JP3750589B2 - 脱炭炉スラグの製造方法及び製鋼方法 - Google Patents

脱炭炉スラグの製造方法及び製鋼方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶銑の脱りんおよび脱炭を行う際の脱炭炉スラグの製造方法及び製鋼方法に関し、特にスラグ中にCaF含有物を添加しないで低りん鋼を溶製することが可能な脱炭炉スラグの製造方法及び製鋼方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、製鋼スラグの用途が減少しつつあり、製鋼スラグの発生量そのものを低減する試みが成されている。
【0003】
例えば、特公平3−77246号公報には、脱りん溶銑を脱炭する際に生成するスラグ(以下、脱炭炉スラグともいう)を溶銑脱りん処理に使用する方法が提案され、製鋼スラグの発生量を大幅に低減できるとしている。
【0004】
また、特開平5−25527号公報には、スラグ中のフッ素(環境対策上低減が求められている元素)の低減技術として、生石灰のスラグ化促進剤であるCaF2含有物の代わりに、造塊スラグを利用する方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記特公平3−77246号公報に開示された方法で脱炭炉スラグを用いて溶銑脱りんする場合には、脱りんスラグの塩基度(CaO/SiO2)を所定値にするために、脱炭炉スラグの他に生石灰等のCaO含有物の添加が必須である。すなわち、脱炭炉スラグにはSiO2が含有されており、脱りんスラグの塩基度を所望の値にするには、脱炭炉スラグを用いることに加えて、スラグ塩基度調整用にCaO含有物を添加することが必要である。
【0006】
脱炭炉スラグそのものは融点が低いので、脱りん処理中に十分溶融し、添加したCaO含有物は、ある程度スラグ化させることができる。しかしながら、この方法により溶銑脱りんする方法では、蛍石を使用しなければ脱炭炉スラグと添加したCaO含有物とを十分にスラグ化させて、高脱りん率を得るのに必用な塩基度(CaO/SiO2)である1.5以上を安定して実現することが困難であるという問題がある。
【0007】
一方、前記特開平5−25527号公報に開示された方法は、CaO含有物のスラグ化促進剤であるAl23を含有した造塊スラグを、溶銑脱りん処理に使用するものであるが、この造塊スラグは、溶製鋼種や温度等の精錬条件によって、組成が大幅に異なるおそれがあり、安定した組成が得られなくなるおそれがある。
【0008】
例えば、溶鋼中の[Al]濃度を極端に低くしたい場合には、スラグ中のAl23濃度は数%以下に低減する必要がある。一方、溶鋼温度が目標温度に対して低い場合には、溶鋼中にAlを溶解して酸素ガスを上吹きする昇温法が採られることが多く、その際に生成するAl23によって、スラグ中のAl23濃度が逆に増加するという問題がある。
【0009】
【発明の属する技術分野】
本発明の目的は、スラグ中にCaF含有物を添加しないで低りん鋼を溶製することが可能な脱炭炉スラグの製造方法及び製鋼方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、スラグ中にCaF2含有物を添加しない製鋼方法を検討した結果、下記の知見を得た。
【0011】
(A)Al23はCaF2含有物と同様にCaO含有物(例えば、生石灰)のスラグ化を促進する効果がある。但し、Al23単体の融点は、約2050℃と非常に高いため、そのまま添加しても溶融しない。溶銑脱りん処理に使用する場合には、軟化点の低い化合物または混合物とすることが必要である。
【0012】
(B)その軟化点の低い化合物または混合物として脱炭炉スラグを利用することができる。また、Al23含有物を脱炭炉スラグ中へ添加する精錬炉としては、十分な撹拌効果が期待できる上下両吹き機能を有した転炉形式の炉(以下、単に転炉ともいう)がCaO含有物のスラグ化に効果的である。
【0013】
(C)転炉脱炭吹錬末期の脱炭炉スラグの温度は一般的に1600℃以上と非常に高いので、脱炭により生成した脱炭炉スラグも高温となり、Al23含有物を高温スラグ中に添加することにより、Al23含有物を脱炭炉スラグ中に十分溶解させることができる。
【0014】
(D)また、脱炭吹錬時の反応熱をAl23溶解に利用することができるので、Al23を含有したプリメルトスラグを別のプロセスで溶製するのに比べて、極めて安価にAl23を溶融したスラグを溶製することができる。
【0015】
(E)このAl23を含有した脱炭炉スラグを脱りん剤として溶銑脱りん処理試験に使用したところ、この脱炭炉スラグと共に塩基度(CaO/SiO2)調整用に添加したCaO含有物のスラグ化が容易となり、このスラグの塩基度(CaO/SiO2)を、脱りん能の高い1.5以上に高めることができる。
【0016】
(F)前記CaO含有物の添加方法として、CaO含有物粉を上吹きすることにより、スラグ化がさらに容易になる。
(G)前記CaO含有物粉に、Al23およびFe23の少なくとも1種を含有させると、CaO含有物粉のみの上吹きに比べてスラグ化が容易になる。
【0017】
(H)脱炭炉スラグの塩基度(CaO/SiO2)およびAl23含有濃度を所定値に調整し、このAl23含有脱炭炉スラグを利用して溶銑脱りん処理を行い、溶銑脱りん処理終了時の脱りんスラグの塩基度(CaO/SiO2)およびAl23含有濃度を所定値に調整することにより、溶銑脱りん処理後の溶銑中の[P]濃度を所定目標値以下に低減できる。なお、脱りん精錬炉としては、十分な撹拌効果が期待できる上下両吹き機能を有した転炉形式の炉が前記脱炭精錬炉と同様に効果的である。
【0018】
(I)この脱りん後の溶銑を脱炭吹錬することにより、溶鋼中の[P]濃度をさらに低減できる。
本発明は、以上の知見に基づいてなされたもので、その要旨は、下記のとおりである。
【0019】
(1)脱りんを行った溶銑に脱炭を行う際に、粒径を0.1〜5mmとしたAl含有物、又は、Al含有物と他の物質とを混合して粒径を10mm以上とした塊成化物を、前記脱炭時に生成するスラグに添加することによって、塩基度(CaO/SiO)が3〜7であってAl濃度が4〜20質量%、望ましくは10〜20質量%である脱炭炉スラグを製造することを特徴とする脱炭炉スラグの製造方法。
)上下両吹き機能を有した2基の転炉形式の炉のうちの一方を脱りん炉、他方を脱炭炉として使用し、溶銑を前記脱りん炉で脱りんを行った後、前記脱炭炉で脱炭を行い、この脱炭により生成した脱炭炉スラグを前記脱りん炉に供給して溶銑の脱りんを行う製鋼方法であって、上記()に記載された脱炭炉スラグを使用して前記脱りん炉で脱りんを行った後の脱りんスラグの塩基度(CaO/SiO)が1.5以上であってAl濃度が3〜10質量%であることを特徴とする製鋼方法。
)上下両吹き機能を有した2基の転炉形式の炉のうちの一方を脱りん炉、他方を脱炭炉として使用し、溶銑を前記脱りん炉で脱りんを行った後、前記脱炭炉で脱炭を行い、この脱炭により生成した脱炭炉スラグを前記脱りん炉に供給して溶銑の脱りんを行う製鋼方法であって、塩基度(CaO/SiO )が3〜7であってAl 濃度が10〜20質量%である脱炭炉スラグを使用して前記脱りん炉で脱りんを行った後の脱りんスラグの塩基度(CaO/SiO)が1.5以上であってAl濃度が3〜10質量%であることを特徴とする製鋼方法。
【0020】
)前記脱りん処理に際して、CaO含有粉を上吹きすることを特徴とする上記()又は()に記載の製鋼方法。
)前記CaO含有粉は、AlおよびFeの少なくとも1種を含有することを特徴とする上記()に記載の製鋼方法。
【0021】
ここで、塩基度(CaO/SiO2)とは、スラグ中のCaO濃度(質量%)をSiO2濃度(質量%)で除した値をいう。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の製綱方法は、上下両吹き機能を有した2基の転炉形式の炉のうちの一方を脱りん炉、他方を脱炭炉として溶銑の脱りんおよび脱炭精錬を行う2工程からなる。上下両吹き機能を有した転炉形式の炉とは、上吹きランスから酸素を吹き込み、底吹き羽口から、例えば、Ar、N2 、CO2 、CO、O2および炭化水素等の一種ないし2種以上を吹き込むことが可能な上底吹き転炉を意味する。
【0023】
脱炭炉吹錬時に、CaO含有物と共にAl23含有物を添加する。CaO含有物としては生石灰、消石灰または石灰石等が使用され、Al23含有物としてはボーキサイト、赤泥、バン土頁岩、精製Al23またはAl灰(金属Al分が比較的少ない低級品)等が使用できる。Al23含有物を転炉へ添加する場合、Al23含有物の粒径を0.1〜5mmとするのが望ましい。Al23含有物の粒径が0.1mm未満であると、転炉へ装入時にAl23含有物が飛散し易く、転炉への添加効率が低下するおそれがあるからである。一方、粒径が5mmを超えると、Al23の融点が前記の通り高いため、スラグ中に十分溶解することが困難となるおそれがあるからである。
【0024】
なお、Al23含有物と、他の物質(例えば、酸化鉄、石灰等)とを混合し、粒径が10mm以上に塊成化して添加する場合には、Al23含有物の粒径は小さいほど望ましい。それは、粒径が小さくても塊成化しているため、転炉(脱炭炉)へ装入時に飛散するおそれが少ないからである。また、粒径が小さいほど、転炉(脱炭炉)へ装入後に他の物質と速やかに反応して、Al23含有物がより早くスラグ中に溶解するからである。
【0025】
また、Al23含有物は、吹錬中期以前(溶銑中の[C]濃度が1質量%以上の時期)に添加するのが望ましい。吹錬中期以降では、Al23含有物に脱炭時の反応熱を十分付与する前に吹錬が終了し、Al23含有物を十分にスラグ中に溶解させることが困難になるおそれがあるからである。
【0026】
CaO含有物およびAl23含有物は、脱炭処理後の脱炭炉スラグ組成が下記▲1▼および▲2▼に記載の範囲となるように、脱炭炉スラグ中に添加され、CaO含有物は、下記(a)または(b)の方法で添加することが望ましい。
(a)脱炭吹錬前もしくは吹錬開始直後に脱炭炉内へ全量添加する。
(b)脱炭吹錬中に炉上ホッパーから適宜分割添加する。
【0027】
一方、Al23含有物は、前記の通り、吹錬中期以前(溶銑中の[C]濃度が1質量%以上の時期)に添加するのが望ましい。
▲1▼塩基度(CaO/SiO2):3〜7
▲2▼Al23含有濃度:4〜20質量%(以下、質量%を単に%で表す)
【0028】
塩基度(CaO/SiO2)が3未満であると、溶銑脱りん処理時に所定範囲の塩基度(CaO/SiO2)を得るためには、スラグ中のSiO2量の増加(脱珪反応)分を考慮してCaO含有物(例えば、生石灰)をさらに添加することが必要となって脱りんスラグ量が増加するので、溶銑脱りん処理時のスロッピングが起こりやすくなり、鉄歩留の低下が問題となる。一方、塩基度(CaO/SiO2)が7を超えると、脱炭炉スラグの軟化点が急激に上昇して、脱りん処理時にCaO含有物を十分にスラグ化することが困難となり、脱りん率が低下する。
【0029】
一方、スラグ中のAl23濃度が4%未満であると、脱りんスラグ中へ添加する脱炭炉スラグ量が過大となり、同時に脱炭炉スラグ中のSiO2量が過大となるため、溶銑脱りん処理時のスロッピングが問題となり、鉄歩留の低下が問題となる。また、スラグ中のAl23濃度が20%を超えると、脱炭吹錬時のスロッピングが問題となり、鉄歩留の低下が問題となる。
【0030】
脱炭炉スラグの組成を前記範囲内に調整後、溶銑脱りん処理に使用するが、溶銑脱りん処理後の脱りんスラグ組成が下記▲1▼および▲2▼に記載の範囲となるように、脱炭炉スラグ中にCaO含有物が添加され、CaO含有物は、下記(a)〜(d)のいずれかの方法で添加することが望ましい。
【0031】
(a)脱りん吹錬前もしくは吹錬開始直後に脱りん炉内へ全量添加する。
(b)脱りん吹錬中に炉上ホッパーから適宜分割添加する。
(c)CaO含有物を粉体として上吹き酸素と共に溶銑へ吹き付ける。
(d)Al23およびFe23の少なくとも1種を含有させたCaO含有物を粉体として上吹き酸素と共に溶銑へ吹き付ける。
【0032】
▲1▼塩基度(CaO/SiO2):1.5以上
▲2▼Al23含有濃度:3〜10%
塩基度(CaO/SiO2)が1.5未満であると、高い脱りん率(処理後の溶銑中の[P]濃度≦0.015%)を得ることができない。一方、塩基度(CaO/SiO2)が10を超えると、脱りん剤として脱炭炉スラグとともに添加した塊状または粉体のCaO含有物(例えば、生石灰)のスラグ化が困難となるおそれがあり、塩基度(CaO/SiO2)は10以下が望ましい。
【0033】
一方、スラグ中のAl23濃度が3%未満であると、Al23によるCaO含有物のスラグ化促進効果が十分に得られず、高い脱りん率が得られない。また、スラグ中のAl23濃度が10%を超えると、溶銑脱りん処理時のスロッピングが問題となり、鉄歩留の低下が問題となる。
【0034】
上吹酸素と共に添加されるCaO含有物、Al23含有物またはFe23含有物の粒度は0.015〜0.150mmが好ましい。なお、Fe23含有物は、鉄鉱石またはミルスケール等が使用される。
【0035】
粒度が0.015mm未満では、破砕コストが増大したり、粉が配管壁へ多量に付着したりするおそれがあり、0.150mmを超えると火点でのスラグ化が不十分となるおそれがある。
【0036】
上吹き酸素流量としては溶銑t当たり0.5〜3.0m3 (標準状態)/minとするのが望ましい。0.5m3 (標準状態)/min未満では、酸素供給不足のため脱りん速度が低下するおそれがあり、所定の処理時間内に目標の溶銑中の[P]濃度まで低減できない可能性がある。また、3.0m3 (標準状態)/minを超えると、上吹き酸素の溶銑への衝突エネルギーが大きくなりすぎて、吹錬中のスピッティング量が増大するおそれがあり好ましくない。
【0037】
炉底から吹き込む攪拌用ガスは、前記の通りAr、N2 、CO2 、CO、O2 および炭化水素等の一種ないし2種以上を用いることができる。
また、攪拌ガス流量は、溶銑t当たり、0.05〜0.6m3 (標準状態)/minとするのが望ましい。0.05m3 (標準状態)/min未満では、反応速度が高くならないおそれがあり、所定の処理時間内に目標の溶銑中の[P]濃度まで低減できない可能性がある。また、0.6m3 (標準状態)/minを超えると、スラグ中の(FeO)が溶銑中の[C]により素早く還元され、脱りん率が低下するおそれがあるからである。
【0038】
【実施例】
成分組成が[C]:約3.8%、[P]:約0.015%であり、温度が約1330℃である溶銑2トンを試験転炉に装入し、珪石8kg、マグネシア6kg、生石灰、精製Al23を所定量(生石灰、珪石、マグネシアの平均粒径は10mm、精製Al23の平均粒径は3mm)、スケール30kgを上置き添加した。その後、上吹きランスから酸素を溶銑中に5.4m3(標準状態)/minで約19分間吹き付け、同時に底吹き羽口からArガスを溶銑中に0.6m3(標準状態)/min吹き込み脱炭処理を行った。吹錬後の溶鋼温度は約1680℃であった。 なお、吹錬後の溶鋼の目標濃度は、[C]0.05%、[P]≦0.010%とした。また、この試験で生成した脱炭炉スラグを溶銑脱りん処理に用いた。
【0039】
次に、溶銑脱りん処理条件について以下に述べる。
(1)塊状生石灰使用時:試験No.1〜21
成分組成が、[C]:約4.5%、[Si]:約0.3%、[P]:約0.10%であり、温度が約1320℃である溶銑2トンを転炉に装入し、スケールを20kg、前記試験で生成済みの塊状脱炭炉スラグ(粒径:3〜25mm)および塊状生石灰(粒径:3〜25mm)を所定量添加した。その後、上吹きランスから酸素を溶銑中に2.4m3(標準状態)/minで約6分間吹き付けた。
【0040】
また、底吹き羽口からArガスを溶銑中に1.0m3(標準状態)/min吹き込み脱りん処理を行った。吹錬後の溶銑温度は約1340℃であった。
(2)粉状生石灰単独使用試験:試験No.22〜28
試験No.22〜24では、上記(1)に記載の塊状生石灰を粉状(粒径:0.15mm以下)にして、上吹き酸素と共に所定量溶銑に吹き付けた。吹錬後の溶銑温度は約1340℃であった。
【0041】
試験No.25〜28では、溶銑中の[Si]濃度を上記(1)と比べて低減(0.10〜0.15%)し、上吹きランスから酸素と共に溶銑に生石灰粉(粒径:0.15mm以下)を所定量吹き付けた。なお、吹錬後の溶銑温度が約1340℃となるように、スケール添加量を適宜変更した。
【0042】
(3)生石灰粉と精製Al23粉との混合粉使用試験:試験No.29
試験No.29では、No.25に対して脱炭スラグ添加量を半減(6kg→3kg)させ、生石灰粉(粒径:0.15mm以下):22kgと精製Al23粉(粒径:0.15mm以下):1.2kgの混合粉を、No.25と同様に溶銑に吹き付けた。処理後の溶銑温度は約1340℃であった。
【0043】
(4)生石灰粉と精製Al23粉および鉄鉱石粉との混合粉使用試験:試験No.30
試験No.30では、試験No.25に対して脱炭スラグ添加量を半減(6kg→3kg)させ、生石灰粉(粒径:0.15mm以下):22kgと精製Al23粉(粒径:0.15mm以下):1.2kgおよび鉄鉱石粉(粒径:0.15mm以下):4kgの混合粉を、No.25と同様に溶銑に吹き付けた。処理後の溶銑温度は約1335℃であった。
【0044】
表1に上記(1)〜(4)の試験条件と試験結果とを示す。
【0045】
【表1】
Figure 0003750589
【0046】
なお、表中の精製Al23量、生石灰量、脱炭スラグ量をkg/tで表示しているが、これは溶銑t当たりの添加量を意味している。
また、表中の脱炭炉吹錬欄に記載の脱炭炉スラグ組成は、脱炭処理終了時の組成を意味する。
【0047】
また、表中の脱炭炉吹錬欄に記載のスロッピングとは、スラグ塩基度が4であり、Al23濃度が10%であるときのスロッピング量を1とした指数を表し、1.2以下を目標とした。
【0048】
同様に、脱りん処理欄に記載のスロッピングとは、スラグ塩基度が1.8であり、Al23濃度が5%であるときのスロッピング量を1とした指数を表し、1.2以下を目標とした。
【0049】
また、表中の脱りん処理欄に記載の脱炭炉スラグとは、各試験No.の脱炭炉吹錬欄に示した脱炭炉スラグ組成のものを意味する。
さらに、溶銑脱りん処理欄に記載の配合スラグ組成とは、溶銑脱りん処理後に生成すると予想されるスラグの計算配合組成を意味し、実スラグ組成とは、脱りん処理後の脱りんスラグの実績組成を意味する。
【0050】
なお、脱炭吹錬後の[P]の目標濃度は0.010%以下とし、脱りん処理後の[P]の目標濃度は0.015%以下とした。
また、表中の評価欄記号は下記内容を意味する。
【0051】
○:脱炭吹錬および脱りん処理時のスロッピングが目標値以下であり、かつ脱炭吹錬後の[P]濃度および脱りん処理後の[P]濃度が目標値以下である場合を示す。
【0052】
△:上記の目標値を達成しているが、脱りん処理後の塩基度(CaO/SiO2)が10を超え、脱りん処理後の[P]濃度が0.010%と一定値にとどまっている場合を示す。
【0053】
×:上記の目標値の少なくとも1つ以上が目標値に達しない場合を示す。
試験No.1〜30に示すように、脱炭炉を使用して溶銑の脱炭処理を行った後の脱炭炉スラグの塩基度(CaO/SiO2)が3〜7であり、脱炭炉スラグ中のAl23濃度が4〜20%であると、スロッピング指標が1.2以下で、かつ、脱炭吹錬後の[P] 濃度を0.010%以下にすることができた。
【0054】
一方、試験No.1〜21に示すように、脱炭吹錬後の[P] 濃度を0.010%以下にすることができた脱炭炉スラグと塊状生石灰とを使用して溶銑脱りん処理を行った後の脱りんスラグの塩基度(CaO/SiO2)が1.5以上であり、脱りんスラグ中のAl23濃度が3〜10%であると、スロッピング指標が1.2以下で、かつ、脱りん処理後の[P] 濃度を0.015%以下とすることができた。
【0055】
また、試験No.22〜24に示すように、塊状生石灰の代わりに生石灰粉を上吹き酸素と共に溶銑に吹き付けた場合には、脱りん反応が促進され、処理後の[P]濃度は0.009%以下にまで低下した。
【0056】
他方、溶銑中の[Si]濃度を低く調整した場合(約0.3%→0.10〜0.15%)には、試験No.25〜28に示すように、上吹き酸素と共に溶銑に吹き付けた生石灰粉は火点付近でスラグ化され易くなるため、高レベルの脱りんに寄与し得る高塩基度スラグ(3.0〜11.4)が生成され易くなり、その結果、処理後の溶銑中の[P]濃度は、0.010%以下にまで低減できた。しかしながら、試験No.27および28の試験結果に示すように、スラグ塩基度が10を超えても、処理後の[P]濃度は0.010%一定であり、スラグ塩基度は10以下で十分であることがわかった。
【0057】
また、生石灰粉に精製Al23粉を混合して溶銑に吹き付けた試験No.29では、処理後の[P]濃度は0.006%に低下した。
さらに、生石灰粉に精製Al23粉および鉄鉱石粉を混合して溶銑に吹き付けたNo.30では、処理後の[P]濃度は0.004%に低下した。
【0058】
【発明の効果】
本発明の製鋼方法により、CaF2含有物添加せずに、低りん鋼を溶製することができる。

Claims (6)

  1. 脱りんを行った溶銑に脱炭を行う際に、粒径を0.1〜5mmとしたAl 含有物、又は、Al 含有物と他の物質とを混合して粒径を10mm以上とした塊成化物を、前記脱炭時に生成するスラグに添加することによって、塩基度(CaO/SiO )が3〜7であってAl 濃度が4〜20質量%である脱炭炉スラグを製造することを特徴とする脱炭炉スラグの製造方法
  2. 前記Al 濃度は10〜20質量%である請求項1に記載の脱炭炉スラグの製造方法。
  3. 上下両吹き機能を有した2基の転炉形式の炉のうちの一方を脱りん炉、他方を脱炭炉として使用し、溶銑を前記脱りん炉で脱りんを行った後、前記脱炭炉で脱炭を行い、この脱炭により生成した脱炭炉スラグを前記脱りん炉に供給して溶銑の脱りんを行う製鋼方法であって、請求項1又は請求項2に記載された脱炭炉スラグを使用して前記脱りん炉で脱りんを行った後の脱りんスラグの塩基度(CaO/SiO )が1.5以上であってAl 濃度が3〜10質量%であることを特徴とする製鋼方法。
  4. 上下両吹き機能を有した2基の転炉形式の炉のうちの一方を脱りん炉、他方を脱炭炉として使用し、溶銑を前記脱りん炉で脱りんを行った後、前記脱炭炉で脱炭を行い、この脱炭により生成した脱炭炉スラグを前記脱りん炉に供給して溶銑の脱りんを行う製鋼方法であって、塩基度(CaO/SiO )が3〜7であってAl 濃度が10〜20質量%である脱炭炉スラグを使用して前記脱りん炉で脱りんを行った後の脱りんスラグの塩基度(CaO/SiO)が1.5以上であってAl濃度が3〜10質量%であることを特徴とする製鋼方法。
  5. 前記脱りん処理に際して、CaO含有粉を上吹きすることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の製鋼方法。
  6. 前記CaO含有粉は、Al およびFe の少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項5に記載の製鋼方法。
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