JP2003003206A - 脱リン剤、脱リン方法および脱リンにより生成したスラグの使用方法 - Google Patents

脱リン剤、脱リン方法および脱リンにより生成したスラグの使用方法

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JP2003003206A JP2001184893A JP2001184893A JP2003003206A JP 2003003206 A JP2003003206 A JP 2003003206A JP 2001184893 A JP2001184893 A JP 2001184893A JP 2001184893 A JP2001184893 A JP 2001184893A JP 2003003206 A JP2003003206 A JP 2003003206A
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Takashi Kimura
貴司 木村
Jun Kikuchi
潤 菊池
Yoshio Sato
良雄 佐藤
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】滓化剤としてCaFのようなハロゲン化合物を
併用することなく、滓化性を向上させ、脱リンを効率的
かつ経済的に行う脱リン剤、それを用いた方法および得
られたスラグの使用方法の提供。 【解決手段】CaO源として、CaO、CaCOおよび/ま
たはCa(OH)と、Alおよび/または金属Alを
含有し、下記(1)〜(4)式を満たすことを特徴とす
る脱リン剤。 WCaO純分/WAl2O3=0.2〜5.0 … (1) W金属Al/WCaO純分≦0.15 … (2) ((56.1/100.1)×WCaCO3+(56.1/74.1)×WCa(OH)2)/WCaO純分≧0 .05 … (3) WCaO純分+WAl2O3≧30% … (4) ただし、上記W(X=CaO純分、Al、金属Al、
CaCO、Ca(OH))は脱リン剤中に占めるXの質
量%である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶銑を脱リンする
際に用いる脱リン剤、脱リン方法および脱リンにより生
成したスラグの使用方法に係り、より詳しくは、滓化剤
として、スラグを再利用する際、環境破壊につながるハ
ロゲン化合物などを併用することなく、滓化性を向上さ
せ、脱リンを効率的かつ経済的に行うことができる脱リ
ン剤、脱リン方法および脱リンにより生成したスラグの
使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】溶銑の予備処理において、脱リンを効率
的に行うには、脱リンの際に生成するスラグの脱リン能
力を高めるとともにそのスラグの流動性、いわゆる滓化
性を向上させて、スラグの脱リン能力を最大限引き出す
ようにすることが重要である。
【0003】溶銑の予備処理の際に行う脱リンは、一般
に、安価なCaOを粒径5〜30mmの塊状に成形して、転炉
頂上から炉内に投入することにより行われるが、CaOは
その融点が2600℃と高いため、反応性に乏しく、CaOを
含むスラグは脱リン能力が低いという欠点を有してい
る。
【0004】そのため、スラグの塩基度(=CaO/SiO
比)を高くすると言った工夫が行われているが、それ
でもCaOは前述したように欠点を有することからスラグ
の滓化性は改善されず、スラグの脱リン能力を十分に発
揮させることはできなかった。そこで、従来では、さら
にスラグ成分としてCaFのようなハロゲン化合物を加
え、滓化性を確保していた。
【0005】しかし、近年の環境基準の厳格化に伴い、
スラグ成分へのCaFの使用は規制される方向にある。
すなわち、従来では、溶銑の残渣であるスラグは、埋立
用地に埋める、あるいは路盤材といった建築資材へ使用
するなどの再利用が図られていたが、スラグからのフッ
素が流出することにより環境へ大きな影響を与えること
から、その使用が規制されるようになった。
【0006】そこで、CaFを使用せず、滓化性を高め
た脱リン方法が、以下のような3点から検討されてい
る。 a)CaOを粉体化し、酸素とともにランスから吹きつける
ことによりCaOの滓化性を高める脱リン方法、 b)CaOを酸化鉄と焼結した焼結脱リン剤を使用する脱リ
ン方法、 c) CaFを他の滓化効果を有する材料に置換した脱リ
ン剤を使用する脱リン方法。
【0007】a) の方法としては、例えば、特開昭58
−147506号公報には、上底吹きランスからCaOを
主成分とする粉状脱リン剤を酸素とともに溶銑に吹きつ
ける溶銑予備処理方法が記載されている。また、特開平
9−143529号公報には、塩基度を調整した微粉Ca
Oを酸素とともに溶銑に吹きつける脱リン方法が記載さ
れている。
【0008】しかし、これらの方法では、CaOを酸素と
ともに吹きつけるための設備が必要である。さらに、微
粉CaOを酸素とともに吹きつけると、CaOは気散するた
め、CaOの歩留まりが低下し、溶銑のスピッチングが多
くなる。その結果として、溶銑自体の歩留まりも悪化す
るため、コストを考えると実操業での使用は困難であ
る。
【0009】次に、b)の方法としては、例えば、特開平
2−11712号公報や特開昭52−58011号公報
には、CaOに酸化鉄、Alなどの添加物を任意の条
件を満足するように混合し、焼結して製造する焼結脱リ
ン剤が記載されている。しかし、これらの発明では、焼
結に伴うコストがかかり、結果として商業的に見合わな
い。
【0010】そして、c)の方法としては、CaFの代わ
りにAlを用いた脱リン法が多数開示されている。
例えば、特開平8−157921号公報には。脱リン処
理中の塩基度、Al濃度、酸化鉄濃度を制限して、
滓化性を促進させた脱リン方法が記載されている。
【0011】この脱リン方法では、Al源として、
天然のボーキサイト、Alドロス、および連続鋳造滓、す
なわち連続鋳造後に回収されたAlを含む取鍋内の
滓などAl含有物を用いて、脱リンスラグ中のAl
濃度を調整すれば、滓化性は確保できるとしてい
る。
【0012】しかし、実際には、Al含有量の高い
AlドロスなどをAl源に用いた場合は、Al
融点が約2000℃と高いため、溶銑の予備処理における温
度近傍(約1300℃)では、Alドロス自体の滓化性が悪
く、容易に溶解しないため、投入後、脱リンスラグの滓
化が促進されるまで時間がかかる。また、連続鋳造滓を
Al源に用いた場合も、その融点は高いため、Alド
ロスの場合と同様に、再溶解するのに時間がかかり、脱
リンスラグの滓化促進が遅れる。
【0013】また、特公平6−17495号公報には、
CaOとAlの比、酸化鉄の含有率、不純物であるSi
の含有量を規定した脱リン剤が記載されている。こ
の脱リン剤は、融点が低いため、滓化性が確保され、ま
た鉄鉱石の添加により、脱リンスラグの酸化度が高くな
り、脱リンを効率的に進行させることができる。
【0014】しかし、酸化鉄の含有率が高いため、溶鋼
中の成分、例えば、SiやTiに応じて、この脱リン剤の使
用量を増加させていく場合、酸化鉄による冷却能が大き
くなるため、脱リン剤の原単価に上限が生じる。これを
回避するためには脱リン時の溶銑率を上げる、溶銑温度
を上げるなどの対策が必要であり、実操業では不利であ
る。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、CaF
を使用せず、滓化性を高めた脱リン方法に対して、様々
な発明がなされているが、a)の方法は、新たに設備を設
けなければならないため、大きな設備投資が必要とな
る。また、b)の方法は、脱リン材をわざわざ焼結して製
造するため、焼結装置が必要であり、脱リン材の製造コ
ストが上昇する。さらに、c)の方法では、コスト増の原
因となる特別な設備・装置の必要はないが、脱リン能力
は溶銑の成分組成などに大きく依存する。
【0016】以上のように、環境破壊を引き起こすCaF
などを含まず、スラグの再利用が可能である脱リン材
を使用するa)〜c)の方法を検討すると、溶鋼を低コスト
で供給するには、脱リン材の処理はc)の方法で実現する
ことが好ましい。
【0017】本発明の課題は、c)の方法、すなわちCaF
を他の滓化効果を有する材料に置換した脱リン材を用
いて脱リンすることを前提とし、溶銑の成分組成の変動
にも柔軟に対応でき、高い滓化性を確保した脱リン能力
の高い脱リン剤、脱リン方法および脱リンにより生成し
たスラグの使用方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述のよ
うにCaFを他の滓化効果を有する材料に置換すること
を考え、CaFの代替材料としてAlに着目した。
その理由は、Alは比較的、安価で大量に入手可能
であり、脱リン剤の主成分であるCaOと反応して、低融
点の化合物を生成することから、滓化性を高くすること
ができるためである。
【0019】そこで、Alの含有量に対する生石灰
中のCaO純分の含有量(WCaO純分/WAl2O3)を変
化させたときの滓化指数を調べた。ここで、CaO純分と
は、CaOがCaCOやCa(OH)の形で存在していた
場合、CaCOおよびCa(OH)含めたCaOを意味
し、その含有量WCaO純分は、 WCaO純分=WCaO+(56.1/100.1)×WCaCO3+(56.
1/74.1)×WCa(O H)2 で計算できる。
【0020】また、滓化指数は、X/Yで示される。こ
こで、X、Yは以下の通りである。 X={試験終了後のスラグ中に存在するフリーのCaO
(未反応のCaO)含有量(質量%)} Y={脱リン剤としてCaO−5.0%CaFを用い、他の
条件をXの試験と同じにして脱リンを行ったときの試験
終了後のスラグ中に存在するフリーのCaO含有量(質量
%)} 上記Yの規定から分かるように、滓化指数は、5.0%Ca
を含むCaOからなる脱リン剤と比較して脱リン能力
が優れているかを否かを判断する基準となる。滓化指数
が1以下であれば、スラグが、5.0%CaFを含むCaO
からなる脱リン剤を用いたときに比べ、同じかそれ以上
の流動性を有し、溶銑中のリンはCaOと速やかに反応し
て、脱リンが進行することを意味する。
【0021】本発明では、脱リン状況の判断基準とし
て、滓化指数を用い、滓化指数が1以下であるとき、脱
リンが十分に行われるとした。なお、本発明では、「滓
化性が高い」ということは、滓化指数が1以下であり、
脱リンが十分行われることを意味する。
【0022】図1は、脱リン剤中のWCaO純分/W
Al2O3を変化させたときの滓化指数を示したものであ
る。
【0023】試験は2.5トン試験転炉において、生石
灰、AlをWCaO純分/WAl2O が0.1〜10にな
るように調整混合した1mmの粉末を10〜15kg/ton添加し
た後、1350℃の2.5トンの溶銑に対し、上吹きランスか
ら10分間の酸素吹きを行った。このとき、スラグの塩基
度は、1.5〜2.0に調整し、試験後のスラグ中のT.Fe(全
酸化鉄)は5〜10%、試験後の溶銑温度は1290〜1320℃
であった。
【0024】図1より、WCaO純分/WAl2O3が0.2
〜5.0であれば、滓化指数は1以下となり、高い滓化性を
確保できることが判明した。すなわち、 WCaO純分/WAl2O3=0.2〜5.0 … (1) を満たせば、高い滓化性を確保できる。
【0025】また、滓化指数が0.5以下となることか
ら、好ましくは、WCaO純分/WAl2 O3は0.5〜3.0で
ある。このことは、塩基度が1.5〜2.0では、CaO-Al
-SiO系状態図において、WCaO純分/W
Al2O3が0.5〜3.0のときに最も融点が低くなることか
ら説明できる。また、その融点は、CaO-Al-SiO
系状態図から1500℃近傍であることがわかるが、試験
時の溶銑温度が1300℃でも滓化が進んだのは、スラグ中
のT.Fe濃度の影響であると考えられる。
【0026】以上、Alについて述べたが、Al
源として、金属Al(非酸化Al)が混入している場合が
ある。この場合、金属Alはスラグ内で酸素と反応して、
部分的にスラグの酸化度を下げてしまうため、脱リン能
力が低下する。そこで、金属Alが含まれている場合の滓
化指数を調査したところ、脱リン剤中のCaO純分に対
し、15%以下であれば、脱リン能力の低下は起こらない
ことがわかった。すなわち、 W金属Al/WCaO純分≦0.15 … (2)/(6) を満たせば、脱リン能力の低下は起こらない。
【0027】続いて、CaFの代替材料として、酸化鉄
であるFe、FeおよびFeOに着目した。酸化
鉄に着目したのは、T.Feに滓化効果が認められるためで
ある。
【0028】図2は、脱リン剤中の酸化鉄の含有量を変
化させたときの滓化指数を示したものである。
【0029】試験は2.5ton試験転炉において、生石灰、
Alおよび酸化鉄(Fe、FeおよびFe
O)を、WCaO純分/WAl2O3が0.05〜12、酸化鉄の
含有量が0〜50%となるように調整混合した1mmの粉末を
10〜15kg/ton添加した後、1350℃の2.5トンの溶銑に対
し、上吹きランスから10分間の酸素吹きを行った。ま
た、スラグの塩基度は、1.5〜2.0に調整し、試験後のス
ラグ中のT.Feは5〜30%、試験後の溶銑温度は1290〜132
0℃であった。
【0030】図2からわかるように、酸化鉄の添加によ
り、滓化指数は向上し、前記のWCa O純分/WAl2O3
を変化させたときの滓化指数を調査した試験では、好ま
しい滓化指数が得られなかったWCaO純分/WAl2O3
が0.1、10といった条件でも、酸化鉄の含有量が3%以上
であれば、1以下の滓化指数が得られ、滓化指数は酸化
鉄の含有量が30%以上でほぼ飽和した。
【0031】以上のように、酸化鉄を添加することによ
り、滓化が促進されることが確認されたが、溶銑の成
分、例えば、SiやTiに応じて、酸化鉄を含む脱リン剤の
使用量を増加させていくと、酸化鉄による冷却能が大き
くなるため、脱リン剤の原単価に上限が生じる。これを
回避するためには、脱リンの際の溶銑率を挙げる、溶銑
温度を上げる等の対策が必要であり、実操業では不利に
なる。
【0032】そこで、実機で脱リン剤を使用する場合
の、高炉成分、溶銑率、溶銑温度などから計算した結
果、酸化鉄の含有率が25%以下であれば、問題なく実操
業できることがわかった。
【0033】したがって、脱リン剤に酸化鉄を含有させ
る場合のWCaO純分/WAl2O3は0.1〜10であり、そ
の場合の酸化鉄の含有量は3〜25%である。すなわち、 WCaO純分/WAl2O3=0.1〜10 … (5) および 3%≦WFe2O3+WFe3O4+WFeO≦25% … (9) を満たせば、高い滓化性を確保できる。
【0034】さらに、CaOの滓化性にも着目した。CaO
は高融点材料であるため、塩基度が高いとき、大量に投
入すると、滓化の進行が遅れる。CaOを微粉末化するこ
とにより、滓化は促進されるが、微粉末かはコスト増に
つながり、さらに粉末が気相飛散し、歩留まりが悪いな
どの欠点がある。そこで、CaOの化合物である、CaCO
、Ca(OH)に着目した。これらは、ともに生石灰
の原料である、生石灰より安価で大量に使用することが
できることに加え、それぞれ、580℃、898℃で解離する
ことから炉内に投入する際、溶銑温度(約1300℃)でCa
Oとガスに解離し、その結果、CaOが微細粉末となり、
滓化が促進される。
【0035】図3は、脱リン剤中のCaO純分に占めるCa
COおよびCa(OH)の割合を変化させたときの吹
錬時間に対する滓化指数を示したものであり、(a)は
Ca(OH)の割合をゼロとし、CaCOの割合を変化
させたもの、(b)はCaCO の割合をゼロとし、Ca
(OH)の割合を変化させたもの、(c)はCaCO
とCa(OH)をともに含有させ、CaCOとCa(O
H)の合計含有量を変化させたものを示したものであ
る。なお、図3中のOHはCa(OH)を、COはCaC
を略記したものである。
【0036】試験は2.5トン試験転炉において、脱リン
剤中のCaO源として、生石灰、CaCOおよびCa(O
H)を使用し、WCaO純分/WAl2O3が2になるよ
うに調整混合した1mmの粉末を10〜15kg/ton添加した
後、1350℃の2.5トンの溶銑に対し、上吹きランスから1
0分間の酸素吹きを行った。また、スラグの塩基度は、
1.5〜2.0に調整した。
【0037】図3からわかるように、脱リン剤中のCaO
純分に占めるCaCOおよびCa(OH)の割合が、と
もに、あるいは単独でも5%以上あれば、吹錬初期から
滓化指数が向上し、CaO単独の場合よりも高い滓化性を
確保することができる。すなわち、 ((56.1/100.1)×WCaCO3+(56.1/74.1)×WCa(OH)2)/WCaO純分≧0 .05 … (3)/(7) を満たせば、高い滓化性を確保できる。また、CaO純分
に占めるのCaCOおよびCa(OH)割合は15%以上
であることが好ましい。
【0038】そして、CaOとAlが脱リン剤中に占
める適正な割合を調査した。
【0039】試験は2.5トン試験転炉において、脱リン
剤のCaO源(CaO、CaCOおよびCa(OH))、Al
および酸化鉄を上述した範囲内で混合し、それ以
外にSiO、MgO源(MgO、MgCOおよびMg(OH)
)、MnO、TiO、Cr およびNaOなどを混合
し、CaOとAlの含有量を調整し、1350℃の2.5ト
ンの溶銑に対し、上吹きランスから10分間の酸素吹きを
行った。また、スラグの塩基度は、1.5〜2.0に調整し、
試験後の溶銑温度は1290〜1320℃であった。
【0040】その結果、脱リン剤中に占めるCaO純分と
Alの含有量の合計が、30%に満たないと脱リン能
力は低下し、スラグを再利用する際の建築資材としての
特性も低下することがわかった。すなわち、 WCaO純分+WAl2O3≧30% … (4)/(8) を満たせば、脱リン能力は低下せず、スラグの建築資材
としての特性も低下しない。
【0041】これは、CaO純分が低い場合は、塩基度を
確保するため、CaO純分として、脱リン剤以外のCaO源
を大量に投入しなければならないので、滓化性が悪くな
り、またAlが低い場合は、脱リン剤自体の滓化が
進行しないためであると考えられる。
【0042】本発明は、上述の知見をもとに完成に至っ
たものであり、その要旨は、下記(A)および(B)を
特徴とする脱リン剤、下記(C)、(D)および(E)
を特徴とする溶銑の脱リン方法および(F)を特徴とす
るスラグの使用方法にある。
【0043】(A)CaO源として、CaO、CaCOおよ
び/またはCa(OH)と、Al および/または金
属Alを含有し、下記(1)〜(4)式を満たす脱リン剤
(以下、第1発明の脱リン剤という)。
【0044】 WCaO純分/WAl2O3=0.2〜5.0 … (1) W金属Al/WCaO純分≦0.15 … (2) ((56.1/100.1)×WCaCO3+(56.1/74.1)×WCa(OH)2)/WCaO純分≧0 .05 … (3) WCaO純分+WAl2O3≧30% … (4) ただし、 WCaO純分:脱リン剤中に占めるCaO純分の質量%;W
CaO純分=WCaO+(56.1/100.1)×WCaCO3+(56.1/
74.1)×WCa(OH)2Al2O3:脱リン剤中に占めるAlの質量% WCaCO3:脱リン剤中に占めるCaCOの質量% WCa(OH)2:脱リン剤中に占めるCa(OH)の質
量% WCaO:脱リン剤中に占めるCaOの質量% W金属Al:脱リン剤中に占める金属Alの質量% (B)CaO源として、CaO、CaCOおよび/またはCa
(OH)と、Al および/または金属Alと、Fe
、FeおよびFeOのうち1種または2種以上を
含有し、下記(5)〜(9)式を満たす脱リン剤(以
下、第2発明の脱リン剤という)。
【0045】 WCaO純分/WAl2O3=0.1〜10 … (5) W金属Al/WCaO純分≦0.15 … (6) ((56.1/100.1)×WCaCO3+(56.1/74.1)×WCa(OH)2)/WCaO純分≧0 .05 … (7) WCaO純分+WAl2O3≧30% … (8) 3%≦WFe2O3+WFe3O4+WFeO≦25% … (9) ただし、 WCaO純分:脱リン剤中に占めるCaO純分の質量%;W
CaO純分=WCaO+(56.1/100.1)×WCaCO3+(56.1/
74.1)×WCa(OH)2Al2O3:脱リン剤中に占めるAlの質量% WCaCO3:脱リン剤中に占めるCaCOの質量% WCa(OH)2:脱リン剤中に占めるCa(OH)の質
量% WCaO:脱リン剤中に占めるCaOの質量% W金属Al:脱リン剤中に占める金属Alの質量% WFe2O3:脱リン剤中に占めるFeの質量% WFe3O4:脱リン剤中に占めるFeの質量% WFeO:脱リン剤中に占めるFeOの質量% ここで、粒形状を有する脱リン剤の粒径が5mm以下であ
ることが好ましい。また、粒形状を有する脱リン剤を成
形し、成形体としたことが好ましい。さらに成形体とし
たとき、成形体の見かけの気孔率が10〜50%であること
が好ましい。
【0046】(C)上記(A)または(B)の脱リン剤
を使用した脱リン方法であって、脱リン剤を転炉中の溶
銑に対して用いる溶銑の脱リン方法。
【0047】(D)上記(A)または(B)の脱リン剤
を使用した脱リン方法であって、溶銑に対し、脱リン剤
を投入するとともに、溶媒剤として、固体酸素源である
鉄鉱石、酸化スケール、鉄Mn鉱石、Mn鉱石のうち1種ま
たは2種以上を投入する溶銑の脱リン方法。
【0048】(E)上記(A)または(B)の脱リン剤
を使用した脱リン方法であって、溶銑に対し、溶媒剤と
ともに投入される脱リン剤が下記(10)および(1
1)を満たすことを特徴とする溶銑の脱リン方法。
【0049】 A脱リン剤×WCaO純分/TCaO≧5% … (10) A脱リン剤×WAl2O3/TAl2O3≧30% … (11) ただし、 A脱リン剤:投入される単位溶銑あたりの脱リン剤の使
用量(kg/ton) TCaO:脱リン剤と溶媒剤に含まれるCaOの総量(kg/t
on) TAl2O3:脱リン剤と溶媒剤に含まれるAlの総
量(kg/ton) (F)上記(C)、(D)または(E)に記載の脱リン
方法により生成したスラグを建築資材の材料として使用
するスラグの使用方法。
【0050】
【発明の実施の形態】本発明の脱リン剤は、上述の通り
(1)〜(9)式を満たすことが必要である。以下で
は、脱リン剤の発明について、各論を述べる。
【0051】第1発明の脱リン剤は、CaO源とAl
源(Alおよび金属Al)を含有し、(1)〜(4)
式を満たす脱リン剤であり、Al源の滓化効果に着
目したものである。
【0052】上述したように、金属Alはスラグ内で酸素
と反応して、部分的にスラグの酸化度を下げ、脱リン能
力を低下させる効果を有する。したがって、Al
はAl のみであることが好ましい。しかしながら、
(2)式で規定したように、脱リン剤中のCaO純分の含
有量に対して、金属Alの含有量が15%以下なら脱リン能
力の低下は小さい。
【0053】Al源としては、安価に、かつ大量に
使用可能なものとして、Al灰、ボーキサイト粉、バン土
頁岩粉(ドケツガンフン)などが挙げられるが、いずれ
のものを用いても問題はない。ただし、Al灰を用いる場
合には、Al灰中に金属Alが多く含まれているため、
(2)式を満たすことを条件として使用することができ
る。
【0054】一方、第2発明の脱リン剤は、CaO源、Al
源および酸化鉄(Fe、FeおよびFe
O)を含有し、(5)〜(9)式を満たす脱リン剤であ
り、酸化鉄の滓化効果に着目したものである。
【0055】第1発明の脱リン剤と比較するとわかるよ
うに、酸化鉄は、WCaO純分/WAl 2O3の範囲を広く
することができ、脱リン剤の材料組成の自由度を上げる
ことができる。
【0056】酸化鉄は、鉄鉱石、酸化スケールなどいず
れのものを用いても問題はない。また、本発明の脱リン
剤を作製するのに使用する酸化鉄は、その粒径が5mm
以下であることが好ましい。
【0057】また、第1発明および第2発明の脱リン剤
の共通の原料として、CaO源となるCaCOおよび/ま
たはCa(OH)が(3)式、(7)式を満たす範囲で
含まれていることが必要である。この他にもCaO源とし
ては、CaOが含まれていてもよい。
【0058】ここで、脱リン剤の製造前の成分組成が
(3)式、(7)式を満足していなくても、その使用時
に(3)式、(7)式を満足していればよい。CaOを大
気中に放置しておけば、大気中の水分と反応(水和反
応)して、その一部がCa(OH) になる。この現象を
利用すれば、(3)式、(7)式を満足した脱リン剤を
得ることができる。
【0059】調査の結果、脱リン剤の原料にCaO源とし
てCaOを単独で使用した場合でも、製造した後、使用す
るまで、少なくとも12時間以上、大気中に放置すれば、
CaOの5%以上がCa(OH)になる、すなわち、
(3)式、(7)式を満足する脱リン剤になることが確
認された。
【0060】したがって、製造から使用まで12時間以
上、大気中に放置すれば、特にCaCO やCa(OH)
を添加しなくても同じ効果が得られる。ただし、前述し
たb)の方法のように、脱リン剤を焼成して製造しようと
すると、CaOが他の酸化物と複合酸化物を作るため、水
和反応は起こりにくく、このような現象は見られないの
で注意が必要である。
【0061】以上のような成分組成を有する脱リン剤
は、粒形状を有し、その粒径が5mm以下であることが好
ましい。粒径が微細であるほど、滓化効果は高いが、粉
末の微細化はコストがかかり、容易に気相飛散してしま
う。そこで、粉末粒度と滓化指数の関係について調査し
た。
【0062】図4は、脱リン剤の粒度を変化させたとき
の滓化指数と脱リン剤の歩留まりを示したものである。
なお、図4中に示した脱リン剤の歩留まりは、炉に投入
したCaO量に対する試験後のスラグ中のCaO量の比(試
験後のスラグ中CaO量/投入CaO量)のことをいう。
【0063】試験は2.5トン試験転炉において、生石
灰、AlをWCaO純分/WAl2O が2になるよう
に調整混合した0.01〜10mmの粉末を10〜15kg/ton添加
した後、1350℃の2.5トンの溶銑に対し、上吹きランス
から10分間の酸素吹きを行った。また、スラグの塩基度
は、1.5〜2.0に調整し、試験後のスラグ中のT.Feは5〜1
5%、試験後の溶銑温度は1290〜1320℃であった。
【0064】図4より滓化指数は、粉末粒径が5mm以下
であれば、滓化指数を1以下となり、高い滓化性が得ら
れる。一方、脱リン剤の歩留まりは粒径が小さいほど悪
くなり、0.01mmでは60%しかない。以上から、粉末で脱
リン剤を添加する場合は、脱リン剤の粒径は5mm以下、
歩留まりを考慮に入れた場合には、脱リン剤の粒径は0.
05mm以上であることが好ましい。
【0065】このように、粒形状を有する脱リン剤を使
用するには、その粒径が小さい場合、脱リン剤の歩留ま
りが落ちることがあることに加え、炉への脱リン剤の投
入方法は、炉上バンカーからの投入が困難であり、脱リ
ン前に炉内にシュートなどで投入する必要があるため、
脱リン処理が開始されると追加の脱リン剤が投入できな
いなどの不便が多い。
【0066】したがって、粒形状を有する脱リン剤を成
形し、成形体とすることが好ましい。そこで、脱リン剤
をブリケット、ペレットなどに成形し使用する方法につ
いて検討した。
【0067】成形体にして使用する場合に、滓化性を確
保するには、成形体が炉内で速やかに崩壊し、粉末とな
れば、粉末で添加した場合と同様に滓化性は確保できる
はずである。そこで、成形体の崩壊性の指数として、成
形体の気孔率に着目した。
【0068】成形体の気孔率は、圧縮強度、材料の選択
により変化する。焼成処理をしていない脱リン剤では、
その成形体の気孔率が高いと、脱リン剤の熱伝導率は低
下し、脱リン剤自身の溶融には不利であるが、気孔内の
気孔の膨張効果により崩壊性は向上する。
【0069】一方、気孔率が低いと、脱リン剤の熱伝導
率は向上するが、崩壊性は低下する。また、焼結処理に
ついては、本発明の安価な脱リン剤は、成形体の気孔率
が下がり、崩壊性は低下するため、適さない。そこで、
脱リン剤の成形体の気孔率と滓化指数の関係について調
査した。
【0070】図5は、脱リン剤の成形体の気孔率と滓化
指数の関係を示したものである。
【0071】試験は、まず、生石灰、AlをW
CaO純分/WAl2O3が2になるように調整混合した0.
1、1、3、5mmの粉末を、焼結などのような1000℃を超え
る高温焼成処理を一切行わず、気孔率を5〜50%に調整
した約5cm角のブリケット状の脱リン剤を形成した。続
いて、2.5トン試験転炉において、この脱リン剤を10〜1
5kg/ton添加した後、1350℃の2.5トンの溶銑に対し、
上吹きランスから10分間の酸素吹きを行った。また、ス
ラグの塩基度は、1.5〜2.0に調整し、試験後のスラグ中
のT.Feは5〜15%、試験後の溶銑温度は1290〜1320℃で
あった。
【0072】図5より、滓化指数が1以下となるのは、
ブリケット成形前の脱リン剤の粉末粒度が5mm以下で、
かつ気孔率10%以上のときである。一方、気孔率が50%
を超えた場合は、成形体の強度が低下して、炉に投入す
る前に粉化するため、50%が上限である。したがって、
成形体の見かけの気孔率が10〜50%であることが好まし
い。
【0073】また、脱リン剤は、各原料粉末をブリケッ
ト、ペレットなどの形状に成形し、そのまま焼成などの
熱処理を行わずに使用することが好ましい。しかし、脱
リン剤に付与した余分な水分などを飛ばす、あるいは成
形強度を上げるためには低温で焼いてもよい。
【0074】このときの加熱温度は、原料粉末にCaCO
を使用する場合には、CaCOの解離温度である898
℃以下、Ca(OH)を使用する場合には、Ca(OH)
の解離温度である580℃以下、この両者を使用する場
合には580℃以下、CaOを使用する場合は、脱リン剤の
他の原料と反応して化合物を作らない温度である1000℃
以下とすればよい。
【0075】また、Ca(OH)を原料として使用して
いる場合、580℃以上で焼成するとCa(OH)は解離
してCaOとなる。しかし、脱リン剤の製造から使用まで
大気中で少なくとも12時間保管した場合には、CaOは再
びCa(OH)となることから、このような保管を前提
として脱リン剤を使用するのであれば、CaOが脱リン剤
の各原料と反応して化合物とならない温度である1000℃
以下で焼成してもよい。これらの温度で焼成を行って
も、脱リン剤の組成、滓化性に及ぼす影響はない。
【0076】
【実施例】本発明の効果を調べるにあたり、まず、本発
明の要件を全て満足する脱リン剤を作製し、試験転炉に
てその脱リン能力を調査した。
【0077】表1は、試験転炉で使用した脱リン剤の成
分組成、形状などを示したものである。
【0078】
【表1】
【0079】図6は、試験転炉における各脱リン剤の脱
リン率と滓化指数を示したものである。また、図6に
は、比較例として、脱リン剤のCaO源として、CaOのみ
用いたもの、およびCaOとCaFを用いたものについて
も同様に示した。ここで、脱リン率とは、脱リン前後に
おける溶銑のリン濃度の変化率をいい、脱リン前のリン
濃度を[P]、脱リン前のリン濃度を[P]とした
とき、([P]−[P ])/[P]×100で表し
たものである。なお、図6の本発明〜は、表1にお
ける〜に対応する。
【0080】試験は2.5トン試験転炉において、表1に
示す脱リン剤を溶銑1トンに対して5〜20kg投入し、そ
の他、溶媒剤として、CaO源(生石灰、CaCO、Ca
(OH) )、Al源(Alを含む造塊滓、Al
ドロス、Al灰など)を合計で0〜8kg/溶銑tonとなるよ
うに添加し、1350℃の2.5トンの溶銑に対し、上吹きラ
ンスから10分間の酸素吹きを行った。また、スラグの塩
基度は、1.5〜2.0に調整し、試験後の溶銑温度は1290〜
1320℃であった。
【0081】図6より、本発明の脱リン剤は、CaF
一切使用していないにもかかわらず、CaFを使用した
場合と同じ、あるいはそれ以上の高い脱リン率、滓化性
を有することが証明された。
【0082】また、この試験後、回収したスラグについ
て、路盤材として使用できるか否かを調べたところ、本
発明の脱リン剤を使用したスラグはいずれも再利用に耐
えうる特性を有していた。これは、本発明の脱リン剤が
いずれも滓化性が良好なために、フリーのCaOによる水
浸時の膨張がなく、また崩れにくいため、高い圧縮強度
を有するためである。そして、当然のように、フッ素を
含んでいないので、環境に与える影響もない。
【0083】さらに、製造現場で用いる実転炉にて、本
発明の脱リン剤の脱リン能力を調査した。
【0084】表2は、実転炉で使用した脱リン剤の成分
組成、形状などを示したものである。
【0085】
【表2】
【0086】図7は、実転炉における各脱リン剤の脱リ
ン率と滓化指数を示したものである。また、図7でも、
図6と同様に、比較例として、脱リン剤のCaO源とし
て、CaOのみ用いたもの、およびCaOとCaFを用いた
ものについても示した。なお、図7の本発明'〜'
は、表2における'〜'に対応する。
【0087】試験は実転炉に250トンの溶銑を装入し、
表2に示す脱リン剤を溶銑1トンに対して5〜25kg投入
し、その他、溶媒剤として、CaO源(生石灰、CaC
、Ca(OH))、Al源(Alを含む造
塊滓、Alドロス、Al灰など)、再利用した脱C滓、MgO
源(MgO、Mg(OH)、MgCO)、鉄鉱石、スケー
ル、鉄Mn鉱石、Mn鉱石を合計で2〜20kg/溶銑tonとなる
ように添加した。また、脱リン後の塩基度は、1.2〜1.8
となるように調整した。
【0088】これらの溶媒剤のうち、鉄鉱石、スケー
ル、鉄Mn鉱石およびMn鉱石は、固体酸素源となるため、
その量を調整することで、転炉内の熱調整が可能とな
る。これらを溶銑に投入しても脱リン後のスラグの特性
になんら影響はないことから、積極的に投入することが
できる。よって、転炉にて脱リン剤を行う際には、脱リ
ン剤を投入するとともに、鉄鉱石、スケール、鉄Mn鉱石
およびMn鉱石のうち1種または2種以上を投入すること
が好ましい。
【0089】底吹きガスには、N、COを使用し、
上吹きランスから6〜9分間の酸素吹きを行った。また、
脱リン前後の溶銑温度は1250〜1350℃、脱リン後のスラ
グ量は溶銑1トンに対し、22〜35kg発生した。
【0090】図7より、本発明の脱リン剤は、上記の試
験転炉の結果と同様に、CaFを一切使用していないに
もかかわらず、CaFを使用した場合と同じ、あるいは
それ以上の高い脱リン率、滓化性を有することが証明さ
れた。
【0091】また、この試験後、回収したスラグについ
て、路盤材として使用できるか否かを調べたところ、本
発明の脱リン剤を使用したスラグはいずれも再利用に耐
えうる特性を有していた。これは、本発明の脱リン剤が
いずれも滓化性が良好なために、フリーのCaOによる水
浸時の膨張がなく、また崩れにくいため、高い圧縮強度
を有するためである。そして、当然のように、フッ素を
含んでいないので、環境に与える影響もない。
【0092】なお、スラグに含まれるハロゲン化合物が
微量であれば、ハロゲンの溶出はほとんどなく、環境へ
の影響の心配もないので、スラグを路盤材などへの原料
として使用することが可能である。そのため、より滓化
性をよくするために、脱リン剤を溶銑へ投入する際に、
少量のCaFを脱リン剤の補助剤として加えてもよい。
そのときのCaF添加量は3kg/溶銑ton以下とすること
が好ましい。
【0093】また、実転炉における試験では、脱リン剤
とともに、脱リン剤と同じ成分である、CaO源、Al
源を含む溶媒剤を添加したが、このとき、少なくと
も、本発明による脱リン剤中に占めるCaO純分が、脱リ
ンに使用されるCaO純分の総量の5%以上で、かつ本発
明による脱リン剤中に占めるAlが、脱リンに使用
されるAlの総量の30%以上でないと、脱リン能力
が低下し、さらに、路盤材として使用するための特性を
満足できないことがわかった。
【0094】すなわち、A脱リン剤:投入される単位溶
銑あたりの脱リン剤の使用量(kg/ton)、TCaO:脱リ
ン剤と溶媒剤に含まれるCaOの総量(kg/ton)、T
Al2O3:脱リン剤と溶媒剤に含まれるAlの総量
(kg/ton)としたとき、溶銑に対し、溶媒剤とともに投
入される脱リン剤が下記(10)および(11)を満た
すことが好ましいことが判明した。
【0095】 A脱リン剤×WCaO純分/TCaO≧5% … (10) A脱リン剤×WAl2O3/TAl2O3≧30% … (11)
【0096】
【発明の効果】本発明の脱リン剤は、スラグを再利用す
る際に環境破壊を引き起こすCaFなどのハロゲン化合
物を含むことなく、高い滓化性が得られるので、高い脱
リン能力を有する。また、特別な設備・装置を使用する
ことが内ので、脱リン剤の製造のためのコストが増える
こともない。
【0097】そして、本発明の脱リン剤を使用すること
により得たスラグは、ハロゲン化合物を含んでおらず、
土壌環境に影響を与えるハロゲンの溶出もないので、路
盤材などの建築資材に使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、脱リン剤中のWCaO純分/WAl2O3
を変化させたときの滓化指数を示したものである。
【図2】図2は、脱リン剤中の酸化鉄の含有量を変化さ
せたときの滓化指数を示したものである。
【図3】図3は、脱リン剤中のCaO純分に占めるCaCO
およびCa(OH)の割合を変化させたときの吹錬時
間に対する滓化指数を示したものであり、(a)はCa
(OH)の割合をゼロとし、CaCOの割合を変化さ
せたもの、(b)はCaCOの割合をゼロとし、Ca(O
H)の割合を変化させたもの、(c)はCaCOとCa
(OH)をともに含有させ、CaCOとCa(OH)
の合計含有量を変化させたものを示したものである。
【図4】図4は、脱リン剤の粒度を変化させたときの滓
化指数と脱リン剤の歩留まりを示したものである。
【図5】図5は、脱リン剤の成形体の気孔率と滓化指数
の関係を示したものである。
【図6】図6は、試験転炉における各脱リン剤の脱リン
率と滓化指数を示したものである。
【図7】図7は、実転炉における各脱リン剤の脱リン率
と滓化指数を示したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 良雄 茨城県鹿嶋市大字光3番地 住友金属工業 株式会社鹿島製鉄所内 Fターム(参考) 4K014 AA03 AB02 AB03 AB04 AB06 AB12 AB21 AC16 AE01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】CaO源として、CaO、CaCOおよび/ま
    たはCa(OH)と、Alおよび/または金属Alを
    含有し、下記(1)〜(4)式を満たすことを特徴とす
    る脱リン剤。 WCaO純分/WAl2O3=0.2〜5.0 … (1) W金属Al/WCaO純分≦0.15 … (2) ((56.1/100.1)×WCaCO3+(56.1/74.1)×WCa(OH)2)/WCaO純分≧0 .05 … (3) WCaO純分+WAl2O3≧30% … (4) ただし、 WCaO純分:脱リン剤中に占めるCaO純分の質量%;W
    CaO純分=WCaO+(56.1/100.1)×WCaCO3+(56.1/
    74.1)×WCa(OH)2Al2O3:脱リン剤中に占めるAlの質量% WCaCO3:脱リン剤中に占めるCaCOの質量% WCa(OH)2:脱リン剤中に占めるCa(OH)の質
    量% WCaO:脱リン剤中に占めるCaOの質量% W金属Al:脱リン剤中に占める金属Alの質量%
  2. 【請求項2】CaO源として、CaO、CaCOおよび/ま
    たはCa(OH)と、Alおよび/または金属Al
    と、Fe、FeおよびFeOのうち1種または2
    種以上を含有し、下記(5)〜(9)式を満たすことを
    特徴とする脱リン剤。 WCaO純分/WAl2O3=0.1〜10 … (5) W金属Al/WCaO純分≦0.15 … (6) ((56.1/100.1)×WCaCO3+(56.1/74.1)×WCa(OH)2)/WCaO純分≧0 .05 … (7) WCaO純分+WAl2O3≧30% … (8) 3%≦WFe2O3+WFe3O4+WFeO≦25% … (9) ただし、 WCaO純分:脱リン剤中に占めるCaO純分の質量%;W
    CaO純分=WCaO+(56.1/100.1)×WCaCO3+(56.1/
    74.1)×WCa(OH)2Al2O3:脱リン剤中に占めるAlの質量% WCaCO3:脱リン剤中に占めるCaCOの質量% WCa(OH)2:脱リン剤中に占めるCa(OH)の質
    量% WCaO:脱リン剤中に占めるCaOの質量% W金属Al:脱リン剤中に占める金属Alの質量% WFe2O3:脱リン剤中に占めるFeの質量% WFe3O4:脱リン剤中に占めるFeの質量% WFeO:脱リン剤中に占めるFeOの質量%
  3. 【請求項3】粒形状を有する脱リン剤の粒径が5mm以下
    であることを特徴とする請求項1または2に記載の脱リ
    ン剤。
  4. 【請求項4】粒形状を有する脱リン剤を形成し、成形体
    としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載
    の脱リン剤。
  5. 【請求項5】前記成形体の見かけの気孔率が10〜50%で
    あることを特徴とする請求項4に記載の脱リン剤。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれかに記載の脱リン剤
    を使用した脱リン方法であって、前記脱リン剤を転炉中
    の溶銑に対して用いることを特徴とする溶銑の脱リン方
    法。
  7. 【請求項7】請求項1〜5のいずれかに記載の脱リン剤
    を使用した脱リン方法であって、溶銑に対し、脱リン剤
    を投入するとともに、溶媒剤として、固体酸素源である
    鉄鉱石、酸化スケール、鉄Mn鉱石、Mn鉱石のうち1種ま
    たは2種以上を投入することを特徴とする溶銑の脱リン
    方法。
  8. 【請求項8】請求項1〜5のいずれかに記載の脱リン剤
    を使用した脱リン方法であって、溶銑に対し、溶媒剤と
    ともに投入される脱リン剤が下記(10)および(1
    1)を満たすことを特徴とする溶銑の脱リン方法。 A脱リン剤×WCaO純分/TCaO≧5% … (10) A脱リン剤×WAl2O3/TAl2O3≧30% … (11) ただし、 A脱リン剤:投入される単位溶銑あたりの脱リン剤の使
    用量(kg/ton) TCaO:脱リン剤と溶媒剤に含まれるCaOの総量(kg/t
    on) TAl2O3:脱リン剤と溶媒剤に含まれるAlの総
    量(kg/ton)
  9. 【請求項9】請求項6〜8のいずれかに記載の脱リン方
    法により生成したスラグを建築資材の材料として使用す
    ることを特徴とするスラグの使用方法。
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