JP2023019125A - フッ素樹脂塗装鋼板 - Google Patents
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Abstract
【課題】加工性や耐候性等の他の物性を良好に維持しつつ、経時加工性に優れた塗装鋼板を提供する。【解決手段】上記目的を達成するべく、本発明は、溶融Al-Zn系めっき鋼板上10に、化成処理皮膜20、プライマー層30及びトップコート層40が形成された塗装鋼板であって、前記トップコート層40はポリフッ化ビニリデン樹脂の含有質量割合が50~80%である樹脂成分41と、着色顔料と、平均粒径が1~30μmで且つアスペクト比が5以上である、無機フィラー42を0.1~20質量%と、平均粒径が1~35μmで且つマイクロビッカース硬さが50HV0.05以下である、有機骨材43を0.1~15質量%と、を含むことを特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は、経時加工性に優れた塗装鋼板に関するものである。
めっき層中にAlを約55質量%、ケイ素を約1.6質量%含有し、残部が亜鉛となる標準組成を有する溶融Al-Zn系めっき鋼板(以下、「55%Al-Zn系めっき鋼板」ということがある。)は、優れた耐食性を示すことから、近年、建材分野を中心に需要が増加しつつある。
また、55%Al-Zn系めっき鋼板にフッ素系樹脂を塗装したフッ素樹脂塗装鋼板は、フッ素樹脂の優れた加工性及び耐候性から、エンボスロールで石や木を模倣した複雑な成形柄に嵌合形状を組み合わせた金属サイディングとして、住宅、店舗の壁材等に用いられている。
また、55%Al-Zn系めっき鋼板にフッ素系樹脂を塗装したフッ素樹脂塗装鋼板は、フッ素樹脂の優れた加工性及び耐候性から、エンボスロールで石や木を模倣した複雑な成形柄に嵌合形状を組み合わせた金属サイディングとして、住宅、店舗の壁材等に用いられている。
フッ素樹脂塗装鋼板として、例えば特許文献1には、表面に化成処理層と更にその上にプライマー層層とが形成されている金属板の最上面に、特定のフッ化ビニリデン樹脂を含むトップコート層が形成されている塗装金属板が開示されている。例えば、特許文献1に記載されているように、フッ化ビニリデン樹脂は熱可塑性樹脂であり、焼付後の急冷によって結晶化を抑制して非晶質することにより、優れた加工性を発現することが可能となる。
また、例えば特許文献2~4には、トップコート層を構成する材料として、ガラスフレーク、セラミックファイバー、炭化珪素粉体、アクリルポリマービーズ、4フッ化エチレン樹脂粉末等を用いることで、優れた加工性を維持しつつ、傷付きや摩耗性を向上させる技術が開示されている。
ただし、このようなフッ素樹脂塗装鋼板については、上述したように一定の加工性や耐候性向上効果を奏するものの、時間が経つと共にフッ素樹脂が結晶化し、加工性の劣化が進むという問題(経時加工性の問題)があった。
そのため、フッ素樹脂塗装鋼板の経時加工性の問題を解決するため、種々の技術が検討されている。
例えば特許文献5には、トップコート層を構成する材料として5μm以下の細かいフッ素系樹脂粒子を用いることにより、アクリル樹脂との相溶化を促進し、フッ素樹脂の結晶化を抑制するという技術が開示されている。
しかしながら、特許文献5の技術では、一定の加工性向上効果が得られるものの、3月程度経過したフッ素系樹脂のトップコート層では、結晶化を十分に抑えることができず、サイディング成形におけるエンボスロール加工時に、加工度のきつい部位でトップコート層にクラックが発生する。そのため、依然として経時加工性を改善できる技術の開発が望まれていた。
例えば特許文献5には、トップコート層を構成する材料として5μm以下の細かいフッ素系樹脂粒子を用いることにより、アクリル樹脂との相溶化を促進し、フッ素樹脂の結晶化を抑制するという技術が開示されている。
しかしながら、特許文献5の技術では、一定の加工性向上効果が得られるものの、3月程度経過したフッ素系樹脂のトップコート層では、結晶化を十分に抑えることができず、サイディング成形におけるエンボスロール加工時に、加工度のきつい部位でトップコート層にクラックが発生する。そのため、依然として経時加工性を改善できる技術の開発が望まれていた。
かかる事情を鑑み、本発明は、加工性や耐候性等の他の物性を良好に維持しつつ、経時加工性に優れた塗装鋼板を提供することを目的とする。
本発明者らは、溶融Al-Zn系めっき鋼板上に、化成処理皮膜及びプライマー層、並びに、フッ素系樹脂を含むトップコート層が形成されたフッ素樹脂塗装鋼板について、上記の課題を解決すべく検討を行った結果、トップコート層を構成するポリフッ化ビニリデン樹脂の含有質量割合を特定範囲に規定するとともに、トップコート層中に、亀裂伝播抑止剤としての効果がある無機フィラーと、応力緩和剤としての効果がある有機骨材を含有させることによって、フッ素樹脂の結晶化の有無に関わらず、トップコート層の亀裂伝播の抑制及び柔軟性の確保が可能となるため、加工性や耐候性等の他の物性を良好に維持しつつも、優れた経時加工性を実現できることを見出した。
本発明は、以上の知見に基づきなされたものであり、その要旨は以下の通りである。
1.溶融Al-Zn系めっき鋼板上に、化成処理皮膜、プライマー層及びトップコート層が形成された塗装鋼板であって、
前記トップコート層は、ポリフッ化ビニリデン樹脂及びアクリル樹脂を含有し、該ポリフッ化ビニリデン樹脂の含有質量割合が50~80%である樹脂成分と、
着色顔料と、
平均粒径が1~30μmで且つアスペクト比が5以上である、無機フィラー0.1~20質量%と、
平均粒径が1~35μmで且つマイクロビッカース硬さが50HV0.05以下である、有機骨材0.1~15質量%と、
を含むことを特徴とする、フッ素樹脂塗装鋼板。
1.溶融Al-Zn系めっき鋼板上に、化成処理皮膜、プライマー層及びトップコート層が形成された塗装鋼板であって、
前記トップコート層は、ポリフッ化ビニリデン樹脂及びアクリル樹脂を含有し、該ポリフッ化ビニリデン樹脂の含有質量割合が50~80%である樹脂成分と、
着色顔料と、
平均粒径が1~30μmで且つアスペクト比が5以上である、無機フィラー0.1~20質量%と、
平均粒径が1~35μmで且つマイクロビッカース硬さが50HV0.05以下である、有機骨材0.1~15質量%と、
を含むことを特徴とする、フッ素樹脂塗装鋼板。
2.前記トップコート層中の前記無機フィラー及び前記有機骨材の合計含有量が、0.2~35質量%であることを特徴とする、前記1に記載のフッ素樹脂塗装鋼板。
3.前記溶融Al-Zn系めっき鋼板のめっき層は、Al:20~95質量%、Si:1~3質量%及び任意添加成分:5質量%以下を含有し、残部がZn及び不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする、前記1又は2に記載のフッ素樹脂塗装鋼板。
4.前記めっき層は、Al:50~60質量%、Si:1~3質量%及び任意添加成分:5質量%以下を含有し、残部がZn及び不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする、前記3に記載のフッ素樹脂塗装鋼板。
5.前記めっき層は、デンドライト相及びインターデンドライト相を有し、該デンドライト相のビッカース硬さが、10~110HV0.1であることを特徴とする、前記3又は4項に記載のフッ素樹脂塗装鋼板。
本発明によれば加工性や耐候性等の他の物性を良好に維持しつつ、経時加工性に優れた塗装鋼板を提供できる。
以下、必要に応じて図面を参照しながら、本発明のフッ素樹脂塗装鋼板の実施形態について説明する。なお、図面中に示した各構成要素は、説明の便宜のために模式的に示されており、実際の寸法や形状とは異なる部分もある。
本発明のフッ素樹脂塗装鋼板(以下、「本発明の塗装鋼板」ということもある。)は、図1に示すように、溶融Al-Zn系めっき鋼板上10に、化成処理層20とプライマー層30及びトップコート層40が形成された塗装鋼板である。
そして、前記トップコート層40は、ポリフッ化ビニリデン樹脂及びアクリル樹脂を含有し、該ポリフッ化ビニリデン樹脂の含有質量割合が50~80%である樹脂成分41と、
着色顔料(図示せず)と、
平均粒径が1~30μmで且つアスペクト比が5以上である、無機フィラー42を0.1~20質量%と、
平均粒径が1~35μmで且つマイクロビッカース硬さが50HV0.05以下である、有機骨材43を0.1~15質量%と、
を含むことを特徴とする。
そして、前記トップコート層40は、ポリフッ化ビニリデン樹脂及びアクリル樹脂を含有し、該ポリフッ化ビニリデン樹脂の含有質量割合が50~80%である樹脂成分41と、
着色顔料(図示せず)と、
平均粒径が1~30μmで且つアスペクト比が5以上である、無機フィラー42を0.1~20質量%と、
平均粒径が1~35μmで且つマイクロビッカース硬さが50HV0.05以下である、有機骨材43を0.1~15質量%と、
を含むことを特徴とする。
前記トップコート層が、平均粒径が1~30μmで且つアスペクト比が5以上である、無機フィラー42を含むことによって、該無機フィラー42が亀裂伝播抑止剤としての作用を発揮することができる。また、前記トップコート層が、平均粒径が1~35μmで且つマイクロビッカース硬さが50HV0.05以下である、有機骨材43を含むことによって、該有機骨材43が応力緩和剤としての作用を発揮することができる。それによって、塗装鋼板を曲げ加工した際、トップコート40の表層側から発生するクラックの伝搬を抑制できるとともに、トップコート層40にかかる引っ張り応力を分散し、クラックの発生を抑制できる結果、本発明のフッ素樹脂塗装鋼板は優れた耐経時加工性を実現できる。
なお、前記トップコート層40中にポリフッ化ビニリデン樹脂を一定量(基体樹脂中の質量割合で50~80%)含有することで、加工性や耐候性等についても良好に維持できる。
なお、前記トップコート層40中にポリフッ化ビニリデン樹脂を一定量(基体樹脂中の質量割合で50~80%)含有することで、加工性や耐候性等についても良好に維持できる。
以下、本発明のフッ素樹脂塗装鋼板を構成する各部材について説明する。
上述したように、本発明のフッ素樹脂塗装鋼板は、溶融Al-Zn系めっき鋼板上10に、化成処理層20とプライマー層30及びトップコート層40が形成され溶融Al-Zn系めっき鋼板上10に、化成処理層20とプライマー層30及びトップコート層40が形成されたものである。
上述したように、本発明のフッ素樹脂塗装鋼板は、溶融Al-Zn系めっき鋼板上10に、化成処理層20とプライマー層30及びトップコート層40が形成され溶融Al-Zn系めっき鋼板上10に、化成処理層20とプライマー層30及びトップコート層40が形成されたものである。
(溶融Al-Zn系めっき鋼板)
本発明のフッ素樹脂塗装鋼板は、鋼板として溶融Al-Zn系めっき鋼板を用いる。溶融Al-Zn系めっき鋼板を用いることで、高い耐食性を確保できる。
ここで、前記溶融Al-Zn系めっき鋼板の種類については、特に限定はされず、要求される性能や用途に応じて適宜選択することができる。例えば、本発明のフッ素樹脂塗装鋼板を建材用として用いる場合には、高い耐久性が要求されるため、55%Al-Zn系めっき鋼板等を用いることができる。
本発明のフッ素樹脂塗装鋼板は、鋼板として溶融Al-Zn系めっき鋼板を用いる。溶融Al-Zn系めっき鋼板を用いることで、高い耐食性を確保できる。
ここで、前記溶融Al-Zn系めっき鋼板の種類については、特に限定はされず、要求される性能や用途に応じて適宜選択することができる。例えば、本発明のフッ素樹脂塗装鋼板を建材用として用いる場合には、高い耐久性が要求されるため、55%Al-Zn系めっき鋼板等を用いることができる。
前記溶融Al-Zn系めっき鋼板は、下地鋼板上にめっき層が形成されたものである。該めっき層の組成については、良好な耐食性を有することができれば特に限定はされない。例えば、前記溶融Al-Zn系めっき鋼板のめっき層が、Al:20~95重量%、Si:1~3重量%及び任意添加成分:5重量%以下を含有し、残部がZn及び不可避的不純物からなる組成を有することができる。前記めっき層が、上述した組成を有することによって、めっき層中にデンドライト相及び該デンドライト相を網目状に取り囲んだインターデンドライト相を形成でき、耐食性の向上を図ることができる。
また、同様の観点から、前記めっき層は、JIS G 3321(2019年)5.1に規定された「めっき浴成分」の組成、具体的には、Al:50~60質量%、Si:1~3質量%及び任意添加成分:5質量%以下を含有し、残部がZn及び不可避的不純物からなる組成を有することが好ましい。
ここで、前記めっき層中のAl含有量は、耐食性と操業面のバランスから、20~95質量%とし、好ましくは50~60質量%である。前記めっき層のAl含有量が少なくとも20質量%あれば、Alのデンドライト凝固が十分に起こる。これにより、前記主層は主としてZnを過飽和に含有し、Alがデンドライト凝固した部分(α-Alのデンドライト相)と残りのデンドライト間隙の部分(インターデンドライト相)からなり且つ該デンドライト相がめっき層の膜厚方向に積層した耐食性に優れる構造を実現できる。
また、このα-Al相のデンドライト部分が、多く積層するほど、腐食進行経路が複雑になり、腐食が容易に下地鋼板に到達しにくくなるので、耐食性が向上する。一方、前記めっき層中のAl含有量が95質量%を超えると、Feに対して犠牲防食作用をもつZnの含有量が少なくなり、耐食性が劣化する。このため、前記めっき層中のAl含有量は95質量%以下とする。
また、このα-Al相のデンドライト部分が、多く積層するほど、腐食進行経路が複雑になり、腐食が容易に下地鋼板に到達しにくくなるので、耐食性が向上する。一方、前記めっき層中のAl含有量が95質量%を超えると、Feに対して犠牲防食作用をもつZnの含有量が少なくなり、耐食性が劣化する。このため、前記めっき層中のAl含有量は95質量%以下とする。
また、前記めっき層中のSiは、下地鋼板との界面に生成する界面合金層の成長を抑制する目的で、耐食性や加工性の向上を目的にめっき浴中に添加され、必然的に前記主層に含有される。本発明の塗装鋼板で用いる溶融Al-Zn系めっき鋼板の場合、めっき浴中にSiを含有させて溶融めっき処理を行うと、下地鋼板がめっき浴中に浸漬されると同時に、鋼板表面のFeと浴中のAlやSiが合金化反応し、Fe-Al系及び/又はFe-Al-Si系の化合物からなる合金を生成する。このFe-Al-Si系界面合金層の生成によって、界面合金層の成長を抑制することができる。そして、前記めっき層中のSi含有量が1質量%以上の場合には、前記界面合金層の成長を十分に抑制できる。一方、めっき層のSi含有量が、3質量%を超えた場合、めっき層において、加工性を低下させ、カソードサイトとなるSi相が析出し易くなる。このため、めっき層中のSi含有量は3質量%以下とする。
前記めっき層は、該めっき層の主成分としてZnを含有する。前記めっき層にZnを含有することで、犠牲防食作用を得ることができ、耐食性の向上を図ることが可能となる。一方、前記Znの含有量が80質量%以下の場合には、Alの含有量を確保でき、上述したデンドライト相とインターデンドライト相による耐食性を実現できる点で好ましい。
さらに、前記めっき層は、上述したAl、Si及びZnに加えて、任意添加成分を5質量%以下含有することができる。
ここで、前記任意添加成分としては、めっき層に要求される性能に応じて適宜選択することが可能である。例えば、CaやMg等のアルカリ土類金属や、Mn、V、Cr、Mo、Ti、Sr、Ni、Co、Sb及びB等の添加成分が挙げられる。
これらの任意添加成分については、耐食性をより向上できる等の効果が得られるものの、めっき層の加工性が低下し、塗装鋼板の限界伸び率を悪化させるおそれがあるため、任意添加の含有量は5質量%以下であることが好ましい。
ここで、前記任意添加成分としては、めっき層に要求される性能に応じて適宜選択することが可能である。例えば、CaやMg等のアルカリ土類金属や、Mn、V、Cr、Mo、Ti、Sr、Ni、Co、Sb及びB等の添加成分が挙げられる。
これらの任意添加成分については、耐食性をより向上できる等の効果が得られるものの、めっき層の加工性が低下し、塗装鋼板の限界伸び率を悪化させるおそれがあるため、任意添加の含有量は5質量%以下であることが好ましい。
前記めっき層は、耐食性の観点から、前記任意添加成分として、Mg及び/又はCaを含有することができる。前記めっき層が腐食した際、腐食生成物中にMg及び/又はCaが含まれることとなり、腐食生成物の安定性が向上し、腐食の進行が遅延する結果、耐食性が向上するという効果が得られる。前記Ca及び/又はMgの合計含有量は、5質量%以下であれば特に限定はされないが、0.01~5質量%であることが好ましい。含有量を0.01質量%以上とすることで、十分な腐食遅延効果が得られ、一方、含有量を5質量%以下とすることで、効果が飽和することなく、製造コストの上昇を抑え、めっき浴の組成管理を容易に行えるためである。
また、前記めっき層は、前記Mgを少なくとも含有することが好ましい。前記めっき層がMgを含有することで、上述したSiとともにMg2Siを生成できるようになり、腐食遅延効果を得ることができるからである。ここで、前記めっき層中のMgの含有量は、0.01~5質量%であることが好ましく、2~4.9質量%であることがより好ましい。
また、前記めっき層は、前記Mgを少なくとも含有することが好ましい。前記めっき層がMgを含有することで、上述したSiとともにMg2Siを生成できるようになり、腐食遅延効果を得ることができるからである。ここで、前記めっき層中のMgの含有量は、0.01~5質量%であることが好ましく、2~4.9質量%であることがより好ましい。
さらに、前記任意添加成分としてのCaやMgのアルカリ土類金属と同様に、腐食生成物の安定性を向上させ、腐食の進行を遅延させる効果を奏することから、前記めっき層は、前記任意添加成分として、さらにMn、V、Cr、Mo、Ti、Sr、Ni、Co、Sb及びBのうちから選択される一種又は二種以上を、合計で5質量%以下、好ましくは0.01~5質量%含有することもできる。
なお、前記めっき層は、めっき処理中にめっき浴と下地鋼板の反応でめっき中に取り込まれる下地鋼板成分や、めっき浴中の不可避的不純物が含まれる。前記めっき中に取り込まれる下地鋼板成分としては、Feが最大で2%程度含まれることがある。めっき浴中の不可避的不純物の種類としては、例えば、Fe、Cu、Zr等が挙げられる。前記めっき層中のFeについては下地鋼板から取り込まれるものと、めっき浴中にあるものとを区別して定量することはできない。不可避的不純物の総含有量は特に限定はしないが、めっきの耐食性と均一な溶解性を維持するという観点から、Feを除いた不可避的不純物量は合計で1質量%以下であることが好ましい。
なお、前記界面合金層については、前記めっき層のうち、下地鋼板との界面に存在する層であり、上述したように、鋼板表面のFeと浴中のAlやSiが合金化反応して必然的に生成するFe-Al系及び/又はFe-Al-Si系の化合物である。この界面合金層は、硬くて脆いため、厚く成長すると加工時のクラック発生の起点となることから、できるだけ薄くすることが好ましい。
なお、下地鋼板上に前記めっき層を形成する手段としては、特に限定はされず、通常の連続式溶融めっき設備を用いることができる。例えば、下地鋼板は還元性雰囲気に保持された焼鈍炉内で所定温度に加熱され、焼鈍と同時に鋼板表面に付着する圧延油等の除去、酸化膜の還元除去が行われた後、下端がめっき浴に浸漬されたスナウト内を通って所定濃度のAl及びZnを含有した溶融亜鉛めっき浴中に浸漬される。その後、めっき浴に浸漬された鋼板は、シンクロールを経由してめっき浴の上方に引き上げられた後、めっき浴上に配置されたガスワイピングノズルから鋼板の表面に向けて加圧した気体を噴射することによりめっき付着量が調整され、次いで冷却装置により冷却されることで、めっき層が形成される。
また、前記めっき層が、任意添加成分を含有しない場合、例えば200℃×24時間程度の熱処理を施すことによって、塗膜形成前の溶融Al-Zn系めっき鋼板の限界伸び率を20%程度、あるいはそれ以上にまで向上させることができる。これは、アルミリッチなデンドライト相中に過飽和固溶したZnが上記の熱処理によって排出されることでめっき層が軟質化するためと考えられる。
一方で、任意添加成分を含んだ組成を有するめっき層の場合には、このような熱処理による加工性の向上効果は小さく、例えば、前記任意添加成分としてMgを2~4.9%添加した場合には、熱処理後の限界伸び率は5%未満に留まる。この理由は、未だ明らかでは無いが、Al中の溶解度が高いことから熱処理後もアルミリッチなデンドライト相中に固溶元素として留まることなどが影響していると推定される。
一方で、任意添加成分を含んだ組成を有するめっき層の場合には、このような熱処理による加工性の向上効果は小さく、例えば、前記任意添加成分としてMgを2~4.9%添加した場合には、熱処理後の限界伸び率は5%未満に留まる。この理由は、未だ明らかでは無いが、Al中の溶解度が高いことから熱処理後もアルミリッチなデンドライト相中に固溶元素として留まることなどが影響していると推定される。
さらに、前記めっき層の組織中には、デンドライト相及びインターデンドライト相を有するが、デンドライト相のビッカース硬さが10~110Hv0.01であることが好ましい。前記デンドライト相のビッカース硬さを10~110Hv0.01と小さくすることで、塗装鋼板の加工性を高め、加工後耐食性をより高めることができる。前記デンドライト相のビッカース硬さが110Hv0.01を超えると、加工性を十分に得られないおそれがあり、一方、前記デンドライト相のビッカース硬さが10Hv0.01未満の場合には、めっき層表面の耐傷つき性を低下させるおそれがあるためである。同様の観点から、前記デンドライト相のビッカース硬さは、20~100Hv0.01であることが好ましく、30~90Hv0.01であることがより好ましい。
なお、前記デンドライト相のビッカース硬さについては、サンプルのフッ素樹脂塗装鋼板を、常温乾燥樹脂で埋め込んだ後に研磨し、露出した断面からめっき層のデントライト相を選択し、微小硬度計(例えば島津製作所製微小硬度計HMV-G21)を用い、選択したデンドライト相のビッカース硬さを測定できる。測定方法はJIS Z 2244に準拠し、めっき層の場合は押し込み荷重0.98mN(0.1gf)の条件(Hv0.1)で試験を実施している。
(化成処理皮膜)
本発明のフッ素樹脂塗装鋼板は、前記溶融めっき鋼板のめっき層上に、化成処理皮膜を形成する。前記めっき層上に化成処理皮膜を形成することで、フッ素樹脂塗装鋼板の耐食性をより高めることができる。
本発明のフッ素樹脂塗装鋼板は、前記溶融めっき鋼板のめっき層上に、化成処理皮膜を形成する。前記めっき層上に化成処理皮膜を形成することで、フッ素樹脂塗装鋼板の耐食性をより高めることができる。
前記化成処理皮膜の種類や形成条件については、特に限定はされず、要求される性能に応じて適宜選択することができる。
例えば、クロメート処理液又はクロムフリー化成処理液を塗布し、水洗することなく、鋼板温度として80~300℃となる乾燥処理を行うクロメート処理又はクロメートフリー化成処理により形成することが可能である。なお、前記化成処理皮膜は、労働作業環境等に配慮する場合には、クロメートフリー処理によって形成すること(つまり、化成処理皮膜中にクロムを含有しないこと)が好ましい。
例えば、クロメート処理液又はクロムフリー化成処理液を塗布し、水洗することなく、鋼板温度として80~300℃となる乾燥処理を行うクロメート処理又はクロメートフリー化成処理により形成することが可能である。なお、前記化成処理皮膜は、労働作業環境等に配慮する場合には、クロメートフリー処理によって形成すること(つまり、化成処理皮膜中にクロムを含有しないこと)が好ましい。
(プライマー層)
本発明のフッ素樹脂塗装鋼板は、前記化成皮膜と前記トップコート層との間に、プライマー層を形成する。前記化成皮膜と前記トップコート層との間にプライマー層を形成することで、後述するトップコート層の溶融Al-Zn系めっき鋼板との接着性をより高めることができ、耐食性や防錆性についてさらに向上させることもできる。
本発明のフッ素樹脂塗装鋼板は、前記化成皮膜と前記トップコート層との間に、プライマー層を形成する。前記化成皮膜と前記トップコート層との間にプライマー層を形成することで、後述するトップコート層の溶融Al-Zn系めっき鋼板との接着性をより高めることができ、耐食性や防錆性についてさらに向上させることもできる。
前記プライマー層の膜厚については、特に限定はされず、要求される性能に応じて適宜調整することが可能である。
例えば、防錆性と加工性との両立を図る観点から、前記プライマー層の膜厚を、2~15μmとすることができる。膜厚が2μm以上の場合には十分な防錆性が得られ、一方、15μm以下の場合には十分な加工性を確保できる。
例えば、防錆性と加工性との両立を図る観点から、前記プライマー層の膜厚を、2~15μmとすることができる。膜厚が2μm以上の場合には十分な防錆性が得られ、一方、15μm以下の場合には十分な加工性を確保できる。
ここで、前記プライマー層は、塗装鋼板の防錆性を向上させる観点から、防錆剤を含有することができる。前記防錆剤については、クロム酸塩を含むクロメートタイプ又はクロム酸塩を用いないクロメートフリータイプのどちらを用いることもできる。ただし、労働作業環境等に配慮する場合は、クロメートフリータイプ(つまり、プライマー層中にクロムを含有しないこと)が好ましく、以下は、クロメートフリータイプのプライマー層について説明する。
前記プライマー層のマトリックス成分を構成する樹脂としては、特に限定はされないが、作業性、耐食性、防錆性等の観点から、ポリエステル系樹脂及び/又はエポキシ系樹脂を用いることが好ましい。
また、前記ポリエステル系樹脂については、ウレタン結合を有するポリエステル樹脂を主成分とすることが好ましい。
ここで、前記ウレタン結合を有するポリエステル樹脂としては、ポリエステルポリオールと、イソシアネート基を2個以上もつ、ジイソシアネートまたはポリイソシアネートとの反応によって得られる樹脂など、公知のものが使用できる。
また、ポリエステルポリオールと、イソシアネート基を2個以上もつ、ジイソシアネート又はポリイソシアネートとを水酸基過剰な状態で反応させた樹脂(ウレタン変性ポリエステル樹脂)を、ブロック化ポリイソシアネートで硬化させた樹脂も使用できる。
ここで、前記ウレタン結合を有するポリエステル樹脂としては、ポリエステルポリオールと、イソシアネート基を2個以上もつ、ジイソシアネートまたはポリイソシアネートとの反応によって得られる樹脂など、公知のものが使用できる。
また、ポリエステルポリオールと、イソシアネート基を2個以上もつ、ジイソシアネート又はポリイソシアネートとを水酸基過剰な状態で反応させた樹脂(ウレタン変性ポリエステル樹脂)を、ブロック化ポリイソシアネートで硬化させた樹脂も使用できる。
前記ポリエステルポリオールは、多価アルコール成分と多塩基酸成分との脱水縮合反応を利用した、公知の方法により得ることができる。
前記多価アルコールは、グリコール及び3価以上の多価アルコールが挙げられる。グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、メチルプロパンジオール、シクロヘキサンジメタノール、3,3-ジエチル-1,5-ペンタンジオールなどが挙げられる。また、3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらの多価アルコールは、単独で使用することもでき、二種以上組み合わせて使用することもできる。
前記多塩基酸は、通常、多価カルボン酸が使用されるが、必要に応じて1価の脂肪酸などを併用することができる。多価カルボン酸としては、例えば、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、4-メチルヘキサヒドロフタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸、トリメリット酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、アゼライン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ピロメリット酸、ダイマー酸等及びこれらの酸無水物や、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、テトラヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等が挙げられる。これらの多塩基酸は、単独で使用することもでき、二種以上組み合わせて使用することもできる。
前記多価アルコールは、グリコール及び3価以上の多価アルコールが挙げられる。グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、メチルプロパンジオール、シクロヘキサンジメタノール、3,3-ジエチル-1,5-ペンタンジオールなどが挙げられる。また、3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらの多価アルコールは、単独で使用することもでき、二種以上組み合わせて使用することもできる。
前記多塩基酸は、通常、多価カルボン酸が使用されるが、必要に応じて1価の脂肪酸などを併用することができる。多価カルボン酸としては、例えば、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、4-メチルヘキサヒドロフタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸、トリメリット酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、アゼライン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ピロメリット酸、ダイマー酸等及びこれらの酸無水物や、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、テトラヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等が挙げられる。これらの多塩基酸は、単独で使用することもでき、二種以上組み合わせて使用することもできる。
前記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート、そして、キシリレンジイソシアネート(XDI)、メタキシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)などの芳香族ジイソシアネート、さらに、イソホロンジイソシアネート、水素化XDI、水素化TDI、水素化MDIなどの環状脂肪族ジイソシアネート、及び、これらのアダクト体、ビウレット体、イソシアヌレート体等が挙げられる。これらのポリイソシアネート化合物は、単独で使用することもでき、二種以上組み合わせて使用することもできる
前記ウレタン結合を有するポリエステル樹脂は、可撓性と強度を兼ね備えており、加工を受けた際、前記プライマー層にクラックが発生するのを抑えることができる等の効果が得られる。また、ウレタン樹脂を含有する化成処理皮膜との親和性が高く、特に加工部の耐食性向上に寄与する。
ここで、前記ウレタン結合を有するポリエステル樹脂の水酸基価は、耐溶剤性、加工性等の点から、好ましくは5~120mgKOH/gであり、より好ましくは、7~100mgKOH/gであり、さらに好ましくは10~80mgKOH/gである。
ここで、前記ウレタン結合を有するポリエステル樹脂の水酸基価は、耐溶剤性、加工性等の点から、好ましくは5~120mgKOH/gであり、より好ましくは、7~100mgKOH/gであり、さらに好ましくは10~80mgKOH/gである。
また、前記ウレタン結合を有するポリエステル樹脂の数平均分子量は、耐溶剤性、加工性等の点から、好ましくは500~15,000であり、より好ましくは、700~12,000であり、さらに好ましくは800~10,000である。
なお、前記ポリエステル樹脂は、プライマー層中に、40~88質量%含まれることが好ましい。40質量%未満では、プライマー層としてのバインダー機能が低下し、88質量%を超えると、下記に示す無機物による機能、例えばインヒビター作用が低下することがあるためである。なお、前記プライマー層に含有する無機物は、インヒビターとして機能するバナジウム化合物、リン酸化合物、マグネシウム酸化物等が含まれてもよい。
前記インヒビターとして作用するバナジウム化合物の種類については、例えば、五酸化バナジウム、メタバナジン酸、メタバナジン酸アンモニウム、オキシ三塩化バナジウム、三酸化バナジウム、二酸化バナジウム、バナジン酸マグネシウム、バナジルアセチルアセトネート、バナジウムアセチルアセトネート等が挙げられる。これらの中でも、前記バナジウム化合物として、4価のバナジウム化合物又は還元若しくは酸化することによって得られる4価のバナジウム化合物を用いることが好ましい。前記プライマー層中に添加するバナジウム化合物は、化成処理皮膜に添加するバナジウム化合物と同種であっても異種であってもよい。前記バナジン酸化合物は、外部から侵入してくる水分に徐々に溶出するバナジン酸イオンと亜鉛系めっき鋼板表面のイオンが反応し、密着性の良い不働態皮膜を形成し、金属露出部を保護し防錆作用が現れると考えられている。
また、前記プライマー層中のバナジウム化合物の含有量は、4~20質量%であることが好ましい。4質量%未満ではインヒビター効果が低下して耐食性の低下を招くおそれがあり、20質量%を超えるとプライマー層の耐湿性の低下を招くおそれがあるからである。
前記インヒビターとして作用するリン酸化合物の種類については、例えば、リン酸、リン酸のアンモニウム塩、リン酸のアルカリ金属塩、リン酸のアルカリ土類金属塩等を使用できる。これらの中でも、リン酸カルシウム等の、リン酸のアルカリ金属塩を用いることが好適である。
また、前記プライマー層中のリン酸化合物の含有量は、4~20質量%であることが好ましい。4質量%未満ではインヒビター効果が低下して耐食性の低下を招くおそれがあり、20質量%を超えるとプライマー層の耐湿性の低下を招くおそれがあるからである。
前記インヒビターとして作用する酸化マグネシウムは、初期の腐食によって生じた生成物を難溶性のマグネシウム塩として、安定化する効果がある。前記プライマー層中の酸化マグネシウムの添加量は、4~20質量%であることが好ましい。4質量%未満では上記効果が低下して耐食性の低下を招くおそれがあり、20質量%を超えるとプライマー層の可撓性が低下することにより特に加工部の耐食性が低下するおそれがあるからである。
なお、前記プライマー層を形成する際に用いられる架橋剤は、前記ウレタン結合を有するポリエステル樹脂と反応して架橋塗膜を形成するものであり、ブロック化ポリイソシアネート化合物であることが好ましい。前記ブロック化ポリイソシアネートとしては、例えば、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基を、例えば、ブタノール等のアルコール類、メチルエチルケトオキシムなどのオキシム類、ε-カプロラクタム類などのラクタム類、アセト酢酸ジエステルなどのジケトン類、イミダゾール、2-エチルイミダゾールなどのイミダゾール類、又はm-クレゾールなどのフェノール類等によりブロックしたものが挙げられる。
(トップコート層)
本発明の塗装鋼板は、上述した溶融Al-Zn系めっき鋼板、化成処理皮膜及びプライマー層に加えて、トップコート層をさらに備える。
前記トップコート層は、適正化を図ることにより、良好な耐食性、加工性、耐候性等を有する塗装鋼板を得ることができる。
本発明の塗装鋼板は、上述した溶融Al-Zn系めっき鋼板、化成処理皮膜及びプライマー層に加えて、トップコート層をさらに備える。
前記トップコート層は、適正化を図ることにより、良好な耐食性、加工性、耐候性等を有する塗装鋼板を得ることができる。
前記トップコート層は、マトリックスとしての樹脂成分を含み、該樹脂成分は、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVdF樹脂)及びアクリル樹脂を含有する。
そして、前記樹脂成分中の前記ポリフッ化ビニリデン樹脂の含有質量割合が50~80%であることを要する。前記樹脂成分中にポリフッ化ビニリデン樹脂を含有することで、フッ素樹脂塗装鋼板の加工性、耐候性、防汚性等を高めることが可能となる。
そして、前記樹脂成分中の前記ポリフッ化ビニリデン樹脂の含有質量割合が50~80%であることを要する。前記樹脂成分中にポリフッ化ビニリデン樹脂を含有することで、フッ素樹脂塗装鋼板の加工性、耐候性、防汚性等を高めることが可能となる。
前記樹脂成分中の前記ポリフッ化ビニリデン樹脂の含有質量割合が45%以上であることで、トップコート層としての性能(加工性、耐候性、防汚性、耐久性等)を十分に付与することができる。同様の観点から、前記ポリフッ化ビニリデン樹脂の含有質量割合は、50%以上であることが好ましい。
また、前記樹脂成分中の前記ポリフッ化ビニリデン樹脂の含有質量割合が85%以下であることで、トップコート層の密着性低下を抑えることができる。同様の観点から、前記ポリフッ化ビニリデン樹脂の含有質量割合は、80%以下であることが好ましい。
また、前記樹脂成分中の前記ポリフッ化ビニリデン樹脂の含有質量割合が85%以下であることで、トップコート層の密着性低下を抑えることができる。同様の観点から、前記ポリフッ化ビニリデン樹脂の含有質量割合は、80%以下であることが好ましい。
前記ポリフッ化ビニリデン樹脂については、重量平均分子量が150,000~700,000で且つ融点150~180℃のものを用いることが好ましい。このようなポリフッ化ビニリデン樹脂としては、例えば、アルケマ社製の「カイナー500(重量平均分子量:350,000、融点:160~165℃)」等が例示できる。
前記ポリフッ化ビニリデン樹脂と混合するアクリル樹脂としては、重量平均分子量が50,000~200,000のものが好ましい。また、前記アクリル樹脂は、以下のようなモノマー(i)~(iv)の少なくとも一種(但、少なくとも一種のアクリルモノマーを含む)を通常の方法により重合(または共重合)させることにより得ることができる。
(i)(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等のヒドロキシル基を有するエチレン性モノマー。
(ii)(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等のカルボキシル基を有するエチレン性モノマー。
(iii)(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、アクリン酸ブチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の、上述のモノマー(1)及び(2)と共重合可能なエチレン性モノマー。
(iv)スチレン、αーメチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン等のスチレン誘導体。
これらのモノマーのうち、水酸基やカルボキシル基などの官能基を有するモノマーを使用することにより、他の反応可能な成分との架橋反応が可能である。
(ii)(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等のカルボキシル基を有するエチレン性モノマー。
(iii)(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、アクリン酸ブチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の、上述のモノマー(1)及び(2)と共重合可能なエチレン性モノマー。
(iv)スチレン、αーメチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン等のスチレン誘導体。
これらのモノマーのうち、水酸基やカルボキシル基などの官能基を有するモノマーを使用することにより、他の反応可能な成分との架橋反応が可能である。
上述したモノマー(i)~(iv)の中でも、構成モノマー単位の80質量%以上が、メチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタアクリレート、n・プロピルアクリレート、n・プロピルメタアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタアクリレート、n・ブチルアクリレート、n・ブチルメタアクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタアクリレートなどのアルキル基の炭素数が1~8のアクリル酸アルキルエステルモノマー又はメタアクリル酸アルキルエステルモノマーの中から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
ただし、前記アクリル樹脂中のメチルメタクリレート量は、80質量%未満であることが好ましい。メチルメタクリレート量が80質量%以上の場合には、トップコート層が硬くなり過ぎ、加工性が低下するからである。このようなアクリル酸アルキルエステルモノマーまたはメタアクリル酸アルキルエステルモノマーが好適な理由は、ポリフッ化ビニリデン樹脂との相溶性に優れ、しかも耐候性にも優れているからである。
また、前記アクリル樹脂は、自己架橋性である必要はないが、自己架橋性とする場合には、分子中に2個以上のラジカル重合性不飽和結合を有するいわゆる架橋性モノマーを含有させる。ラジカル重合可能なモノマーとしては、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリエスリトールテトラメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、グリセロールジアクリレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルフタレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等の重合性不飽和化合物が挙げられる。架橋性モノマーは、アクリル樹脂の20質量%まで添加することができる。
なお、前記樹脂成分は、前記ポリフッ化ビニリデン樹脂及び前記アクリル樹脂のみから構成することもできるが、必要に応じてポリエステル系樹脂等のその他の樹脂を含むこともできる。
前記ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、シリコン変性ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂を含み、主剤樹脂の硬化剤としては、ポリイソシアネート化合物又は/及びアミノ樹脂などを用いることが可能である。
前記ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、シリコン変性ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂を含み、主剤樹脂の硬化剤としては、ポリイソシアネート化合物又は/及びアミノ樹脂などを用いることが可能である。
また、前記アクリル樹脂や前記ポリエステル樹脂は、硬化剤と組み合わせて使用される。ここで、用いられる硬化剤としては、ポリイソシアネート化合物やアミノ樹脂を用いることができる。
前記ポリイソシアネート化合物としては、一般的製法で得られるイソシアネート化合物を用いることができるが、特に1液型塗料としての使用が可能である、フェノール、クレゾール、芳香族第二アミン、第三級アルコール、ラクタム、オキシム等のブロック剤でブロック化されたポリイソシアネート化合物であることが好ましい。このブロック化ポリイソシアネート化合物を用いることにより1液での保存が可能となり、塗料としての使用が容易となる。
また、より好ましいポリイソシアネート化合物としては、HDI及びその誘導体、TDI及びその誘導体、MDI及びその誘導体、XDI及びその誘導体、IPDI及びその誘導体、TMDI及びその誘導体、水添TDI及びその誘導体、水添MDI及びその誘導体、水添XDI及びその誘導体が挙げられる。
さらに、スミジュール(商品名、住化コベストロウレタン(株)製)、デスモジュール(商品名、住化コベストロウレタン(株)製)、コロネート(商品名、東ソー(株)製)等の市販のイソシアネート化合物を使用することもできる。
前記硬化剤としてポリイソシアネート化合物を用いる場合、前記ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基とベース樹脂中の水酸基との配合比[NCO/OH]は、モル比で0.8~1.2であることが好ましく、0.90~1.10の範囲であることが望ましい。
[NCO/OH]のモル比が0.8未満ではトップコート層の硬化が不十分であり、所望のトップコート層硬度及び強度が得られないおそれがある。一方、[NCO/OH]のモル比が1.2を超えると、過剰のイソシアネート基同士の或いはイソシアネート基とウレタン配合との副反応が生じて、トップコート層の加工性が低下するおそれがある。
[NCO/OH]のモル比が0.8未満ではトップコート層の硬化が不十分であり、所望のトップコート層硬度及び強度が得られないおそれがある。一方、[NCO/OH]のモル比が1.2を超えると、過剰のイソシアネート基同士の或いはイソシアネート基とウレタン配合との副反応が生じて、トップコート層の加工性が低下するおそれがある。
前記硬化剤としてのアミノ樹脂については、尿素、ベンゾグアナミン、メラミン等と、ホルムアルデヒドとの反応で得られる樹脂、及び、これらをメタノール、ブタノール等のアルコールによりアルキルエーテル化したものを使用できる。
具体的には、メチル化尿素樹脂、n-ブチル化ベンゾグアナミン樹脂、メチル化メラミン樹脂、n-ブチル化メラミン樹脂、iso-ブチル化メラミン樹脂等が挙げられる。
具体的には、メチル化尿素樹脂、n-ブチル化ベンゾグアナミン樹脂、メチル化メラミン樹脂、n-ブチル化メラミン樹脂、iso-ブチル化メラミン樹脂等が挙げられる。
さらに、サイメル(商品名、オルネクス社製)、ユーバン(商品名、三井化学(株)製)、メラン(商品名、日立化成工業(株)製)等の、市販のアミノ樹脂も使用できる。
前記硬化剤としてアミノ樹脂を用いる場合、アミノ樹脂とベース樹脂との配合比(固形分の重量比)は、ベース樹脂/アミノ樹脂で(95/5)~(65/35)であることが好ましく、(90/10)~(75/25)であることがより好ましい。
また、前記硬化剤の配合量は、前記樹脂固形分中での割合で、9~50質量%とすることが好ましい。9質量%未満では、トップコート層硬度が十分でなく、50質量%を超えると加工性が不十分となるおそれがある。
前記トップコート層は、前記樹脂成分に加えて、着色顔料を含む。
前記着色顔料については、目的の色、遮熱性等の付加性能に応じて、適宜選択することができる。前記着色顔料としては、例えば、酸化チタン、弁柄、カーボンブラック等が挙げられ、これらを混合して用いることもできる。
なお、前記着色顔料は、後述する無機フィラーに該当するものは着色顔料から除くものとする。
前記着色顔料については、目的の色、遮熱性等の付加性能に応じて、適宜選択することができる。前記着色顔料としては、例えば、酸化チタン、弁柄、カーボンブラック等が挙げられ、これらを混合して用いることもできる。
なお、前記着色顔料は、後述する無機フィラーに該当するものは着色顔料から除くものとする。
前記トップコート層中の着色顔料の含有量は特に限定はされず、着色顔料の種類や要求される性能に応じて適宜調整することができる。前記トップコート層の堅牢性から、前記着色顔料の総計が、10~50質量%であることが好ましく、20~40質量%であることがより好ましい。
前記トップコート層は、前記樹脂成分及び前記着色顔料に加えて、平均粒径が1~30μmで且つアスペクト比が5以上である無機フィラーを含む。
このような無機フィラーは、前記トップコート層中で亀裂伝播抑止剤のような作用を発揮することができ、本発明のフッ素樹脂塗装鋼板の経時加工性を高めることができる。
このような無機フィラーは、前記トップコート層中で亀裂伝播抑止剤のような作用を発揮することができ、本発明のフッ素樹脂塗装鋼板の経時加工性を高めることができる。
前記トップコート層中の前記無機フィラーの含有量は、0.1~20質量%である。優れた亀裂伝播抑止効果を得る観点からは、前記トップコート層中の前記無機フィラーの含有量が、0.1質量%以上であることを要し、1質量%以上であることが好ましい。また、トップコート層の耐久性や加工性を維持する観点からは、前記トップコート層中の前記無機フィラーの含有量が、20質量%以下であることを要し、15質量%以下であることが好ましい。
前記無機フィラーの平均粒径は1~30μmであることを要するが、前記無機フィラーの平均粒径が1未満の場合には、十分な亀裂伝搬抑制効果を得ることができない。同様の観点から、前記無機フィラーの平均粒径は2μm以上であることが好ましい。
一方、前記無機フィラーの平均粒径が30μmを超えるとロールコート時に外観が悪くなることがあるため、前記無機フィラーの平均粒径は30μm以下であることを要し、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。
なお、前記無機フィラーの平均粒径は、例えば電子顕微鏡を用いたトップコート層の断面観察によって得ることができ、複数の観察視野(例えば5視野)中に存在する無機フィラーの各最長径を測定し、平均化することで、平均粒径とすることができる。
一方、前記無機フィラーの平均粒径が30μmを超えるとロールコート時に外観が悪くなることがあるため、前記無機フィラーの平均粒径は30μm以下であることを要し、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。
なお、前記無機フィラーの平均粒径は、例えば電子顕微鏡を用いたトップコート層の断面観察によって得ることができ、複数の観察視野(例えば5視野)中に存在する無機フィラーの各最長径を測定し、平均化することで、平均粒径とすることができる。
前記無機フィラーのアスペクト比は5以上であることを要するが、前記無機フィラーのアスペクト比が5未満の場合には、十分な亀裂伝搬抑制効果を得ることができない。同様の観点から、前記無機フィラーのアスペクト比は10以上であることが好ましい。
一方、前記無機フィラーのアスペクト比が75を超えると、塗料化、塗装時に破壊するおそれがあるため、前記無機フィラーのアスペクト比は75以下であることが好ましい。
なお、前記無機フィラーのアスペクト比は、前記無機フィラーの平均厚さに対する平均粒径の比(平均粒径/平均厚さ)である。また、前記無機フィラーの平均粒径及び平均厚さは、上述したように、例えば電子顕微鏡を用いたトップコート層の断面観察によって得ることができ、複数の観察視野(例えば5視野)中に存在する無機フィラーの平均粒径及び平均厚さからアスペクト比を算出することができる。
一方、前記無機フィラーのアスペクト比が75を超えると、塗料化、塗装時に破壊するおそれがあるため、前記無機フィラーのアスペクト比は75以下であることが好ましい。
なお、前記無機フィラーのアスペクト比は、前記無機フィラーの平均厚さに対する平均粒径の比(平均粒径/平均厚さ)である。また、前記無機フィラーの平均粒径及び平均厚さは、上述したように、例えば電子顕微鏡を用いたトップコート層の断面観察によって得ることができ、複数の観察視野(例えば5視野)中に存在する無機フィラーの平均粒径及び平均厚さからアスペクト比を算出することができる。
前記無機フィラーの種類は、上述した粒径及びアスペクト比を満たすものであれば特に限定はされない。例えば、天然雲母、合成雲母、バーミキュライト、タルク、窒化珪素、カオリン、ウォラスナイト、チタン酸塩、アルミナ粉体、黒鉛、ガラスフレーク、チタン酸カリウム繊維、セピオライト、石膏繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ララス繊維、ゾノライト等や;これらの金属被覆、シランカップリング等の表面処理品を用いることができる。これらの無機フィラーは一種を単独で用いることもできるし、複数種を併用することもできる。
前記トップコート層は、前記樹脂成分、前記着色顔料及び前記無機フィラーに加えて、平均粒径が1~35μmで且つマイクロビッカース硬さが50HV0.05以下である有機骨材を含む。
このような有機骨材は、前記トップコート層中で応力緩和剤のような作用を発揮することができ、本発明のフッ素樹脂塗装鋼板の経時加工性を高めることができる。
このような有機骨材は、前記トップコート層中で応力緩和剤のような作用を発揮することができ、本発明のフッ素樹脂塗装鋼板の経時加工性を高めることができる。
前記トップコート層中の前記有機骨材の含有量は、0.1~15質量%である。優れた応力緩和効果を得る観点からは、前記トップコート層中の前記有機骨材の含有量が、0.1質量%以上であることを要し、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましい。また、トップコート層の耐久性や強度を維持する観点からは、前記トップコート層中の前記有機骨材の含有量が、15質量%以下であることを要し、12質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
前記有機骨材の平均粒径は1~35μmであることを要するが、前記有機骨材の平均粒径が1未満の場合には、十分な亀裂伝搬抑制効果を得ることができない。同様の観点から、前記有機骨材の平均粒径は2μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。
一方、前記有機骨材の平均粒径が35μmを超えると、曲げ加工時にトップコート層から有機骨材が離脱しやすくなるため、前記有機骨材の平均粒径は35μm以下であることを要し、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましい。
なお、前記有機骨材の平均粒径は、前記有機骨材の最短径と最長径とを平均したものである。また、前記有機骨材の最短径及び最長径は、例えば電子顕微鏡を用いたトップコート層の断面観察によって得ることができ、複数の観察視野(例えば5視野)中に存在する有機骨材の短径及び最長径を測定することで、平均粒径を算出することができる。
一方、前記有機骨材の平均粒径が35μmを超えると、曲げ加工時にトップコート層から有機骨材が離脱しやすくなるため、前記有機骨材の平均粒径は35μm以下であることを要し、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましい。
なお、前記有機骨材の平均粒径は、前記有機骨材の最短径と最長径とを平均したものである。また、前記有機骨材の最短径及び最長径は、例えば電子顕微鏡を用いたトップコート層の断面観察によって得ることができ、複数の観察視野(例えば5視野)中に存在する有機骨材の短径及び最長径を測定することで、平均粒径を算出することができる。
前記有機骨材のマイクロビッカース硬さは50HV0.05以下であることを要するが、前記有機骨材のマイクロビッカース硬さが50HV0.05を超える場合には、十分な応力緩和効果を得ることができない。同様の観点から、前記有機骨材のアスペクト比は45HV0.05以下であることが好ましく、40HV0.05以下であることがより好ましい。
一方、前記有機骨材のマイクロビッカース硬さが10未満であると、トップコート層の十分な耐久性が得られないおそれがあるため、前記有機骨材のマイクロビッカース硬さは10HV0.05以上であることが好ましい。
なお、前記有機骨材のマイクロビッカース硬さについては、サンプルのフッ素樹脂塗装鋼板を、常温乾燥樹脂で埋め込んだ後に研磨し、露出したトップコート層の断面から有機骨材を選択し、微小硬度計(例えば島津製作所製微小硬度計HMV-G21)を用い、選択した有機骨材のビッカース硬さを測定できる。測定方法は、JIS Z 2244に準拠し、荷重0.49mN(0.05gf)の条件(HV0.05)で試験を実施している。
一方、前記有機骨材のマイクロビッカース硬さが10未満であると、トップコート層の十分な耐久性が得られないおそれがあるため、前記有機骨材のマイクロビッカース硬さは10HV0.05以上であることが好ましい。
なお、前記有機骨材のマイクロビッカース硬さについては、サンプルのフッ素樹脂塗装鋼板を、常温乾燥樹脂で埋め込んだ後に研磨し、露出したトップコート層の断面から有機骨材を選択し、微小硬度計(例えば島津製作所製微小硬度計HMV-G21)を用い、選択した有機骨材のビッカース硬さを測定できる。測定方法は、JIS Z 2244に準拠し、荷重0.49mN(0.05gf)の条件(HV0.05)で試験を実施している。
前記有機骨材の種類は、上述した粒径及びマイクロビッカース硬さを満たすものであれば特に限定はされない。例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素樹脂、ウレア樹脂、アクリル系トリブロックコポリマー、ブタジエン系ゴム等のビーズ(粒子)や、これらに官能基付与したもの等の表面処理品を用いることができる。これらの有機骨材は一種を単独で用いることもできるし、複数種を併用することもできる。
また、前記トップコート層中の前記無機フィラー及び前記有機骨材の合計含有量は、0.2~35質量%であることが好ましく、1~30質量%であることがより好ましい。前記無機フィラー及び前記有機骨材の合計含有量が0.2質量%以上である場合には、亀裂伝搬抑制効果及び応力緩和効果が十分に得られるため、より優れた経時加工性を得ることができる。一方、前記無機フィラー及び前記有機骨材の合計含有量が35質量%以下の場合には、前記トップコート層の耐久性低下を確実に抑えることができる。
なお、前記トップコート層には、前記樹脂成分、前記着色顔料、前記無機フィラー及び前記有機骨材に加え、目的や用途に応じて、その他の添加剤を含むことができる。
前記その他の添加剤としては、例えば、アルミニウム粉等のメタリック顔料、炭酸塩や硫酸塩等の顔料、光沢調整のためのシリカ微粒子等の各種微粒子、ワックス、消泡剤、レベリング剤などが挙げられる。
これらその他の添加剤については、前記トップコート層中での含有量が合計で10質量%以下であることが好ましい。本発明による、経時加工性等の効果を阻害しないためである。
前記その他の添加剤としては、例えば、アルミニウム粉等のメタリック顔料、炭酸塩や硫酸塩等の顔料、光沢調整のためのシリカ微粒子等の各種微粒子、ワックス、消泡剤、レベリング剤などが挙げられる。
これらその他の添加剤については、前記トップコート層中での含有量が合計で10質量%以下であることが好ましい。本発明による、経時加工性等の効果を阻害しないためである。
なお、前記トップコート層を形成するための、塗料の塗装条件は、特に限定されない。例えば、トップコート層の材料となる塗料組成物を、ロールコーター塗装、カーテンフロー塗装等の方法で塗布することができる。塗料組成物を塗装後、熱風加熱、赤外線加熱、誘導加熱等の加熱手段により焼き付け、トップコート層を形成することができる。前記焼付処理の温度は、通常、最高到達板温を240~260℃程度とする。また、熱風加熱の場合、熱風風速は、板表面で1~10m/秒、好ましくは5~10m/秒と早くすることが好ましい。
さらに、前記トップコート層の平均膜厚については、特に限定はされないが、10~50μmであることが好ましく、12~30μmであることがより好ましい。前記トップコート層の平均膜厚10μm未満の場合、トップコート層の耐久性が低くなるおそれがあり、前記トップコート層の平均膜厚が50μmを超えると、焼付時にワキという塗料中のシンナーの突沸によりピンホール状の欠陥を生じやすくなるおそれがある。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<本発明例1~4、比較例1~3>
(本発明例1)
板厚0.35mm、めっき付着量が片面あたり150g/m2、Zn-55%Al-1.6%Siの組成を有するめっき層にスキンパス処理を施した溶融Al-Zn系めっき鋼板を用意した。
上記溶融Al-Zn系めっき鋼板上に、バナジウム系のクロメートフリー化成処理液(樹脂成分としてウレタン樹脂を用い、防錆成分として、アセチルアセトンでキレート化した有機バナジウム化合物を含んだ化成処理液)を、溶融Al-Zn系めっき鋼板上にバーコータで塗布し、鋼板の到達温度90℃、焼き付け時間10秒で乾燥させ、付着量0.2g/m2になるように、化成処理皮膜を形成した。
その後、エポキシ変性ウレタン系樹脂を基体とし、リン酸バナジウムを防錆顔料としたプライマー層用塗料を、上記化成処理層上にロールコーターで塗布し、鋼板の到達温度210℃、焼き付け時間25秒で焼き付け、焼き付け後の膜厚が5μmになるようにプライマー層を形成した。
そして、プライマー層を形成した鋼板を、水冷及び乾燥させた後、PVdF樹脂30質量%と、アクリル樹脂15質量%とを合計45質量%とした樹脂成分に対して、40質量%の黒色顔料としての鉄-クロム系複合酸化物(シェファードカラー社製「Black411」)(平均粒径1.1μm)、0.5質量%の白色顔料としての酸化チタン(平均粒子径500nm)、3質量%の無機フィラーとしての合成雲母(平均粒径15μm、アスペクト比10)、及び、3質量%の有機骨材としてのアクリルビーズ(平均粒径20μm、マイクロビッカース硬度20HV0.05)を配合したトップコート層用塗料を用意した。その後、プライマー層上にトップコート層用塗料を塗布し、乾燥後の平均膜厚が20μmとなるよう、雰囲気温度400℃、板面の平均熱風風速5m/秒のオーブン内にて到達板温度250℃で50秒焼付けてトップコート層を形成し、サンプルとなる塗装鋼板(フッ素樹脂塗装鋼板)を作製した。
なお、サンプルとなる塗装鋼板のトップコート層の条件は、表1にも示している。また、トップコート層中の、無機フィラーの平均粒径及びアスペクト比、並びに、有機骨材の平均粒径及びマイクロビッカース硬度については、予め上記の範囲に制御したものを用いている。
(本発明例1)
板厚0.35mm、めっき付着量が片面あたり150g/m2、Zn-55%Al-1.6%Siの組成を有するめっき層にスキンパス処理を施した溶融Al-Zn系めっき鋼板を用意した。
上記溶融Al-Zn系めっき鋼板上に、バナジウム系のクロメートフリー化成処理液(樹脂成分としてウレタン樹脂を用い、防錆成分として、アセチルアセトンでキレート化した有機バナジウム化合物を含んだ化成処理液)を、溶融Al-Zn系めっき鋼板上にバーコータで塗布し、鋼板の到達温度90℃、焼き付け時間10秒で乾燥させ、付着量0.2g/m2になるように、化成処理皮膜を形成した。
その後、エポキシ変性ウレタン系樹脂を基体とし、リン酸バナジウムを防錆顔料としたプライマー層用塗料を、上記化成処理層上にロールコーターで塗布し、鋼板の到達温度210℃、焼き付け時間25秒で焼き付け、焼き付け後の膜厚が5μmになるようにプライマー層を形成した。
そして、プライマー層を形成した鋼板を、水冷及び乾燥させた後、PVdF樹脂30質量%と、アクリル樹脂15質量%とを合計45質量%とした樹脂成分に対して、40質量%の黒色顔料としての鉄-クロム系複合酸化物(シェファードカラー社製「Black411」)(平均粒径1.1μm)、0.5質量%の白色顔料としての酸化チタン(平均粒子径500nm)、3質量%の無機フィラーとしての合成雲母(平均粒径15μm、アスペクト比10)、及び、3質量%の有機骨材としてのアクリルビーズ(平均粒径20μm、マイクロビッカース硬度20HV0.05)を配合したトップコート層用塗料を用意した。その後、プライマー層上にトップコート層用塗料を塗布し、乾燥後の平均膜厚が20μmとなるよう、雰囲気温度400℃、板面の平均熱風風速5m/秒のオーブン内にて到達板温度250℃で50秒焼付けてトップコート層を形成し、サンプルとなる塗装鋼板(フッ素樹脂塗装鋼板)を作製した。
なお、サンプルとなる塗装鋼板のトップコート層の条件は、表1にも示している。また、トップコート層中の、無機フィラーの平均粒径及びアスペクト比、並びに、有機骨材の平均粒径及びマイクロビッカース硬度については、予め上記の範囲に制御したものを用いている。
(本発明例2)
トップコート層中の有機骨材として、アクリルビーズではなく、PTFE骨材(平均粒径18μm、マイクロビッカース硬度が10HV0.05)1質量%用いたこと以外は、本発明例1と同様の条件で、サンプルとなる塗装鋼板を作製した。
なお、サンプルとなる塗装鋼板のトップコート層の条件は、表1にも示している。
トップコート層中の有機骨材として、アクリルビーズではなく、PTFE骨材(平均粒径18μm、マイクロビッカース硬度が10HV0.05)1質量%用いたこと以外は、本発明例1と同様の条件で、サンプルとなる塗装鋼板を作製した。
なお、サンプルとなる塗装鋼板のトップコート層の条件は、表1にも示している。
(本発明例2)
トップコート層中の有機骨材として、アクリルビーズではなく、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)骨材(平均粒径18μm、マイクロビッカース硬度が10HV0.05)1質量%を用いたこと以外は、本発明例1と同様の条件で、サンプルとなる塗装鋼板を作製した。
なお、サンプルとなる塗装鋼板のトップコート層の条件は、表1にも示している。
トップコート層中の有機骨材として、アクリルビーズではなく、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)骨材(平均粒径18μm、マイクロビッカース硬度が10HV0.05)1質量%を用いたこと以外は、本発明例1と同様の条件で、サンプルとなる塗装鋼板を作製した。
なお、サンプルとなる塗装鋼板のトップコート層の条件は、表1にも示している。
(本発明例3)
トップコート層中の無機フィラーとして、合成雲母ではなく、タルク(平均粒径20μm、アスペクト比10)3質量%を用いたこと以外は、本発明例1と同様の条件で、サンプルとなる塗装鋼板を作製した。
なお、サンプルとなる塗装鋼板のトップコート層の条件は、表1にも示している。
トップコート層中の無機フィラーとして、合成雲母ではなく、タルク(平均粒径20μm、アスペクト比10)3質量%を用いたこと以外は、本発明例1と同様の条件で、サンプルとなる塗装鋼板を作製した。
なお、サンプルとなる塗装鋼板のトップコート層の条件は、表1にも示している。
(本発明例4)
化成処理層の形成に先立って、溶融Al-Zn系めっき鋼板を、雰囲気温度200℃で12時間アニール処理を施し、めっき層中のデンドライト相のビッカース硬さを10~110HV0.1の範囲にしたこと以外は、本発明例1と同様の条件で、サンプルとなる塗装鋼板を作製した。
なお、サンプルとなる塗装鋼板のトップコート層の条件は、表1にも示している。
化成処理層の形成に先立って、溶融Al-Zn系めっき鋼板を、雰囲気温度200℃で12時間アニール処理を施し、めっき層中のデンドライト相のビッカース硬さを10~110HV0.1の範囲にしたこと以外は、本発明例1と同様の条件で、サンプルとなる塗装鋼板を作製した。
なお、サンプルとなる塗装鋼板のトップコート層の条件は、表1にも示している。
(比較例1)
トップコート層中に、有機骨材としてのアクリルビーズ及び無機フィラーとしての合成雲母を含有しない以外は、本発明例1と同様の条件で、サンプルとなる塗装鋼板を作製した。
なお、サンプルとなる塗装鋼板のトップコート層の条件は、表1にも示している。
トップコート層中に、有機骨材としてのアクリルビーズ及び無機フィラーとしての合成雲母を含有しない以外は、本発明例1と同様の条件で、サンプルとなる塗装鋼板を作製した。
なお、サンプルとなる塗装鋼板のトップコート層の条件は、表1にも示している。
(比較例2)
トップコート層中に、有機骨材としてのアクリルビーズ及び無機フィラーとしての合成雲母を含有せず、合成シリカ(平均粒径4μm)を3質量%含むこと以外は、本発明例1と同様の条件で、サンプルとなる塗装鋼板を作製した。
なお、サンプルとなる塗装鋼板のトップコート層の条件は、表1にも示している。
トップコート層中に、有機骨材としてのアクリルビーズ及び無機フィラーとしての合成雲母を含有せず、合成シリカ(平均粒径4μm)を3質量%含むこと以外は、本発明例1と同様の条件で、サンプルとなる塗装鋼板を作製した。
なお、サンプルとなる塗装鋼板のトップコート層の条件は、表1にも示している。
(比較例3)
トップコート層中の有機骨材として、アクリルビーズではなく、ポリイミド骨材(平均粒径20μm、マイクロビッカース硬度が60Hv0.05)1質量%用いたこと以外は、本発明例1と同様の条件で、サンプルとなる塗装鋼板を作製した。
なお、サンプルとなる塗装鋼板のトップコート層の条件は、表1にも示している。
トップコート層中の有機骨材として、アクリルビーズではなく、ポリイミド骨材(平均粒径20μm、マイクロビッカース硬度が60Hv0.05)1質量%用いたこと以外は、本発明例1と同様の条件で、サンプルとなる塗装鋼板を作製した。
なお、サンプルとなる塗装鋼板のトップコート層の条件は、表1にも示している。
<評価>
上記のように得られた塗装鋼板の各サンプルについて、以下の通り評価を行った。
上記のように得られた塗装鋼板の各サンプルについて、以下の通り評価を行った。
(1)加工性及び経時加工性
各サンプルの塗装鋼板について、JIS G 3322にならい曲げ試験を実施した。試験片幅75mmで180度曲げを行った際の、内側間隔を板の枚数によって表示し、曲げた表面塗膜にクラックが発生しない限界の板枚数(T)をノークラックTとした。このノークラックTは、小さいほど加工性に優れることを示す。
この曲げ試験を、サンプル作製直後と、夏季3か月保管に相当する、50℃-72時間保持後(促進経時後)に実施した。サンプル作製直後及び促進経時後のそれぞれについて、ノークラックTの結果を表1に示す。
また、促進経時後の曲げ試験については、以下の基準に従って経時加工性の評価を行い、評価結果を表1に示す。
〇:サイディング用途などで実用的な6T以下
×:6Tを超える
各サンプルの塗装鋼板について、JIS G 3322にならい曲げ試験を実施した。試験片幅75mmで180度曲げを行った際の、内側間隔を板の枚数によって表示し、曲げた表面塗膜にクラックが発生しない限界の板枚数(T)をノークラックTとした。このノークラックTは、小さいほど加工性に優れることを示す。
この曲げ試験を、サンプル作製直後と、夏季3か月保管に相当する、50℃-72時間保持後(促進経時後)に実施した。サンプル作製直後及び促進経時後のそれぞれについて、ノークラックTの結果を表1に示す。
また、促進経時後の曲げ試験については、以下の基準に従って経時加工性の評価を行い、評価結果を表1に示す。
〇:サイディング用途などで実用的な6T以下
×:6Tを超える
表1の結果から、本発明例の各サンプルは、比較例の各サンプルに比べて経時加工性に優れていることがわかる。
本発明によれば加工性や耐候性等の他の物性を良好に維持しつつ、経時加工性に優れた塗装鋼板を提供できる。
10 溶融Al-Zn系めっき鋼板上
20 化成処理層
30 プライマー層
40 トップコート層
41 樹脂成分
42 無機フィラー
43 有機骨材
20 化成処理層
30 プライマー層
40 トップコート層
41 樹脂成分
42 無機フィラー
43 有機骨材
Claims (5)
- 溶融Al-Zn系めっき鋼板上に、化成処理皮膜、プライマー層及びトップコート層が形成された塗装鋼板であって、
前記トップコート層は、ポリフッ化ビニリデン樹脂及びアクリル樹脂を含有し、該ポリフッ化ビニリデン樹脂の含有質量割合が50~80%である樹脂成分と、
着色顔料と、
平均粒径が1~30μmで且つアスペクト比が5以上である、無機フィラー0.1~20質量%と、
平均粒径が1~35μmで且つマイクロビッカース硬さが50HV0.05以下である、有機骨材0.1~15質量%と、
を含むことを特徴とする、フッ素樹脂塗装鋼板。 - 前記トップコート層中の前記無機フィラー及び前記有機骨材の合計含有量が、0.2~35質量%であることを特徴とする、請求項1に記載のフッ素樹脂塗装鋼板。
- 前記溶融Al-Zn系めっき鋼板のめっき層は、Al:20~95質量%、Si:1~3質量%及び任意添加成分:5質量%以下を含有し、残部がZn及び不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のフッ素樹脂塗装鋼板。
- 前記めっき層は、Al:50~60質量%、Si:1~3質量%及び任意添加成分:5質量%以下を含有し、残部がZn及び不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする、請求項3に記載のフッ素樹脂塗装鋼板。
- 前記めっき層は、デンドライト相及びインターデンドライト相を有し、該デンドライト相のビッカース硬さが、10~110HV0.1であることを特徴とする、請求項3又は4項に記載のフッ素樹脂塗装鋼板。
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