JP2003277903A - 加工性及び加工部耐食性に優れた塗装めっき鋼板 - Google Patents

加工性及び加工部耐食性に優れた塗装めっき鋼板

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 伸び特性の良好な熱硬化型樹脂塗膜4を表層
に設けることにより、下地鋼1が露出しがちな加工部の
腐食反応を抑え、加工性,加工部耐食性に優れた塗装め
っき鋼板を提供する。 【構成】 この塗装めっき鋼板は、Al/Zn/Zn2
Mgの三元共晶組織のマトリックスに初晶Al相又は初
晶Al相及びZn単相が混在した金属組織の溶融めっき
層2が下地鋼1上に形成されている溶融めっき鋼板を基
材とし、エポキシ系樹脂塗膜3を介して伸び率100%
以上の熱硬化型樹脂塗膜4が積層されている。熱硬化型
樹脂塗膜4は、好ましくは軟化開始温度30℃以下のイ
ソシアネート硬化型ポリエステル塗料で形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた耐食性を呈する
Zn−Al−Mg系溶融めっき鋼板の長所を活かしなが
ら加工性を向上させた塗装めっき鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】内装建材,外装建材等では、耐食性の良
好な溶融亜鉛めっき鋼板等が塗装原板として従来から使
用されている。しかし、大気汚染の進行に伴ってイオウ
酸化物,窒素酸化物等による大気や雨水の酸性化が著し
い昨今、塗装めっき鋼板の平坦部,切断端面,塗膜疵付
き部等の塗膜下で溶融亜鉛めっき層の腐食が促進される
ことから内装建材,外装建材等としての耐久性が懸念さ
れる状況になってきている。たとえば、平坦部の腐食
は、Clイオン等の腐食性イオンが塗膜を透過して溶融
亜鉛めっき層の腐食を促進させ、体積膨張した亜鉛系腐
食生成物によって塗膜が押し上げられ、塗膜フクレとし
て観察される。環境悪化に対応するため、溶融亜鉛めっ
き鋼板よりも優れた耐食性を呈する材料として、Zn−
Al−Mg系溶融めっき鋼板の使用が進められている。
Zn−Al−Mg系溶融めっき鋼板は、Al/Zn/Z
2Mgの三元共晶組織のマトリックスに初晶Al相や
Zn単相が分散した金属組織によって優れた耐食性を呈
する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】Zn−Al−Mg系溶
融めっき鋼板の金属組織は、耐食性の向上に有効である
が、硬質の三元共晶組織/軟質のZn単相の界面に応力
が集中しやすい。そのため、Zn−Al−Mg系溶融め
っき鋼板を加工すると界面に亀裂が入り、下地鋼に達す
るまで亀裂が成長することがある。亀裂を介して下地鋼
が露出すると、溶融めっき層の欠陥部が腐食発生の起点
になる。下地鋼の露出は、溶融めっき層上に塗膜を形成
した塗装めっき鋼板においても同様に生じる。すなわ
ち、塗装めっき鋼板の加工時に下地鋼は所定形状に成形
されるが、下地鋼の塑性変形に追従できない溶融めっき
層に亀裂が入り、発生した亀裂によって溶融めっき層上
の塗膜も分断される。
【0004】溶融めっき層の亀裂及び分断された塗膜を
介して下地鋼が雰囲気に臨み、Zn−Al−Mg系溶融
めっき層の防食作用が発揮されることなく、露出部(加
工部)を起点とする腐食が発生進行する。溶融めっき層
に亀裂が入りやすいことから、Zn−Al−Mg系溶融
めっき鋼板は、高加工度が必要な用途に不向きな材料と
扱われる場合がある。高度の加工を施した後でも加工部
の耐食性が確保されると、Zn−Al−Mg溶融めっき
の優れた耐食性が活用され、Zn−Al−Mg系溶融め
っき鋼板の適用分野が拡大する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような要
求に応えるべく案出されたものであり、伸び特性の良好
な樹脂塗膜を表層側に設けることにより、下地鋼が雰囲
気に直接露呈することを防止し、加工部においても良好
な耐食性が維持される塗装めっき鋼板を提供することを
目的とする。
【0006】本発明の塗装めっき鋼板は、その目的を達
成するため、Al:4〜22質量%,Mg:1〜4質量
%,Ti:0〜0.1質量%,B:0〜0.045質量%
を含み、残部が実質的にZnの組成をもち、Al/Zn
/Zn2Mgの三元共晶組織のマトリックスに初晶Al
相又は初晶Al相及びZn単相が混在した金属組織の溶
融めっき層が設けられている溶融めっき鋼板を基材と
し、エポキシ系樹脂塗膜を介して塗膜伸び率100%以
上の熱硬化型樹脂塗膜が溶融めっき層の上に設けられて
いることを特徴とする。熱硬化型樹脂塗膜は、好ましく
は軟化開始温度30℃以下のイソシアネート硬化型ポリ
エステル塗料で形成される。溶融めっき層は、更に希土
類元素,Y,Zr,Siから選ばれた1種又は2種以上
を0.002〜0.05質量%含むことができる。
【0007】
【作用】本発明に従った塗装めっき鋼板では、密着性に
優れたエポキシ系樹脂塗膜をZn−Al−Mg系溶融め
っき層の上に設けた後で、伸び率の高い熱硬化型樹脂塗
膜をエポキシ系樹脂塗膜に積層している。エポキシ系塗
料は、溶融めっき層又は溶融めっき層表面に形成された
化成処理皮膜の極性基との水素結合性が高く、優れた密
着性で溶融めっき層に付着する。生成したエポキシ系樹
脂塗膜3は、硬質なため塗装めっき鋼板を加工したとき
下地鋼1の塑性変形に追従できず、溶融めっき層2に入
った亀裂5を境として分断されやすい。他方、熱硬化型
樹脂塗膜4は、下地鋼1の塑性変形に追従して伸び、溶
融めっき層2の亀裂5やエポキシ系樹脂塗膜3の分断6
に拘らず連続皮膜の状態を維持する(図1)。熱硬化型
樹脂塗膜4の連続皮膜が腐食抑制に働くことは次のよう
に推察される。
【0008】熱硬化型樹脂塗膜4が連続皮膜になってい
るので、腐食性雰囲気に下地鋼1が直接曝されない。熱
硬化型樹脂塗膜4を透過した腐食性成分が亀裂5を介し
て下地鋼1に達することもあるが、その絶対量が大幅に
低減する。しかも、熱硬化型樹脂塗膜4を透過した腐食
性成分は、溶融めっき層2中のZn,Mgと反応し、防
食作用のあるZn(OH)2,Mg(OH)2等の反応生成物
となって下地鋼1の露出部表面に析出する。Zn(OH)
2,Mg(OH)2等の生成反応が熱硬化型樹脂塗膜4の連
続皮膜で閉じられた閉鎖空間で生じるため、反応生成物
の析出が早期に進行し、下地鋼1の露出部が反応生成物
で覆われ防食される。
【0009】
【実施の形態】基材には、本出願人が開発した溶融Zn
−Al−Mg合金めっき鋼板が使用される(特開平10
−306357号公報)。溶融Zn−Al−Mg合金め
っき鋼板は、Al:4〜22質量%,Mg:1〜4質量
%,Ti:0〜0.1質量%,B:0〜0.045質量
%,必要に応じ希土類元素,Y,Zr,Siから選ばれ
た1種又は2種以上を0.002〜0.05質量%を含
み、残部が実質的にZnの組成で、Al/Zn/Zn2
Mgの三元共晶組織のマトリックスに初晶Al相又は初
晶Al相及びZn単相が混在した金属組織の溶融めっき
層が鋼板表面に形成されている。塗装に先立って,溶融
めっき鋼板を化成処理し、溶融めっき層表面に化成処理
皮膜を形成する。化成処理皮膜は、クロメート皮膜,ク
ロムフリー皮膜の何れでも良い。クロメート皮膜の場
合、耐食性及び塗膜密着性を確保するため、全Cr量を
5〜100mg/m2の範囲に調整することが好まし
い。クロムフリー皮膜としては、チタン化合物,フッ化
物及び有機樹脂を含む有機−無機複合皮膜等を使用でき
る。
【0010】化成処理皮膜が形成された溶融Zn−Al
−Mg合金めっき鋼板の表面に更に下塗り塗膜を形成す
る。エポキシ系樹脂塗料で下塗り塗膜を形成すると、下
地鋼板及び上塗り塗膜に対する密着性が改善され、加工
部耐食性が向上する。好適なエポキシ系樹脂には、ビス
フェノール型エポキシ樹脂,ノボラック型エポキシ樹
脂,これら樹脂を変性したポリエステル変性エポキシ樹
脂,アクリル変性エポキシ樹脂等がある。防錆顔料を配
合したエポキシ系樹脂塗料を使用すると、下塗り塗膜に
防錆能が付与される。防錆顔料としてはクロム酸ストロ
ンチウム,クロム酸カルシウム,クロム酸亜鉛等のクロ
ム酸系防錆顔料やリン酸アルミニウム,リン酸亜鉛,リ
ン酸カルシウム,炭酸カルシウム,シリカ−カルシウム
系等のノンクロメート系防錆顔料等があり、1種又は2
種以上の防錆顔料を下塗り塗膜用のエポキシ系樹脂塗料
に添加する。下塗り塗膜は、膜厚に特段の制約が加わる
ものでないが、薄膜ほど加工性が良くなるので3〜15
μmの範囲に膜厚を設定することが好ましい。塗装方法
に関する制約はなく、従来の塗装めっき鋼板と同様な方
法で下塗り塗膜が形成される。
【0011】エポキシ系樹脂塗膜を介して伸び率100
%以上の熱硬化型樹脂塗膜が形成される。熱硬化型樹脂
塗膜は、特に本発明を制限するものではないが、軟化開
始温度30℃以下のイソシアネート硬化型ポリエステル
塗料で形成されることが好ましい。熱硬化型樹脂塗膜の
伸び率及び軟化開始温度は、次のように求められる。上
塗り用塗料をフッ素フィルムラミネート板に塗装し、焼
付け・乾燥で得られる遊離塗膜から幅5mm,長さ50
mmの短冊状サンプルを作製する。短冊状サンプルを引
張試験機(AGS-100B型オートグラフ:島津製作所製)を
用い、チャック間距離:30mm,引張り速度:2mm
/分の条件で短冊状サンプルを引っ張り、短冊状サンプ
ルが破断したときの破断長さ(チャック間距離)を測定
する。破断長さから初期長さ(初期のチャック間距離:
30mm)を減じて伸び長さを求め、初期長さに対する
伸び長さの比として熱硬化型樹脂塗膜の伸び率(%)が
算出される。
【0012】軟化開始温度に関しては、動的粘弾性測定
装置を用い、−50℃程度の低温から温度を上昇させな
がら塗膜の粘弾性を測定する。粘弾性は低温域で貯蔵粘
弾率E'が高いガラス領域を示し、3℃/分程度の昇温
速度で温度を徐々に上げながら測定すると、ある温度か
ら貯蔵粘弾率E'の減少率ΔlogE'が大幅に大きくな
り、転移領域に変化する。粘弾性が大きく低下する温度
について、貯蔵粘弾率E'の減少率ΔlogE'が0.01℃
-1を越えたときの温度を軟化開始温度とした。
【0013】熱硬化型樹脂塗膜は、塗装方法に特段の制
約を受けることなく、従来の塗装鋼板と同様な方法で形
成される。上塗り塗膜には、従来の塗装鋼板で実施され
ている各種添加剤を配合することが可能である。たとえ
ば、着色顔料,メタリック顔料,体質顔料,シリカ等の
艶消し剤、ガラスビーズ,ガラス繊維,ガラスフレー
ク,樹脂ビーズ等の骨材、ポリオレフィン系,フッ素樹
脂系等のワックスを配合できる。
【0014】熱硬化型樹脂塗膜の膜厚は、塗膜伸び率に
よって決定される。一般的に膜厚に応じて塗膜伸び率が
異なるが、イソシアネート硬化型ポリエステル塗料で
は、表1に示す通り膜厚が厚いほど高い伸び率を示す。
塗膜伸び率100%以上を示す膜厚で熱硬化型樹脂塗膜
を形成することによって高い加工性が得られる。しか
し、過度の厚膜では、焼付け時にワキの発生により塗装
外観が低下しやすくなる。このようなことから、熱硬化
型樹脂塗膜の膜厚を10〜50μmの範囲に調整するこ
とが好ましい。ワキが発生しやすい塗料を使用する場
合、焼付け時間を長くすることによってもワキの発生を
ある程度抑制できる。
【0015】熱硬化型樹脂塗膜は、塗装鋼板の用途を考
慮したとき100%以上の伸び率をもつことが重要であ
る。屋根,壁等の外装建材に使用される塗装鋼板は、多
種多様な加工で目標形状に成形される。なかでも、最も
厳しい加工の一つに密着曲げ加工がある。密着曲げ加工
されたときの加工部頂点付近では、伸び率100〜11
0%で塗膜が伸びることが報告されている〔色材協会誌
45号第363頁(1972)〕。に基づいている。この伸び
率以上に熱硬化型樹脂塗膜の伸び特性を調整すると、密
着曲げ加工で形成された曲げ部外側でも熱硬化型樹脂塗
膜に亀裂や分断が入らず、連続塗膜が維持される。
【0016】
【0017】このように、溶融Zn−Al−Mg合金め
っき鋼板の上に化成処理皮膜を形成し、エポキシ系樹脂
塗膜を介して伸び率100%以上の熱硬化型樹脂塗膜を
形成することにより、加工時の塗膜割れが抑制され、加
工性及び加工部耐食性に優れた塗装めっき鋼板が得られ
る。
【0018】
【実施例】片面当りめっき付着量120g/m2でA
r:6質量%,Mg:3質量%,Ti:0.02質量
%,B:0.008質量%,Si:0.01質量%を含む
溶融Zn−Al−Mg合金めっき層が形成された板厚
0.5mmの溶融めっき鋼板をゼンジミア方式の連続溶
融めっきラインで製造した。溶融めっき鋼板に表面調整
処理を施して、湯洗,水洗により洗浄し、乾燥した。次
いで、塗布型クロメート処理液〔サーフコートNRC300N
S:日本ペイント株式会社製〕をロールコーターで塗布
し、100℃で乾燥させ、全Cr付着量:40mg/m
2のクロメート皮膜を形成した。
【0019】クロメート皮膜の上に、クロム酸ストロン
チウムを不揮発分にして25質量%配合したエポキシ系
樹脂の下塗り塗料を塗装し、210℃で乾燥・焼付けす
ることにより、乾燥膜厚5μm及び10μmの下塗り塗
膜を形成した。更に、エポキシ系樹脂塗膜の上に熱硬化
型樹脂塗料を塗布し、100%以上の塗膜伸び率が得ら
れる乾燥膜厚の熱硬化型樹脂塗膜を形成した(本発明例
1〜10)。比較例のため、同様なクロメート皮膜,エ
ポキシ樹脂系下塗り塗膜を形成した後、伸び率が100
%に達しない乾燥膜厚の熱硬化型樹脂塗膜を形成した
(比較例1〜6)。更に、同様なクロメート皮膜の上
に、クロム酸ストロンチウムを不揮発分にして25質量
%配合したポリエステル系樹脂の下塗り塗料で乾燥膜厚
5μm,10μmの下塗り塗膜を形成した後、100%
以上の塗膜伸び率が得られる乾燥膜厚の熱硬化型樹脂塗
膜を形成した(比較例7〜10)。本発明例1〜10,
比較例1〜10の塗膜構成を表2に示す。
【0020】
【0021】得られた各塗装めっき鋼板から試験片を切
り出し、加工性試験及び加工部耐食性試験に供した。 〔加工性試験〕サイズ50mm×50mmの試験片を使
用し、試験片の圧延方向と直角に試験面を外にして直径
2mmの棒の回りに約1秒かけて180度折り曲げた。
折曲げに際し、曲げ部内側に試験片と同じ厚さの板を所
定枚数挟み込み、万力を用いて急速に締め付けた。曲げ
部内側に何も挟み込まずに締め付けたものを0T曲げ
(密着曲げ)、同じ厚さの板をn枚挟み込んで締め付け
たものをnT曲げとした。曲げ部外側にある塗膜を倍率
20倍の視野で観察し、割れが検出できなかった塗膜を
◎,軽微な割れが発生した塗膜を○,中程度の割れが発
生した塗膜を△,著しい亀裂が発生した塗膜を×として
加工性を評価した。
【0022】〔加工部耐食性試験〕圧延方向と垂直方向
に50mm,平行方向に20mmの長さで塗装めっき鋼
板から切り出した試験片を使用し、加工性試験と同様な
方法で0T曲げ及び2T曲げ加工した後、切断端面及び
裏面を塗料で補修した。幅65mm,高さ150mmの
樹脂板の面に対して垂直,幅方向に対して平行に試験片
をシリコーン系接着剤で貼り付け、試験サンプルを用意
した。試験サンプルを1000時間の塩水噴霧試験(JI
S K−5600−7−1)に供し、錆及び膨れの発生を評価し
た。白錆発生が検出されなかった加工部を◎、加工部全
長さに対して白錆の発生率が10%以下を○,10〜3
0%を△,30%を超える白錆が発生した加工部を×と
して加工部の耐白錆性を評価した。塗膜膨れが発生して
いない加工部を◎,加工部全長さに対して膨れの発生率
が10%以下を○,10〜30%を△,30%を超える
フクレが発生した加工部を×として加工部の耐膨れ性を
評価した。
【0023】表3の調査結果にみられるように、本発明
例1〜10の塗装めっき鋼板は、加工性及び加工部耐食
性共に優れ、加工試験後の塗膜割れや加工部耐食性試験
後の白錆,塗膜膨れ等が検出されなかった。この結果か
ら、溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼板を基材とし、
化成処理皮膜を形成し、エポキシ系樹脂塗膜を介して塗
膜伸び率100%以上の熱硬化型樹脂塗膜を形成するこ
とにより、加工による塗膜割れが抑制され、加工部にお
いても白錆や膨れの発生が抑制できることが判った。
【0024】他方、塗膜伸び率100%未満の熱硬化型
樹脂塗膜を形成した比較例1〜6の塗装めっき鋼板で
は、塗膜伸び率に応じて若干の差があるものの、0T曲
げ加工部,2T曲げ加工部何れの塗膜にも割れが発生し
た。加工部耐食性試験では、塗膜割れ部を起点とする白
錆の発生が検出されたが、何れの塗膜にも膨れは発生し
ていなかった。ポリエステル系樹脂塗膜を介して塗膜伸
び率100%以上の熱硬化型樹脂塗膜を形成した比較例
7〜10の塗装めっき鋼板では、何れの塗膜も加工部に
割れが発生していなかった。0T曲げ加工部,2丁曲げ
加工部何れにも白錆の発生を検出できなかったが、塗膜
膨れが観察された。この対比結果は、上塗り塗膜に塗膜
伸び率100%以上の熱硬化型樹脂塗膜を用いることに
より加工部の塗膜割れや白錆発生が抑制されることを意
味する。また、下塗り塗膜にエポキシ系樹脂塗膜を使用
するとき、加工部にある塗膜の耐膨れ性が改善されるこ
とが理解できる。
【0025】
【0026】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の塗装め
っき鋼板は、耐食性に優れたZn−Al−Mg系溶融め
っき鋼板を基材とし、密着性の良好なエポキシ系樹脂塗
膜を介して伸び特性が良好な熱硬化型樹脂塗膜を設けて
いる。熱硬化型樹脂塗膜は、加工時に溶融めっき層に亀
裂が入った場合でも連続皮膜になっているため、溶融め
っき層の亀裂を介して露呈する下地鋼が直に腐食性成分
に接することがなく、下地鋼露出部(加工部)も腐食雰
囲気から保護される。したがって、加工性に難点のあっ
たZn−Al−Mg系溶融めっき鋼板であっても高度の
加工が可能となり、Zn−Al−Mgめっき本来の優れ
た耐食性と相俟って、外装建材,内装建材,機械構造用
部材等として広範な分野で使用される素材が提供され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 伸び特性が良好な熱硬化型樹脂塗膜を設ける
ことにより加工部の腐食反応が抑制されることを説明す
る模式図
【符号の説明】
1:下地鋼 2:溶融めっき層 3:エポキシ系樹
脂塗膜 4:熱硬化型樹脂塗膜 5:溶融めっき層
に入った亀裂 6:熱硬化型樹脂塗膜の分断部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 圓谷 浩 千葉県市川市高谷新町7番1号 日新製鋼 株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4F100 AB03B AB09A AB10A AB12A AB18A AK01D AK44D AK53C BA04 BA07 BA10B BA10D CC00C EH71A GB07 JA04D JB02 JB13D JL01 YY00A YY00D 4K027 AA05 AA22 AB02 AB05 AB32 AB33 AB44 AE03

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Al:4〜22質量%,Mg:1〜4質
    量%,Ti:0〜0.1質量%,B:0〜0.045質量
    %を含み、残部が実質的にZnの組成をもち、Al/Z
    n/Zn2Mgの三元共晶組織のマトリックスに初晶A
    l相又は初晶Al相及びZn単相が混在した金属組織の
    溶融めっき層が設けられている溶融めっき鋼板を基材と
    し、エポキシ系樹脂塗膜を介して塗膜伸び率100%以
    上の熱硬化型樹脂塗膜が溶融めっき層の上に設けられて
    いることを特徴とする加工性及び加工部耐食性に優れた
    塗装めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 軟化開始温度30℃以下のイソシアネー
    ト硬化型ポリエステル塗料で熱硬化型樹脂塗膜が形成さ
    れている請求項1記載の塗装めっき鋼板。
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