JP3316270B2 - 金属精錬用石灰系フラックスの製造法 - Google Patents

金属精錬用石灰系フラックスの製造法

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JP3316270B2
JP3316270B2 JP22798393A JP22798393A JP3316270B2 JP 3316270 B2 JP3316270 B2 JP 3316270B2 JP 22798393 A JP22798393 A JP 22798393A JP 22798393 A JP22798393 A JP 22798393A JP 3316270 B2 JP3316270 B2 JP 3316270B2
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律雄 但馬
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属精錬用石灰系フラッ
クスの製造法に係り、詳しくは、水酸化カルシウムと水
酸化アルミニウムの混合物から、カルシウムアルミネー
トに匹敵した脱硫作用を発揮すると共に溶鋼金属介在物
のスラグ化を助長することができる塊状または粉状の石
灰系フラックスを得る石灰系造滓剤の製造法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】鋼材中の不純物元素を低減させるため
に、鋼の溶製中に、スラグよって脱酸,脱硫や脱燐さら
には介在物の形態制御などをすることが種々の方法で行
われている。その精錬過程において溶鋼中の硫黄分など
と反応させて製鋼スラグの生成の促進を図るために、転
炉や電気炉内の溶鋼に造滓剤としてのソーダ灰系フラッ
クスや石灰系フラックス(主として生石灰CaO)がブ
リケットにして投入されたり、粉体状にしてサブランス
から吹き込まれたりする。
【0003】上記したうちフラックスを粉体状とする場
合には、溶鋼の攪拌効果を上げるための窒素やアルゴン
ガスなどと共にインジェクションされるが、ガス単体の
インジェクションに比べて均一混合時間が大幅に短縮さ
れ、かつ、スラグ生成の大幅な助長を図ることができ
る。しかし、生成されたスラグが再利用できないことな
どの理由によって、ソーダ灰系フラックスの使用は最近
少なくなりつつあり、石灰系フラックスが急速に脚光を
浴びるようになってきている。
【0004】なお、ランスから吹き込まれる石灰系フラ
ックスの場合は細かいほど反応性が高く、100メッシ
ュよりも200メッシュ、200メッシュよりも300
メッシュのものが好適である。したがって、粉砕方法に
ついて種々の検討も加えられている。
【0005】一方、石灰はもともと融点が高く(CaO
の融点は2,572℃である)、溶鋼中での反応滓化を
促進するために、上記した石灰系フラックスの微細化以
外に次の方法が考えられている。それは、水和性をよく
すること、石灰粉の中心に極めて僅かなCO2 を残存さ
せること、蛍石などのふっ化物を添加して融点を降下さ
せ、石灰粉の周辺に2CaO・SiO2 の膜を形成させ
ないようにすること、人工鋼滓をつくることなどが挙げ
られる。
【0006】上記した石灰系フラックスとしての生石灰
CaOは、石灰石CaCO3 を900℃ないし1,20
0℃で焼成して得ることができる。これは軟焼生石灰と
言われ、焼成によって炭酸ガスCO2 の抜けた空孔が存
在して比表面積は大きく、溶鋼中のサルファ分などと反
応してスラグを生成する活性度の高いものである。そし
て、圧縮強度も高くて衝撃に強く、輸送や炉内への投入
の取り扱いが容易である。
【0007】しかし、石灰石を焼成するときには大量の
炭酸ガスが発生すること、焼成や假焼温度が高く燃料消
費量の増大を招くこと、假焼温度の上昇を抑える場合に
は、超微粉化させる必要があって粉砕エネルギの増大が
避けられないことなどの問題がある。また、石灰石はセ
メント原料やカーバイドの製造その他の用途に広くかつ
大量に使用されることから、安定した供給を長期間にわ
たって確保することが容易でない状況となりつつもあ
る。
【0008】そこで、石灰系フラックスを製造しなけれ
ばならない場合には、安定供給が何時までも保証される
ことのない天然資源の石灰石の消費量の節減を図ること
が望まれる。ちなみに、石灰石から脱硫や脱燐用の造滓
剤としての生石灰粉を製造する新しい方法が、特開平4
−149045号公報に記載されている。
【0009】ところで、脱燐・脱硫処理のためのCaO
系フラックスは、溶鋼をAlで脱酸した場合、基本的に
はCaO・Al2 3 系スラグを生成する。このCaO
・Al2 3 系スラグは脱硫能力と脱酸能力が高く、そ
れゆえ、カルシウムアルミネートは溶鋼の二次精錬にお
けるフラックスとしても注目されている。とりわけ、1
2CaO・7Al2 3 は溶融点が1,385℃であ
り、スラグの低融点化を促進することからも、最近特に
注目を浴びている。
【0010】前記した蛍石CaF2 は、製鋼作業などに
おいて製品中に不純物が入らないように不純物と化合す
る溶剤として鉱滓の分離を促進させたり、脱硫,脱燐さ
せるなどするうえで重要な原料であり、とりわけ製鋼作
業において消費される割合が大きい。この蛍石などのふ
っ化物を石灰系フラックスに添加しておくと、造滓時の
石灰系フラックスの融点を実質的に下げる効果があるこ
とも知られている。
【0011】これは、CaOの溶融スラグへの溶解メカ
ニズムにおいて、CaO・SiO2系スラグで生成され
る化合物相2CaO・SiO2 が、融点の低い蛍石の溶
融によって生じるぬれ層を通して滓化されやすくなるか
らであると言われている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、フラックス
に使用される生石灰は、水酸化カルシウムCa(OH)2
を脱水して製造することもできる。そして、水酸化カル
シウムは、脱水すると極めて反応性が高く、石灰石を假
焼する場合よりも低い温度で生石灰を得ることができる
こと、その比表面積は二倍以上のものが得られること
も、ある種の研究によってかなり以前から知られている
(例えば、Journal of Application Chemistry: 1958年
12月8日発行参照)。
【0013】しかし、金属精錬における塊状フラックス
として利用できるかどうかの実証的な研究には及んでい
ない。これは、水酸化カルシウム自体が安価な工業用塩
基であり、腐食剤,建築材料などに向けられることが多
く、石灰系フラックスへの転化はほとんど試みられてい
ないのが実情であるからである。そして、水酸化カルシ
ウムが粉体であって假焼する場合の取り扱いが厄介であ
ること、假焼した場合にますます粉化して、塊状フラッ
クスとしての固形化が困難であるということも原因して
いる。
【0014】前述したごとく、カルシウムアルミネート
は、溶融点が低くまたスラグの低融点化を促進する。と
りわけ12CaO・7Al2 3 はフラックスとして高
品質なものであるが、それゆえ極めて高価である。その
12CaO・7Al2 3 に代わる安価なカルシウムア
ルミネートは、例えば金属カルシウムを熱還元法によっ
て製造する際に、その副産物として得ることができる。
【0015】これは、CaCO3 の熱分解により得たC
aOの粉末に高純度のAl片またはAl粉末を混合して
ブリケットを作り、そのブリケットを水平炉に入れて1
-3トールの真空中で加熱し、1,050℃ないし1,
200℃で還元して生成される。しかしながら、これと
て上記の製造過程が余儀なくされ、手間を要して高価な
ものとなり、精錬コストの低減を図るうえでも保管にも
種々の問題がつきまとう難点がある。
【0016】一方、前記したように、石灰系フラックス
に蛍石を添加して系内の酸素ポテンシャルを制御し、か
つ、フラックスの融点を下げれば、脱燐や脱硫作用が著
しく向上する。したがって、蛍石を添加した石灰系フラ
ックスを製造するための研究は従来から行われていると
ころであり、現在、溶融処理法と焼結処理法の二つの製
造方法が実用段階に入っている。
【0017】前者は、蛍石の塊状体と石灰石の塊状体と
を、ロータリキルンや電気炉などで1,500℃以上の
高温により溶融させる方法である。この場合は、溶融物
を取り出した後に冷却し、1mmないし2mm径程度に
粉砕したり、ローラミルなどによって微粉化するなどし
て、造滓剤とされる。
【0018】このような溶融処理法によって製造された
石灰系の造滓剤はプリメルトされているので、滓化作用
させる場合には溶鋼中で迅速に融け、反応性が向上する
利点がある。しかし、融点の高い石灰をフラックス製造
時に溶融させるための高い温度が要求されること、炉か
ら取り出した後に冷却して粉砕しなければならず、イン
ジェクション用フラックスとする場合には、粉砕コスト
の著しい増大をきたすなどの難点がある。
【0019】後者の焼結処理法は、蛍石と石灰石とをそ
れぞれ予め超微粉化しておき、ロータリキルンなどで
1,200℃ないし1,300℃の温度によって焼成さ
せる方法である。これは、焼結体として取り出され、ブ
リケットマシンなどによって塊状に整形して使用され
る。
【0020】このようなブリケット状の石灰系フラック
スは、先に述べた溶融処理法の場合よりも安価に製造す
ることができると言われている。すなわち、予め超粉砕
しておくことによって焼結温度を低くできるという着想
に基づいているからであり、溶融処理法のように高い温
度は必要とされない。しかし、キルン投入前の超微粉砕
工程が必要とされるので、そのための動力消費量は避け
られない。また、キルンに粉体を投入するという取り扱
いの厄介さがあり、さらには、投入物が集塵機へ逸失す
るのを防ぐ手立ても施しておかなければならない問題が
ある。
【0021】なお、蛍石の融点は1,360℃であり、
いずれの方法を用いた場合も、蛍石が大なり小なり反応
を起こして、耐火壁を損傷させるという問題が生じる。
これは、脱燐効果を上げるために蛍石の投入量を多くし
た場合にますますひどく現れる。
【0022】ましてや、溶融処理法では蛍石や石灰石を
溶融させるために炉内温度が高く、蛍石によって耐火壁
の煉瓦が溶損し、炉壁の補修を頻繁に行わなければなら
なくなる。蛍石の投入量を少なくすれば、融点の高い石
灰を溶融させるために2,000℃を越える温度が要求
され、燃料消費量は一段と増大して、フラックスの製造
コストが大幅に上昇する難点がある。
【0023】本発明は上記の問題に鑑みなされたもの
で、その目的は、水酸化カルシウムの利用を図って、天
然資源である石灰石の消費量を抑制すると共に製造の際
に炭酸ガスの発生を少なくして環境保全に寄与できるこ
と、石灰石を主原料として假焼する塊状石灰系フラック
スの製造法に比べて低い温度での假焼を可能にし、燃料
原単位を低減できること、動力消費の激しい粉砕工程な
どが少なくなりエネルギ消費の低減が可能になること、
焼成温度の上昇を抑えて燃料消費を少なくし安価な石灰
系フラックスを得ることができること、産業廃棄物の利
用の途を開き、天然資源である石灰石の消費量を少なく
すること、を実現した金属精錬用石灰系フラックスの製
造法を提供することである。
【0024】なお、本発明は、フラックス原料を石灰石
から水酸化カルシウムに置き換えると、石灰系フラック
スを生成する假焼温度の低下が実現できること、その比
表面積は著しく大きく反応性の高いものになること、そ
れのみならず、原料を造粒して假焼するという従来から
ほとんど着目されていなかった手法の採用と水酸化アル
ミニウムを混合するということによって、水酸化カルシ
ウムの粉化が防止されるという知見によっている。
【0025】加えて、産業廃棄物であるアルミ精錬滓は
水酸化アルミニウムAl(OH)3であって、これを使用
すると、12CaO・7Al2 3 などの高級石灰系フ
ラックスと同等の機能を発揮させることができること、
また、同じく産業廃棄物であるカーバイドスラグには多
量のCa(OH)2 が含まれ、純粋な水酸化カルシウム
でないカーバイドスラグであっても、造粒して水酸化ア
ルミニウムと共に假焼すれば造滓剤として供しえるこ
と、といったごとく本発明は分野の異なる産業から出る
廃棄物の利用を広い視野から検討し、完成されたもので
ある。
【0026】
【課題を解決するための手段】本発明は、金属精錬炉に
おける溶湯内に供給し、溶融金属中のサルファ分等と反
応させて金属スラグ生成の促進を図るために使用される
石灰系フラックスの製造法に適用される。その特徴とす
るところは、水酸化アルミニウムAl(OH)3の粉末を
70重量%ないし20重量%とし、それに30重量%な
いし80重量%の粉末水酸化カルシウムCa(OH)2
混合する。その混合粉末に対して8重量%ないし15重
量%の水を添加して5mmないし20mm径に造粒し、
その造粒物を焼成炉において600℃ないし900℃の
温度で假焼するようにしたことである。なお、水酸化ア
ルミニウムとして産業廃棄物であるアルミ精錬滓を採用
したり、水酸化カルシウムとしてカーバイドスラグを採
用することができる。
【0027】このような石灰系フラックスは塊状焼成物
となっていて、そのまま転炉や電気炉の溶鋼に投入した
り、冷却した後に0.5mm径以下好ましくは100メ
ッシュ以下に粉砕してフラックスインジェクションすれ
ば、精錬中に生じるスラグの溶融温度の低下を図って脱
硫作用を促し、鋼材中の不純物元素を低減するように溶
鋼の介在物の形態を制御することができる。
【0028】
【作用】水酸化アルミニウムも水酸化カルシウムも粉末
状であり、前者を70重量%ないし20重量%の比率と
し、後者を30重量%ないし80重量%にして混合し、
この混合物全体に対して8重量%ないし15重量%の水
を添加する。そして、5mmないし20mm径に造粒し
て、焼成炉において600℃ないし900℃の温度で1
時間ないし5時間假焼すると、石灰系フラックスが生成
される。
【0029】これを塊状のままもしくは必要ならば粗粉
砕して転炉や電気炉などの金属精錬炉における溶湯内に
供給し、溶融金属中の硫黄分と反応させて金属スラグ生
成の促進を図ることができる。
【0030】水酸化アルミニウムとしてアルミ精錬滓を
使用しても、また水酸化カルシウムとしてカーバイドス
ラグを使用しても、石灰系造滓剤としてのフラックス機
能を十分に発揮させることができ、産業廃棄物の利用の
途も図られる。いずれにしても、假焼後に冷却して0.
5mm径以下好ましくは100メッシュ以下に粉砕すれ
ば、インジェクション用の粉状石灰系フラックスとする
ことができる。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、假焼するとますます粉
化する水酸化カルシウムを主原料としても、塊状の石灰
系フラックスを製造することができる。石灰石を假焼し
てフラックスとしての生石灰を得る場合に比べて低い6
00℃ないし900℃の假焼温度で生成でき、燃料原単
位の低減が実現される。假焼に先立ち微粉化させておく
必要もなく、動力消費の少ない造粒操作で実現され、焼
結処理法により石灰系フラックスを得る場合に比べて著
しい省エネルギが図られる。また、石灰石を用いないこ
とから、假焼時に原料から発生する炭酸ガス量も低減さ
れる。
【0032】生成された石灰系フラックスは比表面積が
大きく、安価に製造することができるにもかかわらず、
高級な12CaO・7Al2 3 に匹敵するほどに溶融
点が低く、また、スラグの低融点化を促進する。そし
て、精錬中に生じるスラグの溶融温度の低下を図って脱
硫作用を促し、通常投入される石灰系フラックスの投入
量を節減しながら鋼材中の不純物元素を低減するよう
に、溶鋼の介在物形態をも制御することができる。
【0033】水酸化アルミニウムの代替物としてアルミ
精錬滓を、水酸化カルシウムの代替物としてカーバイド
スラグを使用することが可能であり、産業廃棄物の利用
の途も開かれ、天然資源の有効な利用や資源のサイクル
化が可能となる。後者にあっては石灰石の消費が抑制さ
れることによって省資源化も図られ、また、焼成時の石
灰石からの炭酸ガスの発生量が少なくなり、環境保全に
も寄与する。いずれの場合も、塊状焼成物を冷却した後
に、0.5mm径以下に粉砕すれば粉状石灰系フラック
スとなり、フラックスインジェクション法による使用も
可能となる。
【0034】
【実施例】以下に、本発明に係る金属精錬に使用される
造滓剤としての石灰系フラックスの製造法について、詳
細に説明する。この石灰系フラックスは、転炉や電気炉
などの製鋼炉内に投入され、溶融金属中のサルファ分な
どと反応させて、金属スラグ生成の促進を図るために使
用される。すなわち、鋼材中の不純物元素を低減させる
ため、溶鋼の精錬中に、石灰系フラックスを溶湯へ投入
し、溶融金属中の硫黄分と反応させて金属スラグ生成の
促進を図り、さらには介在物の形態も制御することがで
きる。
【0035】その石灰系フラックスは、以下の工程を経
て製造される。まず、水酸化アルミニウムAl(OH)3
の粉末を70重量%ないし20重量%とし、30重量%
ないし80重量%の粉末水酸化カルシウムCa(OH)2
を混合する。そして、その混合粉末に対して8重量%な
いし15重量%の水を添加して、ペレタイザーや型押機
などを用いて5mmないし20mm径程度の大きさに造
粒する。そして、その造粒物をベッケンバッハ炉,メル
ツ炉もしくはロータリキルンなどの焼成炉において60
0℃ないし900℃の温度で1時間ないし5時間假焼す
ると、5mmないし30mmの大きさの塊状の石灰系フ
ラックスが生成される。
【0036】このようにして得られた石灰系フラックス
は、假焼すると粉化した生石灰となる水酸化カルシウム
を30重量%以上使用しているにもかかわらず塊状とな
る。これは石灰石を假焼した場合と同等の取り扱いが可
能であり、そのままもしくは整粒または粗粉砕するなど
して溶鋼に投入し、滓化作用の高い造滓剤として機能さ
せることができる。なお、假焼時間は通常1時間ないし
3時間あれば十分であるが、造粒物量が多くて容量の大
きい焼成炉を使用せざるを得ない場合には5時間程度の
假焼時間を要する。
【0037】詳しく述べると、水酸化アルミニウムは市
販品もしくはアルミ精錬滓が採用される。いずれも粉末
であり、造粒するにおいて予め粉砕しておく必要もな
い。アルミ精錬滓における水酸化アルミニウムの含有率
は著しく高く、産業廃棄物の利用の途が開かれ、しか
も、極めて安価に入手することができる。なお、水酸化
アルミニウムの融点は300℃であり、水酸化カルシウ
ムと共に假焼すると簡単に溶融させることができる。
【0038】一方、水酸化カルシウムとしては消石灰を
使用すればよく、その融点は580℃であり、水酸化ア
ルミニウムともども600℃以上で假焼するにおいて何
らの障害がない。これは石灰石の消費量を節減する意味
と、石灰系フラックスを製造する際に600℃ないし9
00℃といった低い假焼温度を実現する。すなわち、石
灰石CaCO3 を假焼して石灰系フラックスとしての生
石灰を製造する場合よりも低い温度で生成することがで
きる。その比表面積は石灰石から得る場合の二倍以上も
あって、造滓時の反応性も向上する利点がある。しか
し、この水酸化カルシウムは安価な工業用塩基であっ
て、腐食剤や建築材料などに向けられるため入手が容易
でないことが多い。
【0039】そこで、消石灰に代えてCa(OH)2
多量に含むカーバイドスラグで代替させることができ
る。カーバイドスラグは、カーバイドCaC2 に水を加
えてアセチレンガスC2 2 を製造するとき多量に発生
する。これは、カーバイドを1トン生産する際に1.1
6トンも排出され、わが国では年間50万トン以上もの
廃棄もしくは再利用処理が余儀なくされていると言われ
ている。その一方で、カーバイドスラグは上記した消石
灰と同じCa(OH)2 が90%以上、多い場合には9
6%も含まれていることが知られている。
【0040】したがって、従来から、カーバイドスラグ
は、セメント原料,化学肥料,耐火炉材,道路安定材,
土壌改良材や汚水処理用の廃液中和材などとして利用さ
れているが、依然として産業廃棄物として処分される量
も多く、その処理や取り扱いには多くの問題を抱えてい
る。このようなことから、石灰石を原料とする他の産業
分野から廃棄されるものを、製鋼用などの造滓剤の製造
に供すことができれば省資源の観点からも好ましい。
【0041】ここで、本石灰系フラックスの製造にあた
っての代表的な例を挙げると、以下のようである。
【表1】 上記は2時間假焼した場合であるが、いずれの例におい
ても、塊状のフラックスとして十分なもので、サルファ
イドキャパシティが大きく、CaO飽和で高い脱硫機能
を発揮する。したがって、造滓剤として12CaO・7
Al2 3 に匹敵する性能が発揮される。すなわち、精
錬中に生じるスラグの溶融温度の低下を図って脱硫作用
を促し、通常投入される石灰系フラックスの投入量を節
減しながら鋼材中の不純物元素を低減するように、溶鋼
の介在物の形態をも制御することが確認された。
【0042】以上の説明から分かるように、焼成炉に投
入する前に造粒物をつくるとき、水酸化アルミニウムと
水酸化カルシウムとを適宜の比率で混合すればよい。水
酸化カルシウムが多いほど假焼温度を低くできるが、そ
の混合比率については80重量%を越えない範囲で特に
規定されるものではない。そして、カルシウムアルミネ
ートに匹敵した脱硫作用を発揮すると共に溶鋼金属介在
物のスラグ化を助長する塊状または粉状の石灰系フラッ
クスを極めて低廉に製造することができる。
【0043】また、水酸化カルシウムの入手が十分でな
い場合や、産業廃棄物の利用を促進する場合には、上記
したごとく、カーバイドスラグを採用すればよい。予め
粉末の状態にある原料の採用で粉砕動力の消費が可及的
に少なくなり、その一方で、混合して造粒されることに
よってキルンなどへの投入も可能で、投入原料がキルン
集塵機へ持ち去られることもなくなる。
【0044】上記した工程を経て製造された焼成物は、
冷却した後に0.5mm径以下好ましくは100メッシ
ュ以下にローラミルなどによって粉砕すれば、転炉や電
気炉などの製鋼炉内の溶鋼に、アルゴンガスなどと共に
吹き込むことができる。すなわち、サブランスを介して
溶鋼中に窒素やアルゴンなどと共にインジェクションす
ると、その不活性ガスによって溶鋼の攪拌効果が上げら
れると共に、粉末のフラックスが均一混合時間を大幅に
短縮し、かつ、溶鋼中の不純物元素と反応して金属スラ
グの生成が助長される。
【0045】このようにして石灰系フラックスを製造す
るとき低い焼成温度の実現によって燃料消費も低減され
る。水酸化カルシウムとして産業廃棄物であるカーバイ
ドスラグも利用することができ、資源利用のサイクル化
が図られる。これに加えて、焼成時に石灰石から出る炭
酸ガス量もある程度抑制され、環境保全にも寄与するこ
とができる。ちなみに、本発明は造粒と焼成とが不可避
な工程であるが、造粒時の原料粒度の選定や造粒処理の
必要性を見出したことが、本発明を完成させるに至った
大きな要因である。また、水酸化アルミニウムとしてア
ルミ精錬滓を採用すると安価に入手でき、これによって
も産業廃棄物を利用することができるようになる。
【0046】以上は、転炉や電気炉など製鋼炉を例にし
て、それに使用される石灰系フラックスの製造法として
説明したが、製鉄に限らず他の金属の精錬においても適
用することができる。なお、上記した材料は主たるもの
であり、焼成工程において弊害が生じなく、また、フラ
ックスとしての品質に悪い影響を与えない限り、他の副
資材例えばアルミナ,珪酸,酸化鉄などを含ませること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−38515(JP,A) 特開 昭63−195208(JP,A) 特開 昭50−116319(JP,A) 特開 昭59−215407(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21C 7/076

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属精錬炉における溶湯内に供給し、溶
    融金属中の硫黄分等と反応させて金属スラグ生成の促進
    を図るために使用される石灰系フラックスの製造法にお
    いて、 水酸化アルミニウムの粉末を70重量%ないし20重量
    %とし、それに30重量%ないし80重量%の粉末水酸
    化カルシウムを混合し、 上記混合粉末に対して8重量%ないし15重量%の水を
    添加して5mmないし20mm径に造粒し、 その造粒物を焼成炉において600℃ないし900℃の
    温度で假焼したことを特徴とする金属精錬用石灰系フラ
    ックスの製造法。
  2. 【請求項2】 前記水酸化アルミニウムとして、アルミ
    精錬滓が採用されていることを特徴とする請求項1に記
    載された金属精錬用石灰系フラックスの製造法。
  3. 【請求項3】 前記水酸化カルシウムとして、カーバイ
    ドスラグが採用されていることを特徴とする請求項1ま
    たは請求項2に記載された金属精錬用石灰系フラックス
    の製造法。
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