesar)、98%)の溶液、テレフタル酸(1mmol;1,4−BDC;アルドリッチ社(Aldrich)、98%)の混合物を、12時間の加熱ランプを用いて、150℃の温度で72時間、オートクレーブに入れたTeflon挿入物に入れ、室温に24時間冷却する。反応後、沈殿物を濾過除去し、脱イオン水で洗浄する。固体MIL−53(Fe)は、サイズが数百マイクロメートル(数百ミクロン)の結晶の形態で得られる。
合成時間を(加熱ランプも冷却もなしに)短縮すると、例えば、150℃における4時間の合成では335nmのサイズを有する、より小さい粒径(表6)となる。次に、固体
の孔から溶媒を除去するために、典型的には200mgの固体を100mlの脱イオン水に撹拌しながら終夜分散させ、続いて、(粒径に応じて)濾過または遠心分離を行う。
以下の表6は、得られたナノ粒子のサイズをまとめたものである。この表は、短い合成時間が小粒子の存在を促進することを示す。
b)pHの影響、MIL−89(Fe)ナノ粒子の合成への適用
酢酸鉄(III)(1mmol;上記した合成Aに従って合成したもの)を、撹拌しながら、メタノール媒質(5ml;アルドリッチ社(Aldrich)、99.9%)またはエタノール媒質(5ml;リーデル・デ・ヘーン社(Riedel−de Haen)、99.8%)中のムコン酸(1mmol;フルカ社(Fluka)、97%)と混合する。全体を、2mol/lの水酸化ナトリウム水溶液(アルファ・エイサー社(Alfa
Aesar)、98%)0.25mlの存在下、撹拌することなく100℃で12時間維持して、より小さい粒径を得る。
以下の表7は、塩基の添加などの関数として得られたナノ粒子のサイズをまとめたものであり、塩基の添加が小粒子の存在を促進することを示す。
よって、pHの上昇はカルボン酸配位子のより容易な脱プロトン化を引き起こし、これにより反応速度が加速する。
c)添加物の添加の影響、MIL−88A(Fe)ナノ粒子の合成への適用
MIL−88Aフマル酸鉄は、270mgのFeCl3・6H2O(1mmol;アルファ・エイサー社(Alfa Aesar)、98%)から得られ、15mlのエタノール(リーデル・デ・ヘーン社(Riedel de Haen)、99.8%)に導入された112mgのフマル酸(1mmol;アクロス社(Acros)、99%)および不定量の酢酸(アルドリッチ社(Aldrich)、99.7%)を添加する。次いで、溶液を65℃で2または4時間加熱する。
これらの結果は、モノカルボン酸の添加が結晶成長を減速させ、それによって、より小さいサイズのナノ粒子が得られることを明確に示す。反応における任意の時点で酢酸を添加してもよい。
d)撹拌の影響
撹拌の影響は、化合物MIL−88Aの合成中に研究した。
化合物MIL−88Aのナノ粒子を調製するために使用される方法は、1mmolの塩化鉄(III)6水和物(270mg)および1mmolのフマル酸(112mg)を4.8mlのDMFに導入すること、ならびに0.4mlの2M NaOH溶液を添加することである。全体を、撹拌しながらまたは撹拌することなく、150℃で2時間加熱する。
電子顕微鏡法は、図11によって示される通り、撹拌しない場合に得られる粒子が、撹拌して得られた形態と異なる形態を有することを示す。よって、撹拌は、粒径の減少を引き起こすだけでなく、形態も変化させ、このことは固体の毒性に影響を与え得る。
e)溶媒の影響、MIL−88A(Fe)ナノ粒子の合成への適用
固体MIL−88Aの合成は、一方では水中、他方ではメタノール中で実施した。15mlの溶媒(メタノールまたは脱イオン水)中の、塩化鉄(1mmol)、フマル酸(1mmol)を含有する混合物を、共溶媒として使用される不定量の酢酸と接触させて、撹拌することなく65℃で2または4時間置く。得られた粒径を表9に列挙する。
水中で得られるMIL−88A粒子は、メタノール中で得られるMIL−88A粒子よ
りも小さい。よって、合成中に使用される溶媒の性質は、粒径に強い影響を及ぼす。
実施例6B:MIL−88A粒子のサイズの制御、4つのパラメーター:温度、反応時間、試薬の濃度およびモノカルボキシル化合物の添加の影響
a)モノカルボキシル添加物を用いないフマル酸鉄の合成
フマル酸鉄6水和物(FeCl3・6H2O、1mmol;アルファ・エイサー社(Alfa Aesar)、98%)およびフマル酸(1mmol;アクロス社(Acros)、99%)の5mlの水溶液を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflon物体に入れる。全体を、オートクレーブに、65、100または150℃の温度で、30分〜3日の範囲の時間入れる。次に、得られた沈殿物を、5000rpmにおける10分間の遠心分離により回収する。これをオーブン中100℃で乾燥させ、秤量して、合成収率を決定する。粒子直径は、準弾性光散乱法によって決定される。X線回折図形は、先に記載した通りに得られる。
本発明者らは、i)良好な結晶化(+++)、ii)1000nm未満の直径(ナノ粒子)、iii)十分な収率(25wt%超)およびiv)酸化鉄がないことを同時に得るための最適動作条件(温度、反応時間)を見い出そうとした。
以下の表は、種々の合成中に得られた結果をまとめたものである。収率は、25wt%未満である場合には不十分と見なされる。結晶化がないことは−、良好な結晶化は+++、不十分な結晶化は+または++によって示される。
65℃で条件i〜ivを得るためには、反応を少なくとも16時間続けるべきであり、それに対し、100℃では6時間の反応で十分であるが、直径はより大きくなる(500〜800nm)。150℃では、結晶骨格の形成を損ねる酸化鉄の形成が反応の2時間以内に起こるため、必要条件i〜ivのすべてを組み合わせることは不可能である。
最も微細な粒子(300〜600nm)の生成を可能にする最良の結果は、65℃、16時間の反応時間で得られた。
b)超音波処理によるフマル酸鉄(MIL88A)の合成
MIL−88Aナノ粒子は、水中で、フマル酸(C444、アクロス社(Acros
)、99%)および塩化鉄(III)6水和物(FeCl3・6H2O、アクロス社(Acros)、97%)を使用して反応時間を(30〜120分の間で)変更することにより、0℃における超音波処理によって合成した。
2つの固体試薬を、精密天秤上で別々に検量し、次いで、溶媒(水)を、固体のそれぞれについて添加する:200mlフラスコ中の5.4gのFeCl3+蒸留水および20
0mlフラスコ中の2.32gのフマル酸+蒸留水。
このようにして、塩化鉄(III)およびフマル酸のそれぞれ濃度27mg/mlおよび11.6mg/mlの2つの溶液が得られる。フマル酸溶液を約120分間撹拌しなが
ら70℃にして、生成物を溶解する。磁気撹拌器を使用して、塩化鉄を30分間添加する。
5mlずつの溶液を20mlのガラスフラスコ(バイアル)中で混合する。バイアルを、0℃の音波処理浴(ラボ・モデルヌ社(Labo−moderne)TK52H製造番号:164046192 Sonoclean)内に、同時に30〜120分間置く。
得られた粒子のサイズ(光散乱(ナノサイザー)によって計測したもの)は、超音波処理時間にかかわらず、1マイクロメートル(1ミクロン)を超えていた。
今度は、合成の終わり(音波処理浴からの除去に相当)の15分前に30μlの酢酸を添加して、第2の試験を実施した。粒子直径は、30分の合成後、約500nmであり、60分後、約800nmであり、次いで、90分の合成後、1マイクロメートル(1ミクロン)を超えていた。
酢酸(1酸)の添加は、鉄を配位するため、結晶成長の停止を引き起こし、鉄は別の鉄原子と結合することができない(第2のCOOHのため)。このように、酢酸は、より小さいナノ粒子の生成を可能にする。
なお一層微細な粒子を得ることを目的として、フマル酸および塩化鉄溶液の濃度を減少させ、他の条件は同じで、第3の試験を実施した。
濃度を2分の1に減少させることにより、添加物(酢酸)の不在下で、直径は1マイクロメートル(1ミクロン)より大きいままであった。しかしながら、濃度を10分の1に減少させると、30分の合成時間で約200nmのナノ粒子を得ることができた。
反応温度を上昇させることは、粒子のサイズの増大をもたらすことに留意すべきである。例えば、濃度を10分の1に低下させた場合、添加物の不在下で、0℃の代わりに20℃で合成を30分間行うと、直径は200nmから240nmに増大する。いずれの場合も、合成時間の増大は粒径の増大につながる。
よって、粒子のサイズを減少させることを可能にする最適動作条件(濃度、反応温度、反応時間、添加物の存在)がある。これらの粒子は、1マイクロメートル(1ミクロン)より、またはさらに約200nmよりも小さい(静脈内投与に適している)場合がある。
これらの最適動作条件は、本発明のすべてのMOF固体に対し、経験的に決定され得る。
PEGをナノ粒子の表面上に移植するために、これらの最適合成条件(0℃、試薬の極希釈溶液から出発)を使用した。
C)ペグ化MIL−88Aナノ粒子の調製
このように、ペグ化MIL−88Aナノ粒子(PEGで表面修飾されたもの)は、フマル酸(C444、アクロス社(Acros)、99%)および塩化鉄(III)6水和
物(FeCl3・6H2O、アクロス社(Acros)、97%)から出発し、水中で、0℃の超音波処理によって合成した。
2つの固体試薬を、精密天秤上で別々に検量し、次いで、溶媒(水)を、固体のそれぞれについて添加する:200mlフラスコ中の0.54gのFeCl3+蒸留水および2
00mlフラスコ中の0.232gのフマル酸+蒸留水。このようにして、塩化鉄(III)およびフマル酸のそれぞれ濃度2.7mg/mlおよび1.16mg/mlの2つの溶液が得られる。フマル酸溶液を約120分間撹拌しながら70℃に維持して、生成物を溶解する。磁気撹拌器を使用して、塩化鉄を30分間撹拌する。
5mlずつの溶液を20mlのガラスフラスコ(バイアル)中で混合する。バイアルを、音波処理浴(ラボ・モデルヌ社(Labo−moderne)TK52H製造番号:164046192 Sonoclean)内に同時に置く。30分後、5mgのモノメトキシポリ(エチレングリコール)1酸(MeO−PEG−COOH、シグマ社(Sigma)、モル質量5000g/mol)を添加する。超音波処理下でさらに90分間、反応を続けさせる。
ナノ粒子の直径(光散乱によって計測したもの)は230nmであり、製造収率は50%(重量で)であった。この例において、1酸MeO−PEG−COOHの添加も、鉄を配位するため、結晶成長の停止を引き起こし、鉄は別の鉄原子と結合することができない(第2のCOOHのため)。このように、MeO−PEG−COOHは、より小さいナノ粒子の生成を可能にする。
実施例7:マイクロ波経路を介してMOF材料を合成する方法
多孔質ハイブリッド固体ナノ粒子を合成するための別の考えられる経路は、マイクロ波エネルギーを使用する。これは、ナノ粒子サイズを制御し、単分散のナノ粒子を得ることを可能にする。このように、最近、本発明者らは、韓国人のグループと共同で、サンファ
チョンら(Sung Hwa Jhung,et al.),Adv.Mater(2006),19(1),121−124[32]において記載されている通り、MIL−101(Cr)カルボン酸クロムのマイクロ波合成を開発した。この合成は、極めて短い合成時間(1〜60分)で、サイズ40〜90nmの間のナノ粒子の生成を可能にした(図12)。
使用する合成法は次の通りである:400mgの硝酸クロム水和物(アルドリッチ社(Aldrich)、99%)、166mgのテレフタル酸(アルファ・エイサー社(Alfa Aesar)、98%)、0.2mlの水中5mol/lのHF溶液、および4.8mlの脱イオン水を一緒に混合し、Teflonオートクレーブに導入する。全体をマイクロ波オーブン(Mars−5)に入れ、2分かけて210℃に上昇させ、次いで、この温度で1〜60分間維持する。次いで、得られた混合物を初回は多孔率100μmの濾紙で濾過して、再結晶したテレフタル酸を除去する。酸が濾紙上に残り、MIL−101固体はフィルターを通過する。濾液を回収し、40μmフィルター上での濾過によってMIL−101固体を回収する。第2段階において、95%エタノール中、100℃で20時間のソルボサーマル処理を行う。最終固体を冷却し、濾過除去し、脱イオン水で洗浄し、次いで、空気中150℃で乾燥させる。
a)MIL−100(Fe)またはFe3O[C63−(CO232・X・nH2O(X
=F、Cl、OH)
フッ素を用いないマイクロ波合成の条件は次の通りである:
9.7gのFe(NO33・9H2O(24mmol、アルドリッチ社(Aldric
h)、98%)、3.38mg(16mmol)の1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(1,3,5−BTC;アルドリッチ社(Aldrich)、99%)を、40mlの蒸留水に分散させる。全体を、Teflon物体内に180℃で30分間(電力600W)放置する。10000rpmにおける10分間の遠心分離により、固体を回収する。
200mgの固体を、100mlの蒸留水に還流撹拌しながら3時間懸濁させて、孔内に残っている酸を除去する。次いで、10000rpmにおける10分間の遠心分離により、固体を回収する。
光散乱によって計測される単分散の粒径は、400nmである。
b)MIL−101(Fe)−NH2またはFe3O[NH2−C63−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
マイクロ波合成条件は次の通りである:
135mg(0.5mmol)のFeCl3・6H2Oおよび90mgのアミノ−1,4−ベンゼンジカルボン酸(0.5mmol、NH2−1,4−BDC、アルドリッチ社(
Aldrich)、99%)を、0.25mlの1M HCl(アルドリッチ社(Aldrich)、35%;滴下添加)を加えた25mlの蒸留水に分散させる。全体を、Teflon物体内に、40秒の加熱ランプを用いて、60℃で5分間(電力400W)放置する。10000rpmにおける10分間の遠心分離により、暗褐色固体を回収する。消費されなかった酸を除去するために、化合物を無水エタノールで洗浄し、次いで、再度遠心分離する。
分解を回避するために、化合物を湿性に保つ。
光散乱によって計測される単分散の粒径(PDI=0.005)は、271nmである。
ラングミュア表面積=2042.7091m2/g。
c)MIL−88B−NH2(Fe)またはFe3O[NH2−C63−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
マイクロ波合成条件は次の通りである:
405mg(1.5mmol)のFeCl3・6H2Oおよび534mgのアミノ−1,4−ベンゼンジカルボン酸(3mmol、NH2−1,4−BDC、アルドリッチ社(A
ldrich)、99%)を25mlの無水エタノール(アルドリッチ社(Aldrich))に分散させる。全体を、Teflon物体内に、40秒の加熱ランプを用いて、100℃で5分間(電力800W)放置する。10000rpmにおける10分間の遠心分離により、暗褐色固体を回収する。消費されなかった酸を除去するために、化合物を無水エタノールで洗浄し、次いで、再度遠心分離する。
光散乱によって計測される単分散の粒径(PDI=0.069)は、106nmである。
d)MIL−88B−2CF3(Fe)またはFe3O[(CF32−C62−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
マイクロ波合成条件は次の通りである:675mg(2.5mmol)のFeCl3
6H2O、755mgの2,5−ビス(トリフルオロメチル)テレフタル酸(2.5mm
ol、実施例1の合成B)を、25mlの無水エタノール(アルドリッチ社(Aldrich))に分散させる。混合物を、Teflon物体内に、30秒の加熱ランプを用いて、100℃で5分間(電力400W)放置する。10000rpmにおける10分間の遠心分離により、固体を回収する。
次いで固体を、真空下、200℃で15時間焼成する。
光散乱によって計測される単分散の粒径(PDI=0.209)は、78nmである。e)MIL−88B−NO2(Fe)またはFe3O[NO2−C63−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
マイクロ波合成条件は次の通りである:1.35mg(10mmol)のFeCl3
6H2Oおよび1.055mgのニトロテレフタル酸(10mmol、アルドリッチ社(
Aldrich)、98%)を25mlの蒸留水に分散させる。全体を、Teflon物体内、90秒の加熱ランプを用いて、100℃で5分間(電力400W)放置する。10000rpmにおける10分間の遠心分離により、固体を回収する。
光散乱によって計測される単分散の粒径(PDI=0.005)は、408nmである。
f)MIL−53−2CF3(Fe)またはFeO(OH)[C62−(CF32−(C
22]・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
マイクロ波合成条件は次の通りである:675mg(2.5mmol)のFeCl3
6H2Oおよび755mgの2,5−ビス(トリフルオロメチル)テレフタル酸(2.5
mmol、合成B)を25mlの蒸留水に分散させる。全体を、Teflon物体内、90秒の加熱ランプを用いて、100℃で20分間(電力400W)放置する。10000rpmにおける10分間の遠心分離により、淡黄色固体を回収する。次いで、化合物を、真空下、250℃で15時間焼成する。
光散乱によって計測される粒径(PDI=0.245)は、330nmである。
g)MIL−88A(Fe)またはFe3O[(C42−(CO223・X・nH2O(
X=F、Cl、OH)
マイクロ波合成条件は次の通りである:270mg(1mmol)のFeCl3・6H2O、116mgのフマル酸(1.0mmol、アクロス社(Acros)、99%)を、30mlの蒸留水に分散させる。全体を、Teflon物体内、1分の加熱ランプを用いて、100℃で2分間(電力1600W)放置する。
10000rpmにおける10分間の遠心分離により、固体を回収する。
200mgの生成物を100mlの蒸留水に懸濁させて、残っているフマル酸を交換する。10000rpmにおける10分間の遠心分離により、水和固体を回収する。
光散乱によって計測される単分散の粒径は、120nmである。
実施例8:超音波処理経路を介してMOF材料を合成する方法
固体MIL−88Aは、超音波処理経路を介し、0℃においていくつかの異なる反応時間(30、60、90および120分)で合成される。
合成は、フマル酸および塩化鉄(III)6水和物から出発して水中で実施する。2つの固体試薬を検量し、以下の表に示されている割合で別々に水に溶解する。フマル酸溶液を120分間撹拌しながら70℃に維持して、生成物を溶解する。磁気撹拌器を使用して、塩化鉄を30分間撹拌する。
上記2つの溶液を5mlずつ20mlフラスコに添加する。合計8つのフラスコを調製する:
−反応が4つの合成時間:30、60、90および120分間実施される4つのフラスコ、
−継続時間30、60、90および120分の合成のそれぞれの終わり(超音波処理浴からの除去に相当する合成の終わり)の15分前に酢酸(30μl)が添加される4つのフラスコ。1酸(酢酸)の添加は、(ジカルボン酸であるフマル酸とは対照的に)2個の鉄原子が結合しないようにするため、結晶成長の停止を生じさせる。このように、酢酸は、より小さいナノ粒子およびこれらの粒子のより安定な懸濁液の生成を可能にする(大きい粒子の沈降および粒子凝集を回避する)。
8つのフラスコを、0℃の音波処理浴内に、同時に対応する時間t(30、60、90および120分)置く。
合成後、動的光散乱機(DLS、ナノサイザー)を使用する光散乱によって粒径を測定するために、各フラスコから0.1mlの容積の溶液を取り出す。次いで、形成された固体から上清を分離するために、残りの溶液を10000rpmにおいて0℃で15分間遠心分離する。パスツール・ピペットを使用して上清を除去し、回収されたペレットを室温のドラフトチャンバーに入れる。
使用した装置:
−音波処理浴:ラボ・モデルヌ社(Labo−moderne)TK52H製造番号:164046192 Sonoclean
−遠心分離機:ジョアン社(Jouan)MR1812
−ナノサイザー:Coulter N4プラスUSA;マルバーン社(Malvern)
粒径(P、nmで)における変化を時間(t、分で)の関数として図28に表す。フマル酸の存在下における粒径の低下を観察することが可能である。
酢酸の添加は、結晶化度の減少を生じさせ、これは短い時間でより顕著である。しかしながら、MIL−88A相の特徴的な反射を区別することが可能である。これらの反射は、晶子のナノメートルサイズの結果として極めて広い。
より長い合成時間では、酢酸を用いない合成とこの1酸の存在下で実施される合成との間で、結晶化度の有意差はない。
IV.得られたナノ粒子の特徴および特性
実施例9:カルボン酸鉄の分析および結晶学的データ
a)相MIL−53(Fe)またはFe(OH)[O2C−C64−CO2]・H2
合成条件は次の通りである:
0.27g(1mmol)のFeCl3・6H2Oおよび166mg(1mmol)の1,4−ベンゼンジカルボン酸(1,4−BDC)を5mlのジメチルホルムアミド(DMF)に分散させ、全体を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflon物体内、150℃で12時間放置する。次いで、固体を濾過除去し、アセトンで洗浄する。
その乾燥形態(乾燥、孔が空)、水和形態(H2O、孔内に水)、粗合成生成物(粗製
、孔内にDMF)の、およびブスルファンを含有する(形態Bu1およびBu2)、異なる形態の軟質の相MIL−53(Fe)のメッシュ・パラメーター:
図18および図19は、それぞれ、固体MIL−53の種々の形態のX線回折図形および水和化合物MIL−53(Fe)の熱重量分析を表す。
固体鉄MIL−53は、乾燥形態では孔構造が閉じている(真空による窒素の吸着)ため、20m2/gよりも大きい比表面積を有さない。
b)相MIL−88AまたはFe3O[O2C−C22−CO23・X・nH2O(X=F
、Cl、OH)
合成条件は次の通りである:
0.27g(1mmol)のFeCl3・5H2Oおよび116mg(1mmol)のフマル酸を5mlの水に分散させる。全体を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflon物体内、100℃で12時間放置する。次いで、固体を濾過除去し、アセトンで洗浄する。
図20は、乾燥および水和固体MIL−88AのX線回折図形を表す。
図21は、水和化合物MIL−88Aの熱重量分析を表す。
この化合物は、乾燥構造が多孔質ではないため、77Kで窒素によりアクセス可能な(20m2/gより大きい)表面を有さない。
c)MIL−100(Fe)またはFe3O[C63−(CO232・X・nH2O(X
=F、Cl、OH)
メッシュ・パラメーターは、a=7.31ナノメートル(73.1オングストローム)およびV=393立方ナノメートル(393000立方オングストローム)、空間群Fd−3m(227番)である。
図22は、固体MIL−100(Fe)のX線回折図形を表す。
この固体の比表面積(ラングミュア)は、ほぼ2900m2.g-1である。図23は、
固体MIL−100の77Kでの窒素吸着等温線(Po=101325パスカル(1気圧))を表す。
図24は、水和化合物MIL−100(Fe)(加熱速度5℃/分)の(空気中)熱重量分析を表す。
d)相MIL−101(Fe)またはFe3O[C64−(CO223・X・nH2O(
X=F、Cl、OH)
合成条件は次の通りである:
0.27g(1mmol)のFeCl3・5H2Oおよび249mg(1.5mmol)の1,4−BDC酸を10mlのDMFに分散させ、全体を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflon物体内、100℃で12時間放置する。次いで、固体を濾過除去し、アセトンで洗浄する。
298Kにおける固体MIL−101(Fe)のメッシュ・パラメーター:a=8.90ナノメートル(89.0オングストローム)およびV=707立方ナノメートル(707000立方オングストローム)、空間群Fd−3m(227番)。
図25は、固体MIL−101(Fe)のX線回折図形(λCu=0.15406ナノメートル(1.5406オングストローム))を表す。
孔の排出条件の最適化は進行中であるため、比表面積計測は利用できない。
図26は、水和化合物MIL−101(Fe)の(空気中)熱重量分析(加熱速度5℃/分)を表す。
乾燥固体(X=F)の理論上の組成は次の通りである:Fe24.2%、C41.4%、F2.7%、H1.7%。
実施例10:固体の柔軟性の実証
ここでは、2種類の軟質の固体が関係する。第1に、MIL−53およびMIL−69として知られる、それぞれ式Fe(OH)[O2C−C64−CO2]およびFe(OH)[O2C−C106−CO2]の多孔質のカルボン酸金属は、シー セールら(C.Ser
re et al.)J.Am.Chem.Soc.,2002,124,13519[26]およびティー ロワゾーら(T.Loiseau et al.)C.R.Acad.Sci.,2005,8,765[27]において記載されている通り、ジカルボン酸官能基を介して結合している8面体鎖から形成され、1次元の多孔質骨格となる。室温では、固体は水和され、孔は閉じており、これらの材料に有機溶媒が含浸されると、孔が開き、実質的な多孔率(約0.8〜1.2ナノメートル(8〜12オングストローム))が利用可能になる。水和形態と膨張形態との間のメッシュ体積の変動は、40%〜110%の間の範囲である。
添付の図7に表されているように、この現象は完全に可逆である。孔の開口はまた、溶媒の性質によって決まる(図7)。これは、吸着物のサイズに対する構造の幾何学的適合だけでなく、吸着分子と骨格との間の相互作用の最適化も反映している。
第2の部類の軟質のハイブリッド固体は、MIL−88として知られている。これらの化合物は、8面体鉄3量体、すなわち、中心の酸素および鉄原子を対で結合している6個のカルボン酸官能基によって結合された3個の鉄原子から構築され、各鉄原子に配位された末端の水分子は、次いで、金属の8面体配位を完成させる。次いで、これらの3量体は、シー セールら(C.Serre et al.),Angew.Chem.Int.Ed.2004,43,6286[28]およびシー セールら(C.Serre et
al.),Chem.Comm.2006,284−286[29]において記載されている通り、脂肪族または芳香族ジカルボン酸によって一緒に結合して、固体MIL−88A、B、C、DおよびMIL−89形態(−Aはフマル酸の場合、−Bはテレフタル酸の場合、−Cは2,6−ナフタレンジカルボン酸の場合、−Dは4,4’−ビフェニルジカルボン酸の場合、およびMIL−89はトランス,トランス−ムコン酸の場合)を形成する。
X線回折によるこれらの固体の挙動の研究により、これらの化合物が柔軟であり、その乾燥形態とその溶媒和形態との間ではかなりの「呼吸」振幅があることを証明することができた。これは、シー セールら(C.Serre et al.),Science,2007,315,1828[30]において記載されている通り、有機スペーサーの性質に応じて、85%〜230%の間のメッシュ体積変動をもたらす(図8)。本発明者らは、乾燥形態は使用されるカルボン酸配位子にかかわらずある程度同一の孔(トンネル)サイズを有する多孔質ではないことに留意した。他方で、液相におけるハイブリッド固体の膨張は、有機スペーサーの長さによって決まる。よって、膨張形態における3量体間の距離は、フマル酸を用いる(MIL−88A)1.38ナノメートル(13.8オングストローム)からビフェニル配位子を用いる(MIL−88D)2.05ナノメートル(20.5オングストローム)となる。よって、膨張形態の孔径は、0.7ナノメートル(7オングストローム)(MIL−88A)〜1.6ナノメートル(16オングストローム)(MIL−88D)の間の範囲である。膨張は、図9において水の存在下における固体MIL−88Aの例によって示されている通り可逆であり、また、シー セールら(C.Serre et al.)J.Am.Chem.Soc.,2005,127,16273−16278[31]において記載されている通り、使用される溶媒の性質によって決まる。呼吸は、呼吸中に明らかな結合の切断をせずに、継続的に行われる。その上、室温に戻すと、分解によって固体は再度膨張し、呼吸の可逆的性質を裏付けている。
この柔軟性をどのように説明できるだろうか。まず、固体MIL−53およびMIL−
69の場合、これらの固体はジカルボン酸架橋を介して結合している8面体鎖から形成されており(図10a)、金属中心に結合しているカルボン酸官能基と無機鎖の軸との間の角度の検査が極めて意義深い。カルボン酸配位子が呼吸中に平坦なままである場合、配位子は鎖の軸の周囲を数度旋回し、それにより、構造にその孔の開口を変えさせる。すべては、カルボン酸官能基の軸O−Oが、芳香環の周囲におけるカルボン酸のC−C結合の回転とともに球体関節として作用し、収縮による拘束を緩和させたかのごとく行われる。化合物MIL−88およびMIL−89に関しては状況が異なる(図10aおよびc)。具体的には、本発明者らが構造の構成要素である3量体間の配列を注意深く見た場合、各3量体は、下3個、上3個の6個の他の3量体とジカルボン酸を介して結合しており、これは、3量体の両錐ケージの形成につながる。これらのケージ内で、3量体間の結合は、軸cに沿ってのみ為され、面(ab)内にいかなる結合もないことが、柔軟性の原因である。具体的には、溶媒が材料に挿入されると、ケージは変形し、3量体の軸cに沿った接近ならびに方向aおよびbへの距離の広がりが伴い、これがケージの容積の全体的増加を引き起こす(図10)。最終的には、これらのハイブリッド固体の柔軟性は注目に値するものとなるが、いくつかのポリマーの柔軟性に匹敵する。主な差異は、ハイブリッド固体、無定形であるポリマーの結晶化度に関するものである。最後に、ポリマーとは対照的に、ハイブリッド固体においては膨張が異方的に行われる。
実施例11:本発明のカルボン酸鉄(III)の緩和能計測
この例において、緩和能は、フマル酸鉄(III)FeTCF MIL−88Aについて計測する。
a)フマル酸鉄(III)の調製
4.8mlのジメチルホルムアミド(DMF)および0.4mlの2M NaOH中の塩化鉄(1mmol)およびフマル酸(1mmol)の溶液を、Teflon容器内に金属物体とともに入れ、150℃で2時間加熱する。次いで、金属ボンベを水中で直ちに冷却する。得られた固体を、10000rpmにおける10分間の遠心分離により回収する。孔内に残っている溶媒を除去するために、200mgの固体を100mlの水に撹拌しながら終夜懸濁させ、次いで、遠心分離(10000rpmで10分間)により回収する。210nmのナノ粒子が得られる。
b)ナノ粒子の緩和能の計測
59mg/mlのナノ粒子濃度を得るために、サイズ210nmのフマル酸鉄(III)粒子FeTCF MIL−88Aを、5重量%のグルコースを含有する水に分散させる。
垂直磁気分光計(ブルカー社(Bruker))を使用して、粒子のない媒質の緩和時間Ti(i=1.2)および鉄濃度(mMで)の関数としての緩和時間Ticを計測することにより、緩和能r1およびr2を9.4Tで評価した。
20℃において:
−横緩和能r2は8.6mM.s-1である。
−縦緩和能r1は0.12mM.s-1である。
c)MIL−88Aナノ粒子のインビボ画像
磁気共鳴画像(MRI)実験は、Paravision(登録商標:ブルカー社(Bruker)、[ドイツ(Germany)所在])によって誘導され、勾配系(360mT/m)が装備された7Tホウ素水平磁石(オックスフォード大学(Oxford)[英国(UK)所在])を使用して、300MHzで実施した。
雌ウィスター系ラットに、200mg/kgの用量のMIL−88A(Fe)ナノ粒子(その合成については先に記載した)を注射した。
各ラットを、注射の30分後にイソフルランの過量摂取によって屠殺し、次いで、直径60mmのループギャップコイルが装備されたプローブに導入した。迅速な空間的位置決
め後、一連のプロトン密度強調画像を各動物について収集する:RARE系列[TR/TE=1781.21/8.8ms;レア・ファクター(rare factor)=4;4つの平均;1mmの連続スライス39枚;FOV70×70mm;取得マトリックス384×384;再構築マトリックス512×512;面における解像度136m×136m;実験時間8分32秒]およびFLASH系列[TR/TE=564.4/6.7ms;2つの平均;1mmの連続スライス39枚;FOV70×70mm;取得マトリックス384×384;再構築マトリックス512×512;面における解像度136m×136m;実験時間7分13秒]。
4枚のスライスを各関心領域(肝臓および脾臓)において分析した。さらに、各臓器について、RIの平均値を算出し、背部筋肉に対応する領域に対して正規化した。MRIによって得られた結果は、ナノ粒子の注射が、2つの研究した臓器、肝臓および脾臓における大きなコントラスト差につながることを明確に示す。その上、2つの系列FLASHおよびRAREは、ナノ粒子を注射されたラットの臓器が、未処置のラットの臓器よりも暗く見えることを示す。カルボン酸鉄ナノ粒子の良好なインビボ検出は、該ナノ粒子を磁気共鳴画像の対象候補とする。
d)ナノ粒子MIL−88Aのインビトロ画像
各種のナノ粒子について、それらを水−5%グルコース溶液(C:1mg/ml、0.5mg/ml、0.2mg/ml、0.1mg/ml、0.05mg/ml、0mg/ml)に懸濁させることにより、異なる濃度を含有する6つの試料を調製した。
MRI実験は、Paravision(ブルカー社(Bruker)[ドイツ(Germany)所在])によって誘導される9.4T水平ホウ素磁石(オックスフォード大学(Oxford)[英国(UK)所在])を使用して実施する。緩和時間T1およびT2を測定するために、「スピン・エコー」画像実験を使用する(FOV15×15mm;スライス厚:1mm;取得マトリックス32×32)。T1は、飽和による回復の方法(スピン・エコー系列:TE=10ms TR=4000、2000、1000、500、200、100ms)に従って、T2は、カー・パーセル・マイボーム・ギル法(RARE系列:8および8のレア・ファクターを有するエコー画像;TR/TE=15000/8ms)に従って測定する。造影剤の試料をチューブに導入する。T1およびT2の計測を実施し、6分未満の総取得時間が生じる。所与の磁場に対する各種のナノ粒子の緩和能は、緩和の程度を生成物の濃度の関数として表す線の傾斜によって示される。
MOFナノ粒子の良好な検出は、該ナノ粒子を造影剤としての良好な候補とする。造影剤の効能は、磁場が印加された場合の、その緩和能および周囲媒質中の水のプロトンの緩和時間を変更するその能力と直接的に関連している。金属の第1および第2の配位圏における水分子の量および可動性が大きくなるほど、緩和能が大きくなる。よって、MOFナノ粒子は、常磁性鉄原子だけでなく、多数の水分子と相互接続している多孔質構造も有する。表16は、9.4Tの磁場を用いて得られたフマル酸鉄ナノ粒子の緩和能の値を列挙するものである。MIL−88Aナノ粒子の緩和能の値r1およびr2は、それぞれ、インビボ使用に十分な、約1s-1.M-1および100s-1.mM-1である(ロックら(Roch et al),J Chem Phys 110,5403−5411,1999を参照)。緩和能の値は、鉄含有量だけでなく、ナノ粒子のサイズとも関係がある。ペグ化ナノ粒子(その表面がPEGつまりポリエチレングリコールで修飾されている)は、より小さい緩和能r1を有するが、非ペグ化材料と等しいまたはそれよりわずかに高いr2値を有する。PEGコーティングは、一方で粒径を増大させ、他方でその凝集する能力を減少させるという2つの逆の作用によって、緩和能を変更し得る。
実施例12:カルボン酸鉄(III)の毒性のインビボ試験
a)試験されるカルボン酸鉄
下記の2つのカルボン酸鉄固体(実施例1の手順に従って合成したもの)をそれぞれ試験する。
−組成Fe3O[O2C−C22−CO23・OH・nH2OのMIL−88A(Fe)
−組成Fe3O[O2C−C6(CH34−CO23・OH・nH2OのMIL−88Bt(Fe)
b)毒性試験
急性インビボ毒性の研究は、4週齢の雌ウィスター系ラット(約125g)に対し、0.5mlの5%グルコース溶液に懸濁させた漸増用量(50、100および200mg/kg)のMIL−88A(210nm)およびMIL−88Bt(100nm)ナノ粒子をラットに静脈注射することによって実施する。
ナノ粒子は、この媒質中で安定である。
粒子濃度が最高(200mg/kg、約25mg/0.5ml)になると、これらの懸濁液の安定時間は数分に減少する。このため、試料はナノ粒子懸濁液を穏やかに撹拌しながら抜き取る。ラットに注射可能な最大体積は0.5mlであるため、200mg/kgよりも高用量を投与することは不可能であった。
試験7日後に毒性の主な兆候が観察されないことを鑑みると、結果は有望である。アルブミン、コレステロールおよびアミノ基転移酵素(ASAT/ALAT)についての血清値は試験7日後にいかなる有意な変動も示さず、体重に対する臓器の重量は有意に変動しない(表7)。
肝臓の組織切片をプルースト染色法(青色の鉄)によって観察し、図13に提示する。組織切片は、肝臓内における鉄の蓄積を示す。体内におけるこれらの固体の長期的効果についてより綿密な研究を実施することが必要ではあるが、これらの結果は極めて有望であり、これらの材料について生物医学的応用を想定することを可能にする。
急性および亜急性毒性研究を、より綿密に実施した。
実験に使用される動物は、体重161.36±16.1gの4週齢の雌ウィスター系ラットである。
試験はすべて、温度および湿度条件下、薬科大学の動物舎内で、動物を動物舎に適合させた3日後に実施した(3日)。
急性毒性試験では、無作為に選択されてイソフルランで麻酔をかけられた、8匹ずつのラット4群(それぞれ、1日、1週、1か月および3か月目)に対して、材料MIL−8
8A(150および500nm)、MIL−88Bt(50および140nm)または5%グルコース(対照群)の単回頸静脈注射を実施する。
動物の重量および挙動における変化をモニターした。
イソフルランによる麻酔下における頸静脈からの血液試料は、異なる時間:1および3日、1および2週、1、2および3か月目にも採取した。血清を単離して、IL−6(インターロイキン6)、アルブミン、血清Fe、PAS、GGT、ビリルビン、コレステロールおよびアミノ基転移酵素等の血清パラメーターを計測した。
その上、各群の動物を、1日、1週、1および3か月後にそれぞれ屠殺した。動物にイソフルランで麻酔をかけ、次いで、脾臓、腎臓、肝臓および心臓を取り出し、組織学的研究のために保存した。シトクロムP450の活性化を計測するために、4つの肝臓を使用してミクロソーム抽出も実施した。
亜急性毒性試験では、1日当たり1回の頸静脈注射を、無作為に異なる群に分配された26匹のラットに対して4日連続で実施し、ここで、動物を5または10日後に屠殺する。
隔離された動物の体重の変化およびその摂食行動(消費された水および食餌の量の計測)をモニターした。尿および排泄物も回収した。
頸静脈からの血液試料は、異なる群のラットについても、3および5日目ならびに8および10日目に採取した。血液に急性毒性試験の場合と同じ処置を施し、得られた血清を同じ分析の対象とする。
5および10日目の屠殺日に、イソフルランで動物に麻酔をかけ、次いで、脾臓、腎臓、肝臓、心臓および肺を取り出し、急性毒性試験の場合と同じ手法で処置する。
c)結果
動物の体重変化:
種々の群の体重変化を比較する目的で、動物を毎日秤量した。各日についておよびこれらの群のそれぞれにおいて平均を決定した。
亜急性毒性試験では、グルコース群で観察される体重増加は材料を投与した場合にわずかに減少する。この変動は、投与される用量が高くなるほど、明白となる。
急性毒性研究は、材料MIL−88AおよびMIL−88Btの投与が、時間に伴う体重における有意な変動を生じさせないことを示す。
水および食餌の消費における変化:
亜急性毒性において、対照群および25mg/kgの注射を受けた群について、変化は全体的に同様である。より顕著な差異は、より高用量を受けた、研究中における食餌のより少ない消費を特徴とする群において観察される。この観察は、体重変化について得られた結果によって裏付けられ、それらと完全に一致するものである。
取り出された臓器の重量の比較:
亜急性毒性結果:種々の群について、脾臓、腎臓および心臓の重量の間に有意差は現れない。肺の重量は、5日目および10日目にわずかに増加しているように思われる。
急性毒性:脾臓の重量の増加は、投与後最大1週間で観察され、MIL−88AおよびMIL−88Btについてそれぞれ1および3か月目には正常に戻る。肝重量は、材料が注射された際に実質的に増加し、これが肝臓内における鉄の蓄積におそらく反映される。MIL−88Aについては3か月後に状況が正常に戻るが、MIL−88Btについては戻らず、重量は高いままであることが観察される。
ミクロソーム懸濁液中におけるシトクロムP450アッセイ:
シトクロムP450は、外因性分子の分解に高度に関与している滑面小胞体の内面に関連する酵素である。この酵素は、極めて低い基質特異性を有し、薬剤等の新たに合成された化合物の転換を触媒することができる。大半のP450シトクロムは、種々の生体異物によって転写レベルで誘導または抑制され得、これは、多くの場合、薬剤の副作用の原因となる。この酵素をアッセイすることにより、該酵素が活性化しまたはその活性を阻害する場合に、使用されたMOF材料がシトクロムP450によって代謝されるかを決定することが可能である。
シトクロムの量は、各試料に含有されるタンパク質の総量と関係がある状態でのみ解釈され得る。試料に含有されるタンパク質のアッセイは、ピアス社(Pierce)によって供給されるBCAキット(バッチ番号HI106096)を利用して実施した。この方法は、アルカリ性媒質中のタンパク質によるCu2+からCu+への還元と、ビシンコニン
酸(BCA)を含有する試薬を利用する、Cu+カチオンの極めて感受性が高くかつ選択
的な比色検出とを組み合わせたものである。
シトクロム濃度とタンパク質の総量との間の関係は、mol.g-1で表現されるシトクロム活性を示す。急性毒性結果は、陰性対照群(グルコースを受けた群)と、Cyp450によって代謝されない材料である「MIL−88A」群との間には、活性における大きな差異がないことを示す。材料MIL−88Btも、Cyp450によって代謝されないように思われる。
血清中におけるインターロイキン6のアッセイ:
インターロイキン6(IL−6)は、宿主防御、免疫応答、神経細胞機能および造血において重要な役割を果たす多機能性サイトカインである。血清中におけるIL−6レベルの上昇は、例えば、ウイルスおよび細菌感染症、外傷、自己免疫疾患、炎症または癌の間に観察されている。
この研究の目的は、カルボン酸鉄ナノ粒子の投与後に炎症反応があるかを測定することである。このように、IL−6のレベルが対照群(グルコースの注射、よって注射による局所炎症反応)に対して増加しているかを見ることが可能である。
アッセイは、アール アンド ディー・システムズ・ラボラトリーズ社(R&D Systems laboratories)によって供給される「Quantikine、ラットIL−6」キットを使用して実施した。
亜急性毒性結果:変動は有意ではない。種々の群を隔離して対照群(グルコース)と比較した場合、観察された血漿レベルの上昇(IL−6産生の活性化)は、注射による現象であり、局所炎症を引き起こすと思われる。
急性毒性結果:変動は有意ではなく、亜急性毒性の場合と同じ結論につながる。
血清パラメーターのアッセイ:
アッセイはすべて、自動装置を使用して実施した。数個の主要パラメーターを測定して、肝臓へのナノ粒子の注射の結果、アミノ基転移酵素(アラニンアミノトランスフェラーゼ、つまりALATおよびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、つまりASAT)、アルカリホスファターゼ(PAS)、γ−グルタミン酸トランスフェラーゼ(GGT)、ビリルビン、コレステロール、アルブミンおよび血清鉄のレベルを評価した。
その結果は、ビリルビン(2μmol/L未満)およびγ−グルタミン酸トランスフェラーゼ(2IU/L未満)のレベルと同様に、ALATの血清レベルが全く正常であることを示す。
血清アルブミンレベルは、2つの材料について注射の初日後にわずかに減少しており、これは、注射による局所炎症過程および先に観察されたIL−6の増大と一致している。3日後、レベルは正常に戻る。
ASATの血清レベルは、注射の1日後に上昇し、これは細胞崩壊過程を示し得る。しかしながら、ナノ粒子の投与の3日後、値は正常に戻る。同様に、アルカリホスファターゼは1日後に上昇し、細胞崩壊過程を示すが、3日後に状況は正常に戻る。3日後に正常に戻るということは、永続的な細胞崩壊過程ではなく過渡的なものであることを示す。したがって、細胞機能の喪失はない。
コレステロールレベルは正常である。
血清鉄レベルは、対照群と比較して低下し、これはMIL−88A群ではさらに顕著である。これは、ナノ粒子による血清鉄の錯体形成によって説明される可能性がある。投与の3日後に、状況は正常に戻る。
1週間目に血清パラメーターもアッセイしたところ、これらの結果から、血清鉄に関しては3つの群の間にもはやいかなる差異もなく、MIL−88AおよびMIL−88Btで処置したラットは、対照群の血清鉄濃度に匹敵する血清鉄濃度を回復した。その上、他の血清パラメーターのレベルに関しては、対照群と比較して有意な差異はない。
組織切片:
クライオスタット内で5μm厚の組織切片を作製し、脱水し、染色する(ヘマトキシリン/エオジン染色法、次いでプルースト・ブルー染色法:鉄の青色着色)。
組織切片を観察することにより、材料の化合物の排出経路、または、心臓を対照として使用し、いくつかの臓器:肝臓、腎臓、脾臓および肺におけるその貯蔵を決定することが可能である。
急性毒性結果:肝臓組織切片は、材料の注射後、肝臓内における鉄の蓄積を示し、固体MIL−88Aではより高い。該材料は、分解されていないナノ粒子の形態であるように思われる。蓄積は、材料MIL−88Btではより小さく、これは、肝臓への取り込みがより少ないか、または貯蔵鉄がより迅速に再使用されることを意味し得る。1および3か月後、脾臓および肝臓内の鉄含有量は正常に戻る。
注射された懸濁液中および臓器内における鉄のアッセイ:
動物に注射されたMIL−88AおよびMIL−88Btの懸濁液に含有される鉄のアッセイは、酸化鉄を濃硫酸に溶解し、第2鉄イオンをアスコルビン酸で第1鉄イオンに還元した後、ビピリジンを用いる第1鉄イオンの特異的比色分析(赤色錯体の形成)による、520nmの波長での紫外可視分光光度法によって実施する。
臓器内における鉄のアッセイは、試験する臓器を破砕した後に、先に説明した懸濁液の鉄アッセイと同じ手法で実施する。このアッセイは、材料の化合物の排出経路または、心臓を対照として使用し、いくつかの臓器:肝臓、腎臓、脾臓および肺におけるその貯蔵を決定することを可能にする。
d)結論
毒性試験中、動物の微細な観察は、注射された材料の有害性の明らかな兆候を露呈しなかった。具体的には、動物は全く正常な挙動を維持した。研究中、亜急性毒性研究についての体重増加は対照群より小さいにもかかわらず、より高用量の連続投与におそらく関連して、動物は対照群と比較して体重がよく増えた。水の消費量は、亜急性毒性試験中、全体として正常なままである。
シトクロムP−450アッセイは、シトクロムP−450の活性状態を長期にわたって
観察することを可能にした。このシトクロムは、いくつかの生体異物を代謝するその能力で知られている。研究は、活性レベルが、増減はしやすいが、フェノバルビタール、シトクロムP−450活性剤の注射を受けた対照ラットおいて観察される値を下回ったままであることを示し、このことは、材料がCyp450経路を介して代謝されず、高極性のジカルボン酸配位子と一致することを示している。
結果は極めて有望であり、相補的な毒性研究は実施しなければならないが、材料MIL−88AおよびMIL−88Btが重篤な毒性のいかなる兆候も生じさせないことを既に示している。封入することが難しく、優れた治療可能性がある薬剤を方向付けすることにより、これらの材料によって提供される利益をもたらすために、体内におけるナノ粒子の運命および影響は研究過程にある。異なる構造および/または組成の他のナノベクターを用いる同様の研究も進行中である。
実施例13:MIL−88Aナノ粒子のインビトロ分解
a)研究番号1
MIL−88Aナノ粒子の分解は、2次元で撹拌しながら、pH7.4のリン酸緩衝溶液(PBS)中、37℃におけるそのインキュベーション中に研究した。ナノ粒子の濃度は50μg/mlであった。種々のインキュベーション時間後、ナノ粒子懸濁液を遠心分離した(10000rpm、15分、0℃)。ナノ粒子の分解によって遊離されたフマル酸を、上清中、逆相HPLCにより、分光光度検出(λ=210nm)を利用して定量化した。本発明者らは、逆相C18 Symmetry column(登録商標)(5μm、3.9×150mm、部品番号WAT046980、ウォーターズ社(Waters))を使用した。移動相は、メタノール(25容量%)(アルドリッチ社(Aldrich)、HPLC等級)および10mMのリン酸(75容量%)(アルドリッチ社(Aldrich)、HPLC等級)の混合物であった。移動相の流速は0.5ml・min-1であり、カラム温度は25℃であった。注入容量は10μLであった。システムをフマル酸の標準溶液で較正した。この生成物の保持時間は、約2分であった。
本発明者らは、2日間のインキュベーション後に、ナノ粒子組成物に含まれるフマル酸の総量の約88%が放出されたのを観察した。図34は、固体MIL−88Aからのフマル酸の放出を、時間t(日で)の関数として百分率(%)で表す。全分解(100%のフマル酸が放出されること)は、3週間のインキュベーション後に観察された。
b)研究番号2
材料MIL−88Anano(150および500nm)の分解は、37℃において、2次元で撹拌しながら、pH7.4のPBS溶液中、ナノ粒子の懸濁液(50mg/ml)を使用して研究した。種々の時間に、遠心分離(0℃で10000rpm/10分)によって上清を回収し、放出されたフマル酸の量をHPLC(逆相、ウォーターズ社(Waters)501HPLCポンプ、Waters(商標)717プラスオートサンプラー、Waters(商標)486検出器およびλ=210nmにおける紫外可視分光光度計)によって測定する。Symmetry(登録商標)C18逆相カラム(5μm、3.9×150mm、部品番号WAT046980、ウォーターズ社(Waters))を使用する。移動相は、メタノール(25容量%)(アルドリッチ社(Aldrich)、HPLC等級)および10mMのリン酸(75容量%)(アルドリッチ社(Aldrich)、HPLC等級)の混合物である。流速は0.5ml・min-1であり、カラム温度は25℃である。注入容量は10μLである。
フマル酸の保持時間は2分である。フマル酸濃度は、標準物質による較正曲線を使用して決定する。
2日間のインキュベーション後にナノ粒子のフマル酸の総量の88%が放出され、9日後に約96%が放出される。全分解は、3週間の試験後に生じる。
V.対象分子が充填されたナノ粒子
実施例14:活性成分:ブスルファンが充填されたカルボン酸鉄(III)ナノ粒子の配合
ブスルファン(1,4−ブタンジオールジメチルスルホネート)は、癌を治療するための若干の治療的価値があるアルキルスルホネートクラスのアルキル化剤である。ブスルファンは、造血幹細胞の自己移植または同種移植前に「高用量」化学療法プロトコールで処方され、全身照射の優れた代替物を構成し、結果として小児科において特に関心高い。しかしながら、ブスルファンは主として肝臓によって取り込まれるため、高い毒性を有し、そのため、輸送系を開発することに関心が持たれている。
これまでに試験されたブスルファン放出系は、その封入に関して真の難題を提起している。リポソームを用いて得られる最大充填量は、0.5%(重量で)を超えない。生分解性ポリマーの使用がより適していることが立証されたが、ブスルファンの封入の程度は、ポリ(アルキルシアノアクリレート)ベースのナノ粒子中におけるブスルファンの5%(重量で)を超えない。
この例において、ブスルファンは、本発明の種々のカルボン酸鉄(III)、特に、材料MIL−53、MIL−88A、MIL−89およびMIL−100に組み込まれる。a)MIL−53カルボン酸鉄の調製
MIL−53固体は、270mgのFeCl3・6H2O(1mmol;アルファ・エイサー社(Alfa Aesar)、98%)、166mgの1,4−ジカルボン酸(1mmol;アルドリッチ社(Aldrich)、98%)および5mlのジメチルホルムアミド(フルカ社(Fluka)、98%)から合成される。全体を、Paarブランドの金属物体(オートクレーブ)に入れたTeflon物体に導入し、次いで150℃で24時間加熱する。室温に冷却後、濾過によって生成物を回収し、水およびアセトンで洗浄する。
次いで、200mgの固体を100mlの蒸留水に撹拌しながら15時間懸濁させて、孔内に存在する残留溶媒を除去する。濾過によって固体を回収する。
光散乱によって計測される粒径は、6.2マイクロメートル(6.2ミクロン)である。
b)MIL−88Aカルボン酸鉄の調製
材料MIL−88Aを得るために、270mgのFeCl3・6H2O(1mmol;アルファ・エイサー社(Alfa Aesar)、98%)、5mlのジメチルホルムアミド(フルカ社(Fluka)、98%)中の112mgのフマル酸(1mmol;アクロス社(Acros)、99%)を一緒に混合し、0.4mlの2M NaOHを添加する。全体を、Paarブランドの金属物体(オートクレーブ)に入れたTeflon物体に導入し、次いで100℃で15時間加熱する。室温に冷却後、濾過によって生成物を回収し、水およびアセトンで洗浄する。
200mgの固体を100mlの蒸留水に撹拌しながら15時間懸濁させて、孔内に存在する残留溶媒を除去する。次いで、濾過によって固体を回収する。
光散乱によって計測される粒径は、2.6マイクロメートル(2.6ミクロン)である。
c)MIL−89カルボン酸鉄の調製
240mgの酢酸鉄(0.33mmol)および140mgのムコン酸(1mmol)を9mlのメタノールに添加する。次いで、0.35mlの2M NaOH溶液を1mlのメタノールにゆっくり添加する。全体をTeflon容器内に金属物体とともに入れ、150℃で6時間加熱する。次いで、金属ボンベを水中で直ちに冷却する。得られた固体を、5000rpmにおける10分間の遠心分離により回収する。孔内に残っている溶媒を除去するために、200mgの固体を100mlの水に撹拌しながら終夜懸濁させ、次
いで、遠心分離(5000rpm、10分間)により回収する。
光散乱による粒径計測は、1.1マイクロメートル(1.1ミクロン)のナノ粒子の2つの集合を示す。
d)MIL−100カルボン酸鉄の調製
MIL−100の合成は、3mlの蒸留水中の56mgの鉄金属(1mmol;アルドリッチ社(Aldrich)、99%)および210mgの1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(1,3,5−BTC;1mmol;アルドリッチ社(Aldrich)、95%)から出発し、これに0.4mlのフッ化水素酸(HF;5M)および0.6mlの2N硝酸を添加して実施する。全体を、Paarブランドの金属物体(オートクレーブ)に入れたTeflon物体に導入する。全体を、12時間の加熱ランプ(25〜150℃)を用いて150℃で6日間、および24時間の冷却ランプを用いて加熱する。濾過によって生成物を回収し、水およびアセトンで洗浄する。
200mgの固体を100mlの蒸留水に撹拌および還流しながら3時間懸濁させて、孔内に存在する残留酸を除去する。次いで、熱いうちに濾過によって固体を回収する。
光散乱によって計測される粒径は、1.7マイクロメートル(1.7ミクロン)である。
e)カルボン酸鉄へのブスルファンの導入
材料の孔へのブスルファンの挿入は、薬剤を溶媒中におけるその飽和の100%または80%と等しい濃度で含有する2.5mlの溶液に、25mgの脱水固体を懸濁させ、全体を室温で16時間撹拌することによる吸着によって実施する。次いで、遠心分離(20℃、5000rpm、15分)により粒子を回収する。ペレットを、一定重量が得られるまで乾燥(1次真空133.322パスカル(1水銀柱ミリメートル)下における蒸発、72時間)させる。多孔質固体内に存在するブスルファンの定量化は、放射性計数(3
−ブスルファン)、熱重量分析(TGA)および元素分析によって実施する。
含浸用に選択される溶媒は、ブスルファンが測定可能な溶解性を有する溶媒(アセトン、アセトニトリル、クロロホルム、ジクロロメタン、炭酸ジメチル)である(表18)。
材料MIL−53、MIL−88A、MIL−89およびMIL−100へのブスルフ
ァンの導入の第1の試験を、表19に列挙する。
得られるブスルファン充填容量は大きく、MIL−53およびMIL−100中にそれぞれ薬剤を含有する水和固体が最大122および153mg/gである(表10)。出発固体は、それぞれ、7.3および44.5重量%の水を含有する。
乾燥固体の含有量に対する含有量を考慮すると、貯蔵容量は活性成分の25重量%を超えており、これは、リポソームを用いて得られる貯蔵容量の60倍、最良のポリマーベースの系を用いて得られる貯蔵容量の4倍上回っている。
これらの結果は極めて励みになるものであり、封入の程度をさらに増大させるために、含浸条件の最適化は進行中である。ハイブリッド固体の孔の開口は、孔内の活性成分の含有量によって決まるため、MIL−53またはMIL−88型の軟質のハイブリッド固体中に吸着される量は、X線回折によって定性的にモニターされ得る(図14)ことも指摘されている。
ブスルファンの封入は、次のものを試験することによって最適化できる。
−いくつかの含浸サイクル
−異なる含浸時間
−昇華による封入
−薬剤−固体間相互作用を最適化するための、より大きい孔容積を有するいくつかの固体(MIL−101ビフェニル、異なる有機基で修飾されたMIL−88D)および修飾配位子(NH2、Cl、NO2、COOH、CH3等)を有するハイブリッド固体の使用。この段階で、孔内のブスルファンを保持するための最良の機能を予測するために、デジタル・シミュレーションが使用される。
−封入結果の関数として、本発明者らは、PEGで表面修飾された固体ナノ粒子を封入試験に使用する。
実施例15:医薬活性成分:AZTPが充填されたMIL−100およびMIL−101カルボン酸鉄(III)ナノ粒子の配合
シドフォビル(CDV;抗ウイルス薬)またはアジドチミジン3リン酸(AZTP;レトロウイルス)等の他の薬剤を用いて封入試験を実施した。これらの分子の寸法を鑑みて、2.5〜3.4ナノメートル(25〜34オングストローム)のケージを有することから、剛構造MIL−100およびMIL−101の多孔質カルボン酸鉄を選択した。
a)AZTPの封入および放出
MIL−100およびMIL−101ナノ粒子中へのAZTTPの封入の予備研究:レトロウイルス剤アジドチミジン3リン酸(AZTP)の封入は、2.5〜3.4ナノメートル(25〜34オングストローム)の間の自由なサイズのケージを有する剛構造MIL−100(500nmナノ粒子)およびMIL−101(500nmナノ粒子)の多孔質カルボン酸鉄内で実施した。
薬剤の挿入は、500μl中に50、100、250および500μgのAZTPならびに50μg/50μlをそれぞれ含有する水溶液に、1時間撹拌しながら2.5mgの脱水固体を浸す(100℃/12時間)ことによって実施した。薬剤の吸着後、薬剤が充填された固体を、5000rpmにおける15分間の遠心分離により回収し、真空下で3日間乾燥させる。吸着された薬剤の含有量の定量化は、放射性計数(3H−AZTP)に
よって実施した。
薬剤を加えたさらに高濃度の溶液の使用は、材料による活性成分の充填量の、MIL−100ナノ粒子中の薬剤の最大9重量%(記録的)までの増大につながることが観察される。固体MIL−101は事実上2倍である孔容積を有する(2cm3/g対1.2cm3/g)ことを考慮すると、後者は、はるかに大きい容量を有すると期待される。同じ濃度であるがAZTP/最初に導入された材料の重量での比率がより高い場合、活性成分充填量は増加する。加えて、封入効果は優れている。
AZTPの封入は、下記の方式で最適化され得る:
−出発AZTP溶液の濃度を増大させること
−いくつかの含浸サイクル
−異なる含浸時間
−PEGで表面修飾された固体の使用
−薬剤−固体間相互作用を最適化するための、より大きい容量を有する異なる固体(MIL−101ビフェニル、異なる有機基で修飾されたMIL−88D)および修飾配位子(NH2、Cl、NO2、COOH等)を有するハイブリッド固体の使用。
b)ペグ化または非ペグ化MIL−100ナノ粒子中へのAZTTPの封入
MIL−100ナノ粒子は、9.7gの硝酸鉄6水和物(アルドリッチ社(Aldrich)、97%)、3.38gの1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(1,3,5−BTC、アルドリッチ社(Aldrich)、99%)および40gの蒸留水の溶液から出発して、180℃で30分間(電力600W)のマイクロ波経路(シー イー エム社(CEM)マイクロ波)を介して合成した。光散乱によって計測される粒径は、400nmである。
ペグ化MIL−100ナノ粒子は、実施例24において言及した粒子の表面を修飾することによって得た。30mgのMIL−100を、10mgのアミノ末端ポリエチレングリコールの3mlの水溶液(PEG−NH2 5000g/mol、アルドリッチ社(A
ldrich)、97%)に30℃で撹拌しながら3時間懸濁させた。これらのナノ粒子を遠心分離(10000rpm/10分)によって回収し、蒸留水で洗浄した。
表面上のPEGの量は、バルー(Baleux)およびシャンペルティエ(Champertier)の方法により、500nmでの分光光度法によって選択的に計測される、PEG上でのヨウ素−ヨウ素により染色された錯体の形成に基づいて決定した。(PEGの量は19質量%であり、ペグ化後の粒径は800nmに増大する。)他方で、走査電子顕微鏡法(SEM)によるペグ化および非ペグ化ナノ粒子の観察は、いずれの場合も150nmのナノ粒子を示す。この差異は、微粒子凝集現象による場合がある。
AZT−TP(アジドチミジン3リン酸;1−[(2R,4S,5S)−4−アジド−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−2−イル]−5−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン、モラベック社(Moravek))の吸着は、トリチウムで標識されたAZT−TP(3H−AZTP;モラベック社(Moravek);140
.6ギガベクレル(3.8キュリー)/mmol、37メガベクレル(1ミリキュリー)/ml、133.4μg/ml、250μl)を使用し、ペグ化または非ペグ化MIL−100ナノ粒子を用いて研究する。
実験は、予め乾燥(150℃/夜)させた2.5mgの固体MIL−100を、1mg/mlのAZT−TP中の500μlの水溶液(50μlの3H−AZT−TP+3ml
のAZT−TP)に、室温で撹拌しながら16時間懸濁させることにより、4通り実施する。
AZT−TPを封入したナノ粒子を遠心分離(室温で、10000rpm/10分)により回収し、真空下で3日間乾燥させる。放射能を計数する(ベックマン・コールター社(Beckman Coulter)LS6500多目的シンチレーションカウンター)ことによって上清中の放射能を測定し、材料に吸着されたAZT−TPを、原液の放射能との差異によって定量化する。
ナノ粒子を酸性条件下で分解し(2.5mgのナノ粒子を、1mlの5M HCl中、50℃で終夜分解する)、放射能を測定する。
材料中に吸着されたAZT−TPの量は、MIL−100において8質量%、ペグ化MIL−100において5質量%である。
c)ペグ化MIL−100およびMIL−100ナノ粒子からのAZTTPの制御放出
AZT−TPの放出は、2.5mgのナノ粒子(2.5mgのナノ粒子+MIL−100の場合は8wt%の、PEGで被覆されたMIL−100の場合は5wt%のAZT−TP)を、37℃で1mlのpH7.4リン酸緩衝液(アルドリッチ社(Aldrich))に懸濁させることによって実施する。懸濁液を、種々のインキュベーション時間(30分、2.5時間、5時間、7.5時間、24時間、48時間、72時間、96時間、168時間、240時間)、2次元で撹拌しながら維持する。次に、懸濁液を遠心分離(10000rpm、10分)し、0.5mlの上清を採取し、新鮮なPBS(リン酸緩衝生理食塩水)と置き換えた。放出されるAZT−TPの量は、上清(放出媒質)中の放射能を計測することによって測定する。
PEGで被覆されていないナノ粒子は、活性成分含有量を、PEGで被覆されているナノ粒子よりもゆっくり、2日間かけて徐々に放出する。これは、ナノ粒子内におけるAZ
T−TPの異なる位置によって説明される可能性がある。おそらく、表面におけるPEG「ブラシ」が、活性成分がナノ粒子中により深く浸透するのを立体的に防止するのであろう。材料の上層内に位置するこの活性成分は、より速く放出される。
実施例16:医薬活性成分:シドフォビルが充填されたカルボン酸鉄(III)ナノ粒子の配合
a)シドフォビル(CDV)の封入および放出
シドフォビル(L−(S)−1−(3−ヒドロキシ−2−ホスホニルメトキシプロピル)シトシン、CDV、モラベック社(Moravek))の吸着は、14Cで標識されたCDV(14C−CDV)を使用し、MIL−88A、MIL−89、MIL−100およびMIL−101ナノ粒子において研究した。
実験は、予め脱水(MIL−100は150℃/夜、残りは100℃/夜)した2mgの材料を、400μg/mlのCDVの1mlの水溶液(50μlの14C−CDV+3mlのCDV)に、室温で撹拌しながら16時間懸濁させることにより、3通り実施する。
CDV封入ナノ粒子を遠心分離(10000rpm/10分、室温)により回収し、真空下で3日間乾燥させる。放射能を計数する(ベックマン・コールター社(Beckman Coulter)LS6500多目的シンチレーションカウンター)ことによって上清中の放射能を測定し、材料に吸着されたCDVを、原液の放射能との差異によって定量化する。
ナノ粒子を酸性条件下で分解し(2mgのナノ粒子を、1mlの5M HCl中、50℃で終夜分解する)、放射能を測定する。
材料中に吸着されたAZT−TPの量は、MIL−100において8質量%、ペグ化MIL−100において5質量%である。
極めて大きい容量は、3%〜18%の間の範囲である。よって、封入効果は極めて高い(固体MIL−100およびMIL−89については80%超)。
b)MIL−88A、MIL−100、MIL−101およびMIL−89ナノ粒子によるCDVの放出
CDVの放出は、2mgのナノ粒子(2gのナノ粒子+wt%のCDV)を、37℃で1mlのpH7.4リン酸緩衝液(アルドリッチ社(Aldrich))に懸濁させることによって実施した。懸濁液を、種々のインキュベーション時間、2次元で撹拌しながら維持した。次いで、懸濁液を遠心分離(10000rpm、10分)し、0.5mlの上清を採取し、新鮮なPBSと置き換えた。放出されるAZT−TPの量は、上清(放出媒質)中の放射能を計測することによって測定した。
シドフォビルの封入は、下記のパラメーターを変更することによって最適化できる。
−出発溶液の濃度を増大させること
−いくつかの含浸サイクル
−種々の含浸時間
−薬剤−固体間相互作用を最適化するための、より大きい容量を有する種々の固体(MIL−101ビフェニル、種々の有機基で修飾されたMIL−88D)および修飾配位子(NH2、Cl、NO2、CH3、COOH等)を有するハイブリッド固体の使用。
−封入結果の関数として、本発明者らは、PEGで表面修飾された固体ナノ粒子を封入試験に使用する。
−放出試験は、生理的媒質(リン酸緩衝液、NaCl等)中で実施する。
実施例17:他の医薬活性成分の封入
a)パクリタキセルが充填されたカルボン酸鉄(III)の配合
タキソールの名称で販売されているパクリタキセルは、エタノールおよびDMSOに可溶である(約50g/L)。
タキソールは、ブスルファンを封入するために使用されるプロトコールと同様のプロトコールに従って、ナノ粒子を濃度20〜50g/LのDMSO溶液に含浸させることにより、封入され得る。唯一の違いは、DMSOまたはエタノール中のパクリタキセルの溶液が使用されることである。
b)ドセタキセルが充填されたカルボン酸鉄(III)の配合
ドセタキセルは、同様の構造および活性のパクリタキセル類似体であるが、特にその毒性およびその抗癌効能においてパクリタキセルとは異なる。タキソテールという名称で販売されており(灌流である)、この活性成分は、副作用(水貯留のリスク、腹水、胸膜または心膜液浸出、皮膚反応、脱毛症等)を有する。よって、ナノ粒子中へのその封入および腫瘍中でのその放出は、大きな進歩となるであろう。
ドセタキセルの封入は、次のものを使用して実施できる。
−ドセタキセルの濃縮水溶液またはEtOH溶液
−異なる含浸時間
−いくつかの含浸サイクル
−薬剤−固体間相互作用を最適化するための、より大きい容量を有する異なる固体(MIL−101ビフェニル、異なる有機基で修飾されたMIL−88D)および修飾配位子(CH3、COOH等)を有するハイブリッド固体の使用。
−封入結果の関数として、本発明者らは、PEGで表面修飾された固体ナノ粒子を封入試験に使用する。
ドセタキセルも、DMSO溶液を使用する含浸によって封入できる。
c)ゲムシタビンが充填されたカルボン酸鉄(III)の配合
ゲムシタビン(dFdC)は、デオキシシチジン類似体である。これは、細胞周期のS期(DNA合成期)の特異的な代謝拮抗物質である。ゲムシタビンは、ヌクレオシドキナ
ーゼによって細胞内でヌクレオシド2リン酸(dFdCDP)および3リン酸(dFdCTP)に代謝される。これらは活性代謝産物である。
ゲムシタビンは水溶性である。よって、その封入は、AZT3リン酸の封入と同一のプロトコール(活性成分の水溶液への含浸)に従って実施できる。
ゲムシタビンの封入は、下記のパラメーターを変更することによって最適化できる。
−出発溶液の濃度を増大させること
−いくつかの含浸サイクル
−異なる含浸時間
−薬剤−固体間相互作用を最適化するための、より大きい容量を有する異なる固体(MIL−101ビフェニル、異なる有機基で修飾されたMIL−88D)および修飾配位子(NH2、Cl、NO2、CH3、COOH等)を有するハイブリッド固体の使用。
−封入結果に応じて、本発明者らは、PEGで表面修飾された固体ナノ粒子を封入試験に使用する。
−放出試験は、生理的媒質(リン酸緩衝液、NACl等)中で実施する。
実施例18:対象化粧化合物が充填されたカルボン酸鉄(III)の配合
種々の化粧用途の分子の封入が、剛構造MIL−100および柔構造MIL−53の多孔質カルボン酸鉄に実施される。これらの実施例のために選択される分子は、そのフリー・ラジカル・スカベンジング特性のためにアスコルビン酸、その脂質調節(liporegulating)活性のためにカフェイン、および保湿剤として尿素である。ベンゾフェノンの封入について記載されている方法は、これらの化合物にも適用可能である。最後に、疎水性の性質があるベンゾフェノン−3(紫外線遮断剤)と同様に、親水性の性質のあるベンゾフェノン−4も封入され得る。
化粧品の挿入のために、脱水固体(100または150℃/12時間)または非脱水固体を、不定量の化粧品の存在下で水性懸濁液またはアルコールに入れ、全体を異なる時間撹拌する。吸着後、化粧品が充填された固体を5000rpmにおける15分間の遠心分離により回収し、風乾させる。吸着された化粧品の量の定量化を、元素分析およびTGAにより実施する。
化粧用の目的には、ヒアルロン酸および封入活性成分で被覆されたナノ粒子が特に好都合である。具体的には、ヒアルロン酸は真皮の天然成分であり、皮膚の水和および弾力性において重要な役割を果たす。この物質は加齢とともに減少するため、肌は乾燥し、シワができる。体内に含有されるヒアルロン酸の約56%は、皮膚において見られる。
MOFをこのポリマーで被覆することで、MOFに皮膚への生体接着特性を与える可能性がある。
a)ベンゾフェノン−3の封入
ベンゾフェノン−3(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)(BZ3)は、極めて難水溶性の固体(0.0037g/l(20℃))である。
ベンゾフェノン−3は、抗紫外線サンスクリーンである。ベンゾフェノン−3は、日焼け止めクリームおよび化粧品において「抗老化」物質として使用される。これは、化粧品に含有される活性物質の保護剤としても使用され、香料または染料等、これらの物質の紫外線によって引き起こされる分解を防止することができる。この物質は、極めて強いアレルギーを起こす力を有する、既知のアレルゲンである。これは、光感作性の場合がある。その封入は、皮膚との直接的接触を回避するために有用であろう。
使用した実験プロトコールは次の通りである:1および0.5mg/mlに等しい最終粒子濃度を得るために、乾燥ナノ粒子(MIL−53(Fe)、平均直径1.1マイクロメートル(1.1ミクロン))を、1ml当たり10マイクログラムのBZ3を含有する10mlの溶液に分散させた。ここで選択されるBZ3の低濃度は、水中におけるその難溶解性によって説明される。化合物MIL−53(Fe)は、芳香族分子に対する極めて良好な親和性も有し、このことは、ベンゾフェノンを封入するためのこの材料の選択を正当化する。
このBZ3溶液は、DMSO中のBZ3(1g/l)の溶液から得られた。この溶液を1ml取り、次いで100mlのミリQ水に入れた。
ナノ粒子を室温で12時間インキュベートし、次いで、超遠心分離(30000rpm、30分)により回収した。上清を取り、次いでアッセイし(紫外分光光度法、波長298nm)、それにより、封入されなかった量の測定を可能にした。封入された量は、最初に導入されたBZ3の量との差異によって測定した。実験は3通り実施した。
封入収率(導入されたBZ3の量に対して封入された%)は十分なものである(74〜76%)。他方で、低充填は、粒子の量と比較して導入されたBZ3の量が少量であることによって説明される。それにもかかわらず、本発明者らには、導入される粒子の濃度が(BZ3に対して)低下すると充填量が増大することが分かる。結果として、使用したBZ3の水溶液が難濃縮性であったことを鑑みると、BZ3の溶解性が著しく高くなる適切な有機溶媒をBZ3に含浸させることにより、粒子へのBZ3の充填をかなり改善することが完全に想定され得る。
b)ベンゾフェノン−4の封入
ベンゾフェノン−4(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸)(BZ4)は、極めて水溶性の高い(100mg/ml(20℃))固体である。
ベンゾフェノン−4は、水溶性製剤が求められる場合に特に使用される、抗UVAおよび抗UVBサンスクリーンである。ベンゾフェノン−4は、日焼け止めクリームおよび化粧品において「抗老化」物質として使用される。これは、化粧品に含有される活性物質の保護剤としても使用され、香料または染料等、これらの物質の紫外線によって引き起こされる分解を防止することができる。しかしながら、ベンゾフェノン−4は、そう痒、灼熱感、落屑、じんま疹および皮膚疱疹の形態の免疫反応、または重篤な呼吸反応を招き得る。その封入は、皮膚との直接的接触を回避しながらその活性を維持することを可能にするであろう。
c)尿素の封入
尿素は、人体のすべての臓器、組織および体液において見られる天然由来の活性物質である。尿素は極めて高い水への溶解性(1.08g/ml(20℃))を有する。
尿素は、角質層の重要な保湿剤である。これは、種々の効果を有する:
−そう痒を鎮め、これは小児性神経皮膚炎の場合の主な利点である。
−角質層を保湿する。
−落屑効果を有し、細胞分裂を正常化する。
−抗菌特性を有し、特に慢性湿疹の場合、過剰感染を予防する。
−皮膚に同時に塗布される他の医薬物質、例えばグルココルチコイドの浸透を促進する。それにより、薬剤の効能を減少させることなくその用量を減少させることができ、よって副作用を制限することができる。
d)カフェインの封入
カフェインは、その痩身特性で知られる脂肪分解剤である。その脂肪減少作用は強力かつ用量依存性である。カフェインは、細胞によって直接消化可能であるため、最も活性な形態である。しかしながら、カフェイン塩は、クリームに組み込むことがより容易であるため、実務において最も使用されている。
これは、水への良好な溶解性(22mg/ml(20℃))を有する。
e)実験的封入プロトコール
150mgの乾燥MIL−53(Fe)ナノ粒子(平均直径1.1マイクロメートル(1.1ミクロン);150℃で8時間脱水したもの)およびMIL−100(Fe)ナノ粒子(平均直径0.5マイクロメートル(0.5ミクロン);100℃で8時間脱水したもの)を、異なる化粧剤(飽和に近い濃度;以下の表を参照)を含有する10mlの水溶液に分散させ、全体を室温で2時間または3日間撹拌した。次いで、遠心分離(20℃、5000rpm、15分)により粒子を回収する。
化粧品が充填された固体を、最初にX線粉末回折(XRD)によって特徴付ける。多孔質固体に封入された化粧品の質量含有率を、熱重量分析(TGA)および元素分析によって推定する。
出発溶液の濃度は、孔への化粧品の挿入を強制するためおよび液相において平衡を放出へシフトさせることを回避するために、飽和に極めて近い(上記の表を参照)。
化粧品封入容量は、いずれの場合も極めて高く、極めて極性の高い小分子である尿素では最大60〜70%である。より大きい分子であるカフェインの場合、25〜40質量%付近とわずかに低い化粧品挿入が観察される。この分子は、ハイブリッド固体の極性部(金属)および非極性部(配位子)と相互作用することができる。
最終的には、ベンゾフェノン−4はMIL−100に良好に(最大15%)封入されるが、この化合物の孔の最大サイズに近い寸法と一致する固体MIL−53(5%未満)には、はるかに低い挿入を示す。
XRDによる封入後、剛構造のすべての固体について秩序結晶構造の保全を検証する。
異なる構造の固体(MIL−53、MIL−88およびMIL−100)からの、ならびに修飾配位子MIL53_2COOH、MIL53_2OHおよびMIL53_NH2に基づく固体中のカフェインの放出は、カフェインを含有する50mgの材料を、5mlのリン酸緩衝生理食塩水PBS溶液(アルドリッチ社(Aldrich))pH7.4に37℃で撹拌しながら懸濁させることによって実施した。
これらの懸濁液を遠心分離(10000rpm、20℃で10分)し、1mlの上清を取り、種々の放出時間で新鮮なPBSと置き換える。媒質中に放出されたカフェインの濃度は、254nmにおける紫外可視分光法によって測定した。
材料の構造および組成の関数として、時間とともに投与される用量を変更できることが観察され得る。
実施例19:蛍光分子の封入
ローダミン過塩素酸塩(A)、フルオレセイン(B)、8−ヒドロキシピレン−1,3,6−トリスルホン酸のナトリウム塩(C)または(R)−(−)−4−(3−アミノピロリジノ)−7−ニトロベンゾフラザン(D)等の蛍光分子を、以下に記載するプロトコールに従って、固体MIL−101−NH2中に封入した。これらの分子を、図32およ
び33において表す。
手順:
200mgの固体の硬質のアミノテレフタル酸鉄MIL−101−NH2(実施例7に
おいて記載されているマイクロ波法に従って合成したもの)を、10mlのエタノール中の蛍光分子の2mg/ml溶液:
−A:ローダミン116過塩素酸塩(R116、アルドリッチ社(Aldrich))、−B:フルオレセイン(アルドリッチ社(Aldrich))、
−C:8−ヒドロキシピレン−1,3,6−トリスルホン酸の3ナトリウム塩(PSO3、アルドリッチ社(Aldrich)、98%)、または
−D:(R)−(−)−4−(3−アミノピロリジノ)−7−ニトロベンゾフラザン(APNF、アルドリッチ社(Aldrich)、98%)
に懸濁させる。
溶解した固体蛍光分子の混合物を、15時間撹拌しながら室温で撹拌する。10000rpm/10分間の遠心分離により、蛍光分子が充填された固体を回収する。
封入された蛍光分子の定量化は、TGAおよび/または元素分析によって実施する。蛍光分子を封入する材料は、結晶構造の保全を検証するためのXRD、マトリックス−分子間相互作用を研究するためのFTIRおよび孔内または表面上における蛍光の存在を測定するための共焦点蛍光顕微鏡法によって特徴付けする(これらの分子のそれぞれの蛍光特性を、下記の表において提示する)。
インビボ画像特性(生物発光、蛍光)は、当業者に既知のプロトコールに従って研究することができる。例えば、キャサリン イー ルーカーら(Kathryn E.Luker et al.)による刊行物,Antiviral Research,Volume 78,Issue 3,June 2008,pages 179−187を参照できる。
加えて、同じプロトコールは、鉄ジメチル−4,4’−ビフェニルジカルボン酸MOF固体(実施例3において記載されているソルボサーマル法に従って合成したもの)の場合の分子A、B、CおよびDの封入に適用可能である。
実施例20:フルオロ分子の封入:
1−(ペンタフルオロプロピオニル)イミダゾール:
200mgの硬質のトリメシン酸鉄MIL−100(先に記載したソルボサーマル法によって合成したもの)を150℃で終夜予め脱水し、10mlのエタノール中のペルフルオロペンタン酸(アルドリッチ社(Aldrich)、97%)または1−(ペンタフルオロプロピオニル)イミダゾール(アルドリッチ社(Aldrich)、98%)の2mg/ml溶液に室温で撹拌しながら15時間懸濁させる。10000rpm/10分間の遠心分離により固体を回収する。
封入されたフルオロ分子の定量化は、TGAおよび/または元素分析によって実施する
。蛍光分子を封入する材料は、結晶構造の保全を検証するためのXRD、マトリックス−分子間相互作用を研究するためのFTIRおよび19F NMRによって特徴付けする。実施例21:昇華による尿素の封入
このプロトコールは、封入される分子が、蒸発温度が低く、より単純な昇華を可能にする尿素等である場合に特に適用可能である。
この場合、尿素分子のサイズを減少させることが、軟質の固体孔MIL−53および硬質の固体孔MIL−100(先に記載した合成)へのその封入を可能にする。
昇華によってPAを挿入するために使用される実験設定を、図31に提示する。
昇華封入プロトコールを、下記の工程に記載する:
1.最初に、多孔質固体を、真空下、150℃で12時間脱水する(薬剤を含有するフラスコの弁を閉じ、固体を含有するフラスコの弁を真空に対して開く)。
2.尿素を真空下で加熱して、尿素の真空下における昇華温度T1で昇華させる。MOF固体自体を、T1よりも5℃高い温度T2に加熱する。回路全体も加熱して、尿素の再結晶化を回避する(「薬剤」フラスコの弁を真空に対して開き、「固体」の弁を閉じる)。3.次いで、「固体」の弁を開いて、材料中への薬剤の封入を達成するために、昇華した薬剤および脱水固体を接触させて置く。
5.次いで、「固体」を含有するフラスコの弁を閉じる。
6.窒素ガスを固体フラスコに導入する。
7.次いで、尿素を封入した固体を回収する。
VI.表面修飾されたナノ粒子
実施例22:キトサンで表面修飾されたカルボン酸鉄(III)の配合
キトサンによるナノ粒子の表面修飾は、このポリマーの特異的な生体接着特性を利用して、ナノ粒子の種々の投与経路を想定することを可能にする。
この例において、表面修飾は、材料MIL−88Aの合成中に実施する。
a)表面修飾されたナノ粒子の調製
23mLのTeflonボンベ内、5mLの蒸留水中のFeCl3・6H2O(1mmol、270mg;アルファ・エイサー社(Alfa Aesar)、98%)およびフマル酸(1mmol、116mg;アクロス社(Acros)、99%)の溶液に、7mgの表面修飾剤を添加し、修飾されたキトサンを、23mlのTeflonボンベ内、5mlの蒸留水中のFeCl3・6H2O(1mmol、270mg;アルファ・エイサー社(Alfa Aesar)、98%)およびフマル酸(1mmol、116mg;アクロス社(Acros)、99%)の溶液に添加する。アルキル鎖(C12、ラウリル)で修飾された2種類のキトサン;一方は2%のアルキル鎖(Q25)による修飾、他方は7%のアルキル鎖(Q100)で修飾されたものを使用した。
キトサンの完全溶解のために、溶液を45分間撹拌する。
Teflonボンベを、密閉された金属物体内に置き、80℃のオーブンで12時間加熱する。
得られた固体を5000rpmにおける10分間の遠心分離により回収し、蒸留水およびアセトンで洗浄する。
b)分析および特徴付け
得られた粒子のサイズは、マルバーン社(Malvern)Zetasizer NanoシリーズのNano−ZS Z電位機;Zen3600モデル;製造番号500180[英国(UK)所在]を用いて計測し、MIL−88A−Q25およびMIL−88A−Q100についてそれぞれ2.64および0.91マイクロメートル(2.64および0.91ミクロン)のサイズが観察される。
X線回折(XRD)図形は、0.04°の刻み幅および2秒刻みで、3から20°(2θ)のSiemens D5000X’Pert MDP回折計(λCu、Kα1、Kα2)を用いて収集する。
図15に提示されているXRD図形は、得られた相が確かにMIL−88Aであることの検証を可能にした。材料の柔軟性も、1滴の水を固体に添加することにより、XRDによって検証される。
材料に組み込まれたキトサンの量は、図16に提示されている熱重量分析(TGA)によって推定される。使用される装置は、酸素流(100ml/分)下、2℃/分の加熱ランプを有する、25〜500℃のTGA2050TA機である。材料中、フマル酸の量は、確かに約45%である(脱水生成物に対して)。材料MIL−88A−Q25およびMIL−88A−Q100は、脱水生成物に対してそれぞれ約16%および22%(重量)のキトサン量を含有する。
実施例23:フルオレセイン−ビオチンデキストランで表面修飾されたカルボン酸鉄(III)の配合
この例において、使用するデキストランを、第1にフルオレセイン、第2にビオチン(Dex B FITC 10000g/mol、アニオン性、リシン固定可能、モレキュラー・プローブ社(Molecular Probes)、カタログD7178)とともに移植する。
デキストランの特徴は次の通りである:デキストランフルオレセインおよびビオチン、分子量10000g/mol、アニオン性、リシンを結合することができる(「ミニ・エメラルド」)、バッチ36031A、D7178、「モレキュラー・プローブ社(Molecular Probes)」、インビトロ検出技術、1molフルオレセイン/モル、2molビオチン/モル。
a)表面修飾されたナノ粒子の調製
鉄1,3,5−ベンゼントリカルボン酸MIL−100粒子(粒子直径1.79マイクロメートル(1.79ミクロン)をミリQ水で洗浄した。
5ミリグラムの粒子を0.5mlのミリQ水に分散させた。0.5mlのDex B FITCの水溶液(5mg/ml)をこの懸濁液に添加した。これらを室温で24時間インキュベートし、次いで、遠心分離(3800rpm、10分)により回収した。上清を取り、次いでペレット(粒子)を0.5mlのミリQ水に再懸濁させた。再度遠心分離後、このようにして過剰なDex B FITCなしで洗浄した粒子を、共焦点顕微鏡(励起488nm、発光515nm)下での観察のためにスライドガラス上に置いた。
b)分析および特徴付け
フルオレセインは、レーザー走査共焦点顕微鏡を使用する粒子の検出を可能にし、それに対し、疎水性であるビオチンは、
−粒子のコアにおける結合
−ビオチン化配位子による官能化
を可能にする。
図17は、このようにして得られた光学的断面を示す。ハロは、粒子の周囲において区別され、表面においてのみデキストラン(唯一の蛍光化合物)の存在を示す。具体的には、長いポリマー鎖は粒子のコアへ貫通することができなかった。
この表面修飾法は、粒子(活性成分を含有する)のコアを妨害せず、合成後に実施され、よって多様な可能な被覆を提供するという利点を有する。
実施例24:ポリエチレングリコール(PEG)で表面修飾されたカルボン酸鉄(III)の配合
肝臓におけるブスルファンの毒性を最小化するために、ナノ粒子が肝臓へ配向されるのを防止する必要があり、最良の方法は、この臓器内におけるその蓄積を減少させるために、ポリ(エチレングリコール)(PEG)型の親水性鎖を有するハイブリッドナノ粒子を表面移植することである。本発明者らは、異なる媒質中における、PEGで被覆されているまたはされていない粒子のインビトロ分解の完全な研究を想定している。
PEG鎖は、材料の表面に移植するために異なる末端基を有し得る。よって、PEGと粒子表面との相互作用は、異なる種類のPEGを使用することによって変更できる。
−PEG−NH2(α−t−ブチルオキシカルボニルアミノ−ω−アミノポリ(エチレン
グリコール)(PEG;Boc−NH−PEG−NH2、5000MW、イリス・バイオテック社(Iris Biotech))
−PEG−COOH(ポリ(エチレングリコール)カルボン酸、イリス・バイオテック社(Iris Biotech))
−下記の方法に従って研究室内で合成されるPEG−PO4
ホスホネート基は、ホスホネート基と結合しているエステルとのアミドの縮合を介してPEG−NH2と結合している。ホスホネートのナトリウム塩を使用した。次に、ホスホ
ノギ酸トリメチル(trimethyl phosphonoformate)[CAS31142−23−1]から出発し、ロバート エー モス(Robert A.Moss),ヒューゴー モラレス・ロハス(Hugo Morales−Rojas),セイケス ビジャヤラギャバン(Saketh Vijayaraghavan)およびジンツィー ティアン(Jingzhi Tian),J.Am.Chem.Soc.,2004,126,(35),10923−10936による手順に従ってカップリングを実施した。
過剰のメチルホスホノギ酸2ナトリウム(disodium methylphosphonoformate)(50mg、M=183.99)を加えた2mlのDMF(フルカ社(Fluka)、97%)にPEG−NH2(87.6mg、M=5400、イリス・バイオテック社(Iris Biotech GmbH)、PEG1069)を溶解したものを、100℃で撹拌しながら15時間加熱した。次に、溶媒を真空下で除去し、残留物を無水エタノールに懸濁させた。過剰なホスホノホルメートは不溶性であるため、濾過によって除去することができる。濾液を濃縮して、生成物(85mg)を得る。31P NMR, (D2O), d = 1.3 ppm.
ペグ化は、合成中または合成後に実施することができる。
a)合成中におけるPEG−COOHによる表面修飾
MOFの合成は、モノメトキシPEG1酸(MeO−PEG−COOH)(シグマ社(Sigma)、モル質量5000g/mol):
CH3−O−(CH2−CH2−O)−CH2−CH2−COOH
の存在下で直接的に実施する。
モノメトキシPEG1酸を、合成中に使用される固体の総重量に対して3;8.5また
は13%で導入する。
調製方法:
酢酸鉄(1mmol、実施例1において記載されている合成Aに従って合成したもの)およびムコン酸(1mmol;フルカ社(Fluka)、97%)を、10mlのメタノール(アルドリッチ社(Aldrich)、99.9%)中で混合する。全体を23mlのTeflon物体に導入する。次いで、PEG1酸を、固体の総重量に対して3;8.5または13質量%の高さまで導入する。0.35mlの2M水酸化ナトリウムを任意選択で添加する。溶液を20分間撹拌する。
Teflonボンベを、密閉された金属物体内に置き、100℃のオーブンで12時間加熱する。
得られた固体を5000rpmにおける10分間の遠心分離により回収し、蒸留水およびアセトンで洗浄する。
カルボン酸鉄中におけるPEGのアッセイは次の通りに実施する:粒子を酸性媒質(5M HCl)中で完全に分解して、結合しているPEGを放出する。得られた溶液を中和(pH7に)し、ナノ粒子を水酸化ナトリウムで破壊した後、ビー バルーら(B.Baleux et al.)C.R.Acad.Sciences Paris,series C,274(1972)pages 1617−1620[33]において記載されている方法に従って、紫外分光光度法(波長500nmで)によりPEGのアッセイを実施した。主な結果を下記の表にまとめる。
本発明者らは、
−水酸化ナトリウムの添加がナノ粒子のサイズを減少させることを可能にし、
−ナノ粒子中のPEGの質量%が合成の開始時に導入されたPEGの質量%よりも大きく、
−注目すべきことに、医学的用途に好都合な(「穏密性」)、13重量%のPEGを含有する約230nmの粒子を得ることが可能であること、
を見い出している。
具体的には、文献において記載されている「隠匿性」ナノ粒子は、アール グレフら(R.Gref et al.)Colloids and Surfaces B:Biointerfaces,Volume 18,Issues 3−4,October
2000,pages 301−313[34]において記載されている通り、概して、10質量%未満のPEGを含有する。
b)合成後法によるPEGでのMIL−100ナノ粒子の表面修飾
MIL−100ナノ粒子は、9.7gの硝酸鉄6水和物(アルドリッチ社(Aldrich)、97%)、3.38gの1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(1,3,5−BTC、アルドリッチ社(Aldrich)、99%)および40gの蒸留水の溶液から出発して、180℃で30分間(電力600W)のマイクロ波経路(シー イー エム社(CEM)マイクロ波)を介して合成する。光散乱によって計測される粒径は、400nmである。
ペグ化MIL−100ナノ粒子は、先に言及した粒子の表面修飾によって得られる。30mgのMIL−100を、10mgのアミノ末端ポリエチレングリコールの3mlの水溶液(PEG−NH2 5000g/mol、アルドリッチ社(Aldrich)、97%)に30℃で撹拌しながら3時間懸濁させる。これらのナノ粒子を遠心分離(10000rpm/10分)により回収し、蒸留水で洗浄する。
表面のPEGの量は、バルー(Baleux)およびシャンペルティエ(Champertier)の方法により、500nmでの分光光度法によって選択的に計測される、PEG上でのヨウ素−ヨウ素により染色された錯体の形成に基づいて決定する。PEGの量は19質量%であり、ペグ化後の粒径は800nmに増大する。他方で、走査電子顕微鏡法(SEM)によるペグ化および非ペグ化ナノ粒子の観察は、いずれの場合も150nmのナノ粒子を示す。この差異は、微粒子凝集現象による場合がある。
実施例25:ポリエチレングリコール(PEG)で表面修飾されたカルボン酸鉄(III)の超音波処理経路による合成
PEGで表面修飾された固体MIL−88Aナノ粒子の超音波処理経路を介する合成は、実施例8の手順に基づくものであり、異なる反応時間(30、60、90および120分)で実施した。
次の例において、2つの手順を実施した:
a)第1の手順では、合成の終わりの15分前にPEGを添加する。
b)第2の手順では、合成の開始時(t=0分)にPEGを添加する。
以下の合成のそれぞれのために、塩化鉄(III)(2.7mg/ml)およびフマル酸(1.16mg/ml)の水溶液を実施例8(表10)に記載されている通りに調製する。
a)合成1:
5mlの塩化鉄(III)溶液(2.7mg/ml)および5mlのフマル酸溶液(1.16mg/ml)を、8つの20mlのフラスコのそれぞれに添加する:
−反応が4つの合成時間:30、60、90および120分間実施される4つのフラスコは、対照としての役割を果たし、
−他の4つのフラスコ中では、30、60、90および120分続く合成のそれぞれの終わり(超音波処理浴からの除去に相当する合成の終わり)の15分前に5mgのPEGが添加される。
8つのフラスコを、0℃の音波処理浴内に、同時に対応する時間t(30、60、90および120分)置く。
合成後、動的光散乱機(DLS、ナノサイザー)を使用する光散乱によって粒径を測定するために、各フラスコから0.1mlの容積の溶液を取り出す。次いで、形成された固体から上清を分離するために、残りの溶液を10000rpmにおいて0℃で15分間遠心分離する。パスツール・ピペットを使用して上清を除去し、回収されたペレットを室温のドラフトチャンバー下に置く。
時間(t、分で)の関数としての粒径(P、nmで)における変化が図29に表されている。合成の終わりの15分前におけるPEGの存在は、約5nmの粒径の増大を生じさせ、これは、PEG層の厚さ(5000Da)による場合がある。
b)合成2:
5mlの塩化鉄(III)溶液(2.7mg/ml)および5mlのフマル酸溶液(1.16mg/ml)を、8つの20mlのフラスコのそれぞれに添加する:
−反応が4つの合成時間:30、60、90および120分間実施される4つのフラスコは、対照としての役割を果たし、
−他の4つのフラスコ中では、30、60、90および120分続く合成のそれぞれの開始時に5mgのPEGが添加される。
8つのフラスコを、0℃の音波処理浴内に、同時に対応する時間t(30、60、90および120分)置く。
合成後、動的光散乱機(DLS、ナノサイザー)を使用する光散乱によって粒径を測定するために、各フラスコから0.1mlの容積の溶液を取り出す。次いで、形成された固体から上清を分離するために、残りの溶液を10000rpmにおいて0℃で15分間遠心分離する。パスツール・ピペットを使用して上清を除去し、回収されたペレットを室温のドラフトチャンバーに入れる。
時間(t、分で)の関数としての粒径(P、nmで)における変化が図30に表されている。この図は、初期合成時間におけるPEGの添加後、有意な変動がないことを示す。
初期合成時間においてPEGが存在していても存在していなくても、MIL−88A相の特徴である11°のショルダーをXRDによって観察することが可能であり、合成時間とともに強度が増大するように思われる。
c)研究の結論:
この研究の目的は、粒子を静脈内投与に適合させることができるように、200nm未満でなくてはならない粒径を最適化することであった。得られた粒子直径は200nm未満である(ほとんどの固体におけるMIL−88A型の結晶構造の検証による)ため、得られた結果は十分である。さらに、収率はソルボサーマル経路またはマイクロ波によって得られる粒子よりも低いが、許容できると見なされ得る(以下の表)。
粒径は合成時間の関数として増大することを観察することが可能である。
同様に、t=0分におけるペグ化は、おそらく結晶成長が早く停止されるという事実により、t=f−15分におけるペグ化よりも小さい粒子直径をもたらす。
実施例26:ポリエチレングリコール(PEG)および葉酸(FA)によって表面修飾されたMOF固体の配合
a)合成1:ナノ粒子の配合後の表面エリアの修飾
PEGによる表面修飾:
100mgのMIL−100、MIL−88、MIL−53またはMIL−101ナノ粒子(100℃/夜で予め脱水したもの)を、無水トルエン中17.9mMの2−(メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル)トリメトキシシランを含有する100mlの溶液に、音波処理によって分散させる。混合物を、不活性ガス(窒素)流下、60℃で4時間超音波にさらす。PEGで表面修飾されたナノ粒子を含有する得られたコロイド懸濁液を、エタノールで2回および20mMクエン酸ナトリウム溶液(pH8.0)で2回洗浄し、最後に水に再懸濁させる。
PEGおよびFAによる表面の修飾:
コーラー エヌら(Kohler N.et al.)による文献,J Am Chem Soc 2004;126:7206−7211において記載されている方法に従って合成された2官能性スペーサー、シラン−PEG−トリフルオロエチルエステル(TFEE)を利用して、FAをナノ粒子と結合させた。
2−メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピルトリメトキシシランの代わりにシラン−PEG−TFEEを使用し、上記したのと同じ方法に従って、100mgのナノ粒子をPEG−TFEEで被覆する。
PEG−TFEEで被覆された得られたナノ粒子を2回洗浄し、次いで、100mlの乾燥トルエンに再懸濁させる。窒素流下に維持したナノ粒子に1mlのエチレンジアミン(シグマ社(Sigma))を添加することにより、第1級アミンをPEG鎖の末端基に移植した。混合物を超音波処理した(4時間、60℃)。アミンで被覆された得られたナノ粒子を、エタノールで3回およびジメチルスルホキシド(DMSO)で3回洗浄した。最後に、ナノ粒子を50mlの無水DMSOに再懸濁させた。等モル量のジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(シグマ社(Sigma))および10μLのピリジンを加えた50mlのFA溶液(DMSO中23mMのFA)を添加することにより、FAをPEG鎖のアミン末端基とカップリングさせた。混合物を光から保護し、2次元で撹拌(180rpm)しながら終夜反応させた。PEGHおよびFAと抱合したナノ粒子(NP−PEG−FA)を、エタノールで2回および20mMクエン酸ナトリウム溶液(pH8.0)で2回洗浄し、最後に、この同じクエン酸ナトリウム溶液に再懸濁させた。
b)合成2:ナノ粒子の合成中における表面修飾
MOF固体の表面修飾は、合成中に行ってもよい。
次の例において、表面修飾は、予め葉酸(FA)を移植したキトサンを用いて実施する。
PEGスペーサーによって葉酸を移植したキトサンの合成の例は、ペギー チャンら(Peggy Chan et al.)による刊行物,Biomaterials,Volume 28,Issue 3,2007,pp.540−549において記載されている。
この例を実施するために、下記の試薬を使用した:
−キトサン(255kDaのモル質量Mn、粘度:1%酢酸中200〜800ミリパスカル/秒(200〜800センチポイズ)、シグマ・アルドリッチ社(Sigma−Aldrich)により販売)
−N−ヒドロキシルコハク酸イミド−PEG−マレイミド(NHS−PEG−MAL、Mn3400Da、ネクター社(Nektar)、日油株式会社(NOF Corporation)[日本、東京所在]により販売)
−モノメトキシ−PEGのスクシニミジルエステル(mPEG−SPA、Mn5000Da、ネクター社(Nektar)、日油株式会社(NOF Corporation)[日本、東京所在]により販売)。
82%のアセチル化度(1H−NMRにより測定)を得るために、ワン エル エス(
Wang L.S.)(Thesis,シンガポール国立大学(National University of Singapore),[シンガポール(Singapore)所在],2001)によって記載されている方法に従って、キトサンを予め脱アセチル化する。
100mgのキトサンを50mlの酢酸溶液(20%)に溶解した。水酸化ナトリウムを添加することによって溶液のpHを6に調整し、mPEG−SPAを反応混合物に導入した。混合物を室温で撹拌しながら24時間反応させた。得られた生成物を、12000Daのカットオフ閾値を有する膜(スペクトラム・ラボラトリーズ社(Spectrum
Laboratories)[米国(USA)所在])を使用して、脱イオン水に対して24時間透析し、最後に凍結乾燥した。
PEGおよびFAを移植したキトサンを合成するために、ジェイ エイチ ヴァン スティーニスら(J.H.Van Steenis et al.),J Control
Release 87(2003),pp.167−176によって記載されている方法に従って、FAのN−ヒドロキシコハク酸イミドエステルを調製した。
簡潔に述べると、1gのFAを無水DMSO(40ml)およびトリエチルアミン(TEA、0.5ml)の混合物に添加した。混合物を終夜光から保護して無水条件下で撹拌した。他の試薬、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、0.5g)およびN−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS、0.52g)を添加し、混合物を光から保護して無水条件下で18時間反応させた。沈殿した副生成物、ジシクロヘキシル尿素(DCU)を濾過によって除去した。DMSOおよびTFAを真空下で蒸発除去させた。反応生成物を真空下で乾燥させ、次いで、DMSOおよびTEAの1.5mlの2/1(v/v)混合物に溶解した。等モル量の2−アミノエタンチオール(和光純薬工業株式会社(Wako))を添加し、反応を無水条件下で終夜続けさせた。このようにして、チオール基を葉酸に導入することができ、得られた生成物は、FA−SHとして知られている。
100mgのキトサンを50mlの酢酸溶液(20%)に溶解する。水酸化ナトリウムを添加することによって溶液のpHを6に調整し、100mgのNHS−PEG−Malを反応混合物に導入する。混合物を室温で撹拌しながら3時間反応させ、次いでpHを7に調整する。無水条件下、混合物を終夜反応させる。先のようにして合成したFA−SHを撹拌しながら徐々に添加し、水酸化ナトリウムでpHを6.5〜7.5に調整した。
葉酸受容体に到達するために好都合な、PEGスペーサーアームを介してキトサンとカップリングしているFAを有するFA−PEGカイとして知られる抱合体が得られた(文献に記載されている通り、例えば、エー ギャビゾン(A.Gabizon),エイチ シミーダ(H.Shmeeda),エー ティー ホロウィッツ(A.T.Horowi
tz)およびエス ザリプスキー(S.Zalipsky),Tumor cell targeting of liposome−entrapped drugs with phospholipids−anchored folic acid−PEG conjugates,Adv Drug Deliv Rev 56(2004),pp.1177−1192を参照)。
置換度は、反応において使用されるPEG/キトサン質量比を変動させることによって調整できる。このポリマーを、12000Daのカットオフ閾値を有する膜(スペクトラム・ラボラトリーズ社(Spectrum Laboratories)[米国(USA)所在])を使用して、脱イオン水に対して48時間透析し、最後に凍結乾燥した。
c)合成3:
ハイブリッド固体は、ビオチンが移植されたデキストラン等の多糖類の吸着によって表面修飾することができる。
よって、ビオチンが移植されたデキストランの代わりに、葉酸が移植されたキトサン(以上で引用した刊行物において記載されている通りに合成したもの)を吸着することが想定され得、必要に応じて、ナノ粒子の表面とのより良好な接着を確実にするために、コレステロールまたは脂肪族鎖単位等の他の疎水性化合物が任意選択で移植されていてもよい。
表面官能化は、他のFAが移植された多糖類の吸着によって行ってもよい。
d)合成4:
ハイブリッド固体は、その合成中にPEGで表面修飾することができる。本発明者らは、この合成において使用されたモノメトキシPEG1酸を、鎖末端で遮断された反応性官能基を含むPEG1酸、例えば、市販品:
Boc−PEG−カルボネートNHS、MW5000、Boc=tert−ブトキシカルボニル 基準SUNBRIGHT(登録商標)BO−050TS、日油株式会社(NOF Corporation)
と置き換えることを提案する。
反応後、本発明者らがMeO−PEG−COOHの代わりに混合物MeO−PEG−COOHおよびBoc−PEG−カルボネートNHS(質量比1/0.05〜1/0.5)を使用することを除いては、例において示した通り、トリフルオロ酢酸(TFA)を添加することによって脱保護を行う。
考えられるプロトコール:
0.6mlのTFAを、2mlの水中の300mgのナノ粒子の懸濁液に添加する。混合物を磁気撹拌しながら室温で1時間反応させる。遠心分離によって粒子を単離し、再蒸留水で3回洗浄する。
表面の反応基を、例えば合成Aのように、FA等の配位子によって官能化させる。
e)ナノ粒子の特徴付け:
ナノ粒子と効果的にカップリングした葉酸の量は、ナノ粒子を酸性媒質中で分解し、pH7に中和し、次いで、ジクロロメタン、DMSOまたはこれらの2つの溶媒の混合物等の適切な溶媒に再溶解した後に測定することができる。次いで、紫外吸光度を計測することにより、葉酸を定量化することができる(358nmにおいて、葉酸のモル吸光係数εは、15.76M-1.cm-1である)。
葉酸が確かにナノ粒子の表面にあることを確認するために、本発明者らは、表面プラズモン共鳴(ビアコア社(BIAcore))等の技術を使用することができる。葉酸結合タンパク質は、検出器の表面上で、活性デキストランの薄膜に固定される(製造業者ビア
コア社(BIAcore)によって推奨される標準的な手順)。この支持体と効果的に結合したナノ粒子の量を、葉酸で被覆されていないナノ粒子の量に対して評価する。
実施例27:混合MOF固体の配合:ガドリニウムおよび鉄に基づくもの
2つの合成条件が考えられる:
合成1:
0.028g(0.5mmol)の金属鉄粉末Fe°(リーデル・デ・ヘーン社(Riedel−de Haen)、99%)、0.225gの硝酸ガドリニウム(III)6水和物(0.5mmol、アルドリッチ社(Aldrich)、99.9%)および0.140gの1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(0.666mmol、アルドリッチ社(Aldrich)、95%)を、10mlの脱イオン水に分散させ、全体を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflon物体内、180℃で24時間放置した。次いで、固体を濾過除去し、水およびエタノールで洗浄する。
合成2:
0.065g(3量体1個につき、鉄1当たり約0.5mmol)の酢酸鉄(III)(実施例1において記載されている合成に従って調製したもの)、0.225gの硝酸ガドリニウム(III)6水和物(0.5mmol、アルドリッチ社(Aldrich)、99.9%)および0.140gの1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(0.666mmol、アルドリッチ社(Aldrich)、95%)を、10mlの脱イオン水(またはメタノールまたはエタノールまたはジメチルホルムアミド)に分散させ、全体を、パール社(Paar)の金属ボンベに入れた23mlのTeflon物体内、150℃で12時間放置した。次いで、固体を濾過除去し、水、その後エタノールで洗浄する。
実施例28:他のMOF固体:カルボン酸ジルコニウムおよびホスホン酸チタンへの尿素の封入
チタン(Ti)またはジルコニウム(Zr)が、この実施例を実施するために選択された理由となった健康上のリスクを構成することを示す証拠はない。具体的には、チタンは現在移植片において2酸化チタンとして使用されており、ここで、組織中における有害反応はなく、チタンが生物学的に適合することを示唆している。さらに、ラットへの250mg/kgの静脈内投与は、2酸化チタンが不活性物質であることを示す(シー ビー ハギングス(C.B.Huggings),ジェイ ピー フローリック(J.P.Froehlich),J.exp.Med.,124,1099,1966)。より具体的には、チタネートについての研究で、ラットに対する12g/kgを超える経口致死量50(LD50)を示した(ジェイ アール ブラウン(J.R.Brown),イー マストロマテオ(E.Mastromatteo),Ind.Med.Surg.,31,302,1962)。
Zrは体内の微量元素であり、体内におけるその存在は比較的高いが、元素Zrと関係する特定の代謝機能は未だ実証されていない。この金属は毒性でも必須でもないようである(エス ゴーシュ(S. Ghosh),エー シャーマ(A.Sharma),ジー
タールクダー(G.Talukder),Biological Trace Element Research,35(3),247,1992)。しかしながら、新規材料中における、またはX線造影剤としてのその使用により、その毒性についてより綿密な研究が必要である(ZrCl4のラットにおける経口LD50=1.7g/kg)。
同様に、カルボン酸以外の金属錯化基、例えば、イミダゾレート、カテコレートまたはホスホネートを有する有機配位子を使用することが可能である。次の例においては、有機配位子N,N’−ピペラジンビス(メチレンホスホネート)を錯化ホスホネート配位子として選択した。ホスホネートは、概してカルボン酸よりも錯体化しやすく、より安定な構造を与える。具体的には、金属、配位子および錯化基は、固体の特性(生分解性、親水性、活性分子−マトリックス間相互作用等)を変更するように変更され得る。
a)ジホスホン酸チタンMIL−91(Ti):(TiO(H2L)・nH2O(n−4.
5、L=O3P−CH2−NC48N−CH2−PO3))の合成
多孔質固体チタン(IV)N,N’−ピペラジンビス(メチレンホスホネート)MIL−91(Ti)は、96mgのTiO2・H2Oおよび270mgのN,N’−ピペラジンビス(メチレンホスホン酸)(モードリッツァー ケー(Moedritzer,K.);イラーニ アール アール(Irani,R.R.)J.Org.Chem.31,1603,1966によって記載されている方法に従って生成したもの)の混合物、0.04mlのフッ化水素酸HF(プロラボ社(Prolabo)Normapur40%)ならびに4.95mlの脱イオン水から出発し、全体を撹拌せずに23mlのTeflon物体に導入し、次いで、この物体をパール社(Paar)の金属物体に入れ、全体を210℃で96時間維持する、熱水合成によって調製した。
2酸化チタン水和物TiO2・H2Oは、500mlの塩酸HCl溶液(プロラボ社(Prolabo)、36%)に撹拌しながらゆっくり導入された500mlのTiCl4
アルドリッチ社(Aldrich)、99%)から調製する。次いで、室温で撹拌しながらアンモニア水(プロラボ社(Prolabo)、20%)を添加することにより、黄色溶液をゆっくり中和する。懸濁液のpHが7〜8に到達したら、塩基の導入を停止させる。得られた白色沈殿物を最初に濾過除去し、次いで過剰な蒸留水で3回洗浄する。次いで、固体を100℃で24時間乾燥させ、その後、大量の水(1リットル)に再分散させて微量のアンモニウム塩を除去し、次いで濾過除去し、蒸留水で数回すすぐ。最終固体を風乾させる。
光散乱によって計測される単分散の粒径は、265である。
b)カルボン酸ジルコニウムZrBDCの合成
235mgのZrCl4(アルファ・エイサー社(Alfa Aesar)、99.5
%)、230mgのテレフタル酸(アルドリッチ社(Aldrich)、98%)および5mlのジメチルホルムアミド(アクロス・オーガニックス社(Acros Organics)、超乾燥)から調製した混合物を、室温で10分間撹拌しながらTeflon物体に導入する。
次いで、Teflon物体をパール社(Paar)の金属物体に導入し、その後、150℃のオーブンに15時間入れる。室温に冷却後、濾過によって固体を除去し、風乾させる。孔内に含有されている溶媒を、空気中200℃における15時間の固体の焼成によって除去する。
光散乱によって計測される粒径は、2つの集合、150nmの主要な集合および1μmの極小集合を示す。
c)尿素の封入
MOF材料への化粧品の挿入のためには、予め脱水(150℃/12時間)した150mgのMIL−91(Ti)固体またはZrCO固体を、蒸留水(500mg/ml)中またはエタノール(30mg/ml)中の尿素の10mlの溶液に、室温で撹拌しながら5日間懸濁させる。吸着後、化粧品が充填された固体を、10000rpmにおける15分間の遠心分離により回収し、風乾させる。XRDおよびFTIRによって固体を特徴付ける。吸着された化粧品含有量の定量化は、TGAによって実施する。
XRDにより、尿素の封入後、2つの材料の結晶構造が維持されていることを確認できる。最初の回折ピークの相対強度は、ホスホン酸チタンMIL−91において、化粧品の吸着後、孔内における尿素の存在によって変動する。
エタノール中溶液を使用して封入された尿素を含有するテレフタル酸ジルコニウムにおいて、線の広がり(回折ピーク)が観察される。これは、エタノール中における5日後の
小さな分解によって説明できる。
フーリエ変換赤外分光(FTIR)により、固体中に尿素が確かに存在することを示す1680(アミドν(C=O))および3400cm-1(ν(N−H))の尿素に相当するバンドの存在を確認することができる。
材料MIL−91およびZrCOによって封入される尿素の量は極めて大きく、乾燥固体に対してそれぞれ最大41%および66%である(以下の表に記載される通り)。
参考文献一覧

Claims (26)

  1. 以下の式(I):
    式(I)
    を有する単位の三次元の連続を有し、
    オリゴ糖、多糖、グリコサミノグリカン、ポリマー、界面活性剤、ビタミン、補酵素、抗体または抗体フラグメント、アミノ酸およびペプチドからなる群から選択される少なくとも1種の有機表面剤を含むように表面が修飾されている、等網状多孔質結晶性MOF固体。
    (式中、
    −Mの各存在は、独立してFe2+、Fe3+、Zn2+、Ti3+、Ti4+、Zr2+、Zr4+、Ca2+、Cu2+、Gd3+、Mg2+、Mn2+、Mn3+、Mn4+、Si4+からなる群から選択される金属イオンを表し、
    −m、k、lおよびpは、該単位の電荷の中立性を尊重するように選択される0以上の数字であり、好ましくは、m、k、lおよびpは、独立して0〜4であり、例えばmおよびpは独立して1、2もしくは3であるか、kおよびlは独立に0もしくは1であるかの少なく一方であり、
    −Xは、OH-、Cl-、F-、I-、Br-、SO4 2-、NO3 -、ClO4 -、R1−(CO
    O) -、R1−(SO3 -、R1−(PO3 -からなる群から選択される配位子であ
    り、R1は、水素原子、直鎖または分枝鎖のC1〜C8アルキルであり、n=1〜6であり

    −Lは、q個の基Aを有する基Rからなるスペーサー配位子であり、ここで、
    ・qは、1、2、3、4、5または6、例えば2〜4であり、
    ・Aの各存在は、独立して
    であり、
    ここで、*は、基Aの基Rとの結合点を表し、
    #は、基Aの金属イオンMとの可能な結合点を表し、
    A1およびRA2は、独立して水素原子、直鎖、分枝鎖または環式の任意選択で置換されているC1〜12アルキル、C2〜12アルケンまたはC2〜12アルキン基、あるいは、6〜5
    0個の炭素原子からなる任意選択で分枝され、かつ/または置換されている単環式または多環式アリールであり、
    ・Rは、
    (i)C1〜12アルキル、C2〜12アルケンまたはC2〜12アルキン基、
    (ii)6〜50個の炭素原子からなる縮合または非縮合の単環式または多環式アリール基、
    (iii)1〜50個の炭素原子からなる縮合または非縮合の単環式または多環式ヘテロアリール、
    (iv)フェロセン、ポルフィリン、フタロシアニンおよびシッフ塩基RX1X2−C=N−RX3からなる群から選択される金属元素からなる有機基
    を表し、
    X1およびRX2は、独立して水素原子、直鎖、分枝鎖または環式の任意選択で置換されているC1〜12アルキル、C2〜12アルケンまたはC2〜12アルキン基、あるいは、6〜5
    0個の炭素原子からなる任意選択で分枝され、かつ/または置換されている単環式または多環式アリールであり、
    X3は、直鎖、分枝鎖または環式の任意選択で置換されているC1〜12アルキル、C2〜12アルケンまたはC2〜12アルキン基、あるいは、6〜50個の炭素原子からなる任意選
    択で分枝され、かつ/または置換されている単環式または多環式アリールであり、
    基Rは、C1〜10アルキル、C2〜10アルケン、C2〜10アルキン、C3〜10シクロアルキル、C1〜10へテロアルキル、C1〜10ハロアルキル、C6〜10アリール、C3〜10ヘテロアリール、C5〜20複素環、C1〜10アルキルC6〜10アリール、C1〜10アルキルC3〜10
    テロアリール、C1〜10アルコキシ、C6〜10アリールオキシ、C3〜10ヘテロアルコキシ
    、C3〜10ヘテロアリールオキシ、C1〜10アルキルチオ、C6〜10アリールチオ、C1〜10ヘテロアルキルチオ、C3〜10ヘテロアリールチオ、F、Cl、Br、I、−NO2、−CN、−CF3、−CH2CF3、−CHCl2、−OH、−CH2OH、−CH2CH2OH、
    −NH2、−CH2NH2、−NHCOH、−COOH、−CONH2、−SO3H、−CH2SO2CH3、−PO32、−B(ORG12または官能基−GRG1からなる群から独立に
    選択される1個または複数の基R2で任意選択で置換されており、
    ここでGは、−O−、−S−、−NRG2−、−C(=O)−、−S(=O)−、−SO2−、−C(=O)O−、−C(=O)NRG2−、−OC(=O)−、−NRG2C(=O
    )−、−OC(=O)O−、−OC(=O)NRG2−、−NRG2C(=O)O−、−NRG2C(=O)NRG2−、−C(=S)−、−C(=S)S−、−SC(=S)−、−SC(=S)S−、−C(=NRG2)−、−C(=NRG2)O−、−C(=NRG2)NRG3−、−OC(=NRG2)−、−NRG2C(=NRG3)−、−NRG2SO2−、−NRG2SO2NRG3−、−NRG2C(=S)−、−SC(=S)NRG2−、−NRG2C(=S)S−、−NRG2C(=S)NRG2−、−SC(=NRG2)−、−C(=S)NRG2−、−OC(=S)NRG2−、−NRG2C(=S)O−、−SC(=O)NRG2−、−NRG2C(=O)S−、−C(=O)S−、−SC(=O)−、−SC(=O)S−、−C(=S)O−、−OC(=S)−、−OC(=S)O−または−SO2NRG2−であり、
    G1、RG2およびRG3の各存在は、RG1の他の存在とは独立して水素原子;ハロゲン原子;あるいは直鎖、分枝鎖または環式の任意選択で置換されているC1〜12アルキル、C1〜12へテロアルキル、C2〜10アルケンまたはC2〜10アルキン基;あるいは基C6〜10
    リール、C3〜10ヘテロアリール、C5〜10複素環、C1〜10アルキルC6〜10アリールまたはC1〜10アルキルC3〜10ヘテロアリールであり、ここで、該アリール、ヘテロアリールまたは複素環式基は、任意選択で置換されているか、あるいは、Gが−NRG2−、RG1およびRG2を表す場合、それらが結合した窒素原子と一緒になって、任意選択で置換されている複素環またはヘテロアリールを形成する。)
  2. 前記配位子Lが、

    からなる群から選択されるジ−、トリ−、テトラ−またはヘキサカルボン酸配位子であり、
    1は、OまたはSを表し、
    sは、1〜4の整数を表し、
    tの各存在は、独立して1〜4の整数を表し、
    uは、1〜7の整数を表し、
    L1およびRL2は、独立してH、ハロゲンまたはC1〜C6アルキルを表し、
    L3の各存在は、独立してH、ハロゲン、OH、NH2、NO2またはC1〜C6アルキ
    ルを表す、請求項1に記載の固体。
  3. 前記配位子Lが、C22(CO2 -2(フマル酸)、C24(CO2 -2(スクシン酸)、C36(CO2 -2(グルタル酸)、C44(CO2 -2(ムコン酸)、C48(CO2 -2(アジピン酸)、C714(CO2 -2(アゼライン酸)、C53S(CO2 -2(2,5−チオフェンジカルボン酸)、C64(CO2 -2(テレフタル酸)、C622(CO2 -2(2,5−ピラジンジカルボン酸)、C106(CO2 -2(ナフタレン−2,6−ジ
    カルボン酸)、C128(CO2 -2(ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸)、C128
    2(CO2 -2(アゾベンゼンジカルボン酸)、C63(CO2 -3(ベンゼン−1,2
    ,4−トリカルボン酸)、C63(CO2 -3(ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸
    )、C2415(CO2 -3(ベンゼン−1,3,5−トリ安息香酸)、C62(CO2 -4(ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸)、C104(CO2 -4(ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸)、C104(CO2 -4(ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸)、C126(CO2 -4(ビフェニル−3,5,3’,5’−テトラカルボン酸)、ならびに、2−アミノテレフタル酸、2−ニトロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−ブロモテレフタル酸、2,5−ジヒドロキソテレフタル酸、テトラフルオロテレフタル酸、テトラメチルテレフタル酸、ジメチル−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、テトラメチル−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、ジカルボキシ−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,5−ピラジンジカルボン酸、2,5−ジペルフルオロテレフタル酸、アゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸、3,3’−ジクロロアゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸、3,3’−ジヒドロキソアゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸、3,3’−ジペルフルオロアゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸、3,5,3’,5’−アゾベンゼンテトラカルボン酸、2,5−ジメチ
    ルテレフタル酸、ペルフルオロスクシネート、ペルフルオロムコン酸、ペルフルオログルタル酸、3,5,3’,5’−ペルフルオロ−4,4’−アゾベンゼンジカルボン酸、3,3’−ジペルフルオロアゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸からなる群から選択される修飾類似体からなる群から選択されるジ−、トリ−またはテトラカルボン酸配位子である、請求項1に記載の固体。
  4. 前記配位子Lが、テトラフルオロテレフタル酸、ペルフルオロスクシン酸、ペルフルオロムコン酸、ペルフルオログルタル酸、2,5−ジペルフルオロテレフタル酸、3,6−ペルフルオロ−1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、3,5,3’,5’−ペルフルオロ−4,4’−アゾベンゼンジカルボン酸または3,3’−ジペルフルオロアゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸からなる群から選択されるフルオロ配位子である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の固体。
  5. 前記配位子Lが、C714(CO2 -2;アミノサリチル酸;クロドロネート、パミドロンテート、アレンドロネート、エチドロネート;メプロバメート;カルボン酸、ホスホネートおよびアミノ基のうちの少なくとも一つからなるポルフィリン類;アミノ酸;カルボン酸、ホスホネートおよびアミノ基のうちの少なくとも一つからなるアゾベンゼン類;ジベンゾフラン−4,6−ジカルボン酸、ジピコリン酸;グルタメート、フマレート、スクシネート、スベレート、アジペート、ニコチネート、ニコチンアミド、プリン、ピリミジンからなる群から選択される生物学的活性配位子である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の固体。
  6. 前記配位子Xが、OH-、Cl-、F-、CH3−COO-、PF6 -およびClO4 -からなる
    群から選択される、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の固体。
  7. 前記配位子Xの少なくとも1回の存在が18-である、請求項1乃至5のいずれか1項に
    記載の固体。
  8. ナノ粒子の形態である、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の固体。
  9. 前記有機表面剤が、オリゴ糖、多糖、キトサン、デキストラン、ヒアルロン酸、ヘパリン、フコイダン、アルギネート、ペクチン、アミロース、シクロデキストリン、デンプン、セルロース、キシラン、ポリエチレングリコール(PEG)、プルロニック、ポリビニルアルコールおよびポリエチレンイミンからなる群から選択される、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の固体。
  10. 前記有機表面剤が、ビオチン、葉酸、リポ酸、アスコルビン酸、抗体または抗体フラグメントおよびペプチドからなる群から選択される標的分子である、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の固体。
  11. その孔内またはその表面に、少なくとも1種の医薬活性成分、1種の化粧用途の化合物、および1種のマーカーのうちの少なくとも一つを含む、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の固体。
  12. 前記医薬活性成分が、タキソテール、ブスルファン、アジドチミジン(AZT)、アジドチミジンホスフェート(AZTP)、シドフォビル、ゲムシタビン、タモキシフェンからなる群から選択される、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の固体。
  13. その孔内またはその表面に、ローダミン、フルオレセイン、ルシフェラーゼ、ピレンおよび誘導体、ならびにアミノピロリジノ−7−ニトロベンゾフラザンからなる群から選択さ
    れる少なくとも1種の蛍光分子を含む、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の固体。
  14. その孔内またはその表面に、乾燥固体の1重量%〜200重量%の充填容量を有する容量の少なくとも1種の医薬活性成分を含む、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の固体。
  15. その孔内またはその表面に、ベンゾフェノン、ビスナジンおよびサリチル酸からなる群から選択される少なくとも1種の化粧用途の化合物を含む、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の固体。
  16. その孔内またはその表面に、医学画像用マーカー、造影剤、トレーサー、放射性マーカー、蛍光マーカーおよびリン光マーカーからなる群から選択される少なくとも1種のマーカーを含む、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の固体。
  17. 前記マーカーが、蛍光化合物、酸化鉄、ガドリニウム錯体、前記構造内に直接存在しているガドリニウムイオンからなる群から選択される、請求項16に記載の固体。
  18. 請求項1乃至17のいずれか1項に記載の固体を調製する方法であって、前記固体を得るために、
    a)極性溶媒中で、
    −金属Mの形態の少なくとも1種の金属無機前駆体、金属Mの塩または金属イオンMからなる配位錯体(ここで、Mは請求項1で定義された通りである)を含む少なくとも1種の溶液と、
    −q個の基*−AHを有する基Rを含む少なくとも1個のリガンドL’と、
    (ここで、
    ・q、AおよびRは、請求項1で定義された通りであり、
    ・*は、基Aの基Rとの結合点を表す)
    を混合することからなる、少なくとも1つの反応工程(i)と、
    b)前記固体を、オリゴ糖、多糖、グリコサミノグリカン、ポリマー、界面活性剤、ビタミン、補酵素、抗体または抗体フラグメント、アミノ酸およびペプチドからなる群から選択される少なくとも1種の有機表面剤と結合させる工程(iii)と、
    からなる方法。
  19. 前記使用される配位子L’が、

    からなる群から選択される2、3、4または6座配位子を表し、
    3は、請求項18で定義された通りであり、
    1は、OまたはSを表し、
    sは、1〜4の整数を表し、
    tの各存在は、独立して1〜4の整数を表し、
    uは、1〜7の整数を表し、
    L1およびRL2は、独立してH、ハロゲンまたはC1〜C6アルキルを表し、
    L3の各存在は、独立してH、ハロゲン、OH、NH2、NO2またはC1〜C6アルキ
    ルを表す、請求項18に記載の方法。
  20. 前記使用される配位子L’が、C22(CO2H)2(フマル酸)、C24(CO2H)2(コハク酸)、C36(CO2H)2(グルタル酸)、C44(CO2H)2(ムコン酸)、C48(CO2H)2(アジピン酸)、C714(CO2H)2(アゼライン酸)、C53S(
    CO2H)2(2,5−チオフェンジカルボン酸)、C64(CO2H)2(テレフタル酸)、C622(CO2H)2(2,5−ピラジンジカルボン酸)、C106(CO2H)2(ナフタレン−2,6−ジカルボン酸)、C128(CO2H)2(ビフェニル−4,4’−ジ
    カルボン酸)、C1282(CO2H)2(アゾベンゼンジカルボン酸)、C63(CO2
    H)3(ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸)、C63(CO2H)3(ベンゼン−1
    ,3,5−トリカルボン酸)、C2415(CO2H)3(ベンゼン−1,3,5−トリ安息香酸)、C62(CO2H)4(ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸)、C104(CO2H)4(ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸)、C104(CO2
    4(ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸)、C126(CO2H)4(ビフェニル−3,5,3’,5’−テトラカルボン酸)、ならびに、2−アミノテレフタル酸、2−ニトロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−ブロモテレフタル酸、2,5−ジヒドロキソテレフタル酸、テトラフルオロテレフタル酸、2,5−ジカルボキシテレフタル酸、ジメチル−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、テトラメチル−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、ジカルボキシ−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,5−ピラジンジカルボン酸、2,5−ジペルフルオロテレフタル酸、アゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸、3,3’−ジクロロアゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸、3,3’−ジヒドロキソアゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸、3,3’−ジペルフルオロアゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸、3,5,3’,5’−アゾベンゼンテトラカルボン酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、ペルフルオログルタル酸からなる群から選択される修飾類似体からなる群から選択されるジ−、トリ−またはテトラカルボン酸である、請求項19に記載の方法。
  21. 前記反応工程(i)が、以下の反応条件:
    (i)0℃〜220℃の反応温度、
    (ii)0〜1000rpmの撹拌速度、
    (iii)1分〜96時間の反応時間、
    (iv)0〜7のpH、
    (v)前記溶媒、前記前駆体、前記配位子またはそれらの混合物への、酢酸、ギ酸および安息香酸からなる群から選択される少なくとも1種の共溶媒の添加、
    (vi)該溶媒が、水、アルコールR−OH(Rは直鎖または分枝鎖のC1〜C6アルキル基である)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジエチルホルムアミド、クロロホルム、シクロヘキサン、アセトン、シアノベンゼン、ジクロロメタン、ニトロベンゼン、エチレングリコール、ジメチルアセトアミド、または混和性であっても非混和性であってもよいこれらの溶媒の混合物からなる群から選択される、
    (vii)超臨界媒質中、
    (viii)マイクロ波下および/または超音波下、
    (ix)電気化学的電解条件下、
    (x)ロール粉砕機を使用する条件下、
    (xi)ガス流中
    の少なくとも1つを用いて実施される、請求項18乃至20のいずれか1項に記載の固体を調製する方法。
  22. 前記固体に少なくとも1種の医薬活性成分および/または化粧用途の化合物および/また
    はマーカーを導入する工程(ii)をさらに含む、請求項18乃至21のいずれか1項に記載の固体を調製する方法。
  23. 請求項18乃至22のいずれか1項に記載の方法によって得られる固体。
  24. 医学画像において使用され得るマーカーの製造のための、請求項1乃至17の1項に記載の固体の使用。
  25. 薬剤の製造のための、その孔内またはその表面に少なくとも1種の医薬活性成分を含む、請求項11乃至17の1項に記載の固体の使用。
  26. ポジトロン放射型断層撮影において使用され得るマーカーの製造のための、請求項4、7および11のいずれか1項に記載の固体の使用。
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