JP2011225144A - 車両用操舵装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】操舵に対して応答性よく転舵輪を転舵しつつも、操舵開始時や操舵停止時に大きな操舵反力の変化が発生することを抑制してドライバに与える違和感の低減を図る。
【解決手段】転舵制御部25は、第1の目標転舵角θ1と第2の目標転舵角θ2とを加算した最終目標転舵角θtに基づいて転舵モータ7を制御している。一方、反力制御部26は、第1の目標操舵反力T1と第2の目標操舵反力T2とを加算した最終目標操舵反力Ttに基づいて反力モータ3を制御している。この場合、第2の目標操舵反力T2を演算する第2の目標操舵反力演算部24は、操舵角速度θtに基づく第2の目標転舵角θ2の変化を抑制した値(第2の転舵角補正値)に基づいて第2の目標操舵反力T2を算出する。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両用操舵装置に関する。
例えば、特許文献1には、ハンドルから転舵輪へと至る操舵系が機械的に分離されて、ドライバによるハンドルの操作量(操舵量)としての操舵角と転舵輪の転舵量としての転舵角との関係が任意に設定可能なステアバイワイヤ機構を用いた車両用操舵装置が開示されている。この装置によれば、操舵角と操舵角速度とに応じて転舵輪の目標転舵角が算出される。そして、転舵輪の転舵角が目標転舵角となるように転舵輪が制御されるとともに、操舵角に応じてハンドルに操舵反力が付与される。操舵角および操舵角速度に応じて転舵輪の目標転舵角が算出されるので、ドライバの操舵に対して応答性よく転舵輪を転舵(制御)することができる。
また、例えば、特許文献2には、操舵角と操舵角速度とに応じて転舵輪の目標転舵角を算出し、この目標転舵角に基づいて転舵輪を転舵駆動する駆動手段を制御するとともに、目標転舵角に基づいてハンドルの操舵反力を制御する手法が開示されている。
特開2007−99060号公報 特開2001−138936号公報
しかしながら、特許文献1に開示された手法によれば、操舵停止後も転舵輪の転舵角が変化するため車両挙動は変化するが、操舵反力は変化しないため、操舵反力と車両挙動との乖離にドライバが違和感を覚える可能性がある。一方、特許文献2に開示された手法によれば、目標転舵角に応じてハンドルに操舵反力を付与することにより、ドライバが感じる操舵反力と車両挙動との乖離を抑制することが考えられる。しかしながら、操舵開始時や停止時には操舵角速度が大きく変化するため大きな操舵反力の変化が発生し、当該反力に対してドライバが違和感を覚える可能性がある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、操舵に対して応答性よく転舵輪を転舵しつつも、操舵開始時や操舵停止時に大きな操舵反力の変化が発生することを抑制してドライバに与える違和感の低減を図ることである。
かかる課題を解決するために、本発明は、検出した操舵角に基づいて第1の目標転舵角を算出し、操舵角速度に基づいて第2の目標転舵角を算出する。一方、算出した第1の目標転舵角に基づいて第1の目標操舵反力を算出し、算出した第2の目標転舵角の変化を抑制した値に基づいて第2の目標操舵反力を算出する。これにともない、第1の目標転舵角と第2の目標転舵角とを加算した最終目標転舵角に基づいて転舵輪を制御し、第1の目標操舵反力と第2の目標操舵反力とを加算した最終目標操舵反力に基づいて操舵反力を制御する。
本発明によれば、操舵角に基づく第1の目標転舵角と、操舵角速度に基づく第2の目標
転舵角とを加算した最終目標転舵角に基づいて転舵輪を制御している。このため、ドライバの操舵に対して転舵輪を応答性よく転舵することができる。また、操舵角に基づく第1の目標転舵角に基づいて第1の目標操舵反力を算出し、操舵角速度に基づく第2の目標転舵角の変化を抑制した値に基づいて第2の目標操舵反力を算出する。そして、第1および第2の目標操舵反力を加算した最終目標操舵反力に基づいて操舵反力を制御している。このため、第2の目標転舵角が大きな変化を伴ったとしても、第2の目標操舵反力、ひいては、最終目標操舵反力に反映される変化が抑制されることとなる。そのため、操舵開始時および操舵停止時に大きな操舵反力の変動が生じるといった事態を抑制することができる。これにより、転舵輪を応答性よく制御しつつもドライバに与える違和感の低減を図ることができる。
第1の実施形態にかかる車両用操舵装置1が適用された車両Cの構成を模式的に示す説明図 SBWコントローラ20の構成を示すブロック図である。 第1の目標転舵角演算部21の構成を示すブロック図 操舵ギヤ比演算部211の構成を示すブロック図 第2の目標転舵角演算部22の構成を示すブロック図 第1の目標操舵反力演算部23の構成を示すブロック図 路面μ推定部231の構成を示すブロック図 横加速度Geの演算マップを示す説明図 第2の目標操舵反力演算部24の構成を示すブロック図 指示部242の構成を示すブロック図 第1の演算部242aの構成を示すブロック図 第2の演算部242bの構成を示すブロック図 第3の演算部242cによるゲインK3およびカットオフ周波数H3の決定手順を示すフローチャート 第1の実施形態に示す制御の適用の有無を比較した説明図 第1の実施形態に示す制御の適用の有無を比較した説明図 第2の施形態にかかる第2の目標転舵角演算部22の構成を示すブロック図
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかる車両用操舵装置1が適用された車両Cの構成を模式的に示す説明図である。この車両Cにおいて、ドライバによってハンドルStが操作(操舵)された場合、転舵輪である前輪Wfは、例えばステアバイワイヤ機構を用いた車両用操舵装置1によって操舵される。このステアバイワイヤ機構では、ハンドルStから前輪Wfへと至る操舵系が機械的に分離されており、ドライバによるハンドルStの操作量としての操舵角と、前輪Wfの転舵量としての転舵角との関係が任意に設定される。
ハンドルStが一端に取付けられたステアリングシャフト2の他端には、操舵反力アクチュエータである電動モータ(以下「反力モータ」という)3の出力軸が接続されている。この反力モータ3において発生したトルクは、ステアリングシャフト2を介し、操舵反力としてハンドルStに伝達される。
一方、左右の前輪Wfには、ナックルアーム(図示せず)がそれぞれ接続されており、個々のナックルアームは、タイロッド4を介してラック5にそれぞれ接続している。ラック5には、ピニオンシャフト6が噛合して、いわゆるラック・アンド・ピニオンを形成している。ピニオンシャフト6には、転舵輪駆動アクチュエータである電動モータ(以下「
転舵モータ」という)7が接続されており、この転舵モータ7において発生したトルクはピニオンシャフト6を介してラック5へ伝達される。これにより、ピニオンシャフト6が回転すると、ラック5が軸線方向に変位し、この変位に応じて、前輪Wfの操舵角が変化する。
なお、図示しないが、車両用操舵装置1には、ステアバイワイヤ機構に何らかの異常が発生した場合に、ステアリングシャフト2とピニオンシャフト6とを機械的に接続してトルク伝達を可能とする動力伝達機構(例えば、異常が発生した場合に締結するクラッチ)が設けられている。この動力伝達機構により、ステアバイワイヤ機構に何らかの異常が発生した場合にはドライバがハンドルStを操舵することによって、前輪Wfを直接的に転舵操作可能としている。なお、以下の説明では、ステアバイワイヤ機構に異常が発生していない状態を前提とし、ステアリングシャフト2とピニオンシャフト6とは機械的に分離しているものとする。
反力モータ3および転舵モータ7の回転出力(出力トルク)は、SBWコントローラ20によって制御されており、このSBWコントローラ20により、ハンドルStの操舵に応じた前輪Wfの転舵角と操舵反力とが設定される。SBWコントローラ20には、これらのモータ3,7の出力制御を行うために、センサ8〜11を含む検出系からの検出値が入力される。
操舵角センサ8は、ステアリングシャフト2に取付けられており、ステアリングシャフト2の回転角に基づいて操舵角θを検出する(操舵角検出手段)。例えば、ハンドルStの中立位置に相当する直進走行時の操舵角θを基準値(たとえば、ゼロ)として、操舵角センサ8は基準値からの操舵角θを検出する。転舵角センサ9は、ピニオンシャフト6に取付けられており、ピニオンシャフト6の回転角に基づいて前輪Wfの転舵角δを検出する(転舵角検出手段)。車速センサ10は、左右の後輪Wrにそれぞれ設けられており、後輪Wrの回転状態から車速Vを検出する。タイヤ横力センサ11は、左右の前輪Wfのハブ部にそれぞれ設けられており、前輪Wfのタイヤに作用する路面反力である横力(以下「タイヤ横力」という)Fyを検出する(横力検出手段)。
SBWコントローラ20は、システム全体を統合的に制御する機能を担っており、制御プログラムに従って動作することにより、操舵制御に関する各種の処理を行う。SBWコントローラ20としては、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェースを主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。このSBWコントローラ20は、検出系によって検出される各種の情報に基づいて種々の演算を行う。そして、SBWコントローラ20は、演算結果に応じた制御信号を、反力付与手段である反力モータ3および転舵輪駆動手段である転舵モータ7に出力することにより、操舵反力および前輪Wrの転舵角δを制御する。
図2は、SBWコントローラ20の構成を示すブロック図である。SBWコントローラ20は、これを機能的に捉えた場合、第1の目標転舵角演算部21、第2の目標転舵角演算部22、第1の目標操舵反力演算部23、第2の目標操舵反力演算部24、転舵制御部25および反力制御部26を有している。
第1の目標転舵角演算部21は、操舵角θおよび車速Vを入力として、第1の目標転舵角θ1を算出する(第1の目標転舵角演算手段)。算出された第1の目標転舵角θ1は、第1の目標操舵反力演算部23および第2の目標操舵反力演算部24にそれぞれ出力されるとともに、加算器により後述する第2の目標転舵角θ2が加算されることにより最終目標転舵角θtとして転舵制御部25に出力される。
第2の目標転舵角演算部22は、操舵角θおよび車速Vを入力として、第1の目標転舵角θ1とは異なる第2の目標転舵角θ2を算出する(第2の目標転舵角演算手段)。算出された第2の目標転舵角θ2は、第2の目標操舵反力演算部24と、第1の目標転舵角θ1に対する加算器とにそれぞれ出力される。
第1の目標操舵反力演算部23は、第1の目標転舵角θ1と、車速Vと、タイヤ横力Fyとを入力として、第1の目標操舵反力T1を算出する(第1の目標操舵反力演算手段)。算出された第1の目標操舵反力T1は、加算器により後述する第2の目標操舵反力T2が加算されることにより最終目標操舵反力Ttとして反力制御部26に出力される。
第2の目標操舵反力演算部24は、第1の目標転舵角θ1と、車速Vと、第2の目標転舵角θ2とを入力として、第1の目標操舵反力T1とは異なる第2の目標操舵反力T2を算出する(第2の目標操舵反力演算手段)。算出された第2の目標操舵反力T2は、第1の目標操舵反力T1に対する加算器に出力される。
転舵制御部25は、転舵モータ7を制御することにより、前輪Wfに付与する転舵角δを制御する(転舵輪制御手段)。具体的には、転舵制御部25は、転舵角δと、最終目標転舵角θtとを入力として、転舵角δが最終目標転舵角θtと対応するように転舵モータ7を制御する。
反力制御部26は、反力モータ3を制御することにより、ハンドルStに付与する操舵反力を制御する(反力制御手段)。具体的には、反力制御部26は、最終目標操舵反力Ttを入力として、ハンドルStに付与される操舵反力が最終操舵目標操舵反力Ttと対応するように反力モータ3を制御する。
以下、SBWコントローラ20の詳細な動作について説明する。以下に示す動作は、例えば、車両Cのイグニッションスイッチのオンとともに開始され、所定の周期で実行される。まず、SBWコントローラ20は、転舵角センサ9、操舵角センサ8、車速センサ10およびタイヤ横力センサ11から転舵角δ、操舵角θ、車速Vおよびタイヤ横力Fyをそれぞれ読み込む。
図3は、第1の目標転舵角演算部21の構成を示すブロック図である。第1の目標転舵角演算部21は、操舵ギヤ比演算部211および転舵角演算部212を有している。
操舵ギヤ比演算部211は、図4に示すように、車速Vに基づいて、操舵ギヤ比Nを算出する。操舵ギヤ比Nは、車速Vと相関を有しており、車速Vが低い低速領域(A1)では操舵応答が俊敏になるように小さな値、車速Vが高い高速領域(A2)では操舵応答が緩慢になるように大きな値に設定されている。操舵ギヤ比Nと車速Vとの関係は実験やシミュレーションを通じて予め設定されており、操舵ギヤ比演算部211は、当該関係を規定したマップを保持しており、車速Vに応じて操舵ギヤ比Nを出力する。操舵ギヤ比Nは、転舵角演算部212に出力される。
なお、本実施形態では、上述の通り車速Vに応じて操舵応答を変更するために、操舵ギヤ比Nを車速Vに応じて可変としているが、これに限定されない。車速Vに応じて操舵応答を変更する必要がない場合は、操舵ギヤ比演算部211は、例えば予め定められた所定(一定)の操舵ギヤ比Nを出力すればよく、この場合は車速Vを操舵ギヤ比演算部211に入力する必要はない。
転舵角演算部212は、下式に示すように、操舵角θおよび操舵ギヤ比Nに基づいて、第1の目標転舵角θ1を算出する。
同数式から分かるように、第1の目標転舵角θ1は、操舵ギヤ比Nと、操舵角θとを積算することにより算出される。
図5は、第2の目標転舵角演算部22の構成を示すブロック図である。第2の目標転舵角演算部22は、微分値演算部221と、操舵ギヤ比演算部222と、転舵角演算部223とを有する。
微分値演算部221は、操舵角θを時間微分し、操舵角速度θtを算出する(操舵角速度検出手段)。算出された操舵角速度θtは、転舵角演算部223に出力される。また、操舵ギヤ比演算部222は、前述した操舵ギヤ比演算部211と同様に、車速Vに基づいて、操舵ギヤ比Nを算出する。算出された操舵ギヤ比Nは、転舵角演算部223に出力される。
転舵角演算部223は、下式に示すように、操舵角速度θtおよび操舵ギヤ比Nに基づいて、第2の目標転舵角θ2を算出する。
同数式において、K1は、比例定数であり、実験やシミュレーションを通じて最適値が予め設定されている。同数式から分かるように、第2の目標転舵角θ2は、操舵角速度θtおよび比例定数K1の積算値と、操舵ギヤ比Nとを積算することにより算出される。
図6は、第1の目標操舵反力演算部23の構成を示すブロック図である。第1の目標操舵反力演算部23は、路面μ推定部231と、反力演算部232とを有する。
路面μ推定部231は、第1の目標転舵角θ1と、車速Vと、タイヤ横力Fyとに基づいて、路面の摩擦係数(以下「路面μ」という)の推定値である路面μ推定値μeを算出する(路面摩擦係数推定手段)。具体的には、図7に示すように、路面μ推定部231は、横加速度推定部231aと、横加速度換算部231bと、μ推定部231cとを有している。
横加速度推定部231aは、第1の目標転舵角θ1と、車速Vとに基づいて、車体に生じる横加速度Ge(以下「推定横加速度Ge」という)を推定する。推定横加速度Geは、図8に示すように、第1の目標転舵角θ1が大きい程、さらに、車速Vが大きい程(V1<V2<V3)、大きな値を示す傾向を有している。横加速度Geと、第1の目標転舵角θ1および車速Vとの関係は、例えば路面μを一般的な乾燥路面における路面μとした条件下での実験やシミュレーションを通じて予め設定されている。横加速度推定部231aは、種々の車速V毎に、横加速度Geと第1の目標転舵角θ1との関係を規定したマップを保持しており、第1の目標転舵角θ1と車速Vとから推定横加速度Geを算出する。また、マップに規定されない車速Vについて推定横加速度Geの演算を行う場合、横加速度推定部231aは、既存のマップに基づいて線形補完を行うことが好ましい。推定横加速度Geは、μ推定部231cに出力される。
横加速度換算部231bは、タイヤ横力Fyから換算される、車体に生じる横加速度Gv(以下「換算横加速度Gv」という)を算出する。具体的には、横加速度換算部231
bは、下式に基づいて換算横加速度Gvを算出する。
同数式において、mは車両質量である。lfは重心と前輪軸との間の距離であり、lrは重心と後輪軸との間の距離である。また、C1は補正係数であり、実験やシミュレーションを通じて最適値が予め設定されている。換算横加速度Gvは、車両諸元とタイヤ横力Fyとに応じて決定される値であり、タイヤ横力Fyが大きい程、大きな値を示す傾向を有している。換算横加速度Gvは、μ推定部231cに出力される。
μ推定部231cは、以下に示す関係式より、推定横加速度Geと換算横加速度Gvとの比較に基づいて路面μ推定値μeを算出する。
同数式において、C2は補正係数であり、実験やシミュレーションを通じて最適値が予め設定されている。横加速度の推定演算において仮定する路面μ(例えば一般的な乾燥路面における路面μ)と実際の路面μとの差(Δμ)が、推定横加速度Geと換算横加速度Gvとの横加速度差に相当することに基づいて同数式から路面μ推定値μeが算出される。路面μ推定値μeは、反力演算部232に出力される。
反力演算部232は、路面μ推定値μeおよび第1の目標転舵角θ1に基づいて、第1の目標操舵反力T1を算出する(反力演算手段)。具体的には、反力演算部232は、下式に基づいて第1の目標操舵反力T1を算出する。
同数式において、P1は、比例定数である。同数式から分かるように、第1の目標操舵反力T1は、路面μ推定値μeが低い場合は、これが高い場合と比較して比例的に小さな値に設定される。
図9は、第2の目標操舵反力演算部24の構成を示すブロック図である。第2の目標操舵反力演算部24は、参照横加速度演算部241、指示部242、LPF処理部243および反力演算部244を有している。
参照横加速度演算部241は、車速Vおよび第1の目標転舵角θ1に基づいて、車両Cの横加速度の推定値である参照横加速度Grを算出する。具体的には、参照横加速度演算部241は、下式に基づいて参照横加速度Grを算出する。
同数式において、φは参照ヨーレートであり、下式により算出される。
ここで、Kfは前輪のタイヤのコーナリングパワー、Krは後輪のタイヤのコーナリングパワーであり、lはホイールベースである。算出された参照横加速度Grは、指示部242に対して出力される。なお、参照横加速度演算部241は、前述した横加速度推定部231aと同様に、マップ演算により参照横加速度Grを演算してもよい。
指示部242は、車速V、参照横加速度Grおよび第1の目標転舵角θ1に基づいてゲインKおよびカットオフ周波数Hを設定する(周波数設定手段)。このゲインKおよびカットオフ周波数Hは、LPF処理部243により第2の目標転舵角θ2に対して施されるフィルタ処理(ローパスフィルタ処理)に作用するパラメータである。すなわち、ゲインKおよびカットオフ周波数Hの設定により、第2の目標操舵反力T2に対して反映される第2の目標転舵角θ2の影響度合いをコントロールすることができる。本実施形態では、車速V、参照横加速度Gr、第1の目標転舵角θ1の観点からゲインKおよびカットオフ周波数Hが設定される。これにより、第2の目標転舵角の変化を抑制した値(後述する第2の転舵角補正値θ2a)に基づいて第2の目標操舵反力T2を算出することで、第2の目標転舵角θ2の過渡的な変化に応じた第2の目標操舵反力T2の変化が抑制されるようにする。
図10に示すように、指示部242は、第1から第3の演算部242a〜242cと、第1および第2の最小値選択部242d,242eとを有している。
図11は、第1の演算部242aの構成を示すブロック図である。第1の演算部242aは、車速Vに基づいて、車速Vに依存するゲインK1およびカットオフ周波数H1を算出する。高速走行時、操舵に伴う操舵反力の変動を抑制することでドライバの操舵を阻害しないようにとの観点から、図中領域A3,A4で示すように、ゲインK1およびカットオフ周波数H1は、車速Vが大きい程、小さい値となるような傾向を有している。車速Vに対するゲインK1およびカットオフ周波数H1の関係は、実験やシミュレーションを通じて予め設定されており、第1の演算部242aは、当該関係をマップとして保持している。車速Vに依存するゲインK1は、第1の最小値選択部242dに出力され、また、車速Vに依存するカットオフ周波数H1は、第2の最小値選択部242eに出力される。
図12は、第2の演算部242bの構成を示すブロック図である。第2の演算部242bは、参照横加速度Grに基づいて、参照横加速度Grに依存するゲインK2およびカットオフ周波数H2を算出する。高い横加速度が作用する旋回中の微修正操舵による操舵反力の変動を抑制することでドライバに安定した操舵感を実現させるとの観点から、図中領域A5,A6で示すように、ゲインK2およびカットオフ周波数H2は、参照横加速度Grが大きい程、小さい値となるような傾向を有している。参照横加速度Grに対するゲインK2およびカットオフ周波数H2の関係は、実験やシミュレーションを通じて予め設定されており、第2の演算部242bは、当該関係をマップとして保持している。参照横加速度Grに依存するゲインK2は、第1の最小値選択部242dに出力され、また、参照横加速度Grに依存するカットオフ周波数H2は、第2の最小値選択部242eに出力される。
第3の演算部242cは、第1の目標転舵角θ1に基づいて、第1の目標転舵角θ1に依存するゲインK3およびカットオフ周波数H1を算出する。図13は、第3の演算部242cによるゲインK3およびカットオフ周波数H3の決定手順を示すフローチャートで
ある。
まず、ステップ1(S1)において、第3の演算部242cは、操舵が切り増されたか否かを判断する。このステップ1において肯定判定された場合、すなわち、操舵が切り増された場合には、ステップ2(S2)に進む。一方、ステップ1において否定判定された場合、すなわち、操舵が切り増されていない場合には、再度ステップ1の判断を行う。
ステップ2において、第3の演算部242cは、現在の第2の目標転舵角θ2を参照した上で、第2の目標転舵角θ2が予め設定されている閾値θthよりも大きいか否か、すなわち、大きな操舵がなされたか否かを判断する。このステップ2において肯定判定された場合、すなわち、第2の目標転舵角θ2が閾値θthよりも大きい場合には、ステップ3(S3)に進む。一方、ステップ2において否定判定された場合、すなわち、第2の目標転舵角θ2が閾値θth以下の場合には、ステップ1の判断に戻る。
ステップ3において、第3の演算部242cは、操舵が切り戻されたか否かを判断する。このステップ3において肯定判定された場合、すなわち、操舵が切り戻された場合には、ステップ4(S4)に進む。一方、ステップ3において否定判定された場合、すなわち、操舵が切り戻されていない場合(例えば保舵している場合)には、ステップ5(S5)に進む。
ステップ4において、第3の演算部242cは、ゲインK3を第1の所定ゲインKs1に設定するとともに、カットオフ周波数H3を第1の所定周波数Hs1に設定する。一方、ステップ5(S5)において、第3の演算部242cは、ゲインK3を第2の所定ゲインKs1に設定するとともに、カットオフ周波数H3を第2の所定周波数Hs2に設定する。第1の目標転舵角θに依存するゲインK3は、第1の最小値選択部242dに出力され、また、第1の目標転舵角θに依存するカットオフ周波数H3は、第2の最小値選択部242eに出力される。
ここで、第2の所定ゲインKs2は、第1の所定ゲインKs1よりも小さな値に、また、第2の所定周波数Hs2は、第1の所定周波数Hs1よりも小さな値に設定されている。操舵が切り戻されていないといった、例えば保舵しているようなシーンでは、第2の所定ゲインKs2および所定周波数Hs2が適用されることにより、操舵による反力変動を抑制することができる。また、操舵の切り戻しがあった場合、第1の所定ゲインKs1および所定周波数Hs1が適用されることにより、操舵角速度θtの符号が逆転したのに操舵反力の減少が始まらないといったユーザの感じる応答性の遅れを抑制することができる。これらのパラメータKs1,Ks2,Hs1,Hs2は、実験やシミュレーションを通じて最適値が予め設定されている。
第1の最小値選択部242dは、入力された各ゲインK1〜K3を比較し、最小値を最終的なゲインKとしてLPF処理部243に出力する。また、第2の最小値選択部242eは、入力された各カットオフ周波数H1〜H3を比較し、最小値を最終的なカットオフ周波数HとしてLPF処理部243に出力する。これにより、例えば、高速域での走行時には、車速に依存するゲインK1およびカットオフ周波数H1が最終的なゲインKおよびカットオフ周波数Hとして設定され、高い横加速度が作用する旋回走行時には、参照横加速度Grに依存するゲインK2およびカットオフ周波数H2が最終的なゲインKおよびカットオフ周波数Hとして設定される。また、ステップ的な入力となるような操舵を行った場合には、第1の目標転舵角θに依存するゲインK3およびカットオフ周波数H2が最終的なゲインKおよびカットオフ周波数Hとして設定される。
LPF処理部243は、ゲインKおよびカットオフ周波数Hに基づいて、第2の目標転
舵角θ2に対して高周波成分を減衰させるローパスフィルタ処理を施すことにより、第2の目標転舵角θの補正値(以下「第2の転舵角補正値」という)θ2aを算出する(ローパスフィルタ処理手段)。具体的には、LPF処理部243は、下式に基づいて第2の転舵角補正値θ2aを算出する。

ここで、τはフィルタの時定数であり、sはラプラス演算子である。算出された第2の転舵角補正値θ2aは、反力演算部244に出力される。
反力演算部244は、入力された第2の転舵角補正値θ2aに基づいて、第2の目標操舵反力T2を算出する。具体的には、反力演算部244は、下式に基づいて第2の目標操舵反力T2を算出する。ここで、P2は比例定数である。
このように、本実施形態の車両用操舵装置1において、反力制御部26は、第1の目標操舵反力T1と第2の目標操舵反力T2とを加算した最終目標操舵反力Ttに基づいて反力モータ3を制御している。この場合、第2の目標操舵反力T2を演算する第2の目標操舵反力演算部24は、第2の目標転舵角θ2の変化を抑制した値(第2の転舵角補正値θ2a)に基づいて第2の目標操舵反力T2を算出している。
図14は、本実施形態に示す制御の適用の有無を比較した説明図である。(a)は、ある典型的な操舵入力(操舵角θ)と、それに応じた第1の目標転舵角θ1との推移を示す(同図において「T」は時間を示す)。(b)は、(a)の入力に応じた第2の目標転舵角θ2と、第2の転舵角補正値θ2aとの推移を示している。(c)は、(b)に示す第2の転舵角補正値θ2aから算出された最終目標操舵反力Ttと、補正をしない第2の目標転舵角θ2から算出された最終目標操舵反力Tt1の推移を示す。
操舵初期(時間t1)において、LPF処理部243のローパスフィルタ処理の効果により、第2の転舵角補正値θ2aには、補正前の値である第2の目標転舵角θ2のような急変が抑制されている。したがって、第2の目標転舵角θ2が大きな変化を伴ったとしても、第2の目標操舵反力T2、ひいては、最終目標操舵反力Ttに反映される変化が抑制されることとなる。これにより、操舵開始時および操舵停止時に大きな反力変動が生じるといった事態を抑制することができる。そのため、ドライバの操舵開始後や操舵停止後の転舵制御による操舵反力の変化をドライバへ適度に伝達することができる。これにより、ドライバに与える違和感の低減を図ることができる。
もっとも、第2の目標転舵角θ2は、転舵角制御および操舵反力制御のために参照されるパラメータである。しかしながら、転舵角制御については第2の目標転舵角θ2の変化をそのまま反映することが操舵応答の関係上好ましいことから、操舵反力制御とは異なり、第2の目標転舵角θ2の変化を抑制するといった手法は適用されていない。すなわち、
本実施形態では、操舵反力制御についてのみ第2の目標転舵角θ2の変化を抑制する構成とすることにより、高い操舵応答の実現と、操舵開始時および操舵停止時などの大きな操舵反力の変動によるドライバに与える違和感の低減とを両立している。
また、本実施形態において、第1の目標操舵反力演算部23は、路面μ推定値μeと、第1の目標転舵角θ1とに基づいて第1の目標操舵反力T1を演算している。そのため、第1の目標操舵反力T1は、路面μ推定値μeが低い場合は、これが高い場合と比較して比例的に小さな値に設定される。そのため、ドライバに路面状態を操舵反力として伝達することができるので、ドライバが路面状態に応じた操舵を行うことが可能となる。
また、本実施形態において、第2の目標操舵反力演算部24は、第2の目標転舵角θ2に対して高周波成分を除去するフィルタ処理を施すLPF処理部243を有している。かかる構成によれば、第2の目標転舵角θ2に対してローパスフィルタ処理を施すことにより、第2の目標転舵角θ2の変化を抑制した値である第2の転舵角補正値θ2aを得ることができる。
このような第2の目標転舵角θ2の変化にともなう操舵反力変化を抑制する効果は、車速Vに依存するゲインK1およびカットオフ周波数H2から分かるように、車速Vが高い程強くなる。これにより、高速走行時において操舵による操舵反力の変動が抑制されるので、比較的高いドライバの操舵精度が要求される高速走行時において、ドライバの操舵を阻害するといった事態を抑制することができる。
また、かかる第2の目標転舵角θ2の変化にともなう操舵反力変化を抑制する効果は、参照横加速度Grに依存するゲインK2およびカットオフ周波数H2から分かるように、参照横加速度Grが高い程強くなる。高い横加速度が作用する旋回中、ドライバは操舵反力に抗うように操舵トルクを与えるように微修正操舵を行い車両挙動を制御している。そのため、前述のようにゲインK2およびカットオフ周波数H2を演算することにより、操舵反力の変動が抑制されるので、ドライバに安定した操舵感を実現させることができる。
さらに、かかる第2の目標転舵角θ2の変化にともなう操舵反力変化を抑制する効果は、第1の目標転舵角θ1に依存するゲインK3およびカットオフ周波数H3から分かるように、操舵保持開始時(時間t2)には強くなる(ステップ4での否定判定のシーン)。これにより、保舵時に操舵反力が抜けてしまうといった事態を抑制することができる。
なお、図15に示すように、操舵が切り増された後に、切り戻しがあった場合には、切り戻しが無い場合と比較して、前述の第2の目標転舵角θ2の変化にともなう操舵反力変化を抑制する効果は弱くなる(ステップ4での肯定判定のシーン)。これにより、操舵角速度θの符号が逆転したのに、操舵反力の減少が始まらない、すなわち、操舵反力の変化に遅れが生じるといった事態を抑制することができる。
ここで、図15は、本実施形態に示す制御の適用の有無を比較した説明図である。(a)は、ある典型的な操舵入力(操舵角θ)と、それに応じた第1の目標転舵角θ1との推移を示す(同図において「T」は時間を示す)。(b)は、(a)の入力に応じた第2の目標転舵角θ2と、第2の転舵角補正値θ2a,θ2a’との推移を示している。この場合、θ2aは、操舵の切り戻しがあった際に、ゲインK3およびカットオフ周波数H3を第1の所定ゲインKs1および所定周波数Hs1に設定した場合の第2の転舵角補正値であり、θ2a’は、操舵の切り戻しがあった際に、ゲインK3およびカットオフ周波数H3を第2の所定ゲインKs2および所定周波数Hs2に設定したままの場合の第2の転舵角補正値である。また、(c)は、(b)に示す第2の転舵角補正値θ2aから算出された最終目標操舵反力Tt,Tt’と、補正をしない第2の目標転舵角θ2から算出された最終目標操舵反力T
t1の推移を示す。ここで、Ttは、操舵の切り戻しがあった際に、ゲインK3およびカットオフ周波数H3を第1の所定ゲインKs1および所定周波数Hs1に設定した場合の最終目標操舵反力であり、Tt’は、操舵の切り戻しがあった際に、ゲインK3およびカットオフ周波数H3を第2の所定ゲインKs2および所定周波数Hs2に設定したままの場合の最終目標操舵反力である。
また、上述した実施形態では、車速V、参照横加速度Grおよび第1の目標転舵角θ1に依存するゲインK1〜K3およびカットオフ周波数H1〜H3のうち最小値が選択され、これがLPF処理部243に設定される。これにより、最も強く作用する要素に応じて第2の目標転舵角θ2の変化にともなう操舵反力変化を抑制する効果を得ることができるので、ドライバに与える違和感を抑制することができる。
なお、上述した実施形態では、車速V、参照横加速度Grおよび第1の目標転舵角θ1に依存するゲインK1〜K3およびカットオフ周波数H1〜H3のそれぞれが指示部242に設定されている。しかしながら、いずれか一つの要素を単独で指示部242に設定してもよいし、2つのを組み合わせて設定してもよいし、別の要素を付加してもよい。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態にかかる車両用操舵装置1について説明する。第2の実施形態にかかる車両用操舵装置1が第1の実施形態のそれと相違する点は、第2の目標転舵角θ2の演算手法である。なお、本実施形態にかかる車両用操舵装置1の構成および制御動作については、第1の実施形態のそれと基本的に同様であり、図面および関連する説明を引用することとし、以下、相違点を中心に説明を行う。
図16は、本実施形態にかかる第2の目標転舵角演算部22の構成を示すブロック図である。第2の目標転舵角演算部22は、第1の微分値演算部221と、第2の微分値演算部224と、操舵ギヤ比演算部222と、転舵角演算部223とを有する。
第1の微分値演算部221は、操舵角θを時間微分し、操舵角速度θtを算出する。算出された操舵角速度θtは、第2の微分値演算部224および転舵角演算部223に出力される。また、操舵ギヤ比演算部222は、第1の実施形態と同様、操舵ギヤ比Nを算出する。算出された操舵ギヤ比Nは、転舵角演算部223に出力される。
第2の微分値演算部224は、操舵角速度θtを時間微分し、操舵角加速度θt2を算出する(操舵角加速度検出手段)。算出された操舵角加速度θt2は、転舵角演算部223に対して出力される。
転舵角演算部223は、下式に示すように、操舵角速度θt、操舵角加速度θt2および操舵ギヤ比Nに基づいて、第2の目標転舵角θ2を算出する。
同数式において、K1,K2は、比例定数であり、実験やシミュレーションを通じて最適値が予め設定されている。同数式から分かるように、第2の目標転舵角θ2は、操舵角速度θtおよび比例定数K1の積算値と操舵角加速度θt2および比例定数K2の積算値との和に、操舵ギヤ比Nを積算することにより算出される。
このように本実施形態によれば、操舵角速度θtおよび操舵角加速度θt2に基づいて第2の目標転舵角θ2が演算される。かかる構成によれば、例えば障害物を回避する緊急回
避時といったように急な操舵がなされる場合には、操舵角速度θtのみで第2の目標転舵角θ2を演算する手法と比較して、第2の目標転舵角θ2の立ち上がり(操舵初期の第2の目標転舵角θ2の増大速度)が早くなる。そのため、急な操舵に対する反力不足が改善され、操舵初期のドライバの操作性の向上を図ることができる。
以上、本発明の実施形態にかかる車両用操舵制御装置について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その発明の範囲内において種々の変形が可能であることはいうまでもない。
1 車両用操舵装置
2 ステアリングシャフト
3 反力モータ
4 タイロッド
5 ラック
6 ピニオンシャフト
7 転舵モータ
8 操舵角センサ
9 転舵角センサ
10 車速センサ
11 タイヤ横力センサ
20 SBWコントローラ
21 第1の目標転舵角演算部
211 操舵ギヤ比演算部
212 転舵角演算部
22 第2の目標転舵角演算部
221 微分値演算部
222 操舵ギヤ比演算部
223 転舵角演算部
23 第1の目標操舵反力演算部
231 路面μ推定部
231a 横加速度推定部
231b 横加速度換算部
231c μ推定部
232 反力演算部
24 第2の目標操舵反力演算部
241 参照横加速度演算部
242 指示部
242a 第1の演算部
242b 第2の演算部
242c 第3の演算部
242d 最小値選択部
242e 最小値選択部
243 LPF処理部
244 反力演算部
25 転舵制御部
26 反力制御部

Claims (10)

  1. ドライバによって操作されるハンドルと機械的に分離された転舵輪を駆動する転舵輪駆動手段と、
    前記ハンドルに操舵反力を付与する反力付与手段と、
    前記転舵輪の転舵角を検出する転舵角検出手段と、
    ドライバによる前記ハンドルの操作量としての操舵角を検出する操舵角検出手段と、
    ドライバによる前記ハンドルの操作速度としての操舵角速度を検出する操舵角速度検出手段と、
    前記検出した操舵角に基づいて第1の目標転舵角を算出する第1の目標転舵角演算手段と、
    前記検出した操舵角速度に基づいて第2の目標転舵角を算出する第2の目標転舵角演算手段と、
    前記算出した第1の目標転舵角に基づいて第1の目標操舵反力を算出する第1の目標操舵反力演算手段と、
    前記算出した第2の目標転舵角の変化を抑制した値に基づいて第2の目標操舵反力を算出する第2の目標操舵反力演算手段と、
    前記第1の目標転舵角と前記第2の目標転舵角とを加算した最終目標転舵角に基づいて前記転舵輪駆動手段を制御する転舵輪制御手段と、
    前記第1の目標操舵反力と前記第2の目標操舵反力とを加算した最終目標操舵反力に基づいて前記反力付与手段を制御する反力制御手段と
    を有することを特徴とする車両用操舵装置。
  2. 操舵角加速度を検出する操舵角加速度検出手段をさらに備え、
    前記第2の目標転舵角演算手段は、前記検出した操舵角速度および操舵角加速度に基づいて前記第2の目標転舵角を算出することを特徴とする請求項1に記載された車両用操舵装置。
  3. 前記転舵輪のタイヤに作用する横力を検出する横力検出手段をさらに有し、
    前記第1の目標操舵反力演算手段は、
    前記検出した横力に基づいて路面摩擦係数を推定する路面摩擦係数推定手段と、
    前記推定した路面摩擦係数と前記算出した第1の目標転舵角とに基づいて前記第1の目標操舵反力を算出する反力演算手段と
    を有することを特徴とする請求項1または2に記載された車両用操舵装置。
  4. 前記第2の目標操舵反力演算手段は、前記第2の目標転舵角に対して高周波成分を除去するフィルタ処理を施すローパスフィルタ処理手段を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載された車両用操舵装置。
  5. 前記第2の目標操舵反力演算手段は、前記ローパスフィルタ処理手段において設定されるゲインおよびカットオフ周波数を設定する周波数設定手段をさらに有することを特徴とする請求項4に記載された車両用操舵装置。
  6. 前記周波数設定手段は、車速に依存するゲインおよびカットオフ周波数として、車速が高いほど小さいゲインおよびカットオフ周波数を設定することを特徴とする請求項5に記載された車両用操舵装置。
  7. 前記周波数設定手段は、車両の横加速度に依存するゲインおよびカットオフ周波数として、車両の横加速度が大きいほど小さいゲインおよびカットオフ周波数を設定することを特徴とする請求項5または6に記載された車両用操舵装置。
  8. 前記周波数設定手段は、前記第1の目標転舵角に依存するゲインおよびカットオフ周波数として、前記第1の目標転舵角が変化していない場合には当該第1の目標転舵角が変化している場合に比して小さなゲインおよびカットオフ周波数を設定することを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載された車両用操舵装置。
  9. 前記周波数設定手段は、車速に依存するゲインおよびカットオフ周波数、車両の横加速度に依存するゲインおよびカットオフ周波数、および、前記第1の目標転舵角に依存するゲインおよびカットオフ周波数のうちから最小値となるゲインおよびカットオフ周波数を設定することを特徴とする請求項8に記載された車両用操舵装置。
  10. ドライバによって操作されるハンドルと機械的に分離された転舵輪を駆動する転舵輪駆動手段と、
    前記ハンドルに操舵反力を付与する反力付与手段と、
    前記転舵輪の転舵角を検出する転舵角検出手段と、
    ドライバによる前記ハンドルの操作量としての操舵角を検出する操舵角検出手段と、
    ドライバによる前記ハンドルの操作速度としての操舵角速度を検出する操舵角速度検出手段と、
    前記検出した操舵角に基づいて算出される第1の目標転舵角と、前記検出した操舵角速度に基づいて算出される第2の目標転舵角とを加算した最終目標転舵角に基づいて前記転舵輪駆動手段を制御する転舵輪制御手段と、
    前記算出した第1の目標転舵角に基づいて算出される第1の目標操舵反力と、前記算出した第2の目標転舵角に基づいて算出される第2の目標操舵反力とを加算した最終操舵目標操舵反力に基づいて前記反力付与手段を制御する反力制御手段とを有し、
    前記第2の目標操舵反力は、前記第2の目標転舵角の変化に応じた前記第2の目標操舵反力の変化が抑制されるように演算されることを特徴とする車両用操舵装置。
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