JP2011073557A - 鞍乗り型車両のエアバッグ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エアバッグ30の内部を,車両の前後方向に関し,膨張展開時の内圧が異なる複数の膨張室31f,31rに分割し,最前部の膨張室31fの内圧に比べて最後部の膨張室31rの内圧を低くした。複数の膨張室にはそれぞれ出力の異なるインフレータを設けてそれぞれのインフレータで複数の膨張室を膨張展開させてもよいし,複数の膨張室にはそれぞれ開口面積の異なるベントホールを設けて膨張展開時の内圧を異ならせてもよいし,複数の膨張室は異なる体積とするとともに、各膨張室には同じ出力のインフレータを設けてもよい。
【選択図】図4
Description
また,特許文献2に見られるように,複数の膨張室(5a,5b,5c)を有するものも知られている。同文献の符号を借りて説明すると,この鞍乗り型車両のエアバッグ装置は,エアバッグ(5)を左右均等に且つ短時間で膨張展開させることを目的としたもので,エアバッグ(5)は、相互に分離された複数の膨張室(5a,5b,5c)を有し、各膨張室ごとにインフレータ21を備えている。
したがって,エアバッグには,衝突対象と乗員との間の緩衝体として作用するのに足る硬さと軟らかさとが要求される。
しかし,上記特許文献1におけるエアバッグは,単一の内部空間しか有しておらず,上記特許文献2におけるエアバッグは,複数の膨張室(5a,5b,5c)を有してはいるものの,その膨張室は左右均等に膨張展開されるに過ぎない。
前記エアバッグの内部を,車両の前後方向に関し,膨張展開時の内圧が異なる複数の膨張室に分割したことを特徴とする。
この鞍乗り型車両のエアバッグ装置によれば,エアバッグの内部が,車両の前後方向に関して複数の膨張室に分割されており,かつ,それら膨張室の膨張展開時の内圧が異なっているので,内圧の高い方の膨張室を,衝突対象と乗員との間の緩衝体として作用するのに足る硬さを有する膨張室として機能させると同時に,内圧の低い方の膨張室を,衝突対象と乗員との間の緩衝体として作用するのに足る軟らかさを有する膨張室として機能させることが可能となる。
すなわち,この発明の鞍乗り型車両のエアバッグ装置によれば,衝突対象と乗員との間の緩衝体として作用するのに足る硬さと軟らかさとを両立させることができる。
望ましくは,前記複数の膨張室の内圧は,最前部の膨張室の内圧に比べて最後部の膨張室の内圧を低くする。
このように構成すると,衝突対象に当接する最前部の膨張室を,乗員と当接する最後部の膨張室に比べて相対的に硬くすることで,衝突対象に当接するのに適した硬さおよび形状保持能力を有する膨張室として構成できると同時に,相対的に,乗員と当接する最後部の膨張室を,衝突対象に当接する最前部の膨張室に比べて軟らかくすることで,乗員に当接するのに適した軟らかさを有する膨張室として構成することができる。
望ましくは,前記複数の膨張室にはそれぞれ出力の異なるインフレータを設けてそれぞれのインフレータで複数の膨張室を膨張展開させる構成とする。
このように構成すると,出力の異なるインフレータを複数の膨張室に設けるという簡単な構成で,膨張室の内圧を異ならせることができる。
望ましくは,前記複数の膨張室にはそれぞれ開口面積の異なるベントホールを設けて膨張展開時の内圧を異ならせる構成とする。
このように構成すると,複数の膨張室に開口面積の異なるベントホールを設けるという簡単な構成で,膨張室の内圧を異ならせることができる。
望ましくは,前記複数の膨張室は異なる体積とするとともに、各膨張室には同じ出力のインフレータを設ける。
このように構成すると,異なる出力のインフレータを用意することなく,膨張室の内圧を異ならせることができる。
図1は本発明に係る鞍乗り型車両のエアバッグ装置の一実施の形態を用いた鞍乗り型車両の一例を示す側面図,図2はその車両を後方から見た図である。
図1,図2に示す車両10は自動二輪車である。この自動二輪車10は,車体をなすフレーム(車体フレーム)11を有している。この車体フレーム11の前端を構成するヘッドパイプ12に操舵自在に左右一対のフロントフォーク13が取付けられ,このフロントフォーク13の上部にハンドルバー14が取付けられている。ハンドルバー14にはバックミラー15が取付けられている。フロントフォーク13の下端には前輪16Fが回転自在に取り付けられている。車体フレーム11にはエンジン17が固定されている。車体フレーム11の後部には,スイングアーム18がピボット軸18pで上下スイング自在に取り付けられており,このスイングアーム18の後端部に駆動輪である後輪16Rが回転可能に取り付けられている。後輪16Rは,エンジン17との間に設けられたチェーン19で駆動される。
このような操舵装置STは,乗員がハンドル14(図1参照)を回動操作することで,自動二輪車10を平面視で時計方向または反時計方向へ進路変更させることができる。
これらの図に示すように,この自動二輪車10には燃料タンクTの前部にエアバッグ装置20が搭載されている。
エアバッグ装置20は,乗員Mの前方で膨張展開するエアバッグ30を有している。エアバッグ30は,その内部が,車両10の前後方向に関し,膨張展開時の内圧が異なる複数の膨張室31f,31rに分割されている。31pはエアバッグ30の内部を前後の膨張室31f,31rに仕切っている仕切部である。図示のエアバッグ30は,前後方向に関して2室に分割されているが,3室以上に分割することも可能である。
すなわち,この鞍乗り型車両のエアバッグ装置20によれば,衝突対象Cと乗員Mとの間の緩衝体として作用するのに足る硬さと軟らかさとを両立させることができる。
このように構成すると,衝突対象Cに当接する最前部の膨張室31fを,乗員Mと当接する最後部の膨張室31rに比べて相対的に硬くすることで,衝突対象Cに当接するのに適した硬さおよび形状保持能力を有する膨張室として構成できると同時に,相対的に,乗員Mと当接する最後部の膨張室31rを,衝突対象Cに当接する最前部の膨張室31fに比べて軟らかくすることで,乗員Mに当接するのに適した軟らかさを有する膨張室として構成することができる。
複数の膨張室31f,31rの内圧は,図6(a)に示すように,それら膨張室31f,31rに,それぞれ出力の異なるインフレータ32f,32rを設けてそれぞれのインフレータ32f,32rで複数の膨張室31f,31rを膨張展開させることによって異ならせることができる。この場合,最後部の膨張室31rを膨張させるインフレータ32rの出力を,最前部の膨張室31fを膨張させるインフレータ32fの出力に比べて小さくすることで,最前部の膨張室31fの内圧に比べて最後部の膨張室31rの内圧を低くすることができる。
このように構成すると,出力の異なるインフレータ32f,32rを複数の膨張室31f,31rに設けるという簡単な構成で,膨張室31f,31rの内圧を異ならせることができる。
このように構成すると,複数の膨張室31f,31rに開口面積の異なるベントホール30vf,30vrを設けるという簡単な構成で,膨張室31f,31rの内圧を異ならせることができる。なお,この場合,複数の膨張室31f,31rを膨張させるインフレータは同一出力とすることもできるし,図6(b)に示すように,最後部の膨張室31rを膨張させるインフレータ32rの出力を,最前部の膨張室31fを膨張させるインフレータ32fの出力に比べて小さくすることもできる。
このように構成すると,異なる出力のインフレータを用意することなく,膨張室31f,31rの内圧を異ならせることができる。
具体的には,連動装置40は,エアバッグ30の膨張展開時に,図8(a)に実線で示すように,操舵装置STが車両10を平面視で時計方向へ向かわせる状態すなわち操舵装置STが時計方向Rへ回動した状態となっている場合には,図8(b)に実線で示すように,エアバッグ30を車両10の後方から見て反時計方向Lへ指向させて膨張展開させ(膨張展開方向を矢印L1で示す),エアバッグ30の膨張展開時に操舵装置STが図8(a)に仮想線で示すように車両10を平面視で反時計方向Lへ向かわせる状態すなわち操舵装置STが反時計方向Lへ回動した状態となっている場合には,図8(b)に仮想線で示すように,エアバッグ30を車両の後方から見て時計方向Rへ指向させて膨張展開させる(膨張展開方向を矢印R1で示す)。
図7に示すように,鞍乗り型車両10が,走行中の相手車Cの側面に衝突した場合,通常,図9に示すように,鞍乗り型車両10の前輪16Fは相手車Cとの衝突で,相手車Cの進行方向Fへと回動させられ,したがって,それと同方向(図9の場合R方向)へ操舵装置STも回動させられ(図8(a)参照),それと同時に鞍乗り型車両10自体も相手車の進行方向へと回動させられる状態(ヨーイング発生状態であり,いわば相手車Cに持って行かれる状態)となる。すなわち鞍乗り型車両10は,衝突前の進行方向をDとした場合,相手車Cとの衝突によって,相手車Cの進行方向へと横移動することとなる。
一方,鞍乗り型車両10の乗員Mは慣性の法則により,衝突前の進行方向Dを保ったまま(横移動せずに)相手車Cの側面に衝突しようとする。
したがって,何らの方策も講じないとしたならば,図9に示すように,従来のエアバッグ(33)は鞍乗り型車両10の進行方向(R方向)において膨張展開することとなる。
したがって,この鞍乗り型車両のエアバッグ装置20によれば,鞍乗り型車両10が走行中の相手車Cの側面に衝突した場合においてもエアバッグ30がその役割を十分に果たすことが可能となる。
したがって,このような場合にも,この鞍乗り型車両のエアバッグ装置20によれば,エアバッグ30がその役割を十分に果たすことが可能となる。
エアバッグ装置20は,上記エアバッグ30と,このエアバッグ30を収納するリテーナ50と,上記連動装置40とを備えている。
リテーナ50は,箱状のリテーナ本体51と,このリテーナ本体51を図11(c)に示すように,車両10に対し,車両10の後方から見て時計方向Rおよび反時計方向Lへ回動可能に取り付ける支持機構52と,この支持機構52によるリテーナ本体51の回動をロックするロック機構53とを備えている。
図12に示すように,エアバッグ30は,リテーナ本体51内に折り畳まれた状態でインフレータ32と一体となって収納されている。
ロック機構53は,車両本体側に設けられた規制体53bと,リテーナ本体51側に設けられた被規制体54とを有している。
規制体53bは車体フレーム11に固定された規制ブロックで構成されており,その両端53cが,被規制体54と当接可能な規制部を構成している。
作動部12pは,操舵装置STの一部を構成するトップブリッジ12tに設けた凸部で構成されている。なお,図11(a)において,12fはフロントフォーク13が結合される穴,12cはステムシャフト12sが結合される穴である。
係合部57は,図11(a)に示すように,上方から見てU字形のプレートからなる係合部材で構成されている。係合部材57は,前記作動部12pに向かって伸びる一対のアーム部57a,57aと,これらアーム部57aの基部同士をリテーナ本体51内で連結しているベース部57bとを有し,アーム部57a,57aが,リテーナ本体51の前板51fに設けられた穴51gに挿通されていることによって,リテーナ本体51から前方に向けて突出可能にリテーナ本体51に取り付けられている。
また,この連動装置40は,操舵装置STに設けられた作動部12pと,リテーナ50に設けられていて作動部12pと係合する係合部57とで構成されているので,より簡単な構成で,エアバッグ30の膨張展開位置を乗員Mの移動方向Dと合致させることができる。
さらに,係合部57は,エアバッグ30の膨張展開時にのみ作動部12pに向け突出して作動部12と係合可能となる構成としてあるので,必要時にのみ操舵装置STとエアバッグ30のリテーナ50とが連動することとなる。したがって,リテーナ50の不要な動きを防止することができる。
さらに,係合部57は,エアバッグ30の膨張展開時に上昇するリテーナ本体51の内圧およびエアバッグ30の膨張動作によって作動部12pに向けて突出する構成としてあるので,エアバッグ30の膨張展開動作をそのまま利用して係合部57を突出させることができる。したがって,係合部57の突出手段を別途用意する必要が無くなり,部品点数の増加を抑えることができる。
また,作動部12pは操舵装置STの一部を構成するトップブリッジ12tに設けた凸部で構成したので,トップブリッジ12tに凸部を設けるだけでよく,作動部のための複雑な加工を不要とすることができる。
そのため,上記連動装置40の作動と相俟って,図10に示すように,膨張展開したエアバッグ30における頭部対向部30hの位置は,上記慣性による乗員Mの移動方向Dとより確実に合致しやすくなる。
したがって,この鞍乗り型車両10のエアバッグ装置20によれば,走行中の相手車Cの側面に衝突した場合においてもエアバッグ30がその役割を十分に果たすことが可能となる。
このようにすると,エアバッグ30が,より確実に車両特にハンドルバー14からの干渉を回避しうる状態となって,車両10と一緒には移動しにくくなる。このため,頭部対向部30hの位置が乗員Mの移動方向Dと一層合致しやすくなる。
このようにすると,エアバッグ30が,より確実に車両10からの干渉を回避しうる状態となって,車両10と一緒には移動しにくくなる。このため,頭部対向部30hの位置が乗員Mの移動方向Dと一層合致しやすくなる。また,頭部対向部30hの下部30h1を上部30h2より幅狭とすることで,上記くびれ部30cを設けたことと相俟ってエアバッグ30全体としてのコンパクト化を図ると同時に,相対的に頭部対向部30hの上部30h2を幅広とすることで乗員保護機能を高めることができる。
このようにすると,エアバッグ30が,より確実に車両特にハンドルバー14からの干渉を回避しうる状態となって,車両と一緒には移動しにくくなる。このため,頭部対向部30hの位置が乗員の移動方向と一層合致しやすくなる。
この実施の形態が上記の実施の形態と異なる点は,膨張展開時に,首部30nとは別に,頭部対向部30hと車両10とを連結して頭部対向部30hを繋留する左右一対の繋留体34を設けた点にあり,その他の点に変わりはない。
このようにすると,例えば図16(a)に示すように膨張展開したエアバッグ30の直ぐ前方に,該エアバッグ30を支持する物体(例えば相手車Cの表面)がない場合でも,エアバッグ30で乗員Mを受け止めその運動エネルギーの一部を吸収することが可能となる。仮に,繋留体34を設けないとしたならば,例えば図16(b)に示すように,膨張展開したエアバッグ30の直ぐ前方に,該エアバッグ30を支持する物体(例えば相手車Cの表面)がない場合,エアバッグ30は乗員Mを受け止めることができない。
これに対し,繋留体34を設けることにより,例えば図16(a)に示すようにエアバッグ30で乗員Mを受け止めその運動エネルギーの一部を吸収することが可能となる。
繋留体34を車両10本体(例えば車体フレーム11)にではなく,エアバッグモジュールAMに連結すると,繋留体34を車体10本体に連結する場合に比べて,他の車体部品,例えば車体フレーム11の設計自由度が向上する。
このようにすると,膨張展開したエアバッグ30の直ぐ前方に,該エアバッグ30を支持する物体(例えば相手車Cの表面)がない場合でも,エアバッグ30で乗員Mを受け止めその運動エネルギーの一部を吸収することが可能となる。
この実施の形態が上述した実施の形態と異なる点は,エアバッグ30に,その表面30sを保護する保護シート35が,エアバック30の表面30sに対して弛ませた状態で設けられている。
このように構成すると,エアバッグ30の表面30sを保護する保護シート35が,エアバック30の表面30sに対して弛ませた状態で設けられているので,エアバッグ30の膨張展開時,保護シート35には張力が発生しないか,発生したとしてもその張力は小さなものとなる。
以上から明らかなように,この実施の形態によれば,エアバッグ30の表面に保護シートを密着させて設けた場合に比べて,それほど丈夫なシートを用いなくてもエアバッグを有効に保護することが可能になる。
したがって,この実施の形態によれば,厚手のシートや強固な縫合を必要とせずにエアバッグを保護することができるので,小型化可能で鞍乗り型車両10に適したエアバッグ装置を提供することができる。
例えば,図17に示すように,保護シート35の両側部35b,35bをエアバッグ30に対して接合することができる(接合部を35sで示す。以下同じ)
また,図18(a)(b)に示すように,保護シート35の上辺部35cと下辺部35dとをエアバッグ30に対して接合することができる。
また,図18(c)(d)に示すように,保護シート35の周辺部(図示の場合四隅)において,エアバッグ30に対してスポット的に結合することもできる。その結合部を35mで示す。この結合部35mは接合による結合とすることもできるし,溶着,接着による結合とすることもできる。
このように,保護シート35の周辺部を,エアバッグ30に対してスポット的に結合した構成とすると,結合部の嵩張りを低減して収納サイズの最小化を図りやすくなる。
なお,上記接合35sに代えて溶着,接着を用いることもできる。
上述したいずれの結合手段を用いる場合も,エアバッグ30と保護シート35との結合部同士を結ぶ,エアバッグ表面30sに添った距離に比べ,結合部同士を結ぶ保護シート35における長さの方が大きくなるように結合することによって,保護シート35が,エアバック30の表面30sに対して弛んだ状態で設けられる。
20 エアバッグ装置
30 エアバッグ
30vf,30vr ベントホール
31f,31r 膨張室
32 インフレータ
Claims (5)
- 乗員の前方で膨張展開するエアバッグを有する鞍乗り型車両のエアバッグ装置において,
前記エアバッグの内部を,車両の前後方向に関し,膨張展開時の内圧が異なる複数の膨張室に分割したことを特徴とする鞍乗り型車両のエアバッグ装置。 - 前記複数の膨張室の内圧は,最前部の膨張室の内圧に比べて最後部の膨張室の内圧を低くしたことを特徴とする請求項1記載の鞍乗り型車両のエアバッグ装置。
- 前記複数の膨張室にはそれぞれ出力の異なるインフレータを設けてそれぞれのインフレータで複数の膨張室を膨張展開させることを特徴とする請求項1または2記載の鞍乗り型車両のエアバッグ装置。
- 前記複数の膨張室にはそれぞれ開口面積の異なるベントホールを設けて膨張展開時の内圧を異ならせたことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の鞍乗り型車両のエアバッグ装置。
- 前記複数の膨張室は異なる体積とするとともに、各膨張室には同じ出力のインフレータを設けたことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の鞍乗り型車両のエアバッグ装置。
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