JP3606107B2 - 安定化剤の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フッ素を含む製鋼スラグの安定化剤の製造方法に関する。より具体的には、本発明は、転炉若しくは電気炉等の製錬炉、若しくは二次精錬炉等の精錬炉による処理が行われた際に発生するスラグを原料とする安定化剤の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、製鋼工程では、▲1▼例えばトーピード、溶銑鍋または転炉において生成される溶銑予備処理スラグ、▲2▼上吹き操業、底吹き操業または上下吹き操業等により生成される転炉スラグ、▲3▼高周波加熱またはアーク加熱により生成される電気炉スラグさらには▲4▼真空精錬法、取鍋精錬法または簡易取鍋精錬法等の二次精錬(炉外精錬)を行った際に生成される二次精錬スラグといった各種の製鋼スラグが不可避的に発生する。
【0003】
これまで、これらの製鋼スラグは、土木工事や路盤材として再利用されたり、廃棄スラグとして埋め立て処分されてきた。例えば、1997年の一年間に発生した製鋼スラグの総排出量約1370万トンのうちの61%強に相当する約840 万トンが、土木工事、路盤材若しくは埋め立てに用いられた。
【0004】
ところで、これらの製鋼スラグには、製鋼過程において、スラグ融点を下げて流動性を向上させて溶鋼との反応性を向上させるために、ホタル石CaFが添加される。このため、一般的に、製鋼スラグにはフッ素が不可避的に含有される。
【0005】
近年、このフッ素を長期間に渡って多量に摂取すると、歯牙フッ素症、骨フッ素症さらには運動障害性フッ素症等の各種障害が引き起こされることが判明してきた。このため、我が国においても、平成11年2月に、フッ素は水質および地下水環境基準項目に指定された。
【0006】
したがって、産業廃棄物として多量に発生する製鋼スラグを、前述した路盤材や埋め立てに用いる場合には、製鋼スラグにフッ素溶出の抑制処理を行って、土中に埋め立てられた後の製鋼スラグからのフッ素の溶出に起因した環境汚染の防止に、充分配慮する必要がある。
【0007】
しかし、我が国の産業廃棄物最終処分基準では、埋め立て処分品についてのフッ素溶出量規制値が制定されていないこともあり、製鋼スラグからのフッ素溶出の抑制法は、これまで全く検討されていなかった。
【0008】
製鋼スラグを対象とするものではないが、溶液中に高濃度に含まれるフッ素を除去する方法として、石灰をフッ素含有溶液に添加することにより、安定なフッ化カルシウムを沈殿させて、フッ素を除去する技術が知られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、溶液中のフッ素濃度が低下するに伴って、溶液中でのフッ化カルシウムの生成反応が進行し難くなる。このため、この技術では、処理量が少ない場合には廃水処理基準値を下回ることはできるものの、製鋼スラグに含まれるフッ素の濃度を工業的規模で所望の程度に抑制することは、到底困難である。
【0010】
そこで、本発明者らは、先に特願平10−339500号により、カルシウムを含む化合物およびアルミニウムを含む化合物を含む粉末を安定化剤として用い、フッ素を含む製鋼スラグの安定化処理を行う発明を提案した。この発明は、略述すると、フッ素を含む製鋼スラグに、水の存在下で、3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートを1種類以上含む粉末を安定化剤として添加すると、溶液中にフッ素を含む難溶性の化合物が生成されることを利用して、製鋼スラグからのフッ素溶出を抑制するものである。
【0011】
しかし、製鋼スラグの総発生量を勘案すると、3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートを1種類以上含む安定化剤を、安価かつ大量に製造することができなければ、工業的規模で、この安定化剤を用いて製鋼スラグからのフッ素溶出を防止することはできない。例えば、CaOとAlとを混合した粉末を予備焼結してからロータリーキルン等を用いて加熱すれば、3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートを1種類以上の結晶相を含む鉱物を確かに生成することはできるものの、このプロセスは高コストであることから、工業的規模で実用化することは困難である。
【0012】
ここに、本発明の目的は、溶銑予備処理スラグ、転炉スラグ、電気炉スラグさらには二次精錬スラグといったフッ素を含む製鋼スラグを安定化処理するための安定化剤を安価かつ大量にの製造する方法提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、製鋼工程における転炉処理または電気炉処理において大量に発生する転炉スラグまたは電気炉スラグを改質することによって、3CaO・Al2O3、12CaO・7Al2O3、CaO・Al2O3、5CaO・3Al2O3、9CaO・5Al2O3、2CaO・Al2O3等のカルシウムアルミネートを1種類以上含む安定化剤を安価かつ大量に製造できるのでは、と考えた。なお、製鋼工程で発生する二次製錬スラグの改質に関連する技術は、従来より、多数提案されている。
【0014】
例えば、特開平5−51625 号公報、同6−207212号公報さらには同6−256836号公報には、転炉吹錬終了時、転炉出鋼時若しくは脱ガス処理時に、二次精錬スラグに対してAl滓やCaO 等のスラグ改質材を投入することによってスラグ中のT.Feを低下させる技術が開示されている。また、特開平4−88111 号公報、同6−330138号公報、同7−41824 号公報、同7−41820 号公報、同5−222428号公報さらには同6−158136号公報には、転炉出鋼時または脱ガス処理時に二次精錬スラグに対してAl滓やCaO 等の改質材を投入し、スラグ中のCaO/Al比を重量%で0.5 〜2.2 に調整してスラグの低融点化を図ることによって、スラグ中のAl吸収能を高め、鋼の品質を向上させる技術が開示されている。さらに、特開平6−108137号公報、同6−228626号公報さらには同7−316637号公報には、転炉出鋼時または脱ガス処理時に二次精錬スラグに対し、Al滓やCaO 等のスラグ改質材を投入することによって、スラグ中のCaO/Al/SiO比を重量%で0.25〜0.35、若しくはCaO/SiO比を重量%で3〜6とし、かつT.Fe+MnO を重量%で2%以下とすることによって、溶鋼脱硫に最適なスラグ組成を得る技術が開示されている。
【0015】
しかしながら、これらの公報により開示された従来の技術は、いずれも、様々な改質材を使用することによって転炉吹錬後の二次精錬スラグを改質し、これにより、溶鋼成分の向上 (低硫化、低燐化、低酸素化等) および製品品質の向上を図ることを目的とする技術である。そのため、これらの公報には、二次精錬スラグを改質することによって、3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5C
aO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートを1種類以上を含み、フッ素を含む製鋼スラグを安定化処理することができる安定化剤を製造することは、全く開示されていない。
【0016】
そこで、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、転炉や電気炉等の製錬炉による溶鋼の処理が行われた際に発生する転炉スラグや電気炉スラグを原料として用い、転炉や電気炉からの出鋼時に改質処理を施すことによって、または、二次精錬時改質処理を施すことによって、フッ素を含む製鋼スラグを確実に安定化処理することができる安定化剤を、安価かつ大量に製造できることを知見し、さらに検討を重ねて、本発明を完成した。
【0017】
ここに、本発明は、製錬炉による溶鋼の処理が行われた際に発生する被処理剤である転炉スラグまたは電気炉スラグに、 CaO Al O 、金属 Al および Al 滓の少なくとも1種を添加することによって、質量%で、 CaO 45 60 %、 Al O 30 55 %、 SiO 10 %以下、および T Fe 3 %以下を含有するとともに、 3CaO Al O 12CaO 7Al O CaO Al O 5CaO 3Al O 9CaO 5Al O 2CaO Al O のうちの少なくとも1種を鉱物相として含む、フッ素を含む製鋼スラグの安定化剤を製造することを特徴とする安定化剤の製造方法である。
【0018】
この本発明にかかる安定化剤の製造方法では、被処理剤である転炉スラグまたは電気炉スラグへの CaO Al O 、金属 Al および Al 滓の少なくとも 1 種の添加が、転炉または電気炉からの出鋼時、転炉または電気炉による溶鋼製錬処理が行われた後の溶鋼に二次精錬設備を用いて行われる処理時、および鋳込み後に二次精錬スラグを系外に排出する時のうちの少なくとも 1 つの時期に、行われることが例示される
【0019】
また、これらの本発明にかかる安定化剤の製造方法では、安定化剤の最大粒径が 250 μ m 以下であることが、望ましい。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる安定化剤の製造方法実施の形態を、添付図面を参照しながら、詳細に説明する。なお、以降の説明では、特にことわりがない限り、「%」は「重量%」を意味するものとする。また、以降の説明では、「製錬炉」が転炉である場合を例にとるが、転炉以外に例えば電気炉であっても、同様に適用することができる。
【0030】
[安定化剤の目標スラグ組成]
本発明者らは、安定化剤として用いることができる、組成を変化させた転炉スラグの組成(以下、本明細書では「目標スラグ組成」という。)を調査した。
【0031】
図1は、T.Feが1.0 %以下の CaO−Al−SiO系スラグの3元系状態図である。本発明者らは、転炉による溶鋼の処理が行われた際に発生する転炉スラグに対して改質処理を行うことによって、図1に示す3元系状態図中の点A〜点Kに示す組成を有するスラグA〜スラグKを得た。なお、スラグA〜スラグKそれぞれの組成は、表1にまとめて示す。
【0032】
【表1】
Figure 0003606107
【0033】
続いて、これらの転炉スラグA〜スラグKを回収してそれぞれの鉱物相を調査し、鉱物相中の3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートの含有率を調査した。
【0034】
調査結果を図2にグラフで示す。ここで、3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートによる製鋼スラグからのフッ素溶出抑制効果を確実に得るには、鉱物相中の3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートの含有率が、80%以上であることが有効である。図2に示すグラフから、鉱物相中に3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートを80%以上含有するためには、スラグC、D、E、GおよびHの組成、すなわち転炉スラグのCaO 含有率が45〜60%、 Al含有率が30〜55%、SiO含有率が10%以下であればよいことがわかる。
【0035】
また、スラグのT.Feは、転炉スラグに対する3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートの含有率には影響を及ぼさない。しかしながら、回収した後のスラグを安定化剤として用いた場合に、T.Feが高過ぎると、そのフッ素溶出抑制効果に悪影響を及ぼす可能性がある。そこで、図1に示す転炉スラグEのT.Feを0.2 〜19%の範囲で9水準で変動させ、フッ素を含む製鋼スラグに安定化剤として添加し、平成3年環境庁告示第46号で規定された溶出試験を行った。溶出試験の結果を図3にグラフで示す。
【0036】
図3に示すグラフから、T.Feが10%以下であれば、6時間振盪後であっても、フッ素溶出濃度(mg/L)は、指針値である0.8mg/L は下回ることができ、さらにT.Feが3%以下であれば、指針値を大きく下回り全く問題がないことがわかる。すなわち、転炉スラグを原料とする安定化剤に含まれる3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネート以外の脈石成分(SiO)の含有量が10%よりも高いか、若しくはT.Feが3%より高くなると、3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートが有する、転炉スラグからのフッ素の溶出抑制効果が低下する。
【0037】
図4は、安定化剤として用いる転炉スラグの目標スラグ組成の範囲を示す、T.Feが3.0 %以下の CaO−Al−SiO系スラグの3元系状態図である。図1〜図3に示す結果に基づき、安定化剤として用いる転炉スラグの目標スラグ組成は、図4の3元系状態図における色付き部で囲まれた部分、すなわち、CaO :45〜60%、Al:30〜55%、SiO:10%以下、T.Fe:3%以下とした。
【0038】
図4の3元系状態図における色付き部で囲まれた領域の組成を有し、高温で充分に混合された転炉スラグには、その結晶相として、3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートの結晶相が、80%以上含まれる。
【0039】
このように、本実施形態では、転炉スラグを原料とする安定化剤の目標スラグ組成を、 CaO:45〜60%、 Al:30〜55%、SiO:10%以下、およびT.Fe:3%以下と決定した。かかる組成を有するスラグを、溶鋼温度下で充分に混合して溶製すれば、3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートを含む結晶相を80%以上含み、製鋼スラグからのフッ素の溶出抑制効果が高い安定化剤を製造することができる。
【0040】
この目標スラグ組成を有するスラグを溶製するには、転炉からの出鋼以降に、転炉スラグまたは取鍋スラグの改質処理を行う必要がある。しかし、前述したように、従来の技術における改質処理では、フッ素を含む製鋼スラグの安定化剤として最も効果が高い3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートを80%以上含む結晶相を含むスラグを製造すること、つまり目標スラグ組成を有するスラグを溶製することはできない。
【0041】
そこで、本実施形態では、この目標スラグ組成を有し、かつ3CaO・Al2O3、12CaO・7Al2O3、CaO・Al2O3、5CaO・3Al2O3、9CaO・5Al2O3、2CaO・Al2O3等のカルシウムアルミネートを含む結晶相を80%以上含むスラグを、転炉スラグを原料として製造するために、転炉による溶鋼の処理が行われた後に、製錬炉(転炉)出鋼時、二次精錬(バブリング処理、脱ガス処理)時および系外排出時に、それぞれ、転炉スラグおよび取鍋スラグの改質処理を行う。そこで、以降の説明は、改質処理を行う時期に分けて、本実施形態を経時的に説明する。
【0042】
[製錬炉出鋼時]
図5は、本実施形態の安定化剤の製造方法を模式的に示す説明図である。同図において、白矢印はスラグ成分またはスラグ量の分析、実測または推定を行うことを示し、灰矢印はスラグに改質材5を添加することによる改質処理を行うことを示す。
【0043】
図5において、転炉1による溶鋼2の製錬が完了し、転炉1が傾動されて、取鍋4への溶鋼2の注入が行われている。転炉1内の溶鋼2の上部には、製錬スラグである転炉スラグ3が形成されている。
【0044】
転炉1による製錬後に発生する、二次製錬スラグである取鍋スラグ3’は、転炉1から流出する転炉スラグ3と、転炉1からの出鋼以降に添加された改質材、および溶鋼2からの酸化物等の排出物との混合物である。そこで、初めに、転炉スラグ3について説明する。
【0045】
本実施形態では、転炉1での処理前には、予備溶銑処理を行ってもよく、また行わなくともよい。転炉スラグ3は、CaO 、Al、SiO、MgO 、FeO 、MnO 等の金属酸化物によって構成されるが、これらの金属酸化物のうちで CaOおよびAlは、いずれも、出鋼後に行われる改質処理によって、目標値よりも少ない場合には増加され、一方目標値よりも多い場合には他の酸化物を増加することにより希釈され、いずれの場合にも目標値に調整できるからである。
【0046】
ただし、取鍋4の容積により希釈率は制限されるため、転炉スラグ3を構成する金属酸化物のうちのSiOの濃度は50%以下であることが望ましい。さらに、転炉スラグ3のT.Feも、目標値よりも高くても、出鋼後に行われる改質処理により目標値まで充分に低減できるため、限定を要さない。
【0047】
転炉1から取鍋4への転炉スラグ3の流出量は、出鋼後に添加する改質材5の量を調整すればよいため、限定を要さない。
しかし、転炉スラグ3の組成および流出量は、いずれも、実測するか若しくは転炉1での処理内容に基づいて推定することによって、それぞれの値を把握しておくことが有効である。前述したように、転炉1からの出鋼後に取鍋スラグ3’ の組成を、狭い範囲の目標スラグ組成に確実に制御するためである。
【0048】
次に、このようにして予め実測若しくは推定した転炉1から流出する転炉スラグ3の組成および流出量に基づいて、転炉1から流出する転炉スラグ3が目標スラグ組成となるように、転炉1から流出する転炉スラグ3に、CaO 、Al、金属AlおよびAl滓の少なくとも1種を改質材5として添加する。
【0049】
改質材5の添加方法は、転炉1からの出鋼流に直接に添加してもよく、または取鍋4内に入れ置きすることにより添加してもよい。いずれの添加方法によっても、出鋼流が有する攪拌力によって、転炉スラグ3が充分に攪拌され、成分が均一化されるからである。
【0050】
なお、改質材5を取鍋スラグ3’ に上置きすることにより添加してもよいが、取鍋スラグ3’ と改質材5とが充分に混合されない場合には、後続して行われる二次精錬処理(バブリング処理、脱ガス処理)時に、取鍋4からの底吹き不活性ガス7の吹込み、若しくは溶鋼2内へ上部より装入したランス6から不活性ガス7の吹込みを行って、取鍋スラグ3’ と改質材5とを充分に混合することが望ましい。
【0051】
本実施形態では、このようにして、転炉出鋼時に改質処理を行われて取鍋4に収容された取鍋スラグ3’ の組成を分析するとともに、取鍋スラグ3’ の量を、スラグ厚みなどから推定するか、または実測する。
【0052】
そして、この段階で取鍋スラグ3’ の成分が、目標スラグ組成の範囲内であれば、その後の二次精錬処理(バブリング処理、脱ガス処理)以降では改質処理は行わず、通常通りの二次精錬処理を行ってから鋳込みと系外排出とを行い、得られた二次精錬スラグ3’’を、安定化剤として再利用する。
【0053】
一方、この段階で取鍋スラグ3’ の成分が、目標スラグ組成の範囲外であれば、後述する二次精錬処理(バブリング処理、脱ガス処理)以降で改質処理を1回以上行い、目標スラグ組成の二次精錬スラグ3’’を得る。
【0054】
このように、本実施形態では、転炉1からの出鋼時若しくは出鋼後に、転炉スラグ3に改質材5を投入し、取鍋4に収容された取鍋スラグ3’ の CaO、AlおよびT.Feそれぞれの量を目標値に近づける。
【0055】
[二次精錬処理 (バブリング処理) 時]
このようにして、取鍋4に収容された取鍋スラグ3’ に対して、二次精錬処理が行われる。二次精錬処理は、取鍋4からの底吹き不活性ガス7の吹込み、若しくは溶鋼2内へ上部より装入したランス6から不活性ガス7の吹込みを用いた精錬装置(以下、「バブリング装置」という。)8と、RH、DH等の真空脱ガス装置9とのうちの少なくとも一つを用いて、行われる。そこで、以降の説明では、バブリング装置8と真空脱ガス装置9との2種類に分けて説明する。
【0056】
転炉1からの出鋼時に行われた改質処理によっても、取鍋スラグ3’ の成分が目標スラグ組成から外れた場合、バブリング装置8を用いて改質処理を再度行い、取鍋スラグ3’ の成分を目標スラグ組成に近づけるべく、制御する。
【0057】
すなわち、前述した転炉出鋼時における取鍋スラグ3’ の分析値若しくは推定値等により、取鍋スラグ3’ 中の CaO濃度が目標値よりも高いか、または取鍋スラグ3’ 中の Al濃度が目標値よりも低いことが判明した場合には、以下に列記する2手段の一方または双方を用いる。
【0058】
(i) バブリング装置8に収容された取鍋スラグ3’ に金属AlやAl滓等を改質材として添加し、かつ上吹きランス6’ 等から酸素ガスを吹き込むことによってAlを燃焼させる。これにより、前述した取鍋出鋼時における取鍋スラグ3’ の分析値若しくは推定値から計算した不足分の Al量を取鍋スラグ3’ に生成させ、目標スラグ組成になるように調整する。
【0059】
(ii)バブリング装置8に収容された取鍋スラグ3’ にAlおよびAl滓の1種類以上を改質材として添加する。これにより、前述した取鍋出鋼時における取鍋スラグ3’ の分析値若しくは推定値から計算した不足分の Al量を取鍋スラグ3’ に投入して取鍋スラグ3’ 中のAl濃度を上昇させて、CaO 濃度を下げることによって、目標スラグ組成になるように調整する。
【0060】
一方、前述した取鍋出鋼時における取鍋スラグ3’ の分析値若しくは推定値等により、取鍋スラグ3’ 中のCaO濃度が目標値よりも低いか、またはAl濃度
が目標値よりも高いことが判明した場合には、前述した取鍋出鋼時における取鍋スラグ3’ の分析値若しくは推定値から計算した不足分のCaOを改質材5として、バブリング装置8に収容された取鍋スラグ3’ に投入する。
【0061】
また、前述した取鍋出鋼時における取鍋スラグ3’ の分析値若しくは推定値等により、取鍋スラグ3’ 中のSiO濃度が目標値よりも高い場合には、SiO濃度が目標値以下となるように、前述した取鍋出鋼時における取鍋スラグ3’ の分析値若しくは推定値から計算したAl、CaO量になるまでCaO 、Al、金属AlおよびAl滓の少なくとも1種を改質材5として、バブリング装置8に収容された取鍋スラグ3’ に添加することにより、取鍋スラグ3’ のSiOの希釈処理を行う。
【0062】
さらに、取鍋スラグ3’ のT.Feが目標値よりも高い場合には、前述した取鍋出鋼時における取鍋スラグ3’ の分析値若しくは推定値から計算したT.Feに見合う金属AlおよびAl滓の少なくとも1種を改質材5として取鍋スラグ3’に添加してスラグ攪拌処理を行うことによってAlによりT.Feを還元し、バブリング装置8に収容された取鍋スラグ3’ のT.Feを目標値以下にする。
【0063】
ただし、このT.Feの低減処理を行う場合、T.Feを還元したAlがAlとなってスラグのAl濃度を上昇させるため、Al濃度の上昇を相殺できるだけのCa
O を投入して、目標スラグ組成に調整することが有効である。
【0064】
このバブリング装置8を用いた改質処理は、取鍋スラグ3’を充分に攪拌することができるため、処理後の取鍋スラグ3’を充分に混合することができ、図4に示す目標スラグ組成に容易に制御することができる。
【0065】
このように、本実施形態では、バブリング装置8を用いて、取鍋4からの底吹き不活性ガス7の吹込み、若しくは溶鋼2内へ上部より装入したランス6から不活性ガス7の吹込みを用いたスラグ攪拌を行い、T.Feを還元するなどのスラグ成分調整を行い、この際に、スラグ分析実績、若しくは予測値などにより取鍋スラグ3’中のCaO濃度が高いことが判明した場合には、上吹きランス6’からの酸素によりAlを燃焼させてAlを生成することにより目標スラグ組成に調整し、また取鍋スラグ3’中のCaO 濃度が低いことが判明した場合には、CaOを投入して、目標スラグ組成に調整する。
【0066】
[二次精錬処理 (脱ガス処理) 時]
本実施形態では、取鍋4に収容された取鍋スラグ3’ 、またはバブリング装置8による改質処理を行われた取鍋スラグ3’ に対して、真空脱ガス装置9による脱ガス処理を行う。なお、図5では、真空脱ガス装置9がRH脱ガス処理装置である場合を例にとるが、RH脱ガス処理装置に限定されるものではなく、例えばDH脱ガス処理装置等のRH脱ガス処理装置以外の真空脱ガス装置であってもよい。
【0067】
真空脱ガス装置9による処理を行う前における取鍋4に収容された取鍋スラグ3’の分析実績、若しくは予測値などにより、取鍋スラグ3’中のCaO濃度が目標値よりも高いか、またはAl濃度が目標値よりも低いことが判明した場合には、以下に列記する2手段の一方または双方を用いる。
【0068】
(i) 金属AlおよびAl滓の1種以上を改質材5として、真空脱ガス装置9の真空槽9a内に添加し、かつ上吹きランスや羽口(いずれも図示しない。)等から酸素ガスを吹き込むことによってAlを燃焼させ、真空脱ガス装置9の処理前に行った分析、実測若しくは推定した組成および量から計算した不足分のAl量を生成し、目標の組成になるように調整を行う。
【0069】
(ii)Al、金属AlおよびAl滓の1種以上を改質材5として真空槽9a内に添加することにより、真空脱ガス装置9の処理前に行った分析、実測若しくは推定した組成および量から計算した不足分のAl量になるまで、取鍋スラグ3’中のAl濃度を上昇させて、CaO濃度を下げる。
【0070】
一方、取鍋スラグ3’中のCaO濃度が目標値よりも低いか、若しくはAl
度が目標値よりも高いことが判明した場合には、真空脱ガス装置9による処理前に行った分析、実測若しくは推定した組成および量から計算した不足分のCaOを改質材5として、真空槽9a内に投入する。
【0071】
また、取鍋スラグ3’中のSiO濃度が目標値よりも高い場合には、SiO濃度が目標値以下になるように、真空脱ガス装置9による処理前に行った分析、実測若しくは推定した組成および量から計算した Al量、 CaO量になるまで、CaO 、Al、金属AlおよびAl滓の1種以上を改質材5として真空槽9a内に添加し、希釈処理を行う。
【0072】
さらに、取鍋スラグ3’中のT.Feが目標値よりも高い場合には、真空脱ガス装置9による処理前に行った分析、実測若しくは推定した組成および量から計算したT.Feに見合う金属AlおよびAl滓の1種以上を改質材5として、真空槽9a内に添加してAlによりT.Feを還元する。ただし、このT.Fe低減処理を行うと、T.Feを還元したAlがAlとなって取鍋スラグ3’中のAl濃度が上昇するため、これに見合うだけのCaOを投入することが有効である。
【0073】
ところで、改質材5を添加することによるこれらの改質処理の際に、取鍋スラグ3’を充分に混合することができないと、取鍋スラグ3’の組成を目標スラグ組成とすることができたとしても、取鍋スラグ3’の部位により組成が変動してしまい、目的とする3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al
、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートを1種類以上を80%以上含む結晶相がスラグの一部でしか生成しないことがある。
【0074】
真空脱ガス装置9がDH脱ガス処理装置である場合には、取鍋スラグ3’が真空槽9a内に吸い上げられて充分に攪拌されるために、問題はない。しかし、真空脱ガス装置9がRH脱ガス処理装置である場合には、取鍋スラグ3’の吸上げ量が非常に小さいためにスラグ攪拌が少なく、スラグ組成に大きな変動を生じ易い。さらに、改質処理の中でも、特にT.Fe還元処理は反応効率が悪く、充分な還元効果を得難い。
【0075】
そこで、真空脱ガス装置9がRH脱ガス処理装置である場合には、RH脱ガス処理前までに取鍋スラグ3’が目標スラグ組成となっているときは問題ないが、取鍋スラグ3’が目標スラグ組成から外れているときには、RH脱ガス処理により目標スラグ組成に調整できても、系外排出により回収された二次精錬スラグ3’’の結晶相に、目的とする3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO
・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートが一部でしか生成しないおそれがある。
【0076】
そのため、後述する鋳込み後の系外排出時に、さらに改質処理を行って、二次精錬スラグ3’’と改質材5とを充分に混合し、かつT.Feを還元するなどの改質処理を行うか、若しくは、再度バブリング装置8を用いて改質処理を行うことが有効である。
【0077】
このように、真空脱ガス装置9を用いた脱ガス処理時には、バブリング装置8を用いた改質処理と同様に、真空脱ガス処理前に取鍋スラグ3’ の成分および量を分析若しくは推定し、取鍋スラグ3’ 中のCaO 濃度が高いことが判明した場合には、上吹きランスまたは羽口(図示しない。)からの酸素ガスによりAlを燃焼させてAlを生成するか、若しくは溶鋼2中へAlを投入して目標スラグ組成に調整する。
【0078】
一方、取鍋スラグ3’ 中のCaO濃度が低いことが判明した場合には、溶鋼2中へCaO を投入して、目標スラグ組成に調整する。このようにして、二次精錬終了までの間に、取鍋スラグ3’を目標スラグ組成へと調整する。
以上の、二次精錬におけるバブリング装置8、真空脱ガス装置9を用いた改質処理は、片方若しくは両方行ってもよく、またどちらを先に行ってもよい。
【0079】
[系外排出時]
そして、取鍋4をタンディッシュ10の上方へ移動し、タンディッシュ10を介して溶鋼2を連続鋳造鋳型11に鋳込む。溶鋼2を鋳込んだ後、取鍋4に残存した取鍋スラグ3’を、例えばスラグ壺12等へ排出し、二次精錬スラグ3’’を回収する。
【0080】
そして、この系外排出時に、さらに改質処理を行う。系外排出時における改質処理は、前述した精錬炉出鋼時、および二次精錬時 (バブリング時および脱ガス処理時) のそれぞれにおける改質処理を行った後において、鋳込み前の取鍋スラグ3’ の組成が分析または推定によって目標スラグ組成から外れている場合や、取鍋スラグ3’ の組成に部分的なばらつきがあって充分に混合されていないことが判明した場合等に、行われる。
【0081】
すなわち、溶鋼2の鋳込み後に、取鍋4からスラグ壺12などへ取鍋スラグ3’を排出する際に、予め実測若しくは推定した鋳込み後の取鍋スラグ3’の組成および量に対して、目標スラグ組成となるように、CaO 、Al、金属Al、Al滓および炭材の1種以上の粉末を、改質材5として添加する。炭材は、取鍋スラグ3’中のT.Fe還元用の改質材である。
【0082】
改質材5の添加方法は、取鍋4からスラグ壺12への排出スラグ流に合わせて添加してもよく、またスラグ壺12内に入れ置きしてもよい。どちらの方法によっても、排出スラグ流の攪拌力によって充分にスラグが攪拌され、均一な成分となるからである。また、取鍋スラグ3’中のT.Feを下げるために添加する炭材の粉末は、これらの方法以外に、スラグ壺12に収容された二次精錬スラグ3’’の内部へ装入したランス13から、不活性ガスやCO等のキャリアガスとともに吹き込んでもよい。
【0083】
これらの改質材5を二次精錬スラグ3’’に上置きした場合には、二次精錬スラグ3’’と改質材5とが充分に混合されないため、二次精錬スラグ3’’の内部へ装入したランス13からの不活性ガスやCO等を吹込んだり、または耐火物などを用いた機械式攪拌などを行って、二次精錬スラグ3’’と改質材5とを充分に混合することが有効である。
【0084】
また、取鍋スラグ3’は温度が充分に高い融体であるが、取鍋スラグ3’の排出時に処理等に時間がかかって二次精錬スラグ3’’の温度が低下した場合には、LPG 等の燃料バーナ14や電気式の加熱装置 (図示しない。) を用いて、二次精錬スラグ3’’の加熱処理を行ってもよい。
【0085】
このように、取鍋4からスラグ壺12へ排出される取鍋スラグ3’ の組成の分析実績、若しくは予測値などから、この取鍋スラグ3’ の成分が、目標スラグ組成から外れた場合には、スラグ壺12への取鍋スラグ3’ の系外排出時に、再度、スラグ成分を調整する。
【0086】
例えば、溶鋼鋳込み後に、
▲1▼取鍋4内に残存した取鍋スラグ3’ をスラグ壺12等へ排出する際に、CaO 、Al、金属Al、Al滓および炭材のうちの1種以上を含む改質材5を投入する、▲2▼ランス13を用いて、スラグ壺12に収容された二次精錬スラグ3’’中に炭材を吹込む、
▲3▼ランス13より、不活性ガスを吹込み、攪拌する
等の手段によってT.Feを低減する等の方法により、最終的に回収される二次精錬スラグ3’’の組成を、目標スラグ組成とする。
【0087】
このように、スラグ排出時の改質処理を行うことにより、製錬炉出鋼時、および二次製錬時のそれぞれにおける改質処理を行われても、組成が不均一であったり、目標スラグ組成から外れた取鍋スラグ3’についても、均一で目標スラグ組成を有する二次製錬スラグ3”とすることができる。
【0088】
なお、本実施形態では、製錬炉出鋼時、二次精錬時および系外排出時の3時期に、転炉スラグ3および取鍋スラグ3’の改質処理を行っているが、目標スラグ組成を得ることができれば、これら3時期のうちの少なくとも1時期に改質処理を行うこととしてもよい。
【0089】
この後、スラグ壺12に収容された二次精錬スラグ3’’を回収し、フッ素を含む製鋼スラグの安定化剤として再利用する。
図6は、本実施形態の安定化処理方法により、塊状の製鋼スラグ21a 〜21d に安定化処理を施す状況を模式的に示す説明図である。
【0090】
同図に示す本実施形態では、二次精錬スラグ3’’を原料とする粉末22を安定化剤として用い、フッ素を含む製鋼スラグ21a 〜21d の安定化処理を行っている。また、図7は、本実施形態の安定化処理方法により、粉状の二次精錬スラグ21d’に安定化処理を施す状況を模式的に示す説明図である。
【0091】
同図に示す本実施形態でも、二次精錬スラグ3’’を原料とする粉末22を安定化剤として用い、フッ素を含む粉状の二次精錬スラグ21d’に安定化処理を行っている。
そこで、以降の説明では、製鋼スラグ21、安定化剤22、製鋼スラグ21の安定化処理およびその作用について、順次説明する。
【0092】
[製鋼スラグ21]
本実施形態において、二次精錬スラグ3’’を原料とする粉末22を安定化剤として安定化処理を行われる製鋼スラグ21は、図6に示す▲1▼フッ素を含む溶銑予備処理スラグ21a 、▲2▼フッ素を含む転炉スラグ21b 、▲3▼フッ素を含む電気炉スラグ21c 、さらには▲4▼真空精錬法、取鍋精錬法または簡易取鍋精錬法等の二次精錬(炉外精錬)を行った際に生成されるフッ素を含む二次精錬スラグ (塊状)21dと、図7に示す▲5▼フッ素を含む二次精錬スラグ (粉状)21d’ の5種である。
【0093】
本実施形態では、製鋼スラグ21が生成される製鋼工程の形態は、何ら限定を要さない。すなわち、▲1▼溶銑予備処理スラグ21a は、例えばトーピード、溶銑鍋または転炉において生成されるもののいずれでもよく、▲2▼転炉スラグ21b は、上吹き操業、底吹き操業または上下吹き操業等により生成されるもののいずれでもよく、▲3▼電気炉スラグ21c は、高周波加熱またはアーク加熱により生成されるもののいずれでもよく、さらには▲4▼二次精錬スラグ21d 、21d’は、真空精錬法、取鍋精錬法または簡易取鍋精錬法等のいずれの二次精錬(炉外精錬)を行った際に生成されるものでもよい。なお、本発明における「製鋼スラグ」には、これらのスラグだけでなくて、これらの操業の際に生じるフッ素を含むダストも包含される。
【0094】
これらの製鋼スラグ21a 〜21d の性状は、主に、塊状である。しかし、一部の二次精錬スラグでは、スラグ中のP濃度が低いことに起因して冷却時に相変態を起こし、粉状の二次精錬スラグ21d’となる。
【0095】
製鋼スラグ21の組成は、当然のことながら、例えば操業法や溶鋼組成等の各種要因により、変動する。しかし、溶銑予備処理スラグ21a 、転炉スラグ21b 、電気炉スラグ21c 、二次精錬スラグ (塊状)21dおよび二次精錬スラグ (粉状)21d’ のいずれもが、フッ素を含んでいる。例えば、溶銑予備処理スラグ21a は0.1 〜7.1 %のフッ素を、転炉スラグ21b は0.2 〜3.5 %のフッ素を、電気炉スラグ21c は1.0 〜8.9 %のフッ素を、さらに二次精錬スラグ21d および21d’は0.1 〜5.7 %のフッ素を、それぞれ含有する。
【0096】
製鋼スラグ21に含まれるこれらのフッ素は、製鋼スラグ21a 〜21d’中において、例えばCaF、CaF(PO、3CaO・2SiO・CaF、 (2CaO・SiO・CaF、 (3CaO・SiOまたは 11CaO・7Al・CaF等として存在する。これらの鉱物相のうちのいずれの鉱物相が存在するかは、スラグ組成、操業法さらにはスラグ冷却条件といった各種要因により、変動する。また、2CaO・SiO、3CaO・SiO、2CaO・SiO・Al または2CaO・TiOの各鉱物相中には0.5 〜12%のフッ素が含まれる。
【0097】
[安定化剤22]
本実施形態では、スラグ壺12に収容された二次精錬スラグ3’’の粉末を、製鋼スラグ21の安定化剤として用いる。前述したように、この安定化剤は、3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al、若しくはこれらの混合物、またはこれらの水和物の結晶相を含んでいる。
【0098】
3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等の水和物としては、 CaO・Al・8.5HO、 CaO・Al・10HO 、4CaO・3Al・3HO、2CaO・Al・6HO、2CaO・Al・8HO、3CaO・Al・6HO、3CaO・Al・xHO(x=8〜12) 、4CaO・Al・13HO 、α−4CaO・Al・19HO 、3CaO・Al・Ca(OH)・18HO 、4CaO・Al・xHO、3CaO・Al・3Ca(OH)・32HO 等がある。
【0099】
3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al
、2CaO・Al、若しくはこれらの混合物、またはこれらの水和物のいずれによっても、製鋼スラグ21に含まれるフッ素を、容易かつ確実に固定することができる。
【0100】
本実施形態では、溶出するフッ素の処理基準値が0.8mg/L 以下である場合には、安定化剤である二次精錬スラグ3’’の粉末22の平均粒径が250 μmを超えると、水在下において、これらの粉末22と製鋼スラグ21から溶出したフッ素との反応界面積が減少し、製鋼スラグ21からのフッ素溶出量より粉末22へのフッ素吸着量が少なくなり、製鋼スラグ21に含まれるフッ素の固定化が不十分になるおそれがある。また、水存在下において、粉末22からのカルシウムおよびアルミニウムの溶出速度が小さくなり、製鋼スラグ21から溶出したフッ素との反応による固定化が不十分になるおそれがある。
【0101】
そこで、溶出するフッ素の処理基準値が0.8mg/L 以下である場合には、安定化剤である二次精錬スラグ3’’の粉末22の平均粒径は250 μm以下であることが望ましい。同様の観点から、二次精錬スラグ3’’の粉末22の平均粒径は150 μm以下であることがより望ましい。このような観点からは、二次精錬スラグ3’’の粉末22の平均粒径の下限は限定を要さないが、10μm未満の平均粒径であると、粉末22の取り扱いが面倒になるため10μm以上であることが望ましい。
【0102】
また、安定化剤である二次精錬スラグ3’’の粉末22の添加量が少な過ぎると、水存在下において、これらの粉末22と製鋼スラグ21から溶出したフッ素との反応界面積が十分でないために、製鋼スラグ21からのフッ素溶出量より粉末22へのフッ素吸着量が少なくなり、フッ素の固定化が不十分になるおそれがある。また、水存在下において、二次精錬スラグ3’’の粉末22からのカルシウムおよびアルミニウムの溶出量が少なくなり、製鋼スラグ21から溶出したフッ素との反応による固定化が不十分になるおそれがある。これらの傾向は、フッ素濃度の高い製鋼スラグ21では、特に顕著である。一方、粉末22の添加量が多過ぎると、フッ素の安定化効果が飽和するとともに、コスト高となって減容化を阻害する。
【0103】
そこで、溶銑予備処理スラグ21a 、転炉スラグ21b 、電気炉スラグ21c 、または、二次精錬スラグ21d(塊状) および二次精錬スラグ21d’ (塊状) の安定化処理を行う際には、フッ素を含む製鋼スラグ100 重量部に対して、安定化剤である二次精錬スラグ3’’の粉末22を5〜80重量部、より好適には20〜80重量部添加することが望ましい。
【0104】
[塊状の製鋼スラグ21a 〜21d の安定化処理]
図6に示すように、本実施形態では、上述した二次精錬スラグ3’’の粉末22を用い、溶銑予備処理スラグ21a 、転炉スラグ21b 、電気炉スラグ21c または二次精錬スラグ21d の安定化処理を行う。
【0105】
塊状の製鋼スラグである溶銑予備処理スラグ21a 、転炉スラグ21b 、電気炉スラグ21c または二次精錬スラグ21d の安定化処理は、これらの製鋼スラグ21a 〜21d に二次精錬スラグ3’’の粉末22を適量添加した後、混合機械23を用いて十分混合することにより、これらの製鋼スラグ21a 〜21d から溶出したフッ素を固定化して、安定化処理品である土中埋設用材料25を得る処理である。
【0106】
また、製鋼スラグ21a 〜21d と二次精錬スラグ3’’の粉末22との混合の際には、水を適量添加し、60℃以上に加温することにより、製鋼スラグ21中のフッ素の固定化が促進される。この際、オートクレーブ24を用いて100 ℃以上に加温加圧することが、製鋼スラグ21中のフッ素の固定化を促進させるためには、より望ましい。
【0107】
さらに、製鋼スラグ21に二次精錬スラグ3’’の粉末22を適量添加し、混合機械23を用いて十分混合した後、水を適量添加してから、オートクレーブまたは蒸気養生装置24により80℃以上に加温加圧して、製鋼スラグ21中のフッ素を固定化して、安定化処理品である土中埋設用材料25を得ることとしてもよい。
【0108】
[粉状の製鋼スラグ21d’の安定化処理]
図7に示すように、本実施形態では、上述した粉末22を用い、粉状の二次精錬スラグ21d’の安定化処理を行う。
【0109】
粉状の製鋼スラグである二次精錬スラグ21d’の安定化処理は、二次精錬スラグ21d’と粉末22とに水を適量添加した後、例えば混練機や造粒機あるいは混練および造粒の二つの機能を併せ持つ機械26等を用いて、粉状二次精錬スラグ21d’と粉末22を混練して所望の形状 (例えば円柱状) の造粒物である土中埋設用材料27’とする処理である。
【0110】
また、造粒物27を60℃以上に加温することにより、二次精錬スラグ21d’中のフッ素の固定化が促進される。この際、オートクレーブ24を用いて100 ℃以上に加温加圧することが、二次精錬スラグ21d’中のフッ素の固定化を促進させるためには、より望ましい。
【0111】
さらに、造粒物27を、オートクレーブまたは蒸気養生装置24によりオートクレーブ処理または蒸気養生を行うことにより、80℃以上に加温加圧して、二次精錬スラグ21d’中のフッ素を固定化してもよい。
【0112】
なお、安定化処理の際に、二次精錬スラグ21d’および粉末22と共存させる水は、本発明では、転動造粒、攪拌造粒等により凝集造粒現象を生じさせて造粒物27を形成するために用いられる。そのため、土中埋設用材料である造粒物27’に求める強度や硬度等に応じて、水とともに適当な溶媒を用いてもよい。このような溶媒としては、例えば、デキストリン、リグニン等を例示することができる。
【0113】
[安定化処理の作用]
このような安定化処理により、図6に示す溶銑予備処理スラグ21a 、転炉スラグ21b 、電気炉スラグ21c 、二次精錬スラグ (塊状)21d、および図7に示す二次精錬スラグ (粉状)21d’ にそれぞれ含まれるフッ素が固定化される機構を説明する。
【0114】
本発明者らは、フッ化水素酸を蒸留水で希釈した溶液を攪拌しながら、高温焼成によって合成した3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートの小塊を浸漬して3〜12時間反応させ、反応後の3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートの小塊表面の鉱物相をX線マイクロアナライザにより同定した。また、フッ化水素酸を蒸留水で希釈した溶液に、高温焼成によって合成した3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートの粉末を添加し、3〜12時間攪拌して、反応後の粉末について、その鉱物相をX線回折法により同定した。
【0115】
その結果、3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートの粉末の場合にはCaAl(OH)8−x、CaAl(OH)8−x・yHO、CaAl(OH)7−x・3HO、3CaO・Al・Ca(OH)2−x・18HO 、CaAl(OH)5−x・HO 、CaAl(OH)12−x、CaAl(OH)10・HO が存在することが認められた。
【0116】
このようにして、3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートの結晶相を含む粉末により、製鋼スラグ中のフッ素が固定化されることは、下記の反応機構により説明される。例えば、 CaO・Al 粉末が水共存下でフッ素イオンと反応してCaAl(OH)8−xが生成する場合、 pH に応じて、CaO・Al 粉末からカルシウムおよびアルミニウムが溶出してイオンとなる反応(▲1▼式または▲1▼’ 式)と、カルシウムイオンおよびアルミニウムイオンがフッ素イオンと反応してCaAl(OH)8−xが生成する反応(▲2▼式または▲2▼’ 式)とが進行する。
【0117】
(pHが5.1 超の場合)
CaO・Al → Ca2++2AlO ・・・▲1▼
Ca2++2AlO + xF+xH+(4−x)HO → CaAl(OH)8−x・・・▲2▼
(pHが5.1 以下の場合)
CaO・Al +8H→ Ca2++2Al3+ +4HO ・・・▲1▼’
Ca2++2Al3+ +xF+(8−x)OH→ CaAl(OH)8−x ・・・▲2▼
一方、12CaO・7Al粉末が水共存下でフッ素イオンと反応して3CaO・Al・Ca(OH)2−x・18HO が生成する場合、 12CaO・7Al粉末からカルシウムおよびアルミニウムが溶出してイオンとなる反応(▲3▼式または▲3▼’ 式)と、カルシウムイオンおよびアルミニウムイオンがフッ素イオンと反応して3CaO・Al・Ca(OH)2−x・18HO が生成する反応(▲4▼式または▲4▼’ 式)とが進行する。
【0118】
(pHが5.1 超の場合)
12CaO・7Al+5HO → 12Ca2++14AlO +10OH ・・・▲3▼
4Ca2+ + 2AlO +xF+(6−x)OH+16HO → 3CaO・Al・Ca(OH)2−x・18HO ・・・▲4▼
(pHが5.1 以下の場合)
12CaO・7Al+ 66H→12Ca2++14Al3++33HO ・・・▲3▼’
4Ca2+ +2Al3+ +xF+ (14−x)OH+12HO → 3CaO・Al・Ca(OH)2−x・18HO ・・・▲4▼’
本発明によれば、このようにして、3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートの結晶相を80%以上含む粉末22により、製鋼スラグ中のフッ素が捕捉されて、フッ素が固定化される。すなわち、3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートを1種類以上含む粉末22を、安定化剤として用いることにより、溶銑予備処理スラグ21a 、転炉スラグ21b 、電気炉スラグ21c 、二次精錬スラグ (塊状)21dおよび二次精錬スラグ (粉状)21d’ の安定化処理が行われる。
【0119】
なお、粉状の二次精錬スラグ21d’の安定化処理に際しては、セメント28を粉末22とともに固定剤として複合添加することが望ましい。セメント28を粉末22とともに複合添加することにより、造粒物27の周囲に、セメント28の緻密組織を生成することができ、固定化処理をさらに完全なものとすることができる。
【0120】
通常、ポルトランドセメント中には2CaO・SiO、3CaO・SiO、2CaO・Al・SiO相とともに、3CaO・Al相が8〜11%含まれている。このことから、セメントを添加することにより、製鋼スラグの周囲にセメントの緻密組織が生成しフッ素が溶出し難くなる効果、またはフッ素固定相の周囲にセメントの緻密組織が生成してフッ素固定相の再溶解が起こらなくなる効果の他に、セメント中の3CaO・Al相によるフッ素の固定化が起こる。しかし、セメントを過度に添加すると、土中埋設用材料が強く固化し、土中埋設用材料の掘り起こしを困難にするとともにコストの上昇をもたらす。これらのことから、セメントによってもフッ素の固定化は可能であるものの、セメントの使用量は制限される。
【0121】
したがって、セメント28の緻密性を確保するためには、ブレーン比表面積値が1000cm/g 以上の微粒子セメント (例えばポルトランドセメント) を、粉末22の30重量%以下添加することが望ましい。
【0122】
このようにして得られた土中埋設用材料である安定化処理品は、いずれも、水質および地下水環境基準値である「フッ素溶出量:0.8 mg/L以下」を十分に満足するため、路盤材や埋め戻し材等として土木現場において、環境汚染を防止しながら有効に利用することができる。
【0123】
このように、本実施形態によれば、溶銑予備処理スラグ21a 、転炉スラグ21b 、電気炉スラグ21c または二次精錬スラグ (塊状)21dおよび二次精錬スラグ (粉状)21d’ といった、フッ素を含む製鋼スラグを、確実に安定化処理することができる。
【0124】
また、安定化処理の安定化剤として用いる3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートの結晶相を含む二次精錬スラグ3’’の粉末22は、製鋼スラグ21に含まれるフッ素と効果的に反応するため、その使用量の増加も可及的に抑制される。このため、この面からも、処理コストの低減が可能となる。
【0125】
このように、本実施形態の安定化剤の製造方法を用いることにより、溶銑予備処理スラグ21a 、転炉スラグ21b 、電気炉スラグ21c または二次精錬スラグ (塊状)21dおよび二次精錬スラグ (粉状)21d’ といった、フッ素を含む製鋼スラグを安定化処理するに際し、製鋼スラグ21に添加する3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートを1種類以上の結晶相を含む二次精錬スラグ3’’の粉末22からなる安定化剤を、転炉1による処理を行われた後に発生する転炉スラグ3を原料として、安価にかつ大量に製造することができる。
【0126】
また、本実施形態の安定化剤の製造方法は、転炉1による溶鋼の処理が行われた際に発生する転炉スラグ3 (廃棄スラグ) を再利用するものであるため、原材料費用が少なく、かつ転炉スラグ3は大量に発生するものであることから大量に製造することができる。このため、本実施形態の安定化剤の製造方法は、工業的規模で真に実用化できるものである。
【0127】
さらに、二次精錬処理中の転炉スラグ3や取鍋スラグ3’ はいずれも高温融体であるため、例えばロータリーキルン等を使って加熱処理を行う必要性が殆どなく、3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートを1種類以上含む結晶相を含む二次精錬スラグ3’’の粉末22を、低エネルギコストで製造することができる。このため、安定化剤の製造コストを大幅に低減することができる。
【0128】
さらに、本発明を実施例を参照しながらより詳細に説明する。なお、以降の各実施例の説明では、溶出するフッ素の処理基準値を0.8mg/L 以下に設定した場合を、例にとる。
【0129】
【実施例】
(実施例1)
図5に示す工程により、転炉スラグ3を原料として改質処理を行い、フッ素を含む製鋼スラグの安定化剤となる二次精錬スラグ3’’を製造した。
【0130】
表2には、本発明における「改質処理」を行う前の転炉スラグ3の組成と、転炉1から取鍋4への流出量とを示す。なお、表2におけるスラグ1〜スラグ3は、いずれも、溶銑予備処理を行った後に転炉1を用いて脱炭処理を行った後に得られたスラグであり、スラグ4〜スラグ7は、いずれも、溶銑予備処理を行わずに転炉1を用いて脱炭処理を行った後に得られたスラグである。
【0131】
【表2】
Figure 0003606107
【0132】
次に、これらのスラグ1〜スラグ7に対して、表3に示す時期 (出鋼時、バブリング処理時、脱ガス処理時、系外排出時) に、表4に示す組成を有する改質材を添加することによる改質処理を行った。
【0133】
【表3】
Figure 0003606107
【0134】
【表4】
Figure 0003606107
【0135】
そして、各スラグ1〜スラグ7の出鋼前、出鋼後、バブリング後、脱ガス後、系外排出後におけるスラグ組成を測定した。測定結果を表5にまとめて示す。
【0136】
【表5】
Figure 0003606107
【0137】
表5に示す結果から、表4に示す改質材を用いた改質処理を表3に示す時期に行うことにより、系外排出後に得られた二次精錬スラグ3’’の組成を、いずれも、目標スラグ組成の範囲に制御することができたことがわかる。
【0138】
(実施例2)
スラグヤードで採取された溶銑予備処理スラグ、転炉スラグ、電気炉スラグおよび二次精錬スラグの化学組成を表6にそれぞれ示す。
【0139】
【表6】
Figure 0003606107
【0140】
これらの各スラグについて、平成3年環境庁告示第46号で規定された溶出試験を行った。フッ素の溶出量と、水質および地下水環境基準値とを表7に対比して示す。
【0141】
【表7】
Figure 0003606107
【0142】
表7に示す結果から、溶銑予備処理スラグ、転炉スラグ、電気炉スラグ、二次精錬スラグ (塊状) および二次精錬スラグ (粉状) のいずれも、フッ素の溶出量が水質および地下水環境基準値を大幅に超えるため、フッ素の固定化処理を行う必要があることが明らかであった。
【0143】
そこで、本発明にしたがい、これらの製鋼スラグのうちで溶銑予備処理スラグ100 重量部に対して、粒度 (最大粒径) が250μm以下150μm超、150μm以下100μm超、100μm以下32μm超、または32μm以下の4水準の、実施例1において系外排出後に得られた二次精錬スラグ3’’の粉末22を、50重量部添加し、水の存在の下で反応させた。
【0144】
得られた処理品について、平成3年環境庁告示第46号で規定された溶出試験を行った。溶出液中のフッ素濃度と3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートを1種類以上含む安定化剤の粒度との関係を図8にグラフで示す。
【0145】
図8に示すグラフから、二次精錬スラグ3’’の粉末22の粒度が250μm以下であれば、溶出液中のフッ素濃度は、水質および地下水環境基準値である0.8 mg/Lを下回ることがわかる。
なお、フッ素の処理基準値が例えば2.4mg/L である場合には、スラグ粒度が例えば400μm程度であっても、この処理基準値を満足することができる。
【0146】
(実施例3)
本発明にしたがい、溶銑予備処理スラグ100 重量部に対して、転炉による溶鋼の処理が行われた際に発生する2次精錬スラグに改質処理を行うことによって得られた、3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートを1種類以上の結晶相を含む粒度250 μm以下の粉末を5〜100 重量部添加し、水の存在の下で反応させた。
【0147】
得られた処理品について、平成3年環境庁告示第46号で規定された溶出試験を行った。この粉末の重量/溶銑予備処理スラグ重量の比と、溶出液中のフッ素濃度との関係を図9にグラフで示す。
【0148】
図9に示すグラフにおいて、3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートを1種類以上含む粉末の重量/溶銑予備処理スラグ重量の比が0.05を下回ると、溶出液中のフッ素濃度は、水質および地下水環境基準値である0.8 mg/Lを上回ることがわかる。これにより、溶銑予備処理スラグ100 重量部に対して、3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートを1種類以上の結晶相を含む粉末が5重量部以上であれば、溶出液中のフッ素濃度は、水質および地下水環境基準値を下回ることがわかる。また、3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートを1種類以上の結晶相を含む粉末の重量/溶銑予備処理スラグ重量の比が0.8 を超えると、フッ素溶出の抑制効果が飽和し、処理コスト増となることがわかる。したがって、溶銑予備処理スラグ100 重量部に対して3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートを1種類以上含む粉末を5〜80重量部添加することが望ましいことがわかる。
【0149】
なお、フッ素の処理基準値が例えば2.4mg/L である場合には、例えば、3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートを1種類以上含む粉末の重量/溶銑予備処理スラグ重量の比が0.05を下回っても、この処理基準値を満足することができる。
【0150】
(実施例4)
本発明にしたがい、溶銑予備処理スラグ100 重量部に対して、転炉による溶鋼の処理が行われた際に発生した二次精錬スラグに改質処理を行うことによって得られた CaO・Al・8.5HOまたはCaAl(OH)12の結晶相を含む粒度が250 μm以下の粉末を、50重量部添加し、水の存在下で反応させた。なお、二次精錬スラグの組成は、F:0.1%未満、CaO:47.9%、SiO:5.1%、Al:35.0%、T.Fe:1.0%、MgO:8.0 %、MnO:1.3 %、P:0.010%、S:0.16%であった。
【0151】
得られた処理品について、平成3年環境庁告示第46号で規定された溶出試験を行った。 CaO・Al・8.5HOまたはCaAl(OH)12の結晶相を含む粉末を用いて安定化処理を行った溶銑予備処理スラグについて、溶出液中のフッ素濃度を表8に示す。
【0152】
【表8】
Figure 0003606107
【0153】
本発明にかかるいずれの安定化剤を用いた場合も、溶出液中のフッ素濃度は、水質および地下水環境基準値である0.8 mg/Lを下回ることがわかる。
【0154】
(実施例5)
本発明にしたがい、転炉スラグ、電気炉スラグまたは二次精錬スラグ (塊状) 100 重量部に対して、転炉による溶鋼の処理が行われた際に発生する二次精錬スラグに改質処理を行うことによって得られた、 CaO・Al 、 12CaO・7Al、3CaO・Al 、4CaO・3Al・3HOまたはCaAl(OH)12の結晶相を含む、粒度が250μm以下の粉末を、50重量部添加し、水の存在下で反応させた。
得られた処理品について、平成3年環境庁告示第46号で規定された溶出試験を行った。溶出液中のフッ素濃度を表9に示す。
【0155】
【表9】
Figure 0003606107
【0156】
本発明にかかるいずれの安定化剤を用いて場合も、溶出液中のフッ素濃度は、水質および地下水環境基準値である0.8 mg/Lを下回ることがわかる。
【0157】
(実施例6)
転炉スラグ中には遊離石灰が含まれている。この遊離石灰が水と反応することによってCa(OH)となり、体積膨張が起こる。このため、転炉スラグをそのまま路盤材として使用すると、転炉スラグ中の遊離石灰が雨水や地下水等と反応して膨張し、路盤隆起の原因となる。そこで、この体積膨張に起因した路盤隆起を防ぐため、転炉スラグを路盤材として用いる前に、予め転炉スラグ中の遊離石灰をCa(OH)にするエージング処理が行われている。
【0158】
本実施例では、3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートによる転炉スラグ中のフッ素の安定化処理に及ぼす、エージング処理の影響を調べるために、転炉スラグ100 重量部に対して、転炉による溶鋼の処理が行われた際に発生した二次精錬スラグに改質処理を行うことによって得られた、 12CaO・7AlまたはCaAl(OH)12の結晶相を含む粒度250 μm以下の粉末を、20重量部添加して混合した後、適量の水を加え、20℃で96時間、80℃ (エアバス中) で24時間、または、120 ℃ (オートクレーブ中) で6時間養生した。
得られた処理品について、平成3年環境庁告示第46号で規定された溶出試験を行った。溶出液中のフッ素濃度を表10に示す。
【0159】
【表10】
Figure 0003606107
【0160】
本発明にかかるいずれの安定化剤を用いた場合も、エージング処理には影響を受けず、溶出液中のフッ素濃度は、水質および地下水環境基準値である0.8 mg/Lを下回ることがわかる。
【0161】
以上の実施例1〜本実施例 (実施例6) より、転炉による溶鋼の処理が行われた際に発生した二次精錬スラグに改質処理を行うことによって得られた、(i) 3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al、(ii)これらの混合物の合成品、(iii)CaO・Al・8.5HO、 CaO・Al・10HO 、4CaO・3Al・3HO、2CaO・Al・6HO、CaAl(OH)12等の水和物を主成分とした安定化剤を用いることにより、溶銑予備処理スラグ、転炉スラグ、電気炉スラグおよび二次精錬スラグのそれぞれからのフッ素溶出を確実に抑制できることがわかる。
【0162】
(実施例7)
冷却過程で粉化した二次精錬スラグは、微細な粒子であるため、同一重量において塊状スラグより表面積がはるかに大きい。このため、スラグ中のフッ素濃度の絶対値が低くても、溶出試験におけるフッ素溶出速度および溶出量は多くなり、フッ素の安定化は困難である。そこで、本実施例においては、より固定化が困難な粉状の二次精錬スラグについての実施例を示す。
【0163】
本発明にしたがい、粉状の二次精錬スラグ100 重量部に対して、粒度が250μm以下150μm超、150μm以下100μm超、100μm以下32μm超、または32μm以下の4水準の3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートを1種類以上を80%以上含む本発明にかかる安定化剤の粉末を30重量部添加し、水の存在下で反応させた。
【0164】
得られた処理品について、平成3年環境庁告示第46号で規定された溶出試験を行った。溶出液中のフッ素濃度と、3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートを含む粉末の粒度との関係を図10にグラフで示す。
【0165】
図10に示すグラフから、安定化剤の粒度が250 μm以下であれば、溶出液中のフッ素濃度は、水質および地下水環境基準値である0.8 mg/Lを下回ることがわかる。
なお、フッ素の処理基準値が例えば2.4mg/L である場合には、安定化剤の粒度には関係なく、この処理基準値を満足することができる。
【0166】
(実施例8)
本発明にしたがい、粉状の二次精錬スラグ100 重量部に対して、粒度が250μm以下の CaO・Al・8.5HOまたはCaAl(OH)12を含む本発明にかかる安定化剤の粉末を5〜100 重量部添加し、水の存在下で反応させた。
【0167】
得られた処理品について、平成3年環境庁告示第46号で規定された溶出試験を行った。 CaO・Al・8.5HOまたはCaAl(OH)12を含む安定化剤の重量と粉状二次精錬スラグ重量との比と、溶出液中のフッ素濃度との関係を図11にグラフで示す。
【0168】
図11に示すグラフにおいて、 CaO・Al・8.5HOまたはCaAl(OH)12を含む安定化剤の重量/粉状二次精錬スラグ重量の比が0.1 以上であれば、溶出液中のフッ素濃度は、水質および地下水環境基準値である0.8 mg/Lを下回ることがわかる。また、0.8 超では、フッ素溶出の抑制効果は飽和している。
【0169】
なお、フッ素の処理基準値が例えば2.4mg/L である場合には、安定化剤重量/粉状二次精錬スラグ重量の値には関係なく、この処理基準値を満足することができる。
【0170】
(実施例9)
本発明にしたがい、粉状の二次精錬スラグ100 重量部に対して、粒度が250μm以下の CaO・Alを含む本発明にかかる安定化剤の粉末を10重量部添加し、混合した後、適量の水を加えて混練してから円柱状に成型した。その後、20℃、80℃ (エアバス中) 、120 ℃ (オートクレーブ中) で養生した。
【0171】
得られた処理品について、平成3年環境庁告示第46号で規定された溶出試験を行った。溶出試験における溶出液中のフッ素濃度と養生時間との関係を、図12にグラフで示す。
【0172】
図12にグラフで示すように、80℃および120 ℃の養生温度において、短い養生時間で、溶出液中のフッ素濃度は、水質および地下水環境基準値である0.8 mg/Lを下回り、養生時間の経過とともに、溶出液中のフッ素濃度が低下したことがわかる。
なお、フッ素の処理基準値が例えば2.4mg/L である場合には、養生時間には関係なく、この処理基準値を満足することができる。
【0173】
(実施例10)
本発明にしたがい、粉状二次精錬スラグ100 重量部に対して、粒度が 250μm以下の 12CaO・7Alまたは3CaO・Al・Ca(OH)・18HO を含む本発明にかかる安定化剤の粉末を10重量部または20重量部添加し、さらにブレーン比表面値が1000cm/g 以上の微粒子ポルトランドセメントを5〜30重量部加えた後、適量の水で混練して円柱状に成型した後、大気中で48時間養生した。
【0174】
得られた処理品について、平成3年環境庁告示第46号で規定された溶出試験を行った。溶出試験における溶出液中のフッ素濃度とセメント添加量との関係を表11に示す。
【0175】
【表11】
Figure 0003606107
【0176】
セメントを添加することにより、 12CaO・7Alまたは3CaO・Al・Ca(OH)・18HO を含む本発明にかかる安定化剤によるフッ素固定相の周囲にセメントの緻密組織が生成し、溶出液中のフッ素濃度は、水質および地下水環境基準値である0.8 mg/Lを下回った。また、20重量部までのセメントの添加でフッ素の溶出抑制効果が飽和したことから、これ以上のセメントの添加は、コスト上昇および容積増大をもたらし、好ましくないことがわかる。
【0177】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に示す、製錬炉出鋼後の各段階での改質処理を行うことにより、溶銑予備処理スラグ、転炉スラグ、電気炉スラグさらには二次精錬スラグといったフッ素を含む製鋼スラグを安定化処理するに際し、製鋼スラグに添加する3CaO・Al2O3、12CaO・7Al2O3、CaO・Al2O3、5CaO・3Al2O3、9CaO・5Al2O3、2CaO・Al2O3等のカルシウムアルミネートを1種類以上の結晶相を含む安定化剤を、転炉若しくは電気炉等の製錬炉処理後に発生する2次精錬スラグを用いて安価に、かつ大量に製造することができる。
【0178】
このようにして、安価かつ大量に製造された安定化剤を用いて、製鋼工程で不可避的に発生する溶銑予備処理スラグ、転炉スラグ、電気炉スラグさらには二次精錬スラグ等のフッ素を含む製鋼スラグの安定化処理を行うことにより、工業的規模で、フッ素を含む製鋼スラグからのフッ素溶出を抑制し、確実に安定化処理することが可能となった。
【0179】
このように、本発明によれば、近年大きな社会問題とされている産業廃棄物 (製鋼スラグ) を確実に処理し、環境汚染の防止を図ることができる。かかる効果を有する本発明の意義は、極めて著しい。
【図面の簡単な説明】
【図1】T.Feが1.0 %以下の CaO−Al−SiO系スラグの3元系状態図である。
【図2】転炉スラグの鉱物相中の3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートを1種類以上の含有率を調査した結果を示すグラフである。
【図3】溶出試験の結果を示すグラフである。
【図4】安定化剤として用いる転炉スラグの目標スラグ組成の範囲を示す、T.Feが3.0 %以下の CaO−Al−SiO系スラグの3元系状態図である。
【図5】実施形態の安定化剤の製造方法を模式的に示す説明図である。
【図6】実施形態の安定化処理方法により、塊状の製鋼スラグに安定化処理を施す状況を模式的に示す説明図である。
【図7】実施形態の安定化処理方法により、粉状の二次精錬スラグに安定化処理を施す状況を模式的に示す説明図である。
【図8】実施例2において、溶出液中のフッ素濃度と3CaO・Alまたは12CaO・7Alを含む安定化剤の粒度との関係を示すグラフである。
【図9】実施例3において、粉末の重量/溶銑予備処理スラグ重量の比と、溶出液中のフッ素濃度との関係を示すグラフである。
【図10】実施例7において、溶出液中のフッ素濃度と、3CaO・Al、12CaO・7Al、CaO・Al、5CaO・3Al、9CaO・5Al、2CaO・Al等のカルシウムアルミネートを1種類以上を80%以上含む本発明にかかる安定化剤の粒度との関係を示すグラフである。
【図11】実施例8において、 CaO・Al・8.5HOまたはCaAl(OH)12を含む安定化剤の重量と粉状二次精錬スラグ重量との比と、溶出液中のフッ素濃度との関係を示すグラフである。
【図12】実施例9において、溶出試験における溶出液中のフッ素濃度と養生時間との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1:転炉
2:溶鋼
3:転炉スラグ
3’:取鍋スラグ
4:取鍋
5:改質材
6:ランス
7:吹込みガス
8:バブリング装置
9:脱ガス装置
9a:真空槽
10:タンディッシュ
11:連続鋳造鋳型
12:スラグ壺
13:ランス
14:燃料バーナ
21a:溶銑予備処理スラグ
21b:転炉スラグ
21c:電気炉スラグ
21d:二次精錬スラグ (塊状)
21d’ :二次精錬スラグ (粉状)
22:固定剤
23:混合装置
24:オートクレーブまたは蒸気養生装置
25:安定化処理品
26:混練および造粒の二つの機能を合わせ持つ機械
27, 27’ :造粒物
28:セメント

Claims (3)

  1. 製錬炉による溶鋼の処理が行われた際に発生する被処理剤である転炉スラグまたは電気炉スラグに、 CaO Al O 、金属 Al および Al 滓の少なくとも1種を添加することによって、質量%で、 CaO 45 60 %、 Al O 30 55 %、 SiO 10 %以下、および T Fe 3 %以下を含有するとともに、 3CaO Al O 12CaO 7Al O CaO Al O 5CaO 3Al O 9CaO 5Al O 2CaO Al O のうちの少なくとも1種を鉱物相として含む、フッ素を含む製鋼スラグの安定化剤を製造することを特徴とする安定化剤の製造方法。
  2. 前記被処理剤である転炉スラグまたは電気炉スラグへの前記 CaO Al O 、金属 Al および Al 滓の少なくとも 1 種の添加は、転炉または電気炉からの出鋼時、転炉または電気炉による溶鋼製錬処理が行われた後の溶鋼に二次精錬設備を用いて行われる処理時、および鋳込み後に二次精錬スラグを系外に排出する時のうちの少なくとも 1 つの時期に、行われる請求項 1 に記載された安定化剤の製造方法。
  3. 前記安定化剤の最大粒径は 250 μ m 以下である請求項 1 または請求項 2 に記載された安定化剤の製造方法。
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