JP2010540600A - カルボン酸鉄系有機/無機ハイブリッドナノ粒子 - Google Patents

カルボン酸鉄系有機/無機ハイブリッドナノ粒子 Download PDF

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Abstract

本発明は、例えば造影剤として使用される、カルボン酸鉄から製造された有機ハイブリッド材料から製造されたナノ粒子に関する。該粒子を、医薬活性剤、化粧用途の化合物およびマーカなどの対象分子の封入および方向付けに使用することもできる、前記ナノ粒子は、画像化のためのそれらの固有の特性の他に、薬物を充填するための能力および生体適合性の観点で良好な結果を示す。

Description

本発明は、等網状結晶性多孔質金属有機骨格構造体(MOF)のナノ粒子、および特にそれらを調製する方法に関する。
本発明のMOFナノ粒子を、例えば、造影剤としておよび医薬化合物を担持するためのナノ粒子としての少なくとも一方として使用することができる。本発明のナノ粒子を化粧品分野における用途に使用することもできる。体内の医薬化合物を方向付け(ベクター化)および/または監視するためにそれらを使用することもできる。
角括弧の中の記号[X]は、実施例の最後の参考文献のリストを指す。
金属有機骨格構造体(MOF)は、金属イオンと、金属イオンに配位結合した有機配位子とを含む無機−有機ハイブリッド構造体配位ポリマーである。これらの材料は、金属クラスタがスペーサ配位子を介して周期的に結合する一次元、二次元または三次元骨格に組織化される。これらの材料は、結晶構造を有し、通常は多孔質であり、ガス貯蔵、液体吸着、液体または気体分離、触媒などの多くの工業用途に使用される。
挙げることができる例としては、亜鉛系MOF材料を含む触媒系を含む反応プロセスが記載されている米国特許出願出願番号第10/039 733号[1]がある。この同じ材料は、米国特許出願出願番号第10/061 147号[2]においてガス貯蔵のためにも使用される。
加えて、同じトポロジーの骨格に基づくMOF材料は、「等網状」と呼ばれる。これらの空間的に組織化された骨格によって、より均一な多孔質を得ることを可能になった。したがって、米国特許出願番号第10/137 043号[3]には、ガス貯蔵に使用されるいくつかの亜鉛系IRMOF(等網状金属有機骨格構造体)材料が記載されている。
しかし、ナノ粒子、特に1000nmより小さいナノ粒子は、容易に凝集するそれらの性質およびダイサイズ(マイクロメートル)の結晶格子を組織化するこれらの材料の傾向から、合成するのが困難である。これは、また、特定の用途にとって好ましくない粒径の不均一性の問題をもたらす。
また、これらの材料の構造および構成要素のトポロジーは、先行技術においてあまり研究されてこなかった。加えて、前記構造は、吸着すべき分子に適する「特定用途向きの」孔径、柔構造または剛構造、改善された比表面積および/または吸着能力などの具体的な特性を得るように常に制御されているわけではない。具体的には、これらの材料の構造組織および多孔性を制御することは困難である。
その構造組織を制御するのが困難である理由の1つは、骨格の相互浸透のリスクに関係がある。具体的には、材料の形成または重合中に、骨格が絡み合う恐れがある。相互浸透した骨格の数が増加すると、より孔が小さいより高密度な材料になり、不適切な不均質の多孔性を有する不均一な構造がもたらされる。
したがって、米国特許第5 648 508号[4]に記載されているように、「制御された」構造を得るために「モデリング」物質が使用された。配位子は、これらの「モデリング」物質を空洞または孔に封入することによって金属の周囲で組織化する。しかし、これらの物質は、MOF材料と強く相互作用し、骨格を損なわずにそれらを除去すること
は困難または不可能であるため、孔がかかる物質によって占領された固体となる。
しかし、これらの物質を使用すると、粒子の合成中に化学物質が添加され、プロセスがより複雑かつより高価になる。加えて、医学的用途では、このモデリングは適応性が劣ると思われる。
したがって、好適かつ均一な多孔性、粒径および充填能力を有する、各用途に好適な材料を得るように粒子の構造およびサイズを制御する観点で、多くの改善が依然としてなされている。
さらに、分子画像化法の発達により、現在では、分子プロセスの動力学、分子の局在化および生細胞または体の内部の分子相互作用の視覚化が可能である。加えて、磁気共鳴映像法(MRI)は、高精度の三次元画像を得るための医学的診断の強力かつ非侵襲的な技法である。したがって、この技法は、(癌などの)疾患の検出および監視から、標的および個別治療の開発までの多くの用途がある。しかし、それは、また、医薬品の開発(活性成分の送達の研究、ベクターの効果の測定など)のために製薬業界によって使用されることが多い。
しかし、信号強度および画像コントラストを向上させるためには、特異的または非特異的な造影剤を使用することが必要である。
造影剤は、それらの緩和性によって特徴付けられる。緩和性が大きいほど、造影剤の効果が大きい。緩和性は、磁場の印加後の媒体の水のプロトンの緩和時間を改変する造影剤の能力に対応する。それは、使用される金属の常磁性に左右されるだけでなく、貢献度が最大である第1の内部球体および外部球体において金属に配位結合する水分子の量および移動性にも左右される。これらの「配位球体」は、第1の球体の場合は金属中心に直接結合した原子を表し、外部球体については、これは、第1の球体の真上に位置する原子を表す。
したがって、ガドリニウム系造影剤の場合、内部球体の貢献は、常磁性イオンの第1の配位球体と溶媒の第1の配位球体との間の水分子の化学的交換に起因する。Solomon−Bloembergen−Morgan理論によれば、それは、いくつかの特徴的な時間に左右される。
・水のプロトンの縦方向および横方向電子緩和時間であるT1およびT2、
・カチオンの第1の配位球体における水分子の滞留時間、
・循環的相関時間τR
金属に配位結合する水分子が多いほど、緩和時間が短くなり、信号が強くなる。
よく使用される造影剤は、一般には、生体組織における水の移動のスケールに応じて徐々に電子緩和する好ましい磁気および電子特性を有するガドリニウム(III)常磁性イオンである。遊離した形で、Gd3+イオンは毒性が強いため、錯体の解離を回避するのに十分な安定性を有するはずであるガドリニウム錯体が使用される。
したがって、市販の造影剤は、配位子の解離に対して高度な安定性を有するガドリニウムポリアミノカルボキシレート錯体である。しかし、それらは、緩和性が低く、特異的でない。
米国特許第6 638 494号[5]に記載されている酸化鉄も使用されるが、一般には磁気特性が十分でなく、MRIコントラスト効果が劣る。
また、これらの化合物の不安定性、それらの凝集、粒子の不均質性または劣った結晶性
に伴う欠点が依然として存在し、毒性、不適合性、分解性、溶解性、分布、非特異性などの問題をもたらす。
したがって、画像上良好な特性を有し、無毒性で、安定で、生体適合性および生分解性を有し、かつ/または好適な溶解性および結晶特性などを有する均一の粒径の粒子を使用する実際の必要性がある。
さらに、対象分子、特に治療効果またはマーカを有する分子のための担体およびベクターを使用することが、新規の診断方法または新規の医薬品の開発の大きな課題となっている。具体的には、対象分子は、これらの分子の薬物動態および生体内分布に影響を与え、それらが導入される媒体に常に好ましかったりまたは適応可能であったりするとは限らない特性を有する。かかる特性は、例えば、不安定性、結晶化への強い傾向、低水溶解性などの物理化学的特性、および/または毒性、生分解性などの生物学的特性である。
例として、多くの抗癌薬は、それらの高い細胞毒性活性によって制限される治療指数を有する。
治療指数は、活性成分の低溶解性および結晶化への強い傾向によっても制限され得る。これは、活性成分の分解および吸収の低速化のみならず、投与後のin situの結晶性粒子の形成を介する部分的または全体的な血管の閉塞のリスクをも招き得る。これは、特に、これらの分子の自発的結晶化を招く疎水性または極性相互作用を介して、自己会合への強い傾向を有する化学基を含むブスルファンなどの抗癌薬をアルキル化する場合に当てはまる。したがって、例えば、当該活性成分の方向付け中に、この結晶化現象を回避することが重要である。
活性成分の不安定性は、また、治療効果の問題を招く。具体的には、特定の成分が免疫系によって迅速に除去され、または細網内皮系の器官(主に肝臓および脾臓)によって吸収される。これは、特に、主として経口または静脈内投与の10〜30分以内に肝臓によって吸収され、治療法が存在しない肝静脈閉塞病の発症の原因になり得るブスルファンの場合に当てはまる。
したがって、活性化合物を担持するための様々な材料、例えばリポソームまたは様々なポリマーが開発されている。特に、不安定なかつ/または毒性の活性成分を封入および/または方向付けするために、免疫系によって認識されにくく、かつ/またはこれらの器官による吸収を回避することが可能な「隠匿性」ベクターが開発された。
記事Bone Marrow Transplant.2002,30(12),833−841[6]には、例えば、特にブスルファンが充填されたコロイドベクターが記載されている。残念なことに、ブスルファンの封入度が低く、リポソームの全重量に対して0.5重量%程度である。また、当該リポソーム系コロイドベクターは、自発的解離およびこれらの脂質構造の急速な代謝分解により、結晶媒体中での寿命が短い。これは、治療効果を弱め、任意選択では必要な治療投薬量と適合しないリポソーム分散体の容量を大きくする。
血漿内安定性のこの問題を克服するために、水不溶性ポリマーに基づく固体のコロイドベクターが開発された。それらは、生分解性ポリマーナノ粒子の形であり、それらが担持できる活性成分は、徐々に、拡散によって、かつ/またはナノ粒子が代謝分解するのに伴って徐々に放出される。これは、毒性のかつ/または不安定な製造物を担持するのに使用される、米国特許第4 329 332号[7]に記載されているポリ(アルキルシアノアクリレート)類のポリマーについて当てはまる。
しかし、これらのナノ粒子は、封入度が劣る。加えて、封入度は、ポリ(アルキルシアノアクリレート)ナノ粒子に封入される活性成分の性質に左右される。具体的には、水溶性が乏しく、かつ/または疎水性の結晶性活性成分の場合は、それらは、沈殿する傾向、およびこれらのナノ粒子を得るのに使用されるin situ重合プロセスの分散水相において結晶化する傾向を有する。これにより、当該活性成分の封入が困難になり、ポリ(アルキルシアノアクリレート)の封入度は、採用されるポリマーの質量の0.1重量%〜1重量%のオーダの低い封入度である。
また、当該ベクターは、高度な反応性を有する活性成分、例えばブスルファンの封入に適さない。具体的には、これらのベクターが活性成分の存在下でin situ重合によって製造される限り、前記活性成分は、モノマー単位と反応して、ナノ粒子の製造に必要な十分な重合を妨げる危険性がある。
したがって、多くの分子は、それらの結晶化への傾向、溶媒へのそれらの低溶解性および/またはそれらの不安定性により封入するのが依然として困難または不可能である。
加えて、ブスルファンは、その封入に関して実際的な課題がある。肝臓を避ける隠匿性ベクターは、ブスルファンの可能な充填量が小さいため、満足できる封入目的を達成することができなかった。リポソームを用いて得られる最大充填量は、0.5重量%を超えない。
最近になって、J.Bouligand,et al.,Int.J.Pharm.,2004[8]に記載されているように、ポリ(アルキルシアノアクリレート)系生分解性ポリマーナノ粒子を使用すると、ブスルファンの封入度を約5重量%まで向上させることが可能になった。しかし、ナノ粒子の反復投与を通じて、例えば高投与量の化学療法においては、体内のポリマーの大きな蓄積が著しくなる恐れがある。
したがって、活性成分、特に、それらの不安定性、それらの結晶化への強い傾向、それらの低溶解性、それらの両親媒性または親水性などに関連する特定の封入の困難さを有する活性成分を担持することが可能である新規化合物の実際の必要性が存在する。加えて、特にナノ粒子の反復投与が想定される場合に、十分な充填能力を有する新規化合物の必要性が存在する。
また、活性成分の制御放出を提供することができる化合物の実際の必要性が存在する。
また、活性成分を特定の標的に向けて方向付けすること、またはこれらの活性成分の生体内分布を改変することが可能な化合物の実際の必要性が存在する。
本発明の目的は、厳密には、以下の式(I)
Femklp 式(I)
に対応する一連の三次元の単位を含む等網状多孔質結晶性MOFナノ粒子を提供することにより、上記の必要性および先行技術の欠点に対処することである。
(式中、
−Feは、金属イオンFe3+またはFe2+、好ましくはFe3+を表し;
−mは、1〜4、例えば1または3であり;
−kは、0〜4、例えば0または1であり;
−lは、0〜4、例えば0または1であり;
−pは、1〜4、例えば1または3であり;
−Xは、OH-、Cl-、F-、I-、Br-、SO4 2-、NO3 -、ClO4 -、PF6 -、BF3 -
、R1−(COO)n -、R1−(SO3n -、R1−(PO3n -からなる群から選択される
配位子であり、R1は、水素原子、任意選択で置換された直鎖状または分枝状C1〜C12アルキルであり、n=1〜4であり;
−Lは、q個のカルボキシレート基
を有するR基を含むスペーサ配位子であり、
・qは、1、2、3、4、5または6、例えば2〜4であり;
は、R基へのカルボキシレートの結合の点を表し;
・#は、金属イオンへのカルボキシレートの結合の可能な点を表し;
・Rは、
(i)C1〜12アルキル、C2〜12アルケンまたはC2〜12アルキン基;
(ii)6〜50個の炭素原子を含む縮合または非縮合単環式または多環式アリール基;(iii)1〜50個の炭素原子を含む縮合または非縮合単環式または多環式ヘテロアリール;
(iv)フェロセン、ポルフィリン、フタロシアニンからなる群から選択される金属元素およびシッフ塩基RX1X2−C=N−RX3を含む有機基を表し、
X1およびRX2は、独立して、水素原子、直鎖状、分枝状または環式で、任意選択で置換されたC1〜12アルキル、C2〜12アルケンまたはC2〜12アルキン基、あるいは任意選
択で6〜50個の炭素原子を含む分枝状の、かつ/または置換された単環式または多環式アリールであり;
X3は、直鎖状、分枝状または環式で、任意選択で置換されたC1〜12アルキル、C2〜12アルケンまたはC2〜12アルキン基、あるいは任意選択で6〜50個の炭素原子を含む
分枝状の、かつ/または置換された単環式または多環式アリールであり;
R基は、C1〜10アルキル;C2〜10アルケン;C2〜10アルキン;C3〜10シクロアルキル;C1〜10ヘテロアルキル;C1〜10ハロアルキル;C6〜10アリール;C3〜10ヘテロアリール;C5〜20複素環;C1〜10アルキルC6〜10アリール;C1〜10アルキルC3〜10
テロアリール;C1〜10アルコキシ;C6〜10アリールオキシ;C3〜10ヘテロアルコキシ
;C3〜10ヘテロアリールオキシ;C1〜10アルキルチオ;C6〜10アリールチオ;C1〜10ヘテロアルキルチオ;C3〜10ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;−NO2;−CN;−CF3;−CH2CF3;−CHCl2;−OH;−CH2OH;−CH2CH2OH;
−NH2;−CH2NH2;−NHCOH;−COOH;−CONH2;−SO3H;−CH2SO2CH3;−PO32;−B(ORG12;または官能基−GRG1からなる群から独立
して選択される1つまたは複数の基R2で任意選択で置換されており、
Gは、−O−、−S−、−NRG2−、−C(=O)−、−S(=O)−、−SO2
、−C(=O)O−、−C(=O)NRG2−、−OC(=O)−、−NRG2C(=O)−、−OC(=O)O−、−OC(=O)NRG2−、−NRG2C(=O)O−、−NRG2C(=O)NRG2−、−C(=S)−、−C(=S)S−、−SC(=S)−、−SC(=S)S−、−C(=NRG2)−、−C(=NRG2)O−、−C(=NRG2)NRG3−、−OC(=NRG2)−、NRG2C(=NRG3)−、−NRG2SO2−、−NRG2SO2NRG3−、−NRG2C(=S)−、−SC(=S)NRG2−、−NRG2C(=S)S−、−NRG2C(=S)NRG2−、−SC(=NRG2)−、−C(=S)NRG2−、−OC(=S)NRG2−、−NRG2C(=S)O−、−SC(=O)NRG2−、−NRG2C(=O)S−、−C(=O)S−、−SC(=O)−、−SC(=O)S−、−C(=S)O−、−OC(=S)−、−OC(=S)O−または−SO2NRG2−であり、
G1、RG2およびRG3の各存在は、RG1の他の存在と無関係に、水素原子;ハロゲン原子;あるいは直鎖状、分枝状または環式で、任意選択で置換されたC1〜12アルキル、
1〜12ヘテロアルキル、C2〜10アルケンまたはC2〜10アルキン基;あるいはC6〜10アリール、C3〜10ヘテロアリール、C5〜10複素環、C1〜10アルキルC6〜10アリールまたはC1〜10アルキルC3〜10ヘテロアリール基であり、アリール、ヘテロアリールまたは複素環式基は、任意選択で置換されており;あるいはGが−NRG2−を表す場合は、RG1およびRG2は、それらが結合した窒素原子と一緒になって、任意選択で置換された複素環またはヘテロアリールを形成する。)
本発明の文脈において、式(I)の単位におけるFeの様々な存在は、同一であっても異なっていてもよい。したがって、以上および本文に記載されている「Feは金属イオンFe3+またはFe2+を表す」という表現は、「Feの各存在は、独立して、金属イオンFe3+またはFe2+を表す」という表現と同等である。
「ナノ粒子」という用語は、粒径が1μmより小さい粒子を指す。特に、本発明の固体MOFナノ粒子は、1000ナノメートル未満、好ましくは500nm未満、好ましくは250nm未満、最も好ましくは100nm未満の直径を有することができる。
「置換された」という用語は、例えば、所定の構造における水素基を先に定義されているR2基に置き換えることを意味する。2つ以上の位置を置換することができる場合は、
置換基は、各位置において同一であっても異なっていてもよい。
本発明の目的では、「スペーサ配位子」という用語は、少なくとも2つの金属に配位結合し、これらの金属の間の距離の確保、および空間または孔の形成に関与する(例えば、中性化学種またはイオンを含む)配位子を指す。スペーサ配位子は、一座または二座であってよい、すなわち金属への1つまたは2つの結合の点を含む、先に定義されている1〜6つのカルボキシレート基を含んでよい。金属への結合の点は、式における符号#で表されている。官能基Aの構造が2つの結合の点#を含むときは、これは、金属への配位結合が、一方、他方または両方の結合の点を介して生じ得ることを意味する。
本発明の目的では、「アルキル」という用語は、1〜12個の炭素原子、例えば1〜10個の炭素原子、例えば1〜8個の炭素原子、例えば1〜6個の炭素原子を含み、直鎖状、分枝状または環式で、飽和または不飽和であり、任意選択で置換された炭素系基を指す。
本発明の目的では、「アルケン」という用語は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む、先に定義されているアルキル基を指す。
本発明の目的では、「アルキン」という用語は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む、先に定義されているアルキル基を指す。
本発明の目的では、「アリール」という用語は、ヒュッケル芳香族性の規則を満たす少なくとも1つの環を含む芳香族系を指す。前記アリールは、任意選択で置換されており、6〜50個の炭素原子、例えば6〜20個の炭素原子、例えば6〜10個の炭素原子を含んでよい。
本発明の目的では、「ヘテロアリール」という用語は、その中で芳香族環の少なくとも1員が、特に、硫黄、酸素、窒素およびホウ素からなる群から選択されるヘテロ原子である少なくとも1つの5〜50員の芳香族環を含む系を指す。前記ヘテロアリールは、任意選択で置換されており、1〜50個の炭素原子、好ましくは1〜20個の炭素原子、好ましくは3〜10個の炭素原子を含んでよい。
本発明の目的では、「シクロアルキル」という用語は、3〜20個の炭素原子、好ましくは3〜10個の炭素原子を含んでよく、飽和または不飽和で、任意選択で置換された環式炭素系基を指す。
本発明の目的では、「ハロアルキル」という用語は、前記アルキル系が少なくとも1つのハロゲンを含む、先に定義されているアルキル基を指す。
本発明の目的では、「ヘテロアルキル」という用語は、前記アルキル系が、特に、硫黄、酸素、窒素およびホウ素からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む、先に定義されているアルキル基を指す。
本発明の目的では、「複素環」という用語は、少なくとも1つのヘテロ原子を含み、2〜20個の炭素原子、好ましくは5〜20個の炭素原子、好ましくは5〜10個の炭素原子を含んでよく、飽和または不飽和で、任意選択で置換された環式炭素系基を指す。ヘテロ原子は、例えば、硫黄、酸素、窒素およびホウ素からなる群から選択され得る。
本発明の目的では、「アルコキシ」、「アリールオキシ」、「ヘテロアルコキシ」および「ヘテロアリールオキシ」という用語は、それぞれ、酸素原子に結合したアルキル、アリール、ヘテロアルキルまたはヘテロアリール基を指す。
本発明の目的では、「アルキルチオ」、「アリールチオ」、「ヘテロアルキルチオ」および「ヘテロアリールチオ」という用語は、それぞれ、硫黄原子に結合したアルキル、アリール、ヘテロアルキルまたはヘテロアリールを指す。
「シッフ塩基」という用語は、先に定義されているRX1、RX2およびRX3により、一般式RX1X2−C=N−RX3の、二重結合C=Nを含む官能基を指す。
「三次元構造」という用語は、「有機金属ポリマー」としても特徴付けられる、MOF材料の分野で従来理解されている式(I)の三次元の一連または反復の単位を指す。
他に指定する場合を除いて、MOF材料に関して以下に示される様々な実施形態は、本発明の上記使用およびプロセスに等しく適用される。
本発明のMOFナノ粒子は、これらの材料に特異的な特性を付与する、特定のトポロジーおよび分布を有する制御された結晶構造を有するという利点がある。これらの特異的な特性は、本発明のMOF固体の上記の様々な形から調製されたナノ粒子に見いだされる。
本発明のMOFナノ粒子は、+3の酸化状態および6の配位数を有する八面体の三価鉄原子を含んでよい。
「配位数」という用語は、結合において共用された2つの電子が同じ原子に由来する結合の数を指す。電子供与原子は正電荷を取得し、電子受容原子は負電荷を取得する。
加えて、金属原子は、孤立していても、金属「クラスタ」に群集していてもよい。本発明のMOFナノ粒子を、例えば、八面体の鎖から、または八面体のトリマーで構成することができる。例えば、本発明のMOFナノ粒子を、頂部または縁部を介して結合された八面体の鎖、あるいは中央の酸素原子を介して結合された八面体のトリマーから構成されたカルボン酸鉄MOF材料から形成することができる。
本発明の目的では、「金属クラスタ」という用語は、イオン共有結合を介して、アニオン、例えばO、OH、Clなどを介して直接的に、または有機配位子を介して結合された少なくとも2つの金属を含む原子の群を指す。
また、本発明のMOFナノ粒子は、組織化、および配位子の金属または金属基への結合
について様々な可能性があるため、様々な形または「相」であってよい。
本発明の目的では、「相」という用語は、少なくとも1つの金属、および明確な結晶構造を有する少なくとも1つの有機配位子を含むハイブリッド組成物を指す。
本発明のナノ粒子の結晶性空間組織化は、これらの材料の特定の特性および物性の基礎であり、特に、材料の比表面積および吸着特性に影響を与える孔径のみならず、材料の密度(この密度は比較的小さい)、これらの材料における金属の割合、材料の安定性、構造の剛性および柔軟性を左右する。
加えて、適切なスペーサ配位子を選択することによって孔径を調整することができる。
一実施形態において、本発明のMOF固体の式(I)の単位の配位子Lは、

からなる群から選択されるジ、トリ、テトラまたはヘキサカルボキシレート配位子であってよい。
(式中、
1は、OまたはSを表し、
sは、1〜4の整数を表し、
tの各存在は、独立して、1〜4の整数を表し、
uは、1〜7の整数を表し、
L1およびRL2は、独立して、H、ハロゲンまたはC1〜C6アルキル(好ましくはメチルまたはエチル)を表し、
L3の各存在は、独立して、H、ハロゲン(好ましくはF、ClまたはBr)、OH、
NH2、NO2またはC1〜C6アルキル(好ましくはメチルまたはエチル)を表す。)
特に、本発明の式(I)の単位の配位子Lは、C22(CO2 -2(フマル酸)、C24(CO2 -2(スクシン酸)、C36(CO2 -2(グルタル酸)、C44(CO2 -2(ムコン酸)、C48(CO2 -2(アジピン酸)、C714(CO2 -2(アゼライン酸)
、C53S(CO2 -2(2,5−チオフェンジカルボン酸)、C64(CO2 -2(テレフタル酸)、C622(CO2 -2(2,5−ピラジンジカルボン酸)、C106(CO2 -2(ナフタレン−2,6−ジカルボン酸)、C128(CO2 -2(ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸)、C1282(CO2 -2(アゾベンゼンジカルボン酸)、C63
CO2 -3(ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸)、C63(CO2 -3(ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸)、C2415(CO2 -3(ベンゼン−1,3,5−トリ安
息香酸)、C62(CO2 -4(ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸)、C10
4(CO2 -4(ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸)、C104(CO2 -
4(ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸)、C126(CO2 -4(ビフェ
ニル−3,5,3’,5’−テトラカルボン酸)、および2−アミノテレフタル酸、2−ニトロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−ブロモテレフタル酸、2,5−ジヒドロキソテレフタル酸、テトラフルオロテレフタル酸、テトラメチルテレフタル酸、ジメチル−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、テトラメチル−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、ジカルボキシ−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,5−ピラジンジカルボン酸からなる群から選択される修飾類似体からなる群から選択されるジ、トリまたはテトラカルボン酸配位子であってよい。
本発明の式(I)の単位の配位子Lは、2,5−ジペルフルオロテレフタル酸、アゾベ
ンゼン−4,4’−ジカルボン酸、3,3’−ジクロロアゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸、3,3’−ジヒドロキソアゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸、3,3’−ジペルフルオロアゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸、3,5,3’,5’−アゾベンゼンテトラカルボン酸、2,5−ジメチルテトラフタレート、ペルフルオロスクシン酸、ペルフルオロムコン酸、ペルフルオログルタル酸、3,5,3’,5’−ペルフルオロ−4,4’−アゾベンゼンジカルボン酸、3,3’−ジペルフルオロアゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸を表してもよい。
以上に挙げられているカルボキシレート配位子の大多数が市販されている。読者は、市販されていないカルボキシレート配位子の調製については、実施例の節を参照することができる。
一実施形態において、配位子Lは、生物活性を有する。本発明のナノポーラスハイブリッド固体は、無機物部分、金属(鉄)、および有機物部分、すなわち2つ以上の錯化官能基(カルボキシレート、ホスフェート、アミドなど)を有する配位子を有する。生物活性を有する有機配位子を含めることは、材料の分解速度の相関としての活性分子の制御放出を可能にするという利点を有する(これらは、MOF材料の分解中に放出される上記生物学的に活性な配位子である)。したがって、MOF材料そのものが「生物活性」であり、すなわち生物活性を有する構成要素を放出することが可能である。
加えて、MOF骨格の部分を形成するこれらの活性分子の放出を、本発明のMOF材料のナノ粒子に封入された他の活性成分の放出と組み合わせることができる。活性成分の封入のこの態様は、本書の以下の箇所に記載されている。
したがって、本発明はまた、生物学的に活性な配位子を含み、潜在的に相補的な、または異なる活性を有する1つまたは複数の活性成分を封入するMOF材料のナノ粒子、および併用療法のためのそれらの使用に関する。併用療法は、(i)MOF材料の孔に封入された活性成分および(ii)結晶性MOF材料の骨格に含まれる生物学的に活性な配位子を放出することによって実施される。
本発明の多孔性ハイブリッド固体を形成することが可能である錯化官能基を含む多くの生物学的に活性な有機分子が存在する。
例えば、それは、アゼライン酸(HO2C(CH27CO2H、抗新生物作用を有する皮膚薬)、メプロバメート(抗痙攣薬、鎮静薬、筋弛緩薬、抗不安薬)、アミノサリチル酸(抗結核薬)、クロドロネート、パミドロンテート、アレンドロネートおよびエチドロネート(骨粗鬆症のための予防性糖類担持抗新生物薬)、アゾベンゼン(抗微生物作用、COX阻害薬)、ポルフィリンまたはアミノ酸(Lys、Arg、Asp、Cys、Glu、Glnなど)、ジベンゾフラン−4,6−ジカルボン酸(トランストリレチン阻害薬)、ジピコリン酸(ジヒドロジピコリン酸レダクターゼ阻害薬)、グルタミン酸、フマル酸、コハク酸、スベリン酸、アジピン酸、ニコチン酸、ニコチンアミド、プリン、ピリミジンなどであってよい。
例えば、アゾベンゼンの抗微生物または抗炎症作用(NSAID、COX阻害薬)が挙げられる。この点において、読者は、参考文献:G.Oros,T.Cserhati,
E.Forgacs,Chemosphere 52,2003,185[参考文献35]、A.M.Badawi,E.M.S.Azzam,S.M.I.Morsy,Bioorg.Med.Chem.,14,2006,8661[参考文献36]およびW−J.Tsai,Y−J Shiao,S−J Lin,W−F Chiou,L−C Lin,T−H Yang,C−M teng,T−S Wu,L−M Yang,Bioorg. Med.Chem.Letters 16,2006,4440[参考文献37]を参照することができる。
したがって、配位子Lは、C714(CO2 -2(アゼライン酸)、アミノサリチレート、カルボキシレート基を含むポルフィリン、アミノ酸(Lys、Arg、Asp、Cys、Glu、Glnなど)、カルボキシレート基を含むアゾベンゼン、ジベンゾフラン−4,6−ジカルボン酸、ジピコリン酸、グルタミン酸、フマル酸、スクシン酸、スベリン酸、アジピン酸およびニコチン酸からなる群から選択される生物学的に活性な配位子であってよい。
特に、配位子Lは、C714(CO2 -2(アゼライン酸)、アゾベンゼンジカルボン酸、グルタミン酸、フマル酸、スクシン酸、アジピン酸、アミノ酸およびニコチン酸からなる群から選択される生物学的に活性な配位子を表すことができる。
鉄およびアゾベンゼン配位子に基づく多孔性ハイブリッド固体、それらの抗微生物作用の実証、生理媒体におけるそれらの分解の調査、および細胞に対するそれらの作用が、「実施例」の節に記載されている。
本発明の式(I)の単位のアニオンXは、OH-、Cl-、Br-、F-、R−(COO)n -、PF6 -、NO3 -、SO4 2-およびClO4 -(Rおよびnは先に定義されている通りで
ある)からなる群から選択され得る。
特に、本発明の式(I)の単位のアニオンXは、OH-、Cl-、F-、CH3−COO-
、PF6 -およびClO4 -、あるいは上記リストから選択されるカルボキシレート配位子からなる群から選択され得る。
1つの特定の実施形態において、アニオンXは、OH-、Cl-、F-、およびRが−C
3、−C63、−C64、−C104または−C6(CH34を表すR−(COO)n -
らなる群から選択され得る。
一実施形態において、アニオンXは、陽電子射出断層撮影(PET)などの画像技術に好適な同位体の形であってよい。
陽電子射出断層撮影(PET)は、予め注入された放射活性体の分解に由来する陽電子
によって生成された放出物により、器官の代謝活性の三次元測定を可能にする核医療映像法である。PETは、その挙動および生物学的特性が既知であるトレーサを注入して器官の機能の画像を得るシンチグラフィーの一般的原理に基づく。このトレーサは、それが消滅すると自ら2つの光子を生成する陽電子を放出する放射活性原子(炭素、フッ素、窒素、酸素など)で標識される。PETカメラのコリメータによるこれらの光子の軌跡の検出は、それらの放出の位置、および器官における各点のトレーサの濃度を突き止めることを可能にする。トレーサの高濃度領域をカラーで表示する画像の形で表されるのは、この定量情報である。
したがって、PETは、細胞の代謝活性の視覚化を可能にする。これは、解剖の画像に限定されるX線に基づくもの(放射線法またはCTスキャン)などの所謂構造的画像と対照的に、機能的画像と称する。結果として、陽電子射出断層撮影は、正常な生理機能の障害、例えば癌によって反映される特定の病原を検出することを可能にする診断ツールである。PETは、生物医学的研究、例えば、機能的磁気共鳴映像法で実施されるのと同様にして当該認知作用中に脳の活性領域の検出を可能にする脳画像にも使用される。
例えば、Xは、陽電子放射体であるため、PET画像を含む用途に本発明のMOFナノ粒子を使用することを可能にする18-を表すことができる。
したがって、一実施形態では、式(I)の単位において、配位子Xの少なくとも1つの存在が18-である。
一実施形態において、配位子Lは、フルオロ配位子、すなわち少なくとも1つのF置換基を含む配位子である。例えば、それは、テトラフルオロテレフタル酸、ペルフルオロスクシン酸、ペルフルオロムコン酸、ペルフルオログルタル酸、2,5−ジペルフルオロテレフタル酸、3,6−ペルフルオロ−1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、3,5,3’,5’−ペルフルオロ−4,4’−アゾベンゼンジカルボン酸または3,3’−ジペルフルオリアゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸配位子であってよい。
当業者に周知である標準的な放射線合成技術を介して、上記フルオロ配位子を18Fリッチにすることができる。
PET技術は、生組織の非常に詳細な画像を得ることを可能にする。フッ素−18放射性同位体(18F)(t1/2=110分)は、陽電子放射体である。放出された陽電子は、周囲の物質の電子によって瞬時に消滅し、検出されるのは、発生するガンマ線である。
したがって、本発明はまた、PET画像などの医療画像に使用できるマーカとしての本発明のMOFナノ粒子の使用に関する。
したがって、PETによって生組織を確認する方法であって、本発明のMOF固体ナノ粒子を個体に投与すること、およびPET画像によって組織を確認することを含む方法が提供される。特に、MOF固体は、先に挙げられているものなどの少なくとも1つの18Fフルオロ配位子および/または対イオンとしての18Fを含む(すなわち、式(I)の単位におけるXの少なくとも1つの存在が18Fを表す)。
さらに、MOF固体(フルオロ配位子、または本発明のナノ粒子の孔もしくは表面におけるフルオロ分子の存在を介するMOF固体(アニオンX=F)のまさに骨格)におけるフッ素原子の存在は、超音波検査などの医療画像における用途にこれらのMOF固体粒子を使用することを想定することを可能にする。
したがって、本発明はまた、医療画像、特に超音波検査、エコーソノグラフィーまたは磁気共鳴映像法に使用できる造影剤の製造のための本発明のMOFナノ粒子の使用に関する。
超音波検査のための造影剤の開発は、超音波反射体を検査対象組織に導入することを想定する。理想的な反射体は、微小気泡であるため、気体を患者の静脈に注入することである。直径が数マイクロメートルの微小泡として処方されると、気体の投与が無害になる。しかし、循環すると、微小気泡は、動脈圧とラプラス圧の複合作用により、数秒以内に血液に溶解する。
これまで、その水への溶解度が極めて小さいペルフルオロ化合物の使用は、その静脈内での存続が、効率的な放射線検査を可能にするのに十分である注入可能な微小泡を処方することを可能にした。いくつかの造影剤、特に、C38、SF6またはC614に基づく造影剤が商業的に入手可能になった。これらの薬剤は、特に、心臓内縁部を確認すること、および構造的または機能的心臓異常を診断することを可能にする。それらはまた、血管の確認、ならびに潅流欠陥、腫瘍および他の病変の検出を容易にする。
フッ化炭素(フルオロカーボン)は、特別な化学的および生物学的不活性と、気体の高度な溶解能力、極端な疎水性および顕著な疎油性とを兼ね備える。それらの非常に低い水溶性は、超音波検査において造影剤として機能する注入可能微小泡を安定化させることを可能にする。
したがって、本発明のMOFナノ粒子は、表面改質されているか否か、およびペルフルオロ分子を含んでいるかどうかにかかわらず、エコーソノグラフィーまたは磁気共鳴映像法による診断に役立つことができる。
したがって、超音波検査、エコーソノグラフィーまたは磁気共鳴映像法による診断の方法であって、本発明のMOF固体ナノ粒子を個体に投与すること、および超音波検査、エコーソノグラフィーまたは磁気共鳴映像法によって組織を確認することを含む方法が提供される。特に、MOF固体は、先に挙げられているものなどの少なくとも1つのペルフルオロ分子を含む。
また、以下に記載するように、本発明のナノ粒子を形成するMOF固体の特定の構造特性は、特に柔軟性または孔径の観点から、MOF固体を、高度な充填能力、高度な選択性および高度な純度を有する吸着剤にする。したがって、MOF固体は、好ましいエネルギーコストおよびより長い放出時間で、フルオロ分子、例えばフッ化炭素を吸着することが可能である。
加えて、MOF固体(フルオロ配位子L、または本発明のナノ粒子の孔もしくは表面におけるフルオロ分子の存在を介するMOF固体(アニオンX=F)のまさに骨格)におけるフッ素原子の存在は、医療目的で酸素を運ぶためのMOF固体ナノ粒子の(例えば血液代替物として)使用を想定することを可能にする。
本文において、「血液代替物」という用語は、(例えば、外科的介入時または出血時に)酸素を封入し、それを運び、酸素供給を必要とする組織および器官内でそれを放出するための材料を指す。
酸素を組織に運び、例えば外科手術の際の輸血依存を低減することができる即使用可能な無菌の注入可能な安定したマイクロメートル未満のフッ化炭素(FC)エマルジョンが現在存在する。
それ自体が赤血球に封入される水溶性のFe錯体、すなわちヘモグロビンとして酸素が自然に作られる。
輸血と比較した血液代替物の利点は、
−汚染が回避される、
−あらゆる種類の血液型に使用可能である、
−すべての患者に(エホバの証人にも)許容される、
−容易に輸送および貯蔵が可能であるため、緊急の場合に非常に有用である
ことを含む。
生物学的に非常に不活性な材料であるフッ化炭素に基づく血液代替物は、大量の気体を溶解させて酸素を組織に送達することが可能である。フッ化炭素は水に不溶であるため、a)安定でなければならず、2)迅速に排泄可能でなければならないエマルジョンの形で投与される。
Oxygent(登録商標)は、当該技術分野で今日までに開発されたエマルジョンの一つである。それは、1容量当たり60重量%の臭化ペルフルオロオクチル(C817
r)を含み、数%のC1021Brで分子拡散に対して安定化され、直径が約200nmのリン脂質液滴で乳化された組成物である。この製品は、患者に副作用をもたらし、さらに、安全性に問題があるため、2005年2月にFDAによって市販認可が拒否された。
したがって、本発明によれば、本発明のMOF固体の式(I)の単位の配位子Lは、

からなる群から選択されるジ、トリ、テトラまたはヘキサカルボキシレート配位子であってよい。
(式中、
sは、1〜4の整数を表し、
tの各存在は、独立して、1〜4の整数を表し、
uは、1〜7の整数を表し、
L1およびRL2は、独立して、H、ハロゲンまたはC1〜C6アルキル(好ましくはメチルまたはエチル)を表し、RL1またはRL2の少なくとも1つの存在は、Fを表し、
L3の各存在は、独立して、H、ハロゲン(好ましくはF、ClまたはBr)、OH、
NH2、NO2またはC1〜C6アルキル(好ましくはメチルまたはエチル)を表し、RL3
の少なくとも1つの存在は、Fを表す。)
好ましくは、RL1およびRL2の各存在は、Fを表す。
好ましくは、RL3の各存在は、Fを表す。
例えば、Lは、HOOC−C816−COOHを表すことができる。
以下に概説するように、これらのMOFの表面を、MOFに隠密性を付与するようにポリエチレングリコール(PEG)などの表面処理剤で改質することができる。
酸素の放出を制御する(ナノ粒子の孔からの酸素の拡散を遅延させる)ように、ナノ粒子の表面をフルオロ両親媒性物質で安定化させることもできる。読者は、本発明のナノ粒子の表面の改質を扱う節を参照し、上記教示をフルオロ両親媒性配位子のグラフティングに適応させることができる。
したがって、酸素のインビボ放出のプロセスであって、本発明のMOF固体ナノ粒子を個体に投与することを含み、前記ナノ粒子は、その孔または表面に既に記載されているものなどの少なくとも1つのフッ化炭素またはフルオロ分子、および封入酸素を含むプロセスが提供される。
特に、本発明のMOFナノ粒子は、乾燥相において5%〜40%、好ましくは18%〜31%の鉄を含んでよい。
質量百分率(m%)は、混合物または合金の組成、すなわち混合物における各構成要素の比率を表すための化学および金属学で使用される測定単位である。
1m%の構成要素=混合物100g当たり構成要素1g、または混合物100kg当たり前記構成要素1kg。
本発明のMOF固体は、特に350℃までの温度に対して熱安定性を有するという利点がある。
特に、本発明のMOFナノ粒子は、特に120℃〜350℃で熱安定性を有するという利点がある。
特に、本発明のMOFナノ粒子は、1000ナノメートル未満、好ましくは500nm未満、より好ましくは250nm未満、最も好ましくは100nm未満の粒径を有することができる。
特に、本発明のMOFナノ粒子は、0.4〜6nm、好ましくは0.5〜5.2nm、より好ましくは0.5〜3.4nmの孔径を有することができる。
特に、本発明のMOFナノ粒子は、5〜6000m2/g、好ましくは5〜4500m2/gの比表面積(BET)を有することができる。
特に、本発明のMOFナノ粒子は、0.05〜4cm2/g、好ましくは0.05〜2
cm2/gの孔容量を有することができる。
本発明の文脈において、孔容量は、気体および/または液体分子が出入り可能な容量を指す。
発明者は、式(I)の単位の三次元構造を含むMOF材料が、剛構造または柔構造の形をとることができることを実証した。
本発明のMOFナノ粒子は、硬い骨格を有し、孔が空のときにほとんど収縮しない頑丈な構造の形、または膨張および収縮して、孔の開度を吸着分子の性質の相関として変化させ得る柔構造の形をとることができる。
これらの吸着分子は、例えば溶媒および/または気体であってよい。
本発明の目的では、「剛構造」という用語は、膨張または収縮が非常に小さい、すなわち10%までの幅である構造を指す。
したがって、剛構造のMOF材料は、0〜10%の幅で膨張または収縮し得る。
特に、本発明のMOFナノ粒子は、0〜10%の幅で膨張または収縮する剛構造を有することができる。
剛構造を、例えば八面体のトリマーまたは鎖に基づいて構成することができる。
例えば、本発明の剛構造のMOFナノ粒子は、乾燥相において5%〜40%、例えば18%〜31%の鉄を有することができる。
例えば、本発明の剛構造のMOFナノ粒子は、0.4〜6nm、例えば0.5〜5.2nm、例えば0.5〜3.4nmの孔径を有することができる。
例えば、本発明の剛構造のMOFナノ粒子は、0〜4cm3/g、例えば0.05〜2
cm3/gの孔容量を有することができる。
本発明の目的では、「柔構造」という用語は、大きな幅、特に10%を超える幅、例え
ば50%を超える幅で膨張または収縮する構造を指す。
特に、柔構造のMOF材料は、10%〜300%、好ましくは50%〜300%の幅で膨張または収縮し得る。
柔構造を、例えば、八面体のトリマーまたは鎖に基づいて構成することができる。
特に、本発明のMOFナノ粒子は、10%を超える幅、例えば50%〜300%の幅で膨張または収縮する柔構造を有することができる。
例えば、本発明の柔構造のMOFナノ粒子は、乾燥相において5%〜40%、例えば18%〜31%の鉄を有することができる。
例えば、本発明の柔構造のナノ粒子は、0.4〜6nm、例えば0.5〜5.2nm、例えば0.5〜1.6nmの孔径を有することができる。
例えば、本発明の柔構造のナノ粒子は、0〜3cm3/g、例えば0〜2cm3/gの孔容量を有することができる。孔容量は、溶媒分子に対する均等の出入り可能容量(開口形)を表す。
剛または柔構造のMOF材料を用いて本発明を実施することができる。
加えて、本発明者らは、以下の「実施例」の項において(特に実施例10において)記載されている通り、柔軟性の振幅が、配位子および使用される溶媒の性質によって決まることを実験的に実証した。
「MIL」(「Mat注:原文はイーウムラウトriau Institut Lavoisier」の略)として既知の様々な相の様々なMOF材料が、Institut
Lavoisier,Versaillesにおいて、発明者により開発された。これらの構造に対する名称「MIL」の後に、発明者が様々な相を識別するために与えた任意の数字nが続く。
発明者は、また、カルボン酸鉄(III)が、文献に従来見られるMOF材料と比較してより多くの可能な相を有することができることを実証した。カルボン酸鉄(III)についての様々な相、例えば、MIL−47、MIL−53、MIL−69、MIL−88A、MIL−88B、MIL−88Bt、MIL−88C、MIL−88D、MIL−89、MIL−100、MIL−101、MIL−102が得られた。これらの相は、「実施例」の節に示される。
これらの構造の結晶特性は既知であり、多くの報告の主題になっている。さらに上記名称「MIL」は、当業者に周知である。例えば以下のものが挙げられる。
MIL−53:Whitfield,T.R.;Wang,X.;Liu,L.;Jacobson,A.J.Solid State Sci.2005,7,1096.
MIL−69:T.Loiseau et al,C.R.Chimie,8 765(2005).
MIL−88A:(a)Serre et al.,“Role of solvent−host interactions that lead to very large swelling of hybrid frameworks”,Science,2007,Vol.315,1828−1831;(b)Surbl注:原文はイーウムラウト et al.,“A new isoreticular class
of metal−organic frameworks with the MIL−88 topology”,Chem.Comm.,2006,284−286;(c)Mellot−Draznieks et al.,“Very large swelling in hybrid frameworks: a combined
computational and power diffraction study”,J.Am.Chem.Soc,2005,Vol.127,16273−16278。水和MIL−88A固体の構造は図40に示されている。
MIL−88B、MIL−88CおよびMIL−88D:これらの構造型については、読者は、上記MIL−88A型に関する文献、すなわち(a)Serre et al.,“Role of solvent−host interactions that
lead to very large swelling of hybrid frameworks”,Science,2007,Vol.315,1828−1831;(b)Surbl注:原文はイーウムラウト et al.,“A new isoreticular class of metal−organic frameworks with the MIL−88 topology”,Chem.Comm.,2006,284−286を参照することができる.
MIL−89:C.Serre,F.Millange,S.Surbl,G.Ferey注:原文はイーウムラウト Angew.Chem.Int.Ed.2004,43,6286:A new route to the synthesis of trivalent transition metals porous carboxylates with trimeric SBU。MIL−89固体の構造は、図41に示されている。
MIL−100:Horcajada et al.,“Synthesis and
catalytic properties of MIL−100(Fe),an iron(III) carboxylate with large pores”,Chem. Comm.,2007,2820−2822。MIL−100固体の構造は、図35および36に示されている。
MIL−101:Ferey注:原文はイーウムラウト et al.,“A chromium terephthalate−based solid with unusally large pore volumes and surface area”,Science,2005,Vol.309,2040−2042。MIL−101固体の構造は、図37に示されている。
MIL−102:S.Surbl注:原文はイーウムラウト,F.Millange,C.Serre,T.Dren注:原文はユーウムラウト,M.Latroche,S.Bourrelly,P.L.Llewellyn and G.Ferey注:原文はイーウムラウト“MIL−102:A Chromium Carboxylate
M驍狽≠戟@Organic Framework with Gas Sorpti
on Analysis”J.Am.Chem.Soc.128(2006),46,14890。MIL−102固体の構造は、図38に示されている。
MIL−88B_4CH3、MIL−88B_CH3、MIL−88B_2CF3、MIL−88B_2OH、MIL−88B_NO2、MIL−88B_NH2、MIL−88B_C1、MIL−88B_Br、MIL−88B_4F:この構造型については、読者は、上記MIL−88型に関する文献、すなわち(a)Serre et al.,“Role of solvent−host interactions that lead to very large swelling of hybrid frameworks”,Science,2007,Vol.315,1828−1831;(b)Surbl注:原文はイーウムラウト et al.,“A new isoreticular class of metal−organic frameworks with the MIL−88 topology”,Chem.Comm.,
2006,284−286;(c)Mellot−Draznieks et al.,“Very large swelling in hybrid frameworks: a combined computational and power diffraction study”,J.Am.Chem.Soc.,2005,Vol.127,16273−16278を参照することができる。MIL−88B_4CH3
固体の構造は、図39に示されている。
特に、本発明のMOFナノ粒子は、
−柔構造、例えばMIL−53のFe(OH)[C64(CO22
−柔構造、例えばMIL−88AのFe3OX[C22(CO223
−柔構造、例えばMIL−89のFe3OX[C44(CO223
−柔構造、例えばMIL−88BのFe3OX[C64(CO223
−柔構造、例えばMIL−88BtのFe3OX[O2C−C6(CH34−CO23.n
2
−剛構造、例えばMIL−101のFe3OX[C64(CO223
−剛構造、例えばMIL−100のFe3OX[C63(CO233
−柔構造、例えばMIL−88CのFe3OX[C106(CO223
−柔構造、例えばMIL−88DのFe3OX[C128(CO223
からなる群から選択される式の単位を有することができる。
特に、本発明のMOFナノ粒子は、
−剛構造のMIL−101(Fe)またはFe3O[C64−(CO223.X.nH2
O(X=F、Cl、OH)
−剛構造のMIL−101−Cl(Fe)またはFe3O[Cl−C63−(CO223.X.nH2O(X=F、Cl、OH)
−剛構造のMIL−101−NH2(Fe)またはFe3O[NH2−C63−(CO22
3.X.nH2O(X=F、Cl、OH)
−剛構造のMIL−101−2CF3(Fe)またはFe3O[(CF32−C62−(CO223.XnH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−88B−NO2(Fe)またはFe3O[C63NO2−(CO22
3.X.nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−88B−2OH(Fe)またはFe3O[C62(OH)2−(CO2
23.X.nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−88B−NH2(Fe)またはFe3O[C63NH2−(CO223.X.nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−88B−CH3(Fe)またはFe3O[C63CH3−(CO223.X.nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−88B−C1(Fe)またはFe3O[C63Cl−(CO223.X.nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−88B−4CH3(Fe)またはFe3O[C6(CH34−(CO223.X.nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−88B−4F(Fe)またはFe3O[C64−(CO223.X.
nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−88B−Br(Fe)またはFe3O[C63Br−(CO223
X.nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−88B−2CF3(Fe)またはFe3O[(CF32−C62−(CO223.X.nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−88D 4CH3(Fe)またはFe3O[C124(CH34−(C
223.X.nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−88D 2CH3(Fe)またはFe3O[C126(CH32−(C
223.X.nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−88E(Pyr)(Fe)またはFe3O[C432−(CO223.X.nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−88F(Thio)(Fe)またはFe3O[C42S−(CO22
3.X.nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−53−2OH(Fe)またはFeO(OH)[C62(OH)2−(
CO22].X.nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−53−NH2(Fe)またはFeO(OH)[C62−NH2−(CO22].X.nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−53−C1(Fe)またはFeO(OH)[C62−Cl−(CO2
2].X.nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−53−Br(Fe)またはFeO(OH)[C62−Br−(CO2
2].X.nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−53−2CF3(Fe)またはFeO(OH)[C62(CF32
(CO22].X.nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−53−CH3(Fe)またはFeO(OH)[C63CH3−(CO2
2].X.nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−53−2COOH(Fe)またはFeO(OH)[C63−(CO2
4].X.nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−88G(AzBz)(Fe)またはFe3O[C1282−(CO223.X.nH2O(X=F、Cl、OH)
−柔構造のMIL−88G 2Cl(AzBz−2Cl)(Fe)またはFe3O[C12
62Cl2−(CO223.X.nH2O(X=F、Cl、OH)
からなる群から選択される式の単位を有することができる。
加えて、同じカルボン酸配位子Lおよび同じ鉄塩基(鎖またはトリマー)から、発明者は、一般式(I)が同じで構造が異なるMOF材料を得ることが可能であった。これは、例えば、MIL−88BおよびMIL−101の場合に当てはまる。具体的には、固体MIL−88BとMIL−101の差異は、配位子の八面体トリマーへの結合の形態である。固体MIL−101では、配位子Lは、硬い四面体の形で集成するのに対して、固体MIL−88Bでは、それらは、三方両錐体を形成して、トリマーの間に間隔を設けることを可能にしている。
これらの様々な材料は、以下の「実施例」の節に示される。これらの配位子の集成の形態を、例えば、pHを調整することによって合成中に制御することができる。例えば、以下の「実施例」の節に記載されるように、固体MIL−88は、固体MIL−101より弱い酸性の媒体で得られる。
特に、本発明のMOFナノ粒子は、「実施例」の節に記載されるように、MIL−53、MIL−88、MIL−100、MIL−101、MIL−102からなる群から選択される相を有することができる。
さらに、発明者は、画像における本発明のMOFナノ粒子の予想外の特性を実証した。具体的には、鉄(III)の帯磁率の他に、本発明のカルボン酸鉄MOF材料の構造特性は、水が第1の配位球体のまわりに配位結合し、孔内で循環することを可能にすることで、水の縦方向T1および横方向T2に対する効果を誘発させる。特に、ナノ粒子の緩和性r2は、勾配エコー実験時にインビボで使用するのに十分である。
例えば、本発明のナノ粒子は、少なくとも18mMs-1、例えば少なくとも8.6mMs-1の横方向緩和性r2を有することができる。
したがって、本発明はまた、造影剤としての本発明のMOFナノ粒子の使用に関する。
さらに、発明者によって実施された研究調査は、特定の等網状構造組織を有する本発明のMOFナノ粒子を良好な収率で得るための柔軟かつ調節可能な合成方法を開発することを可能にした。加えて、それは、所望の寸法ならびに均一な粒径および孔径のナノ粒子を得ること可能にする。
したがって、本発明はまた、本発明の定義されているナノ粒子を調製する方法であって、前記ナノ粒子を得るように、
−鉄金属、鉄(III)塩、鉄(ii)塩、または金属イオンFe3+またはFe2+を含む配位錯体の形の少なくとも1つの金属無機前駆体を含む少なくとも1つの溶液と、
−q個の基−C(=O)−R3
(ただし、
・上記配位子LについてのqおよびRは、定義されている通りであり;
は、R基への基の結合の点を表し;
・R3は、−OH基、−OY基(Yはアルカリ金属カチオンを表す)、ハロゲン、または
−OR4基、−O−C(=O)R4もしくは−NR44’(R4およびR4’はC1〜12アル
キル基である))
を有するR基を含む少なくとも1つの配位子L’と、を極性溶媒中で混合することからなる少なくとも1つの反応工程(i)を含む方法に関する。
4基およびR4’ 基は、同一であっても異なっていてもよい。
一実施形態において、配位子L’は、

からなる群から選択されるジ、トリ、テトラまたはヘキサデンテート配位子であってよい。
(式中、
3は、以上に定義されている通りであり、
1は、OまたはSを表し、
sは、1〜4の整数を表し、
tの各存在は、独立して、1〜4の整数を表し、
uは、1〜7の整数を表し、
L1およびRL2は、独立して、H、ハロゲンまたはC1〜C6アルキル(好ましくはメチルまたはエチル)を表し、
L3の各存在は、独立して、H、ハロゲン(好ましくはF、ClまたはBr)、OH、
NH2、NO2またはC1〜C6アルキル(好ましくはメチルまたはエチル)を表す。)
一実施形態において、RL1、RL2およびRL3基の各存在は水素原子を表す。
好ましくは、反応工程(i)において、使用される配位子L’は、C22(CO2H)2(フマル酸)、C24(CO2H)2(コハク酸)、C36(CO2H)2(グルタル酸)、C44(CO2H)2(ムコン酸)、C48(CO2H)2(アジピン酸)、C714(CO2H)2(アゼライン酸)、C53S(CO2H)2(2,5−チオフェンジカルボン酸)、
64(CO2H)2(テレフタル酸)、C622(CO2H)2(2,5−ピラジンジカ
ルボン酸)、C106(CO2H)2(ナフタレン−2,6−ジカルボン酸)、C128(CO2H)2(ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸)、C1282(CO2H)2(アゾベンゼンジカルボン酸)、C63(CO2H)3(ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸)、C63(CO2H)3(ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸)、C2415(CO2H)3(ベンゼン−1,3,5−トリ安息香酸)、C62(CO2H)4(ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸)、C104(CO2H)4(ナフタレン−2,3,6,7−テト
ラカルボン酸)、C104(CO2H)4(ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン
酸)、C126(CO2H)4(ビフェニル−3,5,3’,5’−テトラカルボン酸)、
および2−アミノテレフタル酸、2−ニトロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−ブロモテレフタル酸、2,5−ジヒドロキソテレフタル酸、テトラフルオロテレフタル酸、テトラメチルテレフタル酸、ジメチル−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、テトラメチル−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、ジカルボキシ−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,5−ピラジンジカルボン酸からなる群から選択される修飾類似体からなる群から選択されるジ、トリまたはテトラカルボン酸配位子であってよい。使用される配位子L’は、2,5−ジペルフルオロテレフタル酸、アゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸、3,3’−ジクロロアゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸、3,3’−ジヒドロキソアゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸、3,3’−ジペルフルオロアゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸、3,5,3’,5’−アゾベンゼンテトラカルボン酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、およびペルフルオログルタル酸から選択されてもよい。
プロセスの実施において、配位子L’は、カルボン酸の形をとるとは限らないことが理解されるであろう。既に示されているように、配位子L’は、1つまたは複数のカルボン酸官能基が−C(=O)−R3(R3は、−OY基(Yはアルカリ金属カチオンを表す)、ハロゲンまたは−OR4、−O−C(=O)R4もしくは−NR44’(R4およびR4’
基は独立してC1〜12アルキル基である)を表すことができる)の形である誘導形で存在
することができる。
MOF材料の合成を、好ましくは、例えば熱水または熱溶媒条件下で加熱することによって、またマイクロ波、超音波、磨砕、超臨界流体を用いるプロセスなどによって供給できるエネルギーの存在下で実施することができる。対応するプロトコルは、当業者に周知である。熱水または熱溶媒条件に使用できるプロトコルの非限定的な例が、例えば、K.Byrapsa,et al.“Handbook of hydrothermal technology”, Noyes Publications,Parkridge,New Jersey USA,William Andrew Publishing,LLC,Norwich NY USA,2001[9]に記載されている。マイクロ波を介する合成については、使用できるプロトコルの非限定的な例が、例えば、G.Tompsett,et al.ChemPhysChem.2006,7,296[1
0];S. −E.Park,et al.Catal.Survey Asia 2004,8,91[11]; C.S.Cundy,Collect.Czech.Chem.Commun.1998,63,1699[12];またはS.H.Jhung,et al.Bull.Kor.Chem.Soc.2005,26,880[13]に記載されている。ロールミルの存在下での条件については、例えば、文献A.Pichon
et al.,Cryst.Eng.Comm.8,2006,211−214[14]; D.Braga et al.,Angew.Chem.Int.Ed.45,2006,142−246[15]; D.Braga et al.,Dalton Trans.2006,1249−1263[16]を参照することができる。
その反応温度が0〜220℃の範囲であってよい熱水または熱溶媒条件は、一般には、温度が溶媒の沸点未満である場合にガラス(またはプラスチック)容器内で実施される。温度がより高い場合、または反応がフッ素の存在下で実施される場合は、金属ボンベに挿入されたテフロン(登録商標)体が使用される[9]。
使用される溶媒は、一般には極性である。特に、水、アルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジエチルホルムアミド、クロロホルム、シクロヘキサン、アセトン、シアノベンゼン、ジクロロメタン、ニトロベンゼン、エチレングリコール、ジメチルアセトアミド、またはこれらの溶媒の混合物を使用することができる。
混合物の化合物のより良好な溶解のために、合成における任意の工程で1つまたは複数の共溶媒を添加することもできる。それらは、特に、酢酸、ギ酸、安息香酸などのモノカルボン酸であってよい。
共溶媒がモノカルボン酸であるときは、この酸は、可溶化効果を有することに加えて、MOF固体の結晶成長を停止させることを可能にする。具体的には、カルボン酸官能基は、鉄と配位結合し、それは、第2の−COOH官能基が共溶媒分子上に存在するため別の鉄原子に結合することができなくなる。したがって、結晶網の成長が遅くなり、次いで停止する。したがって、酢酸、ギ酸、安息香酸などのモノカルボン酸共溶媒を添加すると、得られるMOF固体粒子の粒径を小さくすることができる。したがって、モノカルボン酸共溶媒を使用すると、ナノ粒子(粒径<1μm)の製造を促進させることができる。
概して、モノカルボン酸分子を添加することによって、ナノ粒子の粒径を制御することができる。この分子は上記共溶媒の1つであってよい。それは、モノカルボン酸有機表面処理剤であってもよい。有機表面処理剤の概念、および本発明の文脈におけるそれらの使用は、以下に詳述される。例えば、PEG−COOHなどのモノカルボン酸有機表面処理剤を合成の過程で添加することができる、これは、2重の機能、すなわち、
−MOF網の結晶成長を停止する(したがって、より小さいナノ粒子の製造を可能にする)機能、
−PEG基をグラフトすることによってナノ粒子の表面を改質する機能(有機表面処理剤の機能)を有する。
混合物のpHを改質するように、合成時に1つまたは複数の添加剤を添加することができる。これらの添加剤は、無機もしくは有機酸または無機もしくは有機塩基から選択される。特に、該添加剤は、HF、HCl、HNO3、H2SO4、NaOH、KOH、ルチジ
ン、エチルアミン、メチルアミン、アンモニア、尿素、EDTA、トリプロピルアミン、ピリジンなどからなる群から選択され得る。
好ましくは、反応工程(i)を以下の反応条件の少なくとも1つに従って実施すること
ができる。
−0℃〜220℃、好ましくは50〜150℃の反応温度;
−0〜1000rpm(または回転数毎分)、好ましくは0〜500rpmの撹拌速度;−1分〜96時間、好ましくは1分〜15時間の反応時間;
−0〜7、好ましくは1〜5のpH;
−溶媒、前駆体、配位子またはそれらの混合物に少なくとも1つの共溶媒を添加し、前記共溶媒は、酢酸、ギ酸および安息香酸からなる群から選択される;
−水、アルコールRS−OH(RSは、直鎖状または分枝状C1〜C6アルキル基である)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジエチルホルムアミド、クロロホルム、シクロヘキサン、アセトン、シアノベンゼン、ジクロロメタン、ニトロベンゼン、エチレングリコール、ジメチルアセトアミド、または混和性もしくは不混和性であってよいこれらの溶媒の混合物からなる群から選択される溶媒の存在下;
−超臨界媒体、例えば、超臨界CO2中;
−マイクロ波および/または超音波下;
−電気化学的電気分解条件下;
−ロールミルを使用する条件下;
−ガス流中。
MOF材料の合成を、好ましくは、ナノ粒子の形成に有利な実験条件下で実施することができる。例えば、以下のパラメータの制御は、本発明のMOF固体粒子を製造するのに重要であり得る。
−反応温度、
−反応時間、
−配位子L’および金属無機前駆体の濃度、および/または
−pH調整剤などの1つまたは複数の添加剤の添加(酸、塩基)、無機化剤、または結晶成長の停止を促進させるための物質(モノカルボン酸)。
これらのパラメータの各々の好適な範囲は、ナノ粒子の合成が熱水/ソルボサーマル法を介して、実施されるか、または超音波を介して実施されるか、またはマイクロ波を介して実施されるかに応じて異なってよい。例えば、用いられる反応温度は、通常熱水/ソルボサーマル法(約20〜150℃)の方が超音波法(約0℃)より高い。
実施例6Bに記載されるように、発明者は、4つの上記パラメータが、ナノ粒子(すなわち直径が1μmより小さい粒子)の製造のみならず、良好な結晶化の確保、満足できる収率(例えば>25重量%)および酸化鉄の不在に影響を与えることを実証した。
調製されたMOF固体層の各々について、最適条件が発明者によって実験的に決定された。例示的かつ非限定的な目的で、処理条件の例が「実施例」の節に記載されている。ナノ粒子の所望の粒径および所望の多分散度に応じて、実施例に示される処理条件を変える温度、反応時間および濃度範囲ならびに添加剤の量で本発明のナノ粒子を得ることができるため、「実施例」に詳述されている処理条件は、いかなる場合も限定的でないことが理解される。
概して、本発明のMOF固体ナノ粒子を調製するプロセスに従って、以下のパラメータを使用することによって、MIL−88A相がナノ粒子の形で得られる。
ソルボサーマル法
−反応温度は、好ましくは、20〜200℃、より好ましくは50〜100℃、最も好ましくは60〜70℃であり、
−反応時間は、30分〜72時間、より好ましくは30分〜12時間、最も好ましくは1
時間〜4時間であり、
−配位子L’および金属無機前駆体の濃度は、1〜200mmol/L、より好ましくは30〜100mmol/L、最も好ましくは60〜70mmol/Lであり、
−モノカルボン酸、好ましくは酢酸を添加する。pH調整剤(酸、塩基)または無機化剤などの他の添加剤を添加することもできることが理解される。
超音波法
−反応温度は、好ましくは、−5℃〜20℃、より好ましくは−5℃〜10℃、最も好ましくは−5℃〜5℃であり、
−反応時間は、15分〜2時間、より好ましくは15分〜1時間、最も好ましくは15分〜45分であり、
−配位子L’および金属無機前駆体の濃度は、10mol/l〜10-2mol/l、より好ましくは1〜10-2mol/l、最も好ましくは50〜200mol/lであり、
−モノカルボン酸、好ましくは酢酸を添加する。pH調整剤(酸、塩基)または無機化剤などの他の添加剤を添加することもできることが理解される。
マイクロ波法
−反応温度は、好ましくは、30℃〜300℃、より好ましくは30℃〜150℃、最も好ましくは50℃〜120℃であり、
−反応時間は、1分〜3時間、より好ましくは10分〜50分、最も好ましくは1分〜30分であり、
−配位子L’および金属無機前駆体の濃度は、200mol/l〜10-2mol/l、より好ましくは100〜10-2mol/l、最も好ましくは10〜10-2mol/lであり、
−pH調整剤、好ましくは塩酸を添加する。pH調整剤(酸、塩基)、無機化剤、または結晶成長の停止を促進するための物質(モノカルボン酸)などの他の添加剤を添加することもできることが理解される。
上記温度、反応時間および濃度範囲を用い、先に挙げられているものなどの添加剤を任意選択で添加することによって、同様の処理条件下で、他の「MIL」相をナノ粒子の形で得ることができる。
本発明の調製プロセスは、限定された工程数および高収率で、純粋かつ均質のナノ粒子の形の所望の材料を製造することを可能にするという利点を有する。これにより、合成時間および製造コストが削減される。
加えて、カルボン酸鉄(III)ナノ粒子は、他の金属、例えばクロム(III)より粗くない合成条件を必要とする。
加えて、このプロセスは、所定の構造の材料の利用を可能にし、合成時間、pH、添加剤の添加、撹拌、溶媒の性質、マイクロ波法の使用などのパラメータの1種または複数種を変更することによって粒径を調節することを可能にする。
さらに発明者はまた、本発明のナノ粒子の特定の構造特性が、特に柔軟性または孔径の観点で、それらを、高度な充填能力、高度な選択性および高度な純度を有する吸着剤にすることを実証した。したがって、それらは、好ましいエネルギーコストおよびより長い放出時間で、分子、例えば医薬分子の選択的吸着を可能にする。したがって、発明者によって実施された研究調査は、活性成分を吸着および担持するためのMOF材料の利点を実証することを可能にした。
したがって本発明はまた、それらの孔またはそれらの表面に、医薬活性成分、化粧用途の化合物またはマーカからなる群から選択される本発明のMOFナノ粒子の使用に関する。
特に本発明はまた、医薬活性成分が充填された本発明のMOFナノ粒子の医薬品としての使用に関する。医薬活性成分を本発明のナノ粒子の孔または表面のいずれかに含めることができる。これは、本文書の残りの箇所において、「医薬活性成分が充填されたナノ粒子」という表現により理解される。
より一般的には、「構成要素Xが充填されたナノ粒子」という用語は、その孔またはその表面に構成要素Xを含む本発明のナノ粒子を指す。構成要素Xを共有結合、水素結合、ファンデルワールス結合、静電相互作用によってナノ粒子の表面または孔に吸着または結合させることができる。この構成要素Xは、以上に示されているように、医薬活性成分であってよい。あるいは、構成要素Xは、生物学的活性を有する任意の分子、化粧用途の化合物またはマーカであってよい。
具体的には、本発明のMOFナノ粒子は、大きな吸着能力を有するという利点がある。加えて、それらは、例えば、不安定性、高反応性、低溶解性、結晶化する強い傾向、親水性または両親媒性などにより特に封入が困難な医薬分子を効率的に吸着させることができる。
例えば、親水性、両親媒性、親油性、不安定性、毒性、結晶化する強い傾向、または実質的に不溶性の特性の1種または複数種を有する少なくとも1つの医薬活性成分を本発明のナノ粒子に充填することができる。
「毒性」という用語は、医学または獣医学用途におけるその使用を妨げがちな毒性効果を有する医薬活性成分を指す。それらは、例えば、ブスルファン、シスプラチン、またはロムスチンなどのニトロソ尿素などのアルキル化剤であってよい。代謝後、アルキル化剤は、核酸と共有結合を形成する。これらの結合の形成は、
−DNA転写および複写異常
−DNAにおける塩基置換
−塩基除去およびDNA鎖開裂
をもたらし得る。
それらの主な薬理学的作用は、DNAの合成段階を通じて明確になる。それらの毒性効果は、骨髄抑制、不妊および非リンパ球性白血病である。
シスプラチンは、懸垂線内DNA架橋を生じさせ、骨髄毒性が低いが、催吐性が強く、腎毒性を有し得る。
「結晶化する強い傾向」という用語は、他の構造に含まれる代わりに、結晶格子において自己会合する傾向を有する医薬活性成分を指す。したがって、当該化合物は、粒子に含まれるのでなく、使用されるカプセル化プロセスを通じて結晶を形成する傾向を有する。したがって、これにより、プロセスの終了時に、医薬活性成分が余り充填されていない粒子とそれらの結晶との混合物が生じる。それは例えばブスルファンであってよい。投与量が多いと、それは、深刻な副作用、すなわち肝静脈閉塞病をもたらす。これは、恐らく、この分子の結晶化する非常に強い傾向に起因する。結晶堆積は、この活性成分のメチルスルホ基間の強い双極子−双極子相互作用に支配される。
「実質的に不溶性」という用語は、その溶解度が水1ml当たり0.1mg未満の医薬活性成分を指す。それは例えばブスルファンであってよい。
「不安定」という用語は、分解、結晶化および/または反応し、そうすることでその構造およびその活性を低下させ得る医薬活性成分を指す。この可能な例がブスルファンである。
加えて、医薬活性成分は、生物活性を有する任意の分子、例えば、医薬品、特に抗癌薬、抗ウィルス薬、修飾または非修飾ヌクレオシド類似体、核酸、抗体、タンパク質、ビタミンなどであってよい。
挙げることができる親水性活性成分のなかには、例えば、AZT、TP、CDV(シドホビル)、5−フルオロウラシルおよびシタラビンがある。
挙げることができる両親媒性活性成分のなかには、例えば、ブスルファン、塩化ドキソルビシンおよび塩化イミプラミンがある。
挙げることができる親油性活性成分のなかには、例えば、タモキシフェン、ドセタキセル、パクリタキセル、イブプロフェン、リドカイン、ビタミンA(レチノール)、D(カルシフェロール)、E(トコフェロール)、K1(フィロキノン)およびK2(メナキノン)などの脂溶性ビタミンがある。
特に、例えば、タキソテレ、ブスルファン、アジドチミジン(AZT)、リン酸アジドチミジン(AZTP)、シドホビル、ゲムシタビンおよびタモキシフェンからなる群から選択される少なくとも1つの医薬活性成分を、本発明のナノ粒子に充填することができる。
一実施形態において、活性成分は、蛍光分子であってよい。例えば、それは、ローダミン、フルオレセイン、ルシフェラーゼ、ピレンおよびその誘導体、またはアミノピロリジノ−7−ニトロベンゾフラザンであってよい。
一実施形態において、活性成分は、フルオロ分子、すなわち少なくとも1つの置換基Fを含む分子であってよい。それは、例えば、先に挙げられているフルオロ分子の1つであってよい。これらのフルオロ分子は、画像、特に、上記PET技術などの蛍光画像での使用に好適である。
したがって、本発明はまた、PET画像などの医療画像に使用できるマーカとしての、本発明の1つまたは複数のフルオロ分子を封入するMOFナノ粒子の使用に関する。
加えて、本発明のナノ粒子に化粧用途の少なくとも1つの化合物を充填することができる。
「化粧用途の化合物」という用語は、化粧品、すなわち、人体の様々な表面部分、特に、表皮、軟毛および毛髪系、外部器官、歯および粘膜と、それらを洗浄、保護または着香し、人体を良好な状態に維持し、その外観を改良し、またはその臭いを矯正する目的で接触させることを意図する製剤の処方に含まれる任意の活性物質を指す。「活性物質」という用語は、化粧品の効果を保証する物質を指す。
化粧用途の化合物は、当業者に周知の任意の化粧品、例えば、衛生用品(例えば、メーク落とし、歯磨き粉、脱臭剤、ボディソープ、石鹸またはシャンプー)、ケア用品(例えば、防皺クリーム、日中用クリーム、夜用クリーム、保湿クリーム、フローラルウォーター、スクラブ、乳液、美容マスク、リップバームまたはトニック)、ヘアケア用品(例えば、ヘアコンディショナー、縮毛矯正剤、ヘアゲル、ヘアオイル、ヘアスプレー、ヘアマスクまたは毛髪染料)、メークアップ用品(例えば、コンシーラー、セルフタンニング剤、アイライナー、メークアップパウダー、ファンデーション、コール、マスカラ、パウダー、皮膚漂白剤、口紅またはマニキュア)、芳香剤(例えば、オーデコロン(eau de Cologne)、オードトワレ(eau de toilette)またはフレグランス)、日除け用品(例えば、日焼け止めおよび日除けクリーム、オイルおよびローシ
ョン)、髭剃り用品および除毛用品(例えば、アフタシェーブ、除毛クリームまたはシェービングフォーム)あるいはバスおよびシャワー用品(例えば、バブルバス、バスオイルまたは入浴剤)の調製に含まれる活性物質であってよい。
本発明によれば、化粧用途の化合物は、例えば、
−酸化防止剤(例えば、クエン酸、ベータ−カロテン、ビタミンE、グリコール酸、グルタチオン、ビタミンC、ポリフェノール、リコペン、フラボノイド、タンニン、アントシアン、N−アセチルシステイン(遊離基捕集剤))
−ビタミン(例えば、ビタミンA、B3、B5、B6、B2、B1、B9、B8、B12、C、E、D、K、K1、K2)
−脂質調節剤(例えば、カフェインまたはテオフィリン)
−光保護剤(例えば、ベンゾフェノン−3(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)、ベンゾフェノン−4(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸)、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸)
−保湿剤(例えば、尿素、ヒアルロン酸またはソルビトール)
からなる群から選択され得る。
例えば、ベンゾフェノン、ビスナジン、サリチル酸、アスコルビン酸、ベンゾフェノンおよびその誘導体、カフェイン、尿素、ヒアルロン酸などからなる群から選択される化粧用途の少なくとも1つの化合物を、本発明のナノ粒子に充填することができる。
特に、本発明のナノ粒子に、乾燥固体の1重量%〜200重量%、例えば乾燥固体の1重量%〜70重量%、すなわち乾燥固体1グラム当たり約10〜700mgの充填能力で医薬活性成分を充填することができる。
本発明の文脈において、充填能力は、分子を貯蔵するための能力、または材料に吸着される分子の量を指す。充填能力を質量能力(グラム/グラム)またはモル能力(モル/モル)あるいは他の用語(モル/グラム、グラム/モルなど)で表すことができる。
したがって、本発明のナノ粒子は、特にブスルファンの場合に、先行技術でこれまで達成されなかった予想外の充填能力を有するという利点がある。具体的には、本発明のナノ粒子は、特にブスルファンなどの両親媒性分子を組み込むのに好ましい疎水性/親水性内部微小環境を有する。
加えて、先行技術の別の問題は、親和性がない場合の担持分子の急速かつ無制御の放出に関する。本発明のMOFナノ粒子は、特に内部微小環境のみならず、化合物の構造により、より長い放出時間を可能にするという利点を有する。具体的には、MOF構造の硬質および軟質相は、分子の放出運動に影響を与える。特に、軟質相は、例えばイブプロフェンおよび化合物MIL−53について、長時間にわたるより長い化合物の放出を可能にし得る。
本発明のナノ粒子は、例えばスペーサ配位子上に、本発明のMOFナノ粒子と対象分子との相互作用を改変することができる官能基をさらに含んでよい。これは、対象分子の封入および放出を制御することを可能にし得る。したがって、封入度、分子の放出および/または固体の分解性を改変するように、担持される対象分子の作用に応じて、本発明のMOF材料を構成および処方「設計」することができる。
また、本発明のMOFナノ粒子は、以下の「実施例」の節に記載されている非常に現実的な毒性試験を受けた。それらは、また、生分解性を有すると思われ、分解性試験が進行中である。
したがって、活性成分を担持するために使用される本発明のMOFナノ粒子は、既に記載されている先行技術の問題、特に、毒性、不安定性、活性成分の結晶化する強い傾向、それらの制御放出に関連する問題などを克服することを可能にする。
加えて、それらは、特定の生体目標に向けた化合物の方向付けおよび/または粒子の隠匿性に関連する必要性を満たすように、分子をそれらの表面にグラフトすることを可能にする。したがって、これは、活性成分の生体内分布を向上させることを可能にする。
したがって、1つの特定の実施形態によれば、本発明のMOFナノ粒子は、その表面に、少なくとも1つの有機表面処理剤をさらに含んでよい。この薬剤をナノ粒子の表面にグラフトまたは堆積させる、例えば、表面に吸着させるか、または共有結合、水素結合、ファンデルワールス結合もしくは静電相互作用によって結合させることができる。表面処理剤をナノ粒子の製造時に、絡めることによって組み込むこともできる。
表面処理剤は、例えば、ナノ粒子の合成後に組み込まれるホスフェート含有表面処理剤であってよい。
本発明によれば、「表面処理剤」という用語は、固体の表面を部分的または完全に被覆して、材料の表面特性を改良すること、例えば、
−その生体内分布を改良すること、例えば、網内皮系によるその認識を回避すること(「隠匿性」)、および/または
−経口、眼もしくは鼻投与時に、有利な生体接着特性をそれに付与すること、および/または
−それが、特定の患部器官/組織の特異的ターゲティングを行うことができるようにすることを可能にする分子を指す。
本発明によれば、いくつかの表面処理剤を使用して、上記特性を兼備することができる。
本発明によれば、上記特性の少なくとも2つを兼備する表面処理剤を使用することができる。
本発明によれば、有機表面処理剤は、例えば、
−オリゴ糖、例えばシクロデキストリン、
−多糖、例えば、キトサン、デキストラン、フコイダン、アルギネート、ペクチン、アミロース、デンプン、セルロースまたはキシラン、
−グリコサミノグリカン、例えば、ヒアルロン酸またはヘパリン、
−ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコールまたはポリエチレンイミン、
−界面活性剤、例えば、プルロニックまたはレシチン、
−ビタミン、例えばビオチン、
−補酵素、例えばリポ酸、
−抗体または抗体断片、
−アミノ酸またはペプチド
からなる群から選択され得る。
表面処理剤は、ターゲティング分子、すなわち生体目標を認識する、または生体目標によって特異的に認識される分子であってもよい。したがって、本発明のMOF固体とターゲティング分子とを組み合わせると、本発明のナノ粒子を誘導し、そのため活性成分をこの生体細胞、組織または器官目標に向けて方向付けすることが可能になる。
好ましくは、本発明のナノ粒子は、ビオチン、アビジン、葉酸、リポ酸、アスコルビン酸、抗体もしくは抗体断片、ペプチドまたはタンパク質からなる群から選択され得る有機表面処理剤としての少なくとも1つのターゲティング分子を含んでよい。
したがって、有機表面処理剤は、ビオチン、キトサン、リポ酸、抗体または抗体断片およびペプチドからなる群から選択されるターゲティング分子であってよい。
例えば、単純なインキュベーションなどによって容易に配位子をカップリングするために、表面におけるビオチンの存在を利用することができる。これを行うために、文献S.Balthaser et al.,Biomaterials,Volume 26,Issue 15,May 2005,2723−2732[17]およびR.Gref
et al.,Biomaterials,Volume 24,Issue 24,November 2003,4529−4537[18]に記載されているプロトコルを使用することが可能である。
ビオチンの代わりに別の配位子、例えば葉酸を使用することができる。この配位子は、上記文献[17]および[18]に示されるように、癌の分野において一定の関心が寄せられる。
この表面改質法は、特にMOF固体粒子が気体を含む場合にそれらの粒子のコアを乱さず、MOF固体の合成の最中または後にそれを行うため、様々な可能な塗料を提供することが可能であるという利点を有する。
厳密な使用、例えば生体接着性、特異的認識などを満たすように、粒子(MOF)と相互作用することが可能な官能基を含むポリマーの混合物を表面処理剤として使用することも可能である。
特定の患部器官/組織の特異的ターゲティングを可能にする表面処理剤のなかで、挙げることができる例は、ビタミン(ビオチン、葉酸、リポ酸またはアスコルビン酸)、抗体または抗体断片、ペプチドおよびタンパク質を含む。
加えて、本発明のMOF固体の表面に表面処理剤をグラフトすると、特定の生体目標に向けた化合物の方向付けおよび/または材料の隠匿性に関連する必要性を満たすことが可能になる。これは、材料の生体内分布を改良することを可能にする。
本発明によれば、表面処理剤を本発明の固体の表面にグラフトまたは堆積させる、例えば、表面に吸着させるか、または共有結合、水素結合、ファンデルワールス結合もしくは静電相互作用を介して結合させることができる。表面処理剤を固体の製造時に、絡めることによって組み込むこともできる。
表面処理剤は、例えば、前記固体の合成の最中または後に組み込まれるホスフェート含有表面処理剤であってよい。
本発明によれば、有機表面処理剤は、例えば、オリゴ糖、多糖、キトサン、デキストラン、ヒアルロン酸、ヘパリン、フコイダン、アルギネート、ペクチン、アミロース、シクロデキストリン、デンプン、セルロース、キシラン、ポリマーまたはコポリマー、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、プルロン酸、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミンなどからなる群から選択され得る。
加えて、本発明のMOFナノ粒子は、マーカをこれらの材料に組み込むことを可能にし、それも有利である。
したがって、1つの特定の実施形態によれば、医薬活性成分および/または化粧用の化
合物および/またはマーカであってよい少なくとも1つの対象分子を本発明のナノ粒子に充填することができる。対象分子を本発明のナノ粒子の孔または表面のいずれかに含めることができる。
したがって、本発明のMOFナノ粒子を医薬品、化粧品組成物、および/または医療画像に使用できるマーカの製造に使用することができる。
したがって、疾患にかかっている個体を治療するプロセスであって、前記疾患を治療することが既知である少なくとも1つの活性成分をそれらの孔またはそれらの表面に含む本発明のMOF固体ナノ粒子を前記個体に投与することを含むプロセスが提供される。
特に、医療画像マーカ、造影剤、トレーサ、放射活性マーカ、蛍光マーカおよびリン光マーカからなる群から選択される少なくとも1つのマーカを本発明のMOFナノ粒子に充填することができる。
例えば、発明者は、以下の「実施例」の節において、蛍光化合物、特にフルオロセインで標識されたデキストランを使用した表面改質を記載する。この改質は、共焦点顕微鏡を使用した粒子の検出を可能にする。共焦点レーザ走査顕微鏡(CLSM)は、「光学的部分」として既知の非常に低い被写界深度(約600nm)の画像を生成する特性を有する光学顕微鏡である。レンズの焦点面をサンプルにおける異なる深さレベルに配置することによって、対象の三次元表現をそこから得ることができる一連の画像を生成することが可能である。いくつかの可能な用途は、
i)細胞系との相互作用の研究;
ii)Mulder W.J.et al.Nanomed.2007 June,2(3),307−324[21]の文献に示唆されているように、粒子が、医療画像におけるそれらの観察と適合する緩和性を有する場合は、それらを多様式画像に使用することができる。
特に、蛍光化合物、酸化鉄、ガドリニウム錯体、例えば有機配位子との錯体の形で構造にそのまま存在するガドリニウムイオンなどからなる群から選択される少なくとも1つのマーカを本発明のナノ粒子に充填することができる。マーカを充填するためのプロトコルは、当業者に周知のものである。使用できる非限定的な例は、A.K.Gupta,et
al.,Nanomed.2007 2(1),23−39[22];P Caravan,Chem.Soc.Rev., 2006,35,512−523[23];またはYan−Ping Ren,et al.,Angew.Chem.Int.Ed.2003,42,No.5,532[24]に記載されている。
したがって、マーカを製造、担持および/または方向付けするために、本発明のMOFナノ粒子を使用することができる。
加えて、本発明のナノ粒子を、それらに医薬活性成分が充填される場合は医薬品を方向付けするために、かつ/またはそれらがマーカとして使用される場合は生体目標(癌など)を含む疾患を検出および監視するために使用することができる。
加えて、これらの2つの使用を累積することによって、本発明のナノ粒子は、有利には、医薬品の生体内分布を視覚化することを可能にする。これは、特に、治療薬の監視および医薬品の生体内分布の調査に非常に興味深い。
本発明の1つの特定の実施形態によれば、本発明のナノ粒子を調製するプロセスは、医薬活性成分および/または化粧用途の化合物および/またはマーカであってよい少なくとも1つの対象分子を前記ナノ粒子に導入する工程(ii)をさらに含んでよい。
対象分子が充填された固体を得るように、反応工程(i)の最中または後に前記導入工程を実施することができる。
導入工程(ii)時に、当業者に周知の任意の方法を使用することができる。対象分子を、例えば、
−対象分子に溶液に材料を浸漬することによる含浸を介して;
−対象分子を昇華させ、次いで気体を材料に吸着させることによって;または
−材料と対象分子とを機械的に混合する回転式ロール練りを介して本発明のMOF材料に導入することができる。
本発明の特定の形態によれば、本発明のナノ粒子を調製するプロセスは、少なくとも1つの有機表面処理剤を前記ナノ粒子に結合させる工程(iii)をさらに含んでよい。
この結合工程(iii)を反応工程(i)の最中または後に、あるいは対象分子を導入する工程(ii)の後に実施することができる。以下に例が示される(実施例22、実施例23、実施例24)。
一定の数の表面改質MOF固体ナノ粒子が、「実施例」の節に示される。これらの実施例は、実例として示され、限定するものではないことが理解される。実施例に示されるMOF固体ナノ粒子の表面を改質するための方法は、本発明のMOF固体ナノ粒子(例えば、異なる配位子Lを有し、かつ/または少なくとも1つの活性成分、化粧用途の化合物および/またはマーカを封入したMOF固体)のすべてに適用可能および/または適応可能である。例えば、本特許出願に記載されているMOF固体ナノ粒子のすべての表面を改質するためにこれらの方法を困難なく使用することができる。
以下の実施例を読み、非限定的な実例として示される添付の図面を参照すると、他の利点も当業者に認識され得る。
実施例2に従って合成された材料MIL−53ナノのSEM(走査型電子顕微鏡)画像を示す。 実施例2に従って合成された材料MIL−89ナノのSEM(走査型電子顕微鏡)画像を示す。 実施例2に従って合成された材料MIL−88AナノのSEM画像を示す。 実施例2に従って合成された材料MIL−100ナノのSEM画像を示す。 実施例2に従って合成された材料MIL−88BtナノのSEM画像を示す。 実施例2に従って合成された材料MIL−88BナノのSEM画像を示す。 化合物MIL−53(Fe)の吸引の現象を上側に示し、様々な溶媒の存在下での固体MIL−53(Fe)のX線回折図を下側に示す。 固体MIL−88A、MIL−88B、MIL−88C、MIL−88DおよびMIL−89の吸引を示す。乾燥形(上側)と開放形(下側)の間の膨張幅が、図の下側に百分率で示される。 X線回折(λ−1.79Å)による固体MIL−88Aの膨張の可逆性の調査を上側に示し、溶媒の存在下での固体MIL−88AのX線回折図を下側に示す。 ハイブリッド相MIL−53(a)およびMIL−88(bおよびc)における柔軟性の説明図を示す。 撹拌せずに(図11a)または撹拌して(図11b)実施例6に従って合成された材料MIL−88AのSEM画像を示す。 合成(220℃で10分間)を介して得られた固体MIL−101(Cr)の電子顕微鏡画像を示す。 ヘマトキシリン−エオシンおよびプルースト染料による染色によって明示されたラット肝臓組織切片を示す。図13aは、制御試験に関し、図13bは、200mg/kgの材料MIL−88Aの注入の7日後に得られ、図13cは、200mg/kgの材料MIL−88Btの注入の7日後に得られたものである。 様々な化学種、すなわちジメチルホルムアミド(DMF)、H2Oおよびブスルファン(クロロホルムまたはアセトニトリル溶液から吸着された)を封入した固体MIL−53のX線粉末回折図を示す。乾燥形のX線回折図も示される(「空」)。 一滴の水の添加前(MIL88A)および添加後(MIL88A+H2O)の未改質材料MIL−88A;一滴の水の添加前(MIL88AQ100)および添加後(MIL88AQ100+H2O)の、7%キトサンで改質されたMIL−88A;一滴の水の添加前(MIL88AQ25)および添加後(MIL88AQ125+H2O)の、2%キトサンで改質されたMIL−88AのXRD図を示す。 未改質材料MIL−88A(MIL88A;緑色)、2%キトサンで改質された材料(MIL−88A−Q25、黒色)および7%キトサンで改質された材料(MIL−88A−Q100、赤色)の熱重量分析を示す。 デキストラン−フルオレセイン−ビオチンで表面改質された材料MIL−100(Fe)の共焦点顕微鏡画像を示す。 様々な形の固体MIL−53(下から上に、乾燥形、水和形、合成粗製物、MIL−53Bu1およびMIL−53Bu2)のX線回折図を示す。 水和化合物MIL−53(Fe)の(空気中の)熱重量分析(加熱速度5℃/分)を示す。 乾燥(下側)および水和(上側)固体MIL−88AのX線回折図を示す。 水和化合物MIL−88Aの(空気中の)熱重量分析(加熱速度5℃/分)を示す。 固体MIL−100(Fe)のX線回折図を示す。 固体MIL−100の77Kにおける窒素吸着など温線を示す(Po=1気圧)。 粗合成化合物MIL−100(Fe)の(空気中の)熱重量分析(加熱速度5℃/分)を示す。 固体MIL−101(Fe)のX線回折図(λCu=1.5406Å)を示す。 水和化合物MIL−101(Fe)の(空気中の)熱重量分析(加熱速度5℃/分)を示す。 硬質相MIL−68(左側)、MIL−100(右上側)およびMIL−101(右下側)を示す。 超音波処理法(酢酸の存在下または不在下で0℃)を介する合成時間(t(分))の関数としての粒径(P(nm))の変化を示す(実施例8)。 超音波処理法(合成開始の15分後に添加されるPEGの存在下または不在下で0℃)を介する合成1についての時間(t(分))の関数としての粒径(P(nm))の変化を示す(実施例25)。 超音波処理法(t=0の時点で添加されるPEGの存在下または不在下で0℃)を介する合成2についての時間(t(分))の関数としての粒径(P(nm))の変化を示す(実施例25)。 昇華による封入のための実験設定を示す(実施例21)。 ローダミン116過塩素酸塩(A)およびフルオレセイン(B)分子を示す。 8−ヒドロキシピレン−1,3,6−トリスルホン酸(C)および(R)−(−)−4−(3−アミノ−ピロリジノ)−7−ニトロベンゾフラザン(D)分子を示す。 時間t(日)の関数としてのフマル酸の固体MIL−88Aからの百分率(%)としての放出を示す。 固体MIL−100(Fe)の構造を示す。(a):八面体トリマーおよびトリメシン配位子;(b)超四面体;(c):3−D概略構造:(d):2つのタイプのメソ多孔性ケージ。 真空下での活性化後の固体MIL−100(Fe)の五角形および六角形の窓を示す。 上側:ハイブリッド超四面体および最終的に孔径の大きいハイブリッドゼオライト構造を形成するための八面体鉄トリマー、1,4−ベンゼンジカルボン酸からの固体MIL−101の構造。下側:多孔性骨格の概略図および2つのタイプのメソ多孔性ケージの図(それらは自由寸法で示される)。鉄八面体および炭素原子は、それぞれ緑色および黒色である。 MOF固体MIL−102(Fe)の構造を示す。左側:トンネルの軸(軸c)に沿う図;右側:トンネルに垂直な軸に沿う図(軸b、軸aに沿う同様の図)。鉄および炭素原子および水分子は、それぞれ緑色、黒色および赤色である。 MOF固体MIL−88B_4CH3(Fe)の構造。左側:トンネルの軸(軸c)に沿う図;右側:ケージの軸(軸aおよびb相当)に沿う図。鉄八面体および炭素原子は、それぞれオレンジ色および黒色である。 カルボン酸鉄MIL−88A(水和)の構造。左側:トンネルの軸(軸c)に沿う図;右側:トンネルに垂直の軸に沿う図(軸b、軸aに沿う同様の図)。鉄八面体、炭素原子および水分子は、それぞれ緑色、黒色および赤色である。 カルボン酸鉄MIL−89(Fe)の構造。左側:トンネルの軸(軸c)に沿う図;右側:トンネルに垂直の軸に沿う図(軸b、軸aに沿う同様の図)。鉄および炭素原子および水分子は、それぞれ灰色、黒色および白色である。
I.予備合成
実施例1:酢酸鉄(III)の合成、使用される前駆体および配位子の合成
a)合成A:酢酸鉄(III)
以下の実施例に記載される本発明のMOF材料の合成に使用される酢酸鉄(III)の合成Aについては、文献C.T.Dziobkowski,et al.Inorg.Chem.,1982,21,671[25]を参照することができる。
合成Aは以下の通りである。6.72gの金属鉄粉(Riedel−de Han、99%)と64mlの脱イオン水と水中33.6mLの70%過塩素酸(Riedel−de Han注:原文はイーウムラウト)とを磁気撹拌しながら混合し、50℃で3時間加熱する。加熱を停止した後、溶液を12時間撹拌する。残留鉄金属を沈降によって除去し、次いで容器を交換する。20.6mlの過酸化水素水溶液(Alfa Aesar、35%)を撹拌しながら一滴ずつ添加し、該混合物を0℃の氷浴に維持する。19.7gの酢酸ナトリウム(Aldrich、99%)を撹拌しながら青色溶液に添加すると同時に該溶液を0〜5℃に維持する。該溶液をガラス結晶化皿(容量0.5l)にて通風室下で3日間蒸発させる。最後に、酢酸鉄の赤色結晶を濾過によって回収し、氷冷脱イオン水で非常に迅速に洗浄する、次いで、結晶を空気乾燥させる。
b)合成B:2,5−ジペルフルオロ−1,4−ベンゼンジカルボン酸
合成を、Kim et al.,Chem.Comun.,2005,372−374に記載されている処理プロトコルに従って実施する。
2,5−ジブロモ−1,4−ビス(トリフルオロメチル)−ベンゼンの合成
1,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(19g、88.7mmol、ABCR)、トリフルオロ酢酸(250ml、SDS)および99%硫酸(60ml、Acros)を、コンデンサおよび磁気棒を備えた1リットル丸底フラスコに連続的に添加する。N−ブロモスクシンイミド(47.4g、267mmol、Aldrich)を5時間にわたって60℃で少しずつ添加する。この温度で48時間撹拌を続け、次いで媒体を氷(500ml)に注ぎ込む。そのようにして形成された沈殿を濾別し、真空(1mmHg)で24時間乾燥させ、次いで昇華によって精製して、30g(91%)の白色固体を得る。
融点:65±0.2℃;1H NMR(200MHz、CDC13):8,01(2H
、s);19F NMR(188 MHz、CDC13):−64,1(2×CF3、s

2,5−ビス(トリフルオロメチル)テレフタル酸の合成
THF(100ml、Acros)中2,5−ジブロモ−1,4−ビス(トリフルオロメチル)−ベンゼン(16g、43mmol)の溶液を、滴下漏斗および磁気棒を備えた1リットル二口フラスコ内のTHF(75ml)中ブチルリチウムBuLi(ヘキサン中2.5M、38.4ml、67.2mmol、Aldrich)の−78℃の溶液に一滴ずつ添加する。この温度で30分間撹拌した後、最後に粉砕カルジス(200g)を反応媒体に導入する。温度を室温まで戻し、媒体を水酸化ナトリウム水溶液(2M、3×100)で抽出する。水相を一緒にし、2Mの塩酸溶液で酸性化する。そのようにして形成された沈殿を濾別し、真空(1mmHg)下で24時間乾燥させて、11g(84%)の白色固体を得る。
融点:230℃で分解;1H NMR(200MHz、アセトン−d6):8.31(
2H、s、芳香族);19F NMR(188MHz、アセトン−d6):−55.9(
2×CF3、s)
c)合成C:2−メチルテレフタル酸
2−メチルテレフタル酸をL.Anzalone,J.A.Hirsch,J.Org.Chem.,1985,50,2128−213に記載されている合成方法に従って得る。
1)26mlのN−メチルピロリドン中の10gのCuCN(111.6mmol)お
よび4.2mlの2,5−ジクロロトルエン(30.5mmol)を丸底フラスコに入れる。Cl原子をニトリル基で置換するために、混合物を24時間還流(200℃)させる。
加熱を停止させた後、50mlの20%NH4OH水溶液および35mlのトルエンを
反応媒質に添加する。混合物を撹拌し、室温に冷却したら、そこに100mlのエーテルおよび50mlの20%NH4OH溶液を添加する。このようにして得られた2つの層を
、エーテル(250ml)の連続添加により分離し、最後に遠心分離する(困難な分離)。次いで、有機相を、10%NH4OH溶液(4×50ml、塩基性水相が青色着色を有
さなくなるまで)、次いでH2O、最後に10%HCl溶液および飽和NaCl溶液によ
り連続的に洗浄する。MgSO4で乾燥させ、紙に通して濾過し、溶媒を蒸発除去させた
後、2.9gの黄色生成物が得られる(収率67%)。
2)次いで、そのようにして得られた2−メチルテレフタロニトリルを70mlの95%H2SO4に添加し、該混合物を終夜100℃に維持し、加熱を停止した後、35mlのH2Oをそれに添加し、室温になると、30mlのH2Oに溶解させた6.6gのNaNO2を添加する。全体を終夜110℃に維持する。最後に、撹拌しながら200mlのH2Oを添加後、Bchner(注:原文はユーウムラウト)漏斗で濾過し、水で洗浄し、50℃にて真空下で終夜乾燥させた後、2.13gの2−メチルテレフタル酸を白色粉末の形で得る(収率58%)。
d)合成D:3,5,3’,5’−テトラメチルビスフェニル−4,4’−ジカルボン酸
この合成の反応スキームを以下に示す。
第1の工程:
10.2gのテトラメチルベンジジン(98%、Alfa Aesar)を39mlの濃塩酸(37%、Aldrich社により販売)に0℃で懸濁させる。亜硝酸ナトリウム溶液(50mlの水中6g)を添加することによってジアゾ化を実施した。0℃で15分間撹拌した後、ヨウ化カリウム溶液(200mlの水中70g)を、得られた紫色溶液に徐々に添加した。添加が完了すると、該混合物を室温で2時間撹拌する。得られた黒色懸濁液を濾過して、黒色沈殿を回収し、それを水で洗浄する。固体をジクロロメタン(DCM、98%、SDS社により販売)に懸濁させ、飽和チオ硫酸ナトリウム溶液を添加して、脱色させる。1時間撹拌した後、有機相を沈降によって分離し、水相をDCMで抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、次いで蒸発して、ジヨード中間体を灰色固体の形で得る。シリカのカラム(SDS社が販売)上にて純粋のペンタンで溶離して、モノヨード化合物とジヨード化合物の混合物を得る。これらの化合物の混合物をそのまま次の工程に使用した。
第2の工程:
7.2gの粗ヨード化合物を100mlのテトラヒドロフラン(THF、ナトリウムを
介して蒸留)に溶解させる。−78℃まで冷却した後、シクロヘキサン(2.5M、Aldrich社が販売)中35mlのn−ブチルリチウムを添加する。該溶液を室温まで加温させると、2時間後に白色懸濁液が生成される。それを再び−78℃まで冷却し、12mlのクロロギ酸エチルを添加する。該混合物を室温で放置し、1時間後に透明の黄色溶液を得る。水とジクロロメタンを分離させた後、ジクロロメタンで抽出して、粗ジエステルを得る。この製造物を、1/9Et2O/ペンタン混合物(フロント比:Rf=0.3
)で溶離するシリカゲル上クロマトグラフィーによって精製する。6.3gのジエステルを無色固体の形で得る(ベンジジンから出発した場合の収率42%)。
得られたジエステルの特徴付け:1H NMR(300MHz,CDC13):δ(ppm):1.29(t,J=7.2Hz,6H)、2.29(s,13H);4.31(q,J =7.2Hz,4H);7.12(s,4H).13C NMR(75MHz,CDC13): δ(ppm):14.3(CH3),19.9(CH3),61.0(CH2),126.5 (CH),133.2(Cq),135.5(Cq),141.4(Cq),169.8(Cq).
第3の工程:
最後に、還流しながら5日間にわたって、ジエステルを100mlの95%エタノール(SDS社が販売)中9.7gの水酸化カリウム(VWR社が販売)で鹸化する。該溶液を真空下で濃縮し、製造物を水に溶解させる。濃塩酸を添加してpH1とし、白色沈殿を形成させる。それを濾過によって回収し、水で洗浄し、乾燥させる。そのようにして5.3gの二酸を白色固体の形で得る(定量的収率)。
e)合成E:3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジカルボン酸
この合成のための反応スキームを以下に示す。
12.1gのジメチルベンジジンから出発して、合成Dについて記載したのと同じ手順を用いた。第1の工程後、18.4gの3,3’−ジメチル−4,4’−ジヨードビフェニルを得る(収率74%)。
得られたジヨード化合物の特徴付け:1H NMR(300MHz,CDC13):δ(ppm):2,54(s,6H),7,10(dd,J=2.2および8.1 Hz,2H),7.46(d,J=2.2 Hz,2H),7,90(d,J=8.1 Hz,2H).13C NMR(75 MHz,CDCl13):δ(ppm):28.3(CH3),100.3(Cq),126.0(CH)、128.3(CH),139.4(CH),140.4(Cq),141.9(Cq)。
第2および第3の工程の後、18.4gのジヨード化合物から出発して、6.9gの3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジカルボン酸を得る。
得られた化合物の特徴付け:第2の工程後に得られたジエステルおよび第3の工程後に得られた二酸は、文献(Shiotani Akinori,Z.Naturforsch.1994,49,12,1731−1736)に記載されているのと同一の分光特性
を有する。
f)合成F:3,3’−ジクロロ−4,4’−アゾベンゼンジカルボン酸
15gのo−クロロ安息香酸(Aldrich、98%)および50gの水酸化ナトリウムを225mlの蒸留水に含め、撹拌しながら50℃に加熱する。100gのグルコース(Aldrich、96%)を150mlの水に溶解させた溶液を添加する。該混合物を15分間撹拌し、次いで室温で3時間にわたって空気を吹き付ける。二ナトリウム塩を濾過によって回収し、エタノールで洗浄し、次いで再び120mlの水に溶解させる。塩酸(Aldrich VWR、37%)を添加して、1に等しいpHを得る。固体を濾過によって回収し、90℃にて真空下で乾燥させる。
g)合成G:3,5,3’,5’−アゾベンゼンテトラカルボン酸
19gの5−ニトロイソフタル酸(Aldrich、98%)および50gの水酸化ナトリウムを250mlの蒸留水に含め、撹拌しながら50℃に加熱する。100gのグルコース(Aldrich、96%)を150mlの水に溶解させた溶液を添加する。該混合物を15分間撹拌し、次いで室温で3時間にわたって空気を吹き付ける。得られた二ナトリウム塩を濾過によって回収し、室温で300mlの水に溶解させる。塩酸(VWR、37%)を添加して、1に等しいpHを得る。固体を濾過によって回収し、90℃にて真空下で乾燥させる。
h)合成H:クロロテレフタル酸
6g(0.043mol)のクロロキシレン(Aldrich社が販売、>99%)、16mlの硝酸(VWR社が販売、70%)および60mlの蒸留水を120mlのテフロン(登録商標)体に導入する。このテフロン(登録商標)体をPaar金属ボンベに入れ、170℃で12時間加熱する。製造物を濾過によって回収し、次いで蒸留水で十分に洗浄する。75%の収率を得る。
1H NMR(300MHz,d6−DMSO):δ(ppm):7.86(d、J=7.8Hz),7.93(dd,7.8;1.2Hz),7.96(d、J=1.2Hz)
II.本発明のナノ粒子、および本発明のナノ粒子を調製するプロセス
実施例2:カルボン酸鉄ナノ粒子の合成
a)MIL−53nanoナノ粒子の合成
5mlのジメチルホルムアミド(DMF;Fluka、98%)中270mgのFeCl3・6H2O(1mmol;Alfa Aesar、98%)および166mgのテレフタル酸(1mmol;1,4−BDC;Aldrich、98%)から出発して、固体MIL−53ナノをナノ粒子の形で得て、全体を、Paarブランドの金属体(オートクレーブ)に入れられたテフロン(登録商標)体に導入した。全体を150℃で2または4時間加熱する。室温まで冷却した後、10分間にわたる5000rpm(回転数毎分)の遠心分離によって固体を回収する。
次いで、該固体の200mgを、15時間にわたって撹拌しながら100mlの蒸留水に懸濁させて、孔に存在する残留溶媒を除去する。次に、10分間にわたる5000rpmの遠心分離によって固体を回収する。光散乱によって測定された粒径は約350nmである。
本発明の材料MIL−53の走査型電子顕微鏡(SEM)画像が図1に示されており、それは、一方がより大きい粒径(約5μm)を有し、他方がより小さい(約350μm)2つの粒子集団の存在を示す。大きい粒子は、斜方体であり、疑いもなく再結晶カルボン酸であるのに対して、小さい粒子の形態は、どちらかと言えば球体であり、凝集体の形である。
b)MIL−89nanoナノ粒子の合成
210mgの酢酸鉄(0.33mmol;上記合成Aに従って実験室で合成された)および142mgのムコン酸(1mmol;Fluka、97%)から出発して、5mlのエタノール(Riedel−de Han(注:原文はイーウムラウト)、99.8%)の存在下で、0.25mlの2M水酸化ナトリウム(Alfa Aesar、98%)を添加してMIL−89ナノの合成を実施し、全体を、Paarブランドの金属体(オートクレーブ)に入れられたテフロン(登録商標)体に導入する。全体を100℃で12時間加熱する。
室温まで冷却した後、10分間にわたる5000rpmの遠心分離によって製造物を回収する。次いで、該固体の200mlを、15時間にわたって撹拌しながら100mlの蒸留水に懸濁させて、孔に存在する残留溶媒を除去する。次いで、10分間にわたる5000rpmの遠心分離によって固体を回収する。
光散乱によって測定された粒径は400nmである。ナノ粒子は、丸形で、わずかに長尺の形態を示し、走査型電子顕微鏡検査によって測定された50〜100nmの非常に均一な粒径を有する(図2)。したがって、光散乱によって測定された400nmの物体は、MIL−89ナノ粒子の凝集体に対応することが明らかである。
c)MIL−88Ananoナノ粒子の合成
材料MIL88Aナノを得るために、270mgのFeCl3・6H2O(1mmol;Alfa Aesar、98%)と112mgのフマル酸(1mmol;Acros、99%)を15mlのエタノール(Riedel−de Han(注:原文はイーウムラウト)、99.8%)および1mlの酢酸(Aldrich、99.7%)中で混合する。該溶液をガラスフラスコに入れ、65℃で2時間加熱する。固体を10分間にわたる5000rpmの遠心分離によって回収する。
該固体の200mlを、15時間にわたって撹拌しながら100mlの蒸留水に懸濁させて、孔に存在する残留溶媒を除去する。次いで、10分間にわたる5000rpmの遠心分離によって固体を回収する。
光散乱によって測定された粒径は250nmである。
走査型電子顕微鏡検査(図3)により、縁を有する長尺の粒子が示される。約500nmおよび150nmの2つの粒径が存在する。光散乱によって測定された粒径はMIL88Aナノの平均粒径に対応する。
d)MIL−100nanoナノ粒子の合成
270mgのFeCl3・6H2O(1mmol;Alfa Aesar、98%)および210mgの1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(1,3,5−BTC;1mmol;Aldrich、95%)の3mlの蒸留水から出発してMIL−100ナノの合成を実施する。全体をPaarブランドの金属体(オートクレーブ)に入れられたテフロン(登録商標)体に導入する。全体を100℃で12時間加熱する。10分間にわたる5000rpmの遠心分離によって製造物を回収する。
該固体の200mlを、3時間にわたって還流下で撹拌しながら100mlの蒸留水に懸濁させて、孔に存在する残留酸を除去する。次いで、10分間にわたる5000rpmの遠心分離によって固体を回収する。
光散乱によって測定された粒径は535nmである。
走査型電子顕微鏡検査(図4)により、粒子の強い凝集が示される。これらの粒子は、どちらかと言えば球形であり、およその粒径は40〜60nmである。
e)MIL−101nanoナノ粒子の合成
固体MIL−101ナノを製造するために、270mgのFeCl3・6H2O(1mmol;Alfa Aesar、98%)と250mgの1,4−ベンゼンジカルボン酸(1.5mmol;1,4−BDC Aldrich、98%)を10mlのジメチルホルムアミド(Fluka、98%)中で混合し、全体をPaarボンベに入れ、100℃で15時間加熱する。10分間にわたる5000rpmの遠心分離によって固体を回収する。
孔に存在する残留酸を除去するために、製造物を200℃にて真空下で1日間加熱する。製造物は、空気中または水の存在下で不安定であるため、真空下または不活性雰囲気下に維持するべきであることに留意されたい。光散乱によって測定された粒径は310nmである。
f)MIL−88Btnanoナノ粒子の合成
0.4mlの2MのNaOH水溶液の存在下で、270mgのFeCl3・6H2O(1mmol;Alfa Aesar、98%)、222mgの1,4−ベンゼンテトラメチルジカルボン酸(1mmol;Chem Service)および10mlのジメチルホルムアミド(Fluka、98%)から固体MIL−88Btナノを合成する。全体を、Paarブランドの金属体(オートクレーブ)に入れられたテフロン(登録商標)体に導入し、次いで100℃で2時間加熱する。(金属ボンベを冷水で冷却して)室温まで冷却した後、10分間にわたる5000rpmの遠心分離によって製造物を回収する。
次いで、該固体の200mgを、15時間にわたって撹拌しながら100mlの蒸留水に懸濁させて、孔に存在する残留溶媒を除去する。10分間にわたる5000rpmの遠心分離によって固体を回収する。
光散乱による粒径測定により、50および140nmの2つノナの粒子集団が示される。
走査型電子顕微鏡検査(図5)により、粒子は約50nmの粒径の球形の形態を有することが示される。わずかな部分のみが約200nmの粒径を有する。そこには、小さい粒子の凝集体も確認できる。
g)MIL−88Bnanoナノ粒子の合成
5mlのメタノール(Aldrich、99%)に導入された240mgの酢酸鉄(0.33mmol、上記合成Aに従って実験室で合成された)および166mgの1,4−ベンゼンジカルボン酸(1mmol;1,4−BDC Aldrich 、98%)から固体MIL88Bナノを合成する。全体をPaarブランドの金属体(オートクレーブ)に入れられたテフロン(登録商標)体に導入し、100℃で2時間加熱する。(金属ボンベを冷水で冷却して)室温まで冷却した後、10分間にわたる5000rpmの遠心分離によって製造物を回収する。
該固体の200mgを、15時間にわたって撹拌しながら100mlの蒸留水に懸濁させて、残留溶媒を除去する。次いで、10分間にわたる5000rpmの遠心分離によって固体を回収する。
光散乱による粒径測定により、156および498nmのナノ粒子の二峰性の分布が示される。
顕微鏡検査によって観察された粒子形態は、非常に不規則であり、平均粒径は300nmに近い(図6)。
Malvern Zetasizer Nanoシリーズ−Nano−ZS装置;Zen 3600モデル;シリアルNo.500180;UKを用いて、光散乱による粒径測定を実施した。
Topcon顕微鏡(Akashi)EM 002B超高解像度200kvを使用して走査型電子顕微鏡検査を実施した。
これらの2つの技法から得られた値の差は、一方では、光散乱装置のレーザビームが赤色であるため理想的でないカルボン酸鉄粒子のオレンジ色の着色によって、他方では、粒子の凝集する傾向が多少明確であることによって説明される。
h)MIL−102(Fe)またはFe 6 2 2 [C 10 2 −(CO 2 4 3 ・nH 2 O(X=F、Cl・・・)
非フルオロ固体MIL−102(Fe)の合成:
270mg(1mmol)のFeCl3・6H2O(Alfa Aesar、98%)および268mg(1mmol)の1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸を5mlの蒸留水に分散させる。該混合物を、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン(登録商標)体中に100℃で15時間放置する。濾過によって固体を回収する。
固体MIL−102(Fe)の特性データ
この化合物は、77kにおける窒素による比表面積が小さい(ラングミュア表面積:101m2/g)。
フルオロ固体MIL−102(Fe)の製造:
既に記載されている手順に従って得られた式Fe62Cl2[C102−(CO243
・nH2Oの0.2gの非フルオロ固体MIL−102(Fe)を、100mlの蒸留水
中1gのフッ化ナトリウムNaFに接触させる。該混合物を室温で15時間にわたって125mlのテフロン(登録商標)体中で撹拌する。固体を濾過によって回収し、蒸留水で5回洗浄して、NaFの痕跡を除去する。EDXによる準定量分析により、フッ素含有量は、鉄1当たりフッ素0.17であることが示される。そのようにして処理された固体は、Fe62F(OH)[C104(CO243・nH2Oの近似式を有する。
i)カルボン酸ナノ粒子鉄の分析データ
0.5mg/mlの材料の水性懸濁液を使用して、Coulter N4MD光散乱装置(Coulter Electronics、Margency、France)で粒径を測定する。
Malvern Zetasizer Nanoシリーズ装置−Nano−ZS装置;Zen 3600モデルで、0.1MのNaCl媒体中0.5mg/ml水性懸濁液を使用して電位Zを測定する。
材料の0.5mg/ml水溶液を使用して、Z電位装置で粒径を測定する。
以下の表1は、得られた様々なMOF材料の特性、特に準弾性光散乱または電子顕微鏡検査によって推定されたナノ粒子の粒径、孔径およびゼータ電位を示す。
実施例3:官能化配位子に基づくMOF材料の合成
a)MIL−101−Cl(Fe)またはFe3O[Cl−C63−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
合成条件は、以下の通りである。0.27g(1mmol)のFeCl3・6H2Oおよび210mgのクロロ−1,4−ベンゼンジカルボン酸(1.0mmol、Cl−1,4−BDC、実施例1に記載の合成Hに従って合成された)を10mlのDMF(ジメチルホルムアミド、Fluka、98%)に分散させる。全体を、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン(登録商標)体中に100℃にて12時間放置する。次いで、固体を濾別し、アセトンで洗浄する。
孔を空にする条件の最適化を実施する。
298Kにおける固体MIL−101(Fe)のメッシュパラメータは、a=89.0ÅおよびV=707000Å3、空間群Fd−3m(No.227)である。
光散乱によって測定された単分散粒径(多分散性指数PDI=0.225)は、400nmである。
b)MIL−101−NH2(Fe)またはFe3O[NH2−C63−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
2.25g(0.92mmol)のFeCl3・6H2Oおよび0.75mgのアミノ−1,4−ベンゼンジカルボン酸(0.41mmol、NH2−1,4−BDC、Aldr
ich、99%)を50mlのDMF(ジメチルホルムアミド、Fluka、98%)に分散させる。全体を、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン(登録商標)体中に110℃にて24時間放置する。次いで、固体を濾別し、アセトンで洗浄する。
該固体を120℃にて真空下で16時間加熱して、孔に残留する酸を除去する。他方で、孔を空にする条件の最適化をさらに実施する。
298Kにおける固体MIL−101(Fe)のメッシュパラメータは、a=89.0ÅおよびV=707000Å3、空間群Fd−3m(No.227)である。
光散乱によって測定された単分散粒径(PDI=0.086)は、391nmである。c)MIL−101−2CF3(Fe)またはFe3O[(CF32−C63−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
135mg(0.5mmol)のFeCl3・6H2Oおよび151mgの2,5−ジペルフルオロ−1,4−ベンゼンジカルボン酸(0.5mmol、2CF3−1,4−BD
C、実施例1に記載の合成Bに従って合成された)を5mlのDMF(Fluka、98%)に分散させる。全体を、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン(登録商標)体中に90℃にて12時間放置する。次いで、10分間にわたる10000rpmの遠心分離によって固体を回収する。
孔を空にする条件の最適化を実施する。
298Kにおける固体MIL−101(Fe)のメッシュパラメータは、a=89.0ÅおよびV=707000Å3、空間群Fd−3m(No.227)である。
光散乱によって測定された単分散粒径(PDI=0.145)は、340nmである。d)MIL−88B−NO2(Fe)またはFe3O[C63NO2−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
0.27gのFeCl3・6H2O(1mmol、Alfa Aesar、98%)および211mg(1mmol)の1,4−ニトロテレフタル酸(Acros、99%)を5mlの蒸留水に分散させる。全体を、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン(登録商標)体中に100℃にて12時間放置する。固体を濾過によって回収する。
該固体の200mgを、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン(登録商標)体中の10mlの無水エタノールに100℃で12時間にわたって懸濁させて、孔に残留する酸を除去する。次に、固体を濾過によって回収し、100℃で乾燥させる。
光散乱によって測定された単分散粒径(PDI=0.005)は、345nmである。e)MIL−88B−2OH(Fe)またはFe3O[C62(OH)2−(CO223
・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
354mgのFe(ClO43・xH2O(1mmol、Aldrich、99%)お
よび198mg(1mmol)の1,4−ジヒドロキシテレフタル酸(対応するジエチルエステルの加水分解によって得られる、Aldrich、97%)を5mlのDMF(Fluka、98%)に分散させる。全体を、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン(登録商標)体中に85℃にて12時間放置する。固体を濾過によって回収し、次いで150℃にて真空下で15時間焼成して、孔に残留する酸を除去する。
光散乱によって測定されたわずかに多分散性の粒径(PDI=0.305)は213nmである。
f)MIL−88B−NH2(Fe)またはFe3O[C63NH2−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
0.27gのFeCl3・6H2O(1mmol、Alfa Aesar、98%)および180mg(1mmol)の1,4−アミノテレフタル酸(Fluka、98%)を5mlの無水エタノールに分散させる。全体を、Paar金属ボンベ内の23mlのテフロン(登録商標)体中に100℃にて3日間放置する。固体を濾過によって回収し、次いで200℃で2日間焼成して、孔に残留する酸を除去する。
光散乱によって測定された単分散粒径(PDI=0.268)は、102nmである。g)MIL−88B−CH3(Fe)またはFe3O[C63CH3−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
354mgのFe(ClO43・xH2O(1mmol、Aldrich、99%)お
よび180mg(1mmol)の1,4−メチルテレフタル酸(合成Cに従って調製された)を5mlのメタノール(Fluka、99%)に分散させる。全体を、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン(登録商標)体中に100℃にて3日間放置する。固体を濾過によって回収する。
該固体の200mgを室温で撹拌しながら10mlのDMFに懸濁させて、残留する酸をDMFと交換し、次いで150℃にて真空下で12時間蒸発させることによってDMFを除去する。
光散乱によって測定された単分散粒径(PDI=0.231)は、430nmである。
h)MIL−88B−Cl(Fe)またはFe3O[C63Cl−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
354mgのFe(ClO43・xH2O(1mmol、Aldrich、99%)お
よび200mg(1mmol)の1,4−クロロテレフタル酸(実施例1に記載の合成に従って調製された)を、0.1mlの5MのHF(フッ化水素酸、SDS、50%)および0.1mlの1MのHCl(塩酸、Aldrich、37%)とともに10mlのDMFに分散させる。全体を、Paar金属ボンベ内の23mlのテフロン(登録商標)体中に100℃にて5日間放置する。固体を濾過によって回収し、次いで150℃にて真空下で焼成する。
光散乱によって測定された粒径は255nmであり、第2の集団は1マイクロメートルを超える。
i)MIL−88B−4CH3(Fe)またはFe3O[C6(CH34−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
0.27gのFeCl3・6H2O(1mmol、Alfa Aesar、98%)および222mg(1mmol)の1,4−テトラメチルテレフタル酸(Chem Service、95%)を、0.4mlの2MのNaOH(Alfa Aesar、98%)とともに10mlのDMF(Fluka、98%)に分散させる。全体を、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン(登録商標)体中に100℃にて12時間放置する。固体を濾過によって回収する。
該固体の200mgを室温で12時間にわたって撹拌しながら100mlの水に懸濁させて、孔に残留する酸を除去する。次いで、固体を濾過によって回収する。
光散乱によって測定された単分散粒径(PDI=0.005)は、549nmである。j)MIL−88B−4F(Fe)またはFe3O[C64−(CO223・X・nH2
O(X=F、Cl、OH)
270mgのFeCl3・6H2O(1mmol、Alfa Aesar、98%)および230mg(1mmol)の1,4−テトラフルオロテレフタル酸(Aldrich、98%)を10mlの蒸留水に分散させる。全体を、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン(登録商標)体中に85℃にて12時間放置する。固体を濾過によって回収する。
該固体の200mgを室温で2時間にわたって撹拌しながら20mlの水に懸濁させて、孔に残留する酸を除去する。次いで、固体を濾過によって回収する。
光散乱によって測定されたわずかに多分散性の粒径(PDI=0.289)は、399nmである。
k)MIL−88B−Br(Fe)またはFe3O[C63Br−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
270mgのFeCl3・6H2O(1mmol、Alfa Aesar、98%)、250mg(1mmol)の1,4−ブロモテレフタル酸(Fluka、95%)を、0.2mlの5MのHF(SDS、50%)とともに10mlのDMF(Fluka、98%)に分散させ、全体を、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン(登録商標)体中に150℃にて12時間放置する。固体を濾過によって回収し、次いで150℃にて真空下で15時間焼成して、孔に残留する酸を除去する。
光散乱によって測定された単分散粒径(PDI=0.005)は、1127nmである。
l)MIL−88B−2CF3(Fe)またはFe3O[(CF32−C62−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
135mgのFeCl3・6H2O(0.5mmol、Alfa Aesar、98%)
および151mg(0.5mmol)の2,5−ジペルフルオロ−1,4−テレフタル酸(実施例1に記載の合成Bに従って合成された)を、0.2mlの2MのNaOH(Alfa Aesar、98%)とともに5mlのDMF(Fluka、98%)に分散させる。全体を、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン(登録商標)体中に100℃にて16時間放置する。固体を濾過によって回収する。
光散乱によって測定された粒径は1マイクロメートルを超える。
m)MIL−88D 4CH3(Fe)またはFe3O[C124(CH34−(CO22
3・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
354mgのFe(ClO43・xH2O(1mmol、Aldrich、99%)お
よび298mg(1mmol)のテトラメチルビフェニル−4,4’−ジカルボン酸(合成Dに従って調製された)を、0.2mlの2MのNaOH(Alfa Aesar、98%)とともに5mlのDMF(Fluka、98%)に分散させる。該混合物を、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン(登録商標)体中に100℃にて12時間放置する。固体を濾過によって回収する。
該固体の200mgを室温で2時間にわたって撹拌しながら10mlのDMFに懸濁させて、孔に残留する酸を交換する。次いで、固体を濾過によって回収し、次いで150℃にて真空下で15時間焼成して、孔に残留するDMFを除去する。
この化合物は、乾燥構造が、あまりに小さいために窒素N2を含めることができない孔
径を有するため、77kで窒素を収容可能な(20m2/gを超える)表面を有さない。
光散乱によって測定された粒径は1マイクロメートルを超える(2032、PDI=0.005)。
n)MIL−88D 2CH3(Fe)またはFe3O[(C126(CH32−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
270mgのFeCl3・6H2O(1mmol、Alfa Aesar、98%)および268mg(1mmol)のジメチルビフェニル−4,4’−ジカルボン酸(合成Eに従って調製された)を、0.25mlの5MのHF(SDS、50%)とともに5mlのDMF(Fluka、98%)に分散させる。全体を、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン(登録商標)体中に150℃にて12時間放置する。固体を濾過によって回収し、次いで150℃にて真空下で15時間焼成して、孔に残留する酸を除去する。
光散乱によって測定された単分散粒径(PDI=0.005)は、458nmである。o)MIL−88E(Pyr)(Fe)またはFe3O[(C432−(CO223
X・nH2O(X=F、Cl、OH)
270mgのFeCl3・6H2O(1mmol、Alfa Aesar、98%)および204mg(1mmol)の2,5−ピラジンジカルボン酸(Aldrich、98%)を、0.05mlの5MのHF(SDS、50%)とともに5mlのDMF(Fluka、98%)に分散させる。全体を、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン(登録商標)体中に100℃にて3日間放置する。固体を濾過によって回収する。
光散乱によって測定された粒径は1マイクロメートルを超える(2μm)。
p)MIL−88F(チオ)(Fe)またはFe3O[C42S−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
354mgのFe(ClO43・xH2O(1mmol、Aldrich、99%)お
よび258mg(1mmol)のチオフェンジカルボン酸(Aldrich、99%)を、0.1mlの5MのHF(SDS、50%)とともに2.5mlのDMF(Fluka、98%)に分散させる。全体を、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン
(登録商標)体中に100℃にて3日間放置する。固体を濾過によって回収する。
該固体の200mgを室温で12時間にわたって撹拌しながら100mlの水に懸濁させて、孔に残留する酸を除去する。次いで、固体を濾過によって回収する。
光散乱によって測定された粒径は449nmであり、第2の小さな集団は1マイクロメートルを超える。
q)MIL−53−2OH(Fe)またはFeO(OH)[C62(OH)2−(CO22]・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
354mgのFe(ClO43・xH2O(1mmol、Aldrich、99%)お
よび297mg(1.5mmol)の1,4−ジヒドロキシテレフタル酸(実施例1に記載の合成Cに従って調製された)を、0.2mlの5MのHF(SDS、50%)および1mlの5MのHClO4(Aldrich、70%)とともに5mlのDMF(Flu
ka、98%)に分散させる。該混合物を、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン(登録商標)体中に150℃にて3日間放置する。固体を濾過によって回収し、次いで150℃で15時間焼成して、孔に残留する酸を除去する。
光散乱によって測定された粒径は1マイクロメートルを超える。
r)MIL−53−NH2(Fe)またはFeO(OH)[C62−NH2−(CO22]・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
270mgのFeCl3・6H2O(1mmol、Alfa Aesar、98%)および180mg(1mmol)の1,4−アミノテレフタル酸(Fluka、98%)を10mlの水に分散させる。該混合物を、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン(登録商標)体中に150℃にて3日間放置する。固体を濾過によって回収する。
孔の遊離酸を除去するために、該固体の200mgを、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン(登録商標)体中の15mlの無水エタノールに2日間にわたって懸濁させる。固体を濾過によって回収し、2回洗浄する、最後に、固体を濾過によって回収し、150℃で乾燥させる。
光散乱によって測定された粒径は2つの集団(PDI=0.296)、すなわち172nmの大きな集団および728nmの別の小さな集団を示す。
s)MIL−53−Cl(Fe)またはFeO(OH)[C62Cl−(CO22]・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
354mgのFe(ClO43・xH2O(1mmol、Aldrich、99%)お
よび200mg(1mmol)の1,4−クロロテレフタル酸(実施例1に記載の合成に従って調製された)を5mlのDMFに分散される。該混合物を、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン(登録商標)体中に12時間の加熱ランプとともに150℃にて2日間放置する。固体を濾過によって回収し、次いで150℃で3日間焼成する。
光散乱によって測定された粒径は1マイクロメートルを超える。
t)MIL−53−Br(Fe)またはFeO(OH)[C62Br−(CO22]・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
270mgのFeCl3・6H2O(1mmol、Alfa Aesar、98%)およ
び250mg(1mmol)の1,4−ブロモテレフタル酸(Fluka、95%)を、0.4mlの5MのHF(SDS、50%)とともに10mlのDMF(Fluka、98%)に分散させる。該混合物を、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン(登録商標)体中に150℃にて12時間放置する。固体を濾過によって回収し、次いで150℃にて真空下で15時間焼成して、孔に残留する酸を除去する。
光散乱によって測定された粒径は196nmであり、1マイクロメートルを超える粒子が非常にわずかに存在する。
u)MIL−53−2CF3(Fe)またはFeO(OH)[C62(CF32−(CO22]・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
135mgのFeCl3・6H2O(0.5mmol、Alfa Aesar、98%)および151mg(0.5mmol)の2,5−ジペルフルオロ−1,4−テレフタル酸(実施例1に記載の合成Bに従って合成された)を5mlの水に分散させる。全体を、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン(登録商標)体中に100℃にて16時間放置する。固体を濾過によって回収する。
光散乱によって測定された粒径は1マイクロメートルを超える。
v)MIL−53−CH3(Fe)またはFeO(OH)[C62−CH3−(CO22]・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
177mg(0.5mmol、Aldrich、99%)の過塩素酸鉄および90mg(0.5mmol)の2−メチルテレフタル酸(実施例1に記載の合成Cに従って調製された)および0.05mlのHF(5M)(0.25mmol)を2.5mlのDMF(Fluka、98%)に導入する。全体を、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン(登録商標)体中に150℃にて16時間放置する。固体を濾過によって回収し、200℃で72時間焼成して、孔に残留するDMFを除去する。
光散乱によって測定された粒径は1マイクロメートルを超える。
w)MIL−53−2COOH(Fe)またはFeO(OH)[C63−(CO24]・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
354mg(1mmol、Aldrich、99%)の過塩素酸鉄および254mg(1mmol)の1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸(Aldrich、99%)を5mlの蒸留水に導入する。全体を、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン(登録商標)体中に150℃にて16時間放置する。固体を濾過によって回収する。
孔に残留する酸を除去するために、200mgの固体を100mlの蒸留水に終夜懸濁させる。固体を濾過によって回収する。
光散乱によって測定された粒径は1マイクロメートルを超える。
実施例4:フルオロ配位子に基づくMOF材料の合成
a)MIL−53(HF)
固体MIL−53(HF)を、0.1mlの5Mフッ化水素酸(Prolabo、50%)を含む5mlのジメチルホルムアミド(DMF;Fluka、98%)に溶かしたFeCl3・6H2O(1mmol、Alfa Aesar、98%)およびテレフタル酸(1mmol;1,4−BDC;Aldrich、98%)からそのナノ粒子の形で得て、全体を「Paarボンベ」型のオートクレーブに150℃で15時間配置した。10分間にわたる5000rpmの遠心分離によって固体を回収する。
次いで、該固体の200mgを15時間にわたって撹拌しながら100mlの蒸留水に懸濁させて、残留溶媒を除去する。次いで、10分間にわたる5000rpmの遠心分離によって固体を回収する。
最後に、光散乱によって粒径を測定すると、625nmである。
b)MIL−100(HF)
固体MIL−100(HF)を、5mlの水および0.1mlの5Mフッ化水素酸(Prolabo、50%)に溶かしたFeCl3・6H2O(1mmol、Alfa Aesar、98%)およびエチルトリメラーゼ(0.66mmol;1,3,5−BTC;Aldrich、98%)から得て、全体を「Paarボンベ」型のオートクレーブに130℃で15時間配置する。10分間にわたる5000rpmの遠心分離によって固体を回収する。
次いで、該固体の200mgを3時間にわたって撹拌しながら100mlの還流蒸留水に懸濁させて、残留酸を除去する。次いで、10分間にわたる5000rpmの遠心分離によって固体を回収する。
最後に、光散乱によって粒径を測定すると、1260nmである。
c)MIL−88Bx4F
固体MIL−88Bx4Fを、10mlの水に溶かしたFeCl3・6H2O(1mmol、Alfa Aesar、98%)およびテトラフルオロテレフタル酸(1mmol;4xF−BDC;Aldrich、98%)から得て、全体を「Paarボンベ」型のオートクレーブに85℃で15時間配置した。10分間にわたる5000rpmの遠心分離によって固体を回収する。
最後に、該固体の200mgを2時間にわたって撹拌しながら100mlの蒸留水に懸濁させて、残留酸を除去する。次いで、10分間にわたる5000rpmの遠心分離によって固体を回収する。
光散乱によって粒径を測定すると、850nmである。
例えば、実施例3(実施例3c:MIL101−2CF3、実施例3F=MIL88B−4F、実施例3L−MIL88B−2CF3、実施例3u=MIL53−2CF3)および実施例7(実施例7d=MIL88B−2CF3、実施例7f=MIL53−2CF3)に記載の合成を参照することができる。
ハイブリッド固体を、これらのプロセスを介して、かつPET(陽電子射出断層撮影)画像のためのF18放射性同位体を使用して合成することもできる。
これらの合成は、ペルフルオロ基で改質された配位子に基づく。18Fを用いた改質では、好ましくは、以下の場合に18Fを用いたイオン交換法が使用されることになる。
−18Fの平均半減期が短い場合、
−18Fに基づくフルオロ配位子の合成が困難な場合、
−PET画像が、多くのフッ素を必要としないため、対イオンとして結合する量で十分である場合。
d)フッ素−18を有するMOF材料
対イオンとしてフッ化物イオンを含むMOFも画像に役立つことができる。
例えば、PET(陽電子射出断層撮影)画像では、フッ素−18は、好ましい放射物理特性を有するため、明らかに一番の放射性同位体である。PET技術は、生体組織の非常に詳細な画像を得ることを可能にする。フッ素−18放射性同位体(t1/2=110分)は、陽電子放出体である。放出された陽電子は、周囲の物質の電子によってすぐに消滅し、検出されるのは、発生するガンマ線である。
フッ素−18は、シンクロトロン線で生成される。したがって、F18放射性同位体を有する多孔性ハイブリッド材料を合成するためには、その平均寿命が非常に短い(110
分である)ため、シンクロトロン線の近くに装着しなければならない。
F18を有する多孔性ハイブリッド固体を得るための2つの可能な方法が存在する。
方法1
ハイブリッド固体を、合成時間を数分間(3〜30分間)に短縮するためにマイクロ波法を介してHF(F18)またはF18フルオロ配位子の存在下で得る。5分間にわたる10000rpmの遠心分離によってナノ粒子を回収する。
多孔性ハイブリッド固体の小さい粒子を得るためには、熱水−ソルボサーマル法を介して、非常に短い合成時間を用いることが好ましい。したがって、合成時間が30分を超えない場合は、ソルボサーマル法を介していくつかのカルボン酸鉄を合成することもできる。
方法2
ソルボサーマル法またはマイクロ波法を介して既に合成され、活性化された0.1mmolの多孔性ハイブリッド固体ナノ粒子を、15分間にわたって撹拌しながら、HF(F18)の0.01および0.001M溶液1mlに懸濁させて、OHアニオンとフッ素を交換させる。5分間にわたる10000rpmの遠心分離によってフルオロ固体を回収する。
実施例5:生物活性配位子に基づくMOF材料の合成
生物活性を有する配位子の使用は、以下の目的に対して興味深い。
−MOF材料の分解による活性化合物の放出、
−併用療法のための他の活性成分の封入。
抗微生物活性、ならびに生理媒体における分解および細胞に対する活性の試験を、とりわけ4,4’−アゾベンゼンジカルボン酸および3,3’−ジクロロ−4,4’−アゾベンゼンジカルボン酸を使用して、MIL−88型の柔構造の多孔性カルボン酸鉄に対して実施する。
以下に示す合成において、様々な生物活性分子、特に、アゾベンゼン、アゼライン酸およびニコチン酸を使用して、本発明のMOF材料を調製する。
式C65−N=N−C65のアゾベンゼンを安定剤としてポリマー材料に組み込むことができる。また、アゾ分子の剛構造は、それらが多くの材料において液晶メソゲンとして機能することを可能にする。さらに、アゾベンゼンを(シスまたはトランス異性体に)光異性化して、タンパク質に対する配位子(例えば薬物)の親和性を光調節するために使用できるようにすることができる。具体的には、アゾベンゼンは、アゾベンゼンのシスまたはトランス異性体に応じて、タンパク質−薬物結合を可能または防止することによって、配位子とタンパク質の間のフォトスイッチとして作用することができる(アゾベンゼンの一端は、例えば、目標タンパク質に結合する基で置換され得るのに対して、他端は、タンパク質に対する配位子(薬物)に結合される)。
アゼライン酸(HO2C−(CH27−CO2H)は、抗菌特性、角質溶解特性および面疱消散特性を有する飽和ジカルボン酸である。それは、特に、座瘡および酒さの治療に使用される。
ニコチン酸(C54N−CO2H)は、ニコチンアミドとともにビタミンB3の2つの
形の1つである。ビタミンB3は、特に、炭水化物、脂肪およびタンパク質の代謝に必要である。
e)MIL−88G(AzBz)(Fe)またはFe3O[C1282−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
118mgのFe(ClO43・xH2O(0.33mmol、Aldrich、99
%)および90mg(0.33mmol)の4,4’−アゾベンゼンジカルボン酸(Ameerunisha et al.,J.Chem.Soc.Perkin Trans.2,1679,1995に記載の方法に従って合成された)を15mlのDMF(Fluka、98%)に分散させる。全体を、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン(登録商標)体中に150℃にて3日間放置する。固体を濾過によって回収する。
該固体の200mlを室温で2時間にわたって撹拌しながら10mlのDMFに懸濁させて、孔に残留する酸を交換させる。次いで、固体を濾過によって回収し、次いで150℃にて真空下で15時間焼成して、孔に残留するDMFを除去する。
光散乱によって測定された粒径は1マイクロメートルを超える。
f)MIL−88G−2Cl(AzBz−2Cl)(Fe)またはFe3O[C1262
Cl2−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
177mgのFe(ClO43・xH2O(0.5mmol、Aldrich、99%
)および169mg(0.5mmol)のジクロロ−4,4’−アゾベンゼンジカルボン酸(実施例1に記載の合成Fに従って調製された)を15mlのDMF(Fluka、98%)に分散させる。全体を、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン(登録商標)体中に150℃にて12時間放置する。固体を濾過によって回収する。
該固体の200mlを室温で2時間にわたって撹拌しながら10mlのDMFに懸濁させて、孔に残留する酸を交換させる。次いで、固体を濾過によって回収し、次いで150℃にて真空下で15時間焼成して、孔に残留するDMFを除去する。
光散乱によって測定された粒径は1マイクロメートルを超える。
g)アゾベンゼン−3,3’、5,5’−テトラカルボン酸鉄1
118mgのFe(ClO43・xH2O(0.3mmol、Aldrich、99%
)および119mg(0.3mmol)の3,3’,5,5’−アゾベンゼンテトラカルボン酸(実施例1に記載の合成Gに従って調製された)を、0.1mlの5MのHF(SDS、50%)とともに、15mlのDMF(Fluka、98%)に分散させる。全体を、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン(登録商標)体中に150℃にて3日間放置する。固体を濾過によって回収し、アセトンで洗浄する。
得られた固体は、硬い立方体構造を有する。
光散乱によって測定された粒径は1マイクロメートルを超える。
h)アゾベンゼン−3,3’、5,5’−テトラカルボン酸鉄2
118mgのFe(ClO43・xH2O(0.3mmol、Aldrich、99%
)および119mg(0.3mmol)の3,3’,5,5’−アゾベンゼンテトラカルボン酸(実施例1に記載の合成Gに従って調製された)を、0.1mlの5MのHF(SDS、50%)とともに、15mlの蒸留水に分散させる。全体を、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン(登録商標)体中に150℃にて3日間放置する。固体を濾過によって回収し、アセトンで洗浄する。
光散乱によって測定された粒径は498nmであり、1100nmの第2の小さい集団が存在する。
i)アゼライン酸鉄1
270mgのFeCl3・6H2O(1mmol、Aldrich、99%)および188mg(1mmol)のアゼライン酸(Aldrich、99%)を5mlの蒸留水に分散させる。全体を、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン(登録商標)体中に100℃にて3日間放置する。固体を濾過によって回収し、アセトンで洗浄する。
該固体の200mgを5時間にわたって撹拌しながら50mlの無水エタノールに懸濁させて、それを活性化させる。固体を濾過によって回収する。
光散乱によって測定された粒径は1マイクロメートルを超える(1500nm)。
j)ニコチン酸鉄1
水における合成条件は、以下の通りである。
135mgのFeCl3・6H2O(1mmol、Aldrich、99%)および62mg(1mmol)のニコチン酸(Aldrich、99%)を、0.1mlの2MのNaOHとともに5mlの蒸留水に分散させる。全体を、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン(登録商標)体中に100℃にて16時間放置する。固体を濾過によって回収し、アセトンで洗浄する。
DMFにおける合成条件は、以下の通りである。
135mgのFeCl3・6H2O(1mmol、Aldrich、99%)および62mg(1mmol)のニコチン酸(Aldrich、99%)を5mlのDMF(Fluka、98%)に分散させる。全体を、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン(登録商標)体中に100℃にて16時間放置する。固体を濾過によって回収し、アセトンで洗浄する。
光散乱によって測定された単分散粒径(PDI=0.241)は、662nmである。III.ナノ粒子を調製するための調節可能プロセス
実施例6:粒径の制御、様々なパラメータの影響
本実施例では、合成時に以下のパラメータを1つまたは複数を変化させることによって粒径の制御を達成することができる。
−合成時間
−pH
−添加剤の添加(酢酸の一酸など、タイプ)
−撹拌
−溶媒の性質
−マイクロ波合成
−超音波合成
合成後、ナノ粒子を溶媒で洗浄し、遠心分離によって回収し、任意選択で加熱しながら真空下、空気中または制御雰囲気下で乾燥させる。
次いで、相の構造および組成を決定することを可能にする技術、すなわちX線、IR分光分析、X線熱回折、熱重量分析、元素分析、電子顕微鏡検査、ゼータ電位の測定および粒径の測定の組合せによってナノ粒子を分析する。
−連続モードで、0.02°の間隔および4秒のカウント時間を用いて、典型的には5〜30°(2θ)において従来の高解像度X線回折計(θ−2θ)D5000Siemens X’Pert MDP(λCu、κα1、κα2)にてX線粉末ダイアグラムを収集する。
−X線熱回折測定を、空気中にて、θ−θモードのSiemens D−5000X線回折計で実施する。
−N2をガスとして使用して、Micromeritics ASAP 2010吸着装
置で比表面積測定値を得る(BJH型の多孔計算)。
−Nicolet−Magma IR550分光計を用いてIRスペクトルを得る。
−加熱速度を2℃.min-1として、25〜600℃でTA2050ブランドの装置を用いて熱重量分析を実施する。
−Malvern Zetasizer Nanoシリーズ−Nano−ZS装置;Zen 3600モデル;シリアルNo.500180;UKを用いて、粒径およびゼータ電
位測定を行う。
−超高解像度200kV Topcon EM002B装置(Akashi)を用いて走査型電子顕微鏡検査を実施した。
a)合成時間の影響、MIL−53(Fe)ナノ粒子の合成への適用
FeCl3・6H2O(1mmol;Alfa Aesar、98%)の溶液、5mlのジメチルホルムアミド(DMF;Fluka、98%)中テレフタル酸(1mmol;1,4−BDC;Aldrich、98%)の混合物を、12時間の加熱ランプとともに、150℃にて72時間にわたって、オートクレーブに入れられたテフロン(登録商標)インサート内に配置し、24時間にわたって室温まで冷却する。反応後、沈殿を濾別し、脱イオン水で洗浄する。固体MIL−53(Fe)を数百マイクロメートルの粒径の結晶の形で得る。
(加熱ランプまたは冷却を伴わずに)合成時間を短くすると、例えば、150℃で4時間の合成では335nmの粒径のより小さい粒径がもたらされる(表6)。次に、溶媒を固体の孔から除去するために、典型的には200mgの固体を終夜撹拌しながら100mlの脱イオン水に分散させた後、(粒径に応じて)濾過または遠心分離する。
以下の表6は、得られたナノ粒子の粒径をまとめたものである。それは、合成時間が短いと、小さい粒子の存在が促されることを示している。
b)pHの影響、MIL−89(Fe)ナノ粒子の合成への適用
酢酸鉄(III)(1mmol、上記合成Aに従って合成された)をメタノール媒体(5ml;Aldrich、99.9%)またはエタノール媒体(5ml;Riedel−de Han(注:原文はイーウムラウト)、99.8%)中でムコン酸(1mmol;Fluka、97%)と撹拌しながら混合する。全体を、0.25mlの2mol/lの水酸化ナトリウム水溶液(Alfa Aesar、98%)の存在下で、撹拌せずに12時間にわたって100℃に維持して、より小さい粒径を得る。
以下の表7は、添加量あるいは塩基の関数としての、得られたナノ粒子の粒径をまとめ、塩基の添加が小さい粒子の存在を促すことを示している。
したがって、pHの上昇は、反応速度を加速させるカルボン酸配位子のより容易な脱プロトン化をもたらす。
c)添加剤の添加の影響、MIL−88A(Fe)ナノ粒子の合成への適用
MIL−88Aフマル酸鉄を、270mgのFeCl3・6H2O(1mmol;Alfa Aesar、98%)、15mlのエタノール(Riedel de Han(注:原文はイーウムラウト)、99.8%)に導入された112mgのフマル酸(1mmol;Acros、99%)から得て、可変量の酢酸(Aldrich、99.7%)を添加する。次いで、該溶液を65℃で2または4時間加熱する。
これらの結果は、モノカルボン酸の添加は、結晶成長を減退させるため、より小さい粒径のナノ粒子を得ることが可能となる。酢酸は反応の任意の時点で添加することができる。
d)撹拌の影響
化合物MIL−88Aの合成を通じて撹拌の影響を調べた。
化合物MIL−88Aのナノ粒子を調製するために使用される方法は、1mmolの塩化鉄(III)六水和物(270mg)および1mmolのフマル酸(112mg)を4.8mlのDMFに導入し、0.4mlの2MのNaOH溶液を添加することである。全体を撹拌しながら、または撹拌せずに、150℃で2時間加熱する。
図11に示されるように、電子顕微鏡検査により、撹拌せずに得られた粒子は、撹拌して得られた粒子と異なる形態を有することが分かる。したがって、撹拌は、粒径の減少をもたらすばかりでなく、形態を変化させて、固体の毒性に影響を与え得る。
e)溶媒の影響、MIL−88A(Fe)ナノ粒子の合成への適用
固体MIL−88Aの合成を、一方では水で、他方ではメタノールで実施した、15mlの溶媒(メタノールまたは脱イオン水)中塩化鉄(1mmol)、フマル酸(1mmol)を含む混合物を、撹拌せずに、共溶媒として使用される可変量の酢酸と65℃で2ま
たは4時間にわたって接触させる。得られた粒径を表9に示す。
水で得られたMIL−88A粒子は、メタノールで得られたものより小さい。したがって、合成中に使用される溶媒の性質は、粒径に強い影響を与える。
実施例6B:MIL−88Aの粒径の制御、温度、反応時間、試薬の濃度およびモノカルボキシル化合物の添加の4つのパラメータの影響
a)モノカルボキシル添加剤を使用しないフマル酸鉄の合成
フマル酸鉄六水和物(FeCl3・6H2O、1mmol;Alfa Aesar、98%)およびフマル酸(1mmol;Acros、99%)の5mlの水溶液を、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン(登録商標)体に入れる。全体を65、100または150℃の温度で30分〜3日間の範囲の時間にわたってオートクレーブ内に配置する。次に、得られた沈殿を、10分間にわたる5000rpmの遠心分離によって回収する。それをオーブンにて100℃で乾燥させ、重量測定して合成収率を求める。粒径を準弾性光散乱によって測定する。既に記載したようにX線回折図を得る。
i)良好な結晶化(+++);
ii)1000nm未満の粒径(ナノ粒子);
iii)満足できる収率(>25重量%);および
iv)酸化鉄の不在;
を同時に得るための最適な処理条件(温度、反応時間)を見いだすことに努めた。
以下の表は、様々な合成を通じて得られた結果をまとめたものである。収率は、それらが25重量%である場合に満足できないと見なされる。結晶化がないことは、−で示され、良好な結晶化は+++で示され、不十分な結晶化は、+または++で示される。
65℃では、条件i〜ivを得るために反応を少なくとも16時間続ける必要があるのに対して、100℃では、6時間の反応で十分であるが、直径がより大きくなる(500〜800nm)。150℃では、反応の2時間以内で、結晶骨格の形成を阻害するほどの酸化鉄が形成されるため、すべての必要な条件iからivを兼ね備えるのが不可能である。
最良の結果は、最も微細な粒子(300〜600nm)の製造を可能にする65℃で16時間の反応時間の場合に得られた。
b)超音波処理によるフマル酸鉄(MIL88A)の合成
フマル酸(C444、Acros、99%)および塩化鉄(III)六水和物(Fe
Cl3・6H2O、Acros、97%)を使用して、反応時間を(30〜120分間に)改変することによって、0℃における超音波処理を介してMIL−88Aナノ粒子を合成した。
2つの固体試薬を精密天秤で個別に重量測定し、次いで溶媒(水)を固体のそれぞれに対して添加する。すなわち200mlフラスコにおいて蒸留水に5.4gのFeCl3
添加し、200mlフラスコにおいて蒸留水に2.32gのフマル酸を添加する。
そのようにして、それぞれ塩化鉄(III)およびフマル酸の27mg/mlおよび1
1.6mg/mlの濃度の2つの溶液を得る。フマル酸溶液を約120分間にわたって撹拌しながら70℃にして生成物を溶解させる。30分間にわたって磁気攪拌機を使用して塩化鉄を添加する。
各溶液5mlを20mlガラスフラスコ(バイアル)内で混合する。バイアルを30〜120分間にわたって0℃の音波処理浴(Labo−moderne TK 52HシリアルNo.:164046192 Sonoclean)内に同時に配置する。
(光散乱(Nanosizer)によって測定された)得られた粒子の粒径は、音波処理時間にかかわらず1マイクロメートルを超える。
今回は(音波処理浴からの除去に対応する)合成の終了の15分前に30μlの酢酸を添加する第2の試験を実施した。粒径は、合成の30分後は約500nmであり、60分後は800nmであり、そして合成の90分後は1マイクロメートルを超えた。
酢酸(一酸)を添加すると、それは鉄を配位結合させるため、結晶成長が停止する。鉄は、(第2のCOOHのため)別の鉄原子に結合することができない。このように、酢酸は、より小さいナノ粒子の製造を可能にする。
さらに微細な粒子を得ることを目的として、フマル酸および塩化鉄溶液の濃度を減少させ、他の条件を同じとする第3の試験を実施した。
添加剤(酢酸)を使用せずに、濃度を2分の1に減少させることによって、直径が1マイクロメートルを超えていた。しかし、濃度を10分の1に減少させると、30分間の合成時間で約200nmのナノ粒子を得ることが可能であった。
反応温度を高くすると、粒子の粒径が大きくなることに留意されたい。例えば、添加剤を使用せずに濃度を10分の1に減少させる場合は、合成を0℃の代わりに20℃で30分間実施すると直径が200nm〜240nmに増加する。いずれの場合も、合成時間の増加は、粒径の増加を招く。
そのように、粒子の粒径を小さくすることを可能にする最適な処理条件(濃度、反応温度、反応時間、添加剤の存在)が存在する。これらの粒子は、1マイクロメートルより小さく、さらには(静脈内投与に好適な)200nmのオーダであり得る。
これらの最適な処理条件を、本発明のすべてのMOF固体に対して実験的に求めることができる。
これらの最適な合成条件(0℃、非常に希薄な試薬溶液から出発すること)を、PEGをナノ粒子の表面にグラフトするために使用した。
C)PEG化MIL−88Aナノ粒子の調製
したがって、フマル酸(C444、Acros、99%)および塩化鉄(III)六
水和物(FeCl3・6H2O、Acros、97%)から出発して、0℃の超音波処理を介して、(PEGで表面改質された)PEG化MIL−88Aナノ粒子を水で合成した。
2つの固体試薬を精密天秤で個別に重量測定し、次いで溶媒(水)を固体のそれぞれに対して添加する。すなわち200mlフラスコにおいて蒸留水に0.54gのFeCl3
を添加し、200mlフラスコにおいて蒸留水に0.232gのフマル酸を添加する。そのようにして、それぞれ塩化鉄(III)およびフマル酸の2.7mg/mlおよび1.16mg/mlの濃度の2つの溶液を得る。フマル酸溶液を約120分間にわたって撹拌しながら70℃に維持して生成物を溶解させる。30分間にわたって磁気攪拌機を使用して塩化鉄を撹拌する。
各溶液5mlを20mlガラスフラスコ(バイアル)内で混合する。バイアルを音波処理浴(Labo−moderne TK 52HシリアルNo.:164046192 Sonoclean)内に同時に配置する。30分後、5mgのモノメトキシポリ(エチレングリコール)一酸(MeO−PEG−COOH、Sigma、モル質量5000g/mol)を添加する。反応を超音波処理化でさらに90分間継続させる。
(光散乱によって測定された)ナノ粒子の直径は、230nmであり、製造収率は、50(重量)%であった。本実施例において、一酸MeO−PEG−COOHを添加しても、それは鉄を配位結合させるため、結晶成長が停止する。鉄は、(第2のCOOHのため)別の鉄原子に結合することができない。このように、MeO−PEG−COOHは、より小さいナノ粒子の製造を可能にする。
実施例7:マイクロ波法を介してMOF材料を合成するプロセス
多孔性ハイブリッド固体を合成するための別の方法は、マイクロ波エネルギーを使用する。これは、ナノ粒子粒径を制御し、単分散性ナノ粒子を得ることを可能にする。最近、発明者は、韓国のグループと協同で、Sung Hwa Jhung,et al.,Adv.Mater(2006),19(1),121−124[32]に記載されているMIL−101(Cr)カルボン酸クロムのマイクロ波合成を開発した。この合成は、非常に短い合成時間(1〜60分間)で40〜90nmの粒径のナノ粒子を製造することを可能にした(図12)。
使用した合成法は以下の通りである。400mgの硝酸クロム水和物(Aldrich、99%)と、166mgのテレフタル酸(Alfa Aesar、98%)と、0.2mlの5mol/lのHF水溶液と、4.8mlの脱イオン水とを混合し、テフロン(登録商標)オートクレーブを導入する。全体をマイクロ波オーブン(Mars−5)に入れ、2分間にわたって210℃に昇温させ、次いで1〜60分間この温度に維持する。次いで、得られた混合物を、最初に、孔径100μmの濾紙で濾過して、再結晶したテレフタル酸を除去する。酸は濾紙上にとどまり、MIL−101固体は、濾紙を通過する。濾液を回収し、MIL−101固体を40μmフィルタによる濾過によって回収する。第2の段階において、100℃にて20分間にわたって、95%エタノールで熱溶媒処理を行う。最終的な固体を冷却し、濾別し、脱イオン水で洗浄し、次いで空気中にて150℃で乾燥させる。
a)MIL−100(Fe)またはFe3O[C63−(CO232・X・nH2O(X
=F、Cl、OH)
フッ素を使用しないマイクロ波合成の条件は、以下の通りである。
9.7gのFe(NO33・9H2O(24mmol、Aldrich、98%)、3
.38mg(16mmol)の1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(1,3,5−BTC;Aldrich、99%)を40mlの蒸留水に分散される。全体を、180℃で30分間にわたってテフロン(登録商標)体中に放置する(電力60W)。10分間にわたる10000rpmの遠心分離によって固体を回収する。
該固体の200mgを還流下で3時間にわたって撹拌しながら蒸留水に懸濁させて、孔に残留する酸を除去する。次いで、10分間にわたる10000rpmの遠心分離によって固体を回収する。
光散乱によって測定された単分散粒径は、400nmである。
b)MIL−101(Fe)−NH2またはFe3O[NH2−C63−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
マイクロ波合成条件は、以下の通りである。
135mg(0.5mmol)のFeCl3・6H2Oおよび90mgのアミノ−1,4−ベンゼンジカルボン酸(0.5mmol、NH2−1、4−BDC、Aldrich、
99%)を、0.25mlの1MのHCl(Aldrich、35%;滴加)とともに25mlの蒸留水に分散させる。全体を、40秒の加熱ランプ(電力400W)とともに60℃で5分間にわたってテフロン(登録商標)体中に放置する。10分間にわたる10000rpmの遠心分離によって暗褐色の固体を回収する。未消費の酸を除去するように化合物を無水エタノールで洗浄し、次いで再び遠心分離する。
分解を回避するために、化合物を湿った状態に維持する。
光散乱によって測定された単分散粒径(PDI=0.005)は、271nmである。
ラングミュア表面積=2042.7091m2/g。
c)MIL−88B−NH2(Fe)またはFe3O[NH2−C63−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
マイクロ波合成条件は、以下の通りである。
405mg(1.5mmol)のFeCl3・6H2Oおよび534mgのアミノ−1,4−ベンゼンジカルボン酸(3mmol、NH2−1、4−BDC、Aldrich、9
9%)を25mlの無水エタノール(Aldrich)に分散させる。全体を、40秒の加熱ランプ(電力800W)とともに100℃で5分間にわたってテフロン(登録商標)体中に放置する。10分間にわたる10000rpmの遠心分離によって暗褐色の固体を回収する。未消費の酸を除去するように化合物を無水エタノールで洗浄し、次いで再び遠心分離する。
光散乱によって測定された単分散粒径(PDI=0.069)は、106nmである。d)MIL−88B−2CF3(Fe)またはFe3O[(CF32−C62−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
マイクロ波合成条件は、以下の通りである。
675mg(2.5mmol)のFeCl3・6H2O、755mgの2,5−ビス(トリフルオロメチル)テレフタル酸(2.5mmol、実施例1の合成B)を25mlの無水エタノール(Aldrich)に分散させる。該混合物を、30秒の加熱ランプ(電力400W)とともに100℃で5分間にわたってテフロン(登録商標)体中に放置する。10分間にわたる10000rpmの遠心分離によって固体を回収する。
次いで、固体を200℃にて真空下で15時間焼成する。
光散乱によって測定された単分散粒径(PDI=0.209)は、78nmである。
e)MIL−88B−NO2(Fe)またはFe3O[NO2−C63−(CO223・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
マイクロ波合成条件は、以下の通りである。
1.35mg(10mmol)のFeCl3・6H2Oおよび1.055mgのニトロテレフタル酸(10mmol、Aldrich、98%)を25mlの蒸留水に分散させる。全体を、90秒の加熱ランプ(電力400W)とともに100℃で5分間にわたってテフロン(登録商標)体中に放置する。10分間にわたる10000rpmの遠心分離によって固体を回収する。
光散乱によって測定された単分散粒径(PDI=0.005)は、408nmである。f)MIL−53−2CF3(Fe)またはFeO(OH)[C62−(CF32−(C
22]・X・nH2O(X=F、Cl、OH)
マイクロ波合成条件は、以下の通りである。
675mg(2.5mmol)のFeCl3・6H2Oおよび755mgの2,5−ビス(トリフルオロメチル)テレフタル酸(2.5mmol、合成B)を25mlの蒸留水に分散させる。全体を、90秒の加熱ランプ(電力400W)とともに100℃で20分間にわたってテフロン(登録商標)体中に放置する。10分間にわたる10000rpmの遠心分離によって淡黄色の固体を回収する。次いで、化合物を250℃にて真空下で15時間焼成する。
光散乱によって測定された粒径(PDI=0.245)は、330nmである。
g)MIL−88A(Fe)またはFe3O[(C42−(CO223・X・nH2O(
X=F、Cl、OH)
マイクロ波合成条件は、以下の通りである。
270mg(1mmol)のFeCl3・6H2O、116mgのフマル酸(1.0mmol、Acros、99%)を30mlの蒸留水に分散させる。全体を、1分間の加熱ランプ(電力1600W)とともに100℃で2分間にわたってテフロン(登録商標)体中に放置する。
10分間にわたる10000rpmの遠心分離によって固体を回収する。
該製造物の200mgを100mlの蒸留水に懸濁させて、残留フマル酸を交換する。10分間にわたる10000rpmの遠心分離によって水和固体を回収する。
光散乱によって測定された単分散粒径は、120nmである。
実施例8:超音波法を介してMOF材料を合成するプロセス
0℃にていくつかの異なる反応時間(30、60、90および120分)で超音波法を介して固体MIL−88Aを合成する。
水中フマル酸および塩化鉄(III)六水和物から出発して合成を実施する。2つの固体試薬を重量測定し、以下の表に示される割合で個別に水に溶解させる。フマル酸溶液を120分間にわたって撹拌しながら70℃に維持して、生成物を溶解させる。30分間にわたって磁気攪拌機を使用して塩化鉄を撹拌する。
上記2つの溶液各々の5mlを20mlフラスコに加える。全部で8つのフラスコを準備する。
−30、60、90および120分間の4つの合成時間にわたって反応を実施する4つのフラスコ、
−30、60、90および120分の時間の合成の各々の終了(合成の終了は、超音波処理浴からの除去に対応する)の15分前に酢酸(30μl)を添加する4つのフラスコ。一酸(酢酸)を添加すると、それは、(ジカルボン酸であるフマル酸と異なり)2個の鉄
原子を結合させないため、結晶成長が停止する。このように、酢酸は、より小さいナノ粒子の製造およびこれらの粒子のより安定した懸濁を可能にする(大きな粒子の沈殿および粒子凝集を回避する)。
8つのフラスコを、対応する時間t(30、60、90および120分間)にわたって0℃の音波処理浴内に同時に配置する。
合成後、動的光散乱装置(DLS、Nanosizer)を使用して、光散乱によって粒径を測定するために、0.1mlの容量の溶液を各フラスコから除去する。次いで、形成された固体から上澄みを分離するために、溶液の残りを0℃にて15分間にわたって10000rpmで遠心分離する。パスツールピペットを使用して上澄みを除去し、回収したピペットを室温で通風室内に配置する。
使用した装置:
−音波処理浴:Labo−moderne TK 52HシリアルNo.164046192 Sonoclean
−遠心器:Jouan MR 1812
−Nanosizer:Coulter N4 Plus USA;Malvern
時間(t(分))の関数としての粒径(P(nm))の変化を図28に示す。フマル酸の存在下での粒径の減少を確認することが可能である。
酢酸を添加すると、より短い時間でより明確になる結晶性の低下がもたらされる。しかし、MIL−88A相の特徴的な反射を区別することが可能である。これらの反射は、結晶子のナノメートルサイズの結果として非常に広範である。
より長い合成時間では、酢酸を使用しない合成と、この一酸の存在下で実施された合成との間に結晶性の大きな差がない。
IV.得られたナノ粒子の特徴および特性
実施例9:カルボン酸鉄についての分析および結晶学的データ
a)相MIL−53(Fe)またはFe(OH)[O2C−C64−CO2]・H2
合成条件は、以下の通りである。
0.27g(1mmol)のFeCl3・6H2Oおよび166mg(1mmol)の1,4−ベンゼンジカルボン酸(1,4−BDC)を5mlのジメチルホルムアミド(DMF)に分散させ、全体を、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン(登録商標)体中に150℃で12時間放置する。次いで、固体を濾別し、アセトンで洗浄する。
その乾燥形(乾燥;空の孔)、水和形(H2O;水を含む孔)、粗合成製造物(粗製物
;DMFを含む孔)およびブスルファン含有(Bu1およびBu2形)の軟質相MIL−53(Fe)の異なる形のメッシュパラメータ。
図18および図19は、それぞれ、固体MIL−53の様々な形のX線回折図および水和化合物MIL−53(Fe)の熱重量分析を示す。
固体鉄MIL−53は、孔構造が乾燥形で閉鎖されているため(真空による窒素の吸着)、20m2/gを超える比表面積を有さない。
b)相MIL−88AまたはFe3O[O2C−C22−CO23・X・nH2O(X=F
、Cl、OH)
合成条件は、以下の通りである。
0.27g(1mmol)のFeCl3・5H2Oおよび116mg(1mmol)のフマル酸を5mlの水に分散させる。全体を、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン(登録商標)体中に100°にて12時間放置する。次いで、固体を濾別し、アセトンで洗浄する。
図20は、乾燥および水和固体MIL−88AのX線回折図を示す。
図21は、水和化合物MIL−88Aの熱重量分析を示す。
この化合物は、乾燥構造形孔性でないため、77kで窒素を収容可能な(20m2/g
を超える)表面を有さない。
c)MIL−100(Fe)またはFe3O[C63−(CO232・X・nH2O(X
=F、Cl、OH)
メッシュパラメータは、a=73.1ÅおよびV=393000Å3、空間群Fd−3m(No.227)である。
図22は、固体MIL−100(Fe)のX線回折図を示す。
この固体の比表面積(ラングミュア)は、2900m2・g-1に近い。図23は、固体
MIL−100の77Kにおける窒素吸着等温線を示す(Po=1気圧)。
図24は、水和化合物MIL−100(Fe)についての(空気中での)熱重量分析を示す(加熱速度5℃/分)。
d)相MIL−101(Fe)またはFe3O[C64−(CO223・X・nH2O(
X=F、Cl、OH)
合成条件は、以下の通りである。
0.27g(1mmol)のFeCl3・5H2Oおよび249mg(1.5mmol)の1,4−BDC酸を10mlのDMFに分散させ、全体を、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン(登録商標)体中に100°にて12時間放置する。次いで、固体を濾別し、アセトンで洗浄する。
298Kにおける固体MIL−101(Fe)のメッシュパラメータは、a=89.0ÅおよびV=707000Å3、空間群Fd−3m(No.227)である。
図25は、固体MIL−101(Fe)のX線回折図を示す(λCU=1.5406Å)。
孔を空にする条件の最適化を実施しているため、比表面積測定は有効でない。
図26は、水和化合物MIL−101(Fe)の(空気中での)熱重量分析を示す(加熱速度5℃/分)。
乾燥固体(X=F)の理論組成は、以下の通りである。Fe:24.2%;C:41.4%;F:2.7%;H:1.7%。
実施例10:固体の柔軟性の実証
ここでは、2つのタイプの柔固体を扱う。第1に、それぞれ式Fe(OH)[O2C−
64−CO2]およびFe(OH)[O2C−C106−CO2]のMIL−53およびMIL−69として既知の多孔性カルボン酸金属塩を、ジカルボン酸官能基を介して結合された八面体鎖から形成し、C.Serre et al.J.Am.Chem.Soc.,2002,124,13519[26]およびT.Loiseau et al.C.R.Acad.Sci.,2005,8,765[27]に記載されている一次元多孔性骨格を得る。室温において、固体を水和し、孔を閉鎖する。これらの材料を有機溶媒で含浸すると、孔が開き、実質的な多孔性(約8〜12Å)が得られる。水和形と膨張形のメッシュ容量の差は、40%〜110%である。
この現象は、添付の図7に示されるように、完全に可逆性である。孔の開口は、溶媒の性質にも左右される(図7)。これは、吸着物のサイズに対する構造の幾何学的適応性ばかりでなく、吸着分子と骨格の相互作用の最適化をも反映する。
軟質ハイブリッド固体の第2の範疇は、MIL−88として既知である。これらの化合物は、八面体鉄トリマー、すなわち中央の酸素、および鉄原子を対で結合させる6つのカルボキシレート官能基によって結合された3個の鉄原子から構成される。次いで、各鉄原子に配位結合した末端水分子が、金属の八面体配位結合を完成する。次いで、C.Serre et al.,Angew.Chem.Int.Ed.2004,43,6286[28]およびC.Serre et al.,Chem.Comm.2006,284−286[29]に記載されているように、これらのトリマーを脂肪族または芳香族ジカルボン酸によって互いに結合させて、(フマル酸については−A、テレフタル酸については−B、2,6−ナフタレンジカルボン酸については−C、4,4’−ビフェニルジカルボン酸については−Dおよびトランス、トランス−ムコン酸についてはMIL−89)からMIL88A、B、C、DおよびMIL−89を形成する。
X線回折によるこれらの固体の挙動の研究は、これらの化合物が柔軟性を有し、それらの乾燥形とそれらの溶媒和形との間に大きな「吸引」幅があることを確証することを可能にした。これは、C.Serre et al.,Science,2007,315,1828[30]に記載されているように、有機スペーサの性質に応じて85%〜230%のメッシュ容量の変動をもたらす。発明者は、乾燥形は多孔性でなく、使用されるカルボン酸配位子にかかわらず、多かれ少なかれ同一の孔(トンネル)径を有することに注目した。他方で、配位子相におけるハイブリッド固体の膨張は、有機スペーサの長さに左右される。したがって、膨張形のトリマーの間の距離は、フマル酸を用いた場合(MIL−88A)の13.8Åからビフェニル配位子を用いた場合(MIL−88D)の20.5Åである。したがって、膨張形の孔径は、7Å(MIL−88A)から16Å(MIL−88D)の範囲である。膨張は、図9における水の存在下での固体MIL−88Aの実施例に示されるように可逆性であり、また、C.Serre et al.J.Am.Chem.Soc.,2005,127,16273−16278[31]に記載されているように、使用される溶媒の性質に左右される。吸引は、連続的に生じ、吸引中の結合の破壊が認められない。さらに、室温に戻すと、固体は、砕溶媒和によって再び膨張し、吸引の可逆性が確認される。
この柔軟性をどのように説明することができるであろうか?第1に、固体MIL−53およびMIL−69の場合は、それらは、ジカルボン酸ブリッジを介して結合された八面体鎖から形成される(図10a)。金属中心に結合したカルボキシレート官能基と無機鎖の軸との角度を検討すると、非常に明らかである。カルボキシレート配位子が吸引中に平坦である場合は、それは、吸引中に無機鎖の周りを数度だけ回転することで、構造が、その孔の開口を変化させることを可能にする。いずれも、カルボキシレート官能基の軸O−
Oが、カルボキシレートのC−C結合の芳香族環のまわりの回転に伴ってボールジョイントとして作用して、収縮による拘束を緩和するように生じる。化合物MIL−88およびMIL89に関しては、状況が異なる(図10aおよび10c)。具体的には、構造の構成トリマーの間の配置を詳細に観察すると、各トリマーは、6つの他のトリマー、すなわち下の3つのトリマーおよび上の3つのトリマーとジカルボン酸を介して結合して、トリマーの両錐ケージを形成させる。これらのケージのなかで、トリマー間の結合は専ら軸cに沿うものとなり、平面(ab)に任意の結合が存在しないことが柔軟性の原因である。具体的には、溶媒が材料に挿入されると、トリマーが軸cに沿って接近し、aおよびb方向に離間してケージが変形することで、ケージの容量が全体的に増加する(図10)。最後に、これらのハイブリッド固体の柔軟性は注目に値するが、特定のポリマーのそれと同程度である。主たる差異は、ハイブリッド固体の結晶性に関し、ポリマーは非晶質である。最後に、ポリマーと対照的に、ハイブリッド固体では膨張が異方的に生じる。
実施例11:本発明のカルボン酸鉄(III)についての緩和性測定
本実施例では、フマル酸鉄(III)FeTCF MIL−88Aについて緩和性を測定する。
a)フマル酸鉄(III)の調製
4.8mlのジメチルホルムアミド(DMF)および0.4mlの2MのNaOH中塩化鉄(1mmol)およびフマル酸(1mmol)の溶液を、金属体を備えたテフロン(登録商標)容器に入れ、150℃で2時間加熱する。次いで、金属ボンベを直ちに水で冷却する。得られた固体を、10分間にわたる10000rpmの遠心分離によって回収する。孔に残留する溶媒を除去するために、200mgの固体を終夜撹拌しながら100mlの水に懸濁させ、次いで(10分間にわたる10000rpmの)遠心分離によって回収する。210nmのナノ粒子を得る。
b)ナノ粒子の緩和性の測定
各タイプのナノ粒子について、異なる濃度を含む6つのサンプルを、それらを水−5%グルコース溶液に懸濁させることによって調製した(c:1mg/ml、0.5mg/ml、0.2mg/ml、0.1mg/ml、0.05mg/ml、0mg/ml)。
パラビジョン(Bruker、ドイツ)によって誘導された9.4T水平ホウ素磁石(Oxford、UK)を使用してMRIの実験を実施する。緩和時間T1およびT2を測定するために「スピン−エコー」画像の実験を用いる(FOV15×15mm;切片厚さ:1mm;収集マトリックス32×32)。T1を飽和による再設定の方法(スピン−エコーシーケンス:TE=10 ms TR=4000、2000、1000、500、200、100ms)に従って測定し、T2をCarr−Purcell−Meiboom−Grill法(RAREシーケンス:8および8のレア係数を有するエコー画像;TR/TE=15000/8ms)に従って測定する。造影剤のサンプルをチューブに導入する。T1およびT2の測定を実施して、6分未満の全収集時間を導く。所定の磁場に対する各タイプのナノ粒子の緩和性は、製造物の濃度の関数として緩和性の程度を表す線の傾きによって示される。
MOFナノ粒子は検出が容易であるため、造影剤の良好な候補になる。造影剤の効果は、それらの緩和性、または磁場が印加されたときの周囲の媒体における水の陽子の緩和時間を改変するそれらの能力に直接対応づけられる。金属の第1および第2の配位球体における水分子の量および移動性が大きいほど、緩和性が大きい。したがって、MOFナノ粒子は、常時性鉄原子だけでなく、多数の水分子と相互結合する多孔性構造を有する。表16には、9.4Tの磁場で得られたフマル酸鉄ナノ粒子の緩和性値が示されている。MIL−88Aナノ粒子の緩和性値r1およびr2は、それぞれ1s-1・M-1および100s-1・mM-1のオーダであり、それはインビボの使用にとって満足できるものである(Roch et al,J Chem Phys 110,5403−5411,1999参照)。緩和性値は、鉄含有率だけでなく、ナノ粒子の粒径に関連する。(その表面がPE
Gまたはポリエチレングリコールで改質された)PEG化ナノ粒子は、非PEG化材料の緩和性値より緩和性値r1は小さいが、r2値は同じか、またはわずかに大きい。PEG塗料は、2つの反対の効果により緩和性を改良することができる。すなわち、それは、一方では粒径を大きくし、他方ではそれらの凝集能力を低下させる。
c)MIL88Aナノ粒子のインビボ画像
パラビジョン(Bruker、ドイツ)によって誘導され、勾配システム(360mT/m)を備えた7T水平ホウ素磁石(Oxford、UK)を使用して、磁気共鳴映像法(MRI)の実験を300MHzで実施した。
その合成が既に記載されている200mg/kgの投与量のMIL−88A(Fe)を雌のウィスターラットに注入した。
イソフルランの過剰投与によって、注入の30分後に各ラットを殺処分し、次いで、直径60mmのループ−ギャップコイルを備えたプローブに導入した。迅速な空間担持の後に、一連の陽子密度加重画像を各動物について収集する:RAREシーケンス[TR/TE=1781.21/8.8 ms;レア係数=4;4つの平均値;39枚の1mm連続切片;FOV70*70mm;収集マトリックス384*384;再構成マトリックス512*512;平面における解像度136m*136m;実験時間8分32秒]およびFLASHシーケンス[TR/TE=564.4/6.7ms;2つの平均値;39枚の1mmの連続切片:FOV70*70mm;収集マトリックス384*384;再構成マトリックス512*512;平面における解像度136m*136m;実験時間7分13秒]
4枚の切片を対象となる各領域(肝臓および脾臓)において分析した。また、各器官について、RIの平均値を計算し、背筋に対応する領域に対して正規化した。MRIによって得られた結果は、ナノ粒子の注入が、試験された2つの器官、すなわち肝臓および脾臓において大きなコントラスト差をもたらすことを明確に示している。さらに、2つのシーケンスFLASHおよびRAREは、ナノ粒子を注入されたラットの器官が、未処理のラットの器官より暗く見えることを示している。カルボン酸鉄ナノ粒子の良好なインビボ検出は、それらを磁気共鳴映像法のための興味深い候補にする。
実施例12:カルボン酸鉄(III)の毒性のインビボ試験
a)試験されたカルボン酸鉄
(実施例1の手順に従って合成された)以下の2つのカルボン酸鉄固体をそれぞれ試験する。
−Fe3O[O2C−C22−CO23・OH・nH2Oの組成のMIL−88A(Fe)
−Fe3O[O2C−C6(CH34−CO23・OH・nH2Oの組成のMIL−88Bt
(Fe)
b)毒性試験
0.5mlの5%グルコース溶液に懸濁したMIL−88A(210nm)およびMIL−88Bt(100nm)の漸増投与量(50、100および200mg/kg)をラットに静脈注入することによって、急性インビボ毒性の試験を年齢4週齢の雌のウィスターラット(約125g)について実施した。
ナノ粒子は、この媒体中で安定している。
粒子濃度を最大(200mg/kg、約25mg/0.5ml)にすると、これらの懸濁液の安定時間が数分に低下する。このため、ナノ粒子を緩やかに撹拌しながらサンプルを引き出す。ラットに注入可能な最大容量は0.5mlであるため、200mg/kgを超える用量を投与することは不可能である。
試験の7日後に毒性の大きな徴候が確認されないため、結果は有望である。アルブミン、コレステロールおよびトランスアミナーゼ(ASAT/ALAT)の血清値は、試験の7日後に有意な変化を示さず、体重に対する器官の重量は、有意に変化していない(表7)。
肝臓の組織切片をプルースト染色(青色の鉄)によって観察し、図13に示す。それらは、肝臓における鉄の蓄積を示している。体内におけるこれらの固体の長期的効果についてより綿密な試験を実施する必要があるが、これらの結果は、非常に有望であり、これらの材料の生物医学的用途を構想することを可能にする。
急性および準急性毒性試験をより綿密に実施した。
実験に使用した動物は、体重が161.36±16.1gの年齢4週齢の雌のウィスターラットである。
すべての試験を、温度および湿度条件下でPharmacy大学の動物小屋において、動物を動物小屋に順応させてから3日後に実施した(3日)。
急性毒性試験では、材料MIL−88A(150および500nm)、MIL−88Bt(50および140nm)または5%グルコース(対照グループ)の単一の頸静脈内注入を、無作為に選択され、イソフルランで麻酔された8匹のラットの4グループ(それぞ
れ1日目、1週間目、1ヶ月目および3ヶ月目)に対して実施する。
動物の体重および挙動の変化を監視した。
また、イソフルランによる麻酔下の頸静脈からの血液サンプルを異なる時間、すなわち1および3日目、1および2週間目、1、2および3ヶ月目に採取した。血清を単離して、IL−6(インターロイキン6)、アルブミン、血清Fe、PAS、GGT、ビリルビン、コレステロールおよびトランスアミナーゼを測定した。
さらに、1日後、1週間後、1および3ヶ月後に各グループの動物を殺処分した。動物をイソフルランで麻酔し、次いで脾臓、腎臓、肝臓および心臓を取り出し、組織試験のために保管した。また、シトクロムP450の活性を測定するために、4つの肝臓を使用して、ミクロソーム抽出を行った。
準急性毒性試験では、無作為に異なるグループに分散された26匹のラットに対して、1日当たり1回の頸静脈内注入を4日間連続実施し、動物を5または10日後に殺処分する。
隔離された動物の体重およびそれらの食挙動(水および餌消費量の測定)の変化を監視した。尿および排泄物も回収した。
また、異なるグループのラットについて、3および5日目、ならびに8および10日目に頸静脈からの血液サンプルを採取した。血液に、急性毒性試験の場合と同じ処理を施し、得られた血清に同じ分析を試みる。
5および10日目の殺処分する日に、動物をイソフルランで麻酔し、次いで脾臓、腎臓、肝臓、心臓および肺を取り出し、急性毒性試験の場合と同様に処理する。
c)結果
動物の体重変化
それぞれのグループの重量変化を比較する目的で、動物を毎日体重測定した。毎日、これらのグループの各々において平均値を求めた。
準急性毒性試験では、グルコースグループで確認された体重増加が、材料を投与するとわずかに減少する。この変化は、投与量がより多い場合により明白である。
それらの急性毒性試験は、材料MIL−88AおよびMIL−88Btを投与しても、経時的に有意な体重変化をもたらさないことを示している。
水および餌の消費量の変化
準急性毒性試験において、変化は、対照グループと、25mg/kgの注入を受けたグループとが全体的に同様である。より明白な差は、最大の投与量を受けたグループに確認され、試験中の餌の消費量がより少ないことによって特徴付けられる。この所見は、確証され、体重変化について得られた結果と完全に一致する。
取り出された器官の重量の比較
準急性毒性の結果:それぞれのグループの脾臓、腎臓および心臓の重量に有意な差が認められない。肺の重量は、5日目および10日目にわずかに増加していることが認められる。
急性毒性:投与後1週間までに脾臓の重量の増加が確認されるが、MIL−88AおよびMIL−88Btでは、それぞれ1ヶ月および3ヶ月で正常に戻る。それらの材料を投与すると肝臓重量が実質的に増加するが、それは、恐らく肝臓における鉄の蓄積を反映している。その状況は、MIL−88Aでは3ヶ月後に正常に戻るが、MIL−88Btではそうでなく、重量が大きいままであることが確認される。
ミクロソーム懸濁液におけるシトクロムP450アッセイ:
シトクロムP450は、外来分子の分解に大きく関与する、平滑面小胞体の内面に関連する酵素である。この酵素は、非常に低い基質特異性を有し、薬物などの新たに合成された化合物の転換を触媒することが可能である。P450シトクロムの多くを様々な生体異物によって転写レベルで誘発または抑制することができる。これは、しばしば薬物の副作用である。この酵素をアッセイすると、使用されるMOF材料がシトクロムP450によって代謝され、その場合にその活性を活性化または阻害するかどうかを判断することが可能になる。
それが各サンプルに含まれるタンパク質の全量に関連した場合にのみシトクロムの量を解釈することができる。サンプルに含まれるタンパク質のアッセイを、Pierceによって提供されたBCAキット(バッチ#HI106096)によって実施した。この方法は、アルカリ媒体におけるタンパク質によるCu2+〜Cu+への還元と、ビシンコニン酸
(BCA)を含む試薬によるCu+カチオンの非常に高感度かつ選択的な比色検出とを組
み合わせる。
シトクロム濃度とタンパク質の全量との関係は、mol・g-1で表されるシトクロム活性を与える。急性毒性の結果は、(グルコースを与えられた)負の対照グループと、その材料がCyp450によって代謝されない「MIL−88A」グループとの間に活性における大きな差がないことを示している。材料MIL−88BtもCyp450によって代謝されない。
血清におけるインターロイキン6のアッセイ
インターロイキン6(IL−6)は、宿主防御、免疫応答、神経細胞機能および造血に重要な役割を果たす多機能性サイトカインである。例えば、ウィルスおよび細菌感染、外傷、自己免疫疾患、炎症または癌を通じて、血清におけるIL−6のレベルの上昇が確認された。
この試験の目的は、カルボン酸鉄ナノ粒子の投与後に炎症反応が生じるかどうかを判断することである。したがって、IL−6のレベルが、対照グループ(グルコースの注入、および注入による局所的な炎症反応)と比較して増加するかどうかを確認することが可能である。
R&Dシステム研究所によって提供された「クアンチカイン、ラットIL−6」キットを使用してアッセイを実施した。
準急性毒性結果:有意な変化はない。確認された血漿レベルの増加(IL−6生成の活発化)は、それぞれのグループを個別に対照グループ(グルコース)と比較した場合に、局所的炎症を引き起こす注入による現象であると思われる。
急性毒性結果:大きな変化はなく、準急性毒性の場合と同じ結論に至る。
血清パラメータのアッセイ
自動デバイスを使用してすべてのアッセイを実施した。いくつかの重要なパラメータを測定して、肝臓へのナノ粒子の注入の結果、すなわちトランスアミナーゼ(アラニンアミノトランスフェラーゼまたはALATおよびアスパルテートアミノトランスフェラーゼまたはASAT)、アルカリホスファターゼ(PAS)、γ−グルタミン酸トランスフェラーゼ(GGT)、ビリルビン、コレステロール、アルブミンおよび血清鉄のレベルを評価した。
ALATの血清レベルは、ビリルビン(<2μmol/L)およびγ−グルタミン酸トランスフェラーゼ(<2IU/L)のレベルと同様に全く正常であることが、それらの結果によって示されている。
血清アルブミンレベルは、2つの材料について注入から第1日後にわずかに減少したが、それは、注入による局所的炎症プロセス、および既に確認されたIL−6の増加と一致する。3日後に、それらのレベルは正常に戻る。
ASATの血清レベルは、注入の1日後に増加し、それは細胞溶解プロセスを示唆しているといえる。しかし、ナノ粒子の投与の3日後に、それらの値は正常に戻る。同様に、アルカリホスファターゼは、1日後に増加し、それは細胞溶解プロセスを示唆するが、その状況は3日後に正常に戻る。3日後に正常に戻るということは、それが永久的な細胞溶解プロセスでなく過渡的なものであることを示唆する。したがって、細胞機能の低下はない。
コレステロールレベルは正常である。
血清鉄レベルは、対照グループと比較して低下しており、これは、MIL−88Aグループにおいてより顕著である。これをナノ粒子により血清鉄の錯化によって説明することができる。その状況は、投与の3日後に正常に戻る。
また、1週間後に、これらの結果から血清パラメータをアッセイしたところ、血清鉄に関して3つのグループに差が認められない。MIL−88AおよびMIL−88Btで処理されたラットは、対照グループと同等の血清鉄濃度を取り戻した。さらに、他の血清パラメータに関しても、対照グループと比較して有意な差が認められない。
組織切片
5μmの厚さの組織切片をクライオスタットで作製し、脱水し、染色(ヘマトキシリン/エオシン染色、次いでプルースト青色染色;鉄の青色化)する。
組織切片を観察することによって、材料の化合物の除去の経路、または特定の器官、すなわち肝臓、腎臓、脾臓および肺(心臓は対照として使用される)におけるそれらの貯蔵を確認することが可能である。
急性毒性結果:肝臓組織切片は、固体MIL−88Aでは比較的大きい、それらの材料の注入後の肝臓における鉄の蓄積を示す。材料は、非分解ナノ粒子の形で存在すると思われる。材料MIL−88Btに付いては蓄積がより小さく、それは、肝臓に対する吸収量がより小さいこと、または貯蔵された鉄の再使用がより迅速であることを意味することができる。1ヶ月および3ヶ月後に、脾臓および肝臓における鉄含有率が正常に戻る。
注入された懸濁液および器官における鉄のアッセイ:
動物に注入されたMIL−88AおよびMIL−88Btの懸濁液に含まれる鉄のアッセイを、酸化鉄を濃硫酸に溶解させ、第二鉄イオンをアスコルビン酸によって第一鉄イオンに還元した後に、ビピリジンを用いた第一鉄イオンの比色分析(赤色錯体の形成)による520nmの波長におけるUV可視分光光度法によって実施する。
試験するために器官を粉砕した後に、器官における鉄のアッセイを既に説明した懸濁液の鉄アッセイと同様にして実施する。このアッセイは、材料の化合物の除去の経路、または特定の器官、すなわち肝臓、腎臓、脾臓および肺(心臓は対照として使用される)におけるそれらの貯蔵を確認することを可能にする。
d)結論
毒性試験を通じて、動物の詳細な観察は、注入された材料の有害性の明確な徴候を示さなかった。具体的には、動物は、全く正常な挙動を維持した。それらの試験を通じて、動物は、対照グループと比較して十分に体重を増加させるが、準急性毒性試験では対照グループの場合より体重増加が小さく、それは、より高投与量の連続投与に対応づけられる。
準急性毒性試験における水消費量は、全体的に正常にとどまっている。
シトクロムP−450アッセイは、シトクロムP−450の活性の状態を長期間にわたって観察することを可能にした。このシトクロムは、特定の生体異物を代謝させる機能について既知である。活性レベルは、変動があるものの、シトクロムP−450活性体であるフェノバルビタールの注入を受けた対照ラットについて確認された値を下回っていることが試験によって示され、それは、それらの材料がCyp450経路を介して代謝されないことを示唆するものであり、ジカルボン酸配位子の高度な極性と一致する。
それらの結果は、非常に有望であり、MIL−88AおよびMIL−88Btが、重度の毒性の徴候を少しも誘発しないことを既に示唆するものであるが、相補的な毒性試験を実施しなければならない。体内のナノ粒子の運命および効果は、封入するのが困難であり、大きな治療潜在性を有する薬物を方向付けすることによって、これらの材料により提供される利点を実現するために、試験されている過程にある。異なる構造および/または組成の他のナノベクトルについても同様の試験が進められている。
実施例13:MIL−88Aナノ粒子のインビトロ分解
a)試験番号1
二次元の撹拌を伴う、pH7.4のリン酸緩衝液(PBS)中での37℃におけるインキュベーションを通じて、MIL−88Aナノ粒子の分解を調べた。ナノ粒子の濃度は、50μg/mlであった。様々なインキュベーション時間後に、ナノ粒子懸濁液を遠心分離した(10000rpm、15分、0℃)。ナノ粒子の分解によって遊離するフマル酸を、分光光度検出(λ=210nm)による逆相HPLCによって上澄みにて定量した。逆相C18 Symmetryカラム(登録商標)(5μm、3.9×150mm、Part.No.WAT046980、Waters)を使用した。移動相は、メタノール(25容量%)(Aldrich、HPLCグレード)と10mMリン酸(75容量%)(Aldrich、HPLCグレード)との混合物であった。移動相の流量は、0.5ml・min-1であり、カラム温度は、25℃であった。注入容量は、10μLであった。システムをフマル酸の標準溶液で較正した。この生成物の滞留時間は約2分であった。
2日間のインキュベーションの後に、ナノ粒子組成物に含まれるフマル酸の全量の約88%が放出されたことを確認した。図34は、時間t(日)の関数として、固体MIL−88Aからのフマル酸の百分率としての放出量を示す。3週間のインキュベーション後に完全分解(100%のフマル酸の放出)を確認した。
b)試験番号2
材料MIL−88Aナノ(150および500nm)の分解を、二次元撹拌を行いながら、37℃のpH7.4のPBS溶液中ナノ粒子(50mg/ml)の懸濁液を使用して調べた。様々な時間において、上澄みを遠心分離(0℃における10000rpm/10分)によって回収し、放出されたフマル酸の量をHPLC(逆相、Waters 501
HPLCポンプ、Waters(商標)717+オートサンプラー、Waters(商標)486検出器およびλ=210nmのUV可視分光光度計)によって測定する。Symmetry(登録商標)C18逆相カラム(5μm、3.9×150mm、Part No.WAT046980、Waters)を使用する。移動相は、メタノール(25容量%)(Aldrich、HPLCグレード)と10mMリン酸(75容量%)(Aldrich、HPLCグレード)との混合物である。流量は、0.5ml・min-1であり、カラム温度は、25℃である。注入容量は、10μLである。
フマル酸滞留時間は、2分である。標準品を用いた検量線を使用してフマル酸濃度を測定する。
2日間のインキュベーションの後にナノ粒子のフマル酸の全量の88%が放出され、9日後に約96%が放出される。3週間の試験後に完全分解する。
V.対象分子が充填されたナノ粒子
実施例14:活性成分ブスルファンが充填されたカルボン酸鉄(III)ナノ粒子の配合
ブスルファン(1,4−ブタンジオールジメチルスルホネート)は、癌を治療するための特定の治療価値を有するアルキルスルホネート類のアルキル化剤である。造血性幹細胞の自己グラフティングまたは異系グラフティングの前に「高投与量」の化学療法プロトコルで処方されると、それは、全身放射の優れた代用になるため、小児科において特に興味深い。しかし、それは主に肝臓に吸収されるため、高い毒性を有するが、担体系を開発する上で興味深い。
現在までに試験されたブスルファン放出系は、その封入に関して現実的な課題がある。リポソームで得られた最大充填量は、0.5(重量)%を超えない。生分解性ポリマーの使用の方が適することが証明されたが、ブスルファンの封入度は、ポリ(アルキルシアノアクリレート)系ナノ粒子におけるブスルファンが5(重量)%を超えない。
本実施例において、ブスルファンを本発明の様々なカルボン酸鉄(III)、詳細には材料MIL−53、MIL−88A、MIL−89およびMIL−100に組み込む。
a)MIL−53カルボン酸鉄の調製
MIL−53固体を、270mgのFeCl3・6H2O(1mmol;Alfa Aesar、98%)、166mgの1,4−ジカルボン酸(1mmol;Aldrich、98%)および5mlのジメチルホルムアミド(Fluka、98%)から合成する。全体を、Paarブランドの金属体(オートクレーブ)に入れられたテフロン(登録商標)(登録商標)体に導入し、次いで150℃で24時間加熱する。室温まで冷却した後、製造物を濾過によって回収し、水およびアセトンで洗浄する。
次いで、該固体の200mgを15分にわたって撹拌しながら100mlの蒸留水に懸濁させて、孔に存在する残留溶媒を除去する。固体を濾過によって回収する。
光散乱によって測定された粒径は6.2マイクロメートルである。
b)MIL−88Aカルボン酸鉄の調製
材料MIL−88Aを得るために、270mgのFeCl3・6H2O(1mmol;Alfa Aesar、98%)、5mlのジメチルホルムアミド(Fluka、98%)中112mgのフマル酸(1mmol;Acros、99%)を混合し、0.4mlの2MのNaOHを添加する。全体を、Paarブランドの金属体(オートクレーブ)に入れられたテフロン(登録商標)(登録商標)体に導入し、次いで100℃で15時間加熱する。室温まで冷却した後、製造物を濾過によって回収し、水およびアセトンで洗浄する。
次いで、該固体の200mgを15分にわたって撹拌しながら100mlの蒸留水に懸濁させて、孔に存在する残留溶媒を除去する。次いで、固体を濾過によって回収する。
光散乱によって測定された粒径は2.6マイクロメートルである。
c)MIL−89カルボン酸鉄の調製
240mgの酢酸鉄(0.33mmol)および140mgのムコン酸(1mmol)を9mlのメタノールに添加する。次いで、0.35mlの2MのNaOHの溶液を1mlのメタノールに徐々に添加する。全体を、金属体を備えたテフロン(登録商標)(登録商標)容器に入れ、150℃で6時間加熱する。次いで、金属ボンベを水で直ちに冷却する。得られた固体を、10分間にわたる5000rpmの遠心分離によって回収する。孔に残留する溶媒を除去するために、200mgの固体を終夜撹拌しながら100mlの水に懸濁させ、次いで遠心分離(5000rpm、10分)によって回収する。
光散乱によって測定された粒径は1.1マイクロメートルの2つの集団のナノ粒子を示す。
d)MIL−100カルボン酸鉄の調製
56mgの金属鉄(1mmol;Aldrich、99%)および3mlの蒸留水中210mgの1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(1,3,5−BTC;1mmol;Aldrich、95%)から出発し、それに0.4mlのフッ化水素酸(HF;5M)および0.6mlの2N硝酸を添加して、MIL−100の合成を実施する。全体を、Paarブランドの金属体(オートクレーブ)に入れられたテフロン(登録商標)(登録商標)体に導入する。全体を、150℃にて6日間にわたって12時間の加熱ランプ(25〜150℃)で加熱し、24時間の冷却ランプで冷却する。製造物を濾過によって回収し、水およびアセトンで洗浄する。
該固体の200mgを、3時間にわたって撹拌および還流しながら100mlの蒸留水に懸濁させて、孔に存在する残留酸を除去する。次いで、高温時に固体を濾過によって回収する。
光散乱によって測定された粒径は1.7マイクロメートルである。
e)ブスルファンのカルボン酸鉄への導入
薬物をその溶媒中飽和物の100%または80%に等しい濃度で含む溶液2.5mlに25mgの脱水固体を懸濁させることによって、吸着により、材料の孔へのブスルファンの挿入を実施し、全体を室温で16時間撹拌する。次いで、粒子を遠心分離(20℃、5000rpm、15分)によって回収する。一定の重量が得られるまでペレットを乾燥させる(一次真空mmHg下で蒸発、72時間)。多孔性固体内に存在するブスルファンの定量を放射活性計数(3H−ブスルファン)、熱重量分析(TGA)および元素分析によ
って実施する。
含浸のために選択される溶媒は、ブスルファンが相当の溶解度を有する溶媒(アセトン、アセトニトリル、クロロホルム、ジクロロメタン、炭酸ジメチル)である(表18)。
ブスルファンを材料MIL−53、MIL−88A、MIL−89およびMIL−100に導入する第1の試験を表19に示す。
得られたブスルファン充填能力は大きく、それぞれMIL−53およびMIL−100に薬物を含む122および153mg/gまでの水和固体が充填される(表10)。出発固体は、それぞれ7.3および44.5重量%の水を含む。
乾燥固体の含有率に対する含有率を考慮すると、貯蔵能力は、活性成分25重量%を超え、リポソームを用いて得られた能力の60倍、および最良のポリマー系を用いて得られた能力の4倍になる。
これらの結果は有望であり、封入度をさらに高めるために、含浸条件の最適化が進められている。また、ハイブリッド固体の孔の開口は、孔における活性成分の含有率に左右されるため、MIL−53およびMIL−88型の軟質ハイブリッド固体に吸着された量をX線回折によって定量的に監視できること(図14)が指摘される。
ブスルファンの封入を、
−いくつかの含浸サイクル
−異なる含浸時間
−昇華による封入
−より大きな孔容量を有するいくつかの固体(MIL−101ビフェニル、異なる有機基で改質されたMIL−88D)ならびに薬物−固体相互作用を最適化するための改質配位子(NH2、Cl、NO2、COOH、CH3など)を有するハイブリッド固体の使用の試験によって最適化することができる。この段階で、デジタルシミュレーションを使用して、孔内にブスルファンを保持するための最良の官能基を予測することになる。
−それらの封入結果に関連して、封入試験のために、PEGで表面改質された固体ナノ粒子を使用する。
実施例15:医薬活性成分:AZTPが充填されたMIL−100およびMIL−101カルボン酸鉄(III)ナノ粒子の配合
シドホビル(CDV:抗ウィルス薬)または三リン酸アジドチミジン(AZTP;レトロウィルス)などの他の薬物を用いて封入試験を実施した。これらの分子の寸法を考慮して、25〜34Åのケージを有することから剛構造MIL−100およびMIL−101の多孔性カルボン酸鉄を選択した。
a)AZTPの封入および放出
MIL−100およびMIL−101ナノ粒子にAZTTPを封入する予備試験:25〜34Åのフリーサイズのケージを有する剛構造MIL−100(500nmナノ粒子)およびMIL−101(500nmナノ粒子)の多孔性カルボン酸鉄へのレトロウィルス薬の三リン酸アジドチミジン(AZTP)の封入を実施した。
1時間にわたって撹拌しながら、それぞれ50、100、250および500μgのAZTPを500μlおよび50μg/50μlで含む水溶液に2.5mgの脱水固体(100℃/12時間)を浸漬させることによって薬物の挿入を実施した。薬物の吸着後、薬物が充填された固体を15分間にわたる5000rpmの遠心分離によって回収し、真空下で3日間乾燥させる。吸着した薬物の含有率の定量を放射活性計数(3H−AZTP)
によって実施した。
より高濃度の薬物を含む溶液を使用すると、材料への活性成分の充填量が増加し、MIL−100ナノ粒子における薬物が最大で9重量%(記録!!)に達することが確認される。固体MIL−101は、実質的に2倍の孔容量(2cm3対1.2cm3/g)を有することを考慮すると、はるかに大きい容量を有することが期待される。等しい濃度で、最初に導入されたAZTP/材料の重量比がより高い場合は、活性成分充填量が大きくなる。加えて、封入効率が優れる。
AZTPの封入を以下の方法で最適化することができる。
−出発AZTP溶液の濃度を高くする。
−いくつかの含浸サイクル。
−異なる含浸時間。
−PEGで表面改質された固体の使用。
−より大きい能力を有する異なる固体(MIL−101ビフェニル、異なる有機基で改質されたMIL−88D)、および薬物−固体相互作用を最適化するための改質配位子(NH2、Cl、NO2、COOHなど)を有するハイブリッド固体の使用。
b)PEG化および非ペグ化MIL−100ナノ粒子へのAZTTPの封入
9.7gの硝酸鉄六水和物(Aldrich、97%)、3.38gの1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(1,3,5−BTC、Aldrich、99%)および40gの蒸留水の溶液から出発して、マイクロ波法(CEMマイクロ波)を介して、180℃で30分間にわたってMIL−100ナノ粒子を合成した(電力600W)。光散乱によって測定された粒径は400nmである。
実施例24に記載の粒子の表面を改質することによってPEG化MIL−100ナノ粒
子を得た。30mgのMIL−100を、30℃で3時間にわたって撹拌しながら10mgのアミノ末端ポリエチレングリコール(PEG−NH2 5000g/mol、Ald
rich、97%)の3mlの水溶液に懸濁させた。これらのナノ粒子を遠心分離(10000rpm/10分)によって回収し、蒸留水で洗浄した。
表面におけるPEGの量を、500nmにおける分光光度法によって選択的に測定される、PEG上のヨウ素−ヨウ素で染色された錯体の形成に基づいて、BaleuxおよびChampertierの方法を介して測定した。(PEGの量は、19質量%であり、PEG化後の粒径が800nmに増加した)。他方で、走査型電子顕微鏡検査(SEM)によるPEG化および非PEG化ナノ粒子の観察により、いずれの場合も150nmのナノ粒子が示される。この差は、微粒子凝集現象によるものであり得る。
トリチウム標識AZT−TP(3H−AZTP;Moravek;3.8Ci/mmo
l、1mCi/ml、133.4μg/ml、250μl)を使用して、PEG化または非PEG化MIL−100ナノ粒子によるAZT−TP(三リン酸アジドチミジン;1−[(2R、4S、5S)−4−アジド−5−(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン−2−イル]−5−メチルピリミジン−2,4(1H、3H)−ジオン、Moravek)の吸着を調べる。
室温で撹拌しながら16時間にわたって、(150℃/終夜)予め乾燥した2.5mgの固体MIL−100を1mg/mlのAZT−TP(50μlの3H−AZT−TP+
3mlのAZT−TP)の500μlの水溶液に懸濁させることによって、実験を4回実施する。
AZT−TPを封入したナノ粒子を遠心分離(室温で10000rpm/10分)によって回収し、真空下で3日間乾燥させる。放射活性を計数すること(Beckman Coulter LS 6500汎用シンチレーション計数器)によって上澄みにおける放射活性を測定し、材料に吸着したAZT−TPを原液の放射活性との差によって定量する。
ナノ粒子を酸性条件下で分解させ(2.5mgのナノ粒子を1mlの5MのHClで50℃にて終夜分解させ)、放射活性を測定する。
材料に吸着したAZT−TPの量は、MIL−100では8%であり、PEG化MIL−100では5質量%である。
c)PEG化MIL−100およびMIL−100ナノ粒子からのAZTTPの制御放出
2.5mgのナノ粒子(2.5mgのナノ粒子+8重量%のAZT−TP(MIL−100)および5重量%(PEGで被覆されたMIL−100))を37℃で1mlのpH7.4リン酸緩衝液(Aldrich)に懸濁させることによってAZT−TPを放出させる。該懸濁液を様々なインキュベーション時間(30分、2.5時間、5時間、7.5時間、24時間、48時間、72時間、96時間、168時間、240時間)にわたって二次元撹拌下に維持する。次に、該懸濁液を(10000rpm、10分)遠心分離し、0.5mlの上澄みを採取し、新鮮なPBS(リン酸緩衝生理食塩水)に取り換えた。放出されたAZT−TPの量を、上澄み(放出媒体)における放射活性を測定することによって求める。
PEGで被覆されていないナノ粒子は、PEGで被覆されたナノ粒子より緩慢に、2日間にわたって徐々にそれらの活性成分を放出させる。これは、ナノ粒子内のAZT−TPの箇所が異なることによって説明され得る。表面におけるPEG「ブラシ」は、活性成分がナノ粒子により深く浸透するのを立体的に防ぐ可能性がある。材料の上層に位置するこの活性成分は、より迅速に放出される。
実施例16:医薬活性成分:シドホビルが充填されたカルボン酸鉄(III)ナノ粒子の配合
a)シドホビル(CDV)の封入および放出
14C標識CDV(14C−CDV)を使用して、MIL−88A、MIL−89、MIL−100およびMIL−101ナノ粒子におけるシドホビル(L−(S)−1−(3−ヒドロキシ−2−ホスホニルメトキシプロピル)シトシン、CDV、Moravek)の吸着を調べた。
予め脱水された2mgの材料(150℃/終夜(MIL−100)および100℃/終夜(他))を室温で撹拌しながら16時間にわたって400μg/mlのCDV(50μlの14C−CDV+3mlのCDV)の1mlの水溶液に懸濁させることによって、実験を3回実施する。
CDV封入ナノ粒子を遠心分離(10000rpm/10分、室温)によって回収し、真空下で3日間乾燥させる。放射活性を計数すること(Beckman Coulter
LS 6500汎用シンチレーション計数器)によって上澄みにおける放射活性を測定し、材料に吸着したCDVを原液の放射活性との差によって定量する。
ナノ粒子を酸性条件下で分解させ(2mgのナノ粒子を1mlの5MのHClで50℃にて終夜分解させ)、放射活性を測定する。
材料に吸着したAZT−TPの量は、MIL−100では8%であり、PEG化MIL−100では5質量%である。
非常に大きな能力は、3%〜18%の範囲である。したがって、封入効果が非常に高い(固体MIL−100およびMIL−89では80%を超える)。
b)MIL−88A、MIL−100、MIL−101およびMIL−89ナノ粒子によるCDVの放出
2mgのナノ粒子(2gのナノ粒子+重量%のCDV)を37℃で1mlのPH7.4リン酸緩衝液(Aldrich)に懸濁させることによってCDVを放出させた。該懸濁液を様々なインキュベーション時間にわたって二次元撹拌下に維持した。次いで、該懸濁液を(10000rpm、10分)遠心分離し、0.5mlの上澄みを採取し、新鮮なPBSに取り換えた。放出されたAZT−TPの量を、上澄み(放出媒体)における放射活性を測定することによって求めた。
シドホビルの封入を、以下のパラメータを改良することによって最適化することができる。
−出発溶液の濃度を増加させる。
−いくつかの含浸サイクル。
−様々な含浸時間。
−より大きな能力を有する様々な固体(MIL−101ビフェニル、様々な有機基で改質
されたMIL−88D)、および薬物−固体相互作用を最適化するための改質配位子(NH2、Cl、NO2、CH3、COOHなど)を有するハイブリッド固体の使用。
−それらの封入結果に関連して、封入試験のために、PEGで表面改質された固体ナノ粒子を使用する。
−生理媒体(リン酸緩衝液、NaClなど)において放出試験を実施する。
実施例17:他の医薬活性成分の封入
a)パクリタキセルが充填されたカルボン酸鉄(III)の配合
タキソールという名称で販売されているパクリタキセルは、エタノールおよびDMSOに可溶である(約50g/L)
ブスルファンを封入するのに使用されるのと同様のプロトコルに従って、ナノ粒子に20〜50g/Lの濃度でDMSO溶液を含浸させることによって該パクリタキセルを封入することができる。唯一の違いは、DMSOまたはエタノール中パクリタキセルの溶液を使用することである。
b)ドセタキセルが充填されたカルボン酸鉄(III)の配合
ドセタキセルは、同様の構造および活性を有するパクリタキセル類似体であるが、特にその毒性およびその抗腫瘍効果がパクリタキセルと異なる。(灌流である)タキソテレと言う名称で販売されている場合は、この活性成分は、副作用(保水、腹水、胸水および心膜水、皮膚反応、脱毛などのリスク)がある。したがって、そのナノ粒子への封入およびその腫瘍における放出が大きな進歩になる。
以下を使用することによってDMSO溶液またはエタノールで含浸することによってドセタキセルを封入することもできる。
−異なる含浸時間
−いくつかの含浸サイクル
−より大きな能力を有する異なる固体(MIL−101(テレフタル酸)、MIL−101(2,6−ナフタレンジカルボン酸)、MIL−101(4,4−ビフェニルジカルボン酸)および/または異なる有機基で改質されたMIL−88D)ならびに薬物−固体相互作用を最適化するための改質配位子(CH3、COOHなど)を有するハイブリッド固体。[「MIL−101(テレフタル酸)」は、配位子Lがテレフタル酸配位子であるMIL−101相のMOF固体を指す。他の上記MIL−101固体にも同様の規則が用いられる]。
−それらの封入結果に関連して、封入試験のために、PEGで表面改質された固体ナノ粒子を使用する。
c)ゲムシタビンが充填されたカルボン酸鉄(III)の配合
ゲムシタビン(dFdC)は、デオキシシチジン類似体である。それは、細胞周期のS段階(DNA合成段階)の特異的抗代謝物質である。ゲムシタビンは、ヌクレオシドキナーゼを有する細胞においてヌクレオシドジホスフェート(dFdCDP)およびトリホス
フェート(dFdCTP)に代謝される。これらは、活性代謝物質である。
ゲムシタビンは、水溶性である。したがって、その封入をAZTトリホスフェートの封入と同一のプロトコル(活性成分の水溶液の含浸)に従って実施することができる。
以下のパラメータを改良することによって、ゲムシタビンの封入を最適化することができる。
−出発溶液の濃度を増加させる。
−いくつかの含浸サイクル。
−異なる含浸時間。
−より大きな能力を有する異なる固体(MIL−101ビフェニル、異なる有機基で改質されたMIL−88D)、および薬物−固体相互作用を最適化するための改質配位子(NH2、Cl、NO2、CH3、COOHなど)を有するハイブリッド固体の使用。
−それらの封入結果に応じて、封入試験のために、PEGで表面改質された固体ナノ粒子を使用する。
−生理媒体(リン酸緩衝液、NaClなど)において放出試験を実施する。
実施例18:対象となる化粧用途の化合物が充填されたカルボン酸鉄(III)の配合
剛構造MIL−100および柔構造MIL−53の多孔性カルボン酸鉄への化粧用途の様々な分子の封入を実施する。実施例のために選択された分子は、その遊離基封鎖特性によりアスコルビン酸、その脂質調節作用によりカフェイン、および保湿剤として尿素である。ベンゾフェノンの封入について記載されたプロセスもこれらの化合物に適用可能である。最後に、疎水性のベンゾフェノン−3(紫外線遮断剤)に関しては、親水性のベンゾフェノン−4を封入することもできる。
化粧料を挿入するために、脱水固体(100もしくは150℃/12時間)または非脱水固体を、可変量の化粧料の存在下で水性懸濁液またはアルコールに含め、全体を異なる時間にわたって撹拌する。吸着後、化粧料が充填された固体を、15分間にわたる5000rpmの遠心分離によって回収し、空気中で乾燥させる。吸着した化粧料の量の定量を元素分析およびTGAによって実施する。
化粧用途では、ヒアルロン酸で被覆され、活性成分を封入したナノ粒子が特に有利である。具体的には、ヒアルロン酸は、真皮の天然構成成分であり、皮膚の水和および弾性に重要な役割を果たす。この物質が年齢とともに減少すると、我々の皮膚は、乾燥し、皺になる。体内に含まれるヒアルロン酸の約56%が皮膚に見いだされる。
MOFにこのポリマーを塗布すると、皮膚に対する生物接着特性がそれらに付与される。
a)ベンゾフェノン−3の封入
ベンゾフェノン−3(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)(BZ3)は、非常に水溶性に乏しい固体である(0.0037g/l(20℃))。
それは、抗紫外線の日焼け止めである。ベンゾフェノン−3は、日除けクリームおよび
「老化防止」物質としての化粧品に使用される。それは、化粧料に含まれる活性物質に対する保護体としても使用される。それは、芳香剤または染料などのこれらの物質の紫外線誘発分解を防止することができる。この物質は、非常に強いアレルギー作用を有する既知のアレルゲンである。それは、感光性であり得る。それを封入することは、皮膚との直接的な接触を回避するために有用である。
使用した実験プロトコルは以下の通りである。乾燥ナノ粒子(MIL−53(Fe)、平均直径:1.1マイクロメートル)を、1ml当たり10マイクログラムのBZ3を含む10mlの溶液に、最終粒子濃度が1および0.5mg/mlに等しくなるように分散させた。ここで選択されたBZの濃度が低いのは、その水溶性が低いことによって説明される。MIL−53(Fe)化合物は、また、芳香族分子に対して非常に良好な親和性を有し、それは、ベンゾフェノンを封入するためのこの材料の選択を正当化するものである。
このBZ3溶液をDMSO中BZの溶液(1g/l)から得た。この溶液1mlを採取し、次いで100mlのミリQ水に含めた。
ナノ粒子を室温で12時間インキュベートし、次いで超遠心分離(30000rpm、30分)によって回収した。上澄みを採取し、次いでアッセイすることで(UV分光光度法、298nmの波長)、封入されなかった量を測定することを可能にした。封入量を、最初に導入されたBZ3の量との差によって求めた。実験を3回実施した。
封入収率(導入されたBZ3の量に対する封入百分率%)は、良好である(74〜76%)。他方で、充填量が低いことは、導入されたBZ3の量が粒子の量と比較して少ないことによって説明される。しかしながら、(BZと比較した)粒子の導入濃度が低下すると充填量が増加することが分かる。使用したBZ3の水溶液の濃度が低かったため、BZ3の溶解度が著しく高い好適な有機溶媒をそれに含浸することによって、粒子へのBZの充填量を大いに高められることが十分に考えられる。
b)ベンゾフェノン−4の封入
ベンゾフェノン−4(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸)(BZ4)は、水への溶解度が非常に高い固体である(100mg/ml(20℃))。
ベンゾフェノン−4は、特に、水溶性配合物が要求されるときに使用される抗UVAおよび抗UVA日焼け止めである。ベンゾフェノン−4は、日除けクリームおよび「老化防止」物質としての化粧品に使用される。ベンゾフェノン−4は、化粧料に含まれる活性物質のための保護剤としても使用され、芳香剤または染料などのこれらの物質のUV誘発分解を防止することができる。しかし、ベンゾフェノン−4は、痒み、灼熱感、落屑、じんま疹、皮膚疱疹、または重度の呼吸反応の形の免疫反応をもたらし得る。その封入は、皮膚との直接的な接触を回避しながらその活性を維持することを可能にする。
c)尿素の封入
尿素は、人体のすべての器官、組織および体液に見られる天然の活性物質である。尿素は、水への溶解度が非常に高い(1.08g/ml(20℃))。
尿素は、角質層の重要な保湿剤である。それは、様々な効果を有する。
−痒みを緩和させ、小児神経皮膚炎の場合に大きな利点になる。
−角質層を保湿する。
−落屑効果を有し、細胞開裂を正常化させる。
−抗菌性を有し、特に慢性湿疹の場合に過剰感染を防止する。
−皮膚に同時に塗布される他の医薬物質、例えばグルココルチコイドの浸透を促進させる。したがって、薬物の投与量を、その効果を低下させることなく削減することができるため、副作用を抑制することができる。
d)カフェインの封入
カフェインは、そのスリミング効果が既知である脂肪分解物質である。その脂肪低減作用は強力で、投与量に依存する。カフェインは、細胞に直接同化されるため、最も高活性の形である。しかし、クリームに組み込むのがより容易であるということから、カフェイン塩が、実際に最も使用される形である。
カフェインは、水への溶解度が良好である(22mg/ml(20℃))。
e)実験的封入プロトコル
150mgの乾燥MIL−53(Fe)ナノ粒子(平均直径1.1マイクロメートル;150℃/8時間の条件で脱水)およびMIL−100(Fe)ナノ粒子(平均直径0.5マイクロメートル;100℃/8時間の条件で脱水)を、異なる化粧料を含む10mlの水溶液(飽和に近い濃度;以下の表を参照)に分散させ、全体を2時間または3日間にわたって室温で撹拌した。次いで、粒子を遠心分離(20℃、5000rpm、15分)によって回収する。
化粧料が充填された固体を最初にX線粉末回折(XRD)によって特徴付けする。多孔性固体に封入された化粧料の質量含有率を熱重量分析(TGA)および元素分析によって推定する。
出発溶液の濃度は、飽和に非常に近いため、化粧料を孔に挿入させ、平衡が液相における放出にシフトするのを回避する(上記表参照)。
化粧料封入能力はいずれの場合も非常に大きく、非常に極性の強い小分子である尿素では60〜70%に達する。より大きい分子であるカフェインについては、わずかに小さい化粧料挿入量、すなわち約25〜40質量%が確認される。この分子は、ハイブリッド固体の極性部(金属)および非極性部(配位子)と相互作用することができる。
最後に、ベンゾフェノン−4は、MIL−100に十分(15%まで)封入されるが、固体MIL−53への挿入量は、寸法がこの化合物の孔の最大径に近いことから、はるかに小さい(<5%)。
封入後の剛構造のすべての固体において、規則的な結晶構造の保全がXRDによって確認される。
カフェインを含む50mgの材料を5mlのリン酸緩衝生理食塩水PBS溶液(Aldrich)(PH7.4)に37℃で撹拌しながら懸濁させることによって、異なる構造の固体(MIL−53、MIL−88およびMIL−100)からならびに改良配位子MIL53_2COOH、MIL53_2OHおよびMIL53_NH2に基づく固体でカフェインを放出させた。
これらの懸濁液を(10000rpm、20℃で10分)遠心分離し、それぞれの放出時間において1mlの上澄みを採取し、新鮮なPBSと取り換えた。媒体に放出されたカフェインの濃度を254nmにおけるUV可視分光法によって測定した。
材料の構造および組成に応じて、投与量を経時的に変更することが可能であることが分かる。
実施例19:蛍光分子の封入
ローダミン過塩素酸塩(A)、フルオレセイン(B)、8−ヒドロキシピレン−1,3,6−トリスルホン酸のナトリウム塩(C)または(R)−(−)−4−(3−アミノピロリジノ)−7−ニトロベンゾフラザン(D)などの蛍光分子を以下に記載のプロトコルに従って固体MIL−101−NH2に封入した。これらの分子を図32および33に示
す。
手順:
(実施例7に記載のマイクロ波法に従って合成された)200mgの固体の硬質アミノテレフタル酸鉄MIL−101−NH2をエタノール中蛍光分子の10mlの2mg/m
l溶液に懸濁させる。
−A:ローダミン116過塩素酸塩(R116、Aldrich)、
−B:フルオレセイン(Aldrich)、
−C:8−ヒドロキシピレン−1,3,6−トリスルホン酸の三ナトリウム塩(PSO3、Aldrich、98%)、または
−D:(R)−(−)−4−(3−アミノピロリジノ)−7−ニトロベンゾフラザン(APNF、Aldrich、98%)。
溶解した固体蛍光分子の混合物を15分間にわたって撹拌しながら室温で撹拌する。蛍光分子が充填された固体を10000rpm/10分の遠心分離によって回収する。
封入された蛍光分子の定量をTGAおよび/または元素分析によって実施する。蛍光分子を封入した材料を、結晶構造の保全を確認するためのXRD、マトリックス−分子相互作用を調べるためのFTIR、孔または表面における蛍光の存在を確認するための共焦点蛍光顕微鏡検査によって特徴付けする(これらの分子の各々の蛍光特性を以下の表に示す)。
インビボ画像特性(生体発光、蛍光)を当業者に周知のプロトコルに従って調べることができる。例えば、文献Kathryn E.Luker et al.,Antiviral Research,Volume 78,Issue 3,June 2008,pages 179−187を参照することができる。
加えて、(実施例3に記載されているソルボサーマル法に従って合成された)ジメチル−4,4’−ビフェニルジカルボン酸鉄MOF固体の場合は、分子A、B、CおよびDの封入に同じプロトコルが適用可能である。
実施例20:フルオロ分子の封入
1−(ペンタフルオロプロピオニル)イミダゾール:
(既に記載されているソルボサーマル法を介して合成された)200mgの硬質トリメシン酸鉄MIL−100を予め150℃で終夜脱水し、室温で15時間にわたって撹拌しながらエタノール中ペルフルオロペンタン酸(Aldrich、97%)または1−(ペンタフルオロプロピオニル)イミダゾール(Aldrich、98%)の10mlの2mg/ml溶液に懸濁させる。固体を10000rpm/10分の遠心分離によって回収する。
封入されたフルオロ分子の定量をTGAおよび/または元素分析によって実施する。蛍光分子を封入した材料を、結晶構造の保全を確認するためのXRD、FTIR、およびマ
トリックス−分子相互作用を調べるための19F NMRによって特徴付けする。
実施例21:昇華による尿素の封入
このプロトコルは、より簡単な昇華を可能にする尿素などの低蒸発温度の封入対象分子に特に適用可能である。
この場合、尿素分子のサイズが小さいことが、その軟質固体孔MIL−53および硬質固体孔MIL−100(既に記載されている合成)への封入を可能にする。
昇華によってPAを挿入するのに使用される実験設定を図31に示す。
昇華封入プロトコルを以下の工程で説明する。
1.多孔性固体を最初に150℃にて真空下で12時間脱水する(薬物を含むフラスコバルブを閉鎖し、固体を含むフラスコバルブを真空に開放する)。
2.尿素を真空下で加熱して、それを尿素の昇華温度T1にて真空下で昇華する。MOF固体そのものをT1より5℃高い温度T2に加熱する。また、全回路を加熱して、尿素の再結晶化を回避する(「薬物」フラスコバルブを真空に開放し、「固体」バルブを閉鎖する)。
3.次いで、「固体」バルブを開放して、材料への薬物の封入を達成するように、昇華した薬物と脱水した固体とを接触させる。
5.次いで、「固体」を含むフラスコのバルブを閉鎖する。
6.窒素ガスを固体フラスコに導入する。
7.次いで、尿素を封入した固体を回収する。
VI.表面改質ナノ粒子
実施例22:キトサンで表面改質されたカルボン酸鉄(III)の配合
キトサンでナノ粒子を表面改質するとは、このポリマーの特異的な生物接着特性によりナノ粒子の様々な投与経路を想定することが可能になる。
本実施例において、表面改質を材料MIL−88Aの合成時に実施する。
a)表面改質ナノ粒子の調製
23mLのテフロン(登録商標)(登録商標)ボンベ内の5mL蒸留水中FeCl3
6H2O(1mmol、270mg;Alfa Aesar、98%)およびフマル酸(
1mmol、116mg;Acros、99%)の溶液に対して、7mgの表面改質剤、すなわち改質キトサンを23mLのテフロン(登録商標)(登録商標)ボンベ内の5mL蒸留水中FeCl3・6H2O(1mmol、270mg;Alfa Aesar、98%)およびフマル酸(1mmol、116mg;Acros、99%)の溶液に添加した。アルキル鎖(C12、ラウリル)で改質された2つのタイプのキトサンを使用した。一方は、2%のアルキル鎖(Q25)で改質され、他方は7%のアルキル鎖(Q100)で改質されたものである。
キトサンを完全に溶解させるために、溶液を45分間撹拌する。
テフロン(登録商標)ボンベを気密密封金属体に入れ、オーブンにて80℃で12時間加熱する。
得られた固体を、10分間にわたる5000rpmの遠心分離によって回収し、水およびアセトンで洗浄する。
b)分析および特徴付け
得られた粒径をMalvern Zetasizer Nanoシリーズ−Nano−ZS Z電位装置;Zen 3600モデル;シリアルNo.500180;UKで測定して、MIL−88A−Q25およびMIL−88A−Q100の粒径が2.64および0.91マイクロメートルであることを確認する。
毎ステップ0.04°および2sのステップサイズを有する3〜20°(2θ)のSi
emens D5000 X’Pent MDP回折計(λCu、κα1、κα2)を用いてX線回折(XRD)図を収集する。
図15に示されるXRD図は、得られた相が実際にMIL−88Aであることを確認することを可能にした。また、水滴を固体に添加することによって材料の柔軟性をXRDによって確認する。
材料に含められたキトサンの量を、図16に示される熱重量分析(TGA)によって推定する。使用した装置は、酸素流(100ml/分)下の2℃/分の加熱ランプを備えた25〜500℃のTGA2050TA装置である。それらの材料において、フマル酸の量は、(脱水製造物に対して)実際に約45℃である。材料MIL−88A−Q25およびMIL−88A−Q100は、脱水製造物に対してそれぞれ約16%および22%(重量)の量のキトサンを含む。
実施例23:フルオレセイン−ビオチンデキストランで表面改質されたカルボン酸鉄(III)の配合
本実施例において、使用するデキストランに最初にフルオレセインをグラフトし、次にビオチン(Dex B FITC 10000g/mol、アニオン性、リシン固定可能、分子プローブ、カタログD7178)。
デキストランの特性は、以下の通りである。デキストランフルオロセインおよびビオチン、分子量10000g/mol、アニオン性、リシン(「ミニ−エメラルド」)を結合することが可能、バッチ36031A、D7178、「分子プローブ」、インビトロ検出技術、フルオレセイン1モル/モル、ビオチン2モル/モル)。
a)表面改質ナノ粒子の調製
1,3,5−ベンゼントリカルボン酸鉄MIL−100粒子(粒径1.79マイクロメートル)をミリQ水で洗浄した。
5ミリグラムの粒子を0.5mlのミリQ水に分散させた。Dex B FITC(5mg/ml)の0.5mlの水溶液をこの懸濁液に添加した。それらを室温で24時間にわたってインキュベートし、次いで遠心分離(3800rpm、10分)によって回収した。上澄みを採取し、次いでペレット(粒子)を0.5mlのミリQ水に再懸濁させた。再び遠心分離した後、そのようにして過剰のDex B FITCが洗い流された粒子を、共焦点顕微鏡(励起488nm、放射515nm)で観察するためにスライド上に配置した。
b)分析および特徴付け
フルオレセインは、レーザ走査型共焦点顕微鏡を使用する粒子の検出を可能にするのに対して、疎水性であるビオチンは、
−粒子のコアへの結合
−ビオチン化配位子による官能化
を可能にする。
図17は、そのようにして得られた光学的断面を示す。ハロが粒子の周囲に認められ、デキストラン(唯一の蛍光化合物)が表面にのみ存在することを示唆している。具体的には、ポリマー長鎖は、粒子のコアに浸透することができなかった。
この表面改質法は、(活性成分を含む)粒子のコアを乱さず、合成後に実施されるため、様々な可能な塗料を提供するという利点を有する。
実施例24:ポリエチレングリコール(PEG)で表面改質されたカルボン酸鉄(III)の配合
肝臓におけるブスルファンの毒性を最小限に抑えるために、ナノ粒子が肝臓に誘導され
ることを防止する必要がある。最良の方法は、この器官におけるそれらの蓄積を低減するように、ハイブリッドナノ粒子にポリ(エチレングリコール)(PEG)型の親水性鎖を表面グラフトすることである。異なる媒体における、PEGで被覆された粒子または被覆されていない粒子のインビトロ分解が十分に調査されると考えられる。
PEG鎖は、材料の表面にグラフトするように異なる末端基を有することができる。したがって、PEGと粒子表面との相互作用を、異なるタイプのPEGを使用することによって改変することができる。
−PEG−NH2(α−t−ブチルオキシカルボニルアミノ−ω−アミノポリ(エチレン
グリコール)(PEG;Boc−NH−PEG−NH2、5000MW、Iris Biotech)
−PEG−COOH(ポリ(エチレングリコール)カルボン酸、Iris Biotech)
−以下のプロセスに従って実験室で合成されたPEG−PO4
エステル結合によるアミドのホスホネート基への縮合を介してホスホネート基をPEG−NH2に結合させる。ホスホネートのナトリウム塩を使用した。次に、Robert
A.Moss,Hugo Morales−Rojas,Saketh Vijayaraghavan and Jingzhi Tian,J.Am.Chem.Soc.,2004,126,(35)10923−10936による手順に従って、ホスホノギ酸トリメチル[CAS 31142−23−1]から出発してカップリングを実施した。
PEG−NH2(87.6mg、N=5400、Iris Biotech GmbH、PEG1069)を過剰のメチルホスホノギ酸二ナトリウム(50mg、M=183.99)で2mlのDMF(Fluka、97%)に溶解させたものを、撹拌しながら100℃で15時間加熱した。次に、溶媒を真空下で除去し、残渣を無水エタノールに懸濁させた。過剰のホスホノホルメートは不溶であるため、濾過によって除去され得る。濾液を濃縮して、製造物(85mg)を得る。31P NMR、(D2O)、d=1.3ppm。
PEG化を合成時または合成後に実施することができる。
a)合成時のPEG−COOHによる表面改質
MOFの合成を、モノメトキシPEG一酸(MeO―PEG−COOH)(Sigma、モル質量5000g/mol):CH3−O−(CH2−CH2−O)n−CH2−CH2−COOHの存在下でそのまま実施する。
モノメトキシPEG一酸を3に導入する;合成に使用された固体の全重量に対して8.5または13%。
調製プロセス:
酢酸鉄(1mmol、実施例1に記載されている合成Aに従って合成された)とムコン酸(1mmol;Fluka、97%)とを10mlのメタノール(Aldrich、99.9%)中で混合する。全体を23mlのテフロン(登録商標)体に導入する。次いで、PEG一酸を3の高さまで導入する;固体の全重量に対して8.5または13%。0.35mlの2M水酸化ナトリウムを任意選択で添加する。該溶液を20分間撹拌する。
テフロン(登録商標)ボンベを気密密封金属体に入れ、オーブンにて100℃で12時間加熱する。
得られた固体を、10分間にわたる5000rpmの遠心分離によって回収し、蒸留水およびアセトンで洗浄する。
カルボン酸鉄におけるPEGのアッセイを以下のように実施する。付随するPEGを放出させるように、粒子を酸性媒体(5MのHCl)で完全に分解させる。得られた溶液を中和し(pH7)、ナノ粒子を水酸化ナトリウムで破壊した後、B.Baleux et
al.C.R.Acad.Sciences Paris,series C,274(1972) pages 1617−1620[33]に記載されている方法に従って、(500nmの波長において)UV分光光度法によってPEGのアッセイを実施した。主な結果を以下の表にまとめる。
以下のことがわかる。
−水酸化ナトリウムを添加すると、ナノ粒子の粒径を小さくすることが可能である。
−ナノ粒子におけるPEGの質量%は、合成開始時に導入されたPEGの質量%より大きい。
−特に、13重量%のPEGを含む約230nmの粒子を得ることが可能であり、それは、医療用途に有利である(「隠匿性」)。
具体的には、R.Gref et al.Colloids and Surfaces B:Biointerfaces,Volume 18,Issues 3−4,October 2000,pages301−313[34]に記載されているように一般には10質量%未満のPEGを含む文献に記載の「隠匿性」ナノ粒子である。
b)合成後の方法を介するPEGによるMIL−100ナノ粒子の表面改質
硝酸鉄六水和物(Aldrich、97%)、3.38gの1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(1,3,5−BTC、Aldrich、99%)および40gの蒸留水の溶液から出発して、マイクロ波法(CEMマイクロ波)を介して180℃で30分間にわたってMIL−100ナノ粒子を合成する(電力600W)。光散乱によって測定された粒径は400nmである。
PEG化MIL−100ナノ粒子を、既に記載した粒子の表面改質によって得る。30mgのMIL−100を30℃で3時間にわたって撹拌しながら10mgのアミノ末端ポリエチレングリコール(PEG−NH2 5000g/mol、Aldrich、97%
)の3mlの水溶液に懸濁させる。これらのナノ粒子を遠心分離(10000rpm/10分)によって回収し、蒸留水で洗浄する。
表面PEGの量を、500nmにおいて分光光度法により選択的に測定される、PEG上にてヨウ素−ヨウ素で染色された錯体の形成に基づくBaleuxおよびChampertierの方法によって測定する。PEGの量は、19質量%であり、PEG化後の粒径は880nmまで増加する。他方で、走査型電子顕微鏡検査(SEM)によるPEG化および非PEG化ナノ粒子の観察により、いずれの場合も150nmのナノ粒子が示される。この差異は、微粒子凝集現象によるものである。
実施例25:ポリエチレングリコール(PEG)で表面改質されたカルボン酸鉄(III)の超音波法を介する合成
PEGで表面改質された固体MIL−88Aナノ粒子の超音波法を介する合成は、実施例8の手順に基づくものであり、異なる反応時間(30、60、90および120分)で実施された。
以下に示す実施例において、2つの手順を実施した。
a)第1の手順において、PEGを合成の終了の15分前に添加する。
b)第2の手順において、PEGを合成開始時(t=0分)に添加する。
以下の合成の各々について、塩化鉄(III)(2.7mg/ml)およびフマル酸(1.16mg/ml)の水溶液を実施例8に記載されているように調製する(表10)。a)合成1:
5mlの塩化鉄(III)溶液(2.7mg/ml)および5mlのフマル酸溶液(1.16mg/ml)を8つの20mlフラスコの各々に添加する。
−4つのフラスコは、反応を4つの合成時間、すなわち30、60、90および120分間にわたって実施する対照として機能する。
−他の4つのフラスコにおいて、5mgのPEGを、30、60、90および120分間継続する合成の各々の終了の15分前に添加する(合成の終了は、超音波処理浴からの除去に対応する)。
8つのフラスコを、対応する時間t(30、60、90および120分間)にわたって0℃の音波処理浴内に同時に配置する。
合成後に、動的光散乱装置(DLS、Nanosizer)を使用して光散乱によって粒径を測定するために、0.1mlの容量の溶液を各フラスコから採取する。次いで、形成された固体から上澄みを分離するために、溶液の残りを0℃にて10000rpmで15分間にわたって遠心分離する。パスツールピペットを使用して上澄みを除去し、回収したペレットを室温で通気室下に配置する。
時間(t(分))の関数としての粒径(P(nm))の変化を図29に示す。合成の終了の15分前のPEGの存在は、PEG層(5000Da)の厚さに起因し得る約5nmの粒径の増加をもたらす。
b)合成2:
5mlの塩化鉄(III)溶液(2.7mg/ml)および5mlのフマル酸溶液(1.16mg/ml)を8つの20mlフラスコの各々に添加する。
−4つのフラスコは、反応を4つの合成時間、すなわち30、60、90および120分間にわたって実施する対照として機能する。
−他の4つのフラスコにおいて、5mgのPEGを、30、60、90および120分間継続する合成の各々の開始時に添加する。
8つのフラスコを、対応する時間t(30、60、90および120分間)にわたって
0℃の音波処理浴内に同時に配置する。
合成後に、動的光散乱装置(DLS、Nanosizer)を使用して光散乱によって粒径を測定するように、0.1mlの容量の溶液を各フラスコから採取する。次いで、形成された固体から上澄みを分離するように、溶液の残りを0℃にて10000rpmで15分間にわたって遠心分離する。パスツールピペットを使用して上澄みを除去し、回収したペレットを室温で通気室に配置する。
時間(t(分))の関数としての粒径(P(nm))の変化を図30に示す。この図は、最初の合成時間においてPEGを添加した後に有意な変化がないことを示す。
最初の合成時間におけるPEGの存在または不在にかかわらず、合成時間とともに強度が高くなるMIL−88A相に特有の11°の肩をXRDによって確認することが可能である。
c)試験の結論
この試験の目的は、粒子を静脈内投与に適合させることができるように200nm未満でなければならない粒径を最適化することであった。得られた粒径は、(ほとんどの固体におけるMIL−88A型の結晶構造の確認により)200nm未満であるため、得られた結果は良好である。また、収率は、ソルボサーマル法またはマイクロ波法を介して得られた収率より低いが、それらを許容可能と見なすことができる(以下の表)。
粒径は、合成時間に応じて大きくなることを確認することが可能である。
同様に、t=0分におけるPEG化は、t=f−15分におけるPEG化より小さい粒径をもたらし、それは、結晶成長がより早く停止することに起因する。
実施例26:ポリエチレングリコール(PEG)および葉酸(FA)で表面改質されたMOF固体の配合
葉酸:
a)合成1:ナノ粒子の配合後の表面領域の改質
PEGによる表面改質:
(100℃/終夜の条件で予め脱水された)100mgのMIL−100、MIL−8
8、MIL−53またはMIL−101ナノ粒子を音波処理によって、無水トルエン中17.9mMの2−(メトキシ(ポリエチレンオキシ)−プロピル)トリメトキシシランを含む100mlの溶液に分散させる。該混合物を60℃で4時間にわたって不活性ガス(窒素)流下で超音波処理する。PEGで表面改質されたナノ粒子を含む得られたコロイド懸濁液をエタノールで2回、そして20mMクエン酸ナトリウム溶液(pH8.0)で2回洗浄し、最後に水に再懸濁させる。
PEGおよびFAによる表面の改質:
FAを二官能性スペーサ、すなわちKohler N.et al.,J Am Chem Soc 2004;126:7206−7211の文献に記載されている方法に従って合成されたシラン−PEG−トリフルオロエチルエステル(TFEE)によってナノ粒子に結合させた。
2−メトキシ(ポリエチレンオキシ)−プロピルトリメトキシシランの代わりにシラン−PEG−TFEEを使用して、上記と同じ方法に従って100mgのナノ粒子をPEG−TFEEで被覆する。
PEG−TFEEで被覆された、得られたナノ粒子を2回洗浄し、次いで100mlの乾燥トルエンに再懸濁させる。1mlのエチレンジアミン(Sigma)を窒素気流下に維持されたナノ粒子に添加することによって、一級アミンをPEG鎖の末端基にグラフトした。該混合物を超音波処理した(4時間、60℃)。アミンで被覆された、得られたナノ粒子をエタノールで3回、そしてジメチルスルホキシド(DMSO)で3回洗浄した。最後にナノ粒子を50mlの無水DMSOに再懸濁させた。50mlのFA溶液(DMSO中23mMのFA)を等モル量のジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(Sigma)および10μLのピリジンとともに添加することによって、FAをPEG鎖のアミン末端基にカップリングした。該混合物を光から保護し、二次元撹拌(180rpm)しながら終夜反応させた。PEGHおよびFA(NP−PEG−FA)と結合したナノ粒子をエタノールで2回、そして20mmクエン酸ナトリウム溶液(pH8.0)で2回洗浄し、最後に同じクエン酸ナトリウム溶液に再懸濁させた。
b)合成2:ナノ粒子の合成時の表面改質
MOF固体の表面改質を合成時に行うこともできる。
以下に示す実施例において、葉酸(FA)が予めグラフトされたキトサンを用いて表面改質を実施する。
PEGスペーサを介して葉酸がグラフトされたキトサンの合成の例が、Peggy Chan et al.,Biomaterials,Volume 28,Issue 3,2007,pp.540−549に記載されている。
以下の試薬を使用して、この実施例を実施した。
−キトサン(255kDaのモル質量Mn、粘度:1%酢酸中200〜800cps、Sigma−Aldrich社が販売)
−N−ヒドロキシルスクシンイミド−PEG−マレイミド(NHS−PEG−MAL、Mn3400Da、Nektar、NOF Corporation社、Tokyo,Japanが販売)
−モノメトキシ−PEGのスクシンイミジルエステル(mPEG−SPA、Mn5000Da、Nektar、NOF Corporation社、Tokyo,Japanが販売)。
Wang L.S.(Thesis,National University of
Singapore,Singapore,2001)に記載されているプロセスに従
って、キトサンを予め脱アセチル化して、82%のアセチル化度(1H−NMRによって
測定)を得る。
100mgのキトサンを50mlの酢酸溶液(20%)に溶解させた。水酸化ナトリウムを添加することによって該溶液のpHを6に調整し、mPEG−SPAを反応混合物に導入した。該混合物を室温で24時間にわたって撹拌しながら反応させた。カットオフ閾値が12000Daメンブレン(Spectrum Laboratories,USA)を使用して、得られた生成物を脱イオン水に対して24時間透析し、最後に凍結乾燥した。
PEGおよびFAがグラフトされたキトサンを合成するために、J.H.Van Steenis et al.,J Control Release 87(2003),pp.167−176に記載されている方法に従ってFAのN−ヒドロキシスクシンイミドエステルを調製した。
簡潔に述べると、1gのFAを無水DMSO(40ml)とトリエチルアミン(TEA、0.5ml)との混合物に添加した。該混合物を無水条件下で遮光しながら終夜撹拌した。他の試薬、すなわちジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、0.5g)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS、0.52g)を添加し、該混合物を遮光しながら無水条件下で18時間にわたって反応させた。沈殿した副産物のジシクロヘキシル尿素(DCU)を濾過によって除去した。DMSOおよびTFAを真空下で蒸発除去した。反応生成物を真空下で乾燥させ、次いでDMSOとTEAの1.5mlの2/1(v/v)混合物に溶解させた。等モル量の2−アミノエタンチオール(Wako)を添加し、反応を無水条件下で終夜継続させた。そのように、チオール基を葉酸に導入することができ、得られた生成物は、FA−SHとして既知である。
100mgのキトサンを50mlの酢酸溶液(20%)に溶解させる。水酸化ナトリウムを添加することによって該溶液のpHを6に調整し、100mgのNHS−PEG−Malを反応混合物に導入する。該混合物を室温で3時間にわたって撹拌しながら反応させ、次いでpHを7に調整する。該混合物を無水条件下で終夜反応させる。既に合成されたFA−SHを徐々に添加し、水酸化ナトリウムでpHを6.5〜7.5に調整した。
葉酸受容体を得るのに有利である、PEGスペーサアームを介してキトサンにカップリングされたFAを有するFA−PEG chiとして既知の得られた結合体(文献に記載、例えば、A.Gabizon,H.Shmeeda,A.T.Horowitz and S.Zalipsky,Tumor cell targeting of liposome−entrapped drugs with phospholipids−anchored folic acid−PEG conjugates,Adv Drug Deliv Rev 56(2004),pp.1177−1192参照)。
反応に使用されるPEG/キトサン質量比を変化させることによって置換度を調整することができる。カットオフ閾値が12000Daのメンブレン(Spectrum Laboratories,USA)を使用して、このポリマーを脱イオン水に対して48時間にわたって透析し、最後に凍結乾燥した。
c)合成3:
ハイブリッド固体を、ビオチングラフトデキストランなどの多糖類の吸着によって表面改質することができる。
したがって、ビオチンがグラフトされたデキストランの代わりに、(以上に引用されている文献に記載されているように合成された)葉酸グラフトキトサンを吸着させ、任意選
択で必要であれば、ナノ粒子の表面により良好に接着させるように、コレステロールまたは脂肪族鎖単位などの他の疎水性化合物もグラフトさせることを想定することができる。
他のFAグラフト多糖類の吸着を介して表面官能化を行うこともできる。
d)合成4
ハイブリッド固体をそれらの合成時にPEGで表面改質することができる。この合成に使用されたモノメトキシPEG一酸を、鎖末端がブロックされた反応性官能基を含むPEG一酸、例えば以下の商品と取り換えることを提案する。
Boc−PEG−カルボネートNHS、MW 5000、Boc=tert−ブトキシカルボニル
リファレンスSUNBRIGHT(登録商標)BO−050TS、NOF Corporation
反応後、MeO−PEG−COOHとBoc−PEG−カルボネートNHSの混合物(質量比1/0.05〜1/0.5)をMeO−PEG−COOHの代わりに使用することを除いては、実施例に示される通りに、トリフルオロ酢酸(TFA)を添加することによって脱保護を行う。
可能なプロトコル:
0.6mlのTFAを2mlの水への300mgのナノ粒子の懸濁液に添加する。該混合物を、磁気攪拌機を用いて室温で1時間反応させる。粒子を遠心分離によって単離し、二重蒸留水で3回洗浄する。
表面における反応性基を、例えば合成AのようにFAなどの配位子で官能化する。
e)ナノ粒子の特徴付け
ナノ粒子に効果的にカップリングされた葉酸の量を、それらを酸性媒体で分解し、PH7に中和し、次いでジクロロメタン、DMSOまたはこれらの2つの溶媒の混合物などの好適な溶媒に再溶解させた後に測定することができる。次いで、UV吸収量を測定することによって葉酸を定量することができる(358nm、葉酸のモル吸光係数εは15.76M-1・cm-1である)。
葉酸が実際にナノ粒子の表面に存在することを確認するために、プラスモン表面共鳴(BIAcore)などの技法を用いることができる。葉酸結合タンパク質を活性化デキストランの薄膜上の検出器の表面に固定する(製造元BIAcoreが推奨する標準的な手順)。この支持体に効果的に結合されたナノ粒子の量を、葉酸で被覆されていないナノ粒子の量と比較して評価する。
実施例27:ガドリニウムおよび鉄に基づく混合MOF固体の配合
2つの合成条件が可能である:
合成1
0.028g(0.5mmol)の金属鉄粉Fe°(Riedel−de Han(注:原文ではイーウムラウト)、99%)、0.225gの硝酸ガドリニウム(III)六水和物(0.5mmol、Aldrich、99.9%)および0.140gの1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(0.666mol、Aldrich、95%)を10mlの脱イオン水に分散させ、全体を、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン(登録商標)中に180°にて24時間にわたって放置する。次いで、固体を濾別し、水、次いでエタノールで洗浄する。
合成2
0.065g(トリマー毎に鉄1つ当たり約0.5mmol)の酢酸鉄(III)(実施例1に記載されている合成に従って調製された)、0.225gの硝酸ガドリニウム(III)六水和物(0.5mmol、Aldrich、99.9%)および0.140g
の1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(0.666mol、Aldrich、95%)を10mlの脱イオン水(またはメタノールまたはエタノールまたはジメチルホルムアミド)に分散させ、全体を、Paar金属ボンベに入れられた23mlのテフロン(登録商標)体中に150°にて12時間にわたって放置する。次いで、固体を濾別し、水、次いでエタノールで洗浄する。
参考文献一覧

Claims (27)

  1. 以下の式(I)
    Femklp
    を有する一連の三次元の単位を含む等網状多孔質結晶性MOFナノ粒子。
    (式中、
    −Feは、金属イオンFe3+またはFe2+を表し;
    −mは、1〜4であり;
    −kは、0〜4であり;
    −lは、0〜4であり;
    −pは、1〜4であり;
    −Xは、OH-、Cl-、F-、I-、Br-、SO4 2-、NO3 -、ClO4 -、PF6 -、BF3 -、R1−(COO)n -、R1−(SO3n -、R1−(PO3n -からなる群から選択される
    配位子であり、R1は、水素原子、任意選択で置換された直鎖状または分枝状C1〜C12アルキルであり、n=1〜4であり;
    −Lは、q個のカルボキシレート基
    を有するR基を含むスペーサ配位子であり、
    ・qは、1、2、3、4、5または6であり;
    は、R基へのカルボキシレートの結合の点を表し;
    ・#は、金属イオンへのカルボキシレートの結合の可能な点を表し;
    ・Rは、
    (i)C1〜12アルキル、C2〜12アルケンまたはC2〜12アルキン基;
    (ii)6〜50個の炭素原子を含む縮合または非縮合単環式または多環式アリール基;(iii)1〜50個の炭素原子を含む縮合または非縮合単環式または多環式ヘテロアリール;
    (iv)フェロセン、ポルフィリン、フタロシアニンからなる群から選択される金属元素およびシッフ塩基RX1X2−C=N−RX3を含む有機基を表し、
    X1およびRX2は、独立して、水素原子、直鎖状、分枝状または環式で、任意選択で置換されたC1〜12アルキル、C2〜12アルケンまたはC2〜12アルキン基、あるいは任意選
    択で6〜50個の炭素原子を含む、分枝状の、かつ/または置換された単環式または多環式アリールであり;
    X3は、直鎖状、分枝状または環式で、任意選択で置換されたC1〜12アルキル、C2〜12アルケンまたはC2〜12アルキン基、あるいは任意選択で6〜50個の炭素原子を含む
    分枝状の、かつ/または置換された単環式または多環式アリールであり;
    R基は、C1〜12アルキル;C2〜12アルケン;C2〜12アルキン;C3〜10シクロアルキル;C1〜10ヘテロアルキル;C1〜10ハロアルキル;C6〜10アリール;C3〜10ヘテロアリール;C5〜20複素環;C1〜10アルキルC6〜10アリール;C1〜10アルキルC3〜10ヘテ
    ロアリール;C1〜10アルコキシ;C6〜10アリールオキシ;C3〜10ヘテロアルコキシ;
    3〜10ヘテロアリールオキシ;C1〜10アルキルチオ;C6〜10アリールチオ;C1〜10ヘテロアルキルチオ;C3〜10ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;−NO2;−CN;−CF3;−CH2CF3;−CHCl2;−OH;−CH2OH;−CH2CH2OH;−
    NH2;−CH2NH2;−NHCOH;−COOH;−CONH2;−SO3H;−CH2SO2CH3;−PO32;−B(ORG12;または官能基−GRG1からなる群から独立し
    て選択される1つまたは複数の基R2で任意選択で置換されており、
    Gは、−O−、−S−、−NRG2−、−C(=O)−、−S(=O)−、−SO2
    、−C(=O)O−、−C(=O)NRG2−、−OC(=O)−、NRG2C(=O)−、−OC(=O)O−、−OC(=O)NRG2−、−NRG2C(=O)O−、−NRG2C(=O)NRG2−、−C(=S)−、−C(=S)S−、−SC(=S)−、−SC(=S)S−、−C(=NRG2)−、−C(=NRG2)O−、−C(=NRG2)NRG3−、−OC(=NRG2)−、NRG2C(=NRG3)−、−NRG2SO2−、−NRG2SO2NRG3−、−NRG2C(=S)−、SC(=S)NRG2−、−NRG2C(=S)S−、−NRG2C(=S)NRG2−、−SC(=NRG2)−、−C(=S)NRG2−、−OC(=S)NRG2−、−NRG2C(=S)O−、−SC(=O)NRG2−、−NRG2C(=O)S−、−C(=O)S−、−SC(=O)−、−SC(=O)S−、−C(=S)O−、−OC(=S)−、−OC(=S)O−または−SO2NRG2−であり、
    G1、RG2およびRG3の各存在は、RG1の他の存在と無関係に、水素原子;ハロゲン原子;あるいは直鎖状、分枝状または環式で、任意選択で置換されたC1〜12アルキル、
    1〜12ヘテロアルキル、C2〜10アルケンまたはC2〜10アルキン基;あるいはC6〜10アリール、C3〜10ヘテロアリール、C5〜10複素環、C1〜10アルキルC6〜10アリールまたはC1〜10アルキルC3〜10ヘテロアリール基であり、アリール、ヘテロアリールまたは複素環式基は、任意選択で置換されており;あるいはGが−NRG2−を表す場合は、RG1およびRG2は、それらが結合した窒素原子と一緒になって、任意選択で置換された複素環またはヘテロアリールを形成する。)
  2. 配位子Lは、

    からなる群から選択されるジ、トリ、テトラまたはヘキサカルボキシレート配位子である、請求項1に記載のナノ粒子。
    (式中、
    1は、OまたはSを表し、
    sは、1〜4の整数を表し、
    tの各存在は、独立して、1〜4の整数を表し、
    uは、1〜7の整数を表し、
    L1およびRL2は、独立して、H、ハロゲンまたはC1〜C6アルキルを表し、
    L3の各存在は、独立して、H、ハロゲン、OH、NH2、NO2またはC1〜C6アルキ
    ルを表す。)
  3. 配位子Lは、C22(CO2 -2(フマル酸)、C24(CO2 -2(スクシン酸)、C36(CO2 -2(グルタル酸)、C44(CO2 -2(ムコン酸)、C48(CO2 -2
    (アジピン酸)、C714(CO2−)2(アゼライン酸)、C53S(CO2−)2(2,
    5−チオフェンジカルボン酸)、C64(CO2 -2(テレフタル酸)、C622(CO2 -2(2,5−ピラジンジカルボン酸)、C106(CO2 -2(ナフタレン−2,6−
    ジカルボン酸)、C128(CO2 -2(ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸)、C1282(CO2 -2(アゾベンゼンジカルボン酸)、C63(CO2 -3(ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸)、C63(CO2 -3(ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸
    )、C2415(CO2 -3(ベンゼン−1,3,5−トリ安息香酸)、C62(CO2 -4(ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸)、C104(CO2 -4(ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸)、C104(CO2 -4(ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸)、C126(CO2 -4(ビフェニル−3,5,3’,5’−テトラカルボン酸)、および2−アミノテレフタル酸、2−ニトロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−ブロモテレフタル酸、2,5−ジヒドロキソテレフタル酸、テトラフルオロテレフタル酸、テトラメチルテレフタル酸、ジメチル−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、テトラメチル−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、ジカルボキシ−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,5−ピラジンジカルボン酸、2,5−ジペルフルオロテレフタル酸、アゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸、3,3’−ジクロロアゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸、3,3’−ジヒドロキソアゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸、3,3’−ジペルフルオロアゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸、3,5,3’,5’−アゾベンゼンテトラカルボン酸、2,5−ジメチルテトラフタレート、ペルフルオロスクシン酸、ペルフルオロムコン酸、ペルフルオログルタル酸、3,5,3’,5’−ペルフルオロ−4,4’−アゾベンゼンジカルボン酸、3,3’−ジペルフルオロアゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸からなる群から選択される修飾類似体からなる群から選択されるジ、トリまたはテトラカルボン酸配位子である、請求項1または2に記載のナノ粒子。
  4. 配位子Lは、テトラフルオロテレフタル酸、ペルフルオロスクシン酸、ペルフルオロムコン酸、ペルフルオログルタル酸、2,5−ジペルフルオロテレフタル酸、3,6−ペルフルオロ−1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、3,5,3’、5’−ペルフルオロ−4,4’−アゾベンゼンジカルボン酸または3,3’−ジペルフルオロアゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸からなる群から選択されるフルオロ配位子である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のナノ粒子。
  5. 配位子Lは、C714(CO2 -2(アゼライン酸)、アミノサリチレート、カルボキシレート基を含むポルフィリン、アミノ酸(Lys、Arg、Asp、Cys、Glu、Glnなど)、カルボキシレート基を含むアゾベンゼン、ジベンゾフラン−4,6−ジカルボン酸、ジピコリン酸、グルタミン酸、フマル酸、スクシン酸、スベリン酸、アジピン酸およびニコチン酸からなる群から選択される生物活性配位子である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のナノ粒子。
  6. 配位子Xは、OH-、Cl-、F-、CH3−COO-、RF6 -およびClO4 -からなる群
    から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載のナノ粒子。
  7. 配位子Xの少なくとも1つの存在は18-である、1〜5のいずれか一項に記載のナノ
    粒子。
  8. 医薬活性成分、化粧用途の化合物またはマーカからなる群から選択される少なくとも1つの分子をその孔またはその表面に含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のナノ粒子。
  9. タキソテレ、ブスルファン、アジドチミジン(AZT)、アジドチミジンホスフェート(AZTP)、シドホビル、ゲムシタビン、タモキシフェンからなる群から選択される少なくとも1つの医薬活性成分をその孔またはその表面に含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載のナノ粒子。
  10. ローダミン、フルオレセイン、ルシフェラーゼ、ピレンおよび誘導体ならびにアミノピロリジノ−7−ニトロベンゾフランからなる群から選択される少なくとも1つの蛍光分子をその孔またはその表面に含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載のナノ粒子。
  11. 少なくとも1つの医薬活性成分を乾燥固体1重量%〜200重量%の充填能力でその孔またはその表面に含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載のナノ粒子。
  12. ベンゾフェノン、ビスナジンおよびサリチル酸からなる群から選択される少なくとも1つの化粧用途の化合物をその孔またはその表面に含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載のナノ粒子。
  13. 医療画像マーカ、造影剤、トレーサ、放射活性マーカ、蛍光マーカおよびリン光マーカからなる群から選択される少なくとも1つのマーカをその孔またはその表面に含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載のナノ粒子。
  14. 前記マーカは、蛍光化合物、酸化鉄、ガドリニウム錯体、および構造に直接存在するガドリニウムイオンからなる群から選択される、請求項1〜13のいずれか一項に記載のナノ粒子。
  15. オリゴ糖、多糖、グリコサミノグリカン、ポリマー、界面活性剤、ビタミン、補酵素、抗体または抗体断片、アミノ酸およびペプチドからなる群から選択される少なくとも1つの有機表面処理剤をその表面にさらに含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載のナノ粒子。
  16. 前記有機表面処理剤は、オリゴ糖、多糖、キトサン、デキストラン、ヒアルロン酸、ヘパリン、フコイダン、アルギネート、ペクチン、アミロース、シクロデキストリン、デンプン、セルロース、キシラン、ポロエチレングリコール(PEG)、プルロニック、ポリビニルアルコールおよびポリエチレンイミンからなる群から選択される、請求項15に記載のナノ粒子。
  17. 前記有機表面処理剤は、ビオチン、葉酸、リポ酸、アスコルビン酸、抗体または抗体断片、ペプチド、タンパク質からなる群から選択されるターゲティング分子である、請求項15または16に記載のナノ粒子。
  18. 請求項1〜17のいずれか一項に記載のナノ粒子を調製する方法であって、前記ナノ粒子を得るように、
    −鉄金属、鉄(III)塩、鉄(II)塩、または金属イオンFe3+を含む配位錯体の形の少なくとも1つの金属無機前駆体を含む少なくとも1つの溶液と、
    −q個の基−C(=O)−R3
    (ただし、
    ・qおよびRは、請求項1に記載されている通りであり;
    は、前記基のR基への結合の点を表し;
    ・R3は、−OH基、−OY基(Yはアルカリ金属カチオンを表す)、ハロゲン、または
    −OR4基、−O−C(=O)R4もしくは−NR44’(R4およびR4’は、同一であるか、または異なっており、C1〜12アルキル基を表す))
    を有するR基を含む少なくとも1つの配位子L’と、を極性溶媒中で混合することにある少なくとも1つの反応工程(i)を含む方法。
  19. 使用される配位子L’は、

    からなる群から選択されるジ、トリ、テトラまたはヘキサデンテート配位子である、請求項18に記載のナノ粒子を調製する方法。
    (式中、
    3は、請求項18に記載されている通りであり、
    1は、OまたはSを表し、
    sは、1〜4の整数を表し、
    tの各存在は、独立して、1〜4の整数を表し、
    uは、1〜7の整数を表し、
    L1およびRL2は、独立して、H、ハロゲンまたはC1〜C6アルキルを表し、
    L3の各存在は、独立して、H、ハロゲン、OH、NH2、NO2またはC1〜C6アルキ
    ルを表す。)
  20. 使用される配位子L’は、C22(CO2H)2(フマル酸)、C24(CO2H)2(コハク酸)、C36(CO2H)2(グルタル酸)、C44(CO2H)2(ムコン酸)、C4
    8(CO2H)2(アジピン酸)、C714(CO2H)2(アゼライン酸)、C53S(CO2H)2(2,5−チオフェンジカルボン酸)、C64(CO2H)2(テレフタル酸)、C622(CO2H)2(2,5−ピラジンジカルボン酸)、C106(CO2H)2(ナフタレン−2,6−ジカルボン酸)、C128(CO2H)2(ビフェニル−4,4’−ジカ
    ルボン酸)、C1282(CO2H)2(アゾベンゼンジカルボン酸)、C63(CO2
    3(ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸)、C63(CO2H)3(ベンゼン−1,
    3,5−トリカルボン酸)、C2415(CO2H)3(ベンゼン−1,3,5−トリ安息香酸)、C62(CO2H)4(ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸)、C104
    (CO2H)4(ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸)、C104(CO2H)4(ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸)、C126(CO2H)4(ビフェニル−3,5,3’,5’−テトラカルボン酸)、および2−アミノテレフタル酸、2−ニトロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−ブロモテレフタル酸、2,5−ジヒドロオキソテレフタル酸、テトラフルオロテレフタル酸、2,5−ジカルボキシテレフタル酸、ジメチル−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、テトラメチル−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、ジカルボキシ−4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,5−ピラジンジカルボン酸、2,5−ジペルフルオロテレフタル酸、アゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸、3,3’−ジクロロアゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸、3,3’−ジヒドロオキソアゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸、3,3’−ジペルフルオロアゾベンゼン−4,4’−ジカルボン酸、3,5,3’,5’−アゾベンゼンテトラカルボン酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、およびペルフルオログルタル酸からなる群から選択される修飾類似体からなる群から選択されるジ、トリまたはテトラカルボン酸を表す、請求項18または19に記載のナノ粒子を調製する方法。
  21. 反応工程(i)は、以下の反応条件の少なくとも1つを用いて実施される請求項18〜20のいずれか一項に記載のナノ粒子を調製する方法。
    (a)0℃〜220℃の反応温度;
    (b)0〜1000rpmの撹拌速度;
    (c)1分〜96時間の反応時間;
    (d)0〜7のpH;
    (e)溶媒、前駆体、配位子またはそれらの混合物に少なくとも1つの共溶媒を添加し、前記共溶媒は、酢酸、ギ酸および安息香酸からなる群から選択される;
    (f)前記溶媒は、水、アルコールRS−OH(RSは、直鎖状または分枝状C1〜C6アルキル基である)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジエチルホルムアミド、クロロホルム、シクロヘキサン、アセトン、シアノベンゼン、ジクロロメタン、ニトロベンゼン、エチレングリコール、ジメチルアセトアミド、または混和性もしくは不混和性であってよいこれらの溶媒の混合物からなる群から選択される;
    (g)超臨界媒体中;
    (h)マイクロ波および超音波下のうちの少なくとも一方;
    (i)電気化学的電気分解条件下;
    (j)ロールミルを使用する条件下;
    (k)ガス流中。
  22. 医薬活性成分、化粧用途の化合物、およびマーカのうちの少なくとも一つであってよい少なくとも1つの対象分子を前記ナノ粒子に導入する工程(ii)をさらに含む、請求項18〜21のいずれか一項に記載のナノ粒子を調製する方法。
  23. オリゴ糖、多糖、グリコサミノグリカン、ポリマー、界面活性剤、ビタミン、補酵素、
    抗体または抗体断片、アミノ酸およびペプチドからなる群から選択される少なくとも1つの有機表面処理剤を前記ナノ粒子に結合させる工程(iii)をさらに含む、請求項18〜22のいずれか一項に記載のナノ粒子を調製する方法。
  24. 請求項18〜23のいずれか一項に記載の方法によって得られるナノ粒子。
  25. 医療画像に使用できるマーカを製造するための請求項1〜17のいずれか一項に記載のナノ粒子の使用。
  26. 医薬品を製造するための、少なくとも1つの医薬活性成分をナノ粒子自身の孔またはナノ粒子自身の表面に含む、請求項9〜17のいずれか一項に記載のナノ粒子の使用。
  27. 陽電子射出断層撮影に使用できるマーカを製造するための請求項4、7および11のいずれか一項に記載のナノ粒子の使用。
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