JP5979890B2 - 鞍乗り型車両のエアバッグ装置 - Google Patents
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Description
前記エアバッグは,膨張展開時に,前記燃料タンクの前部から左右のハンドルグリップの間を通って前方斜め上方に向かって膨張した後、さらに上方に向かって膨張して前記乗員の頭部と対向する頭部対向部と,前記燃料タンクの前部から左右のハンドルグリップの間を通って前方斜め上方に向かって膨張した後、前記頭部対向部と乗員との間においてさらに上方に向かって膨張し、かつ前記頭部対向部と乗員との間において頭部対向部の下方で該頭部対向部よりも乗員側に突出して乗員の胸部を緩衝する胸押さえ部とを備え、
前記頭部対向部と胸押さえ部は、それぞれを膨張展開させるインフレータと、膨張展開時の気体をそれぞれ逃がすベントホールとを備え、
膨張展開時、頭部対向部のベントホールは胸押さえ部のベントホールよりも高い位置に配置され、
膨張展開時、前記頭部対向部は、乗員の頭部前方において平板状かつ起立状に展開し、前記胸押さえ部は、前記頭部対向部の背部において、側面視で、頭部対向部と同じく起立状に展開する仕切部を介し該仕切部から乗員側に向かって膨出する湾曲状に膨張展開し、
該胸押さえ部の内圧が、前記頭部対向部の内圧よりも低いことを特徴とする。
この鞍乗り型車両のエアバッグ装置によれば、膨張展開時には、頭部対向部によって乗員の頭部に対する緩衝効果が得られるとともに、胸押さえ部によって乗員の胸部に対する緩衝効果が得られる。
そして、膨張展開時、胸押さえ部は、頭部対向部の下方で該頭部対向部よりも乗員側に突出して膨張するから、この胸押さえ部による乗員胸部への押さえ作用によって、相対的に、乗員頭部の頭部対向部への当接速度及び当接力が緩和されることとなる。
結果として、乗員に対する衝撃を頭部対向部と胸押さえ部とで分散して緩衝することができる。
このように構成すると、乗員をより自然な姿勢で緩衝することができる。
このように構成すると、胸押さえ部による乗員胸部への押さえ作用の性能をより上げることができ、相対的に、乗員頭部の頭部対向部への当接速度及び当接力を一層緩和することができる。
このように構成すると、テザーによってエアバッグの上方への動きが抑制される結果として、相対的に、胸押さえ部の乗員側への突出作用がより良好に得られるとともに、胸押さえ部の位置ズレを抑制することができ、結果として、乗員頭部の頭部対向部への当接速度及び当接力を一層緩和することができる。
このように構成すると、膨張展開時,くびれ部が車両からの干渉を回避したような状態となって,頭部対向部および胸押さえ部が膨張展開することとなる。このため,鞍乗り型車両が,走行中の相手車の側面に衝突して相手車の進行方向へと回動させられる状態となった場合でも,エアバッグは,衝突前の進行方向と略同方向へ向かって膨張展開し,かつその状態を維持しやすくなる。すなわち,エアバッグは衝突直後に膨張展開し,通常はその直後に鞍乗り型車両が相手車と同方向へと回動するとともに乗員が衝突前の進行方向を維持したまま相手車の側面に衝突しようとする状態となるが,その際,くびれ部が,車両からの干渉を回避しうる状態となり,結果として,車両と一緒には移動しない状態となる。
そのため,膨張展開したエアバッグにおける頭部対向部及び胸押さえ部の位置は,上記慣性による乗員の移動方向と合致しやすくなる。
したがって,鞍乗り型車両が走行中の相手車の側面に衝突した場合においてもエアバッグがその役割を果たすことが可能となる。
エアバッグ装置20は,図5にも示すように,衝突対象(例えば相手車C)との衝突時に自動二輪車10から上方へ向かって乗員Mの前方で膨張展開するエアバッグ30を有している。
リテーナ50は,箱状のリテーナ本体51を備えている。リテーナ本体51は,上方にエアバッグ膨張展開用の開口部51a(図6参照)を有する筐体であり,底板51bにインフレータ32が取り付けられている。
図に示すように,エアバッグ30は,リテーナ本体51内に折り畳まれた状態でインフレータ32と一体となって収納されている。
そして、膨張展開時、胸押さえ部30bは、頭部対向部30hの下方で該頭部対向部30hよりも乗員側に突出して膨張するから、この胸押さえ部30bによる乗員胸部Mbへの押さえ作用によって、相対的に、乗員頭部Mhの頭部対向部30hへの当接速度及び当接力が緩和されることとなる。
結果として、乗員に対する衝撃を頭部対向部と胸押さえ部とで分散して緩衝することができる。
このように構成すると、乗員Mをより自然な姿勢で緩衝することができる。
このように構成すると、胸押さえ部30bによる乗員胸部Mbへの押さえ作用の性能をより上げることができ、相対的に、乗員頭部Mhの頭部対向部30hへの当接速度及び当接力を一層緩和することができる。
このように構成すると、膨張展開時、テザー33によってエアバッグ30の上方への動きが抑制される結果として、相対的に、胸押さえ部30bの乗員M側への突出作用がより良好に得られるとともに、胸押さえ部30bの位置ズレを抑制することができ、結果として、乗員頭部Mhの頭部対向部30hへの当接速度及び当接力を一層緩和することができる。
テザー33は、前後方向に幅広の帯状部材であり、少なくともその上下がエアバッグ30に固定(例えば逢着)される。固定部(逢着部)を符号30sで示す。他の部位もエアバッグ30に対して固定可能であるが、テザー33は胸押さえ部30bに対しては固定(逢着)しない。
なお、図9に示すエアバッグ30の形状と、図3,図4に示すエアバッグ30の形状は異なっているが、いずれの形状も採用し得る。
このように構成すると、相対的に内圧の高い方の頭部対向部30hを、衝突対象(例えば相手車C)と接してエアバッグ30を支持するのに足る硬さを有する膨張室として機能させると同時に,相対的に内圧の低い方の胸押さえ部30bを,乗員Mと接して十分な緩衝作用を得るのに足る軟らかさを有する膨張室として機能させることが可能となる。
したがって、このような構成のエアバッグ30は、衝突対象と乗員Mとの間の緩衝体として作用するのに足る硬さと軟らかさとを両立させることができる。
図10,図11において、30pは、エアバッグ30の内部を頭部対向部30hと胸押さえ部30bとに仕切っている仕切部である。
このように構成すると,出力の異なるインフレータ32h,32bを頭部対向部30hと胸押さえ部30bとに設けるという簡単な構成で,頭部対向部30hと胸押さえ部30bとの内圧を異ならせることができる。
このように構成すると,頭部対向部30hと胸押さえ部30bとに開口面積の異なるベントホール30vh,30vbを設けるという簡単な構成で,頭部対向部30hと胸押さえ部30bとの内圧を異ならせることができる。なお,この場合,インフレータ32h、32bは同一出力とすることもできるし,図12(b)に示すように,胸押さえ部30bを膨張させるインフレータ32bの出力を,頭部対向部30hを膨張させるインフレータ32hの出力に比べて小さくすることもできる。
このように構成すると,異なる出力のインフレータを用意することなく,頭部対向部30hと胸押さえ部30bとの内圧を異ならせることができる。
このように構成すると、膨張展開時,くびれ部30cが鞍乗型車両(自動二輪車)10からの干渉を回避したような状態となって頭部対向部30hおよび胸押さえ部30bが膨張展開することとなる。このため,例えば図13に示すように、鞍乗り型車両10が,走行中の相手車Cの側面に衝突して相手車Cの進行方向Fへと回動(回動方向をRで示す)させられる状態となった場合でも,エアバッグ30は,衝突前の鞍乗型車両10の進行方向Dと略同方向へ向かって膨張展開し,かつその状態を維持しやすくなる。すなわち,エアバッグ30は衝突直後に膨張展開し,通常はその直後に鞍乗り型車両10が相手車Cと同方向へと回動するとともに乗員Mが衝突前の進行方向Dを維持したまま相手車Cの側面に衝突しようとする状態となるが,その際,くびれ部30cが,鞍乗型車両10からの干渉を回避しうる状態となり,結果として,鞍乗型車両10と一緒には移動しない状態となる。
そのため,膨張展開したエアバッグ30における頭部対向部30h及び胸押さえ部30bの位置は,上記慣性による乗員Mの移動方向Dと合致しやすくなる。
したがって,鞍乗り型車両10が走行中の相手車Cの側面に衝突した場合においてもエアバッグ30がその役割を果たすことが可能となる。
Claims (5)
- 乗員(M)が座るシートと、乗員(M)によって操作される左右のハンドルグリップを有するハンドル(14)と、前記シートとハンドル(14)との間に配置された燃料タンク(T)とを備える車両(10)から上方へ向かって乗員(M)の前方で膨張展開するエアバッグ(30)を有する鞍乗り型車両のエアバッグ装置において,
前記エアバッグ(30)は,膨張展開時に,前記燃料タンク(T)の前部から左右のハンドルグリップの間を通って前方斜め上方に向かって膨張した後、さらに上方に向かって膨張して前記乗員(M)の頭部(Mh)と対向する頭部対向部(30h)と,前記燃料タンク(T)の前部から左右のハンドルグリップの間を通って前方斜め上方に向かって膨張した後、前記頭部対向部(30h)と乗員(M)との間においてさらに上方に向かって膨張し、かつ前記頭部対向部(30h)と乗員(M)との間において頭部対向部(30h)の下方で該頭部対向部(30h)よりも乗員(M)側に突出して乗員(M)の胸部(Mb)を緩衝する胸押さえ部(30b)とを備え、
前記頭部対向部(30h)と胸押さえ部(30b)は、それぞれを膨張展開させるインフレータ(32h)(32b)と、膨張展開時の気体をそれぞれ逃がすベントホール(30vh)(30vb)とを備え、
膨張展開時、頭部対向部(30h)のベントホール(30vh)は胸押さえ部(30b)のベントホール(30vb)よりも高い位置に配置され、
膨張展開時、前記頭部対向部(30h)は、乗員(M)の頭部(Mh)前方において平板状かつ起立状に展開し、前記胸押さえ部(30b)は、前記頭部対向部(30h)の背部において、側面視で、頭部対向部(30h)と同じく起立状に展開する仕切部(30p)を介し該仕切部(30p)から乗員(M)側に向かって膨出する湾曲状に膨張展開し、
該胸押さえ部(30b)の内圧が、前記頭部対向部(30h)の内圧よりも低いことを特徴とする鞍乗り型車両のエアバッグ装置。 - 請求項1において、
前記胸押さえ部(30b)は、乗員(M)を前傾姿勢で緩衝することを特徴とする鞍乗り型車両のエアバッグ装置。 - 請求項1または2において、
前記車両(10)の前後方向に関し、前記頭部対向部(30h)の厚さ(t1)に比べ、前記胸押さえ部(30b)の頭部対向部(30h)からの突出量(t2)を大きくしたことを特徴とする鞍乗り型車両のエアバッグ装置。 - 請求項1〜3のうちいずれか一項において、
前記エアバッグ(30)の内部には、膨張展開時に上下方向へ延びて、該エアバッグ(30)の上方への動きを抑制するテザー(33)を設けたことを特徴とする鞍乗り型車両のエアバッグ装置。 - 請求項1〜4のうちいずれか一項において、
前記エアバッグ(30)は、膨張展開時に,前記車両(10)から前記胸押さえ部(30b)へ向かって立ち上がり,車幅方向における長さ(W1)が前記胸押さえ部(30b)より幅狭のくびれ部(30c)を有することを特徴とする鞍乗り型車両のエアバッグ装置。
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