JP2013220952A - 耐火レンガ保護材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】粒径3〜50mmの基材と、基材の表面を覆う融点が1700℃以上のコーティング材と、を有し、基材がマグネシウムの無機塩又はオキソ酸塩、鉱物の内いずれか1以上である。
【選択図】なし
Description
(1)(特許文献1)に開示の技術は、融点の高い酸化マグネシウムを用いるのでマグネシウムが溶融し難く、マグネシウム濃度が上昇し難いという課題を有していた。
(2)(特許文献2)に開示の技術は、SiO2を含有する可能性があり、スラグの塩基度が低下し、内張り耐火物中のMgOの溶出が促され易くなるとともに、スラグの量が増えるという課題を有していた。
本発明の請求項1に記載の耐火レンガ保護材は、粒径3〜50mmの基材と、前記基材の表面を覆う融点が1700℃以上のコーティング材と、を有し、前記基材がマグネシウムの無機塩又はオキソ酸塩、鉱物の内いずれか1以上である構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)基材がマグネシウムの無機塩やオキソ酸塩等であるので、転炉内でマグネシウム分が分解することで、転炉内のマグネシウム分を高めることができ、耐火レンガの劣化を抑制することができる。
(2)基材が融点1700℃以上のコーティング材で覆われているので、基材中のマグネシウム分が転炉の熱と緩やかに反応するので、保有水分による基材の急激な膨張を大幅に抑制でき、これによって耐火レンガの劣化(損耗)が抑制できる。
(3)粒径が3〜50mmであるため転炉内に供給し易く、吹き上げ等による耐火レンガの消費の無駄も無いので、省コストでありハンドリング性に優れる。
これらの中でも鉱石を用いることが望ましい。鉱石を用いる場合、所定の粒径に鉱石を破砕すれば良く、コーティング材で表面を覆うだけで良く、取扱性に優れるからである。また、鉱物を用いる場合はシリカやアルミナ、硫黄等が含まれないものを用いることが望ましい。
また、基材の形状としては特に限定はしないが、凹凸の多い異形であることが好ましい。コーティング材が粉体等の固形物である場合、水酸化マグネシウム表面の凹凸に付着しやすいからである。
この中でも酸化カルシウムや炭酸マグネシウムを用いた場合、転炉に投入しても不純物として作用しないので、品質を下げることがなく、また、カルシウムイオンになる際に発生した酸素が不純物を酸化し除去を促すので好ましい。
この構成により、請求項1の作用に加え以下のような作用が得られる。
(1)転炉内に投入された際に、水酸化マグネシウムが分解され転炉内のマグネシウム分の濃度が高まるので、転炉内壁に形成される耐火レンガからのマグネシウムイオンの溶融を防ぎ、耐火レンガの劣化を抑えることができる。
(2)水酸化マグネシウムの粒子表面を融点が1700℃以上のコーティング材で覆われているので、水酸化マグネシウムと炭酸ガスや水分との反応を緩やかにでき、転炉精錬の初期段階で水酸化マグネシウムの分解を促進させることができるので、水酸化マグネシウムを効率的に使用することができる。
(3)水酸化マグネシウムと炭酸ガスや水分との反応が緩やかなので、保有水分による基材の急激な膨張を大幅に抑制できる。
(4)水酸化マグネシウムの粒子表面にコーティング材を備えているので、大気中の炭酸ガスや水分と反応を抑制し、水酸化マグネシウム粒子の崩壊を防ぐ。
(5)水酸化マグネシウムは融点が低いので、酸化マグネシウムを直接投入するよりも効率よく転炉内のマグネシウム分を高めることができる。
この構成により、請求項2の作用に加え以下のような作用が得られる。
(1)ブルーサイト等の鉱石を用いるので、鉱物を所定の大きさに破砕するだけで用いることができるとともに、原価を抑えることができ生産性に優れる。
(2)ブルーサイトを用いた場合、シリカや硫黄等の不純物が少なく、転炉スラグの発生量を減らすことができるとともに、水酸化マグネシウム含有量から換算した酸化マグネシウム相当量が他の鉱石と比べても高いので、耐火レンガ保護材の使用量を少なくすることができる。
(3)ブルーサイト等の鉱石を破砕して形成するので表面に凹凸があり、コーティング材として粉体等の固形物を用いた場合は、双方を混合するだけで表面にコーティング材を付着させることができ、取扱性に優れる。
また、ブルーサイトは溶鋼中の不純物の1つであるシリカの含有量が少ないので、転炉スラグの発生量が少なく、転炉スラグの発生による環境負荷も小さくすることができる。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1の作用に加え以下の作用を有している。
(1)コーティング材が炭酸カルシウム、酸化カルシウム、ドロマイト、マグネサイトであるので、転炉に投入した際にコーティング材が不純物とならないので、精錬される溶鋼の品質を落とさず、また、スラグの塩基度を高めるので、耐火レンガからのマグネシウム分が溶出することを防止できる。
(2)粒径が5mm未満であるため、水酸化マグネシウムの表面の凹凸に付着しやすく、混合・撹拌するだけで用意に表面をコーティングすることができる。
また、コーティング材としては炭酸カルシウム、酸化カルシウム、ドロマイト、マグネサイトが好ましく用いられる。これらは、金属の精製時に不純物にならず、ハンドリング性に優れ、また、スラグの塩基度を高めるので、耐火レンガからのマグネシウム分の溶出を抑えることができる。
この構成により、請求項1乃至4の内いずれか1の作用に加え以下の作用を有している。
(1)コーティング材の割合が総量に対して2〜8mass%であるので、基材の表面全体をコーティングすることができ、水酸化マグネシウムが溶融し難くなるので、水酸化マグネシウムと炭酸ガスや水分との反応が緩やかなので、保有水分による基材の急激な膨張を大幅に抑制することができる。
この構成により、以下の作用を有している。
(1)マグネシウムの無機塩又はオキソ酸塩、鉱物の内いずれか1以上である基材を破砕してコーティング材と混合するだけで、基材の表面に炭酸カルシウムや酸化カルシウムの微粒子をコーティングすることができるので、生産性に優れる。
(2)炭酸カルシウムや酸化カルシウムを付着させるので、基材が空気中の炭酸ガスや水分によって崩壊することを防ぐことができるので、ハンドリング性に優れる耐火レンガ保護材を得ることができる。
また、破砕されたブルーサイトは篩分け、30mm以上のものは再び破砕工程で破砕される。
水洗工程後、基材の表面は水分が残っているので、自然乾燥等により表面の水分を簡単に除去しておくことで、水分による崩壊を防ぐことができる。
この構成により、請求項6の作用に加え以下の作用を有している。
(1)ブルーサイト等の鉱石を用いるので、鉱物を所定の大きさに破砕するだけで用いることができるとともに、原価を抑えることができ生産性に優れる。
(2)ブルーサイトはシリカや硫黄等の不純物が少なく、転炉スラグの発生量を少なく環境負荷を低減させことができるとともに、水酸化マグネシウム含有量から換算した酸化マグネシウム相当量が他の鉱石と比べて高く、単位量辺りの使用量が少ない耐火物レンガ保護材を得ることができる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)転炉内のマグネシウム分を高め耐火レンガの劣化を抑えることができるとともに、保有水分による基材の急激な膨張を大幅に抑制することができる耐火レンガ保護材を提供することができる。
(1)保有水分による基材の急激な膨張を大幅に抑制でき、これによっても耐火レンガの劣化(損耗)が抑制できるとともに、転炉内のマグネシウム濃度を高めることができ、耐火レンガからのマグネシウムイオンの溶融を効率的に抑えることができる。
(1)生産性が高く、使用量が少なくて良く、転炉スラグの発生量も少ない耐火レンガ保護材を提供することができる。
(1)精錬される溶鋼の品質を落とさず、耐火レンガからのマグネシウム分の溶出を防止することができる耐火レンガ保護材を提供することができる。
(1)基材の表面全体がコーティング材でコーティングされ、水酸化マグネシウムの溶融を抑え、保有水分による基材の急激な膨張を大幅に抑制でき、これによっても耐火レンガの劣化(損耗)が抑制できる耐火物レンガ保護材を提供することができる。
(1)製造が容易で生産性に優れるとともに、ハンドリング性に優れる耐火レンガ保護材を得ることができる耐火レンガ保護材の製造方法を提供することができる。
(1)原価が安く生産性に優れ、環境負荷が小さく、単位量辺りの使用量が少ない耐火レンガ保護材を得ることができる耐火レンガ保護材の製造方法を提供することができる。
(実施の形態1)
まず、粉砕工程において、採掘されたブルーサイトをクラッシャーで破砕し、トロンメル分級機等を用いて粒径が10mm以下のものと30mm以上のものを篩い分けして、粒径が10〜30mmのブルーサイト粒子を得る。
次に、水洗工程において、10〜30mmのブルーサイト粒子は、シャワーリングされ、表面の汚れ等が除去される。
水洗したブルーサイト粒子はバラ積みにされ、自然乾燥させた後、混合付着工程において、粒径が3mm以下の炭酸カルシウムと酸化カルシウムの微粒子の割合が約5mass%となるように混合され、表面に石灰系微粒子がコーティングされ耐火レンガ保護材となる。この際、蛍光X線を用いて成分分析される。
(1)ブルーサイト粒子の表面に酸化カルシウムや炭酸カルシウムからなるコーティング材が付着しているので、ブルーサイトが徐々に分解され、投入される転炉等の内部におけるマグネシウムの濃度が高まるので、転炉等の内壁に張られた耐火レンガからマグネシウム分が溶出することを防ぎ、耐火レンガの劣化を抑えることができる。
(2)融点の高い酸化カルシウムと加熱により酸化カルシウムとなる炭酸カルシウムの微粒子によって表面がコーティングされているので、水酸化マグネシウムと炭酸ガスや水分との反応を緩やかにでき、転炉精錬の初期段階で水酸化マグネシウムの分解を促進させることで、転炉内のマグネシウム分を高めることができるので、転炉内壁に形成される耐火レンガの劣化を抑制することができる。
(3)ブルーサイト粒子が直接大気と触れないので、炭酸ガスや水分と反応し難く、ブルーサイト粒子が崩壊することを防ぐことができる。
(4)酸化マグネシウム相当量が高く、シリカや硫黄等の不純物の少ないブルーサイトを用いるので、単位量辺りの使用量が少なくて良く、精錬における品質の低下が起き難く、スラグの発生量も少ない。
(5)ブルーサイトを破砕するため、表面に凹凸が形成され易く、その凹凸にコーティング材である酸化カルシウムや炭酸カルシウムの微粒子が付着し易いので、製造が容易で生産性に優れる。
Claims (7)
- 粒径3〜50mmの基材と、前記基材の表面を覆う融点が1700℃以上のコーティング材と、を有し、前記基材がマグネシウムの無機塩又はオキソ酸塩、鉱物の内いずれか1以上であることを特徴とする耐火レンガ保護材。
- 前記基材が水酸化マグネシウムであることを特徴とする請求項1に記載の耐火レンガ保護材。
- 前記水酸化マグネシウムがブルーサイト、蛇紋岩、タルク、バーミキュライト、セピオライトの内いずれか1以上であることを特徴とする請求項2に記載の耐火レンガ保護材。
- 前記コーティング材が目開き5mmのふるいを通過した炭酸カルシウム、酸化カルシウム、ドロマイト、マグネサイトの内いずれか1以上であることを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1に記載の耐火レンガ保護材。
- 前記コーティング材の割合が総量に対して2〜8mass%であることを特徴とする請求項1乃至4の内いずれか1に記載の耐火レンガ保護材。
- マグネシウムの無機塩又はオキソ酸塩、鉱物の内いずれか1以上である基材を3〜50mmに破砕する破砕工程と、前記破砕工程で破砕された前記基材の表面の汚れを落とす水洗工程と、目開き5mmのふるいを通過した炭酸カルシウム及び/又は酸化カルシウムを含むコーティング材と前記基材を混合し前記基材の表面にコーティング材を付着させる混合付着工程と、を備えることを特徴とする耐火レンガ保護材の製造方法。
- 前記基材がブルーサイトであることを特徴とする請求項6に記載の耐火レンガ保護材の製造方法。
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