JP4919427B2 - 溶融めっき鋼板の温間加工方法 - Google Patents
溶融めっき鋼板の温間加工方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4919427B2 JP4919427B2 JP2007259229A JP2007259229A JP4919427B2 JP 4919427 B2 JP4919427 B2 JP 4919427B2 JP 2007259229 A JP2007259229 A JP 2007259229A JP 2007259229 A JP2007259229 A JP 2007259229A JP 4919427 B2 JP4919427 B2 JP 4919427B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- hot
- dip
- steel sheet
- coating film
- film
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Coating With Molten Metal (AREA)
- Bending Of Plates, Rods, And Pipes (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
Description
特に塗装溶融めっき鋼板では、塗膜にクラックがなくても、めっき層にクラックがあると、塗膜を透過した腐食性イオンにより腐食が促進され塗膜フクレの原因となり、外観を低下させている。
そこで、本発明者等は、溶融めっき鋼板を加工する際に板温を種々変更し、板温が溶融めっき層の加工性に及ぼす影響を調査した。その結果、意外にも50℃以上の温度域に板温を管理すると、下地鋼とめっき層との延性差が小さくなり、溶融めっき層に発生しがちなクラックが大幅に減少することを見出した。
本発明は、かかる知見をベースとし、溶融めっき鋼板又は塗装溶融めっき鋼板を加工する際に溶融めっき層,さらには塗膜の物性を考慮した温度域に板温を管理することにより、溶融めっき層,塗膜に導入される加工欠陥が少なく、溶融めっき層,塗膜本来の耐食性、耐熱性を発揮できる温間加工方法を提供することを目的とする。
めっき鋼板の温度を50℃以上に管理する理由は前述のとおりであるが、鋼板の温度を過度に高くすることによりめっき層の加工性は改善されるが、めっき鋼板の原板の機械的性質が劣化することがある。これは、めっき原板が青熱脆性を起こし、延性が低下することによると考えられる(非特許文献1)。そのため、青熱脆性の防止のため、温間加工温度は加工温度を150℃未満に設定する。
門間改三著「実教理工学全書鉄鋼材料学」117ページ、実教出版株式会社(1972年)
溶融めっき層には、Al:0.1〜0.3質量%を含むZnめっき層,Al:25〜75質量%を含むZn‐Alめっき層,Zn‐Al-Mg合金めっき層,Zn‐Al‐Mg‐Siめっき層,純Alめっき層,Si:5〜15質量%のAl‐Siめっき層等がある。Zn‐Al‐Mg又はZn‐Al‐Mg‐Siめっき層は、Al:4〜22質量%,Mg:1〜4質量%,必要に応じSi:0.005〜2.0質量%を含むZnベースの組成をもち、さらにTi:0.002〜0.1質量%,B:0.001〜0.045質量%の一種又は二種を含むことができる。
化成皮膜の上に高延性塗膜を形成する際には、化成処理に先立ってNi置換処理を施すことが好ましい。
高延性塗膜としてはポリエステル樹脂系塗膜,高分子ポリエステル樹脂系塗膜,ウレタン樹脂系塗膜,アクリル樹脂系塗膜、フッ素樹脂系塗膜、又は塩化ビニル樹脂系塗膜のものが挙げられる。
したがって、本発明により、溶融めっき層,塗膜本来の耐食性、耐熱性を発揮できる温間加工成形品を提供することができる。
本発明の塗装溶融めっき鋼板に用いられる高延性塗膜としては、ポリエステル樹脂系塗膜,高分子ポリエステル樹脂系塗膜,ウレタン樹脂系塗膜,アクリル樹脂系塗膜、フッ素樹脂系塗膜、又は塩化ビニル樹脂系塗膜が挙げられる。これらの樹脂系塗膜は、いずれも塗膜熱分解温度又は塗膜溶融温度が170〜200℃前後であるので、温間加工温度を50℃以上で150℃未満とすれば、加工温度による塗膜が特性劣化を起こさず、高延性塗膜本来の特性が発揮される状態で加工を行うことができる。
所定の加工温度に保持された溶融めっき鋼板或いは塗装溶融めっき鋼板を加工して所定形状に成形する。
加工方法は主にロール成形による曲げ加工やプレスによる曲げ加工、絞り加工、張り出し加工が用いられているが、本発明では特に加工方法は限定されない。
溶融亜鉛めっき鋼板
建築用部材として多用されているめっき鋼板であり、めっき層/下地鋼の界面に脆弱なFe-Zn合金層が生成しやすい。Fe‐Zn合金層の悪影響を抑えるため、加工温度を50℃以上に設定することが必要であるが、溶融めっき層の延性が加工温度の上昇に伴って急激に改善されるので、60℃前後の加工温度で良好な加工性が確保される。Fe‐Zn合金層の生成は、0.1〜0.3質量%のAlを含ませることによっても抑制できる。
25〜75質量%と比較的多量のAlを溶融めっき層に含ませた溶融Zn‐Al系めっき鋼板は優れた耐食性を呈するが、溶融めっき層/下地鋼の界面にFe‐Al合金層が生成しやすい。Fe‐Al合金層が成長するとめっき密着性が低下し、溶融めっき鋼板の加工時に溶融めっき層に亀裂や剥離が発生しやすくなる。
Fe-Al合金層の成長に起因するめっき密着性低下を防止するため、50℃以上で150℃未満の温度域で溶融めっき鋼板を加工する。この加工温度では、Fe-Al合金層が成長せず、加工時の良好なめっき密着性が維持される。めっき密着性に及ぼすFe-Al合金層の悪影響は、0.1質量%以上のSiを溶融めっき層に含ませることでも抑制できる。Siの増量に伴いFe‐Al合金層の成長が抑制されるが、Si添加の効果は5質量%で飽和する。
Al,Mgを複合添加した溶融めっき層であり、通常の溶融亜鉛めっき層に比較して格段に優れた耐食性を呈する。溶融Zn‐Al‐Mg系めっき鋼板では、Zn11Mg2相が生成すると表面肌が悪化するが、Zn11Mg2相の生成はTi,Bの添加で抑制できる。また、比較的多量(10質量%以上)のAlを含む系では加工性に有害なFe‐Al相が溶融めっき層/下地鋼の界面に生成しやすいが、Si:0.005〜2.0質量%の添加によりFe-Al相の生成を抑制できる。
Zn‐Al‐Mg系又はZn‐Al‐Mg‐Siの何れにおいてもZn相,Al相,Zn2Mg相が微細分散したZn/Al/Zn2Mg三元共晶組織を基本とし、金属間化合物のない溶融亜鉛めっき鋼板,溶融Zn−Al系めっき鋼板,溶融アルミニウムめっき鋼板に比較すると加工性に劣ることが否めない。
そして、加工性は、クラック面積率が2%以下で平坦部とほぼ同等な耐食性が得られる加工温度域を○、また、クラック面積率が2%超〜5%以下であったものを□、5%超〜10%以下であったものを△、10%超であったものを×で評価した。
A+17CMg≦T<150
ただし、Aは目標とするクラック面積率によって異なる定数であり、5%以下ならA=33であり、2%以下ならA=43である。
アルミニウムめっき層は、亜鉛系のめっき層に比較して耐食性,耐熱性に優れている。そこで、過酷な腐食環境,高熱雰囲気に曝されるオーブント−スタ,ガスレンジのグリル,ストーブの熱反射板等、熱器具用部材として好適な材料である。純Alめっき層を設けた溶融アルミニウムめっき鋼板も実用化されているが、溶融めっき層/下地鋼の界面にFe-Al合金層が生成し加工性が低下することが避けられない。Fe-Al合金層の生成は5質量%以上のSi添加で抑制できるが、過剰添加は硬質な初晶シリコンの晶出を招き却って加工性低下をもたらすのでSi添加量の上限を15質量%とする。
各溶融めっき鋼板に及ぼす加工温度の影響は前述の通りであるが、溶融めっき層の延性と下地鋼の延性との差を加工性の指標とすることも可能である。
化成皮膜
化成皮膜は、クロメート処理,リン酸亜鉛処理,クロムフリー処理等の化成処理で形成され、一層優れた耐食性を溶融めっき鋼板に付与する。溶融めっき層のクラック発生が温間加工で抑えられても、加工部では溶融めっき層が伸ばされて薄くなり、未加工部との比較で耐食性の低下が懸念される。この点、溶融めっき層に化成皮膜を設けておくと、溶融めっき層が薄くなった加工部でも化成皮膜の防食効果が発現する。
自己修復作用のある化成皮膜としては、六価Cr含有クロメート皮膜やフッ化物、Mn,バルブメタル(Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,W)酸素酸塩等を含むCrフリー皮膜がある。また、リン酸塩類はpH緩衝作用による耐食性改善効果を呈し、加工後耐食性の向上にも有効な皮膜成分である。
クロメート皮膜の場合、耐食性,或いはその後の塗膜密着性を確保するためCr換算付着量を5〜100mg/m2の範囲に調整することが好ましい。5mg/m2未満では耐食性,塗膜密着性の改善効果が小さく、100mg/m2を超える付着量では改善効果が飽和する。
塗装溶融めっき鋼板を目標形状に加工してもクラック,剥離等の加工欠陥が塗膜に導入されないように、塗装原板の塑性変形に追従する高延性の塗膜が使用される。塗膜は、塗膜厚み:20μmのとき、50℃で塗膜伸び率:50%以上の延性を呈するものが好ましく、ポリエステル樹脂系塗膜,高分子ポリエステル樹脂系塗膜,ウレタン樹脂系塗膜,アクリル樹脂系塗膜、フッ素樹脂系塗膜、又は塩化ビニル樹脂系塗膜が挙げられる。
高分子ポリエステル樹脂系塗膜は、平均分子数が1000〜20000のメラミン硬化型ポリエステル樹脂を主成分とし、ガラス転移温度:約26℃であり、室温でも塗膜伸び率:100%以上(塗膜厚み:20μm)の高延性を示す。
ウレタン樹脂系塗膜は、イソシアネート硬化型ポリエステル樹脂を主成分とし、ガラス転移温度:約20℃であり、室温でも塗膜伸び率が200%以上(塗膜厚み:20μm)の高延性を示す。
フッ素樹脂系塗膜は、ポリフッ化ビニル樹脂を主成分とし、ガラス転移温度:約45℃,塗膜溶融温度:約170℃で耐食性,塗膜密着性共に優れている。
塩化ビニル樹脂系塗膜は、ポリ塩化ビニル樹脂を主成分とし、ガラス転移温度:約50℃であり、50℃以上に加熱すると伸び率100%(塗膜厚み:20μm)の高延性を示す。
下地鋼板に対する高延性塗膜の密着性は、エポキシ樹脂系塗膜,ポリエステル樹脂系塗膜等をプライマ(下塗り)として介在させることにより向上する。しかも、ガラス転移温度:50℃以下,50℃における塗膜伸び率:50%以上(塗膜厚み:20μm)の高延性塗膜を設けると、プライマのクラックも好適に抑制される。
板厚:1.0mm,板幅:1000mmの低炭素Alキルド鋼をめっき原板とし、連続溶融めっきラインで片面当りめっき付着量:90g/m2の溶融亜鉛めっき鋼板,溶融Zn‐Al系めっき鋼板,溶融Zn‐Al‐Mg系めっき鋼板,溶融アルミニウムめっき鋼板を製造した。各溶融めっき鋼板をロール成形により曲げ加工を含む温間加工試験に供し,曲げ加工部を腐食試験に供した。また、曲げ加工部の耐食性に及ぼすクロメート皮膜の影響を調査するため、溶融亜鉛めっき鋼板、溶融Zn‐Al系めっき鋼板、溶融Zn‐Al‐Mg系めっき鋼板ではCr換算付着量:30mg/m2,溶融アルミニウムめっき鋼板ではCr換算付着量:15mg/m2のクロメート処理を施した。
曲げ加工した溶融めっき鋼板の曲げ加工部を走査型電子顕微鏡で観察し、めっき層表面を200倍の倍率で撮影した画像から0.4mm×0.5mmの視野を特定し、当該視野で検出されるクラックの面積率を測定した。
さらに、社団法人日本自動車工業会規格M609−91に準拠した塩水(35℃,5%NaCl水溶液)噴霧2時間→乾燥(60℃,30%RH)4時間→湿潤(50℃,95%RH)2時間を1サイクルとする複合サイクル腐食試験を繰り返し、曲げ加工部,平坦部に発生した赤錆の面積占有率が5%になるまでのサイクル数で耐食性を調査した。
表1〜4の試験結果にみられるように、50℃以上で150℃未満の温度域で加工した本発明例では、曲げ加工部のクラック面積率が小さく、5%赤錆発生までのサイクル数が長くなって平坦部とほぼ同じレベルまで耐食性が改善された。クロメート皮膜を設けた本発明例(試験No.7〜9,22〜24,39〜42,61〜63)の曲げ加工部は、無処理材の平坦部より優れた耐食性を示しており、クロメート皮膜による効果が窺われる。
他方、20℃で曲げ加工した比較例では、クラック面積率が大きく、平坦部に比べて曲げ加工部の5%赤錆発生までのサイクル数が短くなり、耐食性が低下していた。溶融めっき鋼板を250℃で曲げ加工した比較例No.15では、成形ロールによる溶融めっき層のカジリが発生したため、複合サイクル腐食試験に供し得なかった。
曲げ加工では、曲げ半径を変えることにより伸び率を種々変更した加工を行い、加工性、すなわち伸び率とクラック発生状況を調べた。供試材としては、実施例1で用いた、Al濃度54.7%の溶融Zn−Alめっき鋼板を使用した。
なお、伸び率は、図2に示すとおり、板厚tの板を曲げ半径rで曲げ加工したとき、曲げ加工部の中立面長さl0と曲げ加工部の外周長さl1の関係において、((l1−l0)/l0)×100(%)で表す。
そして、加工性は、クラック面積率が2%以下であったものを○、2%超〜5%以下であったものを□、5%超〜10%以下であったものを△、10%超であったものを×で評価した。
その結果を図3に示す。
また、溶融アルミニウム系めっき鋼板は、めっき層の加工性の点で溶融Zn−Al系めっき鋼板とほぼ同等であるので、加工温度と加工性の関係は、ほぼ図3と同様な整理ができると思われる。
溶融亜鉛めっき鋼板については図示しないが、めっき層の加工性が良好であるので、本発明の温間加工により伸び率40%以上の加工が可能である。
実施例1と同じ条件で製造された溶融Zn‐Al系めっき鋼板,溶融Al系めっき鋼板から幅:50mm,長さ:50mmの試験片を切り出し、試験片,金型共に加工温度:50〜140℃に加熱保持し、曲げ半径:1.0mm,曲げ角度:90度,150度で温間曲げ加工した。比較のため、板温:20℃でも同じ溶融めっき鋼板を曲げ加工した。
板厚:1.0mm,板幅:1000mmの低炭素Alキルド鋼をめっき原板とし、連続溶融めっきラインで片面当りめっき付着量:70g/m2の溶融Zn‐Al‐Mgめっき鋼板を製造した。溶融めっき層の組成はAl:6質量%,Mg:3質量%,Ti:0.02質量%,B:0.01質量%,Zn:残部に調整されており、該化学組成が溶融めっき層に反映された。
溶融Zn‐Al‐Mg合金めっき鋼板にCr換算付着量:30mg/m2のクロメート処理を施し、表7の条件でポリエステル樹脂系塗膜,高分子ポリエステル樹脂系塗膜,フッ素樹脂系塗膜,ウレタン樹脂系塗膜、アクリル樹脂系塗膜、塩化ビニル樹脂系塗膜を設けた。
溶融Zn‐Al‐Mg合金めっき鋼板の塗装と同じ条件下で各塗料をフッ素フィルムラミネート板に塗布し焼き付けて塗膜を形成した後、ラミネート板から塗膜を剥離することにより自由塗膜を用意した。自由塗膜から幅:5mm,長さ:50mmの短冊状サンプルを採取し、50℃に保持してサンプルが破断するまで引張り試験した。破断時の塗膜長さを測定し、((破断長さ−初期長さ)/(初期長さ))×100として塗膜伸び率(%)を算出した。その結果、何れの塗膜も塗膜伸び率:50%以上の高延性塗膜であった。
〔曲げ加工試験〕
塗装溶融めっき鋼板,成形ロール共に加工温度:50〜140℃に加熱保持し、曲げ半径:1.0mm,曲げ角度:90度で温間曲げ加工した。比較のため、加工温度:20℃,250℃でも同じ塗装溶融めっき鋼板から切り出された試験片を曲げ加工した。
また、塗膜のクラック面積率を測定した後、塗膜を溶解除去し、同じ方法で溶融めっき層のクラック面積率を求めた。
曲げ加工試験と同じ条件で温間曲げ加工した試験片の切断端面,裏面を塗料で補修し、1000時間の塩水噴霧試験(JIS K‐5600‐7‐1)で白錆、塗膜フクレの発生状況を調査した。そして、白錆の発生がない試験片を◎、加工部長さに対する白錆の発生長さが5%以下を○,5%を超える長さの白錆が発生した試験片を×として、曲げ部の耐白錆性を評価した。また、塗膜フクレのない加工部を○,塗膜フクレが検出された加工部を×として、耐塗膜フクレ性を評価した。
実施例4と同じめっき原板を用い、片面当りめっき付着量:90g/m2の溶融亜鉛めっき鋼板を製造した。なお、めっき浴にはFe‐Zn合金層の生成を抑制するため、Al:0.2質量%を添加した。得られた溶融亜鉛めっき鋼板にNi付着量:2mg/m2のNi置換処理,リン酸亜鉛付着量:3g/m2のリン酸亜鉛処理を施し、実施例1と同じ条件でポリエステル樹脂系塗膜,高分子ポリエステル樹脂系塗膜,フッ素樹脂系塗膜,ウレタン樹脂系塗膜、アクリル樹脂系塗膜、塩化ビニル樹脂系塗膜を設け、曲げ加工性,耐白錆性,耐塗膜フクレ性を調査した。
他方、表11の調査結果にみられるように、加工温度:20℃で曲げ加工した比較例(No.49,51,53,55,57,59)では、溶融めっき層,塗膜共にクラックの発生が著しく、耐白錆性,耐塗膜フクレ性に劣っていた。逆に塗膜溶融温度又は塗膜熱分解温度以上の250℃で曲げ加工した比較例(No.50,52,54,56,58,60)では、溶融又は熱分解した塗膜が成形ロールに付着したためロール成形できなかった。
実施例4と同じめっき原板を用い、片面当りめっき付着量:90g/m2の溶融Zn‐Alめっき鋼板を製造した。めっき層の組成はAl:54.7質量%,Si:2.3質量%,残部Znに調整し、形成された溶融Zn‐Alめっき層は該化学組成を反映した。
次いで、溶融Zn‐Alめっき鋼板にTi換算付着量:40mg/m2のクロムフリー処理を施し、実施例1と同じ条件でポリエステル樹脂系塗膜,高分子ポリエステル樹脂系塗膜,フッ素樹脂系塗膜,ウレタン樹脂系塗膜、アクリル樹脂系塗膜、塩化ビニル樹脂系塗膜を設け、曲げ加工性,耐白錆性,耐塗膜フクレ性を調査した。
他方、表13の調査結果にみられるように、加工温度:20℃で曲げ加工した比較例(No.79,81,83,85,87,89)では、溶融めっき層,塗膜共にクラックの発生が著しく、耐白錆性,耐塗膜フクレ性に劣っていた。逆に塗膜溶融温度又は塗膜熱分解温度以上の250℃で曲げ加工した比較例(No.80,82,84,86,88,90)では、溶融又は熱分解した塗膜が成形ロールに付着したためロール成形できなかった。
実施例4と同じめっき原板を用い、片面当りめっき付着量:90g/m2の溶融Alめっき鋼板を製造した。めっき浴には、Fe-Al合金層の成長を抑制するためにSi:9.1質量%を添加した。得られた溶融Alめっき鋼板にCr換算付着量:15mg/m2のクロメート処理を施し、実施例1と同じ条件でポリエステル樹脂系塗膜,高分子ポリエステル樹脂系塗膜,フッ素樹脂系塗膜,ウレタン樹脂系塗膜、アクリル樹脂系塗膜、塩化ビニル樹脂系塗膜を設け、曲げ加工性,耐白錆性,耐塗膜フクレ性を調査した。なお、フッ素塗装溶融Alめっき鋼板については、曲げ加工後、150℃×100時間の加熱処理を施し、塩水噴霧試験した。
他方、表15の調査結果にみられるように、加工温度:20℃で曲げ加工した比較例(No.109,111,113,115,117,119)では、溶融めっき層,塗膜共にクラックの発生が著しく、耐白錆性,耐塗膜フクレ性に劣っていた。逆に塗膜溶融温度以上又は塗膜熱分解温度以上の250℃で曲げ加工した比較例(No.110,112,114,116,118,120)では、溶融又は熱分解した塗膜が成形ロールに付着したためロール成形できなかった。
Claims (7)
- 溶融めっき層がZn‐Alめっき層,Zn‐Al‐Mgめっき層,Zn‐Al‐Mg‐Siめっき層,Alめっき層又はAl‐Siめっき層である溶融亜鉛系又は溶融アルミニウム系のめっき鋼板を50℃以上で150℃未満の温度域に加熱保持し、溶融めっき層の延性が増加した加熱保持状態のめっき鋼板を、当該溶融めっき層が20%以下の伸び率で変形されるように目標形状に加工することを特徴とする溶融めっき鋼板の温間加工方法。
- 溶融めっき層の上に化成皮膜を形成した後で加工する請求項1に記載の溶融めっき鋼板の温間加工方法。
- 金属間化合物が析出している溶融Zn‐Al‐Mg系めっき鋼板を加工する際、加工温度T(℃)と溶融めっき層のMg濃度C Mg (質量%)との間に33+17C Mg ≦T<150の関係を成立させる請求項1又は2に記載の溶融めっき鋼板の温間加工方法。
- 化成皮膜の上にさらに高延性塗膜が形成された塗装溶融めっき鋼板を加工する請求項2又は3に記載の溶融めっき鋼板の温間加工方法。
- 化成皮膜がリン酸亜鉛皮膜,クロメート皮膜,クロムフリー皮膜である請求項2〜4のいずれかに記載の溶融めっき鋼板の温間加工方法。
- Ni置換処理後の化成処理で化成皮膜が形成された溶融めっき鋼板を原板とする請求項2〜5のいずれかに記載の溶融めっき鋼板の温間加工方法。
- 高延性塗膜がポリエステル樹脂系,高分子ポリエステル樹脂系,ウレタン樹脂系,アクリル樹脂系、フッ素樹脂系、又は塩化ビニル樹脂系のものである請求項2〜6のいずれかに記載の溶融めっき鋼板の温間加工方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007259229A JP4919427B2 (ja) | 2006-10-03 | 2007-10-02 | 溶融めっき鋼板の温間加工方法 |
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006271824 | 2006-10-03 | ||
JP2006271824 | 2006-10-03 | ||
JP2006271647 | 2006-10-03 | ||
JP2006271647 | 2006-10-03 | ||
JP2007259229A JP4919427B2 (ja) | 2006-10-03 | 2007-10-02 | 溶融めっき鋼板の温間加工方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008111189A JP2008111189A (ja) | 2008-05-15 |
JP4919427B2 true JP4919427B2 (ja) | 2012-04-18 |
Family
ID=39443863
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007259229A Active JP4919427B2 (ja) | 2006-10-03 | 2007-10-02 | 溶融めっき鋼板の温間加工方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4919427B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10207306B2 (en) | 2014-08-22 | 2019-02-19 | Nisshin Steel Co., Ltd. | Method for processing galvanized component |
Families Citing this family (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5484158B2 (ja) * | 2010-03-30 | 2014-05-07 | 日新製鋼株式会社 | エンボス加工建材の製造方法 |
ES2765101T3 (es) * | 2012-02-14 | 2020-06-05 | Nippon Steel Corp | Placa de acero metalizada para prensado en caliente y método de prensado en caliente de placa de acero metalizada |
JP2014069202A (ja) * | 2012-09-28 | 2014-04-21 | Nisshin Steel Co Ltd | めっき鋼箔の温間加工方法 |
JP5994055B2 (ja) * | 2014-12-09 | 2016-09-21 | 石崎プレス工業株式会社 | 金属部品の製造方法および金属部品の製造装置 |
WO2017017483A1 (en) * | 2015-07-30 | 2017-02-02 | Arcelormittal | Steel sheet coated with a metallic coating based on aluminum |
WO2017017484A1 (en) | 2015-07-30 | 2017-02-02 | Arcelormittal | Method for the manufacture of a hardened part which does not have lme issues |
WO2017017485A1 (en) | 2015-07-30 | 2017-02-02 | Arcelormittal | A method for the manufacture of a phosphatable part starting from a steel sheet coated with a metallic coating based on aluminium |
JP6792330B2 (ja) * | 2015-12-16 | 2020-11-25 | しのはらプレスサービス株式会社 | 新鍛造加工法を用いた純ニオブ製品の製造方法 |
Family Cites Families (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS59124996A (ja) * | 1983-01-06 | 1984-07-19 | Kishimoto Akira | 金属缶の製造方法 |
JPH0550150A (ja) * | 1991-08-16 | 1993-03-02 | Kobe Steel Ltd | 温間プレス成形法及び温間プレス成形用薄鋼板の製造法 |
JPH09276947A (ja) * | 1996-04-12 | 1997-10-28 | Nippon Steel Corp | プレコート鋼板の樹脂フィルム付加工成形方法 |
JP3566262B2 (ja) * | 2001-03-19 | 2004-09-15 | Jfeスチール株式会社 | 加工性に優れた溶融Al−Zn合金めっき鋼板及びその製造方法 |
JP4157953B2 (ja) * | 2001-05-22 | 2008-10-01 | 日新製鋼株式会社 | 耐カジリ性,塗膜密着性に優れた塗装鋼板及び塗料組成物 |
JP2004042630A (ja) * | 2002-05-22 | 2004-02-12 | Jfe Steel Kk | 表面処理金属板 |
JP3760901B2 (ja) * | 2002-08-06 | 2006-03-29 | Jfeスチール株式会社 | 加工性および耐食性に優れた溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板およびその製造方法 |
JP2004149889A (ja) * | 2002-10-31 | 2004-05-27 | Jfe Steel Kk | プレス成形性および耐食性に優れた表面処理金属板 |
JP2004270006A (ja) * | 2003-03-11 | 2004-09-30 | Jfe Steel Kk | 形状凍結性に優れた部品の製造方法 |
JP2004360056A (ja) * | 2003-06-09 | 2004-12-24 | Nisshin Steel Co Ltd | 黒色化溶融Zn−Al−Mg系合金めっき鋼板及びその製造方法 |
JP2005034899A (ja) * | 2003-07-18 | 2005-02-10 | Matsunaga Seisakusho:Kk | 深絞り加工方法及び深絞り円筒容器 |
JP2005118835A (ja) * | 2003-10-17 | 2005-05-12 | Spc:Kk | 温間スピニング加工方法、スピニングマシン、有底薄肉円筒体および薄肉円筒体 |
-
2007
- 2007-10-02 JP JP2007259229A patent/JP4919427B2/ja active Active
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10207306B2 (en) | 2014-08-22 | 2019-02-19 | Nisshin Steel Co., Ltd. | Method for processing galvanized component |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2008111189A (ja) | 2008-05-15 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4919427B2 (ja) | 溶融めっき鋼板の温間加工方法 | |
JP2002012959A (ja) | 加工部及び端面耐食性に優れたAl系めっき鋼板 | |
JP5649181B2 (ja) | 耐食性に優れた溶融Zn−Al系合金めっき鋼板およびその製造方法 | |
WO2000071773A1 (fr) | Produit d'acier plaque, feuille d'acier plaquee et feuille d'acier prerevetue possedant une excellente resistance a la corrosion | |
CN104955975A (zh) | 熔融Al-Zn系镀覆钢板及其制造方法 | |
WO2022085386A1 (ja) | めっき鋼材 | |
JP2001316791A (ja) | 耐食性、外観に優れた溶融亜鉛−アルミ系めっき鋼板 | |
JP5640312B2 (ja) | 耐食性と溶接性に優れる亜鉛系合金めっき鋼材及び耐食性に優れる塗装鋼材 | |
JP3967519B2 (ja) | Zn−Mg系電気めっき金属板およびその製造方法 | |
CN104955976A (zh) | 熔融Al-Zn系镀覆钢板及其制造方法 | |
JP4267184B2 (ja) | 耐食性、外観に優れた溶融アルミめっき鋼板及びその製造法 | |
JP4537599B2 (ja) | 外観に優れた高耐食性Al系めっき鋼板 | |
JP6880690B2 (ja) | 溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板および溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板の製造方法 | |
JPH09111433A (ja) | 加工性にすぐれたAl−Zn合金めっき鋼板およびその製造方法 | |
JP5884146B2 (ja) | 溶融Zn−Al系合金めっき鋼板 | |
JP2000282204A (ja) | 端面、加工部の耐食性に優れた建材用アルミめっき鋼板 | |
JPH0860326A (ja) | 高光沢意匠性複層めっき鋼板およびその製造方法 | |
JP6480132B2 (ja) | 溶融Al系めっき鋼板 | |
CN116685706A (zh) | 镀覆钢材 | |
JP3599716B2 (ja) | 表面外観および曲げ加工性に優れた溶融Al−Zn系合金めっき鋼板およびその製造方法 | |
JP2003277905A (ja) | 表面外観および曲げ加工性に優れた溶融Al−Zn系合金めっき鋼板およびその製造方法 | |
JP2834529B2 (ja) | 耐食性及び溶接性に優れる表面処理鋼板及びその製造方法 | |
JP2011168855A (ja) | 端面耐食性に優れた塩ビ塗装鋼板 | |
JP2004176131A (ja) | 鮮映性の優れた高耐食性塗装鋼板 | |
JPH07316763A (ja) | 塗装鋼板素材用めっき鋼板 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20090827 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20100203 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20111115 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20111219 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20120127 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20120127 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4919427 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150210 Year of fee payment: 3 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |