JP2004323932A - 塗装鋼板、及びその母材めっき鋼板、並びにそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】大きな加工度が加えられる用途に対しても、十分な加工性能と耐食性能を同時に備えた塗装鋼板、及びその母材としてのZn−Al合金めっき鋼板、並びにそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】皮膜中にAl:40〜70質量%、Si:Al量の0.5〜5.0%を含むAl−Zn系合金めっき皮膜を鋼板の表面に形成する第一工程と、めっき皮膜形成後の鋼板に0.3〜2%の伸びを付与する第二工程と、第二工程の後に180〜250℃の温度のもと10〜30時間保持する熱処理を行う第三工程と、熱処理された鋼板の少なくとも一面側に塗装下地処理層を形成する第四工程と、下地処理層の上層に少なくとも1層の塗膜を形成する第五工程と、を設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】皮膜中にAl:40〜70質量%、Si:Al量の0.5〜5.0%を含むAl−Zn系合金めっき皮膜を鋼板の表面に形成する第一工程と、めっき皮膜形成後の鋼板に0.3〜2%の伸びを付与する第二工程と、第二工程の後に180〜250℃の温度のもと10〜30時間保持する熱処理を行う第三工程と、熱処理された鋼板の少なくとも一面側に塗装下地処理層を形成する第四工程と、下地処理層の上層に少なくとも1層の塗膜を形成する第五工程と、を設ける。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車、家電、建材用途として、加工性および加工部の耐食性に優れた塗装鋼板及びその母材めっき鋼板、並びにそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶融Al−Zn合金めっき鋼板はZnの持つ犠牲防食性能とAlの持つ高耐食性及び耐熱性の両性能を有するため、亜鉛めっき鋼板に比較し、優れた耐食性を有している。このような鋼板の代表的なものとして、Zn−55%Al−1.6%Si合金めっき鋼板がある。このような、溶融Al−Zn合金めっき鋼板は、その優れた耐食性から、そのまま、あるいは塗装鋼板母材として、屋根・壁材等の建材製品、ガードレール、配線配管や防音壁等の土木建築製品、自動車の排気系統、エアコン室外機、電気冷蔵庫、電子レンジ等の家電製品に急速に普及しつつある。
【0003】
しかし、溶融Al−Zn合金めっき鋼板はめっき皮膜の加工性が悪く、例えば曲げ加工の曲率半径が小さくなるとめっき層に割れを発生し、その部分の耐食性か劣ることが問題となっている。溶融Al−Zn合金めっき鋼板のめっき皮膜の加工性が悪い理由はいくつか挙げられている。まず、皮膜の合金はZnに対しAlの過共晶合金であるため、溶融状態から冷やされたとすると、Alリッチな初晶によるデンドライト間をZnのリッチ相が埋めていくという凝固組織となる。この場合、デンドライト間の距離(Dendrite Arm Space)が皮膜厚みより大きくなると、Znリッチ相がめっき皮膜を貫通することになり耐食性が大幅に減少する。この対策として皮膜がめっき後完全凝固するまで所定の冷却速度以上(約11℃/秒)で凝固させる手段がとられている。しかしながら、このような急冷を行うと、その結果めっき皮膜は硬くなるので、加工性には悪影響を与えることになる。
【0004】
また、めっき浴中のAlは、20%以上のAlを含むAl−Zn合金のめっき浴程度の温度で鋼板と速やかに反応して、Fe−Al合金層を形成する。この合金層が形成されるのを抑制するため、浴中にSiが添加される。しかしながら、この反応は完全には抑制できず、Fe−AlやFe−Al−Siを主とする金属間化合物がめっき/鋼板界面に形成される。これらの化合物はきわめて脆く、皮膜の加工性を悪化させる。
【0005】
このようなAl−Zn合金めっき層の劣った加工性を改善するには、従来よりめっき後に熱処理を施す方法があり(特許文献1)、低温長時間(例えば200℃×3Hrs以上)の加熱を施すことにより、十分な加工性が確保できる。しかしながら、特許文献1に開示された発明では、必ずしもその後に塗装される場合の性能までは考慮されていなかった。
【0006】
このため、特許文献2では、上層に薄膜樹脂による化成処理を施す場合において、加熱上限温度や上限時間を規定することにより加熱条件の適正化を図る方法が開示されている。さらに特許文献3では、塗膜の分子量やガラス転移温度を規定することにより、加工部耐食性を改善する方法を開示している。
【特許文献1】
特公昭61−28748号公報
【特許文献2】
特開2002−249862号公報
【特許文献3】
特開2002−226960号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、Al−Zn合金めっきの塗装鋼板に関し、加工部耐食性の向上のために種々検討されてはいる。しかし近年はサイディング用途等、外観向上のため深いエンボス加工等、塗装鋼板に大きな加工度を加える用途が拡大している。このように大きな加工度が塗装鋼板に加えられる場合、塗装皮膜やめっき皮膜にクラックが入りやすく、このクラックが原因となって、さびが発生しやすくなる。特許文献2及び3に開示された技術をもってしても、深いエンボス加工されるような部位に対しては充分な加工性能、耐食性能を発揮しているとは言い難かった。
【0008】
そこで本発明は、大きな加工度が加えられる用途に対しても、十分な加工性能と耐食性能を同時に備えた塗装鋼板、及びその母材としてのZn−Al合金めっき鋼板、並びにそれらの製造方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、めっき皮膜中に40〜70%のAlとAl量の0.5〜5.0%のSiを含有し、残部はZnと不可避不純物からなるAl−Zn合金めっき鋼板に、皮膜軟質化のための熱処理を行っても、塗装後の加工部の耐食性を低下させない、或いは向上させる手段について鋭意検討を行った。その結果、熱処理前に軽く圧延すること、及び熱処理を非酸化性または弱還元性雰囲気中で行うことで、塗装鋼板の加工性および加工後耐食性が良好となることを見出した。本発明は、このような知見に基づくものであり、さらにめっき皮膜や熱処理方法その他の条件についても詳細に検討し、本発明を完成するに至った。
【0010】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0011】
請求項1の発明は、めっき皮膜中に、Al:40〜70質量%、Si:Al量の0.5〜5.0%を含むAl−Zn系合金めっき鋼板であって、めっき皮膜のビッカース硬さが100以下であるとともに、めっき皮膜表面のAl酸化物量が金属Al換算で6mg/m2以下であるAl−Zn系合金めっき鋼板により前記課題を解決する。ここに「ビッカース硬さ」とは、JIS Z2244(ビッカース硬さ試験)に規定された方法により得られる測定値である。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載のAl−Zn系合金めっき鋼板を母材として、塗装下地処理層と、その上層に少なくとも1層の塗膜とを有する塗装鋼板である。
【0013】
請求項3の発明は、請求項2に記載の塗装鋼板において、塗装下地処理層の上層に下塗り塗膜と上塗り塗膜とを具備し、下塗り塗膜は厚さ3〜10μmのエポキシ系塗膜、又は厚さ5〜10μmのポリエステル系塗膜であり、上塗り塗膜は厚さ10〜20μmのポリエステル系塗膜、又は厚さ15〜25μmのフッ素系塗膜であることを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、請求項2に記載の塗装鋼板において、塗装下地処理層の上層に下塗り塗膜と上塗り塗膜とを具備し、下塗り塗膜は厚さ10〜25μmのエポキシ系塗膜、又は厚さ10〜25μmのポリエステル系塗膜であり、上塗り塗膜は厚さ15〜35μmのウレタン系塗膜であることを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明は、少なくとも一面側に塗装下地処理層と、その上層に少なくとも1層の塗膜とを有する塗装鋼板の母材の製造方法であって、皮膜中にAl:40〜70質量%、Si:Al量の0.5〜5.0%を含むAl−Zn系合金めっき皮膜を鋼板の表面に形成する第一工程と、めっき皮膜形成後の鋼板に0.3〜2%の伸びを付与する第二工程と、第二工程の後に180〜250℃の温度のもと10〜30時間保持する熱処理を行う第三工程とを含む塗装鋼板の母材の製造方法である。
【0016】
請求項6の発明は、請求項5に記載の塗装鋼板の母材の製造方法において、第二工程は伸び率0.3〜2%で行うスキンパス圧延であることを特徴とする。
【0017】
請求項7の発明は、請求項5又は6に記載の塗装鋼板の母材の製造方法において、熱処理は非酸化性又は弱還元性雰囲気下で行うことを特徴とする。
【0018】
請求項8の発明は、皮膜中にAl:40〜70質量%、Si:Al量の0.5〜5.0%を含むAl−Zn系合金めっき皮膜を鋼板の表面に形成する第一工程と、めっき皮膜形成後の鋼板に0.3〜2%の伸びを付与する第二工程と、第二工程の後に180〜250℃の温度のもと10〜30時間保持する熱処理を行う第三工程と、熱処理された鋼板の少なくとも一面側に塗装下地処理層を形成する第四工程と、下地処理層の上層に少なくとも1層の塗膜を形成する第五工程と、を有する塗装鋼板の製造方法である。
【0019】
請求項9の発明は、請求項8に記載の塗装鋼板の製造方法において、第二工程は伸び率0.3〜2%で行うスキンパス圧延であることを特徴とする。
【0020】
請求項10の発明は、請求項8又は9に記載の塗装鋼板の製造方法において、熱処理は非酸化性又は弱還元性雰囲気下で行うことを特徴とする。
【0021】
本発明の作用及び利得は、次に説明する実施の形態において明らかにされる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の溶融Al−Zn合金めっき鋼板を母材とする塗装鋼板とその製造法について、説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる、塗装鋼板の製造方法を示す工程図である。この塗装鋼板は、図1に示すように、冷延鋼板を出発材料として、めっき、スキンパス、熱処理、塗装下地処理、下塗り、及び上塗りの各工程を経て、製造される。以下に各工程別に詳細を説明する。
【0023】
(1)めっき工程
1−1 めっき皮膜の組成等
本発明では、めっき皮膜中にAlを40〜70質量%含有する溶融Al−Zn系めっき鋼板を母材(下地鋼板)とする。耐食性等の観点から、めっき皮膜中Al量のより好ましい含有量範囲は45〜65質量%である。めっき皮膜中のSi量はAl量の0.5〜5.0%とする。Siは、鋼板とAl−Znめっき浴との反応により形成されるFe−Al合金層が過剰に厚くなることを抑制するために含有させるものである。Si量が皮膜中Al量の0.5%未満の場合、Fe−Al合金層形成の抑制効果が不十分である。またSi量が皮膜中Al量の5%を超える場合、効果が飽和するばかりでなく、めっき皮膜中に金属Si粒子が増加し、皮膜の加工性を低下させる。このため、本発明において、めっき皮膜中のSi量は、めっき皮膜中Al量の0.5%〜5.0%であることが必須である。好ましくは、皮膜中Al量の1.0〜3.5%である。
【0024】
また、前述のように、めっき−鋼板界面に形成される合金層は、あまり厚いと、加工時のめっき剥離等加工性に悪影響を及ぼす。めっきの密着性が確保される限り薄い方がよい。合金層の厚さは、好ましくは2μm以下である。めっきの付着量は、求められる耐食性あるいはその他の理由によって決定されればよいが、あまり厚すぎると、加工性に劣る。本発明では、厚目付けであっても従来よりも加工性は改善されるものの、実用上の好ましい範囲としては片面あたり100g/m2以下である。
【0025】
1−2 めっき条件
浴温は、安定的に操業するには、めっき浴の融点の約30℃以上で操業するのが好ましい。ただし、あまり高すぎると前記の界面合金層が厚くなりやすくなり、また、浴中機器の腐食も進行しやすくなる。また、めっき浴への侵入材温が高すぎたり、めっき浴への浸漬時間が長過ぎても、界面合金層が厚くなりやすくなる。連続操業においては、板厚やめっき前の焼鈍条件等によっても変動するが、例えばZn−55%Al−1.6Siめっきにおいて、浴温および侵入材温は590℃〜610℃程度、めっき浴の浸漬時間は3秒以下程度が好ましい条件として挙げられる。
【0026】
その他のめっき条件は、一般に行われている連続溶融めっきの方式と大差なく実施できる。例えば、めっき母材を再結晶温度以上で還元焼鈍してから、めっき浴温近傍まで冷却したあと、めっき浴に浸漬し、ワイピング方式等により所定の膜厚に調整する。その後、所定の冷却速度以上で急冷する。
【0027】
(2)スキンパス工程
めっき皮膜のビッカース硬さが100を超えると、曲げ加工時に皮膜中にクラックが多数形成され、塗装後の外観や加工部の耐食性を大幅に低下させる。逆に、皮膜のビッカース硬さを100以下とすることにより、曲げ部のクラックを大幅に改善でき、塗装後の耐食性向上を図ることができる。めっき皮膜のビッカース硬さのより好ましい範囲は、90以下である。
【0028】
本発明では、めっき皮膜の硬さを軟化させやすくするために、次項に説明する熱処理工程前に、めっき鋼板に軽度の伸びを与える。好ましい伸びの範囲は、0.3〜2%である。このような範囲の伸びの付与にあたっては、例えばスキンパス圧延で所定の伸びを付与するのが簡便である。この場合、その伸び率が0.5%未満では十分に軟化効果を示さず、2%を越えると鋼板そのものが加工硬化により硬くなるため加工性に悪影響を及ぼしやすい。更に望ましい範囲は、0.5〜1.6%である。なお、伸びの付与によりめっき皮膜が軟質化しやすくなる理由は必ずしも明確ではないが、皮膜に付与された転位により再結晶化が促進され、それにより皮膜軟化が進むものと推定される。
【0029】
(3)熱処理工程
3−1 熱処理の温度と時間
スキンパス工程の後は、めっき鋼板を温度180〜250℃のもと、10〜30時間保持する熱処理工程が行われる。熱処理の温度および時間は、当然にめっき皮膜の硬さに影響する。熱処理前に前記のような所定の伸びを付与したとしても、熱処理温度が180℃未満では100Hv以下の硬さが得られない。また、熱処理温度が250℃を超えると、コスト高になるばかりでなく、耐食性も悪化する。そのため、本発明において、塗装鋼板、又はその母材めっき鋼板の熱処理温度範囲は180〜250℃であることが必須である。熱処理における加熱時間は、10時間未満では皮膜の軟化効果が小さく、一方、30時間を超える場合は、操業性やエネルギーコストの点で不利である。加熱時間のさらに好ましい範囲は15〜25時間である。なお、上記熱処理工程における加熱時間とは、所定の伸びを付与してから180℃〜250℃の温度領域に保持される時間をいい、それまでの昇温パターンや熱処理工程以降の冷却時間(速度)は特に限定はない。
【0030】
このような熱処理工程はコイルに巻取った後にオフラインでバッチ加熱して行ってもよい。また、めっきライン外の連続処理設備において加熱機構(例えば、インダクションヒーター、熱風炉など)により連続加熱して行ってもよい。さらには、めっきライン内や上記連続処理設備で連続加熱されためっき鋼板をコイルに巻取った後に適当な保熱又は加熱保持を行ってもよい。加熱又は保熱装置の方式、形状、規模等については特別な制限はなく、要はめっき皮膜に上記の条件で熱処理を行い得るものであればよい。
【0031】
3−2 塗装前のAl−Zn合金めっき皮膜表面のAl酸化物量
本発明において、塗装前のAl−Zn合金めっき皮膜表面のAl酸化物量は、金属Al換算で、6mg/m2以下であることが必須である。めっき皮膜表面のAl酸化物量が金属Al換算で6mg/m2を超えると、塗装鋼板としての加工部の耐食性が低下する。このため、Al酸化物量は、金属Al換算で6mg/m2以下に限定する。より好ましい範囲は、5mg/m2以下である。
【0032】
この理由については、以下のように推定している。溶融Al−Zn系めっき鋼板は、前述したように、Znめっき鋼板に較べて皮膜自身の耐食性は優れている。しかし、塗装鋼板となると、特に加工部の耐食性はめっき皮膜と上層塗膜との密着性も大きく影響する。特にAl含有量の高いZnめっき鋼板は、めっき浴の融点も高く、めっき浴から出て冷却過程で、めっき表層には緻密なAl酸化物が形成される。その後、従来技術にある熱処理を行うと、更にそのAl酸化物が増加する。このようなAl酸化物層が形成された場合、塗装下地処理の健全性に影響し、塗膜との密着性が損なわれると考えられる。
【0033】
3−3 熱処理の雰囲気
このめっき表層のAl酸化物量を金属Al換算で6mg/m2以下に制御する手投として、皮膜軟化のための熱処理工程時に酸化を進行させないことが1つとして挙げられる。このため、熱処理工程時に窒素、He、Arなどの非酸化性ガスを採用したり、5%以下の微量H2添加させた弱還元性の雰囲気を採用したりすることが有効である。さらに、塗装前に長期保管したコイルや、熱処理時にAirなどの酸化性ガスを使用した時には、塗装前にAl酸化物を除去する手段を施してもよい。例えば、5%前後のHCl水溶液やNaOH水溶液に10秒間前後浸漬する方法が挙げられる。
【0034】
(4)塗装下地処理工程
上記めっき鋼板の上に、塗膜密着性を向上させるため(必要に応じてアルカリ脱脂を施すか、或いは施さずにpH2〜4の硫酸ニッケルを主体とする前処理を施した後)、塗装下地処理を施す。塗装下地処理の例としては、リン酸亜鉛処理、クロメート処理、或いはシリカを主体とする処理液での塗布型処理が挙げられる。
【0035】
(5)塗膜
本発明の塗装鋼板では、塗装下地処理の上層に1層または2層以上の塗膜を有する。塗膜についてはそれぞれの用途に応じて適宜決定すればよい。しかしながら、本発明は、従来から加工性向上が求められていた下記の塗装系に適用することに意義が大きい。
【0036】
5−1 耐候性、耐食性鋼板
<A>下塗り工程
下塗り塗料としては、エポキシ樹脂をメラミン、或いはイソシアネート架橋させたエポキシ系下塗り塗料、或いはポリエステル系樹脂をメラミン或いはイソシアネート架橋させたポリエステル系下塗り塗料が使用できる。エポキシ系塗料の場合には塗膜厚みが3〜10μm、ポリエステル系塗膜の場合には5〜10μmとなるようにロールコータなどを使用して塗装する。いずれの下塗り塗膜にもストロンチウムクロメートやジンククロメート等のクロム系防錆顔料やシリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料を含有させることかできる。防錆顔料の添加量としては、通常100部の樹脂に対して30〜100部、体質顔料は同様に30〜50部程度添加することができる。防錆顔料の添加が少ない場合には、耐食性に劣り、添加量が多すぎる場合には、例えば二次密着性(経時的な塗膜密着性)が低下する場合がある。体質顔料は、下塗り塗料の経済性を向上させるとともに、塗膜に微小な凹凸を形成させることで上塗り塗膜との密着性を向上させたり、或いは塗料の貯蔵安定性を向上させたりする効果を有する。
【0037】
塗膜厚みは、過小では耐食性が劣り、過大では経済的に不利になるばかりでなく、塗装鋼板としての加工性低下を生じる事が多い。特に優れた加工性が要求される場合には、比較的軟質のポリエステル系下塗り塗料を使用することが好ましい。
【0038】
<B>上塗り工程
上塗り塗料としては、分子量として3000〜5000程度のポリエステル樹脂をメラミン架橋させたポリエステル系塗料、或いはアクリル樹脂溶液中にPVDF(フッ化ビニリデン)を分散させたフッ素塗料を使用する。通常はポリエステル系塗料を使用するが、長期にわたって優れた耐候性を要求される場合には、フッ素系塗料を使用することが好ましい。塗膜厚さについては、ポリエステル系塗料では10〜20μm、フッ素系塗料では15〜25μmであることが好ましい。塗膜厚さが上記範囲より小さい場合着色力が不足し、色の安定性が劣る上、屋外使用の場合には砂塵による塗膜の減耗により早期に錆の発生を招く可能性がある。塗膜厚さが上記範囲より大であると、経済性に劣る上、加工性の低下を生じる場合がある。なおフッ素系塗料の場合には、塗膜厚みが薄すぎると紫外線の透過により下塗り塗膜の劣化を生じる為、顔料濃度や顔料種類により塗膜厚みの最小値が決定される。
【0039】
5−2 耐食性、耐傷付き性鋼板
耐食性・耐傷付き性の要求レベルが特に高い場合には、下塗り塗膜厚さ及び上塗り塗膜厚さを厚くし、性能の向上を図ることができる。特に、建材用や住宅部材に使用する塗装鋼板の場合にはハンドリング時や輸送時に発生する傷が塗装鋼板の耐食性を著しく低下させる事がある。加工部や平板部の耐食性を向上させる為には、塗装鋼板の鋼板素地にまで達するような傷がつきにくい性能を付与する必要がある。このような場合、下塗り塗膜厚さ、及び上塗り塗膜厚さを厚くすることが有効である。
【0040】
この場合、従来は塩化ビニル塗装鋼板が広く用いられていたが、近年は、ダイオキシン発生防止の観点で、塩化ビニルを用いない塗装系の適用が進められている。好ましい系としては、下塗りとして、エポキシ系またはポリエステル系塗膜で塗膜厚さは10〜25μmとしたもの、上塗りとしてはポリエステル系またはウレタン系塗膜で、厚さは15〜35μmとしたものである。特にウレタン系の塗膜がより好適である。なお、顔料等の含有については、前記5−1のポリエステル系塗料についての記載と同様である。
【0041】
かくして、上規格工程を経て、本発明の塗装鋼板が製造される。図2は、そのようにして製造された塗装鋼板10の、層構成の概略を示す断面図である。出発材料としての鋼板1の両面にはAl−Zn合金めっき皮膜2A、2Bが形成されている。Al−Zn合金めっき皮膜2Aの上層には、塗装下地処理層3が形成され、さらにその上層側には順に、下塗り塗膜(プライマー層)4、及び上塗り塗膜(トップコート層)5が形成されている。本発明において、Al−Zn合金めっき皮膜2A、2Bは、Al:40〜70質量%、Si:Al量の0.5〜5.0%を含むことが必須である。又この皮膜2A、2Bのビッカース硬さは100以下であり、皮膜表面のAl酸化物量が金属Al換算で6mg/m2以下である。
【実施例】
<評価試験片の作成方法>
【0042】
(1)試験片母材の調製
試験片は、同一の鋼板に同一のめっき処理を施した母材により調製した。母材のめっき処理にあたり、縦型溶融めっき装置を用い、以下の条件でめっきを行った。まず、板厚0.7mmの冷延鋼板を75℃のNaOH溶液で脱脂洗浄し、雰囲気ガスが(N2+20%H2)の雰囲気中で820℃×60秒間焼鈍した。焼鈍後、浴温近傍まで鋼板を冷却し、浴温を(融点+40℃)に調整した溶融Al−Zn合金浴に浸漬し、ワイピング方式によりめっき片面付着量を75g/m2に調整した。冷却は強制空冷法を採用し皮膜が凝固するまでの平均冷却速度を15℃/秒とした。
【0043】
(2)各試験片の作成
以下の表1に示す試験群番号の調査目的に対応する試験片を作成した。
【表1】
【0044】
−スキンパス圧延処理−
上記のようにして得られた試験片母材を、表2〜5に示す伸び率となるようにスキンパス圧延をした。
【0045】
−熱処理−
その後、めっき鋼板を70×150mmに裁断し、雰囲気調整の可能な加熱炉中に挿入後、所定の温度、時間で熱処理を行った。熱処理雰囲気は、窒素またはAir(大気)を採用した。
【0046】
−塗装下地処理−
このようにして得られためっき鋼板の上に、塗布型クロメート(日本ペイント製NRC300)をバーコーターでクロム金属換算の付着量で30mg/m2となるように塗装し、最高到達温度が80℃になるように約10秒間で乾爆させ、下地処理を施した。
【0047】
−下塗り及び上塗り処理−
(試験群番号1及び2の試験片)
上記下地処理を施しためっき鋼板の上から、日本ファインコーティング製NSC661(エポキシ系下塗り塗料)を所定の乾燥膜厚みになるようにバーコーターにより塗装し、最高到達温度200℃となるように約30秒間で焼き付け乾燥させた。
【0048】
更に、日本ファインコーティング製NSC210HQ(ポリエステル系上塗り塗料)を所定の塗装膜厚みになるようにバーコーターにより塗装し、最高到達温度220℃となるように約40秒間で焼き付け乾燥させて塗装金属板の試験サンプルを得た。
【0049】
(試験群番号3(フッ素系)の試験片)
上記下地処理を施しためっき鋼板の上から、下塗りとして日本油脂製FX−31(ポリエステル系下塗り塗料)を乾燥膜厚み8μmとなるようにバーコーターにより塗装し、最高到達温度が220℃となるように約40秒間で焼き付け乾燥させた。その上に日本油脂製NO8800(フッ素系上塗り塗料)を所定の乾燥厚みになるようにバーコーターにより塗装し最高到達温度250℃となるよう約60秒間で焼き付け乾燥させた。
【0050】
(試験群番号4(厚膜系)の試験片)
上記下地処理を施しためっき鋼板の上から、下塗りとして関西ペイント製KPカラー8000(エポキシ系下塗り塗料)、または日本油脂製FX−31(ポリエステル系下塗り塗料)を所定の乾燥膜厚みとなるようロールコートし、最高到達温度210℃となるように約40秒間で焼き付け乾燥させた。その上に関西ペイント製KPカラー10A19(ウレタン系上塗り塗料)を所定の乾燥膜厚みとなるようロールコートし、最高到達温度240℃となるように約60秒間で焼き付け乾燥させた。
【0051】
<試験片の評価>
(1)試験片物性値の測定
1−1 めっき皮膜の硬さ
市販のビッカース硬さ計を用いて、めっき鋼板の表面から硬さを測定した。硬さ測定の際の荷重は50gとした。このような測定を1サンプルについて任意の7箇所測定し、最大値と最小値を除いた5点の平均値をめっき皮膜の硬さとした。
1−2 めっき付着量
めっき鋼板を70mm×100mmに切り出し、10%塩酸(1%鋼腐食抑制剤含有)でめっき皮膜を溶解し、溶解前後の重量差から付着量を算出した。
1−3 Al酸化物量
Al酸化物量は、50mm角に調整した試験片をクロム酸アンモニウム:20g/L、25%アンモニア水:500mlにイオン交換水を追加し、1Lに調整した溶液に10分間浸漬し、その溶液をIPC分析して測定した。
【0052】
(2)性能評価試験
2−1 加工性の評価方法
JIS G3312 12.2.2に規定する曲げ試験に準拠して、内側にn枚の同じ厚みの鋼板を挟んで塗膜面が外側になるように180度密着曲げを行い、曲げ部を10倍ルーペにて観察し、塗膜にクラックが発生しない最低のn枚数で、以下の評点基準により評価した。なお、折り曲げ温度は試験群番号1、及び2については20℃、3及び4については5℃とした。
5 : 2Tクラック無し
4 : 3Tクラック無し
3 : 4Tクラック無し
2 : 5Tクラック無し
1 : 5Tクラック有り
【0053】
2−2 加工後耐食性評価方法
1T曲げ後、JASO M609*)に規定する複合腐食試験を実施した。200サイクル後の膨れ率を以下の評点基準により評価した。
5 : 膨れ無し
4 : 10%未満
3 : 10%以上30%未満
2 : 30%以上50%未満
1 : 50%以上
【0054】
JASO M609:社団法人自動車技術会(JSAE)規格における、自動車用材料腐食試験方法。塩水噴霧(35℃×2時間)、乾燥(60℃×4時間)、湿潤(50℃×2時間)の合計8時間を1サイクルとするもの。これを20サイクル実施する。
【0055】
2−3 耐傷つき性の評価方法
先端の半径が0.075mmのダイヤモンド針に荷重をかけて、評価試験片の表面を引っ掻き、素地に達する傷が発生する最小の荷重を求めた。荷重が400g以上であれば良好とした。
【0056】
<評価結果>
以上の試験に対する評価結果をまとめて表2〜5に示す。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0057】
<結論>
以上の評価結果から、以下のとおり結論される。
(1)スキンパス・熱処理条件の影響(試験群番号1)
各実施例(1−1〜1−7)は本発明の要件を満たすもので、加工性、及び加工後の耐食性に優れた結果を示した。これに対して比較例1−1はスキンパス圧延を省略しており、本願発明の要件を満たす温度、時間で熱処理を行ったものの、めっき皮膜の硬さが100を超えており、このため加工後の耐食性に劣る結果となった。
【0058】
比較例1−2、3及び、1−4、5は、本発明の要件を満たすスキンパス圧延が行われているものの、熱処理の条件がそれぞれ温度、時間の点で本件発明の要件を満足していない。そのためめっき皮膜の硬さが100を大きく超えており、このため加工性、及び加工後の耐食性に劣る結果となった。
【0059】
比較例1−6は、本発明の要件を満たすスキンパス圧延が行われて、熱処理条件が温度、時間の点で本件発明の要件を満たしているので、めっき皮膜硬さは100以下に低下しているものの、雰囲気がAir(空気:酸化雰囲気)中で行われたため、めっき皮膜表面のAl酸化物量が金属Al換算で6mg/m2を超えている。そのため加工後の耐食性が劣る結果となった。
【0060】
比較例1−7、8は、熱処理が行われていないため、めっき皮膜硬さは100を大幅に上回っている。このため、加工性、加工後の耐食性において極端に悪い結果を示した。
【0061】
(2)塗膜厚さの影響(試験群番号2)
各実施例(2−1〜2−4)は本発明の要件を満たすもので、加工性、及び加工後の耐食性に優れた結果を示した。これに対して比較例2−1は、プライマー膜厚が薄く、加工後の耐食性に劣る結果を示した。比較例2−2は、プライマー層厚が厚すぎて、加工性及び加工後の耐食性に劣るものであった。一方、比較例2−3は、トップコート膜厚が薄く、加工後の耐食性に劣る結果を示した。比較例2−4は、プライマー層厚が厚すぎて、加工性及び加工後の耐食性に劣る結果を示した。
【0062】
(3)トップコートにフッ素系塗料を使用した場合の影響(試験群番号3)
各実施例(3−1、3−2)は本発明の要件を満たすもので、加工性、及び加工後の耐食性に優れた結果を示した。これに対して比較例3−1はトップコート層が厚すぎて、3−2はトップコート層が薄すぎて、それぞれ加工性、加工性及び加工後の耐食性に劣る結果となった。また、比較例3−3は、熱処理を省略した場合であり、加工性、及び加工後の耐食性において著しく劣る結果を示した。
【0063】
(4)厚膜系塗装をした場合の影響(試験群番号4)
各実施例(4−1〜4−4)は本発明の要件を満たすもので、加工性、及び加工後の耐食性に優れた結果を示した。これに対して、比較例4−1は、プライマー層が、比較例4−2はトップコート層が本件発明の限定より薄いものであり、耐傷付き性において悪い結果を示した。比較例4−3は、熱処理を省略した場合であり、加工性、及び加工後の耐食性において著しく劣る結果を示した。
【0064】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う塗装鋼板、及びその母材めっき鋼板、並びにそれらの製造方法もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【0065】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、加工性および加工部耐食性の良好な、Al−Zn系合金めっき鋼板を母材とする塗装鋼板が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる、塗装鋼板の製造方法を示す工程図である。
【図2】塗装鋼板1の、層構成の概略を示す断面図である。
【符号の説明】
1 鋼板
2A、2B Al―Zn合金めっき皮膜
3 塗装下地処理層
4 下塗り塗膜(プライマー層)
5 上塗り塗膜(トップコート層)
10 塗装鋼板
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車、家電、建材用途として、加工性および加工部の耐食性に優れた塗装鋼板及びその母材めっき鋼板、並びにそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶融Al−Zn合金めっき鋼板はZnの持つ犠牲防食性能とAlの持つ高耐食性及び耐熱性の両性能を有するため、亜鉛めっき鋼板に比較し、優れた耐食性を有している。このような鋼板の代表的なものとして、Zn−55%Al−1.6%Si合金めっき鋼板がある。このような、溶融Al−Zn合金めっき鋼板は、その優れた耐食性から、そのまま、あるいは塗装鋼板母材として、屋根・壁材等の建材製品、ガードレール、配線配管や防音壁等の土木建築製品、自動車の排気系統、エアコン室外機、電気冷蔵庫、電子レンジ等の家電製品に急速に普及しつつある。
【0003】
しかし、溶融Al−Zn合金めっき鋼板はめっき皮膜の加工性が悪く、例えば曲げ加工の曲率半径が小さくなるとめっき層に割れを発生し、その部分の耐食性か劣ることが問題となっている。溶融Al−Zn合金めっき鋼板のめっき皮膜の加工性が悪い理由はいくつか挙げられている。まず、皮膜の合金はZnに対しAlの過共晶合金であるため、溶融状態から冷やされたとすると、Alリッチな初晶によるデンドライト間をZnのリッチ相が埋めていくという凝固組織となる。この場合、デンドライト間の距離(Dendrite Arm Space)が皮膜厚みより大きくなると、Znリッチ相がめっき皮膜を貫通することになり耐食性が大幅に減少する。この対策として皮膜がめっき後完全凝固するまで所定の冷却速度以上(約11℃/秒)で凝固させる手段がとられている。しかしながら、このような急冷を行うと、その結果めっき皮膜は硬くなるので、加工性には悪影響を与えることになる。
【0004】
また、めっき浴中のAlは、20%以上のAlを含むAl−Zn合金のめっき浴程度の温度で鋼板と速やかに反応して、Fe−Al合金層を形成する。この合金層が形成されるのを抑制するため、浴中にSiが添加される。しかしながら、この反応は完全には抑制できず、Fe−AlやFe−Al−Siを主とする金属間化合物がめっき/鋼板界面に形成される。これらの化合物はきわめて脆く、皮膜の加工性を悪化させる。
【0005】
このようなAl−Zn合金めっき層の劣った加工性を改善するには、従来よりめっき後に熱処理を施す方法があり(特許文献1)、低温長時間(例えば200℃×3Hrs以上)の加熱を施すことにより、十分な加工性が確保できる。しかしながら、特許文献1に開示された発明では、必ずしもその後に塗装される場合の性能までは考慮されていなかった。
【0006】
このため、特許文献2では、上層に薄膜樹脂による化成処理を施す場合において、加熱上限温度や上限時間を規定することにより加熱条件の適正化を図る方法が開示されている。さらに特許文献3では、塗膜の分子量やガラス転移温度を規定することにより、加工部耐食性を改善する方法を開示している。
【特許文献1】
特公昭61−28748号公報
【特許文献2】
特開2002−249862号公報
【特許文献3】
特開2002−226960号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、Al−Zn合金めっきの塗装鋼板に関し、加工部耐食性の向上のために種々検討されてはいる。しかし近年はサイディング用途等、外観向上のため深いエンボス加工等、塗装鋼板に大きな加工度を加える用途が拡大している。このように大きな加工度が塗装鋼板に加えられる場合、塗装皮膜やめっき皮膜にクラックが入りやすく、このクラックが原因となって、さびが発生しやすくなる。特許文献2及び3に開示された技術をもってしても、深いエンボス加工されるような部位に対しては充分な加工性能、耐食性能を発揮しているとは言い難かった。
【0008】
そこで本発明は、大きな加工度が加えられる用途に対しても、十分な加工性能と耐食性能を同時に備えた塗装鋼板、及びその母材としてのZn−Al合金めっき鋼板、並びにそれらの製造方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、めっき皮膜中に40〜70%のAlとAl量の0.5〜5.0%のSiを含有し、残部はZnと不可避不純物からなるAl−Zn合金めっき鋼板に、皮膜軟質化のための熱処理を行っても、塗装後の加工部の耐食性を低下させない、或いは向上させる手段について鋭意検討を行った。その結果、熱処理前に軽く圧延すること、及び熱処理を非酸化性または弱還元性雰囲気中で行うことで、塗装鋼板の加工性および加工後耐食性が良好となることを見出した。本発明は、このような知見に基づくものであり、さらにめっき皮膜や熱処理方法その他の条件についても詳細に検討し、本発明を完成するに至った。
【0010】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0011】
請求項1の発明は、めっき皮膜中に、Al:40〜70質量%、Si:Al量の0.5〜5.0%を含むAl−Zn系合金めっき鋼板であって、めっき皮膜のビッカース硬さが100以下であるとともに、めっき皮膜表面のAl酸化物量が金属Al換算で6mg/m2以下であるAl−Zn系合金めっき鋼板により前記課題を解決する。ここに「ビッカース硬さ」とは、JIS Z2244(ビッカース硬さ試験)に規定された方法により得られる測定値である。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載のAl−Zn系合金めっき鋼板を母材として、塗装下地処理層と、その上層に少なくとも1層の塗膜とを有する塗装鋼板である。
【0013】
請求項3の発明は、請求項2に記載の塗装鋼板において、塗装下地処理層の上層に下塗り塗膜と上塗り塗膜とを具備し、下塗り塗膜は厚さ3〜10μmのエポキシ系塗膜、又は厚さ5〜10μmのポリエステル系塗膜であり、上塗り塗膜は厚さ10〜20μmのポリエステル系塗膜、又は厚さ15〜25μmのフッ素系塗膜であることを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、請求項2に記載の塗装鋼板において、塗装下地処理層の上層に下塗り塗膜と上塗り塗膜とを具備し、下塗り塗膜は厚さ10〜25μmのエポキシ系塗膜、又は厚さ10〜25μmのポリエステル系塗膜であり、上塗り塗膜は厚さ15〜35μmのウレタン系塗膜であることを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明は、少なくとも一面側に塗装下地処理層と、その上層に少なくとも1層の塗膜とを有する塗装鋼板の母材の製造方法であって、皮膜中にAl:40〜70質量%、Si:Al量の0.5〜5.0%を含むAl−Zn系合金めっき皮膜を鋼板の表面に形成する第一工程と、めっき皮膜形成後の鋼板に0.3〜2%の伸びを付与する第二工程と、第二工程の後に180〜250℃の温度のもと10〜30時間保持する熱処理を行う第三工程とを含む塗装鋼板の母材の製造方法である。
【0016】
請求項6の発明は、請求項5に記載の塗装鋼板の母材の製造方法において、第二工程は伸び率0.3〜2%で行うスキンパス圧延であることを特徴とする。
【0017】
請求項7の発明は、請求項5又は6に記載の塗装鋼板の母材の製造方法において、熱処理は非酸化性又は弱還元性雰囲気下で行うことを特徴とする。
【0018】
請求項8の発明は、皮膜中にAl:40〜70質量%、Si:Al量の0.5〜5.0%を含むAl−Zn系合金めっき皮膜を鋼板の表面に形成する第一工程と、めっき皮膜形成後の鋼板に0.3〜2%の伸びを付与する第二工程と、第二工程の後に180〜250℃の温度のもと10〜30時間保持する熱処理を行う第三工程と、熱処理された鋼板の少なくとも一面側に塗装下地処理層を形成する第四工程と、下地処理層の上層に少なくとも1層の塗膜を形成する第五工程と、を有する塗装鋼板の製造方法である。
【0019】
請求項9の発明は、請求項8に記載の塗装鋼板の製造方法において、第二工程は伸び率0.3〜2%で行うスキンパス圧延であることを特徴とする。
【0020】
請求項10の発明は、請求項8又は9に記載の塗装鋼板の製造方法において、熱処理は非酸化性又は弱還元性雰囲気下で行うことを特徴とする。
【0021】
本発明の作用及び利得は、次に説明する実施の形態において明らかにされる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の溶融Al−Zn合金めっき鋼板を母材とする塗装鋼板とその製造法について、説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる、塗装鋼板の製造方法を示す工程図である。この塗装鋼板は、図1に示すように、冷延鋼板を出発材料として、めっき、スキンパス、熱処理、塗装下地処理、下塗り、及び上塗りの各工程を経て、製造される。以下に各工程別に詳細を説明する。
【0023】
(1)めっき工程
1−1 めっき皮膜の組成等
本発明では、めっき皮膜中にAlを40〜70質量%含有する溶融Al−Zn系めっき鋼板を母材(下地鋼板)とする。耐食性等の観点から、めっき皮膜中Al量のより好ましい含有量範囲は45〜65質量%である。めっき皮膜中のSi量はAl量の0.5〜5.0%とする。Siは、鋼板とAl−Znめっき浴との反応により形成されるFe−Al合金層が過剰に厚くなることを抑制するために含有させるものである。Si量が皮膜中Al量の0.5%未満の場合、Fe−Al合金層形成の抑制効果が不十分である。またSi量が皮膜中Al量の5%を超える場合、効果が飽和するばかりでなく、めっき皮膜中に金属Si粒子が増加し、皮膜の加工性を低下させる。このため、本発明において、めっき皮膜中のSi量は、めっき皮膜中Al量の0.5%〜5.0%であることが必須である。好ましくは、皮膜中Al量の1.0〜3.5%である。
【0024】
また、前述のように、めっき−鋼板界面に形成される合金層は、あまり厚いと、加工時のめっき剥離等加工性に悪影響を及ぼす。めっきの密着性が確保される限り薄い方がよい。合金層の厚さは、好ましくは2μm以下である。めっきの付着量は、求められる耐食性あるいはその他の理由によって決定されればよいが、あまり厚すぎると、加工性に劣る。本発明では、厚目付けであっても従来よりも加工性は改善されるものの、実用上の好ましい範囲としては片面あたり100g/m2以下である。
【0025】
1−2 めっき条件
浴温は、安定的に操業するには、めっき浴の融点の約30℃以上で操業するのが好ましい。ただし、あまり高すぎると前記の界面合金層が厚くなりやすくなり、また、浴中機器の腐食も進行しやすくなる。また、めっき浴への侵入材温が高すぎたり、めっき浴への浸漬時間が長過ぎても、界面合金層が厚くなりやすくなる。連続操業においては、板厚やめっき前の焼鈍条件等によっても変動するが、例えばZn−55%Al−1.6Siめっきにおいて、浴温および侵入材温は590℃〜610℃程度、めっき浴の浸漬時間は3秒以下程度が好ましい条件として挙げられる。
【0026】
その他のめっき条件は、一般に行われている連続溶融めっきの方式と大差なく実施できる。例えば、めっき母材を再結晶温度以上で還元焼鈍してから、めっき浴温近傍まで冷却したあと、めっき浴に浸漬し、ワイピング方式等により所定の膜厚に調整する。その後、所定の冷却速度以上で急冷する。
【0027】
(2)スキンパス工程
めっき皮膜のビッカース硬さが100を超えると、曲げ加工時に皮膜中にクラックが多数形成され、塗装後の外観や加工部の耐食性を大幅に低下させる。逆に、皮膜のビッカース硬さを100以下とすることにより、曲げ部のクラックを大幅に改善でき、塗装後の耐食性向上を図ることができる。めっき皮膜のビッカース硬さのより好ましい範囲は、90以下である。
【0028】
本発明では、めっき皮膜の硬さを軟化させやすくするために、次項に説明する熱処理工程前に、めっき鋼板に軽度の伸びを与える。好ましい伸びの範囲は、0.3〜2%である。このような範囲の伸びの付与にあたっては、例えばスキンパス圧延で所定の伸びを付与するのが簡便である。この場合、その伸び率が0.5%未満では十分に軟化効果を示さず、2%を越えると鋼板そのものが加工硬化により硬くなるため加工性に悪影響を及ぼしやすい。更に望ましい範囲は、0.5〜1.6%である。なお、伸びの付与によりめっき皮膜が軟質化しやすくなる理由は必ずしも明確ではないが、皮膜に付与された転位により再結晶化が促進され、それにより皮膜軟化が進むものと推定される。
【0029】
(3)熱処理工程
3−1 熱処理の温度と時間
スキンパス工程の後は、めっき鋼板を温度180〜250℃のもと、10〜30時間保持する熱処理工程が行われる。熱処理の温度および時間は、当然にめっき皮膜の硬さに影響する。熱処理前に前記のような所定の伸びを付与したとしても、熱処理温度が180℃未満では100Hv以下の硬さが得られない。また、熱処理温度が250℃を超えると、コスト高になるばかりでなく、耐食性も悪化する。そのため、本発明において、塗装鋼板、又はその母材めっき鋼板の熱処理温度範囲は180〜250℃であることが必須である。熱処理における加熱時間は、10時間未満では皮膜の軟化効果が小さく、一方、30時間を超える場合は、操業性やエネルギーコストの点で不利である。加熱時間のさらに好ましい範囲は15〜25時間である。なお、上記熱処理工程における加熱時間とは、所定の伸びを付与してから180℃〜250℃の温度領域に保持される時間をいい、それまでの昇温パターンや熱処理工程以降の冷却時間(速度)は特に限定はない。
【0030】
このような熱処理工程はコイルに巻取った後にオフラインでバッチ加熱して行ってもよい。また、めっきライン外の連続処理設備において加熱機構(例えば、インダクションヒーター、熱風炉など)により連続加熱して行ってもよい。さらには、めっきライン内や上記連続処理設備で連続加熱されためっき鋼板をコイルに巻取った後に適当な保熱又は加熱保持を行ってもよい。加熱又は保熱装置の方式、形状、規模等については特別な制限はなく、要はめっき皮膜に上記の条件で熱処理を行い得るものであればよい。
【0031】
3−2 塗装前のAl−Zn合金めっき皮膜表面のAl酸化物量
本発明において、塗装前のAl−Zn合金めっき皮膜表面のAl酸化物量は、金属Al換算で、6mg/m2以下であることが必須である。めっき皮膜表面のAl酸化物量が金属Al換算で6mg/m2を超えると、塗装鋼板としての加工部の耐食性が低下する。このため、Al酸化物量は、金属Al換算で6mg/m2以下に限定する。より好ましい範囲は、5mg/m2以下である。
【0032】
この理由については、以下のように推定している。溶融Al−Zn系めっき鋼板は、前述したように、Znめっき鋼板に較べて皮膜自身の耐食性は優れている。しかし、塗装鋼板となると、特に加工部の耐食性はめっき皮膜と上層塗膜との密着性も大きく影響する。特にAl含有量の高いZnめっき鋼板は、めっき浴の融点も高く、めっき浴から出て冷却過程で、めっき表層には緻密なAl酸化物が形成される。その後、従来技術にある熱処理を行うと、更にそのAl酸化物が増加する。このようなAl酸化物層が形成された場合、塗装下地処理の健全性に影響し、塗膜との密着性が損なわれると考えられる。
【0033】
3−3 熱処理の雰囲気
このめっき表層のAl酸化物量を金属Al換算で6mg/m2以下に制御する手投として、皮膜軟化のための熱処理工程時に酸化を進行させないことが1つとして挙げられる。このため、熱処理工程時に窒素、He、Arなどの非酸化性ガスを採用したり、5%以下の微量H2添加させた弱還元性の雰囲気を採用したりすることが有効である。さらに、塗装前に長期保管したコイルや、熱処理時にAirなどの酸化性ガスを使用した時には、塗装前にAl酸化物を除去する手段を施してもよい。例えば、5%前後のHCl水溶液やNaOH水溶液に10秒間前後浸漬する方法が挙げられる。
【0034】
(4)塗装下地処理工程
上記めっき鋼板の上に、塗膜密着性を向上させるため(必要に応じてアルカリ脱脂を施すか、或いは施さずにpH2〜4の硫酸ニッケルを主体とする前処理を施した後)、塗装下地処理を施す。塗装下地処理の例としては、リン酸亜鉛処理、クロメート処理、或いはシリカを主体とする処理液での塗布型処理が挙げられる。
【0035】
(5)塗膜
本発明の塗装鋼板では、塗装下地処理の上層に1層または2層以上の塗膜を有する。塗膜についてはそれぞれの用途に応じて適宜決定すればよい。しかしながら、本発明は、従来から加工性向上が求められていた下記の塗装系に適用することに意義が大きい。
【0036】
5−1 耐候性、耐食性鋼板
<A>下塗り工程
下塗り塗料としては、エポキシ樹脂をメラミン、或いはイソシアネート架橋させたエポキシ系下塗り塗料、或いはポリエステル系樹脂をメラミン或いはイソシアネート架橋させたポリエステル系下塗り塗料が使用できる。エポキシ系塗料の場合には塗膜厚みが3〜10μm、ポリエステル系塗膜の場合には5〜10μmとなるようにロールコータなどを使用して塗装する。いずれの下塗り塗膜にもストロンチウムクロメートやジンククロメート等のクロム系防錆顔料やシリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料を含有させることかできる。防錆顔料の添加量としては、通常100部の樹脂に対して30〜100部、体質顔料は同様に30〜50部程度添加することができる。防錆顔料の添加が少ない場合には、耐食性に劣り、添加量が多すぎる場合には、例えば二次密着性(経時的な塗膜密着性)が低下する場合がある。体質顔料は、下塗り塗料の経済性を向上させるとともに、塗膜に微小な凹凸を形成させることで上塗り塗膜との密着性を向上させたり、或いは塗料の貯蔵安定性を向上させたりする効果を有する。
【0037】
塗膜厚みは、過小では耐食性が劣り、過大では経済的に不利になるばかりでなく、塗装鋼板としての加工性低下を生じる事が多い。特に優れた加工性が要求される場合には、比較的軟質のポリエステル系下塗り塗料を使用することが好ましい。
【0038】
<B>上塗り工程
上塗り塗料としては、分子量として3000〜5000程度のポリエステル樹脂をメラミン架橋させたポリエステル系塗料、或いはアクリル樹脂溶液中にPVDF(フッ化ビニリデン)を分散させたフッ素塗料を使用する。通常はポリエステル系塗料を使用するが、長期にわたって優れた耐候性を要求される場合には、フッ素系塗料を使用することが好ましい。塗膜厚さについては、ポリエステル系塗料では10〜20μm、フッ素系塗料では15〜25μmであることが好ましい。塗膜厚さが上記範囲より小さい場合着色力が不足し、色の安定性が劣る上、屋外使用の場合には砂塵による塗膜の減耗により早期に錆の発生を招く可能性がある。塗膜厚さが上記範囲より大であると、経済性に劣る上、加工性の低下を生じる場合がある。なおフッ素系塗料の場合には、塗膜厚みが薄すぎると紫外線の透過により下塗り塗膜の劣化を生じる為、顔料濃度や顔料種類により塗膜厚みの最小値が決定される。
【0039】
5−2 耐食性、耐傷付き性鋼板
耐食性・耐傷付き性の要求レベルが特に高い場合には、下塗り塗膜厚さ及び上塗り塗膜厚さを厚くし、性能の向上を図ることができる。特に、建材用や住宅部材に使用する塗装鋼板の場合にはハンドリング時や輸送時に発生する傷が塗装鋼板の耐食性を著しく低下させる事がある。加工部や平板部の耐食性を向上させる為には、塗装鋼板の鋼板素地にまで達するような傷がつきにくい性能を付与する必要がある。このような場合、下塗り塗膜厚さ、及び上塗り塗膜厚さを厚くすることが有効である。
【0040】
この場合、従来は塩化ビニル塗装鋼板が広く用いられていたが、近年は、ダイオキシン発生防止の観点で、塩化ビニルを用いない塗装系の適用が進められている。好ましい系としては、下塗りとして、エポキシ系またはポリエステル系塗膜で塗膜厚さは10〜25μmとしたもの、上塗りとしてはポリエステル系またはウレタン系塗膜で、厚さは15〜35μmとしたものである。特にウレタン系の塗膜がより好適である。なお、顔料等の含有については、前記5−1のポリエステル系塗料についての記載と同様である。
【0041】
かくして、上規格工程を経て、本発明の塗装鋼板が製造される。図2は、そのようにして製造された塗装鋼板10の、層構成の概略を示す断面図である。出発材料としての鋼板1の両面にはAl−Zn合金めっき皮膜2A、2Bが形成されている。Al−Zn合金めっき皮膜2Aの上層には、塗装下地処理層3が形成され、さらにその上層側には順に、下塗り塗膜(プライマー層)4、及び上塗り塗膜(トップコート層)5が形成されている。本発明において、Al−Zn合金めっき皮膜2A、2Bは、Al:40〜70質量%、Si:Al量の0.5〜5.0%を含むことが必須である。又この皮膜2A、2Bのビッカース硬さは100以下であり、皮膜表面のAl酸化物量が金属Al換算で6mg/m2以下である。
【実施例】
<評価試験片の作成方法>
【0042】
(1)試験片母材の調製
試験片は、同一の鋼板に同一のめっき処理を施した母材により調製した。母材のめっき処理にあたり、縦型溶融めっき装置を用い、以下の条件でめっきを行った。まず、板厚0.7mmの冷延鋼板を75℃のNaOH溶液で脱脂洗浄し、雰囲気ガスが(N2+20%H2)の雰囲気中で820℃×60秒間焼鈍した。焼鈍後、浴温近傍まで鋼板を冷却し、浴温を(融点+40℃)に調整した溶融Al−Zn合金浴に浸漬し、ワイピング方式によりめっき片面付着量を75g/m2に調整した。冷却は強制空冷法を採用し皮膜が凝固するまでの平均冷却速度を15℃/秒とした。
【0043】
(2)各試験片の作成
以下の表1に示す試験群番号の調査目的に対応する試験片を作成した。
【表1】
【0044】
−スキンパス圧延処理−
上記のようにして得られた試験片母材を、表2〜5に示す伸び率となるようにスキンパス圧延をした。
【0045】
−熱処理−
その後、めっき鋼板を70×150mmに裁断し、雰囲気調整の可能な加熱炉中に挿入後、所定の温度、時間で熱処理を行った。熱処理雰囲気は、窒素またはAir(大気)を採用した。
【0046】
−塗装下地処理−
このようにして得られためっき鋼板の上に、塗布型クロメート(日本ペイント製NRC300)をバーコーターでクロム金属換算の付着量で30mg/m2となるように塗装し、最高到達温度が80℃になるように約10秒間で乾爆させ、下地処理を施した。
【0047】
−下塗り及び上塗り処理−
(試験群番号1及び2の試験片)
上記下地処理を施しためっき鋼板の上から、日本ファインコーティング製NSC661(エポキシ系下塗り塗料)を所定の乾燥膜厚みになるようにバーコーターにより塗装し、最高到達温度200℃となるように約30秒間で焼き付け乾燥させた。
【0048】
更に、日本ファインコーティング製NSC210HQ(ポリエステル系上塗り塗料)を所定の塗装膜厚みになるようにバーコーターにより塗装し、最高到達温度220℃となるように約40秒間で焼き付け乾燥させて塗装金属板の試験サンプルを得た。
【0049】
(試験群番号3(フッ素系)の試験片)
上記下地処理を施しためっき鋼板の上から、下塗りとして日本油脂製FX−31(ポリエステル系下塗り塗料)を乾燥膜厚み8μmとなるようにバーコーターにより塗装し、最高到達温度が220℃となるように約40秒間で焼き付け乾燥させた。その上に日本油脂製NO8800(フッ素系上塗り塗料)を所定の乾燥厚みになるようにバーコーターにより塗装し最高到達温度250℃となるよう約60秒間で焼き付け乾燥させた。
【0050】
(試験群番号4(厚膜系)の試験片)
上記下地処理を施しためっき鋼板の上から、下塗りとして関西ペイント製KPカラー8000(エポキシ系下塗り塗料)、または日本油脂製FX−31(ポリエステル系下塗り塗料)を所定の乾燥膜厚みとなるようロールコートし、最高到達温度210℃となるように約40秒間で焼き付け乾燥させた。その上に関西ペイント製KPカラー10A19(ウレタン系上塗り塗料)を所定の乾燥膜厚みとなるようロールコートし、最高到達温度240℃となるように約60秒間で焼き付け乾燥させた。
【0051】
<試験片の評価>
(1)試験片物性値の測定
1−1 めっき皮膜の硬さ
市販のビッカース硬さ計を用いて、めっき鋼板の表面から硬さを測定した。硬さ測定の際の荷重は50gとした。このような測定を1サンプルについて任意の7箇所測定し、最大値と最小値を除いた5点の平均値をめっき皮膜の硬さとした。
1−2 めっき付着量
めっき鋼板を70mm×100mmに切り出し、10%塩酸(1%鋼腐食抑制剤含有)でめっき皮膜を溶解し、溶解前後の重量差から付着量を算出した。
1−3 Al酸化物量
Al酸化物量は、50mm角に調整した試験片をクロム酸アンモニウム:20g/L、25%アンモニア水:500mlにイオン交換水を追加し、1Lに調整した溶液に10分間浸漬し、その溶液をIPC分析して測定した。
【0052】
(2)性能評価試験
2−1 加工性の評価方法
JIS G3312 12.2.2に規定する曲げ試験に準拠して、内側にn枚の同じ厚みの鋼板を挟んで塗膜面が外側になるように180度密着曲げを行い、曲げ部を10倍ルーペにて観察し、塗膜にクラックが発生しない最低のn枚数で、以下の評点基準により評価した。なお、折り曲げ温度は試験群番号1、及び2については20℃、3及び4については5℃とした。
5 : 2Tクラック無し
4 : 3Tクラック無し
3 : 4Tクラック無し
2 : 5Tクラック無し
1 : 5Tクラック有り
【0053】
2−2 加工後耐食性評価方法
1T曲げ後、JASO M609*)に規定する複合腐食試験を実施した。200サイクル後の膨れ率を以下の評点基準により評価した。
5 : 膨れ無し
4 : 10%未満
3 : 10%以上30%未満
2 : 30%以上50%未満
1 : 50%以上
【0054】
JASO M609:社団法人自動車技術会(JSAE)規格における、自動車用材料腐食試験方法。塩水噴霧(35℃×2時間)、乾燥(60℃×4時間)、湿潤(50℃×2時間)の合計8時間を1サイクルとするもの。これを20サイクル実施する。
【0055】
2−3 耐傷つき性の評価方法
先端の半径が0.075mmのダイヤモンド針に荷重をかけて、評価試験片の表面を引っ掻き、素地に達する傷が発生する最小の荷重を求めた。荷重が400g以上であれば良好とした。
【0056】
<評価結果>
以上の試験に対する評価結果をまとめて表2〜5に示す。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0057】
<結論>
以上の評価結果から、以下のとおり結論される。
(1)スキンパス・熱処理条件の影響(試験群番号1)
各実施例(1−1〜1−7)は本発明の要件を満たすもので、加工性、及び加工後の耐食性に優れた結果を示した。これに対して比較例1−1はスキンパス圧延を省略しており、本願発明の要件を満たす温度、時間で熱処理を行ったものの、めっき皮膜の硬さが100を超えており、このため加工後の耐食性に劣る結果となった。
【0058】
比較例1−2、3及び、1−4、5は、本発明の要件を満たすスキンパス圧延が行われているものの、熱処理の条件がそれぞれ温度、時間の点で本件発明の要件を満足していない。そのためめっき皮膜の硬さが100を大きく超えており、このため加工性、及び加工後の耐食性に劣る結果となった。
【0059】
比較例1−6は、本発明の要件を満たすスキンパス圧延が行われて、熱処理条件が温度、時間の点で本件発明の要件を満たしているので、めっき皮膜硬さは100以下に低下しているものの、雰囲気がAir(空気:酸化雰囲気)中で行われたため、めっき皮膜表面のAl酸化物量が金属Al換算で6mg/m2を超えている。そのため加工後の耐食性が劣る結果となった。
【0060】
比較例1−7、8は、熱処理が行われていないため、めっき皮膜硬さは100を大幅に上回っている。このため、加工性、加工後の耐食性において極端に悪い結果を示した。
【0061】
(2)塗膜厚さの影響(試験群番号2)
各実施例(2−1〜2−4)は本発明の要件を満たすもので、加工性、及び加工後の耐食性に優れた結果を示した。これに対して比較例2−1は、プライマー膜厚が薄く、加工後の耐食性に劣る結果を示した。比較例2−2は、プライマー層厚が厚すぎて、加工性及び加工後の耐食性に劣るものであった。一方、比較例2−3は、トップコート膜厚が薄く、加工後の耐食性に劣る結果を示した。比較例2−4は、プライマー層厚が厚すぎて、加工性及び加工後の耐食性に劣る結果を示した。
【0062】
(3)トップコートにフッ素系塗料を使用した場合の影響(試験群番号3)
各実施例(3−1、3−2)は本発明の要件を満たすもので、加工性、及び加工後の耐食性に優れた結果を示した。これに対して比較例3−1はトップコート層が厚すぎて、3−2はトップコート層が薄すぎて、それぞれ加工性、加工性及び加工後の耐食性に劣る結果となった。また、比較例3−3は、熱処理を省略した場合であり、加工性、及び加工後の耐食性において著しく劣る結果を示した。
【0063】
(4)厚膜系塗装をした場合の影響(試験群番号4)
各実施例(4−1〜4−4)は本発明の要件を満たすもので、加工性、及び加工後の耐食性に優れた結果を示した。これに対して、比較例4−1は、プライマー層が、比較例4−2はトップコート層が本件発明の限定より薄いものであり、耐傷付き性において悪い結果を示した。比較例4−3は、熱処理を省略した場合であり、加工性、及び加工後の耐食性において著しく劣る結果を示した。
【0064】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う塗装鋼板、及びその母材めっき鋼板、並びにそれらの製造方法もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【0065】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、加工性および加工部耐食性の良好な、Al−Zn系合金めっき鋼板を母材とする塗装鋼板が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる、塗装鋼板の製造方法を示す工程図である。
【図2】塗装鋼板1の、層構成の概略を示す断面図である。
【符号の説明】
1 鋼板
2A、2B Al―Zn合金めっき皮膜
3 塗装下地処理層
4 下塗り塗膜(プライマー層)
5 上塗り塗膜(トップコート層)
10 塗装鋼板
Claims (10)
- めっき皮膜中に、Al:40〜70質量%、Si:Al量の0.5〜5.0%を含むAl−Zn系合金めっき鋼板であって、
前記めっき皮膜のビッカース硬さが100以下であるとともに、前記めっき皮膜表面のAl酸化物量が金属Al換算で6mg/m2以下である、Al−Zn系合金めっき鋼板。 - 請求項1に記載のAl−Zn系合金めっき鋼板を母材として、塗装下地処理層と、その上層に少なくとも1層の塗膜とを有する塗装鋼板。
- 前記塗装下地処理層の上層に、下塗り塗膜と上塗り塗膜とを具備し、
前記下塗り塗膜は厚さ3〜10μmのエポキシ系塗膜、又は厚さ5〜10μmのポリエステル系塗膜であり、
前記上塗り塗膜は厚さ10〜25μmのポリエステル系塗膜、又は厚さ15〜25μmのフッ素系塗膜である、請求項2に記載の塗装鋼板。 - 前記塗装下地処理層の上層に、下塗り塗膜と上塗り塗膜とを具備し、
前記下塗り塗膜は厚さ10〜25μmのエポキシ系塗膜、又は厚さ10〜25μmのポリエステル系塗膜であり、
前記上塗り塗膜は厚さ15〜35μmのウレタン系塗膜である、請求項2に記載の塗装鋼板。 - 少なくとも一面側に塗装下地処理層と、その上層に少なくとも1層の塗膜とを有する塗装鋼板の母材の製造方法であって、
皮膜中に、Al:40〜70質量%、Si:Al量の0.5〜5.0%を含むAl−Zn系合金めっき皮膜を鋼板の表面に形成する第一工程と、
前記めっき皮膜形成後の鋼板に0.3〜2%の伸びを付与する第二工程と、
前記第二工程の後に、180〜250℃の温度のもと、10〜30時間保持する熱処理を行う第三工程とを含む、塗装鋼板の母材の製造方法。 - 前記第二工程は、伸び率0.3〜2%で行うスキンパス圧延である請求項5に記載の塗装鋼板の母材の製造方法。
- 前記熱処理は、非酸化性又は弱還元性雰囲気下で行う請求項5又は6に記載の塗装鋼板の母材の製造方法。
- 皮膜中に、Al:40〜70質量%、Si:Al量の0.5〜5.0%を含むAl−Zn系合金めっき皮膜を鋼板の表面に形成する第一工程と、
前記めっき皮膜形成後の鋼板に0.3〜2%の伸びを付与する第二工程と、
前記第二工程の後に、180〜250℃の温度のもと、10〜30時間保持する熱処理を行う第三工程と、
前記熱処理された鋼板の少なくとも一面側に塗装下地処理層を形成する第四工程と、
前記下地処理層の上層に少なくとも1層の塗膜を形成する第五工程と、
を有する塗装鋼板の製造方法。 - 前記第二工程は、伸び率0.3〜2%で行うスキンパス圧延である請求項8に記載の塗装鋼板の製造方法。
- 前記熱処理は、非酸化性又は弱還元性雰囲気下で行う請求項8又は9に記載の塗装鋼板の製造方法。
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