JPWO2016162902A1 - 車線維持支援装置 - Google Patents

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Abstract

低速域において、自車両が走行車線から逸脱することを防止しつつ、車両の進行方向のふらつきを防止する。具体的には、車両に設けられたステアリングホイールと車両を転舵させる転舵輪とが機械的に切り離された車両が走行車線内を走行するように支援する車線維持支援装置であって、車両が走行車線内を走行するように算出した第1の転舵角と、ステアリングホイールの操舵量に対応した第2の転舵角とを用いて転舵輪の転舵角を制御し、車両の車速を検出し、第1の転舵角に対応した第1の反力指令値を算出すると共に、第2の転舵角に対応した第2の反力指令値を算出し、車速が所定の閾値よりも高いときには第2の反力指令値のみに対応する操舵反力にて、ステアリングホイールに与える操舵反力を制御し、車速が所定の閾値以下のときには第1の反力指令値及び第2の反力指令値に対応する操舵反力にて、ステアリングホイールに与える操舵反力を制御する。

Description

本発明は、車両の車線維持制御を行う車線維持支援装置に関する。
車両の車線維持支援装置として、例えば特許文献1に記載の技術がある。
この従来技術では、車両に設けられたステアリングホイールと車両を転舵させる転舵輪とが機械的に切り離された車両において、白線と自車進行方向とのなす角度であるヨー角に応じてオフセット量を算出し、操舵反力特性をオフセットすることにより、車線の端に寄った車両を車線中央側へと戻すためにドライバが修正操舵を行う際の操舵負担を軽減する。
特開2014−80177号公報
特許文献1のように、従来の車線維持支援装置では、ステアリングホイールと転舵輪とが機械的に切り離されたステアバイワイヤ(SBW)を採用した車両において、ステアリングホイールの反力と転舵輪の転舵角とを独立に制御しているため、転舵角制御を行ってもその転舵角制御に対応する操舵反力を運転者に与えない。このように転舵角制御のみによる車線維持制御を行う場合、車両が高速で走行しているときは違和感が少ないので問題ない。しかし、車両が低速で走行しているときは転舵方向と実際に車両が向いている方向とが異なることを意識し易いため違和感が生じる可能性がある。
本発明の目的は、低速域において車線維持制御を実施した場合に既存技術よりも運転者の違和感を低減した適切な操舵反力を求めることができる車線維持支援装置を提供することである。
上記の課題を解決するため、本発明の一態様に係る車線維持支援装置は、車両に設けられたステアリングホイールと車両を転舵させる転舵輪とが機械的に切り離された車両において、車両が走行車線内を走行するように支援する車線維持支援装置であって、車両が走行車線内を走行するように算出した第1の転舵角と、ステアリングホイールの操舵量に対応した第2の転舵角とを用いて転舵輪の転舵角を制御し、車両の車速を検出し、第1の転舵角に対応したステアリングホイールへの第1の反力指令値を算出すると共に、第2の転舵角に対応したステアリングホイールへの第2の反力指令値を算出し、車速が所定の閾値よりも高いときには第2の反力指令値のみに対応する操舵反力にて、ステアリングホイールに与える操舵反力を制御し、車速が所定の閾値以下のときには第1の反力指令値及び第2の反力指令値に対応する操舵反力にて、ステアリングホイールに与える操舵反力を制御する。
本発明の一態様によれば、車線維持制御を実施した場合に、高速域においては車線維持制御の結果を操舵反力に反映せず運転者によるステアリングホイールの操舵量に基づいて操舵反力を制御し、低速域においては運転者によるステアリングホイールの操舵量と車線維持制御に応じた転舵角を用いて操舵反力を制御することで、低速域において車線維持制御を実施した場合に既存技術よりも運転者の違和感を低減した適切な操舵反力を求めることができる。
車線維持支援装置を搭載した車両Aの操舵系の構成例を表すブロック図である。 転舵制御部の構成例を表すブロック図である。 外乱抑制指令転舵角演算部の構成例を表すブロック図である。 ヨー角に応じた反発力演算部の構成例を表すブロック図である。 横位置に応じた反発力演算部の構成例を表すブロック図である。 横位置フィードバック制御の実行領域を表す図である。 操舵反力制御部の構成例を表すブロック図である。 横力オフセット部の構成例を表すブロック図である。 操舵反力オフセット部の構成例を表すブロック図である。 逸脱余裕時間に応じた反力演算部の構成例を表すブロック図である。 横位置に応じた反力演算部の構成例を表すブロック図である。 転舵角に応じた反力演算部の構成例を表すブロック図である。 フィードフォワード軸力算出部の構成を表すブロック図である。 フィードバック軸力算出部の構成を表すブロック図である。 反力選択部24cにおける処理に関するフローチャートである。 操舵反力オフセット量の算出方法について説明するための説明図である。 車速が高速域であり、車線に対して一定のヨー角をつけて走行している場合における車線維持制御を表す図である。 車速が低速域であり、車線に対して一定のヨー角をつけて走行している場合における車線維持制御を表す図である。
<実施形態>
以下に、本発明の一実施形態について添付図面を参照して説明する。
(構成)
図1は、本実施形態に係る車線維持支援装置を搭載した車両Aの操舵系の構成例を表すブロック図である。
図1に示すように、車両Aは、操舵部1と、転舵部2と、バックアップクラッチ3と、SBWコントローラ4とを備える。車両Aは、運転者の操舵入力を受け付ける操舵部1と、転舵輪である左右前輪5FL、5FRを転舵する転舵部2とが機械的に切り離されたステアバイワイヤ(SBW)システムを採用している。
操舵部1は、ステアリングホイール1aと、コラムシャフト1bと、反力モータ1cと、操舵角センサ1dと、トルクセンサ1eを備える。
ステアリングホイール1aは、運転者の操舵入力を受けて回転する。
コラムシャフト1bは、ステアリングホイール1aと一体に回転する。
反力モータ1cは、出力軸がコラムシャフト1bと同軸であり、SBWコントローラ4からの指令(後述する反力モータ用電流ドライバ9aが出力した指令電流)に応じて、ステアリングホイール1aに付与する操舵反力トルクをコラムシャフト1bに出力する。例えば、反力モータ1cは、ブラシレスモータ等である。
操舵角センサ1dは、コラムシャフト1bの回転角、すなわち、ステアリングホイール1aの操舵角(ハンドル角度)を検出する。そして、操舵角センサ1dは、検出結果を後述するSBWコントローラ4に出力する。
転舵部2は、ピニオンシャフト2aと、ステアリングギア2bと、転舵モータ2cと、転舵角センサ2dと、ラック2fと、ラックギア2eとを備える。
ステアリングギア2bは、ピニオンシャフト2aの回転に応じて、左右前輪5FL、5FRを転舵する。ステアリングギア2bとしては、例えば、ラック・アンド・ピニオン式のステアリングギア等を採用できる。
転舵モータ2cは、出力軸が減速機を介してラックギア2eと接続され、SBWコントローラ4からの指令(後述する転舵モータ用電流ドライバ9bが出力した指令電流)に応じて、ラック2fに左右前輪5FL、5FRを転舵するための転舵トルクを出力する。例えば、転舵モータ2cは、ブラシレスモータ等である。
転舵角センサ2dは、転舵モータ2cの回転角を検出する。ここで、転舵モータ2cの回転角と左右前輪5FL、5FRの転舵角(タイヤ角度)との間には、一意に定まる相関関係がある。それゆえ、左右前輪5FL、5FRの転舵角は、転舵モータ2cの回転角から検出できる。以下では特に記載しない限り、左右前輪5FL、5FRの転舵角は、転舵モータ2cの回転角から算出されたものとする。
バックアップクラッチ3は、コラムシャフト1bとピニオンシャフト2aとの間に設けられている。そして、バックアップクラッチ3は、解放状態になると操舵部1と転舵部2とを機械的に切り離し、締結状態になると操舵部1と転舵部2とを機械的に接続する。
また、車両Aは、カメラ6と、各種センサ7と、ナビゲーションシステム8と、電流ドライバ9とを備える。
カメラ6は、車両A前方の走行路の映像を検出する。続いて、カメラ6は、検出結果をSBWコントローラ4に出力する。
各種センサ7は、車速センサ7aと、加速度センサ7bと、ヨーレートセンサ7cとを含む。
車速センサ7aは、車両Aの車速を検出する。続いて、車速センサ7aは、検出結果をSBWコントローラ4に出力する。
加速度センサ7bは、車両Aの前後方向の加速度(縦方向加速度)、及び車両Aの左右方向の加速度(横方向加速度)を検出する。そして、加速度センサ7bは、検出結果をSBWコントローラ4に出力する。
ヨーレートセンサ7cは、車両Aのヨーレート(左右前輪5FL、5FRに作用するタイヤ横力で変動する車両Aの状態量)を検出する。そして、ヨーレートセンサ7cは、検出結果をSBWコントローラ4に出力する。
ナビゲーションシステム8は、GPS(Global Positioning System)受信機、地図データベース、及び表示モニタを備える。そして、ナビゲーションシステム8は、GPS受信機及び地図データベースから車両Aの位置及び道路情報を取得する。続いて、ナビゲーションシステム8は、取得した車両Aの位置及び道路情報に基づいて経路探索を行う。続いて、ナビゲーションシステム8は、経路探索の結果を表示モニタに表示する。また、ナビゲーションシステム8は、取得した道路情報のうち、車両Aの走行路の道路情報をSBWコントローラ4に出力する。例えば、走行路の道路情報は、走行路の種別(高速道路、一般道)、及び現在の車両位置の走行路の車線幅(車線幅情報)等である。
電流ドライバ9は、反力モータ用電流ドライバ9aと、転舵モータ用電流ドライバ9bとを含む。
反力モータ用電流ドライバ9aは、反力モータ1cの電流値から推定される実操舵反力トルクを、SBWコントローラ4からの指令操舵反力トルクと一致させるトルクフィードバックにより、反力モータ1cへの指令電流を制御する。
転舵モータ用電流ドライバ9bは、転舵角センサ2dにより検出される実転舵角を、SBWコントローラ4からの指令転舵角と一致させる角度フィードバックにより、転舵モータ2cへの指令電流を制御する。
SBWコントローラ4は、操舵角センサ1d、トルクセンサ1e、転舵角センサ2d、カメラ6、車速センサ7a、加速度センサ7b、ヨーレートセンサ7c、及びナビゲーションシステム8が出力した検出結果(各種情報)を取得する。例えば、SBWコントローラ4は、電子制御装置(ECU)等である。
本実施形態では、SBWコントローラ4は、映像処理部4aと、転舵制御部10と、操舵反力制御部20とを備える。なお、実際には、映像処理部4a、操舵反力制御部20、及び転舵制御部10はそれぞれ独立した回路又は装置であっても良い。
映像処理部4aは、カメラ6から取得した車両A前方の走行路の映像に対して、エッジ抽出等の画像処理を行って走行車線の左右の走行路区分線(道路白線)を検出する。なお、実際には、道路白線は、黄線や破線でも良い。また、道路白線が存在しない又は検出し難い場合には、道路白線の代わりに、路肩や縁石、側溝、ガードレール(防護柵)、防音壁、擁壁、中央分離帯等を検出するようにしても良い。そして、映像処理部4aは、走行車線の左右の走行路区分線の検出結果(白線情報)を転舵制御部10及び操舵反力制御部20に出力する。
転舵制御部10は、取得した各種情報に基づいて、左右前輪5FL、5FRの転舵角を制御する指令を算出する。そして、転舵制御部10は、算出した指令転舵角を転舵モータ用電流ドライバ9bに出力する。転舵制御部10の詳細は後述する。
操舵反力制御部20は、取得した各種情報に基づいて、コラムシャフト1bに付与する操舵反力トルクを制御する指令を算出する。そして、操舵反力制御部20は、算出した指令操舵反力トルクを反力モータ用電流ドライバ9aに出力する。操舵反力制御部20の詳細は後述する。
(転舵制御部10の構成)
図2は、転舵制御部10の構成例を表すブロック図である。
図2に示すように、転舵制御部10は、SBW指令転舵角演算部11と、外乱抑制指令転舵角演算部12と、加算器10aとを備える。
SBW指令転舵角演算部11は、操舵角センサ1d及び車速センサ7aが出力した検出結果(操舵角、車速)に基づいて、ステアリングホイール1aの操舵に応じた左右前輪5FL、5FRの転舵角とするための転舵角(SBW指令転舵角)を算出する。そして、SBW指令転舵角演算部11は、算出結果を加算器10aに出力する。
外乱抑制指令転舵角演算部12は、車速センサ7a及び映像処理部4aが出力した検出結果(車速、白線情報)に基づいて、SBW指令転舵角演算部11が出力した算出結果(SBW指令転舵角)を補正するための転舵角(外乱抑制指令転舵角)を算出する。例えば、外乱抑制指令転舵角は、外乱により発生したヨー角(後述)等を低減するための転舵角である。そして、外乱抑制指令転舵角演算部12は、算出結果を加算器10aに出力する。
加算器10aは、SBW指令転舵角演算部11が出力した算出結果(SBW指令転舵角)に外乱抑制指令転舵角演算部12が出力した算出結果(外乱抑制指令転舵角)を加算する。これにより、加算器10aは、SBW指令転舵角を外乱抑制指令転舵角で補正する。そして、加算器10aは、加算結果を指令転舵角として転舵モータ用電流ドライバ9bに出力する。
(外乱抑制指令転舵角演算部12の構成)
図3は、外乱抑制指令転舵角演算部12の構成例を表すブロック図である。
図3に示すように、外乱抑制指令転舵角演算部12は、ヨー角演算部12aと、曲率演算部12bと、横位置演算部12cと、ヨー角に応じた反発力演算部13と、横位置に応じた反発力演算部14と、加算器12dと、目標ヨーモーメント演算部12eと、目標ヨー加速度演算部12fと、目標ヨーレート演算部12gと、指令転舵角演算部12hと、リミッタ処理部12iとを備える。
ヨー角演算部12aは、車速センサ7a及び映像処理部4aが出力した検出結果(車速、白線情報)に基づいて、前方注視点でのヨー角を算出する。前方注視点でのヨー角としては、例えば、設定時間(例えば、0.5秒)後に走行車線(道路白線)と車両A進行方向とのなす角度がある。そして、ヨー角演算部12aは、算出結果をヨー角に応じた反発力演算部13及び横位置に応じた反発力演算部14に出力する。
曲率演算部12bは、車速センサ7a及び映像処理部4aが出力した検出結果(車速、白線情報)に基づいて、前方注視点での道路白線の曲率を算出する。前方注視点での道路白線の曲率としては、例えば、設定時間(0.5秒)後の車両A位置の走行車線(道路白線)の曲率がある。そして、曲率演算部12bは、算出結果をヨー角に応じた反発力演算部13及び横位置に応じた反発力演算部14に出力する。
横位置演算部12cは、映像処理部4aが出力した検出結果(白線情報)に基づいて、前方注視点での車両Aから道路白線までの距離(横位置)(以下、前方注視点での横位置とも呼ぶ)を算出する。前方注視点での横位置としては、例えば、設定時間(0.5秒)後の車両A位置から道路白線までの距離(横位置)がある。そして、横位置演算部12cは、算出結果を横位置に応じた反発力演算部14に出力する。
ヨー角に応じた反発力演算部13は、ヨー角演算部12a、曲率演算部12b、及び車速センサ7aが出力した検出結果(前方注視点でのヨー角、前方注視点での道路白線の曲率、車速)に基づいて、ヨー角フィードバック制御(転舵制御)を行う。ヨー角フィードバック制御では、外乱により発生したヨー角を低減するための車両Aの反発力(以下、ヨー角に応じた反発力とも呼ぶ)を算出する。これにより、ヨー角フィードバック制御では、前方注視点でのヨー角に基づいて当該ヨー角が低減する方向へ左右前輪5FL、5FRの転舵角を制御する。そして、ヨー角に応じた反発力演算部13は、算出結果を加算器12dに出力する。ヨー角に応じた反発力演算部13の詳細は後述する。
横位置に応じた反発力演算部14は、ヨー角演算部12a、曲率演算部12b、横位置演算部12c、及び車速センサ7aが出力した検出結果(前方注視点でのヨー角、前方注視点での道路白線の曲率、前方注視点での横位置、車速)に基づいて、横位置フィードバック制御(転舵角制御)を行う。横位置フィードバック制御では、外乱により発生した横位置変化を低減するための車両Aの反発力(以下、横位置に応じた反発力とも呼ぶ)を算出する。これにより、横位置フィードバック制御では、前方注視点での横位置に基づいて車両Aが走行車線の中央方向、つまり、横位置が低減する方向へ左右前輪5FL、5FRの転舵角を制御する。そして、横位置に応じた反発力演算部14は、算出結果を加算器12dに出力する。横位置に応じた反発力演算部14の詳細は後述する。
加算器12dは、ヨー角に応じた反発力演算部13が出力した算出結果(ヨー角に応じた反発力)、及び横位置に応じた反発力演算部14が出力した算出結果(横位置に応じた反発力)を加算する。そして、加算器12dは、加算結果(以下、横方向反発力とも呼ぶ)を目標ヨーモーメント演算部12eに出力する。
目標ヨーモーメント演算部12eは、加算器12dが出力した算出結果(横方向反発力)に基づいて、目標ヨーモーメントを算出する。具体的には、目標ヨーモーメント演算部12eは、横方向反発力、ホイールベースWHEELBASE、後輪軸重、及び前輪軸重に基づき、下記(1)式に従って目標ヨーモーメントMを算出する。そして、目標ヨーモーメント演算部12eは、算出結果を目標ヨー加速度演算部12fに出力する。
=横方向反発力×(後輪軸重/(前輪軸重+後輪軸重))×WHEELBASE ……(1)
目標ヨー加速度演算部12fは、目標ヨーモーメント演算部12eが出力した算出結果(目標ヨーモーメント)に基づいて、目標ヨー加速度を算出する。具体的には、目標ヨー加速度演算部12fは、目標ヨーモーメントに予め定めたヨー慣性モーメント係数を乗算する。そして、目標ヨー加速度演算部12fは、乗算結果を目標ヨー加速度として目標ヨーレート演算部12gに出力する。
目標ヨーレート演算部12gは、目標ヨー加速度演算部12fが出力した算出結果(目標ヨー加速度)に基づいて、目標ヨーレート(ヨー角の変化速度)を算出する。具体的には、目標ヨーレート演算部12gは、目標ヨー加速度に車頭時間を乗算する。そして、目標ヨーレート演算部12gは、乗算結果を目標ヨーレートとして指令転舵角演算部12hに出力する。
指令転舵角演算部12hは、目標ヨーレート演算部12g及び車速センサ7aが出力した検出結果(目標ヨーレート、車速)に基づいて、外乱抑制指令転舵角を算出する。具体的には、指令転舵角演算部12hは、目標ヨーレートφ、車速V、ホイールベースWHEELBASE、及び車両Aの特性速度Vchに基づき、下記(2)式に従って外乱抑制指令転舵角δstを算出する。ここで、車両Aの特性速度Vchとしては、例えば、既知のアッカーマン方程式の中の、車両Aのセルフステアリング特性を表すパラメータがある。そして、指令転舵角演算部12hは、算出結果をリミッタ処理部12iに出力する。
δst=(φ×WHEELBASE×(1+(V/Vch))×180)/(V×MPI) ……(2)
なお、MPIは、予め定めた係数である。
リミッタ処理部12iは、指令転舵角演算部12hが出力した算出結果(外乱抑制指令転舵角δst)の最大値及び変化率の上限を制限する。外乱抑制指令転舵角δstの最大値は、コンベンショナルな操舵装置(操舵部1と転舵部2とが機械的に接続された操舵装置)において、ステアリングホイール1aの操舵角が中立位置付近の遊びの角度範囲(例えば、左右3°)にあるときの当該遊びの範囲に対応する左右前輪5FL、5FRの転舵角範囲(例えば、左右0.2°)とする。そして、リミッタ処理部12iは、制限後の外乱抑制指令転舵角δstを加算器10a(図2参照)に出力する。
(ヨー角に応じた反発力演算部13の構成)
図4は、ヨー角に応じた反発力演算部13の構成例を表すブロック図である。
図4に示すように、ヨー角に応じた反発力演算部13は、上下限リミッタ13aと、設定ゲイン乗算部13bと、車速補正ゲイン乗算部13cと、曲率補正ゲイン乗算部13dと、乗算器13eとを備える。
上下限リミッタ13aは、ヨー角演算部12aが出力した算出結果(前方注視点でのヨー角)に上下限リミッタ処理を行う。上下限リミッタ処理では、例えば、ヨー角が正値の場合(道路白線と車両A進行方向の延長線とが交差するときのヨー角を正とする)には、外乱を抑制可能な設定値以上の値で、且つ、車両Aが振動的となる値及び運転者の操舵によって発生する値未満の正値(上限値。例えば、1°)とする。また、上下限リミッタ処理では、例えば、ヨー角が負の場合には0とする。そして、上下限リミッタ13aは、上下限リミッタ処理後のヨー角を設定ゲイン乗算部13bに出力する。これにより、上下限リミッタ処理後のヨー角は、ヨー角が発生した場合にのみ正値となる。
設定ゲイン乗算部13bは、上下限リミッタ13aが出力した算出結果(上下限リミッタ処理後のヨー角)に予め定めた設定ゲインを乗算する。設定ゲインは、例えば、制御量不足を回避しつつ応答性を確保できる値以上の値とする。また、設定ゲインは、車両Aが振動的となる値、及び運転者が操舵角と転舵角との中立ずれを感じる値未満の値とする。そして、設定ゲイン乗算部13bは、乗算結果(以下、上限値乗算後の設定ゲインとも呼ぶ)を乗算器13eに出力する。
車速補正ゲイン乗算部13cは、車速センサ7aが出力した検出結果(車速)に予め定めた車速補正ゲインを乗算する。車速補正ゲインは、例えば、車速が0〜70km/hの範囲で最大値となり、車速70〜130km/hの範囲で車速が大きくなるほど減少し、車速130km/h以上の範囲で最小値(例えば、ほぼ0)となる。そして、車速補正ゲイン乗算部13cは、乗算結果を乗算器13eに出力する。
曲率補正ゲイン乗算部13dは、曲率演算部12bが出力した検出結果(前方注視点での曲率)に予め定めた曲率補正ゲインを乗算する。曲率補正ゲインは、例えば、曲率がR1〜R2(>R1)の範囲で最大値となり、曲率がR2〜R3(>R2)の範囲で曲率が大きくなるほど減少し、曲率R3以上の範囲で最小値(例えば、ほぼ0)となる。そして、曲率補正ゲイン乗算部13dは、乗算結果を乗算器13eに出力する。これにより、曲率補正ゲイン乗算部13dは、前方注視点での曲率が大きいほど乗算結果を低減できる。
乗算器13eは、設定ゲイン乗算部13b、車速補正ゲイン乗算部13c及び曲率補正ゲイン乗算部13dが出力した算出結果を互いに乗算する。そして、乗算結果をヨー角に応じた反発力として加算器12dに出力する。これにより、乗算器13eは、外乱抑制指令転舵角演算部12は、ヨー角が発生した場合にのみヨー角フィードバック制御を行う。
また、乗算器13e(転舵制御部10)は、前方注視点での曲率が大きいほど、ヨー角に応じた反発力の絶対値を低減できる。それゆえ、転舵制御部10は、例えば、車両Aが曲率半径の小さいカーブ(曲路)を走行する場合に、ヨー角に応じた反発力を低減できる。そのため、転舵制御部10は、ヨー角が低減する方向への左右前輪5FL、5FRの転舵を抑制できる。これにより、運転者は、より意図に応じた経路で車両Aを運転できる。
(横位置に応じた反発力演算部14の構成)
図5は、横位置に応じた反発力演算部14の構成例を表すブロック図である。
図5に示すように、横位置に応じた反発力演算部14は、減算器14aと、上下限リミッタ14bと、距離補正ゲイン乗算部14cと、横位置フィードバックゲイン乗算部14dと、車速補正ゲイン乗算部14eと、曲率補正ゲイン乗算部14fとを備える。
減算器14aは、予め定めた横位置閾値(例えば、90cm)から、横位置演算部12cが出力した算出結果(前方注視点での車両Aから道路白線までの距離(横位置))を減算する。そして、減算器14aは、減算結果(以下、横位置偏差とも呼ぶ)を上下限リミッタ14bに出力する。これにより、横位置偏差は、前方注視点での車両Aから道路白線までの距離が90cmより小さい場合(隣接車線側である場合)にのみ正値となる。
上下限リミッタ14bは、減算器14aが出力した算出結果(横位置偏差)に上下限リミッタ処理を行う。上下限リミッタ処理では、例えば、横位置偏差が正値である場合には予め定めた正値とし、横位置偏差が負値である場合には0とする。そして、上下限リミッタ14bは、上下限リミッタ処理後の横位置偏差を乗算器14gに出力する。これにより、上下限リミッタ処理後の横位置偏差は、前方注視点での車両Aから道路白線までの距離が90cmより小さい場合(隣接車線側である場合)にのみ正値となる。
距離補正ゲイン乗算部14cは、横位置演算部12cが出力した算出結果(前方注視点での横位置)に距離補正ゲインを乗算する。距離補正ゲインは、例えば、車両Aから道路白線までの距離(横位置)がY1〜Y2(>Y1)の範囲で最大値となり、横位置がY2〜Y3(>Y2)の範囲で横位置が大きくなるほど減少し、横位置がY3以上の範囲で最小値になる。そして、距離補正ゲイン乗算部14cは、乗算結果(以下、補正後の道路白線までの距離とも呼ぶ)を横位置フィードバックゲイン乗算部14dに出力する。
横位置フィードバックゲイン乗算部14dは、距離補正ゲイン乗算部14cが出力した算出結果(補正後の道路白線までの距離)に予め定めた横位置フィードバックゲインを乗算する。横位置フィードバックゲインは、例えば、制御量不足を回避しつつ応答性を確保できる設定値以上の値とする。また、横位置フィードバックゲインは、車両Aが振動的になる値、及び運転者が中立ずれを感じる値未満の値とする。更に、横位置フィードバックゲインは、ヨー角フィードバックゲインよりも小さな値とする。そして、横位置フィードバックゲイン乗算部14dは、乗算結果を乗算器14gに出力する。
車速補正ゲイン乗算部14eは、車速センサ7aが出力した検出結果(車速)に予め定めた車速補正ゲインを乗算する。車速補正ゲインは、例えば、車速が0〜70km/hの範囲で最大値となり、車速70〜130km/hの範囲で車速が大きくなるほど減少し、車速130km/h以上の範囲で最小値(例えば、0)となる。そして、車速補正ゲイン乗算部14eは、乗算結果を乗算器14gに出力する。
曲率補正ゲイン乗算部14fは、曲率演算部12bが出力した検出結果(前方注視点での曲率)に予め定めた曲率補正ゲインを乗算する。曲率補正ゲインは、例えば、前方注視点での曲率がR1〜R2(>R1)の範囲で最大値となり、曲率がR2〜R3(>R2)の範囲で曲率が大きくなるほど減少し、曲率がR3以上の範囲で最小値(例えば、0)となる。そして、曲率補正ゲイン乗算部14fは、乗算結果を乗算器14gに出力する。
(横位置フィードバック制御の実行領域)
図6は、横位置フィードバック制御の実行領域を表す図である。
乗算器14gは、横位置フィードバックゲイン乗算部14d、車速補正ゲイン乗算部14e、及び曲率補正ゲイン乗算部14fが出力した算出結果を互いに乗算する。そして、乗算器14gは、乗算結果(以下、横位置に応じた反発力とも呼ぶ)を加算器12dに出力する。これにより、外乱抑制指令転舵角演算部12は、前方注視点での車両Aから道路白線までの距離が90cmより小さい場合、つまり、道路白線から90cmの位置より隣接車線側である場合にのみ横位置フィードバック制御を行う。すなわち、図6に示すように、走行車線中央付近は、横位置フィードバック制御を行わない領域(不感帯)となる。
また、乗算器14g(転舵制御部10)は、前方注視点での曲率が大きいほど、横位置に応じた反発力の絶対値を低減できる。それゆえ、転舵制御部10は、例えば、車両Aが曲率半径の小さいカーブを走行する場合に、横位置に応じた反発力を低減できる。そのため、転舵制御部10は、横位置が低減する方向への左右前輪5FL、5FRの転舵を抑制できる。これにより、運転者は、より意図に応じた経路で車両Aを運転できる。
(操舵反力制御部20の構成)
図7は、操舵反力制御部20の構成例を表すブロック図である。
図7に示すように、操舵反力制御部20は、横力演算部21と、横力オフセット部22と、減算器20aと、SAT演算部23と、加算器20bと、操舵反力トルクオフセット部24と、加算器20cとを備える。
横力演算部21は、操舵角センサ1d及び車速センサ7aが出力した検出結果(操舵角、車速)に基づき、操舵角−横力変換マップ(MAP)を参照して、タイヤ横力を推定する。すなわち、横力演算部21は、操舵角及び車速と、操舵角−横力変換マップとに基づいて、タイヤ横力を推定する。例えば、操舵角−横力変換マップは、予め実験等で算出したコンベンショナルな操舵装置(操舵部1と転舵部2とが機械的に接続された操舵装置)における車速毎の操舵角とタイヤ横力との関係を表すマップである。操舵角−横力変換マップでは、操舵角が大きいほどタイヤ横力を大きな値とする。また、操舵角−横力変換マップでは、操舵角が小さいときは操舵角が大きいときよりも、操舵角の変化量に対するタイヤ横力の変化量を大きくする。更に、操舵角−横力変換マップでは、車速が高いほどタイヤ横力を小さな値とする。そして、横力演算部21は、算出結果を減算器20aに出力する。
横力オフセット部22は、車速センサ7a及び映像処理部4aが出力した検出結果(車速、白線情報)に基づいて、横力オフセット量を算出する。例えば、横力オフセット量は、タイヤ横力によって発生するセルフアライニングトルク(SAT)に応じた操舵反力トルクを表す操舵反力特性をオフセットするためのオフセット量である。セルフアライニングトルクは、路面反力によって発生する、車輪が直進状態に戻ろうとする力(復元力)である。また、操舵反力特性は、後述するSAT演算部23で用いる横力−操舵反力変換マップである。横力オフセット量は、道路白線の曲率が大きいほどセルフアライニングトルクと同一符号方向へオフセットする。そして、横力オフセット部22は、算出結果を減算器20aに出力する。横力オフセット部22の詳細は後述する。
減算器20aは、横力演算部21が出力した算出結果(タイヤ横力)から、横力オフセット部22が出力した算出結果(横力オフセット量)を減算する。これにより、減算器20aは、タイヤ横力によって発生するセルフアライニングトルクに応じた操舵反力トルクを表す操舵反力特性(後述する横力−操舵反力変換マップ)をセルフアライニングトルクと同一符号方向へオフセットできる。そして、減算器20aは、減算結果(オフセット後のタイヤ横力)をSAT演算部23に出力する。
SAT演算部23は、減算器20aが出力した算出結果(オフセット後のタイヤ横力)に基づき、横力−操舵反力変換マップを参照して、オフセット後のタイヤ横力によって発生する操舵反力トルクを算出する。すなわち、SAT演算部23は、オフセット後のタイヤ横力と、横力−操舵反力変換マップとに基づいて、オフセット後のタイヤ横力によって発生する操舵反力トルクを算出する。そして、SAT演算部23は、算出結果(操舵反力トルク)を加算器20bに出力する。
例えば、横力−操舵反力変換マップは、予め実験等で算出したコンベンショナルな操舵装置におけるタイヤ横力と操舵力トルクとの関係を表すマップである。すなわち、横力−操舵反力変換マップは、コンベンショナルな操舵装置において、タイヤ横力によって発生するセルフアライニングトルクに応じた操舵反力トルクを表す操舵反力特性を模擬したものとする。横力−操舵反力変換マップでは、タイヤ横力が大きいほど操舵反力トルクを大きな値とする。また、横力−操舵反力変換マップでは、タイヤ横力が小さいときは大きいときよりも、タイヤ横力の変化量に対する操舵反力トルクの変化量を大きくする。更に、横力−操舵反力変換マップでは、車速が高いほど操舵反力トルクを小さな値とする。
加算器20bは、SAT演算部23が出力した算出結果(操舵反力トルク)に、ステアリング特性に応じた操舵反力トルク成分(ばね項、粘性項、慣性項)を加算する。ばね項は操舵角に比例する成分であり、操舵角に所定のゲインを乗じて算出する。粘性項は操舵角速度に比例する成分であり操舵角速度に所定のゲインを乗じて算出する。慣性項は操舵角加速度に比例する成分であり、操舵角加速度に所定のゲインを乗じて算出する。そして、加算器20bは、加算結果(操舵反力トルク+操舵反力トルク成分)を加算器20cに出力する。
操舵反力トルクオフセット部24は、転舵角センサ2d、車速センサ7a及び映像処理部4aが出力した検出結果(転舵角、車速、車両A前方の走行路の映像)に基づいて、操舵反力オフセット量を算出する。例えば、操舵反力オフセット量は、操舵反力トルクが大きくなる方向への操舵反力特性(横力−操舵反力変換マップ)をオフセットするためのオフセット量である。ここでは、操舵反力トルクオフセット部24は、車速が第1の閾値よりも高いとき(例えば車速が60km/h以上のとき)には、運転者によるステアリングホイール1aの操舵量に応じて車両Aから道路白線までの距離(横位置)又は逸脱余裕時間が短くなるほど操舵反力トルクが大きくなる方向へオフセットする。反対に、車速が第2の閾値よりも低いとき(例えば車速が40km/h未満のとき)には、転舵角が大きくなるほど操舵反力トルクが大きくなる方向へオフセットする。なお、第1の閾値及び第2の閾値はいずれも事前に設定された基準値(設定値)である。ここでは、第1の閾値と第2の閾値とは異なる値を想定しているが、実際には同じ値とすることも可能である。そして、操舵反力トルクオフセット部24は、算出結果を加算器20cに出力する。操舵反力トルクオフセット部24の詳細は後述する。
加算器20cは、加算器20bが出力した算出結果(操舵反力トルク+操舵反力トルク成分)に、操舵反力トルクオフセット部24が出力した算出結果(操舵反力オフセット量)を加算する。そして、加算器20cは、加算結果を指令操舵反力トルクとして反力モータ用電流ドライバ9aに出力する。
(横力オフセット部22の構成)
図8は、横力オフセット部22の構成例を表すブロック図である。
図8に示すように、横力オフセット部22は、曲率演算部22aと、上下限リミッタ22bと、SATゲイン演算部22cと、乗算器22dと、リミッタ処理部22eとを備える。
曲率演算部22aは、映像処理部4aが出力した検出結果(白線情報)に基づいて、前方注視点での道路白線の曲率(設定時間(0.5秒)後の車両A位置の道路白線の曲率)を算出する。そして、曲率演算部22aは、算出結果を乗算器22dに出力する。
上下限リミッタ22bは、車速センサ7aが出力した検出結果(車速)に上下限リミッタ処理を行う。上下限リミッタ処理では、例えば、車速が0〜V(>0)の範囲で車速が大きくなるほど増大し、車速がV以上の範囲で最大値とする。そして、上下限リミッタ22bは、上下限リミッタ処理後の車速をSATゲイン演算部22cに出力する。
SATゲイン演算部22cは、上下限リミッタ22bが出力した算出結果(リミッタ処理後の車速)に基づいて、車速に応じたSATゲインを算出する。車速に応じたSATゲインは、例えば、車速が0〜70km/hの範囲で車速が大きくなるほど増大し、車速70km/h以上の範囲で最大値になる。また、車速に応じたSATゲインは、車速が大きいときは車速が小さいときよりも、車速の変化量に対する当該SATゲインの変化量が大きくなる。そして、SATゲイン演算部22cは、算出結果を乗算器22dに出力する。
乗算器22dは、曲率演算部22aが出力した算出結果(前方注視点での道路白線の曲率)にSATゲイン演算部22cが出力した算出結果(車速に応じたSATゲイン)を乗算する。そして、乗算器22dは、乗算結果を横力オフセット量としてリミッタ処理部22eに出力する。これにより、乗算器22dは、前方注視点での道路白線の曲率が大きいほど、つまり、道路白線の曲率半径が小さいほど横力オフセット量を増大できる。
リミッタ処理部22eは、乗算器22dが出力した算出結果(横力オフセット量)の最大値及び変化率の上限を制限する。横力オフセット量の最大値は、1000Nとする。また、横力オフセット量の変化率の上限は、600N/sとする。そして、リミッタ処理部22eは、制限後の横力オフセット量を減算器20aに出力する。
(操舵反力トルクオフセット部24の構成)
図9は、操舵反力トルクオフセット部24の構成例を表すブロック図である。
図9に示すように、操舵反力トルクオフセット部24は、ヨー角演算部24aと、横位置演算部24bと、逸脱余裕時間に応じた反力演算部25と、横位置に応じた反力演算部26と、転舵角に応じた反力演算部27と、反力選択部24cと、リミッタ処理部24dとを備える。
ヨー角演算部24aは、映像処理部4aが出力した検出結果(白線情報)に基づいて、前方注視点でのヨー角(道路白線と車両A進行方向とのなす角度)を算出する。そして、ヨー角演算部24aは、算出結果を逸脱余裕時間に応じた反力演算部25に出力する。
横位置演算部24bは、映像処理部4a及びナビゲーションシステム17が出力した検出結果(白線情報、車線幅情報)に基づいて、車両Aの現在位置での車両Aから道路白線までの距離(横位置)(以下、現在位置での横位置とも呼ぶ)、及び前方注視点での横位置を算出する。そして、横位置演算部24bは、算出結果を逸脱余裕時間に応じた反力演算部25及び横位置に応じた反力演算部26に出力する。
逸脱余裕時間に応じた反力演算部25は、車速センサ7a、ヨー角演算部24a、及び横位置演算部24bが出力した検出結果等(車速、前方注視点でのヨー角、前方注視点での横位置)に基づいて、逸脱余裕時間に応じた反力を算出する。逸脱余裕時間に応じた反力としては、例えば、逸脱余裕時間が短いほど増大する反力がある。逸脱余裕時間としては、例えば、車両Aが走行車線から逸脱するまでに要する時間(余裕時間)がある。そして、逸脱余裕時間に応じた反力演算部25は、算出結果を反力選択部24cに出力する。逸脱余裕時間に応じた反力演算部25の詳細は後述する。
横位置に応じた反力演算部26は、横位置演算部24bが出力した算出結果(現在位置での横位置)に基づいて、横位置に応じた反力を算出する。横位置に応じた反力としては、例えば、横位置偏差が長いほど増大する反力がある。横位置偏差としては、例えば、車両Aから目標左横位置までの距離及び車両Aから目標右横位置までの距離のうち大きいほうがある。また、目標左横位置としては、例えば、左道路白線から道路中央側90cmの位置がある。目標右横位置としては、例えば、右道路白線から道路中央側90cmの位置がある。そして、横位置に応じた反力演算部26は、算出結果を反力選択部24cに出力する。横位置に応じた反力演算部26の詳細は後述する。
転舵角に応じた反力演算部27は、転舵角センサ2d及び車速センサ7aが出力した検出結果(転舵角、車速)に基づいて、転舵角に応じた反力を算出する。転舵角に応じた反力としては、例えば、転舵角が大きいほど増大する反力がある。そして、転舵角に応じた反力演算部27は、算出結果を反力選択部24cに出力する。転舵角に応じた反力演算部27の詳細は後述する。
反力選択部24cは、車速センサ7aが出力した検出結果(車速)と、逸脱余裕時間に応じた反力演算部25が出力した算出結果(逸脱余裕時間に応じた反力)と、横位置に応じた反力演算部26が出力した算出結果(横位置に応じた反力)と、転舵角に応じた反力演算部27が出力した算出結果(転舵角に応じた反力)とに基づいて、最適な反力を選択する。例えば、反力選択部24cは、車速が第1の閾値よりも高いとき(例えば車速が60km/h以上のとき)には、逸脱余裕時間に応じた反力と横位置に応じた反力とのうち絶対値が大きなほうを選択する。反対に、車速が第2の閾値よりも低いとき(例えば車速が40km/h未満のとき)には、転舵角に応じた反力を選択する。そして、反力選択部24cは、選択結果を操舵反力オフセット量としてリミッタ処理部24dに出力する。
リミッタ処理部24dは、反力選択部24cが出力した選択結果(操舵反力オフセット量)の最大値及び変化率の上限を制限する。操舵反力オフセット量の最大値は、2Nmとする。また、操舵反力オフセット量の変化量の上限は、10Nm/sとする。そして、リミッタ処理部24dは、制限後の操舵反力オフセット量を加算器20c(図7参照)に出力する。
(逸脱余裕時間に応じた反力演算部25の構成)
図10は、逸脱余裕時間に応じた反力演算部25の構成例を表すブロック図である。
図10に示すように、逸脱余裕時間に応じた反力演算部25は、乗算器25aと、除算器25bと、除算器25cと、逸脱余裕時間選択部25dと、逸脱余裕時間に応じた反力演算部25eとを備える。
乗算器25aは、ヨー角演算部24aが出力した算出結果(ヨー角)に車速を乗算する。そして、乗算器25aは、乗算結果(以下、車両Aの横速度とも呼ぶ)を除算器25b及び除算器25cに出力する。
除算器25bは、横位置演算部24bが出力した算出結果(現在位置での横位置)のうち、前方注視点での車両Aから左道路白線までの距離(左道路白線に対する横位置)を、乗算器25aが出力した算出結果(横速度)で除算する。そして、除算器25bは、除算結果(以下、左道路白線に対する逸脱余裕時間とも呼ぶ)を逸脱余裕時間選択部25dに出力する。
除算器25cは、横位置演算部24bが出力した算出結果(現在位置での横位置)のうち、前方注視点での車両Aから右道路白線までの距離(右道路白線に対する横位置)を、乗算器25aが出力した算出結果(横速度)で除算する。そして、除算器25bは、除算結果(以下、右道路白線に対する逸脱余裕時間とも呼ぶ)を逸脱余裕時間選択部25dに出力する。
逸脱余裕時間選択部25dは、除算器25bが出力した算出結果(左道路白線に対する逸脱余裕時間)及び除算器25cが出力した算出結果(右道路白線に対する逸脱余裕時間)のうち短いほうを選択する。そして、逸脱余裕時間選択部25dは、選択結果(以下、逸脱余裕時間とも呼ぶ)を逸脱余裕時間に応じた反力演算部25eに出力する。
逸脱余裕時間に応じた反力演算部25eは、逸脱余裕時間選択部25dが出力した算出結果(逸脱余裕時間)に基づいて、逸脱余裕時間に応じた反力を算出する。逸脱余裕時間に応じた反力は、逸脱余裕時間が3秒以上の範囲で最低値(例えば、ほぼ0)となり、逸脱余裕時間が0〜3秒の範囲で逸脱余裕時間が短いほど増大する(逸脱余裕時間に反比例した値となる)。そして、逸脱余裕時間に応じた反力演算部25eは、算出結果を逸脱余裕時間に応じた反力として反力選択部24c(図9参照)に出力する。これにより、逸脱余裕時間に応じた反力は、逸脱余裕時間が短いほど増大する。
(横位置に応じた反力演算部26の構成)
図11は、横位置に応じた反力演算部26の構成例を表すブロック図である。
図11に示すように、横位置に応じた反力演算部26は、減算器26aと、減算器26bと、横位置偏差選択部26cと、横位置偏差に応じた反力演算部26dとを備える。
減算器26aは、横位置演算部24bが出力した算出結果(車両Aの現在位置での車両Aから左道路白線までの距離(左道路白線に対する横位置))から予め定めた目標左横位置(例えば、90cm)を減算する。そして、減算器26aは、減算結果(以下、左道路白線に対する横位置偏差とも呼ぶ)を横位置偏差選択部26cに出力する。
減算器26bは、横位置演算部24bが出力した算出結果(車両Aの現在位置での車両Aから右道路白線までの距離(右道路白線に対する横位置))から予め定めた目標右横位置(例えば、90cm)を減算する。そして、減算器26bは、減算結果(以下、右道路白線に対する横位置偏差とも呼ぶ)を横位置偏差選択部26cに出力する。
横位置偏差選択部26cは、減算器26aが出力した算出結果(左道路白線に対する横位置偏差)及び減算器26bが出力した算出結果(右道路白線に対する横位置偏差)のうち大きいほうを選択する。そして、横位置偏差選択部26cは、選択結果(以下、横位置偏差とも呼ぶ)を横位置偏差に応じた反力演算部26dに出力する。
横位置偏差に応じた反力演算部26dは、横位置偏差選択部26cが出力した算出結果(横位置偏差)に基づいて、横位置に応じた反力を算出する。横位置に応じた反力は、横位置偏差が設定値未満の範囲で横位置偏差が大きくなるほど増大し、横位置偏差が設定値以上の範囲で最大値になる。そして、横位置偏差に応じた反力演算部26dは、算出結果を横位置に応じた反力として反力選択部24c(図9参照)に出力する。これにより、横位置に応じた反力は、横位置偏差が長いほど増大する。
(転舵角に応じた反力演算部27の構成)
図12は、転舵角に応じた反力演算部27の構成例を表すブロック図である。
図12に示すように、転舵角に応じた反力演算部27は、フィードフォワード軸力算出部27aと、フィードバック軸力算出部27bと、最終軸力算出部27cと、軸力−操舵反力変換部27dを備える。
図13は、フィードフォワード軸力算出部27aの構成を表すブロック図である。
図13に示すように、フィードフォワード軸力算出部27aは、操舵角センサ1dが検出した操舵角δ、及び車速センサ7aが検出した車速Vに基づき、フィードフォワード軸力TFFを算出する。そして、フィードフォワード軸力算出部27aは、算出結果を最終軸力算出部27cに出力する。
ここで、転舵ピニオン角Θとピニオン軸力Thとの関係式は、ステアリングホイール1aと左右前輪5FL、5FRとが機械的に接続している操舵機構を備える車両の運動方程式を基に下記(3)式で表される。転舵ピニオン角Θとしては、例えば、ピニオンシャフト2aの回転角がある。ピニオンシャフト2aの回転角としては、例えば、操舵角δと、操舵角δ及び転舵角θとの間の可変ギア比との乗算値がある。また、ピニオン軸力Thとしては、例えば、ステアリングホイール1aに付与される操舵反力がある。下記(3)式の右辺第1項は、ピニオン軸力Thを構成する成分のうち、転舵ピニオン角速度dΘ/dtに基づく成分を表すダンピング項である。また、右辺第2項は、ピニオン軸力Thを構成する成分のうち、転舵ピニオン角加速度d2Θ/dt2に基づく成分を表す慣性項である。更に、右辺第3項は、ピニオン軸力Thを構成する成分のうち、タイヤ横力Fd(転舵ピニオン角Θ)に基づく成分を表す比例項である。
Th=Ks(Jrs+Cr・s)/(Jr・s+(Cr+Cs)s+Ks)・Θ+Cs(Jrs+Cr・s)/(Jr・s+(Cr+Cs)s+Ks)・Θ+(Ks+Cs・s)/(Jr・s+(Cr+Cs)s+Ks)・Fd ……(3)
但し、Ksはピニオン剛性、Csはピニオン粘性、Jrはラック慣性、Crはラック粘性である。
また、上記(3)式では、右辺第2項、つまり、慣性項は、ノイズ成分を多く含み、ピニオン軸力Thの算出結果に振動を誘発するため除くのが好ましい。更に、タイヤ横力Fdは、転舵ピニオン角Θ及び車速Vに依存するものとして、Fd=f(V)・Θと表すことができる。f(V)としては、例えば、車速Vに応じて変化する関数がある。それゆえ、上記(3)式は、下記(4)式のように表すことができる。
Th=Ks(Jrs+Cr・s)/(Jr・s+(Cr+Cs)s+Ks)・Θ+(Ks+Cs・s)/(Jr・s+(Cr+Cs)s+Ks)・f(V)・Θ ……(4)
ここで、変数f(V)の設定方法としては、例えば、車速Vの絶対値に対応した変数f(V)を制御マップM1から読み出す方法を採用できる。制御マップM1としては、例えば、車速Vの絶対値に対応した変数f(V)を登録したマップがある。具体的には、制御マップM1は、車速Vの絶対値が0である場合に変数f(V)を第1設定値(例えば、0.0)に設定する。また、車速Vの絶対値が第1設定車速V(>0)以上の範囲では、車速Vの大きさにかかわらず変数f(V)を第2設定値(>第1設定値。例えば、1.0)に設定する。更に、制御マップM1は、車速Vの絶対値が0以上で且つ第1設定車速V未満の範囲では、転舵角速度dθ/dtの絶対値に応じて変数f(V)を直線的に増加させる。具体的には、制御マップM1は、車速Vの絶対値が0以上で且つ第1設定車速V未満の範囲では、車速Vの絶対値と変数f(V)との関係を表す一次関数に従って変数f(V)を設定する。一次関数は、車速Vの絶対値が0である場合に変数f(V)を第1設定値(0.0)とし、車速Vの絶対値が第1設定車速Vである場合に変数f(V)を第2設定値(1.0)とする。これにより、フィードフォワード軸力算出部27aは、車速Vの絶対値が第1設定車速V未満である場合には、車速Vの絶対値が小さいほど比例成分の絶対値を小さくする(低減する)。また、フィードフォワード軸力算出部27aは、車速Vの絶対値が第1設定車速V以上である場合には、車速Vの大きさにかかわらず、比例成分の絶対値の低減を行わない。
また、上記(4)式は、等価的に、下記(5)式のように表すことができる。
Th=P(s+2・ζ・ωn)s/(s+2・ζ・ωn・s+ωn)δ+I・(s+2・ζ・ωn)/(s+2・ζ・ωn・s+ωn)・f(V)・δ
=P(s+2・ζ・ωn)/(s+2・ζ・ωn・s+ωn)dδ/dt+I・(s+2・ζ・ωn)/(s+2・ζ・ωn・s+ωn)・f(V)・δ ……(5)
但し、P、Iは制御定数、ζは減衰係数、ωnは固有振動数である。ζ、ωnの設定方法としては、例えば、設計値とする方法や、実験結果から同定する方法を採用できる。
そのため、ピニオン軸力Th、つまり、ステアリングホイール1aに発生する操舵反力は、上記(5)式を基に下記(6)式で表すことができる。
Th=P(s+2・ζ・ωn)/(s+2・ζ・ωn・s+ωn)dδ/dt+I・(s+2・ζ・ωn)/(s+2・ζ・ωn・s+ωn)・f(V)・δ ……(6)
そして、上記(6)式、つまり、ピニオン軸力Thの数式を基に、フィードフォワード軸力TFFの算出方法としては、下記(7)式を採用する。
FF=P・P・P(s+2・ζ・ωn)/(s+2・ζ・ωn・s+ωn)dδ/dt+I・(s+2・ζ・ωn)/(s+2・ζ・ωn・s+ωn)・f(V)・δ+補正用ダンピング成分
=ダンピング成分・P・P+比例成分+補正用ダンピング成分 ……(7)
但し、ダンピング成分はP(s+2・ζ・ωn)/(s+2・ζ・ωn・s+ωn)dδ/dt、比例成分はI・(s+2・ζ・ωn)/(s+2・ζ・ωn・s+ωn)・f(V)・δである。また、補正用ダンピング成分は、操舵角速度dδ/dtに基づくダンピング成分であり、操舵角速度dδ/dtと反対方向に操舵反力を発生させるものである。
ここで、ゲインPの設定方法としては、例えば、操舵角速度dδ/dtの絶対値に対応したゲインPを制御マップM2から読み出す方法を採用できる。制御マップM2としては、例えば、操舵角速度dδ/dtの絶対値に対応したゲインPを登録したマップがある。具体的には、制御マップM2は、操舵角速度dδ/dtが0である場合にゲインPを第3設定値(例えば、1.0)に設定する。また、操舵角速度dδ/dtの絶対値が第1設定操舵角速度dδ/dt(>0)以上の範囲では、操舵角速度dδ/dtの大きさにかかわらずゲインPを第4設定値(<第3設定値。例えば、0.5)に設定する。更に、制御マップM2は、操舵角速度dδ/dtの絶対値が0以上で且つ第1設定操舵角速度dδ/dt未満の範囲では、操舵角速度dδ/dtの絶対値に応じてゲインPを直線的に低下させる。具体的には、制御マップM2は、操舵角速度dδ/dtの絶対値が0以上で且つ第1設定操舵角速度dδ/dt未満の範囲では、操舵角速度dδ/dtの絶対値とゲインPとの関係を表す一次関数に従ってゲインPを設定する。一次関数は、操舵角速度dδ/dtが0である場合にゲインPを第3設定値(1.0)とし、操舵角速度dδ/dtの絶対値が第1設定操舵角速度dδ/dtである場合にゲインPを第4設定値(0.5)とする。これにより、フィードフォワード軸力算出部27aは、操舵角速度dδ/dtの絶対値が第1設定操舵角速度dδ/dt未満である場合には、操舵角速度dδ/dtの絶対値が大きいほどダンピング成分の絶対値を小さくする(補正する)。また、フィードフォワード軸力算出部27aは、操舵角速度dδ/dtの絶対値が第1設定操舵角速度dδ/dt以上である場合には、操舵角速度dδ/dtの大きさにかかわらず、ゲインPに基づくダンピング成分の絶対値の補正を行わない。
なお、機械式の操舵制御装置では、操舵角速度dδ/dtの増大に伴い、操舵反力に含まれるダンピング成分が飽和する。それゆえ、機械式の操舵制御装置では、ダンピング成分が飽和することで、操舵角速度dδ/dtの大きさにかかわらず、操舵角δと操舵反力とからなるリサジュー図形の形状が一定となる。しかしながら、操舵反力に含まれるダンピング成分の飽和を考慮していないステア・バイ・ワイヤ方式の操舵制御装置では、操舵角速度dδ/dtの増大に応じて操舵反力が増大し続ける。これに対し、転舵角に応じた反力演算部27は、操舵角速度dδ/dtの絶対値が大きいほどダンピング成分の絶対値を小さくする。それゆえ、転舵角に応じた反力演算部27は、操舵角速度dδ/dtが大きい場合に、ダンピング成分の絶対値の増大を抑制できる。そのため、転舵角に応じた反力演算部27は、ダンピング成分が過剰となることを抑制できる。これにより、転舵角に応じた反力演算部27は、より適切な操舵感を付与できる。
また、ゲインPの設定方法としては、例えば、車速Vの絶対値に対応したゲインPを制御マップM3から読み出す方法を採用できる。制御マップM3としては、例えば、車速Vの絶対値に対応したゲインPを登録したマップがある。具体的には、制御マップM3は、車速Vの絶対値が0である場合にゲインPを第5設定値(例えば、0.5)に設定する。また、車速Vの絶対値が第2設定車速V(>0)以上の範囲では、車速Vの大きさにかかわらずゲインPを第6設定値(>第5設定値。例えば、1.0)に設定する。更に、制御マップM3は、車速Vの絶対値が0以上で且つ第2設定車速V未満の範囲では、車速Vの絶対値に応じてゲインPを直線的に増加させる。具体的には、制御マップM3は、車速Vの絶対値が0以上で且つ第2設定車速V未満の範囲では、車速Vの絶対値とゲインPとの関係を表す一次関数に従ってゲインPを設定する。一次関数は、車速Vの絶対値が0である場合にゲインPを第5設定値(0.5)とし、車速Vの絶対値が第2設定車速Vである場合にゲインPを第6設定値(1.0)とする。これにより、フィードフォワード軸力算出部27aは、車速Vの絶対値が第2設定車速V未満である場合には、車速Vの絶対値が小さいほどダンピング成分の絶対値を小さくする(補正する)。また、フィードフォワード軸力算出部27aは、車速Vの絶対値が第2設定車速V以上である場合には、車速Vの大きさにかかわらず、ゲインPに基づくダンピング成分の絶対値の補正を行わない。
このように、転舵角に応じた反力演算部27は、車速Vの絶対値が小さいほどダンピング成分の絶対値を小さくする。ここで、ステアリングホイール1aと左右前輪5FL、5FRとが機械的に結合している機械式の操舵制御装置では、車速Vが低減すると、左右前輪5FL、5FRのタイヤ横力Fdが低減し、操舵反力が低減する。これに対し、転舵角に応じた反力演算部27は、車速Vの絶対値が小さいほどダンピング成分の絶対値を小さくすることで、操舵反力を低減できる。これにより、転舵角に応じた反力演算部27は、より適切な操舵感を付与できる。
更に、補正用ダンピング成分の設定方法としては、例えば、操舵角速度dδ/dtの絶対値に対応した補正用ダンピング成分を制御マップM4から読み出す方法を採用できる。制御マップM4としては、例えば、操舵角速度dδ/dtの絶対値に対応した補正用ダンピング成分を登録したマップがある。具体的には、制御マップM4は、車速V毎に設定される。各制御マップM4は、操舵角速度dδ/dtが0である場合に補正用ダンピング成分を第7設定値(例えば、0.0)に設定する。また、制御マップM4は、操舵角速度dδ/dtの絶対値が第2設定操舵角速度dδ/dt(>0)以上の範囲では、操舵角速度dδ/dtの大きさにかかわらず補正用ダンピング成分を第8設定値(一定値)に設定する。更に、制御マップM4は、操舵角速度dδ/dtが0.0以上で且つ操舵角速度dδ/dtの絶対値が第3設定操舵角速度dδ/dt(0<dδ/dt<dδ/dt)未満の範囲では、操舵角速度dδ/dtの絶対値に応じて補正用ダンピング成分を直線的に増加させる。具体的には、各制御マップM4は、操舵角速度dδ/dtの絶対値が0以上で且つ第3設定操舵角速度dδ/dt未満の範囲では、操舵角速度dδ/dtの絶対値と補正用ダンピング成分との関係を表す一次関数に従って補正用ダンピング成分を設定する。一次関数は、操舵角速度dδ/dtの絶対値が0である場合に補正用ダンピング成分を第7設定値(0.0)とし、操舵角速度dδ/dtの絶対値が第3設定操舵角速度dδ/dtである場合に補正用ダンピング成分を第9設定値(0<第9設定値<第8設定値)に設定する。また、各制御マップM4は、操舵角速度dδ/dtの絶対値が第3設定操舵角速度dδ/dt以上で且つ第2設定操舵角速度dδ/dt未満の範囲では、操舵角速度dδ/dtの絶対値に応じて補正用ダンピング成分を直線的に増加させる。具体的には、制御マップM4は、操舵角速度dδ/dtの絶対値が第3設定操舵角速度dδ/dt以上で且つ第2設定操舵角速度dδ/dt未満の範囲では、車速Vの絶対値と補正用ダンピング成分との関係を表す一次関数に従って補正用ダンピング成分を設定する。一次関数は、操舵角速度dδ/dtの絶対値が第3設定操舵角速度dδ/dtである場合に補正用ダンピング成分を第9設定値とし、操舵角速度dδ/dtの絶対値が第2設定操舵角速度dδ/dtである場合に補正用ダンピング成分を第8設定値とする。これにより、フィードフォワード軸力算出部27aは、操舵角速度dδ/dtの絶対値が第2設定操舵角速度dδ/dt未満である場合には、操舵角速度dδ/dtの絶対値が大きいほど補正用ダンピング成分の絶対値を大きくする。また、フィードフォワード軸力算出部27aは、操舵角速度dδ/dtの絶対値が第2設定操舵角速度dδ/dt以上である場合には、操舵角速度dδ/dtの大きさにかかわらず、補正用ダンピング成分の絶対値を予め定めた一定値とする。
このように、転舵角に応じた反力演算部27は、操舵角速度dδ/dtの絶対値が大きいほど絶対値が大きくなる補正用ダンピング成分をフィードフォワード軸力TFFに加算する。それゆえ、転舵角に応じた反力演算部27は、ステアリングホイール1aの切り始めに、操舵角速度dδ/dtの絶対値が増大した場合に、操舵反力の立ち上がりを増大できる。これにより、転舵角に応じた反力演算部27は、より適切な操舵感を付与できる。
また、転舵角に応じた反力演算部27は、操舵角速度dδ/dtの絶対値が第2設定操舵角速度dδ/dt以上7である場合には、予め定めた一定値を補正用ダンピング成分とする。それゆえ、運転者がステアリングホイール1aを切ったことで、操舵角速度dδ/dtの絶対値が第2設定操舵角速度dδ/dt以上となった場合には、補正用ダンピング成分の変動を抑制できる。そのため、転舵角に応じた反力演算部27は、補正用ダンピング成分の変動による操舵反力の変化が感知されず、運転者に操舵感の違和感を与えることを防止できる。
図14は、フィードバック軸力算出部27bの構成を表すブロック図である。
図14に示すように、フィードバック軸力算出部27bは、電流軸力算出部27ba、ブレンド軸力算出部27bb、操舵角速度検出部27bc、操舵判定部27bd、及びフィードバック軸力算出実行部27beを備える。
電流軸力算出部27baは、転舵角センサ2dが出力した検出結果(転舵角)に基づき、下記(8)式に従ってステアリングラック軸力を算出する。下記(8)式では、まず、転舵角を示す転舵電流と、転舵電流を基に転舵モータ2cの出力トルクを算出するためのトルク定数[Nm/A]と、転舵モータ2cのモータトルクを伝達するためのモータギア比とを乗算する。続いて、下記(8)式では、乗算結果を転舵モータ2cのピニオンギアのピニオン半径[m]で除算し、除算結果に、転舵モータ2cの出力トルクが伝達される際の効率を乗算し、乗算結果を電流軸力として算出する。そして、電流軸力算出部27baは、算出結果をブレンド軸力算出部27bb及びフィードバック軸力算出実行部27beに出力する。
電流軸力=(転舵電流×モータギア比×トルク定数[Nm/A]/ピニオン半径[m])×効率 ……(8)
ここで、転舵電流は、ステアリングホイール1aが操舵され、目標転舵角θが変動し、目標転舵角θと実際の転舵角θとに差が生じることによって変動する。また、転舵電流は、左右前輪5FL、5FRが転舵され、左右前輪5FL、5FRにタイヤ横力Fdが作用し、目標転舵角θと実際の転舵角θとに差が生じることによっても変動する。更に、転舵電流は、路面凹凸等によって左右前輪5FL、5FRに路面外乱が作用し、左右前輪5FL、5FRにタイヤ横力Fdが作用し、目標転舵角θと実際の転舵角θとに差が生じることによっても変動する。それゆえ、フィードバック軸力算出部27bは、転舵電流に基づくことで、左右前輪5FL、5FRに作用するタイヤ横力Fdの影響を反映したステアリングラック軸力(電流軸力)を算出できる。ここで、電流軸力は、目標転舵角θと実際の転舵角θとに差が生じた時点で発生する。そのため、電流軸力は、実際のステアリングラック軸力や横G軸力に比べ、位相が進む。
ブレンド軸力算出部27bbは、加速度センサ7bが検出した横方向加速度Gyに基づき、下記(9)式に従ってステアリングラック軸力(以下、横G軸力とも呼ぶ)を算出する。下記(9)式では、まず、前輪荷重と横方向加速度Gyとを乗算し、乗算結果を左右前輪5FL、5FRにかかる軸力(軸方向の力)として算出する。続いて、下記(9)式では、算出した左右前輪5FL、5FRにかかる軸力と、リンクの角度やサスペンションに応じた定数(以下、リンク比とも呼ぶ)とを乗算し、乗算結果を横G軸力として算出する。
横G軸力=左右前輪5FL、5FRにかかる軸力×リンク比 ……(9)
左右前輪5FL、5FRにかかる軸力=前輪荷重×横方向加速度Gy
ここで、横方向加速度Gyは、左右前輪5FL、5FRが転舵され、左右前輪5FL、5FRにタイヤ横力Fdが作用し、車両Aが旋回することによって発生する。それゆえ、ブレンド軸力算出部27bbは、横方向加速度Gyに基づくことで、左右前輪5FL、5FRに作用するタイヤ横力Fdの影響を反映したステアリングラック軸力(横G軸力)を算出できる。ここで、加速度センサ7bは、バネ上(車体)に配置したため、横方向加速度Gyの検出が遅れる。そのため、横G軸力は、実際のステアリングラック軸力に比べ、位相が遅れる。
なお、本実施形態では、横G軸力を算出する際に、加速度センサ7bで検出した横方向加速度Gyを用いる例を示したが、他の構成を採用してもよい。例えば、ヨーレートセンサ7cが検出したヨーレートγに車速センサ7aが検出した車速Vを乗算し、乗算結果γ×Vを横方向加速度Gyに代えて用いる構成としてもよい。
また、ブレンド軸力算出部27bbは、車速センサ7aが検出した車速V、及びヨーレートセンサ7cが検出したヨーレートγに基づき、下記(10)式に従ってステアリングラック軸力(以下、ヨーレート軸力とも呼ぶ)を算出する。下記(10)式では、まず、前輪荷重と車速Vとヨーレートγとを乗算し、乗算結果を左右前輪5FL、5FRにかかる軸力として算出する。続いて、下記(10)式では、算出した左右前輪5FL、5FRにかかる軸力とリンク比とを乗算し、乗算結果をヨーレート軸力として算出する。
ヨーレート軸力=左右前輪5FL、5FRにかかる軸力×リンク比 ……(10)
左右前輪5FL、5FRにかかる軸力=前輪荷重×車速V×ヨーレートγ
ここで、ヨーレートγは、左右前輪5FL、5FRが転舵され、左右前輪5FL、5FRにタイヤ横力Fdが作用し、車両Aが旋回することによって発生する。それゆえ、ブレンド軸力算出部27bbは、ヨーレートγに基づくことで、左右前輪5FL、5FRに作用するタイヤ横力Fdの影響を反映したステアリングラック軸力(ヨーレート軸力)を算出できる。ここで、ヨーレートセンサ7cは、バネ上(車体)に配置したため、ヨーレートγの検出が遅れる。そのため、ヨーレート軸力は、実際のステアリングラック軸力に比べ、位相が遅れる。
更に、ブレンド軸力算出部27bbは、電流軸力算出部27baから電流軸力を読み込む。続いて、ブレンド軸力算出部27bbは、読み込んだ電流軸力、及び算出した横G軸力、ヨーレート軸力に基づき、下記(11)式に従ってステアリングラック軸力(以下、「ブレンド軸力」とも呼ぶ)TBRを算出する。下記(11)式では、横G軸力に配分比率K1を乗算し、電流軸力に配分比率K2を乗算し、ヨーレート軸力に配分比率K3を乗算し、これらの乗算結果の和をブレンド軸力TBRとして算出する。すなわち、横G軸力に配分比率K1を乗算した値、電流軸力に配分比率K2を乗算した値及びヨーレート軸力に配分比率K3を乗算した値に基づいて、ブレンド軸力TBRを算出する。そして、ブレンド軸力算出部27bbは、算出結果を操舵判定部27bd及びフィードバック軸力算出実行部27beに出力する。ここで、ブレンド軸力TBRは、左右前輪5FL、5FRを右方向に向ける軸力を正値とし、左右前輪5FL、5FRを左方向に向ける軸力を負値とする。
BR=横G軸力×K1+電流軸力×K2+ヨーレート軸力×K3 ……(11)
ここで、配分比率K1、K2、K3は横G軸力、電流軸力、ヨーレート軸力の配分比率である。配分比率K1、K2、K3の大小関係は、K1>K2>K3とする。すなわち、横G軸力、電流軸力、ヨーレート軸力の順に配分比率を大きい値とする。例えば、配分比率K1、K2、K3のそれぞれは、K1=0.6、K2=0.3、K3=0.1に設定する。これにより、ブレンド軸力算出部27bbは、ブレンド軸力TBRとして、左右前輪5FL、5FRに作用するタイヤ横力Fdの影響を反映したステアリングラック軸力を算出する。
このように、ブレンド軸力算出部27bbは、電流軸力に配分比率K2を乗算した値と横G軸力に配分比率K1を乗算した値とに基づいてブレンド軸力TBRを算出する。ここで、横G軸力は、実際のステアリングラック軸力に比べ、位相が遅れる。また、電流軸力は、実際のステアリングラック軸力に比べ、位相が進む。それゆえ、ブレンド軸力算出部27bbは、横G軸力に電流軸力を加えることで、横G軸力による位相の遅れを補償でき、より適切なブレンド軸力TBRを算出できる。そのため、SBWコントローラ4は、ブレンド軸力TBRに基づいて反力モータ1cを駆動することで、より適切な操舵反力を付与できる。
また、ブレンド軸力算出部27bbは、電流軸力に配分比率K2を乗算した値と横G軸力に配分比率K1を乗算した値とに基づいてブレンド軸力TBRを算出する。ここで、車両Aは、路面凹凸等によって左右前輪5FL、5FRに路面外乱が作用し、左右前輪5FL、5FRにタイヤ横力Fdが作用した場合、目標転舵角θと実際の転舵角θとに差が生じる。それゆえ、ブレンド軸力算出部27bbは、横G軸力に電流軸力を加えることで、左右前輪5FL、5FRに作用する路面外乱の影響をブレンド軸力TBRに反映でき、より適切なブレンド軸力TBRを算出できる。そのため、SBWコントローラ4は、ブレンド軸力TBRに基づいて反力モータ1cを駆動することで、より適切な操舵反力を付与できる。
更に、ブレンド軸力算出部27bbは、電流軸力の配分比率K2よりも横G軸力の配分比率K1を大きくする。それゆえ、ブレンド軸力算出部27bbは、電流軸力の配分比率を低減でき、例えば、電流軸力の推定精度が転舵モータ2cの慣性やフリクションの影響によって低下したとしても、ブレンド軸力TBRの推定精度の低下を抑制できる。そのため、SBWコントローラ4は、ブレンド軸力TBRに基づいて反力モータ1cを駆動することで、より適切な操舵反力を付与できる。
また、ブレンド軸力算出部27bbは、電流軸力に配分比率K2を乗算した値と横G軸力に配分比率K1を乗算した値とヨーレート軸力に配分比率K3を乗算した値とに基づいてフィードバック軸力TFBを算出する。ここで、例えば、車両Aがスピン状態になった場合に、転舵電流及び横方向加速度Gyが増大するため、加速度センサ7bの検出結果及び転舵電流検出部8Bの検出結果はいずれも最大値(飽和値)となる。これに対し、ヨーレートγも増大するが、ヨーレートγの増大量は転舵電流及び横方向加速度Gyの増加量に比べて比較的小さいので、ヨーレートセンサ7cの検出結果は最大値(飽和値)に到達しない。そのため、車両Aのスピン状態の度合いに応じてヨーレートセンサ7cの検出結果は変動する。それゆえ、車両Aのスピン状態の度合いに応じてブレンド軸力TBRを変動できる。その結果、SBWコントローラ4は、ブレンド軸力TBRに基づいて反力モータ1cを駆動することで、より適切な操舵反力を付与できる。
操舵角速度検出部27bcは、操舵角センサ1dが検出した操舵角δに基づいて、ステアリングホイール1aの操舵角速度dδ/dtを算出する。そして、操舵角速度検出部27bcは、算出結果をブレンド軸力算出部27bb及び操舵判定部27bdに出力する。ここで、操舵角速度dδ/dtは、ステアリングホイール1aが時計回りに回転する場合の角速度を正値とし、反時計回りに回転する場合の角速度を負値とする。
操舵判定部27bdは、ブレンド軸力算出部27bbが算出したブレンド軸力TBR及び操舵角速度検出部27bcが検出した操舵角速度dδ/dtに基づいて、運転者がステアリングホイール1aの切り増し操作及び切り戻し操作のいずれを行っているかを判定する。切り増し操作としては、例えば、ステアリングホイール1a(操舵角δ)が中立位置から離れる方向への操舵操作である。また、切り戻し操作としては、例えば、ステアリングホイール1a(操舵角δ)が中立位置に近づく方向への操舵操作がある。具体的には、操舵判定部27bdは、ブレンド軸力TBRが正値であり且つ操舵角速度dδ/dtが正値である場合、又はブレンド軸力TBRが負値であり且つ操舵角速度dδ/dtが負値である場合には、ステアリングホイール1aの切り増し操作を行っていると判定し、変数K4を1.0とする。変数K4は、ステアリングホイール1aの切り増し操作及び切り戻し操作のいずれを行なっているかを表すフラグである。変数K4は、ステアリングホイール1aの切り増し操作を行なっている場合に1.0とし、切り戻し操作を行なっている場合に0.0とする。更に、操舵判定部27bdは、ブレンド軸力TBRが正値であり且つ操舵角速度dδ/dtが負値である場合、又はブレンド軸力TBRが負値であり且つ操舵角速度dδ/dtが正値である場合には、ステアリングホイール1aの切り増し操作を行っていないと判定し、変数K4を0とする。そして、操舵判定部27bdは、設定した変数K4をフィードバック軸力算出実行部27beに出力する。
フィードバック軸力算出実行部27beは、電流軸力算出部27ba、ブレンド軸力算出部27bb、操舵角速度検出部27bc及び操舵判定部27bdから電流軸力、ブレンド軸力TBR、操舵角速度dδ/dt及び変数K4を読み込む。続いて、フィードバック軸力算出実行部27beは、読み込んだ電流軸力、ブレンド軸力TBR、操舵角速度dδ/dt及び変数K4に基づき、下記(12)式に従ってステアリングラック軸力(以下、フィードバック軸力TFB)を算出する。そして、フィードバック軸力算出実行部27beは、算出結果を最終軸力算出部27cに出力する。
フィードバック軸力TFB=電流軸力×GB+ブレンド軸力TBR×(1−GB) ……(12)
但し、GBは、電流軸力の配分比率GBとブレンド軸力TBRの配分比率(1−GB)を表す数値(以下、配分比率と呼ぶ)である。これにより、フィードバック軸力算出実行部27beは、配分比率GBに基づいて、電流軸力とブレンド軸力TBRとをGB:(1−GB)の割合で合算させて、フィードバック軸力TFBを算出する。
ここで、配分比率GBの設定方法としては、例えば、操舵判定部27bdが出力した判定結果を基に配分比率設定部27bfで配分比率GBを設定する方法を採用できる。配分比率設定部27bfは、操舵判定部27bdから操舵角速度dδ/dt及び変数K4を読み込む。続いて、配分比率設定部27bfは、読み込んだ操舵角速度dδ/dt及び変数K4に基づき、下記(13)式に従って配分比率GBを算出する。
GB=K4×K5 ……(13)
但し、K5は、K4が1.0のとき、つまり、ステアリングホイール1aの切り増し操作時における、電流軸力の配分比率GBとブレンド軸力TBRの配分比率(1−GB)を表す数値である。これにより、フィードバック軸力算出実行部27beは、ステアリングホイール1aの切り増し操作時には、変数K5に基づいて電流軸力とブレンド軸力TBRとをK5:(1−K5)の割合で合算させて、フィードバック軸力TFBを算出する。なお、K4が0.0のとき、つまり、ステアリングホイール1aの切り戻し操作時には、変数K5にかかわらず、ブレンド軸力TBRをフィードバック軸力TFBとする。
ここで、変数K5の設定方法としては、例えば、操舵角速度dδ/dtに対応した変数K5を制御マップM5から読み出す方法を採用できる。制御マップM5としては、例えば、操舵角速度dδ/dtに対応した変数K5を登録したマップがある。
制御マップM5は、操舵角速度dδ/dtの絶対値が0以上で且つ第4設定操舵角速度dδ/dt(>0)未満の範囲では、操舵角速度dδ/dtの大きさにかかわらず変数K5を第10設定値(例えば、1.0)に設定する。また、制御マップM5は、操舵角速度dδ/dtの絶対値が第5設定操舵角速度dδ/dt(>dδ/dt)以上の範囲では、操舵角速度dδ/dtの大きさにかかわらず変数K5を第11設定値(<第10設定値。例えば、0.0)に設定する。更に、制御マップM5は、操舵角速度dδ/dtの絶対値が第4設定操舵角速度dδ/dt以上で且つ第5設定操舵角速度dδ/dt未満の範囲では、操舵角速度dδ/dtの絶対値に応じて変数K5を直線的に低下させる。具体的には、制御マップM5は、操舵角速度dδ/dtの絶対値が第4設定操舵角速度dδ/dt以上で且つ第5設定操舵角速度dδ/dt未満の範囲では、操舵角速度dδ/dtの絶対値と変数K5との関係を表す一次関数に従って変数K5を設定する。一次関数は、操舵角速度dδ/dtの絶対値が第4設定操舵角速度dδ/dtである場合に変数K5を第10設定値(1.0)とし、操舵角速度dδ/dtの絶対値が第5設定操舵角速度dδ/dtである場合に変数K5を第11設定値(0.0)とする。これにより、配分比率設定部27bfは、変数K4が1.0(切り増し操作時)であり、且つ、操舵角速度dδ/dtの絶対値が第4設定操舵角速度dδ/dt未満(低速操舵時)である場合には、配分比率GBを1.0とする。そして、フィードバック軸力算出実行部27beは、電流軸力をフィードバック軸力TFBとする。また、配分比率設定部27bfは、変数K4が1.0(切り増し操作時)であり、且つ、操舵角速度dδ/dtの絶対値が第5設定操舵角速度dδ/dt以上(高速操舵時)である場合には、配分比率GBを0.0とする。これにより、フィードバック軸力算出実行部27beは、ブレンド軸力TBRをフィードバック軸力TFBとする。また、配分比率設定部27bfは、変数K4が1.0(切り増し操作時)であり、且つ、操舵角速度dδ/dtの絶対値が第4設定操舵角速度dδ/dt以上で且つ第5設定操舵角速度dδ/dt未満(中速操舵時)である場合には、変数K5を配分比率GBとする。これにより、フィードバック軸力算出実行部27beは、電流軸力に変数K5を乗算した値とブレンド軸力TBRに(1−K5)を乗算した値とを合算したものをフィードバック軸力TFBとする。一方、配分比率設定部27bfは、変数K4が0.0(切り戻し操作時)である場合には、操舵角速度dδ/dtにかかわらず、0.0を配分比率GBとする。そして、フィードバック軸力算出実行部27beは、ブレンド軸力TBRをフィードバック軸力TFBとする。
このように、フィードバック軸力算出実行部27beは、ステアリングホイール1aの切り増し操作が行われると、操舵角速度dδ/dtの絶対値が第4設定操舵角速度dδ/dt未満である場合には、電流軸力をフィードバック軸力TFBとする。ここで、ステアリングホイール1aと左右前輪5FL、5FRとが機械的に結合している機械式の操舵制御装置では、ステアリングホイール1aの切り増し操作時には、左右前輪5FL、5FRの転舵に伴うタイヤ横力Fdとフリクションとにより、ステアリングホイール1aを中立位置に戻す操舵反力が発生する。また、フィードバック軸力算出実行部27beでは、ステアリングホイール1aの切り増し操作時には、電流軸力は、タイヤ横力Fdとフリクションとの合算値と等しくなる。そのため、SBWコントローラ4は、電流軸力をフィードバック軸力TFBとすることで、機械式の操舵制御装置と同様に、ステアリングホイール1aを中立位置に戻す操舵反力を付与できる。これにより、SBWコントローラ4は、ステアリングホイール1aの切り増し操作時に、より適切な操舵反力を付与できる。
ちなみに、ブレンド軸力TBRは、左右前輪5FL、5FRの転舵に伴うフリクションの要素が含まれていない。それゆえ、例えば、ステアリングホイール1aの切り増し操作時に、ブレンド軸力TBRをフィードバック軸力TFBとする方法では、操舵感に違和感を与える可能性がある。
また、フィードバック軸力算出実行部27beは、ステアリングホイール1aの切り戻し操作が行われると、操舵角速度dδ/dtの絶対値の大きさにかかわらず、電流軸力と横G軸力とを予め設定された配分比率で配分したブレンド軸力TBRをフィードバック軸力TFBとする。ここで、ステアリングホイール1aと左右前輪5FL、5FRとが機械的に結合している機械式の操舵制御装置では、ステアリングホイール1aの切り戻し操作時には、左右前輪5FL、5FRの転舵に伴うタイヤ横力Fdにより、ステアリングホイール1aを中立位置に戻す操舵反力が発生する。それゆえ、機械式の操舵制御装置では、ステアリングホイール1aの切り戻し操作時には、運転者は、ステアリングホイール1aの保持力を低減し、ステアリングホイール1aを手の平で滑らせることで、ステアリングホイール1aを中立位置に戻し、左右前輪5FL、5FRを中立位置に戻していた。これに対し、フィードバック軸力算出実行部27beでは、ブレンド軸力TBRをフィードバック軸力TFBとすることで、転舵電流が低減し、電流軸力が低減したとしても、ステアリングホイール1aを中立位置に戻す操舵反力が低減することを抑制できる。そのため、フィードバック軸力算出実行部27beは、機械式の操舵制御装置と同様に、運転者がステアリングホイール1aの保持力を低減し、ステアリングホイール1aを手の平で滑らせることで、ステアリングホイール1aを中立位置に戻すことができる。これにより、SBWコントローラ4は、ステアリングホイール1aの切り戻し操作時に、より適切な操舵反力を付与できる。
更に、フィードバック軸力算出実行部27beは、ステアリングホイール1aの切り増し操作を行っていると判定し、且つ、操舵角速度dδ/dtの絶対値が第4設定操舵角速度dδ/dt以上であると判定した場合には、電流軸力とブレンド軸力TBRとを配分してフィードバック軸力TFBを設定するとともに、操舵角速度dδ/dtの絶対値が小さくなるほど電流軸力の配分比率を大きくする。それゆえ、フィードバック軸力算出実行部27beは、例えば、ステアリングホイール1aの切り戻し操作中に、操舵角δが中立位置を跨ぎ、引き続き同方向へステアリングホイール1aの切り増し操作が行われた場合、切り増し操作中に操舵角速度dδ/dtの絶対値が徐々に低減するにつれ、ブレンド軸力TBRから電流軸力へとフィードバック軸力TFBを徐々に移行できる。これにより、SBWコントローラ4は、より適切な操舵反力を付与できる。
図12に戻り、最終軸力算出部27cは、操舵角センサ1d、車速センサ7a、加速度センサ7b、フィードフォワード軸力算出部27a及びフィードバック軸力算出部27bから操舵角δ、車速V、横方向加速度Gy、フィードフォワード軸力TFF及びフィードバック軸力TFBを読み込む。続いて、最終軸力算出部27cは、読み込んだ操舵角δに基づいて、ステアリングホイール1aの操舵角速度dδ/dtを算出する。続いて、最終軸力算出部27cは、読み込んだ操舵角δ、車速V、横方向加速度Gy、フィードフォワード軸力TFF及びフィードバック軸力TFB、算出した操舵角速度dδ/dtに基づき、下記(14)式に従ってステアリングラック軸力(以下、最終軸力)を算出する。そして、最終軸力算出部27cは、算出結果を軸力−操舵反力変換部27dに出力する。
最終軸力=フィードフォワード軸力TFF×GF+フィードバック軸力TFB×(1−GF) ……(14)
ここで、GFは、フィードフォワード軸力TFFの配分比率GFとフィードバック軸力TFBの配分比率(1−GF)を表す数値(以下、配分比率と呼ぶ)である。これにより、最終軸力算出部27cは、配分比率GFに基づいて、フィードフォワード軸力TFFとフィードバック軸力TFBとをGF:(1−GF)の割合で合算させて、最終軸力を算出する。
このように、最終軸力算出部27cは、フィードバック軸力TFB及びフィードフォワード軸力TFFに基づいて最終軸力を算出する。ここで、フィードバック軸力TFBは、左右前輪5FL、5FRに作用するタイヤ横力Fdの影響を反映するため、路面状態の変化や車両状態の変化に応じて変化する。これに対し、フィードフォワード軸力TFFは、タイヤ横力Fdの影響を反映しないため、路面状態の変化等にかかわらず滑らかに変化する。それゆえ、最終軸力算出部27cは、フィードバック軸力TFBに加え、フィードフォワード軸力TFFに基づいて最終軸力を算出することで、より適切な最終軸力を算出できる。
最終軸力算出部27cは、配分比率算出部27caを備える。配分比率算出部27caは、軸力差分に基づく配分比率GF、横方向加速度Gyに基づく配分比率GF、車速Vおよび操舵角δに基づく配分比率GF、および操舵角速度dδ/dtに基づく配分比率GFに基づいて、配分比率GFを設定する。軸力差分としては、例えば、フィードフォワード軸力TFFとフィードバック軸力TFBとの差を採用できる。具体的には、軸力差分は、フィードフォワード軸力TFFからフィードバック軸力TFBを減算した減算結果とする。また、配分比率GFの設定方法としては、例えば、軸力差分に基づく配分比率GFと横方向加速度Gyに基づく配分比率GFとのうちいずれか小さい値と、車速Vおよび操舵角δに基づく配分比率GFと、操舵角速度dδ/dtに基づく配分比率GFとを乗算し、乗算結果を配分比率GFとする方法を採用できる。
図12に戻り、軸力−操舵反力変換部27dは、最終軸力算出部27cが算出した最終軸力に基づいて目標操舵反力を算出する。目標操舵反力とは、操舵反力の目標値である。目標操舵反力の算出方法としては、例えば、車速V及び最終軸力に対応した目標操舵反力を制御マップM6から読み出す方法を採用できる。制御マップM6としては、車速V毎に、最終軸力に対応した目標操舵反力を登録したマップがある。制御マップM6は、車速V毎に設定される。また、制御マップM6は、最終軸力が大きいほど目標操舵反力を大きい値とする。そして、軸力−操舵反力変換部27dは、算出結果を転舵角に応じた反力として反力選択部24c(図9参照)に出力する。これにより、転舵角に応じた反力は、転舵角が大きいほど増大する。
(反力選択部24cにおける処理)
図15は、反力選択部24cにおける処理に関するフローチャートである。
反力選択部24cは、逸脱余裕時間に応じた反力演算部25が出力した算出結果(逸脱余裕時間に応じた反力)と、横位置に応じた反力演算部26が出力した算出結果(横位置に応じた反力)とのうち絶対値が大きなほうを選択し、第1の反力指令値とする(ステップS101)。
また、反力選択部24cは、転舵角に応じた反力演算部27が出力した算出結果(転舵角に応じた反力)を、第2の反力指令値とする(ステップS102)。
更に、反力選択部24cは、車速センサ7aが出力した検出結果(車速)に基づいて、第1の切替ゲイン及び第2の切替ゲインの値を算出する(ステップS103)。
このとき、高速域(例えば60km/h以上)では第1の切替ゲインが1で第2の切替ゲインが0、低速域(例えば40km/h以下)では第1の切替ゲインが0で第2の切替ゲインが1、低速域と高速域との間では第1の切替ゲイン及び第2の切替ゲインは、それぞれの値が0〜1の範囲内で、かつ、両方の値の合計値が常に1となる範囲内で変動するものとする。
ここでは、第1の切替ゲイン及び第2の切替ゲインは、車速に応じた割合(比率)を示す。第1の切替ゲインは、第1の反力指令値が占める割合を示す。第2の切替ゲインは、第2の反力指令値が占める割合を示す。
そして、反力選択部24cは、第1の反力指令値に第1の切替ゲインを乗じた値と、第2の反力指令値に第2の切替ゲインを乗じた値とを合算して操舵反力オフセット量を算出する(ステップS104)。
これにより、高速域では第2の反力指令値を選択し、低速域では第1の反力指令値を選択し、低速域と高速域との間では切替ゲインの割合に応じて第1の反力指令値と第2の反力指令値とをブレンド(混合)することができる。
そして、反力選択部24cは、算出した操舵反力オフセット量をリミッタ処理部24d(図9参照)に出力する(ステップS105)。
このように、逸脱余裕時間に応じた反力演算部25と、横位置に応じた反力演算部26と、転舵角に応じた反力演算部27と、反力選択部24cとは、第1の反力指令値を算出すると共に、第2の反力指令値を算出する反力指令値算出部を形成する。
図16は、車両Aが車線の端部に寄っていく際の車両状況及び制御マップを示す図である。
なお、図16(a)、(b)は、車両Aが車線の右側端部に寄っていく際の車両状況及び制御マップを示す図である。車両Aが車線の左側端部に寄っていく際の車両状況及び制御マップについては、図16(a)、(b)に示した内容を左右反転したものとなる。
例えば、横位置/ヨー角の変化に応じた転舵指令の変化に応じて、第1の反力指令値は、図16(a)に示す反力指令の制御マップのように変化する。また、第2の反力指令値は、図16(b)に示す反力指令の制御マップのように変化する。
また、反力選択部24cは、車速に応じて第1の切替ゲイン及び第2の切替ゲインの値を算出した上で、図16(c)に示すように、第1の反力指令値に第1の切替ゲインを乗じた値と、第2の反力指令値に第2の切替ゲインを乗じた値とを合算して操舵反力オフセット量を算出する。これにより、反力選択部24cは、車速に応じて第1の反力指令値と第2の反力指令値とを適宜選択することができる。
(1)高速域の場合
図17は、車両Aの車速が高速域であり、車線に対して一定のヨー角をつけて走行している場合における車線維持制御を表す図である。
高速域では低速域に比べて操舵角(ハンドル角度)の変化量が小さく、操舵角を直進(中立位置)に戻しやすい。
また、高速域では、操舵角に対して車両応答性が良く、横位置の変化にはあまり遅れがない。したがって、高速域では、横位置に応じた反力のみでも制御性能が良い。なお、高速域で、横位置ではなく操舵角に応じた反力を付与すると、運転者は操舵入力に対して引っ掛かり等の違和感を生じやすい。また、高速域では操舵角に応じた反力量が小さいため、横位置に応じた反力が支配的となる。
このように、高速域の場合、自車両の横位置に応じた反力(第1の反力指令値)のみで車線維持制御を実施しても、反力の違和感なく、良好な制御結果が得られる。
(2)低速域の場合
図18は、車両Aの車速が低速域であり、車線に対して一定のヨー角をつけて走行している場合における車線維持制御を表す図である。
低速域では高速域に比べて操舵角の変化量が大きく、操舵角を直進に戻しにくい。
また、低速域では、操舵角に対して車両応答性が悪く、横位置の変化には顕著に遅れが発生する。したがって、低速域では、横位置に応じた反力のみの制御だとハンチング(乱調)が発生しやすい。
このように、低速域の場合、自車両の横位置に応じた反力(第1の反力指令値)のみで車線維持制御を実施すると、車線中央でも操舵角が戻り切らずに車両の進行方向のふらつきにつながり、良好な制御結果が得られない。
低速域の場合、本実施形態に係る車線維持制御を実施することにより、制御結果が良好になる。
(変形例)
[操舵反力オフセット量の算出方法]
他の方法として、反力選択部24cは、第1及び第2の切替ゲインによらず、以下の(1)〜(5)のいずれかの方法により操舵反力オフセット量を算出することも可能である。このとき、事前の設定等により、上記の第1及び第2の切替ゲインを用いて操舵反力オフセット量を算出する方法と、以下の(1)〜(5)の方法とのいずれかを選択可能にしても良い。但し、実際には、これらの方法に限定されない。
(1)セレクトハイ
反力選択部24cは、車速が第2の閾値よりも低いときには、第1の反力指令値と第2の反力指令値とのうち値の大きい方を選択し、選択結果に応じた操舵反力オフセット量を算出する。
(2)合計値
反力選択部24cは、車速が第2の閾値よりも低いときには、第1の反力指令値と第2の反力指令値とを合算し、合算結果に応じた操舵反力オフセット量を算出する。
(3)切り替え
反力選択部24cは、車速が第2の閾値よりも低いときには、ステアリングホイールの回転方向(運転者の操舵入力の方向等)が車両Aを車線中央側(逸脱回避側)に寄せる方向か否かに応じて、上記の(1)の方法と(2)の方法とを切り替える。
このとき、反力選択部24cは、ステアリングホイールの回転方向が車両Aを車線中央側(逸脱回避側)に寄せる方向(ステアリングホイールの回転方向が操舵反力の方向と同じ方向)である場合には、第1の反力指令値と第2の反力指令値とのセレクトハイを行って操舵反力オフセット量を算出する。
逆に、反力選択部24cは、ステアリングホイールの回転方向が車両Aを車線端部(逸脱側)に寄せる方向(ステアリングホイールの回転方向が操舵反力の方向と異なる方向)である場合には、第1の反力指令値と第2の反力指令値とを合算して操舵反力オフセット量を算出する。
(4)平均値
反力選択部24cは、車速が第2の閾値よりも低いときには、第1の反力指令値と第2の反力指令値との平均値を算出し、算出結果に応じた操舵反力オフセット量を算出する。
ここで、反力選択部24cは、車速が第2の閾値よりも低いときには、第1の反力指令値と第2の反力指令値とを合算した値を2で割って平均値を算出するため、実際には、当該(4)の方法は、上記の(2)の方法の一態様である。
なお、上記の(1)〜(4)の方法において、反力選択部24cは、車速が第1の閾値よりも高いときには、無条件で第2の反力指令値に基づいて操舵反力オフセット量を算出する。
(5)入力制限
反力選択部24cは、車速が第1の閾値よりも高いとき(例えば車速が60km/h以上のとき)には、第1の反力指令値を入力して第2の反力指令値の入力を制限し、車速が第1の閾値よりも低い(例えば車速が60km/h未満のとき)ときには、第1の反力指令値及び第2の反力指令値の両方を入力する。
若しくは、反力選択部24cは、第2の反力指令値の入力の有無にかかわらず、車速が第1の閾値よりも高いときには、第2の反力指令値の値を無条件で0としても良い。
いずれにしても、反力選択部24cは、車速が第1の閾値よりも高いときには、第2の反力指令値の値を0とすることになる。
[運転者の意図的な車線逸脱への対応]
上記の説明では、本実施形態に係る車線維持支援装置は、車両Aが車線端部(道路白線)に寄っている場合に車両Aを車線中央側に戻すように車線維持制御する。但し、実際には、(I)走行車線から隣接車線に車線変更する場合、(II)本線車線から分流車線に移動する場合、(III)合流車線から本線車線に移動する場合、若しくは(IV)緊急時に路側帯に停車する場合、又は(V)道路沿いの店舗や駐車場等に進入する場合等のように、運転者が車線端部の外側への移動を所望する場合には、本実施形態に係る車線維持制御を中断するようにしても良い。
具体的には、取得した道路情報や白線情報等において車線端部の外側に車両Aが進入可能な領域(他の車線、ジャンクション、サービスエリア、路側帯、店舗、公共施設、駐車場等)があるときに、(I)方向指示器を作動させている場合、(II)運転者が所定の角度(閾値)以上に切り増し側(逸脱側)にステアリングホイール1aを切っている場合、又は(III)車両Aを車線中央側に戻す操舵反力トルクを発生させても運転者が切り増し側(逸脱側)にステアリングホイール1aを切り続けている場合には、運転者が車線端部の外側への移動を所望していると判断して、本実施形態に係る車線維持制御を中断する。例えば、指令操舵反力トルクや指令転舵角を電流ドライバに出力しない。
反対に、取得した道路情報や白線情報等において車線端部の外側に車両Aが進入可能な領域がない場合には、運転者が車線端部の外側への移動を所望していても、車線端部の外側への移動は不可能であると判断して、本実施形態に係る車線維持制御を無条件で実施する。
(本実施形態の効果)
本実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
(1)本実施形態に係る車線維持支援装置は、車両に設けられたステアリングホイールと車両を転舵させる転舵輪とが機械的に切り離された車両において、車両が走行車線内を走行するように支援する車線維持支援装置であって、車両が走行車線内を走行するように算出した第1の転舵角と、ステアリングホイールの操舵量に対応した第2の転舵角とを用いて転舵輪の転舵角を制御し、車両の車速を検出し、第1の転舵角に対応したステアリングホイールへの第1の反力指令値を算出すると共に、第2の転舵角に対応したステアリングホイールへの第2の反力指令値を算出し、車速が所定の閾値(所定の車速)よりも高いときには第2の反力指令値のみに対応する操舵反力にて、ステアリングホイールに与える操舵反力を制御し、車速が所定の閾値以下のときには第1の反力指令値及び第2の反力指令値に対応する操舵反力にて、ステアリングホイールに与える操舵反力を制御する。
他の観点では、本実施形態に係る車線維持支援装置は、車両に設けられたステアリングホイールと車両を転舵させる転舵輪とが機械的に切り離された車両において、車両が走行車線内を走行するように支援する車線維持支援装置であって、車両が走行車線内を走行するように算出した第1の転舵角と、ステアリングホイールの操舵量に対応した第2の転舵角とを用いて転舵輪の転舵角を制御し、車両の車速を検出し、第1の転舵角に対応したステアリングホイールへの第1の反力指令値を算出すると共に、第2の転舵角に対応したステアリングホイールへの第2の反力指令値を算出し、第1の反力指令値及び第2の反力指令値に対応する操舵反力にて、ステアリングホイールに与える操舵反力を制御する。このとき、車速が所定の閾値よりも高いときよりも車速が所定の閾値以下のときのほうが、第1の反力演算値が大きくなるよう第1の反力指令値を算出する。
既存技術では、自車両の横位置又はヨー角に応じてステアバイワイヤシステムの反力と転舵角とを独立に制御している。しかしながら、低速走行時において、高速速走行時と同様に操舵反力トルクを与えて、運転者の操作入力を促しても、実際に車の移動量は、高速走行時に比べ不足する。
一方、本実施形態では、低速走行時は、操舵量に応じた第1の反力指令値と、転舵角に応じた第2の反力指令値との両方を用いて操舵反力を制御する。その結果、既存技術では車線維持制御の対象とされていない低速域においても適切な反力を求めることができ、自車両が走行車線から逸脱することを防止しつつ、車両の進行方向のふらつきを防止することができる。
(2)上記の車線維持支援装置は、車速に応じた割合を第1の反力指令値及び第2の反力指令値のそれぞれに乗じた値の合計値を用いて操舵反力を制御する。
その結果、車両の車速が高速域/低速域であるときに適切に第1の反力指令値と第2の反力指令値とを選択できる。更に、車速が低速域と高速域との間であるときに、第1の反力指令値と第2の反力指令値とを適切な割合で組み合わせて操舵反力を制御することができる。
(3)他の例として、上記の車線維持支援装置は、車速が所定の閾値以下のときには第1の反力指令値と第2の反力指令値とのうち大きい方を用いて操舵反力を制御する。
その結果、低速域〜高速域を通して、反力を1つしか算出しない場合と比べて、より大きな反力を用いて車線維持制御を実施することができる。また、高速域に適した反力、低速域に適した反力を、その都度適切に選択することができる。
(4)また、他の例として、上記の車線維持支援装置は、車速が所定の閾値以下のときには第1の反力指令値と第2の反力指令値との合計値を用いて操舵反力を制御する。
その結果、第1の反力指令値に対応する操舵反力と第2の反力指令値に対応する操舵反力との合力にて、ステアリングホイールに与える操舵反力を制御することができる。
(5)また、他の例として、上記の車線維持支援装置は、車速が所定の閾値以下のときには、ステアリングホイールの回転方向が車両を車線中央側に寄せる方向である場合、第1の反力指令値と第2の反力指令値とのうち大きい方を用いて操舵反力を制御し、ステアリングホイールの回転方向が車両を車線中央側に寄せる方向ではない場合、第1の反力指令値と第2の反力指令値との合計値を用いて操舵反力を制御する。
その結果、ステアリングホイールの回転方向に応じて、適切な操舵反力を制御することができる。例えば、ステアリングホイールが車線中央側に戻る方向(逸脱回避側)に回転している場合には、現在の回転方向と同じ方向に反力を加えるため、第1の反力指令値と第2の反力指令値とのうち大きい方を選択するようにすることができる。一方、ステアリングホイールが車線端部に近づく方向(逸脱側)に回転している場合には、逸脱を回避するように、現在の回転方向と反対方向に強い反力を加えるため、第1の反力指令値と第2の反力指令値とを合成することができる。
また、ステアリングホイールの回転方向と操舵反力の方向との同一/相違に応じて、操舵反力を制御する処理の内容(セレクトハイ、合計値)を切り替えることができる。
(6)また、他の例として、上記の車線維持支援装置は、車速が所定の閾値以下のときには第1の反力指令値と第2の反力指令値との平均値を用いて操舵反力を制御する。
その結果、第1の反力指令値と第2の反力指令値との両方の値を反映した平均値を用いて制御することができる。この平均値には、第1の反力指令値と第2の反力指令値との両方の特性が反映されている。
(7)上記の車線維持支援装置は、車速が所定の閾値よりも高いときには第2の反力指令値の値を0とする。
その結果、本実施形態に係る車線維持支援装置は、車両の車速が閾値(例えば60km/h)以上であるか判断することで、高速域において操舵反力の制御に必須ではない「転舵角に応じた反力」をあらかじめ除外することができる。
以上、本発明の実施形態を詳述してきたが、実際には、上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があっても本発明に含まれる。
1 操舵部
1a ステアリングホイール
1b コラムシャフト
1c 反力モータ
1d 操舵角センサ
2 転舵部
2a ピニオンシャフト
2b ステアリングギア
2c 転舵モータ
2d 転舵角センサ
2e ラックギア
2f ラック
3 バックアップクラッチ
4 SBWコントローラ
4a 映像処理部
5FL、5FR 左右前輪
6 カメラ
7 各種センサ
7a 車速センサ
7b 加速度センサ
7c ヨーレートセンサ
8 ナビゲーションシステム
9 電流ドライバ
9a 反力モータ用電流ドライバ
9b 転舵モータ用電流ドライバ
10 転舵制御部
11 SBW指令転舵角演算部
12 外乱抑制指令転舵角演算部
13 ヨー角に応じた反発力演算部
14 横位置に応じた反発力演算部
20 操舵反力制御部
21 横力演算部
22 横力オフセット部
23 SAT演算部
24 操舵反力トルクオフセット部
25 逸脱余裕時間に応じた反力演算部
26 横位置に応じた反力演算部
27 転舵角に応じた反力演算部

Claims (8)

  1. 車両に設けられたステアリングホイールと前記車両を転舵させる転舵輪とが機械的に切り離された前記車両において、前記車両が走行車線内を走行するように支援する車線維持支援装置であって、
    前記車両が前記走行車線内を走行するように算出した第1の転舵角と、前記ステアリングホイールの操舵量に対応した第2の転舵角とを用いて前記転舵輪の転舵角を制御する転舵制御部と、
    前記車両の車速を検出する車速検出部と、
    前記第1の転舵角に対応した前記ステアリングホイールへの第1の反力指令値を算出すると共に、前記第2の転舵角に対応した前記ステアリングホイールへの第2の反力指令値を算出する反力指令値算出部と、
    前記車速が所定の閾値よりも高いときには前記第2の反力指令値のみに対応する操舵反力にて、前記ステアリングホイールに与える操舵反力を制御し、前記車速が前記所定の閾値以下のときには前記第1の反力指令値及び前記第2の反力指令値に対応する操舵反力にて、前記ステアリングホイールに与える前記操舵反力を制御する操舵反力制御部と、
    を備えることを特徴とする車線維持支援装置。
  2. 車両に設けられたステアリングホイールと前記車両を転舵させる転舵輪とが機械的に切り離された前記車両において、前記車両が走行車線内を走行するように支援する車線維持支援装置であって、
    前記車両が前記走行車線内を走行するように算出した第1の転舵角と、前記ステアリングホイールの操舵量に対応した第2の転舵角とを用いて前記転舵輪の転舵角を制御する転舵制御部と、
    前記車両の車速を検出する車速検出部と、
    前記第1の転舵角に対応した前記ステアリングホイールへの第1の反力指令値を算出すると共に、前記第2の転舵角に対応した前記ステアリングホイールへの第2の反力指令値を算出する反力指令値算出部と、
    前記第1の反力指令値及び前記第2の反力指令値に対応する操舵反力にて、前記ステアリングホイールに与える前記操舵反力を制御する操舵反力制御部と、
    を備え、
    前記反力指令値算出部は、前記車速が所定の閾値よりも高いときよりも前記車速が前記所定の閾値以下のときのほうが、前記第1の反力演算値が大きくなるよう前記第1の反力指令値を算出することを特徴とする車線維持支援装置。
  3. 前記操舵反力制御部は、前記車速に応じた割合を前記第1の反力指令値及び前記第2の反力指令値のそれぞれに乗じた値の合計値を用いて前記操舵反力を制御する請求項1又は2に記載の車線維持支援装置。
  4. 前記操舵反力制御部は、前記車速が前記所定の閾値以下のときには前記第1の反力指令値と前記第2の反力指令値とのうち大きい方を用いて前記操舵反力を制御する請求項1又は2に記載の車線維持支援装置。
  5. 前記操舵反力制御部は、前記車速が前記所定の閾値以下のときには前記第1の反力指令値と前記第2の反力指令値との合計値を用いて前記操舵反力を制御する請求項1又は2に記載の車線維持支援装置。
  6. 前記操舵反力制御部は、前記車速が前記所定の閾値以下のときには、前記ステアリングホイールの回転方向が前記車両を車線中央側に寄せる方向である場合、前記第1の反力指令値と前記第2の反力指令値とのうち大きい方を用いて前記操舵反力を制御し、前記ステアリングホイールの回転方向が前記車両を車線中央側に寄せる方向ではない場合、前記第1の反力指令値と前記第2の反力指令値との合計値を用いて前記操舵反力を制御する請求項1又は2に記載の車線維持支援装置。
  7. 前記操舵反力制御部は、前記車速が前記所定の閾値以下のときには前記第1の反力指令値と前記第2の反力指令値との平均値を用いて前記操舵反力を制御する請求項1又は2に記載の車線維持支援装置。
  8. 前記操舵反力制御部は、前記車速が前記所定の閾値よりも高いときには前記第2の反力指令値の値を0とする請求項1又は2に記載の車線維持支援装置。
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