JP7450789B1 - 食材又は飲食品の臭い改善剤、及び食材又は飲食品の臭い改善方法 - Google Patents

食材又は飲食品の臭い改善剤、及び食材又は飲食品の臭い改善方法 Download PDF

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Abstract

【課題】食材又は飲食品の好ましくない臭いを抑制することができる食材又は飲食品の臭い改善剤、食材又は飲食品の臭い改善方法、及び飲食品の製造方法を提供すること。【解決手段】プレノール及びイソプレノールの少なくともいずれかを含有する食材又は飲食品の臭い改善剤、前記食材又は飲食品の臭い改善剤を用いる食材又は飲食品の臭い改善方法、及び前記食材又は飲食品の臭い改善剤を用いる飲食品の製造方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、食材又は飲食品の臭い改善剤、食材又は飲食品の臭い改善方法、及び飲食品の製造方法に関する。
食材又は飲食品の中には、独特の好ましくない臭いを呈するものがある。例えば、大豆ミート等の大豆由来の食材では大豆臭、牛肉、鶏肉、豚肉等の肉類を用いた食品では肉類の不快臭などが知られている。また、レトルト食品で発生するレトルト臭、清酒の異常臭など、食材又は飲食品ごとに問題となる臭いは異なる。これらの食材又は飲食品の臭いは、香辛料等を用いてその軽減が図られている。
しかしながら、香辛料を用いた場合でも、上記した独特の臭いの抑制が十分とはいえず、また、飲食品に求められる風味とは異なる風味が付与されてしまうという問題がある。
これまでに、食品における臭いを抑制する技術として、ファルネソールを含有する調理用清酒を用いる技術も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
一方、近年、大豆ミートは、肉の代替品としてその市場が拡大している。そのため、大豆臭を抑制できる新たな技術も求められている。
したがって、食材又は飲食品の好ましくない臭いを抑制することができる新たな素材の速やかな提供が強く求められている。
特開2018-121618号公報
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、食材又は飲食品の好ましくない臭いを抑制することができる食材又は飲食品の臭い改善剤、食材又は飲食品の臭い改善方法、及び飲食品の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、プレノール及び/又はイソプレノールを用いると、食材又は飲食品の好ましくない臭いを抑制し、食材又は飲食品の臭いを改善できることを知見した。
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> プレノール及びイソプレノールの少なくともいずれかを含有することを特徴とする食材又は飲食品の臭い改善剤である。
<2> 食材又は飲食品の臭い改善剤が、プレノール及びイソプレノールの少なくともいずれかを含有する、水溶液、アルコール水溶液、調理用酒、料理油、食品用香料、調味料、食品添加物、及び固形物からなる群から選択されるいずれかである前記<1>に記載の食材又は飲食品の臭い改善剤である。
<3> 食材又は飲食品に対して、プレノール及びイソプレノールの少なくともいずれかの合計量として、0.02ppb(質量/質量)以上10ppm(質量/質量)以下で用いられる前記<1>から<2>のいずれかに記載の食材又は飲食品の臭い改善剤である。
<4> 食材又は飲食品の臭いが、大豆の不快臭、肉類の不快臭、魚介類の不快臭、野菜の不快臭、キノコ類の不快臭、清酒の異常臭、納豆臭、及びレトルト臭からなる群から選択される少なくとも1つである前記<1>から<3>のいずれかに記載の食材又は飲食品の臭い改善剤である。
<5> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の食材又は飲食品の臭い改善剤を用いることを特徴とする食材又は飲食品の臭い改善方法である。
<6> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の食材又は飲食品の臭い改善剤を用いることを特徴とする飲食品の製造方法である。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、食材又は飲食品の好ましくない臭いを抑制することができる食材又は飲食品の臭い改善剤、食材又は飲食品の臭い改善方法、及び飲食品の製造方法を提供することができる。
(食材又は飲食品の臭い改善剤)
本発明の食材又は飲食品の臭い改善剤は、プレノール及びイソプレノールの少なくともいずれかを含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
本明細書において、食材又は飲食品の臭いを改善するとは、食材又は飲食品の臭い改善剤を使用した場合に、食材又は飲食品の臭い改善剤を使用しなかった場合と比べて、食材又は飲食品の好ましくない臭いを抑制する(以下、「低減する」と称することもある。)ことをいう。なお、食材又は飲食品の臭いには、食材又は飲食品を食べる前の香り(上立ち香)、食べたときの香り(口中香)、食べた後の香り(余韻の香り)が含まれる。
<プレノール、イソプレノール>
プレノールは、下記構造式で表される化合物である。
イソプレノールは、下記構造式で表される化合物であり、プレノールの異性体である。
プレノール及びイソプレノールはいずれも公知の化合物であり、化学合成や微生物による生産等の公知の方法により製造したものを用いてもよいし、市販品を用いることもできる。また、プレノール及びイソプレノールの少なくともいずれかを含有する柑橘類等の天然物や酒類などを用いてもよい。
前記食材又は飲食品の臭い改善剤は、プレノール及びイソプレノールのいずれか一方を含むものであってもよいし、両者を含むものであってもよい。
前記食材又は飲食品の臭い改善剤におけるプレノール及びイソプレノールの少なくともいずれかの合計含有量としては、特に制限はなく、食材又は飲食品に対する使用量などに応じて適宜選択することができる。例えば、前記食材又は飲食品の臭い改善剤が、液体の形態である場合には、プレノール及びイソプレノールの少なくともいずれかの合計量として、0.2ppb(質量/容量)以上100ppm(質量/容量)以下が好ましく、2ppb(質量/容量)以上50ppm(質量/容量)以下がより好ましく、20ppb(質量/容量)以上20ppm(質量/容量)以下がさらに好ましい。前記食材又は飲食品の臭い改善剤が、固体の形態である場合には、プレノール及びイソプレノールの少なくともいずれかの合計量として、0.2ppb(質量/質量)以上100ppm(質量/質量)以下が好ましく、2ppb(質量/質量)以上50ppm(質量/質量)以下がより好ましく、20ppb(質量/質量)以上20ppm(質量/質量)以下がさらに好ましい。前記好ましい範囲内であると、食材又は飲食品とは異なる香りを食材又は飲食品に付与することなく、食材又は飲食品の好ましくない臭いをより抑制することができる点で、有利である。なお、前記食材又は飲食品の臭い改善剤は、プレノール及びイソプレノールの少なくともいずれかのみからなるものであってもよい。
前記食材又は飲食品の臭い改善剤の食材又は飲食品に対する使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、プレノール及びイソプレノールの少なくともいずれかの合計量として、0.02ppb(質量/質量)以上10ppm(質量/質量)以下が好ましく、0.2ppb(質量/質量)以上5ppm(質量/質量)以下がより好ましく、2ppb(質量/質量)以上2ppm(質量/質量)以下がさらに好ましい。前記好ましい範囲内であると、食材又は飲食品とは異なる香りを食材又は飲食品に付与することなく、食材又は飲食品の好ましくない臭いをより抑制することができる点で、有利である。
前記プレノールと、前記イソプレノールとを併用する場合における両者の使用量の比(質量比)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<その他の成分>
前記食材又は飲食品の臭い改善剤におけるその他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、醤油、砂糖、みりん等の調味液に用いられる成分;ブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、ソルビトール、ステビオサイド、ルブソサイド、コーンシロップ、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L-アスコルビン酸、dl-α-トコフェロール、エリソルビン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アラビアガム、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ビタミンB類、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酸類、カルシウム塩類、色素、香料、保存剤、テルペン類、デキストリン、酵素剤等の食品に利用される補助的原料又は添加物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記食材又は飲食品の臭い改善剤におけるその他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記食材又は飲食品の臭い改善剤の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水溶液の態様、アルコール水溶液の態様、調理用酒の態様、料理油の態様、食品用香料の態様、調味料の態様、食品添加物の態様、固形物の態様などが挙げられる。これらの中でも、食材又は飲食品の好ましくない臭いをより抑制することができる点で、アルコール水溶液の態様、調理用酒の態様が好ましく、調理用酒の態様がより好ましい。
前記水溶液又はアルコール水溶液に用いる水としては、飲食品に用いることができるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記アルコール水溶液に用いるアルコールとしては、飲食品に用いることができるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エタノールなどが挙げられる。
前記アルコール水溶液におけるアルコールの濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1容量%~45容量%などが挙げられる。
前記調理用酒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、清酒、料理酒、合成酒、みりん、みりん風調味料、焼酎、スピリッツ、醤油などが挙げられる。これらの中でも、みりん、みりん風調味料、醤油などと比較して、素材の味と香りを大きく変化させることや損ねることなく使用できる点で、清酒が好ましい。
前記料理油、前記食品用香料、前記調味料、前記食品添加物、及び前記固形物としては、特に制限はなく、公知のものを目的に応じて適宜選択することができる。なお、前記固形物としては、固体であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粉体などが挙げられる。
前記食材又は飲食品の臭い改善剤の製造方法としては、特に制限はなく、その態様などに応じて適宜選択することができる。例えば、液体に、プレノール及びイソプレノールの少なくともいずれかを添加、混合して製造する方法、固体に、プレノール及びイソプレノールの少なくともいずれかを添加し、これらを浸み込ませて固形物とする方法などが挙げられる。また、プレノール及びイソプレノールの少なくともいずれかを生産することが可能な酵母を用いて公知の方法により調理用酒を製造し、これを食材又は飲食品の臭い改善剤とすることもできる。
<食材又は飲食品>
前記食材又は飲食品の臭い改善剤が対象とする食材又は飲食品としては、好ましくない臭いを有する食材又は飲食品であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、大豆、豆乳、又は納豆等の大豆由来の成分を含む食材又は飲食品;牛肉、鶏肉、豚肉、羊肉、鴨肉等の肉類又は肉類由来の成分を含む食材又は飲食品;サケ、タイ、マグロ、カツオ、ブリ、タラ、スズキ、イワシ、サバ、アジ、サンマ、エビ、カニ、イカ、タコ、アサリ等の魚介類又は魚介類由来の成分を含む食材又は飲食品;トマト、セロリ等の野菜又は野菜由来の成分を含む食材又は飲食品;キノコ類等の特有の臭いを含む食材又は飲食品;清酒;カレーやシチューなどの各種レトルト食品などが挙げられる。また、例えば、大豆たんぱくを含有するハンバーグ、メンチカツ、ミートボール、ハム;肉類のハンバーグ、メンチカツ、ミートボール、丼、煮込み料理、焼肉、カレー、照り焼き;魚介類の酒蒸し、すり身を用いた料理なども挙げられる。
前記食材又は飲食品は、1種単独であってもよいし、2種以上を組み合わせたものであってもよい。
前記食材又は飲食品の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明の食材又は飲食品の臭い改善剤によれば、食材又は飲食品の好ましくない臭いを抑制することができる。
本明細書において、食材又は飲食品の好ましくない臭いとは、喫食者が好まない臭いのことをいい、例えば、大豆の不快臭(大豆臭(ヘキサナール様の香りを含む)など)、肉類の不快臭(脂臭さ、不快な香り)、魚介類の不快臭、野菜の不快臭、キノコ類の不快臭、清酒の異常臭、納豆臭、レトルト臭などが挙げられる。
なお、肉類の不快な香りとは、畜肉臭、グラス臭などの不快な臭いをいい、魚介類の不快臭とは、魚介の臭みなどの不快な臭いをいい、野菜の不快臭とは、青臭い香りなどの不快な臭いをいう。
前記食材又は飲食品の臭い改善剤により抑制することができる食材又は飲食品の臭いは、1種のみであってもいし、2種以上であってもよい。
前記食材又は飲食品の臭い改善剤は、大豆の不快臭、肉類の不快臭、魚介類の不快臭、野菜の不快臭、キノコ類の不快臭、清酒の異常臭、納豆臭、及びレトルト臭からなる群から選択される少なくとも1つを抑制することが好ましく、大豆臭、肉類の不快臭、野菜の青臭い香り、レトルト臭、及び納豆臭の少なくとも1つを抑制することがより好ましい。
(飲食品の製造方法)
本発明の飲食品の製造方法は、本発明の食材又は飲食品の臭い改善剤を用いる。
<食材又は飲食品の臭い改善剤>
前記食材又は飲食品の臭い改善剤は、上記した本発明の食材又は飲食品の臭い改善剤である。
<飲食品>
前記飲食品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した本発明の食材又は飲食品の臭い改善剤の<食材又は飲食品>の項目に記載したものなどが挙げられる。
<製造方法>
本発明の飲食品の製造方法は、本発明の食材又は飲食品の臭い改善剤を用いる限り、特に制限はなく、公知の方法を目的に応じて適宜選択することができる。
前記飲食品の製造における食材又は飲食品の臭い改善剤の使用量は、上記した食材又は飲食品の臭い改善剤の<プレノール、イソプレノール>の項目に記載したものと同様である。
前記飲食品の製造における食材又は飲食品の臭い改善剤の使用時期としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記飲食品の製造における食材又は飲食品の臭い改善剤の使用方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記食材又は飲食品と接触させる方法などが挙げられる。
前記接触の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記食材又は飲食品の臭い改善剤と前記食材又は飲食品とを混合する方法、前記食材又は飲食品の臭い改善剤に前記食材又は飲食品を浸漬する方法、前記食材又は飲食品の臭い改善剤を前記食材又は飲食品に、噴霧、塗布、又は滴下する方法などが挙げられる。
なお、前記食材又は飲食品の臭い改善剤と接触させた後に、前記食材又は飲食品は、脱水したり、加熱したりして、水分を飛ばしてもよい。
本発明の飲食品の製造方法によれば、好ましくない臭いが抑制され、臭いが改善された飲食品を製造することができる。
(食材又は飲食品の臭い改善方法)
本発明の食材又は飲食品の臭い改善方法は、本発明の食材又は飲食品の臭い改善剤を用いる。
<食材又は飲食品の臭い改善剤>
前記食材又は飲食品の臭い改善剤は、上記した本発明の食材又は飲食品の臭い改善剤である。
<食材又は飲食品>
前記食材又は飲食品は、上記した本発明の食材又は飲食品の臭い改善剤の<食材又は飲食品>の項目に記載したものと同様である。
<食材又は飲食品の臭い改善方法>
本発明の食材又は飲食品の臭い改善方法は、本発明の食材又は飲食品の臭い改善剤を用いる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した本発明の飲食品の製造方法の<製造方法>の項目に記載したものと同様にして行うことができる。
本発明の臭い改善方法によれば、食材又は飲食品の好ましくない臭いを抑制し、臭いを改善することができる。
以下に試験例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの試験例に何ら限定されるものではない。
(試験例1)
<製造方法>
食材又は飲食品の一例として、試験区1~19及び比較例1の大豆ハンバーグを以下のようにして製造した。
大豆ミートは、沸騰したお湯で3分間戻してよく水を切ったものを用いた。材料を全て混ぜて、よく捏ねて成形し、200℃で余熱したオーブンで11分間加熱し、大豆ハンバーグとした。
前記試験液には、試験区1~13ではプレノール及びイソプレノールを表1に記載の量で含む水溶液を用い、試験区14~17ではプレノール及びイソプレノールを表1に記載の量で含むエタノール水(Alc.13.5%)又は清酒を用い、試験区19ではプレノール及びイソプレノールを表1に記載の量で含むサラダ油を用いた。
試験区18では、片栗粉10gに水又は試験液(プレノールおよびイソプレノール各1,000ppb水溶液)を0.1mL染み込ませた片栗粉を用いた。
比較例1では、試験液としてヘキサナール臭の抑制効果が知られているα-ピネンの400ppb水溶液を用いた。
なお、材料には、試験区1~18及び比較例1では、大豆ミート(乾燥体時)50g、パン粉10g、片栗粉0.9g、水又は試験液5mLを用い、試験区19では、大豆ミート(乾燥体時)50g、パン粉10g、片栗粉0.9g、水4mL、サラダ油1mLを用いた。
なお、プレノール、イソプレノール、及びα-ピネンは、以下の市販品を精製して使用した(後述の試験例も同様)。また、清酒は料理酒CS-1(白鶴酒造株式会社製;Alc.13.5%)、大豆ミートはミンチタイプ(加藤産業株式会社製)を用いた。
・ プレノール(製品コード:M0714、東京化成工業株式会社製)
・ イソプレノール(製品コード:M0726、東京化成工業株式会社製)
・ α-ピネン(製品コードP1099、東京化成工業株式会社製)
[評価]
得られた大豆ハンバーグの香りについて、対照と比較した「大豆臭」、「ヘキサナール様臭」、「食材(大豆)以外の香り」、「総合的な不快臭」について、以下の評価基準により評価した(以下では、評価の点数が「+」の場合は、「+」を省略して記載する場合がある。)。対照は、試験区1~17および比較例1では水で調理した大豆ハンバーグ、試験区18では水を染み込ませた片栗粉で調理した大豆ハンバーグ、試験区19では何も添加していないサラダ油を用いて調理した大豆ハンバーグとした。なお、「食材以外の香り」には、プレノール、イソプレノール、ピネン等の香りが含まれる。評価は、訓練された官能検査員10名で行ない、平均値を求めた。結果を表1に示す。
-3 : 対照よりかなり感じる。
-2 : 対照より感じる。
-1 : 対照よりやや感じる。
0 : 対照と同等に感じる。
+1 : 対照よりやや感じない。
+2 : 対照より感じない。
+3 : 対照よりかなり感じない。
試験区14以外は、有意差(1%)があった。なお、表1には示さないが、「食材(大豆)以外の香り」は試験区13で+0.4、比較例1で+1.1(有意差(1%)あり)であり、その他は0であった。
プレノール及び/又はイソプレノール添加系では、いずれの濃度でも大豆臭やヘキサナール様臭の抑制が認められた。また、プレノール及び/又はイソプレノールを固体や油に含ませた場合でも効果が認められた(試験区18、19)。また、ピネンは同濃度のプレノール及び/又はイソプレノールよりも効果が弱く、さらにピネン自体の香りが食材に残り、食材の良い風味を損なうとの評価であった(比較例1)。一方、プレノール及び/又はイソプレノール添加系では、試験区13のみ(比較例1のピネンの500倍濃度)で少し香りが感じられる程度であった。
(試験例2)
<製造方法>
食材又は飲食品の一例として、試験区1~17の牛肉ハンバーグを以下のようにして製造した。なお、試験液の組成等は表2に記載したとおりである。また、プレノール、イソプレノール、及び清酒は、試験例1と同じものを用いた。
牛肉(オーストラリア産、肩ロース)をフードプロセッサーでミンチ状にした。牛肉40g、パン粉8g、塩0.4g、水又は試験液5mLを混ぜてよくこねて成形し、200℃で予熱したオーブンで10分30秒間加熱し、牛肉ハンバーグとした。
[評価]
得られた牛肉ハンバーグの香りについて、対照(水を使用)と比較した「牛肉の脂臭さ」、「牛肉の不快な香り(畜肉臭またはグラス臭)」、「食材以外の香り」、「総合的な不快臭」について、試験例1と同じ評価基準により評価した。評価は、訓練された官能検査員10名で行ない、平均値を求めた。結果を表2に示す。
試験区14以外は、有意差(1%)があった。なお、表2には示さないが、「食材以外の香り」は試験区13で+0.3、その他は0であった。プレノール及び/又はイソプレノール添加系では、いずれの濃度でも臭いの抑制効果が認められた。
(試験例3)
<製造方法>
食材又は飲食品の一例として、試験区1~9の食材又は飲食品を以下のようにして製造した。なお、試験液は、水にプレノール及びイソプレノールを各200ppb(合計400ppb)溶解したものを用いた。また、プレノール及びイソプレノールは、試験例1と同じものを用いた。表3において、食材又は飲食品中のプレノール及びイソプレノールの濃度の合計を示した(「食品中濃度合計」の項目)。
・ 試験区1 : 鶏肉
鶏もも肉(ブラジル産、鶏もも肉)の皮をはぎ、フードプロセッサーでミンチ状にした。鶏もも肉40g、パン粉8g、塩0.4g、水又は試験液4mLを混ぜてよくこねて成形し、200℃に予熱したオーブンで10分30秒加熱した。
・ 試験区2 : 豚肉
豚肉(アメリカ産、豚小間肉)をフードプロセッサーでミンチ状にした。豚肉40g、パン粉8g、塩0.4g、水又は試験液4mLを混ぜてよくこねて成形し、200℃に予熱したオーブンで10分30秒加熱した。
・ 試験区3 : 魚
メルルーサ(南米産)の切り身から皮をはぎ、フードプロセッサーですり身状にした。魚40g、片栗粉1.2g、塩0.2g、水又は試験液4mLを混ぜて円型のセルクルで成型した。アルミホイルでくるみ蒸し器で20分間蒸した。
・ 試験区4 : あさり
深めの皿に、あさり(中国産)30gと、水又は試験液10mLとをいれた。隙間ができる程度にラップをかけ電子レンジで加熱(500W、2分間)した。加熱後すべてのあさりが汁につかるよう動かした。
・ 試験区5 : 豆乳
豆乳(おいしい無調整豆乳、キッコーマン株式会社製)100mLに対して、水又は試験液を3mL添加した。
・ 試験区6 : シイタケ
石づきをとり5mm幅に切った。耐熱ボウルでシイタケ80g、水又は試験液10mL、醤油5mLを混ぜ、ラップをふんわりかけた。電子レンジで加熱(600W、1分30秒間)した。
・ 試験区7 : トマト
1cm角にカットし、トマト150g、オリーブオイル8.3g、塩0.8g、水又は試験液1.5mLを混ぜた。
・ 試験区8 : レトルトシチュー
レトルトシチュー(濃厚クリームシチューごろごろ野菜のこだわり仕立て、新宿中村屋製)100gに、水又は試験液5mLを添加し、電子レンジで温めた(500W、1分間)。
・ 試験区9 : 納豆
納豆(極小粒納豆(近畿)、イオン株式会社製)45gに対して、付属のタレと、水又は試験液0.25mLとを混ぜた。
[評価]
得られた各種食材又は飲食品について、対照(水を使用)と比較した試験区(試験液を使用)の「不快な口中香」、「不快な戻り香」、「食材又は飲食品以外の香り」、「総合的な不快臭」について、試験例1と同様の評価基準により評価した。なお、「不快な口中香」や「不快な戻り香」には、鶏肉及び豚肉は脂臭さや畜肉臭、魚及びあさりは磯臭さ、豆乳は大豆臭、トマトは青臭さ、レトルトシチューはレトルト臭といった食材又は飲食品特有の不快臭を含んでいる。評価は、訓練された官能検査員12名で行ない、平均値を求めた。結果を表3に示す。
いずれの試験区においても有意差(1%)があった。なお、表3には示さないが、「食材又は飲食品以外の香り」はいずれの試験区でも±0.3以内(有意差(5%)なし)であった。
プレノール及びイソプレノールはそれ自体の香りを示さない低濃度で、食材又は飲食品によって異なる多様な不快臭を抑制した。また、口中の不快臭だけでなく、食後の不快臭(戻り香)にも有効であった。
(試験例4)
食材又は飲食品の一例として、清酒を対象とし、プレノール及び/又はイソプレノールにより清酒に生じる異常臭を抑制できるかについて、試験した。
<試料>
清酒の異常臭サンプル1~9を下記のようにして作製した。
・ 異常臭サンプル1 : 老香
清酒(杜氏鑑(白鶴酒造株式会社製))を55℃で9日間静置して作製した。
・ 異常臭サンプル2 : 劣化臭
清酒(杜氏鑑(白鶴酒造株式会社製))を55℃で9日間静置して作製した。なお、劣化臭は劣化によって発生した老香以外の臭いをいう。
・ 異常臭サンプル3 : つわり臭
2,3-ブタンジオン(製品コード:041-00632、富士フイルム和光純薬株式会社製)を、濃度が0.375ppmとなるように清酒(白鶴上撰(白鶴酒造株式会社製))に溶かして作製した。
・ 異常臭サンプル4 : 酸臭
酢酸(製品コード:017-00256、富士フイルム和光純薬株式会社製)と酪酸(製品コード:029-05393、富士フイルム和光純薬株式会社製)を、それぞれ濃度が75ppm、0.9ppmとなるように清酒(白鶴上撰(白鶴酒造株式会社製))に溶かして作製した。
・ 異常臭サンプル5 : 木香様臭
アセトアルデヒド(製品コード:015-09576、富士フイルム和光純薬株式会社製)を、濃度が65ppmとなるように清酒(白鶴上撰(白鶴酒造株式会社製))に溶かして作製した。
・ 異常臭サンプル6 : ムレ香
イソバレルアルデヒド(製品コード:226-00022、富士フイルム和光純薬株式会社製)を、濃度が1ppmとなるように清酒(白鶴上撰(白鶴酒造株式会社製))に溶かして作製した。
・ 異常臭サンプル7 : 日光臭
透明瓶に入れた清酒(白鶴上撰(白鶴酒造株式会社製))を直射日光に8時間当てて作製した。
・ 異常臭サンプル8 : カビ臭
2,4,6-トリクロロアニソール(製品コード:T0867、東京化成工業株式会社製)を、濃度が13pptとなるように清酒(白鶴上撰(白鶴酒造株式会社製))に溶かして作製した。
・ 異常臭サンプル9 : 吟くずれ臭
大吟醸酒(白鶴大吟醸(白鶴酒造株式会社製))を開放系で数十分放置し、吟くずれ臭が確認できたものを選択して使用した。
以上の各異常臭サンプルに対して、水(対照)又は試験液(プレノール及びイソプレノールの濃度が各2,000ppbである水溶液)を0.1容量%添加した。
[評価]
得られた各サンプルについて、水を添加したサンプルを対照として、「異常臭」、「清酒以外の香り」、「総合的な不快臭」について、試験例1と同様の評価基準により評価した。なお、「清酒以外の香り」には、プレノール、イソプレノール等の香りが含まれる。評価は、訓練された官能検査員12名で行ない、平均値を求めた。結果を表4に示す。
いずれの異常臭サンプルも有意差(1%)があった。なお、表には示さないが、「清酒以外の香り」はいずれの異常臭サンプルでも0であった。
以上の結果から、プレノールやイソプレノールを用いることで、食材又は飲食品の好ましくない臭いを抑制できることが確認された。また、プレノールやイソプレノールを用いても、食材又は飲食品以外の香りが付与されることを抑えられることも確認された。

Claims (5)

  1. プレノール及びイソプレノールの少なくともいずれかを含有することを特徴とする食材又は飲食品の臭い改善剤(ただし、コーヒーフレーバー組成物、柑橘系香料、及びコーヒーとして用いられるものを除く。)
  2. 食材又は飲食品の臭い改善剤が、プレノール及びイソプレノールの少なくともいずれかを含有する、水溶液、アルコール水溶液、調理用酒、料理油、食品用香料、調味料、食品添加物、及び固形物からなる群から選択されるいずれかである請求項1に記載の食材又は飲食品の臭い改善剤。
  3. 食材又は飲食品に対して、プレノール及びイソプレノールの少なくともいずれかの合計量として、0.02ppb(質量/質量)以上10ppm(質量/質量)以下で用いられる請求項1から2のいずれかに記載の食材又は飲食品の臭い改善剤。
  4. 食材又は飲食品の臭いが、大豆の不快臭、肉類の不快臭、魚介類の不快臭、野菜の不快臭、キノコ類の不快臭、清酒の異常臭、納豆臭、及びレトルト臭からなる群から選択される少なくとも1つである請求項1から2のいずれかに記載の食材又は飲食品の臭い改善剤。
  5. 請求項1から2のいずれかに記載の食材又は飲食品の臭い改善剤を用いることを特徴とする食材又は飲食品の臭い改善方法。
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