JP5720497B2 - 製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法 - Google Patents

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本発明は、製鋼精錬工程において発生する溶銑の予備脱燐スラグや転炉脱炭精錬スラグなどの燐を含有する製鋼スラグから鉄及び燐を回収し、鉄及び燐の回収された製鋼スラグを製銑工程または製鋼工程にリサイクルするとともに、回収した鉄及び燐を資源として有効活用するための、製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法に関する。
鉄鉱石の成分に起因して、高炉で溶製される溶銑(「高炉溶銑」とも呼ぶ)には燐(P)が含有される。燐は鋼材にとって有害成分であるので、従来から、鉄鋼製品の材料特性向上のために、製鋼工程において脱燐処理が行われている。この脱燐処理においては、溶銑中或いは溶鋼中の燐は、一般的に、酸素ガスや酸化鉄などの酸素源によって酸化されてP25となり、その後、生成したP25がCaOを主成分とするスラグ中へと固定されることによって除去されている。溶銑中或いは溶鋼中の燐を酸素ガスによって酸化する際には鉄も酸化され、酸素源として酸化鉄を使用しない場合であっても、スラグ中には鉄も酸化物の形態で含有される。
ところで、燐鉱石の枯渇問題や、中国、アメリカなどの燐鉱石の囲い込みのために、燐資源が高騰しており、鉄鋼精錬工程において発生する製鋼スラグ中の燐が貴重な燐資源として見直されている。しかしながら、高炉から出銑される溶銑の燐濃度は0.1質量%程度であるため、従来の一般的な溶銑の予備脱燐処理や転炉脱炭精錬で生成される製鋼スラグ中のP25濃度は高々5質量%程度であり、燐酸資源としての活用先がほとんどなく、これらの製鋼スラグは、従来、路盤材などの土工用材料などとして鉄鋼製造工程の系外に排出されており、スラグ中の燐及び鉄は回収されることはなかった。尚、溶銑の予備脱燐処理とは、溶銑を転炉にて脱炭精錬する前に、予め溶銑中の燐を除去する精錬のことである。
近年、環境対策及び省資源の観点から、製鋼スラグのリサイクル使用を含めて、製鋼スラグの発生量を削減することが実施されている。例えば、予備脱燐処理された溶銑の転炉脱炭精錬において発生したスラグ(転炉脱炭精錬において発生するスラグを「転炉スラグ」という)を、造滓剤用のCaO源及び鉄源として、鉄鉱石の焼結工程を経て高炉にリサイクルすることや、溶銑予備処理工程のCaO源としてリサイクルすることなどが行われている。
予備脱燐処理された溶銑(「脱燐溶銑」ともいう)、特に鉄鋼製品の燐濃度レベルまで予備脱燐処理された脱燐溶銑の転炉脱炭精錬において発生する転炉スラグは、燐をほとんど含有せず、このスラグを高炉へリサイクルすることに起因する溶銑の燐濃度の増加(ピックアップ)を危惧する必要はない。しかしながら、予備脱燐処理時に発生するスラグや、予備脱燐処理されていない溶銑(「通常溶銑」ともいう)或いは予備脱燐処理されていても脱燐処理後の燐濃度が鉄鋼製品の燐濃度レベルまで低下していない脱燐溶銑の転炉脱炭精錬で発生する転炉スラグのように、燐を含有するスラグでは、高炉に酸化物の形態でリサイクルされた燐が、高炉内で還元されて溶製される溶銑の燐含有量を増加させ、その結果、溶銑からの脱燐の負荷が増加するという悪循環に陥る。
そこで、燐を含有する製鋼スラグのリサイクルについては、特に還元精錬を伴う工程へのリサイクルについては、溶銑での燐濃度のピックアップを防止するべく、製鋼スラグから燐を除去する方法或いは製鋼スラグ中の燐を回収する方法など、種々の提案がなされている。尚、予備脱燐処理などの酸化精錬へのリサイクルの場合にも、既に燐を含有することから脱燐剤としての機能が損なわれ、リサイクルされる量は限られる。
例えば、特許文献1には、クロム鉱石の溶融還元製錬工程と、該溶融還元製錬によって溶製された含クロム溶銑の転炉脱炭精錬工程との組み合わせによってステンレス溶鋼を溶製する際に、前記含クロム溶銑の脱燐処理により発生した脱燐スラグに炭材を加えて加熱し、脱燐スラグに気化脱燐処理を施し、気化脱燐処理後の脱燐スラグを前記溶融還元製錬工程にリサイクルする技術が開示されている。
特許文献2には、燐を含有する溶融または半溶融状態の製錬スラグに炭材を添加して、減圧下で酸素を上吹きして、スラグ中の燐を気化除去する技術が開示されている。
特許文献3には、溶融状態の高炉スラグと、溶融状態の転炉スラグとを混合し、この混合スラグ中に、炭素、珪素、マグネシウムの1種以上を添加すると同時に、酸素ガスを吹き込んで、混合スラグ中の燐酸化物を還元して燐蒸気とし、且つ、混合スラグ中の硫黄をSO2とし、これらを揮発させて燐及び硫黄の少ないスラグとし、このスラグを高炉または転炉にリサイクルする技術が開示されている。
特許文献4には、予備脱燐スラグに炭材を添加し、1450℃以上1700℃未満に加熱してスラグ中の燐を溶銑側へ除去・回収し、予備脱燐スラグを再生する技術が開示されている。
また、特許文献5には、アルカリ金属炭酸塩を主成分とする造滓剤を用いた、溶銑または溶鋼の脱燐処理で生成する脱燐スラグを、水及び炭酸ガスで処理してアルカリ金属燐酸塩を含む抽出液を得て、該抽出液にカルシウム化合物を添加して、燐を燐酸カルシウムとして析出させて分離回収する技術が開示されている。
特開2004−143492号公報 特開平9−316519号公報 特開昭55−97408号公報 特開2002−69526号公報 特開昭56−22613号公報
しかしながら、上記従来技術には以下の問題点がある。
即ち、特許文献1では、脱燐スラグは、燐が気化脱燐により除去されてリサイクル可能となるが、気化脱燐した燐の回収には言及しておらず、燐資源の確保という観点からは効果的なリサイクル方法とはいえない。同様に、特許文献2でも、燐を資源として回収することができないうえに、減圧が必要であり設備費も高くなる。
特許文献3では、燐含有スラグである転炉スラグに、転炉スラグとほぼ同量の高炉スラグを混合させているが、近年、高炉スラグは、廃棄物ではなく、土木・建築資材として利用価値の高い資源と位置づけられており、このような高炉スラグを転炉スラグの希釈用として使用することは経済的には不利である。
特許文献4は、スラグ中の燐を溶銑側へ回収する段階までの開示はなされているものの、その後、溶銑中に回収・濃化した燐をどのように処理するかまでは言及していない。
また、特許文献5は湿式処理であり、湿式処理の場合、処理に必要な薬品が高価であるのみならず、大掛かりな処理設備が必要であり、設備費及び運転費ともに高価となる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、溶銑の予備脱燐スラグや転炉スラグなどの燐を含有する製鋼スラグを製銑工程及び製鋼工程にリサイクルするにあたり、該スラグの含有する燐の溶銑及び溶鋼への影響を防止するべく、前記製鋼スラグから予め燐及び鉄を安価に回収するとともに、回収した燐及び鉄をそれぞれ資源として有効活用することのできる、製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
(1) 転炉での溶銑の脱炭精錬において発生したスラグ及び溶銑の予備脱燐処理において発生したスラグのうちの少なくとも何れか1種の燐を含有する製鋼スラグを、該製鋼スラグを含めて還元処理される還元対象物全体の塩基度((質量%CaO)/(質量%SiO2))が1.0〜3.0の範囲になるように調整した上で、1100〜1300℃の温度で炭素を含有する還元剤を用いて還元処理し、製鋼スラグ中の鉄酸化物を還元して還元鉄を回収する第1の工程と、
前記第1の工程の還元処理によって鉄酸化物量が低下したスラグを、炭素を含有する還元剤を用いて還元処理し、スラグに含有される燐酸化物を気相へ還元除去する第2の工程と、
前記第2の工程によって燐含有量が低下したスラグを製銑工程または製鋼工程でのCaO源としてリサイクルする第3の工程と、
前記第1の工程で回収した還元鉄を製銑工程または製鋼工程での鉄源としてリサイクルする第4の工程と、
前記第2の工程で気相へ還元除去した燐を、燐酸化物として排ガス処理系統で回収して燐酸資源原料とする第5の工程と、
を有することを特徴とする、製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
(2)前記第1の工程の還元処理において、前記還元対象物全体の塩基度((質量%CaO)/(質量%SiO2))が1.0〜3.0の範囲内になるようにSiO2源を使用することを特徴とする、上記(1)に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
(3)前記第2の工程において、1350〜1500℃の温度で還元処理することを特徴とする、上記(1)または上記(2)に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
(4)前記第5の工程において、燐酸化物を乾式排ガス処理系統の末端部に設けたバグフィルターを用いて回収することを特徴とする、上記(1)ないし上記(3)の何れか1項に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
(5)前記第3の工程におけるスラグのリサイクル先が、鉄鉱石の焼結工程または高炉での溶銑製造工程であることを特徴とする、上記(1)ないし上記(4)の何れか1項に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
(6)前記第3の工程におけるスラグのリサイクル先が、製鋼精錬工程における溶銑の予備脱燐処理または転炉での溶銑の脱炭精錬であることを特徴とする、上記(1)ないし上記(4)の何れか1項に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
(7)前記第1の工程の還元処理と、前記第2の工程の還元処理とを、温度差を設けた同一の加熱設備内で連続的に行うことを特徴とする、上記(1)ないし上記(6)の何れか1項に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
(8)前記第2の工程で還元処理するスラグ中のT.Fe濃度を5.0質量%以下に調整することを特徴とする、上記(1)ないし上記(7)の何れか1項に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
本発明によれば、溶銑の予備脱燐処理時に発生する予備脱燐スラグ及び転炉での溶銑の脱炭精錬において発生する転炉スラグのうちの少なくとも何れか1種の燐を含有する製鋼スラグを製銑工程または製鋼工程へリサイクルするにあたり、先ず、前記製鋼スラグに含有される鉄酸化物を還元鉄として回収し、次いで、鉄酸化物の低下したスラグを還元処理してスラグ中の燐酸化物を気相へ還元除去し、燐含有量の低下した製鋼スラグは製銑工程または製鋼工程におけるCaO源としてリサイクルし、一方、回収した還元鉄は製銑工程または製鋼工程における鉄源としてリサイクルし、更に、気相側へ除去された燐は、排ガス処理系統において燐酸資源原料として回収するに十分な程度にまで燐酸化物が濃縮された状態で回収するので、溶銑の燐濃度を上昇させる或いは脱燐剤としての機能を損なうなどの弊害をもたらすことなく、燐を含有していた製鋼スラグの製銑工程または製鋼工程へのリサイクルが実現され、同時に、製鋼スラグに含有されていた鉄及び燐をそれぞれ資源として有効活用することが実現される。
特に、製鋼スラグの製銑工程へのリサイクルでは、鉄鉱石の焼結工程または高炉へのリサイクルによって高炉スラグの発生量が増加するが、微粉末状の高炉スラグは、セメントの混和材として使用することによって、スラグ中のCaO分などがセメントと同様のポゾラン反応を起こし、セメントの強度を発現させる。従来、セメント原料のCaO分は炭酸カルシウム(CaCO3)を焼成して製造しており、この焼成時に熱エネルギーを必要とするのみならずCO2ガスも発生するが、高炉スラグ微粉末をセメントに混ぜて高炉スラグセメント(「高炉セメント」と呼ぶ)とした場合には、高炉スラグ微粉末/普通ポルトランドセメントの混合比率に応じて、焼成エネルギー及びCO2ガスの発生量を低減可能となる。
2段目の還元処理前のスラグ中T.Fe濃度と、還元処理後の不明燐率との関係を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、溶銑の予備脱燐処理時に発生する予備脱燐スラグや、転炉での溶銑の脱炭精錬において発生する転炉スラグなどの燐を含有する製鋼スラグ(「燐含有製鋼スラグ」とも呼ぶ)を、脱燐剤(=P25を固定するためのCaO)や造滓剤としてのCaO源として製銑工程または製鋼工程でリサイクル使用するに際し、製鋼スラグに含有される燐は高炉の還元雰囲気下では還元されて溶銑に移行し、溶銑中の燐濃度が上昇することから、先ず、この製鋼スラグに含有される燐の、高炉から出銑される溶銑への影響を解消することを検討した。つまり、リサイクルする前に燐含有製鋼スラグから燐を除去する方法を検討した。
燐含有製鋼スラグには、燐はP25なる酸化物で含有されており、また、一般的に製鋼スラグはCaO及びSiO2を主成分としており、燐は、カルシウム(Ca)及び珪素(Si)に比較して酸素との親和力が弱いことから、燐含有製鋼スラグを、炭素、珪素、アルミニウムなどで還元すれば、燐含有製鋼スラグ中のP25は容易に還元されることが分った。この場合、燐含有製鋼スラグには、鉄がFeOやFe23の形態の酸化物(以下、まとめて「FeXO」と記す)で含有されており、これらの鉄酸化物は酸素との親和力が燐と同等であるので、燐含有製鋼スラグを、炭素、珪素、アルミニウムなどの還元剤で還元すると、同時に製鋼スラグ中のFeXOも還元される。
燐は鉄中への溶解度が高く、従って、還元により生成した燐は、還元により生成した鉄に迅速に溶解し、燐濃度の高い還元鉄が生成される。本発明の目的の1つは、燐含有製鋼スラグから燐を除去して燐含有量の低い製鋼スラグに改質することであるが、他の1つの目的として、生成する還元鉄を鉄源として有効利用することがある。還元鉄を製銑工程や製鋼工程で利用することを考えた場合、還元鉄中の燐濃度が低いほど、製鋼工程での脱燐負荷が軽減されることから、還元鉄中の燐濃度は低いことが望ましい。
そこで本発明者らは、還元鉄中の燐濃度を低減すべく鋭意研究・検討を重ねた。検討にあたり、燐含有製鋼スラグから燐を除去し、改質した低燐スラグを製銑工程などにリサイクルする場合、燐の影響を無害化するためには、燐含有製鋼スラグ中の燐の70質量%程度以上を除去することが望まれ、また、燐含有製鋼スラグに含有される燐の70質量%程度を還元処理によって除去することは比較的容易である。そこで、還元処理による燐含有製鋼スラグからの燐の除去率を70%と設定して検討を始めた。
例えば、T.Fe濃度(T.Fe:FeOやFe23などのスラグ中の全ての鉄酸化物の鉄分の合計値)=25質量%、P濃度=0.8質量%の製鋼スラグ1トンを還元処理した場合には、還元鉄が理論的計算上250kg生成する。スラグからの燐の除去率を70%とすると、還元により生成する燐は、5.6kg(=1トン×0.8質量%×70%)となる。この5.6kgの燐が全て還元鉄へ溶解した場合には、還元鉄中の燐濃度はおよそ2.2質量%となる。一般的な高炉溶銑の燐濃度は0.1質量%程度であることから、前記還元鉄中の燐濃度は高炉溶銑の20倍以上となる。このような燐濃度の高い還元鉄を鉄源としてリサイクルした場合には、当然、製鋼工程における脱燐負荷が増大し、製造コストが上昇する。
しかし、検討の結果、燐含有製鋼スラグ中の鉄酸化物の還元時期と燐酸化物の還元時期とをずらし、最初にスラグ中の鉄酸化物を優先的に還元することで、得られる還元鉄中の燐濃度を低くすることが可能であることを見出した。また、鉄酸化物が還元除去された後にスラグ中の燐酸化物を還元することで、還元によって発生する燐系のガス(P2やP4といった形態をとる)は、その近傍に鉄が存在する場合には鉄中へ容易に溶解するが、その近傍に鉄が存在しないので、生成した燐系ガスはそのまま排ガス処理系統へ直接除去されることを見出した。
このように、燐含有製鋼スラグ中の鉄酸化物と燐酸化物とを段階的に還元する、つまり、最初に主に鉄酸化物を還元し、その後、主に燐酸化物を還元することで、燐濃度の高くない還元鉄が得られ、この還元鉄を製鋼工程にリサイクルする場合には、製鋼工程における脱燐負荷を過剰に増大することが抑制され、且つ、燐酸化物を還元除去した後のスラグはCaO源として製銑工程や製鋼工程に利用することが可能となる。つまり、燐含有製鋼スラグ中の鉄酸化物と燐酸化物とを段階的に還元することは大きなメリットを有することが分った。
そこで、本発明者らは、燐含有製鋼スラグ中の鉄酸化物を燐酸化物よりも優先して還元し、燐濃度の低い還元鉄を回収するための操業条件を実験によって検証した。その結果、スラグの塩基度と還元処理温度とを適切な範囲に制御することにより、燐濃度の低い還元鉄を回収できることを見出した。以下に、このような条件に至った研究推移を説明する。尚、本発明において、スラグの塩基度は、スラグ中のCaO濃度とSiO2濃度との比((質量%CaO)/(質量%SiO2))で定義される。
燐含有製鋼スラグ中のFeXOやP25を炭素で還元する場合、熱力学的安定度の関係から、FeXOの方がP25に比較して還元されやすいことが分っている。この事象に基づき、本発明者らは、還元処理温度を比較的低く設定することで、鉄酸化物のみを還元できると考えた。種々の還元実験の結果、還元処理温度が1100℃以上であれば燐含有製鋼スラグ中の鉄酸化物が還元されることが分った。還元処理温度が1100℃未満の場合には、スラグ中の鉄酸化物の半分以上が還元されずに鉄酸化物のまま残留してしまう。また、還元処理温度の上限は1300℃であることも分った。還元処理温度が1300℃を超えてしまうと、鉄酸化物は十分に還元されるものの、スラグ中の燐酸化物の還元が生じて、燐酸化物の還元率が30%を超える程度となり、還元鉄中の燐濃度が1.0質量%を超える場合も発生する。この還元鉄を製鋼工程にリサイクルする場合には、脱燐負荷が増大する。
また、還元鉄の回収には、還元処理温度のみならず、スラグの塩基度((質量%CaO)/(質量%SiO2))も最適な範囲に制御する必要のあることが分った。還元処理温度を1100〜1300℃の範囲に調整し、塩基度の異なる燐含有製鋼スラグを用いて実験した結果、スラグの塩基度は1.0〜3.0が最適な範囲であることが分った。燐含有製鋼スラグの塩基度が1.0を下回る場合には、還元鉄は回収できるものの、塩基度が低すぎて、還元後のスラグを製銑工程や製鋼工程にリサイクルした場合に、生成されるスラグの塩基度を調整するために更にCaO源が必要となって高炉スラグや製鋼スラグの量が増大するというデメリットが生じる。一方、製鋼スラグの塩基度が3.0を上回る場合には、スラグ中の鉄酸化物は還元されるが、還元された鉄の一部がスラグ中に微細な鉄として残留し、還元鉄として回収することができなというデメリットが生じる。
以上の結果から、燐含有製鋼スラグ中の鉄酸化物を主に還元し、燐含有製鋼スラグ中の燐酸化物の還元率を30%以下に抑制するためには、還元処理温度を1100〜1300℃とし、且つ燐含有製鋼スラグを含めて還元処理される還元対象物全体の塩基度((質量%CaO)/(質量%SiO2))を1.0〜3.0の範囲とする必要のあることが分った。
製鋼スラグの代表である転炉スラグの塩基度は、通常3.0〜5.0程度であるので、本発明を適用する場合には、大半の転炉スラグに対してSiO2を含有するSiO2源を混合させ、還元対象物全体の塩基度を調整する必要がある。このSiO2源としては、珪石や塩基度の低いスラグ、太陽電池の製造工程で発生するSiスラッジなどが挙げられる。特に、溶銑の予備脱燐処理時に発生する予備脱燐スラグは塩基度が1.2〜2.5程度であり、しかも、燐を含有するスラグであることから混合しても燐濃度が低下することはなく(回収する燐量が減少しない)、従って、予備脱燐スラグを転炉スラグの塩基度調整材として使用することが好ましい。ここで、予備脱燐スラグは、それ自体が燐含有製鋼スラグであるが、転炉スラグにはSiO2源として機能する。
尚、「還元対象物全体」とは、本来の還元対象である燐含有製鋼スラグの他に、塩基度を1.0〜3.0の範囲に調整するために当該燐含有製鋼スラグに添加・混合されるSiO2源を含めた混合物全体のことである。燐含有製鋼スラグにSiO2源を混合する場合には、均一に混合するほど好ましく、従って、その場合には、燐含有製鋼スラグ及びSiO2源ともに10mm以下の粒径に破砕し、破砕したもの同士を混合機で攪拌混合すればよい。
更に、本発明者らは、鉄酸化物を還元し、鉄酸化物の還元によって生成した還元鉄を磁力選別などによって除去した後のスラグを再度還元処理し、スラグ中の燐酸化物を除去するための最適条件について検証した。その結果、鉄酸化物を還元した後のスラグ中の燐酸化物を還元除去するに最適な温度は、1350〜1500℃の範囲であることが分った。この還元温度が1350℃を下回る場合には、スラグ中の燐酸化物の還元が十分に行われない。一方、還元温度が1500℃を超える場合には、スラグ中の燐酸化物の還元速度は飽和してそれ以上には上昇せず、且つ、加熱のためのエネルギー消費量が増大するのみならず、還元処理炉内の耐火物の損傷が大きくなるなど、デメッリットが大きくなる。
また更に、本発明者らは、燐資源の回収について検討・研究を行った。燐含有製鋼スラグ中の鉄酸化物と燐酸化物とを段階的に還元処理することで、燐酸化物の還元により発生する燐系ガスの近傍には鉄が存在せず、燐系ガスはそのまま気相側へ除去される。気相へ除去された燐は主にCOガスを含むガスとともに乾式の排ガス処理設備へ送られる。乾式排ガス処理設備で、COガスは二次燃焼処理によりCO2ガスとなるが、その際にP2ガスやP4ガスといった燐系ガスも酸化され、その後、ガス温度の低下に伴い、最終的にはP25のような燐酸化物になることが熱力学的に推察される。
本発明者らは、還元実験装置に設けた乾式排ガス処理設備の出側にバグフィルターを設置して、このバグフィルターにより燐酸化物の捕捉を試みた。その結果、バグフィルターからは、排ガス中に物理的に飛散したスラグとともに、燐酸化物であるP25が確認できた。そして、バグフィルターで捕捉された飛灰のP25濃度は、何れも20質量%を超える高い濃度であった。このような高P25濃度であれば燐酸資源原料として回収・利用する価値を見出すことができる。
本発明は、これらの試験結果に基づいてなされたものであり、本発明に係る製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法は、転炉での溶銑の脱炭精錬において発生したスラグ及び溶銑の予備脱燐処理において発生したスラグのうちの少なくとも何れか1種の燐を含有する製鋼スラグを、該製鋼スラグを含めて還元処理される還元対象物全体の塩基度((質量%CaO)/(質量%SiO2))が1.0〜3.0の範囲になるように調整した上で、1100〜1300℃の温度で炭素を含有する還元剤を用いて還元処理し、製鋼スラグ中の鉄酸化物を還元して還元鉄を回収する第1の工程と、前記第1の工程の還元処理によって鉄酸化物量が低下したスラグを、炭素を含有する還元剤を用いて還元処理し、スラグに含有される燐酸化物を気相へ還元除去する第2の工程と、前記第2の工程によって燐含有量が低下したスラグを製銑工程または製鋼工程でのCaO源としてリサイクルする第3の工程と、前記第1の工程で回収した還元鉄を製銑工程または製鋼工程での鉄源としてリサイクルする第4の工程と、前記第2の工程で気相へ還元除去した燐を、燐酸化物として排ガス処理系統で回収して燐酸資源原料とする第5の工程と、を有することを特徴とする。ここで、炭素を含有する還元剤としては、コークス、石炭、木炭、チャーなどを使用する。
上記還元処理工程によって、鉄酸化物及び燐酸化物の含有量が低下した製鋼スラグのリサイクル方法としては、鉄鉱石の焼結工程におけるCaO源(造滓剤)として利用し、その後、高炉での溶銑製造工程で装入原料として使用する方法以外に、高炉での溶銑製造工程でのCaO系の造滓剤として直接使用する方法、または、高炉溶銑の予備脱燐処理におけるCaO系脱燐剤として使用する方法、或いは、転炉での溶銑の脱炭精錬工程における造滓剤として使用する方法、更には、高炉溶銑の脱硫処理におけるCaO系脱硫剤として使用する方法などが、好適な例として挙げられる。これ以外の工程であっても、製鉄所における製銑工程及び製鋼工程の生石灰(CaO)を使用している工程である限り、生石灰の代替として使用可能である。尚、発生する転炉スラグの全量を本発明の還元処理工程に供しても構わないが、溶銑の予備脱燐処理において転炉スラグを利用することは省資源の観点からも有効であり、従って、発生した転炉スラグの一部を溶銑の予備脱燐処理におけるCaO源(CaO系脱燐剤)として使用し、この転炉スラグの残部を、本発明の還元処理工程に供することが好ましい。
また、上記の還元処理調査実験は、ロータリーキルン型の処理容器で行ったが、処理容器としては、燐含有製鋼スラグに熱を与えて還元処理できるものであればどのようなものでも構わない。ロータリーキルンの他には、例えば、アーク加熱方式の電気炉や、バーナー或いは酸素による加熱装置を有する転炉や鍋型の処理容器、誘導加熱炉、RHF形式の処理容器などが挙げられる。
また、上記試験は、ロータリーキルン型の処理容器を用い、燐含有製鋼スラグ中の鉄酸化物の還元処理と、燐酸化物の還元処理とを別々に実施したが、1つのロータリーキルン型処理容器を用いて、鉄酸化物の還元処理と燐酸化物の還元処理とを連続して行う試験も実施した。つまり、複数のバーナーを有するロータリーキルン内に、原料装入側の前半の領域が1100〜1300℃となり、後半の領域が1350〜1500℃になるようにバーナー加熱条件を調整して温度差を設け、このロータリーキルン内に塩基度を1.0〜3.0に調整した製鋼スラグを連続的に装入して製鋼スラグの還元処理を行った。
その結果、還元鉄の回収量、還元鉄中の燐濃度、還元後スラグ中の燐濃度、回収飛灰中の燐濃度は、還元処理を2回に分けて行った試験と同程度であることが分った。一方、還元処理を2回から1回に減らすことができ、エネルギー使用量の大幅な削減などによる運転費の削減並びに生産性の向上が可能であり、処理コストを大幅に削減できることが確認できた。
即ち、温度差を設けた同一の加熱設備内で、鉄酸化物の還元処理と燐酸化物の還元処理とを、この順に、連続して行うことで、本発明の目的をより効率的に達成できることが確認できた。尚、同一の加熱設備内で温度差を設ける手段としては、複数のバーナーを炉内に設け、各バーナーの出力調整によって温度差を設ける手段の他に、発熱体を不均一に配置する手段などが考えられ、更に、その他、前述した設備に据え付けることができるものであれば、どのような手段であっても構わない。
また、発明者らは、燐酸化物を気相へ還元除去する第2の工程の還元処理において、スラグ中燐酸化物の還元によって発生するP2ガスなどの燐系ガスの、その近傍に存在する還元鉄(粒鉄)中への溶解を抑制することを目的として、第2の工程の還元処理対象となるスラグ中のT.Fe濃度と気相へ還元除去される燐との関係について検討・研究を行った。
試験は、塩基度を1.0〜3.0に調整した燐含有製鋼スラグを1100〜1300℃で、還元条件を種々変化させて還元処理(第1の工程の還元処理に相当)し、還元処理後のスラグ中T.Fe濃度が3.0〜10.0質量%程度のスラグを作製し、次いで、これらのスラグを1350〜1500℃において再度還元処理(第2の工程の還元処理に相当)した。その結果、第2の工程での還元処理前のスラグ中T.Fe濃度が5.0質量%以下であれば、第2の工程の還元処理において、P2ガスなどの燐系ガスの還元鉄中への溶解を抑制可能であることが分った。つまり、第2の工程で還元処理するスラグ中のT.Fe濃度を5.0質量%以下に予め調整することが好ましいことが分った。
尚、第2の工程における還元処理前のスラグ中T.Fe濃度を調整する方法としては、第1の工程の還元処理における還元剤の使用量や還元時間を調整するなどの第1の工程の還元処理条件を変更する方法の他、第1の工程の還元処理で得られたスラグに、高炉スラグや石灰などのCaO源または珪石などのSiO2源の何れか1種以上を添加してスラグ中のT.Fe濃度を希釈する方法、或いは、以下に示す、第1の工程の還元処理で得られたスラグを磁力選別して還元鉄を除去する方法などが挙げられる。
本発明者らは、還元処理に供するスラグに混入する金属鉄分を事前に取り除いてから還元処理することが、燐の気相への除去に関して、より効果的であることを確認している。先に述べたように、還元された燐は、鉄への溶解度が高いため、燐の近傍に鉄が存在すると直ちに鉄へ溶解し、燐含有鉄となる。しかし事前処理によって金属鉄を除去しておくことで、還元によって生成する鉄量を減らすことができるため、還元により生成した燐が、還元鉄へ溶解する確率をより一層減らすことができる。事前の金属鉄分離には、磁力を用いた分離(磁力選別)や、鉄とスラグの比重差を利用した遠心気流分離など、スラグの形状や処理量に応じて適切なプロセスを選択すればよい。
以上説明したように、上記構成の本発明によれば、溶銑の予備脱燐処理時に発生する予備脱燐スラグ及び転炉での溶銑の脱炭精錬において発生する転炉スラグのうちの少なくとも何れか1種の燐を含有する製鋼スラグを製銑工程または製鋼工程へリサイクルするにあたり、先ず、前記製鋼スラグに含有される鉄酸化物を還元鉄として回収し、次いで、鉄酸化物の低下したスラグを還元処理してスラグ中の燐酸化物を気相へ還元除去し、燐含有量の低下した製鋼スラグは製銑工程または製鋼工程におけるCaO源としてリサイクルし、一方、回収した還元鉄は製銑工程または製鋼工程における鉄源としてリサイクルし、更に、気相側へ除去された燐は、排ガス処理系統において燐酸資源原料として回収するに十分な程度にまで燐酸化物が濃縮された状態で回収するので、溶銑の燐濃度を上昇させる或いは脱燐剤としての機能を損なうなどの弊害をもたらすことなく、燐を含有していた製鋼スラグの製銑工程または製鋼工程へのリサイクルが実現され、同時に、製鋼スラグに含有されていた鉄及び燐をそれぞれ資源として有効活用することが実現される。
尚、予め鉄鋼製品の燐濃度レベルまで予備脱燐処理が施された溶銑の脱炭精錬時に発生する転炉スラグも、燐の含有量はゼロではなく燐を含有する。従って、この転炉スラグにも本発明を適用することは可能であるが、当該スラグは燐の含有量が低く、そのまま高炉などにリサイクルしても、燐の影響は無視することができ、本発明を適用することにより却ってコスト上昇を招く恐れがある。従って、本発明で対象とする、「燐を含有する製鋼スラグ」とは、その製鋼スラグを高炉などにリサイクルすると溶銑または溶鋼の燐濃度が上昇し、通常の操業に対してコスト上昇を発生させる濃度以上の燐を含有する製鋼スラグである。
高炉から出銑された高炉溶銑をトピードカーで受銑し、トピードカーに収容された高炉溶銑に脱珪処理及び予備脱燐処理を施し、その後、高炉溶銑を溶銑鍋に移し替え、溶銑鍋内の高炉溶銑に機械攪拌式脱硫装置により脱硫処理を施し、この脱硫処理終了後の高炉溶銑を転炉に装入して転炉にて脱炭精錬を施し、かくして、高炉溶銑から溶鋼を溶製する製銑−製鋼工程において本発明を適用した。高炉での出銑から転炉脱炭精錬終了までの高炉溶銑及び溶鋼の化学成分の例を表1に示す。
Figure 0005720497
表1に示すように、脱珪、脱燐後の高炉溶銑には0.050質量%の燐が含有されており、鉄鋼製品の燐濃度レベル(0.015質量%以下)に比較して高く、この高炉溶銑を用いた転炉脱炭精錬により発生する転炉スラグには、0.8質量%程度の燐(P25で1.8質量%程度)が含有される。この転炉スラグを鉄鉱石の焼結工程でのCaO源として使用すると、高炉溶銑の燐の濃化が発生する。そこで、この転炉スラグに本発明を適用する試験を実施した。
200トンの転炉スラグと、塩基度調整材としての珪石と、還元剤としてのコークスとを、加熱バーナーを備えたロータリーキルンに装入し、バーナーによって転炉スラグ、珪石及びコークスを加熱して転炉スラグの還元処理を実施した。本発明では、転炉スラグ中の鉄酸化物と燐酸化物とを段階的に還元し、鉄酸化物の還元を1段目還元、燐酸化物の還元を2段目還元と称する。1段目還元後に、磁力選別によって還元鉄とスラグ(主に鉄酸化物が還元処理された転炉スラグと珪石とコークス残渣との混合物)とを分別し、回収した1段目還元後のスラグを、再度ロータリーキルンに装入して2段目還元を実施した。
投入コークスの量は、1段目還元では16トン、2段目還元では4トンとした。段階的な還元を行わない試験も実施し、そのときの投入コークスの量は20トンとした。2段目還元では、ロータリーキルンの排ガス出側に乾式排ガス処理設備を設け、乾式排ガス処理設備の末端部にバグフィルターを配置して飛灰の回収を行った。1段目還元においては、処理温度の調整、及び珪石混合量の変更による塩基度の調整を行い、2段目還元においては、処理温度を1400℃に固定した。表2に、試験条件並びに試験結果を示す。表2に示す混合後の塩基度とは、転炉スラグと、珪石と、コークス残渣との混合物における塩基度((質量%CaO)/(質量%SiO2))である。
Figure 0005720497
1段目還元において混合物の塩基度が1.0〜3.0で、且つ、還元処理温度が1100〜1300℃である本発明例1〜9では、1段目還元で回収された還元鉄の質量は42〜49トンで、この還元鉄の燐濃度は0.19〜0.48質量%であった。また、本発明例1〜9において、2段目還元終了後のスラグの燐濃度は0.13〜0.19質量%、飛灰の回収量は10〜15トンであり、回収した飛灰中のP25濃度は21.0〜31.2質量%と高位であり、回収した飛灰は燐酸資源原料として十分に価値のあるものであった。更に、2段目還元で回収した還元鉄の燐濃度は0.38〜0.98質量%と1段目還元での還元鉄よりも若干高くなったが、回収量は3〜10トンであった。
一方、比較例1では、段階的な還元処理を行わなかった結果、回収した還元鉄の燐濃度が1.78質量%と高くなった。
比較例2〜4は、1段目還元において混合物の塩基度は1.0〜3.0と本発明の範囲内としたが、還元処理温度を本発明の範囲よりも低い1000℃とした試験である。比較例2〜4では、1段目還元での還元鉄の回収量は26〜31トンと低位であり、スラグ中の鉄酸化物を十分に還元回収できなかった。その結果、2段目還元時に回収された還元鉄中へ燐が濃化され、2段目還元で回収された還元鉄中の燐濃度は3.48〜4.36質量%と極めて高くなった。
比較例5〜7は、1段目還元において混合物の塩基度は1.0〜3.0と本発明の範囲内としたが、還元処理温度を本発明の範囲よりも高い1400℃とした試験である。比較例5〜7では、1段目還元での還元鉄の回収量は48〜51トンと高位であるものの、還元温度が高いために燐酸化物も還元され、還元された燐系ガスが還元鉄中に溶解し、還元鉄中の燐濃度は1.06〜1.56質量%となり、本発明例と比較して高くなった。
比較例8〜10は、1段目還元において混合物の塩基度を本発明の範囲よりも高い3.5とし、還元処理温度を本発明の範囲内の1100〜1300℃とした試験である。比較例8〜10では、1段目還元での還元鉄の回収量は21〜35トンであった。これは、混合物の塩基度が高いために、1段目還元でスラグ中の鉄酸化物を十分に還元回収できなかったことによる。そのために、2段目還元時に回収された還元鉄中へ燐が濃化され、2段目還元で回収された還元鉄中の燐濃度は2.97〜4.84質量%と極めて高くなった。
また、比較例2〜10で回収される飛灰中のP25濃度は何れも15.0質量%を下回っていた。
本発明例1〜9における2段目還元後のスラグを、鉄鉱石の焼結工程における造滓剤用のCaO源として使用し、製造した焼結鉱を鉄源として高炉に装入し、高炉溶銑を製造した。溶製された高炉溶銑の燐濃度は0.1質量%程度であり、製鋼スラグのリサイクルによる燐濃度の上昇はほとんど見られなかった。また、2段目還元後スラグのリサイクルを行った際の高炉スラグを用いて高炉スラグセメントを製造したが、従来と品質が同等であり、なんら問題はなく、従来と同様にセメント製造の省エネルギー化が可能となった。
また、本発明例1〜9における2段目還元後のスラグを製鋼工程における精錬用のCaO源としても用いたが、なんら問題なく精錬操業を行うことができた。また、本発明例1〜9で回収した還元鉄を製銑工程や製鋼工程にリサイクルしたが、比較例の還元鉄に比較して燐濃度が低く、大幅な脱燐負荷の増大は発生しなかった。
表2には記載しなかったが、塩基度調整材として、珪石の代わりにSiスラッジや、製鉄所内で発生する塩基度=1程度の低塩基度スラグを用いたが、なんら問題なく還元処理を行うことができた。また、転炉スラグのみならず、予備脱燐スラグを還元処理に供した場合にもなんら問題なく、本発明の効果を享受することが可能であった。
本発明例1〜9に対して、上記製鋼工程において発生する転炉スラグをそのまま焼結鉱のCaO源としてリサイクルした場合には、高炉から出銑される溶銑の燐濃度が高くなり、その後の製鋼工程におけるCaO系の造滓剤や酸素源の原単位が増加し、発生スラグ量が1.5倍になるとともに、生産性が20%低下した。
1段目の還元(鉄酸化物の還元)として、200トンの転炉スラグと、塩基度調整材としての20トンの珪石と、還元剤としての16トンのコークスとを、加熱バーナーを備えたロータリーキルンに装入し、バーナーによって転炉スラグ、珪石及びコークスを加熱して還元処理温度を1300℃として転炉スラグの還元処理を実施した。
磁力選別によって1段目還元後のスラグを回収し、回収したスラグに4トンのコークスを添加・混合し、この混合物を、加熱バーナーを備えたロータリーキルンに装入して2段目の還元(燐酸化物の還元)を行った。2段目の還元処理温度を1300〜1600℃の範囲で変更し、2段目還元に及ぼす還元処理温度の影響を調査した。実施例1と同様に、2段目還元においては乾式排ガス処理設備のバグフィルターで飛灰を回収した。
表3に、試験条件並びに試験結果を示す。表3に示す混合後の塩基度とは、転炉スラグと、珪石と、コークス残渣との混合物における塩基度((質量%CaO)/(質量%SiO2))である。
Figure 0005720497
2段目還元の処理温度を1300℃とした本発明例10では、2段目還元後のスラグ中の燐濃度は、0.33質量%となり、2段目還元の処理温度を1350〜1600℃とした本発明例11〜16に比較して若干高くなった。一方、本発明例15,16では、2段目還元での還元反応は良好であったが、炉内耐火物の損耗速度がやや大きくなることが認められた。
これらの結果から、2段目還元における還元処理温度は1350〜1500℃が好適であることが確認できた。
実施例1と同様に、2段目還元後のスラグを鉄鉱石の焼結工程における造滓剤用のCaO源として使用し、製造した焼結鉱を鉄源として高炉に装入して高炉溶銑を製造した。溶製された高炉溶銑の燐濃度は0.1質量%程度で、何ら問題がなかった。また2段目還元後スラグのリサイクルを行った際の高炉スラグを用いて、高炉スラグ微粉末及び高炉スラグセメントを製造したが、JIS A 6206「コンクリート用高炉スラグ微粉末」の品質規格を満足しており、JIS R 5211「高炉セメント」の強度などの特性も従来と同等でなんら問題はなく、従来と同様にセメント製造の省エネルギー化が可能となった。
また、実施例1と同様に、還元処理後のスラグを製鋼工程で使用することや、Siスラッジや塩基度の低いスラグを珪石代替として利用すること、更には、予備脱燐スラグを還元処理に供することも何ら問題はなかった。
本発明例10〜16に対して、上記製鋼工程において発生する転炉スラグをそのまま焼結鉱のCaO源としてリサイクルした場合には、高炉から出銑される溶銑の燐濃度が高くなり、その後の製鋼工程におけるCaO系の造滓剤や酸素源の原単位が増加し、発生スラグ量が1.5倍になるとともに、生産性が20%低下した。
200トンの転炉スラグと、塩基度調整材としての7〜60トンの珪石と、還元剤としての20トンのコークスとを、前後に2本の加熱バーナーを備えたロータリーキルンに装入し、ロータリーキルン内の原料装入側の前半の領域が1200℃、後半の領域が1400℃になるように温度差を設け、バーナーによって転炉スラグ、珪石及びコークスを加熱して転炉スラグの還元処理を実施した(本発明例17〜19)。ロータリーキルンの排ガス出側に乾式排ガス処理設備を設け、乾式排ガス処理設備の末端部にバグフィルターを配置して飛灰の回収を行った。また、比較のために前半領域及び後半領域ともに1400℃に設定したロータリーキルンでも転炉スラグの還元処理を実施した(比較例11〜13)。表4に、試験条件並びに試験結果を示す。表4に示す混合後の塩基度とは、転炉スラグと、珪石と、コークス残渣との混合物における塩基度((質量%CaO)/(質量%SiO2))である。
Figure 0005720497
本発明例17〜19において、回収される還元鉄は45〜49トンであり、その燐濃度は0.31〜0.49質量%であった。また、還元後スラグの燐濃度は0.18〜0.21質量%であった。回収飛灰は7〜9トンで、飛灰中のP25濃度は20.0〜29.8質量%と高位であり、燐酸資源原料として十分に価値のあるものであった。
一方、比較例11〜13では、ロータリーキルン内に温度差を設けなかった結果、回収した還元鉄中の燐濃度は1.67〜1.91質量%と高くなった。
ここで、本発明17,18,19は、それぞれ、実施例1における本発明例2,5,8の条件の還元処理を、温度差を設けた同一のロータリーキルン内で連続して実施した試験である。表2及び表4からも明らかなように、本発明例2,5,8と本発明17,18,19とで、還元鉄の回収率、還元鉄中の燐濃度、還元後のスラグ中の燐濃度、及び飛灰中のP25濃度に大きな差は見られず、従って、本発明17,18,19は、還元処理を2回から1回に減らすことができ、本発明例2,5,8に対して、エネルギー原単位などの運転費を大幅に削減するのみならず、ロータリーキルンの生産性を向上させることができ、還元処理の処理コストを大幅に低減することが実現された。
尚、ロータリーキルンの原料装入側の前半領域の温度を1100〜1300℃、後半領域を1350〜1500℃とし、且つ、混合後の装入原料の塩基度を1.0〜3.0の範囲内とした試験では、本発明17,18,19に対して、何れも遜色のない還元結果が得られることを確認している。
本発明例17〜19に対して、上記製鋼工程において発生する転炉スラグをそのまま焼結鉱のCaO源としてリサイクルした場合には、高炉から出銑される溶銑の燐濃度が高くなり、その後の製鋼工程におけるCaO系の造滓剤や酸素源の原単位が増加し、発生スラグ量が1.5倍になるとともに、生産性が20%低下した。
1段目の還元(鉄酸化物の還元)として、200トンの転炉スラグと、塩基度調整材としての20トンの珪石と、還元剤としての16トンのコークスとを、加熱バーナーを備えたロータリーキルンに装入し、バーナーによって転炉スラグ、珪石及びコークスを加熱して還元処理温度を1300℃として転炉スラグの還元処理を実施した。このとき、還元処理時間を調整することにより、還元処理後のスラグ中T.Fe濃度が3.0〜10.0質量%程度となるスラグを作製した。
磁力選別によって1段目還元後のスラグを回収し、回収したスラグに4トンのコークスを添加・混合し、この混合物を、加熱バーナーを備えたロータリーキルンに装入して2段目の還元(燐酸化物の還元)を行った。2段目の還元処理温度は1400℃とした。
表5に、試験条件並びに試験結果を示す。表5に示す混合後の塩基度とは、転炉スラグと、珪石と、コークス残渣との混合物における塩基度((質量%CaO)/(質量%SiO2))である。
Figure 0005720497
ここで、2段目の還元処理で原料として供給されたスラグ中の燐質量に対する、2段目の還元処理後のスラグ中及び還元鉄中に含有されない燐質量の割合を、不明燐率(質量%)と定義する。従って、「不明燐率が高い」ということは、気相へ還元除去された燐が多いことを意味する。
本発明例20〜27について、2段目の還元処理前のスラグ中T.Fe濃度と、2段目の還元処理後の不明燐率との関係を図1に示す。図1から明らかなように、2段目の還元処理前のスラグ中T.Fe濃度を5.0質量%以下とすることで、不明燐率が増加しており、燐の気相側への除去を促進し、燐酸化物の近傍に存在する粒鉄への燐系ガスの溶解を抑制できることが確認できた。
尚、スラグの塩基度を1.0〜3.0の範囲とし、1段目還元処理温度を1100〜1300℃とし、2段目還元処理温度を1350〜1500℃の範囲としたとき、何れの場合も、2段目還元処理前のスラグ中T.Fe濃度を5.0質量%以下とした条件において、不明燐率が増加することを確認している。

Claims (7)

  1. 転炉での溶銑の脱炭精錬において発生したスラグ及び溶銑の予備脱燐処理において発生したスラグのうちの少なくとも何れか1種の燐を含有する製鋼スラグを、該製鋼スラグを含めて還元処理される還元対象物全体の塩基度((質量%CaO)/(質量%SiO2))が1.0〜3.0の範囲になるように調整した上で、1100〜1300℃の温度で炭素を含有する還元剤を用いて還元処理し、製鋼スラグ中の鉄酸化物を還元して還元鉄を回収する第1の工程と、
    前記第1の工程の還元処理によって鉄酸化物量が低下したスラグを、1350〜1500℃の温度で炭素を含有する還元剤を用いて還元処理し、スラグに含有される燐酸化物を気相へ還元除去する第2の工程と、
    前記第2の工程によって燐含有量が低下したスラグを製銑工程または製鋼工程でのCaO源としてリサイクルする第3の工程と、
    前記第1の工程で回収した還元鉄を製銑工程または製鋼工程での鉄源としてリサイクルする第4の工程と、
    前記第2の工程で気相へ還元除去した燐を、燐酸化物として排ガス処理系統で回収して燐酸資源原料とする第5の工程と、
    を有することを特徴とする、製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
  2. 前記第1の工程の還元処理において、前記還元対象物全体の塩基度((質量%CaO)/(質量%SiO2))が1.0〜3.0の範囲内になるようにSiO2源を使用することを特徴とする、請求項1に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
  3. 前記第5の工程において、燐酸化物を乾式排ガス処理系統の末端部に設けたバグフィルターを用いて回収することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
  4. 前記第3の工程におけるスラグのリサイクル先が、鉄鉱石の焼結工程または高炉での溶銑製造工程であることを特徴とする、請求項1ないし請求項の何れか1項に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
  5. 前記第3の工程におけるスラグのリサイクル先が、製鋼精錬工程における溶銑の予備脱燐処理または転炉での溶銑の脱炭精錬であることを特徴とする、請求項1ないし請求項の何れか1項に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
  6. 前記第1の工程の還元処理と、前記第2の工程の還元処理とを、温度差を設けた同一の加熱設備内で連続的に行うことを特徴とする、請求項1ないし請求項の何れか1項に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
  7. 前記第2の工程で還元処理するスラグ中のT.Fe濃度を5.0質量%以下に調整することを特徴とする、請求項1ないし請求項の何れか1項に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
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