JP2019106950A - ビール様発酵麦芽飲料 - Google Patents

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Abstract

【課題】最終発酵度が高いビール様発酵麦芽飲料に、冷涼感を付与する方法を提供すること。【解決手段】85%以上の外観最終発酵度を有し、5ppb以上の3−メチル−2−ブテン−1−オールを含有する、ビール様発酵麦芽飲料。【選択図】なし

Description

本発明はビール様発酵麦芽飲料に関し、特に、最終発酵度が高いビール様発酵麦芽飲料に関する。
麦芽飲料は、原料に麦芽を使用して製造される飲料をいう。例えば、麦芽由来の糖液を発酵させて得られる飲料、麦芽由来の糖液を混合して得られる飲料などは麦芽飲料に該当する。麦芽飲料の具体例にはビール様発酵麦芽飲料等が該当する。
ビールとは、麦芽、ホップ、及び水を原料として、これらを、酵母を用いて発酵させて得られる飲料をいう。ビール様発酵麦芽飲料は、味及び香りがビールを想起させる程度に同様になるように設計された麦芽飲料をいう。ビール及び発泡酒はビール様発酵麦芽飲料に含まれる。
麦芽飲料の原料としての麦汁は、麦芽を含む穀類を粉砕し、副原料及び温水と混合して一定温度に保持したり、一定速度で加熱することにより麦芽中のタンパク質などをアミノ酸に分解し、かつデンプンを糖化し、得られる糖液にホップを加えて更に煮沸して製造される。麦芽等を温水と共に加熱する過程は、一般に、糖化と呼ばれ、糖液を煮沸する過程は麦汁煮沸と呼ばれる。麦汁という文言の意味には、糖化後に得られる糖液も含まれることがある。
ビール様発酵麦芽飲料は、麦芽及びホップに由来する香味及び穀物香を有し、その麦芽使用比率が高いほど、ビール様発酵麦芽飲料にはビール特有のコク感、飲み応え、及び香気が付与される。一方で、麦芽使用比率が高くなると、もったりと重い風味を有し、キレ感に劣るという問題がある。
ビール様発酵麦芽飲料のキレ感は、たとえば最終発酵度を上げることで増大させることができる。しかしながら、ビール様発酵麦芽飲料の最終発酵度を上げるとコク味が失われ、味の厚みが感じられず、味感は水っぽくなり、ビール様発酵麦芽飲料の嗜好性が低下することがある。
飲料分野においては、嗜好性を向上させる目的で、種々の添加物を用いて種々の香味、呈味を付与した飲料が提供されている。例えば、特開2005−143461号公報には、メントール、メントン、ペパーミント等の清涼感物質、又は3−1−メントキシプロパン−1等の冷感剤物質を添加することで、果汁含有飲料に対し「冷涼感」という香味を付与することが記載されている。
冷涼感を有する飲料は飲用時に咽喉元周辺に冷たい感覚を与え、さっぱり、爽快な口腔刺激を強調することができる。キレ感を有するビール様発酵麦芽飲料が冷涼感をも有する場合、ビール様発酵麦芽飲料の嗜好性を向上させるのに有効である。
特許文献1には、特定のホップに多く含まれるβ−ユーデスモールを用いて、ビールテイスト飲料に冷涼感を付与する方法が記載されている。特許文献2には、ビール等のビール様発泡性発酵飲料においては、ピルビン酸は刺激感や爽快感(冷涼感)を増大させる作用があること、及びビール様発泡性発酵飲料中のピルビン酸含有量を高める方法が記載されている。
しかしながら、特許文献1には、原料に麦芽を使用したビール様発泡性発酵飲料は記載されておらず、ビール様発泡性発酵飲料の最終発酵度も記載されていない。また、引例2にも、ビール様発泡性発酵飲料の最終発酵度について記載されていない。従って、特許文献1又は2の方法を使用した場合に、最終発酵度を上げることでキレ感が増大し、コク味が減少したビール様発酵麦芽飲料に対しても冷涼感が付与されるかどうかは未だ不明である。
特開2015−156848号公報 特許第5855579号公報
本発明は上記従来の問題を解決するものであり、その目的とするところは、最終発酵度が高いビール様発酵麦芽飲料に、冷涼感を付与する方法を提供することにある。
本発明は、85%以上の外観最終発酵度を有し、5ppb以上の濃度で3−メチル−2−ブテン−1−オールを含有する、ビール様発酵麦芽飲料を提供する。
ある一形態においては、上記ビール様発酵麦芽飲料は、50重量%以上の麦芽使用比率を有する。
ある一形態においては、上記ビール様発酵麦芽飲料は、ポラリス種ホップ由来のセスキテルペン類及びその誘導体を含有する。
また、本発明は、原料から得られた糖液の3−メチル−2−ブテン−1−オールの含有量を5ppb以上に調整する工程;及び
得られる糖液に酵母を接種し、発酵させる工程;
を包含する、ビール様発酵麦芽飲料の製造方法を提供する。
ある一形態においては、上記原料は麦芽を50重量%以上の割合で含有する。
ある一形態においては、ビール様発酵麦芽飲料の製造方法は、原料として、ポラリス種ホップを使用する。
また、本発明は、原料から得られた糖液の3−メチル−2−ブテン−1−オールの含有量を5ppb以上に調整する工程;及び
得られる糖液に酵母を接種し、発酵させる工程;
を包含する、85%以上の外観最終発酵度を有するビール様発酵麦芽飲料に冷涼感を付与する方法を提供する。
本発明によれば、最終発酵度が高いビール様発酵麦芽飲料に、冷涼感を付与する方法が提供される。本発明の方法で得られるビール様発酵麦芽飲料はキレ感及び冷涼感を有し、ビール様発酵麦芽飲料の嗜好性を向上させるのに有効である。
本発明の発明者らは、ビール様発酵麦芽飲料(以下単に「発酵麦芽飲料」ともいう。)に特定量の3−メチル−2−ブテン−1−オールを含有させることにより、ビール様発酵麦芽飲料に冷涼感が付与されることを見出した。
本発明のビール様発酵麦芽飲料においては、3−メチル−2−ブテン−1−オールの含有量は濃度5ppb以上に調節される。3−メチル−2−ブテン−1−オールの濃度が5ppb未満であると、ビール様発酵麦芽飲料に付与される冷涼感が不十分になる。3−メチル−2−ブテン−1−オールの濃度は、好ましくは、7〜50ppb、より好ましくは9〜20ppbである。3−メチル−2−ブテン−1−オールの濃度が50ppbを超えると、香味のバランスが悪化することがある。
発酵麦芽飲料の3−メチル−2−ブテン−1−オールの濃度はGC/MS装置を使用して測定することができる。例えば、試料溶液のpHを調整した後、内部標準物質としてヘキサノールを加え、ジクロロメタンで成分を抽出する。次いで、抽出後の溶媒層を濃縮し、その濃縮液をGC/MS装置に供する。
3−メチル−2−ブテン−1−オールを発酵麦芽飲料に含有させる方法は特に限定されない。3−メチル−2−ブテン−1−オールは、発酵麦芽飲料に添加することで含有させてよく、原料の種類及び使用量を調節することで含有させてもよい。
3−メチル−2−ブテン−1−オールを含有する原料の例にはホップが挙げられる。ホップは苦味と爽快な香りを付与し、泡持ちを良くする、さらにはビールの微生物耐久性を向上させる目的で、発酵麦芽飲料を製造する際に使用される原料である。ホップを原料として添加する形態は、ホップペレットでもよいし、ホップエキス、さらには毬花そのものとしてでもよい。3−メチル−2−ブテン−1−オールは、例えば、原料としてポラリス種ホップを使用した場合に発酵麦芽飲料に多く含有されるが、それに限定されるものではない。但し3−メチル−2−ブテン−1−オール濃度を高める方法の一例としては、通常使用される種類のホップの全部又は一部をポラリス種ホップに代替すればよい。通常使用される種類のホップの一部をポラリス種ホップに代替する場合、ポラリス種ホップの使用量は、3−メチル−2−ブテン−1−オールの含有量及び発酵麦芽飲料の香味を考慮して、通常使用されるホップの約3重量%以上、好ましくは約7〜50重量%、より好ましくは約10〜30重量%の範囲で適宜調節される。
発酵麦芽飲料を製造する際にポラリス種ホップを使用した場合、3−メチル−2−ブテン−1−オール以外にもセスキテルペン類及びその誘導体が発酵麦芽飲料に含有される。セスキテルペン類とは、C1524の化学式を持つ一連の化合物をいう。かかるセスキテルペン類及びその誘導体の例には、4−エピ−キュベボール、α−キュベベン、α−カジノール、α−キュベベン、γ−ムウロレン、α−アモルフェン及びα−ムウロレンが挙げられる。
ポラリス種ホップに由来する成分、特に上記セスキテルペン類及びその誘導体は、冷涼感を強化すると考えられる。それゆえ、本発明のビール様発酵麦芽飲料は、ポラリス種ホップに由来する成分、特に少なくとも一種の上記セスキテルペン類及びその誘導体を含有することが好ましい。
ホップに由来する成分の含有量は、発酵麦芽飲料を製造する際にポラリス種ホップを使用した場合に発酵麦芽飲料に生成する濃度であればよい。例えば、濃度6ppbのD−リナロールを内部標準とし、GC/MS装置を使用して測定されるピーク面積比が0.2〜3.0、好ましくは0.5〜2.5、より好ましくは0.8〜1.6になる量である。
発酵麦芽飲料に3−メチル−2−ブテン−1−オールを含有させる場合、発酵麦芽飲料の製造過程における適当な工程で含有させることができる。例えば、発酵麦芽飲料に含有させる場合には、麦汁等の原料溶液の麦汁煮沸時、麦汁煮沸後の冷却工程、発酵工程又は熟成工程等任意の工程でよい。
本発明のビール様発酵麦芽飲料の製造は、3−メチル−2−ブテン−1−オールを含有させること以外は、ビール又は発酵麦芽飲料を製造する際に通常行われる方法及び条件に従って行われる。例えば、まず、麦芽の破砕物、大麦等の副原料、及び温水を仕込槽に加えて混合してマイシェを調製する。マイシェの調製は、常法により行うことができ、例えば、はじめに35〜60℃で20〜90分間保持することにより原料に由来するたんぱく質をアミノ酸などへ分解し、糖化工程へ移行する。その際、必要に応じて、主原料と副原料以外にも、後述する糖化酵素やプロテアーゼ等の酵素剤や、スパイスやハーブ類等の香味成分等を添加してもよい。
その後、該マイシェを徐々に昇温して所定の温度で一定期間保持することにより、麦芽由来の酵素やマイシェに添加した酵素を利用して、澱粉質を糖化させる。糖化処理時の温度や時間は、用いる酵素の種類やマイシェの量、目的とする麦芽アルコール飲料の品質等を考慮して、適宜決定することができ、例えば、60〜72℃にて30〜90分間保持することにより行うことができる。糖化処理後、76〜78℃で10分間程度保持した後、マイシェを麦汁濾過槽にて濾過することにより、透明な糖液を得る。また、糖化処理を行う際に、酵素剤を必要な範囲で適当量添加してもよい。
糖化に供される穀類は麦芽を含む。糖化に供される穀類中の麦芽の含有量は、特に限定されないが、25重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは67重量%以上である。糖化に供される穀類は麦芽100%であってもよい。尚、水を除く全原料に対する麦芽の割合(重量%)を麦芽使用比率という。
穀類中の麦芽の含有量が多いほど、得られる麦汁の麦芽由来の旨味やコク感が強くなる。また、穀類中の麦芽の含有量が多いほど得られる麦汁中の窒素化合物の含有量が多くなり、麦汁が発酵に供される場合に発酵不順が発生しにくくなり、不快臭が発生し難くなる。
上記副原料とは、麦芽とホップ以外の原料を意味する。該副原料として、例えば、大麦、小麦、コーンスターチ、コーングリッツ、米、こうりゃん等の澱粉原料や、液糖や砂糖等の糖質原料がある。ここで、液糖とは、澱粉質を酸又は糖化酵素により分解、糖化して製造されたものであり、主にグルコース、マルトース、マルトトリオース等が含まれている。その他、香味を付与又は改善することを目的として用いられるスパイス類、ハーブ類、及び果物等も、副原料に含まれる。
上記糖化酵素とは、澱粉質を分解して糖を生成する酵素を意味する。該糖化酵素として、例えば、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、プルナラーゼ等がある。
麦汁煮沸の操作は、ビールを製造する際に通常行われる方法及び条件に従って行えばよい。例えば、pHを調節した糖液を煮沸釜に移し、煮沸する。糖液の煮沸開始時から、ワールプール静置の間に、ホップを添加する。ホップとして、ホップエキス又はホップから抽出した成分を使用してもよい。糖液は次いでワールプールと呼ばれる沈殿槽に移し、煮沸により生じたホップ粕や凝固した蛋白質等を除去した後、プレートクーラーにより適切な温度まで冷却する。上記麦汁煮沸の操作により、麦汁が得られる。
得られた麦汁は、発酵させて、発酵麦芽飲料を製造する原料として使用することができる。麦汁の発酵は常法に従って行えばよい。例えば、冷却した麦汁に酵母を接種して、発酵タンクに移し、アルコール発酵を行う。
本発明の発酵麦芽飲料の外観最終発酵度は85%以上が好ましい。発酵麦芽飲料の外観最終発酵度が85%未満であると、得られる発酵麦芽飲料のキレ感が低下する。本発明の発酵麦芽飲料の外観最終発酵度は、好ましくは、90〜110%、より好ましくは、90%〜100%である。
発酵度とは、発酵後のビールにおいて、どれだけ発酵が進んだか、発酵の進み方を示す重要な指標である。そして、さらに最終発酵度とは、原麦汁エキスに対して、ビール酵母が資化可能なエキスの割合を意味する。ここで、ビール酵母が資化可能なエキスとは、原麦汁エキスから、製品ビールに含まれるエキス(即ち、ビール酵母が利用可能なエキスをすべて発酵させた後に残存するエキス(最終エキスという))を差し引いたものである。外観最終発酵度とは、最終エキスの値に、外観エキス、即ち、アルコールを含んだままのビールの比重から求めたエキス濃度(%)、を使用して計算した最終発酵度をいう。
尚、エキスとは不揮発性固形分をいう。エキスという文言は、文脈に応じて、不揮発性固形分そのもの、不揮発性固形分の量、又は不揮発性固形分の濃度を意味する。
例えば、発酵飲料の外観最終発酵度Vendは、式
[数1]
Vend(%)={(P−Eend)/P}×100
[式中、Pは原麦汁エキスであり、Eendは、外観最終エキスである。]
原麦汁エキスPは、製品ビールのアルコール濃度とエキスの値から、Ballingの式に従い、理論上アルコール発酵前の麦汁エキスの値を逆算するものである。具体的には、Analytica−EBC(9.4)(2007)に示される方法により、求めることができる。また、外観最終エキスEendはビールをフラスコに採取し、新鮮な圧搾酵母を多量に添加し、25℃で攪拌しながら、エキスの値がこれ以上低下しなくなるまで発酵させて(24h)、残存ビール中の外観エキスの値を測定することにより、求めることができる。
外観最終エキスEendは、最終エキスのアルコールを含んだ比重から計算されるため、マイナスの値を示すことがある。結果、外観最終発酵度は100%を超える場合がある。
外観最終発酵度は、例えば、糖化条件、原料を糖化させる際の酵素の使用有無、及び、原材料の種類や配合量などを調整することにより、制御することができる。例えば、糖化時間を長くすれば、酵母が使用する事ができる糖濃度を高めることができ、外観最終発酵度を高めることができる。
発酵終了後、さらに、熟成工程として、得られた発酵液を、貯酒タンク中で熟成させ、0℃程度の低温条件下で貯蔵し安定化させる。次いで濾過工程として、熟成後の発酵液を濾過することにより酵母及びタンパク質等を除去して、発酵麦芽飲料が得られる。
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
<実施例1>
ポラリス種ホップを使用したビールの製造及び分析
(ビールの製造)
粉砕麦芽40kgを湯に混合し、糖化、濾過させて160Lの麦汁を得た。これに、ナゲット種エキス(Hopsteiner社製)0.02kgおよびポラリス種ホップペレット(Hopsteiner社製)を製品ビールの苦味価が20B.U.になるような量を調整して添加し、60分煮沸した。煮沸後、冷却させて所定量の酵母を添加し、7日間発酵させた。その後、熟成・冷却し、濾過してビールAを得た。ビールAの外観最終発酵度は87.3%であった。
ナゲット種ホップエキスの量を、0.02kgから、0.015kgにし、製品ビール苦味価20B.U.となるように、ポラリス種ホップペレットを調整して添加したこと以外はAと同様にして、ビールBを製造した。ビールBの外観最終発酵度は88.1%であった。
ナゲット種ホップエキス0.02kgから、0.010kgにし、製品ビール苦味価20B.U.となるように、ポラリス種ホップペレットを調整して添加したこと以外は製品ビールAと同様にして、ビールCを製造した。ビールCの外観最終発酵度は89.1%であった。
ナゲット種ホップエキスを使用せず、製品ビール苦味価20B.U.となるように、ポラリス種ホップペレットのみを調整して添加したこと以外は製品ビールAと同様にして、ビールDを製造した。ビールDの外観最終発酵度は87.7%であった。
ジクロロメタン液々抽出を用いたGC/MS分析方法を使用して、ビールA〜Dの3−メチル−2−ブテン−1−オール(3MBol)濃度を測定した。
(分析用試料調製)
まず、容器に試料を30g採取し、硫酸アンモニウム6gを加え、次に当該容器にジクロロメタン5mlを加えて内部標準物質として1500ppmのヘキサノール50μLを添加した後、20分間振とう抽出した。この際に、当該容器内にガスがある場合にはガス抜きを行った。
その後、3500rpmで5分の遠心分離処理を行い、溶媒層を回収し、この回収した溶媒層に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水した後、窒素パージにて100μLまで濃縮してGC/MS分析に供した。
(GC測定条件)
GC条件は、J&W社製「DB−WAX」(商品名)(60m×0.25mmID;0.25μmF.T)を用いて、スプリットレス法1μLで注入し、40℃で5分保持した後、3℃/分で230℃までの昇温し、5分保持した。
(定量方法)
分析用試料中の3MBolの量は内部標準ヘキサノールとの面積比から計算した。ここでは、3MBolのターゲットイオンm/z 71 を用いて、ヘキサノールのターゲットイオンm/z 56を用いたピークとの面積比から計算した。結果を表1に示す。
得られたビールA、B、C、Dについて、よく訓練されたパネリスト7名により、ビールの冷涼感の強さについて、官能検査を実施した。
(冷涼感)
4:強い冷涼感がある
3:冷涼感を感じる
2:やや冷涼感を感じる
1:あまり冷涼感を感じない
0:冷涼感を感じない
結果を表1に記載する。なお、表1の官能検査の点数は、7名のパネリストの評点の平均値である。
[表1]
Figure 2019106950
<実施例2>
3MBolを使用したビールの製造
粉砕麦芽30kgを50℃、120Lの湯に混合したマイシェに、別途10kgのコーンスターチを液化させた液を混合して糖化させた。その後、麦汁濾過、麦汁煮沸、麦汁冷却を実施し、酵母を添加して10℃、10日間発酵させ、10日熟成後濾過させてベースビールを製造した。但し、麦汁煮沸時に、ホップは添加しなかった。3MBolはホップ由来であり、ベースビール中の3MBol濃度は、0ppbであった。ベースビールの外観最終発酵度は91.3%であった。
このベースビールを8つに分割し、一つは対照として使用するために添加せず、残りの7つに3MBolをその濃度がそれぞれ1、3、5、7、9、10及び20ppbとなるように添加した。
調製した官能検査サンプルビールについて、よく訓練されたパネリスト5名によりブラインドでの官能評価を実施した。評価性能は、冷涼感、コク感、キレ、ビールらしさ(即ち、ビールとしての香味バランスの良さ)を設定した。評価基準は次の通り5段階を設定した。各パネリストによる採点の平均値を表2に示す。
[表2]
Figure 2019106950
(冷涼感)
4:強い冷涼感がある
3:冷涼感を感じる
2:やや冷涼感を感じる
1:あまり冷涼感を感じない
0:冷涼感を感じない
(コク感)
4:非常にコク感がある
3:コク感がある
2:ややコク感がある
1:あまりコク感を感じない
0:コク感を感じない
(キレ)
4:非常にキレがある
3:キレがある
2:ややキレがある
1:ややキレが劣る
0:キレがない
(ビールらしさ)
4:ビール香味のバランスが大変良い
3:ビール香味のバランスが良い
2:ややビール香味のバランスに欠ける
1:ビール香味のバランスが悪い
0:大変ビール香味のバランスが悪い
3MBolを添加していくと、冷涼感が増加する傾向があらわれた。また、コク感はあまり変化しなかった。キレは増加する傾向にあったが、20ppbではややキレが劣る傾向になった。ビールらしさは、元来無ホップビールであるため、点数は低めであるが、3MBol10ppb添加でやや点がよくなった。20ppb添加だと香味のバランスが崩れた。
<実施例3>
ポラリス種ホップを一部使用したビールの製造
粉砕麦芽30kgを50℃、120Lの湯に混合したマイシェに、別途10kgのコーンスターチを液化させた液を混合して糖化させた。その後、麦汁濾過、麦汁煮沸、麦汁冷却を実施し、酵母を添加して10℃、10日間発酵させ、10日熟成後濾過させてベースビールを製造した。なお、ホップは麦汁煮沸時に、ナゲット種エキスを0.02kg添加し、さらに製品ビールでの苦味価が20B.U.になるように調整した量のポラリス種ホップペレットを添加した。ベースビールの外観最終発酵度は92.2%であった。
ベースビール中の3MBolを測定したところ、8.1ppbであった。このベースビールに、実施例2で製造した無ホップビールを任意の割合で混合して、5種類の官能検査サンプルを得た。調製した官能検査サンプルビールについて、実施例2と同様にして官能評価を実施した。各パネリストによる採点の平均値を表3に示す。
[表3]
Figure 2019106950
ポラリス種で醸造したビールの混合比率が増すと、冷涼感が増加する傾向があらわれた。キレも増加する傾向にあった。ビールらしさ(ビールとしてのバランスの良さ)は、0ppbは無ホップビールであるため、点数は低めであるが、ポラリス種で醸造したビールの混合比率が増すと、ビールとしての香味バランスの良さの評点が高くなる傾向があった。
<実施例4>
外観最終発酵度と冷涼感の関係
粉砕麦芽30kgを50℃、120Lの湯に混合したマイシェに、別途10kgのコーンスターチを液化させた液を混合して糖化させた。その後、麦汁濾過、ホップを投入して麦汁煮沸、麦汁冷却を実施し、酵母を添加して10℃、10日間発酵させ、10日熟成後濾過させてビールを製造した。その際、糖化条件を変更して、外観最終発酵度の異なる、3種類のビールを各々180Lずつ試作した。但し、ホップはポラリス種を製品ビールの苦味価が15B.U.になるように調整して添加した。各試作品について、外観最終発酵度を算出し、3Mbol濃度を測定した。
これら3種類の試作品に、さらに3Mbolを4ppb添加して、3Mbol濃度を増大させた。
6種類の試作品について、パネリスト5名による冷涼感の官能検査を行った。評価基準は実施例2と同様である。各パネリストによる採点の平均値を表4に示す。
[表4]
Figure 2019106950
表4の結果から、冷涼感は、外観最終発酵度が高い方が増大する傾向が認められた。

Claims (7)

  1. 85%以上の外観最終発酵度を有し、5ppb以上の濃度で3−メチル−2−ブテン−1−オールを含有する、ビール様発酵麦芽飲料。
  2. 50重量%以上の麦芽使用比率を有する請求項1に記載のビール様発酵麦芽飲料。
  3. ポラリス種ホップ由来のセスキテルペン類及びその誘導体を含有する請求項1又は2に記載のビール様発酵麦芽飲料。
  4. 原料から得られた糖液の3−メチル−2−ブテン−1−オールの含有量を5ppb以上に調整する工程;及び
    得られる糖液に酵母を接種し、発酵させる工程;
    を包含する、ビール様発酵麦芽飲料の製造方法。
  5. 前記原料は麦芽を50重量%以上の割合で含有する請求項4に記載のビール様発酵麦芽飲料の製造方法。
  6. 原料として、ポラリス種ホップを使用する、請求項4又は5に記載のビール様発酵麦芽飲料の製造方法。
  7. 原料から得られた糖液の3−メチル−2−ブテン−1−オールの含有量を5ppb以上に調整する工程;及び
    得られる糖液に酵母を接種し、発酵させる工程;
    を包含する、85%以上の外観最終発酵度を有するビール様発酵麦芽飲料に冷涼感を付与する方法。
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