JP2011106031A - 精錬剤および精錬方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】精錬剤は、AlとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である。
【選択図】図1
Description
Mg + S →(MgS) (1)
(CaO)+ S →(CaS)+ O (2)
4MgO+2Al→3Mg(g)+MgO・Al2O3 (3)
この方法によれば、金属Mgに比べて比較的安価なMgOとAlを主原料とするので、上記Mg脱硫の経済性の不利を軽減することができる。
本発明の第2の観点によれば、AlとCとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤が提供される。
本発明の第3の観点によれば、AlとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を容器内に保持された溶銑に添加して溶銑の脱硫処理する精錬方法が提供される。
本発明の第4の観点によれば、高炉出銑後、転炉脱炭前の溶銑に対し、脱硫処理、ならびに脱珪処理および脱燐処理の一つ以上の一貫処理を行って溶銑を精錬する精錬方法であって、前記脱硫処理は、AlとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を容器内に保持された溶銑に添加することにより行われる精錬方法が提供される。
本発明の第5の観点によれば、高炉出銑後、転炉脱炭前の溶銑に対し、脱硫処理、ならびに脱珪処理および脱燐処理の一つ以上の一貫処理を行って溶銑を精錬する精錬方法であって、前記脱硫処理は、AlとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を容器内に保持された溶銑に添加することにより行われ、一貫処理における蛍石の合計使用量を溶銑トン当たり0.1kg以下とする精錬方法が提供される。
本発明の第6の観点によれば、AlとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を溶鋼に添加して溶鋼の脱硫処理、脱酸処理、および介在物制御のいずれか1以上を行う精錬方法が提供される。
本発明の第7の観点によれば、AlとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を所定元素で脱酸された溶鋼へ添加して高清浄鋼を溶製する精錬方法が提供される。
本発明の第8の観点によれば、AlとCとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を容器内に保持された溶銑に添加して溶銑の脱硫処理する精錬方法が提供される。
本発明の第9の観点によれば、高炉出銑後、転炉脱炭前の溶銑に対し、脱硫処理、ならびに脱珪処理および脱燐処理の一つ以上の一貫処理を行って溶銑を精錬する精錬方法であって、前記脱硫処理は、AlとCとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を容器内に保持された溶銑に添加することにより行われる精錬方法が提供される。
本発明の第10の観点によれば、高炉出銑後、転炉脱炭前の溶銑に対し、脱硫処理、ならびに脱珪処理および脱燐処理の一つ以上の一貫処理を行って溶銑を精錬する精錬方法であって、前記脱硫処理は、AlとCとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を容器内に保持された溶銑に添加することにより行われ、一貫処理における蛍石の合計使用量を溶銑トン当たり0.1kg以下とする精錬方法が提供される。
本発明の第11の観点によれば、AlとCとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を溶鋼に添加して溶鋼の脱硫処理、脱酸処理、および介在物制御のいずれか1以上を行う精錬方法が提供される。
本発明の第12の観点によれば、AlとCとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を所定元素で脱酸された溶鋼へ添加して高清浄鋼を溶製する精錬方法が提供される。
本発明の第13の観点によれば、AlとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を溶銑に添加して溶銑の脱硫処理を行った後、生成した脱硫スラグを高炉焼結原料として再利用する脱硫スラグのリサイクル方法が提供される。
I.精錬剤
(1)第1の実施形態
本発明の第1の実施形態に係る精錬剤は、AlとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源として、MgOとCaOとが微細な状態で近接ないし接触した構造を有するものを含む。典型的には、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含む。この精錬剤は、溶鉄中に供給された際に、溶鉄中の反応によりMg蒸気を生成し、Mg蒸気により精錬反応を生じさせる。
6MgO+4Al+CaO→6Mg(g)+CaO・2Al2O3 (4)
3MgO+2Al+CaO→3Mg(g)+CaO・Al2O3 (5)
21MgO+14Al+12CaO→21Mg(g)+12CaO・7Al2O3 (6)
3MgO+2Al+3CaO→3Mg(g)+3CaO・Al2O3 (7)
上記(3)式では出発物質のMgOの一部がMgO・Al2O3の生成に消費されるので、MgOのMg蒸気に転化する割合が最大でも75%に抑えられる。これに対して、(4)〜(7)式ではMgOに代わってCaOがAl2O3と複合酸化物を生成するので、MgOをMg蒸気に転化する効率が高く、理論上全量Mg蒸気に転化させることも可能となり、より経済性を高めることができる。
CaMg(CO3)2 → CaCO3 + MgO + CO2(730〜810℃)
CaCO3 → CaO + CO2 (890〜930℃)
例えば日本における栃木県産のドロマイトは、焼成によりCaO:63〜66mass%およびMgO:30〜35mass%程度となる。
その理由を図2〜図4を参照して説明する。図2は横軸に精錬剤のAl/MgOの値をとり縦軸にMg還元率をとってこれらの関係を示す図であり、図3は横軸に精錬剤のAl/MgOの値をとり縦軸に実際に脱硫処理を行った際の脱硫率をとってこれらの関係を示す図であり、図4は横軸に精錬剤のCaO/MgOの値をとり縦軸にMg還元率をとってこれらの関係を示す図である。なお、これらは1300〜1400℃の温度範囲で行った結果である。また、Mg還元率は以下のように定義した。
Mg還元率=(Mgへ還元されたMgO量)/(精錬剤中の全MgO量)
本発明の第2の実施形態に係る精錬剤は、AlとCとMgOとCaOとを主成分とし、溶鉄中に供給された際に、溶鉄中の反応によりMg蒸気とCaOおよびAl2O3からなる複合酸化物とを生成し、Mg蒸気により精錬反応を生じさせる。
上記実施形態では、還元剤としてAlを用いたが、Alは比較的高価である。このため、この実施形態では、還元剤としてAlとCとを併用することによりAlの量を低減させてフラックスの低廉化を図る。
図5から、Cを添加することにより、またCが増加することによりMg還元率が若干上昇しているのがわかり、還元剤としてCが有効であることが導かれる。
次に、本発明の精錬剤を用いた精錬方法について説明する。
本発明の精錬剤を溶銑の脱硫処理に適用する場合には、取鍋、トピードカーおよび鋳床等の容器内に保持された溶銑に上記精錬剤を添加して溶銑の脱硫処理を行う。上記精錬剤を用いて溶銑を脱硫する場合には、溶銑の成分等は特に限定されない。低Si銑であっても何等問題はなく、どのような溶銑にも適用することが可能である。また、精錬剤を添加して脱硫反応を生じさせる手法も特に限定されず、精錬剤を溶銑直上から投入してインペラー等で機械攪拌する方法、溶銑中に精錬剤をインジェクションする方法、溶銑上に精錬剤を上置きする方法、予め容器内に精錬剤を入れておきその後容器内に溶銑を装入する入れ置き法、鋳床において溶銑に精錬剤を添加する方法等、種々の方法を採用することができ特に限定されない。これらの中では機械攪拌法およびインジェクション法が好ましい。
本発明の精錬剤は、以上のような種々の添加設備により添加することが可能であり、その添加パターンに応じて設備的に適切なものを選択すればよい。
(i)ドロマイト中MgOから発生したMgガスおよびMgによる脱硫
(ii)別途添加したMgO源から発生したMgガスおよびMgによる脱硫
(iii)CaOによる脱硫
以下、それぞれについての影響因子を考慮する。
MgOからMgガスおよび溶解Mgが発生する発生率βを考慮する。これは、溶銑温度、Al添加量に大きく影響される。さらに、MgOの還元へのAlの寄与率cを考慮する必要が有る。この寄与率cは、精錬剤の粉砕方法に依存する。例えば、アルミニウムドロスとドロマイトとを混合しながら粉砕する等の混合粉砕を採用した場合には、接触確率が高くなるため寄与率は高くなる。一方、アルミニウムドロスとドロマイトを別投入した場合には接触確率が低くなるため寄与率cも低くなる。また、この寄与率cは、処理前の溶銑中の酸素濃度にも影響される。酸素濃度が高い場合には、脱酸に寄与するAl量が増加するため、MgO還元への寄与率cは相対的に低下してしまう。さらに、発生したMgガスおよびMgが溶銑中Sと反応する効率αを考慮する。αは溶銑中のS濃度と攪拌動力に依存すると考えられ、攪拌動力への依存の度合いは、処理方法や設備仕様によって変化するため、実際の使用の際に経験的に求められる係数である。例えば、処理前のS濃度および攪拌動力の増加に伴い、αは増加する。これらをすべて考慮した場合にドロマイト中MgOから発生したMgガスおよび溶解Mgによる脱硫量ΔS1(kg/t)は、(8)式のように表すことができる。
ΔS1={W1MgO×α1×β1×32/40} (8)
ただし、α1=f([S]i,ω)、β1=f(T,c,WAl)
(i)と同様の考え方により、同様の影響因子を考慮する必要がある。ここで、ドロマイト中のMgOとドロマイト外のMgOとでは同条件下においても発生するMgガス量および脱硫効率が異なるためα、βを別途設定する必要がある。ドロマイト外からのMgガス発生率および脱硫効率をそれぞれβ2、α2として、ドロマイト外のMgOから発生したMgガスおよび溶解Mgによる脱硫量ΔS2は、(9)式のように表せる。ドロマイトのみを使用した場合には、この項は無視できる。
ΔS2={W2MgO×α2×β2×32/40} (9)
CaOと溶銑中Sの反応効率γを考慮する。この効率は、溶銑中のS濃度、溶銑温度、攪拌動力に依存すると考えられ、上記のαと同様に攪拌動力への依存の度合いは、処理方法や設備仕様によって変化するため、例えば、石灰系の脱硫剤を使用した場合実績等から、経験的に求められる係数である。処理前のS濃度、溶銑温度および攪拌動力の増加に伴い、γは増加する。これらを考慮してCaOによる脱硫量ΔS3は、(10)式で表すことができる。
ΔS3={WCaO+γ×32/56} (10)
ただし、γ=f(T,[S]i,ω)
したがって、本発明の精錬剤を用いて脱硫する際に、以下の(11)式により脱硫量ΔS(kg/t)に応じて求められる量以上の本発明の精錬剤を添加すれば、脱硫量に対して適量の精錬剤を添加して脱硫処理を行うことが可能となる。
ΔS={W1MgO×α1×β1×32/40}+{W2MgO×α2×β2×32/40}+{WCaO+γ×32/56} (11)
Q(αCaO+αMgO)/W(αSiO2+αAl2O3)≧4 (12)
(CaO+MgO)/(SiO2+Al2O3)≧3 (13)
これにより、脱硫スラグが適切な組成範囲を有するものとなり、上記(4)〜(7)に示す反応を有効に生じさせて、高い脱硫効率を得ることができる。
まず、機械攪拌式脱硫設備を用いて本発明の精錬剤により溶銑脱硫を行う場合について説明する。図6はこのような機械攪拌式脱硫装置により溶銑を脱硫している状態を示す模式図である。
溶銑処理は、溶銑および溶銑を脱炭して得られる溶鋼の純度を上げたり、特定の品質の溶鋼を得るための精錬剤やエネルギーの使用量を最少にするために行われるものであり、そのため、近年の溶銑処理においては、上述のような溶銑脱硫のみが行われるとは限らず、溶銑の脱燐処理も同時に行われるのが一般的である。また、脱燐処理を効率的に行うため脱珪を事前に行うことも提案され実機でも行われている。すなわち、上記脱硫処理は、高炉から出銑した後、脱炭されるまでの間に脱珪処理および/または脱燐処理とともに一貫的に行われる溶銑処理の一部として行われる。
すなわち、本発明の精錬剤は、AlとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてMgOとCaOとが微細な状態で近接ないし接触しているもの、典型的にはドロマイトを用いるもので、これによりMgOを効率的に還元し、かつ溶銑中の硫黄を硫化物とし効率的に固定を図るものであり、精錬剤としてAlを使用していることから、溶銑の酸化度にあまり影響されずに、上記の還元反応、硫化物生成反応を最大化することができる。そのため、一連の溶銑処理の工程で、脱硫工程の実施順の制約がなくなる。このような脱硫処理の採用により、溶銑の一貫処理が安価でかつ高効率に達成され、不純物である燐、硫黄を極めて低濃度とすることが可能となる。
上述のように、溶銑脱硫は「還元精錬」であるから、少量の酸化還元反応で熱の授受はあるものの、放熱等での降温が主体で、熱の制御はほとんどできない。これに対して、脱珪処理や脱燐処理は送酸や固体酸化剤の添加を伴う「酸化精錬」であるから、溶銑脱珪や溶銑脱燐は、酸素源の与え方により温度制御ができる特徴を有し、気体酸素を使用した場合には酸化反応で発生した大量の熱量で、溶銑温度を高めたり、固体酸素を主体に用いた場合には吸熱反応で、溶銑の温度を低下したりすることが可能である。
本発明では、また、上記精錬剤を種々の段階の溶鋼に添加することにより溶鋼の精錬、すなわち脱硫・脱酸処理・介在物制御を行う。上記精錬剤を用いて溶鋼を精錬する場合には、溶鋼の成分等は特に限定されず、ほとんど全ての溶鋼に適用することが可能である。例えば軸受鋼向けの高炭素鋼や電磁鋼向けの高珪素鋼板等、通常の中炭素鋼、20ppm以下の炭素しか含まない極低炭素鋼、珪素をほとんど含まない薄板向けの低炭素鋼、0.2〜0.8%程度の珪素を含む厚板向けの高張力鋼等などに適用可能である。
まず、電気炉内の溶鋼に本発明の精錬剤を添加して溶鋼の脱硫・脱酸を行う例について説明する。電気炉は通常の鉄屑を大量に溶解可能なアーク式溶解炉であり、直流あるいは交流電源から炉上部に昇降可能に設けられた黒鉛電極を介して溶鋼に電力が供給される。電気炉は通常、炉本体の他、旋回昇降式の上蓋および上蓋につながる部位に排気ダクト、ガスの燃焼塔、集塵装置などを付帯している。また、炉底部にはノズルを、炉の側壁近傍などにはランスを付帯しており、これらからガスを吹き込むことによりガス攪拌を行うことができる。精錬剤は炉前のゲートからバケットを用いて添加したり、炉上方のホッパー、シューターを介して添加することができる。また、ノズルやランスから添加することもできる。ホッパーからの添加の場合、切り出し装置を操作することにより、精錬剤を一括添加したり、連続添加したりを選択することができる。本発明の精錬剤は上述したようにMg蒸気を生成してMgによる直接的な脱硫反応や脱酸反応を生じさせ、同時に添加されたCaO分により脱硫反応や脱酸反応の効率を増加させるものであるから、短時間に処理を完結させるために、攪拌を強く付与したり、精錬剤の粒度を細かいものを用いたりして、スラグの酸化度の迅速な低減や脱硫反応を促進を行う等、Mgによる反応に依存するだけではなく適切な添加方法が選択される。
(1)機械攪拌式脱硫方法を用いた脱硫スラグの溶銑脱硫へのリサイクル
ところで、機械攪拌式脱硫方法を用いて本発明の精錬剤により溶銑脱硫を行う場合、本発明の精錬剤の有効利用率は必ずしも高くはなく、溶銑脱硫後に相当量が未反応で残存することが判明した。したがって、この未反応分を脱硫剤として再利用することができれば脱硫剤コストが低下するばかりでなく、スラグ量を減少させることができる。
図10は、実機による脱硫滓処理パターンを示す図である。この処理においては、機械攪拌式脱硫法による脱硫工程において生じた脱硫滓を浴から除去し、滓処理場へ輸送後、必要に応じて大径の地金分を磁選または篩い分けなどで除去し、その脱硫滓に対して任意の方法で新界面を創出する処理を施し、必要に応じて篩い分け、乾燥、機械粉砕等の処理を施した後、脱硫設備に輸送して脱硫剤として再利用する。
この例では脱硫工程において発生した脱硫滓を散水処理によって冷却・破砕を同時に行った後、乾燥処理を行うことにより新界面を創出し、脱硫剤として再利用する。具体的には、散水設備を用いて脱硫処理後の熱滓が完全に含水する状態まで過剰に散水を行い、その後乾燥装置を用いてこの含水滓を完全に乾燥させることにより、最大粒径100mm以下程度に細粒化した脱硫剤を得る。その際の粒径は最大粒径が30mm以下であることが好ましく、5mm以下がさらに好ましい。なお、この際の乾燥方法は特に制限されず、乾燥機であっても、ロータリーキルン等の大がかりな設備であってもよく、要求される処理量等によって適宜選択される。
この例では、脱硫工程において発生した脱硫滓を適度な散水および攪拌処理によって冷却・破砕を同時に行って新界面を創出し、脱硫剤として再利用する。具体的には、散水設備を用いて脱硫処理後の熱滓に均一に散水を行って冷却しながらシャベルなどの重機により攪拌を行い、その後常温まで放置冷却することにより、最大粒径が100mm以下程度に細粒化した脱硫剤を得る。その際の粒径は同様に最大粒径が30mm以下であることが好ましく、5mm以下がさらに好ましい。適量の散水による冷却目標温度は、要求される処理等により適宜設定が可能であるが、100℃以下まで散水してしまうと、乾燥処理が必要となるため、100℃以上で散水を止めることが望ましい。攪拌は、冷却速度向上と、均一な散水のために行うものであり、散水後に行ってもよいしその実施の頻度は適宜設定可能であり、場合によっては省略してもよい。
この例では、脱硫工程において発生した脱硫滓を放冷することによって冷却・破砕を同時に行って新界面を創出し、脱硫剤として再利用する。具体的には、脱硫処理後の熱滓を可能な限り空気との接触面積が大きくなるような状態で放置し、シャベルなどの重機により攪拌を行う。例えば、熱滓を0.5m以下の厚さで広げ、1日に1〜3回程度の攪拌を行うことにより、3日間で200℃以下の十分に細粒化した再生脱硫剤を得ることができる。この時の熱滓の厚さは要求に応じて適宜設定することが可能である。また、攪拌は、冷却速度向上のために行うものであり、その頻度は適宜設定可能であり、処理時間・量に余裕がある場合には省略してもよい。冷却・破砕された脱硫滓粒子は、最大粒径が100mm以下好ましくは30mm以下、さらに好ましくは5mm以下である。なお、必要に応じて機械的な粉砕を併用してもよい。
この例では、脱硫工程で発生した脱硫滓を900〜1200℃の熱滓のまま30mm×30mm〜100mm×100mm程度の篩目の篩にて篩い分けを行うことで、大径の地金と、小径の脱硫滓とに分離する。篩い分け後の小径の脱硫剤は、新界面が創出されており、そのまま、自然冷却後に脱硫剤として再利用される。この時篩い分けでもFe分が約20〜30%残存するが、次回脱硫使用時に溶銑側へ回収されるため、鉄歩留まりの向上となる。
従来から脱硫処理により得られたスラグは、メタル分を除去後、高炉セメント、コンクリート材、肥料、あるいは道路向けの路盤材などに再利用されている。しかし、脱硫スラグはCaO、MgO分が主成分であるため、時間とともに大気中の水分を吸収して粉化する。そのため、セメント原料以外への利用が困難であり、またセメント原料への転用についても、その事前処理に多大なコストを要しているのが実情である。
本発明者らは、本発明の精錬剤を使用した場合に得られる脱硫スラグの組成特性に着目した。本精錬剤は上述したように基本的にドロマイトを主体とするものであって、CaO/MgO比が好ましくは0.5〜10、さらには1.5超え〜10.0であり、得られる脱硫スラグはCaOとMgOを主体とするものであり、CaO比率も高い。また、溶銑中のSは最終的には固体のCaSとして固定されており、未反応のドロマイト分も残存する。さらに、スラグ中のT.Fe分も相当量存在する。したがって、焼結原料として従来配合されている石灰石、蛇紋岩、ブルーサイト、マグネサイトの代替として使用することが可能となり、かつ鉄源の回収も可能となるから、大幅なコストメリットを得ることができる。また、トータルの脱硫コストから考えると、売却スラグ用の事前処理などのコストが削減されることになる。
最初に、本発明の精錬剤を用いて脱硫処理を行った後に得られた脱硫スラグを溶銑から分離回収した後、任意の方法で冷却する。その際の方法は何ら制約されるものではなく、通常行われている方法を用いればよい。その後、大径の地金分は磁選もしくは篩による篩い分けなどで除去し、残余の脱硫スラグを焼結原料用として回収する。この脱硫スラグの粒度は、焼結原料に適した粒径、例えば1〜5mm程度に整粒されたものであることがより好ましい。脱流用スラグ中には小径の残存地金が残留する場合もあるが、次回溶銑予備処理工程での鉄源として再度使用することもできるため、鉄歩留りの向上に対して大きく寄与するメリットもある。
(実施例1)
本実施例では、本発明の精錬剤および比較例の精錬剤を用いて鍋内の200トンの溶銑を機械攪拌設備で脱硫した。処理溶銑は、高炉から出銑した後、高炉鋳床および受銑容器である溶銑鍋の2段階で脱珪処理を行ったものを用いた。溶銑組成は、事前脱珪により[Si]=0.05〜0.10mass%とされ、[C]=4.3〜4.6mass%、[Mn]=0.22〜0.41%mass%、[P]=0.10〜0.13mass%であり、処理前[S]=0.040〜0.042mass%であった。また、溶銑温度は、1330〜1430℃であった。本発明の精錬剤は、平均粒径3.0mmの軽焼ドロマイト(63.9mass%CaO、32.6mass%MgO)、平均粒径4.0mmmの石灰粉末、平均粒径4.1mmの軽焼ブルーサイト粉末(83.6mass%MgO、3.4mass%CaO、7.2mass%SiO2)を種々のCaO/MgO比になるように配合したフラックスと、平均粒径0.3mmのアルミニウムドロス粉末(70.1mass%Al、3.0mass%Mg)を平均粒径0.6mmになるまで混合粉砕した形態、またはそれを造粒した形態として用いた。造粒した形態の場合には、平均粒径0.6mmの混合粉砕粉に、バインダーとして軟ピッチ(固定炭素分33mass%、60℃における粘度4poise)を2.0mass%添加し、混練して4mmサイズの塊状物からなる精錬剤を製造した。比較例では、フラックスが石灰単体およびMgO源である軽焼ブルーサイト単体である精錬剤を用いて脱硫を行った。フラックス組成、精錬剤のAl比率、精錬剤の形態、精錬剤原単位、脱硫結果等を表1に示す。
平均粒径0.3mmのアルミニウムドロス粉末(52.1mass%Al、2.5mass%Mg)、平均粒径3.0mmの軽焼ドロマイト(63.9mass%CaO、32.6mass%MgO)、平均粒径0.3mmの海水マグネシア粉末(91.0mass%MgO、3.2mass%CaO、1.0mass%SiO2)、平均粒径2.2mmのコークス粉(固定炭素88%)を原料として用い、これらをAlとCとMgOとCaOとが表2の比率になるように配合し、平均粒径0.5mmになるまで粉砕・混合した。そして、これら原料に、バインダーとして軟ピッチ(固定炭素分33mass%、60℃における粘度8poise)を3.0mass%添加し、混練して35mmサイズの塊状物からなる精錬剤を製造した。
次に、表2の精錬剤を用いて脱硫を実施した。溶銑鍋中の1350℃の溶銑230tに対し、各フラックスを830kg投入し、溶銑をインペラー攪拌した。15分後、初期のS濃度0.032mass%が0.002〜0.003mass%低下し、91〜94%の脱硫率が得られたことが確認された。このように少ない精錬剤量で高い脱硫率が得られた。
本実施例では、本発明の精錬剤および比較例の精錬剤を用いて鍋内の300トンの溶銑をインジェクションにより脱硫した。処理溶銑は、実施例1、2と同様、高炉から出銑した後、高炉鋳床および受銑容器である溶銑鍋の2段階で脱珪処理を行ったものを用いた。溶銑組成は、事前脱珪により[Si]=0.05〜0.10mass%とされ、[C]=4.3〜4.6mass%、[Mn]=0.22〜0.41mass%、[P]=0.10〜0.13%であり、処理前[S]=0.040〜0.42mass%であった。また、溶銑温度は1330〜1430℃であった。本発明例の精錬剤は、ドロマイト、焼石灰、軽焼ブルーサイトを種々のCaO/MgO比になるように配合したフラックスと、Al含有量50mass%のアルミニウムドロスとを1mm以下程度の粒径にしたものを用いた。比較例では、フラックスが石灰単体およびMgO源である軽焼ブルーサイト単体である精錬剤を用いて脱硫を行った。インジェクションの際には精錬剤を窒素ガスにキャリアさせて溶銑中に吹き込んだ。また、一部の溶銑に対しては、事前に溶銑にアルミニウムドロスを別途添加しておき、フラックスのみをインジェクションした。フラックス組成、精錬剤のAl比率、精錬剤原単位、脱硫結果等を表3に示す。
ここでは、上記(11)式を考慮した実施例を示す。本発明の精錬剤および比較の精錬剤を用いて鍋内の150トンの溶銑を機械攪拌設備で脱硫した。処理溶銑は、高炉から出銑した後、高炉鋳床および受銑容器である溶銑鍋の2段階で脱珪処理を行ったものを用いた。溶銑組成は、事前脱珪により[Si]=0.05〜0.10mass%とされ、[C]=4.3〜4.6mass%、[Mn]=0.22〜0.41%mass%、[P]=0.10〜0.13mass%であり、処理前[S]=0.015〜0.045mass%であった。また、溶銑温度は、1250〜1400℃であった。本発明例では、精錬剤として、上述したように脱硫効率の最も高い組成および形態を有する軽焼ドロマイトとアルミニウムドロスを混合粉砕したものを用いて粒径が1mm以下程度になるように調整したものを用いた。また、これらに焼石灰を配合した精錬剤についても同様にして調整した。比較例では、精錬剤として石灰単体または石灰および螢石からなる従来の精錬剤を用いた。なお、アルミニウムドロスとしては、Al含有量が70mass%のものを使用した。
ここでは、上記(12)式、(13)式を考慮した実施例を示す。本発明の精錬剤および比較の精錬剤を用いて鍋内の200トンの溶銑を機械攪拌設備で脱硫した。処理溶銑は、高炉から出銑した後、高炉鋳床及び受銑容器である溶銑鍋の2段階で脱珪処理を行ったものを用いた。その際に、脱硫処理に持ちこまれる脱珪スラグ量を変化させた。また、脱珪スラグは予め分析を行い各組成の代表値を決定して精錬剤投入量の算出に用いた。その際の脱珪スラグの代表組成を表5に示す。
表6および図14に示すように、比較例であるCaO/MgO=0およびCaO/MgO=∞の精錬剤を用いた場合は、(CaO+MgO)/(SiO2+Al2O3)の値にかかわらず合格範囲であると考えられる脱硫率70%を確保することができなかった。
ここでは、実施例5と同様、上記(12)式、(13)式を考慮した実施例を示す。本発明の精錬剤および比較の精錬剤を鍋内の300トンの溶銑に対してインジェクションして脱硫処理を行った。実施例5と同様、処理溶銑は、高炉から出銑した後、高炉鋳床及び受銑容器である溶銑鍋の2段階で脱珪処理を行ったものを用いた。その際に、実施例5と同様、脱硫処理に持ちこまれる脱珪スラグ量を変化させた。
ここでは、本発明の精錬剤および比較例の精錬剤を用いた脱硫処理を含む高炉出銑後の溶銑の一貫処理を行った例を示す。
出銑後、150トンの取鍋内溶銑を順次溶銑予備処理した。処理順は、(a)溶銑脱珪−溶銑脱硫、(b)溶銑脱珪−溶銑脱燐−溶銑脱硫、(c)溶銑脱燐−溶銑脱硫の3ケースで行った。出銑時の溶銑組成は、[Si]=0.21mass%、[C]=5.0mass%、[P]=0.10mass%、[S]=0.033mass%であり、溶銑温度は1495℃であった。
脱燐処理では、処理形態自体は脱珪処理と同様であるが、取鍋中の溶銑に対し、上吹き法で5000Nm3/hrで送酸するとともに、耐火物製の浸漬ランスから窒素ガスを2Nm3/minで吹き込んで攪拌した。石灰に20%蛍石を含む精錬剤を珪素濃度や処理前温度に応じて所定量用いた。
ここでは、実施例7の(c)の処理順、すなわち溶銑脱燐−溶銑脱硫の順で溶銑処理を行う際に、脱燐終了時点での溶銑温度を変動させた例を示す。
出銑時の溶銑組成は、[Si]=0.21mass%、[C]=5.0mass%、[P]=0.10mass%、[S]=0.033mass%であり、溶銑温度は1495℃であった。
各処理での条件と処理結果を以下の表10に示す。
表10に示すように、脱硫処理前の溶銑温度が1280℃でも脱硫可能であるが、脱硫処理前の溶銑温度が高くなるほど脱硫処理での精錬剤量および発生スラグ量を低減することができ、脱硫処理前の溶銑温度が1300℃以上が好ましいことが確認された。
ここでは、本発明の精錬剤および比較例の精錬剤を用いた脱硫処理を含む高炉出銑後の溶銑の一貫処理を行った例を示す。
出銑後、150トンの取鍋内溶銑を順次溶銑予備処理した。処理順は、(d)溶銑脱珪−溶銑脱硫−溶銑脱燐、(e)溶銑脱珪−溶銑脱燐−溶銑脱硫、(f)溶銑脱硫−溶銑脱珪−溶銑脱燐、および(g)溶銑脱硫−溶銑脱燐の4ケースで行った。
出銑時の溶銑組成は、[Si]=0.22mass%、[C]=5.0mass%、[P]=0.11mass%、[S]=0.035mass%であり、溶銑温度は1490℃であった。
本実施例では、本発明の精錬剤および比較例の精錬剤を電気炉内の溶鋼に添加し、溶鋼を脱硫・脱酸した。電気炉としては150トンの交流式アーク式溶解炉を用いた。その炉底部には3個のノズルが設置され、合計毎分300Nlのアルゴンが吹き込まれるようになっている。精錬剤は、炉上方のホッパー、シューターを介して、一括添加可能とした。本発明例の精錬剤は、軽焼ドロマイト(64mass%CaO、33mass%MgO)、焼石灰(96mass%CaO)、およびアルミニウムドロス(50mass%Al)を混合粉砕し、粒度を10mm以下としたものを用いた。比較例では、軽焼ドロマイトを含まない、焼石灰およびアルミニウムドロスのみを混合粉砕したものを精錬剤として用いた。電気炉においては、以下の手順で処理が行われる。まず、電気炉に所定の鋼屑を石灰とともに90トンバケットを用いて挿入し、電極加熱と炉壁の補助バーナーや炉前ゲートからの水冷ランスで送酸を開始し、一次溶解を行う。約20分後に炉蓋を開き鋼屑73トンを追装入する。その後15分間ほどで装入原料の溶け落ちで溶解期が完了する。次いで精錬期に入り、電極加熱と同時に水冷ランスからの送酸と同時にカーボンとアルミニウムドロスの吹き付けを行い、スラグや溶湯の酸化度や炭素濃度を調整し、溶湯を昇温する。溶湯温度が1650℃になるまでの10分間のうちにスラグをフォーミングさせ炉前ゲートから排出する。スラグは初期装入の装入鋼屑トン当たり20kgの石灰と鋼屑の付着する珪砂などの酸化物や鋼屑の成分であるSi,Mn,Al,Cr,Ti等の非酸化物で形成されるが、酸化度が高いうえ、スラグの塩基性成分CaOを高められないため脱硫能は高くない。鋼屑銘柄に影響されることが大きい、インプット硫黄の装入量が多い場合、この時点で硫黄濃度は0.05mass%以上になる。スラグは鋼屑トン当たり約50kg以上も生成するが、流滓により炉内残留量を10kg以下にすることもできる。溶鋼は炭素濃度が0.1〜0.15mass%でAlはほとんど含有しないが、フェロシリコンを添加し珪素濃度は0.1〜0.15mass%となる。このような処理を行った後、所定の精錬剤を一括で添加し10分間底吹きガス攪拌しながら脱硫・脱酸を行った。その際の精錬剤の配合、精錬剤の添加原単位、処理前後の硫黄濃度、脱硫率、および酸素濃度等を表12に示す。
表12に示すように、本発明例のNo.130〜135は70%以上の脱硫率を安定して得ることができ、酸素濃度も低位に安定する結果が得られた。これに対して、比較例であるNo.136,137は脱硫および脱酸の程度が本発明例よりも劣っていた。
本実施例では、本発明の精錬剤および比較例の精錬剤をタンディッシュ内の溶鋼に添加し溶鋼の脱酸および介在物制御を行った。溶鋼としては軸受け鋼である高炭素アルミ脱酸溶鋼、またはタイヤコード鋼である高炭素シリコン脱酸溶鋼を用い、いずれかの溶鋼を300トンの取鍋から50トン容量のタンディッシュに装入後、溶鋼表面に精錬剤を添加して処理を行った。溶鋼を大きく乱さないように、溶鋼の攪拌は特別には行わなかった。本発明例の精錬剤としては、軽焼ドロマイト(64mass%CaO、33mass%MgO)と、軽焼ブルーサイト(83.6mass%MgO、3.4mass%CaO、7.2mass%SiO2)と、アルミニウムドロス(50mass%Al)とを混合粉砕後、約10mm径のペレット状に造粒し20kg単位で梱包したものを用い、その所定量をタンディッシュ湯面上に静かに上置きする方法を採用した。タンディッシュへは取鍋から1580℃の溶鋼の注湯が開始され、タンディッシュ内溶鋼が30トンになった時点で精錬剤を添加した。精錬剤は所定原単位になるように、鋳造速度に応じた溶鋼の注湯速度に従って添加した。比較例では精錬剤としてドロマイトを用いずにブルーサイトおよびアルミニウムドロスのみを混合粉砕後、同様に約10mm径のペレットに造粒したものを用いた。また、タンディッシュ内での精錬剤添加を行わなかったものも比較例とした。
本実施例では、本発明の精錬剤および比較例の精錬剤をRH真空脱ガス設備内の溶鋼に添加し、溶鋼の脱硫・脱酸・介在物制御を行った。300トンのRH真空脱ガス設備を用い、浸漬ランスで取鍋内の溶鋼に添加する場合と、真空槽内にシューターから添加する場合の2通りを実施した。本発明例の精錬剤としては、軽焼ドロマイト(64mass%CaO、33mass%MgO)と、アルミニウムドロス(50mass%Al)とを必須成分としてそれに軽焼ブルーサイト(83.6mass%MgO、3.4mass%CaO、7.2mass%SiO2)または焼石灰(96mass%CaO)を所定の配合で混合粉砕し、1mm以下の径の粉状にしたもの、またはその後約10mm径のペレット状に造粒したものを用いた。そして、浸漬ランスからの添加には粉状剤を、シューターからの添加にはペレット剤を用いた。比較例ではドロマイトを用いずに軽焼ブルーサイトまたは焼石灰とアルミニウムドロスのみを用いて同様の粉状およびペレット状としたものを精錬剤として用いた。また、RH真空脱ガス設備内での精錬剤添加を行わなかったものも比較例とした。
本実施例では、転炉から出鋼された[C]含有量0.02〜0.06mass%の約250トンまたは300トンの未脱酸溶鋼をRH真空脱ガス設備にて本発明の精錬剤により精錬し、高清浄鋼を溶製した。比較例として精錬剤を用いない場合についても同様にRH真空脱ガス設備を用いて溶製を行った。
この時のRH真空脱ガス装置での処理条件は以下の通りであった。
RH真空脱ガス装置の真空度:67〜267Pa
環流用Arガス流量:2〜4Nm3/min
ここでは、溶銑脱硫スラグの高炉焼結へのリサイクルの例について説明する。
本発明の精錬剤を用いて脱硫処理を行った後に得られた脱硫スラグを溶銑から分離回収し、任意の方法で冷却するとともに大径の地金分を除去し、焼結原料用の脱硫スラグとした。
表16の各原料を整粒し、表17に示すように配合し、焼結原料を製造した。本発明例では従来例に含まれる低SiO2鉱石である蛇紋岩、ブルーサイト、マグネサイトを脱硫スラグで代替できることが確認された。また、本発明例の焼結原料のAl2O3濃度の増分も0.5mass%程度であり、実質問題ないことが確認された。
Claims (13)
- AlとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤。
- AlとCとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤。
- AlとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を容器内に保持された溶銑に添加して溶銑の脱硫処理する精錬方法。
- 高炉出銑後、転炉脱炭前の溶銑に対し、脱硫処理、ならびに脱珪処理および脱燐処理の一つ以上の一貫処理を行って溶銑を精錬する精錬方法であって、前記脱硫処理は、AlとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を容器内に保持された溶銑に添加することにより行われる精錬方法。
- 高炉出銑後、転炉脱炭前の溶銑に対し、脱硫処理、ならびに脱珪処理および脱燐処理の一つ以上の一貫処理を行って溶銑を精錬する精錬方法であって、前記脱硫処理は、AlとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を容器内に保持された溶銑に添加することにより行われ、一貫処理における蛍石の合計使用量を溶銑トン当たり0.1kg以下とする精錬方法。
- AlとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を溶鋼に添加して溶鋼の脱硫処理、脱酸処理、および介在物制御のいずれか1以上を行う精錬方法。
- AlとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を所定元素で脱酸された溶鋼へ添加して高清浄鋼を溶製する精錬方法。
- AlとCとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を容器内に保持された溶銑に添加して溶銑の脱硫処理する精錬方法。
- 高炉出銑後、転炉脱炭前の溶銑に対し、脱硫処理、ならびに脱珪処理および脱燐処理の一つ以上の一貫処理を行って溶銑を精錬する精錬方法であって、前記脱硫処理は、AlとCとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を容器内に保持された溶銑に添加することにより行われる精錬方法。
- 高炉出銑後、転炉脱炭前の溶銑に対し、脱硫処理、ならびに脱珪処理および脱燐処理の一つ以上の一貫処理を行って溶銑を精錬する精錬方法であって、前記脱硫処理は、AlとCとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を容器内に保持された溶銑に添加することにより行われ、一貫処理における蛍石の合計使用量を溶銑トン当たり0.1kg以下とする精錬方法。
- AlとCとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を溶鋼に添加して溶鋼の脱硫処理、脱酸処理、および介在物制御のいずれか1以上を行う精錬方法。
- AlとCとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を所定元素で脱酸された溶鋼へ添加して高清浄鋼を溶製する精錬方法。
- AlとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を溶銑に添加して溶銑の脱硫処理を行った後、生成した脱硫スラグを高炉焼結原料として再利用する脱硫スラグのリサイクル方法。
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