JP5098518B2 - 溶銑の脱燐方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フッ素を含まない媒溶剤を用い、CaO含有粉を上吹きしながら脱炭スラグを有効にリサイクル使用することにより溶銑中の燐含有率を低減することのできる溶銑の脱燐方法に関する。
近年、低燐鋼への要求が高まっており、溶銑の段階で燐含有率を低減する溶銑脱燐処理が広範に行われている。そして、製鋼プロセス全体でのスラグ排出量を低減すべく、脱燐銑の脱炭精錬により発生したスラグ(脱炭スラグ)を溶銑脱燐工程へリサイクルし、脱燐剤として使用する精錬方法が注目されている。
脱炭スラグを脱燐剤として使用することにより、製鋼プロセスにおけるスラグの発生量を大幅に低減できる方法が、特許文献1などにより公知である。ただし、脱炭スラグを早期に滓化させて脱燐反応への利用効率を高めるために、媒溶剤として螢石を用いるのが一般的であった。
しかしながら、環境問題上、フッ素の使用が制約されていることから、スラグを有効利用するためには、溶銑脱燐処理における螢石の使用量を極力低減し、好ましくは全く使用しない脱燐処理方法の開発が急務となっている。
特許文献2には、溶銑脱燐処理において、螢石を用いずに脱炭スラグを有効にリサイクルする方法が開示されている。同特許文献において開示された方法は、粒度5〜10mm程度に粉砕された脱炭スラグ粒を溶銑脱燐吹錬の前に転炉内に添加して、吹錬前半の3分間程度の期間に、(CaO/SiO2)の値が1.5以下の低塩基度スラグを形成させ、その後に酸素ガスとともにCaO含有粉体をランスから上吹きする方法である。この方法では、吹錬後のスラグの塩基度は2.1以下であり、脱燐銑の温度(脱燐銑を転炉から鍋へ排出した後に鍋中において測定した脱燐銑の温度)は1350℃以下である。
上記特許文献2に開示された方法では、脱炭スラグを滓化させるために、吹錬開始後3分間はCaO含有粉体を上吹きすることができない。その理由は、吹錬初期からCaO含有粉体を上吹きしてスラグの塩基度が1.5を超えた場合には、スラグの融点が上昇しすぎて脱炭スラグ粒を滓化しきれなくなるからである。
ところで、CaO含有粉体を上吹きしながら溶銑脱燐を行う方法において、吹錬後の溶銑温度が1350℃以上となる場合に、脱燐率を確保するためには、吹錬末期におけるスラグ塩基度を2.2以上に高める必要がある。しかしながら、溶銑脱燐処理時間は8分程度と短いため、吹錬開始後3分以降にCaO含有粉体を上吹きすることにより、吹錬末期における滓化したスラグの実塩基度を2.2以上にまで高めることは難しい。
その理由は、上吹きされたCaO含有粉体のうち、火点において滓化しきれるCaO含有粉体の量には限界があり、CaO含有粉体の上吹き速度を高めすぎると、火点におけるCaO含有粉体の滓化が不十分となって、上吹したCaO含有粉体の溶銑脱燐への利用効率が低下してしまうからである。ただし、溶銑温度が1400℃を超える温度に達すると、脱燐剤の量をかなり増大させてスラグ塩基度を大幅に高めない限り、脱燐率の低下を防止することはできない。したがって、脱燐吹錬後の溶銑温度は1400℃以下に制御することが不可欠である。
上記の理由により、特許文献2に開示された方法では、脱炭スラグを利用し、且つ短時間の溶銑脱燐吹錬後にスラグ塩基度を2.2以上および溶銑温度を1350℃〜1400℃として、高い脱燐率を得ることは困難である。
また、特許文献2には、転炉吹錬中に上吹き酸素ランスの副孔から燃料ガス、酸素ガスおよび精錬剤を溶銑浴面へ吹き付ける方法が開示されている。しかし、この方法には、下記の問題点がある。
精錬剤として粉砕した脱炭スラグを用いる場合、脱炭スラグ粉には粒鉄が不可避的に混入しているため、酸素含有ガスなどの支燃性ガスとともに配管内を輸送すると、粒鉄の酸化反応によって発火する危険性がある。したがって、窒素などの不活性ガスにより脱炭スラグ粉を輸送せねばならない。その結果、特許文献2に記載されたように脱炭スラグ粉を加熱することができなくなるため、転炉での15分程度の脱炭吹錬に比べて非常に短時間の8分程度の溶銑脱燐吹錬中に、酸素上吹き用のメインランスから吹錬中に所望量の脱炭スラグを不活性ガスとともに溶銑に吹き付けたとしても、スラグを滓化させるのは難しい。
したがって、短時間の溶銑脱燐処理中に脱炭スラグを有効活用するためには、吹錬前および吹錬の前半のうちのいずれか一方または両方において、粉体状態の脱炭スラグを添加する必要がある。しかし、脱炭スラグ粉をスクラップシュートなどを使用して脱燐炉内へ自由落下させて添加する場合には、脱炭スラグ粉の飛散する比率が極めて高くなり、歩留まりが著しく低下するという問題がある。
特公平3−77246号公報(特許請求の範囲および15欄41行〜16欄25行) 特開平11−80825号公報(特許請求の範囲、段落[0011]および[0012])
本発明は前記の問題に鑑みてなされたものであり、その課題は、フッ素含有物質を用いずに、CaO含有粉体を上吹きしつつ、且つ脱炭スラグ粉を飛散させることなく脱燐炉内に添加して滓化を促進することにより、脱炭スラグを有効にリサイクル使用し、高い効率で脱燐することのできる溶銑脱燐方法を提供することにある。また、上記方法において、溶銑脱燐後のスラグ塩基度を2.2以上とし、溶銑温度を1350〜1400℃とすることにより、さらに脱燐効率を高めることを目的としている。
本発明者らは、上記の従来技術の問題を解決し、フッ素含有物質を用いずに、CaO含有粉体を上吹きしつつ、且つ脱炭スラグ粉を、その飛散ロスを最小限に抑制しながら脱燐炉内へ添加して滓化を促進することにより、脱炭スラグを有効にリサイクル使用し、効率よく脱燐することのできる溶銑脱燐方法を研究し、下記の(a)〜(d)の知見を得て、本発明を完成させた。
(a)処理時間の比較的短い溶銑脱燐処理に、粒径が5mm以上の脱炭スラグをリサイクル使用することを試みても、脱燐吹錬後のスラグ塩基度が2.2以上で且つ溶銑温度が1350℃〜1400℃の条件においては、脱炭スラグが滓化しきれず、脱燐反応に有効に利用されない。
(b)これに対して、脱炭スラグを粒径が1mm以下の粉状にして、窒素ガスなどの不活性ガスをキャリアガスとして脱燐炉内の溶銑に吹き付ける方法によれば、粉状の脱炭スラグをスクラップシュートなどを用いて添加する場合における飛散ロスの問題を解消することができる。
(c)上記(b)の方法において、脱炭スラグ粉を完全に滓化させ脱燐に有効に利用するためには、脱炭スラグ粉の全量を、溶銑脱燐吹錬前に上吹きするか、または溶銑脱燐吹錬時間の前半(すなわち全吹錬時間の前半50%以内の期間)に上吹きするか、または両方の期間において上吹き添加する必要がある。
ここで、脱炭スラグ粉の添加量は、溶銑1トン(t)当たり10kg以下とするのが好ましい。添加量が溶銑1t当たり10kgを超えて多くなると、例えば、吹錬開始後における脱炭スラグ粉の上吹き添加速度が大きくなることから、粉体供給設備の大型化により設備費が上昇し、また、粉体輸送配管の摩耗量が増大するおそれがある。
(d)脱燐吹錬前または脱燐吹錬の前半に、脱炭スラグ粉を脱燐炉内の溶銑に上吹き添加する方法としては、酸素上吹き用のメインランス以外のランス(以下、「サブランス」とも記す)を通して不活性ガスをキャリアガスとして溶銑に吹き付ける方法が適切である。
本発明は上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は下記の(1)および(2)に示される溶銑の脱燐方法にある。
(1)上底吹き機能を有する転炉形式の炉を用いて、フッ素含有物質を用いずにCaO含有粉体を上吹き酸素とともに溶銑浴面へ吹き付けて脱燐する方法において、脱燐吹錬前および脱燐吹錬期間の前半のうちのいずれか一方または両方において、脱炭スラグ粉の全量をサブランスから不活性ガスとともに溶銑浴面へ吹き付けて添加することを特徴とする溶銑の脱燐方法(以下、「第1発明」とも記す)。
(2)脱燐吹錬後の溶銑温度が1350℃〜1400℃であり、脱燐吹錬後のスラグのCaOとSiO2との質量含有率の比により表される塩基度が2.2〜3.0であることを特徴とする前記(1)に記載の溶銑の脱燐方法(以下、「第2発明」とも記す)。
本発明において、「転炉形式の炉」とは、転炉を含め、これに類似した形式の炉を意味し、十分なフリーボードを有し、内部に収容した溶銑に対して、上吹き、底吹きなどの方法により精錬ガスを供給して、溶銑を精錬することのできる炉をいう。
また、「フッ素含有物質」とは、フッ素を含有する物質(フッ化物)を意味し、例えば、螢石、氷晶石などが該当する。
「CaO含有粉体」とは、CaO含有率が50質量%以上の粉体を意味し、例えば、生石灰単味、および、生石灰を主体としてAl23、MgOなどの成分を含有する粒径1mm以下の処理物が該当する。
「脱燐吹錬の前半」とは、脱燐吹錬時間の前半50%以内の期間を意味する。
さらに、「脱炭スラグ粉」とは、脱炭精錬により発生したスラグを粒径1mm以下に破砕処理したものを意味する。
「サブランス」とは、酸素上吹き用のメインランス以外の、粉体などを吹き付けることのできるランスを意味し、必ずしも、メタルをサンプリングするためのサブランスに限定されない。
そして、「脱燐吹錬後の溶銑温度」とは、脱燐吹錬後の溶銑を炉から鍋内に排出した後の鍋中において測定される溶銑の温度を意味する。
本発明の溶銑の脱燐方法によれば、フッ素含有物質を用いずに、CaO含有粉体を上吹きしつつ、且つ脱炭スラグ粉を、飛散ロスを抑制しながら脱燐炉内へ添加して滓化を促進することにより、脱炭スラグを有効にリサイクル使用し、効率よく脱燐することができる。さらに、溶銑脱燐後のスラグ塩基度を2.2〜3.0とし、溶銑温度を1350〜1400℃とすることにより、脱燐率をより一層高め、脱燐吹錬後のP含有率を0.020%以下に低減することができる。
本発明の課題を解決し、発明を完成させるに至った経過とともに、本発明の内容について、以下にさらに詳細に説明する。
1.脱炭スラグの適正粒子径など
前記のとおり、本発明は、螢石を用いない溶銑脱燐においても、脱炭スラグを脱燐剤の一部として利用することにより、製鋼プロセスにおけるスラグ生成量の大幅低減を目指すものである。しかしながら、溶銑中に脱炭スラグを粒子径5mm以上の粒子状態で添加すると、比較的短時間の溶銑脱燐処理時間の範囲内では、脱炭スラグが十分に滓化しきれず、その結果、脱燐反応の進行が遅滞し、脱燐率が低下することがしばしばであった。具体的には、脱炭スラグ粒と塊状生石灰を用いた溶銑脱燐の場合はもちろんのこと、脱炭スラグ粒を添加した後に、吹錬初期からCaO粉を上吹きにより添加して7分間程度の短時間で溶銑脱燐を行った場合においても、吹錬後におけるスラグの配合塩基度が2.2以上では、吹錬後の温度を1400℃まで高めても、脱炭スラグ粒が滓化しきれず、脱燐率を向上させることはできなかった。
そこで、脱炭スラグを粒径が1mm以下の粉体としてスクラップシュートを用いて脱燐炉へ添加したが、脱炭スラグ粉が多量に飛散し、操業環境を悪化させるとともに、添加歩留りも低下するという問題を発生した。酸素上吹き用ランスから脱炭スラグ粉を溶銑に吹き付けることも検討したが、脱炭スラグ粉中に不可避的に混入している粒鉄が酸素により酸化反応を起こし、火災を発生するおそれがあることから、安全対策上、キャリアガスとして、窒素などの不活性ガスを使用しなければならなかった。このようにして、不活性ガスをキャリアガスとして、キャリアガスとともに脱炭スラグ粉を溶銑浴面に吹き付けることにより、脱炭スラグの飛散ロス量は大幅に低減された。
上記の検討結果から、脱炭スラグを脱燐剤として高い利用効率のもとに使用するためには、その粒径を1mm以下の脱炭スラグ粉とし、且つ、不活性ガスをキャリアガスとして、溶銑浴面に吹き付ける必要のあることが判明した。
しかしながら、上記の条件を満足した場合であっても、溶銑脱燐の中期以降に上吹きされた脱炭スラグ粉は、脱燐吹錬末期までの短時間の間には滓化しきれず、脱燐反応に有効に利用することは困難であった。
ここで、吹錬後の温度を1350℃以上とすることが好ましい理由は、融点の高い高塩基度スラグを溶銑脱燐処理中に生成することができ、高い脱燐率を得やすいからである。また、吹錬後の温度を1400℃以下とすることが好ましい理由は、当該温度が1400℃を超えて高くなると、脱燐率が急激に低下するからである。
2.脱炭スラグの適正な添加方法
上記1.にて述べた問題、すなわち、脱炭スラグ粉が脱燐吹錬末期までの短時間の間に滓化しきれないという問題に対処するため、本発明者らはさらに検討を重ねた結果、メインの酸素上吹きランスとは別のサブランスを用いて、不活性ガスをキャリアガスとして、脱炭スラグ粉を脱燐炉内の溶銑浴面に上吹き添加する方法を想到した。
この方法によれば、脱燐炉への注銑後、直ちにサブランスから、脱炭スラグ粉を溶銑浴面へ上吹き添加することができる。また、サブランスを水冷構造とすることにより、脱燐吹錬中においても、サブランスから脱炭スラグ粉を上吹き添加できることを確認した。
そこで、下記の表1に代表的な成分組成を示す脱炭スラグを用いて、脱炭スラグ粉の吹き付け試験を行った。
Figure 0005098518
その結果、サブランスからの脱炭スラグ粉の上吹きを、溶銑脱燐の全吹錬時間の前半50%以内の期間に完了すれば、吹錬後の温度が1350〜1400℃と高温の場合においても、吹錬初期からCaO含有粉体を上吹きする溶銑脱燐で吹錬後のスラグ配合塩基度を2.2以上とすることにより、脱燐率を向上させることができることが明らかとなった。
本発明の溶銑の脱燐方法の効果を確認するため、下記の脱燐試験を行い、その結果を評価した。実施例1として、粒径5〜10mmの脱炭スラグ粒を上方から添加する比較例1〜3の試験を行い、さらに、実施例2として、粒径1mm以下の脱炭スラグ粉をサブランスから上吹き添加する試験番号1〜19の試験を行った。
1.実施例1
1−1.比較例1
粒径5〜10mmの脱炭スラグ粒を上方から添加し、下記の条件で試験を行った。上底吹き脱燐炉内にスクラップ10トン(t)を装入した後、成分組成が、質量%で、C:4.5%、Si:0.30%、P:0.10%の溶銑250tを脱燐炉内に装入し、表2に示す組成の脱炭スラグ粒(粒径5〜15mm)2000kg、スケール(T.Fe:73%)5000kgを上方のホッパーから添加した後、酸素を、上吹きランスから24000Nm3/hの供給速度で上吹きした。
Figure 0005098518
そして、吹錬開始1分後から、CaO粉を、上吹きランスを用いて600kg/minの供給速度で6分間溶銑に吹き付けた。全吹錬時間は8分であった。また、吹錬末期のスラグ配合塩基度(CaO/SiO2)は約2.5であった。底吹き羽口からは、窒素ガスを50Nm3/minの供給速度で吹き込み続けた。
吹錬後の溶銑温度は鍋中温度で1360℃であり、処理後のP含有率は0.035%と高い値に留まる結果となった。また、脱燐処理後のスラグを電子顕微鏡を用いて観察したところ、未滓化の脱炭スラグ粒が散在しているのが認められた。
1−2.比較例2
前記の比較例1と同様の条件にて脱炭スラグ粒を上方から添加し、下記のとおりの試験を行った。上底吹き脱燐炉内にスクラップ10tを装入した後、成分組成が、C:4.5%、Si:0.30%、P:0.10%の溶銑250tを装入し、前記表2に示す成分組成の脱炭スラグ粒(粒径5〜15mm)2000kg、表2に示す成分組成の取鍋スラグ粒(粒径15mm以下)2000kg、スケール5000kgを上方のホッパーから添加した後、酸素を、上吹きランスから24000Nm3/hの供給速度で上吹きした。そして、吹錬開始1分後からCaO粉を、上吹きランスから600kg/minの供給速度で6分間溶銑に吹き付けた。全吹錬時間は8分であった。また、吹錬末期のスラグ配合塩基度は約2.7であった。底吹き羽口からは窒素ガスを50Nm3/minの供給速度で吹き込み続けた。
処理後の溶銑温度は1365℃であり、処理後のP含有率は0.030%と高い値であった。また、脱燐処理後のスラグを電子顕微鏡により観察した結果、未滓化の脱炭スラグ粒が散在していた。
1−3.比較例3
前記の比較例1および2と同様に脱炭スラグ粒を上方から添加し、試験を行った。上底吹き脱燐炉にスクラップ10tを装入した後、成分組成が、同じく、C:4.5%、Si:0.30%、P:0.10%の溶銑250tを装入し、前記表2に示す成分組成の脱炭スラグ粒(粒径5〜15mm)2000kg、表2に示す成分組成の取鍋スラグ粒(粒径15mm以下)2000kg、スケール5000kgを上方のホッパーから添加した後、上吹きランスから、酸素を24000Nm3/hの供給速度で上吹きした。そして、吹錬開始3分後からCaO粉を、上吹きランスを通して900kg/minの供給速度にて4分間溶銑に吹き付けた。全吹錬時間は8分であった。吹錬末期のスラグ配合塩基度は約2.7であった。底吹き羽口からは、窒素ガスを50Nm3/minの供給速度で吹き込み続けた。
処理後の溶銑温度は1385℃であり、処理後のP含有率は0.032%と高い値に留まった。また、脱燐処理後のスラグを電子顕微鏡により観察した結果、未滓化の脱炭スラグ粒が散在しているのが認められた。
2.実施例2
粒径1mm以下の脱炭スラグ粉をサブランスから上吹きにより溶銑に添加する下記のシリーズA〜Dの試験(試験番号1〜19)を行った。
上底吹き脱燐炉内にスクラップ10tを装入した後、成分組成が、C:4.5%、Si:0.29〜0.31%、P:0.10%の溶銑250tを同脱燐炉内に装入し、スケール5000kg、前記表2に示す成分組成の取鍋スラグ粒(粒径15mm以下)2000kgを上方のホッパーから溶銑に添加した後、表2に示す成分組成の脱炭スラグ粉(粒径1mm以下)2000kgを窒素ガス40Nm3/minをキャリアガスとしてサブランスから溶銑浴面に400kg/minの供給速度で吹き付けた。そして、脱炭スラグ粉の上吹き完了後、または完了前に、上吹きランスから24000Nm3/hの供給速度で酸素を上吹きした。そして、吹錬開始1分後から、CaO粉を、上吹きランスから600kg/minの供給速度にて6分間溶銑に吹き付けた。全吹錬時間は約8分であった。吹錬末期のスラグ配合塩基度は約2.6であった。底吹き羽口からは、窒素ガスを60Nm3/minの供給速度で吹き込み続けた。処理後の溶銑温度は1350〜1410℃であった。
シリーズA〜Dの各試験における他の試験条件および試験結果をまとめて表3に示す。
Figure 0005098518
同表において、結果の評価は、脱燐後のP含有率が0.025%以下まで低下し、且つ脱炭スラグの残留が無い場合を評価○とし、そのうちで、脱燐後のP含有率が0.020%以下まで低下した場合を評価◎とした。これに対して、脱燐後のP含有率が0.025%を超えるか、またはスラグが残留するかの少なくとも一方に該当する場合を×評価とした。
2−1.シリーズAの試験
脱燐吹錬後のスラグ塩基度を2.1で一定として、脱燐吹錬後の温度を変化させ、その影響を調査した(試験番号1〜3)。
脱燐後のスラグ塩基度が2.2以下の2.1の場合に、脱燐後の温度が1350℃を超えて高くなると、試験番号3にみられるとおり、脱燐率はやや低下するものの、脱燐後のP含有率は目標P含有率範囲である0.025%以下の範囲を満足することができた。
2−2.シリーズBの試験
脱燐吹錬後の温度を1358〜1381℃の範囲内として、脱燐吹錬後のスラグ塩基度を変化させた場合の影響を調査した(試験番号4〜8)。
いずれの試験番号の試験も、脱燐後のスラグ塩基度は2.2〜3.0であり、脱燐後の温度は1350〜1400℃の範囲内であって、第2発明の発明例に該当する試験である。脱燐後のP含有率は目標P含有率の範囲である0.020%以下まで低下しており、且つ脱燐スラグ中に未滓化の脱炭スラグも認められなかった。
上記の結果から、脱燐後の溶銑温度が1358〜1381℃という高温条件であっても、脱燐後のスラグ塩基度を2.2〜3.0に調整することにより、P含有率の目標範囲までの低下と、脱炭スラグの完全な滓化とを達成できることが確認された。
ここで、脱燐後のスラグ塩基度が3.0を超えた場合であっても、脱燐後のP含有率が0.020%以下であり且つ脱燐後スラグ中に未滓化の脱炭スラグが残留しないという目標を達成することは可能であるが、フラックスの添加量が増加しすぎるので、経済的に不利となる。
2−3.シリーズCの試験
脱燐後のスラグ塩基度を2.5とし、脱燐後の温度を1355〜1376℃として、脱炭スラグ粉の上吹き終了時期を変化させた場合の影響を調査した(試験番号9〜15)。
脱炭スラグ粉の上吹き終了時期が第1発明で規定する脱燐吹錬前または脱燐吹錬の前半内(すなわち、脱燐の全吹錬時間8分の50%以内に相当する4分以内)である試験番号9〜13では、脱炭スラグ粉が十分に滓化して脱燐反応に寄与できた結果、脱燐後のP含有率を0.020%以下まで低下させ且つ脱燐後スラグ中に未滓化の脱炭スラグを残留させないという成績目標を達成できた。
これに対して、脱炭スラグ粉の上吹きが第1発明で規定する脱燐吹錬の前半内(すなわち、4分以内)に終了しなかった試験番号14および15では、上吹した脱炭スラグ粉が一部滓化しきれなくなった結果、脱燐後スラグ中には未滓化の脱炭スラグが残留することとなった。
2−4.シリーズDの試験
脱燐後のスラグ塩基度を2.8とし、脱燐後の溶銑温度を変化させた場合の影響を調査した(試験番号16〜19)。
脱燐吹錬後の鍋中の溶銑温度が上昇するにつれて脱燐率は低下傾向を示した。脱燐後の温度が1400℃以下の範囲では、脱燐後のP含有率を0.020%以下にまで低減することができたが、脱燐後の温度が1400℃を超えて高くなると脱燐率が急激に低下し、試験番号19ではP含有率を0.020%以下にまで低下させることはできなかった。
本発明の溶銑の脱燐方法によれば、フッ素含有物質を用いずに、CaO含有粉体を上吹きしつつ、且つ脱炭スラグ粉を、飛散ロスを抑制しながら脱燐炉内へ添加して滓化を促進することにより、脱炭スラグを有効にリサイクル使用し、効率よく脱燐することができる。さらに、溶銑脱燐後のスラグ塩基度を2.2〜3.0とし、溶銑温度を1350〜1400℃とすることにより、脱燐率をより一層高め、脱燐吹錬後のP含有率を0.020%以下に低減することができる。したがって、本発明の方法は、製鋼プロセスにおけるトータルスラグ排出量を低減し、且つ、効率の高い脱燐処理を実現できる溶銑の脱燐方法として広範に適用できる技術である。

Claims (2)

  1. 上底吹き機能を有する転炉形式の炉を用いて、フッ素含有物質を用いずにCaO含有粉体を上吹き酸素とともに溶銑浴面へ吹き付けて脱燐する方法において、
    脱燐吹錬前および脱燐吹錬期間の前半のうちのいずれか一方または両方において、脱炭スラグ粉の全量をサブランスから不活性ガスとともに溶銑浴面へ吹き付けて添加することを特徴とする溶銑の脱燐方法。
  2. 脱燐吹錬後の溶銑温度が1350℃〜1400℃であり、脱燐吹錬後のスラグのCaOとSiO2との質量含有率の比により表される塩基度が2.2〜3.0であることを特徴とする請求項1に記載の溶銑の脱燐方法。
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