JP2011206646A - 塗装鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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健二 坂戸
Hirokazu Yano
矢野  宏和
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孝之 和田
Yutaka Hayami
裕 早速
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Abstract

【課題】エポキシ樹脂を主樹脂とする下塗り塗膜を過度に硬化させることなく、加工性および耐傷付き性に優れる上塗り塗膜を形成することができる、塗装鋼板の製造方法を提供すること。
【解決手段】数平均分子量4000〜25000、ガラス転移温度−20〜40℃、水酸基価3〜50mgKOH/gの水酸基含有ポリエステルと、メチロール/イミノ基型メラミン樹脂およびイミノ基型メラミン樹脂からなる群から選択されるメラミン樹脂硬化剤と、スルホン酸化合物とを含み、かつエポキシ樹脂の硬化作用を有する成分を含まない上塗り塗料を、エポキシ樹脂を主樹脂とする下塗り塗膜の上に塗布し、焼き付けて、上塗り塗膜を形成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐食性、加工性および耐傷付き性に優れた塗装鋼板およびその製造方法に関する。
シャッター材は、主に屋外で使用され、屋根材および壁材と比較して加工部が多く、巻取りにより表面塗膜と裏面塗膜との接触が生じるという特徴を有している。したがって、シャッター用のプレコート鋼板には、耐食性、加工性および耐傷付き性(スクラッチ性)が求められ、特に上塗り塗膜には、加工性および耐傷付き性が求められる。上塗り塗膜の加工性を向上させるには、上塗り塗膜の伸び率を高めることが有効である。しかしながら、上塗り塗膜を軟質にすると、耐傷付き性が低下してしまうおそれがある。
上塗り塗膜の加工性の向上および耐傷付き性の向上を両立させる手段として、ポリエステル、メラミン樹脂硬化剤(メチルエーテル化メラミン樹脂およびブチルエーテル化メラミン樹脂の混合物)および硬化触媒を含む上塗り塗料中に揮発性の2級アミン化合物を添加する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の技術では、上塗り塗料中に揮発性の2級アミン化合物を添加して塗膜の硬化開始を遅らせることで、メラミン樹脂硬化剤(主としてブチルエーテル化メラミン樹脂)の塗膜表面への移行を促進している。そして、塗膜の表面から2級アミン化合物が揮散して、塗膜の硬化が開始する。その結果、ポリエステルとの相溶性に劣るブチルエーテル化メラミン樹脂が塗膜表面に移行し、塗膜硬度の点で有利に働く。また、塗膜内部の架橋は、主としてメチルエーテル化メラミン樹脂によって行なうことができることから加工性も保持できる。
一方、ポリエステル/メラミン塗膜では、添加するメラミン樹脂硬化剤の種類によって塗膜の構造が変わることが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。非特許文献1には、例えばイミノ基型メラミン樹脂硬化剤を添加した場合、メラミン樹脂の表面濃化層は形成されず、塗膜内部においてメラミン樹脂の自己集合粒子が形成されることが記載されている。
特開平10−152645号公報
吉田究,壱岐島健司,「ポリエステル/メラミン塗膜の構造に及ぼすメラミン種の影響(ポリエステル/メラミン塗膜の構造−2)」,CAMP−ISIJ,Vol.9(1996),p.1425.
特許文献1に記載の技術において、塗装鋼板の耐傷付き性をより向上させるためには、下塗り塗膜の主樹脂を塗膜密着性に優れるエポキシ樹脂とすることが好ましい。しかしながら、エポキシ樹脂を主樹脂とする下塗り塗膜の上に2級アミン化合物を含む上塗り塗料を塗布すると、上塗り塗料中の2級アミン化合物により下塗り塗膜中のエポキシ樹脂がさらに硬化してしまうことがある。その結果、エポキシ樹脂からなる硬質な下塗り塗膜の上に、ポリエステルからなる軟質な上塗り塗膜が形成されることになり、塗装鋼板の加工性が低下してしまうことになる。すなわち、このような塗装鋼板では、下塗り塗膜と上塗り塗膜との応力歪が大きくなるため、成形加工をした際に、上塗り塗膜−下塗り塗膜間または下塗り塗膜−化成処理皮膜間の密着力の弱い箇所で剥離が生じてしまうのである。
上記加工性の問題を解決するためには、下塗り塗膜の主樹脂をポリエステルとすることが考えられる。しかしながら、ポリエステルはエポキシ樹脂に比べて塗膜密着性が低いため、下塗り塗膜の主樹脂をポリエステルとすると、塗装鋼板の耐傷付き性が低下してしまう。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、エポキシ樹脂を主樹脂とする下塗り塗膜を過度に硬化させることなく、加工性および耐傷付き性に優れる上塗り塗膜を形成することができる、塗装鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上塗り塗料に2級アミン化合物を添加せずに、上塗り塗膜の加工性の向上および耐傷付き性の向上を両立させる手段を検討した。その結果、上塗り塗料にメラミン樹脂硬化剤としてメチロール/イミノ基型メラミン樹脂またはイミノ基型メラミン樹脂を添加することで、上記課題を解決しうることを見出し、さらに検討を加えて本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の塗装鋼板の製造方法に関する。
[1]溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板を準備するステップと;エポキシ樹脂組成物を主として含む下塗り塗料を、前記溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板の表面に塗布し、焼き付けて、前記溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板の表面に下塗り塗膜を形成するステップと;数平均分子量4000〜25000、ガラス転移温度−20〜40℃、水酸基価3〜50mgKOH/gの水酸基含有ポリエステルと、メチロール/イミノ基型メラミン樹脂およびイミノ基型メラミン樹脂からなる群から選択されるメラミン樹脂硬化剤と、スルホン酸化合物とを含み、かつエポキシ樹脂の硬化作用を有する成分を含まない上塗り塗料を、前記下塗り塗膜の表面に塗布し、焼き付けて、前記下塗り塗膜の表面に上塗り塗膜を形成するステップとを有し;前記上塗り塗料中の前記水酸基含有ポリエステルおよび前記メラミン樹脂硬化剤の合計含有量100質量部に対して、前記上塗り塗料中の前記水酸基含有ポリエステルの含有量は65〜95質量部の範囲内であり、前記上塗り塗料中の前記メラミン樹脂硬化剤の含有量は5〜35質量部の範囲内であり、前記上塗り塗料中の前記スルホン酸化合物の含有量は0.1〜2.0質量部の範囲内である、塗装鋼板の製造方法。
[2]前記溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板のめっき層は、Al:1〜22質量%、Mg:0.05〜10質量%を含み、さらに、Ti:0.002〜0.1質量%、B:0.001〜0.45質量%、Si:0.005〜2.0質量%の1種または2種以上を含み、残部がZnおよび不可避的不純物からなる組成を有する、[1]に記載の塗装鋼板の製造方法。
また、本発明は、以下の塗装鋼板に関する。
[3][1]または[2]に記載の製造方法で製造された、塗装鋼板。
[4]シャッター用のプレコート鋼板である、[3]に記載の塗装鋼板。
本発明によれば、耐食性、加工性および耐傷付き性に優れる塗装鋼板を提供することができる。本発明の塗装鋼板は、例えばシャッター用のプレコート鋼板として有用である。
従来の製造方法で上塗り塗膜を形成した場合の、ポリエステル中のメラミン樹脂の分散状態を示す模式図 従来の製造方法で上塗り塗膜を形成した場合の、ポリエステル中のメラミン樹脂の分散状態を示す模式図 本発明の製造方法で上塗り塗膜を形成した場合の、ポリエステル中のメラミン樹脂の分散状態を示す模式図
本発明の塗装鋼板の製造方法は、1)溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板(塗装原板)を準備する第1のステップと、2)溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板の表面にエポキシ樹脂を主樹脂とする下塗り塗膜を形成する第2のステップと、3)下塗り塗膜の上に上塗り塗膜を形成する第3のステップとを含む。以下、各ステップについて説明する。
[塗装原板の準備]
第1のステップでは、塗装原板を準備する。
塗装原板としては、優れた耐食性を有する溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板が使用される。溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板としては、めっき層がAl:1〜22質量%、Mg:0.05〜10質量%を含み、残部がZnおよび不可避的不純物からなる組成を有する溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板が好ましい。さらには、めっき層が、上記Al(1〜22質量%)およびMg(0.05〜10質量%)に加えて、さらにTi:0.002〜0.1質量%、B:0.001〜0.45質量%、Si:0.005〜2.0質量%の1種または2種以上を含み、残部がZnおよび不可避的不純物からなる組成を有する溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板がより好ましい。
溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板の下地鋼の種類は特に限定されない。下地鋼の例には、低炭素鋼や中炭素鋼、高炭素鋼、合金鋼などが含まれる。良好なプレス成形性が必要とされる場合は、低炭素Ti添加鋼、低炭素Nb添加鋼などの深絞り用鋼板が下地鋼として好ましい。
溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板は、塗膜密着性を向上させるために、脱脂されることが好ましい。脱脂方法は、特に限定されない。たとえば、ロールコート法や浸漬引き上げ法などで弱アルカリ性または中性の脱脂液を塗布すればよい。また、必要に応じて、酸洗やリン酸塩処理、表面調整処理などにより、溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板の表面の濡れ性を向上させてもよい。
また、溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板は、塗膜密着性を向上させるために、化成処理されることが好ましい。化成処理の種類は、特に限定されない。化成処理の例には、リン酸塩処理、クロメート処理、クロムフリー処理などが含まれる。化成処理皮膜の膜厚は、塗装原板の腐食の抑制および塗膜密着性の向上に有効な範囲内であれば特に限定されない。たとえば、クロメート皮膜の場合、全Cr換算付着量が5〜100mg/mとなるように膜厚を調整すればよい。また、リン酸塩皮膜の場合、付着量が5〜500mg/mとなるように膜厚を調整すればよい。Ti−Mo複合皮膜の場合、付着量が10〜500mg/mとなるように膜厚を調整すればよい。
[下塗り塗膜の形成]
第2のステップでは、第1のステップで準備した溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板(塗装原板)の表面に下塗り塗膜を形成する。ここで「溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板の表面」とは、溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板の表面だけでなく、化成処理皮膜の表面も含む。すなわち、下塗り塗膜は、化成処理皮膜上に形成されていてもよい。
下塗り塗膜は、塗膜密着性および耐傷付き性に優れるエポキシ樹脂を主樹脂として、任意に防錆顔料や着色顔料などの顔料を含有する。下塗り塗膜は、塗装原板の片面にのみ形成されていてもよいし、両面に形成されていてもよい。
下塗り塗膜の膜厚は、特に限定されないが、0.5〜30μmの範囲内が好ましい。膜厚が0.5μm未満の場合、耐食性、塗膜密着性および耐傷付き性の効果を十分に発揮させることができない。また、下塗り塗膜が着色塗膜の場合は、溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板を隠蔽するために3μm以上の膜厚が好ましい。一方、膜厚が30μm超の場合、塗膜表面が柚子肌状になって外観が劣化するとともに、焼き付けする際にワキが発生しやすくなる。
下塗り塗膜を形成するには、エポキシ樹脂組成物(エポキシ樹脂や硬化剤など)を含む下塗り塗料を溶融Zn−Al−Mgめっき鋼板の表面に塗布し、焼き付ければよい。下塗り塗料は、特に限定されず、公知のエポキシ樹脂系の塗料から適宜選択することができる。下塗り塗料の塗布方法は、特に限定されず、プレコート鋼板の製造に使用されている方法から適宜選択すればよい。そのような塗布方法の例には、ロールコート法、フローコート法、カーテンフロー法、スプレー法などが含まれる。
[上塗り塗膜の形成]
第3のステップでは、下塗り塗膜の上に上塗り塗膜を形成する。上塗り塗膜を形成するには、水酸基含有ポリエステル、メラミン樹脂硬化剤およびスルホン酸化合物(硬化触媒)を含有する上塗り塗料を下塗り塗膜の表面に塗布し、焼き付ければよい。上塗り塗料の塗布方法は、特に限定されず、下塗り塗料の塗布方法と同じでよい。
1)水酸基含有ポリエステル
上塗り塗料に配合する主樹脂としては、水酸基含有ポリエステルが使用される。水酸基含有ポリエステルの例には、オイルフリーポリエステル、油変性アルキド樹脂、これらの樹脂の変性物(例えば、ウレタン変性ポリエステル、ウレタン変性アルキド樹脂、エポキシ変性ポリエステルなど)が含まれる。
オイルフリーポリエステルは、多塩基酸成分と多価アルコール成分とのエステル化物からなるものである。多塩基酸成分としては、例えば無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、コハク酸、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸、無水マレイン酸などから選ばれる1種以上の二塩基酸およびこれらの酸の低級アルキルエステル化物が主として用いられる。また、必要に応じて、安息香酸、クロトン酸、p−t−ブチル安息香酸などの一塩基酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸、無水ピロメリット酸などの3価以上の多塩基酸などが併用される。多価アルコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチルペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの二価アルコールが主に用いられる。また、必要に応じて、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールが併用される。これらの多価アルコールは単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。両成分のエステル化またはエステル交換反応は、公知の方法によって行うことができる。酸成分としては、イソフタル酸、テレフタル酸およびこれらの酸の低級アルキルエステル化物が特に好ましい。
アルキド樹脂は、前述のオイルフリーポリエステルの酸成分およびアルコール成分に加えて、油脂肪酸を既知の方法で反応させたものである。油脂肪酸の例としては、ヤシ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、トール油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、キリ油脂肪酸などが挙げられる。アルキド樹脂の油長は、30%以下が好ましく、5〜20%程度のものが特に好ましい。
ウレタン変性ポリエステルの例としては、前述のオイルフリーポリエステル、または前述のオイルフリーポリエステルの製造の際に用いられる酸成分およびアルコール成分を反応させて得られる低分子量のオイルフリーポリエステルを、ポリイソシアネート化合物と公知の方法で反応させたものが挙げられる。ウレタン変性アルキド樹脂の例としては、前述のアルキド樹脂、または前述のアルキド樹脂の製造の際に用いられる各成分を反応させて得られる低分子量のアルキド樹脂を、ポリイソシアネート化合物と公知の方法で反応させたものが挙げられる。ウレタン変性ポリエステルおよびウレタン変性アルキド樹脂を製造する際に使用しうるポリイソシアネート化合物の例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、2,4,6−トリイソシアナトトルエンなどが挙げられる。これらのウレタン変性樹脂は、ウレタン変性樹脂に対するポリイソシアネート化合物の量が30質量%以下となる変性度合のものが好ましい。
エポキシ変性ポリエステルの例としては、前述のポリエステルの製造に使用する各成分から製造したポリエステルを用い、この樹脂のカルボキシル基とエポキシ基含有樹脂との反応生成物や、ポリエステル中の水酸基とエポキシ樹脂中の水酸基とをポリイソシアネート化合物を介して結合した生成物などの、ポリエステルとエポキシ樹脂との付加、縮合、グラフトなどの反応による反応生成物を挙げることができる。これらのエポキシ変性ポリエステルは、エポキシ変性ポリエステルに対するエポキシ樹脂の量が0.1〜30質量%となる変性度合のものが好ましい。
これらのポリエステルのうち、上塗り塗料に配合する主樹脂としては、オイルフリーポリエステルが特に好ましい。
ポリエステルの分子量(ポリスチレン換算数平均分子量)は、4000〜25000の範囲内が好ましい。分子量が4000未満の場合、分子間の架橋密度が大きくなりすぎ、上塗り塗膜の加工性が低下してしまう。また、分子量が25000超の場合、分子間の架橋密度が小さくなりすぎ、上塗り塗膜の耐汚染性および耐ブロッキング性が低下してしまう。ポリエステルのポリスチレン換算数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
ポリエステルのガラス転移温度(Tg点)は、−20〜40℃の範囲内が好ましく、−10℃〜30℃の範囲内がより好ましい。ガラス転移温度が−20℃未満の場合、上塗り塗膜の硬度が硬くなり、上塗り塗膜の加工性および耐汚染性が低下してしまう。また、ガラス転移温度が40℃超の場合、上塗り塗膜の加工性が低下してしまう。ポリエステルのガラス転移温度は、示差熱分析(DTA)により測定することができる。
ポリエステルの水酸基価は、3〜50mgKOH/gの範囲内が好ましく、5〜30mgKOH/gの範囲内がより好ましい。水酸基価が3mgKOH/g未満の場合、分子間の架橋密度が小さくなりすぎ、上塗り塗膜の耐汚染性および耐ブロッキング性が低下してしまう。また、水酸基価が50mgKOH/g超の場合、分子間の架橋密度が大きくなりすぎ、上塗り塗膜の加工性が低下してしまう。また、上塗り塗膜の表面にちぢみ状の凹凸が生じやすくなり、平滑性が低下してしまう。
2)メラミン樹脂硬化剤
一般的に、メラミン樹脂としては、反応性基がN−(CHOR)である完全アルキル型、N−(CHOR)CHOHであるメチロール基型、N−(CHOR)Hであるイミノ基型、N−(CHOH)Hであるメチロール/イミノ基型の4種類が挙げられる。このうち、本発明の製造方法では、上塗り塗料に配合するメラミン樹脂硬化剤として、メチロール/イミノ基型メラミン樹脂およびイミノ基型メラミン樹脂からなる群から選択される1または2以上のメラミン樹脂が使用される。これらのメラミン樹脂を採用することで、2級アミン化合物を使用することなく、上塗り塗膜の加工性および耐傷付き性を向上させることができる(後述)。メラミン樹脂硬化剤としてイミノ基型メラミン樹脂を使用する場合、上記反応性基中のRは、任意のアルキル基でありうる。
メチロール/イミノ基型メラミン樹脂の市販品としては、例えばCYMEL202、CYMEL701(いずれも日本サイテックインダストリーズ株式会社)などが挙げられる。また、イミノ基型メラミン樹脂の市販品としては、例えばCYMEL253、CYMEL325(いずれも日本サイテックインダストリーズ株式会社)などが挙げられる。
上塗り塗料中のメラミン樹脂硬化剤の含有量は、上塗り塗料中の水酸基含有ポリエステルとメラミン樹脂硬化剤の合計含有量100質量部に対して、5〜35質量部の範囲内が好ましく、15〜25質量部の範囲内がより好ましい。したがって、上塗り塗料中の水酸基含有ポリエステルの含有量は、上塗り塗料中の水酸基含有ポリエステルとメラミン樹脂硬化剤の合計含有量100質量部に対して、65〜95質量部の範囲内が好ましく、75〜85質量部の範囲内がより好ましい。メラミン樹脂硬化剤の含有量が5質量部未満の場合(水酸基含有ポリエステルの含有量が95質量部超の場合)、分子間の架橋密度が小さくなりすぎ、耐汚染性および耐ブロッキング性が低下してしまう。また、メラミン樹脂硬化剤の含有量が35質量部超の場合(メラミン樹脂硬化剤の含有量が65質量部未満の場合)、分子間の架橋密度が大きくなりすぎ、上塗り塗膜の加工性が低下してしまう。
3)スルホン酸化合物
上塗り塗料に配合する硬化触媒としては、スルホン酸化合物が使用される。スルホン酸化合物は、中和剤により中和されたものであってもよい。
スルホン酸化合物の例としては、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸などが挙げられる。スルホン酸化合物としては、塗料の安定性、反応促進効果、得られる塗膜の物性などの点から、p−トルエンスルホン酸またはドデシルベンゼンスルホン酸が好ましい。
上塗り塗料中のスルホン酸化合物の含有量は、上塗り塗料中の水酸基含有ポリエステルとメラミン樹脂硬化剤の合計含有量100質量部に対して、スルホン酸化合物に換算した値として、0.1〜2.0質量部の範囲内が好ましく、0.5〜1.5質量部の範囲内がより好ましい。ここで「スルホン酸化合物に換算した値」とは、硬化触媒がスルホン酸の中和物である場合は、硬化触媒から中和剤を除いたスルホン酸そのものの量を意味する。また、硬化触媒がスルホン酸そのものである場合は、そのスルホン酸の量を意味する。スルホン酸化合物の含有量が0.1質量部未満の場合、ポリエステルとメラミン樹脂硬化剤との反応を十分に促進することができない。また、スルホン酸化合物の含有量が2.0質量部超の場合、上塗り塗膜の加工性および耐水性が低下してしまう。
4)エポキシ樹脂の硬化作用を有する成分
上塗り塗料は、上述のように水酸基含有ポリエステル、メラミン樹脂硬化剤およびスルホン酸化合物を含有するが、エポキシ樹脂の硬化作用を有する成分を含有しない。上塗り塗料を下塗り塗膜の上に塗布した場合に、下塗り塗膜中のエポキシ樹脂の硬化を進行させないためである。前述の通り、下塗り塗膜中のエポキシ樹脂が過度に硬化してしまうと、エポキシ樹脂からなる硬質な下塗り塗膜の上に、ポリエステルからなる軟質な上塗り塗膜が形成されることになり、塗装鋼板の加工性が低下してしまうことになる。
エポキシ樹脂の硬化作用を有する成分の例としては、脂肪族ポリアミン類、脂環族ポリアミン類、芳香族ポリアミン類、ポリアミド樹脂、2級アミン、3級アミン、イミダゾール類、酸無水物類などが挙げられる。
5)溶剤
上塗り塗料は、通常、水酸基含有ポリエステル、メラミン樹脂硬化剤およびスルホン酸化合物を溶剤に溶解または分散して調製される。溶剤の種類は、水酸基含有ポリエステル、メラミン樹脂硬化剤およびスルホン酸化合物を溶解または分散させうるものであれば特に限定されない。そのような溶剤の例には、トルエン、キシレン、高沸点石油系炭化水素などの炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル系溶剤;メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール系溶剤;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのエーテルアルコール系溶剤などが含まれる。これらの溶剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
6)その他顔料
上塗り塗料には、任意の着色顔料を加えてもよい。着色顔料の例には、酸化チタン、カーボンブラック、酸化クロム、酸化鉄、ベンガラ、チタンイエロー、コバルトブルー、コバルトグリーン、アニリンブラック、フタロシアニンブルーなどが含まれる。
上塗り塗料には、耐食性を向上させる観点から、防錆顔料を加えてもよい。防錆顔料の例には、リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、リン酸亜鉛マグネシウム、リン酸マグネシウム、亜リン酸マグネシウム、シリカ、カルシウムイオン交換シリカ、リン酸ジルコニウム、トリポリリン酸2水素アルミニウム、酸化亜鉛、リンモリブデン酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、クロム酸ストロンチウムなどが含まれる。また、上塗り塗料には、体質顔料を加えてもよい。体質顔料の例には、硫酸バリウム、酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウムなどが含まれる。
さらに、上塗り塗料には、塗膜硬度および耐摩耗性を向上させる観点または塗膜表面に凹凸を付与し外観を向上させる観点から、鱗片状無機質添加材や無機質繊維、粒状または塊状の有機骨材、粒状または塊状の無機骨材、つや消し剤などが配合されていてもよい。鱗片状無機質添加材の例には、ガラスフレーク、硫酸バリウムフレーク、グラファイトフレーク、合成マイカフレーク、合成アルミナフレーク、シリカフレーク、雲母状酸化鉄(MIO)などが含まれる。無機質繊維の例には、チタン酸カリウム繊維、ウォラスナイト繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、アルミナシリケート繊維、シリカ繊維、ロックウール、スラグウール、ガラス繊維、炭素繊維などが含まれる。有機骨材の例には、アクリルビーズ、ポリアクリロニトリル(PAN)ビーズなどが含まれる。無機骨材、つや消し剤の例には、ガラスビース、シリカ粉などが含まれる。
7)焼き付け
上塗り塗料を下塗り塗膜の表面に塗布した後、到達板温160〜260℃で15〜90秒間、好ましくは到達板温190〜230℃で20〜60秒間焼き付けることで、ポリエステルおよびメラミン樹脂を架橋させて上塗り塗膜を形成することができる。
上塗り塗膜の膜厚は、特に限定されないが、0.5〜30μmの範囲内が好ましい。膜厚が0.5μm未満の場合、耐傷付き性の効果が十分に得られない可能性がある。また、上塗り塗膜が着色塗膜の場合は、塗装原板を隠蔽するために3μm以上の膜厚が好ましい。一方、膜厚が30μm超の場合、塗膜表面が柚子肌状になって外観が劣化するとともに、焼き付けする際にワキが発生しやすくなる。
以上の手順により、耐食性、加工性および耐傷付き性に優れた塗装鋼板を製造することができる。
完全アルキル型のメラミン樹脂および2級アミン化合物を使用する従来の塗装鋼板の製造方法では、図1に示されるように、上塗り塗膜の表面層にメラミン樹脂20の濃化層を形成し、かつ、ポリエステル10中にメラミン樹脂20を均一に分散させていた。その結果、塗膜表面層では架橋密度が高い硬質な塗膜(耐傷付き性に寄与)が形成され、塗膜内部では軟質な塗膜(加工性に寄与)が形成され、加工性と耐傷付き性を両立させていた。
なお、上記従来の塗装鋼板の製造方法において、2級アミン化合物を使用しなかった場合は、図2に示されるように、上塗り塗膜の表面層にメラミン樹脂の濃化層が形成されず、ポリエステル10中にメラミン樹脂20が均一に分散する。その結果、ポリエステル10とメラミン樹脂20とが均一に反応して、軟質な塗膜が形成される。このような塗膜は、加工性に優れているが、応力緩和能が小さいため、耐傷付き性が十分ではない。
これに対し、本発明の製造方法では、メラミン樹脂硬化剤としてメチロール/イミノ基型メラミン樹脂および/またはイミノ基型メラミン樹脂を使用することで、2級アミン化合物を使用せずに、加工性と耐傷付き性を両立させている。すなわち、本発明の製造方法では、図3に示されるように、上塗り塗膜の表面層にメラミン樹脂の濃化層はほとんど形成されないが、メチロール/イミノ基型メラミン樹脂およびイミノ基型メラミン樹脂は自己集合性が強いため、ポリエステル100中においてメラミン樹脂200は自己集合する。その結果、ポリエステル100からなる軟質な領域(加工性に寄与)の中に、メラミン樹脂200からなる硬質な領域(耐傷付き性に寄与)が島状に形成される。このような塗膜は、加工性に優れているだけでなく、応力緩和能が大きいため、耐傷付き性も優れている。
以下、本発明を実施例を参照して詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されない。
1.塗装鋼板の準備
板厚0.3mmのAlキルド鋼冷延鋼板(公称組成;C:0.04質量%、Si:0.03質量%、Mn:0.20質量%、P:0.01質量%、S:0.01質量%、Al:0.01質量%、残部Fe)を準備した。この鋼板の表面に、溶融Zn−6質量%Al−3質量%Mg系合金めっき浴を用いてめっき層を形成し、溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板(塗装原板)を作製した。めっき鋼板の両面めっき付着量は140g/mであった。
めっき鋼板(塗装原板)の表面を酸洗(4%塩酸)および水洗した後、さらに酸系の表面調製処理液(NPC700;日本ペイント株式会社)を塗布し、湯洗し、乾燥させた。次いで、表面調製後のめっき鋼板の表面に、クロメート処理液(NRC300;日本ペイント株式会社)をCr換算付着量が40mg/mとなるようにバーコーターで塗布した。その鋼板を100℃で15秒間加熱して、化成処理皮膜を形成した。
化成処理鋼板の表面にエポキシ樹脂系の下塗り塗料(KP8417;関西ペイント株式会社)をバーコーターで塗布し、到達板温210℃で60秒間焼き付けて、乾燥膜厚5μmの下塗り塗膜を形成した。次いで、下塗り塗膜の表面に表1〜表3に示す組成の上塗り塗料をバーコーターで塗布し、到達板温225℃で60秒間焼き付けて、乾燥膜厚13μmの上塗り塗膜を形成した。
Figure 2011206646
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表1〜表3において、メラミン樹脂硬化剤、スルホン酸化合物およびアミン化合物の添加量は、ポリエステルおよびメラミン樹脂硬化剤の合計量100質量部に対する量である。
また、数平均分子量が2700のポリエステルは、バイロンKS−1660V(ガラス転移温度12℃、水酸基価98mgKOH/g;東洋紡績株式会社)を使用した。数平均分子量が6400のポリエステルは、バイロンKS−1520V(ガラス転移温度3℃、水酸基価42mgKOH/g;東洋紡績株式会社)を使用した。数平均分子量が15000のポリエステルは、バイロンKS−1460V(ガラス転移温度7℃、水酸基価11mgKOH/g;東洋紡績株式会社)を使用した。数平均分子量が22000のポリエステルは、バイロンKS−1730V(ガラス転移温度−1℃、水酸基価14mgKOH/g;東洋紡績株式会社)を使用した。数平均分子量が32000のポリエステルは、バイロンKS−1860V(ガラス転移温度−8℃、水酸基価17mgKOH/g;東洋紡績株式会社)を使用した。
また、「イミノ基型A」のメラミン樹脂硬化剤は、CYMEL325(日本サイテックインダストリーズ株式会社)を使用した。「イミノ基型B」のメラミン樹脂硬化剤は、CYMEL253(日本サイテックインダストリーズ株式会社)を使用した。「メチロール/イミノ基型A」のメラミン樹脂硬化剤は、CYMEL701(日本サイテックインダストリーズ株式会社)を使用した。「メチロール/イミノ基型B」のメラミン樹脂硬化剤は、CYMEL202(日本サイテックインダストリーズ株式会社)を使用した。「完全アルキル化型」のメラミン樹脂硬化剤は、CYMEL303(日本サイテックインダストリーズ株式会社)を使用した。スルホン酸化合物(硬化触媒)は、P−トルエンスルホン酸を使用した。アミン化合物(エポキシ樹脂の硬化触媒)は、ジエチルアミンを使用した。
2.加工性試験
各塗装鋼板について加工性試験を実施した。各塗装鋼板を約1mmの曲率半径(R)で180度折り曲げた後、さらに塗装めっき鋼板と同じ板厚(0.3mm)の鋼板を4枚挟んだ状態で万力を用いて圧縮し、180度密着折り曲げ加工を行った。各塗装めっき鋼板の加工部を目視評価し、加工部の塗膜に割れがないものを「○」、加工部の塗膜に割れが発生したものを「×」と評価した。
3.内曲げ密着性試験
各塗装鋼板について内曲げ密着性試験を実施した。各塗装鋼板について、上記加工性試験と同様に180度密着折り曲げ加工を行った後、加工部を再度開いて、万力を用いて平面状態に戻した。各塗装鋼板の内曲げ加工部にテープを貼り付けた後、テープを剥がした。各塗装鋼板の内曲げ加工部を目視評価し、塗膜が剥離していないものを「○」、塗膜が剥離したものを「×」と評価した。
4.耐傷付き性試験
各塗装鋼板から試験片(寸法:100mm×100mm)を切り出し、耐傷付き性試験を実施した。連続加重式引掻強度試験機(トライボギアTYPE18;新東化学株式会社)を用いて、各試験片の表面を、スクラッチ方向に45度傾けた10円銅貨で圧延方向と平行にスクラッチした(荷重:500g、スクラッチ速度:600mm/分、スクラッチ距離:50mm)。スクラッチした50mmのうちの両端10mmを除いた範囲を目視評価し、塗膜に傷が認められなかったものを「◎」、上塗り塗膜にのみ傷が発生したものを「○」、下塗り塗膜が露出したものを「×」と評価した。
5.耐湿性試験
各塗装鋼板について耐湿性試験を実施した。各塗装鋼板について、JIS K 5600−7−2「塗料一般試験方法−塗膜の長期耐久性−耐湿性(連続結露法)」に準拠して1000時間連続で耐湿性試験を行った。試験後、各塗装鋼板の塗膜を目視評価し、塗膜に膨れなどの異常が認められないものを「○」、塗膜に膨れなどの異常が認められたものを「×」と評価した。
6.試験結果
各塗装鋼板の試験結果を表4〜表6に示す。
Figure 2011206646
Figure 2011206646
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表4に示されるように、アミン化合物を含む上塗り塗料を塗布した比較例1〜4、6の塗装鋼板は、内曲げ密着性に劣っていた。これは、これらの塗装鋼板では、アミン化合物の作用により下塗り塗膜のエポキシ樹脂が過剰に硬化し、軟質な上塗り塗膜と硬質な下塗り塗膜との間の応力歪みが高くなったためと考えられる。一方、アミン化合物を含まない上塗り塗料を塗布した実施例1〜4の塗装鋼板は、下塗り塗膜のエポキシ樹脂が過剰に硬化しなかったため、内曲げ密着性に優れていた。
また、表4に示されるように、完全アルキル化型のメラミン樹脂硬化剤を含む上塗り塗料を塗布した比較例5の塗装鋼板は、耐傷付き性に劣っていた。これは、この塗装鋼板では、上塗り塗膜中に、メラミン樹脂の表面濃化層も自己集合粒子も形成されなかったためと考えられる。一方、イミノ基型またはメチロール/イミノ基型のメラミン樹脂硬化剤を含む上塗り塗料を塗布した実施例1〜4の塗装鋼板は、耐傷付き性に優れていた。これは、上塗り塗膜中において、メラミン樹脂の自己集合粒子が形成されたためと考えられる。なお、完全アルキル化型のメラミン樹脂硬化剤を含む上塗り塗料を塗布した比較例6の塗装鋼板も耐傷付き性に優れていたのは、アミン化合物の作用により上塗り塗膜の表層にメラミン樹脂の濃化層が形成されたためと考えられる。
また、表5に示されるように、数平均分子量が2700のポリエステルを含む上塗り塗料を塗布した比較例7の塗装鋼板は、加工性に劣っていた。また、数平均分子量が32000のポリエステルを含む上塗り塗料を塗布した比較例8の塗装鋼板は、耐傷付き性に劣っていた。一方、数平均分子量が4000〜25000の範囲内のポリエステルを含む上塗り塗料を塗布した実施例5〜7の塗装めっき鋼板は、加工性および耐傷付き性のいずれも優れていた。
また、表6に示されるように、イミノ基型のメラミン樹脂硬化剤を3質量部含む上塗り塗料を塗布した比較例9の塗装めっき鋼板は、耐傷付き性および耐湿性に劣っていた。また、イミノ基型のメラミン樹脂硬化剤を45質量部含む上塗り塗料を塗布した比較例10の塗装めっき鋼板は、加工性に劣っていた。一方、イミノ基型のメラミン樹脂硬化剤を5〜35質量部含む上塗り塗料を塗布した実施例8〜10の塗装めっき鋼板は、加工性および耐傷付き性のいずれも優れていた。
以上の結果から、本発明の塗装めっき鋼板は、加工性、塗膜密着性、耐傷付き性および耐食性に優れていることがわかる。
本発明の塗装めっき鋼板は、耐食性、加工性および耐傷付き性に優れているため、例えばシャッターなどの外装材に用いられるプレコート鋼板として有用である。
10、100 ポリエステル
20、200 メラミン樹脂系硬化剤

Claims (4)

  1. 溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板を準備するステップと、
    エポキシ樹脂組成物を主として含む下塗り塗料を、前記溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板の表面に塗布し、焼き付けて、前記溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板の表面に下塗り塗膜を形成するステップと、
    数平均分子量4000〜25000、ガラス転移温度−20〜40℃、水酸基価3〜50mgKOH/gの水酸基含有ポリエステルと、メチロール/イミノ基型メラミン樹脂およびイミノ基型メラミン樹脂からなる群から選択されるメラミン樹脂硬化剤と、スルホン酸化合物とを含み、かつエポキシ樹脂の硬化作用を有する成分を含まない上塗り塗料を、前記下塗り塗膜の表面に塗布し、焼き付けて、前記下塗り塗膜の表面に上塗り塗膜を形成するステップと、を有し、
    前記上塗り塗料中の前記水酸基含有ポリエステルおよび前記メラミン樹脂硬化剤の合計含有量100質量部に対して、前記上塗り塗料中の前記水酸基含有ポリエステルの含有量は65〜95質量部の範囲内であり、前記上塗り塗料中の前記メラミン樹脂硬化剤の含有量は5〜35質量部の範囲内であり、前記上塗り塗料中の前記スルホン酸化合物の含有量は0.1〜2.0質量部の範囲内である、
    塗装鋼板の製造方法。
  2. 前記溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板のめっき層は、Al:1〜22質量%、Mg:0.05〜10質量%を含み、さらに、Ti:0.002〜0.1質量%、B:0.001〜0.45質量%、Si:0.005〜2.0質量%の1種または2種以上を含み、残部がZnおよび不可避的不純物からなる組成を有する、請求項1に記載の塗装鋼板の製造方法。
  3. 請求項1の製造方法で製造された、塗装鋼板。
  4. シャッター用のプレコート鋼板である、請求項3に記載の塗装鋼板。
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