JP2011217552A - ワイヤハーネス用のグロメット - Google Patents

Abstract

【課題】車体パネルの貫通穴に取り付けたワイヤハーネス用のグロメットが貫通穴から外れないように保持力を高める。
【解決手段】車両に配索されるワイヤハーネスに外装して、車体パネルの貫通穴に装着するグロメットであって、ゴムまたはエラストマーで成形され、前記ワイヤハーネスを密着して挿通する小径筒部と、該小径筒部の長さ方向の中間部の外周位置から外径方向に突設する蛇腹状の径方向突出部と、前記径方向突出部の外周端に連続する外周筒部を備え、
前記外周筒部は円錐筒形状とするとともに、その長さ方向の中間位置で前記径方向突出部と連結し、該外周筒部の拡径側の外周面に環状の車体係止凹部を設けると共に、縮径側は前記径方向突出部より肉厚を大とした厚肉部としている。
【選択図】図１

Description

本発明はワイヤハーネス用のグロメットに関し、詳しくは、自動車に配索するワイヤハーネスに外装して、車体パネルの貫通穴に装着するゴムまたはエラストマー製のグロメットにおいて、特に、貫通穴への装着保持力を高めて貫通穴から外れないようにするものである。

従来、この種のワイヤハーネス用のグロメットは多数提供されている。これらのグロメットは、グロメット内を挿通するワイヤハーネスの止水性能の改善、車体パネルの貫通穴へのグロメットの取付時の挿入力の低減、車体パネルの貫通穴に装着したグロメットの引き出し位置からワイヤハーネスを曲げ配索する場合にワイヤハーネスを曲がりやすくしている場合が多い。

例えば、貫通穴へのグロメットの挿入力の低減とワイヤハーネスを曲げやすくするために、特開平１１−６３３１３号公報に、図６（Ａ）（Ｂ）に示すグロメット１００が提案されている。該グロメット１００は、ワイヤハーネス１１０を密着して挿通する小径筒部１０１と、車体パネル１０８の貫通穴１０９に嵌合する環状凹部１０４を設けた大径筒部１０３とを径方向の壁部１０２を介して連結し、該壁部１０２が小径筒部１０１と連結する部位にグロメット１００の軸線方向と平行に大径筒部１０３側へ突出する伸縮部１０５が設けられている。該伸縮部１０５の小径筒部１０１側の凹部１０６内に補強リブ１０７が設けられている。

前記グロメット１００は補強リブ１０７によって伸縮部１０５の変形後の復元力を高めることができるとされている。しかしながら、貫通穴に装着したグロメット１００から引き出したワイヤハーネス１１０を急激に曲げ配索する必要がある時に補強リブ１０７によって曲げにくくなると共に、貫通穴へのグロメット装着時にグロメット１００の変形性が低下し、貫通穴への挿入力の低減効果が低くなる等の問題がある。

特開平１１−６３３１３号公報

本発明は前記問題に鑑みてなされたもので、グロメットから引き出したワイヤハーネスの曲げ配索性を向上させ、かつ、貫通穴へグロメットを装着する時の挿入力の低減、さらに、貫通穴にグロメットを装着した後での保持力の維持も図ることを課題としている。

前記課題を解決するため、本発明は、車両に配索されるワイヤハーネスに外装して、車体パネルの貫通穴に装着するグロメットであって、
ゴムまたはエラストマーで成形され、前記ワイヤハーネスを密着して挿通する小径筒部と、該小径筒部の長さ方向の中間部の外周位置から外径方向に突設する蛇腹状の径方向突出部と、前記径方向突出部の外周端に連続する外周筒部を備え、
前記外周筒部は円錐筒形状とすると共に、その長さ方向の中間位置で前記径方向突出部と連結し、該外周筒部の拡径側の外周面に環状の車体係止凹部を設けると共に、縮径側は前記径方向突出部より肉厚を大とした厚肉部としていることを特徴とするワイヤハーネス用のグロメットを提供している。

前記グロメットでは、車体パネルの貫通穴に係止される車体係止凹部を設けた外周筒部と、ワイヤハーネスを密着して貫通する小径筒部との間に蛇腹状として径方向突出部を介在させているため、車体パネルに装着したグロメットから引き出した直後のワイヤハーネスを容易に曲げ配索することができる。かつ、グロメットを貫通穴に挿入する時に蛇腹状とした径方向突出部を変形させて挿入力の低減を図ることができる。
また、軸線方向の拡径端側に車体係止凹部を設けた外周筒部には、他方の縮径側に厚肉部を設けている。よって、車体パネルにグロメットを介して取り付けた状態で、ワイヤハーネスに引張力が負荷され、小径筒部および径方向突出部を介して外周筒部に車体係止凹部が貫通穴の周縁から外れる方向にめくれる負荷が作用する場合、外周筒部の他方側に設けた前記厚肉部で車体係止凹部の変形を抑制し、めくれ上がって貫通穴の周縁から外れるのを防止できる。このように、車体パネルの貫通穴に装着したグロメットを、該貫通穴から外れないように保持する力を高めることができる。

前記径方向突出部は前記外周筒部の拡径方向に向けて１つのＶ字突出部が突出する蛇腹状としていることが好ましい。

前記のように、蛇腹状とする径方向突出部を１つの大きなＶ字突出部を設けた形状としても良いし、複数のピッチの小さいＶ字突起を連続した形状としてもよく、該径方向突出部が伸縮することにより小径筒部に挿通したワイヤハーネスを曲げ易くでき、かつ、グロメットを貫通穴に挿通係止する際に変形しやすくできればよい。

前記小径筒部の軸線方向の長さは前記外周筒部の長さの２〜３倍とし、外周筒部の長さ方向の両端から前記小径筒部が突出し、該小径筒部に挿通する前記ワイヤハーネスと前記小径筒部の両端とをテープ巻き固着する形状とすることが好ましい。
なお、小径筒部は径方向突出部の内周端に連結させ、該径方向突出部の外周端を前記外周筒部に連続させればよく、小径筒部を外周筒部に貫通させて、その両端から突出させなくとも良い。

前述したように、本発明は、ワイヤハーネスを密着して挿通する小径筒部と車体係止凹部を設けた外周筒部とを蛇腹状の径方向突出部で連続したグロメットにおいて、外周筒部には車体係止凹部と反対側の軸線方向の他方に厚肉部を設けている。よって、ワイヤハーネスに引張力が負荷されて車体係止凹部が車体の貫通穴の周縁から外れる方向の力を受けても、前記厚肉部により外周筒部の変形を抑制し、車体係止凹部が貫通穴の周縁から外れるのを防止でき、グロメットの貫通穴周縁への保持力を高めることができる。

本発明の第一実施形態のグロメットの断面図である。 ワイヤハーネスにグロメットを取り付けて車体に装着した状態を示す断面図である。 ワイヤハーネスに引っ張り力が作用した時の断面図である。 第一実施形態の変形例を示す断面図である。 第二実施形態のグロメットを示し、（Ａ）は断面図、（Ｂ）は遮音用密閉空間を形成した状態の断面図である。 （Ａ）（Ｂ）は従来例を示す図面である。

以下、本発明に係わるグロメットの実施形態を図面を参照して説明する。
図１乃至図３に第一実施形態のグロメットを示す。
グロメット１は自動車のエンジンルームと車室とを仕切る車体パネルＰに穿設された貫通穴Ｈに挿通するワイヤハーネス２に外嵌して貫通穴Ｈに取り付けられるものである。

グロメット１は、ゴムまたはエラストマーで一体成形しており、ワイヤハーネス２を密着して挿通する小径筒部５と、該小径筒部５の長さ方向の中間部の全外周位置から外径方向に突設する蛇腹状の径方向突出部６と、該径方向突出部６の外周端に連続する円錐筒形状の外周筒部７を備えている。

前記径方向突出部６は１つのＶ字突出部が突出する蛇腹状としている。即ち、該Ｖ字突出部は、外周筒部７の拡径方向に傾斜する内側傾斜部６ａと、反対側の縮径方向に傾斜する外側傾斜部６ｂとを頂点６ｃを介して連続させ、外周筒部７側から小径筒部５側へと収縮変形できるようにしている。

前記のように、外周筒部７は円錐筒形状とし、その長さ方向の中間位置で径方向突出部６と連結し、該外周筒部７の拡径側７ａの外周面に環状の車体係止凹部８を設けている。該車体係止凹部８の底壁８ａを挟む両側壁は傾斜壁８ｂと先端側の垂直壁８ｃとし、傾斜壁８ｂより垂直壁８ｃを外方へ突出させ、かつ、突出した先端側に車体係止凹部８を覆うようにシールリップ８ｄを設けている。

また、該外周筒部７の縮径側７ｂに全周方向の厚肉部９を設け、径方向突出部６との連結位置より厚肉部９を縮径する方向に傾斜させて設けている。該厚肉部９の突出端となる内周端は小径筒部５との外周面との間に寸法Ｌを最小とし、厚肉部９が内方に変形して引っ張られる負荷が作用しても小径筒部５の外周面に接触する位置で停止し、該位置では拡径側の車体係止凹部８が貫通穴の周縁から外れない位置としている。該厚肉部９の肉厚ｔ１は径方向突出部６の肉厚ｔ２の２〜４倍としている。
また、縮径方向に延在する厚肉部９の長さは外周筒部７の長さの約１／２の長さとし、外周面では拡径側７ａとの間に段差部７ｃを設けている。

小径筒部５は前記外周筒部７と連結に囲まれた中空部を貫通して外方へ突出し、言わば、小径筒部５を内筒とし、外周筒部７を外筒とした２重形状としている。軸中心線に沿って延在させる小径筒部５の長さは外周筒部７の長さの２〜３倍としている。
また、小径筒部５の長さ方向の両側部５ａ、５ｂの内周面には軸線方向に間隔をあけて滑り止めリブ５ｒを設けている。

前記グロメット１の小径筒部５を拡げ治具（図示せず）で拡げながらワイヤハーネス２を挿通し、小径筒部５の長さ方向の両側部５ａ、５ｂの両端でワイヤハーネス２の外周から小径筒部５の外周にかけて粘着テープＴを巻き付けてワイヤハーネス２にグロメット１を取り付けている。

図２に示すように、自動車の車体パネルＰの貫通穴Ｈを通して、エンジンルーム（Ｘ）と車室（Ｙ）とにワイヤハーネス２を連続配線する時、車体パネルＰのバーリング付きの貫通穴Ｈにグロメット１を挿入係止する。具体的には、小径筒部５の一側部を押し込み、あるいは他側部を引っ張ってグロメット１を貫通穴Ｈに通し、グロメット１の車体係止凹部８に貫通穴Ｈの周縁を嵌まり込ませてグロメット１を貫通穴Ｈに取り付けている。該取付状態で、貫通穴の周縁のバーリングＢは傾斜壁８ｂの内面に当接し、垂直壁８ｃ側のシールリップ８ｄが貫通穴周縁の車体Ｐに圧接する。

車体パネルＰの貫通穴Ｈに取り付けたグロメット１から引き出されるワイヤハーネス２を約９０度で下向き又は横向きに曲げ配索する必要がある場合が多い。そのさい、小径筒部５と連結した径方向突出部６をＶ字突出部としているため径方向に容易に伸縮し、曲げる方向の周縁部は収縮させ、反対側を伸長させて、ワイヤハーネス２の急激な曲げにグロメット１を無理無く追従させることができる。

また、図３に示すように、車体パネルＰの貫通穴Ｈに取り付けられたグロメット１に貫通したワイヤハーネス２に矢印方向の引っ張り力が負荷される場合がある。この時、グロメット１の径方向突出部６のＶ字突出部が伸びて外周筒部７を内方へ引っ張る力が作用し、該外周筒部７の車体係止凹部８が貫通穴Ｈの周縁から外れる方向に捲れ上がり易くなる。
その際、外周筒部７の縮径側を厚肉部９としているため、外周筒部７が内方へ引っ張られて変形するのを抑制できる。かつ、変形しても、まず、厚肉部９が小径筒部５の外周面に接触して変形が停止され、他端側の車体係止凹部８の変形を防止し、貫通穴Ｈの周縁から外れるのを確実に防止できる。

図４に第１実施形態の変形例を示す。
該変形例では、小径筒部５と外周筒部７とを連結する径方向突出部６ーＡに設ける蛇腹は、ピッチの小さい複数のＶ字突起部としている。該蛇腹形状としても、ワイヤハーネス２が曲げ配索されるときに径方向突出部６ーＡが伸縮してワイヤハーネス２の曲げに追従し、ワイヤハーネスを容易に曲げることができる。また、小径筒部５の先端を径方向突出部６に連続させ、外周筒部７の軸芯に沿って小径筒部を貫通させる構成としていない。
前記外周筒部７の縮径側は厚肉部９としていることは第１実施形態と同様であり、同様の作用効果を有するため、説明を省略する。

図５（Ａ）（Ｂ）に第二実施形態を示す。
第二実施形態のグロメット１−Ａでは、小径筒部５の外周と外周筒部７の縮径側７ｂの内周との間の空間に向けて、径方向突出部６の外周側の外側傾斜部６ｂから中間筒部１１を突設している。該中間筒部１１の突出端を外周筒部７の厚肉部９からなる縮径端９ｐを越えて突出させている。
この中間筒部１１の先端を小径筒部５の外周面に粘着テープ１３を固着して、該中間筒部１１、小径筒部５、径方向突出部６で囲まれた遮音用密閉空間１５を形成している。

前記構成とすると、車体パネルＰに装着するグロメットの外周筒部７の縮径側７ｂを車両のエンジンルーム側に配置すると、エンジンルーム内の騒音を前記遮音用密閉空間１５で吸収して、車室内への騒音の伝わりを低減、遮断することができる。他の作用効果は第一実施形態と同様であるため説明を省略する。

１ グロメット
２ ワイヤハーネス
５ 小径筒部
６ 径方向突出部
７ 外周筒部
８ 車体係止凹部
９ 厚肉部
１１ 中間筒部
Ｐ 車体パネル
Ｈ 貫通穴
Ｔ 粘着テープ

Claims (3)

1. 車両に配索されるワイヤハーネスに外装して、車体パネルの貫通穴に装着するグロメットであって、
   ゴムまたはエラストマーで成形され、前記ワイヤハーネスを密着して挿通する小径筒部と、該小径筒部の長さ方向の中間部の外周位置から外径方向に突設する蛇腹状の径方向突出部と、前記径方向突出部の外周端に連続する外周筒部を備え、
   前記外周筒部は円錐筒形状とするとともに、その長さ方向の中間位置で前記径方向突出部と連結し、該外周筒部の拡径側の外周面に環状の車体係止凹部を設けると共に、縮径側は前記径方向突出部より肉厚を大とした厚肉部としていることを特徴とするワイヤハーネス用のグロメット。
2. 前記径方向突出部は前記外周筒部の拡径方向に向けて１つのＶ字突出部が突出する蛇腹状としている請求項１に記載のワイヤハーネス用のグロメット。
3. 前記小径筒部の軸線方向の長さは前記外周筒部の長さの２〜３倍とし、外周筒部の長さ方向の両端から前記小径筒部が突出し、該小径筒部に挿通する前記ワイヤハーネスと前記小径筒部の両端とをテープ巻き固着している請求項１または請求項２に記載のワイヤハーネス用のグロメット。

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