JP4266524B2 - 塗装鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、折り曲げ等の加工部においてもクラックが発生しない加工性に優れた塗装鋼板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
Alを20〜95質量%含有する溶融亜鉛めっき鋼板を下地とした塗装鋼板は、特公昭46−7161号公報に記載されているように、下地のめっき鋼板が溶融亜鉛めっき鋼板に比べて高耐食性を有するため、優れた耐食性を示し、特にAlを55質量%含有する溶融亜鉛めっき鋼板表面に塗装を施した塗装鋼板を中心に、近年建材分野で需要が伸びている。
【0003】
Alを20〜95質量%含有する溶融亜鉛めっき鋼板は、熱間圧延後酸洗脱スケールした熱延鋼板、または冷延鋼板を連続式溶融めっき設備に装入して製造される。
【0004】
連続式溶融めっき設備において、鋼板は先ず還元性雰囲気に保持された焼鈍炉に入り、所定温度に加熱後、焼鈍と同時に鋼板表面に付着する圧延油等の除去、酸化膜の還元除去が行われた後、下端がめっき浴に浸漬されたスナウト内を通って、所定量のAlを含有した溶融亜鉛が入っているめっき浴内に浸漬される。
【0005】
めっき浴で所定のめっきを施された鋼板は、シンクロールを経由し、めっき浴の上方に引き上げられ、次いでめっき浴上に配置されたワイピングノズルから加圧した気体の噴射により、めっき付着量が調整され、その後、冷却されて所定のめっき皮膜を有する溶融めっき鋼板となる。
【0006】
通常、連続式溶融めっき設備では、焼鈍炉での熱処理条件、焼鈍炉の雰囲気条件、めっき浴組成やめっき後の冷却速度等の操業条件が所有のめっき品質や材質を確保するため、精度良く管理されている。
【0007】
このように製造されたAlを20〜95質量%含有する溶融亜鉛めっき鋼板のめっき皮膜は,めっき皮膜の膜厚方向に積層し、主としてZnを過飽和に含有したAlがデンドライト凝固した部分と、デンドライト間隙の部分からなっており、優れた耐食性が得られる。
【0008】
また、めっき浴に通常1.5質量%程度添加されているSiの働きにより、めっき皮膜/下地鋼板界面の合金相成長が抑制され、合金相の厚さは約1〜2μmと薄く、優れた耐食性を示す特徴的な皮膜構造の部分が多い。
【0009】
更に、合金相はめっき皮膜よりも硬く、加工時にクラック起点として作用するので、合金相の成長抑制はクラック発生を減じ、加工性向上効果をもたらすことが知られている。
【0010】
尚、めっき浴には不可避的不純物、鋼板やめっき浴中機器等から溶出するFe,合金相抑制のためのSiが含まれるが、それら以外にも何らかの元素が添加され、合金相やめっき皮膜中にはそれらの元素が合金あるいは単体として存在している。
【0011】
一方、塗装鋼板は、塗装後、成形加工して用いられ、加工時にクラック(塗膜の割れ)の発生を防止することが非常に重要となっている。上述したAlを20〜95質量%含有する溶融亜鉛めっき鋼板を下地とした塗装鋼板は、優れた耐食性を有する反面、めっきの加工性の影響を大きく受け、他のめっき、例えばAlを5質量%含有する亜鉛めっきを下地とした塗装鋼板(以下、5%Al−Zn塗装鋼板)に比べ、加工時にクラックが容易に発生し、加工強度が制限される場合が多い。
【0012】
クラックは、めっき皮膜/下地鋼板界面に存在する約1〜2μm厚の合金相を起点とするものであるが、めっき皮膜のデンドライト間隙部を伝播経路とするため、同一加工条件においても同一めっき皮膜厚の5%Al−Zn塗装鋼板と比し、開口部が大きく、肉眼で視認され、外観不良とされやすい傾向がある。
【0013】
この為、塗膜の柔軟化による加工性の改善や、特公昭61−28748号公報に開示されているように、めっき鋼板に所定の熱処理を施し、めっき鋼板自体の延性を改善することが提案されている。
【0014】
しかし、前者では、表面傷の発生が容易となるなど、他の特性が低下するため、厳しい加工を伴う用途には用いられず、後者では、めっき皮膜の延性が改善されたとしても、塗装を行った塗装鋼板としての加工性やクラックが発生することにより低下する加工部の耐食性が直接改善されるものではない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、5%Al−Zn塗装鋼板は、加工時にクラックの発生はないものの、耐食性に劣り、一方、Alを20〜95質量%含有する溶融亜鉛めっき鋼板を下地とした塗装鋼板は、折り曲げなどの加工の程度によって被加工部にクラックが発生するため、加工性の向上が望まれている。
【0016】
そこで本発明は、耐食性に優れたAlを20〜95質量%含有する溶融亜鉛めっき鋼板を下地とし、5%Al−Zn塗装鋼板を凌ぐ加工性に優れた塗装鋼板及びその製造方法を提供することを目的とすることにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成するため、Alを20〜95質量%含有する溶融亜鉛めっき鋼板を下地とする塗装鋼板としての加工性、加工部の耐食性を向上させる手段について鋭意検討を行い、最適なめっき皮膜と塗膜の構成を見出した。
【0018】
本発明はこれらの知見を基に更に検討を加えてなされたものであり、すなわち、本発明は、
1.溶融めっき鋼板の表面を塗装する塗装鋼板であって、
1).質量%で、Al:40〜70%、Si:1.0〜1.8%、Fe:10%未満、残部が不可避不純物を含む実質的なZnから構成され、塗装前に130℃以上、250℃以下に加熱保持された溶融めっき層、
但し、加熱昇温時間:t1(hr)はめっき皮膜が完全に凝固している温度より式(1)を満足する時間、保持時間:t2(hr)は30時間以内、且つ式(2)を満足する時間とする。
【0019】
7≦t1≦(T−30)/10 …(1)
ここでt1(hr),T(℃):最高加熱温度
3≦t2≦(280−T)/3 …(2)
ここでt2(hr)、T(℃):最高加熱温度
2).塗装前処理用化成処理皮膜、
3).塗膜厚が2μm以上、15μm以下の下塗り塗膜、
4).塗膜厚が5μm以上、30μm以下でガラス転移温度:30℃以上、90℃以下の上塗り塗膜、
を具備したことを特徴とする塗装鋼板。
【0020】
2. 下塗り塗膜がポリエステル系樹脂及び/又はエポキシ系樹脂を含むことを特徴とする1記載の塗装鋼板。
【0021】
3. 上塗り塗膜がポリエステル系樹脂を含むことを特徴とする1又は2記載の塗装鋼板。
【0022】
4. 上塗り塗膜にポリフッ化ビニリデン樹脂とアクリル樹脂を含むことを特徴とする1又は2記載の塗装鋼板。
【0023】
5. 塗装前の溶融めっき層の加熱保持が130℃以上、200℃以下で、加熱保持時間が式(3)、式(4)を満足することを特徴とする1乃至4の何れか一つに記載の塗装鋼板。
【0024】
加熱昇温時間:t1(hr)はめっき皮膜が完全に凝固している温度より式(3)を満足する時間、保持時間:t2(hr)は30時間以内、且つ式(4)を満足する時間とする。
【0025】
7≦t1≦(T−30)/10 …(3)
ここでt1(hr),T(℃):最高加熱温度
3≦t2≦(200−T)/2 …(4)
ここでt2(hr)、T(℃):最高加熱温度
6. 下塗り塗膜にクロム酸系化合物を塗膜の乾燥重量の1〜50重量%含むことを特徴とする1乃至5何れか一つに記載の塗装鋼板。
【0026】
7. 以下の工程を備えたことを特徴とする塗装鋼板の製造方法。
【0027】
1).質量%で、Al:40〜70%、Si:1.0〜1.8%、Fe:10%未満、残部が不可避不純物を含む実質的なZnから構成される溶融めっき層を有する溶融亜鉛めっき鋼板を、塗装前に130℃以上、250℃以下に加熱保持する工程、
但し、加熱昇温時間:t1(hr)はめっき皮膜が完全に凝固している温度より最高加熱温度まで式(1)を満足する時間、保持時間:t2(hr)は30時間以内、且つ式(2)を満足する時間とする。
【0028】
7≦t1≦(T−30)/10 …(1)
ここでt1(hr),T(℃):最高加熱温度
3≦t2≦(280−T)/3 …(2)
ここでt2(hr)、T(℃):最高加熱温度
2).塗装前処理用化成処理を行なう工程、
3).下塗り塗料を塗布し、焼付けし、塗膜厚が2μm以上、15μm以下の下塗り塗膜を形成する工程、
4).上塗り塗料を塗布し、焼付けし、塗膜厚が5μm以上、30μm以下、ガラス転移温度が30℃以上、90℃以下の上塗り塗膜を形成する工程。
【0029】
8. ポリエステル系樹脂及び/またはエポキシ系樹脂を含有する塗料を最高到達温度150℃以上270℃以下で焼付けて下塗り塗膜を形成し、
ポリエステル系樹脂またはポリフッ化ビニリデン樹脂とアクリル樹脂を含有する塗料を最高到達温度150℃以上280℃以下で焼付けて上塗り塗膜を形成することを特徴とする7記載の塗装鋼板の製造方法。
【0030】
9. 塗装前の溶融めっき層の加熱保持が130℃以上、200℃以下で、加熱保持時間が式(3)、式(4)を満足することを特徴とする7又は8に記載の塗装鋼板の製造方法。
【0031】
加熱昇温時間:t1(hr)はめっき皮膜が完全に凝固している温度より式(3)を満足する時間、保持時間:t2(hr)は30時間以内、且つ式(4)を満足する時間とする。
【0032】
7≦t1≦(T−30)/10 …(3)
ここでt1(hr),T(℃):最高加熱温度
3≦t2≦(200−T)/2 …(4)
ここでt2(hr)、T(℃):最高加熱温度
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明では、Alを質量%で、20〜95%含有する溶融めっき層を有する溶融亜鉛めっき鋼板を対象とし、溶融亜鉛めっき鋼板におけるめっき層、及び該鋼板を下地とする塗装膜を規定する。
【0034】
特に優れた加工部の耐食性を目的とする場合は、めっき皮膜が、45〜65質量%のAlと、0.7〜2.0質量%のSi,10質量%未満のFe,残部が不可避不純物を含む実質的なZnから構成される溶融めっき鋼板とすることが好ましい。
【0035】
1.溶融亜鉛めっき鋼板
本発明では、めっき皮膜の加工性を向上させるため、めっき皮膜を完全に凝固している温度から加熱し、一定時間保持する。
【0036】
加熱条件
めっき皮膜が完全に凝固している温度から、130℃以上、250℃以下の温度に加熱する。加熱温度は、めっき皮膜の加工性を十分向上させるため、130℃以上とし、250℃を超えると、めっき皮膜/下地鋼板界面の合金相が早く成長し、加工性を低下させるため、250℃以下とする。望ましくは200℃以下とする。
【0037】
加熱は、生産性の観点から加熱時間t1(hr)が、式1(式3)を満足し、該温度における保持時間t2が30時間以内、且つ式2を、望ましくは式4を満足するように行う。保持時間は30時間よりも長い場合、生産性を著しく低下させ、t2よりも長い場合、めっき皮膜/下地鋼板界面の合金相が成長し、加工性が低下する。
【0038】
尚、加熱処理方法は特に限定するものではないが、連続式溶融めっき設備内に加熱機構を設けインラインで行う方法と、コイルに巻き取ったものをオフラインでバッチ焼鈍設備によりコイル毎加熱する方法とが代表的なものとしてある。バッチ焼鈍設備の場合、大気雰囲気、窒素などの不活性ガス雰囲気のいずれでも良く、特に規定しない。
【0039】
但し、後者はコイルのハンドリング、セッテイング、昇温加熱等に時間を要し、生産性を低下させ、工業的原価を上昇させる場合がある。
【0040】
2.塗装前処理用化成処理
塗装前処理用化成処理法については、特に規定せず、クロメート処理、リン酸亜鉛処理、及び有機樹脂を主成分とする処理等を用いることができる。一般的に、環境を重視した場合は、有機樹脂を主成分とする処理、耐食性を重視した場合は、クロメート処理が用いられる。但し、リン酸亜鉛処理は工程が煩雑で、また、20〜70%質量%のアルミを含む亜鉛系めっき鋼板ではリン酸が反応が十分でない場合もあり得るので使用する場合にはその点を考慮する必要がある。
【0041】
3.下塗り塗膜
下塗り塗膜は厚さ2μm〜15μmとする。膜厚が2μmを下回ると十分な防錆性が得られず、一方、15μmを超えると耐傷付き性が低下し、工業的原価が上昇するため、2μm〜15μm(2μm以上、15μm以下)とする。
【0042】
下塗り塗膜の主樹脂は、本発明の作用効果を十分なものとする場合、ポリエステル系樹脂及び/又はエポキシ系樹脂を用いることが好ましい。
【0043】
ポリエステル系樹脂として、ビスフェノールA付加ポリエステル樹脂、エポキシ系樹脂として一部をウレタン樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂など変性したものが含まれる。
【0044】
ポリエステル系樹脂は、数平均分子量が1000〜30000、より好ましくは3000〜20000のものが好ましい。数平均分子量が1000未満では、塗膜の伸びが不十分で、十分な加工性が得られず、塗膜性能が不十分となる場合がある。
【0045】
一方、数平均分子量が30000を超えると主樹脂が高粘度となるため、過剰の希釈溶剤が必要で、塗料中に占める樹脂の比率が低下し、適正な塗膜が得られなくなり、他の配合成分との相溶性も低下する場合がある。
【0046】
また、主樹脂して、ビスフェノールA付加ポリエステル樹脂を使用する場合、樹脂中のビスフェノールAの含有量は、樹脂固形分中、1〜70質量%、より好ましくは3〜60質量%、特に好ましくは5〜50質量%とするのが好ましい。
【0047】
尚、それぞれの限定範囲において、下限は塗膜強度を確保し、上限は塗膜の伸びの観点から、規定される。
【0048】
上記ポリエステル樹脂を得るための多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレン、グリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールが挙げられる。
【0049】
更に1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリカプロラクトンポリオール、グリセリン、ソルビトール、アンニトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどが挙げられ、また、これらの多価アルコールを2種類以上組合わせて用いることもできる。
【0050】
又、ポリエステル樹脂を得るための多価塩基としては、フタル酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ハイミック酸、トリメリット酸が挙げられる。
【0051】
更に、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸、無水コハク酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられ、これらの多価塩基酸成分を2種類以上組合わせて用いることもできる。
【0052】
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA,ビスフェノールF,ビスフェノールS等のビスフェノール類とエピハロヒドリンあるいはβメチルエピハロヒドリンとからなるエポキシ化合物、またはこれらの共重合物が挙げられる。
【0053】
更に、これらのエポキシ化合物のモノカルボン酸あるいはジカルボン酸変性物、モノ、ジもしくはポリアルコール変性物、モノもしくはジアミン変性物、モノ、ジもしくはポリフェノール変性物もエポキシ樹脂として使用できる。
【0054】
また、硬化剤としては、ポリイソシアネート化合物または/及びアミノ樹脂を用いることができる。
【0055】
ポリイソシアネート化合物としては、一般的製法で得られるイソシアネート化合物を用いることができるが、特に1液型塗料としての使用が可能である、フェノール、クレゾール、芳香族第二アミン、第三級アルコール、ラクタム、オキシム等のブロック剤でブロック化されたポリイソシアネート化合物が好ましい。このブロック化ポリイソシアネート化合物を用いることにより1液での保存が可能となり、塗料としての使用が容易となる。
【0056】
また、更に好ましいポリイソシアネート化合物としては、非黄変性のヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDI)及びその誘導体、トリレンジイソシアネート(以下、TDI)及びその誘導体、4、4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDI)及びその誘導体、キシリレンジイソシアネート(以下、XDI)及びその誘導体、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDI)及びその誘導体、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(以下、TMDI)及びその誘導体、水添TDI及びその誘導体、水添MDI及びその誘導体、水添XDI及びその誘導体が挙げられる。
【0057】
さらに、スミジュール(商品名、住友バイエルウレタン(株)製)、デスモジュール(商品名、住友バイエルウレタン(株)製)、コロネード(商品名、日本ポリウレタン(株)製)などの市販のイソシアネート化合物も使用できる。
【0058】
硬化剤としてポリイソシアネート化合物を用いる場合、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基とベース樹脂中の水酸基との配合比[NCO/OH]はモル比で0.8〜1.2、より好ましくは0.90〜1.10の範囲とすることが望ましい。
【0059】
[NCO/OH]のモル比が0.8未満では塗膜の硬化が不十分であり、所望の塗膜硬度及び強度が得られない。
【0060】
一方、[NCO/OH]のモル比が1.2を超えると、過剰のイソシアネート基同士の或いはイソシアネート基とウレタン配合との副反応が生じて、塗膜の加工性が低下する。
【0061】
硬化剤であるアミノ樹脂としては、尿素、ベンゾグアナミン、メラミンなどとホルムアルデヒドとの反応で得られる樹脂、及びこれらをメタノール、ブタノールなどのアルコールによりアルキルエーテル化したものが使用できる。
【0062】
具体的には、メチル化尿素樹脂、n−ブチル化ベンゾグアナミン樹脂、メチル化メラミン樹脂、n−ブチル化メラミン樹脂、iso−ブチル化メラミン樹脂などを挙げることができる。
【0063】
さらに、サイメル(商品名、三井サイアナミッド(株)製)、ユーバン(商品名、三井化学(株)製)、スミマール(商品名、住友化学工業(株)製)、メラン(商品名、日立化成工業(株)製)等の市販のアミノ樹脂も使用できる。
【0064】
硬化剤としてアミノ樹脂を用いる場合、アミノ樹脂とベース樹脂との配合比(固形分の重量比)は、ベース樹脂/アミノ樹脂で(95/5)〜(65/35),望ましくは(90/10)〜(75/25)とすることが好ましい。
【0065】
硬化剤の配合量は、樹脂固形分中での割合で、9〜50質量%とするのが好ましい。9質量%未満では、塗膜硬度が十分でなく、50質量%を超えると加工性が不十分となる。
【0066】
また、このようにして得られた下塗り塗膜樹脂組成物には、目的、用途に応じてp−トルエンスルホン酸、オクトエ酸錫、ジブチル錫ジラウレートなどの硬化触媒、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、酸化チタン、弁柄、マイカ、カーボンブラック、アルミニウム粉などの顔料、クロム酸塩、リン酸塩など防錆顔料、その他消泡剤、流れ止め剤などの各種添加剤を添加することができる。
【0067】
前記、防錆顔料としてはクロム酸塩が含まれることが好ましい。これはクロム酸塩を含有することで、耐食性を向上させる効果があるためである。
【0068】
クロム酸塩としては、クロム酸ストロンチウム、クロム酸カリウム、クロム酸亜鉛、クロム酸カルシウム、クロム酸バリウム等が挙げられ、中でもクロム酸ストロンチウムが好適である。
【0069】
クロム酸塩の含有量は、下塗り塗膜の重量に対し、1重量%以下であると十分な防錆が得られず、50重量%以上であれば上塗り塗膜との十分な密着性が得られない。このためクロム酸塩の含有量は1〜50重量%とするのが好ましく、さらに好ましくは10〜45重量%である。
【0070】
4.上塗り塗膜
上塗り塗膜は、厚さ5μm〜30μmとする。膜厚が5μmを下回ると十分な加工性、加工部耐食性が得られず、一方、30μmを超えると加工性が低下し、工業的原価が上昇するため5μm〜30μm(5μm以上、30μm以下)とする。
【0071】
更に、上塗り塗膜は、ガラス転移点を30℃以上、90℃以下とする。ガラス転移点が、30℃以下では耐傷付き性が低下し、一方、90℃を超えると加工性が低下し、めっき鋼板の加工性が向上しても、塗装鋼板としての加工性は低下するため、30℃以上、90℃以下とする。
【0072】
上塗り塗膜の主樹脂は、本発明の作用効果を十分なものとする場合、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を用いることが好ましい。加工性の観点からはポリエステル系樹脂またはポリフッ化ビニリデン系樹脂がより好ましく、さらにコストを考慮するとポリエステル系樹脂が好ましい。
【0073】
ポリエステル系樹脂は、ポリエステル樹脂、シリコン変性ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂を含み、主剤樹脂の硬化剤としては、プライマーと同様にポリイソシアネート化合物又は/及びアミノ樹脂などを用いることが可能である。
【0074】
ポリエステル樹脂は、1分子中に少なくとも2個の水酸基を有し、且つ数平均分子量が1000〜20000の化合物であれば特に限定されるものではないが、2000〜20000が特に好ましい。
【0075】
2000未満では加工性が著しく低下する場合がある。一方、20000を超えると耐候性が低下し、高粘度になるため過剰の希釈溶剤が必要となり、塗料中の樹脂の比率が低下するため、適切な塗膜が得られなくなり、他の配合成分との相溶性も低下する場合がある。
【0076】
尚、ポリエステル樹脂の分子中の水酸基は、分子中の末端または側鎖のいずれにあってもよい。数平均分子量は、GPCにより測定したポリスチレン換算分子量とする。
【0077】
ポリエステル樹脂は、多塩基と多価アルコールを常法で加熱反応させて得られる共重合体である。
【0078】
多塩基酸成分としては例えば、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水トリメリット酸、マレイン酸、アジピン酸、フマル酸等を用いることができる。
【0079】
また、多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどを用いることができる。
【0080】
市販されているポリエステル樹脂としては、アルマテックス(商品名、三井化学(株)製)、アルキノール(商品名、住友バイエルウレタン(株)製)、デスモフェン(商品名、住友バイエルウレタン(株)製)、バイロン(商品名、東洋紡績(株)製)等がある。
【0081】
ポリフッ化ビニリデン系樹脂は上塗り塗膜成分として配合する場合、ポリフッ化ビニリデン樹脂とアクリル樹脂とを混合して使用する。
【0082】
ポリフッ化ビニリデン樹脂としては重量平均分子量が300000〜700000、融点150〜180℃のものが好ましい。例えば、日本ペンウオルト(株)製の「カイナー500(重量平均分子量:350000、融点:160〜165℃)」等が例示できる。
【0083】
ポリフッ化ビニリデン樹脂と混合するアクリル樹脂としては数平均分子量が1000〜2000のものが好ましい。またアクリル樹脂は以下のようなモノマーの少なくとも一種(但、少なくとも一種のアクリルモノマーを含む)を通常の方法により重合(または共重合)させることにより得ることができる。
【0084】
(1)(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等のヒドロキシル基を有するエチレン性モノマー。
【0085】
(2)(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸等のカルボキシル基を有するエチレン性モノマー。
【0086】
(3)(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、アクリン酸ブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の、上述のモノマー(1)及び(2)と共重合可能なエチレン性モノマー。
【0087】
(4)スチレン、αーメチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン等のスチレン誘導体。
【0088】
これらのモノマーのうち、水酸基やカルボキシル基などの官能基を有するモノマーを使用することにより、他の反応可能な成分との架橋反応が可能である。
【0089】
本発明に用いるアクリル樹脂は自己架橋性である必要はないが、自己架橋性とする場合には、分子中に2個以上のラジカル重合性不飽和結合を有するいわゆる架橋性モノマーを含有させる。ラジカル重合可能なモノマーとしては、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリエスリトールテトラメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、グリセロールジアクリレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルフタレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等の重合性不飽和化合物が挙げられる。架橋性モノマーはアクリル樹脂の20重量%まで添加することができる。
【0090】
ポリフッ化ビニリデン樹脂とアクリル樹脂との重量比(樹脂固形分の重量比)は[ポリフッ化ビニリデン樹脂]:[アクリル樹脂]=90:10〜50:50とすることが好ましい。アクリル樹脂に対するポリフッ化ビニリデン樹脂の重量比が90:10を超えるとチクソトロピー性が高まり、ロールコーターでの塗装が困難になるため仕上がりが不均一な塗膜となり塗装外観が劣る。一方、50:50を下回ると塗膜密着性の経時劣化が著しく、また耐候性も大きく低下するので好ましくない。
【0091】
さらに、ポリフッ化ビニリデン樹脂、アクリル樹脂を混合する場合、合計が塗膜の40重量部以上となるように配合することが好ましい。合計が40重量部未満では目的とする塗膜性能が十分に得られない。
【0092】
また、主樹脂であるポリエステル樹脂またはアクリル樹脂は硬化剤と組み合わせて使用される。ここで用いられる硬化剤としては、ポリイソシアネート化合物または/及びアミノ樹脂を用いることができる。
【0093】
ポリイソシアネート化合物としては、一般的製法で得られるイソシアネート化合物を用いることができるが、特に1液型塗料としての使用が可能である、フェノール、クレゾール、芳香族第二アミン、第三級アルコール、ラクタム、オキシム等のブロック剤でブロック化されたポリイソシアネート化合物が好ましい。このブロック化ポリイソシアネート化合物を用いることにより1液での保存が可能となり、塗料としての使用が容易となる。
【0094】
また、更に好ましいポリイソシアネート化合物としては、HDI及びその誘導体、TDI及びその誘導体、MDI及びその誘導体、XDI及びその誘導体、IPDI及びその誘導体、TMDI及びその誘導体、水添TDI及びその誘導体、水添MDI及びその誘導体、水添XDI及びその誘導体が挙げられる。
【0095】
さらに、スミジュール(商品名、住友バイエルウレタン(株)製)、デスモジュール(商品名、住友バイエルウレタン(株)製)、コロネード(商品名、日本ポリウレタン(株)製)などの市販のイソシアネート化合物も使用できる。
【0096】
硬化剤としてポリイソシアネート化合物を用いる場合、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基とベース樹脂中の水酸基との配合比[NCO/OH]はモル比で0.8〜1.2、より好ましくは0.90〜1.10の範囲とすることが望ましい。
【0097】
[NCO/OH]のモル比が0.8未満では塗膜の硬化が不十分であり、所望の塗膜硬度及び強度が得られない。
【0098】
一方、[NCO/OH]のモル比が1.2を超えると、過剰のイソシアネート基同士の或いはイソシアネート基とウレタン配合との副反応が生じて、塗膜の加工性が低下する。
【0099】
硬化剤であるアミノ樹脂としては、尿素、ベンゾグアナミン、メラミンなどとホルムアルデヒドとの反応で得られる樹脂、及びこれらをメタノール、ブタノールなどのアルコールによりアルキルエーテル化したものが使用できる。
【0100】
具体的には、メチル化尿素樹脂、n−ブチル化ベンゾグアナミン樹脂、メチル化メラミン樹脂、n−ブチル化メラミン樹脂、iso−ブチル化メラミン樹脂などを挙げることができる。
【0101】
さらに、サイメル(商品名、三井サイアナミッド(株)製)、ユーバン(商品名、三井化学(株)製)、スミマール(商品名、住友化学工業(株)製)、メラン(商品名、日立化成工業(株)製)等の市販のアミノ樹脂も使用できる。
【0102】
硬化剤としてアミノ樹脂を用いる場合、アミノ樹脂とベース樹脂との配合比(固形分の重量比)は、ベース樹脂/アミノ樹脂で(95/5)〜(65/35),望ましくは(90/10)〜(75/25)とすることが好ましい。
【0103】
硬化剤の配合量は、樹脂固形分中での割合で、9〜50質量%とするのが好ましい。9質量%未満では、塗膜硬度が十分でなく、50質量%を超えると加工性が不十分となる。
【0104】
上塗り塗料についても、下塗り塗料と同様の各種添加剤を必要に応じて添加することができる。
【0105】
5.製造方法
樹脂層を形成するための塗料組成物の塗装方法に特に規定しないが、ロールコーター塗装、カーテンフロー塗装などが好ましい。塗料組成物を塗装後、熱風加熱、赤外線加熱、誘導加熱などにより、塗膜を焼き付け、樹脂を架橋させて樹脂層を形成する。
【0106】
塗膜を加熱硬化させる焼付処理は、下塗り(プライマー)では最高到達温度を150℃以上、270℃以下とし、30秒〜3分間保持するのが好ましい。150℃未満では樹脂の重合反応が不十分で、溶剤に溶け出したり、耐食性が低下する。一方、270℃を超えると、反応が過剰となり、上塗り塗料との密着性が低下する場合がある。
【0107】
上塗りは、最高到達温度を150℃以上、280℃以下とし、30秒〜3分間保持するのが好ましい。150℃未満では樹脂の重合反応が不十分で、溶剤に溶け出したり、耐傷つき性が低下する。一方、280℃を超えると、反応が過剰となり、加工性が低下する場合がある。より好ましくは、200℃以上、280℃以下とする。
【0108】
【実施例】
本発明の効果を実施例により説明する。
【0109】
常法により製造した冷延鋼板(板厚0.5mm)を連続式溶融めっき設備に通板し、55%Al−Zn−1.5%Siめっき浴を用いて、溶融めっき鋼板を製造した。ラインスピードは、160m/secとし、片面めっき付着量は、75〜90g/m2とした。尚、比較例として、5%アルミー亜鉛溶融めっきによる溶融めっき鋼板も製造した。
【0110】
その後、バッチ焼鈍設備により熱処理条件(最高加熱温度、昇温加熱時間、保持時間)、及び下塗り、上塗り塗膜の条件を種々変化させて、塗装鋼板を製造した。
【0111】
次に、得られた塗装鋼板の加工性、加工部密着性、加工部耐食性および鉛筆硬度について評価を行った。
【0112】
加工性は、20℃の室内にて、180°の折り曲げを行い、目視評価でクラックなしの最小板はさみ枚数(T)を評価した。
【0113】
加工部密着性は、20℃の室内にて180°の6T折り曲げを行い、粘着テープを粘着・剥離し、折り曲げ部の塗膜の剥離率(面積率%)を測定した。
【0114】
加工部耐食性は、塗装鋼板を160mm×70mmに切断し、20℃の室内にて3T折り曲げを行い、4端部をタールエポキシ塗料でシールした試験片を用いて、JIS K 5621に規定される乾湿繰り返し条件を導入した促進試験(以下、CCT試験)を300サイクル実施した後、塗膜の膨れ率(面積率)を測定した。
【0115】
JIS K 5621によるCCT試験の条件は、「5%塩水噴霧、30℃、0.5時間→湿潤95%RH,30℃、1.5時間→乾燥20%RH、50℃、2時間→乾燥20%RH、30℃、2時間」を1サイクル(6時間)とし、これを所定の回数になるまで繰り返すというものである。
【0116】
鉛筆硬度はJIS K5400の8.4に基づいて、鉛筆硬度がHの鉛筆を用い、塗膜に傷が生じるか否かで判断した。
【0117】
表1、2に、供試鋼板の製造条件、評価結果を示す。表中、Tgはガラス転移温度を示す。尚、CCT試験を300サイクル行った場合の本発明の実施例を表1(但し、実施例2、4は、請求項5、9に対しては比較例となる)、比較例の結果を表2に示す。また、表3、4にプライマー塗膜成分、上塗り塗膜成分を示す。
【0118】
表1中、実施例1は、溶融めっき鋼板(めっき付着量は片面75g/mm2)に通常のクロメート処理を施した後、下塗り、上塗りした塗装鋼板の性能を評価したものである。
【0119】
下塗り塗料は、固形分換算で主樹脂としてブロックウレタン変性エポキシ樹脂(エポキー830、三井化学製)125重量部、顔料としてクロム酸ストロンチウム75重量部と酸化チタン25重量部とクレー25重量部を配合し、サンドミルで1時間攪拌して樹脂層用の塗料組成物を調整したものとし、乾燥塗膜厚が4μmになるようにバーコーターで塗布し、鋼板の到達温度220℃、焼付け時間38秒で焼付けた。
【0120】
上塗り塗料は、固形分換算で主樹脂としてポリエステル樹脂(アルマテックスP645,三井化学製):100重量部、硬化剤としてメチル化メラミン(サイメル303、三井化学製)25重量部、硬化触媒としてp−トルエンスルホン酸を0.2重量部と顔料として酸化チタンを100重量部配合し、サンドミルで1時間攪拌して樹脂層用の塗料組成物を調整したものとし、乾燥塗膜厚が13μmになるようにバーコーターで塗布し、鋼板の到達温度230℃、焼付け時間53秒で焼付けた。
【0121】
その後、TMA(セイコーインスツルメンツ製SS6100)にて0℃から150℃まで昇温スピード10℃/min,荷重10gでガラス転移点を測定したところ60℃であった。
【0122】
さらに、裏面にはポリエステル樹脂系裏面塗料を乾燥塗膜厚が6μmになるようにバーコーターで塗布し、鋼板の到達温度220℃、焼付け時間38秒で焼き付け、塗装鋼板を得た。
【0123】
表1から明らかなように、得られた塗装鋼板は加工性、加工部密着性、加工部耐食性、鉛筆硬度のいずれの評価試験でも良好な特性が得られた。
【0124】
実施例2〜5は、実施例1において、めっきの熱処理条件を、実施例6、7は、下塗り(プライマー)の塗膜厚を本発明の範囲内で変化させたものであり、良好な特性が得られている。尚、実施例2の熱処理条件は保持時間が、実施例4の熱処理条件は、最高加熱温度が240℃で、請求項4、請求項7の発明範囲外となっている。
【0125】
実施例8は、実施例1において、下塗り(プライマー)の主樹脂としてポリエステル樹脂(アルマテックスHMP27,三井化学製)を100重量部、硬化剤としてメチル化メラミン(サイメル303、三井化学製)25重量部、硬化触媒としてp−トルエンスルホン酸を0.2重量部に変更したもので、良好な特性が得られている。
【0126】
実施例9は、実施例1において、下塗り(プライマー)の主樹脂をウレタン変性エポキシ樹脂(エポキー802−302CX,三井化学製)に変更したもので、良好な特性が得られている。
【0127】
実施例10,11は、実施例1において上塗りの膜厚を本発明の範囲内で変化させたものであり、良好な特性が得られている。実施例12は、上塗りの主樹脂をアクリル樹脂(アルマテックス745−5M、三井化学製),実施例13は、ポリフッ化ビニリデン樹脂(カイナー500、日本ペンウォルト(株)製)とアクリル樹脂(パロライト、ロームアンドハース(株)製)とをフッ素樹脂/アクリル樹脂=70:30の比率で混合したもの、実施例14はポリエステル樹脂(アルマテックスP647BC)に変更したものであり、何れも良好な特性が得られている。
【0128】
実施例15は、実施例1において上塗りの硬化剤を主樹脂100重量部に対し、40重量部配合したものであり、良好な特性が得られている。
【0129】
一方、表2に示す比較例は何れかの条件が本発明範囲外であり、加工性等の特性が本発明実施例と比較して劣っている。
【0130】
比較例1は、めっきの熱処理条件、比較例2、3は、下塗り(プライマー)の塗膜厚、比較例4、5は、上塗りの塗膜厚、比較例6、7は、上塗りのガラス転移点が、本発明範囲外となっている。比較例8は、めっきの熱処理を行わず、比較例9は、下塗り(プライマー)が省略され、比較例11は、めっき下地が5%アルミー亜鉛溶融めっき鋼板で熱処理が省略となっている。
【0131】
【表1】
Figure 0004266524
【0132】
【表2】
Figure 0004266524
【0133】
【表3】
Figure 0004266524
【0134】
【表4】
Figure 0004266524
【0135】
【発明の効果】
本発明によれば、溶融亜鉛めっきを下地とし、折り曲げなどの加工部においても、耐食性が劣化しない加工性に優れた塗装鋼板およびその製造方法が得られ、産業上極めて有用である。

Claims (9)

  1. 溶融めっき鋼板の表面を塗装する塗装鋼板であって、
    1.質量%で、Al:40〜70%、Si:1.0〜1.8%、Fe:10%未満、残部が不可避不純物を含む実質的なZnから構成され、塗装前に130℃以上、250℃以下に加熱保持された溶融めっき層、
    但し、加熱昇温時間:t1(hr)はめっき皮膜が完全に凝固している温度より式(1)を満足する時間、保持時間:t2(hr)は30時間以内、且つ式(2)を満足する時間とする。
    7≦t1≦(T−30)/10 …(1)
    ここでt1(hr),T(℃):最高加熱温度
    3≦t2≦(280−T)/3 …(2)
    ここでt2(hr)、T(℃):最高加熱温度
    2.塗装前処理用化成処理皮膜、
    3.塗膜厚が2μm以上、15μm以下の下塗り塗膜、
    4.塗膜厚が5μm以上、30μm以下でガラス転移温度:30℃以上、90℃以下の上塗り塗膜、
    を具備したことを特徴とする塗装鋼板。
  2. 下塗り塗膜がポリエステル系樹脂及び/又はエポキシ系樹脂を含むことを特徴とする請求項1記載の塗装鋼板。
  3. 上塗り塗膜がポリエステル系樹脂を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の塗装鋼板。
  4. 上塗り塗膜にポリフッ化ビニリデン樹脂とアクリル樹脂を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の塗装鋼板。
  5. 塗装前の溶融めっき層の加熱保持が130℃以上、200℃以下で、加熱保持時間が式(3)、式(4)を満足することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一つに記載の塗装鋼板。
    加熱昇温時間:t1(hr)はめっき皮膜が完全に凝固している温度より式(3)を満足する時間、保持時間:t2(hr)は30時間以内、且つ式(4)を満足する時間とする。
    7≦t1≦(T−30)/10 …(3)
    ここでt1(hr),T(℃):最高加熱温度
    3≦t2≦(200−T)/2 …(4)
    ここでt2(hr)、T(℃):最高加熱温度
  6. 下塗り塗膜にクロム酸系化合物を塗膜の乾燥重量の1〜50重量%含むことを特徴とする請求項1乃至5何れか一つに記載の塗装鋼板。
  7. 以下の工程を備えたことを特徴とする塗装鋼板の製造方法。
    1.質量%で、Al:40〜70%、Si:1.0〜1.8%、Fe:10%未満、残部が不可避不純物を含む実質的なZnから構成される溶融めっき層を有する溶融亜鉛めっき鋼板を、塗装前に130℃以上、250℃以下に加熱保持する工程、
    但し、加熱昇温時間:t1(hr)はめっき皮膜が完全に凝固している温度より最高加熱温度まで式(1)を満足する時間、保持時間:t2(hr)は30時間以内、且つ式(2)を満足する時間とする。
    7≦t1≦(T−30)/10 …(1)
    ここでt1(hr),T(℃):最高加熱温度
    3≦t2≦(280−T)/3 …(2)
    ここでt2(hr)、T(℃):最高加熱温度
    2.塗装前処理用化成処理を行なう工程、
    3.下塗り塗料を塗布し、焼付けし、塗膜厚が2μm以上、15μm以下の下塗り塗膜を形成する工程、
    4.上塗り塗料を塗布し、焼付けし、塗膜厚が5μm以上、30μm以下、ガラス転移温度が30℃以上、90℃以下の上塗り塗膜を形成する工程。
  8. ポリエステル系樹脂及び/又はエポキシ系樹脂を含有する塗料を最高到達温度150℃以上270℃以下で焼付けて下塗り塗膜を形成し、ポリエステル系樹脂またはポリフッ化ビニリデン樹脂とアクリル樹脂を含有する塗料を最高到達温度150℃以上280℃以下で焼き付けて上塗り塗膜を形成することを特徴とする請求項7記載の塗装鋼板の製造方法。
  9. 塗装前の溶融めっき層の加熱保持が130℃以上、200℃以下で、加熱保持時間が式(3)、式(4)を満足することを特徴とする請求項7又は8に記載の塗装鋼板の製造方法。
    但し、加熱昇温時間:t1(hr)はめっき皮膜が完全に凝固している温度より式(3)を満足する時間、保持時間:t2(hr)は30時間以内、且つ式(4)を満足する時間とする。
    7≦t1≦(T−30)/10 …(3)
    ここでt1(hr),T(℃):最高加熱温度
    3≦t2≦(200−T)/2 …(4)
    ここでt2(hr)、T(℃):最高加熱温度
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