JP5165787B2 - 畜肉の漬物の製造方法 - Google Patents

畜肉の漬物の製造方法

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Description

本発明は、紅麹を用いた畜肉製品の漬物の製造方法に関するものである。
紅麹は穀類にモナスカス属の菌株を繁殖させた麹で、日本では水産加工食品や畜肉加工食品の着色用の色素として主に使用し、中国、台湾などでは紅酒、老酒、紅腐乳などの醸造原料として利用されており、また古来より生薬として「消食活血」「健脾燥胃」などの効果が知られている。また、血圧降下作用(ロバスタチン)、コレステロール改善作用(γ-アミノ酪酸)等、様々な機能を有することが知られ、味噌、醤油、食酢等の醸造食品をはじめ、パン、麺類等、色々な食品に使われている。更に、サプリメントとして、或いは、抽出されたエキスを添加したドリンク剤としても利用されている。(特開2011−109943号公報)
特開昭57−181639号公報では、紅麹を含む漬け床に、加熱処理した肉類の漬け込み、食品を得ることが記載されている。
従来、全国各地において、それぞれ特色ある漬床、野菜等を原材料として様々な種類の漬物が生産され、消費者に親しまれている。例えば、糠漬け( たくあん漬け )、みそ漬け( 山菜みそ漬け、大根みそ漬け、山ごぼうみそ漬け )、粕漬け( 奈良漬け、山海漬け、わさび漬け、セロリ粕漬け )、麹漬け( べったら漬け、三五八漬け )、もろみ漬け( 小茄子もろみ漬け、きゅうりもろみ漬け )等が代表的である。(特開2003−52327号公報)
食肉加工の発酵食品の前例の技術としては下記の通りである。
従来から、鳥獣畜肉及び内臓肉を使用した食品、食肉加工品は知られている。鳥獣畜肉、特にその内臓肉を原料とし、これらの嗜好の妨げになるような臭い、呈味等、また好ましくない代謝産物が生成しない発酵加工食品、特に豚レバー等の栄養的には優れているが、臭いや呈味により敬遠されがちであった内臓肉の臭いや呈味が改善された発酵加工食品が開発されている。
特開2001−136933号公報では、鳥獣畜肉、特にその内臓肉を、細断、ミンチ又はスラリーにした後、炭素源となる糖類を添加し、発酵タンク等の発酵容器内で滅菌し、鰹節菌を含む微生物を無菌的に植え付けて培養し、その培養液をろ過、凍結乾燥し、得られた発酵代謝産物が鳥獣畜肉、特にその内臓肉に特有の臭い、呈味等が無く鳥獣畜肉発酵加工食品として嗜好上好ましいこと等を見出している。
また、特開平08−205821号公報においては、発酵食品の独特の風味と肉加工品を組み合わせることにより、コク、深み、複雑味を有し、まろやかで肉様の甘い香りを特徴とするこれまでにない良好な味、香り、風味を合わせ持った新しい肉加工品が得られることを見いだされている。
鳥獣畜肉を塩漬した後、糸状菌および/または酵母に属する1種以上の微生物で処理して得られる改質肉に置き換えることを特徴とする食肉加工食品である。
特開2011−109943号公報 特開昭57−181639号公報 特開2003−52327号公報 特開2001−136933号公報 特開平08−205821号公報
紅麹は、活性力が弱く、漬物床として使用しても、繁殖力が弱いため、他の雑菌が増え、味、風味の劣化、変色など腐敗を起こしてしまう。
また、紅麹を用いた漬物においても、アルコールや塩を加えることで、他の雑菌の活動を抑え、漬け込むため、漬け込みに長い期間がかかってしまう。
特開昭57−181639号公報では、紅麹を用いた肉製品の漬物はあったけれども、1〜3ヶ月かかり、紅麹が活性化しきれていなかったことにより期間が延長しているという問題点があった。
紅麹、黄麹を混合した漬け床の場合において、炊飯米を漬け床原料として使用しているところがなく、もちろん、もち米を漬け床に使用することで、紅麹及びもち米の味、風味の効果を及ぼす漬け床もなかった。
また、アルコール処理により、他の雑菌の殺菌処理を行い、紅麹の漬物として使用する例があるが、アルコールを加えることにより、紅麹の活性化にも影響を与える為、紅麹に影響のないタイミングや濃度で使用される食品はなかった。
また、漬け床中の紅麹、黄麹の活性化を高める方法として、
1)漬け床の主原料の選定
2)アルコール処理におけるアルコール濃度
という、もち米の炊飯、紅麹、黄麹の投入、アルコール処理による麹に影響の出ない濃度の雑菌処理により、麹の活性化能力を向上させるだけでなく、製品へ紅麹独特の風味、味への効果を加えた食品はなかった。
本発明は、活性化した紅麹を用いた漬け床を作成し、漬け込むことで、非常に質の良い、紅麹の独特な風味や味をもった漬物を提供するものである。
本発明は、上記に示す課題を以下の手段によって解決することが出来る。
本発明の請求項1では、加熱処理した肉を、紅麹を用いた漬け床に浸漬して熟成させる漬物の製造方法において、
該漬け床は、炊飯したもち米に紅麹及び黄麹を加え、
該炊飯したもち米において、その炊飯前のもち米は、漬け床に対して15〜35重量%であり、
該紅麹は、漬け床に対して2〜7重量%であり、該黄麹は、漬け床に対して10〜20重量%であり、
該紅麹は、35〜40℃の温度にて2時間保温し、該黄麹は同量の水を加え、35〜40℃の温度で2時間保温し、前処理を施した後に炊飯したもち米に加え、充分に攪拌し、35〜40℃で5時間保温し、保温後に1晩静置し、麹を活性化処理し、調味料と食塩とアルコール濃度が3.5〜8%であるアルコール類を混合して漬け床とし、
該漬け床に加熱処理した肉を加えよく混ぜ、
その後2週間室温にて静置してなることを特徴とする畜肉の漬物の製造方法とするものである。
該加熱処理した肉は、通常食用に供される畜肉であれば、その種類や部位は特に限定されるものではない。具体的には、畜肉として豚肉、牛肉、羊肉、鶏肉等が挙げられる。このうち豚肉としては、かたロース、ロース、ヒレ、バラ、もも、レバー( 肝臓 )、ハツ( 心臓 )、マメ( 腎臓 )、ガツ( 胃 )、ヒモ( 小腸 )、ダイチョウ( 大腸 )、タン( 舌 )、トンソク( 足 )、コブクロ( 子宮 )、ソーキブニ( あばら骨付き肉 )、ナンコツソーキ( 肉付き肋軟骨 )、豚の肋軟骨ナカミ( 内臓類 )等が挙げられる。また牛肉としては、ネック( 首 )、かた、かたロース、リブロース、サーロイン、ヒレ、ともばら、かたばら、うちもも、しんたま、そともも、らんぷ、すね、レバー( 肝臓 )、ハツ( 心臓 )、マメ( 腎臓 )、ミノ( 第一胃 )、センマイ( 第三胃 )、ハラミ、サガリ、ひも( 小腸 )、シマチョウ( 大腸 )、タン( 舌 )、テール( 尾 )、カラシニク等が挙げられる。更に羊肉としては、ショルダー、ロングロイン、胸肉、フランク、レッグ、ラムロール等が、鶏肉としては、手羽類、むね肉、もも肉、ささみ、かわ、きも( 肝臓 )、すなぎも等が挙げられ、更にまたその他の食肉として、山羊肉( 内臓含む )、馬肉、鹿肉、鴨肉、ガチョウ肉、フォアグラ、七面鳥肉、キジ肉、ホロホロチョウ肉、ウズラ肉、鯨肉、イルカ肉等が挙げられる。
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該紅麹は、食品加工用素材として使用される一般的な紅麹菌(赤色のMonascus属カビ )であれば、いずれの菌を使用して製造してもよい。具体的には、モナスカス・アンカ(M.anka )、モナスカス・メイジャー( M.major )、モナスカス・ルーバー( M.rubber )、モナスカス・アラネオサス( M.araneosus )、モナスカス・パビゲルス( M.pubigerus )、モナスカス・パキシー( M.paxii )、モナスカス・フリギノスサス( M.fuliginosus )、モナスカス・ビトレウス( M.vitreus )、モナスカス・ピローサス( M.pilosus )、モナスカス・アンカ・バー・ルベルス( M.anka.var.rubellus )、モナスカス・ルビギノサス( M.rubiginosus )、モナスカス・アルビダス( M.albidus )、モナスカス・セロルベッセンス( M.serorubescens )、モナスカス・プルプレウス( M.purpureus )などが使用でき、特にモナスカス・ピローサス( M.pilosus )が好ましく用いられる。
該漬け床は、漬物を作る際に、肉や魚介類を漬け込むための粘性の高い液体である。
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該炊飯米は、市販されている米であればいずれでも使用できる。特に国産の米が好ましい。
該黄麹とはAspergillus属を増殖させた米麹で、味噌や清酒の製造に利用されている。
該調味料は、味付け用として使用できるものであれば、いずれでも良い。例えば、畜肉エキス、アミノ酸、コンブダシ、食塩、香辛料などである。
該畜肉エキスは、畜肉類の筋肉組織または骨組織を含有する原料と抽出媒体とを共存させ、通常加熱、加圧、酵素分解、酸分解等の抽出処理を行って得られる、アミノ酸、タンパク質、核酸、無機酸、有機酸等の風味成分を含有する抽出物であり、食品分野で使用されている市販されている畜肉系エキスならばいずれでもよい。
該アミノ酸は、食品調味料として使用されるアミノ酸でならばいずれでもよい。例えば、バリン、ロイシン、イソロイシン、アラニン、アルギニン、グルタミン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、システイン、スレオニン、メチオニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、アスパラギン、グリシン、セリンなどを含む市販の旨味調味料が使用できる。
該食塩は、市販されている塩ならばいずれでもよい。
該香辛料は、市販されている香辛料ならばいずれでもよい。例えば、オレガノ、クミン、コショウ、コリアンダー、サフラン、サンショウ、シソ、シナモン、ショウガ、スターアニス、セージ、タイム、ターメリック、唐辛子、ナツメグ、バニラ、ネギ、ミント、マスタード、ミョウガ、ローズマリー、ローリエ、わさび、五香粉、グラムマサラ、七味唐辛子などが使用できる。
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該炊飯前のもち米の重量%は、漬け床に対して10〜40重量%が好ましく、10重量%以下だと紅麹の活性化の効果がなく、40重量%以上だとこれ以上の変化がなくなる。
炊飯前のもち米の重量%は、漬け床に対して、好ましくは15〜35重量%、更に好ましくは20〜30重量%がよい。
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該炊飯もち米は、市販されているもち米であればいずれでも使用できる。特に国産のもち米が好ましい。
本発明の請求項2では、前記のもち米の炊飯に使用する水は、漬け床に対して20〜50重量%であることを特徴とする畜肉の漬物の製造方法とするものである。
該もち米の炊飯に使用する水の重量%は、漬け床に対して20〜50重量%が好ましく、20重量%以下だともち米が硬くなり、肉への浸透が少なくなることで発酵が効率的に進まなく、50重量%以上だともち米が緩くなり漬け床として使用できなくなる。
該もち米の炊飯に使用する水の重量%は、漬け床に対して、好ましくは20〜40重量%、更に好ましくは20〜30重量%がよい。
該もち米の炊飯に使用する水は、飲料と使用される水ならいずれでもよく、更に好ましくは軟水が良い。
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該うるち米の炊飯に使用する水の重量%は、うるち米に対して250〜350重量%が好ましく、250重量%以下だと米が硬くなり、肉への浸透が少なくなることで発酵が効率的に進まなく、350重量%以上だと米が緩くなり漬け床として使用できなくなる。
該うるち米の炊飯に使用する水の重量%は、漬け床に対して、好ましくは270〜330重量%、更に好ましくは280〜320重量%がよい。
該うるち米の炊飯に使用する水は、飲料と使用される水ならいずれでもよく、更に好ましくは軟水が良い。
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該紅麹の重量%は、漬け床に対して1〜10重量%が好ましく、1重量%以下だと紅麹の味、風味や色の効果がなく、10重量%以上だと色、風味、味共に好ましくない。
該紅麹の重量%は、漬け床に対して、好ましくは1〜8重量%、更に好ましくは2〜7重量%がよい。
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該黄麹の重量%は、漬け床に対して5〜30重量%が好ましく、5重量%以下だと黄麹の活性化の効果がなく、30重量%以上だと紅麹より優勢になることで紅麹本来の風味が損なわれる。
該黄麹の重量%は、もち米では、漬け床に対して、好ましくは6〜25重量%、更に好ましくは10〜20重量%がよい。うるち米については、漬け床に対して、好ましくは6〜25重量%、更に好ましくは6〜20重量%がよい。
本発明の請求項3では、前記の炊飯したもち米は、調味料を混合して炊飯したことを特徴とする畜肉の漬物の製造方法とするものである。
該炊飯したもち米は、洗米、浸漬において、調味料を混合して炊飯するものである。調味料と共に炊飯することで調味料の殺菌処理ともなる。
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また、前記のアルコール類は、紅麹、黄麹以外の雑菌の繁殖を抑制するアルコール類であれば、いずれでもよい。漬け床の風味への影響の少ないアルコール類が好ましい。
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該アルコールの濃度は、漬け床に対してのアルコール濃度3〜10%が好ましく、3%以下だと雑菌を抑制する効果がなく、10%以上だと風味を損なってしまう。
該アルコールの濃度は、もち米については、漬け床に対してのアルコール濃度が、好ましくは3.5〜8%、更に好ましくは4〜7%がよい。うるち米については、漬け床に対してのアルコール濃度が、好ましくは3〜8%、更に好ましくは3〜6%がよい。
また、前記のアルコール類は、蒸留酒であることを特徴とする畜肉の漬物の製造方法とするものである。
該蒸留酒は、醸造酒を蒸留して作った酒で、市販されている蒸留酒であれば、いずれでもよい。例えば、市販されている焼酎乙類などが使用できる。
本発明は、以下の効果がある。
(1)紅麹の味、風味、色を活かした肉の漬物を提供できる。
(2)炊飯したもち米を使用することにより、紅麹及び黄麹を効果的に活性化できる。
(3)もち米の風味を活かした肉の漬物を提供できる。
(4)もち米、紅麹、黄麹を使用した漬け床に加熱処理した肉を漬け込むことにより、紅麹、黄麹、もち米の独特な甘味を持った肉の漬物を提供できる。
(5)紅麹を使用した漬け床で漬け込むことで、肉の加熱処理による硬化、また、異臭である獣臭や、きつい麹臭を抑制でき、まろやかで甘い香りの漬物を実現できる。
(6)紅麹は血圧降下作用のあるロバスタチンやコレステロール改善作用のあるγ-アミノ酪酸等を含有するので、それらの機能を有する食品として使用することができる。
(7)麹の活性化処理後にアルコール類を混合することにより、紅麹が十分に活性化してから雑菌を効果的に抑制できる。
(8)アルコール類として蒸留酒を用いることにより、アルコール類からの雑味の混入を防止できる。
図1は、本発明による紅麹を使用した漬物の製造方法を示すフロー図である。 図2は、紅麹と黄麹を活性化するための前処理工程を示すフロー図である。 図3は、肉の加熱処理工程を示すフロー図である。
次に本発明の一実施形態について、図面を用いて具体的に説明する。
図1は、本発明による紅麹を使用した漬物の製造方法を示すフロー図である。
モチ米(1)を250g洗米する。洗米(2)は水道水を使用する。
上記の洗米処理(2)後、アミノ酸調味料(3)を4gと、カツオダシ(4)を5gと、コンブダシ(5)を5gを溶かし、1時間浸漬(7)をさせる。浸漬時間は30分〜4時間程度が好ましい。
浸漬(7)には山瑚水(6)を250g使用した。
山瑚水(6)とは、農業生産法人(有)ロングビーチランド社にて製造された地下浸透海水をろ過処理して真水にしたものである。
浸漬処理(7)後、炊飯器により炊飯(8)した。
炊き上がった米飯をかき混ぜながら50℃まで(自然)冷却(9)する。
使用する紅麹と黄麹は前処理工程を加え活性化させる。図2は、紅麹と黄麹を活性化するための前処理工程を示すフロー図である。
紅麹(29)は市販の紅麹を使用し、黄麹(24)は市販の黄麹を使用した。
紅麹(29)40gを35〜40℃の温度にて保温(30)をする。また紅麹(29)の40gと山瑚水40g混合し、35〜40℃の温度で2時間保温(27)しても良い。
黄麹(24)を120gと山瑚水(25)を120g混合(26)し35〜40℃の温度で2時間保温(27)する。また黄麹(24)を120gそのまま35〜40℃の温度にて保温(30)し使用しても良い。
また紅麹(29)の40gと山瑚水の40g混合したもの、黄麹(24)を120gと山瑚水(25)を120g混合(26)したものとミキサーにて混合し、35〜40℃の温度で2時間保温しても良い。
冷却(9)した米飯に活性化した黄麹(28)を240gと紅麹(31)を40g加え充分攪拌し第一混合処理工程(11)とする。
第一混合処理工程(11)したものを35〜40℃で5時間保温(12)する。
保温(12)後に1晩静置しこれを第一静置工程(13)とする
図3は、肉の加熱処理工程を示すフロー図である。
まず原料となる豚肩ロース肉(32)を404g適当な大きさにカット(33)する。
1212gの熱湯を準備して肉を投入し再沸騰まで加熱(ボイル)(34)する。
その後流水にて水温まで冷却(35)し、水切り(36)を行い加熱処理した肉(37)を得る。
第一静置工程(13)後の処理液に焼酎(14)を150g、食塩(15)を30g、卸生姜(16)5g、加熱処理した肉(17)を230g加えよく混ぜ、これを第二混合処理(18)とする。
第二混合処理(18)後2週間室温にて静置しこれを第二静置工程(19)とする。
第二静置工程(19)後にガラス製の容器に充填(20)しフタをする。
85℃で30分の殺菌工程(21)を行い、常温まで冷却(22)を行う。
これを紅麹の漬物(23)とする。
この豚肩ロース肉の紅麹漬物は、獣臭がほとんどなく、発酵食品特有の芳醇な香りがあり、紅麹の色素により肉の表面が紅色の漬物となった。試食すると、食感は島豆腐のように非常に柔らかく、ほのかに甘い食味の美味しい肉の漬物となっていた。
以下に、本紅麹漬物の有する特徴に関する種々の試験結果について説明する。
「効果」
(1)柔らかさ
本紅麹漬物の柔らかさの比較測定結果を示す。比較対象としては、ボイルした同種の肉を使用した。
1)試験手順
サンプルはボイルした肉(サンプルA)、紅麹と黄麹を1:3で漬け込んだ物(サンプルB)、黄麹のみで漬け込んだ物(サンプルC)で測定した。
測定は沖縄工業技術センターにあるレオメーターにて測定した。
サンプル数は共に5サンプルづつ測定し、測定条件は下記に掲載した。
2)試験結果
サンプルAに対してサンプルBとサンプルCについては優位の差異が見られた。
平均の破断荷重で15倍の値が得られた。サンプルBとサンプルCは共に軟らかくなっているが、双方で大きな差は認められなかった。詳細は下記の表に示した。
下記のグラフはサンプルAとサンプルBの各5サンプルを示したものである。
縦軸に荷重(N)、横軸に歪率(%)を示し、サンプルの一番上から底まで押して、その際の必要な力(荷重)を示している。
(歪率0%→サンプルの上部、歪率100%→サンプルの底部)荷重を比較するとサンプルBはかなり荷重が低く、発酵作用により柔らかくなっており食感が向上していることが分かった。
(2)炊飯米の有用性
本紅麹漬物においては、あらかじめ炊飯米に紅麹及び黄麹を添加して活性化させた後にボイルした肉を漬け込んでいることを特徴としている。
以下に炊飯米の有用性について行った比較試験を示す。
1)試験手順
下記の図のように工程を進めて、第二静置直後と腐敗した直後を写真で収めた。
2)試験結果
1.糖度
2.腐敗の確認
2週間後、漬け床表面に菌糸が蔓延し腐敗を確認した。
漬け込み0日目
漬け込み14日目
この結果に示すように、炊飯米を使用することで紅麹及び黄麹を十分に活性化させてからボイルした肉を漬け込むことが必要であり、炊飯米を使用しない場合には上記に示すように腐敗してしまう。
(3)もち米とうるち米の比較
本漬物に使用する炊飯米として、もち米とうるち米を用いた場合の糖度の比較試験を示す。
1)試験手順
下記の図のように工程を進めて、原料をモチ米とウルチ米で各々作成する。糖度の測定は炊飯後、第一混合処理直後、保温直後で行った。
2)試験結果
Brix測定・屈折糖度計共に有意差が確認でき、モチ米が優れている事が確認出来た。
この結果に示すように、もち米の方が、糖度は高くなっており、うるち米に比べてもち米の方が麹菌が活性化することが分かった。
(4)うるち米の水分量を高めた比較試験
うるち米において、炊飯時の水分量を高めた場合の糖度の比較を行った。
1)試験手順
通常と1.5倍量の水にウルチ米を浸漬させたもの、通常の水にもち米を浸漬させたものの3種のサンプルを作成し、各工程でBrixを測定した。下記の図のように工程を進め、糖度の測定は炊飯後、第一混合処理直後、保温直後で行った。
2)試験結果
この結果に示すように、うるち米においては、水分量を高めることにより、麹菌の活性化を高めることができることが分かった。
(5)麹菌の有用性
紅麹及び黄麹を用いずに炊飯米のみでボイル肉の浸漬試験を行った。
1)試験手順
下記の図のように工程を進めて、第二静置直後と腐敗した直後を写真で収めた。
2)試験結果
雑菌のコロニーは見られなかったが、腐敗臭が強く、腐敗していることが確認できた。麹が入ることで雑菌の増殖が抑えられていることが確認できた。
麹菌ありの写真
麹菌なしの写真
この結果に示すように、紅麹及び黄麹による発酵作用により、肉の漬物が可能となることが分かった。
(6)黄麹のみ
紅麹を用いずに黄麹のみを用いたボイル肉の浸漬試験を行った。
1)試験手順
下記の図のように工程を進めて、第二静置直後と腐敗した直後を写真で収めた。
2)試験結果
2週間静置後に肉の柔らかさを測定し、通常品と比較。官能試験にて風味を比較した。
外観上では、紅麹が入っていないので、紅色にはならず、白色となっていた。
また、黄麹特有の麹臭が強くなっており、風味も紅麹特有のほのかな甘さは失われていた。
肉の発酵状況は、通常品とほとんど変化はなかった。柔らかさも同様であった。
紅麹菌ありの写真
紅麹菌なしの写真
この結果に示すように、黄麹のみでも発酵作用により肉の漬物が可能であることが分かった。
しかしながら、黄麹の独特の強い発酵臭の問題が残された。ここで、紅麹を加えることにより、この発酵臭を抑え、発酵食品独特の芳醇な香りとすることが可能となることがわかった。
(7)アルコールの有用性
本漬物の製造工程では、炊飯米で紅麹及び黄麹を活性化させた後にアルコールを添加して雑菌の繁殖を抑えているが、このアルコールを漬け汁に添加しないでボイル肉を浸漬させた試験を行った。
1)試験手順
アルコール無しとアルコール15%でサンプルを下記の図の工程で作成する。アルコール無しは第二静置直後と腐敗した直後を写真で収めて有用性を示し、アルコール15%は肉の柔らかさや風味で示したい。
2)試験結果
2週間後確認した結果アルコール濃度0%のサンプルは腐敗を確認した。
アルコール濃度0%
この結果に示すように、ボイル肉の浸漬時にアルコールを添加して雑菌の繁殖を抑えることが必要であることが分かった。
次に本発明による紅麹漬物の大きな特徴の一つである香りの改善効果を検証するために、豚肉を材料とし、紅麹漬物と紅麹を使用しない黄麹漬物の香気成分の分析を行った。以下のとおりである。
(1)材 料
漬けたれ試料
1)黄麹たれ
2)紅麹・黄麹たれ(紅麹:黄麹=1:3)
(2)肉試料
1)黄麹たれ漬け込み肉(以下、黄麹肉)
2)紅麹・黄麹たれ(紅麹:黄麹=1:3)で漬け込んだ肉(以下、紅麹・黄麹肉)
(3)試験方法
3−1.香り分析前処理(熱水抽出法)
1)肉そのものの風味を評価するため、試料に付着した付けだれを軽く流水で流し落とし、試料表面の水分をペーパーでふき取った。
2)試料を細切した。
3)試料と同重量の蒸留水を加え、撹拌した。
4)試料をガラスビンに入れ、沸水中で10分間加熱した。
5)試料を遠心したのち、上清を回収した。
3−2.GC−MSによる香気成分分析
1)調整した試料上清1.5mlを20mlのボトルへ移した。
2)GC−MSにてヘッドスペース/SPME法にて常法に従い成分を分析した。
GC:GC-17A(株式会社 島津製作所製)、MS: QP5000(株式会社 島津製作所製)
4.結果と考察
3−1.試料外観と香味
それぞれの試料について外観および香味の比較を行った(図1)。
その結果、紅麹・黄麹肉では、漬けだれおよび肉に紅麹・黄麹特有の紅色の着色が観察され、紅麹・黄麹の特性を引き出していることが確認された。
また、官能的香気の比較では、両者とも獣臭は認められず、黄麹肉においては、独特のきつい麹臭が認められたが、紅麹・黄麹肉では、きつい麹臭はなく、明らかにまろやかあるいは甘い香りが認められた。
外観の写真(左:黄麹肉、右:紅麹・黄麹肉)
3−2.GC−MSによる分析
それぞれの試料についてGC−MSによる分析を行った。
その結果、揮発成分に対応する数百のピークが確認された。
漬けたれでの差異は、肉と相関性が確認されたことから(データ示さず)、肉そのものの比較を行うこととした。
黄麹肉と紅麹・黄麹肉のピークを比較すると、明らかに差異のあるピークが確認できた(図2)。
このことから、黄麹肉と紅麹・黄麹肉の揮発成分には差異があることが明らかとなった(図2、丸印)。
GC−MSピーク比較(黒丸:黄麹肉、白丸:紅麹・黄麹肉)
3−2.香気成分の比較
上記解析で得られた数百の揮発成分ピークのうち、これまで(株)バイオジェットでの解析からヒトが感知できることをGC−スニファーシステムを用いて確認した79成分を香気成分として比較を行った。
その結果、5成分で黄麹肉と比較して1.2 倍以上の顕著な上昇、4 成分で0.83 倍以下の顕著な減少が観察された(図3)。
これらの差異は、ヒトが感知可能と言われている1.2 倍以上の差異であることから、それぞれの試料の風味に違いがあることが、成分分析の結果から明らかになった。
さらに、これらの香気成分の特性から、特に2-ノナノンなど風味に深みを与える成分が増加しており、紅麹・黄麹の使用による風味の変化が確認された。
以上に示すように、紅麹・黄麹を用いることにより、豚肉の漬物において、異臭となるような獣臭やきつい麹臭は認められなくなり、まろやかな甘い香味の美味しい豚肉の漬物を実現することができるものである。
1 モチ米
2 洗米処理
3 アミノ酸
4 カツオダシ
5 コンブダシ
6 山瑚水
7 浸漬処理
8 炊飯
9、22、35 冷却
11 第一混合処理
12、27、30 保温
13 第一静置
14 焼酎
15 食塩
16 卸生姜
17 加熱処理した肉
18 第二混合処理
19 第二静置
20 充填
21 殺菌
23 紅麹を用いた肉の漬物
24 黄麹
25 山瑚水
26 混合処理
28 活性化した黄麹
29 紅麹
31 活性化した紅麹
32 肉(豚肩ロース)
33 カット
34 ボイル
36 水切り
37 加熱処理肉

Claims (3)

  1. 加熱処理した肉を、紅麹を用いた漬け床に浸漬して熟成させる漬物の製造方法において、
    該漬け床は、炊飯したもち米に紅麹及び黄麹を加え、
    該炊飯したもち米において、その炊飯前のもち米は、漬け床に対して15〜35重量%であり、
    該紅麹は、漬け床に対して2〜7重量%であり、該黄麹は、漬け床に対して10〜20重量%であり、
    該紅麹は、35〜40℃の温度にて2時間保温し、該黄麹は同量の水を加え、35〜40℃の温度で2時間保温し、前処理を施した後に炊飯したもち米に加え、充分に攪拌し、35〜40℃で5時間保温し、保温後に1晩静置し、麹を活性化処理し、調味料と食塩とアルコール濃度が3.5〜8%になるようにアルコール類を混合して漬け床とし、
    該漬け床に加熱処理した肉を加えよく混ぜ、
    その後2週間室温にて静置してなることを特徴とする畜肉の漬物の製造方法。
  2. 前記のもち米の炊飯に使用する水は、漬け床に対して20〜30重量%であることを特徴とする請求項1に記載の畜肉の漬物の製造方法。
  3. 前記の炊飯したもち米は、調味料を混合して炊飯したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の畜肉の漬物の製造方法。
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