JP7021232B2 - Mofカルボキシレートナノ粒子の合成のための低温法 - Google Patents

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Description

優先権
本出願は、その全内容が参照により本明細書に援用される、2017年2月2日に出願された欧州特許出願公開第17305119.4号の優先権を主張するものである。
発明の分野
本発明は、低い多分散指数を有する多孔質結晶性Fe-、Al-、又はTi-ベースMOFカルボキシレート材料のナノ粒子を製造するための低温法、及びその使用、特に、不均一系触媒的化学反応を行うための触媒担体として、又は気体貯蔵/分離/精製材料として、又は活性要素(医薬、化粧品)を封入するためのマトリックスとしてのその使用に関する。
金属有機格子又は金属有機構造体(MOF)は、金属イオン及びその金属イオンに配位した有機リガンドを含む無機-有機ハイブリッド骨格を有する多孔質配位ポリマーである。これらの材料は、一次元、二次元、又は三次元格子に組織化され、格子中では、金属種は、スペーサーリガンドによって周期的に一緒に結合されている。これらの固体の骨格は、無機部分及び有機部分の両方を有し、そのキャビティは、主鎖を劣化させることなく容易に抽出される水分子によって又は有機分子によって占有され得る。
ある特定のハイブリッド固体の別の特徴は、無機相のみの場合に生ずるよりも高い格子のフレキシビリティの存在である。これは、一般的に、フレキシブルな有機リガンド(脂肪族鎖)の使用、又は細孔内に封入された分子の脱離と関連した細孔の収縮に起因する。
これらの材料は、結晶構造を呈し、通常は多孔質であり、気体貯蔵、液体の吸着、液体又は気体の分離、触媒、医薬の制御放出などの多くの工業的用途の可能性を提供する。
しかし、MOFナノ粒子は、容易に凝集するその性質及び大サイズ(ミクロン)の結晶格子へと組織化するこれらの材料の傾向を考えると、100nm未満のナノ粒子の場合は特に、合成が困難である。加えて、現行の合成方法は、ある特定の用途の場合に好ましくない粒子サイズの不均一性の問題(高い多分散性)に対して克服も充分に対処もしておらず、又はMOF材料を製造するための従来の方法の反応条件に対して感受性が高い/脆弱である材料に対して適合されてもいない。
したがって、低い多分散指数を有するMOFナノ粒子の製造を可能とする新規な合成方法、特に穏和な条件下での合成方法の開発が求められている。
図1は、様々な反応時間の後(下から上へ:1時間、2時間、4時間、6時間、24時間、及び48時間)の反応混合物から採取した、実施例1で得られたMIL-100(Fe)ナノ粒子サンプルの粉末X線回折(PXRD)パターンを示す。 図2Aは、実施例1で得られたMIL-100(Fe)ナノ粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。 図2Bは、実施例1で得られたMIL-100(Fe)ナノ粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。 図2Cは、実施例1で得られたMIL-100(Fe)ナノ粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。 図3は、実施例1で得られたMIL-100(Fe)ナノ粒子の粒子分布を表す、Image Jソフトウェアを用いたヒストグラムを示す。平均粒子サイズは、84nm±13である。 図4は、実施例1で得られたMIL-100(Fe)ナノ粒子に対して行った3つの動的光散乱(DLS)測定を示し、主ピークの平均流体力学径は242nm±72であり、多分散指数は0.201.pである。 図5は、酸素雰囲気下で行った(5℃毎分の昇温速度)、実施例1で得られたMIL-100(Fe)ナノ粒子の熱重量分析プロットを示す。 図6は、実施例1で得られたMIL-100(Fe)ナノ粒子から得たNの吸着(黒丸)及び脱着(ひし形)等温線を示す(一次真空下、150℃で15時間脱気)。得られた表面積は、1330m-1である(BETモデルを用いて評価)。 図7は、様々な反応時間の後(1時間、2時間、4時間、6時間、24時間、及び48時間)の反応混合物から採取した、実施例2で得られたMIL-100(Fe)ナノ粒子サンプルの粉末X線回折(PXRD)パターンを示す。 図8Aは、実施例2で得られたMIL-100(Fe)ナノ粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。 図8Bは、実施例2で得られたMIL-100(Fe)ナノ粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。 図9は、実施例2で得られたMIL-100(Fe)ナノ粒子の粒子分布を表す、Image Jソフトウェアを用いたヒストグラムを示す。平均粒子サイズは、92nm±39である。 図10は、実施例2で得られたMIL-100(Fe)ナノ粒子に対して行った3つのDLS測定を示し、主ピークの平均流体力学径は162nm±57であり、多分散指数は0.269である。 図11は、酸素雰囲気下で行った(5℃毎分の昇温速度)、実施例2で得られたMIL-100(Fe)ナノ粒子の熱重量分析プロットを示す。 図12は、実施例2で得られたMIL-100(Fe)ナノ粒子から得たNの吸着(黒丸)及び脱着(ひし形)等温線を示す(一次真空下、150℃で15時間脱気)。得られた表面積は、1220m-1である(BETモデルを用いて評価)。 図13は、様々な反応時間の後(1時間、2時間、4時間、6時間、24時間、及び48時間)の反応混合物から採取した、比較例3で得られたMIL-100(Fe)ナノ粒子サンプルの粉末X線回折(PXRD)パターンを示す。 図14は、比較例3で得られたMIL-100(Fe)ナノ粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。 図15は、比較例3で得られたMIL-100(Fe)ナノ粒子の粒子分布を表す、Image Jソフトウェアを用いたヒストグラムを示す。平均粒子サイズは、66nm±16である。 図16は、比較例3で得られたMIL-100(Fe)ナノ粒子に対して行った3つのDLS測定を示し、主ピークの平均流体力学径は155nm±80であり(DLSの結果は、2つの集団の存在を示しており、したがって、提供される流体力学径は、平均である)、多分散指数は0.346である。 図17は、酸素雰囲気下で行った(5℃毎分の昇温速度)、比較例3で得られたMIL-100(Fe)ナノ粒子の熱重量分析プロットを示す。 図18は、比較例3で得られたMIL-100(Fe)ナノ粒子から得たNの吸着(黒丸)及び脱着(ひし形)等温線を示す(一次真空下、150℃で15時間脱気)。得られた表面積は、1314m-1である(BETモデルを用いて評価)。 図19は、それぞれ、室温、60℃、及び還流下で得られたMIL-100(Fe)ナノ粒子の多分散指数値を表すグラフを示す。 図20は実施例4に従って製造されたγ-Fe@MIL-100(Fe)の粉末X線回折(PXRD)パターン、及び比較として、MIL-100(Fe)及びγ-FeのPXRDを示す。PXRDは、CuKα線(λ=1.5418Å)を用いたSiemens D5000回折計(θ~2θ)で収集した。 図21のA~Dは、実施例4に従って製造されたγ-Fe@MIL-100(Fe)複合体の透過型電子顕微鏡(TEM)画像を示す。TEM観察は、Zeiss EM902透過型電子顕微鏡を用いて行った。 図22は、実施例4で製造されたγ-Fe@MIL-100(Fe)NPsのDLS測定によって分析された粒子サイズ分布を表すヒストグラムを示す。DLS測定は、pH3である0.1g/Lの懸濁液サンプルを用いて、zetasizer nano ZSで行った。 図23は、実施例4で製造されたγ-Fe@MIL-100(Fe)NPのFT-IRスペクトルを示す。 図24は、実施例4で製造されたγ-Fe@MIL-100(Fe)NPsの熱重量分析プロットを示す。TGAは、Perkins Elmer SDA 6000装置で行った。固体を、酸素雰囲気下、2℃.分-1の昇温速度で600℃まで加熱した。 図25は、実施例4で製造されたγ-Fe@MIL-100(Fe)NPsの、77K(P0=1気圧)でのNの吸着(黒丸)及び脱着(ひし形)等温線を示す。N収着等温線は、Belsorp Mini(ベル、日本)を用いて77Kで得た。分析の前に、およそ40~60mgの活性化サンプルを、一次真空下、120℃で3時間脱気した。ブルナウアー-エメット-テラー(BET)表面積及び細孔体積を、0.25未満の相対圧で算出した。 図26は、a)実施例4のγ-Fe@MIL-100Fe複合体のT=300Kでの質量磁化サイクル(点線)及び磁化のランジュバンフィッティング(実線):b)零磁場冷却後、続いて磁場中冷却後の200Oeの磁場印加下で測定された、実施例4のγ-Fe@MIL-100Fe複合体の磁気モーメント、を示す。磁気モーメントは、Quantum Design振動試料型磁力計(VSM)によって測定した。 図27は、実施例1に従って製造されたMIL-100(Fe)ナノ粒子(上側)、及び実施例5に従って製造されたMIL-100(Fe/Ru)ナノ粒子(下側)(サンプル2)の、室温で得られた粉末X線回折(PXRD)パターンを示す。 図28は、実施例1に従って製造されたMIL-100(Fe)ナノ粒子(下側のスペクトル)、及び実施例5に従って製造されたMIL-100(Fe/Ru)ナノ粒子(上側のスペクトル)(サンプル2)の、室温で得られたFTIRスペクトルを示す。 図29は、実施例5に従って製造されたMIL-100(Fe/Ru)ナノ粒子(サンプル2)の、77KでのNの吸着(白四角)及び脱着(黒四角)等温線を示す。活性化は、150℃で3時間脱気することによって行った。 図30は、実施例6に従って製造された新規なFe/BTeC MOFの、RTで行われた粉末X線回折(PXRD)パターンを示す(示されるように、Kα1、Kα2、及び小割合のKβを含む銅線源)。 図31は、実施例6に従って製造された新規なFe/BTeC MOFの走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示し、長さ100~250nm、高さ約50nmの針状粒子が示されている。 図32は、実施例6に従って製造された新規なFe/BTeC MOFの、77Kで行われたNの吸着を示し、I型の等温線が示されている。 図33は、実施例6に従って製造された新規なFe/BTeC MOFの熱重量分析プロットを示し、25℃~100℃での水分喪失及び250℃からのMOFの分解が示されている。 図34は、実施例6に従って製造された新規なFe/BTeC MOFのFT-IRスペクトルを示し、Fe_COO-(1550cm-1)及びさらには、側鎖遊離-COOH(図中に丸で囲んで強調)の典型的なバンドが示されている。 図35は、実施例6に従って製造された新規なFe/BTeC MOFの、25℃~400℃の周囲温度及び圧力で行われた温度依存XRDを示す。温度は、上から下に向かって:400℃、300℃、250℃、200℃、150℃、100℃、50℃、25℃。 図36は、実施例6に従って製造された新規なFe/BTeC MOFの、水熱安定性試験(還流HO中で72時間)の前(上側)及び後(下側)に行われた粉末X線回折(PXRD)パターンを示す。 図37は、同じ条件の安全な温度(safe temperature)で得られた異なるMOFカルボキシレート相を示す;上から下に向かって:RT、水熱、及び還流合成。 図38は、模擬生理学的血清条件PBS(リン酸緩衝生理食塩水)及びBSA(ウシ血清アルブミン)中、異なる濃度でのγ-Fe、MIL-100(Fe)、及びγ-Fe@MIL-100(Fe)NPsの緩和測定を示す。緩和度値(r2)は、曲線の傾きから抽出される。 図39は、実施例9で製造されたFe/BTCの、室温で行われた粉末X線回折(PXRD)パターンを示す(Kα1及びKα2を含む銅線源)。 図40は、実施例9で製造されたFe/BTCのSEM画像を示し、長さ1000nm未満及び高さ100~200nmの針状粒子が示されている。 図41は、Fe/BTC構造(実施例9で製造)のa軸上の1層の模式図であり、c方向に構造を保持する向かい合った-COOH基同士の水素結合が示される。Fe多面体は、青色であり、炭素、酸素、及び水素は、それぞれ、灰色、赤色、及び白色である。 図12は、実施例9で製造されたFe/BTCの、77Kで行われたN吸着を示す。 図43は、実施例9で製造されたFe/BTCの熱重量分析(TGA)プロットを表し、25℃~100℃での水分喪失及び250℃からのMOFの分解が示されている。 図44は、実施例9で製造されたFe/BTCの、25℃~200℃の周囲温度及び圧力で行われた温度依存XRDを表す。 図45は、実施例9で製造されたFe/BTCの、水熱安定性試験(還流HO中で72時間)の前後でのPXRD及びTGAを表す。 図46は、異なる合成条件:還流、水熱、及び室温合成を用いて得られたFe/BTCの比較PXRDスペクトルを表し、室温合成は、実施例9で報告する合成である。 図47は、還流(左側)及び水熱(右側)合成によって得られたFe/BTCのSEM画像を表し、得られる結晶のサイズに対する合成温度及び条件の影響を示している。
定義
本発明の理解を促進するために、いくつかの用語が以下に定義される。
請求項以外の本明細書で用いられる場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「そ
の(the)」、及び/又は「前記」の用語は、1又は複数を意味する。本明細書の請求項
で用いられる場合、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、及び/又は「含ん
でいる(comprising)」と組み合わせて用いられる場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、及び/又は「前記」の語は、1又は2以上を意味し得る。本明細書及び請求項で用いられる場合、「有している(having)」、「有する(has)」、「
である(is)」、「有する(have)」、「含んでいる(including)」、「含む(include
s)」、及び/又は「含む(include)」の用語は、「含んでいる(comprising)」、「含む(comprises)」、及び「含む(comprise)」と同じ意味を有する。本明細書及び請求
項で用いられる場合、「別の」は、少なくとも2つ目又はそれ以上を意味し得る。本明細書及び請求項で用いられる場合、「約」は、いずれの固有の測定誤差又は値(例:測定された値、比などの算出された値)に対する数字の丸めをも意味し、したがって、「約」の用語は、いかなる値及び/又は範囲とも一緒に用いられ得る。
リストに続く「それらの組み合わせ」、「それらの混合物」などの句、リストの一部としての「及び/又は」の使用、表によるリスト、リストの一部としての「など(etc)」
の使用、「など(such as)」の句、及び/又は「例」若しくは、すなわち、を伴う括弧
内のリストは、リストに挙げられた構成成分のあるセットのいずれの組み合わせをも(例:いずれのサブセットをも)意味し、並びにそのようなリストに直接記載されていないものの、本明細書で述べる関連する種及び/又は実施形態の組み合わせ及び/又は混合物も考慮される。本明細書で述べるそのような関連する及び/若しくは類似の属、亜属、種、並びに/又は実施形態は、請求され得る個別の構成成分の形態、さらには「から選択される少なくとも1つ」、「それらの混合物」、及び/又は「それらの組み合わせ」として請求項において記載され得る混合物及び/又は組み合わせの形態の両方で考慮される。
一般的に、「所望に応じて」の用語が前に記載されるかどうかに関わらない「置換された」の用語、及び本発明の式に含まれる置換基は、任意の構造中の水素ラジカルの、指定された置換基のラジカルによる置き換えを意味する。いずれかの任意の構造中において2つ以上の位置が、指定された群から選択される2つ以上の置換基で置換され得る場合、置換基は、すべての位置において同じであっても又は異なっていてもよい。本明細書で用いられる場合、「置換された」の用語は、有機化合物のすべての許容される置換基を含むことを考慮している。
本明細書で用いられる場合、「アルキル」の用語は、直鎖状及び分岐鎖状アルキル基を意味する。ある特定の実施形態では、本明細書で用いられる場合、「低級アルキル」は、約1~6個の炭素原子を有するアルキル基(置換、無置換、分岐鎖状、又は非分岐鎖状)を示すために用いられる。例示的なアルキル基としては、限定されないが、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、アリル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、sec-ペンチル、イソペンチル、tert-ペンチル、n-ヘキシル、sec-ヘキシル、部分などが挙げられ、これらはやはり、1又は複数の置換基を有していてもよい。
アルキル基に対する不飽和の対応物については、同様の慣習が用いられる。すなわち、本明細書で用いられる場合、C2-12アルケニル基は、C2-12アルキル基の中間又は末端に少なくとも1つの炭素二重結合を配置することによって形成される炭化水素基を意味する。その例は、エテニル基、プロペニル基、又はブテニル基である。本明細書で用いられる場合、C2-12アルキニル基は、C2-12アルキル基の中間又は末端に少なくとも1つの炭素三重結合を配置することによって形成される炭化水素基を意味する。その例は、エチニル基、プロピニル基、又はブチニル基である。
本明細書で用いられる場合、「アリール」の用語は、ヒュッケルの芳香族性を満たす少なくとも1つの環を含む芳香族系を意味する。前記アリールは、所望に応じて置換されており、6~50個の炭素原子、例えば6~20個の炭素原子、例えば6~10個の炭素原子を含んでいてよい。アリール基の例としては、限定されないが、フェニル、インダニル、インデニル、ナフチル、フェナントリル、及びアントラシルが挙げられる。
一般的に、本明細書で用いられる場合、「ヘテロアリール部分」の用語は、約5~約1
0個の環原子を有し、そのうちの1個の環原子が、S、O、及びNから選択され;0、1、又は2個の環原子が、S、O、及びNから独立して選択される追加のヘテロ原子であり;残りの環原子が炭素である、環状不飽和ラジカルを意味し、このラジカルは、環原子のいずれかを介して分子の残りの部分と結合されており、例えば、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、イソキノリニルなどである。
本明細書で用いられる場合、「ヘテロアルキル」の用語は、主鎖中の1又は複数の炭素原子がヘテロ原子で置換されたアルキル部分を意味する。したがって、ヘテロアルキル基は、1又は複数の酸素、硫黄、窒素、リン、又はケイ素原子を有する、すなわち炭素原子の代わりに、例えば、1~15個のヘテロ原子、又は1~5個のヘテロ原子、又は1、2、3、若しくは4個のヘテロ原子などの少なくとも1個のヘテロ原子から20個のヘテロ原子を有するアルキル鎖を意味する。ヘテロアルキル部分は、分岐鎖状であっても、又は直鎖の非分岐鎖状であってもよい。
「アルコキシ」の用語は、本明細書で用いられる場合、-O-アルキル部分を意味し、例示的な実施形態としては、限定されないが、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、t-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペントキシ、n-ヘキソキシが挙げられる。
「ハロ」及び「ハロゲン」の用語は、本明細書で用いられる場合、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素から選択される原子を意味する。
「acac」の略語は、本明細書で用いられる場合、アセチルアセトンリガンドを意味する。
本明細書で用いられる場合、「独立して」の用語は、これらの用語が指す置換基、原子、又は部分が、可変部のリストから互いに独立して選択されることを意味する(すなわち、それらは、同一又は同じであってもよい)。
本明細書で用いられる場合、「約」の用語は、指定された値の±5%、±10%、±20%、又は±25%の変動を意味し得る。例えば、「約50」パーセントは、ある実施形態では、45~55パーセントの変動を有し得る。整数の範囲の場合、「約」の用語は、記載された整数よりも大きい及び/又は小さい1又は2つの整数を含み得る。本明細書において特に断りのない限り、「約」の用語は、記載された範囲に近接しており、個々の成分、組成物、又は実施形態の機能性という意味で同等である値、例えば濃度値、を含むことを意図している。
本明細書で用いられる場合、「及び/又は」の用語は、この用語が関連付けられている項目のいずれか1つ、項目のいずれかの組み合わせ、又は項目のすべてを意味する。
当業者であれば理解されるように、成分の量、キャビティ/細孔サイズ及びBET比表面積などの特性、反応条件などを表す数を含むすべての数は、近似値であり、すべての場合において「約」の用語によって所望に応じて修飾されるものとして理解される。これらの値は、本明細書の記述の教示事項を用いて当業者が得ようとする所望される特性に応じて様々であってよい。また、そのような値は、それらの対応する試験測定値に見出される標準偏差に必然的に起因する変動を本質的に含んでいることも理解される。
当業者であれば理解されるように、あらゆる目的のために、特に記述を提供するという
意味で、本明細書に記載されるすべての範囲は、あらゆる可能なそのサブ範囲及びそのサブ範囲の組み合わせ、さらには、その範囲を構成する個々の値、特に整数値も包含する。記載される範囲は、範囲内の各具体的な値、整数、少数、又は識別(identity)を含む。列挙される範囲はいずれも、同じ範囲が少なくとも二等分、三等分、四等分、五等分、又は十等分に細分されることを充分に記載し、可能とするものとして容易に認識することができる。限定されない例として、本明細書で考察される各範囲は、下側の三分の一、真ん中の三分の一、及び上側の三分の一などに容易に細分することができる。
当業者であれば、構成要素がマーカッシュ群などの共通の様式で一緒に群に分けられる場合、本発明は、全体として列挙される群全体を包含するだけでなく、群の個々の各構成要素及び主要な群のすべての可能なサブ群も包含することも容易に認識される。加えて、すべての目的のために、本発明は、主要な群だけでなく、群の構成要素のうちの1又は複数が存在しない主要な群も包含する。したがって、本発明は、記載される群のいずれか1又は複数の構成要素の明示的な除外を想定する。したがって、開示される分類又は実施形態のいずれに対しても、記載される要素、種、又は実施形態のいずれか1又は複数が、例えば明示的な否定的限定で用いられるように、そのような分類又は実施形態から除外され得るという条件が適用され得る。
本明細書で用いられる場合、「三次元構造」の表現は、「有機金属ポリマー」としても特徴付けられるMOF材料の分野で従来から理解されるように、単位の三次元的連続又は繰り返しを意味するものと理解される。
本明細書で用いられる場合、「固体」の用語は、いかなる種類の結晶材料をも意味する。前記固体は、例えば、球状、層状などの形態を例とする様々な形態の結晶、粉末、又は粒子の形態でああってよい。粒子は、ナノ粒子の形態であってよい。
本明細書で用いられる場合、「ナノ粒子」の用語は、1μmよりも小さいサイズの粒子を意味する。特に、本発明に従う固体Fe-、Al-、又はTi-ベースMOFナノ粒子は、1000ナノメートル未満、好ましくは500nm未満、より好ましくは250nm未満、より好ましくは100nm未満、特には90nm未満の径を有し得る。
本明細書で用いられる場合、「リガンド」の用語は、少なくとも2つのFe、Al、又はTi金属中心(又は、本発明の変形例に従うドープされたFe、Al、又はTi-ベース材料、例えばRuドープMOF材料の場合は、異なる性質の2つの金属中心)に配位されたリガンド(例えば、中性種及びイオンを含む)を意味し、リガンドは、これらの金属間に距離を提供すること、及び空の空間又は細孔を形成することに関与する。
例示的実施形態の詳細な記述
1つの態様では、本発明は、低い多分散指数を有する多孔質結晶性Fe-、Al-、又はTi-ベースMOFカルボキシレート材料のナノ粒子を製造するためのマイクロ波を用いない方法を提供し、その方法は:
A)水性溶媒系中に:
(i)少なくとも、金属M、金属Mの塩、又はFe2+、Fe3+、Ti3+、Ti4+、若しくはAl3+から選択される金属イオンMz+を含む配位錯体の形態の第一の無機金属前駆体;
(ii)構造R-(C(=O)-Rを有し、構造中:
qは、2~6の整数を表し;好ましくは、qは、2、3、又は4を表し;
は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、-OH、Yがアルカリ金属カチオンを表す-OY、-OR、R3A及びR3Bが、同一又は異なって、C1-12アルキルラジカルを表す-O-C(=O)R3A又は-NR3A3Bから選択され;
は、独立して:
(a)C1-12アルキル、C2-12アルケニル、又はC2-12アルキニルラジカル;
(b)6~50個の炭素原子を含む縮合又は非縮合の単環式又は多環式アリールラジカル;
(c)4~50個の炭素原子を含む縮合又は非縮合の単環式又は多環式ヘテロアリール
を表し;
は、所望に応じて、ハロゲン原子、-OH、-NH、-NO、又はC1-6アルキルから独立して選択される1又は複数の置換基を有する、
少なくとも1つの前駆体リガンドL’、
を混合する工程;並びに
B)工程A)で得られた混合物を、水性溶媒系の沸点温度よりも低い温度で反応させ;それによって前記ナノ粒子を得る工程、
を含み、この方法は、塩基添加剤などの溶媒系にリガンド前駆体L’を可溶化することを目的とする添加剤、又は酸添加剤などのMOF結晶化プロセスに効果を有し得る添加剤の非存在下で行われる。
有利には、工程B)において、反応温度は、水性溶媒系の沸点温度よりも少なくとも10℃低いことが好ましい場合がある。
有利には、この方法は、還流条件下では行われない。
有利には、この方法は、酸添加剤又は塩基添加剤の非存在下で行われてよい。実際、本発明の方法の1つのはっきりとした利点は、従来のMOF合成において典型的に用いられる、特に、反応混合物中にリガンド前駆体を可溶化させるための(NaOH、KOH、LiOH、アミンなど)及び/又は結晶化プロセスを改変するための(HF、HNOなど)いかなる添加剤の使用も回避されることである。
このため、本発明の方法の工程A)は、水性溶媒系中に、上記で及び本明細書のいずれの変形例においても定める通りの少なくとも1つの無機金属前駆体(所望に応じて、混合金属MOFが所望される場合は、第二、第三、又はそれ以上の無機金属前駆体と共に)、上記で及び本明細書のいずれの変形例においても定める通りの少なくとも1つの前駆体リガンドL’、並びに所望に応じて、酸化鉄ナノ粒子などのMOFとは異なる材料の粒子、好ましくはナノ粒子(コアがMOFとは異なる材料から成り、MOFから成るシェル内に封入されるコアシェル粒子が所望される場合)を混合することから成り得る。好ましくは、少なくとも1つの前駆体リガンドL’は、カルボン酸塩ではない。
したがって、本発明は、有利には、低い多分散指数を有する多孔質結晶性Fe-、Al-、又はTi-ベースMOFカルボキシレート材料のナノ粒子を製造するためのマイクロ波を用いない方法を提供し、その方法は:
A.水性溶媒系;
B.少なくとも、金属M、金属Mの塩、又はFe2+、Fe3+、Ti3+、Ti4+、若しくはAl3+から選択される金属イオンMz+を含む配位錯体の形態の第一の無機金属前駆体;及び
C.構造R-(C(=O)-Rを有し、構造中:
qは、2~6の整数を表し;好ましくは、qは、2、3、又は4を表し;
は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、-OH、-OR、-O-C(=O)R3A、又は-NR3A3Bから選択され、ここで、R3A及びR3Bは、同一又は異なって、C1-12アルキルラジカルを表し;
は、独立して:
(a)C1-12アルキル、C2-12アルケニル、又はC2-12アルキニルラジカル;
(b)6~50個の炭素原子を含む縮合又は非縮合の単環式又は多環式アリールラジカル;
(c)4~50個の炭素原子を含む縮合又は非縮合の単環式又は多環式ヘテロアリール
を表し;
は、所望に応じて、ハロゲン原子、-OH、-NH、-NO、又はC1-6アルキルから独立して選択される1又は複数の置換基を有する、
少なくとも1つの前駆体リガンドL’;及び
D.所望に応じて、MOFとは異なる材料の粒子、好ましくはナノ粒子、好ましくは金属酸化物のナノ粒子;
から成る混合物を、水性溶媒系の沸点温度よりも低い温度で、好ましくは、水性溶媒系の沸点温度よりも少なくとも10℃低い温度で反応させ;それによって前記ナノ粒子を得る工程を含む。
特に、この方法は、有利には、塩基添加剤などの溶媒系に少なくとも1つのリガンド前駆体L’を可溶化することを目的とする添加剤、又は酸添加剤などのMOF結晶化プロセスに影響を与え得る添加剤の非存在下で行われる。
有利には、リガンド前駆体L’は、構造R-(C(=O)-Rを有してよく、構造中、q及びRは、上記で定める通りであり、Rは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、-OH、-OR、R3A及びR3Bが、同一又は異なって、C1-12アルキルラジカルを表す-O-C(=O)R3A又は-NR3A3Bから選択されてよい。有利には、この方法は、リガンド前駆体L’の対応するカルボン酸塩への加水分解をもたらす添加剤(例:塩基)の非存在下で行われる。
有利には、リガンド前駆体L’は、構造R-(C(=O)-OH)を有してよく、構造中、q及びRは、上記で定める通りである。さらにより有利には、この方法は、リガンド前駆体L’の、YがLi、K、Naなどのアルカリ金属カチオンを表す対応するカルボン酸塩R-(C(=O)-OY)への加水分解をもたらす添加剤(例:NaOH、KOH、LiOHなどの塩基)の非存在下で行われてよい。
有利には、リガンド前駆体L’は:
Figure 0007021232000001
Figure 0007021232000002
Figure 0007021232000003
から選択される、二座、三座、四座、又は六座の前駆体リガンドであってよく、
は、上記で定める通りであり、
sは、1~4の整数を表し、
tは、それぞれ独立して、1~4の整数を表し、
uは、1~7の整数を表し、
L1及びRL2は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、又はC~Cアルキルを表し、及び
L3は、それぞれ独立して、H、ハロゲン原子、-OH、-NH、-NO、又はC1-6アルキルを表し;
Xは、共有結合、C=O、CH、N=N、NH、O、S、SO、C=C、pが1~4の範囲内の整数を表す-O-(CH-O-、-NH-(CH-NH-、又は-S-(CH-S-を;好ましくは、C=O、CH、N=N、NH、O、S、SO、-O-(CH-O-、-NH-(CH-NH-、又は-S-(CH-S-を;最も好ましくは、C=O、CH、又はN=Nを表し;
mは、それぞれ独立して、1~3の整数を表し;及びRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン原子、OH、NH、NO、又はC1-6アルキルを表し、好ましくは、Rは、それぞれ独立してHを表し;並びに
は、それぞれ独立して、-OH、Mがアルカリ金属カチオンを表す-OM、ハロゲン原子、又はR及びR5’が独立してC1-12アルキルを表す-OR、-O-C(=O)R、若しくは-NR5’部分を表し;好ましくは、Rは、それぞれHを表し、Rは、それぞれOHを表し;最も好ましくは、Xは、CHを表し、Rは、それぞれHを表し、Rは、それぞれOHを表す。
有利には、上記で述べる二座、三座、四座、又は六座の前駆体リガンドにおいて、Rは、好ましくは、Yがアルカリ金属カチオンを表す-OYと異なっていてよく;及びRは、好ましくは、Mがアルカリ金属カチオンを表す-OMと異なっていてよい。
有利には、上記で述べる二座、三座、四座、又は六座の前駆体リガンドにおいて、Rは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、-OH、R3A及びR3Bが、同一又は異なって、C1-12アルキルラジカルを表す-OR3A、-O-C(=O)R3A又は-NR3A3Bから選択されてよい。同様に、有利には、Rは、それぞれ独立して、-OH、ハロゲン原子、又はR及びR5’が独立してC1-12アルキルを表す-OR、-O-C(=O)R、若しくは-NR5’部分を表し;好ましくは、Rは、それぞれHを表し、Rは、それぞれOHを表し;最も好ましくは、Xは、CHを表し、Rは、それぞれHを表し、Rは、それぞれOHを表す。
構造(II)を有するビス-Cアリール含有四座リガンド前駆体の中でも、式(II )~(II )のリガンド前駆体が言及され得るものであり:
Figure 0007021232000004
好ましくは式(II )であり、
式中、m、R、R、及びXは、全体として、及び上記のいずれかの変形例で定める通りである。
有利には、上記の式(II )~(II )において、Rは、それぞれ独立して、-OH、ハロゲン原子、又はR及びR5’が独立してC1-12アルキルを表す-OR、-O-C(=O)R、若しくは-NR5’部分を表してよく;好ましくは、Rは、それぞれOHを表す。
構造(II)を有するビス-Cアリール含有四座リガンド前駆体の中でも、Xが共有結合、C=O、CH、又はN=Nを表す式(II)、(II )、(II )、又は(II )の前駆体が;好ましくは、XがCHを表す式(II)又は(II )の前駆体が言及され得る。
有利には、ビス-Cアリール含有四座リガンド前駆体は、以下の構造のうちの1つを有し得る:
Figure 0007021232000005
読者は、式(II)のビス-Cアリール含有四座リガンド前駆体からのMOF材料の製造、特に高い縮合度を有するTi-ベースMOF材料の製造に関するさらなる指針を、その全内容が参照により本明細書に援用される2016年6月10日に出願された欧州特許出願第16305692.2号に見出すことができる。特に、欧州特許出願第16305692.2号の教示事項は、温度条件及び溶媒系を変えて本発明に合うように適合されてよく、すなわち、本明細書で述べる溶媒系、及び溶媒系の沸点温度よりも低い温度、好ましくは、水性溶媒系の沸点温度よりも少なくとも10℃低い温度としてよい。
有利には、前駆体リガンドL’は:C(COH)(フマル酸)、C(COH)(コハク酸)、C(COH)(グルタル酸)、C(COH)(ムコン酸)、C(COH)(アジピン酸)、C14(COH)(アゼライン酸)、CS(COH)(2,5-チオフェンジカルボン酸)、C(COH)(テレフタル酸)、C(COH)(2,5-ピラジンジカルボン酸)、C10(COH)(ナフタレン-2,6-ジカルボン酸)、C12(COH)(ビフェニル-4,4’-ジカルボン酸)、C12(COH)(アゾベンゼンジカルボン酸)、C(COH)(ベンゼン-1,2,4-トリカルボン酸)、C(COH)(ベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸)、C2415(COH)(ベンゼン-1,3,5-トリ安息香酸)、C
(COH)(ベンゼン-1,2,4,5-テトラカルボン酸、C10(COH)(ナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸)、C10(COH)(ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸)、C12(COH)(ビフェニル-3,5,3’,5’-テトラカルボン酸);2-アミノテレフタル酸、2-ニトロテレフタル酸、2-メチルテレフタル酸、2-クロロテレフタル酸、2-ブロモテレフタル酸、2,5-ジヒドロキソテレフタル酸、テトラフルオロテレフタル酸、テトラメチルテレフタル酸、ジメチル-4,4’-ビフェニルジカルボン酸、テトラメチル-4,4’-ビフェニルジカルボン酸、ジカルボキシ-4,4’-ビフェニルジカルボン酸、若しくは2,5-ピラジンジカルボン酸から選択される修飾された類似体;又は2,5-ジペルフルオロテレフタル酸、アゾベンゼン-4,4’-ジカルボン酸、3,3’-ジクロロ-アゾベンゼン-4,4’-ジカルボン酸、3,3’-ジヒドロキソ-アゾベンゼン-4,4’-ジカルボン酸、3,3’-ジペルフルオロ-アゾベンゼン-4,4’-ジカルボン酸、3,5,3’,5’-アゾベンゼンテトラカルボン酸、2,5-ジメチルテレフタル酸、及びペルフルオログルタル酸から選択されるリガンド誘導体;から選択されるジ、トリ、又はテトラカルボン酸であってよい。例えば、前駆体リガンドL’は、ベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸(トリメシン酸)、ベンゼン-1,2,4-トリカルボン酸、又はベンゼン-1,2,4,5-テトラカルボン酸であってよい。
無機金属前駆体は、Fe-、Al-、又はTi-ベースMOFカルボキシレート材料の製造に適するいかなる前駆体であってもよい。読者は、現時点までに入手可能である広範なMOF文献から、適切な無機金属前駆体を選択することができる。例えば、適切な無機金属前駆体は、金属(Fe、Al、若しくはTi)、Fe-、Al-、若しくはTi-ベース金属塩、又はFe2+、Fe3+、Ti3+、Ti4+、若しくはAl3+から選択される金属イオンMz+を含む配位錯体の形態であってよい。
例えば、無機金属前駆体は、FeCl又はFe(COCH(酢酸鉄)などのFe2+塩であってよい。
例えば、無機金属前駆体は、FeCl、Fe(NO、Fe(ClO過塩素酸鉄又はFe(SO硫酸鉄などのFe3+塩であってよい。
例えば、無機金属前駆体は、AlCl、Al(OH)水酸化アルミニウム、Al(NO硝酸アルミニウム、Al(SO硫酸アルミニウム、Al(ClO過塩素酸アルミニウム、又はAl(COCH酢酸アルミニウムなどのAl3+塩であってよい。
例えば、無機金属前駆体は、TiClなどのTi3+塩であってよい。
例えば、無機金属前駆体は、TiCl、TiO(acac)、TiOSO(硫酸チタニル)、Ti(SO、又は式(III)のチタンアルコキシド:
Ti(OR (III)
などのTi4+塩であってよく、式中、Rは、それぞれ独立して、直鎖状又は分岐鎖状C1-6アルキル部分を表す。
例示的変形例において、無機金属前駆体は、FeClなどのFe3+塩であってよく、前駆体リガンドL’は、ベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸又はベンゼン-1,2,4-トリカルボン酸であってよい。
別の例示的変形例において、無機金属前駆体は、FeClなどのFe3+塩であってよく、前駆体リガンドL’は、ベンゼン-1,2,4,5-テトラカルボン酸(BTeC
)であってよい。
本発明に従う方法は、適切ないかなる溶媒系で行われてもよい。好ましくは、溶媒系は、極性溶媒系であってよく、それは、単一の溶媒、又は2つ以上の極性溶媒の混合物から構成されていてよい。有利には、溶媒系は、水性溶媒系であってよい。用いられてよい溶媒は、特に、HO、エタノール、イソプロパノール、炭酸ジメチル、エチレングリコール、乳酸エチル、酢酸エチル、スルホラン、ベンジルアルコール、又はこれらの2つ以上の混合物から選択されてよい。好ましくは、溶媒系は、水性であり、したがって、少なくともHOを含有し、所望に応じて、上述した溶媒のうちのいずれか1又は複数を含有する。好ましくは、溶媒系は、HO、エタノール、又はこれらの混合物であり、最も好ましくは、HOである。上記で述べた溶媒は、すべて環境にやさしい溶媒である。しかしながら、ジメチルホルムアミドをベースとする溶媒系などの他の環境にやさしいものではない溶媒を用いることもできる。
本発明に従う方法は、有利には、反応を行うために用いられる溶媒系の沸点よりも低い温度で、好ましくは、水性溶媒系の沸点温度よりも少なくとも10℃低い温度で行われる。このことは、MOF材料を特にナノ粒子の形態で製造するための、より高い温度(還流又はソルボサーマル法)又はマイクロ波のいずれかが関与する既存の方法と比較して、特に有利である。
有利には、この方法は、唯一の溶媒系としてのHO中で行われてよい。このため、この方法は、<100℃、好ましくは<95℃、好ましくは≦90℃、好ましくは≦85℃、好ましくは≦80℃、より好ましくは≦75℃、なおより好ましくは≦70℃、さらに好ましくは≦65℃、最も好ましくは≦60℃の温度で行われてよい。例えば、この方法は、室温(20℃±5℃)で、唯一の溶媒系としてのHO中で行われてよい。別の例では、この方法は、60℃±5℃で、唯一の溶媒系としてのHO中で行われてもよい。容易に明らかとなるように、本発明の方法の大きな利点は、低い温度が関与することであり、したがって、環境にやさしく、従来の方法(還流、ソルボサーマル、マイクロ波法)よりもコストが低い。加えて、それは、造影剤(例:酸化鉄)などの脆弱種の存在下でのMOFベース複合体の製造を可能とし、及び/又は不均一系触媒での用途に非常に有用であることを示すMOF骨格内への反応性種の導入(例:Ru部位)を可能とする。加えて、本発明の方法は、従来のより高エネルギーによる方法(還流、ソルボサーマル、マイクロ波法)では製造することのできない全く新しいMOF相を入手可能とするものでもある。これまでに全く報告されたことのない新規なMOF(Fe)カルボキシレート相の製造について記載する実施例6を参照されたい。
このため、本発明はまた、本発明の方法によってナノ粒子として得ることが可能である新規なMOFカルボキシレート材料にも関し、式FeO(HO)(OH)(H-BTeC)1.5を有するこのMOFは、BTeCリンカーを介して接続された三次元に連続する構造単位から構成される。いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、この新規なMOF相は、μ3-オキソ三量体から構成されるものと考えられる。実施例6に例示されるように、この新規なMOF材料(「Fe/BTeC」としても称される)は、金属前駆体としてのFeCl及び有機リガンド前駆体L’としての1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸から製造され得る。
有利には、本発明に従う方法は、1.10Pa(周囲圧力条件)下で行われてよい。本発明の方法の反応条件を述べる際に本文書で言及する温度はすべて、大気圧(周囲圧力条件)下での温度を意味する。
有利には、この方法は、希釈条件下で行われてよい。言い換えると、本発明の方法は、
50mM未満、好ましくは≦40mM、好ましくは≦30mM、最も好ましくは≦25mMの無機金属前駆体濃度が関与し得る。例えば、溶媒系中の無機金属前駆体濃度は、約20mMであってよい。採用されるべき希釈レベルは、反応に用いられる温度に大きく依存することになる。温度が低い程(例:室温)、希釈レベルは高くなる。希釈条件は、ナノ粒子サイズのより良好な制御が可能となることから特に有利であり、より小さい平均粒子サイズを、より低い多分散指数(より狭い粒子サイズ分布)と共に得ることができる。
希釈条件下では、反応種は、水が唯一の溶媒系として用いられる場合であっても、依然としてある程度溶媒系に溶解している。反応が進行するに従って(MOFナノ粒子が形成され、溶媒系から析出するに従って)、溶解した反応体は消費され、それによって、平衡は、反応体が溶媒系に溶解する方向へと緩やかに進められる。希釈条件はまた、ナノ粒子の形成が特に緩やであり、かつ、制御されることをも意味する。このことは次に、特に平均粒子サイズ及び単分散度という意味で他の従来の方法で得ることができるよりも非常に良好な品質のMOFナノ粒子の形成という結果となり、本発明に従う方法は、上記で述べたような希釈条件下で行われる場合、より低い多分散指数を有するより小さい平均粒子のMOFナノ粒子の製造を可能とするものであり、このことは、他の既知の方法よりも非常に有利である。
したがって、有利には、本発明に従う方法によって、平均サイズが<90nm、好ましくは<85nm、好ましくは<80nm、好ましくは<75nm、最も好ましくは<70nmであるナノ粒子の製造が可能となる。ナノ粒子は、非常に狭い粒子サイズ分布(低い多分散指数)として得られ、サイズが20~30nmから開始する粒子を得ることができる。しかし、粒子の大部分は、一般に、70nm~100nmの範囲内のサイズを有する。平均粒子サイズは、反応条件応じて、100nmから下向きに70nm又はそれ未満までの間で調節可能である(より低い温度及びより高い希釈条件が、より小さい平均粒子サイズのナノ粒子の形成に有利である)。
有利には、本発明に従う方法によって、ナノ粒子の製造が可能となり、この方法は、ISO規格13321:1996E及びISO22412:2008に基づいて算出された0.05≦PDI≦0.5、好ましくは0.05≦PDI≦0.4、最も好ましくは0.05≦PDI≦0.3の多分散指数を有するナノ粒子を生じる。
多分散指数は、相関データに対する単純な2パラメータフィッティングから算出される数である(キュムラント解析)。多分散指数は、無次元であり、0.05よりも小さい値が、高い単分散性の標準の場合以外ではほとんど見られないようなスケールに調整されている。0.7よりも大きい値は、サンプルが非常に広いサイズ分布を有し、おそらくは動的光散乱(DLS)技術に適さないことを示している。様々なサイズ分布アルゴリズムが、これらの2つの極限値の間に入るデータで使用できる。これらのパラメータに対する計算は、ISO規格文書13321:1996E及びISO22412:2008に定めら
れている。
本発明に従う方法によって、低いPDI、さらには小さい平均粒子サイズの両方を併せ持つナノ粒子の製造が可能となる。これは、両特性を有することが可能とならないMOF粒子の製造のための従来の方法と比較して、特に興味深い。例えば、マイクロ波合成では、類似の(又はより小さい場合もある)PDIが可能であるが、平均粒子サイズは、100nmよりも大きい。また、本発明の方法は、セットアップが非常に容易であることから、より低コストでのスケールアップが可能である。
したがって、本発明はまた、ISO規格13321:1996E及びISO22412:2008に基づいて算出された0.05≦PDI≦0.5、好ましくは0.05≦PD
I≦0.4、最も好ましくは0.05≦PDI≦0.3の多分散指数、及び<90nm、好ましくは<85nm、好ましくは<80nm、好ましくは<75nm、最も好ましくは<70nmの平均サイズを有する多孔質結晶性Fe-、Al-、又はTi-ベースMOFカルボキシレート材料のナノ粒子も提供する。
有利には、本発明に従う方法では、溶媒系に試薬を可溶化することを意図する添加剤の使用が排除される。典型的には、従来の方法(例:還流、ソルボサーマル、マイクロ波法)では、リンカーを脱プロトン化することで可溶化をより良好とする有機又は無機塩基などの添加剤が、試薬の溶解を補助し、反応を促進するために用いられる。そのような有機又は無機塩基添加剤は、例えばNaOH、KOH、アミンであってよい。従来の方法はまた、添加剤としてHF又はHNOなどの有機又は無機酸も用い、これらは、MOF結晶化プロセスに対して効果を有する。これらの添加剤の使用はすべて、ナノ粒子サイズの均一性に対して悪影響を及ぼし、一般的には、平均粒子サイズが大きくなる。例えば、HF又はHNOなどの酸添加剤の使用は、MOF結晶化プロセスに影響を与え、マイクロ粒子が不均一となる。加えて、これらの添加剤は、続いて、MOF粒子生成物を「洗浄」するために洗い流す必要がある。本発明に従う方法は、試薬を可溶化するためを例とする酸又は塩基添加剤などの添加剤が必要ではないという点で、これらすべての欠点を取り除くものである。
有利には、本発明に従う方法によって、混合金属MOFナノ粒子の製造が可能となる。本明細書で用いられる場合、「混合金属」の用語は、異なる性質(異なる金属、例えばFe及びRu)又は異なる酸化状態(同じ金属であるが異なる酸化状態、例えばFe2+及びFe3+)の少なくとも2つの異なる種類の金属中心を含有するMOFを意味する。このため、本発明の方法には、反応混合物中に第二の無機金属前駆体を使用することが関与し得る。したがって、本発明の方法の工程A)は、さらに、第一の無機金属前駆体に加えて、金属M、式(I)の金属Mの塩、又は金属Mの水酸化物若しくは酸化物の形態の第二の無機金属前駆体を混合することを含んでよい;
.nHO (I)
式中、Mは、Cu、Fe、Co、Ni、Al、Ti、Mn、V、Cr、Ru、Sn、Mg、又はNbから選択される金属であり;
Yは、Cl、NO 、SO 2-、AcO、又は
Figure 0007021232000006
を表し;好ましくは、この他方の金属無機前駆体は、Cu2+、Fe2+、Fe3+、Co2+、Co3+、Ni2+、Al3+、Ti3+、Ti4+、Mn2+、Mn3+、Mn4+、V3+、V4+、Cr3+、Ru3+、Ru4+、Sn4+、Mg2+、Nb4+、又はNb5+の塩の形態であり;最も好ましくは、この他方の金属無機前駆体は、RuCl、VCl、SnCl、CrCl、又はFeClなどの金属塩である。
このため、本発明の方法によって、また、MOF骨格中に存在する主要な金属とは異なる1又は複数の金属でドープされていてよく(Cu、Co、Ni、Al、Ti、Mn、V
、Cr、Fe、Ru、Sn、Mg、又はNbでドープ)、又は同じ金属であるが、酸化状態の異なる金属でドープされていてもよく(例えば、Fe3+が、MOF中に存在する主要な金属部位であるが、Fe2+部位でドープされる)、低い多分散指数を有する多孔質結晶性Fe-、Al-、又はTi-ベースMOFカルボキシレート材料のナノ粒子の製造も可能となる。
本明細書で用いられる場合、1又は複数の金属でドープすることに関して、「ドープする」又は「ドープされた」の用語は、Cu、Co、Ni、Al、Ti、Mn、V、Cr、Fe、Ru、Sn、Mg、又はNbなどの他の金属原子を、Fe-、Al-、又はTi-ベースMOF材料格子中に、Fe、Al、又はTi原子の代わりに配置することを意味する。「ドープする」又は「ドープされた」の用語はまた、酸化状態の異なる金属原子を、Fe-、Al-、又はTi-ベースMOF材料格子中に、Fe、Al、又はTi原子の代わりに配置することも意味する(言い換えると、Fe3+部位の格子中にFe2+部位を導入する)。例えば、「Ruドープ材料」は、本発明に従うFe-、Al-、又はTi-ベースMOF材料に、それぞれ、MOF材料の格子中のFe、Al、又はTi原子の代わりにRu原子を「入れ込んだ」ものである。
このため、Cu2+、Fe2+、Fe3+、Co2+、Co3+、Ni2+、Al3+、Ti3+、Ti4+、Mn2+、Mn3+、Mn4+、V3+、V4+、Cr3+、Ru3+、Ru4+、Sn4+、Mg2+、Nb4+、又はNb5+などの金属イオンが、Fe、Al、又はTi原子金属中心に代えて、材料の構造中に組み込まれ得る。金属ドープ比は、本発明に従うFe-、Al-、又はTi-ベースMOF材料の製造に、異なる量の出発金属塩を用いることによって調節され得る(以下を参照)。このため、ドープ率は、調節可能であり、上述した金属中心の1%~20%の範囲内であってよい。一般的に、ドープされたFe-、Al-、又はTi-ベースMOF材料は、純Fe-、Al-、又はTi-ベースMOF材料(ドープなし)と同じ結晶構造を有し得る。しかし、それらは、格子定数が僅かに異なっている場合もある。
例えば、Ruがドープ金属として選択された場合、本発明の方法により、室温で金属前駆体の組み込みが可能となる。そして、これによって、小粒子サイズを得ることが可能となり、最も重要なことには、低い温度でRuの量を調節することが可能である。したがって、本発明に従う方法は、溶液状態の化学が高い温度の使用に適合されていない金属部位(例:Ru)でMOFナノ粒子をドープする場合に特に有利である。
変形例において、本発明の方法は、MOFとは異なる材料の粒子の存在下で行われてもよい。このことにより、コアシェル粒子の製造が可能となり、この場合、コアは、MOFとは異なる材料から成り、それがMOFから成るシェル内に封入されている。
したがって、変形例において、低い多分散指数を有する多孔質結晶性Fe-、Al-、又はTi-ベースMOFカルボキシレート材料から成るシェルを有するコアシェル粒子を製造するためのマイクロ波を用いない方法が提供され、その方法は:
A.水性溶媒系;
B.少なくとも、金属M、金属Mの塩、又はFe2+、Fe3+、Ti3+、Ti4+、若しくはAl3+から選択される金属イオンMz+を含む配位錯体の形態の第一の無機金属前駆体;及び
C.構造R-(C(=O)-Rを有し、構造中:
qは、2~6の整数を表し;好ましくは、qは、2、3、又は4を表し;
は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、-OH、-OR、-O-C(=O)R3A、又は-NR3A3Bから選択され、ここで、R3A及びR3Bは、同一又は異なって、C1-12アルキルラジカルを表し;
は、独立して:
(a)C1-12アルキル、C2-12アルケニル、又はC2-12アルキニルラジカル;
(b)6~50個の炭素原子を含む縮合又は非縮合の単環式又は多環式アリールラジカル;
(c)4~50個の炭素原子を含む縮合又は非縮合の単環式又は多環式ヘテロアリール
を表し;
は、所望に応じて、ハロゲン原子、-OH、-NH、-NO、又はC1-6アルキルから独立して選択される1又は複数の置換基を有する、
少なくとも1つの前駆体リガンドL’;及び
D.MOFとは異なる材料の粒子、好ましくはナノ粒子、好ましくは金属酸化物のナノ粒子;
から成る混合物を、水性溶媒系の沸点温度よりも低い温度で、好ましくは、水性溶媒系の沸点温度よりも少なくとも10℃低い温度で反応させ;それによって前記ナノ粒子を得る工程を含む。
特に、この方法は、有利には、塩基添加剤などの溶媒系に少なくとも1つのリガンド前駆体L’を可溶化することを目的とする添加剤、又は酸添加剤などのMOF結晶化プロセスに影響を与え得る添加剤の非存在下で行われる。
有利には、MOFとは異なる材料の粒子は、ナノ粒子であり、コアシェル粒子は、コアシェルナノ粒子である。例えば、この方法は、金属酸化物の粒子の存在下で行われて、金属酸化物コアがMOFシェル内に封入されたコアシェルナノ粒子が製造され得る。例えば、金属酸化物は、酸化鉄、好ましくは、酸化鉄(III)であってよい。このため、本発明の方法は、造影剤(例:酸化鉄)の(ナノ)粒子をMOFシェル内に封入するために用いられ得る。したがって、本発明の方法は、MOF材料を製造するための従来の方法の反応条件(例:高温(還流、ソルボサーマル)、又はマイクロ波)に対して感受性が高い/脆弱である材料を封入するのに特に有利である。本発明の方法の穏和な反応条件(低温、マイクロ波なし)により、この方法は、脆弱な材料の存在下で行うことができ、金属酸化物などの脆弱な材料を封入するための方法として特に有用であることがわかる。
したがって、MOFシェル内に封入された金属酸化物コア(例:酸化鉄コア)を含むコアシェルナノ粒子も提供され、ここで、MOFは、本明細書及び上記で定められる通りである。これらのナノ粒子は、有利には、医療用イメージングに有用である造影剤として用いることができる。それらはまた、特に酸化鉄コアを含むコアシェル複合体の場合、温熱療法に適用することもでき、それは、酸化鉄が、外部交流磁場が印加された場合に局所加熱を誘導することができるからである。
本明細書で用いられる場合、「温熱療法」の用語は、身体組織をより高い温度に曝露し、そのような治療に対して応答する癌などの疾患又は病状を治療しようとする医学的治療法を意味する。
このため、MOFが本明細書及び上記で定められる通りである場合のMOFシェル内に封入された金属酸化物コア(例:酸化鉄コア)を含むコアシェルナノ粒子は、有利には、癌の治療に有用であり得る。それらは、本質的に、活性治療分子を封入し、放出する特性を有しており、したがって、治療されるべき患者の中で放出するための1又は複数の抗癌薬をローディングすることができる。加えて、コアが、酸化鉄などの磁気特性を有する金属酸化物から成る場合、コアシェルナノ粒子は、加えて又は別の選択肢として、様々な癌の治療のための温熱療法に用いることができる。それらは、局所的な、領域的な、及び/
又は全身の温熱療法に有用であり得る。局所温熱療法は、非常に狭い組織領域を加熱するものであり、典型的には、皮膚の上若しくは近傍の癌、又は身体の自然開口部(例:口)の近傍の癌に用いられる。しかし、本発明に従うコアシェルナノ粒子は、特定の組織及び/又は癌細胞を標的とするように設計されてもよく、したがって、熱は、外部交流磁場の印加によって、治療を必要とする部位に局所的に適用されてよい(必ずしも皮膚の上若しくは近傍、又は身体の自然開口部の近傍でなくてよい)。領域温熱療法は、臓器又は手足全体など、身体のより広い部分を加熱する。全身温熱療法は、身体全体を、約39~43℃、又はさらにはより高い温度まで加熱する。それは、典型的には、転移性癌の治療に用いられる。本発明に従うコアシェルナノ粒子は、所望される体温の適用を確保するために、全身温熱療法治療の通常の技術と組み合わせて用いられ得る。全体として、温熱療法の目的は、腫瘍を、それ以外のものに損傷を与えることなく殺傷することであるか、又は癌細胞を、放射線及び化学療法薬によって殺傷される可能性が高まるように、弱めることである。温熱療法は、癌細胞を直接殺傷し得るが、それは、癌の他の治療法と組み合わせて用いられる方がより有利であり得る(温熱療法は、温められた領域への血流を増加させ、それによって、腫瘍及び正常組織における灌流を増加させる。このことは、医薬の送達を促進する)。その構造及び封入/放出特性のために、本発明に従うコアシェルナノ粒子は、温熱療法と抗癌薬送達との併用療法に用いられ得る。
有利には、本発明に従う方法は、さらに、少なくとも1つの医薬活性要素、化粧品を対象とする化合物、又はマーカーを前記多孔質MOF材料中に導入する工程も含む。
したがって、本発明はまた、本発明に従うMOFナノ粒子の使用にも関し、前記ナノ粒子は、その細孔中又はその表面に、医薬活性要素、化粧品を対象とする化合物、又はマーカーを含む群より選択される少なくとも1つの分子を有する。
特に、本発明はまた、医薬活性要素でローディングされた本発明に従うMOFナノ粒子の医薬としての使用にも関する。医薬活性要素は、本発明に従うナノ粒子の細孔中又は表面に含有されていてよい。これが、本文書の残りの部分において「医薬活性要素でローディングされたナノ粒子」の表現によって理解されるものである。
より一般的には、「構成成分Xでローディングされたナノ粒子」の用語は、その細孔中又はその表面に構成成分Xを含有する本発明に従うナノ粒子を意味する。構成成分Xは、共有結合、水素結合、ファンデルワールス結合、静電相互作用によって、ナノ粒子の表面又は細孔中に吸着又は結合され得る。この構成成分Xは、上記で示されるように、医薬活性要素であってよい。別の選択肢として、構成成分Xは、生物活性を有するいずれかの分子、化粧品を対象とする化合物、又はマーカーであってもよい。
特に、本発明に従うMOFナノ粒子は、吸着容量が大きいという利点を有する。加えて、それらは、例えば医薬分子の不安定性、高反応性、乏しい溶解性、強い結晶化傾向、親水性又は両親媒性などの理由で封入が特に困難である医薬分子を効果的に吸着することができる。
例えば、本発明に従うナノ粒子は、以下の特性、親水性、両親媒性、親油性、不安定性、毒性、強い結晶化傾向、又は実質的な不溶性、のうちの1又は複数を有する少なくとも1つの医薬活性要素でローディングされてよい。
「毒性」の用語は、医学的又は獣医学的用途におけるその使用を阻害する原因である毒性効果を有する医薬活性要素を意味する。それらは、例えば、ブスルファン、シスプラチン、又はロムスチンなどのニトロソ尿素などのアルキル化薬であってよい。
「強い結晶化傾向」の用語は、他の構造中に含まれるのではなく、結晶格子に自己会合する傾向を有する医薬活性要素を意味する。したがって、そのような化合物は、用いられる封入プロセスの過程で、粒子中に含まれるのではなく、結晶を形成する傾向にある。したがって、このことにより、プロセスの終了後、医薬活性要素のローディングが乏しい粒子と医薬活性要素の結晶との混合物が得られる。それは例えば、ブスルファンであってよい。それは、高用量では、重篤な副作用、すなわち静脈閉塞性肝疾患を起こす。これはおそらく、この分子の結晶化する非常に強い傾向に起因する。結晶の重なりは、この活性要素のメチルスルホネート基間での強い双極子相互作用が影響している。
「実質的に不溶性」の用語は、水への溶解度が0.1mg/ml未満である医薬活性要素を意味する。それは例えば、ブスルファンであってよい。
「不安定性」の用語は、分解、結晶化、及び/又は反応を起こす可能性があり、並びにそうすることによって、その構造及びその活性を喪失し得る医薬活性要素を意味する。この考え得る例は、ブスルファンである。
加えて、医薬活性要素は、生物活性を有するいかなる分子であってもよく、例えば、医薬、特には、抗癌薬、抗ウィルス薬、修飾又は未修飾ヌクレオシド類似体、核酸、抗体、タンパク質、ビタミンなどである。
両親媒性活性要素の中でも、例えば、ブスルファン、ドキソルビシン、塩化ドキソルビシン、及び塩化イミプラミンが言及され得る。
親油性活性要素の中でも、例えば、タモキシフェン、ドセタキセル、パクリタキセル、イブプロフェン、リドカイン、ビタミンA(レチノール)、D(カルシフェロール)、E(トコフェロール)、K1(フィロキノン)、及びK2(メナキノン)などの脂溶性ビタミンが言及され得る。
特に、本発明に従うナノ粒子は、例えばタキソテール、ブスルファン、アジドチミジン(AZT)、アジドチミジンリン酸(AZTP)、シドホビル、ゲムシタビン、及びタモキシフェンから選択される少なくとも1つの医薬活性要素でローディングされてよい。
有利には、活性要素は、蛍光分子であってもよい。例えば、それは、ローダミン、フルオレセン、ルシフェラーゼ、ピレン、及びこれらの誘導体、又はアミノピロリジノ-7-ニトロベンゾフラザンであってよい。
有利には、活性要素は、フルオロ分子、すなわち、少なくとも1つの置換基Fを有する分子であってもよい。それは、例えば、これまでに言及したフルオロ分子のうちの1つであってよい。これらのフルオロ分子は、イメージング、特に、上述のPET技術などの蛍光イメージングでの使用に適する。
したがって、本発明はまた、本発明に従う1又は複数のフルオロ分子を封入するMOFナノ粒子の、PETイメージングなどの医療イメージングで用いられ得るマーカーとしての使用にも関する。
加えて、本発明に従うナノ粒子は、少なくとも1つの化粧品を対象とする化合物でローディングされてもよい。
「化粧品を対象とする化合物」の用語は、化粧品製剤、すなわち、人体の様々な表面部分、特に表皮、軟毛及び毛髪系(pilous and hair systems)、外部器官、歯、及び粘膜
と接触して配置され、もっぱら又は主としてそれらを洗浄、保護、又は香気付けすることを目的として、人体を良好な状態に維持、その外観を修飾、又はその臭気を改善することを意図する製剤の配合中に含まれるいかなる活性物質をも意味する。「活性物質」の用語は、化粧品製剤の効果を確実とする物質を意味する。
化粧品を対象とする化合物は、衛生用品(例:化粧落とし、練り歯磨き粉、デオドラント、シャワージェル、石鹸、又はシャンプー)、ケア製品(例:シワ取りクリーム、デイクリーム、ナイトクリーム、保湿クリーム、フローラルウォーター、スクラブ、乳液、美容マスク、リップバーム、又はトニック)、ヘアケア製品(例:ヘアコンディショナー、リラクサー、ジェル、オイル、ラッカー、マスク、又は染料)、化粧品(例:コンシーラー、セルフタンニング製品、アイライナー、化粧品パウダー、ファウンデーション、コール墨、マスカラ、パウダー、皮膚美白製品、口紅、又はネイルワニス)、香水(例:オーデコロン、オードトワレ、又は香水)、日焼け止め製品(例:日焼け手入れ及び日焼け止めクリーム、オイル、及びローション)、髭剃り製品及び脱毛製品(例:アフターシェーブ、脱毛クリーム、又はシェービングフォーム)、又はバス及びシャワー製剤(例:バルブバス、バスオイル、又はバスソルト)を例とする当業者に公知であるいずれかの化粧品製剤の調製に含まれる活性物質であってよい。
本発明によると、化粧品を対象とする化合物は、例えば:
-抗酸化剤(例えば、クエン酸、ベータ-カロテン、ビタミンE、グリコール酸、グルタチオン、ビタミンC、ポリフェノール、リコピン、フラボノイド、タンニン、アントシアン、N-アセチルシステイン(フリーラジカル捕捉剤))
-ビタミン(例えば、ビタミンA、B3、B5、B6、B2、B1、B9、B8、B12、C、E、D、K、K1、K2)
-リポレギュレーター(liporegulator)(例えば、カフェイン又はテオフィリン)
-光保護剤(例えば、ベンゾフェノン-3(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)、ベンゾフェノン-4(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸)、2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸)
-保湿剤(例えば、尿素、ヒアルロン酸、又はソルビトール)
を含む群より選択され得る。
例えば、本発明に従うナノ粒子は、ベンゾフェノン、ビスナジン、サリチル酸、アスコルビン酸、ベンゾフェノン及びその誘導体、カフェイン、尿素、ヒアルロン酸などを含む群より選択される少なくとも1つの化粧品を対象とする化合物でローディングされてよい。
一般的に、本発明に従うFe-、Al-、又はTi-ベースMOFカルボキシレートナノ粒子は、これらのMOFの既知のいかなる用途に用いられてもよい。
粒子サイズが小さいこと及び多分散指数が高いことに起因して、本発明に従うFe-、Al-、又はTi-ベースMOFカルボキシレートナノ粒子は、ナノ医薬に特に有用であり得る。
その構造的特徴のために、本発明に従うFe-、Al-、又はTi-ベースMOFカルボキシレートナノ粒子は、不均一系触媒的化学反応を行うための触媒担体として、又は気体貯蔵/分離/精製材料として、又は活性要素(医薬、化粧品)を封入するためのマトリックスとして、又は情報記憶、レーザー印刷のためのフォトクロミック材料として、又は酸素指示薬として、又はプロトン伝導性材料(燃料電池)として、又はオプトエレクトロニクス材料(グレッツェルセルを含む光起電力セル)、又は他のセンサー材料として用いられ得る。
一般的に、本発明に従うFe-、Al-、又はTi-ベースMOFカルボキシレートナノ粒子は、不均一系触媒的化学反応を行うための触媒担体として、又は気体貯蔵/分離/精製材料として、又は活性要素(医薬、化粧品)を封入するためのマトリックスとして用いられ得る。
有利には、本発明に従う方法によって得ることができる混合金属MOFナノ粒子、特には、Ruなどの触媒活性金属を含有する混合金属MOFナノ粒子が、不均一系触媒的化学反応を行うための触媒担体として用いられ得る。
読者は、本発明のFe-、Al-、又はTi-ベースMOFカルボキシレート材料を様々な対象となる用途に用い得る方法に関する指針について、以下に示した参考文献を参照することができる。
・不均一系触媒、特に光触媒[3]
・気体貯蔵[4]
・流体の分離[5]
・燃料電池(プロトン伝導性材料)[6]
・オプトエレクトロニクス(光起電力装置...)[7]
・センサー[8]
・バイオ医薬品、ヘルスケア、化粧品[9]
限定されない例として、本発明に従う固体材料は、より詳細には、以下のために用いられる:
-工場(製鋼所、セメント工場、火力発電所など)からの燃焼排ガス、バイオマスの燃焼若しくは石炭のガス化からのメタン又は水素の製造設備からの燃焼排ガスを捕捉するためのプロセスにおける様々な混入物(水、N、CO、HSなど)の存在下での温室効果ガス(CO、CH)の吸着のため。これらの材料の製造コストが低いことと、その無毒性及びその良好な安定性(熱安定性、耐水性、又は硫化二水素に対する耐性)とが組み合わされていることで、これらは、大スケールでのこの種類の用途における最適な候補となっている;
-芳香族化合物の分離(キシレンの異性体)、分岐鎖状アルカンの分離(オクタン価)、バイオマス誘導体の分離(フェノール類...)、燃料の精製などの流体(気体、蒸気、液体)の分離のため;
-生物学/医療/化粧品において、対象となる活性(医薬又は化粧品)要素を、適切な期間にわたって治療効果レベルの用量を提供するために制御された様式でそれらを放出する目的で、又は外部環境に対してそれらを保護する(例えば、水分から)目的で、吸着又は封入するため。このため、Fe、Al、及びTiは、カルボン酸全般と同様に、それほど強い毒性ではない金属であり、それによって、これらの固体(Fe-、Al-、又はTi-ベースMOF)は、この種類の用途において非常に有利である論理的に低い毒性となる。その非常に高い化学安定性は、カーゴの早い放出を防止するために、特に重要であり得る。Fe、Al、及びTiのUV吸着性は、特に、それ単独でこの波長範囲でやはり吸着を見せる有機スペーサーの適切な選択と共に、化粧品におけるUV遮閉物質の分野に適用され得る。本発明に従うこの固体材料はまた、毒素の除去、解毒(身体の毒素を事後的に除去するため)、又は生体体液(尿、血液など)の精製のためにも用いられ得る。
全体として、本発明に従うFe-、Al-、又はTi-ベースMOFナノ粒子及びその製造方法は、以下にまとめるように、いくつかの独特の化学的及び構造的特徴を有する:・グリーン溶媒、穏和な反応条件(低温、還流なし、マイクロ波なし)、スケールアップが容易、高い費用対効果。
・低PDI及び低平均粒子サイズの両方を併せ持つナノ粒子の入手。
・MOF材料を製造するための従来の方法の反応条件(例:高温(還流、ソルボサーマル)、又はマイクロ波)に対して感受性が高い/脆弱である材料の存在下で使用できる可能性。
・金属酸化物などの脆弱な材料を封入するための方法として特に有用。
・溶液状態の化学が高い温度の使用に適合されていない金属部位(例:Ru)でMOFナノ粒子をドープする場合に有利。
・従来のより高エネルギーによる方法(還流、ソルボサーマル、マイクロ波法)では製造することのできない全く新しいMOF相が入手可能。
・溶媒系に試薬を可溶化することを意図する添加剤の使用を回避。
・還流条件、及び専用の装置(還流冷却器)の使用を回避。
・特にアルコールなどの有機溶媒を用いた、大掛かりな/何回にもわたる洗浄の使用を回避。単純な水洗浄で充分であり、本発明の方法によって得られたMOFナノ粒子は、そのまま使用することができる。
他の利点も、当業者であれば、限定されない実例として提供される添付の図を参照して以下の実施例を読むことによって明らかとなり得る。
均等物
以下の代表的な実施例は、本発明を説明するのを助けることを意図しており、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、本発明の範囲を限定するものでない。実際、本明細書で示し、述べるものに加えて、本発明の様々な改変及びその多くのさらなる実施形態は、当業者であれば、以下の実施例及び本明細書で引用される科学文献及び特許文献への参照を含めて、本文書の全内容から明らかとなるであろう。例えば、読者は、MOF、特にPOFカルボキシレート材料の製造のための従来の合成法に関する背景について、国際公開第2009/077670号及び国際公開第2009/077671号を参照してよい。[1、2]これらの参考文献は、本発明のコンテクストに適合され得るMOF材料の合成後修飾(例:グラフト化、表面修飾)に関する指針としても有用である。さらに、引用される参考文献の内容は、現行技術を説明する補助とするために、参照により本明細書に援用されることも理解されるべきである。
以下の実施例は、本発明の実践に対して、その様々な実施形態及びその均等物において適合することができる重要な追加の情報、例示、及び指針を含む。
本発明に従うFe-、Al-、又はTi-ベース材料及びその製造は、これらの接合体が製造又は使用される方法のいくつかを説明する実施例によってさらに理解することができる。しかし、これらの実施例が、本発明を限定するものとして解釈されるべきではないことは理解される。現時点で公知の、又は将来的に開発される本発明の変更は、本明細書で述べるように、及び以下に特許請求されるように、本発明の範囲内に含まれるものとみなされる。
実施例1-室温でのMIL-100(Fe)ナノ粒子の製造
トリメシン酸(0.25g、1.19mmol)を水(90ml)に添加し、続いて硝酸鉄(III)九水和物(0.72g、1.78mmol)を添加して、濁った黄色溶液を調製し、これを300rpmで48時間、室温で撹拌した。この反応混合物を、48時間後に取り出し、生成物を吸引ろ過し、水(50ml)で洗浄して、橙褐色固体を得た。このサンプルは、単純な水洗浄以外のさらなる洗浄の必要がなく、得られたMOFナノ粒子は、そのまま用いることができた。
実施例2-60℃でのMIL-100(Fe)ナノ粒子の製造
トリメシン酸(0.25g、1.19mmol)を水(90ml)に添加し、続いて硝酸鉄(III)九水和物(0.72g、1.78mmol)を添加して、濁った黄色溶液を調製し、これを300rpmで48時間、60℃で撹拌した。この反応混合物を、48時間後に取り出し、生成物を吸引ろ過し、水(50ml)で洗浄して、橙褐色固体を得た。このサンプルは、単純な水洗浄以外のさらなる洗浄の必要がなく、得られたMOFナノ粒子は、そのまま用いることができた。
比較例3-還流下でのMIL-100(Fe)ナノ粒子の製造
トリメシン酸(0.25g、1.19mmol)を水(90ml)に添加し、続いて硝酸鉄(III)九水和物(0.72g、1.78mmol)を添加して、濁った黄色溶液を調製し、これを300rpmで48時間、還流下で撹拌した。この反応混合物を、48時間後に取り出し、生成物を吸引ろ過し、水(50ml)及びエタノール(90ml)で洗浄して、橙褐色固体を得た。
図19に示されるように、本発明の方法(室温及び60℃)に従って得られたMIL-100(Fe)ナノ粒子の多分散指数は、従来の方法(還流)の下で得られたMIL-100(Fe)ナノ粒子よりも非常に低い。このことは、Zhang et al., Chemical Engineering Journal, vol. 259, 2014, pp. 183-190に報告された知見によって確認され、そこ
では、MIL-100(Fe)MOFは、塩基又は酸の添加剤なしで還流下の水中で製造され、SEMによって裏付けられるように(この論文の補足資料の図S1)、多分散指数の高い大粒子が得られた。
表1は、実施例1(室温)で合成した未処理及びKF処理MIL-100(Fe)ナノ粒子の、N等温線を用いて算出されたBET表面積をまとめたものである。これらを、マイクロ波及びソルボサーマル経路を用いた場合に見出されたMIL-100(Fe)のBET表面積の結果と比較した。
Figure 0007021232000007
結果は、本発明に従う低温法が、手軽(実践するのが容易)で費用対効果の高い方法(
添加剤が不要、及び大掛かりな洗浄が不要)であることに加えて、MOFナノ粒子構築のための既存の従来法(マイクロ波合成)で得たものよりも高い表面積を有するMOFナノ粒子が製造されることを示した。特に、EtOHによる余分の洗浄工程なしで得られた表面積は、約1800m/gであり、これは、マイクロ粒子で得られる表面積に近い。
実施例4-造影剤として酸化鉄を封入するMIL-100(Fe)コアシェルナノ粒子の製造
添加剤の使用を除外した低温合成条件により、酸化鉄@MIL-100(Fe)などのコアシェル複合体の容易な製造が可能となる。そのような複合体は、セラノスティックに、薬物送達のナノキャリアとして、及び磁気共鳴画像法のための造影剤として用いることができる。これらの複合体はまた、特に酸化鉄@MIL-100(Fe)などのコアシェル複合体の場合、温熱療法に用いることもでき、それは、酸化鉄が、外部交流磁場が印加された場合に局所加熱を誘導することができるからである。
本明細書で用いられる場合、「X@MOF」の表現は、Xから成るコアを封入したMOF(シェル)のコアシェルナノ粒子を意味する。このため、「酸化鉄@MIL-100(Fe)」は、コアシェル酸化鉄@MIL-100(Fe)複合体を意味する。
コアシェル酸化鉄@MIL-100(Fe)複合体の製造の前に、まず酸化鉄ナノ粒子を、共沈法によって合成した。20mLの水酸化ナトリウム(15mol.L-1)を、激しく撹拌しながら、FeCl.6HO(20mL、1mol.L-1)及びFeCl.4HO(5mL、HCl 2mol.L-1中の2mol.L-1)の酸性水溶液に添加した。黒色の析出物を、磁気沈降分離によって単離し、20mLの水で洗浄した。磁気分離後、次に、析出物を、30mLのHNO(2mol.L-1)中で15分間撹拌した。マグネタイトをマグヘマイトのナノ粒子(本明細書において、以降「NPs」と称する)に完全に酸化するために、次に、磁気分離後に得た析出物を、10mLのFe(NO.9HO(0.35mol.L-1)と共に80℃で30分間混合した。単離した析出物を、水中に解膠させ、コロイド溶液を得た。
次に、70mgの酸化鉄を含有するコロイド溶液を、撹拌下、Fe(NO.9HOの水溶液(70mL、0.025mol.L-1)に添加することによって、酸化鉄@MIL-100(Fe)複合体を製造した。次に、250mgのトリメシン酸を添加し、この反応液を、室温(20~23℃)で24時間撹拌した。褐色の析出物を、磁気沈降分離によって単離し、次に、14500rpmで10分間遠心分離した。次に、固体を、水中での1回の遠心分離/再分散サイクルによって、続いて純エタノール中での3回の遠心分離/再分散サイクルによって洗浄した。γ-Fe@MIL-100(Fe)NPsを、EtOH中に保存し、使用前に水中で再分散することができた。
X線回折分析により、γ-Fe2O3の存在下で、MIL-100(Fe)相の良好な合成が確認される。γ-Fe2O3の構造的完全性も、その会合後に保存されている(図20)。
MIL-100(Fe)と酸化鉄とが組み合わされていることも、γ-FeNPsがMIL-100(Fe)相中に埋め込まれていることを示すTEM分析によって確認される。酸化鉄単独での凝集物は、TEM分析を用いて観察されなかった(図21 A~D)。
ナノスケールγ-Fe@MIL-100(Fe)複合体も、50~150nmまで変動するサイズで観察された。これは、平均流体力学径が約150nmであると見出され、多分散指数が0.2であったDLS測定と一致している(図22)。
γ-Fe@MIL-100(Fe)複合体を、FT赤外によっても同定した。異なる伸縮振動バンドが観察される。1631及び1384cm-1のバンドは、MOFの鉄と結合したカルボキシレートの伸縮振動バンドに相当し、一方遊離リガンドが、1716cm-1のC=O伸縮振動バンドによって観察される(図23)。
熱重量分析を用いて、γ-Fe@MIL-100(Fe)複合体中の酸化鉄の重量含有量を、20±2重量%であると算出した(図24)。
γ-Fe2O3@MIL-100(Fe)複合体は、N2吸着脱着を用いて得たBET比表面積1174m2.g-1も呈する。MIL-100(Fe)の重量で標準化すると、1486m2.g-1の値が得られ、これは、MIL-100(Fe)単独のBET比表面積と一致している(図25)。
γ-Fe@MIL-100(Fe)の磁化測定を、その飽和磁化を特定するために、及びγ-Feの超常磁性に対するMIL-100(Fe)の影響を把握するために行った。γ-Fe@MIL-100(Fe)の飽和磁化について、68A.m/kgの値が得られ、これは、純γ-FeNPsに対して得られた53A.m/kgの値と一致した。そのような結果は、両構成成分の組み合わせが、γ-Feコアの磁気特性に対する影響を全く有しないことを示すものであった(図26)。
γ-Fe@MIL-100(Fe)は、温熱療法及び/又はMRI画像法に用いることができる。
酸化鉄をベースとするMRI造影剤の効率は、通常、プロトンスピン緩和のT(横方向)緩和時間を測定することによって評価される。次に、緩和率1/Tを合計鉄濃度に対してプロットし、得られた傾き(mM-1.秒-1)から、緩和度r2の値が得られる。
酸化鉄NPSでローディングすると、複合体γ-Fe@MIL-100(Fe)は、良好な緩和度値(92秒-1.mM-1)を示し、これによって、MRI(磁気共鳴画像法)のための造影剤としての使用に適するものとなっている。図38を参照されたい。
全体として、そのようなγ-Fe@MIL-100(Fe)ナノ粒子は、活性治療分子の封入及び放出特性を有することから、セラノスティックに用いることができるが、その緩和特性によって、MRIを行うための造影剤としても用いることができ、温熱療法による、又は温熱療法と抗癌薬送達との併用療法による抗癌治療のために用いることもできる。
実施例5-ヘテロ金属MIL-100(Fe/Ru)ナノ粒子(金属カルボキシレートMOF内に触媒反応性種を含める)の製造
触媒活性ルテニウム種をMOF構造中に導入することは、現在、この目的に向けた刊行物の数の増加によって反映されるように、不均一系触媒の分野において最も重要な関心事である。いくつかの報告された例は、対応する金属リガンドを用いた部分的なリガンド交換によって、又は合成後イオンメタセシスによって骨格中にRu種を組み込んで所望されるRuドープMOFを得るための予め形成されたMOFの合成後修飾(PSM)に基づいている。混合金属MOFの合成のための別の既存の手法は、親混合金属化合物MIL-127(FeM)(M=Ni、Co、Mg)の製造のための二次構造単位(SBU)手法から成る。
非常に有利なことには、本発明に従う低温法は、ルテニウム種をナノMOF構造中に導入することを可能とするだけでなく、初期反応混合物中の金属含有量を単に改変することによって、Fe/Ru比を調節することも可能とするものである。
一般的に述べると、本発明に従うヘテロ金属MIL-100(Fe/M)ナノ粒子の合成のための例示的な実験手順は、MIL-100(Fe)ナノ粒子材料について実施例1で述べた室温法に従う。例として、このグリーン(環境にやさしい)法は、本質的に、リガンド及び金属前駆体を化学量論的量で含有する水中における室温でのワンポット反応から成る。金属前駆体の選択、さらには反応混合物中での適切な濃度はいずれも、ナノ構造化MIL-100(Fe)の良好な製造のために重要なパラメータである。この手法は、混合金属ナノMOF、特にヘテロ金属MIL-100(Fe/Ru)ナノ粒子の製造のために拡張されてきた。
丸底フラスコ中、90mLの蒸留HO中の168mgのトリメシン酸(0.8mmol)と320mgのFe(NO・9HO(0.8mmol)及び83mgのRuCl(0.4mmol)との混合物を調製した。次に、この溶液を、300rpm、室温で48時間撹拌して、濁った橙黄色懸濁液を形成した。続いて、この最終懸濁液をろ過し、得られた粉末を水で充分に洗浄した。初期反応混合物中のFe/Ru金属含量比を改変することによって、異なる量のルテニウムを骨格中に導入した。次に、固体を90mLのEtOH中に分散させ、60℃で12時間撹拌して過剰のトリメシン酸を除去し、橙褐色固体を得た。
反応はすべて、すべてのパラメータ(試薬の濃度、T、撹拌、反応時間...)を一定に維持し、Fe/Ru金属比を唯一の変数とする高スループット法に従って行った。
混合金属ナノMOFサンプル1~5の構造を、それぞれ図27及び28のX線回折(XRD)及びFT-IR分析によって確かめ、MIL-100ナノMOF材料が適切に形成されたことを確認した。
図28は、室温で得たMIL-100(Fe)及びMIL-100(Fe/Ru)ナノ粒子に対するFTIRを示す。MIL-100(Fe)構造に帰属される特徴的なバンド(1577及び1450cm-1でのν(C=O)カルボキシレート)が、配位していない過剰のリガンドに対応する遊離トリメシン酸バンド(1700cm-1でのν(C=O)カルボキシレート)のバンドと共に観察された。
構造が確認されると、ヘテロ金属ナノMOF中の金属含有量の算出を、EDX分析によって行い、結果を表2に示す。予想通り、Ru含有量は、初期反応混合物中のFe/Ruの金属比を改変することによって、サンプル1から5において1から26%(原子%)に改変された。
ナノ粒子をより詳細に同定するためのさらなる実験として、動的光散乱(DLS)、エネルギー分散型X線分光分析(EDX)、N吸着-脱着等温線、及び熱重量分析(TGA)を含めた。動的光散乱(DLS)による粒子サイズの分析を、すべての混合金属ナノ粒子に対して行い、ISO規格13321:1996E及びISO22412:2008に基づいて算出した。表2は、平均サイズ分布が得られる水に懸濁させた異なるMIL-100(Fe/Ru)ナノ粒子(サンプル1~5)で得た平均粒子サイズ分布をまとめて示しており、金属含有量に応じて227~120nmで変動している。すべての収集したデータは、多分散指数(PI)<0.3であった。
Figure 0007021232000008
混合金属ナノMOFにおける多孔質構造の保存を裏付けるために、N吸着等温線をサンプル2において測定した。MIL-100(Fe/Ru)ナノ粒子(サンプル2)は、メソ多孔質MIL-100(Fe)ナノ粒子に対して予想される典型的な収着/脱着プロファイルを呈し、算出されたBET表面積値は、1330m.g-1であった。これに関連して、細孔を部分的に占有することが考えられる過剰なリガンドの存在を確認するために、熱重量分析(TGA)実験を行った。
Figure 0007021232000009
全体として、これらの結果から、金属酸化物の非存在下で、メソ多孔質MIL-100(Fe/Ru)ナノ粒子の形成が確認される。重要なことには、金属酸化物の望ましくない形成という還流下での合成における特徴的な限界が、本発明による低温法に従うことで、最終的に克服される。
実施例6-新規なFe/1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸ベースMOFのナノ粒子としての水中における室温合成
5~10mmolの1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸及び5~10mmolの塩化鉄(III)無水物を、100mLバイアルに導入した(M/L比は1)。次に、50mLのDI水を添加し、この混合物を、マグネティックスターラーを用い、4~30℃の範囲内の温度で16時間~48時間撹拌した。続いて、褐色混合物を、14500RPMで10~15分間遠心分離することで褐色固体が得られ、これを水で洗浄し、室温で乾燥した。
この材料のPXRDは、粒子が小さいことを示す非常にブロードなピークを見せており、このことは、SEM画像によって確認される。Fe/BTeCの粒子は、100~20
0*50*50nmの寸法のナノ針形状を有する(図30)。
77Kで行った窒素吸着は、I型等温線を示し、このことは、微多孔質材料であることを示しており、110℃で16時間活性化されたサンプルの比表面積(BET)は約940m/gである(図32)。
熱重量分析(O下、2℃/分で実施)では、2つの重量減少が現れ、25℃~100℃の第一は、マイクロ細孔中にトラップされていた水の喪失に相当し、第二の重量減少は、250℃から開始して350℃で完了するMOFの分解を示している。この第二の重量減少から、FeとBTeCリガンドとの間の比を算出することができ、本発明者らの算出では、1つのリガンドに対して2つのFeに近い比である(図33)。
FT-IR分析により、Feに結合したカルボキシレートの存在、及びさらには、BTeCリガンドの1又は2つの配位していない-COOHに由来する-COOH基の存在も示される。1700cm-1のこのバンドはまた、細孔中の遊離BTeCリガンドの存在を示す可能性もあったが、加熱による(>130℃)無水物の形成によって、この仮説は排除される(図34)。
温度依存PXRDにより、骨格のフレキシビリティを調べることができた。図35から分かるように、加熱による様々なピークのシフトは存在しておらず、剛直な骨格であることを示している。TGAによって示されるように、MOFの分解は、250℃よりも高い温度で見られる(図33)。
したがって、Fe/BTeCは、周囲条件下で熱的に安定であるが、それは、水熱処理下でも当てはまる。数mgのFe/BTeCをHOに分散させ、加熱還流させる。72時間後、PXRDによって示されるように、水安定性処理の前後で、MOFの分解は見られない(図36)。
合成に対する温度の影響
上記で述べた合成条件では、4~40℃の範囲内の温度でFe/BTeCナノ粒子を製造している。温度を上昇させると、他の既知の相が得られる。例えば、水中での還流合成では、純粋MIL-61(Fe)が得られ、そのGa類似体が報告されている。水熱条件を用いて温度をさらに高めることにより(150℃/24時間)、本発明者らは、MIL-61(Fe)を得ているが、さらにMIL-53(Fe)-BTeCに相当する追加の相の出現も認識している。後者は、骨格中に2つの側鎖遊離-COOHが呼吸効果(breathing effect)を阻止しているMIL-53系に属する。
同じ反応体を、同じ割合で、同じ溶媒と共に用いることで、本発明者らは、合成の温度に応じて複数の相を得ている。Fe/BTeC MOFは、40℃を超える温度では、いずれの合成においても観察されていない。
この新規なFe/BTeC MOFの結晶構造は、DFT計算によって支援された高分解能粉末X線回折データを用いて特定することができる。例示的なプロトコルとしては、Fe/BTeC MOFサンプルを微細粉末に粉砕し、内径0.3mm又は0.7mmのガラスキャピラリー中に封入する。Fe/BTeCのPXRDパターンを、Bruker
D8回折計上、5~50°の2θ範囲(ステップサイズ0.01)で、室温で72時間収集する。
TGA
熱重量分析は、特に断りのない限り、Mettler Toledo TGA/DSC
1、STAR System装置を用い、50mL/分のO気流下、3℃/分の昇温速度で600℃まで行った。
温度依存X線粉末回折
X線温度依存回折実験は、HTK-1200N(Anton Parr)高温チャンバー炉及びLYNXEYE XE検出器(Cu-Kα線による)を備えたBruker-D8 Advance回折計上で行った。PXRDパターンは、室温から400℃まで25℃ごとに収集した。
赤外分光分析(IR)
IRスペクトルは、Nicolet 6700FTIR thermoscientific分光計を用い、400~4000cm-1で測定した。
走査型電子顕微鏡(SEM)
SEM画像は、JEOL JSM-7001F顕微鏡により、金被覆サンプルを用いて撮影した。
窒素多孔度測定
窒素吸着測定は、サンプルを完全に活性化した後(BEL Japan、BELSORP Prep)、BEL Japan Belsorp Mini及びMaxi装置により、77Kで行った。MOFサンプルを、真空下で直接熱活性化し、その後77Kでの窒素吸着を行った。
実施例7-AlベースMOFのナノ粒子としての水中における室温合成
5mmolの1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸及び5mmolの塩化アルミニウム(III)無水物を、100mL丸底フラスコに導入する。50mLのDI水を添加し、この混合物を、20℃~60℃の範囲内の温度で48時間、300rpmで撹拌する。ナノ粒子を回収し、水で洗浄し、室温で乾燥する。
実施例8-TiベースMOFのナノ粒子としての水中における室温合成
10mmolの1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸及び10mmolの酸化チタン(IV)ビス(2,4-ペンタンジオネート)を、100mL丸底フラスコに導入する。50mLのDI水を添加し、この混合物を、20℃~60℃の範囲内の温度で48時間、300rpmで撹拌する。ナノ粒子を回収し、水で洗浄し、室温で乾燥する。
実施例9-新規なFe/1,2,4-ベンゼントリカルボン酸ベースMOF(Fe/BTC)のナノ粒子としての水中における室温合成
1.合成
5~10mmolの1,2,4-ベンゼントリカルボン酸及び5~10mmolの塩化鉄(III)無水物を、100mLバイアルに導入し(M/L比は1);次に、50mLのDI水を添加し、この混合物を、マグネティックスターラーを用い、4~30℃の範囲内の温度で72時間~168時間撹拌する。次に、薄黄色混合物をろ過することで、薄黄色固体(Fe/BTC)が得られ、これを水で洗浄し、室温で乾燥する。
2.同定
この材料のPXRDは、粒子が小さいことを示す非常にブロードなピークを見せており(図39)、このことは、SEM画像によって確認される(図40)。Fe/BTCの粒子は、約100*200*1000nmの平均寸法のナノ針形状を有する。
Fe/BTCは、斜方晶系に結晶化し、格子定数を表4にまとめる。Fe/BTCは、
軸aに沿って、頂点を共有するFe3+八面体の一次元の無限鎖から成る多孔質配位ポリマーである。各六配位Fe3+は、架橋μ-OH基の2個の酸素原子及び1,2,4-BTCリンカーの4個の酸素原子と共有結合している。
Figure 0007021232000010
興味深いことに、リガンドからの1つのカルボン酸だけが、一次元鎖を繋げて保持している隣接する2個のFe3+に配位しており、残りの2つは、遊離-COOH基である。2つの異なるリガンドからの遊離-COOH基は、互いに向かい合っており、したがって、c方向の構造を維持する強い水素結合のネットワークを作り出している(図41参照)。そして、b方向は、弱い相互作用によって構造が保持されている。特筆すべきは、この構造が、a軸に沿って(Fe無限鎖に沿って)一次元の非常に狭いチャネルを有していることである。これらのチャネルの寸法は、2.5Å*4.0Åである。
77Kで行った窒素吸着は、Nに対して無孔質である固体に典型的であるII型に近い等温線を示し、120℃で16時間活性化されたサンプルの比表面積(BET)は約20m/g未満である(図42)。
熱重量分析(O下、2℃/分で実施)では、2つの重量減少が現れ、25℃~100℃の第一は、マイクロ細孔中にトラップされていた水の喪失に相当し、第二の重量減少は、250℃から開始して400℃で完了するMOFの分解を示している(図43)。
温度依存PXRDにより、骨格のフレキシビリティを調べることができる。図44から分かるように、加熱による様々なピークのシフトは存在しておらず、200℃まで骨格が剛直であることを示している。
したがって、Fe/BTCは、周囲条件下で熱的に安定であるが、それは、水熱処理下でも当てはまる。数mgのFe/BTCをHOに分散させ、加熱還流させる。72時間後、PXRD及びTGAによって示されるように、水安定性処理の前後で、MOFの分解はほとんど見られない(図45)。
3.合成条件の影響
Fe/BTC MOFは、純粋に還流及び水熱合成によって得ることもできるが、得られる結晶の寸法は、合成条件に応じて異なる(図46のPXRD)。
上記で述べた室温条件では、4~40℃の範囲内の温度でFe/BTCナノ粒子を製造
している。還流条件(水中で100℃)を用いることによって、得られるFe/BTC粒子は、非常により大きく(数ミクロン)、多分散である。加えて、水熱合成(200℃)では、長さが約20μmであるさらに大きい結晶が得られた(図47)。
同じ反応体を、同じ割合で、同じ溶媒と共に用いることで、本発明者らは、Fe/BTCの異なるサイズの結晶を得ており、このことは、核形成及び結晶の成長に関して温度が重要であることを示している。この系では、ナノ粒子は、室温合成によってしか得ることができない。
本発明のいくつかの実施形態について記載してきたが、本発明者らによる基本的な例は、TiベースMOF及び本発明の方法を用いる他の実施形態を提供するために変更されてもよいことは明らかである。したがって、本発明の範囲は、例として提示されてきた具体的な実施形態によってではなく、添付の請求項によって定められるべきであることは理解される。
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Claims (19)

  1. ISO規格13321:1996E及びISO22412:2008に基づいて算出された0.05≦PDI≦0.5の多分散指数を有する多孔質結晶性Fe-、Al-、又はTi-ベースMOFカルボキシレート材料のナノ粒子を製造するためのマイクロ波を用いない方法であって:
    A)水性溶媒系中に:
    (i)少なくとも、金属M、金属Mの塩、又はFe2+、Fe3+、Ti3+、Ti4+、若しくはAl3+から選択される金属イオンMz+を含む配位錯体の形態の第一の無機金属前駆体;
    (ii)構造R-(C(=O)-Rを有し、カルボン酸塩でない少なくとも1つの前駆体リガンドL‘:
    qは、2~6の整数を表し
    は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、-OH、-OR、-O-C(=O)R3A、又は-NR3A3Bから選択され、ここで、R3A及びR3Bは、同一又は異なって、C1-12アルキルラジカルを表し;
    は、独立して:
    (a)C1-12アルキル、C2-12アルケニル、又はC2-12アルキニルラジカル;
    (b)6~50個の炭素原子を含む縮合又は非縮合の単環式又は多環式アリールラジカル;
    (c)4~50個の炭素原子を含む縮合又は非縮合の単環式又は多環式ヘテロアリール
    を表し;
    は、所望に応じて、ハロゲン原子、-OH、-NH、-NO、又はC1-6
    アルキルから独立して選択される1又は複数の置換基を有し;
    は、それぞれ独立して、-OH、ハロゲン原子、又はR及びR5’が独立してC1-12アルキルを表す-OR、-O-C(=O)R、若しくは-NR5’部分を表す;
    を混合する工程;
    B)工程A)で得られた混合物を、前記水性溶媒系の沸点温度及び還流温度よりも低い温度で反応させ;それによって前記ナノ粒子を得る工程;
    を含み、前記方法は、リガンド前駆体L’を可溶化することを目的とする添加剤の非存在下で行われ、前記水性溶媒系が、H O、エタノール、イソプロパノール、炭酸ジメチル、エチレングリコール、乳酸エチル、酢酸エチル、スルホラン、ベンジルアルコール、又はこれらの2つ以上の混合物である、方法(但し、単座配位子となるカルボン酸及び/またはその塩の存在下で行われる方法を除く)
  2. L’が:
    Figure 0007021232000011

    Figure 0007021232000012

    Figure 0007021232000013

    から選択される、二座、三座、四座、又は六座の前駆体リガンドであって、
    は、請求項1で定める通りであり、
    sは、1~4の整数を表し、
    tは、それぞれ独立して、1~4の整数を表し、
    uは、1~7の整数を表し、
    L1及びRL2は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、又はC~Cアルキルを表し、及び
    L3は、それぞれ独立して、H、ハロゲン原子、-OH、-NH、-NO、又はC1-6アルキルを表し、
    Xは、共有結合、C=O、CH、N=N、NH、O、S、SO、C=C、-O-(CH-O-、-NH-(CH-NH-、又は-S-(CH-S-を表し、ここで、pは1~4の範囲内の整数を表し
    mは、それぞれ独立して、1~3の整数を表し;及びRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン原子、OH、NH、NO、又はC1-6アルキルを表し、並びに
    は、それぞれ独立して、-OH、ハロゲン原子、又はR及びR5’が独立してC1-12アルキルを表す-OR、-O-C(=O)R、若しくは-NR5’部分を表;請求項1に記載の方法。
  3. 前記前駆体リガンドL’が:C(COH)(フマル酸)、C(COH)(コハク酸)、C(COH)(グルタル酸)、C(COH)(ムコン酸)、C(COH)(アジピン酸)、C14(COH)(アゼライン酸)、CS(COH)(2,5-チオフェンジカルボン酸)、C(COH)(テレフタル酸)、C(COH)(2,5-ピラジンジカルボン酸)、C10(COH)(ナフタレン-2,6-ジカルボン酸)、C12(COH)(ビフェニル-4,4’-ジカルボン酸)、C12(COH)(アゾベンゼンジカルボン酸)、C(COH)(ベンゼン-1,2,
    4-トリカルボン酸)、C(COH)(ベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸)、C2415(COH)(ベンゼン-1,3,5-トリ安息香酸)、C(COH)(ベンゼン-1,2,4,5-テトラカルボン酸、C10(COH)(ナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸)、C10(COH)(ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸)、C12(COH)(ビフェニル-3,5,3’,5’-テトラカルボン酸);2-アミノテレフタル酸、2-ニトロテレフタル酸、2-メチルテレフタル酸、2-クロロテレフタル酸、2-ブロモテレフタル酸、2,5-ジヒドロキソテレフタル酸、テトラフルオロテレフタル酸、テトラメチルテレフタル酸、ジメチル-4,4’-ビフェニルジカルボン酸、テトラメチル-4,4’-ビフェニルジカルボン酸、ジカルボキシ-4,4’-ビフェニルジカルボン酸、若しくは2,5-ピラジンジカルボン酸から選択される修飾された類似体;又は2,5-ジペルフルオロテレフタル酸、アゾベンゼン-4,4’-ジカルボン酸、3,3’-ジクロロ-アゾベンゼン-4,4’-ジカルボン酸、3,3’-ジヒドロキソ-アゾベンゼン-4,4’-ジカルボン酸、3,3’-ジペルフルオロ-アゾベンゼン-4,4’-ジカルボン酸、3,5,3’,5’-アゾベンゼンテトラカルボン酸、2,5-ジメチルテレフタル酸、及びペルフルオログルタル酸から選択されるジ-、トリ-、又はテトラカルボン酸である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記無機金属前駆体が、F3+塩であり、前記前駆体リガンドL’が、ベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸又はベンゼン-1,2,4-トリカルボン酸である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記無機金属前駆体が、F3+塩であり、前記前駆体リガンドL’が、ベンゼン-1,2,4,5-テトラカルボン酸である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記方法が、唯一の溶媒系としてのHO中、60℃±5℃で行われる、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記方法が、1.10Pa(周囲圧力条件)下で行われる、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記方法が、希釈条件下で行われ、その際の前記無機金属前駆体の濃度が、≦50mMである、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記第一の無機金属前駆体に加えて、金属M、式(I)の金属Mの塩、又は金属Mの水酸化物若しくは酸化物の形態の第二の無機金属前駆体が前記反応混合物に添加され;
    .nHO (I)
    式中、Mは、Cu、Fe、Co、Ni、Al、Ti、Mn、V、Cr、Ru、Sn、又はNbから選択される金属であり;
    Yは、Cl、NO 、SO 2-、AcO、又は
    Figure 0007021232000014

    を表す、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記方法が、酸化鉄の粒子の存在下で行われ、前記酸化鉄のコアがMOFシェル内に封入されているコアシェル粒子が製造される、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記方法が、<90nmの平均サイズを有するナノ粒子を生じるものである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記方法が、ISO規格13321:1996E及びISO22412:2008に基づいて算出された0.05≦PDI≦0.4の多分散指数を有するナノ粒子を生じるものである、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記多孔質MOF材料中に少なくとも1つの医薬活性成分を導入する工程をさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. ISO規格13321:1996E及びISO22412:2008に基づいて算出された0.05≦PDI≦0.5の多分散指数、及び<90nmの平均サイズを有する多孔質結晶性Fe-、Al-、又はTi-ベースMOFカルボキシレート材料のナノ粒子。
  15. 求項14に記載のナノ粒子を含む医薬
  16. 請求項1~13のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる多孔質結晶性MOFカルボキシレート材料のナノ粒子であって、前記MOFカルボキシレート材料は:
    (i)式FeO(HO)(OH)(H-BTeC)1.5を有し、リンカーとしてのベンゼン-1,2,4,5-テトラカルボキシレートを介して接続された、三次元連続構造単位から構成されるか;又は
    (ii)式Fe(OH)(1,2,4-BTC)を有し、リンカーとしてのベンゼン-1,2,4-トリカルボキシレートを介して接続された、三次元連続構造単位から構成される、
    ナノ粒子。
  17. 求項10に記載の方法によって得ることができるナノ粒子を含む医療イメージングに用いることができる造影剤
  18. 求項に記載の方法によって得ることができるナノ粒子を含む不均一系触媒的化学反応を行うための触媒担体
  19. 求項1~13のいずれか一項に記載の方法によって得ることができるナノ粒子を含む不均一系触媒的化学反応を行うための触媒担体、又は気体貯蔵/分離/精製材料、又は活性要素(医薬、化粧品)を封入するためのマトリックス
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