JP2015009644A - 操舵制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 現在走行している走行車線における自車の横位置が白線に近いほど白線から遠ざかる方向の操舵反力が大きくなる操舵反力制御量を演算して反力モータ8に付与する際、自車の車線変更がなされたと判定した場合には、車線変更前に走行していた走行車線の白線に基づく操舵反力制御量から現在走行している走行車線の白線に基づく操舵反力制御量へ移行するための操舵反力制御量を演算し、このときの操舵反力制御量の変化速度の上限を、ドライバに反力抜けによる違和感を与えない速度に制限し操舵反力制御量による操舵反力の方向が反転した場合、変化速度の制限を大きくする。
【選択図】 図1
Description
本発明の目的は、車線変更後の反力変動に伴う違和感を軽減できる操舵制御装置を提供することにある。
[システム構成]
図1は、実施例1の車両の操舵系を示すシステム図である。
実施例1の操舵装置は、操舵部1、転舵部2、バックアップクラッチ3、SBWコントローラ4を主要な構成とし、ドライバの操舵入力を受ける操舵部1と、左右前輪(転舵輪)5FL,5FRを転舵する転舵部2とが機械的に切り離されたステアバイワイヤ(SBW)システムを採用している。
コラムシャフト7は、ステアリングホイール6と一体に回転する。
反力モータ8は、例えば、ブラシレスモータであり、出力軸がコラムシャフト7と同軸の同軸モータであり、SBWコントローラ4からの指令に応じて、コラムシャフト7に操舵反力トルクを出力する。
操舵角センサ9は、コラムシャフト7の絶対回転角、すなわち、ステアリングホイール6の操舵角を検出する。
ステアリングギア12は、ラック&ピニオン式のステアリングギアであり、ピニオンシャフト11の回転に応じて前輪5L,5Rを転舵する。
転舵モータ13は、例えば、ブラシレスモータであり、出力軸が図外の減速機を介してラックギア15と接続され、SBWコントローラ4からの指令に応じて、ラック16に前輪5を転舵するための転舵トルクを出力する。
転舵角センサ14は、転舵モータ13の絶対回転角を検出する。ここで、転舵モータ13の回転角と前輪5の転舵角とは常に一意に定まる相関関係があるため、転舵モータ13の回転角から前輪5の転舵角を検出できる。以下では特に記載しない限り、前輪5の転舵角は転舵モータ13の回転角から算出されたものとする。
バックアップクラッチ3は、操舵部1のコラムシャフト7と転舵部2のピニオンシャフト11との間に設けられ、解放により操舵部1と転舵部2とを機械的に切り離し、締結により操舵部1と転舵部2とを機械的に接続する。
SBWコントローラ4は、前輪5FL,5FRの転舵角を制御する転舵制御部19と、コラムシャフト7に付与する操舵反力トルクを制御する操舵反力制御部20と、映像処理部21とを有する。
転舵制御部19は、各入力情報に基づいて指令転舵角を生成し、生成した指令転舵角を電流ドライバ22へ出力する。
電流ドライバ22は、転舵角センサ14により検出される実転舵角を指令転舵角と一致させる角度フィードバックにより転舵モータ13への指令電流を制御する。
操舵反力制御部20は、各入力情報に基づいて指令操舵反力トルクを生成し、生成した指令操舵反力トルクを電流ドライバ23へ出力する。
電流ドライバ23は、反力モータ8の電流値から推定される実操舵反力トルクを指令操舵反力トルクと一致させるトルクフィードバックにより反力モータ8への指令電流を制御する。
映像処理部21は、カメラ17により撮影された自車前方の走行路の映像からエッジ抽出等の画像処理によって走行車線左右の白線(走行路区分線)を認識する。
加えて、SBWコントローラ4は、SBWシステムのフェール時、バックアップクラッチ3を締結して操舵部1と転舵部2とを機械的に連結し、ステアリングホイール6の操舵によるラック16の軸方向移動を可能とする。このとき、転舵モータ13のアシストトルクによりドライバの操舵力を補助する電動パワーステアリングシステム相当の制御を行ってもよい。
上記SBWシステムにおいて、各センサ、各コントローラ、各モータを複数設けた冗長系としてもよい。また、転舵制御部19と操舵反力制御部20を別体としてもよい。
スタビリティ制御は、外乱(横風、路面凹凸、轍、路面カント等)に対する車両の安定性向上を目的とし、2つのフィードバック(F/B)制御を行う。
1.ヨー角F/B制御
白線と自車進行方向とのなす角度であるヨー角に応じて転舵角を補正し、外乱により発生したヨー角を減少させる。
2.横位置F/B制御
白線までの距離(横位置)に応じて転舵角を補正し、外乱により発生したヨー角の積分値である横位置変化を減少させる。
1.横位置に応じた反力オフセット制御
横位置に応じてセルフアライニングトルクに応じた操舵反力特性を操舵反力の絶対値が大きくなる方向へオフセットし、ドライバが操舵角中立位置をまたぐ修正操舵を行ったときに操舵トルクの符号が反転するのを抑制する。
2.逸脱余裕時間に応じた反力オフセット制御
逸脱余裕時間(白線への到達時間)に応じてセルフアライニングトルクに応じた操舵反力特性を操舵反力の絶対値が大きくなる方向へオフセットし、ドライバが操舵角中立位置をまたぐ修正操舵を行ったときに操舵トルクの符号が反転するのを抑制する。
3.曲率に応じた反力オフセット制御
白線の曲率に応じてセルフアライニングトルクに応じた操舵反力特性をセルフアライニングトルクと同一符号方向へオフセットし、旋回時におけるドライバの保舵力を低減すると共に保舵力変化に対する保舵角変化を抑制する。
図2は、転舵制御部19の制御ブロック図である。
SBW指令転舵角演算部31は、操舵角と車速とに基づいてSBW指令転舵角を演算する。
外乱抑制指令転舵角演算部32は、車速と白線情報とに基づき、スタビリティ制御においてSBW指令転舵角を補正するための外乱抑制指令転舵角を演算する。外乱抑制指令転舵角演算部32の詳細については後述する。
加算器19aは、SBW指令転舵角と外乱抑制指令転舵角とを加算した値を最終的な指令転舵角として電流ドライバ22へ出力する。
図3は、操舵反力制御部20の制御ブロック図である。
横力演算部33は、操舵角と車速とに基づき、あらかじめ実験等により求めたコンベンショナルな操舵装置における車速毎の操舵角とタイヤ横力との関係を表す操舵角−横力変換マップを参照してタイヤ横力を演算する。操舵角−横力変換マップは、操舵角が大きいほどタイヤ横力が大きく、かつ、操舵角が小さいときは大きいときよりも操舵角の変化量に対するタイヤ横力の変化量が大きく、かつ、車速が高いほどタイヤ横力が小さくなる特性を有する。
横力オフセット部34は、車速と白線情報とに基づき、曲率に応じた反力オフセット制御において操舵反力特性をオフセットするための横力オフセット量を演算する。横力オフセット部34の詳細については後述する。
減算器20aは、タイヤ横力から横力オフセット量を減算する。
SAT演算部35は、車速と横力オフセット量によるオフセット後のタイヤ横力とに基づき、あらかじめ実験等により求めたコンベンショナルな操舵装置におけるタイヤ横力と操舵反力トルクとの関係を表す横力−操舵反力トルク変換マップを参照してタイヤ横力によって発生する操舵反力トルクを演算する。タイヤ横力−操舵反力トルク変換マップは、タイヤ横力が大きいほど操舵反力トルクが大きく、タイヤ横力が小さいときは大きいときよりもタイヤ横力の変化量に対する操舵反力トルクの変化量が大きく、かつ、車速が高いほど操舵反力トルクが小さくなる特性を有する。この特性は、コンベンショナルな操舵装置において、路面反力によって発生する車輪が直進状態に戻ろうとするセルフアライニングトルクによってステアリングホイールに発生する反力を模擬したものである。
操舵反力トルクオフセット部36は、車速と自車前方の走行路の映像とに基づき、横位置または逸脱余裕時間に応じた反力オフセット制御において操舵反力特性をオフセットするための操舵反力トルクオフセット量を演算する。操舵反力トルクオフセット部36の詳細については後述する。
加算器20cは、ステアリング特性に応じた操舵反力トルク成分を加算した後の操舵反力トルクと操舵トルクオフセット量とを加算した値を最終的な指令操舵反力トルクとして電流ドライバ23へ出力する。
図4は、外乱抑制指令転舵角演算部32の制御ブロック図である。
ヨー角演算部32aは、前方注視点での白線と自車進行方向とのなす角度であるヨー角を演算する。前方注視点でのヨー角は、所定時間(例えば、0.5秒)後の白線と自車進行方向とのなす角度とする。カメラ17により撮影された走行路の映像に基づいてヨー角を演算することで、簡単かつ高精度にヨー角を検出できる。
曲率演算部32bは、前方注視点での白線の曲率を演算する。
横位置演算部32cは、前方注視点先での白線までの距離を演算する。
ヨー角に応じた反発力演算部37は、ヨー角と曲率と車速とに基づき、ヨー角F/B制御において外乱により発生したヨー角を減らすための車両の反発力を演算する。ヨー角に応じた反発力演算部37の詳細については後述する。
加算器32dは、ヨー角に応じた反発力と横位置に応じた反発力とを加算し、横方向反発力を演算する。
目標ヨーモーメント演算部32eは、横方向反発力、ホイールベース(車軸間距離)、後輪軸重および前輪軸重に基づいて目標ヨーモーメントを演算する。具体的には、横方向反発力に対し、車両重量(前輪軸重+後輪軸重)に対する後輪軸重の割合と、ホイールベースとを乗じた値を目標ヨーモーメントとする。
目標ヨー加速度演算部32fは、目標ヨーモーメントにヨー慣性モーメント係数を乗じて目標ヨー加速度を演算する。
目標ヨーレイト演算部32gは、目標ヨー加速度に車頭時間を乗じて目標ヨーレイトを演算する。
δst * = (φ*×WHEEL_BASE×(1+(V/vCh)2)×180)/(V×M_PI)
なお、M_PIは所定の係数である。
リミッタ処理部32iは、外乱抑制指令転舵角δst *の最大値および変化率の上限を制限する。最大値は、コンベンショナルな操舵装置(操舵部と転舵部とが機械的に接続された)において、ステアリングホイール6の操舵角が中立位置付近の遊びの角度範囲(例えば、左右3°)にあるときの当該遊びの範囲に対応する前輪5FL,5FRの転舵角範囲(例えば、左右0.2°)とする。また、リミッタ処理部32iは、ウインカー信号に応じて外乱抑制指令転舵角δst *の変化率を制限する。具体的には、ウインカー信号がOFFからONに切り替わったときの低下勾配絶対値よりもウインカー信号がONからOFFに切り替わったときの増加勾配絶対値を小さくする。
上下限リミッタ37aは、ヨー角に上下限リミッタ処理を施す。上下限リミッタは、ヨー角が正の値の場合(白線と自車進行方向の延長線とが交差するときのヨー角を正とする。)には、外乱を抑制可能な所定値以上、かつ、車両が振動的となる値およびドライバの操舵によって発生する値未満の値(例えば、1°)とし、ヨー角が負の場合には0とする。
ヨー角F/Bゲイン乗算部37bは、リミッタ処理後のヨー角にヨー角F/Bゲインを乗じる。ヨー角F/Bゲインは、制御量不足を回避しつつ応答性を確保できる所定値以上、かつ、車両が振動的になる値およびドライバが操舵角と転舵角との中立ずれを感じる値未満とする。
曲率補正ゲイン乗算部37dは、曲率に曲率補正ゲインを乗じる。曲率補正ゲインは、曲率が大きいほど小さくなる特性とし、上限および下限(0)を設定する。
乗算器37eは、ヨー角F/Bゲイン乗算部37b、車速補正ゲイン乗算部37cおよび曲率補正ゲイン乗算部37dの各出力を乗じてヨー角に応じた反発力を求める。
減算器38aは、あらかじめ設定された横位置閾値(例えば、90cm)から前方注視点先での白線までの距離を減じて横位置偏差を求める。
上下限リミッタ38bは、横位置偏差に上下限リミッタ処理を施す。上下限リミッタは、横位置偏差が正の値の場合には所定の正の値をとり、横位置偏差が負の値の場合には0とする。
距離補正ゲイン乗算部38cは、前方注視点先での白線までの距離に距離補正ゲインを乗じる。距離補正ゲインは、白線までの距離が所定値以下である場合は最大値をとり、所定値を超える場合は距離が長くなるほど小さくなる特性とし、下限を設定する。
車速補正ゲイン乗算部38eは、車速に車速補正ゲインを乗じる。車速補正ゲインは、0〜70km/hの範囲で最大値をとり、70〜130km/hの範囲で徐々に減少し、130km/h以上の範囲で最小値(0)となる特性とする。
曲率補正ゲイン乗算部38fは、曲率に曲率補正ゲインを乗じる。曲率補正ゲインは、曲率が大きいほど小さくなる特性とし、上限および下限(0)を設定する。
ウインカーゲイン算出部38gは、ウインカー信号がOFFの場合は1を出力し、ONの場合は1よりも小さな値(例えば、0.2)を出力する。
乗算器38hは、横位置F/Bゲイン乗算部38d、車速補正ゲイン乗算部38e、曲率補正ゲイン乗算部38fおよびウインカーゲイン算出部38gの各出力を乗じて横位置に応じた反発力を求める。
実施例1では、スタビリティ制御として、外乱により発生したヨー角を減少させるヨー角F/B制御と、外乱により発生したヨー角の積分値である横位置変化を減少させる横位置F/B制御を実施する。ヨー角F/B制御は、ヨー角が発生した場合、横位置にかかわらず実施し、横位置F/B制御は、白線までの距離が所定の横位置閾値(90cm)以下となった場合に実施する。すなわち、走行車線中央付近は横位置F/B制御の不感帯となる。両F/B制御の制御領域を図7に示す。φはヨー角である。
車両を走行車線に沿って走行させる場合、特に直線路では、白線の方向と自車進行方向とは一致しているため、ヨー角はゼロとなる。つまり、実施例1のヨー角F/B制御では、発生したヨー角を外乱によるものとみなし、ヨー角を減少させることにより、特に直進時において外乱に対する車両の安定性向上を図ることができ、ドライバの修正操舵量を低減できる。
これに対し、実施例1のヨー角F/B制御を含むスタビリティ制御では、ステアリングホイール6と前輪5L,5Rとが機械的に切り離されたSBWシステムの特徴である、ステアリングホイール6と前輪5L,5Rとを互いに独立して制御可能な点に着目し、操舵角と車速とに応じたSBW指令転舵角とヨー角に応じた外乱抑制指令転舵角とを加算した指令転舵角に基づいて前輪5L,5Rの転舵角を制御する一方、操舵角と車速とに基づいてタイヤ横力を推定し、推定したタイヤ横力と車速とに応じた指令操舵反力に基づいて操舵反力を制御する。
すなわち、外乱抑制分の転舵角を直接前輪5L,5Rに与えるため、外乱抑制のための転舵を促す操舵反力成分の付与が不要となる。さらに、操舵角から推定したタイヤ横力に応じた操舵反力を付与することで、外乱抑制のための転舵によって生じるタイヤ横力の変動が操舵反力に反映されないため、ドライバに与える違和感を軽減できる。従来のSBWシステムでは、センサにより検出したラック軸力や転舵角からタイヤ横力を推定し、推定したタイヤ横力に応じた操舵反力を付与している。このため、外乱抑制のための転舵によって生じるタイヤ横力の変動が操舵反力に必ず反映されてしまい、ドライバの違和感となる。実施例1では、ドライバの操舵によって生じたタイヤ横力のみが操舵反力に反映され、外乱抑制のための転舵によって操舵反力が変動しないため、ドライバに与える違和感を軽減できる。
また、外乱抑制指令転舵角を左右0.2°の範囲に制限しているため、スタビリティ制御中であってもドライバは操舵入力によって車両の進行方向を所望の方向に変化させることができる。つまり、ドライバの操舵入力によって生じる転舵角の変化量に対し、外乱抑制指令転舵角による転舵角の補正量が微小であるため、ドライバの操舵を妨げることなく外乱に対する車両の安定性向上を実現できる。
これに対し、実施例1のヨー角F/B制御は、制御介入の閾値を持たないため、シームレスな制御により常に外乱に対する安定性を確保できる。さらに、目標位置を持たないため、ドライバは車両を好きなラインで走行させることができる。加えて、ステアリングホイール6を軽く持っている場合でも制御が解除されることはないため、ドライバの操舵負荷を小さくできる。
さらに、実施例1のスタビリティ制御は、制御(外乱抑制指令転舵角の付与)によって生じる車両挙動をドライバに気付かれない程度、かつ、ドライバの操舵によって発生する車両挙動変化を妨げない程度に制限し、かつ、制御によって生じるセルフアライニングトルクの変化を操舵反力に反映させないため、ドライバにスタビリティ制御中であることを意識させることなく実施可能である。これにより、あたかも外乱に対する安定性に優れた車体諸元を持つ車両の振る舞いを模擬できる。
なお、横位置F/B制御において横位置に応じた反発力を求めるための横位置F/Bゲインは、ヨー角F/Bゲインよりも小さな値に設定している。上述したように、ヨー角F/B制御は、過渡的な外乱によるヨー角の変化をドライバが感じる前にヨー角を収束させる必要上、高応答性が求められるのに対し、横位置F/B制御は、横位置変化が増加するのを止めることが求められること、およびヨー角積分値の蓄積によって横位置が変化するのに時間が掛かることから、ヨー角F/B制御ほどの応答性は必要としていないからである。加えて、仮に横位置F/Bゲインを大きくすると、外乱の大小によって制御量が大きく変動し、ドライバに違和感を与えるからである。
図11は、横力オフセット部34の制御ブロック図である。
曲率演算部34aは、前方注視点での白線の曲率を演算する。
上下限リミッタ34bは、車速に上下限リミッタ処理を施す。
SATゲイン演算部34cは、リミッタ処理後の車速に基づき、車速に応じたSATゲインを演算する。SATゲインは、車速が高いほど大きなゲインとなる特性とし、上限を設定する。
乗算器34dは、SATゲインに曲率を乗じて横力オフセット量を求める。
リミッタ処理部34eは、横力オフセット量の最大値および変化率の上限を制限する。例えば、最大値は1,000N、変化率の上限は600N/sとする。
曲率に応じた反力オフセット制御は、白線の曲率が大きいほど大きな横力オフセット量を求め、タイヤ横力から減算する。これにより、SAT演算部35で演算されるタイヤ横力に応じた操舵反力トルク、すなわち、セルフアライニングトルクに応じた操舵反力トルクを表す操舵反力特性は、図12に示すように、白線の曲率が大きくなるほど、セルフアライニングトルクと同一符号方向へオフセットされる。なお、図12は右カーブの場合であり、左カーブの場合は図12と反対方向にオフセットされる。
図15は、操舵反力トルクオフセット部36の制御ブロック図である。
ヨー角演算部36aは、前方注視点でのヨー角を演算する。カメラ17により撮影された走行路の映像に基づいてヨー角を演算することで、簡単かつ高精度にヨー角を検出できる。
横位置演算部36bは、前方注視点での左右白線に対する横位置および現在位置での左右白線に対する横位置をそれぞれ演算する。ここで、横位置演算部36bは、自車が白線から逸脱した際、逸脱量が所定量α(自車幅/2)以下である場合、すなわち、自車中心線が白線を超えていない場合は、逸脱前に走行していた走行車線の左右白線を対象とした横位置の演算を継続する。実施例1では、αを例えば90cmとする。一方、逸脱量がαを超えた場合、すなわち、自車中心線が白線を超えた場合は、現在走行している走行車線(逸脱前に走行していた走行車線の隣接車線)の左右白線を対象とした横位置の演算に切り替える。逸脱量は、車両の白線からのはみ出し量とし、現在位置での左右白線に対する横位置と自車幅とから求める。なお、逸脱とは、0<逸脱量≦αの状態とし、逸脱量>αとなったらレーンチェンジ(車線変更)と判定して逸脱量の演算を終了する。
逸脱余裕時間に応じた反力演算部39は、車速とヨー角と前方注視点での左右白線に対する横位置とウインカースイッチ43からのウインカー信号とに基づき、逸脱余裕時間に応じた反力を演算する。逸脱余裕時間に応じた反力演算部39の詳細については後述する。
横位置に応じた反力演算部40は、現在位置での左右白線に対する横位置とウインカースイッチ43からのウインカー信号とに基づき、横位置に応じた反力を演算する。横位置に応じた反力演算部40の詳細については後述する。
反力選択部36cは、逸脱余裕時間に応じた反力と横位置に応じた反力のうち絶対値が大きな方を操舵反力トルクオフセット量として選択する。
リミッタ処理部36dは、車線逸脱時オフセット量設定部41から出力された操舵反力トルクオフセット量の最大値および変化率の上限を制限する。例えば、最大値は2Nm、変化率の上限は10Nm/sとする。また、リミッタ処理部36dは、ウインカースイッチ43からのウインカー信号に応じて操舵反力トルクオフセット量の変化率を制限する。具体的には、ウインカー信号がOFFからONに切り替わったときの低下勾配絶対値よりもウインカー信号がONからOFFに切り替わったときの増加勾配絶対値を小さくする。ここで、ウインカー信号がOFFからONに切り替わったときの操舵反力トルクオフセット量の低下勾配絶対値は、リミッタ処理部32iにおいてウインカー信号がOFFからONに切り替わったときの外乱抑制指令転舵角の低下勾配絶対値よりも大きな値とする。
乗算器39aは、ヨー角に車速を乗じて車両の横速度を求める。
除算器39bは、前方注視点での左白線に対する横位置を横速度で除して左白線に対する逸脱余裕時間を求める。
除算器39cは、前方注視点での右白線に対する横位置を横速度で除して右白線に対する逸脱余裕時間を求める。
逸脱余裕時間選択部39dは、左右白線に対する逸脱余裕時間のうち短い方を逸脱余裕時間として選択する。
逸脱余裕時間に応じた反力演算部39eは、逸脱余裕時間に基づき、逸脱余裕時間に応じた反力を演算する。逸脱余裕時間に応じた反力は、逸脱余裕時間に反比例(逸脱余裕時間の逆数に比例)し、3秒以上でほぼゼロとなる特性を有する。
ウインカーゲイン算出部39fは、ウインカー信号がOFFの場合は1を出力し、ONの場合は1よりも小さな値(例えば、0.2)を出力する。
乗算器39gは、逸脱余裕時間に応じた反力演算部39eとウインカーゲイン算出部39fの各出力を乗じて最終的な逸脱余裕時間に応じた反力を求める。
減算器40aは、あらかじめ設定された目標左横位置(例えば、90cm)から左車線に対する横位置を減じて左車線に対する横位置偏差を求める。
減算器40bは、あらかじめ設定された目標右横位置(例えば、90cm)から右車線に対する横位置を減じて右車線に対する横位置偏差を求める。
横位置偏差選択部40cは、左右車線に対する横位置偏差のうち大きな方を横位置偏差として選択する。
横位置偏差に応じた反力演算部40dは、横位置偏差に基づき、横位置に応じた反力を演算する。横位置に応じた反力は、横位置偏差が大きいほど大きくなる特性とし、上限を設定する。
ウインカーゲイン算出部40eは、ウインカー信号がOFFの場合は1を出力し、ONの場合は1よりも小さな値(例えば、0.2)を出力する。
乗算器40fは、横位置に応じた反力演算部40dとウインカーゲイン算出部40eの各出力を乗じて最終的な横位置に応じた反力を求める。
逸脱量に応じた減少ゲイン演算部41aは、逸脱量に基づき、逸脱量に応じた減少ゲインk1を演算する。k1は、逸脱量が大きいほど大きくなる特性とする。
逸脱時間に応じた減少ゲイン演算部41bは、逸脱時間に基づき、逸脱時間に応じた減少ゲインk2を演算する。k2は、逸脱時間が長いほど大きくなる特性とする。
操舵角に応じた減少ゲイン演算部41cは、逸脱方向の操舵角に基づき、操舵角に応じた減少ゲインk3を演算する。k3は、操舵角が大きいほど大きくなる特性とする。
操舵角速度に応じた減少ゲイン演算部41dは、逸脱方向の操舵角速度に基づき、操舵角速度に応じた減少ゲインk4を演算する。k4は、操舵角速度が高いほど大きくなる特性とする。
操舵トルクに応じた減少ゲイン演算部41eは、逸脱方向の操舵トルクに基づき、操舵トルクに応じた減少ゲインk5を演算する。k5は、操舵トルクが大きいほど大きくなる特性する。
逸脱時オフセット量設定部41fは、反力選択部36cから出力された操舵反力トルクオフセット量から、5つの減少ゲインk1,k2,k3,k4,k5から求まる第1減少量(>0)を減算した値(操舵反力トルクオフセット量が負の値の場合には減少量を加算した値)を補正後の操舵反力トルクオフセット量として出力する。第1減少量は、所定値(>0)に各減少ゲインk1,k2,k3,k4,k5を乗じた値とする。
レーンチェンジオフセット量設定部41gは、反力選択部36cから出力された操舵反力トルクオフセット量とスイッチ41hから出力された操舵反力トルクオフセット量の前回値との差が第2減少量(または第3減少量)以下となった場合、減少量の固定を終了し、その後は反力選択部36cから出力された操舵反力トルクオフセット量をそのまま後段へ出力する。
スイッチ41hは、ウインカー信号と逸脱量をリンク運転選択指令として入力し、リンク運転選択指令が0(false)のときはレーンチェンジオフセット量設定部41gの出力を操舵反力トルクオフセット量として出力し、1(true)のときは逸脱時オフセット量設定部41fの出力を操舵反力トルクオフセット量として出力する。ここで、1(true)はウインカー信号OFF、かつ、0<逸脱量≦αの場合とし、それ以外の場合は0(false)とする。
横位置に応じた反力オフセット制御は、横位置に応じた反力を操舵反力トルクオフセット量として操舵反力トルクに加算する。これにより、セルフアライニングトルクに応じた操舵反力トルクを表す操舵反力特性は、図19に示すように、白線までの距離が短くなるほど操舵反力トルクの絶対値が大きくなる方向へオフセットされる。なお、図19は右車線に近い場合であり、左車線に近い場合は図19と反対方向にオフセットされる。
逸脱余裕時間に応じた反力オフセット制御は、逸脱余裕時間に応じた反力を操舵反力トルクオフセット量として操舵反力トルクに加算する。これにより、セルフアライニングトルクに応じた操舵反力トルクを表す操舵反力特性は、図19に示したように、逸脱余裕時間が短くなるほど操舵反力トルクの絶対値が大きくなる方向へオフセットされる。なお、図19は右車線に近い場合であり、左車線に近い場合は図19と反対方向にオフセットされる。
操舵反力制御部20では、操舵反力トルクオフセット部36において、逸脱余裕時間に応じた反力と横位置に応じた反力のうち絶対値が大きな方を操舵反力トルクオフセット量として選択し、加算器20cにおいて、操舵反力トルクに操舵反力トルクオフセット量を加算する。これにより、逸脱余裕時間または横位置に応じて操舵反力特性が操舵反力トルクの絶対値が大きくなる方向へオフセットされる。
逸脱余裕時間に応じた反力オフセット制御では、自車と白線とが平行である場合、すなわち、ヨー角がゼロである場合、逸脱余裕時間に応じた反力はゼロである。このため、自車が白線に近い位置であっても、ヨー角が小さい場合には、僅かな反力しか出すことができない。これに対し、横位置に応じた反力オフセット制御では、白線までの距離に比例して反力(横位置に応じた反力)を生成するため、白線までの距離が短くなるほど大きな反力を出すことができ、自車を走行車線中央付近に戻しやすくすることができる。
よって、逸脱余裕時間に応じた反力オフセット制御と横位置に応じた反力オフセット制御を併用することにより、白線までの距離に応じて安定的な反力を付与しつつ、車線逸脱を効果的に抑制できる。このとき、逸脱余裕時間に応じた反力と横位置に応じた反力のうち絶対値が大きな方を用いることで、常に必要とされる最適な操舵反力を付与できる。
ウインカーゲイン算出部39f,40eは、ウインカー信号がONになったとき、ウインカーゲインを小さくする。これにより、レーンチェンジを行う際には、逸脱余裕時間および横位置に応じた反力オフセット制御の操舵反力制御量である操舵反力トルクオフセット量が制限されることで、白線に近づいても操舵反力は急増しないため、ドライバはスムーズにレーンチェンジを行うことができる。仮に、レーンチェンジ中は上記各制御を停止する構成とした場合、レーンチェンジ後に再び制御が効き始めるまで時間を要するため、制御に遅れが生じるのに対し、実施例1では、操舵反力制御量を決めるゲイン(ウインカーゲイン)を下げるだけであり、制御は継続されるため、レーンチェンジ直後から適正な操舵反力制御量を得ることができる。また、ドライバがウインカースイッチをONした場合にはゲインを大きく下げる(1→0.2)ことで、レーンチェンジ開始時には操舵反力制御量が抑制されたことを操舵反力の低下によってドライバに気付かせることができ、節度感が得られる。なお、ウインカーゲイン算出部38gについても同様であり、横位置F/B制御は継続されるため、レーンチェンジ直後から適正な転舵制御量を得ることができると共に、レーンチェンジ開始時には転舵制御量が抑制されたことを外乱抑制指令転舵角の低下によってドライバに気付かせることができ、節度感が得られる。
横位置演算部36bは、自車が白線から逸脱した場合、逸脱量がα以下であるときには、逸脱前に走行していた走行車線を自車線として横位置を演算し、逸脱量がαを超えたときには、自車線を現在走行している走行車線に切り替えて横位置を演算する。このため、逸脱余裕時間に応じた反力演算部39および横位置に応じた反力演算部40では、逸脱量がα以下である場合には、逸脱前に走行していた走行車線の左右白線を対象とした逸脱余裕時間に応じた反力および横位置に応じた反力を演算し、逸脱量がαを超えた場合には、現在走行している走行車線の左右白線を対象とした逸脱余裕時間に応じた反力および横位置に応じた反力を演算する。よって、反力選択部36cにより選択された操舵反力トルクオフセット量は、逸脱量がα以下の場合は逸脱前に走行していた走行車線の左右白線を対象とした値となり、逸脱量がαを超えた場合は現在走行している走行車線の左右白線を対象とした値となる。
逸脱時オフセット量設定部41fは、逸脱量がα以下の場合、逸脱防止操舵反力を、逸脱前に走行していた走行車線に基づく横位置と逸脱防止操舵反力との関係を示す特性Dから求まる値に対し、第1減少量を減じた値とする。ドライバがウインカーを操作することなく白線を逸脱した場合、逸脱量が小さい状態(逸脱量≦α)では、脇見や居眠り等、ドライバの意図しない逸脱であるのか、レーンチェンジや緊急回避等、ドライバの意図した逸脱であるのか判断するのは難しい。このとき、特性Dに応じた逸脱防止操舵反力の付与を継続した場合、ドライバが意図して逸脱を行っているときには、ドライバの操舵を妨げてしまう。一方、逸脱防止操舵反力の付与を停止した場合、または、逸脱と同時に逸脱防止操舵反力の特性を特性Dから現在走行している走行車線に基づく横位置と逸脱防止操舵反力との関係を示す特性Eに切り替えた場合、ドライバの意図しない逸脱であるときには、逸脱前に走行していた走行車線に対する逸脱防止が機能しなくなってしまう。また、逸脱防止操舵反力の方向が反転して反力抜けが生じると共に、その後ドライバが逸脱を回避する操舵を行ったときに逸脱防止操舵反力の特性が特性Eから特性Dに切り替わる際にも操舵反力の急増が生じるため、ドライバに違和感を与える。
これに対し、実施例1では、特性Dに基づく逸脱防止操舵反力の演算を継続しつつ、逸脱防止操舵反力を特性Dから求まる値よりも第1減少量だけ減少させた値とすることにより、ドライバの操舵の妨げとなる過大な操舵反力の付与を抑制しつつ、走行車線からの逸脱抑制支援を最大限継続できる。つまり、ドライバの意図した逸脱、ドライバの意図しない逸脱の双方に対応できる。また、反力の抜けや急増が生じないため、ドライバに与える違和感を軽減でき、ドライバが逸脱を回避する操舵を行った場合には逸脱防止操舵反力の特性をスムーズに特性Dに戻すことができる。
逸脱時オフセット量設定部41fは、逸脱時間が長いほど第1減少量を大きくする。これにより、逸脱防止操舵反力は、逸脱時間が長いほど小さくなる。逸脱時間が長いほど、ドライバの意図する逸脱である可能性が高いため、逸脱時間が長いほど逸脱防止操舵反力を小さくすることで、ドライバの操舵の妨げとなる過大な操舵反力の付与の抑制と、走行車線からの逸脱抑制支援の継続との両立を精度良く実現できる。
逸脱時オフセット量設定部41fは、操舵角が大きいほど第1減少量を大きくする。これにより、逸脱防止操舵反力は、操舵角が大きいほど小さくなる。操舵角が大きいほど、ドライバの意図する逸脱である可能性が高いため、操舵角が大きいほど逸脱防止操舵反力を小さくすることで、ドライバの操舵の妨げとなる過大な操舵反力の付与の抑制と、走行車線からの逸脱抑制支援の継続との両立を精度良く実現できる。
逸脱時オフセット量設定部41fは、操舵角速度が高いほど第1減少量を大きくする。これにより、逸脱防止操舵反力は、操舵角速度が高いほど小さくなる。操舵角速度が高いほど、ドライバの意図する逸脱である可能性が高いため、操舵角速度が高いほど逸脱防止操舵反力を小さくすることで、ドライバの操舵の妨げとなる過大な操舵反力の付与の抑制と、走行車線からの逸脱抑制支援の継続との両立を精度良く実現できる。
逸脱時オフセット量設定部41fは、操舵トルクが大きいほど第1減少量を大きくする。これにより、逸脱防止操舵反力は、操舵トルクが大きいほど小さくなる。操舵トルクが大きいほど、ドライバの意図する逸脱である可能性が高いため、操舵トルクが大きいほど逸脱防止操舵反力を小さくすることで、ドライバの操舵の妨げとなる過大な操舵反力の付与の抑制と、走行車線からの逸脱抑制支援の継続との両立を精度良く実現できる。
ここで、特許文献1に記載された発明では、レーンチェンジ時に逸脱防止操舵反力特性を特性Dから特性Eへと切り替えるため、操舵反力が急変してドライバに反力抜けの違和感を与えるのに対し、実施例1では、逸脱防止操舵反力の減少速度を制限し、反力抜けを感じさせない速度で減少させるため、ドライバに与える違和感を軽減できる。
レーンチェンジオフセット量設定部41gは、逸脱防止操舵反力の方向が反転した場合、操舵反力トルクオフセット量の減少量を第2減少量よりも小さな第3減少量に切り替える。操舵反力の方向が反転した場合には、同一である場合よりもドライバに反力変動が伝わりやすいため、逸脱防止操舵反力の方向が反転した場合には、逸脱防止操舵反力の変化速度をより小さくすることで、ドライバに与える違和感を軽減できる。
(1) 操舵部1に操舵反力を付与する反力モータ(操舵反力アクチュエータ)8と、現在走行している走行車線における自車の横位置が白線に近いほど当該白線から遠ざかる方向の操舵反力(逸脱防止操舵反力)が大きくなる操舵反力制御量(操舵反力トルクオフセット量)を演算する操舵反力トルクオフセット部(操舵反力制御量演算手段)36と、操舵反力制御量を反力モータ8に付与する電流ドライバ(操舵反力制御手段)23と、自車のレーンチェンジがなされたことを判定する横位置演算部(車線変更判定手段)36bと、自車のレーンチェンジがなされたと判定された場合、レーンチェンジ前に走行していた走行車線の白線に基づく操舵反力制御量から現在走行している走行車線の白線に基づく操舵反力制御量へ移行するための操舵反力制御量を演算する車線逸脱時オフセット量設定部(車線変更時操舵反力制御量演算手段)41と、を備え、車線逸脱時オフセット量設定部41は、操舵反力制御量の変化速度の上限を、ドライバに反力抜けによる違和感を与えない速度に制限し、操舵反力制御量による操舵反力の方向が反転した場合、変化速度の制限を大きくする。
これにより、逸脱防止操舵反力がドライバに違和感を与えない速度で変化するため、操舵反力の方向が反転した場合であっても、レーンチェンジ後の操舵反力の急変を抑制でき、ドライバに与える違和感を軽減できる。
これにより、簡単な制御でもって、逸脱防止操舵反力を現在走行している走行車線において必要な自車の横位置に応じた逸脱防止操舵反力へとスムーズに移行させることができる。
これにより、逸脱防止操舵反力がドライバに違和感を与えない速度で変化するため、操舵反力の方向が反転した場合であっても、レーンチェンジ後の操舵反力の急変を抑制でき、ドライバに与える違和感を軽減できる。
これにより、逸脱防止操舵反力がドライバに違和感を与えない速度で変化するため、操舵反力の方向が反転した場合であっても、レーンチェンジ後の操舵反力の急変を抑制でき、ドライバに与える違和感を軽減できる。
以上、本発明の操舵制御装置を実施する形態を、図面に基づく実施例により説明したが、本発明の具体的な構成は、実施例に示したものに限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない程度の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、実施例1では、第1減少量を5つのパラメータ(逸脱量,逸脱時間,操舵角,操舵角速度,操舵トルク)から決める例を示したが、いずれか1つ、または複数を組み合わせて第1減少量を設定しても良い。
本発明は、操舵部と転舵部とが機械的に接続された操舵装置にも適用でき、実施例と同様の作用効果を得ることができる。
2 転舵部
3 バックアップクラッチ
4 SBWコントローラ
5FL,5FR 左右前輪
6 ステアリングホイール
7 コラムシャフト
8 反力モータ
9 操舵角センサ
11 ピニオンシャフト
12 ステアリングギア
13 転舵モータ
14 転舵角センサ
15 ラックギア
16 ラック
17 カメラ
18 車速センサ
19 転舵制御部
19a 加算器
20 操舵反力制御部
20a 減算器
20b 加算器
20c 加算器
21 映像処理部
22 電流ドライバ
23 電流ドライバ
24 ナビゲーションシステム
25 EPSコントローラ
26 トルクセンサ
27 パワーステアリングモータ
28 アシストトルク制御部
28a 減算器
29 電流ドライバ
31 指令転舵角演算部
32 外乱抑制指令転舵角演算部
32a ヨー角演算部
32b 曲率演算部
32c 横位置演算部
32d 加算器
32e 目標ヨーモーメント演算部
32f 目標ヨー加速度演算部
32g 目標ヨーレイト演算部
32h 指令転舵角演算部
32i リミッタ処理部
33 横力演算部
34 横力オフセット部
34a 曲率演算部
34b 上下限リミッタ
34c SATゲイン演算部
34d 乗算器
34e リミッタ処理部
35 SAT演算部
36 操舵反力トルクオフセット部
36a ヨー角演算部
36b 横位置演算部
36c 反力選択部
36d リミッタ処理部
37 ヨー角に応じた反発力演算部
37a 上下限リミッタ
37b ヨー角F/Bゲイン乗算部
37c 車速補正ゲイン乗算部
37d 曲率補正ゲイン乗算部
37e 乗算器
38 横位置に応じた反発力演算部
38a 減算器
38b 上下限リミッタ
38c 距離補正ゲイン乗算部
38d 横位置F/Bゲイン乗算部
38e 車速補正ゲイン乗算部
38f 曲率補正ゲイン乗算部
38g ウインカーゲイン算出部
38h 乗算器
39 逸脱余裕時間に応じ反力演算部
39a 乗算器
39b 除算器
39c 除算器
39d 逸脱余裕時間選択部
39e 逸脱余裕時間に応じた反力演算部
39f ウインカーゲイン算出部
39g 乗算器
40 横位置に応じた反力演算部
40a 減算器
40b 減算器
40c 横位置偏差選択部
40d 横位置偏差に応じた反力演算部
40e ウインカーゲイン算出部
40f 乗算器
41 車線逸脱時オフセット量設定部
41a 逸脱量に応じた減少ゲイン演算部
41b 逸脱時間に応じた減少ゲイン演算部
41c 操舵角に応じた減少ゲイン演算部
41d 操舵角速度に応じた減少ゲイン演算部
41e 操舵トルクに応じた減少ゲイン演算部
41f 逸脱時オフセット量設定部
41g レーンチェンジオフセット量設定部
41h スイッチ
43 ウインカースイッチ
Claims (4)
- 操舵部に操舵反力を付与する操舵反力アクチュエータと、
現在走行している走行車線における自車の横位置が白線に近いほど当該白線から遠ざかる方向の操舵反力が大きくなる操舵反力制御量を演算する操舵反力制御量演算手段と、
前記操舵反力制御量を前記操舵反力アクチュエータに付与する操舵反力制御手段と、
自車の車線変更がなされたことを判定する車線変更判定手段と、
自車の車線変更がなされたと判定された場合、車線変更前に走行していた走行車線の白線に基づく操舵反力制御量から現在走行している走行車線の白線に基づく操舵反力制御量へ移行するための操舵反力制御量を演算する車線変更時操舵反力制御量演算手段と、
を備え、
前記車線変更時操舵反力制御量演算手段は、前記操舵反力制御量の変化速度の上限を、ドライバに反力抜けによる違和感を与えない速度に制限し、前記操舵反力制御量による操舵反力の方向が反転した場合、前記変化速度の制限を大きくすることを特徴とする操舵制御装置。 - 請求項1に記載の操舵制御装置において、
前記車線変更時操舵反力制御量演算手段は、前記変化速度を一定値とすることを特徴とする操舵制御装置。 - 現在走行している走行車線における自車の横位置が白線に近いほど白線から遠ざかる方向の操舵反力が大きくなる操舵反力制御量を演算して操舵反力アクチュエータに付与する際、自車の車線変更がなされたと判定した場合には、車線変更前に走行していた走行車線の白線に基づく操舵反力制御量から現在走行している走行車線の白線に基づく操舵反力制御量へ移行するための操舵反力制御量を演算し、このときの操舵反力制御量の変化速度の上限を、ドライバに反力抜けによる違和感を与えない速度に制限し、前記操舵反力制御量による操舵反力の方向が反転した場合、前記変化速度の制限を大きくすることを特徴とする操舵制御装置。
- 自車の車線変更がなされたことを判定するセンサと、
現在走行している走行車線における自車の横位置が白線に近いほど白線から遠ざかる方向の操舵反力が大きくなる操舵反力制御量を演算して操舵反力アクチュエータに付与する際、自車の車線変更がなされたと判定された場合には、車線変更前に走行していた走行車線の白線に基づく操舵反力制御量から現在走行している走行車線の白線に基づく操舵反力制御量へ移行するための操舵反力制御量を演算し、このときの操舵反力制御量の変化速度の上限を、ドライバに反力抜けによる違和感を与えない速度に制限し、前記操舵反力制御量による操舵反力の方向が反転した場合、前記変化速度の制限を大きくするコントローラと、
を備えたことを特徴とする操舵制御装置。
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