JP2011106031A - 精錬剤および精錬方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】Mg源を用いて高効率でかつ安価に溶鉄の精錬を行うことができる精錬剤およびそれを用いた精錬方法を提供すること。
【解決手段】精錬剤は、AlとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である。
【選択図】図1

Description

この発明は、溶鉄の精錬剤および精錬方法に関する。
溶鉄や溶鋼の精錬剤には、有効な精錬反応を生じさせることの他、安価であることが要求されている。例えば溶銑の脱硫には、安価なCaOを主成分とする脱硫フラックス、例えば、95mass%CaO‐5mass%CaFが広く使用されている。一方、溶銑の脱硫フラックスとして金属Mgも知られている。金属Mgは、溶銑中のSと容易に反応してMgSを生成するが、沸点が1107℃と低いので、1250〜1500℃の溶銑中では気化し、Mg蒸気となる。Mgによる脱硫反応およびCaOによる脱硫反応は、以下の(1)、(2)式で示される。
Mg + S →(MgS) (1)
(CaO)+ S →(CaS)+ O (2)
すなわち、Mg蒸気は溶銑に溶解し、溶銑中の硫黄Sと反応してMgSを生成し、溶銑浴面に浮上する。一方、CaOは溶銑中のSと反応してCaSを生成し、溶銑浴面に浮上する。
上記(1)式のMg脱硫は(2)式のCaO脱硫に比べて脱硫速度が大きく、Mg脱硫を適用すると、少ない脱硫剤原単位で短時間に所望の到達〔S〕を得ることができる。
しかしながら、Mg脱硫はこのような利点があるにもかかわらず主流とはなっていない。これは原料の金属Mgが高価なために安価なCaOを主成分とする脱硫フラックスを上回るメリットが見出せないからである。
これに対して、特許文献1には、MgOとAlとを含む脱硫剤を溶銑に加えて、溶銑中でAlとMgOとを反応させて、Mg蒸気とMgO・Alを生成させ、生成したMg蒸気を溶銑中に溶解したSと反応させてMgSを生成させ、析出させることにより、溶銑を脱硫する方法が開示されている。ちなみに、この技術では次の(3)式で示す反応を利用して溶銑中で有効にMg蒸気を発生させることができる。
4MgO+2Al→3Mg(g)+MgO・Al (3)
この方法によれば、金属Mgに比べて比較的安価なMgOとAlを主原料とするので、上記Mg脱硫の経済性の不利を軽減することができる。
しかしながら、特許文献1の技術おいては、上記(3)式に示すように、MgO中のMgは全量金属Mgに転化することができず、一部マグネシアスピネルMgO・Alとして残留しているため、精錬効率が必ずしも十分ではなく上記経済的効果が十分に発揮されているとは言えない。また、MgOとAlがMgに比べて比較的安価といっても、未だ十分とはいえず、さらに安価なフラックスが求められている。
特開平10−17913号公報
本発明の目的は、Mg源を用いて高効率でかつ安価に溶鉄の精錬を行うことができる精錬剤およびそれを用いた精錬方法を提供することにある。
本発明の第1の観点によれば、AlとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤が提供される。
本発明の第2の観点によれば、AlとCとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤が提供される。
本発明の第3の観点によれば、AlとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を容器内に保持された溶銑に添加して溶銑の脱硫処理する精錬方法が提供される。
本発明の第4の観点によれば、高炉出銑後、転炉脱炭前の溶銑に対し、脱硫処理、ならびに脱珪処理および脱燐処理の一つ以上の一貫処理を行って溶銑を精錬する精錬方法であって、前記脱硫処理は、AlとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を容器内に保持された溶銑に添加することにより行われる精錬方法が提供される。
本発明の第5の観点によれば、高炉出銑後、転炉脱炭前の溶銑に対し、脱硫処理、ならびに脱珪処理および脱燐処理の一つ以上の一貫処理を行って溶銑を精錬する精錬方法であって、前記脱硫処理は、AlとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を容器内に保持された溶銑に添加することにより行われ、一貫処理における蛍石の合計使用量を溶銑トン当たり0.1kg以下とする精錬方法が提供される。
本発明の第6の観点によれば、AlとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を溶鋼に添加して溶鋼の脱硫処理、脱酸処理、および介在物制御のいずれか1以上を行う精錬方法が提供される。
本発明の第7の観点によれば、AlとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を所定元素で脱酸された溶鋼へ添加して高清浄鋼を溶製する精錬方法が提供される。
本発明の第8の観点によれば、AlとCとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を容器内に保持された溶銑に添加して溶銑の脱硫処理する精錬方法が提供される。
本発明の第9の観点によれば、高炉出銑後、転炉脱炭前の溶銑に対し、脱硫処理、ならびに脱珪処理および脱燐処理の一つ以上の一貫処理を行って溶銑を精錬する精錬方法であって、前記脱硫処理は、AlとCとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を容器内に保持された溶銑に添加することにより行われる精錬方法が提供される。
本発明の第10の観点によれば、高炉出銑後、転炉脱炭前の溶銑に対し、脱硫処理、ならびに脱珪処理および脱燐処理の一つ以上の一貫処理を行って溶銑を精錬する精錬方法であって、前記脱硫処理は、AlとCとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を容器内に保持された溶銑に添加することにより行われ、一貫処理における蛍石の合計使用量を溶銑トン当たり0.1kg以下とする精錬方法が提供される。
本発明の第11の観点によれば、AlとCとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を溶鋼に添加して溶鋼の脱硫処理、脱酸処理、および介在物制御のいずれか1以上を行う精錬方法が提供される。
本発明の第12の観点によれば、AlとCとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を所定元素で脱酸された溶鋼へ添加して高清浄鋼を溶製する精錬方法が提供される。
本発明の第13の観点によれば、AlとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を溶銑に添加して溶銑の脱硫処理を行った後、生成した脱硫スラグを高炉焼結原料として再利用する脱硫スラグのリサイクル方法が提供される。
本発明においては、AlとMgOとCaOとを主成分とすることにより、MgOのMg蒸気に転化する割合を高めることができるとともに、MgO源およびCaO源としてMgOとCaOとが微細な状態で近接ないし接触した構造を有するものを用いたので反応性が高く、Mg源を用いた溶鉄の精錬を極めて高効率に行うことができる。しかも、MgOとCaOとが微細な状態で近接ないし接触した構造を有するMgO源およびCaO源として安価なドロマイトを用いることにより、Mg源を用いた溶鉄の精錬を極めて高効率にしかも安価に行うことができる。
また、AlとMgOとCaOとを主成分として用いるとともに、還元剤としてのAlの一部を安価なCとすることにより、同様に安価に溶鉄の精錬を行うことができる。この場合に、MgO源およびCaO源としてMgOとCaOとが微細な状態で近接ないし接触した構造を有するものを用いることによりMg源を用いた溶鉄の精錬を極めて高効率に行うことができ、このようなMgO源およびCaO源として安価なドロマイトを用いることにより、Mg源を用いた溶鉄の精錬を極めて高効率にしかも安価に行うことができる。
本発明の精錬剤は、溶銑の脱硫、溶鋼の脱硫または脱酸に適用した場合に優れた精錬効果を発揮し、さらに溶鋼の脱酸後の介在物制御による製品欠陥の低減を図ることができる。
ドロマイトと石灰+ブルーサイト混合の場合とでCaO、MgO存在イメージを比較して示す図。 精錬剤のAl/MgOの値とMg還元率との関係を示す図。 精錬剤のAl/MgOの値と脱硫率との関係を示す図。 精錬剤のCaO/MgOの値とMg還元率との関係を示す図。 精錬剤のAl/MgOの値とMg還元率との関係をCを含まない場合とCを添加した場合(C/MgO=0.3,1.0)とについて示す図。 本発明の精錬剤を用いて機械攪拌式脱硫装置により溶銑を脱硫している状態を示す模式図。 本発明の精錬剤を用いてインジェクション方式により溶銑を脱硫している状態を示す模式図。 本発明の精錬剤を用いてRH真空脱ガス設備により溶鋼を精錬している状態を示す図。 機械攪拌式溶銑脱硫滓の状態および新界面創出状態をインジェクション法による溶銑脱硫滓と比較して示す図。 実機による脱硫スラグの再利用のための処理パターンを示す図。 実施例1における、CaO/MgO比と脱硫率との関係を示すグラフ。 実施例1における、Al/MgO比と脱硫率との関係を示すグラフ。 実施例5における、Al/MgO=0.45と一定とし、かつフラックスのCaO/MgOの値を0、0.88、2、4.5、∞とした場合の、Q(αcaoMgO)/W(αsio2Al2O3)の値と脱硫率との関係を示すグラフ。 実施例5における、Al/MgO=0.45と一定とし、かつフラックスのCaO/MgOの値を0、0.88、2(ドロマイト)、4.5、∞とした場合の、(CaO+MgO)/(SiO2+Al)の値と脱硫率との関係を示すグラフ。
以下、本発明の実施の形態について項目に分けて詳細に説明する。
I.精錬剤
(1)第1の実施形態
本発明の第1の実施形態に係る精錬剤は、AlとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源として、MgOとCaOとが微細な状態で近接ないし接触した構造を有するものを含む。典型的には、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含む。この精錬剤は、溶鉄中に供給された際に、溶鉄中の反応によりMg蒸気を生成し、Mg蒸気により精錬反応を生じさせる。
本発明においては、CaOを添加することにより、Mg蒸気は上記(3)式に代わって以下の(4)〜(7)式に従って生成するようになる。
6MgO+4Al+CaO→6Mg(g)+CaO・2Al (4)
3MgO+2Al+CaO→3Mg(g)+CaO・Al (5)
21MgO+14Al+12CaO→21Mg(g)+12CaO・7Al (6)
3MgO+2Al+3CaO→3Mg(g)+3CaO・Al (7)
上記(3)式では出発物質のMgOの一部がMgO・Alの生成に消費されるので、MgOのMg蒸気に転化する割合が最大でも75%に抑えられる。これに対して、(4)〜(7)式ではMgOに代わってCaOがAlと複合酸化物を生成するので、MgOをMg蒸気に転化する効率が高く、理論上全量Mg蒸気に転化させることも可能となり、より経済性を高めることができる。
ここで、上記(4)〜(7)式の反応をより効果的に進行させるためには、MgOとCaOとがいかに微細な状態で近接ないし接触しているかが重要となる。したがって、CaO源およびMgO源として、このようにMgOとCaOとが微細な状態で近接ないし接触しているものを用いる。このようなCaO源およびMgO源としてはドロマイトを用いることが好ましい。図1はドロマイトを使用した場合(左側)と、CaO源である石灰とMgO源であるブルーサイトとを混合した場合(右側)とでのCaOとMgOの存在イメージを比較したものである。ドロマイトはCaOとMgOの固溶体であるため、いかなる微粉状態の中においても必ずMgOとCaOが共存しており、MgO粒子とCaO粒子とを機械的に混合する右側の場合と比べて著しく微細であり、MgOとCaOとを微細な状態で近接ないし接触した形態を形成するために極めて有効である。
また、ドロマイトをCaO源およびMgO源として使用することにより、ドロマイト中のCaOも十分に精錬反応、特に脱硫反応に寄与し、極めて高効率で精錬を行うことができる。また、ドロマイトは従来のMgO源と比較して安価であるため原料自体が安価なものとなる。したがって、Mg源を用いた溶鉄の精錬を高効率でしかも安価に行うことができる。
本発明においてCaO源およびMgO源として使用するドロマイトは、生ドロマイト(鉱物としてのドロマイト)、生ドロマイトを焼成して得られる焼成ドロマイト、およびこれらの混合物のいずれも含む概念である。ドロマイトとしては、特に反応性に優れた軽焼ドロマイト(生ドロマイトを1000〜1300℃で加熱焼成したもの)が好ましい。すなわち、軽焼ドロマイトは、比表面積、空隙率が大きく、活性である上に、CaOとMgOが微構造的に均一に混合した状態であるため、上記(4)〜(7)式の反応率を特に高くすることができ、CaO粒子とMgO粒子と機械的に混合した場合に比べ、脱硫率を格段に向上させることができる。
鉱物としてのドロマイトは理論組成はCaMg(COであるが、産出地によってCaOおよびMgO含有量が大きく異なり、CaO/MgO質量比として、おおよそ1〜2の範囲を示す。ドロマイトは空気中またはCO中では下記の通り2段階でCOを分解放出し、それ以上の加熱によって、CaOとMgOとの固溶体となる。
CaMg(CO → CaCO+ MgO + CO(730〜810℃)
CaCO → CaO + CO(890〜930℃)
例えば日本における栃木県産のドロマイトは、焼成によりCaO:63〜66mass%およびMgO:30〜35mass%程度となる。
還元剤として機能するAl源としては、金属Alを25mass%以上含有するものを用いる。Al純度は高いほうがフラックス中の有効な成分が多くなるので望ましいが、25mass%あれば、脱硫などの精錬機能に支障がない。このようなAl源としては、安価に入手できることからアルミニウムドロスが好ましい。もちろん、アルミニウム融液をガスでアトマイズして得られるアトマイズ粉末や、アルミニウム合金を研磨、切削する際に発生する切削粉等、他のAl源であってもよい。
MgO源、CaO源としては、ドロマイトの他に他のMgO源、CaO源が含まれていてもよい。MgOとCaOとをドロマイトの比率で含有させる場合には、ドロマイトおよびAl源以外の原料は存在しなくてもよいが、それよりもMgO比率を高める場合には、組成調整用として他のMgO源を配合する。他のMgO源としては、ブルーサイト、マグネサイトが価格面で有利であるので好ましいが、海水MgOを用いても差し支えない。また、ドロマイト組成よりもCaO比率を高める場合には、組成調整用として他のCaO源を配合する。他のCaO源としては、石灰、炭酸カルシウム、水酸化カルシウムを用いることができる。
これら原料の粒径はこれらの反応性を支配する重要な因子であり、Mg蒸気を高い反応率で生成させるために、各原料の1次粒子が1mm以下の粉状の精錬剤であることが好ましい。また、溶鉄中での精錬操作を効率的に行う観点から、このような1次粒子が1mm以下の粉状のものを3〜40mmサイズの粒状または塊状に成形してもよい。この場合には乾式成形が好ましい。ただし、粒状および塊状のものは溶鉄中で容易に崩壊し、反応界面の面積を確保できることが必要である。
本実施形態の精錬剤においては、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で0.5〜10.0の範囲であることが好ましい。
その理由を図2〜図4を参照して説明する。図2は横軸に精錬剤のAl/MgOの値をとり縦軸にMg還元率をとってこれらの関係を示す図であり、図3は横軸に精錬剤のAl/MgOの値をとり縦軸に実際に脱硫処理を行った際の脱硫率をとってこれらの関係を示す図であり、図4は横軸に精錬剤のCaO/MgOの値をとり縦軸にMg還元率をとってこれらの関係を示す図である。なお、これらは1300〜1400℃の温度範囲で行った結果である。また、Mg還元率は以下のように定義した。
Mg還元率=(Mgへ還元されたMgO量)/(精錬剤中の全MgO量)
図2に示すようにAl/MgOが質量比で0.05のときMg還元率は20%程度であるが、図3に示すようにその場合でも80%を超える脱硫率が得られる。したがって、Al/MgOが質量比で0.05以上であることが好ましい。また、Al/MgOが0.2以上であればMg還元率が40%以上、脱硫率が90%を超える高いレベルにすることができるのでより好ましい。Al/MgOの上限は特に存在しないが、Al源は上記原料の中で最も高価なものであり、Al/MgOが0.6を超えても効果が飽和するから、経済性の観点からAl/MgOを0.6以下とすることが好ましい。
また、図4から明らかなように、CaO/MgOが0.5以上でMg還元率が急激に上昇している。一方、CaO/MgOが1.1以上ではそれ以上Mg還元率は上昇しないが、CaO自体が脱硫機能を持つため、CaO/MgOが10.0までは有効に脱硫反応を生じさせることができる。したがって、CaO/MgOが0.5〜10の範囲であることが好ましい。また、CaO/MgOが0.75以上であれば、MgO・Alが生成せずにMg分のほぼ90%以上がMg蒸気となるからより好ましい。
さらに、CaO/MgOが1.5超え〜10では、Mg源としてドロマイトを高い割合で使用することができ、他のMgO源の使用量を少なくすることができるので経済的である。特に、CaO/MgOがドロマイト組成範囲である場合には、CaO源およびMgO源としてほぼドロマイトのみを用いればよく、Mgガス発生効率を最も高くすることができると同時に極めて経済的である。CaO/MgOがドロマイト組成範囲よりも大きい場合にはCaO源として石灰等を加えることとなるが、石灰等のCaO源はドロマイトと同等かそれ以下に安価であるため、経済的である。ただし、CaO/MgOが10を超えた場合には、CaOの比率が高くなりすぎ、ドロマイトの効果が低減する。
本実施形態においては、精錬剤中のMgO、CaOおよびAlを合計で75mass%以上とすることが好ましい。これらが75mass%未満では精錬機能に有効な成分が少なく不経済であり、かつ反応率が低い。
原料を粒状化または塊状化する場合には、バインダーを使用することが好ましい。バインダーを使用する場合には、軽焼ドロマイト、ブルーサイト等のMgO源が水に対して活性であり、水系バインダーを使用することは困難であるため、非水系バインダーを使用する。使用するバインダーとしては、固定炭素分が30〜40mass%で、60℃における粘度が2〜10poiseであるバインダーが好ましく、このようなバインダーを原料粉全体の1〜4mass%配合することにより、十分な強度を有する成形物を得ることができる。粘度が10poiseを超えると原料粉との均一な混練状態を得ることが困難であり、2poise未満では成形強度が低くなり、成型後の運搬などのハンドリングで粉化が顕著となる。
(2)第2の実施形態
本発明の第2の実施形態に係る精錬剤は、AlとCとMgOとCaOとを主成分とし、溶鉄中に供給された際に、溶鉄中の反応によりMg蒸気とCaOおよびAlからなる複合酸化物とを生成し、Mg蒸気により精錬反応を生じさせる。
上記実施形態では、還元剤としてAlを用いたが、Alは比較的高価である。このため、この実施形態では、還元剤としてAlとCとを併用することによりAlの量を低減させてフラックスの低廉化を図る。
図5は、横軸に精錬フラックスのAl/MgOの値をとり、縦軸にMg還元率をとって、これらの関係をCを含まない場合とCを添加した場合(C/MgO=0.3、1.0)とについて示す図である。なお、この図も、1300℃以上の溶鉄に精錬剤を添加した際の値であり、CaO/MgO=2.0である。
図5から、Cを添加することにより、またCが増加することによりMg還元率が若干上昇しているのがわかり、還元剤としてCが有効であることが導かれる。
この実施形態では、MgO源およびCaO源は特に限定されないが、第1の実施形態と同様に、CaO源およびMgO源としてMgOとCaOとが微細な状態で近接ないし接触しているものを用いることが好ましく、このようなCaO源およびMgO源としてはドロマイトを用いることが好ましい。
本実施形態でも、還元剤として機能するAl源としては、金属Alを25mass%以上含有するもの、例えばアルミニウムドロス粉末等を用いる。また、C源としては、グラファイト粉、コークス粉、微粉炭等を用いることができる。
また、本実施形態においても、Mg還元率を上昇させ、かつ精錬反応の反応効率を良好にするためには各原料の1次粒子が1mm以下の粉状の精錬剤であることが好ましい。また、溶鉄中での精錬操作を効率的に行う観点から、このような1次粒子が1mm以下の粉状のものを3〜40mmサイズの粒状または塊状としてもよい。ただし、粒状および塊状のものは溶鉄中で容易に崩壊し、反応界面の面積を確保できることが必要である。
本実施形態の精錬フラックスにおいて、Al/MgOを質量比で0.05以上とし、かつC/MgOを質量比で0.1以上の範囲とし、CaO/MgOを質量比で0.5〜10.0の範囲とすることが好ましい。Al/MgOが0.05以上であれば、上述したように、Alの還元作用によりある程度のMg蒸気が発生して精錬反応を有効に進行させることができる。また、C/MgOが質量比で0.1未満であるとCの効果が有効に発揮されない。さらに、CaO/MgOについては上記実施形態と同様、0.5以上であればMg還元率が急激に上昇し、一方、CaO自体の脱硫機能によりCaO/MgOが10.0までは有効に脱硫反応を生じさせることができる。
また、上記実施形態と同様、CaO/MgOが0.75以上であれば、MgO・Alが生成せずにMg分のほぼ90%以上がMg蒸気となるからより好ましい。さらに、本実施形態においてもCaO/MgOが1.5超え〜10では、Mg源としてドロマイトを高い割合で使用することができ、他のMgO源の使用量を少なくすることができるので経済的である。特に、CaO/MgOがドロマイト組成範囲の場合には、CaO源およびMgO源としてほぼドロマイトのみを用いればよく、Mgガス発生効率を最も高くすることができると同時に極めて経済的である。CaO/MgOがドロマイト組成範囲よりも大きい場合にはCaO源として石灰等を加えることとなるが、石灰等のCaO源はドロマイトと同等かそれ以下に安価であるため、経済的である。
本発明の実施形態においては、精錬剤中のMgO、CaO、AlおよびCを合計で75mass%以上とすることが好ましい。これらが75mass%未満では精錬機能に有効な成分が少なく不経済であり、かつ反応率が低い。
また、本発明の精錬剤は、溶銑、溶鋼、鋳銑等、どのような溶鉄でも適用することができ、また脱硫のみならず脱酸にも適用が可能である。具体的には、本発明の精錬剤は、特に溶銑の脱硫剤として有効であるが、溶鋼、鋳銑においても脱硫効果を発揮し、また、溶鋼の脱酸剤としても効果を発揮する。さらに、脱硫と脱酸とを同時に行うことも可能である。
本発明の精錬剤は、上記いずれの実施形態のものも、脱硫剤として用いる場合に本質的に従来滓化剤として用いていた蛍石のようなF含有物質を用いずに溶銑を脱硫することができるので、原料であるドロマイト、Al源、他のCaO源、他のMgO源等として本質的にFを含有しないものを選択すれば、精錬剤自体を実質的にFを含有しないものとすることができる。したがって、脱硫処理後のスラグ中のF含有量を極めて少ないものとして、環境への悪影響を回避することができる。また、Al源としては不可避的にFが含有されるものもあるが、そのようなAl源を用いる場合にも、脱硫処理後のスラグ中のF含有量が0.1mass%以下になるように、その量を規定することが可能であり、環境への悪影響を回避することができる。脱硫処理後のスラグ中のF含有量を0.1mass%以下にするためのAl源中のF含有量は、Al源添加量、脱硫剤投入量、他スラグの混入等の条件により異なるが、0.15mass%以下であることが好ましい。
II.精錬方法
次に、本発明の精錬剤を用いた精錬方法について説明する。
(1)溶銑の脱硫
本発明の精錬剤を溶銑の脱硫処理に適用する場合には、取鍋、トピードカーおよび鋳床等の容器内に保持された溶銑に上記精錬剤を添加して溶銑の脱硫処理を行う。上記精錬剤を用いて溶銑を脱硫する場合には、溶銑の成分等は特に限定されない。低Si銑であっても何等問題はなく、どのような溶銑にも適用することが可能である。また、精錬剤を添加して脱硫反応を生じさせる手法も特に限定されず、精錬剤を溶銑直上から投入してインペラー等で機械攪拌する方法、溶銑中に精錬剤をインジェクションする方法、溶銑上に精錬剤を上置きする方法、予め容器内に精錬剤を入れておきその後容器内に溶銑を装入する入れ置き法、鋳床において溶銑に精錬剤を添加する方法等、種々の方法を採用することができ特に限定されない。これらの中では機械攪拌法およびインジェクション法が好ましい。
また、精錬剤の粒度としては、塊状、粒状、粉末状いずれの形態、粒度においても使用可能であるが、その使用容器やプロセス、脱硫方法などに応じて最適な形状、粒度を選択することができる。例えば、機械攪拌法などでの溶銑直上からの大量添加の場合においては、飛散等による歩留りロスを低減するためにも、操業的または経済的に最適な程度の粒度以上のものを用いる方が好ましい。一方、インジェクション法での使用の際には、ノズル詰まりの問題が生じない程度の粉状化を行うことが必要となる。いずれにしても、精錬剤の粒径は反応性を支配する重要な因子であるから、上述したように各原料の1次粒子が1mm以下の粉状の精錬剤であることが好ましい。また、溶鉄中での精錬操作を効率的に行う観点から、使用容器やプロセス、脱硫方法などに応じてこのような1次粒子の粉体を3〜40mm程度の径になるように適宜粒状化または塊状化して用いてもよい。ただし、粒状および塊状のものは溶銑中で容易に崩壊し、反応界面の面積を確保できることが必要である。
本発明の精錬剤を溶銑に添加する際には、上述した好ましい方法である機械攪拌法、インジェクション法のいずれでも、また、その他の上置き法、入置き法等の場合でも、ドロマイト、Al源、ならびに必要に応じて添加される他のCaO源および/または他のMgO源を全て予め混合した状態で添加してもよいし、これらを予め混合しない状態で添加してもよい。
上記原料を予め混合しない場合には、各原料の添加位置および添加時期を種々に調整することが可能である。すなわち、各原料を同じ位置に添加しても異なる位置に添加してもよく、また各原料を同時に添加しても異なる時期に添加してもよい。また、いずれの場合にも、各原料を一度に添加してもよいし、複数回に分けて添加してもよい。このような添加位置や添加時期の異同を各原料について組み合わせることにより極めて多数のパターンで添加することが可能である。
これら多数の添加パターンは、例えば、(i)各原料を独立に貯留する複数の原料ホッパと、各原料ホッパからの容器内の溶銑への原料の切り出しまたはインジェクションをそれぞれ独立して行う機構とを備えた添加設備、(ii)各原料を独立に貯留する複数の原料ホッパと、これら複数の原料ホッパから任意の量で供給される各原料を一旦貯留する中間ホッパと、この中間ホッパから容器内の溶銑への原料の切り出しまたはインジェクションを行う機構とを備えた添加設備、(iii) 各原料を独立に貯留するホッパと、これらホッパから任意の量で供給される各原料を一旦貯留する中間ホッパと、中間ホッパに貯留された原料を混合する混合装置と、この中間ホッパから容器内の溶銑への原料の切り出しまたはインジェクションを行う機構とを備えた添加設備等を用いることにより、実現することが可能である。
上記(i)の添加設備を用いた場合には、各原料の添加位置を異ならせた状態で、各原料の添加時期を一部または全部が同時および全て異なる時期のいずれにすることもできる。ただし、原料添加口の向きの調整により各原料の添加位置を同じにすることもできる。また、上記(ii)の添加設備を用いた場合には、各原料の添加位置は同じであるが、添加時期は一部または全部が同時でも全て異なる時期でも対応することができる。さらに上記(iii)の添加設備を用いた場合には、各原料の添加位置も添加時期も同じにすることができる。
以上のように本発明に係る精錬剤を混合しない状態で溶銑に添加する具体例としては、上記(i)または(ii)の供給設備を用い、Al源の一部または全部を他の原料と別個に溶鋼に添加することが挙げられる。この場合に、Al源の溶銑への添加はドロマイト等の添加の前後どちらであってもよく、また、これらの両方であってもよい、またドロマイト等を添加している期間にAl源を添加することもできる。例えば、最初にAl源の一部を溶銑に添加し、その後ドロマイト等を添加している際または添加後に、1回または複数回に亘ってAl源の残部を添加するといったレシピが考えられる。
各原料を予め混合しておく場合には、各原料を混合したものを一つのホッパに入れ、一度にまたは複数回に分けて容器内の溶銑に添加することが可能である。この場合にはホッパ数が少なくてよいというメリットがある。また、このように各原料を予め混合したものと、予め混合していない原料とを併用することも可能である。この場合には、各原料を予め混合したものを貯留したホッパを有する添加設備と、上記(i)〜(iii)のいずれかの添加設備を併用することが可能である。
本発明の精錬剤は、以上のような種々の添加設備により添加することが可能であり、その添加パターンに応じて設備的に適切なものを選択すればよい。
本発明の精錬剤を用いた脱硫処理においては、溶銑温度がMgOからのMgガス発生に大きく影響するため、処理前の溶銑温度が重要となる。上記の(6)式の反応により効果的にMgガスを発生させるためには、熱力学的には1300℃以上であることが望ましい。しかし、実際には1300℃以下であっても(6)式の反応は進行し、1200℃以上あれば実用的にその反応を進行させることができる。したがって、脱硫処理前の溶銑温度は1200℃以上あればよく、1300℃以上がより好ましい。
脱硫処理において本発明の精錬剤を使用する際の必要な投入量を決定するにあたり、添加量が不足すると必要とする脱硫量が得られないのは当然であるが、過剰な投入は処理時間の延長、溶銑温度の低下、発生スラグ量の増加などの悪影響を及ぼすため、要求される脱硫量に対して最適量の精錬剤を添加することが必要となる。
本発明の精錬剤は、MgO源およびCaO源としてMgOとCaOとが微細な状態で近接ないし接触した構造を有するもの、典型的にはドロマイトを用い、さらに必要に応じて他のMgO源、CaO源を用いるが、これらが脱硫に寄与する項として次の3つの項が考えられる。ここで重要な点は、ドロマイト中のMgOと別途添加したMgO源中のMgOとでは、Mgガス発生量および脱硫効率ともに異なるため、分離して考える必要があることである。
(i)ドロマイト中MgOから発生したMgガスおよびMgによる脱硫
(ii)別途添加したMgO源から発生したMgガスおよびMgによる脱硫
(iii)CaOによる脱硫
以下、それぞれについての影響因子を考慮する。
なお、以下の(8)〜(11)式中、W1MgO:ドロマイト中のMgO原単位(kg/t)、W2MgO:ドロマイト外MgO原単位(kg/t)、WCaO:CaO原単位(kg/t)、WAl:添加Al原単位(kg/t)、T:処理前溶銑温度(℃)、[S]i:処理前S濃度(%)、ω:攪拌動力(W/t)、c:MgO還元へのAlの寄与率、α1・α2:MgOから発生したMgガスおよび溶銑中へ溶解したMgの脱硫効率(溶銑中Sとの反応効率)、β1・β2:MgOからのMgガスおよび溶解Mgの発生率、γ:CaOの脱硫効率(溶銑中Sとの反応効率)、ΔS:必要とする脱硫量(kg/t)である。
(i)について:
MgOからMgガスおよび溶解Mgが発生する発生率βを考慮する。これは、溶銑温度、Al添加量に大きく影響される。さらに、MgOの還元へのAlの寄与率cを考慮する必要が有る。この寄与率cは、精錬剤の粉砕方法に依存する。例えば、アルミニウムドロスとドロマイトとを混合しながら粉砕する等の混合粉砕を採用した場合には、接触確率が高くなるため寄与率は高くなる。一方、アルミニウムドロスとドロマイトを別投入した場合には接触確率が低くなるため寄与率cも低くなる。また、この寄与率cは、処理前の溶銑中の酸素濃度にも影響される。酸素濃度が高い場合には、脱酸に寄与するAl量が増加するため、MgO還元への寄与率cは相対的に低下してしまう。さらに、発生したMgガスおよびMgが溶銑中Sと反応する効率αを考慮する。αは溶銑中のS濃度と攪拌動力に依存すると考えられ、攪拌動力への依存の度合いは、処理方法や設備仕様によって変化するため、実際の使用の際に経験的に求められる係数である。例えば、処理前のS濃度および攪拌動力の増加に伴い、αは増加する。これらをすべて考慮した場合にドロマイト中MgOから発生したMgガスおよび溶解Mgによる脱硫量ΔS1(kg/t)は、(8)式のように表すことができる。
ΔS1={W1MgO×α1×β1×32/40} (8)
ただし、α1=f([S]i,ω)、β1=f(T,c,WAl
(ii)について:
(i)と同様の考え方により、同様の影響因子を考慮する必要がある。ここで、ドロマイト中のMgOとドロマイト外のMgOとでは同条件下においても発生するMgガス量および脱硫効率が異なるためα、βを別途設定する必要がある。ドロマイト外からのMgガス発生率および脱硫効率をそれぞれβ2、α2として、ドロマイト外のMgOから発生したMgガスおよび溶解Mgによる脱硫量ΔS2は、(9)式のように表せる。ドロマイトのみを使用した場合には、この項は無視できる。
ΔS2={W2MgO×α2×β2×32/40} (9)
(iii)について:
CaOと溶銑中Sの反応効率γを考慮する。この効率は、溶銑中のS濃度、溶銑温度、攪拌動力に依存すると考えられ、上記のαと同様に攪拌動力への依存の度合いは、処理方法や設備仕様によって変化するため、例えば、石灰系の脱硫剤を使用した場合実績等から、経験的に求められる係数である。処理前のS濃度、溶銑温度および攪拌動力の増加に伴い、γは増加する。これらを考慮してCaOによる脱硫量ΔS3は、(10)式で表すことができる。
ΔS3={WCaO+γ×32/56} (10)
ただし、γ=f(T,[S]i,ω)
(i)〜(iii)を考慮することにより、精錬剤の投入原単位と脱硫量ΔSとの関係を求めることが可能である。
したがって、本発明の精錬剤を用いて脱硫する際に、以下の(11)式により脱硫量ΔS(kg/t)に応じて求められる量以上の本発明の精錬剤を添加すれば、脱硫量に対して適量の精錬剤を添加して脱硫処理を行うことが可能となる。
ΔS={W1MgO×α1×β1×32/40}+{W2MgO×α2×β2×32/40}+{WCaO+γ×32/56} (11)
機械攪拌法を用いた場合には、上記(11)式のうち、脱硫効率α1、α2、γを高くすることが可能であり、最も効果的に脱硫剤の効果を発揮することができる。
また、処理前の溶銑温度は上述したように1200℃以上であればよいが、熱力学的な観点からは1300℃以上であることが望ましく、温度が高いほどMgOからのMgガスおよび溶解Mgの発生率β1、β2を向上させることができる。溶銑温度の変化に伴い、本発明の精錬剤の脱硫効率が変化するが、上式(11)により必要な精錬剤量を適切に求めることが可能となる。
さらに、精錬剤の添加方法に関しては、溶銑の酸素濃度や処理前の溶銑上のスラグの有無などにより、Al源となるアルミニウムドロスや金属Alおよび石灰等を上記精錬剤と別個に添加することが有効な場合もあるが、上記(11)式を考慮すると、Al源とドロマイトとの接触効率を高め、MgO還元へのAlの寄与率cを高めるためには、Al源とドロマイトを含むMgO源およびCaO源とを混合しながら粉砕した(混合粉砕)ものを添加する方法を用いることが好ましい。
なお、上記(11)式を用いた脱硫処理は、その手法によらず、機械攪拌法、インジェクション法、上置き法、入れ置き法等、どのような脱硫手法にも適用可能である。
ところで、脱硫処理は、一般的に脱珪処理または脱燐処理の後に行われることが多いが、脱硫処理前のプロセスから持ち込まれるスラグ中のSiO2、Al23等により、スラグの脱硫能が低下し、スラグ組成によっては上記(4)〜(7)式の反応が効率的に進行せず、所定の脱硫効率が得られない場合が生じる。したがって、脱硫スラグの組成を適切に制御して、スラグの脱硫能を確保することが重要となる。そのために、投入する精錬剤の組成、ならびに脱硫処理前のプロセスから持ち込まれるスラグの組成を把握し、脱硫スラグが適切な組成範囲になるように、脱硫処理前スラグ量および精錬剤の投入量を制御することが有効である。具体的には、処理前スラグ量をW(kg/t)、投入精錬剤量をQ(kg/t)、物質iの組成の割合をαiとした場合に、脱硫処理前スラグ量および精錬剤の投入量が以下の(12)式を満足するようにすることが有効である。
Q(αCaOMgO)/W(αSiO2Al2O3)≧4 (12)
また、本発明の精錬剤を投入して形成された脱硫処理を行う際の脱硫スラグの組成を以下の(13)式を満足するものとすることが好ましい。
(CaO+MgO)/(SiO2+Al)≧3 (13)
これにより、脱硫スラグが適切な組成範囲を有するものとなり、上記(4)〜(7)に示す反応を有効に生じさせて、高い脱硫効率を得ることができる。
次に、以上のような本発明の精錬剤を用いた溶銑脱硫方法の好ましい例について具体的に説明する。
まず、機械攪拌式脱硫設備を用いて本発明の精錬剤により溶銑脱硫を行う場合について説明する。図6はこのような機械攪拌式脱硫装置により溶銑を脱硫している状態を示す模式図である。
台車11に搭載された溶銑鍋12に溶銑13が収納されている。この溶銑鍋12を、インペラー撹拌式脱硫装置14の耐火物製の羽根(インペラー)16が所定の位置になるように配置する。インペラー撹拌式脱硫装置14は、インペラー16の他に、インペラーを回転するための油圧モーター15、秤量ホッパー17、これに収納された精錬剤18を切り出すロータリーフィーダー19を備えている。また、集塵を行うための集塵フード21を備えており、処理時にこの集塵フード21を下降させて使用する。また、図示しないが精錬剤用とは別に副原料等の秤量ホッパーや投入口も設けられている。
このようなインペラー撹拌式脱硫装置においては、まず、インペラー16を下降させて溶銑に浸漬し、浸漬と同時に油圧モーター15を駆動させてインペラー16を回転させ、徐々に回転数を上げる。これと並行して排気装置を運転して発生ダストを吸引する。インペラー16の回転数が上がり定常回転数に達したらロータリーフィーダーを駆動させて所定量の脱硫剤を溶銑に供給する。
この際の精錬剤の形状は、塊状、粒状、粉末状いずれの形態、粒度においても使用可能であるが、粉末状の精錬剤を使用する場合には、添加の際の飛散ロスを防ぐためには微粒にしすぎないことが好ましい。一方、塊状、粒状の精錬剤を使用する際には、輸送・投入の際には崩壊せず溶銑中にて崩壊する強度のものが好ましい。溶銑中で崩壊しないものは反応面積が小さく反応性が悪いので好ましくない。さらに、脱硫処理前の溶銑鍋内溶銑上のスラグの有無や量、溶銑中酸素濃度等に応じて、精錬剤添加の前に副原料投入口から、アルミニウムドロスや金属Alを別途添加することが有効な場合もある。
精錬剤の供給終了後、所定時間の攪拌が終了した時点でインペラー16の回転数減少させながらインペラー16を上昇させる。スラグが浮上して溶銑表面を覆い、静止した状態で溶銑の脱硫処理は終了となる。
次に、インジェクション方式を用いて本発明の精錬剤により溶銑脱硫を行う場合について説明する。図7はこのようなインジェクション方式により溶銑を脱硫している状態を示す模式図である。
容器31内には溶銑32が収容されており、この溶銑32にインジェクション用のランス34が垂直に挿入されている。そして、図示しないディスペンサーによってこのランス34を介して本発明の精錬剤33をアルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガスとともに溶銑32の深部にインジェクションする。これにより精錬剤33が湯面まで上昇する間および湯面上にて脱硫反応が生じ、溶銑32の脱硫反応が進行する。容器31としては取鍋でもトピードカーでも構わない。
インジェクションを行う場合には、精錬剤の形状は粒状または粉状が望ましく、粒度としてはノズル詰まりの問題が生じない程度に粉状化を行っておく必要がある。また、脱硫処理前の取鍋内溶銑上のスラグの有無や量、溶銑中酸素濃度等に応じて、容器31内の溶銑32に予めアルミニウムドロスや金属Alを別途添加することが有効な場合もある。Al源を添加した後、アルゴンガスや窒素ガスなどの不活性ガスで短時間バブリングを行い、添加したAl源を溶銑に溶解した状態にしておいてもよい。また、Al源は溶銑が入る前の容器に予め入れ置きしておいてもよい。
所定量の精錬剤のインジェクションが終了したら精錬剤の吹き込みを停止し、ランスを上昇させる。スラグが浮上して溶銑表面を覆い、静止した状態で溶銑の脱硫処理は終了となる。
本発明の精錬剤を用いた溶銑の脱硫処理は、(i)精錬剤からMg蒸気を有効に発生させ、(ii)そのMg蒸気を溶銑中の硫黄と反応させて硫黄分を固定するとともに、(iii)同時に添加されたCaO分でも硫黄分を固定するという3つの工程から成り立っており、これらを効率良く行わせるためには、容器や脱硫方法、溶銑状態に応じ、精錬剤の組成ばかりでなく、精錬剤の形状・粒度や添加方法、添加速度を制御し、場合に応じて最適な条件を選択することが求められる。
(2)脱硫を含む一貫溶銑処理
溶銑処理は、溶銑および溶銑を脱炭して得られる溶鋼の純度を上げたり、特定の品質の溶鋼を得るための精錬剤やエネルギーの使用量を最少にするために行われるものであり、そのため、近年の溶銑処理においては、上述のような溶銑脱硫のみが行われるとは限らず、溶銑の脱燐処理も同時に行われるのが一般的である。また、脱燐処理を効率的に行うため脱珪を事前に行うことも提案され実機でも行われている。すなわち、上記脱硫処理は、高炉から出銑した後、脱炭されるまでの間に脱珪処理および/または脱燐処理とともに一貫的に行われる溶銑処理の一部として行われる。
しかし、脱珪処理や脱燐処理と、脱硫処理とは、前者が送酸や固体酸化剤の添加を伴う「酸化精錬」であるのに対し、後者は「還元精錬」であり、還元性が高いほど効率を高めることが可能になる点において大きく異なる。
そして、溶銑脱硫は、CaO等の精錬剤の還元を伴う硫化物生成反応を促進し溶銑中の硫黄を効率的に除去するものであるからして、特に、還元反応に影響する溶銑の酸化度の制御は重要である。脱珪処理や脱燐処理後の酸化度の増加した溶銑を脱硫処理する場合には、精錬剤や還元剤の使用量が増えたり、処理時間を延長することが必要になり高い効率で脱硫することは困難である。このような状況において脱硫効率を高めるには、処理後の酸化度を制御したり、脱珪処理や脱燐処理の影響を受けにくいプロセスが重要になっている。
脱硫処理は、通常、脱珪処理や脱燐処理の前後どちらであってもよく、個々の処理に適正な温度条件や製造する鋼種及び設備配置や物流などで適切に配置することが可能であるが、近年、効率の追求や環境対策の観点で、精錬剤やスラグ発生量の低減が要望されており、そのため、高炉出銑直後の脱珪などが行われたり、搬送容器でのさらなる脱珪や脱燐が行われるようになっており、これらの一部が脱硫の前工程として行われることが多くなっている。脱珪処理や脱燐処理は気体酸素や固体酸化源などの酸化剤を用いるため、これらの反応と同時に脱硫反応を高効率で行うことは難しく、通常は、(i)精錬容器の交換、(ii)脱硫処理前のスラグすなわち脱珪あるいは脱燐処理後のスラグを一旦排出すること、(iii)事前プロセスでの溶銑の酸化度の低減などを実施する。
上記の課題に対し、本発明の精錬剤を用いることにより、より効率的に溶銑脱硫を行うことができる。
すなわち、本発明の精錬剤は、AlとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてMgOとCaOとが微細な状態で近接ないし接触しているもの、典型的にはドロマイトを用いるもので、これによりMgOを効率的に還元し、かつ溶銑中の硫黄を硫化物とし効率的に固定を図るものであり、精錬剤としてAlを使用していることから、溶銑の酸化度にあまり影響されずに、上記の還元反応、硫化物生成反応を最大化することができる。そのため、一連の溶銑処理の工程で、脱硫工程の実施順の制約がなくなる。このような脱硫処理の採用により、溶銑の一貫処理が安価でかつ高効率に達成され、不純物である燐、硫黄を極めて低濃度とすることが可能となる。
そして、このような溶銑の一貫処理における脱硫処理において上記本発明の精錬剤を用いることにより、少ない精錬剤原単位で高効率に脱硫することができるので、脱硫処理、ならびに脱珪処理および/または脱燐処理からなる溶銑処理におけるトータルの精錬剤の原単位を少なくすることができ、かつこのような溶銑の一貫処理により排出されるスラグ量を低減することができる。
ここで、溶銑の一貫処理は、高炉出銑後の溶銑を最終的に脱炭する前に、溶銑の脱硫処理に加えて、脱珪処理および脱燐処理の一つ以上を実施するものである。脱珪処理を行わずに、脱燐処理の際に珪素の除去を行ってもよいが、脱燐を効率的に行うため、脱燐処理から脱珪処理を分化して、脱珪処理と脱燐処理とを独立して両方行うこともできる。このような溶銑の一貫処理において、基本的にその順序も特に限定されない。処理の手順としては、例えば、(i)脱珪処理−脱硫処理−脱燐処理の順、(ii)脱珪処理−脱燐処理−脱硫処理の順、(iii)脱硫処理−脱珪処理−脱燐処理の順、(iv)脱硫処理−脱燐処理の順、(v)脱珪処理−脱硫処理の順が挙げられる
このような一貫的な溶銑処理のうち、脱珪処理においては、脱燐効率の向上のため、処理後の珪素濃度を0.2mass%以下に低下させることが好ましい。高炉からの溶銑中珪素濃度が低く特別な脱珪処理を行わない場合を除き、高炉鋳床や溶銑の搬送容器までの過程で固体酸化剤を種々の方法で添加する脱珪方法や溶銑鍋やトピードカーなどの搬送容器や専用炉を用い、気体酸素や固体酸化剤及び精錬剤を、上吹き、上置きやインジェクションなど種々の方法で添加する脱珪方法などで実施される。
脱燐処理も同様で、出銑後の溶銑移送過程や、搬送容器或いは専用炉を用いる。通常、石灰とともに蛍石などの媒溶剤を同時に添加して処理されるが、環境対策上、石灰単独で処理することも可能である。石灰の溶融性を高めたり、脱燐反応速度を早めたりする方法が採用される。石灰の溶融性を高めるには、微粒や粉体状の石灰を採用したり、石灰の溶融効果のある低融点化物質を添加したり溶融酸化鉄を増加する精錬法など種々の方法が実施できる。なかでも、粉状の石灰を、底吹きや上吹きの送酸手段で酸素と同時に吹き込む方法を採用することにより、石灰が溶融しやすくなり、酸素が溶銑に作用して酸化鉄を生成する場所に石灰を供給できるため、効率的に脱燐を進行させることができる。低融点化物質としては、ホウ素系の化合物や、アルミナなどがある。一方、脱燐反応速度を早めるには、酸化鉄や溶銑中燐の移動を早めるための送酸条件や攪拌条件が適正化される。送酸のためのランスノズルや底吹き羽口の数や形態を選択し実施することができる。また、このようにして一貫した溶銑処理を行う場合には、燐も効率的に除去することができ、溶銑脱燐後の溶銑中の燐濃度は0.03%以下の極低燐濃度まで低下することができる。この燐濃度に制御するため、処理前珪素濃度は、0.2%以下であることが好ましく、0.2%以下の高炉溶銑を用いるか、高炉溶銑が0.2%以上、以下に関わらず0.2%以下で低位に脱珪処理した溶銑を用いることができる。
脱硫処理は、上述の本発明の精錬剤を用いることにより、従来よりも少ない精錬剤量で大きな脱硫効果を得ることができ、溶銑段階で容易に0.005%以下の硫黄濃度にすることができる。
ところで、従来、上記一貫的に行われる溶銑処理においては、スラグ中のフッ素(F)を増加させる蛍石等の溶剤が大量に用いられている。これは、溶銑処理温度が比較的低温である上に、脱珪、脱燐、脱硫の精錬反応上、スラグの塩基度が高い程好ましいため、蛍石等を添加して造滓性を高めることが必要であることが理由である。
しかしながら、近時、製鋼スラグの量的および質的な環境対策が要求されており、転炉スラグのみならず、溶銑処理スラグ全体についても環境対策が必要となっている。
このため、近時、脱燐処理においては、事前に溶銑中珪素濃度を低下させることで、石灰源を低減しなおかつ石灰の溶解を送酸や固体酸素源である酸化鉄で行い蛍石を用いないことが提案されている。脱硫処理についても、蛍石を用いずに精錬するために、ソーダ灰を投入することや、上述のように高価な金属マグネシウムを用いることが考えられているが、前者はアルカリ分の増加でスラグの環境対策上効果的でないという問題があり、後者は経済性の上で問題があり、従来は蛍石を使わざるを得なかった。
また、一貫の溶銑処理において、各処理でのスラグを完全に次工程に持ち来さないようにするには、大がかりな設備になる上、歩留などの経済性や生産性を阻害するなどの問題が発生するから、前工程のスラグは次工程に持ち来さざるを得ず、前工程で蛍石を使用する精錬を行うと次工程においてもスラグ中にFを含有するスラグとなる。したがって、上述のように脱燐処理を蛍石を用いずに行うことができたとしても、脱硫処理で蛍石を使用すれば、結局最終的なスラグにはFが相当量含有されることとなるため、各処理で発生するスラグのFを低減する必要がある。
このような要求に対して、溶銑の一貫処理の中の脱硫処理に本発明の精錬剤を用いることにより、従来蛍石を不可避的に用いていた脱硫処理において蛍石を用ずに処理を行えるようになり、溶銑の一貫処理において、蛍石の使用量を従来よりも著しく減少させることができる。そして、さらに脱珪処理および/または脱燐処理における精錬剤の組成を調整することにより、蛍石の合計使用量を精錬後のスラグのF量が及ぼす環境への影響が許容範囲であると考えられる溶銑トン当たり0.1kg以下とすることができる。
このように溶銑の一貫処理を精錬剤中の蛍石を極めて少なくして行うことができるので、精錬剤の他の原料として実質的にFを含有しないものを選択すれば、溶銑処理後のスラグ中のF含有量を極めて少ないものとすることができる。
本発明の精錬剤はAl源を含んでおり、Al源として用いるアルミニウムドロスは、Fを含む場合もあるが、その場合でもAl配合量が少ない場合には生成スラグのF量を環境に影響を及ぼさない程度にすることができる。ただし、Al源としてFのより少ない原料を用いることが好ましく、Al源として実質的にFを含有しない原料を用いることが最も好ましい。
このような溶銑の一貫処理において、各処理で発生するおのおののスラグ中のF濃度が0.2mass%以下であることが好ましい。また、このような溶銑処理におけるスラグ中のF濃度ばかりでなく、高炉出滓時のスラグ中のF濃度が低いことも必要であり、その際のF濃度も0.2mass%以下であることが好ましい。
このように溶銑の一貫処理において、本発明の精錬剤により脱硫処理を行うことで、溶銑の一貫処理で発生するスラグのF濃度を減少させることによる環境対策が可能になる。
次に、このような溶銑の一貫処理において、脱硫処理を行う上で好ましい操業条件について説明する。
上述のように、溶銑脱硫は「還元精錬」であるから、少量の酸化還元反応で熱の授受はあるものの、放熱等での降温が主体で、熱の制御はほとんどできない。これに対して、脱珪処理や脱燐処理は送酸や固体酸化剤の添加を伴う「酸化精錬」であるから、溶銑脱珪や溶銑脱燐は、酸素源の与え方により温度制御ができる特徴を有し、気体酸素を使用した場合には酸化反応で発生した大量の熱量で、溶銑温度を高めたり、固体酸素を主体に用いた場合には吸熱反応で、溶銑の温度を低下したりすることが可能である。
すなわち、脱硫処理単独では溶銑温度の制御が困難であるのに対し、脱珪や脱燐処理では、酸化剤量や酸化剤の種類を選定することで温度を高めることができるので、脱珪処理および脱燐処理の1種以上を脱硫処理の前に行うことにより、溶銑温度を高温ほど優位な脱硫処理に適した温度に制御することが可能である。この場合に、脱硫処理前の溶銑温度を、熱力学的な観点から上記(6)式を有効に進行させることができる1300℃以上まで高めることが好ましく、1350℃以上が一層好ましい。ただし、この場合に、設備の損傷、例えばランスやインペラー等の耐火物の損耗などが生じない温度に制御することが好ましい。そのため、脱硫処理前の溶銑温度が上記温度を満たすように、処理間のリードタイムや溶銑容器の保熱状態などを考慮し、脱硫処理直前処理での終了溶銑温度を制御するとよい。
以上の溶銑の一貫処理において、本発明の精錬剤を用いる脱硫処理は上記いずれの方法を採用することも可能であるが、より高い脱硫効率を得る観点から機械攪拌方式を採用することが好ましい。この場合の攪拌動力は、脱硫反応を有効に進行させるために、所定値以上の動力を付加することが好ましい。また、事前に行う溶銑脱珪や溶銑脱燐でのそれぞれの珪素、燐の濃度は、脱硫後の工程にもよるが、それぞれ可能な限り低位にすることで、脱硫後の処理で重複する重処理となることを回避することができる。
(3)溶鋼の精錬(脱硫・脱酸・介在物制御)
本発明では、また、上記精錬剤を種々の段階の溶鋼に添加することにより溶鋼の精錬、すなわち脱硫・脱酸処理・介在物制御を行う。上記精錬剤を用いて溶鋼を精錬する場合には、溶鋼の成分等は特に限定されず、ほとんど全ての溶鋼に適用することが可能である。例えば軸受鋼向けの高炭素鋼や電磁鋼向けの高珪素鋼板等、通常の中炭素鋼、20ppm以下の炭素しか含まない極低炭素鋼、珪素をほとんど含まない薄板向けの低炭素鋼、0.2〜0.8%程度の珪素を含む厚板向けの高張力鋼等などに適用可能である。
溶鋼の脱酸度に関しては、本発明の精錬剤が金属Alを含むものであり、その溶鋼への影響の許容度を考慮するとAl脱酸鋼の処理が容易であることはいうまでもないが、生成したMg蒸気により溶鋼や介在物への作用が生じる酸素濃度の溶鋼であれば、Alをほとんど含まず、SiやC等による脱酸鋼であってもよい。例えば、タイヤコード向けの高炭素・珪素含有鋼に対しても問題なく処理を施すことができる。極端にAlを嫌う鋼種に対しては、本発明の精錬剤中のAl含有量をより減少した条件で添加することもできる。また、Alが含有されていても問題がない溶鋼に対し、溶湯の脱酸分や含有分のAlを本発明の精錬剤に過剰に含有させた状態で添加することもできる。
これらの溶鋼の製造プロセスとしては、高炉等で製造された溶銑に対して脱硫、脱燐、脱炭を転炉や予備処理工程で処理するプロセスや、鋼屑をアーク電気炉で熔解や精錬処理するプロセスが代表的であるが、これら以外でも、誘導炉やバーナー炉等、いずれのプロセスであってもよい。
本発明の精錬剤を用いて溶鋼に対して精錬(脱硫・脱酸・介在物制御)を行う場合には、最終的に製造した溶解炉内の溶鋼、溶解炉から取鍋への注入流、該溶解炉から出湯された取鍋内の溶鋼、あるいは取鍋内溶鋼を真空精錬等で付帯した槽への移動を伴いながら処理する際の当該槽内の溶鋼、または連続鋳造機に直結したタンディッシュ内の溶鋼に上記精錬剤を添加する。
精錬剤の添加は、例えば、溶解炉、取鍋、タンディッシュ内の溶鋼直上からの上置き法や、浴上方にランスを配置し、ランスからガスに随伴させて吹き付ける方法(投射法)、浴表面から浸漬されるインジェクションランスや、底部または側壁部に設置された浴面下の羽口(ノズル)からインジェクションするインジェクション法により行うことができる。また、取鍋やタンディッシュに真空槽等の付帯的な処理設備を設ける場合に、その真空槽等の付帯的設備内の溶鋼に対しても同様の方法で添加することができる。
本発明の精錬剤の精錬作用を促進するため、溶鋼に攪拌を付与することも可能であり、転炉、電気炉、取鍋、および上記付帯的な設備内において精錬剤を上置き添加する際にノズルや上吹きランス等によるガス攪拌や電磁攪拌を付加させることができる。溶解炉から取鍋への注入流では落下流の攪拌を利用することもできる。また、当然のことながら、取鍋に真空槽を付帯させた真空脱ガス装置は、取鍋内と真空槽内に溶鋼を環流させて攪拌するものであり、その攪拌を活用することもできる。さらに取鍋加熱用のアーク電極を設置した二次精錬装置で加熱中に本発明の精錬剤を添加することももちろん可能であり、このような二次精錬装置では元々攪拌機能を有する上、溶鋼を加熱することから、精錬剤の反応促進に有効である。
本発明の精錬剤を溶鋼の精錬に用いる場合にも、その粒度や形態は処理目的やプロセス、設備、対象鋼種等により最適なものが選択される。インジェクション法を採用する場合、ノズル詰まりの問題が生じない程度の粉状化を行うことが必要となる。また、必要に応じて造粒してもよいが、溶解炉等で脱硫用に大量に用いる場合、造粒まで行った精錬剤を用いると経済性で問題となる場合もある。一般に、集塵設備や熱対流の影響で添加時の飛散ロスが大きい場合、経済性や操作性に問題が生じるし、また、タンディッシュ等の鋳造工程に近いプロセスで添加する場合には、溶鋼に巻き込まれたわずかな粉状精錬剤の除去がその後不十分となり鋼材に持ち越されることがあり、大量に微粉状の精錬剤を使用することは問題となるので、このような場合には予めペレットやブリケット造粒することが好ましい。本発明の精錬剤を溶鋼の脱硫および脱酸に使用する場合にも、反応効率を良好にする観点からは各原料を1mm以下の1次粒子にすることが好ましく、操作性の観点からは、このような1次粒子を3〜40mmサイズの粒状または塊状としたものを用いてもよい。
上記溶鋼の精錬のうち介在物制御は、所定元素で脱酸された溶鋼へ本発明の精錬剤を添加することにより行われる。本発明の精錬剤は上述したようにAlによる還元反応によりMg蒸気を生成して精錬作用を生じさせるものであり、このMg蒸気が酸化物系介在物に作用して凝集等による酸化物系介在物の粗大化を防止する。脱酸後、溶解Alが0.01%以上で、溶解酸素が30ppm以下となる溶鋼中ではアルミナ介在物が支配的であるが、その溶鋼に本発明の精錬剤を添加すると、当該精錬剤がアルミナ介在物に作用してその一部または全部をスピネル介在物へ組成制御し、アルミナ介在物の粗大化を抑制する。また、脱酸後、溶解Alが0.01%未満で、溶解酸素が30ppm以下となる溶鋼中ではシリケートを主体とした介在物が支配的であるが、その溶鋼に本発明の精錬剤を添加すると、当該精錬剤がシリケートを主体とした介在物に作用してその一部または全部のMgO濃度を増加する組成制御を行い、シリケートを主体とした介在物の粗大化を抑制する。従来より酸化物系介在物を可能な限り低減して表面欠陥の極めて少なくした高清浄鋼が求められており、従来は酸化物系介在物を凝集させて粗大化させて浮上分離することや、介在物に金属Mgを作用させてスピネル化することが行われていたが、前者は粗大介在物が精錬から鋳造に至るまでの間で必ずしも浮上しきるわけではなく、いくらかの粗大介在物が残存しそれが製品欠陥になるし、スピネル化するための金属Mgは溶鋼程度の高温では蒸発するため溶鋼への添加に伴う溶鋼の暴れ、歩留まりが低い等の問題があったが、本発明の精錬剤を用いることによりこのような不都合が生じずに安定的に高清浄鋼を溶製することができる。このような介在物制御は、後述するRH真空脱ガス装置で好適に行うことができるが、各種取鍋精錬炉、連続鋳造のタンディッシュ等でも同様の効果を奏することができる。
次に、このような溶鋼の精錬について具体的に説明する。
まず、電気炉内の溶鋼に本発明の精錬剤を添加して溶鋼の脱硫・脱酸を行う例について説明する。電気炉は通常の鉄屑を大量に溶解可能なアーク式溶解炉であり、直流あるいは交流電源から炉上部に昇降可能に設けられた黒鉛電極を介して溶鋼に電力が供給される。電気炉は通常、炉本体の他、旋回昇降式の上蓋および上蓋につながる部位に排気ダクト、ガスの燃焼塔、集塵装置などを付帯している。また、炉底部にはノズルを、炉の側壁近傍などにはランスを付帯しており、これらからガスを吹き込むことによりガス攪拌を行うことができる。精錬剤は炉前のゲートからバケットを用いて添加したり、炉上方のホッパー、シューターを介して添加することができる。また、ノズルやランスから添加することもできる。ホッパーからの添加の場合、切り出し装置を操作することにより、精錬剤を一括添加したり、連続添加したりを選択することができる。本発明の精錬剤は上述したようにMg蒸気を生成してMgによる直接的な脱硫反応や脱酸反応を生じさせ、同時に添加されたCaO分により脱硫反応や脱酸反応の効率を増加させるものであるから、短時間に処理を完結させるために、攪拌を強く付与したり、精錬剤の粒度を細かいものを用いたりして、スラグの酸化度の迅速な低減や脱硫反応を促進を行う等、Mgによる反応に依存するだけではなく適切な添加方法が選択される。
転炉等の他の溶解炉や取鍋およびタンディッシュ内の溶鋼に適用する場合もその機能や処理方法自体には大きな相違はない。例えば、転炉は主に溶鋼の脱炭を行うものであり、上方からその中の溶鋼に酸素を吹き込む酸素吹き込みランスが設けられており、上部開口に排気ダクトが設けられており、ガスの燃焼塔、集塵装置などに繋がっている。また、炉底部にはガスを吹き込むノズルを付帯しており、このノズルガスを吹き込むことによりガス攪拌を行うことができる。精錬剤は、炉上方のホッパー、シューターを介して添加することができるし、また、ノズルやランスから添加することもできる。短時間に処理を完結させるため、同様に、攪拌を強く付与したり、精錬剤の粒度を細かいものを用いたりして、スラグの酸化度の迅速な低減や脱硫反応の促進を行うこともできる。また、タンディッシュは連続鋳造の際に取鍋と連続鋳造設備のモールドとの間に配置されるものであり、毎分2〜10トンの溶鋼が取鍋から注湯され、同時にモールドに排出されるが、タンディッシュの横断面の断面積を0.5mとすると、平均的な流速は毎分0.5mから2.5mの穏やかな流動下での処理条件となっている。タンディッシュにおいても上述のような種々の添加方法で精錬剤を添加することができるが、タンディッシュは上述したように鋳造機に近く、添加方法によっては汚染が問題となることもあるので、精錬剤として溶鋼を大きく乱さないように造粒等を施した粗粒材用いたり、添加も静かに上置きする方法を採用することが有効な場合がある。
次に、転炉法や電炉法で溶鋼を精錬した後の二次精錬設備として主流であるRH真空脱ガスプロセスにおいて本発明の精錬剤を添加して溶鋼の脱硫・脱酸・介在物制御を行う例について説明する。図8はこのようなRH真空脱ガス設備を示す断面図である。
このRH真空脱ガス設備は、溶鋼42を貯留する取鍋41と、溶鋼42の脱ガスを行う脱ガス部43とを備えている。脱ガス部43は、取鍋の上部から内の溶鋼に浸漬される真空槽44と、それに接続された排気設備45とからなっている。真空槽44は、その下部に2本の浸漬管46および47が設けられており、その上部側面には排気設備45に繋がる排気口48が設けられている。また、その上部には合金や媒溶剤等の副原料を添加可能な投入口49が設けられ、本発明の精錬剤を吹き込むための水冷ランス50が上方より真空槽44内へ挿入されている。さらに一方の浸漬管46には、Arガス等の不活性ガスをその中に導入するための配管51が接続されている。そして、2本の浸漬管46および47を取鍋41内の溶鋼42に浸漬させ、真空槽44内を排気設備45により真空排気して溶鋼42を真空槽44内に導入するとともに、配管51を介して浸漬管46内に不活性ガスを供給すると、不活性ガスの上昇にともない、溶鋼42が浸漬管46を上昇し浸漬管47を下降して環流する。このようにRH真空脱ガス設備では、溶鋼42を環流させながら溶鋼の真空脱ガス処理を行う。この際に、真空度は133Pa以下で処理される。例えば300トン規模のRH真空脱ガス設備においては、浸漬管の内径は0.6m程度であり、環流用ガスとしてArガスを毎分数mの量で吹き込むことにより、毎分100〜200トン程度の溶鋼を循環させることが行われる。この場合、浸漬管46,47内での平均的な溶鋼の流速は、毎秒0.75〜1.5mにもなって溶鋼42が強攪拌状態となる。したがって、RH真空脱ガスプロセスにて本発明の精錬剤により溶鋼の脱硫・脱酸を行う場合には、このような強攪拌状態を利用することにより、反応が著しく促進され、少ない精錬剤量で短時間に処理することが可能である。本発明の精錬剤における精錬反応にこのような溶鋼の強攪拌状態を利用するためには、図示のようにランス50を介して粉体状の精錬剤を添加する他、真空槽44へノズルを介して吹き込んだり、取鍋41内の溶鋼にランスまたはノズルを介して吹き込むことが有効であり、さらには真空槽44内の溶鋼湯面に精錬剤を存在させた状態で環流ガスにより溶鋼を攪乱したり、真空槽44内から取鍋41への下降流に強制的に巻き込ませて精錬剤を分散することが有効である。
以上の具体的なプロセスへの適用例で説明したように、本発明の精錬剤を用いて効率良く溶鋼の精錬を行うためには、Mgを流動する溶鋼に有効に作用させたり同時に添加されたCaO分の反応効率を高める必要があるが、そのためには、溶鋼の流動や添加場所に応じ、精錬剤の組成ばかりでなく、添加方法や添加された精錬剤の流動自体も制御し、Mgの生成速度等を最適化することが重要である。例えば、真空脱ガス設備において溶鋼中に存在する介在物にMgを作用させ、介在物の組成や形態を変化させる場合には、真空槽内の浴面に精錬剤を浮遊させておくだけでは生成したMgは減圧された気相側に散逸し生成Mgが溶鋼に作用する効率を高くすることができないが、上述したRH真空脱ガスプロセスのように強制的に下降流に巻き込ませるとMgを溶鋼中の介在物に作用させやすくなり、効率が高まる。介在物の制御の例としては、Al脱酸鋼でアルミナを主体としたクラスター状の介在物が欠陥となるためMgOによりスピネル化させ、クラスター化を抑制する場合や、介在物を延性にするためアルミナを嫌い、適度にMgOを含有させたシリケート系に制御する必要がある場合等を挙げることができる。これらの制御目的に応じて、生成するMgの生成速度や生成量が適正化される。例えば、溶鋼中に分散する20ppmのアルミナをスピネル(MgO・Al)化するには、Mgの必要量は化学量論的には3.7ppmであるが、効率を考慮し、循環する溶鋼との接触反応時間によって精錬剤から適正にMgが発生するように添加条件が選択される。
III.溶銑脱硫スラグのリサイクル
(1)機械攪拌式脱硫方法を用いた脱硫スラグの溶銑脱硫へのリサイクル
ところで、機械攪拌式脱硫方法を用いて本発明の精錬剤により溶銑脱硫を行う場合、本発明の精錬剤の有効利用率は必ずしも高くはなく、溶銑脱硫後に相当量が未反応で残存することが判明した。したがって、この未反応分を脱硫剤として再利用することができれば脱硫剤コストが低下するばかりでなく、スラグ量を減少させることができる。
そのため、本発明の精錬剤を用いて機械攪拌式脱硫処理を行った後に生成した脱硫滓に対して、新しい界面を創出する処理を行い、その処理後の脱硫滓を別の溶銑の脱硫処理に用いる。このようにすることにより、機械攪拌式脱硫処理を行った後に生成した脱硫滓を有効に再利用することができる。再利用する溶銑脱硫処理は何等限定されず、通常行われている溶銑脱硫処理であればいずれにも適用することができる。また、再利用に際しては、脱硫滓が生じたプロセスと同一プロセスでも異なるプロセスであってもよい。このように同一のプロセスでも脱硫滓の再利用を行うことができるため、単一の溶銑脱硫処理プロセスしか設けていない設備においても有効である。また、再利用に供する溶銑脱硫は、機械攪拌式脱硫処理でも、インジェクション等の異なる処理であっても適用が可能であるが、機械攪拌式脱硫処理に適用した場合に再利用効率が高く特に有効である。
機械攪拌式脱硫法による脱硫滓が再利用に適しているのは、以下の理由による。すなわち、インジェクション法は微粉の精錬剤を浴の深いところに添加するので、浴内を浮上中に脱硫反応が生じる。したがって、短時間しか反応を期待できず、微粉の極表層に脱硫生成物が形成される。そして浴面に浮上後は脱硫反応はほとんど期待できず、かつ浴面に浮上してから凝集が始まるため、個々微粉の表面に脱硫生成物があり、それが凝集した形態になる。これに対して、機械攪拌式脱硫法の場合には、精錬剤を浴表面に添加し攪拌するので、精錬剤は浴表面から浴内へ巻き込まれ、添加当初から浴表面近傍での精錬剤の凝集が生じる。その結果、ほとんど反応していない成分を内包したまま凝集する。凝集が始まってもメタルと接触する表面部分が反応し、脱硫生成物が形成される。この反応は処理時間中生じ、長時間反応が可能である。以上の反応機構から、脱硫後には凝集した粗流の表面から一定の厚みを持って脱硫生成物で覆われ、その内部は未反応の成分が多く存在する形態となる。このように機械攪拌式脱硫法は、内部に未反応成分が多く残存した粗粒であるため、脱硫反応に有効な新しい界面を創出する処理が簡易なものとなる。また、処理時間も短くでき、発生スラグ量の低減効果が大きい。これに対し、インジェクション法による脱硫剤では上述したように微粉の周囲を脱硫生成物が覆っており、脱硫反応に有効な新しい界面を創出するために微粉をさらに細かくする等の困難な処理が不可欠であり、工程や時間が増加するし、飛散によるロスが生じるため、現実的ではない。このような機械攪拌式脱硫法によって生じた溶銑脱硫滓と、インジェクション法によって生じた溶銑脱硫滓との相違を図9に模式的に示す。なお、図9では便宜上インジェクション法で生成された脱硫滓粒子は機械攪拌式脱硫法によって生成された脱硫滓粒子とほぼ同じ粒径に描かれているが、実際はそれよりも微細である。
次に、機械攪拌式脱硫法により生じた脱硫滓の具体的な処理について説明する。
図10は、実機による脱硫滓処理パターンを示す図である。この処理においては、機械攪拌式脱硫法による脱硫工程において生じた脱硫滓を浴から除去し、滓処理場へ輸送後、必要に応じて大径の地金分を磁選または篩い分けなどで除去し、その脱硫滓に対して任意の方法で新界面を創出する処理を施し、必要に応じて篩い分け、乾燥、機械粉砕等の処理を施した後、脱硫設備に輸送して脱硫剤として再利用する。
以下に具体的な処理について説明する。この際の処理としては、(i)散水処理による破砕、(ii)散水・攪拌処理による破砕、(iii)放冷による破砕、(iv)熱滓の篩い分け等が例示される。
(i)散水処理による破砕
この例では脱硫工程において発生した脱硫滓を散水処理によって冷却・破砕を同時に行った後、乾燥処理を行うことにより新界面を創出し、脱硫剤として再利用する。具体的には、散水設備を用いて脱硫処理後の熱滓が完全に含水する状態まで過剰に散水を行い、その後乾燥装置を用いてこの含水滓を完全に乾燥させることにより、最大粒径100mm以下程度に細粒化した脱硫剤を得る。その際の粒径は最大粒径が30mm以下であることが好ましく、5mm以下がさらに好ましい。なお、この際の乾燥方法は特に制限されず、乾燥機であっても、ロータリーキルン等の大がかりな設備であってもよく、要求される処理量等によって適宜選択される。
(ii)散水・攪拌処理による破砕
この例では、脱硫工程において発生した脱硫滓を適度な散水および攪拌処理によって冷却・破砕を同時に行って新界面を創出し、脱硫剤として再利用する。具体的には、散水設備を用いて脱硫処理後の熱滓に均一に散水を行って冷却しながらシャベルなどの重機により攪拌を行い、その後常温まで放置冷却することにより、最大粒径が100mm以下程度に細粒化した脱硫剤を得る。その際の粒径は同様に最大粒径が30mm以下であることが好ましく、5mm以下がさらに好ましい。適量の散水による冷却目標温度は、要求される処理等により適宜設定が可能であるが、100℃以下まで散水してしまうと、乾燥処理が必要となるため、100℃以上で散水を止めることが望ましい。攪拌は、冷却速度向上と、均一な散水のために行うものであり、散水後に行ってもよいしその実施の頻度は適宜設定可能であり、場合によっては省略してもよい。
(iii)放冷による破砕
この例では、脱硫工程において発生した脱硫滓を放冷することによって冷却・破砕を同時に行って新界面を創出し、脱硫剤として再利用する。具体的には、脱硫処理後の熱滓を可能な限り空気との接触面積が大きくなるような状態で放置し、シャベルなどの重機により攪拌を行う。例えば、熱滓を0.5m以下の厚さで広げ、1日に1〜3回程度の攪拌を行うことにより、3日間で200℃以下の十分に細粒化した再生脱硫剤を得ることができる。この時の熱滓の厚さは要求に応じて適宜設定することが可能である。また、攪拌は、冷却速度向上のために行うものであり、その頻度は適宜設定可能であり、処理時間・量に余裕がある場合には省略してもよい。冷却・破砕された脱硫滓粒子は、最大粒径が100mm以下好ましくは30mm以下、さらに好ましくは5mm以下である。なお、必要に応じて機械的な粉砕を併用してもよい。
(iv)熱滓の篩い分け
この例では、脱硫工程で発生した脱硫滓を900〜1200℃の熱滓のまま30mm×30mm〜100mm×100mm程度の篩目の篩にて篩い分けを行うことで、大径の地金と、小径の脱硫滓とに分離する。篩い分け後の小径の脱硫剤は、新界面が創出されており、そのまま、自然冷却後に脱硫剤として再利用される。この時篩い分けでもFe分が約20〜30%残存するが、次回脱硫使用時に溶銑側へ回収されるため、鉄歩留まりの向上となる。
以上のように処理することにより、本発明の精錬剤を用いて機械攪拌式溶銑脱硫法により溶銑脱硫を行った後の脱硫滓を有効に再利用することができ、それによって溶銑脱硫コストの低下がもたらされ、かつスラグ発生量が減少して環境問題の解決にもつながる。
(2)溶銑脱硫スラグの高炉焼結へのリサイクル
従来から脱硫処理により得られたスラグは、メタル分を除去後、高炉セメント、コンクリート材、肥料、あるいは道路向けの路盤材などに再利用されている。しかし、脱硫スラグはCaO、MgO分が主成分であるため、時間とともに大気中の水分を吸収して粉化する。そのため、セメント原料以外への利用が困難であり、またセメント原料への転用についても、その事前処理に多大なコストを要しているのが実情である。
また、本発明の精錬剤を用いて脱硫処理を行った場合には、脱硫スラグ中のMgO分が従来よりも多くなり、これをセメント原料に使用した場合、その中のMgO濃度が過大となって十分な強度が得られない場合が発生する。したがって、本発明の精錬剤を用いて脱硫を行った後の脱硫スラグについては、新たな再利用用途を考える必要がある。
そこで、本発明の精錬剤を用いて溶銑の脱硫処理を行った後、得られた脱硫スラグを粉砕整粒して焼結原料として利用する。
本発明者らは、本発明の精錬剤を使用した場合に得られる脱硫スラグの組成特性に着目した。本精錬剤は上述したように基本的にドロマイトを主体とするものであって、CaO/MgO比が好ましくは0.5〜10、さらには1.5超え〜10.0であり、得られる脱硫スラグはCaOとMgOを主体とするものであり、CaO比率も高い。また、溶銑中のSは最終的には固体のCaSとして固定されており、未反応のドロマイト分も残存する。さらに、スラグ中のT.Fe分も相当量存在する。したがって、焼結原料として従来配合されている石灰石、蛇紋岩、ブルーサイト、マグネサイトの代替として使用することが可能となり、かつ鉄源の回収も可能となるから、大幅なコストメリットを得ることができる。また、トータルの脱硫コストから考えると、売却スラグ用の事前処理などのコストが削減されることになる。
脱硫スラグを焼結原料に利用する際には、脱硫処理後、適宜の方法で脱硫スラグを回収し、粉砕整粒した後、通常の焼結原料として配合する。この場合、予め脱硫スラグの組成を把握した上で配合すれば何ら問題はない。また、スラグ中のS濃度が高位であっても、脱硫設備の使用によりSを低減することができるので問題はない。高炉スラグ中の成分制御としては、(Al23)の制御も重要であるが、脱硫スラグの配合が10mass%以下であれば、(Al23) 量の増分も0.5mass%以下であり、実質的に問題はない。
次に、このような脱硫スラグの高炉焼結へのリサイクルを実施するための具体的構成について説明する。
最初に、本発明の精錬剤を用いて脱硫処理を行った後に得られた脱硫スラグを溶銑から分離回収した後、任意の方法で冷却する。その際の方法は何ら制約されるものではなく、通常行われている方法を用いればよい。その後、大径の地金分は磁選もしくは篩による篩い分けなどで除去し、残余の脱硫スラグを焼結原料用として回収する。この脱硫スラグの粒度は、焼結原料に適した粒径、例えば1〜5mm程度に整粒されたものであることがより好ましい。脱流用スラグ中には小径の残存地金が残留する場合もあるが、次回溶銑予備処理工程での鉄源として再度使用することもできるため、鉄歩留りの向上に対して大きく寄与するメリットもある。
このようにして得られた焼結原料用脱硫スラグの代表成分を把握の上、鉄鉱石、他の高炉用焼結原料と混合して使用する。その他は、従来用いられている条件に順じて行えばよい。
このようにして脱硫スラグを高炉焼結原料として使用することにより、歩留りおよび生産性を低下させることなく、しかも低コストで脱硫スラグの再利用を実現することができる。
なお、上記機械攪拌式脱硫方法を用いた脱硫スラグを処理して溶銑脱硫へ適用した後に生成された脱硫スラグをこのような焼結原料に用いることもできる。
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
本実施例では、本発明の精錬剤および比較例の精錬剤を用いて鍋内の200トンの溶銑を機械攪拌設備で脱硫した。処理溶銑は、高炉から出銑した後、高炉鋳床および受銑容器である溶銑鍋の2段階で脱珪処理を行ったものを用いた。溶銑組成は、事前脱珪により[Si]=0.05〜0.10mass%とされ、[C]=4.3〜4.6mass%、[Mn]=0.22〜0.41%mass%、[P]=0.10〜0.13mass%であり、処理前[S]=0.040〜0.042mass%であった。また、溶銑温度は、1330〜1430℃であった。本発明の精錬剤は、平均粒径3.0mmの軽焼ドロマイト(63.9mass%CaO、32.6mass%MgO)、平均粒径4.0mmmの石灰粉末、平均粒径4.1mmの軽焼ブルーサイト粉末(83.6mass%MgO、3.4mass%CaO、7.2mass%SiO)を種々のCaO/MgO比になるように配合したフラックスと、平均粒径0.3mmのアルミニウムドロス粉末(70.1mass%Al、3.0mass%Mg)を平均粒径0.6mmになるまで混合粉砕した形態、またはそれを造粒した形態として用いた。造粒した形態の場合には、平均粒径0.6mmの混合粉砕粉に、バインダーとして軟ピッチ(固定炭素分33mass%、60℃における粘度4poise)を2.0mass%添加し、混練して4mmサイズの塊状物からなる精錬剤を製造した。比較例では、フラックスが石灰単体およびMgO源である軽焼ブルーサイト単体である精錬剤を用いて脱硫を行った。フラックス組成、精錬剤のAl比率、精錬剤の形態、精錬剤原単位、脱硫結果等を表1に示す。
表1に示すように、本発明例のNo.5〜19は、フラックスを石灰単体とした精錬剤を用いた比較例のNo.1、2に比較して少ない精錬剤原単位で高い脱硫率を得ることができた。フラックス中のAl/MgO比を0.45とし、アルミニウムドロスを除くフラックス原単位を4.5kg/tに統一した際のCaO/MgO比と脱硫率の関係を図11に示す。軽焼ドロマイトをベースに軽焼ブルーサイトを添加した場合(No.5〜9)には、CaO/MgO比の増加に伴い、脱硫率が向上しており、軽焼ドロマイトのみの場合(No.13)に脱硫率が最も高くなっている。一方、軽焼ドロマイトをベースに石灰を添加した場合(No.10〜12)には、CaO/MgO比が高くなるにつれ、脱硫率が低くなっていく。軽焼ドロマイトのみの場合が最も脱硫率が高く、軽焼ドロマイトの比率が低くなるにつれ脱硫率が低くなっている。CaO/MgO比が0.5〜10の範囲では、フラックスを石灰単体とし、原単位を増加させた場合(No.1)と比較して、同等以上の脱硫率が得られており、CaO/MgO比を0.5〜10の範囲の精錬剤を用いることが有効であることがわかる。CaO/MgO比が10より大きい場合には、石灰の配合率が増加し、相対的に軽焼ドロマイトの比率が低下するため、軽焼ドロマイトの効果が低減するものと思われる。
CaO/MgO比を2.0とした場合においても、軽焼ドロマイトのみを使用した場合(No.13)と軽焼ブルーサイトと石灰を使用して同等の組成にした場合(No.14)とでは、脱硫率が大きく異なっており、軽焼ブルーサイトと石灰混合の場合では55%程度の脱硫率しか得られていない。このことからも、CaO源、MgO源としてドロマイトの使用が有効であるといえる。また、フラックスとしてMgO源である軽焼ブルーサイト単体を用いた場合(比較例No.3、4)では、脱硫率10%程度と脱硫の程度が低いものとなった。
軽焼ドロマイトのみでCaO/MgO比を2.0とし、アルミニウムドロスを除くフラックス原単位を4.5kg/tに統一した際(No.13、15〜19)のAl/MgO比と脱硫率の関係を図12に示す。Al/MgO比が高くなるにつれ、脱硫率が向上しており、Al/MgO比が0.05以上では80%以上の脱硫率が得られており、Al/MgO比を0.05以上にすることが望ましいことが確認された。なお、精錬剤の形態は粉状でも造粒でも同等の結果であった。
(実施例2)
平均粒径0.3mmのアルミニウムドロス粉末(52.1mass%Al、2.5mass%Mg)、平均粒径3.0mmの軽焼ドロマイト(63.9mass%CaO、32.6mass%MgO)、平均粒径0.3mmの海水マグネシア粉末(91.0mass%MgO、3.2mass%CaO、1.0mass%SiO)、平均粒径2.2mmのコークス粉(固定炭素88%)を原料として用い、これらをAlとCとMgOとCaOとが表2の比率になるように配合し、平均粒径0.5mmになるまで粉砕・混合した。そして、これら原料に、バインダーとして軟ピッチ(固定炭素分33mass%、60℃における粘度8poise)を3.0mass%添加し、混練して35mmサイズの塊状物からなる精錬剤を製造した。
これら精錬剤を溶銑に投入してMg還元率を求めた、その結果を表2に併記する。この表に示すようにいずれも、Mg還元率が90%以上であった。
次に、表2の精錬剤を用いて脱硫を実施した。溶銑鍋中の1350℃の溶銑230tに対し、各フラックスを830kg投入し、溶銑をインペラー攪拌した。15分後、初期のS濃度0.032mass%が0.002〜0.003mass%低下し、91〜94%の脱硫率が得られたことが確認された。このように少ない精錬剤量で高い脱硫率が得られた。
(実施例3)
本実施例では、本発明の精錬剤および比較例の精錬剤を用いて鍋内の300トンの溶銑をインジェクションにより脱硫した。処理溶銑は、実施例1、2と同様、高炉から出銑した後、高炉鋳床および受銑容器である溶銑鍋の2段階で脱珪処理を行ったものを用いた。溶銑組成は、事前脱珪により[Si]=0.05〜0.10mass%とされ、[C]=4.3〜4.6mass%、[Mn]=0.22〜0.41mass%、[P]=0.10〜0.13%であり、処理前[S]=0.040〜0.42mass%であった。また、溶銑温度は1330〜1430℃であった。本発明例の精錬剤は、ドロマイト、焼石灰、軽焼ブルーサイトを種々のCaO/MgO比になるように配合したフラックスと、Al含有量50mass%のアルミニウムドロスとを1mm以下程度の粒径にしたものを用いた。比較例では、フラックスが石灰単体およびMgO源である軽焼ブルーサイト単体である精錬剤を用いて脱硫を行った。インジェクションの際には精錬剤を窒素ガスにキャリアさせて溶銑中に吹き込んだ。また、一部の溶銑に対しては、事前に溶銑にアルミニウムドロスを別途添加しておき、フラックスのみをインジェクションした。フラックス組成、精錬剤のAl比率、精錬剤原単位、脱硫結果等を表3に示す。
表3に示すように、本発明例のNo.29〜34は、フラックスを石灰単体とした精錬剤を用いた比較例のNo.26、27に比較して少ない精錬剤原単位で同等の脱硫率を得ることができた。またフラックスとしてMgO源である軽焼ブルーサイト単体を用いた比較例のNo.28では、脱硫率10%程度と脱硫の程度が低いものとなった。本発明例の中では、フラックスのCaO/MgO比が1.0〜10の条件において、より良好な脱硫結果となった。
(実施例4)
ここでは、上記(11)式を考慮した実施例を示す。本発明の精錬剤および比較の精錬剤を用いて鍋内の150トンの溶銑を機械攪拌設備で脱硫した。処理溶銑は、高炉から出銑した後、高炉鋳床および受銑容器である溶銑鍋の2段階で脱珪処理を行ったものを用いた。溶銑組成は、事前脱珪により[Si]=0.05〜0.10mass%とされ、[C]=4.3〜4.6mass%、[Mn]=0.22〜0.41%mass%、[P]=0.10〜0.13mass%であり、処理前[S]=0.015〜0.045mass%であった。また、溶銑温度は、1250〜1400℃であった。本発明例では、精錬剤として、上述したように脱硫効率の最も高い組成および形態を有する軽焼ドロマイトとアルミニウムドロスを混合粉砕したものを用いて粒径が1mm以下程度になるように調整したものを用いた。また、これらに焼石灰を配合した精錬剤についても同様にして調整した。比較例では、精錬剤として石灰単体または石灰および螢石からなる従来の精錬剤を用いた。なお、アルミニウムドロスとしては、Al含有量が70mass%のものを使用した。
本発明例については、上記(11)式を用いて精錬剤の添加量を決定し、同条件において従来の石灰と蛍石からなる精錬剤を使用の場合の添加量との比較で示した。本発明例の場合、精錬剤の製造方法および使用した機械攪拌設備は同じであるため、添加量決定の際に(11)式における攪拌動力ωおよびAl寄与率cは同じであるとみることができ、精錬剤の添加量決定の際には、処理前の溶銑温度とS濃度を考慮すればよい。使用した精錬剤組成、添加量、処理前の溶銑温度、S濃度および脱硫結果を以下の表4に示す。なお、表4中、精錬剤の添加量は石灰と蛍石とからなる精錬剤(No.35,36)を用いた脱硫の際に必要な量を1として示した。
表4に示すように、本発明例であるNo.39〜48では、ドロマイト+アルミニウムドロスを基本とする本発明の精錬剤での脱硫において、様々な処理前溶銑温度およびS濃度に応じて最適な添加量を決定することができ、処理後のS濃度0.003mass%以下まで脱硫することができることが確認された。
比較例の中でFレスを考慮して蛍石を添加せず、石灰単体からなる精錬剤で脱硫を行った場合(No.37,38)には、石灰+蛍石の場合と比較して1.3〜1.4倍の添加量となり、これら2種類の精錬剤を用いた比較例における精錬剤の添加量を平均して基準とすると、(11)式から導かれる投入量で添加した本発明例は、比較例よりも平均で25%程度の添加量の削減が可能となることが確認された。また、処理前の湯面に脱珪スラグ等が多く残存している場合等には、精錬剤を石灰比率の高い組成にすることにより、同様に(11)式による添加量の決定が可能であり、処理後のS濃度を0.003mass%以下にすることができる。
(実施例5)
ここでは、上記(12)式、(13)式を考慮した実施例を示す。本発明の精錬剤および比較の精錬剤を用いて鍋内の200トンの溶銑を機械攪拌設備で脱硫した。処理溶銑は、高炉から出銑した後、高炉鋳床及び受銑容器である溶銑鍋の2段階で脱珪処理を行ったものを用いた。その際に、脱硫処理に持ちこまれる脱珪スラグ量を変化させた。また、脱珪スラグは予め分析を行い各組成の代表値を決定して精錬剤投入量の算出に用いた。その際の脱珪スラグの代表組成を表5に示す。
溶銑組成は、事前脱珪により[Si]=0.05〜0.10mass%とされ、[C]=4.3〜4.6mass%、[Mn]=0.22〜0.41mass%、[P]=0.10〜0.13%であり、処理前[S]=0.040〜0.42mass%であった。また、溶銑温度は1330〜1430℃であった。精錬剤は、本発明の範囲内のものとその範囲から外れる比較例のものとを準備した。
本発明の範囲内の精錬剤は、軽焼ドロマイト、焼石灰、軽焼ブルーサイトを適当なCaO/MgO比になるように配合し、それにアルミニウムドロスを添加したものを用いた。比較例の精錬剤として、石灰単体のものおよびMgO源である軽焼ブルーサイト(MgO:84mass%)とアルミニウムドロスとを配合したものを用いた。脱硫処理に際しては、精錬剤は、すべての原料を混合粉砕したものを用いて粒径が1mm以下程度になるように調整し、5kg/Tの一定量を溶銑中に添加した。脱硫処理中にスラグ採取も実施した。なお、アルミニウムドロスとしてはAl含有量が50mass%、F含有量が0.15mass%程度のものを使用した。精錬剤組成、前プロセススラグ量、Q(αcaoMgO)/W(αsio2Al2O3)の値、処理スラグの(CaO+MgO)/(SiO2+Al)の値、脱硫率を表6に示す。
また、図13にAl/MgO=0.45と一定とし、かつフラックスのCaO/MgOの値を0、0.88、2(ドロマイト)、4.5、∞とした場合における、Q(αcaoMgO)/W(αsio2Al2O3)の値と脱硫率との関係を示す。
表6および図13に示すように、比較例であるCaO/MgO=0およびCaO/MgO=∞の精錬剤(No.49〜53)を用いた場合は、Q(αcaoMgO)/W(αsio2Al2O3)の値にかかわらず合格範囲であると考えられる脱硫率70%を確保することができなかった。これに対し、本発明の範囲であるCaO/MgO=0.88、CaO/MgO=2(ドロマイト)、CaO/MgO=4.5の精錬剤を用いた場合は、Q(αcaoMgO)/W(αsio2Al2O3)の値が4以上では脱硫率70%以上を確保することができたが、その値が小さくなるにつれて脱硫率が悪化していき、4未満になると脱硫率が70%未満になることがわかった。すなわち、本発明の範囲内の精錬剤を用いた場合であっても前プロセスのスラグが存在する場合には、合格範囲であると考えられる脱硫率70%以上とするためには、Q(αcaoMgO)/W(αsio2Al2O3)≧4を確保することが必要であることが確認された。
また、図14にAl/MgO=0.45と一定とし、かつフラックスのCaO/MgOの値を0、0.88、2(ドロマイト)、4.5、∞とした場合における、(CaO+MgO)/(SiO2+Al)の値と脱硫率との関係を示す。
表6および図14に示すように、比較例であるCaO/MgO=0およびCaO/MgO=∞の精錬剤を用いた場合は、(CaO+MgO)/(SiO2+Al)の値にかかわらず合格範囲であると考えられる脱硫率70%を確保することができなかった。
これに対し、本発明の範囲であるCaO/MgO=0.88、CaO/MgO=2(ドロマイト)、CaO/MgO=4.5の精錬剤を用いた場合は、(CaO+MgO)/(SiO2+Al)の値が3以上では脱硫率70%以上を確保することができたが、その値が小さくなるにつれて脱硫率が悪化していき、3未満になると脱硫率が70%未満になることがわかった。
すなわち、本発明の範囲内の精錬剤を用いた場合であっても前プロセスのスラグが存在する場合には、合格範囲であると考えられる脱硫率70%以上とするためには、(CaO+MgO)/(SiO2+Al)≧3を確保することが必要であることが確認された。
また、これら脱硫処理後のスラグ中のFは、すべての場合において0.1mass%以下であり、Al源中のF含有量を0.15%以下とすることにより、スラグ中のF濃度を十分に低いものとすることができることが確認された。
(実施例6)
ここでは、実施例5と同様、上記(12)式、(13)式を考慮した実施例を示す。本発明の精錬剤および比較の精錬剤を鍋内の300トンの溶銑に対してインジェクションして脱硫処理を行った。実施例5と同様、処理溶銑は、高炉から出銑した後、高炉鋳床及び受銑容器である溶銑鍋の2段階で脱珪処理を行ったものを用いた。その際に、実施例5と同様、脱硫処理に持ちこまれる脱珪スラグ量を変化させた。
溶銑組成は、事前脱珪により[Si]=0.05〜0.10mass%とされ、[C]=4.3〜4.6mass%、[Mn]=0.22〜0.41mass%、[P]=0.10〜0.13%であり、処理前[S]=0.040〜0.42mass%であった。また、溶銑温度は1330〜1430℃であった。精錬剤は、本発明の範囲内のものとその範囲から外れる比較例のものとを準備した。
本発明の範囲内の精錬剤は、軽焼ドロマイト、焼石灰、軽焼ブルーサイトを適当なCaO/MgO比になるように配合し、それにアルミニウムドロスを添加したものを用いた。比較例の精錬剤として、石灰単体のものおよびMgO源である軽焼ブルーサイト(MgO:84mass%)とアルミニウムドロスとを配合したものを用いた。脱硫処理に際しては、精錬剤は、すべての原料を混合粉砕したものを用いて粒径が1mm以下程度になるように調整し、5kg/Tの一定量を溶銑中に添加した。脱硫処理中にスラグ採取も実施した。なお、アルミニウムドロスは実施例5と同じものを使用した。精錬剤組成、前プロセススラグ量、Q(αcaoMgO)/W(αsio2Al2O3)の値、処理スラグの(CaO+MgO)/(SiO2+Al)の値、脱硫率を表7に示す。
表7に示すように、比較例であるCaO/MgO=0およびCaO/MgO=∞の精錬剤を用いた場合は、Q(αcaoMgO)/W(αsio2Al2O3)の値にかかわらず合格範囲であると考えられる脱硫率70%を確保することができなかった。これに対し、本発明の範囲であるCaO/MgO=0.88〜4.5の精錬剤を用いた場合は、Q(αcaoMgO)/W(αsio2Al2O3)の値が4以上では脱硫率70%以上を確保することができたが、4未満では脱硫率が70%未満となることがわかった。すなわち、本発明の範囲内の精錬剤を用いた場合であっても前プロセスのスラグが存在する場合には、合格範囲であると考えられる脱硫率70%以上とするためには、Q(αcaoMgO)/W(αsio2Al2O3)≧4を確保することが必要であることが確認された。
また、比較例であるCaO/MgO=0およびCaO/MgO=∞の精錬剤を用いた場合は、(CaO+MgO)/(SiO2+Al)の値にかかわらず合格範囲であると考えられる脱硫率70%を確保することができなかった。これに対し、本発明の範囲であるCaO/MgO=0.88〜4.5の精錬剤を用いた場合は、(CaO+MgO)/(SiO2+Al)の値が3以上では脱硫率70%以上を確保することができたが、3未満では脱硫率が70%未満となることがわかった。すなわち、本発明の範囲内の精錬剤を用いた場合であっても前プロセスのスラグが存在する場合には、合格範囲であると考えられる脱硫率70%以上とするためには、(CaO+MgO)/(SiO2+Al)≧3を確保することが必要であることが確認された。以上より、インジェクションにより脱硫する場合にも機械攪拌方式の場合と同様、上記(12)、(13)式を確保することが好ましいことが確認された。
また、これら脱硫処理後のスラグ中のFは、すべての場合において0.1mass%以下であり、Al源中のF含有量を0.15%以下とすることにより、スラグ中のF濃度を十分に低いものとすることができることが確認された。
(実施例7)
ここでは、本発明の精錬剤および比較例の精錬剤を用いた脱硫処理を含む高炉出銑後の溶銑の一貫処理を行った例を示す。
出銑後、150トンの取鍋内溶銑を順次溶銑予備処理した。処理順は、(a)溶銑脱珪−溶銑脱硫、(b)溶銑脱珪−溶銑脱燐−溶銑脱硫、(c)溶銑脱燐−溶銑脱硫の3ケースで行った。出銑時の溶銑組成は、[Si]=0.21mass%、[C]=5.0mass%、[P]=0.10mass%、[S]=0.033mass%であり、溶銑温度は1495℃であった。
溶銑脱硫では、機械式攪拌式(KR)脱硫設備を用い、本発明の精錬剤として、軽焼ドロマイトに金属Alの含有量が50mass%のアルミニウムドロスを配合し粉砕混合したものを用いた。その配合比は、質量比で88:12とした。精錬剤の粒度は200μmアンダーとし、添加量を変えて脱硫処理を行った。比較例として、石灰単体あるいは石灰に5%の蛍石を配合した精錬剤での脱硫を行った。
溶銑脱珪では、取鍋中の溶銑に対し、上吹き法で2500Nm3/hrで送酸するとともに、耐火物製の浸漬ランスから窒素ガスを2Nm3/minで吹き込んで攪拌し脱珪した。精錬剤として石灰を用い、そのCaO分と脱珪量で決まるSiO2生成量との比であるスラグ塩基度が1.2となるように、精錬剤添加量を設定した。
脱燐処理では、処理形態自体は脱珪処理と同様であるが、取鍋中の溶銑に対し、上吹き法で5000Nm3/hrで送酸するとともに、耐火物製の浸漬ランスから窒素ガスを2Nm3/minで吹き込んで攪拌した。石灰に20%蛍石を含む精錬剤を珪素濃度や処理前温度に応じて所定量用いた。
なお、これら溶銑の一貫処理において、高炉からのスラグ混入量は約5kg/Tであった。また、各処理の終了後には、取鍋を傾け機械式除滓装置で生成スラグを除去した。
各処理での条件と処理結果を以下の表8に示す。また、表9には、一貫処理トータルでの精錬剤量、スラグ発生量を本発明例の場合と比較例の場合とで各プロセス毎の平均値で示した。
表9に示すように、脱硫処理に本発明の精錬剤を用いた本発明例では、溶銑の一貫処理で使用する精錬剤量および発生するスラグ量が比較例よりも低くできることが確認された。
(実施例8)
ここでは、実施例7の(c)の処理順、すなわち溶銑脱燐−溶銑脱硫の順で溶銑処理を行う際に、脱燐終了時点での溶銑温度を変動させた例を示す。
出銑時の溶銑組成は、[Si]=0.21mass%、[C]=5.0mass%、[P]=0.10mass%、[S]=0.033mass%であり、溶銑温度は1495℃であった。
溶銑脱硫では、機械式攪拌式(KR)脱硫設備を用い、精錬剤としては実施例7で本発明の精錬剤として用いたものと同様、軽焼ドロマイトに金属Alの含有量が50mass%のアルミニウムドロスを配合し粉砕混合したものを用いた。
脱燐処理の処理形態も同様であるが、取鍋中の溶銑に対し、前述の送酸ともに焼結鉱を添加した。気体酸素と焼結鉱の酸素源の比率を変え、終点温度を制御した。
各処理での条件と処理結果を以下の表10に示す。
表10に示すように、脱硫処理前の溶銑温度が1280℃でも脱硫可能であるが、脱硫処理前の溶銑温度が高くなるほど脱硫処理での精錬剤量および発生スラグ量を低減することができ、脱硫処理前の溶銑温度が1300℃以上が好ましいことが確認された。
(実施例9)
ここでは、本発明の精錬剤および比較例の精錬剤を用いた脱硫処理を含む高炉出銑後の溶銑の一貫処理を行った例を示す。
出銑後、150トンの取鍋内溶銑を順次溶銑予備処理した。処理順は、(d)溶銑脱珪−溶銑脱硫−溶銑脱燐、(e)溶銑脱珪−溶銑脱燐−溶銑脱硫、(f)溶銑脱硫−溶銑脱珪−溶銑脱燐、および(g)溶銑脱硫−溶銑脱燐の4ケースで行った。
出銑時の溶銑組成は、[Si]=0.22mass%、[C]=5.0mass%、[P]=0.11mass%、[S]=0.035mass%であり、溶銑温度は1490℃であった。
溶銑脱硫では、機械式攪拌式(KR)脱硫設備を用い、本発明の精錬剤として、軽焼ドロマイトに金属Alの含有量が50mass%のアルミニウムドロスを配合し粉砕混合したものを用いた。その配合比は、質量比で88:12とした。精錬剤の粒度は200μmアンダーとし、添加量は溶銑トン当たり6kg一定で脱硫処理を行った。比較例として、石灰単体あるいは石灰に5%の蛍石を配合した精錬剤での脱硫を行った。
溶銑脱珪では、取鍋中の溶銑に対し、上吹き法で2500Nm3/hrで送酸するとともに、耐火物製の浸漬ランスから窒素ガスを2Nm3/minで吹き込んで攪拌した。精錬剤として、石灰単体または石灰+蛍石を用い、そのCaO分と脱珪量で決まるSiO2生成量との比であるスラグ塩基度が2.0となるように、精錬剤の添加量を変えた。
脱燐処理では、処理形態自体は脱珪処理と同様であるが、取鍋中の溶銑に対し、上吹き法で5000Nm3/hrで送酸するとともに、耐火物製の浸漬ランスから窒素ガスを2Nm3/minで吹き込んで攪拌した。精錬剤として石灰単体または石灰+蛍石を用い、そのCaO分と脱珪量で決まるSiO2生成量との比であるスラグ塩基度が4.0となるように、精錬剤の添加量を変えた。
なお、これら溶銑の一貫処理において、高炉からのF濃度0.1mass%のスラグ混入量は約5kg/Tであった。また、各処理の終了後には、取鍋を傾け機械式除滓装置で生成スラグを除去した。
各処理における条件と処理結果を以下の表11に示す。表11中No.114〜121は、溶銑脱硫において本発明の精錬剤を用い、溶銑の一貫処理における蛍石の使用量を溶銑トンあたり0.1kg以下としたものであり、No.122〜129は、脱硫において精錬剤に蛍石を用いるおよび/または溶銑の一貫処理における蛍石の使用量を溶銑トンあたり0.1kg超としたものである。
表11に示すように、脱硫処理に本発明の精錬剤を用い、かつ蛍石の合計使用量を溶銑トンあたり0.1kg以下とすることにより、各処理工程におけるスラグ中のF濃度を許容範囲である0.2mass%以下にすることができることが確認された。
(実施例10)
本実施例では、本発明の精錬剤および比較例の精錬剤を電気炉内の溶鋼に添加し、溶鋼を脱硫・脱酸した。電気炉としては150トンの交流式アーク式溶解炉を用いた。その炉底部には3個のノズルが設置され、合計毎分300Nlのアルゴンが吹き込まれるようになっている。精錬剤は、炉上方のホッパー、シューターを介して、一括添加可能とした。本発明例の精錬剤は、軽焼ドロマイト(64mass%CaO、33mass%MgO)、焼石灰(96mass%CaO)、およびアルミニウムドロス(50mass%Al)を混合粉砕し、粒度を10mm以下としたものを用いた。比較例では、軽焼ドロマイトを含まない、焼石灰およびアルミニウムドロスのみを混合粉砕したものを精錬剤として用いた。電気炉においては、以下の手順で処理が行われる。まず、電気炉に所定の鋼屑を石灰とともに90トンバケットを用いて挿入し、電極加熱と炉壁の補助バーナーや炉前ゲートからの水冷ランスで送酸を開始し、一次溶解を行う。約20分後に炉蓋を開き鋼屑73トンを追装入する。その後15分間ほどで装入原料の溶け落ちで溶解期が完了する。次いで精錬期に入り、電極加熱と同時に水冷ランスからの送酸と同時にカーボンとアルミニウムドロスの吹き付けを行い、スラグや溶湯の酸化度や炭素濃度を調整し、溶湯を昇温する。溶湯温度が1650℃になるまでの10分間のうちにスラグをフォーミングさせ炉前ゲートから排出する。スラグは初期装入の装入鋼屑トン当たり20kgの石灰と鋼屑の付着する珪砂などの酸化物や鋼屑の成分であるSi,Mn,Al,Cr,Ti等の非酸化物で形成されるが、酸化度が高いうえ、スラグの塩基性成分CaOを高められないため脱硫能は高くない。鋼屑銘柄に影響されることが大きい、インプット硫黄の装入量が多い場合、この時点で硫黄濃度は0.05mass%以上になる。スラグは鋼屑トン当たり約50kg以上も生成するが、流滓により炉内残留量を10kg以下にすることもできる。溶鋼は炭素濃度が0.1〜0.15mass%でAlはほとんど含有しないが、フェロシリコンを添加し珪素濃度は0.1〜0.15mass%となる。このような処理を行った後、所定の精錬剤を一括で添加し10分間底吹きガス攪拌しながら脱硫・脱酸を行った。その際の精錬剤の配合、精錬剤の添加原単位、処理前後の硫黄濃度、脱硫率、および酸素濃度等を表12に示す。
表12に示すように、本発明例のNo.130〜135は70%以上の脱硫率を安定して得ることができ、酸素濃度も低位に安定する結果が得られた。これに対して、比較例であるNo.136,137は脱硫および脱酸の程度が本発明例よりも劣っていた。
(実施例11)
本実施例では、本発明の精錬剤および比較例の精錬剤をタンディッシュ内の溶鋼に添加し溶鋼の脱酸および介在物制御を行った。溶鋼としては軸受け鋼である高炭素アルミ脱酸溶鋼、またはタイヤコード鋼である高炭素シリコン脱酸溶鋼を用い、いずれかの溶鋼を300トンの取鍋から50トン容量のタンディッシュに装入後、溶鋼表面に精錬剤を添加して処理を行った。溶鋼を大きく乱さないように、溶鋼の攪拌は特別には行わなかった。本発明例の精錬剤としては、軽焼ドロマイト(64mass%CaO、33mass%MgO)と、軽焼ブルーサイト(83.6mass%MgO、3.4mass%CaO、7.2mass%SiO)と、アルミニウムドロス(50mass%Al)とを混合粉砕後、約10mm径のペレット状に造粒し20kg単位で梱包したものを用い、その所定量をタンディッシュ湯面上に静かに上置きする方法を採用した。タンディッシュへは取鍋から1580℃の溶鋼の注湯が開始され、タンディッシュ内溶鋼が30トンになった時点で精錬剤を添加した。精錬剤は所定原単位になるように、鋳造速度に応じた溶鋼の注湯速度に従って添加した。比較例では精錬剤としてドロマイトを用いずにブルーサイトおよびアルミニウムドロスのみを混合粉砕後、同様に約10mm径のペレットに造粒したものを用いた。また、タンディッシュ内での精錬剤添加を行わなかったものも比較例とした。
タンディッシュ内の溶鋼を400mm角の鋳型に注入して連続鋳造を行い、得られたブルーム鋼塊を分塊、圧延工程を経て、製品である棒鋼や線材に加工した。その製品の酸化物系介在物量としてT.[O]を測定し、さらに介在物の形態、介在物のMgO濃度を測定するとともに、製品の不良率を求めた。製品の不良率は、軸受鋼では疲労破断強度基準の達成率から求め、タイヤコード材では最終加工時の破断欠陥の発生率から求めた。その際の精錬剤の配合、精錬剤の添加原単位、処理前後のT.[O]、介在物形態、介在物のMgO量、および製品の不良率を表13に示す。なお、表13の介在物の形態の欄において、AはAl、MはMgO、SはSiO、NはMnOを示す。
表13に示すように、本発明例のNo.138〜143では、処理後のT.[O]が低位に安定し、清浄度が改善されていることが確認された。また、介在物の形態がMgOを含むものとなり、軸受鋼の場合には介在物のアルミナをスピネルに改質することができた。また、タイヤコード材の場合には、シリケートに適当量のMgOが含有され、介在物の延性改善が可能になった。このため、本発明例では製品の不良率が1%未満と極めて低いものとなった。これに対して、比較例であるNo.144〜147は処理後のT.[O]が本発明例に比較して若干高く、かつ介在物の形態もMgOを含まないものであり、製品の不良率が3.2〜6.3%と高い値であった。
(実施例12)
本実施例では、本発明の精錬剤および比較例の精錬剤をRH真空脱ガス設備内の溶鋼に添加し、溶鋼の脱硫・脱酸・介在物制御を行った。300トンのRH真空脱ガス設備を用い、浸漬ランスで取鍋内の溶鋼に添加する場合と、真空槽内にシューターから添加する場合の2通りを実施した。本発明例の精錬剤としては、軽焼ドロマイト(64mass%CaO、33mass%MgO)と、アルミニウムドロス(50mass%Al)とを必須成分としてそれに軽焼ブルーサイト(83.6mass%MgO、3.4mass%CaO、7.2mass%SiO)または焼石灰(96mass%CaO)を所定の配合で混合粉砕し、1mm以下の径の粉状にしたもの、またはその後約10mm径のペレット状に造粒したものを用いた。そして、浸漬ランスからの添加には粉状剤を、シューターからの添加にはペレット剤を用いた。比較例ではドロマイトを用いずに軽焼ブルーサイトまたは焼石灰とアルミニウムドロスのみを用いて同様の粉状およびペレット状としたものを精錬剤として用いた。また、RH真空脱ガス設備内での精錬剤添加を行わなかったものも比較例とした。
ランスからの精錬剤の添加では、真空槽の浸漬管を取鍋に保持された溶鋼に浸漬し真空処理中に実施した。真空処理で鋼種成分の最終調整のため、Mn,Si等の合金剤と脱酸剤のAlを添加後、浸漬ランスから精錬剤を添加した。吹き込み前の溶鋼成分は[C]=0.02〜0.04mass%の低炭素鋼であり、[Si]≦0.02mass%、[Mn]=0.15〜0.25mass%、[Al]=0.02〜0.04mass%であった。脱酸形態がいわゆるアルミ脱酸鋼であり、通常溶鋼中の介在物はアルミナが主体である。また、この時点で溶鋼温度は1625〜1630℃であった。精錬剤は毎分50〜150kgの吹き込み速度で溶湯をリフトアップさせるための浸漬管直下に吹き込まれ、その溶鋼の上昇流れに乗って真空槽内に至り、さらにもう一方の浸漬管を介して再び取鍋へと循環する。精錬剤は所定原単位になるまで吹き込まれ、吹き込み終了後浸漬ランスを取鍋上部まで抜き取り、浸漬管からの環流ガスで溶鋼の攪拌を10分間継続し、吹き込まれた精錬剤を溶鋼から浮上分離させた。終了時の溶鋼温度は1570〜1585℃であった。
真空槽での精錬剤の添加では、同様に真空処理で成分調整、脱酸後のほぼ同じ成分の溶鋼に対して行われた。溶鋼温度は1605〜1610℃であった。精錬剤はランス吹き込みと同等の速度で連続的に、所定原単位まで添加された。添加終了後、浸漬管からの環流ガスで溶鋼の攪拌を10分間継続させた。終了時の溶鋼温度は1575〜1580℃であった。
これら条件で処理された取鍋内の溶鋼を連続鋳造に供し、そのスラブを圧延して後極薄製品を製造した。スラブ素材の酸化物系介在物量としてT.[O]を測定し、さらに介在物の形態、介在物のMgO濃度を測定するとともに、製品の不良率を求めた。不良率は製品の表面欠陥の発生率から求めた。その際の精錬剤の添加方法、配合、添加原単位、処理前後の[S]およびT.[O]、介在物のMgO量、および製品の不良率を表14に示す。なお、表14の添加方法の欄において、INJはランス吹き込みによる添加を示し、VACは真空槽での添加を示す。
表14に示すように、本発明例のNo.148〜153では、処理後の[S]およびT.[O]が低位に安定し、清浄度が改善されていることが確認された。また、介在物の形態がMgOを含むものとなり、介在物をアルミナからスピネルに改質することができた。また、本発明例では製品の不良率が1.1%以下と極めて低いものとなった。これに対して、比較例であるNo.154〜158は処理後の[S]およびT.[O]が本発明例に比較して高く、かつ介在物のMgOも少なく、製品の不良率が3.7〜6.1%と高い値であった。
(実施例13)
本実施例では、転炉から出鋼された[C]含有量0.02〜0.06mass%の約250トンまたは300トンの未脱酸溶鋼をRH真空脱ガス設備にて本発明の精錬剤により精錬し、高清浄鋼を溶製した。比較例として精錬剤を用いない場合についても同様にRH真空脱ガス設備を用いて溶製を行った。
この時のRH真空脱ガス装置での処理条件は以下の通りであった。
RH真空脱ガス装置の真空度:67〜267Pa
環流用Arガス流量:2〜4Nm/min
上記の条件で真空処理を所定時間行った後、溶鋼の[O]を測定し、その[O]の値に応じて溶鋼中有にAl含有量が0.01〜0.05mass%となる量の金属Alを添加し、溶鋼の脱酸を行った。Al添加後、真空槽内へ原料投入口からまたは水冷ランスから精錬剤を添加した。精錬剤添加後、溶鋼を所定時間環流させて処理を終了した。その後、この溶鋼を用いて連続鋳造を行い、連続鋳造後のスラブ中のクラスター状介在物個数を検鏡して調べた。また、そのスラブの冷間圧延後のアルミナ介在物が主原因である製品欠陥指数も測定した。表15にヒートサイズ、吹き込みガス流量、精錬剤の添加方法、添加量および組成、スラブ中のクラスター個数、ならびに製品欠陥指数を示す。
表15に示すように、本発明の精錬剤を脱酸後の溶鋼に添加した本発明例では、クラスター状の介在物を少ないものとすることができ、それにともなって製品欠陥指数も極めて小さい値となった。これに対して本発明の精錬剤を用いずにRH真空脱ガス処理を行ったものでは、クラスター状の介在物が多く、それにともなって製品欠陥指数が2.5以上と高いものとなった。
(実施例14)
ここでは、溶銑脱硫スラグの高炉焼結へのリサイクルの例について説明する。
本発明の精錬剤を用いて脱硫処理を行った後に得られた脱硫スラグを溶銑から分離回収し、任意の方法で冷却するとともに大径の地金分を除去し、焼結原料用の脱硫スラグとした。
表16には、従来から焼結鉱に用いられている原料および本発明の精錬剤を用いて脱硫処理を行った場合の脱硫スラグの化学組成の例を示す。
表16の各原料を整粒し、表17に示すように配合し、焼結原料を製造した。本発明例では従来例に含まれる低SiO2鉱石である蛇紋岩、ブルーサイト、マグネサイトを脱硫スラグで代替できることが確認された。また、本発明例の焼結原料のAl23濃度の増分も0.5mass%程度であり、実質問題ないことが確認された。
なお、本実施例では示されていないが、本発明の精錬剤を用いて脱硫処理した後の脱硫スラグを焼結原料の中のドロマイトの代替として使用することも十分可能である。
以上より、本発明の精錬剤を用いて脱硫処理した後の脱硫スラグを焼結原料として利用することが可能であることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、本発明においては、AlとMgOとCaOとを主成分とすることにより、MgOのMg蒸気に転化する割合を高めることができるとともに、MgO源およびCaO源としてMgOとCaOとが微細な状態で近接ないし接触した構造を有するものを用いたので反応性が高く、Mg源を用いた溶鉄の精錬を極めて高効率に行うことができる。また、このようなMgO源およびCaO源として安価なドロマイトを用いれば、Mg源を用いた溶鉄の精錬を極めて高効率にしかも安価に行うことができる。
また、AlとMgOとCaOとを主成分として用いるとともに、還元剤としてのAlの一部を安価なCとすることにより、同様に安価に溶鉄の精錬を行うことができる。この場合に、MgO源およびCaO源としてMgOとCaOとが微細な状態で近接ないし接触した構造を有するもの、典型的にはドロマイトを用いることにより上記効果をも奏することができる。
本発明の精錬剤は、溶銑の脱硫、溶鋼の脱硫または脱酸に適用した場合に優れた精錬効果を発揮し、さらに溶鋼の脱酸後の介在物制御による製品欠陥の低減を図ることができ、工業的価値が極めて高い。
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Claims (13)

  1. AlとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤。
  2. AlとCとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤。
  3. AlとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を容器内に保持された溶銑に添加して溶銑の脱硫処理する精錬方法。
  4. 高炉出銑後、転炉脱炭前の溶銑に対し、脱硫処理、ならびに脱珪処理および脱燐処理の一つ以上の一貫処理を行って溶銑を精錬する精錬方法であって、前記脱硫処理は、AlとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を容器内に保持された溶銑に添加することにより行われる精錬方法。
  5. 高炉出銑後、転炉脱炭前の溶銑に対し、脱硫処理、ならびに脱珪処理および脱燐処理の一つ以上の一貫処理を行って溶銑を精錬する精錬方法であって、前記脱硫処理は、AlとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を容器内に保持された溶銑に添加することにより行われ、一貫処理における蛍石の合計使用量を溶銑トン当たり0.1kg以下とする精錬方法。
  6. AlとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を溶鋼に添加して溶鋼の脱硫処理、脱酸処理、および介在物制御のいずれか1以上を行う精錬方法。
  7. AlとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を所定元素で脱酸された溶鋼へ添加して高清浄鋼を溶製する精錬方法。
  8. AlとCとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を容器内に保持された溶銑に添加して溶銑の脱硫処理する精錬方法。
  9. 高炉出銑後、転炉脱炭前の溶銑に対し、脱硫処理、ならびに脱珪処理および脱燐処理の一つ以上の一貫処理を行って溶銑を精錬する精錬方法であって、前記脱硫処理は、AlとCとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を容器内に保持された溶銑に添加することにより行われる精錬方法。
  10. 高炉出銑後、転炉脱炭前の溶銑に対し、脱硫処理、ならびに脱珪処理および脱燐処理の一つ以上の一貫処理を行って溶銑を精錬する精錬方法であって、前記脱硫処理は、AlとCとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を容器内に保持された溶銑に添加することにより行われ、一貫処理における蛍石の合計使用量を溶銑トン当たり0.1kg以下とする精錬方法。
  11. AlとCとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を溶鋼に添加して溶鋼の脱硫処理、脱酸処理、および介在物制御のいずれか1以上を行う精錬方法。
  12. AlとCとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を所定元素で脱酸された溶鋼へ添加して高清浄鋼を溶製する精錬方法。
  13. AlとMgOとCaOとを主成分とし、MgO源およびCaO源としてドロマイトを含み、Al/MgOが質量比で0.05以上であり、CaO/MgOが質量比で1.5超え〜10.0である精錬剤を溶銑に添加して溶銑の脱硫処理を行った後、生成した脱硫スラグを高炉焼結原料として再利用する脱硫スラグのリサイクル方法。
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