JP3885499B2 - 転炉製鋼方法 - Google Patents
転炉製鋼方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3885499B2 JP3885499B2 JP2001020951A JP2001020951A JP3885499B2 JP 3885499 B2 JP3885499 B2 JP 3885499B2 JP 2001020951 A JP2001020951 A JP 2001020951A JP 2001020951 A JP2001020951 A JP 2001020951A JP 3885499 B2 JP3885499 B2 JP 3885499B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- converter
- slag
- blowing
- amount
- converter slag
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P10/00—Technologies related to metal processing
- Y02P10/20—Recycling
Landscapes
- Carbon Steel Or Casting Steel Manufacturing (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、転炉製鋼法に係わり、特に、以前の操業で生じた転炉スラグを造滓剤の一部として再利用し、蛍石を使用せずに、低燐鋼を安定して溶製する技術である。
【0002】
【従来の技術】
近年、高炉から出銑した溶銑を主鉄源として転炉で溶鋼を溶製するには、転炉へ装入する前の溶銑に予め脱燐剤を添加して脱燐している。これは、溶銑を事前に予備処理(脱燐の他、脱珪、脱硫も行なわれる)することで、転炉での精錬負荷を軽減し、脱炭反応を効率良く行ったり、あるいは製鋼トータル・コストのミニマム化や低燐、低硫黄鋼を安定して溶製するための処置である。しかし、この予備処理だけでは、燐濃度が目標値まで低減させた溶鋼を溶製できるとは限らないので、転炉でもCaOを主体とした造滓剤を投入し、溶鋼からの脱燐が行なわれている。また、CaO系造滓剤は、一般に滓化し難いので、通常、螢石や塩化物を添加して滓化の促進を図っている。
【0003】
ところが、最近、社会環境に対しての法規制が強く叫ばれるようになり、弗素や塩素の土壌流出量に対しても基準が設けられる傾向にある。この問題に対処するには、蛍石、塩化物等を使用しない製鋼方法を早急に確立しておくことが望ましい。そこで、本出願人は、転炉での製鋼において蛍石の使用量を徐々に低減させて操業するようにしている。
【0004】
しかしながら、蛍石の使用量を減らしていくと、焼石灰(CaO)の使用量が増加し、石灰原単位の増加から操業コストが上昇するという問題が生じた。これは、蛍石を減らし滓化が悪化した分に見合うだけ余計に造滓剤を投入する必要があるからである。また、造滓剤の滓化が遅いため操業が不安定になるという問題も生じている。そこで、これらの問題を解決するため、造滓剤の一部に転炉での製鋼で生じたスラグを再使用し、石灰原単位の増加を抑制することが考えられた。このスラグの再利用によって、転炉での脱燐を促進する技術が既に提案されているからである。
【0005】
例えば、特開昭62−109919号公報は、「酸素上吹き及び不活性ガス底吹きの可能な転炉を用いて製鋼するにあたり、上吹きによる酸素吹錬を行なった後、その酸素吹錬停止と同時もしくはその直後に、P2O5含有量が2.5質量%以下、S含有量が0.08質量%以下でかつ塩基度(CaO/SiO2)が2.7以上、しかも比重が転炉内スラグと同等以下の造滓剤を転炉内スラグの上面に添加し、且つ不活性ガスの底吹きによる溶鋼の撹拌を行なうことを特徴とする溶鋼の脱燐促進方法」を開示している。なお、この場合の造滓剤としては、具体的には、転炉精錬で生成され、取鍋に排出された転炉滓(以下、転炉スラグということが多い)である。また、特公平3−77246号公報は、「上下両吹き機能を有した2基の転炉形式炉のうちの一方を脱燐炉、他方を脱炭炉として溶銑の精錬を行う製鋼方法であって、前記脱燐炉内へ注入した溶銑に前記脱炭炉で発生した転炉スラグと生石灰とを精錬剤の主成分として添加し、底吹きガス攪拌を行いつつ酸素ガスを上吹きして溶銑温度を1450℃以下に保ちながら溶銑脱燐を行なう第1工程と、得られた脱燐溶銑を脱炭炉に注銑し、通常の造滓剤を添加して脱炭する第2工程とを含んで成ることを特徴とする製鋼方法」を開示している。さらに、特開平4−120209号公報は、「転炉スラグを冷却した後、3〜50mmの粒径に細粒化して造滓剤として用いる」技術を提案している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特開昭62−109919号公報記載の技術は、酸素吹錬を停止した後に別途脱燐を行なうもので、造滓剤の転炉への投入時期が吹錬吹止の直後であるため、多量の投入が困難である。また、底吹ガスが不活性ガスであるため、撹拌力が弱くて、投入した造滓剤の滓化が良好でなく、さらに溶製に時間がかかる。加えて、特公平3−77246号公報記載の技術では、脱炭炉で発生した転炉スラグを直ちに脱炭炉で使用するようにするが、脱燐炉で使用するに必要な量の確保に問題がある。つまり、脱炭炉では、酸素吹錬に必要な量以上の造滓剤を添加しないと、脱燐炉へ投入する転炉スラグの量を確保できない。また、製鋼に2基の転炉を使用するので、設備管理に費用、労力が余計にかかるばかりでなく、造滓剤に蛍石等を使用している。従って、これらの技術を蛍石の使用量を制限した現在の操業にそのまま適用しても、石灰原単位や操業コストの低減はあまり期待できず、環境問題の対策にもならない。
【0007】
さらに、溶融状態のまま転炉スラグを造滓剤として使用すると、安全対策上問題があるため、前記特開平4−120209号公報記載の技術は、一旦冷却してから再利用するものである。また、滓化率を良くする観点から、粒径を3〜50mm、好ましくは3〜30mmに破砕し細粒化しているため、破砕費がかかる他、粒径10mm以下の部分は、滓化し易い反面、転炉内への投入時に集塵設備に直接吸引されてしまい、造滓剤歩留まりが非常に低くなる不利益があり、操業費の上昇につながる。加えて、造滓剤として再利用できる転炉スラグとしては、所謂予備処理で脱燐された溶銑を転炉吹錬した際に生じたスラグだけしか提案されておらず、再利用できるスラグの種類及び量が限られていた。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑み、1基の転炉で、且つ造滓剤の一部に転炉スラグを用い、蛍石を使用しなくても、使用していた時と同等の石灰原単位で操業が可能な転炉製鋼法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
発明者は、上記目的を達成するため従来の転炉製鋼法を見直し、得られた知見を下記のように整理した。
【0010】
通常の転炉製鋼では、脱炭のみならず脱燐も行うので、それ相当のCaOを含有する造滓剤を投入している。そのため、転炉内で生成したスラグは余剰物となる。しかし、このスラグは、多量のCaOを含有しており、その脱燐能には、まだ余力があると推定される。また、プリメルトされているので、再度転炉で造滓剤の一部に用いれば、造滓剤が滓化する際の核となり、滓化促進に寄与すると考えられる。ただし、吹錬後のスラグのみをそのまま転炉内に残して、次の溶製に使用すると、スラグ温度が高くなり過ぎ、低温ほど有利な脱燐反応の進行に好ましくない。また、通常の操業では、炉壁を保護するために、残留させたスラグで炉壁をコーティングしているが、そのコーティング用スラグにはMgOを主体とした物質を添加し、コーティングの効果を高める。従って、コーティング用スラグと造滓剤の滓化促進用スラグとの区別が難しく、吹錬後の転炉スラグを転炉に残して次回吹錬の造滓剤の一部に再び使用することは難しい。
【0011】
そこで、発明者は、転炉から一旦排滓し、冷却された後の転炉スラグを破砕処理し、酸素吹錬中の転炉内に投入することを試み、良好な操業成績を得た。本発明は、このスラグの投入と、その際の操業条件とを組み合わせて完成させたものである。
【0012】
すなわち、本発明は、ガスの上底吹き機能を有する転炉で、転炉スラグを造滓剤として再利用し、酸素吹錬して溶鋼を溶製するに際し、転炉に装入する溶銑を事前に転炉以外の精錬容器で予備脱燐処理したものにすると共に、CaO系造滓剤を酸素吹錬中に投入すると同時に、以前の操業で排滓、冷却され、粒径50超え〜150mmに破砕した転炉スラグを投入し、蛍石を使用せずに、撹絆エネルギーを5000W/t以上として吹錬することを特徴とする転炉製鋼方法である。その際、前記冷却された転炉スラグは、P2O5濃度が7.0質量%以下に調整されたものであることが好ましい。
【0013】
本発明によれば、一旦冷却され、粗破砕処理された転炉スラグを造滓剤として再利用するので、蛍石等を造滓剤に使用しなくても、該転炉スラグ利用により全造滓剤の滓化が良好となる。その結果、脱炭と共に脱燐が進行し、所望燐濃度の溶鋼が得られるようになる。また、蛍石を滓化促進剤として使用すると転炉耐火物の溶損が著しいという問題及び蛍石を使用した吹錬後のスラグを土木材料として利用する際の周囲土壌へのフッ素の溶出が懸念される問題も解消し、さらには高価な蛍石をまったく使用しないため、操業費の大幅な低減ができるという利点もある。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、発明をなすに至った経緯を交え、本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
まず、発明者は、図8に示すような酸素ガス1を上吹きするランス2及び底吹きする炉底羽口3を備えた転炉4で、蛍石を使用せずに転炉スラグを投入した場合と投入しない場合の試験操業を多数チャージ実施した。その際、主原料は、表1に示すような組成の予備脱燐、脱硫、脱珪された溶銑5と、鉄スクラップであり、造滓剤は、焼石灰、軽焼ドロマイト、カンラン石、珪石を溶製する鋼種に対応させて適量混合したものである。また、上吹き及び底吹きする酸素ガス1の流量は、鋼種に応じて適宜変更している。さらに、使用した転炉スラグは、従来の操業で転炉4から排滓され、ヤードで冷却した後、破砕して10〜150mmに整粒したものを使用した。10mm未満を除いたのは、投入時に飛散してダストになる量が増えるのを防止するためであり、150mm超えを除いたのは、転炉スラグ自体の溶解が遅くなるのを防止するためである。
【0016】
【表1】
【0017】
一般に、上吹転炉のような溶鋼の撹拌エネルギーεが小さい転炉での吹錬では、転炉スラグを投入しても、その滓化促進効果は減少する。そこで、転炉スラグの破砕後の粒径を上記のように10〜150mmにした他にも、さらに、撹拌エネルギーεを1000W/t以上になるように吹錬し、滓化の促進を図るようにもした。つまり、撹拌エネルギーεを1000W/t以上にすると、50mm以上の比較的大きい粒径の転炉スラグの使用が可能となり、また、一旦冷却した後のスラグ破砕コストを低減する効果も生じるからである。ここで、転炉での溶鋼の撹拌エネルギーは、下記(1)式で表される。
【0018】
ε=εT+εB …(1)
εT=0.0453qT[du2(0、0)/Wx]cos2ξ
εB=(28.5qBT/W)log[1.0+(Lo/1.48)]
ただし、
qT:上吹きガス流量(Nm3/min)
qB:底吹きガス流量(Nm3/min)
x:ランス高さ(m)
d:ノズル径(m)
W:溶鋼量(t)
ξ:ノズル傾角(°)
u(0、0):ノズル出口ガス線速度(m/sec)
T:鋼浴温度(K)
Lo:鋼浴深さ(m)
次に、上記の試験操業で得られた結果を、順次図1〜図7に基づき説明する。
【0019】
図1は、試験吹錬で生成した転炉スラグのT.Fe(質量%)と該転炉スラグの滓化率との関係を示すものである。図1より、造滓剤として予め準備した転炉スラグを使用した時は、不使用時に比べ生成されるスラグの滓化率が上昇し、且つ、該滓化率の値は、高位で安定していることがわかる。この結果は、転炉スラグを造滓剤の一部として使用すると、他の造滓剤(CaO等)の滓化を助けるために通常添加される蛍石の使用が不要であることを示唆している。なお、縦軸の滓化率は、吹錬で生成したスラグの実測した塩基度(CaO/SiO2)を、転炉へ投入した造滓剤及び転炉スラグで持ち込まれたCaO及びSiO2の量から計算した塩基度で割った値(%)であり、横軸は、生成した転炉スラグ中のトータル鉄(記号T/Fe)である。
【0020】
図2は、生成したスラグの塩基度と吹錬が終了した時点でのスラグの燐分配比との関係を示している。この図2からも、予め準備した転炉スラグを造滓剤として再使用すると、燐分配比が向上し、炉内で新たに生成されるスラグの脱燐能力が増すことがわかる。
【0021】
図3は、石灰(CaO)使用量と溶鋼からの脱燐量との関係を示すものである。なお、この図3において、石灰使用量とは、転炉スラグを造滓剤として使用した場合には、その転炉スラグ中の石灰量と別途造滓剤として投入した石灰量との合計である。また、スラグ炉内残留とは、スラグを溶融状態で転炉内に残して再使用する場合を意味し、その時の石灰使用量は、溶融状態で残した転炉スラグ中の石灰量と別途投入した石灰量との合計で表される。さらに、転炉スラグなしの場合には、石灰使用量は、投入した石灰量だけである。
【0022】
図3より、造滓剤の一部に転炉スラグを使用すると、転炉スラグを使用しない場合と同等の石灰量割合(勾配)で溶鋼からの脱燐量が増大していることがわかる。しかも、転炉スラグの使用方法としては、溶融状態で使用するよりも、一度冷却処理した後に破砕した転炉スラグを吹錬中に添加、再利用する方が脱燐効率を高めている。これは、冷却する際に転炉スラグ中のCaOの存在形態が溶融状態の場合から変わり、単なるスラグ生成量の増加及びスラグ化の促進だけでなく、CaO源としての寄与が大きくなるからではないかと考えられる。従って、転炉スラグを造滓剤として再利用する場合には、一旦冷却してから破砕処理し、粒度を調整して使用するのが良いと言える。
【0023】
図4は、転炉での溶鋼の撹拌エネルギーを5700W/tで一定として吹錬した際に使用した転炉スラグの粒径と溶鋼からの脱燐量との関係を示すものである。図4から、粒径は、10mm〜150mm程度が良い(好ましくは、20mm〜90mm)と判断される。より好ましくは、30〜70mmの粒径が良い。この理由は、粒径が10mm未満では、その転炉装入時に、集塵設備に直接吸い上げられ、装入歩留まりが低下するためと考えられる。また、粒径が150mm超えでは、その溶融速度が遅く、吹錬中のスラグの滓化に十分に寄与しないからである。
【0024】
図5は、転炉内での溶鋼の撹拌エネルギーεと滓化率との関係を示している。そこでの撹拌エネルギーεは、前記式(1)より計算したものである。図5より、撹拌エネルギーは、それが小さいと滓化率が低下するので、少なくともε≧1000W/t程度必要であることが明らかである。好ましくは、ε≧3000W/t程度である。さらに、少なくとも安定した高滓化率を得るには、ε≧5000w/tの撹拌エネルギーで転炉吹錬することが望ましい。
【0025】
次に、脱燐吹錬で発生するP2O5濃度の高いスラグを脱炭吹錬で用いると、溶鋼での復燐が大きくなるので、脱燐吹錬で発生したスラグに脱炭吹錬で発生した転炉スラグを混合し、P2O5濃度を適正に調整してから使用すれば、復燐が抑制でき一層良い結果になると考え、試験操業を行った。その結果を、転炉スラグ中のP2O5濃度と溶鋼からの脱燐量との関係で整理し、図6に示す。図6より、使用する転炉スラグのP2O5濃度は、少なくとも7.0質量%以下に調整しなければ、石灰の削減効果は期待できないと言える。すなわち、図6では、P2O5濃度7.0質量%の場合と石灰だけの場合とが同程度の脱燐能力を示し、P2O5濃度7.0質量%の転炉スラグは、石灰の等価物として使用することは可能であることを示唆している。また、図6によれば、造滓剤として添加する石灰量の削減を図るには、転炉スラグのP2O5濃度を5.0質量%以下程度に調整するのが好ましく、P2O5濃度を3.5質量%以下に調整すると、石灰量の削減効果は、飛躍的に向上することが明らかである。このような使用する転炉スラグのP2O5濃度の調整は、P2O5濃度7.0質量%以上の脱燐吹錬によるスラグの混合量を低減することで達成できる。
【0026】
また、吹錬初期に炉内に形成されるスラグの滓化を促進し、他の造滓剤の脱燐効率を向上させるには、転炉スラグ及び造滓剤の添加時期を吹錬初期にするのが良いと考えた。図7は、転炉スラグ及び造滓剤の添加投入時期を吹錬進行度(全吹錬時間を100として吹錬途中時間を%で表示)に沿い変化させて、生成するスラグの滓化率を求めたデータ(図中のプロット)であるが、吹錬初期の20〜30%までの時期にそれらを溶鋼に投入すれば、非常に高い滓化率が得られることを示している。
【0027】
発明者は、以上述べた多くの試験操業で得た結果を従来技術の内容と比較して整理し、前記したように、『ガスの上底吹き機能を有する転炉で、転炉スラグを造滓剤として再利用し、酸素吹錬して溶鋼を溶製するに際し、CaO系造滓剤を酸素吹錬中に投入すると同時に、以前の操業で排滓、冷却され、粒径10〜100mmに破砕した転炉スラグを投入し、攪拌エネルギーを1000W/t以上として吹錬する』こと、及び『前記冷却された転炉スラグは、P2O5濃度が7.0質量%以下に調整されたものを使用する』なる本発明を完成させたのである。
【0028】
なお、本発明では、溶銑5には、予備処理で脱珪、脱燐、脱硫されたものを使用し、これら予備処理を行うには、転炉4ではなく、トピ−ド・カー、出銑樋や溶銑鍋が利用される。また、本発明の実施に使用する転炉4では、炉壁保護のために通常行われる所謂スラグ・コーティングを実施しても良い。そのためには、前回の操業で生じたスラグの一部を次回の操業のため、転炉内に残すことになる。しかし、それは、本発明の実施に障害となるものではない。
【0029】
【実施例】
図4に示した酸素ガス1の上底吹き機能を有する転炉4(溶製能力300トン)を用いて、多種鋼種の溶鋼を多数チャージ溶製した。その際、前記した転炉スラグを再利用する本発明に係る製鋼方法を採用し、再利用しない(転炉スラグを投入しない)従来の製鋼方法での結果と比較した。再利用した転炉スラグは、以前よりヤードに蓄積されていたものを破砕し、予め50〜150mmに整粒したものであり、転炉4上方のバンカ(図示せず)に貯蓄し、必要に応じてシュート(図示せず)を介して適量だけ転炉4内に投入した。該転炉スラグの組成を表2に示しておく。また、転炉内への投入時期は、酸素ガス1の吹錬開始してから3〜6分の間に行なった。従って、前記転炉スラグの投入時期も同じである。撹拌エネルギーεは、従来法、本発明法とも3000W/tとして実施した。
【0030】
冷却してから破砕した転炉スラグを使用した操業成績を、使用しない時と比較して表3に示す。本発明法及び従来法においては、石灰原単位を20.4kg/t〜20.7kg/tとして操業を行ったものである。
【0031】
本発明法においては、使用したスラグが有する石灰量は、約5.5kg/tとなり、その分投入石灰原単位を減らしめ、15.2kg/tとした。表3に示すように、転炉スラグを造滓剤の一部に使用すると、生成スラグの滓化率は良好となり、一方、転炉スラグを使用しない従来法では、悪化した。この従来法で滓化率を転炉を利用する本発明法まで高める場合、蛍石を0.5〜1.0kg/t使用する必要があった。
【0032】
表3より、本発明法によれば、従来法に比べ、造滓剤としての石灰は、使用する転炉スラグが有する石灰量に相当するだけ削減でき、しかも、滓化率も該転炉スラグの使用で非常に良好となっていることが明らかである。また、蛍石をまったく用いずとも、良好な溶鋼からの脱燐が可能であった。
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明により、転炉吹錬でのスラグ滓化率が従来に比べ向上し、高位で安定する。また、蛍石等の高価な媒溶剤を使用しないので、副原料コストは増大せず、さらに該転炉吹錬で発生した転炉スラグを再利用して脱燐効率を向上させるので、石灰等の造滓剤を削減できる。その結果、従来に比べて大幅な副原料コストの削減が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】上底吹き転炉での試験操業における生成スラグのT・Fe濃度(質量%)の滓化率に及ぼす影響を、転炉スラグを造滓剤の一部に使用した場合と不使用の場合で比較した図である。
【図2】上底吹き転炉での試験操業における生成スラグの塩基の燐分配比に及ぼす影響を、転炉スラグを造滓剤の一部に使用した場合と不使用の場合で比較した図である。
【図3】上底吹き転炉での試験操業における石灰使用量の溶鋼からの脱燐量に及ぼす影響を、転炉スラグを造滓剤の一部に使用した場合(溶融状態での使用も含む)と不使用の場合で比較した図である。
【図4】上底吹き転炉での試験操業における投入転炉スラグの平均粒径の溶鋼からの脱燐量に及ぼす影響を示す図である。
【図5】上底吹き転炉での試験操業における溶鋼の攪拌エネルギーの生成スラグの滓化率に及ぼす影響を示す図である。
【図6】上底吹き転炉での試験操業における石灰使用量の溶鋼からの脱燐量に及ぼす影響を、造滓剤の一部に使用する転炉スラグのP2O5濃度を変化させた場合(溶融状態での使用も含む)と転炉スラグ不使用の場合とで比較した図である。
【図7】上底吹き転炉での試験操業における転炉スラグ及び造滓剤の添加時期を吹錬進行度に沿って変化させ、その添加時期の生成スラグの滓化率に及ぼす影響を示す図である。
【図8】一般的な上底吹き転炉で溶銑を酸素吹錬し、溶鋼を製造している状況を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 酸素ガス
2 上吹きランス
3 底吹羽口
4 転炉
5 溶銑又は溶鋼(溶湯ともいう)
Claims (2)
- ガスの上底吹き機能を有する転炉で、転炉スラグを造滓剤として再利用し、酸素吹錬して溶鋼を溶製するに際し、転炉に装入する溶銑を事前に転炉以外の精錬容器で予備脱燐処理したものにすると共に、CaO系造滓剤を酸素吹錬中に投入すると同時に、以前の操業で排滓、冷却され、粒径50超え〜150mmに破砕した転炉スラグを投入し、蛍石を使用せずに、撹絆エネルギーを5000W/t以上として吹錬することを特徴とする転炉製鋼方法。
- 前記冷却された転炉スラグは、P2O5濃度が7.0質量%以下に調整されたものであることを特徴とする請求項1記載の転炉製鋼方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001020951A JP3885499B2 (ja) | 2001-01-30 | 2001-01-30 | 転炉製鋼方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001020951A JP3885499B2 (ja) | 2001-01-30 | 2001-01-30 | 転炉製鋼方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002220615A JP2002220615A (ja) | 2002-08-09 |
JP3885499B2 true JP3885499B2 (ja) | 2007-02-21 |
Family
ID=18886580
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001020951A Expired - Lifetime JP3885499B2 (ja) | 2001-01-30 | 2001-01-30 | 転炉製鋼方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3885499B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101257266B1 (ko) | 2011-05-30 | 2013-04-23 | 현대제철 주식회사 | 전기로에서의 용강 탈린제 및 탈린 방법 |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006274349A (ja) * | 2005-03-29 | 2006-10-12 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 鋼の精錬方法 |
JP4698482B2 (ja) * | 2006-05-26 | 2011-06-08 | 株式会社神戸製鋼所 | 転炉の操業方法 |
JP4698483B2 (ja) * | 2006-05-26 | 2011-06-08 | 株式会社神戸製鋼所 | 転炉の操業方法 |
JP5098518B2 (ja) * | 2007-08-23 | 2012-12-12 | 住友金属工業株式会社 | 溶銑の脱燐方法 |
JP5434205B2 (ja) * | 2009-04-06 | 2014-03-05 | 新日鐵住金株式会社 | 転炉スラグの再利用方法 |
JP6269974B2 (ja) * | 2015-03-25 | 2018-01-31 | Jfeスチール株式会社 | 鋼の溶製方法 |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS61194107A (ja) * | 1985-02-25 | 1986-08-28 | Kawasaki Steel Corp | 製鋼プロセスにおける生石灰の有効利用法 |
JPH04120209A (ja) * | 1990-09-10 | 1992-04-21 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 転炉滓再利用による造滓剤 |
JP3239197B2 (ja) * | 1993-07-05 | 2001-12-17 | 新日本製鐵株式会社 | 転炉製鋼法 |
JPH0841519A (ja) * | 1994-07-26 | 1996-02-13 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 製鋼方法 |
JPH0853705A (ja) * | 1994-08-10 | 1996-02-27 | Kobe Steel Ltd | 製鋼方法 |
JP3709069B2 (ja) * | 1998-03-19 | 2005-10-19 | 新日本製鐵株式会社 | 溶銑予備処理方法 |
-
2001
- 2001-01-30 JP JP2001020951A patent/JP3885499B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101257266B1 (ko) | 2011-05-30 | 2013-04-23 | 현대제철 주식회사 | 전기로에서의 용강 탈린제 및 탈린 방법 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2002220615A (ja) | 2002-08-09 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPWO2002022891A1 (ja) | 精錬剤および精錬方法 | |
JP6693536B2 (ja) | 転炉製鋼方法 | |
US4295882A (en) | Steel making process | |
JP3557910B2 (ja) | 溶銑脱燐方法と低硫・低燐鋼の溶製方法 | |
KR101430377B1 (ko) | 용선의 탈규 탈인 동일 처리 방법 | |
JP3885499B2 (ja) | 転炉製鋼方法 | |
JP4977870B2 (ja) | 製鋼方法 | |
JP6665884B2 (ja) | 転炉製鋼方法 | |
JPH0853705A (ja) | 製鋼方法 | |
JP3711835B2 (ja) | 溶銑脱燐用の焼結剤および溶銑の脱燐方法 | |
JP2003239009A (ja) | 溶銑の脱りん精錬方法 | |
JP4581751B2 (ja) | 溶銑輸送容器からの発塵防止方法 | |
JP4210011B2 (ja) | 転炉を用いた溶銑の脱燐方法 | |
JP3333339B2 (ja) | 脱炭滓をリサイクルする転炉製鋼法 | |
JP7243185B2 (ja) | ホットスラグリサイクル方法 | |
JP2015178659A (ja) | 脱珪スラグを再利用する脱珪、脱りん、脱炭方法 | |
KR101526447B1 (ko) | 용선의 정련 방법 | |
EP1524322A2 (en) | Method of liquid steel production with slag recycling in a converter, equipment to employ the method | |
JP3339982B2 (ja) | 転炉製鋼法 | |
JP4598220B2 (ja) | 脱炭滓を用いた溶銑の処理方法 | |
JP4772454B2 (ja) | 溶銑の精錬方法 | |
JP2004010935A (ja) | 溶鋼の製造方法 | |
JP6538522B2 (ja) | 連続鋳造用タンディッシュ耐火物の再利用方法 | |
JP3988578B2 (ja) | 脱硫スラグの再利用方法 | |
JPH06240327A (ja) | Mn鉱石の溶融還元を伴った低Si・低S・高Mn溶銑の製造 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20041101 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20051025 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20051226 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060221 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060421 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060620 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060807 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20061031 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20061113 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 3885499 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091201 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101201 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101201 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111201 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121201 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121201 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131201 Year of fee payment: 7 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |