JPH06322429A - 溶融金属の清浄化と介在物の制御方法 - Google Patents

溶融金属の清浄化と介在物の制御方法

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JPH06322429A
JPH06322429A JP13648093A JP13648093A JPH06322429A JP H06322429 A JPH06322429 A JP H06322429A JP 13648093 A JP13648093 A JP 13648093A JP 13648093 A JP13648093 A JP 13648093A JP H06322429 A JPH06322429 A JP H06322429A
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molten metal
calcium
metal
cleaning
ladle
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JP13648093A
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Ritsuo Tajima
律雄 但馬
Kazuo Wakabayashi
一男 若林
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OSAKA KOUKAI KK
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OSAKA KOUKAI KK
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  • Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属カルシウムを用いた溶融金属の清浄化と
介在物の制御を廉価に実現しつつ、副次的生成物である
カルシウムアルミネートの利用を図ること。 【構成】 生石灰粉末とアルミニウム粉末などを用いて
ブリケットを製作し、それを溶融金属と略同種の金属製
容器に封じ込んで約10-3トールの真空状態とする。こ
れを受湯前の取鍋に投入し、バーナによって取鍋を予め
加熱するとき、その熱を利用して1,050℃ないし
1,200℃に昇温させ、金属カルシウムとカルシウム
アルミネートとを生成しておく。溶融金属を取鍋に注入
すると金属製容器が溶解して金属カルシウムと溶融金属
との反応を実現し、脱硫などによって溶融金属の清浄化
が図られる。カルシウムアルミネートは造滓効果を発揮
して低融点スラグの生成を促進し、脱酸,脱硫や脱燐を
助長させ、溶融金属介在物の制御が実現され、美麗で良
質の金属が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は溶融金属の清浄化と介在
物の制御方法に係り、詳しくは、溶鋼金属に介在するサ
ルファ分などを金属カルシウムによって清浄化すると共
に、その金属カルシウムの生成に伴って生じるカルシウ
ムアルミネートをフラックスとして利用し、精錬中に生
じるスラグの溶融温度の低下により脱酸,脱硫や脱燐作
用の促進を図るべく溶鋼金属介在物のスラグ化を助長す
る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】溶鋼中にはサルファなどの介在物が含ま
れているが、これらは鋼質を低下させるので、種々な方
法でスラグ化して除去される。最近では、鋼の溶製中に
スラグによって脱酸,脱硫や脱燐を促し介在物の形態制
御をすることが種々の方法で行われている。このよう
に、精錬過程において溶鋼中の硫黄分などと反応させて
製鋼スラグの生成の促進を図るために、転炉や電気炉内
の溶鋼にソーダ灰系フラックスや石灰系フラックスを吹
き込むフラックスインジェクション法も、効果的な手段
の一つとして広く採用されるに至っている。しかし、ソ
ーダ灰系フラックスは生成されたスラグが再利用できな
いことから、石灰系フラックスが注目されるようになっ
てきている。
【0003】ところで、カルシウムは脱硫機能を発揮す
るので、溶鋼の清浄化ならびに溶鋼介在物の制御のため
にカルシウム合金や金属カルシウムを溶鋼に添加させる
ことがある。例えば溶鋼を受けた取鍋に金属カルシウム
を塊状のまま投入したり、粉末状にしてインジェクショ
ンするなどして、二次精錬の段階で溶鋼と反応させてい
る。二次精錬された溶鋼は取鍋からタンディッシュへ移
され、連鋳用モールドから連続的に鋳造されるが、金属
カルシウムが添加されていると鋳造表面は美麗となると
共に、不純物の極めて少ない良質の鋼材が得られる。こ
れは、石油パイプラインなどに使用される高級鋼となっ
たり、鋼の機械的性質例えば伸びや絞り性能が向上した
加工性の優れたものとすることができる利点がある。こ
のように、金属カルシウムを溶鋼に添加するとカルシウ
ムが溶鋼介在物と反応し、脱硫機能を発揮してスラグ化
させることは知られているところである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の金属カルシウム
は電解法や熱還元法によって製造されるが、最近では高
い純度の得られる熱還元法がしばしば採用される。これ
は、CaCO3 の熱分解により得たCaOの粉末に高純
度のAl片またはAl粉末を混合してブリケットを作
り、そのブリケットを水平炉に入れて10-3トールの真
空中で加熱し、1,050℃ないし1,200℃で還元
して製造される(例えば、音谷登平,形浦安治共著「カ
ルシウム鋼・清浄化と介在物制御」丸善株式会社発行参
照)。すなわち、CaOとAlとが還元反応してカルシ
ウム蒸気が発生し、炉内の低温部に拡散するとそこで凝
縮して99%程度のCaが得られる。ちなみに、この熱
還元法によって金属カルシウムを生成する際に副産物と
して生じるカルシウムアルミネートCaO・Al2 3
は、廃棄処分されることが多い。
【0005】ところで、脱燐・脱硫処理のためのフラッ
クスとしてCaO系がある。これは溶鋼をAlで脱酸す
ることにより、基本的にはCaO・Al2 3 系スラグ
を生成する。このCaO・Al2 3 系スラグは脱硫能
力と脱酸能力が高く、それゆえ、カルシウムアルミネー
トは溶鋼の二次精錬におけるフラックスとしても注目さ
れつつある。しかし、ESR(Electro Slag Remeltin
g)法以外では、従来の金属精錬にほとんど利用されて
いない。例えば、12CaO・7Al2 3 なるカルシ
ウムアルミネートは、溶融点が1,360℃前後であ
り、スラグの低融点化を促進することから最近特に注目
を浴びている。しかし、上記した金属カルシウムを生成
したときの副産物であるCaO・Al2 3 までを、フ
ラックスとして利用するには至っていないのが現状であ
る。
【0006】上記したように金属カルシウム自体が溶鋼
の清浄化に有用であること、金属カルシウムの生成副産
物であるカルシウムアルミネートも鋼の溶製のための造
滓剤として好適なものであるといったことから、前述し
た熱還元法で生成された金属カルシウムのみならず、カ
ルシウムアルミネートをも二次精錬のために使用すれば
よいことは自ずと理解されるところである。しかし、熱
還元法で得られる金属カルシウムは蒸気のかたちで生成
され、それを凝縮させなければ金属カルシウムとして取
り扱うことができないこと、金属カルシウム自体は大気
中に放置すると酸化皮膜を形成して、徐々に水酸化物や
炭酸塩に転化するといった難点があるので、結局は、製
造自体にも手間を要して高価なものとなり、精錬コスト
の高騰を招いたり保管にも種々の問題がつきまとう難点
がある。
【0007】上記した金属カルシウムの製造原料として
の生石灰CaOは、石灰石CaCO3 を900℃ないし
1,200℃で焼いて得ることができる。これは軟焼生
石灰と言われ、焼成によって炭酸ガスCO2 の抜けた空
孔が存在して比表面積は大きく、金属カルシウムの生成
に好適なものとなる。しかし、石灰石を焼成するときに
は、ジョークラッシャによる粗粉砕の後にロッドミルな
どによって予め一定の細かい粉に微粉砕しておかなけれ
ばならないこと、焼成中に石灰石CaCO3 自体から多
量の炭酸ガスを発生させること、安定供給が何時までも
保証されることのない天然資源の石灰石を多量に消費す
ることになるなどの難点がある。ちなみに、石灰石から
脱硫や脱燐用の造滓剤としての生石灰粉を製造する新し
い方法が、特開平4−149045号公報に記載されて
いる。しかし、結局のところ、石灰石の消費量を少しで
も節減することが好ましく、生石灰を製造しなければな
らない場合に代替物の採用も望まれるところである。例
えば、消石灰Ca(OH)2 を脱水して、粉末生石灰を
製造することもできる。消石灰は脱水すると極めて反応
性が高く、比表面積の大きい生石灰が得られる。その生
石灰を製造する場合、消石灰を500℃ないし600℃
で假焼することが適当であると言われているが、消石灰
自体は安価な工業用塩基であり、腐食剤,建築材料など
に向けられることが多い。
【0008】産業分野は異なるが、カーバイドCaC2
に水を加えてアセチレンガスC2 2 を製造するとき、
多量のカーバイドスラグが生成される。量的には、カー
バイドを1トン生産する際に1.16トンも発生し、わ
が国では年間50万トン以上もの廃棄もしくは再利用処
理が余儀なくされていると言われている。その一方、カ
ーバイドスラグは上記した消石灰と同じCa(OH)2
が90%以上、多い場合には96%も含まれていること
が知られている。したがって、従来から、このカーバイ
ドスラグは、セメント原料として使用されたりしている
が、燃料率の低下をきたすことなどから大量には消費さ
れていない。なお、このカーバイドスラグは海水マグネ
シアの製造用としても利用され、マグネシアセメント,
肥料さらにはマグネシアクリンカなどの生産にも寄与し
ている。さらには、土建材としての道路安定材,農業用
土壌改良材や汚水処理用の廃液中和材などとしても利用
されているが、依然として産業廃棄物として処分される
量も多く、その処理や取り扱いには多くの問題を抱えて
いる。このようなことから、カーバイドスラグの利用の
途を拡大することが望まれるが、これが余り利用されて
いないのは、カーバイドスラグが水分を含んでどろどろ
した状態にあり、その運搬が厄介であること、上記した
金属カルシウムの生成の資材とするという着眼がいまだ
なされていないことに基因している。
【0009】本発明は上述した種々の問題や事情に鑑み
なされたもので、その目的は、溶融金属の清浄化のため
に溶融金属に投入される金属カルシウムに代えて、金属
カルシウムの廉価な製造原料を化学反応させる前の状態
で使用できる途を開くこと、溶融金属介在物の制御のた
めに使用されるフラックスを上記原料をもとにして自ず
と賄うことにより、別途添加されるフラックスの使用量
の積極的な低減を図ること、また、製糖滓やカーバイド
滓を溶融金属の清浄化と介在物の制御に寄与させ、石灰
分を含む産業廃棄物の再利用を図って資源リサイクルを
も実現することができる溶融金属の清浄化と介在物の制
御方法を提供することである。なお、熱還元法による金
属カルシウムの製造過程の一部を割愛することができれ
ば、金属カルシウムを使用しながらも安価に溶融金属の
清浄化が実現されるという点に本発明は着目したもので
ある。また、金属カルシウムの製造過程においてカルシ
ウムアルミネートが副産物として生成されるが、これを
フラックスとして利用すれば金属カルシウムの生成用資
材の二面的な作用や効果が発揮されるという点を考慮
し、その実現を図る手立てを施すことにより本発明は完
成されたものである。さらに、本発明は、金属カルシウ
ムの原料を石灰石から水酸化カルシウムに置き換える
と、製造資材としての生石灰が低い假焼温度で生成でき
ること、その生石灰の比表面積は著しく大きく反応性の
高いものになること、といった知見にも基づいている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、溶融金属に介
在するサルファ分などを除去して溶融金属を清浄化する
方法に適用される。その特徴とするところは、生石灰C
aO粉末とアルミニウムAl片またはアルミニウム粉末
とを混合してブリケットを製作する。次に、そのブリケ
ットを溶融金属と略同種の金属製容器に封じ込んだ後に
約10-3トールの真空状態とする。その金属製容器を受
湯前の取鍋に投入し、バーナの火炎によって取鍋の耐火
壁を加熱する際に、金属製容器をも同時に1,050℃
ないし1,200℃に加熱する。そして、溶解や精錬さ
れた溶融金属を取鍋に注入すると、1,050℃ないし
1,200℃に加熱されたときに金属カルシウムCaを
生成させている金属製容器が溶解され、金属カルシウム
と溶融金属とを反応させることによって溶融金属の清浄
化が図られる。それと共に、金属カルシウムの生成時の
副産物であるカルシウムアルミネートCaO・Al2
3 を造滓剤として作用させることによって、溶融金属介
在物の制御を低融点のスラグにより促進することができ
る。
【0011】なお、生石灰粉末は、製糖産業における炭
酸石灰清浄法によって処理された後のライムケーキを9
00℃ないし1,000℃で假焼したものであってもよ
い。さらには、生石灰粉末は、水酸化カルシウムCa
(OH)2 を500℃ないし700℃で假焼したものを
採用することもできる。その水酸化カルシウムとしてカ
ーバイドスラグを充てることができる。
【0012】
【作用】生石灰を粉砕して粉末状としたものにアルミニ
ウム片またはアルミニウム粉末を混合してブリケットを
製作する。そのブリケットの幾つかを溶融金属と略同種
の金属製容器に封じ込んだ後に約10-3トールの真空状
態として密閉する。その金属製容器を受湯前の取鍋に投
入し、取鍋の耐火壁を受湯前に予め加熱するバーナの火
炎を当てて金属製容器を1,050℃ないし1,200
℃に加熱する。バーナによって耐火壁を1,000℃な
いし1,200℃になるまで加熱している間に、金属製
容器内では、CaOとAlの混合組成によって反応し、
Ca蒸気が生成される。それと同時にカルシウムアルミ
ネートも生成される。その金属製容器の投入されている
取鍋に溶解や精錬された溶融金属を注入すると金属製容
器が溶解され、カルシウム蒸気もしくは凝縮した金属カ
ルシウムが溶融金属と直接反応する。これによって脱硫
作用が発揮され、溶融金属の清浄化が図られる。その間
に、金属カルシウムの生成時の副産物であるCaOとA
2 3 との化合物は溶融金属の造滓剤として作用し、
溶融金属介在物のスラグ化を促すと共に低い融点スラグ
をつくり、脱酸,脱硫や脱燐を飛躍的に促進する。
【0013】生石灰を製造するにおいて製糖産業におけ
る炭酸石灰清浄法によって処理された後のライムケーキ
を900℃ないし1,000℃で假焼したものを使用す
ることができる。そのライムケーキは微細であり、ブリ
ケットを製造する際の粉砕が不要となる。生石灰粉末
は、水酸化カルシウムを500℃ないし700℃で假焼
したものであってもよく、その水酸化カルシウムとして
カーバイドスラグを採用しても、金属カルシウムやカル
シウムアルミネートの生成が実現される。
【0014】
【発明の効果】本発明によれば、溶融金属の清浄化と介
在物の制御のための金属カルシウムの製造工程の一部を
二次精錬の準備段階で実現することができ、金属カルシ
ウムの生成コストの低減が図られる。そして、金属カル
シウムの生成時の副産物であるカルシウムアルミネート
をそのまま造滓剤として流用することができ、新たに添
加されるフラックスの量的低減を実現したり添加自体を
不要にしたりすることができる。
【0015】生石灰粉末をライムケーキの假焼によって
得る場合には、産業廃棄物の利用の途を開くと共に、生
石灰の粉砕工程が不要となり、ブリケットの製造の低廉
化を図ることができる。生石灰粉末として、水酸化カル
シウムを假焼して用いる場合には、假焼温度が低くなり
エネルギ消費を節減できる。また、このようにして生成
された生石灰の比表面積は大きなものとなり、アルミニ
ウムとの反応性も向上する。しかも、石灰石を假焼する
ときのような炭酸ガスの放出も可及的に少なく、環境保
全が図られる。その水酸化カルシウムとしてカーバイド
スラグを使用すれば、石灰系資源のリサイクルが実現さ
れ、資源保護も達成される。
【0016】
【実施例】以下に、本発明に係る溶融金属の清浄化と介
在物の制御方法を、詳細に説明する。転炉や電気炉など
の製鋼炉において溶製された溶鋼にはサルファやその他
の介在物が含まれるが、取鍋などにおいて二次精錬する
にあたり、金属カルシウムによって溶鋼の清浄化を以下
のようにして図る。それと同時に、金属カルシウムの生
成に伴って生じるカルシウムアルミネートを造滓剤(フ
ラックス)として利用する。これによって、精錬中に生
じるスラグの溶融温度の低下を図って脱燐・脱硫作用を
促し、通常投入される石灰系フラックスの投入量を節減
しながら鋼材中の不純物元素を低減するように、溶鋼の
介在物の形態をも制御することができる。
【0017】まず、石灰石CaCO3 を熱分解させ、生
石灰CaOを生成する。そのために粗粉砕された石灰石
をベッケンバッハ炉,メルツ炉もしくはロータリキルン
などの焼成炉に投入し、800℃ないし1,200℃で
假焼する。こうして得られた生石灰を1mm径以下の大
きさに粉砕し、アルミニウム片またはアルミニウム粉末
とを混合して、ブリケットマシンにかけて5mmないし
30mm径の塊状のブリケットに整形する。次に、その
ブリケットの幾つかを鋼製容器に投入する。鋼製容器は
底面を有する円筒体などであり、ブリケットを投入した
後に鋼製蓋をして気密が図られるように溶接して封じ込
む。そして、円筒部に設けられた孔から真空ポンプを用
いて空気を吸引させ、所定の約10-3トールの真空が得
られたところで公知の方法によってパテ詰めしたり溶接
などによって孔が塞がれる。
【0018】このようにしてブリケットの缶詰を多数製
作した後、これらを受鋼前の取鍋に投入する。取鍋は溶
鋼を急激に降温させないように受鋼に先がけバーナによ
って予め加熱される。すなわち、取鍋に蓋を被せて放熱
を抑止した状態で蓋に設けた孔からバーナノズルを挿入
し、1,000℃ないし1,200℃に加熱して取鍋の
耐火壁が赤化するまで火炎が当てられる。このとき、投
入されている鋼製容器もバーナによって加熱昇温され
る。バーナの火炎を受けても1,200℃程度であり、
鋼製容器は直ちに溶解することがない。このようにして
バーナで取鍋を予め昇温するとき、その熱を利用して鋼
製容器が1,050℃ないし1,200℃に加熱され
る。そして、その内部では生石灰CaOとアルミニウム
Alとの混合組成によって、以下の反応が起こる。 6CaO+2Al=3CaO・Al2 3 +3Ca 5CaO+2Al=2CaO・Al2 3 +3Ca 4CaO+2Al= CaO・Al2 3 +3Ca 取鍋耐火壁の加熱が終了した時点で、鋼製容器の中では
カルシウム蒸気とカルシウムアルミネートが生成され
る。取鍋が受鋼するまでの僅かな時間であるがその間に
鋼製容器は自然冷却される恰好となり、カルシウム蒸気
は鋼製容器中の低温部において凝縮し、99%程度の純
度の高い金属カルシウムが生成される。取鍋が溶解や精
錬された約1,600℃の溶鋼を受鋼すると、金属カル
シウムを内蔵している鋼製容器が溶解され、凝縮した金
属カルシウムやカルシウム蒸気が自ずと溶鋼と反応し、
脱硫作用を発揮する。なお、溶解した鋼製容器は溶鋼と
略同種もしくは略同質のものであり、それが溶鋼中に混
入しても問題となることはない。このようにして二次精
錬がなされ溶鋼の清浄化が図られるが、それに加えて、
その金属カルシウムを生成したときの副産物であるカル
シウムアルミネートCaO・Al2 3 も溶鋼と接触す
る。このカルシウムアルミネートは造滓剤として作用
し、溶鋼介在物のスラグ化を促進する。すなわち、カル
シウムアルミネートはサルファイドキャパシティが大き
く、CaO飽和で高い脱硫機能を発揮する。一方、この
フラックスによってスラグの融点が下げられ、脱硫や脱
燐作用を向上させることも知られるところである。上記
のカルシウムアルミネートによって生成スラグの低融点
化が実現されると、脱酸や脱硫さらには脱燐をも促し
て、無用な溶鋼介在物の残存量を制御することができ、
美麗で良質の鋼が得られる。
【0019】このことから分かるように、カルシウムの
溶鋼清浄化作用を高価な金属カルシウムを投入すること
によって実現しようとするのではなしに、金属カルシウ
ムを生成させる前工程の段階で取鍋に金属カルシウム生
成資材が投入される。これによってカルシウム蒸気の凝
縮工程や抽出工程が不要となる。すなわち、金属カルシ
ウムを製造する場合に必要となる工程を取鍋の予熱昇温
作業と兼用させて、生成された金属カルシウムを直ちに
溶鋼と反応させることができる。それのみならず、金属
カルシウムの生成に伴って生じるカルシウムアルミネー
トCaO・Al2 3 を造滓剤として機能させることが
でき、通常の方法で添加される石灰系フラックスなどの
投入を省いたり、投入量の抑制を図ることができる。
【0020】ところで、上記した石灰石はCaCO3
主成分とする堆積岩が使用される。これは主に方解石か
らなる岩石として採取され、わが国に豊富に存在する。
しかし、石灰石はセメント原料やカーバイドの製造その
他の用途に広くかつ多く使用されることから毎年大量に
消費され、安定した供給を長期間にわたって確保するこ
とは容易でない状況となってきている。したがって、石
灰石を原料とする他の産業分野から廃棄されるものを使
用して生石灰を得ることができれば、省資源の観点から
も都合がよい。そこで、その消費量を少なくする意味
で、CaCO3 として製糖産業における炭酸石灰清浄法
によって処理された後のライムケーキを使用することが
考えられる。
【0021】ライムケーキはビート糖を製造する製糖工
場から排出されるもので、細断した砂糖大根から滲出塔
で糖分を滲出汁として取り出し、石灰乳を加えた後に炭
酸ガスと接触させて炭酸飽充させたときに生じるもので
ある。このような炭酸石灰清浄法よって凝集沈澱する製
糖滓(ライムケーキ)は、製糖に消費された石灰の大部
分を含んでいる。ライムケーキは石灰の微細な結晶であ
るが、これを900℃ないし1,000℃で假焼すると
生石灰が得られ、産業廃棄物の有効利用や資源のリサイ
クル化を助長して天然石灰石の消費量を抑制することが
できる。前述したように、石灰系フラックスを製造すべ
く假焼する前に、石灰石を1mm径以下の大きさに粉砕
するようにしているが、ライムケーキは石灰の微細な結
晶であり、これを炭酸カルシウムとして全量使用する場
合には粉砕の必要がなくなり、石灰石の代替物とすると
粉砕の手間を軽減することができる。
【0022】ブリケット原料としての生石灰を得るため
には上記したごとく石灰石を假焼するが、その假焼温度
は高く燃料原単位が大きくなるという難点がある。例え
ば、消石灰を假焼する場合には500℃ないし700℃
で生石灰を得ることができるので、水酸化カルシウムC
a(OH)2 の使用は、石灰石の消費量を節減する意味
と、生石灰を作る際の假焼温度の低下を促進する意味で
も有用である。前述した石灰石は假焼中にそれ自体から
多量の炭酸ガスCO2 が発生するが、Ca(OH)2
採用は、それを可及的に抑制するという利点もある。し
かし、消石灰は安価な工業用塩基であって、腐食剤や建
築材料などに向けられることから、金属カルシウムやカ
ルシウムアルミネートを製造ために供するといったこと
は現在まで行われていないだけでなく着目すらされてい
ない。種々の用途に回される消石灰の入手は容易でない
が、Ca(OH)2 を多量に含むカーバイドスラグで代
替させることができる。
【0023】カーバイドスラグは、従来から、セメント
原料,化学肥料,耐火炉材,道路安定材,土壌改良材や
汚水処理用の廃液中和材などに利用されているが、依然
として産業廃棄物として処分される量も多く、その処理
や取り扱いには多くの問題を抱えていることは従来技術
の項で述べたとおりである。したがって、このカーバイ
ドスラグを使用して生石灰を生成すれば、それをアルミ
ニウム粉末などと混合して上記したブリケットを製造す
ることができる。なお、カーバイドスラグは、自然乾燥
状態で含水率が6重量%ないし12重量%であって、ど
ろどろしている。このようなカーバイドスラグは、ま
ず、ペレタイザーなどにより水を加えて5mmないし2
0mm径程度の大きさに、好ましくは10mm径前後ま
でに造粒する。カーバイドスラグは上記した性状にあ
り、石灰石を原料とする場合のように粉砕する必要がな
く、そのための動力消費は要求されなくなる。このよう
にして作られた造粒物は、例えばロータリドライヤーな
どに投入して90℃ないし110℃で乾燥され、その含
水率を可及的に少なく例えば1重量%以下に調整され
る。その乾燥された造粒物を、ベッケンバッハ炉,メル
ツ炉もしくはロータリキルンなどに投入して、約600
℃で假焼する。ただし、假焼時間によっては500℃な
いし700℃の範囲のいずれかの温度で假焼される。そ
の假焼によってカーバイドスラグは生石灰となり、しか
も、その比表面積は石灰石を假焼して軟焼生石灰を製造
する場合よりも大きなものとなる。なお、カーバイドス
ラグから生成された生石灰は微粉になる特質があるの
で、キルン排ガス処理用の集塵機によって捕捉される。
ちなみに、アルミニウム粉末と混合してブリケットを作
るが、上記したごとく假焼によって微粉化することか
ら、粉砕する必要もない。
【0024】以上述べたライムケーキやカーバイドスラ
グは生石灰の生成に利用することができるので、アルミ
ニウム粉末との混合によってブリケットを製作すること
ができる。それゆえに、これらの産業廃棄物を利用して
金属カルシウムの生成とその反応により溶鋼の清浄化が
実現され、また、上記したごとく副次的に生成されるカ
ルシウムアルミネートにフラックスとしての機能をも発
揮させて溶鋼介在物の制御すなわち脱酸,脱硫や脱燐を
行うことができる。なお、金属カルシウムを生成すると
きに副産物として生成されるカルシウムアルミネートだ
けでは造滓効果が不足する場合には、別途石灰系フラッ
クスなどを投入すればよいが、そのフラックスとしての
品質に悪い影響を与えない限り、他の副資材例えばアル
ミナ,マグネシア,珪酸,酸化鉄などを含ませておくこ
とができる。石灰石や消石灰として産業廃棄物も利用す
ることができ、天然資源のリサイクル化が図られる。加
えて、Ca(OH)2 の類を採用すると、焼成時に多量
の炭酸ガスを発生するCaCO3 に比較して、環境保全
に著しく寄与させることができる。
【0025】以上は、転炉や電気炉など製鋼炉で溶製さ
れた溶鋼を例にして、それに使用される溶鋼の清浄化と
介在物の制御方法を説明したが、製鋼に限らず他の金属
の精錬や溶製においても適用することができる。その場
合、上記鋼製容器に代えて溶融金属と略同種もしくは略
同質の金属製容器が使用される。これは、取鍋に注入さ
れた溶融金属に金属製容器が溶解しても差し支えないも
のを選定する必要があるからである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融金属に介在するサルファ分などを除
    去して溶融金属を清浄化する方法において、 生石灰粉末とアルミニウム片またはアルミニウム粉末と
    を混合してブリケットを製作し、 該ブリケットを溶融金属と略同種の金属製容器に封じ込
    んだ後に約10-3トールの真空状態とし、 上記金属製容器を受湯前の取鍋に投入し、バーナの火炎
    によって取鍋の耐火壁を加熱する際に、前記金属製容器
    をも同時に1,050℃ないし1,200℃に加熱し、 溶解や精錬された溶融金属を前記取鍋に注入することに
    よって、前記1,050℃ないし1,200℃に加熱さ
    れたときに金属カルシウムを生成させている前記金属製
    容器を溶解させ、該金属カルシウムと溶融金属とを反応
    させることによって溶融金属の清浄化を図ると共に、上
    記金属カルシウムの生成時の副産物であるカルシウムア
    ルミネートを造滓剤として作用させることによって、溶
    融金属介在物のスラグ化を促進するようにしたことを特
    徴とする溶融金属の清浄化と介在物の制御方法。
  2. 【請求項2】 前記生石灰粉末は、製糖産業における炭
    酸石灰清浄法によって処理された後のライムケーキを9
    00℃ないし1,000℃で假焼したものであることを
    特徴とする請求項1に記載された溶融金属の清浄化と介
    在物の制御方法。
  3. 【請求項3】 前記生石灰粉末は、水酸化カルシウムを
    500℃ないし700℃で假焼したものであることを特
    徴とする請求項1に記載された溶融金属の清浄化と介在
    物の制御方法。
  4. 【請求項4】 前記水酸化カルシウムは、カーバイドス
    ラグであることを特徴とする請求項3に記載された溶融
    金属の清浄化と介在物の制御方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20010027546A (ko) * 1999-09-14 2001-04-06 정방규 형석 대용물질의 제조방법
WO2005103335A1 (en) * 2004-04-23 2005-11-03 Les Produits Industriels De Haute Temperature Pyrotek Inc. A device and a method for cleaning and purifying molten aluminium
KR101240951B1 (ko) * 2011-06-23 2013-03-11 성범기업주식회사 제강 슬래그 조재재 및 그 투입방법

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