JP2011223998A - 料理用酒類、食材の処理方法、不快臭の消臭方法、食感の改善方法、並びに、加工食品 - Google Patents

料理用酒類、食材の処理方法、不快臭の消臭方法、食感の改善方法、並びに、加工食品 Download PDF

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【課題】食材を加熱調理した際に発生する不快臭の消臭効果が高い料理用酒類を提供する。
【解決手段】アルコール濃度25v/v%換算で、1.0mg/L以上の2−フルアルデヒド、0.3mg/L以上の5−メチル−2−フルアルデヒド、及び0.1mg/L以上の5−ヒドロキシメチル−2−フルアルデヒドを含有し、最終製品のアルコール濃度が1〜60v/v%である料理用酒類が提供される。原料の少なくとも一部にタマネギを用いる構成、焼酎に属するものである構成が好ましい。当該料理用酒類を用いた食材の処理方法、不快臭の消臭方法、食感の改善方法、並びに、当該料理用酒類で処理された加工食品も提供される。
【選択図】図1

Description

本発明は、料理用酒類、食材の処理方法、不快臭の消臭方法、食感の改善方法、並びに、加工食品に関する。さらに詳細には、本発明は、所定濃度以上の2−フルアルデヒド、5−メチル−2−フルアルデヒド、及び5−ヒドロキシメチル−2−フルアルデヒドを含有する料理用酒類、該料理用酒類を食材に接触させる食材の処理方法、該処理方法を利用する不快臭の消臭方法及び食感の改善方法、並びに、該料理用酒類で食材を処理して得られる加工食品に関する。本発明の料理用酒類は、食材を加熱調理した際に発生する不快臭の消臭と食感改善に有用なものである。
畜肉や魚介類を加熱調理した際に不快臭が発生する場合がある。不快臭の原因は硫黄を含む物質、すなわち含硫化合物であると言われているが、不快臭の消臭は非常に困難であり、加工食品分野において不快臭を消臭する技術開発が求められている。野菜や玉子なども同様に加熱調理した際に不快臭が発生することがある。
またレトルト食品においても、いわゆるレトルト臭という不快臭の発生が起こる場合がある。レトルト食品とは、レトルト(高圧釜)により、100℃以上の湿熱加熱を受けて、商業的無菌性を付与された密封容器詰食品のうちで、プラスチックフィルム及びアルミ箔を積層したフィルムを、熱シールによって密封した容器を用いて製造したものと定義されている(非特許文献1)。また、缶詰や瓶詰も同様に、高温殺菌時に不快臭を発生する場合がある。
一方、飲用の酒類においては、原料の一部に生姜などを用いる機能性酒が開発されており(特許文献1)、また、生姜などの薬味料を用いる料理用酒類も開発されている(特許文献2)。特許文献2に開示されている料理用酒類は、生姜等の薬味料に対して特定の処理を施すことにより得られるものであり、特定の揮発性香気成分を多く含有し香味が豊富であるとともに、畜肉や魚介類の不快臭のマスキング、食感改善、焦げつき防止といった効果を有する優れたものである。
特開2003−24041号公報 特開2009−213410号公報
清水潮、横山理雄:レトルト食品の基礎と応用、1頁、発行所(株)幸書房、2002年3月20日初版第2刷発行
しかしながら、前述したように、食材を加熱調理した際に発生する不快臭、特に含硫化合物に起因する不快臭やレトルト臭をさらに効果的に消臭する技術が求められている。そして、不快臭の高い消臭効果を有するとともに、調理効果等にも優れた料理用酒類が求められている。そこで本発明は、前記した従来技術が抱える問題点を踏まえ、食材を加熱調理した際に発生する不快臭の消臭効果が高い料理用酒類を提供するとともに、当該料理用酒類の用途、並びに、当該料理用酒類を利用した加工食品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記した課題を解決するために検討を重ねた結果、タマネギを原料の一部として使用することで、不快臭の高い消臭効果を有する料理用酒類を製造できることを見出した。さらに、当該料理用酒類の有効成分について詳細に検討し、3種の有効成分を特定することに成功した。さらに、当該料理用酒類を用いることで、不快臭の消臭とともに食材の食感を改善できることを見出し、本発明を完成した。すなわち、上記した課題を解決するために提供される本発明は、以下のとおりである。
請求項1に記載の発明は、アルコール濃度25v/v%換算で、1.0mg/L以上の2−フルアルデヒド、0.3mg/L以上の5−メチル−2−フルアルデヒド、及び0.1mg/L以上の5−ヒドロキシメチル−2−フルアルデヒドを含有し、最終製品のアルコール濃度が1〜60v/v%であることを特徴とする料理用酒類である。
本発明の料理用酒類は、3種のフルアルデヒド類、すなわち、2−フルアルデヒド、5−メチル−2−フルアルデヒド、及び5−ヒドロキシメチル−2−フルアルデヒドを所定濃度以上含むものである。本発明の料理用酒類は、食材を加熱調理した際に発生する不快臭の消臭効果が高い。さらに、本発明の料理用酒類で食材を処理することにより、食材の食感を改善することができる。本発明の料理用酒類は、例えば、調理前における畜肉、魚介類、野菜又は玉子類の処理に有用である。すなわち、畜肉や魚介類、野菜又は玉子類に対して本発明の料理用酒類に接触させる処理を予め行うことにより、加熱した際に不快臭の消臭、食感改善といった効果が得られる。
ここで、「アルコール濃度」とは、エチルアルコール(エタノール)の濃度をいう。すなわち、本明細書において「アルコール」と記載した場合は、特に断らない限りエチルアルコール(エタノール)を指す。
請求項2に記載の発明は、原料の少なくとも一部にタマネギを用いたものであることを特徴とする請求項1に記載の料理用酒類である。
本発明の料理用酒類においては、原料の少なくとも一部にタマネギを用いている。かかる構成により、上記3種のフルアルデヒド類をタマネギから得ることができる。さらに、タマネギに由来する調味にふさわしい香味が付与され、不快臭の消臭効果と食感の改善効果に加えて、香味が豊富な料理用酒類が提供される。
蒸留酒類、みりん、清酒又は老酒に属するものである構成が推奨される(請求項3)。
ここで「蒸留酒類」とは酒税法上の蒸留酒類であり、焼酎、スピリッツ等が例として挙げられる。焼酎(粕取焼酎を含む)、スピリッツの原料に特に限定はなく、また、発酵方法、蒸留方法にも特に限定は無い。焼酎には、連続式蒸留焼酎と単式蒸留焼酎の両方が含まれる。
また「みりん」とは酒税法でいう混成酒類の中のみりんのことであり、例えば以下に掲げる酒類でアルコール分が15度(15v/v%)未満のもの(エキス分が40度以上のものその他政令で定めるものに限る。)である。
(1)米及び米こうじにしょうちゅう又はアルコールを加えて、こしたもの。
(2)米、米こうじ及びしょうちゅう又はアルコールにみりんその他政令で定める物品を加えて、こしたもの
(3)みりんにしょうちゅう又はアルコールを加えたもの。
(4)みりんにみりんかすを加えて、こしたもの。
また「清酒」とは酒税法でいう醸造酒類の中の清酒のことであり、例えば以下に掲げる酒類でアルコール分が22度(22v/v%)未満のものである。
(1)米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの。
(2)米、米こうじ、水及び清酒かすその他政令で定める物品を原料として発酵させて、こしたもの(その原料中当該政令で定める物品の重量の合計が米(こうじ米を含む。)の重量の百分の五十を超えないものに限る。)
(3)清酒に清酒かすを加えて、こしたもの。
また、「老酒」とは酒税法でいう雑酒のことであり、米、粟、黍などの穀物を主原料とし、こうじの力で糖化・発酵させて、貯蔵熟成し、こしたものである。長期熟成させた「黄酒」を「老酒」と定義する場合もあるが、本発明では「老酒」と「黄酒」とは同義とする。「老酒」の例としては、「即墨老酒」、「福建老酒」、「紹興酒」、「紹興香雪酒」などがある。
請求項4に記載の発明は、前記蒸留酒類が焼酎であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の料理用酒類である。
かかる構成により、調味にふさわしい香味が特に豊富な料理用酒類が提供される。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の料理用酒類を食材に接触させ、加熱する工程を含むことを特徴とする食材の処理方法である。
本発明は食材の処理方法に係るものであり、上記した本発明の料理用酒類を食材に接触させ、加熱する工程を含む。本発明では、上記した3種のフルアルデヒド類を多く含有する料理用酒類を用いるので、少量の使用で食材の不快臭を消臭することができる。特に、含硫アミノ酸高含有の調味料である場合には、加熱時に発生する硫黄臭(硫化水素臭)を消臭することができる。例えば、畜肉、魚介類、野菜又は玉子類である場合には、畜肉、魚介類、野菜又は玉子類に対する不快臭の消臭といった効果を得ることができる。さらに、畜肉、魚介類に対して、食感の改善効果を得ることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の料理用酒類を、含硫アミノ酸を含有する調味料に添加し、前記調味料の加熱時に発生する不快臭を消臭することを特徴とする不快臭の消臭方法である。
本発明は不快臭の消臭方法に係るものであり、上記した本発明の料理用酒類を「含硫アミノ酸を含有する調味料」に添加し、当該調味料の加熱時に発生する不快臭を消臭する。本発明の不快臭の消臭方法によれば、含硫アミノ酸を多く含有する調味料(含硫アミノ酸高含有の調味料)を用いた際に発生する硫黄臭を含む不快臭を、効率的かつ簡単に消臭することができる。
含硫アミノ酸の例としては、メチオニン、システイン、シスチン、シスタチオニン、タウリン、などが挙げられる。
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の食材の処理方法によって食材を処理し、前記食材の不快臭を消臭することを特徴とする不快臭の消臭方法である。
また請求項8に記載の発明は、前記食材が、畜肉、魚介類、野菜又は玉子類であることを特徴とする請求項7に記載の不快臭の消臭方法である。
本発明の不快臭の消臭方法は、上記した本発明の料理用酒類によって畜肉、魚介類、野菜、玉子類等の食材を処理し、これらの食材から発生する不快臭を消臭するものである。本発明の不快臭の消臭方法によっても、硫黄臭等を含む不快臭を効率的かつ簡単に消臭することができる。
請求項9に記載の発明は、請求項5に記載の食材の処理方法によって畜肉又は魚介類を処理し、畜肉又は魚介類の食感を改善することを特徴とする食感の改善方法である。
本発明は食感の改善方法に係るものであり、上記した本発明の食材の処理方法によって畜肉又は魚介類を処理し、これらの食感を改善するものである。本発明の食感の改善方法によれば、調理後における畜肉又は魚介類の食感を簡単に改善することができる。
請求項10に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の料理用酒類を食材に接触させることによって得られることを特徴とする加工食品である。
本発明は加工食品に係るものであり、上記した本発明の料理用酒類を食材に接触させ、加熱することによって得られるものである。本発明によれば、不快臭が極めて少なく、かつ食感のよい高品質の加工食品が提供される。
前記食材が、畜肉、魚介類、野菜又は玉子類である構成が推奨される(請求項11)。
本発明の料理用酒類によれば、食材を加熱調理した際に発生する不快臭を効率的に消臭することができる。さらに、本発明の料理用酒類で食材を処理することにより、畜肉等の食材の食感を改善することができる。特に、原材料の少なくとも一部にタマネギを用いる構成によれば、不快臭の消臭効果と食感の改善効果に加えて、調味にふさわしい香味が豊富な料理用酒類が提供される。
本発明の食材の処理方法によれば、食材を加熱調理した際に発生する不快臭を消臭することができ、さらに食材の食感を改善することができる。
本発明の不快臭の消臭方法によれば、含硫アミノ酸高含有の調味料や、畜肉、魚介類、野菜、玉子類といった食材を加熱した際に発生する不快臭を効率的に消臭することができる。
本発明の食感の改善方法によれば、調理後における畜肉又は魚介類の食感を簡単に改善することができる。
本発明の加工食品によれば、不快臭が極めて少なく、かつ食感のよい高品質の加工食品が提供される。
硫化水素量の測定結果を表すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態について具体的に説明する。
本発明の料理用酒類は、所定濃度以上の2−フルアルデヒド、5−メチル−2−フルアルデヒド、及び5−ヒドロキシメチル−2−フルアルデヒドを含有し、最終製品のアルコール濃度が1〜60v/v%であることを特徴とするものである。本発明の料理用酒類は、蒸留することによって得られるものが好ましい。蒸留することにより、前記した3種のフルアルデヒド類が効率的に得られるとともに調理に好適な揮発性成分が濃縮される。その結果、少量の添加で不快臭の消臭効果が得られるとともに、加工食品に前記揮発性成分を付与できる。さらに、品質劣化を惹起する成分は蒸留残渣、末垂れ区分や後留区分に残存することになるため、蒸留して得られた蒸留液の品質安定性は極めて高いものとなる。
蒸留方法について特に限定はなく、例えば、甲類焼酎(連続式蒸留焼酎)を得るための連続蒸留法、乙類焼酎を得るための単式蒸留法のいずれもが採用可能である。また、醪を通常の大気圧下で蒸留する常圧蒸留法、真空ポンプで醪を大気圧より低くして蒸留する減圧蒸留法のいずれもが採用可能である。
本発明の料理用酒類における最終製品のアルコール濃度は、1〜60v/v%、より好ましくは、1〜50v/v%である。必要に応じて、酒精、酒類、調味料及び/又は水を蒸留液に加えて最終製品のアルコール濃度を調整すればよい。
好ましい実施形態では、原料の少なくとも一部にタマネギを用いる。タマネギは、食品の調味のために用いる芳香性と刺激性を持った植物であり、生食ではサラダや和え物などに用いられているほか、肉類を中心とした煮物や炒め物、焼き物の材料など多くの調理に用いられている。タマネギは、ユリ科ネギ属の1〜2年性草本で、球を形成する球茎作物として代表的なものである。
原料として用いるタマネギの形態としては、生鮮品、冷蔵品、冷凍品又は乾燥品があるが、いずれでもよい。またタマネギは加熱処理したものが好ましく、刺激臭や辛みが消失し、特有の甘いフレーバーである2−フルアルデヒドや5−メチル−2−フルアルデヒドなどの2−フルアルデヒド誘導体を含有するタマネギを用いるのがよい。タマネギを加熱処理することによりにより、2−フルアルデヒドや5−メチル−2−フルアルデヒドなどが多く生成するので、これらの物質による不快臭の消臭効果は高いものとなる。また、加熱に先立って細断、粉砕、磨砕などの処理を必要に応じて行えばよい。
タマネギの加熱方法に制限はないが、焦げ臭が生成しないように、弱火でゆっくりロースト及び/又はソテーしたタマネギが好適である。ロースト及び/又はソテー後のタマネギの重量は、生の3分の1程度となる。さらに、消臭効果を上げるために、アルコールや水などで抽出したエキスを用いるか、あるいはそのエキスを必要に応じて濃縮して用いてもよい。
2−フルアルデヒドとは、別名フルフラール、2−フランカルボキシアルデヒド、2−フランカルボアルデヒドなどと呼ばれる物質である。また、5−メチル−2−フルアルデヒドとは、別名5−メチルフラン−2−カルボアルデヒド、5−メチル−2−フランカルボアルデヒド、5−メチルフルフラール、5−メチルフルフルアルデヒドなどと呼ばれる物質である。さらに、5−ヒドロキシメチル−2−フルアルデヒドとは、別名5−ヒドロキシメチル−2−フランカルボキシアルデヒド、5−ヒドロキシメチル−2−フランカルボナール、5−ヒドロキシメチル−2−フルフラールなどと呼ばれる物質である。
原料の一部にタマネギを用いて蒸留することを経て最終的に蒸留酒類、例えば焼酎に属する料理用酒類が得られる。その焼酎を用いて、酒税法でいう混成酒類のうち、みりんとしてもよい。その製造方法は、酒税法に則ったみりんの製造方法であれば特に限定はない。一般的なみりんの製造方法は、まず、搗精、洗米等の原料処理を行い、麹などを添加して仕込醪となし、糖化・熟成する。次に、糖化・熟成を終えた醪を圧搾機で上槽して搾汁液と粕に分離する。最後に、得られた搾汁液に対して精製工程で火入れし、滓下げして清澄な製品みりんとなる。ここでいう原料処理には、精白、洗米、浸漬、水切り、蒸煮、放冷の各工程があるが、更に掛原料の液化及び/又は糖化工程も含んでいる。原料として、米、米麹、醸造用アルコール又は焼酎以外に、デンプン部分加水分解物を使用してもよい。また、必要に応じて酵素製剤を掛原料の処理の液化及び/又は糖化工程並びに醪へ添加してもよい。
本発明の料理用酒類は、酒類の不可飲処置による免税措置に基づいた発酵調味料とすることもできる。一般的なみりんタイプの発酵調味料の製造方法は、まず、掛原料、麹、酵母を添加して醪とし、食塩を添加して糖化・発酵を行い、更に米麹、糖質原料を添加して熟成させ、圧搾ろ過して搾汁液と粕を得る。そして、この搾汁液、又は搾汁液を精製して発酵調味料を得る。
本発明の料理用酒類の形態としては特に限定はなく、液状だけでなく、例えば、粉末状、顆粒状、錠剤状、乳液状、ペースト状等に調製してもよい。必要に応じて、食塩などを添加することもできる。
本発明の食材の処理方法は、本発明の料理用酒類を食材に接触させ、加熱する工程を含むことを特徴とする。
また本発明の不快臭の消臭方法は、本発明の料理用酒類を、含硫アミノ酸を含有する調味料に添加、あるいは、本発明の料理用酒類によって畜肉、魚介類、野菜、玉子類等の食材を処理し、これらの調味料や食材から発生する不快臭を消臭するものである。
さらに、本発明の食感の改善方法は、本発明の食材の処理方法によって畜肉又は魚介類を処理し、畜肉又は魚介類の食感を改善するものである。
すなわち、本発明の食材の処理方法を実施することにより、処理対象が含硫アミノ酸高含有の調味料である場合には、加熱時に発生する硫黄臭の消臭を達成することができる。食材が畜肉、魚介類、野菜又は玉子類である場合には、畜肉、魚介類、野菜又は玉子類の不快臭の消臭を達成することができる。さらに、食材が畜肉、魚介類である場合には、畜肉、魚介類に対する食感改善も達成することができる。
料理用酒類を接触させる方法としては浸漬が代表的であるが、塗布あるいは噴霧によって接触させてもよい。本発明の食材の処理方法を含硫アミノ酸高含有の調味料や畜肉、魚介類、野菜又は玉子類に適用する場合の、本発明の料理用酒類の使用量は、2−フルアルデヒド、5−メチル−2−フルアルデヒド、及び5−ヒドロキシメチル−2−フルアルデヒドの組成や含有量に応じて適宜設定すればよく、特に限定はない。溶解度や調理効果が異なるため一概には決められないが、含硫アミノ酸高含有の調味料や畜肉、魚介類、野菜又は玉子類100部に対して0.1〜2000部の料理用酒類の使用が好ましい。なお、料理用酒類の使用量が高いほど不快臭の消臭等の顕著な調理効果を示す。
前述のように、本発明の食材の処理方法の対象となる好適な食材は、例えば加熱する際に硫黄臭がするものであり、畜肉、魚介類、野菜又は玉子類が代表的である。畜肉は、食用できる肉であれば特に限定なく、例えば獣肉類では、牛、豚、馬、羊、山羊、鹿、猪、熊などが挙げられ、鳥肉類では、鶏、アヒル、七面鳥、雉、鴨、鶉などが挙げられる。同様に、魚介類は、食用できる魚介類であれば特に限定はなく、魚類及び貝類などの水中にすむ水産動物が例として挙げられる。さらに、エビ、カニなどの節足動物、イカ、タコなどの軟体動物、クラゲなどの腔腸動物、ウニ、ナマコなどの棘皮動物、ホヤなどの原索動物なども対象となる。
野菜では、キャベツ、ブロッコリー、ダイコンなどが代表的である。玉子類は、食用できる玉子であれば特に限定なく、例えば、鶏、アヒル、七面鳥、雉、鴨、鶉などの玉子が挙げられる。その他タラコやカラスミなどの魚類の卵も本発明の玉子類に含まれる。
上記食材の他、本発明の料理用酒類は、ソーセージや蒲鉾等の加工食品、漬物等の発酵食品、などに由来する不快臭の消臭にも有用である。さらに、本発明の料理用酒類は、植物性タンパク質である大豆タンパク等の加熱時に発生する不快臭の消臭にも有用である。
本発明の加工食品は、本発明の料理用酒類を食材に接触させることによって得られることを特徴とする。この場合の料理用酒類の使用量も、2−フルアルデヒド、5−メチル−2−フルアルデヒド、及び5−ヒドロキシメチル−2−フルアルデヒドの組成や含有量に応じて適宜設定すればよく、特に限定はない。特に、加熱時に発生する硫黄臭の発生抑制に効果があり、高温加熱処理時に発生するレトルト臭の発生抑制に顕著な効果を奏する。好ましい実施形態では、当該食材が畜肉、魚介類、野菜又は玉子類である。畜肉、魚介類、野菜又は玉子類の例は上記で挙げたものと同じである。玉子類から得られる加工食品としては、出し巻き玉子、茶碗蒸しなどが挙げられ、中華料理のピータンの硫黄臭を除去することもできる。
前記したように、本発明の料理用酒類はレトルト臭の発生抑制に顕著な効果を奏するので、本発明の料理用酒類を食材に接触させてレトルト食品とすると、不快臭の発生が抑制されたレトルト食品を得ることができる。レトルト食品には、包装形態から、レトルトパウチ食品、レトルト容器食品、レトルトパック食品が挙げられる。また、缶詰や瓶詰の加工食品にも有効である。
本発明の料理用酒類のさらに好ましい実施形態は、2−フルアルデヒド、5−メチル−2−フルアルデヒド、及び5−ヒドロキシメチル−2−フルアルデヒドを含む、焼酎に属する料理用酒類である。ここで、焼酎に属する本発明の料理用酒類の実施形態について、詳細に説明する。本実施形態の料理用酒類を製造するには、焼酎醪を使用する。より具体的には、まず、原料の米又は大麦を蒸きょう後、麹菌(白又は黒麹菌)の胞子を散布し、33〜40℃で約40時間かけて製麹し、一次醪として麹に水と焼酎酵母を加えて混合し、25〜30℃で7日間かけて酵母の増殖を図り、この一次醪に主原料の穀類、水を加えて混合し二次醪とし、25〜30℃で8〜20日間(主原料の種類によって日数が異なる)かけて発酵させる。また、アミラーゼ、セルラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、ヘミセルラーゼ、エステラーゼ、ペクチナーゼの群から選択される1つ以上の酵素剤が共存していてもよい。
二次醪の段階でタマネギを添加する。ここで添加するタマネギは、加熱処理したものであることが好ましい。タマネギの添加時期は、二次醪の段階であれば特に限定はない。タマネギの醪中での浸漬期間としては、1〜5日間が特に好適である。これにより、前記した3種のフルアルデヒド類とともにタマネギから抽出された香味成分が作用して、複雑な香味成分が増強され、種々の成分が合わさってさらなる香味の多様化、製品の熟成効果などが生み出される。
タマネギ由来の有効成分を含有する二次醪を、仕込み(発酵)終了後、単式蒸留器に入れ、減圧又は常圧で蒸留する。ここで、蒸留直後の原酒には油性成分があるので、過剰の不溶物をろ過して取り除く。こうして得られた料理用酒類は、2−フルアルデヒド、5−メチル−2−フルアルデヒド、及び5−ヒドロキシメチル−2−フルアルデヒドの香気が引き立った優れた酒質のものになる。
このようにして得られる本実施形態の料理用酒類は、アルコール濃度25v/v%換算で、1.0mg/L以上の2−フルアルデヒド、0.3mg/L以上の5−メチル−2−フルアルデヒド、及び0.1mg/L以上の5−ヒドロキシメチル−2−フルアルデヒドを含有する、きわめて優れた不快臭の消臭効果と食感の改善効果を有するものとなる。なお、市販されている料理用焼酎、飲用焼酎には、アルコール濃度25v/v%換算で、1.0mg/L以上の2−フルアルデヒド、0.3mg/L以上の5−メチル−2−フルアルデヒド、及び0.1mg/L以上の5−メチル−2−フルアルデヒドを含有するものはない。
さらに、タマネギ又はタマネギの加工処理物の添加量を上げると、2−フルアルデヒド等の含有量をさらに高めることができる。タマネギ又はタマネギの加工処理物の醪に対する添加量は特に限定はなく、流動性があって蒸留できればよく、例えば醪に対して75w/v%程度まで添加することが可能である。本実施形態におけるこれら3成分の上限値としては特に限定はないが、例えば、2−フルアルデヒド含有量を3000mg/L以下とすることができる。すなわち、本実施形態では、2−フルアルデヒド含有量を1〜3000mg/Lとすることが可能である。
本発明の料理用酒類は、そのまま食材の処理剤、畜肉、魚介類、野菜又は玉子類の不快臭の消臭剤、畜肉や魚介類の食感改善剤として使用することができる。
以下、実施例をもって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
含硫アミノ酸高含有の調味料に対する不快臭の消臭について検討を行った。
2−フルアルデヒドが181mg/L、5−メチル−2−フルアルデヒドが0.3mg/L、及び5−ヒドロキシメチル−2−フルアルデヒドが0.1mg/L(すべてアルコール濃度25v/v%換算)含まれているアルコール濃度40v/v%の酒精含有溶液(料理用酒類)を調製した。アミノ酸液精製R〔播州調味料(株)製〕30mLに、前記したアルコール濃度40v/v%の酒精含有溶液0.3mLを加え、真空密封後、120℃、60分間のレトルト加熱殺菌を行い、15分間冷却し、アミノ酸液のレトルト加熱殺菌処理物を得た(実施例1)。氷冷下、20mL容ヘッドスペースガス測定用バイアルに5mLをはかりとり、ヘッドスペースガスをGC/MSにより分析を行った。分析は、キャピラリーカラムDB−WAX(J&W社製)を接続したガスクロマトグラフG1530A(アジレント社製)に質量検出器5973(HEWLETT PACKARD社製)を連結したもので、常法通り行った。対照は、アルコール濃度40.0v/v%のアルコール水溶液を用いて、同様にレトルト加熱殺菌したものとした(比較例1)。
実施例1と比較例1のアミノ酸液のレトルト加熱殺菌処理物について比較した結果、比較例1では硫化水素、ジメチルスルフィド、ジメチルトリスルフィド、メチオナールなどの含硫化合物(硫黄臭の成分)が検出されたのに対し、実施例1では含硫化合物が検出されなかった。以上より、実施例1の料理用酒類によって、含硫アミノ酸高含有のアミノ酸液の加熱時に発生する硫黄臭(不快臭)を消臭できることが示された。
細断した生タマネギ740gを、弱火で焦げないようにローストし、ローストタマネギ206gを得た。ローストタマネギ40gに95v/v%発酵アルコール42mL、水158mLを加え、常温で1時間攪拌抽出後、40℃の条件下、エバポレーターで減圧濃縮し、アルコール濃度29.9v/v%の留液120mLを得た(実施例2)。なお、エバポレーターでの減圧濃縮は、減圧蒸留と同等の効果を有するものである。
一方、細断した生タマネギ144gに、95v/v%発酵アルコール42mL、水158mLを加え、同様の条件下、エバポレーターで減圧濃縮し、アルコール濃度24.2v/v%の留液150mLを得た(比較例2−1)。
得られた各留液について、GC/MSにより香気成分解析を行った。分析は、キャピラリーカラムDB−WAX(J&W社製)を接続したガスクロマトグラフG1530A(アジレント社製)に質量検出器5973(HEWLETT PACKARD社製)を連結したもので、常法通り行った。その結果、実施例2の留液には、2−フルアルデヒドが1.0mg/L、5−メチル−2−フルアルデヒドが0.3mg/L、及び5−ヒドロキシメチル−2−フルアルデヒドが0.1mg/L(すべてアルコール濃度25v/v%換算)含まれていた。一方、比較例2−1の留液には、2−フルアルデヒド、5−メチル−2−フルアルデヒド、及び5−ヒドロキシメチル−2−フルアルデヒドは、すべて痕跡程度しか検出されなかった。
アルミ積層のレトルトパウチに、牛肉17g、水20mL、実施例2の留液0.2mLを加え、自動真空包装機で真空密封後、120℃、60分、0.185MPaで加熱殺菌した。対照として、比較例2−1の留液又は水(比較例2−2)各々0.2mLを加え、同様に加熱したものについて評価した。その結果、比較例2−1、比較例2−2ではレトルト加熱殺菌に由来する不快臭は消臭されていなかったが、実施例2ではレトルト加熱殺菌に由来する不快臭がよく消臭されていた。
畜肉の不快臭の消臭について検討を行った。
原料の一部にタマネギを用いて、2−フルアルデヒドが38mg/L、5−メチル−2−フルアルデヒドが0.5mg/L、及び5−ヒドロキシメチル−2−フルアルデヒドが0.1mg/L(すべてアルコール濃度25v/v%換算)含まれているアルコール濃度25.0v/v%のタマネギ焼酎(料理用酒類)を製造した。このタマネギ焼酎を、割水してアルコール濃度が13.0v/v%となるようにした。この割水したタマネギ焼酎を用い、表1に示す配合の調味液(実施例3と比較例3の計2種)を調製した。表1中の「タマネギ焼酎」は割水したタマネギ焼酎(アルコール濃度13.0v/v%)である。
Figure 2011223998
鍋にオーストラリア産牛肉60gを入れ、表1の実施例3の調味料120mLを注ぎ入れ、加熱した。沸騰後さらに弱火で10分間加熱し、120℃、20分間のレトルト加熱殺菌を行い、牛丼の具を得た(実施例3)。対照は、タマネギ焼酎の代わりにアルコール濃度13.0v/v%のアルコール水溶液を含む調味液(比較例3の調味料)を用いて、同様に調理したものとした(比較例3)。実施例3と比較例3の牛丼の具について、不快臭等を、熟練したパネラー11名により官能評価試験を行った。その結果、11名中11名が、比較例3より実施例3の方が、不快臭が消臭されており、また食感もよいと回答した。
野菜の不快臭の消臭について検討を行った。
原料の一部にタマネギを用いて、2−フルアルデヒドが28mg/L、5−メチル−2−フルアルデヒドが0.3mg/L、及び5−ヒドロキシメチル−2−フルアルデヒドが0.1mg/L(すべてアルコール濃度25v/v%換算)含まれているアルコール濃度12.9v/v%のタマネギ焼酎(料理用酒類)を製造した。このタマネギ焼酎を、割水してアルコール濃度が3.0v/v%となるようにした。
ブロッコリーに、割水したタマネギ焼酎40mLを加え、真空密封後、沸騰水中で5分間煮沸し、水冷して、ブロッコリーの加工食品を得た(実施例4)。対照は、タマネギ焼酎の代わりにアルコール濃度3.0v/v%のアルコール水溶液を用いて、同様に調理したものとした(比較例4)。実施例4と比較例4のブロッコリーの加工食品について、不快臭等を、熟練したパネラー11名により官能評価試験を行った。その結果、11名中11名が、比較例4より実施例4の方が、不快臭が消臭されていると回答した。
ソーセージの不快臭の消臭について検討を行った。
実施例3と同様のタマネギ焼酎(アルコール濃度13.0v/v%)を用い、表2に示す配合で各材料を混合し、ケーシングに注入した後、80℃で30分間ボイルし、氷水で急冷してソーセージ(実施例5と比較例5の計2種)を調製した。表2中の「タマネギ焼酎」は割水したタマネギ焼酎(アルコール濃度13.0v/v%)である。
Figure 2011223998
実施例5と比較例5のソーセージについて、不快臭等を、熟練したパネラー11名により官能評価試験を行った。その結果、11名中11名が、比較例5より実施例5の方が、不快臭が消臭されており、また食感もよいと回答した。
蒲鉾の不快臭の消臭について検討を行った。
実施例3と同様のタマネギ焼酎(アルコール濃度13.0v/v%)を用い、表3に示す配合で各材料を混合し、ケーシングに注入した後、5℃で一晩静置した。その後、96℃で1時間ボイルし、氷水で急冷して蒲鉾を調製した。表3中の「タマネギ焼酎」は割水したタマネギ焼酎(アルコール濃度13.0v/v%)である。
Figure 2011223998
実施例6と比較例6の蒲鉾について、不快臭等を、熟練したパネラー11名により官能評価試験を行った。その結果、11名中11名が、比較例6より実施例6の方が、不快臭が消臭されており、また食感もよいと回答した。
沢庵漬けの不快臭の消臭について検討を行った。
食塩濃度15w/w%の塩蔵大根を1w/w%になるまで流水脱塩して、5mm厚に輪切りした。実施例3と同様のタマネギ焼酎(アルコール濃度13.0v/v%)を用い、表4に示す配合の調味液で調味漬けを行った後、70℃の湯浴中で10分間殺菌して大根の沢庵漬けを調製した。かつお節調味液として「だししるべKP−1」(宝酒造株式会社製)、昆布調味液として「だししるべL−利尻」(宝酒造株式会社製)を、それぞれ使用した。表4中の「タマネギ焼酎」は割水したタマネギ焼酎(アルコール濃度13.0v/v%)である。
Figure 2011223998
実施例7で得られた大根の沢庵漬けについて、不快臭等を、熟練したパネラー11名により官能評価試験を行った。その結果、11名中11名が、比較例7より実施例7の方が、塩蔵臭、沢庵臭と呼ばれる不快臭が消臭されており、また食感もよいと回答した。
玉子類の不快臭の消臭について検討を行った。
実施例3と同様のタマネギ焼酎(アルコール濃度13.0v/v%)を用い、表5に示す配合の茶碗蒸し調味液(実施例8と比較例8の計2種)を調製した。表5中の「タマネギ焼酎」は割水したタマネギ焼酎(アルコール濃度13.0v/v%)である。
Figure 2011223998
容器に実施例8の茶碗蒸し調味液を入れ、95℃の蒸気で14分間加熱し、茶碗蒸しを得た(実施例8)。対照は、タマネギ焼酎の代わりにアルコール濃度13.0v/v%のアルコール水溶液を用いて、同様に加熱したものとした(比較例8)。実施例8と比較例8の茶碗蒸しについて、不快臭等を、熟練したパネラー11名により官能評価試験を行った。その結果、11名中11名が、比較例8より実施例8の方が、玉子類の加熱により発生する硫黄臭である不快臭が消臭されており、また食感もよいと回答した。
魚介類の不快臭の消臭について検討を行った。
アルミ積層のレトルトパウチに紅ズワイガニ5g、実施例3と同様のタマネギ焼酎(アルコール濃度13.0v/v%)5mLを入れ、自動真空包装機で真空密封後、120℃、60分、0.185MPaで加熱殺菌を行った(実施例9)。対照は、紅ズワイガニ5gとタマネギ焼酎の代わりにアルコール濃度13.0v/v%のアルコール水溶液5mLを入れ、同様に加熱したものとした(比較例9)。実施例9と比較例9について、不快臭等を、熟練したパネラー11名により官能評価試験を行った。その結果、11名中11名が、比較例9より実施例9の方が、カニ加熱時に発生する不快臭が消臭されていると回答した。
野菜類の不快臭の消臭について検討を行った。
アルミ積層のレトルトパウチにキャベツ30g、水28.5mL、実施例3と同様のタマネギ焼酎(アルコール濃度13.0v/v%)1.5mLを入れ、自動真空包装機で真空密封後、120℃、60分、0.185MPaで加熱殺菌を行った(実施例10)。対照は、キャベツ30gとタマネギ焼酎の代わりにアルコール濃度13.0v/v%のアルコール水溶液1.5mLを入れ、同様に加熱したものとした(比較例10)。実施例10と比較例10について、不快臭等を、熟練したパネラー11名により官能評価試験を行った。その結果、11名中11名が、比較例10より実施例10の方が、キャベツ加熱時に発生する不快臭が消臭されていると回答した。
卵白の不快臭の消臭について検討を行った。
実施例3と同様にして、アルコール濃度25.0v/v%のタマネギ焼酎(料理用酒類)を製造した。このタマネギ焼酎に加塩清酒と食塩を添加し、割水してアルコール濃度が13.0v/v%となるようにした。この割水したタマネギ焼酎を含有する発酵調味料を用い、表6に示す配合で混合し、ケーシングに入れソーセージ状の形状に成型し、80℃で40分間処理を行い、成型卵白を調製した(実施例11)。対照は、タマネギ焼酎を含有する発酵調味料の代わりにアルコール濃度13.0v/v%のアルコール水溶液10gを入れ、同様に加熱・成型したものとした(比較例11)。
Figure 2011223998
実施例11の成型卵白に等量の水を加えホモジナイズ(10,000rpm、3分間)した。その後、20mL容ヘッドスペースガス測定用バイアルに、ホモジナイズ後の溶液5mLを入れ密栓後、バイアル中のヘッドスペースガスをGC/MSにより分析を行った。対照は、比較例11の成型卵白を、同様にホモジナイズしたものとした。
実施例11と比較例11の硫化水素量を測定した結果を図1に示す。すなわち、比較例11に比べて、実施例11では検出された硫化水素量は少なかった。
実施例11と比較例11の成型卵白について、不快臭等を、熟練したパネラー11名により官能評価試験を行った。その結果、11名中11名が、比較例11より実施例11の方が、卵白加熱時に発生する不快臭が消臭されていると回答した。
以上のことから、タマネギ焼酎を含有する発酵調味料によって、卵白加熱時に発生する硫化水素臭と呼ばれる不快臭を消臭することができることがわかった。

Claims (11)

  1. アルコール濃度25v/v%換算で、1.0mg/L以上の2−フルアルデヒド、0.3mg/L以上の5−メチル−2−フルアルデヒド、及び0.1mg/L以上の5−ヒドロキシメチル−2−フルアルデヒドを含有し、最終製品のアルコール濃度が1〜60v/v%であることを特徴とする料理用酒類。
  2. 原料の少なくとも一部にタマネギを用いたものであることを特徴とする請求項1に記載の料理用酒類。
  3. 蒸留酒類、みりん、清酒又は老酒に属するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の料理用酒類。
  4. 前記蒸留酒類が焼酎であることを特徴とする請求項3に記載の料理用酒類。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の料理用酒類を食材に接触させ、加熱する工程を含むことを特徴とする食材の処理方法。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の料理用酒類を、含硫アミノ酸を含有する調味料に添加し、前記調味料の加熱時に発生する不快臭を消臭することを特徴とする不快臭の消臭方法。
  7. 請求項5に記載の食材の処理方法によって食材を処理し、前記食材の不快臭を消臭することを特徴とする不快臭の消臭方法。
  8. 前記食材が、畜肉、魚介類、野菜又は玉子類であることを特徴とする請求項7に記載の不快臭の消臭方法。
  9. 請求項5に記載の食材の処理方法によって畜肉又は魚介類を処理し、畜肉又は魚介類の食感を改善することを特徴とする食感の改善方法。
  10. 請求項1〜4のいずれかに記載の料理用酒類を食材に接触させることによって得られることを特徴とする加工食品。
  11. 前記食材は、畜肉、魚介類、野菜又は玉子類であることを特徴とする請求項10に記載の加工食品。
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